(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6491208
(24)【登録日】2019年3月8日
(45)【発行日】2019年3月27日
(54)【発明の名称】カチオン界面活性剤を有するラッピングスラリー
(51)【国際特許分類】
C09K 3/14 20060101AFI20190318BHJP
B24B 37/00 20120101ALI20190318BHJP
C09G 1/02 20060101ALI20190318BHJP
【FI】
C09K3/14 550F
B24B37/00 H
C09K3/14 550D
C09K3/14 550Z
C09G1/02
【請求項の数】23
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-536097(P2016-536097)
(86)(22)【出願日】2014年7月24日
(65)【公表番号】特表2016-532757(P2016-532757A)
(43)【公表日】2016年10月20日
(86)【国際出願番号】US2014047980
(87)【国際公開番号】WO2015026477
(87)【国際公開日】20150226
【審査請求日】2017年5月24日
(31)【優先権主張番号】13/974,588
(32)【優先日】2013年8月23日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】516053969
【氏名又は名称】ダイヤモンド イノヴェーションズ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】チー, ショアン
【審査官】
柴田 啓二
(56)【参考文献】
【文献】
特開2005−109452(JP,A)
【文献】
中国特許出願公開第103254799(CN,A)
【文献】
特開2011−040427(JP,A)
【文献】
特開昭51−106292(JP,A)
【文献】
特開2011−171446(JP,A)
【文献】
特開2003−138248(JP,A)
【文献】
特開2008−172222(JP,A)
【文献】
特開2013−136142(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09K 3/14
B24B 37/00
C09G 1/02
H01L 21/304
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャリア中に分散された研磨粒子を含み、前記キャリアは、水、エチレングリコール、並びに、ステアラルコニウムクロリド、ベヘントリモニウムクロリド、ケイヒ酸アミドプロピルトリモニウムクロリド、ココトリモニウムクロリド、ジセチルジモニウムクロリド、ジココジモニウムクロリド、クォータニウム−15、クォータニウム−22、クォータニウム−82及びこれらの組み合わせからなる群から選択される塩化物塩、又はメトスルフェート塩の少なくとも一つを含む約0.5wt%から約60wt%のカチオン界面活性剤を含み、研磨粒子が、立方晶窒化ホウ素、ダイヤモンド、表面改質ダイヤモンド及びダイヤモンド複合材料の群から選択される、ラッピングスラリー。
【請求項2】
消泡剤を更に含む、請求項1に記載のラッピングスラリー。
【請求項3】
カチオン性ポリマーを更に含む、請求項1に記載のラッピングスラリー。
【請求項4】
カチオン界面活性剤が、アルキルアミン及びアミン塩の少なくとも一つを更に含む、請求項1に記載のラッピングスラリー。
【請求項5】
カチオン性ポリマーが、クォータニウム系ポリマー及び高分子電解質の少なくとも一つを含む、請求項3に記載のラッピングスラリー。
【請求項6】
塩化物塩が、クォータニウム−15、クォータニウム−22、クォータニウム−82及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載のラッピングスラリー。
【請求項7】
アルキルアミン又はアミン塩が、ステアルアミドプロピルジメチルアミンラクテート、ステアルアミドプロピルジメチルアミンシトラート、ステアルアミドプロピルジメチルアミンプロピオナート、イソステアルアミドプロピルジメチルアミン、イソステアルアミドプロピルモルフォリン、コムギ胚芽アミドプロピルジメチルアミン及びベヘナミドプロピルジメチルアミンの少なくとも一つを含む、請求項4に記載のラッピングスラリー。
【請求項8】
ダイヤモンド及び立方晶窒化ホウ素からなる群から選択され、かつ/又は4000より大きいヌープ硬度を有する、超砥粒材料;並びに
カチオン界面活性剤
を含むラッピング組成物であって、カチオン界面活性剤が、ステアラルコニウムクロリド、ベヘントリモニウムクロリド、ケイヒ酸アミドプロピルトリモニウムクロリド、ココトリモニウムクロリド、ジセチルジモニウムクロリド、ジココジモニウムクロリド、クォータニウム−15、クォータニウム−22、クォータニウム−82及びこれらの組み合わせからなる群から選択される塩化物塩、又はメトスルフェート塩の少なくとも一つを含み、カチオン界面活性剤が超砥粒材料の表面上に吸着される、ラッピング組成物。
【請求項9】
液体を更に含み、カチオン界面活性剤が約0.5重量パーセントから約60重量パーセントの量で存在する、請求項8に記載のラッピング組成物。
【請求項10】
前記液体がエチレングリコールを含む、請求項9に記載のラッピング組成物。
【請求項11】
前記カチオン界面活性剤が、アルキルアミン及びアミン塩の少なくとも一つを更に含む、請求項8に記載のラッピング組成物。
【請求項12】
クォータニウム系ポリマー及び高分子電解質の少なくとも一つを含むカチオン性ポリマーを更に含む、請求項8に記載のラッピング組成物。
【請求項13】
塩化物塩が、クォータニウム−15、クォータニウム−22、クォータニウム−82及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項8に記載のラッピング組成物。
【請求項14】
ゼータ電位により証明されるように、5から9までの範囲のpHを有するエチレングリコール中に分散されたとき、正に帯電される研磨粒子;
ステアルアミドプロピルジメチルアミンラクテート、ステアルアミドプロピルジメチルアミンシトラート、ステアルアミドプロピルジメチルアミンプロピオナート、イソステアルアミドプロピルジメチルアミン、イソステアルアミドプロピルモルフォリン、コムギ胚芽アミドプロピルジメチルアミン又はベヘナミドプロピルジメチルアミンの少なくとも一つを含むカチオン界面活性剤;及び
エチレングリコール中に分散された消泡剤
を含むラッピングスラリー。
【請求項15】
約0.5wt%から約60wt%のカチオン界面活性剤を含む、請求項14に記載のラッピングスラリー。
【請求項16】
前記カチオン界面活性剤が、アルキル−第四級化アンモニウム塩を含む、請求項14に記載のラッピングスラリー。
【請求項17】
研磨粒子が、立方晶窒化ホウ素、ダイヤモンド、表面改質ダイヤモンド及びダイヤモンド複合材料の群から選択される、請求項14に記載のラッピングスラリー。
【請求項18】
前記カチオン界面活性剤が、塩化物塩又はメトスルフェート塩の少なくとも一つを更に含む、請求項16に記載のラッピングスラリー。
【請求項19】
塩化物塩が、ステアラルコニウムクロリド、ベヘントリモニウムクロリド、ベンザルコニウムクロリド、ケイヒ酸アミドプロピルトリモニウムクロリド、ココトリモニウムクロリド、ジセチルジモニウムクロリド、ジココジモニウムクロリド、クォータニウム−15、クォータニウム−22、クォータニウム−82及びこれらの組み合わせの少なくとも一つを含む、請求項18に記載のラッピングスラリー。
【請求項20】
塩化物塩が、クォータニウム−15、クォータニウム−22、クォータニウム−82及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項18に記載のラッピングスラリー。
【請求項21】
約0.5重量パーセントから約60重量パーセントのカチオン性ポリマーを含む、請求項14に記載のラッピングスラリー。
【請求項22】
キャリア中に分散される研磨粒子を含むラッピングスラリーであって;
キャリアが、水、エチレングリコール、並びにステアルアミドプロピルジメチルアミンラクテート、ステアルアミドプロピルジメチルアミンシトラート、ステアルアミドプロピルジメチルアミンプロピオナート、イソステアルアミドプロピルジメチルアミン、イソステアルアミドプロピルモルフォリン、コムギ胚芽アミドプロピルジメチルアミン又はベヘナミドプロピルジメチルアミンの少なくとも一つを含む約0.5重量パーセントから約60重量パーセントのカチオン界面活性剤を含む、ラッピングスラリー。
【請求項23】
前記カチオン界面活性剤が、メトスルフェート塩を含む、請求項1に記載のラッピングスラリー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2013年8月23日に提出された、先に提出された米国特許出願第13/974588号に基づき、優先権の利益を主張する。
【背景技術】
【0002】
本開示は、一般に、ラッピング剤及びそのそれらを製造する方法に関し、より具体的には、加工品及びラッピング装置上の残留物を除去又は最小化するための工業的製造用途において用いられる、ラッピングスラリー、化合物又はゲルに関する。
【発明の概要】
【0003】
一実施態様では、ラッピングスラリーは、キャリア中に分散される研磨粒子を含み得、該キャリアは、水、エチレングリコール及び約0.5wt%から約60wt%の界面活性剤を含む。
【0004】
他の実施態様では、ラッピング組成物は、超砥粒材料;及びカチオン界面活性剤又はカチオン性ポリマー含み得、該カチオン界面活性剤又はカチオン性ポリマーは、超砥粒材料の表面上に吸着される。
【0005】
更に別の実施態様では、ラッピングスラリーは、ゼータ電位により証明されるように、5から9の範囲のpHを有するエチレングリコール中に分散されたときに正に帯電される研磨粒子;及びエチレングリコール中に分散された消泡剤を含み得る。
【図面の簡単な説明】
【0006】
実施態様の以下の詳細の記載と同様に、前記の概要も、添付の図面と共に読まれるとき、より良く理解されるだろう。示される実施態様は、示される明確な配置及び物に限定されないことに理解されたい。
【
図1】実施態様によるラッピング方法の間、負の電荷を帯びるサファイア表面の模式図である。
【
図2】調合A、B、C及びDの間の材料除去率を例証する棒グラフである。
【
図3】スラリーA、B、C及びDで処理されたウエハ粗さRaを例証する棒グラフである。
【
図4】スラリーA、B、C及びDで処理されたウエハ粗さRzを例証する棒グラフである。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本方法、システム及び材料が記載される前に、本開示は、それらが異なり得るように、記載される特定の方法論、システム及び材料に限定されないことを理解されたい。記載に用いられる用語は、特定のバージョン又は実施態様のみを記載する目的のためであり、範囲を制限することを意図しないことも理解されたい。例えば、ここで用いられるように、単数形「a」、「an」及び「the」は、文脈が明らかにそうではないと規定しなければ、複数形の参照を含む。更に、ここで用いられる「含む(comprising)」という用語は、「含むが限定されない(including but not limited to)」を意味すると意図される。そうでないと定義されなければ、ここで用いられる技術的及び科学的用語は、当業者により一般に理解されるものとしての同じ意味を有する。
【0008】
そうでないと示されなければ、明細書及び請求項に用いられる、成分の量、サイズ、重量、反応条件などの性質を表す全ての数は、「約(about)」という用語により全ての例において修正されると理解される。したがって、反対に示されなければ、以下の明細書及び添付される請求項における数値パラメータは、本発明により得られると求められる所望の性質に依存して異なり得る近似である。少なくとも、かつ、請求項の範囲と同等物の教義の適用を制限する試みとしてではなく、各数値パラメータは、報告される有効数字の数を考慮して、通常の丸め技術の適用により少なくとも解されなければならない。
【0009】
本発明を記載すること及び主張することにおいて、以下の用語は、下記に示される定義に従って用いられるだろう。
【0010】
ここで用いられるように、「約(about)」という用語は、用いられる数の数値のプラス又はマイナス10%を意味する。したがって、約50%は、45%〜55%の範囲を意味する。
【0011】
ここで用いられるように、「研磨材(abrasive)」という用語は、よりやわらかい材料をすり減らすために用いられる任意の材料を指す。
【0012】
ここで用いられるように、「材料除去(material removal)」という用語は、ミリグラム、グラムなどで報告される、所定の時間に除去された加工品の重量を指す。
【0013】
ここで用いられるように、「材料除去率(material removal rate)」という用語は、ミリグラム毎分、グラム毎時、又はミクロン厚さ毎分などで報告される、時間間隔により割られた除去された材料を指す。
【0014】
ここで用いられるように、「単結晶ダイヤモンド(monocrystalline diamond)」という用語は、高圧/高温合成のいずれかにより形成されるダイヤモンド、又は天然に形成されるダイヤモンドを指す。単結晶ダイヤモンドの割れは、原子の劈開面に沿って進行する。単結晶ダイヤモンド粒子は、劈開面で相対的に容易に割れる。
【0015】
ここで用いられるように、「粒子(particle)」又は「複数の粒子(particles)」という用語は、別体(又は複数の別体)を指す。粒子は、結晶又は粒とも考えられる。
【0016】
ここで用いられるように、「ピット(pit)」という用語は、粒子中の刻み目又は割れ目、二次元画像中の刻み目又は割れ目、物体中の刻み目又は割れ目を指す。
【0017】
ここで用いられるように、「多結晶ダイヤモンド(monocrystalline diamond)」という用語は、多結晶粒子構造に至る爆発合成により形成されるダイヤモンドを指す。各多結晶ダイヤモンド粒子は、大きさが約100オングストロームより小さい多数のミクロ結晶からなる。多結晶ダイヤモンド粒子は、劈開面を有さない。
【0018】
ここで用いられるように、「超砥粒(superabrasive)」という用語は、優れた硬度及び耐摩耗性を有する研磨剤を指す。ダイヤモンド及び立方晶窒化ホウ素は、超砥粒の例であり、3500超のヌープ押込み硬度値を有する。
【0019】
ここで用いられるように、「重量減少(weight loss)」という用語は、改質処理にさらす前の粒子の群の重量と、改質処理にさらされた後の同じ質量のダイヤモンド粒子又は研磨粒子の重量との差異を指す。
【0020】
ここで用いられるように、「加工品(workpiece)」という用語は、材料が研削、研磨、ラッピング又は他の材料除去法により除去される、物品又は物体を指す。
【0021】
ここで用いられるように、「周囲(perimeter)」という用語は、閉じた平面図形の境界又は二次元画像の全ての境界の合計を指す。
【0022】
ここで用いられるように、「表面積(surface area)」という用語は、粒子の外表面を指す。複数の粒子、すなわち、粉末と共に用いられるとき、比表面積という用語が用いられ、粉末のグラム当たりの表面積として報告される。
【0023】
サファイアの表面を指すとき、「ウエハ粗さ(wafer roughness)」という用語は、ウエハの表面上の特徴である。研磨剤研磨からの細かい傷又はトラックマークを含むこれらの特徴は、接触又は非接触式プロフィロメータを用いて測定される。
【0024】
ダイヤモンド粒子(又は複数のダイヤモンド粒子)及びダイヤモンド粉(又は複数のダイヤモンド粉)という用語は、即座の適用において同義的に用いられ、上記のように定義される「粒子(particle)」と同じ意味を有する。
【0025】
ここで用いられるように、「超砥粒(superabrasive)」という用語は、約4000より大きいヌープ硬度を有する材料を指す。ここで用いられるように、「Ra」という用語は、中心線からの、プロファイルからの逸脱の算術平均値を指す。ここで用いられるように、「Rz」という用語は、十点高さ測定を指し、米国においては、平均凹凸高さである。
【0026】
上記のように定義される用語は、顕微測定技術を用いる二次元粒子プロファイル測定を指すが、特徴が三次元形状に及び得ることを理解されることに注意することが重要である。粒子のサイズ及び形状の自動画像分析は、信頼性があり、再現可能な粒子の特性を測定する方法として、当業者により認知されている。Wyko画像分析器が用いられたが、データを再現するであろう同様の装置も利用可能である。
【0027】
一実施態様では、単結晶ダイヤモンドが用いられ得る。約100ミクロンより小さいサイズの単結晶ダイヤモンド粒子が有用である。しかしながら、約100ミクロン超のサイズのダイヤモンド粒子も用いられ得る。ダイヤモンド粒子のサイズは、約0.1から約1000ミクロンまでの範囲にわたる。用いられ得るダイヤモンド粒子の一例は、Diamond Innovations,Inc(ウォージントン、オハイオ州、米国)により製造される合成工業用ダイヤモンド粒子である、SJK−5 4〜8ミクロンである。
【0028】
他の実施態様では、天然ダイヤモンド粒子、焼結された多結晶ダイヤモンド又は衝撃圧縮合成された多結晶ダイヤモンド粒子は、下記で議論される改質処理にさらされ得る。
【0029】
一実施多様では、他の研磨剤は、改質処理にさらされ得る。研磨剤の例は、無機質のような、加工品を成形又は仕上げるために用いられる任意の材料を含む。天然及び合成ダイヤモンド並びにほう素、炭素及び窒素化合物のような超砥粒材料が用いられ得る。適するダイヤモンド材料は、結晶質又は多結晶質であり得る。砥粒の他の例は、炭酸カルシウム、エメリー、ノバキュライト、軽石ダスト、ベンガラ、砂、セラミック、アルミナ、ガラス、シリカ、シリコンカーバイド、及びジルコニアアルミナを含み得る。
【0030】
他の実施態様では、反応コーティングが、研磨剤又は超砥粒粒子を改質するために用いられる。そのような反応コーティングは、リチウム水酸化物、ナトリウム水酸化物、カリウム水酸化物、炭酸カリウム、過酸化ナトリウム、重クロム酸カリウム及び硝酸カリウムなどの、アルカリ金属水酸化物を含むが、限定されない。反応コーティングは、アルカリ金属水酸化物の組合せも含み得る。
【0031】
研磨粒子は、スラリー及び他のキャリア液体中でも有用である。典型的なスラリー溶液は、キャリア中に分散された研磨粒子を含み得る。キャリアは、水、エチレングリコール及び約0.5wt%から約60wt%の界面活性剤を含み得る。研磨粒子は、立方晶窒化ホウ素、ダイヤモンド、表面改質ダイヤモンド及びダイヤモンド複合材料の群から選択され得る。研磨粒子は、約0.2から約50重量パーセントの濃度で存在する約0.1から約100ミクロンまでのサイズの範囲に及び得る。キャリアは、水性キャリア、グリコール系キャリア、油性キャリア又は炭化水素系キャリア及びその組合せと、消泡剤と、pH及び色調整剤と、粘性調整剤とを含み得る。
【0032】
界面活性剤は、カチオン界面活性剤又はカチオン性リマーの少なくとも一つであり得る。カチオン界面活性剤は、それらの先端基上に正電荷を有する界面活性剤の群である。分子の組成は異なり得るが、典型的には、脂肪酸由来の、含窒素先端基を有する疎水性尾である。これらの界面活性剤又はカチオン性ポリマーがダイヤモンドと共にスラリーに添加されるとき、カチオン界面活性剤又はカチオン性ポリマーは、ダイヤモンドのような超砥粒材料の表面上に吸着され得、超砥粒粒子は正に帯電され得る。より具体的には、5から9の範囲のpHを有するエチレングリコール中に分散された研磨粒子は、ゼータ電位により証明され得る。エチレングリコール中に分散された消泡剤は、工業プロセス液中の泡の形成を低減し、妨げる化学添加剤であり得る。実施例において用いられる具体的な消泡剤は、例えば、ポリジメチルシロキサンエマルジョンであり得る。
【0033】
窒素含有基は、第四級アミン塩又は第三級アミン塩である可能性が最も高い。より具体的には、カチオン界面活性剤は、アルキル−第四級化アンモニウム塩、アルキルアミン、及びアミン塩の少なくとも一つであり得る。カチオン性ポリマーは、クォータニウム系ポリマー又は高分子電解質の少なくとも一つを含み得る。アルキル−第四級化アンモニウム塩は、塩化物、メトスルフェート、又は臭化物塩の少なくとも一つを含み得る。塩化物塩は、例えば、ステアラルコニウムクロリド、セトリモニウムクロリド、ベヘントリモニウムクロリド、ベンザルコニウムクロリド、ケイヒ酸アミドプロピルトリモニウムクロリド、ココトリモニウムクロリド、ジセチルジモニウムクロリド、ジココジモニウムクロリド、水素化パームトリメチルアンモニウムクロリド、ラウリルトリモニウムクロリド、クォータニウム−15
(IUPAC名:1−(3−クロロアリル)−3,5,7−トリアザ−1−アゾニアアダマンタンクロリド;CAS No.4080−31−3)、クォータニウム−22
(IUPAC名:N−[3−[ジメチル(2−ヒドロキシエチル)アミニオ]プロピル]−D−グルコンアミドクロリド;CAS Nos.51812−80−7/82970−95−4)、クォータニウム−82
(IUPAC名:[2−[ビス(2−ヒドロキシプロピル)アミノ]エチル]ビス(2−ヒドロキシプロピル)(メチル)アンモニウムメチルスルフェート ジオリアート(エステル);CAS Nos.65059−61−2/173833−36−8)の少なくとも一つを含み得る。アルキルアミン又はアミン塩は、ステラアミドプロピルジメチルアミンラクテート、ステラアミドプロピルジメチルアミンシトラート、ステラアミドプロピルジメチルアミンプロピオナート、イソステラアミドプロピルジメチルアミン、イソステラアミドプロピルモルフォリン、コムギ胚芽アミドプロピルジメチルアミン、及びベヘナミド
プロピルジメチルアミンの少なくとも一つを含み得る。
【0034】
図1に示されるように、サファイアウエハは、ラッピング処理を必要とし、ワイヤ切断、及び粗いダイヤモンド又はSiCを含有するスラリーを用いた粗いラッピングのような、前工程から生じた表面下の損傷を除去する。優れたラッピング工程は、通常、細かいダイヤモンド研磨剤及び相補なスラリーキャリアを包含し、高い生産性を達成するため、素早い材料除去を必要とする。スクラッチのレベルのためのカスタマイズされた検査と共に、Ra又はRzのような表面粗さの測定も多くの場合に行われ得、その後の研磨工程が表面損傷を除去するために十分であることを確かめる。したがって、ラッピング組成物が、ラップ率を改善し、サファイアウエハ上の欠損のレベルを低減又は維持することが常に望ましい。
【0035】
サファイアのラッピング処理の間、ウエハの表面は、絶えず除去され、更新され、新たな表面が、サファイアウエハ上に表面電化を提供し得る壊れた化学結合と共に現れる。未結合の酸素結合からなる新たな表面の連続的な曝露のため、サファイアウエハの表面が
図1に示されるように負電荷を有し得ることはもっともらしい。
【0036】
ダイヤモンド粒子は、カチオン界面活性剤の吸着のため、正に帯電される。その結果として、静電吸着により、ダイヤモンド粒子と加工品との間に強化された親和力がある。ラッピングの効率は、ダイヤモンドが加工品に働くより長い滞留時間の結果、改善し得、それは、サファイアウエハ上の材料除去率を改善する。
【実施例】
【0037】
実施例1
五つの異なる調合がここに列挙された。調合A及びBは、ベースラインとして、Ninol 11CMと、異なるレベルの表面改質ダイヤモンド濃度を用いて提供された。調合C、D及びEは、異なるレベルの表面改質ダイヤモンド濃度と同様に、異なるレベルの請求項に係るQuaternium 82を含んだ。
【0038】
【0039】
【0040】
【0041】
【0042】
【0043】
実施例2
調合されたスラリーの幾つかの化学的及び物理的特性は、下記の表1に列挙される。正のゼータ電位により示されるように、調合C、D及びEは、正に帯電したダイヤモンド粒子を含むことが明らかに示される。
【0044】
【0045】
実施例3
ラッピング試験条件は、表2に列挙される。全ての試験は、15インチのLapmasterのスパイラル溝を有するスズ複合物板上で行われた。加工品は、2インチのC−面サファイアウエハであった。ラッピング試験の各ランについて3つのウエハで一組であった。材料除去率は、試験の前後のウエハを秤量することにより測定された。表面品質は、20の倍率でのPSIモードにおける、Veeco Wyko NT1100により決定された。Ra及びRzの両方の結果が報告された。
【0046】
実施例4
図2に示されるように、調合A及びCは、同じダイヤモンド濃度を有し、一方、調合B及びDは、同じダイヤモンド濃度を有した。調合Cは、調合AよりMRRを約25%改善し、また、調合Dは、調合BよりMRRを約20%改善した。同じダイヤモンド濃度において、Quaternium 82を有する調合Dは、アニオン界面活性剤を有する調合よりも著しく優れていた。既に議論されたように、新しいサファイア表面がラッピング処理により曝露される一方で、加工品の表面は、酸素原子のターミネーションにより負の電荷を保持し得る。カチオン界面活性剤の吸着のために、スラリー中の正帯電ダイヤモンド粒子は、加工品の表面に引き付けられた。研磨粒子とサファイア表面との間の静電吸着は、滞留時間を延ばすことを助け、そのため、材料除去率を改善した。
【0047】
実施例5
前述のように、MRRが改善された一方で、表面品質を維持又は改善することも必要不可欠である。
図3及び
図4は、測定のばらつきを考慮すると、調合C及びDが調合A及びBと同様のRa及びRzという結果となったことを示した。したがって、カチオン界面活性剤の包含は、ウエハの表面品質を保ちながら材料除去率を改善すること援助した。
【0048】
参照が特定の実施態様についてされた一方で、他の実施態様及び変化は、それらの精神及び範囲から出発することなしに、他の当業者により考案され得ることは明らかである。添付される請求項は、全てのそのような実施態様及び同等の変化を含むと解釈されることを意図される。