特許第6491205号(P6491205)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6491205
(24)【登録日】2019年3月8日
(45)【発行日】2019年3月27日
(54)【発明の名称】閉塞クリップ
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/122 20060101AFI20190318BHJP
【FI】
   A61B17/122
【請求項の数】46
【全頁数】40
(21)【出願番号】特願2016-532569(P2016-532569)
(86)(22)【出願日】2014年11月21日
(65)【公表番号】特表2017-503535(P2017-503535A)
(43)【公表日】2017年2月2日
(86)【国際出願番号】US2014066757
(87)【国際公開番号】WO2015077528
(87)【国際公開日】20150528
【審査請求日】2017年3月23日
(31)【優先権主張番号】61/906,924
(32)【優先日】2013年11月21日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】514036944
【氏名又は名称】アトリキュア インク
【氏名又は名称原語表記】ATRICURE INC.
(74)【代理人】
【識別番号】110001461
【氏名又は名称】特許業務法人きさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】ウィンクラー,マシュー,ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】ミラー,ケネス,ランス
(72)【発明者】
【氏名】モンティ,マシュー
(72)【発明者】
【氏名】フランゴリス,トッド
(72)【発明者】
【氏名】ベイリー,ニコラス
(72)【発明者】
【氏名】トラスティー,ロバート,エム.
【審査官】 中村 一雄
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭52−103886(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0004637(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0213747(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0021062(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0149989(US,A1)
【文献】 特開平08−042525(JP,A)
【文献】 特表2006−510457(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/078067(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/122
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ばねと、
第1の開口頂部を含む第1のランナであって、前記第1の開口頂部により開口した第1の内部空洞を部分的に画定する第1の内部カム表面を含む、第1のランナと、
第2の開口頂部を含む第2のランナであって、前記第2の開口頂部により開口した第2の内部空洞を部分的に画定する第2の内部カム表面を含む、第2のランナと、
を備え、
前記ばねが、前記第1のランナおよび前記第2のランナに結合されるように構成され、
前記第1の内部空洞が、前記ばねの第1の部分を受容するように構成され、
前記第2の内部空洞が、前記ばねの第2の部分を受容するように構成され、
前記第1のランナおよび前記第2のランナが前記ばねを受容し、
記第1のランナおよび前記第2のランナは前記ばねに取り付けられて、前記ばねに対して長手方向および垂直方向の再位置決めが不可能とされ、
前記第1の内部カム表面が、前記ばねの第1のカムと係合するように構成され、
前記第2の内部カム表面が、前記ばねの第2のカムと係合するように構成された、閉塞クリップ。
【請求項2】
前記第1のランナおよび前記第2のランナの少なくとも一方が、前記ばねに枢動可能に取り付けられた、請求項1に記載の閉塞クリップ。
【請求項3】
前記第1のランナおよび前記第2のランナが、前記ばねに枢動可能に取り付けられた、請求項1に記載の閉塞クリップ。
【請求項4】
前記第1のランナおよび前記第2のランナの少なくとも一方を前記ばねに固定的に取り付けるように構成された再位置決め可能なロックをさらに備えた、請求項1に記載の閉塞クリップ。
【請求項5】
前記再位置決め可能なロックが、前記ばね、前記第1のランナ、および前記第2のランナのうちの少なくとも1つと関連付けられたオリフィス内に受容されたダボを含み、
前記ばねが、第1のアームおよび第2のアームを含み、
前記第1のアームが、前記第1のカムを含み、
前記第2のアームが、前記第2のカムを含む、請求項4に記載の閉塞クリップ。
【請求項6】
前記再位置決め可能なロックが、前記第1のランナと関連付けられたオリフィス内に受容されたダボを含む、請求項5に記載の閉塞クリップ。
【請求項7】
前記再位置決め可能なロックが、前記第1のランナおよび前記ばねと関連付けられたオリフィス内に受容されたダボを含む、請求項5に記載の閉塞クリップ。
【請求項8】
前記再位置決め可能なロックが、前記第1のランナおよび前記ばねの少なくとも一方と関連付けられた第1のオリフィス内に受容された第1のダボを含み、
前記再位置決め可能なロックが、前記第2のランナおよび前記ばねの少なくとも一方と関連付けられた第2のオリフィス内に受容された第2のダボを含む、請求項5に記載の閉塞クリップ。
【請求項9】
前記再位置決め可能なロックが、前記第2のランナおよび前記ばねの少なくとも一方と関連付けられた第3のオリフィス内に受容された第3のダボを含む、請求項8に記載の閉塞クリップ。
【請求項10】
前記再位置決め可能なロックが、前記ばねと前記第1のランナとの間の枢動を可能とするように構成され、
前記再位置決め可能なロックが前記ばねと前記第2のランナを共に係合しているとき、前記再位置決め可能なロックが、前記ばねと前記第2のランナとの間の垂直運動および長手方向の摺動を抑止するように構成された、請求項4に記載の閉塞クリップ。
【請求項11】
前記ばねが、第1の脚部および第2の脚部によってC字形状を具現化し、
前記第1の脚部および前記第2の脚部の少なくとも一方が、長手方向の差異を含む、請求項1に記載の閉塞クリップ。
【請求項12】
前記第1の脚部および前記第2の脚部がそれぞれ、長手方向の差異を含み、
前記第1の脚部の前記長手方向の差異が、前記第1の脚部の長手方向の長さに沿う空洞を形成した、請求項11に記載の閉塞クリップ。
【請求項13】
前記第2の脚部の前記長手方向の差異が、前記第1の脚部の長手方向の長さに沿う少なくとも2つの空洞を形成した、請求項12に記載の閉塞クリップ。
【請求項14】
前記第1の脚部の前記長手方向の差異が、再位置決め可能なロックの第1の部分を受容して、前記第1の脚部を前記第1のランナに取り付けるように構成され、
前記第2の脚部の前記長手方向の差異が、再位置決め可能なロックの第2の部分および第3の部分を受容して、前記第2の脚部を前記第2のランナに取り付けるように構成された、請求項13に記載の閉塞クリップ。
【請求項15】
前記第1の脚部の前記長手方向の差異が、第1のV字状切り欠きを備え、
前記第2の脚部の前記長手方向の差異が、第2のV字状切り欠きおよび第3のV字状切り欠きを備え、
前記第1の部分が、第1のダボを含み、
前記第2の部分が、第2のダボを含み、
前記第3の部分が、第3のダボを含む、請求項14に記載の閉塞クリップ。
【請求項16】
前記第1のランナが、弓状の組織接触表面を含み、
前記第2のランナが、弓状の組織接触表面を含み、
前記第1および第2のランナが前記ばねに取り付けられた場合に、前記第1のランナの前記弓状の組織接触表面が、前記第2のランナの前記弓状の組織接触表面に対向する、請求項1に記載の閉塞クリップ。
【請求項17】
前記第1のランナを前記ばねに固定的に取り付けるように構成された第1の再位置決め可能なロックと、
前記第2のランナを前記ばねに固定的に取り付けるように構成された第2の再位置決め可能なロックと、
をさらに備えた、請求項1に記載の閉塞クリップ。
【請求項18】
前記第1のランナが、前記第1の再位置決め可能なロックの一部を受容するように構成されたオリフィスを含み、
前記第2のランナが、前記第2の再位置決め可能なロックの一部を受容するように構成されたオリフィスを含む、請求項17に記載の閉塞クリップ。
【請求項19】
前記第1のランナの前記オリフィスが、第1のオリフィス対を含み、
前記第2のランナの前記オリフィスが、第2のオリフィス対を含み、
前記第1の再位置決め可能なロックが、前記第1のランナの前記第1のオリフィス対により受容されるように構成された第1のダボを含み、
前記第2の再位置決め可能なロックが、前記第2のランナの前記第2のオリフィス対により受容されるように構成された第2のダボを含む、請求項18に記載の閉塞クリップ。
【請求項20】
前記ばねが、第1の脚部および第2の脚部によってC字形状を具現化し、
前記第1の脚部が、前記第1の脚部を前記第1のランナに取り付けるように動作する第1の再位置決め可能なロックを受容するように構成された空洞およびオリフィスの少なくとも一方を含み、
前記第2の脚部が、前記第2の脚部を前記第2のランナに取り付けるように動作する第2の再位置決め可能なロックを受容するように構成された空洞およびオリフィスの少なくとも一方を含む、請求項1に記載の閉塞クリップ。
【請求項21】
前記第1の脚部の遠位端が、第1のカム表面を含み、
前記第2の脚部の遠位端が、第2のカム表面を含み、
前記第1の脚部の前記遠位端が、前記第1の脚部を前記第1のランナに取り付けるように動作する第1の再位置決め可能なロックを受容するように構成された空洞を含み、
前記第2の脚部の前記遠位端が、前記第2の脚部を前記第2のランナに取り付けるように動作する第2の再位置決め可能なロックを受容するように構成された空洞を含む、請求項20に記載の閉塞クリップ。
【請求項22】
前記第1のランナが、前記第1の再位置決め可能なロックの一部を受容するように構成された第1のランナ・オリフィスを含み、
前記第2のランナが、前記第2の再位置決め可能なロックの一部を受容するように構成された第2のランナ・オリフィスを含む、請求項21に記載の閉塞クリップ。
【請求項23】
前記第1のランナが、第1のランナ・オリフィスを含み、
前記第2のランナが、第2のランナ・オリフィスを含み、
前記第1の再位置決め可能なロックが、前記第1のランナ・オリフィスおよび前記第1の脚部の前記空洞内に同時に受容されて、前記第1の脚部を前記第1のランナに取り付けるように構成された第1のダボを備え、
前記第2の再位置決め可能なロックが、前記第2のランナ・オリフィスおよび前記第2の脚部の前記空洞内に同時に受容されて、前記第2の脚部を前記第2のランナに取り付けるように構成された第2のダボを備えた、請求項22に記載の閉塞クリップ。
【請求項24】
前記第1の脚部の遠位端が、第1のカム表面を含み、
前記第2の脚部の遠位端が、第2のカム表面を含み、
前記第1の脚部の前記遠位端が、前記第1の脚部を前記第1のランナに取り付けるように動作する第1の再位置決め可能なロックを受容するように構成されたオリフィスを含み、
前記第2の脚部の前記遠位端が、前記第2の脚部を前記第2のランナに取り付けるように動作する第2の再位置決め可能なロックを受容するように構成されたオリフィスを含む、請求項20に記載の閉塞クリップ。
【請求項25】
前記第1のランナを前記ばねに固定的に取り付けるように構成された第1の再位置決め可能なロックと、前記第2のランナを前記ばねに固定的に取り付けるように構成された第2の再位置決め可能なロックとをさらに備え、
前記ばねが、第1の脚部および第2の脚部によってC字形状を具現化し、
前記第1の脚部が、前記第1の再位置決め可能なロックの少なくとも一部を受容するように構成された空洞およびオリフィスの少なくとも一方を含み、
前記第2の脚部が、前記第2の再位置決め可能なロックの少なくとも一部を受容するように構成された空洞およびオリフィスの少なくとも一方を含み、
前記第1の脚部の前記空洞および前記オリフィスの少なくとも一方が、前記第2の脚部の前記空洞および前記オリフィスの少なくとも一方から長手方向にオフセットした、請求項1に記載の閉塞クリップ。
【請求項26】
前記第1の脚部が、前記第2の脚部に向かって延びた突起を含み、
前記第2の脚部の前記空洞および前記オリフィスの少なくとも一方が、前記突起と前記第1の脚部の前記空洞および前記オリフィスの少なくとも一方との間で長手方向に介在した、請求項25に記載の閉塞クリップ。
【請求項27】
前記第1の脚部が、前記第1の再位置決め可能なロックの少なくとも一部を受容するように構成された空洞を含み、
前記第2の脚部が、前記第2の再位置決め可能なロックの少なくとも一部を受容するように構成された空洞を含み、
前記第2の脚部の前記空洞が、前記突起と前記第1の脚部の前記空洞との間で長手方向に介在した、請求項26に記載の閉塞クリップ。
【請求項28】
前記第1の脚部が、前記第1の再位置決め可能なロックの少なくとも一部を受容するように構成されたオリフィスを含み、
前記第2の脚部が、前記第2の再位置決め可能なロックの少なくとも一部を受容するように構成されたオリフィスを含み、
前記第2の脚部の前記オリフィスが、前記突起と前記第1の脚部の前記オリフィスとの間で長手方向に介在した、請求項26に記載の閉塞クリップ。
【請求項29】
前記第1のランナを前記ばねに固定的に取り付けるように構成された第1の再位置決め可能なロックと、前記第2のランナを前記ばねに固定的に取り付けるように構成された第2の再位置決め可能なロックとをさらに備え、
前記ばねが、第1の脚部および第2の脚部によってC字形状を具現化し、
前記第1の脚部が、前記第1の再位置決め可能なロックの少なくとも一部を受容するように構成された空洞およびオリフィスの少なくとも一方を含み、
前記第2の脚部が、前記第2の再位置決め可能なロックの少なくとも一部を受容するように構成された空洞およびオリフィスの少なくとも一方を含み、
前記ばねが、前記第1の脚部と前記第2の脚部との間に介在する第1の補助脚部を含む、請求項1に記載の閉塞クリップ。
【請求項30】
前記第1の脚部が、前記第1の再位置決め可能なロックの少なくとも一部を受容するように構成された空洞と、前記第2の脚部の方向に延びる突起とを含み、
前記第2の脚部が、前記第2の再位置決め可能なロックの少なくとも一部を受容するように構成された空洞を含み、
前記第2の脚部の前記空洞が、前記突起と前記第1の脚部の前記空洞との間で長手方向に介在した、請求項29に記載の閉塞クリップ。
【請求項31】
前記第1の脚部が、前記第1の再位置決め可能なロックの少なくとも一部を受容するように構成されたオリフィスと、前記第2の脚部の方向に延びる突起とを含み、
前記第2の脚部が、前記第2の再位置決め可能なロックの少なくとも一部を受容するように構成されたオリフィスを含み、
前記第2の脚部の前記オリフィスが、前記突起と前記第1の脚部の前記オリフィスとの間で長手方向に介在した、請求項29に記載の閉塞クリップ。
【請求項32】
前記第1の補助脚部が、前記第1のランナに対して固定的に取り付けられることなく、前記第1のランナと係合するように構成された、請求項29に記載の閉塞クリップ。
【請求項33】
前記第1のランナを前記ばねに固定的に取り付けるように構成された第1の再位置決め可能なロックと、前記第2のランナを前記ばねに固定的に取り付けるように構成された第2の再位置決め可能なロックとをさらに備え、
前記ばねが、第1の脚部および第2の脚部によってC字形状を具現化し、
前記第1の脚部が、前記第1の再位置決め可能なロックの少なくとも一部を受容するように構成された空洞およびオリフィスの少なくとも一方を含み、
前記第2の脚部が、前記第2の再位置決め可能なロックの少なくとも一部を受容するように構成された空洞およびオリフィスの少なくとも一方を含み、
前記ばねが、第1の補助脚部および第2の補助脚部を含む、請求項1に記載の閉塞クリップ。
【請求項34】
前記第1の脚部が、前記第1の再位置決め可能なロックの少なくとも一部を受容するように構成された空洞と、前記第2の脚部の方向に延びる突起とを含み、
前記第2の脚部が、前記第2の再位置決め可能なロックの少なくとも一部を受容するように構成された空洞を含み、
前記第2の脚部の前記空洞が、前記突起と前記第1の脚部の前記空洞との間で長手方向に介在した、請求項33に記載の閉塞クリップ。
【請求項35】
前記第1の脚部が、前記第1の再位置決め可能なロックの少なくとも一部を受容するように構成されたオリフィスと、前記第2の脚部の方向に延びる突起とを含み、
前記第2の脚部が、前記第2の再位置決め可能なロックの少なくとも一部を受容するように構成されたオリフィスを含み、
前記第2の脚部の前記オリフィスが、前記突起と前記第1の脚部の前記オリフィスとの間で長手方向に介在した、請求項33に記載の閉塞クリップ。
【請求項36】
前記第1の補助脚部が、前記第1の脚部と前記第2の脚部との間で長手方向に延び、
前記第2の補助脚部が、前記第1の脚部と前記第2の脚部との間で長手方向に延び、
前記第1の補助脚部が、前記第1の脚部と前記第2の補助脚部との間に介在し、
前記第2の補助脚部が、前記第2の脚部と前記第1の補助脚部との間に介在した、請求項33に記載の閉塞クリップ。
【請求項37】
前記第1の補助脚部が、前記第1のランナに対して固定的に取り付けられることなく、前記第1のランナと係合するように構成され、
前記第2の補助脚部が、前記第2のランナに対して固定的に取り付けられることなく、前記第2のランナと係合するように構成された、請求項36に記載の閉塞クリップ。
【請求項38】
前記第1の補助脚部が、第1の補助脚部対を備え、
前記第2の補助脚部が、第2の補助脚部対を備え、
前記第1の脚部が、前記第1の補助脚部対間に介在し、
前記第2の脚部が、前記第2の補助脚部対間に介在した、請求項33に記載の閉塞クリップ。
【請求項39】
前記第1の補助脚部対が、前記第1のランナに対して固定的に取り付けられることなく、前記第1のランナと係合するように構成され、
前記第2の補助脚部対が、前記第2のランナに対して固定的に取り付けられることなく、前記第2のランナと係合するように構成された、請求項38に記載の閉塞クリップ。
【請求項40】
前記ばねの一体蝶番に近接して、前記ばねに取り外し可能に結合された楔をさらに備え、
前記ばねが、前記一体蝶番の第1の面に第1の脚部および第1の補助脚部を含み、
前記ばねが、前記一体蝶番の第2の面に第2の脚部および第2の補助脚部を含み、
前記楔が、前記ばねに結合された場合に、前記第1の脚部と前記第2の脚部との間の分離の増大に必要な力を変化させるように動作する、請求項1に記載の閉塞クリップ。
【請求項41】
前記第1の補助脚部が、前記第1の脚部と前記第2の脚部との間で長手方向に延び、
前記第2の補助脚部が、前記第1の脚部と前記第2の脚部との間で長手方向に延び、
前記第1の補助脚部が、前記第1の脚部と前記第2の補助脚部との間に介在し、
前記第2の補助脚部が、前記第2の脚部と前記第1の補助脚部との間に介在した、請求項40に記載の閉塞クリップ。
【請求項42】
前記第1の補助脚部が、前記第1のランナに対して固定的に取り付けられることなく、前記第1のランナと係合するように構成され、
前記第2の補助脚部が、前記第2のランナに対して固定的に取り付けられることなく、前記第2のランナと係合するように構成された、請求項41に記載の閉塞クリップ。
【請求項43】
前記第1の補助脚部が、第1の補助脚部対を備え、
前記第2の補助脚部が、第2の補助脚部対を備え、
前記第1の脚部が、前記第1の補助脚部対間に介在し、
前記第2の脚部が、前記第2の補助脚部対間に介在した、請求項40に記載の閉塞クリップ。
【請求項44】
前記第1の補助脚部対が、前記第1のランナに対して固定的に取り付けられることなく、前記第1のランナと係合するように構成され、
前記第2の補助脚部対が、前記第2のランナに対して固定的に取り付けられることなく、前記第2のランナと係合するように構成された、請求項43に記載の閉塞クリップ。
【請求項45】
前記第1のランナと前記第2のランナとの間に介在する布地をさらに備えた、請求項1から44のいずれか一項に記載の閉塞クリップ。
【請求項46】
当該閉塞クリップを封入するC字状の布地スリーブをさらに備えた、請求項1から44のいずれか一項に記載の閉塞クリップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2013年11月21日に出願された米国仮特許出願第61/906,924号「OCCLUSION CLIP」の利益を主張し、その開示内容を本明細書に援用する。
【0002】
本発明は、閉塞クリップに関し、より詳細には、身体組織を閉塞可能な端部開口クリップに関する。
【背景技術】
【0003】
塞栓性脳卒中は、国内で3番目に成人の死亡率が高い病気である。また、塞栓性脳卒中は、身体障害の主な原因である。塞栓性脳卒中の最も一般的な原因は、心房の左心耳における血栓形成である。塞栓性脳卒中を患っているほぼすべての心房細動(AF)患者においては、左心房の心耳に血栓塊が生じている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
AF患者の脳卒中を防止する1次療法は、経口抗凝固薬の投与である。多少の効果はあるものの、出血および生活様式の支障等、多大な副次的影響がある。
【0005】
AF患者の脳卒中を防止する別の療法は、左心耳への生体材料の導入による心耳の閉塞である。ただし、これらの材料は、時間とともに崩壊して、十分なサイズの空洞が血塊の形成を助長する可能性がある。
【0006】
さらに別の手法として、開胸および胸腔鏡手術による左心耳の除去または縫合が挙げられる。あるいは、経皮心内膜手法を利用して、心臓の内側から左心耳を隔離することも可能である。一例としては、バリア等のデバイスを左心耳の房内に固定して、房内外への血液の通過を阻止することにより、血塊の形成を防止する。ただし、この場合も、バリアが崩壊して、血栓の形成に至る可能性がある。
【0007】
医師は、内視鏡ステープル・デバイス、心耳の基部に拘束された縫合ループ、および心耳の外表面から基部までを摘んで心耳を閉塞するクリップを使用して、左心耳を隔離および除去する。クリップの場合は、心耳の基部において、心臓の外側に適用される場合がある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の態様は、(a)ばねと、(b)第1の開口頂部および当該第1の開口頂部に隣接した第1の開口端を含む第1のランナであって、第1の開口頂部および第1の開口端により開口した第1の内部空洞を部分的に画定する第1の内部カム表面を含む、第1のランナと、(c)第2の開口頂部および当該第2の開口頂部に隣接した第2の開口端を含む第2のランナであって、第2の開口頂部および第2の開口端により開口した第2の内部空洞を部分的に画定する第2の内部カム表面を含む、第2のランナと、を備え、ばねが、第1のランナおよび第2のランナに結合されるように構成され、第1の内部空洞が、ばねの第1の部分を受容するように構成され、第2の内部空洞が、ばねの第2の部分を受容するように構成され、第1のカム表面が、ばねの第1のカムと係合するように構成され、第2のカム表面が、ばねの第2のカムと係合するように構成された、閉塞クリップを提供する。
【0009】
第1の態様のより詳細な一実施形態においては、第1のランナおよび第2のランナの少なくとも一方が、ばねに枢動可能に取り付けられている。さらに別のより詳細な実施形態においては、第1のランナおよび第2のランナが、ばねに枢動可能に取り付けられている。さらに詳細な一実施形態においては、ばねが、第1のランナおよび第2のランナの少なくとも一方に対して、取り外し可能に結合されるように構成されている。さらに詳細な一実施形態においては、閉塞クリップが、第1のランナおよび第2のランナの少なくとも一方をばねに固定的に取り付けるように構成された再位置決め可能なロックをさらに備える。より詳細な一実施形態においては、再位置決め可能なロックが、ばね、第1のランナ、および第2のランナのうちの少なくとも1つと関連付けられたオリフィス内に受容されたダボを含み、ばねが、第1のアームおよび第2のアームを含み、第1のアームが、第1のカムを含み、第2のアームが、第2のカムを含む。より詳細な一実施形態においては、再位置決め可能なロックが、第1のランナと関連付けられたオリフィス内に受容されたダボを含む。別のより詳細な実施形態においては、再位置決め可能なロックが、第1のランナおよびばねと関連付けられたオリフィス内に受容されたダボを含む。さらに別のより詳細な実施形態においては、再位置決め可能なロックが、第1のランナおよびばねの少なくとも一方と関連付けられた第1のオリフィス内に受容された第1のダボを含み、再位置決め可能なロックが、第2のランナおよびばねの少なくとも一方と関連付けられた第2のオリフィス内に受容された第2のダボを含む。さらに別のより詳細な実施形態においては、再位置決め可能なロックが、第2のランナおよびばねの少なくとも一方と関連付けられた第3のオリフィス内に受容された第3のダボを含む。
【0010】
第1の態様のさらに別のより詳細な実施形態においては、再位置決め可能なロックが、ばねと第1のランナとの間の枢動を可能とするように構成され、再位置決め可能なロックが、ばねと第2のランナとの間の回転運動および長手方向の摺動の少なくとも一方を抑止するように構成されている。さらに別のより詳細な実施形態においては、ばねが、第1の脚部および第2の脚部によってC字形状を具現化し、第1の脚部および第2の脚部の少なくとも一方が、長手方向の差異(variance)を含む。さらに詳細な一実施形態においては、第1の脚部および第2の脚部がそれぞれ、長手方向の差異を含み、第1の脚部の長手方向の差異が、第1の脚部の長手方向の長さに沿う空洞を形成する。さらに詳細な一実施形態においては、第2の脚部の長手方向の差異が、第1の脚部の長手方向の長さに沿う少なくとも2つの空洞を形成する。より詳細な一実施形態においては、第1の脚部の長手方向の差異が、再位置決め可能なロックの第1の部分を受容して、第1の脚部を第1のランナに取り付けるように構成され、第2の脚部の長手方向の差異が、再位置決め可能なロックの第2の部分および第3の部分を受容して、第2の脚部を第2のランナに取り付けるように構成されている。より詳細な一実施形態においては、第1の脚部の長手方向の差異が、第1のV字状切り欠きを備え、第2の脚部の長手方向の差異が、第2のV字状切り欠きおよび第3のV字状切り欠きを備え、第1の部分が、第1のダボを含み、第2の部分が、第2のダボを含み、第3の部分が、第3のダボを含む。別のより詳細な実施形態においては、第1のランナが、弓状の組織接触表面を含み、第2のランナが、弓状の組織接触表面を含み、第1および第2のランナがばねに取り付けられた場合に、第1のランナの弓状の組織接触表面が、第2のランナの弓状の組織接触表面に対向する。さらに別のより詳細な実施形態においては、閉塞クリップが、第1のランナをばねに固定的に取り付けられるように構成された第1の再位置決め可能なロックと、第2のランナをばねに固定的に取り付けられるように構成された第2の再位置決め可能なロックとをさらに備える。さらに別のより詳細な実施形態においては、第1のランナが、第1の再位置決め可能なロックの一部を受容するように構成された窪みおよびオリフィスの少なくとも一方を含み、第2のランナが、第2の再位置決め可能なロックの一部を受容するように構成された窪みおよびオリフィスの少なくとも一方を含む。
【0011】
第1の態様のより詳細な一実施形態においては、第1のランナが、第1の再位置決め可能なロックの一部を受容するように構成されたオリフィスを含み、第2のランナが、第2の再位置決め可能なロックの一部を受容するように構成されたオリフィスを含む。さらに別のより詳細な実施形態においては、第1のランナのオリフィスが、第1のオリフィス対を含み、第2のランナのオリフィスが、第2のオリフィス対を含み、第1の再位置決め可能なロックが、第1のランナの第1のオリフィス対により受容されるように構成された第1のダボを含み、第2の再位置決め可能なロックが、第2のランナの第2のオリフィス対により受容されるように構成された第2のダボを含む。さらに詳細な一実施形態においては、ばねが、第1の脚部および第2の脚部によってC字形状を具現化し、第1の脚部が、当該第1の脚部を第1のランナに取り付けるように動作する第1の再位置決め可能なロックを受容するように構成された空洞およびオリフィスの少なくとも一方を含み、第2の脚部が、当該第2の脚部を第2のランナに取り付けるように動作する第2の再位置決め可能なロックを受容するように構成された空洞およびオリフィスの少なくとも一方を含む。さらに詳細な一実施形態においては、第1の脚部の遠位端が、第1のカム表面を含み、第2の脚部の遠位端が、第2のカム表面を含み、第1の脚部の遠位端が、第1の脚部を第1のランナに取り付けるように動作する第1の再位置決め可能なロックを受容するように構成された空洞を含み、第2の脚部の遠位端が、第2の脚部を第2のランナに取り付けるように動作する第2の再位置決め可能なロックを受容するように構成された空洞を含む。より詳細な一実施形態においては、第1のランナが、第1の再位置決め可能なロックの一部を受容するように構成された第1のランナ空洞および第1のランナ・オリフィスの少なくとも一方を含み、第2のランナが、第2の再位置決め可能なロックの一部を受容するように構成された第2のランナ空洞および第2のランナ・オリフィスの少なくとも一方を含む。より詳細な一実施形態においては、第1のランナが、第1のランナ・オリフィスを含み、第2のランナが、第2のランナ・オリフィスを含み、第1の再位置決め可能なロックが、第1のランナ・オリフィスおよび第1の脚部の空洞内に同時に受容されて、第1の脚部を第1のランナに取り付けるように構成された第1のダボを備え、第2の再位置決め可能なロックが、第2のランナ・オリフィスおよび第2の脚部の空洞内に同時に受容されて、第2の脚部を第2のランナに取り付けるように構成された第2のダボを備える。別のより詳細な実施形態においては、第1の脚部の遠位端が、第1のカム表面を含み、第2の脚部の遠位端が、第2のカム表面を含み、第1の脚部の遠位端が、第1の脚部を第1のランナに取り付けるように動作する第1の再位置決め可能なロックを受容するように構成されたオリフィスを含み、第2の脚部の遠位端が、第2の脚部を第2のランナに取り付けるように動作する第2の再位置決め可能なロックを受容するように構成されたオリフィスを含む。さらに別のより詳細な実施形態においては、第1のランナが、第1の再位置決め可能なロックの一部を受容するように構成された第1のランナ空洞および第1のランナ・オリフィスの少なくとも一方を含み、第2のランナが、第2の再位置決め可能なロックの一部を受容するように構成された第2のランナ空洞および第2のランナ・オリフィスの少なくとも一方を含む。さらに別のより詳細な実施形態においては、第1のランナが、第1のランナ・オリフィスを含み、第2のランナが、第2のランナ・オリフィスを含み、第1の再位置決め可能なロックが、第1のランナ・オリフィスおよび第1の脚部のオリフィス内に同時に受容されて、第1の脚部を第1のランナに取り付けるように構成された第1のダボを備え、第2の再位置決め可能なロックが、第2のランナ・オリフィスおよび第2の脚部のオリフィス内に同時に受容されて、第2の脚部を第2のランナに取り付けるように構成された第2のダボを備える。
【0012】
第1の態様のさらに別のより詳細な実施形態においては、閉塞クリップが、第1のランナをばねに固定的に取り付けるように構成された第1の再位置決め可能なロックと、第2のランナをばねに固定的に取り付けるように構成された第2の再位置決め可能なロックとをさらに備え、ばねが、第1の脚部および第2の脚部によってC字形状を具現化し、第1の脚部が、第1の再位置決め可能なロックの少なくとも一部を受容するように構成された空洞およびオリフィスの少なくとも一方を含み、第2の脚部が、第2の再位置決め可能なロックの少なくとも一部を受容するように構成された空洞およびオリフィスの少なくとも一方を含み、第1の脚部の空洞およびオリフィスの少なくとも一方が、第2の脚部の空洞およびオリフィスの少なくとも一方から長手方向にオフセットしている。さらに別のより詳細な実施形態においては、第1の脚部が、第2の脚部に向かって延びた突起を含み、第2の脚部の空洞およびオリフィスの少なくとも一方が、突起と第1の脚部の空洞およびオリフィスの少なくとも一方との間で長手方向に介在している。さらに詳細な一実施形態においては、第1の脚部が、第1の再位置決め可能なロックの少なくとも一部を受容するように構成された空洞を含み、第2の脚部が、第2の再位置決め可能なロックの少なくとも一部を受容するように構成された空洞を含み、第2の脚部の空洞が、突起と第1の脚部の空洞との間で長手方向に介在している。さらに詳細な一実施形態においては、第1の脚部が、第1の再位置決め可能なロックの少なくとも一部を受容するように構成されたオリフィスを含み、第2の脚部が、第2の再位置決め可能なロックの少なくとも一部を受容するように構成されたオリフィスを含み、第2の脚部のオリフィスが、突起と第1の脚部のオリフィスとの間で長手方向に介在している。より詳細な一実施形態においては、閉塞クリップが、第1のランナをばねに固定的に取り付けるように構成された第1の再位置決め可能なロックと、第2のランナをばねに固定的に取り付けるように構成された第2の再位置決め可能なロックとをさらに備え、ばねが、第1の脚部および第2の脚部によってC字形状を具現化し、第1の脚部が、第1の再位置決め可能なロックの少なくとも一部を受容するように構成された空洞およびオリフィスの少なくとも一方を含み、第2の脚部が、第2の再位置決め可能なロックの少なくとも一部を受容するように構成された空洞およびオリフィスの少なくとも一方を含み、ばねが、第1の脚部と第2の脚部との間に介在した第1の補助脚部を含む。より詳細な一実施形態においては、第1の脚部が、第1の再位置決め可能なロックの少なくとも一部を受容するように構成された空洞を含み、第2の脚部が、第2の再位置決め可能なロックの少なくとも一部を受容するように構成された空洞を含み、第2の脚部の空洞が、突起と第1の脚部の空洞との間で長手方向に介在している。別のより詳細な実施形態においては、第1の脚部が、第1の再位置決め可能なロックの少なくとも一部を受容するように構成されたオリフィスを含み、第2の脚部が、第2の再位置決め可能なロックの少なくとも一部を受容するように構成されたオリフィスを含み、第2の脚部のオリフィスが、突起と第1の脚部のオリフィスとの間で長手方向に介在している。さらに別のより詳細な実施形態においては、第1の補助脚部が、第1のランナに対して固定的に取り付けられることなく、第1のランナと係合するように構成されている。
【0013】
第1の態様のより詳細な一実施形態においては、閉塞クリップが、第1のランナをばねに固定的に取り付けるように構成された第1の再位置決め可能なロックと、第2のランナをばねに固定的に取り付けるように構成された第2の再位置決め可能なロックとをさらに備え、ばねが、第1の脚部および第2の脚部によってC字形状を具現化し、第1の脚部が、第1の再位置決め可能なロックの少なくとも一部を受容するように構成された空洞およびオリフィスの少なくとも一方を含み、第2の脚部が、第2の再位置決め可能なロックの少なくとも一部を受容するように構成された空洞およびオリフィスの少なくとも一方を含み、ばねが、第1の補助脚部および第2の補助脚部を含む。さらに別のより詳細な実施形態においては、第1の脚部が、第1の再位置決め可能なロックの少なくとも一部を受容するように構成された空洞を含み、第2の脚部が、第2の再位置決め可能なロックの少なくとも一部を受容するように構成された空洞を含み、第2の脚部の空洞が、突起と第1の脚部の空洞との間で長手方向に介在している。さらに詳細な一実施形態においては、第1の脚部が、第1の再位置決め可能なロックの少なくとも一部を受容するように構成されたオリフィスを含み、第2の脚部が、第2の再位置決め可能なロックの少なくとも一部を受容するように構成されたオリフィスを含み、第2の脚部のオリフィスが、突起と第1の脚部のオリフィスとの間で長手方向に介在している。さらに詳細な一実施形態においては、第1の補助脚部が、第1の脚部と第2の脚部との間で長手方向に延び、第2の補助脚部が、第1の脚部と第2の脚部との間で長手方向に延び、第1の補助脚部が、第1の脚部と第2の補助脚部との間に介在し、第2の補助脚部が、第2の脚部と第1の補助脚部との間に介在している。より詳細な一実施形態においては、第1の補助脚部が、第1のランナに対して固定的に取り付けられることなく、第1のランナと係合するように構成され、第2の補助脚部が、第2のランナに対して固定的に取り付けられることなく、第2のランナと係合するように構成されている。より詳細な一実施形態においては、第1の補助脚部が、第1の補助脚部対を備え、第2の補助脚部が、第2の補助脚部対を備え、第1の脚部が、第1の補助脚部対間に介在し、第2の脚部が、第2の補助脚部対間に介在している。別のより詳細な実施形態においては、第1の補助脚部対が、第1のランナに対して固定的に取り付けられることなく、第1のランナと係合するように構成され、第2の補助脚部対が、第2のランナに対して固定的に取り付けられることなく、第2のランナと係合するように構成されている。
【0014】
第1の態様のさらに別のより詳細な実施形態においては、閉塞クリップが、ばねの一体蝶番に近接して、ばねに取り外し可能に結合された楔をさらに備え、ばねが、一体蝶番の第1の面に第1の脚部および第1の補助脚部を含み、ばねが、一体蝶番の第2の面に第2の脚部および第2の補助脚部を含み、楔が、ばねに結合された場合に、第1の脚部と第2の脚部との間の分離の増大に必要な力を変化させるように動作する。さらに別のより詳細な実施形態においては、第1の補助脚部が、第1の脚部と第2の脚部との間で長手方向に延び、第2の補助脚部が、第1の脚部と第2の脚部との間で長手方向に延び、第1の補助脚部が、第1の脚部と第2の補助脚部との間に介在し、第2の補助脚部が、第2の脚部と第1の補助脚部との間に介在している。さらに詳細な一実施形態においては、第1の補助脚部が、第1のランナに対して固定的に取り付けられることなく、第1のランナと係合するように構成され、第2の補助脚部が、第2のランナに対して固定的に取り付けられることなく、第2のランナと係合するように構成されている。さらに詳細な一実施形態においては、第1の補助脚部が、第1の補助脚部対を備え、第2の補助脚部が、第2の補助脚部対を備え、第1の脚部が、第1の補助脚部対間に介在し、第2の脚部が、第2の補助脚部対間に介在している。より詳細な一実施形態においては、第1の補助脚部対が、第1のランナに対して固定的に取り付けられることなく、第1のランナと係合するように構成され、第2の補助脚部対が、第2のランナに対して固定的に取り付けられることなく、第2のランナと係合するように構成されている。より詳細な一実施形態においては、閉塞クリップが、第1のランナと第2のランナとの間に介在した布地をさらに備える。別のより詳細な実施形態においては、閉塞クリップが、当該閉塞クリップを封入するC字状の布地スリーブをさらに備える。
【0015】
本発明の第2の態様は、(a)端部開口となるように第1の端部で結合され、第2の自由端で互いに独立して再位置決め可能な少なくとも2つの細長脚部を備えたばねであって、第1の端部から第2の端部の一方まで測定される支配的寸法を有する、ばねと、(b)少なくとも2つの細長脚部の第1の脚部に結合された第1のランナであって、閉塞表面を有する細長閉塞ビームを備え、支配的寸法を有する、第1のランナと、(c)少なくとも2つの細長脚部の第2の脚部に結合された第2のランナであって、閉塞表面を有する細長閉塞ビームを備え、支配的寸法を有する、第2のランナと、を備え、ばねが、第2のランナの閉塞表面に向かって、第1のランナの閉塞表面を付勢するように構成され、ばね、第1のランナ、および第2のランナの支配的寸法が、大略同じ方向に延びた、閉塞クランプを提供する。
【0016】
第2の態様のより詳細な一実施形態においては、第2の自由端が、ばねの支配的寸法に沿って互いに離隔し、第1の脚部が、第1の箇所で第1のランナに結合され、第2の脚部が、第2の箇所および第3の箇所で第2のランナに結合され、第1の箇所が、支配的寸法に沿って、第2の箇所と第3の箇所との間に介在している。さらに別のより詳細な実施形態においては、第1の脚部が、第1のピンを捕捉して、第1の脚部を第1のランナに取り付け、第2の脚部が、第2のピンおよび第3のピンを捕捉して、第2の脚部を第2のランナに取り付ける。さらに詳細な一実施形態においては、第1のピンが、第1のランナに取り付けられ、第2のピンおよび第3のピンが、第2のランナに取り付けられ、第1の脚部が第1のピンと第1のランナとの間に介在し第1の脚部を第1のランナに取り付けるように、第1のピンを受容するように構成された第1の切れ目を、第1の脚部が含み、第2の脚部が第2のピンと第2のランナとの間に介在するとともに第3のピンと第2のランナとの間に介在し、第2の脚部を第2のランナに取り付けるように、第2のピンを受容するように構成された第2の切れ目および第3のピンを受容するように構成された第3の切れ目を、第2の脚部が含む。さらに詳細な一実施形態においては、第1の切れ目が、U字状区分およびV字状区分の少なくとも一方を備え、第2の切れ目が、U字状区分およびV字状区分の少なくとも一方を備え、第3の切れ目が、U字状区分およびV字状区分の少なくとも一方を備える。より詳細な一実施形態においては、第1の切れ目が、第1のランナの溝内に受容され、第2の切れ目および第3の切れ目が、第2のランナの溝内に受容されている。より詳細な一実施形態においては、ばねが、矩形、円形、または楕円形断面のうちの少なくとも1つを有する。別のより詳細な実施形態においては、第2の自由端が、ばねの支配的寸法に沿って互いに離隔し、第1の脚部が、第1の箇所で第1のランナに結合され、第2の脚部が、第2の箇所で第2のランナに結合され、第3の箇所で第2のランナに接触し、第1の箇所が、支配的寸法に沿って、第2の箇所と第3の箇所との間に介在している。さらに別のより詳細な実施形態においては、第1のランナに第1のピンが取り付けられ、第2のランナに第2のピンが取り付けられ、第1の脚部が、第1のピンを捕捉して、第1の脚部を第1のランナに取り付け、第2の脚部が、第2のピンを捕捉して、第2の脚部を第2のランナに取り付ける。さらに別のより詳細な実施形態においては、第1の脚部が、第1のピンと第1のランナとの間に介在し第1の脚部を第1のランナに取り付けるように、第1のピンを受容するように構成された第1の切れ目を、第1の脚部が含み、第2の脚部が第2のピンと第2のランナとの間に介在し第2の脚部を第2のランナに取り付けるように、第2のピンを受容するように構成された第2の切れ目を、第2の脚部が含む。
【0017】
第2の態様のさらに別のより詳細な実施形態においては、第1の切れ目が、U字状区分およびV字状区分の少なくとも一方を備え、第2の切れ目が、U字状区分およびV字状区分の少なくとも一方を備える。さらに別のより詳細な実施形態においては、第1の切れ目が、第1のランナの溝内に受容され、第2の切れ目が、第2のランナの溝内に受容され、第2の脚部が、第2のランナの溝内に受容された第3の切れ目を含み、第3の切れ目が、第3の箇所に生じる。さらに詳細な一実施形態においては、ばねが、第1の脚部および第2の脚部の少なくとも一方に取り付けられた第3の脚部をさらに備える。さらに詳細な一実施形態においては、第1の脚部が、第1の箇所で第1のランナに結合され、第2の脚部が、第2の箇所で第2のランナに結合され、第1の箇所が、支配的寸法に沿って、第2の箇所と略同じである。より詳細な一実施形態においては、第1のランナに第1のピンが取り付けられ、第2のランナに第2のピンが取り付けられ、第1の脚部が、第1のピンを捕捉して、第1の脚部を第1のランナに取り付け、第2の脚部が、第2のピンを捕捉して、第2の脚部を第2のランナに取り付ける。より詳細な一実施形態においては、第1の脚部が第1のピンと第1のランナとの間に介在し第1の脚部を第1のランナに取り付けるように、第1のピンを受容するように構成された第1のオリフィスを、第1の脚部が含み、第2の脚部が第2のピンと第2のランナとの間に介在し第2の脚部を第2のランナに取り付けるように、第2のピンを受容するように構成された第2のオリフィスを、第2の脚部が含む。別のより詳細な実施形態においては、第1のオリフィスが、第1のランナの溝内に少なくとも一部が受容され、第2のオリフィスが、第2のランナの溝内に少なくとも一部が受容されている。さらに別のより詳細な実施形態においては、第1の脚部および第2の脚部が、U字状の主ばねを画定し、第3の脚部が、第1の脚部と第2の脚部との間に介在している。さらに別のより詳細な実施形態においては、第3の脚部が、第1の脚部および第2の脚部の交点によって協調的に形成された谷部から延び、第3の脚部が、部分的なU字状の副ばねを備える。
【0018】
第2の態様のより詳細な一実施形態においては、ばねが、第1の脚部および第2の脚部の少なくとも一方に取り付けられた第3の脚部をさらに備え、ばねが、第1の脚部および第2の脚部の少なくとも一方に取り付けられた第4の脚部をさらに備える。さらに別のより詳細な実施形態においては、第1の脚部が、第1の箇所で第1のランナに結合され、第2の脚部が、第2の箇所で第2のランナに結合され、第1の箇所が、支配的寸法に沿って、第2の箇所と略同じである。さらに詳細な一実施形態においては、第1のランナに第1のピンが取り付けられ、第2のランナに第2のピンが取り付けられ、第1の脚部が、第1のピンを捕捉して、第1の脚部を第1のランナに取り付け、第2の脚部が、第2のピンを捕捉して、第2の脚部を第2のランナに取り付ける。さらに詳細な一実施形態においては、第1の脚部が第1のピンと第1のランナとの間に介在し第1の脚部を第1のランナに取り付けるように、第1のピンを受容するように構成された第1のオリフィスを、第1の脚部が含み、第2の脚部が第2のピンと第2のランナとの間に介在し第2の脚部を第2のランナに取り付けるように、第2のピンを受容するように構成された第2のオリフィスを、第2の脚部が含む。より詳細な一実施形態においては、第1のオリフィスが、第1のランナの溝内に少なくとも一部が受容され、第2のオリフィスが、第2のランナの溝内に少なくとも一部が受容されている。より詳細な一実施形態においては、第1の脚部および第2の脚部が、U字状の主ばねを画定し、第3の脚部が、第1の脚部と第2の脚部との間に介在し、第4の脚部が、第1の脚部と第2の脚部との間に介在している。別のより詳細な実施形態においては、第3の脚部および第4の脚部が、第1の脚部および第2の脚部の交点によって協調的に形成された谷部から延び、第3の脚部および第4の脚部が、協調してU字状の副ばねを画定する。
【0019】
第2の態様のより詳細な一実施形態においては、第1の脚部および第2の脚部が、主ばねを備え、第3の脚部が、第1の脚部と第2の脚部との間に介在し、第4の脚部が、第1の脚部と第2の脚部との間に介在している。さらに別のより詳細な実施形態においては、第3の脚部および第4の脚部が、第1の端部から延び、第1の端部が、第3の脚部および第4の脚部の反対側に空洞を含み、ばねが、空洞内に受容されて、第2の端部を互いに付勢するように構成された楔をさらに備える。さらに詳細な一実施形態においては、ばねが、第1のばねを含み、閉塞クランプが、(a)第1のばねに取り付けられた第2のばねであって、端部開口となるように第1の端部で結合され、第2の自由端で互いに独立して再位置決め可能な少なくとも2つの細長脚部を備え、第1の端部から第2の端部の一方まで測定される支配的寸法を有する、第2のばねと、(b)第1のばねに取り付けられた第3のばねであって、端部開口となるように第1の端部で結合され、第2の自由端で互いに独立して再位置決め可能な少なくとも2つの細長脚部を備え、第1の端部から第2の端部の一方まで測定される支配的寸法を有する、第3のばねと、をさらに備える。さらに詳細な一実施形態においては、第1の脚部が、第1の箇所で第1のランナに結合され、第2の脚部が、第2の箇所で第2のランナに結合され、第1の箇所が、支配的寸法に沿って、第2の箇所と略同じである。より詳細な一実施形態においては、第1のランナに第1のピンが取り付けられ、第2のランナに第2のピンが取り付けられ、第1の脚部が、第1のピンを捕捉して、第1の脚部を第1のランナに取り付け、第2の脚部が、第2のピンを捕捉して、第2の脚部を第2のランナに取り付ける。より詳細な一実施形態においては、第1の脚部が第1のピンと第1のランナとの間に介在し第1の脚部を第1のランナに取り付けるように、第1のピンを受容するように構成された第1のオリフィスを、第1の脚部が含み、第2の脚部が第2のピンと第2のランナとの間に介在し第2の脚部を第2のランナに取り付けるように、第2のピンを受容するように構成された第2のオリフィスを、第2の脚部が含む。別のより詳細な実施形態においては、第1のオリフィスが、第1のランナの溝内に少なくとも一部が受容され、第2のオリフィスが、第2のランナの溝内に少なくとも一部が受容されている。さらに別のより詳細な実施形態においては、第1のばねが、U字状の主ばねを含み、第2のばねが、第1のU字状の副ばねを含み、第3のばねが、第2のU字状の副ばねを含む。さらに別のより詳細な実施形態においては、第1のU字状の副ばねおよび第2のU字状の副ばねが、U字状の主ばねの対向側面に取り付けられ、第2のU字状の副ばねおよび第3のU字状の副ばねそれぞれの第2の端部が、拡大された弓状の端部を含む。
【0020】
第2の態様のさらに別のより詳細な実施形態においては、第1のばねの第2の端部の第1、第2のばねの第2の端部の第1、および第3のばねの第2の端部の第1が、第1のランナの溝内に少なくとも一部が受容され、第1のばねの第2の端部の第2、第2のばねの第2の端部の第2、および第3のばねの第2の端部の第2が、第2のランナの溝内に少なくとも一部が受容されている。さらに別のより詳細な実施形態においては、第1のランナの細長閉塞ビームが、直線状であり、直線状の閉塞表面を有し、第2のランナの細長閉塞ビームが、直線状であり、直線状の閉塞表面を有する。さらに詳細な一実施形態においては、第1のランナの細長閉塞ビームが、直線状であり、弓状の閉塞表面を有し、第2のランナの細長閉塞ビームが、直線状であり、弓状の閉塞表面を有する。さらに詳細な一実施形態においては、第1のランナの細長閉塞ビームが、弓状であり、弓状の閉塞表面を有し、第2のランナの細長閉塞ビームが、弓状であり、弓状の閉塞表面を有する。より詳細な一実施形態においては、第1のランナの細長閉塞ビームが、弓状であり、直線状の閉塞表面を有し、第2のランナの細長閉塞ビームが、弓状であり、直線状の閉塞表面を有する。より詳細な一実施形態においては、ばねが、金属および金属合金の少なくとも一方で製造され、第1のランナおよび第2のランナの少なくとも一方が、ポリマーで製造されている。別のより詳細な実施形態においては、クランプが、第1のランナと第2のランナとの間に介在した布地をさらに備える。さらに別のより詳細な実施形態においては、クランプが、当該閉塞クランプを封入するC字状の布地スリーブをさらに備える。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本開示に係る、第1の例示的な閉塞クリップの立面斜視図である。
図2図1の第1の例示的な閉塞クリップの左側輪郭図である。
図3図1の第1の例示的な閉塞クリップの正面図である。
図4図1の第1の例示的な閉塞クリップのばねおよびダボの立面斜視図である。
図5図1の第1の例示的な閉塞クリップの第1のランナを上から見た立面斜視図である。
図6図1の第1の例示的な閉塞クリップの第2のランナを上から見た立面斜視図である。
図7】本開示に係る、第2の例示的な閉塞クリップの立面斜視図である。
図8図7の第2の例示的な閉塞クリップの右側輪郭図である。
図9図7の第2の例示的な閉塞クリップの正面図である。
図10図7の第2の例示的な閉塞クリップのばねおよびダボの立面斜視図である。
図11図7の第2の例示的な閉塞クリップの第1のランナを上から見た立面斜視図である。
図12図7の第2の例示的な閉塞クリップの第2のランナを上から見た立面斜視図である。
図13】本開示に係る、第3の例示的な閉塞クリップの立面斜視図である。
図14図13の第3の例示的な閉塞クリップの右側輪郭図である。
図15図13の第3の例示的な閉塞クリップの正面図である。
図16図13の第3の例示的な閉塞クリップのばねおよびダボの立面斜視図である。
図17図13の第3の例示的な閉塞クリップの第1のランナを上から見た立面斜視図である。
図18図13の第3の例示的な閉塞クリップの第2のランナを上から見た立面斜視図である。
図19】本開示に係る、第4の例示的な閉塞クリップの立面斜視図である。
図20図19の第4の例示的な閉塞クリップの右側輪郭図である。
図21図19の第4の例示的な閉塞クリップの正面図である。
図22図19の第4の例示的な閉塞クリップのばねの立面斜視図である。
図23図19の第4の例示的な閉塞クリップの第1のランナおよびダボを上から見た立面斜視図である。
図24図19の第4の例示的な閉塞クリップの第2のランナを上から見た立面斜視図である。
図25】本開示に係る、第5の例示的な閉塞クリップの立面斜視図である。
図26図25の第5の例示的な閉塞クリップの右側輪郭図である。
図27図25の第5の例示的な閉塞クリップの正面図である。
図28図25の第5の例示的な閉塞クリップのばねの立面斜視図である。
図29図25の第5の例示的な閉塞クリップの例示的なランナおよびダボを上から見た立面斜視図である。
図30図25の第5の例示的な閉塞クリップの例示的なランナを下から見た立面斜視図である。
図31図25の第5の例示的な実施形態の楔の右側輪郭図である。
図32】本開示に係る、第6の例示的な閉塞クリップの立面斜視図である。
図33図32の第6の例示的な閉塞クリップの右側輪郭図である。
図34図32の第6の例示的な閉塞クリップの正面図である。
図35図32の第6の例示的な閉塞クリップのばねの立面斜視図である。
図36図32の第6の例示的な閉塞クリップの例示的なランナを上から見た立面斜視図である。
図37図36の例示的なランナの長手方向断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本開示の例示的な実施形態を説明および図示して、閉塞クリップを製造および使用するデバイス、方法、および技術を網羅する。当業者には当然のことながら、以下に論じる実施形態は、本質的に例示であり、本開示の範囲および主旨から逸脱することなく再構成可能である。ただし、明瞭化および厳密化のため、以下に論じる例示的な実施形態は、任意選択としてのステップ、方法、および特徴を含む場合があるが、当業者は、本開示の範囲内となるための必要条件としてこれらを認識すべきではない。
【0023】
図1図6を参照して、第1の例示的な閉塞クリップ100は、一連のダボ108を用いて第1のランナ104および第2のランナ106に取り付けられたばね102を備える。ばね102は、第1のアーム114および第2のアーム116が延びたU字状の端部110を含む。第1のアーム114は、単一のダボ108を用いて第1のランナ104に取り付けられているが、第2のアーム116は、一対のダボ108を用いて第2のランナ106に取り付けられている。この例示的な実施形態において、第1のアーム114は、断面が矩形または円形であってもよく、一対の直線状区分122、124間には、例示的な形態がV字状の保持区分126が介在している。第1の直線状区分122は、U字状の端部110から延びており、長手方向の長さが第2の直線状区分124の何倍にも及ぶ。例示的な形態において、第1のアーム114の端部は、第2の直線状区分124の平滑端部で表されている。同様に、第2のアーム116も矩形断面を有し、第1、第2、および第3の直線状区分130、132、134を含む。この例示的な実施形態において、第2の直線状区分132は、第1または第3の直線状区分130、134よりも長い。第2のアーム116の長手方向の全長は、第1のアーム114よりも大きく、第2のアーム116の長手方向端部は、第3の直線状区分134の平滑矩形端部で表されている。直線状区分130、132、134間には、例示的なV字状構成を具現化した2つの保持区分136、138が介在している。
【0024】
この例示的な実施形態において、第1の保持区分126は、垂直方向に離隔した向きを維持しつつ、第2および第3の保持区分136、138間で長手方向に介在している。より具体的には、第1の保持区分126は、第2および第3の保持区分136、138と反対の方向において、垂直方向に配向している。この結果、第1の保持区分126のV字状の輪郭の頂点は、第2および第3の保持区分136、138のV字状の輪郭の頂点に対して、垂直方向に対向している。V字状の輪郭の深さならびにアーム114、116および直線状区分130の分離によって、閉塞クリップの閉塞位置におけるばね力の付勢が増大または低下し得る。また、保持区分126、136、138はそれぞれ、各ランナ104、106との接触領域を与える。
【0025】
第1および第2のランナ104、106は、本質的に同じ形状を有する。具体的には、両ランナ104、106が一対の平行な側壁150、長手方向壁152、およびこれらの壁に同時に取り付けられた端壁154を含む。長手方向壁152は、平行壁150の間に介在して、これらを接合する。例示的な形態において、平行壁150の内部表面158は、平面状かつ互いに平行である。これら平面状の表面158は、長手方向壁152の平面状の内部表面160と協調して、一体的なU字状の長手方向空洞161を画定するが、平行壁の平面状の表面は、長手方向壁の平面状の表面と垂直である。また、端壁154は、平行壁150の間に介在して、これらを接合することにより、長手方向のエンドキャップを提供する。端壁の内部表面162は、弓状であり、平行壁150の平面状の表面158と協調して、曲線的なU字状の垂直方向空洞を画定する。以上から、ランナ104、106の端壁154と反対側の長手方向端部166は、長手方向壁152の平面状の内部表面160と反対側の垂直方向端部と同様に開口している。
【0026】
各ランナ104、106の外装には、その周囲全体が丸みを帯び、対向する長手方向の平面状の表面172および長手方向の弓状の表面174を接合する平滑端部170を含む。長手方向の弓状の表面174は、互いに最も近く、組織閉塞位置において間に組織が介在する各ランナ104、106の要素となるように構成されている。
【0027】
前述の通り、第1のランナ104は、1つのダボ108を用いてばね102に取り付けられているが、第2のランナ106は、一対のダボを用いてばねに取り付けられている。結果として、第1のランナ104は、平行壁150を貫通するとともに互いに同軸である一対の開口176を含む。この例示的な実施形態において、開口176は円筒状であり、第1のランナ104の長手方向略中央に配置されている。これに対して、第2のランナ106は、平行壁150を貫通するとともに互いに同軸である二対の開口178、180を含む。この例示的な実施形態において、開口178、180は円筒状であり、第1の開口対178が第2のランナ106の長手方向の長さの略1/3にある一方、第2の開口対180は、長手方向の長さの略2/3にある。
【0028】
第1の例示的な閉塞クリップ100の組み立てにおいては、ダボ108が存在しない状態で、ばね102に対してランナ104、106が長手方向に摺動される。一例としては、第1のランナ104の開口端が長手方向に一直線となって保持区分126を受容するように、第1のランナ104が第1のアーム114と平行に配向される。その後、保持区分126が開口対176と揃うまでU字状の空洞161内で長手方向に再位置決めされるように、第1のランナ104が第1のアーム114に対して再位置決めされる。その後、ダボ108および長手方向壁152の平面状の内部表面160が保持区分126を挟むように、ダボが開口対176に挿通される。ダボ108が適所となった後は、第1のアーム114に対して第1のランナ104を長手方向、垂直方向、または回転方向に再位置決めすることはできない。第2のアーム116に対する第2のランナ106の取り付けについても、同様のプロセスに従う。
【0029】
第2のアーム116に対する第2のランナ106の取り付けでは、ダボ108が第2のランナを貫通していない状態で、ばね102に対して第2のランナ106が長手方向に摺動されるようになっていてもよい。たとえば、第1のランナ106の開口端166が長手方向に一直線となって保持区分136、138を受容するように、第2のランナ106が第2のアーム116と平行に配向される。その後、保持区分136、138が開口対178、180とそれぞれ揃うまでU字状の空洞161内で長手方向に再位置決めされるように、第2のランナ106が第2のアーム116に対して再位置決めされる。その後、2つのダボ108および長手方向壁152の平面状の内部表面160が保持区分136、138を挟むように、ダボが2つの開口対178、180に挿通される。ダボ108が適所となった後は、第2のアーム116に対して第2のランナ106を長手方向、垂直方向、または回転方向に再位置決めすることはできない。
【0030】
動作時、ばね102は、ランナ104、106を互いに付勢し合うように動作して、両者間に捕えられた組織に閉塞圧力を印加する。この付勢を実現するため、ばね102は、図4に示す形状に成型、切断、または製造されていてもよい。その後、第2のアーム116から離れる方向に第1のアーム114を再位置決めするには、U字状の端部110による付勢ならびにアーム114、116および直線状区分130による付勢を含むばね102の付勢に打ち勝つ必要がある。アーム114、116は、作用力が印加されていない場合、図2に示す初期位置となる。結果として、クリップ100は、左心耳等の身体組織を閉塞するように位置決めされた場合、アーム114、116の端部が互いに離れてランナ104、106間に垂直方向の間隙が形成されるように、強制的に開口状態とされる。この垂直方向の間隙は、身体組織がランナ104、106間に介在可能となる十分な広さであり、アーム114、116に作用力が印加されなくなると、ばね102の付勢は、ランナを互いに押しやって、ランナ間に介在する組織全体の血液循環を絶つように動作する。最終的に、締め付けられた組織の一方側への血液循環がなくなることで、問題の身体組織が萎縮して閉塞される。
【0031】
身体組織の閉塞は、ランナ104、106を介してばね102により付与され、圧力プロファイルとして組織に伝わる力の移動によって達成される。近位および遠位のばね付勢が存在することにより、閉塞クリップのランナ104、106は、近位端および遠位端で独立して力を平衡させることができ、組織の不均一な形状をランナ間で一様に圧縮可能である。所望の圧力は、ばね力ならびにランナ104、106の形状およびサイズの両者を調整することにより得られる。ばね力は、ばね102の材料の形状、厚さ、および幅の関数であって、それぞれを独立して調整することにより、所望の分離で所望の力を得ることができる。また、組織の萎縮に応じて、ランナ104、106が両者間の組織をゼロ近くまたはゼロの厚さまで圧縮する場合であっても、有意な力が印加され続けるのが望ましい。この「ゼロのオフセット力」は、ランナ104、106に対するばねの接触点の「遊離状態」の一体的な接近あるいは負方向のオフセットを生じさせるばね102の形状の設計によって調整可能である。当業者であれば、このオフセットが設計としてばね102に組み込まれていてもよいし、ばねの意図的な塑性変形によって導入されていてもよいことが了解されよう。
【0032】
図7図12を参照して、第2の例示的な閉塞クリップ200は、一対のダボ208を用いて第1のランナ204および第2のランナ206に取り付けられたばね202を備える。ばね202は、第1のアーム214および第2のアーム216が延びたU字状の端部210を含む。第1のアーム214は、第1のダボ208を用いて第1のランナ204に取り付けられているが、第2のアーム216は、第2のダボ208を用いて第2のランナ206に取り付けられている。この例示的な実施形態において、第1のアーム214は、遠位端218を除いて、矩形の直線状断面を有する。遠位端218は、丸みを帯びており、ダボ208を受容するように構成されたチャンネル224を画定する離隔した突起220、222を含む。この例示的な実施形態において、チャンネル224は、第2のアーム216の反対側を向いている。
【0033】
同様に、第2のアーム216は、遠位端228および第1のアーム214側に延びた曲線的な凸部230を除いて、矩形の直線状または円形状断面を有する。この例示的な実施形態において、第2のアーム216は、凸部230が間に介在した第1の直線状区分232および第2の直線状区分234を含む。必須ではないが、第2の直線状区分234の長手方向の長さは、第1の直線状区分232よりも大きい。
【0034】
この例示的な実施形態において、遠位端228は、丸みを帯びており、ダボ208を受容するように構成されたチャンネル244を画定する離隔した突起240、242を含む。例示的な形態において、チャンネル244は、第1のアーム214の反対側を向いている。また、遠位端228の曲線的な垂直方向高さが曲線的な凸部230の垂直方向高さに略等しいことに留意すべきである。第2のアーム216の曲線的な凸部230および曲線的な遠位端228の両者はそれぞれ、第2のランナ206に対する接触領域を提供する。
【0035】
第1および第2のランナ204、206は、本質的に同じ形状を有する。具体的には、両ランナ204、206が一対の平行な壁250、長手方向壁252、およびこれらの壁に同時に取り付けられた端壁254を含む。長手方向壁252は、平行な壁250の間に介在して、これらを接合する。例示的な形態において、平行壁250の内部表面258は、平面状かつ互いに平行である。これら平面状の表面258は、長手方向壁252の平面状の内部表面260と協調して、一体的なU字状の長手方向空洞261を画定するが、平行壁の平面状の表面は、長手方向壁の平面状の表面と垂直である。また、端壁254は、平行壁250の間に介在して、これらを接合することにより、長手方向のエンドキャップを提供する。端壁の内部表面262は、弓状であり、平行壁250の平面状の表面258と協調して、曲線的なU字状の垂直方向空洞を画定する。以上から、ランナ204、206の端壁254と反対側の長手方向端部266は、長手方向壁252の平面状の内部表面260と反対側の垂直方向端部と同様に開口している。
【0036】
各ランナ204、206の外装には、その周囲全体が丸みを帯び、対向する長手方向の平面状の表面272および長手方向の弓状の表面274を接合する平滑端部270を含む。長手方向の弓状の表面274は、互いに最も近く、組織閉塞位置において間に組織が介在する各ランナ204、206の要素となるように構成されている。
【0037】
前述の通り、第1および第2のランナ204、206は、各ダボ208を用いてばね202に取り付けられている。結果として、第1のランナ204は、平行壁250を貫通するとともに互いに同軸である一対の開口276を含む。この例示的な実施形態において、開口276は円筒状であり、第1のランナ204の長手方向中央を遠位方向に少し越えて配置されている。同様に、第2のランナ206は、平行壁250を貫通するとともに互いに同軸である一対の開口278を含む。この例示的な実施形態において、開口278は円筒状であり、第1の開口対278は、長手方向の長さの約80%に(すなわち、遠位端に最も近く)配置されている。
【0038】
第2の例示的な閉塞クリップ200の組み立てにおいては、ダボ208が存在しない状態で、ばね202に対してランナ204、206が長手方向に摺動される。一例としては、第1のランナ204の開口端が長手方向に一直線となって曲線的な遠位端218を受容するように、第1のランナ204が第1のアーム214に対して若干傾斜するように配向される。その後、遠位端218が開口対276と揃うまでU字状の空洞261内で長手方向に再位置決めされるように、第1のランナ204が第1のアーム214に対して再位置決めされる。その後、ダボ208および長手方向壁252の平面状の内部表面260が遠位端218を挟むように、ダボが開口対276に挿通される。ダボ208が適所となった後は、第1のアーム214に対して第1のランナ204を長手方向または垂直方向に再位置決めすることはできない。ただし、第1のランナ204は、ダボ208の長手方向の長さと同軸の軸周りに、第1のアーム214に対して回転方向に再位置決め可能である。第2のアーム216に対する第2のランナ206の取り付けについても、同様のプロセスに従う。
【0039】
第2のアーム216に対する第2のランナ206の取り付けでは、ダボ208が第2のランナを貫通していない状態で、ばね202に対してランナ206が長手方向に摺動されるようになっていてもよい。たとえば、第1のランナ206の開口端266が長手方向に一直線となって曲線的な遠位端228を受容するように、第2のランナ206が第2のアーム216と平行に配向される。その後、曲線的な遠位端228が開口対278と揃うまでU字状の空洞261内で長手方向に再位置決めされるように、第2のランナ206が第2のアーム216に対して再位置決めされる。その後、ダボ208および長手方向壁252の平面状の内部表面260が遠位端228を挟むように、ダボが開口対278に挿通される。ダボ208が適所となった後は、第2のアーム216に対して第2のランナ206を長手方向または垂直方向に再位置決めすることはできないが、ダボ208の長手方向の長さと同軸の軸周りに、第2のアーム216に対して回転方向に再位置決め可能である。
【0040】
動作時、ばね202は、ランナ204、206を互いに付勢し合うように動作して、両者間に捕えられた組織に閉塞圧力を印加する。この付勢を実現するため、ばね202は、図10に示す形状に成型、切断、または製造されていてもよい。その後、第2のアーム216から離れる方向に第1のアーム214を再位置決めするには、ばねの付勢(主としてU字状の端部210による付勢)に打ち勝つ必要がある。アーム214、216は、作用力が印加されていない場合、図8に示す初期位置となる。結果として、クリップ200は、左心耳等の身体組織を閉塞するように位置決めされた場合、アーム214、216の端部が互いに離れてランナ204、206間に垂直方向の間隙が形成されるように、強制的に開口状態とされる。この垂直方向の間隙は、身体組織がランナ204、206間に介在可能となる十分な広さであり、アーム214、216に作用力が印加されなくなると、ばね202の付勢は、ランナを互いに押しやって、ランナ間に介在する組織全体の血液循環を絶つように動作する。最終的に、締め付けられた組織の一方側への血液循環がなくなることで、問題の身体組織が萎縮して閉塞される。
【0041】
上述の通り、身体組織の閉塞は、ランナ204、206を介してばね202により付与され、圧力プロファイルとして組織に伝わる力の移動によって達成される。近位および遠位のばね付勢が存在することにより、ランナ204、206は、近位端および遠位端で独立して力を平衡させることができ、組織の不均一な形状をランナ間で一様に圧縮可能である。所望の圧力は、ばね力ならびにランナ204、206の形状およびサイズの両者を調整することにより得られる。ばね力は、ばね202の材料の形状、厚さ、および幅の関数であって、それぞれを独立して調整することにより、所望の分離で所望の力を得ることができる。また、組織の萎縮に応じて、ランナ204、206が両者間の組織をゼロ近くまたはゼロの厚さまで圧縮する場合であっても、有意な力が印加され続けるのが望ましい。この「ゼロのオフセット力」は、ランナ204、206に対するばねの接触点の「遊離状態」の一体的な接近あるいは負方向のオフセットを生じさせるばね202の形状の設計によって調整可能である。当業者であれば、このオフセットが設計としてばね202に組み込まれていてもよいし、ばねの意図的な塑性変形によって導入されていてもよいことが了解されよう。
【0042】
図13図18を参照して、第3の例示的な閉塞クリップ300は、一対のダボ308を用いて第1のランナ304および第2のランナ306に取り付けられたばね302を備える。ばね302は、第1のアーム314および第2のアーム316が延びたU字状の端部310を含む。第1のアーム314は、第1のダボ308を用いて第1のランナ304に取り付けられているが、第2のアーム316は、第2のダボ308を用いて第2のランナ306に取り付けられている。この例示的な実施形態において、第1のアーム314は、遠位端318を除いて、矩形の直線状断面を有する。遠位端318は、丸みを帯びており、ダボ308を受容するように構成されたオリフィス324を含む。同様に、第2のアーム316は、曲線的な遠位端328を除いて、矩形の直線状または円形状断面を有する。この例示的な実施形態において、曲線的な端部328は、ダボ308を受容するように構成されたオリフィス330を含む。この例示的な実施形態において、アーム314、316それぞれの長手方向の長さは、略等しい。
【0043】
第1および第2のアーム314、316のほか、U字状の端部310には、副付属部334が取り付けられている。例示的な形態において、副付属部334は、U字状の端部310に対して差し込まれ、遠位方向に第1のアーム314から分岐して延びる直線状部分338に移行するまでのU字状部分の湾曲に近い弓状部分336を含む。具体的には、直線状部分338が第1のアーム314に対して弓状に傾斜している。
【0044】
第1および第2のランナ304、306は、本質的に同じ形状を有する。具体的には、両ランナ304、306が一対の平行な壁350、長手方向壁352、およびこれらの壁に同時に取り付けられた端壁354を含む。長手方向壁352は、平行な壁350の間に介在して、これらを接合する。例示的な形態において、平行壁350の内部表面358は、平面状かつ互いに平行である。これら平面状の表面358は、長手方向壁352の平面状の内部表面360と協調して、一体的なU字状の長手方向空洞361を画定するが、平行壁の平面状の表面は、長手方向壁の平面状の表面と垂直である。また、端壁354は、平行壁350の間に介在して、これらを接合することにより、長手方向のエンドキャップを提供する。端壁の内部表面362は、弓状であり、平行壁350の平面状の表面358と協調して、曲線的なU字状の垂直方向空洞を画定する。以上から、ランナ304、306の端壁354と反対側の長手方向端部366は、長手方向壁352の平面状の内部表面360と反対側の垂直方向端部と同様に開口している。
【0045】
各ランナ304、306の外装には、その周囲全体が丸みを帯び、対向する長手方向の平面状の表面372および長手方向の弓状の表面374を接合する平滑端部370を含む。長手方向の弓状の表面374は、互いに最も近く、組織閉塞位置において間に組織が介在する各ランナ304、306の要素となるように構成されている。
【0046】
前述の通り、第1および第2のランナ304、306は、各ダボ308を用いてばね302に取り付けられている。結果として、第1のランナ304は、平行壁350を貫通するとともに互いに同軸である一対の開口376を含む。この例示的な実施形態において、開口376は円筒状であり、第1のランナ304の長手方向の長さの約80%に(すなわち、遠位端に最も近く)配置されている。同様に、第2のランナ306は、平行壁350を貫通するとともに互いに同軸である一対の開口378を含む。この例示的な実施形態において、開口378は円筒状であり、第1の開口対378は、長手方向の長さの約80%に(すなわち、遠位端に最も近く)配置されている。
【0047】
第3の例示的な閉塞クリップ300の組み立てにおいては、ダボ308が存在しない状態で、ばね302に対してランナ304、306が長手方向に摺動される。一例としては、第1のランナ304の開口端が長手方向に一直線となって曲線的な遠位端318を受容するように、第1のランナ304が第1のアーム314に対して若干傾斜するように配向される。その後、遠位端318が開口対376と揃うまで、遠位端318および副付属部334がU字状の空洞361内で長手方向に再位置決めされるように、第1のランナ304が第1のアーム314に対して再位置決めされる。その後、ダボ308および長手方向壁352の平面状の内部表面360が遠位端318を挟むように、ダボが開口対376に挿通される。ダボ308が適所となった後は、第1のアーム314に対して第1のランナ304を長手方向または垂直方向に再位置決めすることはできない。ただし、第1のランナ304は、ダボ308の長手方向の長さと同軸の軸周りに、第1のアーム314に対して回転方向に再位置決め可能であり、副付属部334の付勢がランナ304の近位端の回転を遅らせることで、副付属部に対する平行な向きに近づく。第2のアーム316に対する第2のランナ306の取り付けについても、同様のプロセスに従う。
【0048】
第2のアーム316に対する第2のランナ306の取り付けでは、ダボ308が第2のランナを貫通していない状態で、ばね302に対して第2のランナ306が長手方向に摺動されるようになっていてもよい。たとえば、第1のランナ306の開口端366が長手方向に一直線となって曲線的な遠位端328を受容するように、第2のランナ306が第2のアーム316と平行に配向される。その後、曲線的な遠位端328が開口対378と揃うまでU字状の空洞361内で長手方向に再位置決めされるように、第2のランナ306が第2のアーム316に対して再位置決めされる。その後、ダボ308および長手方向壁352の平面状の内部表面360が遠位端328を挟むように、ダボが開口対378に挿通される。ダボ308が適所となった後は、第2のアーム316に対して第2のランナ306を長手方向または垂直方向に再位置決めすることはできないが、ダボ308の長手方向の長さと同軸の軸周りに、第2のアーム316に対して回転方向に再位置決め可能である。
【0049】
動作時、ばね302は、ランナ304、306を互いに付勢し合うように動作して、両者間に捕えられた組織に閉塞圧力を印加する。この付勢を実現するため、ばね302は、図16に示す形状に成型、切断、または製造されていてもよい。その後、第2のアーム316から離れる方向に第1のアーム314を再位置決めするには、ばね302の付勢(主としてU字状の端部310および副付属部334による付勢)に打ち勝つ必要がある。アーム314、316および副付属部334は、作用力が印加されていない場合、図14に示す初期位置となる。結果として、クリップ300は、左心耳等の身体組織を閉塞するように位置決めされた場合、アーム314、316の遠位端が互いに離れてランナ304、306間に垂直方向の間隙が形成されるように、強制的に開口状態とされる。この垂直方向の間隙は、身体組織がランナ304、306間に介在可能となる十分な広さであり、アーム314、316および副付属部334に作用力が印加されなくなると、ばね302の付勢は、ランナを互いに押しやって、ランナ間に介在する組織全体の血液循環を絶つように動作する。最終的に、締め付けられた組織の一方側への血液循環がなくなることで、問題の身体組織が萎縮して閉塞される。
【0050】
前述の通り、身体組織の閉塞は、ランナ304、306を介してばね302により付与され、圧力プロファイルとして組織に伝わる力の移動によって達成される。近位および遠位のばね付勢が存在することにより、閉塞クリップのランナ304、306は、近位端および遠位端で独立して力を平衡させることができ、組織の不均一な形状をランナ間で一様に圧縮可能である。所望の圧力は、ばね力ならびにランナ304、306の形状およびサイズの両者を調整することにより得られる。ばね力は、ばね302の材料の形状、厚さ、および幅の関数であって、それぞれを独立して調整することにより、所望の分離で所望の力を得ることができる。また、組織の萎縮に応じて、ランナ304、306が両者間の組織をゼロ近くまたはゼロの厚さまで圧縮する場合であっても、有意な力が印加され続けるのが望ましい。この「ゼロのオフセット力」は、ランナ304、306に対するばねの接触点の「遊離状態」の一体的な接近あるいは負方向のオフセットを生じさせるばね302の形状の設計によって調整可能である。当業者であれば、このオフセットが設計としてばね302に組み込まれていてもよいし、ばねの意図的な塑性変形によって導入されていてもよいことが了解されよう。
【0051】
図19図24を参照して、第4の例示的な閉塞クリップ400は、一対のダボ408を用いて第1のランナ404および第2のランナ406に取り付けられたばね402を備える。ばね402は、第1のアーム414および第2のアーム416が延びたU字状の端部410を含む。第1のアーム414は、第1のダボ408を用いて第1のランナ404に取り付けられているが、第2のアーム416は、第2のダボ408を用いて第2のランナ406に取り付けられている。この例示的な実施形態において、第1のアーム414は、遠位端418を除いて、矩形または円形状断面を有する。第1のアーム414は、遠位端418で終端する第2の直線状区分422に対して鈍角で傾斜した第1の直線状区分420を含む。遠位端418は、丸みを帯びており、ダボ408を受容するように構成されたオリフィス424を含む。同様に、第2のアーム416は、曲線的な遠位端428を除いて、矩形、円形状、または直線状断面を有する。第2のアーム416は、遠位端428で終端する第2の直線状区分432に対して鈍角で傾斜した第1の直線状区分430を含む。この例示的な実施形態において、曲線的な端部428は、ダボ408を受容するように構成されたオリフィス434を含む。この例示的な実施形態において、アーム414、416それぞれの長手方向の長さは、略等しい。
【0052】
第1および第2のアーム414、416のほか、U字状の端部410には、一対の副付属部444、446が取り付けられている。例示的な形態において、副付属部444、446は、U字状の端部410に対して差し込まれ、各付属部は、直線状部分438、440に移行するまでのU字状部分の湾曲に近い弓状部分448、449を含む。第1の直線状部分438は、遠位方向に第1のアーム414から分岐して延びている。一方、第2の直線状部分440は、遠位方向に第2のアーム416から分岐して延びている。具体的には、第1の直線状部分438は、第1のアーム414に対して弓状に傾斜している。一方、第2の直線状部分440は、第2のアーム416に対して弓状に傾斜している。
【0053】
第1および第2のランナ404、406は、本質的に同じ形状を有する。具体的には、両ランナ404、406が一対の平行な壁450、長手方向壁452、およびこれらの壁に同時に取り付けられた端壁454を含む。長手方向壁452は、平行な壁450の間に介在して、これらを接合する。例示的な形態において、平行壁450の内部表面458は、平面状かつ互いに平行である。これら平面状の表面458は、長手方向壁452の平面状の内部表面460と協調して、一体的なU字状の長手方向空洞461を画定するが、平行壁450の平面状の表面は、長手方向壁の平面状の表面と垂直である。また、端壁454は、平行壁450の間に介在して、これらを接合することにより、長手方向のエンドキャップを提供する。端壁の内部表面462は、弓状であり、平行壁450の平面状の表面458と協調して、曲線的なU字状の垂直方向空洞を画定する。以上から、ランナ404、406の端壁454と反対側の長手方向端部466は、長手方向壁452の平面状の内部表面460と反対側の垂直方向端部と同様に開口している。
【0054】
各ランナ404、406の外装には、その周囲全体が丸みを帯び、対向する長手方向の平面状の表面472および長手方向の弓状の表面474を接合する平滑端部470を含む。長手方向の弓状の表面474は、互いに最も近く、組織閉塞位置において間に組織が介在する各ランナ404、406の要素となるように構成されている。
【0055】
前述の通り、第1および第2のランナ404、406は、各ダボ408を用いてばね402に取り付けられている。結果として、第1および第2のランナ404、406はそれぞれ、平行壁450を貫通するとともに互いに同軸である一対の開口476を含む。この例示的な実施形態において、開口476は円筒状であり、ランナ404、406の長手方向の長さの約80%に(すなわち、遠位端に最も近く)配置されている。
【0056】
第4の例示的な閉塞クリップ400の組み立てにおいては、ダボ408が存在しない状態で、ばね402に対してランナ404、406が長手方向に摺動される。一例としては、第1のランナ404の開口端が長手方向に一直線となって曲線的な遠位端418を受容するように、第1のランナ404が第1のアーム414に対して若干傾斜するように配向される。その後、遠位端418が開口対476と揃うまで、遠位端418および第1の副付属部438がU字状の空洞461内で長手方向に再位置決めされるように、第1のランナ404が第1のアーム414に対して再位置決めされる。その後、ダボ408および長手方向壁452の平面状の内部表面460が遠位端418を挟むように、ダボが開口対476に挿通される。ダボ408が適所となった後は、第1のアーム414に対して第1のランナ404を長手方向または垂直方向に再位置決めすることはできない。ただし、第1のランナ404は、ダボ408の長手方向の長さと同軸の軸周りに、第1のアーム414に対して回転方向に再位置決め可能であり、第1の副付属部438の付勢がランナ404の近位端の回転を遅らせることで、副付属部に対する平行な向きに近づく。第2のアーム416に対する第2のランナ406の取り付けについても、同様のプロセスに従う。
【0057】
第2のアーム416に対する第2のランナ406の取り付けでは、ダボ408が第2のランナを貫通していない状態で、ばね402に対してランナ406が長手方向に摺動されるようになっていてもよい。たとえば、第2のランナ406の開口端が長手方向に一直線となって曲線的な遠位端428を受容するように、第2のランナ406が第2のアーム416に対して若干傾斜するように配向される。その後、遠位端428が開口対476と揃うまで、遠位端428および第2の副付属部440がU字状の空洞461内で長手方向に再位置決めされるように、第2のランナ406が第2のアーム416に対して再位置決めされる。その後、ダボ408および長手方向壁452の平面状の内部表面460が遠位端428を挟むように、ダボが開口対476に挿通される。ダボ408が適所となった後は、第2のアーム416に対して第2のランナ406を長手方向または垂直方向に再位置決めすることはできない。ただし、第2のランナ406は、ダボ408の長手方向の長さと同軸の軸周りに、第2のアーム416に対して回転方向に再位置決め可能であり、第2の副付属部440の付勢がランナ406の近位端の回転を遅らせることで、副付属部に対する平行な向きに近づく。
【0058】
動作時、ばね402は、ランナ404、406を互いに付勢し合うように動作して、両者間に捕えられた組織に閉塞圧力を印加する。この付勢を実現するため、ばね402は、図22に示す形状に成型、切断、または製造されていてもよい。その後、第2のアーム416から離れる方向に第1のアーム414を再位置決めするには、ばねの付勢(主としてU字状の端部410および副付属部438、440による付勢)に打ち勝つ必要がある。アーム414、416および副付属部438、440は、作用力が印加されていない場合、図20に示す初期位置となる。結果として、クリップ400は、左心耳等の身体組織を閉塞するように位置決めされた場合、アーム414、416の遠位端が互いに離れてランナ404、406間に垂直方向の間隙が形成されるように、強制的に開口状態とされる。この垂直方向の間隙は、身体組織がランナ404、406間に介在可能となる十分な広さであり、アーム414、416および副付属部438、440に作用力が印加されなくなると、ばね402の付勢は、ランナを互いに押しやって、ランナ間に介在する組織全体の血液循環を絶つように動作する。最終的に、締め付けられた組織の一方側への血液循環がなくなることで、問題の身体組織が萎縮して閉塞される。
【0059】
上述の通り、身体組織の閉塞は、ランナ404、406を介してばね402により付与され、圧力プロファイルとして組織に伝わる力の移動によって達成される。近位および遠位のばね付勢が存在することにより、閉塞クリップのランナ404、406は、近位端および遠位端で独立して力を平衡させることができ、組織の不均一な形状をランナ間で一様に圧縮可能である。所望の圧力は、ばね力ならびにランナ404、406の形状およびサイズの両者を調整することにより得られる。ばね力は、ばね402の材料の形状、厚さ、および幅の関数であって、それぞれを独立して調整することにより、所望の分離で所望の力を得ることができる。また、組織の萎縮に応じて、ランナ404、406が両者間の組織をゼロ近くまたはゼロの厚さまで圧縮する場合であっても、有意な力が印加され続けるのが望ましい。この「ゼロのオフセット力」は、ランナ404、406に対するばねの接触点の「遊離状態」の一体的な接近あるいは負方向のオフセットを生じさせるばね402の形状の設計によって調整可能である。当業者であれば、このオフセットが設計としてばね402に組み込まれていてもよいし、ばねの意図的な塑性変形によって導入されていてもよいことが了解されよう。
【0060】
図25図31を参照して、第5の例示的な閉塞クリップ500は、一対のダボ508を用いて第1のランナ504および第2のランナ506に取り付けられたばね502を備える。ばね502は、第1のアーム514および第2のアーム516が延びたV字状の端部510を含む。第1のアーム514は、第1のダボ508を用いて第1のランナ504に取り付けられているが、第2のアーム516は、第2のダボ508を用いて第2のランナ506に取り付けられている。この例示的な実施形態において、第1のアーム514は、曲線的な遠位端518を除いて、矩形の断面を有する。第1のアーム514は、長手方向に弓状であり、遠位端518で終端する。遠位端518は、ダボ508を受容するように構成されたオリフィス524を含む。同様に、第2のアーム516は、曲線的な遠位端528を除いて、矩形の断面を有する。第2のアーム516は、長手方向に弓状であり、遠位端528で終端する。この例示的な実施形態において、曲線的な端部528は、ダボ508を受容するように構成されたオリフィス534を含む。例示的な形態において、アーム514、516それぞれの長手方向の長さは、略等しい。
【0061】
第1および第2のアーム514、516のほか、V字状の端部510には、一対の副付属部544、546が取り付けられている。例示的な形態において、副付属部544、546は、V字状の端部510に対して差し込まれ、各付属部は、長手方向に弓状である。第1の副付属部544は、遠位方向に第1のアーム514から分岐して延びている。一方、第2の副付属部546は、遠位方向に第2のアーム516から分岐して延びている。
【0062】
第1および第2のランナ504、506は、本質的に同じ形状を有する。具体的には、両ランナ504、506が一対の平行な壁550、長手方向壁552、およびこれらの壁に同時に取り付けられた端壁554を含む。長手方向壁552は、平行な壁550の間に介在して、これらを接合する。例示的な形態において、平行壁550の内部表面558は、平面状かつ互いに平行である。これら平面状の表面558は、長手方向壁552の平面状の内部表面560と協調して、一体的なU字状の長手方向空洞561を画定するが、平行壁の平面状の表面は、長手方向壁の平面状の表面と垂直である。また、端壁554は、平行壁550の間に介在して、これらを接合することにより、長手方向のエンドキャップを提供する。端壁の内部表面562は、弓状であり、平行壁550の平面状の表面558と協調して、曲線的なU字状の垂直方向空洞を画定する。以上から、ランナ504、506の端壁554と反対側の長手方向端部566は、長手方向壁552の平面状の内部表面560と反対側の垂直方向端部と同様に開口している。
【0063】
各ランナ504、506の外装には、その周囲全体が丸みを帯び、対向する長手方向の平面状の表面572および長手方向の弓状の表面574を接合する平滑端部570を含む。長手方向の弓状の表面574は、互いに最も近く、組織閉塞位置において間に組織が介在する各ランナ504、506の要素となるように構成されている。
【0064】
前述の通り、第1および第2のランナ504、506は、各ダボ508を用いてばね502に取り付けられている。結果として、第1および第2のランナ504、506はそれぞれ、平行壁550を貫通するとともに互いに同軸である一対の開口576を含む。この例示的な実施形態において、開口576は円筒状であり、ランナ504、506の長手方向の長さの約80%に(すなわち、遠位端に最も近く)配置されている。
【0065】
この例示的な実施形態においては、楔580がばね502に結合され、第1および第2のアーム514、516により印加された付勢を変化させる。この例示的な実施形態において、楔580は、ばね502に溶接されている。溶接の例示的な形態としては、音波溶接、摩擦溶接(摩擦撹拌溶接を含む)、電磁パルス溶接、共押出溶接、冷間溶接、拡散接合、発熱溶接、高周波溶接、熱間圧接、および誘導溶接等が挙げられるが、これらに限定されない。あるいは、他の形態の連結によって楔580をばね502に取り付けるようにしてもよく、接着、摩擦嵌合、およびスナップフィット(戻り止め等を含む)等のさまざまな連結形態が挙げられるが、これらに限定されない。
【0066】
当業者であれば、ばね502に対する楔580の形状を変化させることにより、第1および第2のアーム514、516により印加された付勢が変化するように動作することが認識されよう。したがって、楔580の形状および角度ならびに楔を受容するばね502の空洞が設計上の選択事項である。たとえば、楔のパイ形状の角度が大きくなると、第1および第2のアーム514、516に印加される付勢も一般的には大きくなる。逆に、楔580のパイ形状の角度が小さくなると、第1および第2のアーム514、516に印加される付勢も一般的には小さくなる。なお、楔580の輪郭の画成には、パイ形状以外の形状を用いてもよいことが了解されるものとする。当業者であれば、本明細書の開示内容を鑑みて、これらの設計選択を容易に理解するであろう。
【0067】
第5の例示的な閉塞クリップ500の組み立てにおいては、ダボ508が存在しない状態で、ばね502に対してランナ504、506が長手方向に摺動される。一例としては、第1のランナ504の開口端が長手方向に一直線となって曲線的な遠位端518を受容するように、第1のランナ504が第1のアーム514に対して若干傾斜するように配向される。その後、遠位端518が開口対576と揃うまで、遠位端518および第1の副付属部544がU字状の空洞561内で長手方向に再位置決めされるように、第1のランナ504が第1のアーム514に対して再位置決めされる。その後、ダボ508および長手方向壁552の平面状の内部表面560が遠位端518を挟むように、ダボが開口対576に挿通される。ダボ508が適所となった後は、第1のアーム514に対して第1のランナ504を長手方向または垂直方向に再位置決めすることはできない。ただし、第1のランナ504は、ダボ508の長手方向の長さと同軸の軸周りに、第1のアーム514に対して回転方向に再位置決め可能であり、第1の副付属部544の付勢がランナ504の近位端の回転を遅らせることで、副付属部に対する平行な向きに近づく。第2のアーム516に対する第2のランナ506の取り付けについても、同様のプロセスに従う。
【0068】
第2のアーム516に対する第2のランナ506の取り付けでは、ダボ508が第2のランナを貫通していない状態で、ばね502に対してランナ506が長手方向に摺動されるようになっていてもよい。たとえば、第2のランナ506の開口端が長手方向に一直線となって曲線的な遠位端528を受容するように、第2のランナ506が第2のアーム516に対して若干傾斜するように配向される。その後、遠位端528が開口対576と揃うまで、遠位端528および第2の副付属部546がU字状の空洞561内で長手方向に再位置決めされるように、第2のランナ506が第2のアーム516に対して再位置決めされる。その後、ダボ508および長手方向壁552の平面状の内部表面560が遠位端528を挟むように、ダボが開口対576に挿通される。ダボ508が適所となった後は、第2のアーム516に対して第2のランナ506を長手方向または垂直方向に再位置決めすることはできない。ただし、第2のランナ506は、ダボ508の長手方向の長さと同軸の軸周りに、第2のアーム516に対して回転方向に再位置決め可能であり、第2の副付属部546の付勢がランナ506の近位端の回転を遅らせることで、副付属部に対する平行な向きに近づく。
【0069】
動作時、ばね502および楔580は、ランナ504、506を互いに付勢し合うように動作して、両者間に捕えられた組織に閉塞圧力を印加する。この付勢を実現するため、ばね502は、図28に示す形状に成型、切断、または製造されていてもよい。第2のアーム516から離れる方向に第1のアーム514を再位置決めするには、ばね502の付勢(主としてV字状の端部510および副付属部544、546による付勢)に打ち勝つ必要がある。ばね502の付勢は、楔580の特性に応じて変化し、サイズ、形状、および材料組成等が挙げられるが、これらに限定されないことに留意すべきである。例示的な形態において、ばね502の付勢は、楔580がばねに取り付けられている場合に大きくなることが最も多い。逆に、楔580がばね502に取り付けられていない場合は、ばね502がその蝶番590周りで屈曲するため、ばねと関連付けられた付勢が小さくなることが最も多い。アーム514、516および副付属部544、546は、作用力が印加されていない場合、図26に示す初期位置となる。結果として、クリップ500は、左心耳等の身体組織を閉塞するように位置決めされた場合、アーム514、516の遠位端が互いに離れてランナ504、506間に垂直方向の間隙が形成されるように、強制的に開口状態とされる。この垂直方向の間隙は、身体組織がランナ504、506間に介在可能となる十分な広さであり、アーム514、516および副付属部544、546に作用力が印加されなくなると、ばね502の付勢は、ランナを互いに押しやって、ランナ間に介在する組織全体の血液循環を絶つように動作する。最終的に、締め付けられた組織の一方側への血液循環がなくなることで、問題の身体組織が萎縮して閉塞される。
【0070】
上記実施形態と同様に、身体組織の閉塞は、ランナ504、506を介してばね502により付与され、圧力プロファイルとして組織に伝わる力の移動によって達成される。近位および遠位のばね付勢が存在することにより、閉塞クリップのランナ504、506は、近位端および遠位端で独立して力を平衡させることができ、組織の不均一な形状をランナ間で一様に圧縮可能である。所望の圧力は、ばね力ならびにランナ504、506の形状およびサイズの両者を調整することにより得られる。ばね力は、ばね502の材料の形状、厚さ、および幅の関数であって、それぞれを独立して調整することにより、所望の分離で所望の力を得ることができる。また、組織の萎縮に応じて、ランナ504、506が両者間の組織をゼロ近くまたはゼロの厚さまで圧縮する場合であっても、有意な力が印加され続けるのが望ましい。この「ゼロのオフセット力」は、ランナ504、506に対するばねの接触点の「遊離状態」の一体的な接近あるいは負方向のオフセットを生じさせるばね502の形状の設計によって調整可能である。当業者であれば、このオフセットが設計としてばね502に組み込まれていてもよいし、ばねの意図的な塑性変形によって導入されていてもよいことが了解されよう。
【0071】
図32図37を参照して、第6の例示的な閉塞クリップ600は、一対のダボ608を用いて第1のランナ604および第2のランナ606に取り付けられたばね602を備える。ばね602は、第1のアーム614および第2のアーム616が延びたU字状の端部610を含む。第1のアーム614は、第1のダボ608を用いて第1のランナ604に取り付けられているが、第2のアーム616は、第2のダボ608を用いて第2のランナ606に取り付けられている。この例示的な実施形態において、第1のアーム614は、曲線的な遠位端618を除いて、矩形または円形状断面を有する。第1のアーム614は、長手方向に直線状であり、遠位端618で終端する。遠位端618は、ダボ608を受容するように構成されたオリフィス624を含む。同様に、第2のアーム616は、曲線的な遠位端628を除いて、矩形の断面を有する。第2のアーム616は、長手方向に直線状であり、遠位端628で終端する。この例示的な実施形態において、曲線的な端部628は、ダボ608を受容するように構成されたオリフィス634を含む。例示的な形態において、アーム614、616それぞれの長手方向の長さは、略等しい。
【0072】
第1および第2のアーム614、616のほか、U字状の端部610には、第1および第2の補助付属部対644、646が取り付けられている。例示的な形態において、補助付属部644、646はそれぞれ、アーム614、616を挟んでいる。補助付属部644、646はそれぞれ、曲線的な遠位端647、649を除いて、矩形の断面を有する。各補助付属部644、646は、長手方向に弓状であり、アーム614、616間の内部へと湾曲して、遠位端647、649が互いに最も近づいている。
【0073】
第1および第2のランナ604、606は、本質的に同じ形状を有する。具体的には、両ランナ604、606は、先細りになってドーム状端部652を形成する円筒形の直線状外部表面650を有する。近位端654は、各アーム614、616および各補助付属部対644、646を受容するように構成された内部壁によって画定された長手方向延伸チャンネル656に導かれるU字状の開口を画成する。特に、内部壁は、各遠位端647、649が摺動する座面を提供する一対の離隔傾斜直線状ランプ658を(近位から遠位へと)画成する。向きを固定するとともに補助付属部644、646をランナ604、606に取り付けるため、各ランプ658の遠位端に隣接するランナの内部は、ポケット660を画成する。ポケット間には、各遠位端618、628が摺動する座面を提供する主傾斜直線状ランプ664が(近位から遠位へと)介在している。向きを固定するとともに各アーム614、616をランナ604、606に取り付けるため、各ランプ658の遠位端に隣接するランナの内部は、主ポケット668を画成する。この主ポケットを跨ぐように横切って、外部表面650を貫通する一対のオリフィス670が延びている。各アーム614、616を各ランナ604、606にロックするため、各オリフィス670は、円筒状であり、ダボ608を受け入れるようにサイズ指定されている。この例示的な実施形態において、オリフィス670は円筒状であり、ランナ604、606の長手方向の長さの約80%に(すなわち、遠位端に最も近く)配置されている。
【0074】
第6の例示的な閉塞クリップ600の組み立てにおいては、ダボ608が存在しない状態で、ばね602に対してランナ604、606が長手方向に摺動される。一例としては、第1のランナ604の開口端が長手方向に一直線となって曲線的な遠位端618を受容するように、第1のランナ604が第1のアーム614に対して若干傾斜するように配向される。その後、遠位端618および第1の補助付属部対644がU字状の空洞656内で長手方向に再位置決めされるように、第1のランナ604が第1のアーム614に対して再位置決めされる。まず、曲線的な遠位端618が主ランプ664に接触して乗り上げた後、長手方向の移動の継続によって、第1の補助付属部644の遠位端647は、各直線状ランプ658上を摺動する。第1のランナ604に対するばね602の最終的な長手方向移動によって、遠位端647が各ポケット660に達するのと略同時に、曲線的な遠位端618が主ポケット668に達する。その後、ダボ608が第1のアーム614の開口対670およびオリフィス624に挿通されて、第1のアームがランナにロックされる。ダボ608が適所となった後は、第1のアーム614に対して第1のランナ604を長手方向または垂直方向に再位置決めすることはできない。ただし、第1のランナ604は、ダボ608の長手方向の長さと同軸の軸周りに、第1のアーム614に対して回転方向に再位置決め可能であり、第1の補助付属部対644の付勢がランナ604の近位端の回転を遅らせる。第2のアーム616に対する第2のランナ606の取り付けについても、同様のプロセスに従う。
【0075】
第2のアーム616に対する第2のランナ606の取り付けでは、ダボ608が第2のランナを貫通していない状態で、ばね602に対してランナ606が長手方向に摺動されるようになっていてもよい。たとえば、第2のランナ606の開口端が長手方向に一直線となって曲線的な遠位端628を受容するように、第2のランナ606が第2のアーム616に対して若干傾斜するように配向される。その後、遠位端628および第1の補助付属部対646がU字状の空洞656内で長手方向に再位置決めされるように、第2のランナ606が第2のアーム616に対して再位置決めされる。まず、曲線的な遠位端628が主ランプ664に接触して乗り上げた後、長手方向の移動の継続によって、第2の補助付属部646の遠位端649は、各直線状ランプ658上を摺動する。第2のランナ606に対するばね602の最終的な長手方向移動によって、遠位端649が各ポケット660に達するのと略同時に、曲線的な遠位端628が主ポケット668に達する。その後、ダボ608が第2のアーム616の開口対670およびオリフィス624に挿通されて、第2のアームが第2のランナにロックされる。ダボ608が適所となった後は、第2のアーム616に対して第2のランナ606を長手方向または垂直方向に再位置決めすることはできない。ただし、第2のランナ606は、ダボ608の長手方向の長さと同軸の軸周りに、第2のアーム616に対して回転方向に再位置決め可能であり、第2の補助付属部対646の付勢が第2のランナ606の近位端の回転を遅らせる。
【0076】
動作時、ばね602は、ランナ604、606を互いに付勢し合うように動作して、両者間に捕えられた組織に閉塞圧力を印加する。この付勢を実現するため、ばね602は、図35に示す形状に成型、切断、または製造されていてもよい。第2のアーム616から離れる方向に第1のアーム614を再位置決めするには、ばね602の付勢(主としてU字状の端部610による付勢)に打ち勝つ必要がある。アーム614、616および補助付属部644、646は、作用力が印加されていない場合、図33に示す初期位置となる。結果として、クリップ600は、左心耳等の身体組織を閉塞するように位置決めされた場合、アーム614、616の遠位端が互いに離れてランナ604、606間に垂直方向の間隙が形成されるように、強制的に開口状態とされる。この垂直方向の間隙は、身体組織がランナ604、606間に介在可能となる十分な広さであり、アーム614、616および補助付属部644、646に作用力が印加されなくなると、ばね602の付勢は、ランナを互いに押しやって、ランナ間に介在する組織全体の血液循環を絶つように動作する。最終的に、締め付けられた組織の一方側への血液循環がなくなることで、問題の身体組織が萎縮して閉塞される。
【0077】
上記実施形態と同じく、身体組織の閉塞は、ランナ604、606を介してばね602により付与され、圧力プロファイルとして組織に伝わる力の移動によって達成される。近位および遠位のばね付勢が存在することにより、閉塞クリップのランナ604、606は、近位端および遠位端で独立して力を平衡させることができ、組織の不均一な形状をランナ間で一様に圧縮可能である。所望の圧力は、ばね力ならびにランナ604、606の形状およびサイズの両者を調整することにより得られる。ばね力は、ばね602の材料の形状、厚さ、および幅の関数であって、それぞれを独立して調整することにより、所望の分離で所望の力を得ることができる。また、組織の萎縮に応じて、ランナ604、606が両者間の組織をゼロ近くまたはゼロの厚さまで圧縮する場合であっても、有意な力が印加され続けるのが望ましい。この「ゼロのオフセット力」は、ランナ604、606に対するばねの接触点の「遊離状態」の一体的な接近あるいは負方向のオフセットを生じさせるばね602の形状の設計によって調整可能である。当業者であれば、このオフセットが設計としてばね602に組み込まれていてもよいし、ばねの意図的な塑性変形によって導入されていてもよいことが了解されよう。
【0078】
例示的な閉塞クリップは、任意数の材料で製造されていてもよく、プラスチック、複合材料、金属、セラミック等が挙げられるが、これらに限定されない。たとえば、例示的なランナおよびばねはともに、生物学的に適合したチタンで製造されていてもよい。別の例としては、例示的なランナが生物学的に適合したプラスチックで製造され、ばねが生物学的に適合した金属で製造されていてもよい。別の例としては、ランナが高密度ポリエチレンで製造され、ばねがニチノールで製造されていてもよい。逆に、例示的なランナが任意の生物学的に適合した材料で製造され、ばねは、十分な弾性的性質を示す生物学的に適合した材料で製造されていてもよい。別の例としては、ランナがチタンで製造され、ばねがステンレス鋼で製造されていてもよい。別の例として、ランナおよびばねは、生体吸収性材料ならびに/または組織の内部成長を提供もしくは促進する材料で製造されていてもよい。
【0079】
組織内部成長材料に包まれた例示的な閉塞クリップについても、本発明の範囲内である。たとえば、例示的な閉塞クリップは、円筒状であり、例示的なクリップの開閉(すなわち、組織を間に位置決めするのに十分なランナ間の分離または間隔)に対応するために対向端部で閉塞したC字状のループ・スリーブに包まれていてもよい。当業者であれば、編組、編上、もしくは織物のPET糸または上記例示的な実施形態の包含に使用可能なGore Dualmesh(W.L.Gore & Associates(www.gore.com)より入手可能)といった多孔性布地等の組織内部成長材料に精通している。
【0080】
上記説明および発明の概要から、本明細書に記載の方法および装置が本発明の例示的な実施形態を構成しているものの、本明細書に含まれる発明が上記の厳密な実施形態に限定されず、また、以下に提案する新規な点に規定の本発明の範囲から逸脱することなく変更可能であるとの了解が当業者には明らかなはずである。同様に、本発明の固有の利点および/または予期せぬ利点は、本明細書において明示的に論じられていなくても存在し得ることから、本発明の範囲内となるべく本明細書に開示の本発明の特定されたありとあらゆる利点または目的を満足する必要はないことが了解されるものとする。
図1
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