特許第6491213号(P6491213)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ノヴァッセイ エスエーの特許一覧

特許6491213疼痛および他の障害の治療のためのガンマ−アミノ酪酸(GABA)類似体
<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6491213
(24)【登録日】2019年3月8日
(45)【発行日】2019年3月27日
(54)【発明の名称】疼痛および他の障害の治療のためのガンマ−アミノ酪酸(GABA)類似体
(51)【国際特許分類】
   C07D 257/04 20060101AFI20190318BHJP
   C07B 57/00 20060101ALI20190318BHJP
   C07C 255/31 20060101ALI20190318BHJP
   C07D 271/07 20060101ALI20190318BHJP
   C07C 233/10 20060101ALI20190318BHJP
   C07C 259/14 20060101ALI20190318BHJP
   A61K 31/41 20060101ALI20190318BHJP
   A61K 31/4245 20060101ALI20190318BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20190318BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20190318BHJP
   A61P 25/02 20060101ALI20190318BHJP
   A61P 25/06 20060101ALI20190318BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20190318BHJP
【FI】
   C07D257/04 CCSP
   C07B57/00 350
   C07C255/31
   C07D271/07
   C07C233/10
   C07C259/14
   A61K31/41
   A61K31/4245
   A61P29/00
   A61P25/00 101
   A61P25/02
   A61P25/06
   A61P43/00 111
【請求項の数】17
【全頁数】45
(21)【出願番号】特願2016-540644(P2016-540644)
(86)(22)【出願日】2014年12月16日
(65)【公表番号】特表2017-502020(P2017-502020A)
(43)【公表日】2017年1月19日
(86)【国際出願番号】EP2014077937
(87)【国際公開番号】WO2015091463
(87)【国際公開日】20150625
【審査請求日】2017年12月14日
(31)【優先権主張番号】61/917,623
(32)【優先日】2013年12月18日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】516176958
【氏名又は名称】ノヴァッセイ エスエー
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】メグハニ,プレムジ
(72)【発明者】
【氏名】クリセク,フランツ
【審査官】 石井 徹
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2015/005298(WO,A1)
【文献】 国際公開第2009/041453(WO,A1)
【文献】 特開2002−167329(JP,A)
【文献】 Wustrow, David J. et al.,Oxadiazolone bioisosteres of pregabalin and gabapentin,Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters,2009年,19(1),PP.247-250
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式1
【化1】
の化合物であって、式中、
が水素、ハロ、C1〜4アルキル基、C1〜4アルキルハライド基、(C1〜4アルコキシ)(C2〜4アルキル)基、C2〜4アルケニル基、C2〜4アルキニル基またはC3〜7シクロアルキル基を表し;

【化2】
またはその互変異性体を表し;かつ
が水素、C1〜4アルキル基、(C1〜4アルコキシ)(C2〜4アルキル)基またはC3〜7シクロアルキル基を表す、
化合物またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物。
【請求項2】
式2
【化3】
を有し、式中、
が水素、ハロ、C1〜4アルキル基、C1〜4アルキルハライド基、(C1〜4アルコキシ)(C2〜4アルキル)基、C2〜4アルケニル基、C2〜4アルキニル基またはC3〜7シクロアルキル基を表す、
請求項1に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物。
【請求項3】
式3
【化4】
を有し、式中、
が水素、ハロ、C1〜4アルキル基、C1〜4アルキルハライド基、(C1〜4アルコキシ)(C2〜4アルキル)基、C2〜4アルケニル基、C2〜4アルキニル基またはC3〜7シクロアルキル基を表す、
請求項1に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物。
【請求項4】
がエチルを表す、請求項1〜3のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項5】
式4
【化5】
を有する、請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
式4a
【化6】
を有する、請求項5に記載の化合物。
【請求項7】
式5
【化7】
を有する、請求項3に記載の化合物。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項で定められる化合物と薬学的に許容されるその担体とを含む、医薬組成物。
【請求項9】
神経因性疼痛の治療における使用のための、請求項8に記載の医薬組成物。
【請求項10】
中枢神経系および/または末梢神経系の疾患の治療における使用のための、請求項8に記載の医薬組成物。
【請求項11】
中枢神経系の疾患の治療における使用のための、請求項10に記載の医薬組成物。
【請求項12】
頭痛および片頭痛の治療における使用のための、請求項11に記載の医薬組成物。
【請求項13】
てんかん、虚血性脳血管疾患、脳卒中、脳腫瘍、アルツハイマー病、ピック病、ハンチントン病、認知症、パーキンソン病および他の錐体外路系障害、筋萎縮性側索硬化症および他の運動ニューロン障害、進行性神経筋萎縮症、網膜色素変性、遺伝性運動失調、多発性硬化症および他の脱髄性疾患、細菌性およびウイルス性髄膜炎、脳膿瘍、硬膜下蓄膿、硬膜外膿瘍、化膿性頭蓋内血栓性静脈炎、脊髄炎および神経根炎、ウイルス性中枢神経系疾患、クールー病、クロイツフェルト・ヤコブ病およびゲルストマン・シュトロイスラー・シャインカー症候群を含むプリオン病、致死性家族性不眠症、神経系の栄養疾患および代謝疾患、神経線維腫症、結節性硬化症、脳網膜血管芽細胞腫、脳三叉神経症候群、ダウン症候群を含む知的障害および他の中枢神経系の発達障害、脳性麻痺、神経骨格障害、自律神経障害、脳神経障害、脊髄疾患、筋ジストロフィーおよび他の神経筋障害、末梢神経障害、皮膚筋炎および多発性筋炎、先天性、代謝性、内分泌性および中毒性ミオパチー、重症筋無力症、周期性四肢麻痺、気分障害、不安障害および統合失調症を含む精神障害、季節性感情障害(SAD)、静座不能症、健忘症、緊張病、糖尿病性ニューロパチー、遅発性ジスキネジア、ジストニア、妄想性精神病、帯状疱疹後神経痛、トゥレット症、進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症、ならびに家族性前頭側頭型認知症から選択されるCNS障害に関連する疼痛の治療における使用のための、請求項8に記載の医薬組成物。
【請求項14】
式12
【化8】
の化合物を還元することによって、請求項1〜7のいずれか1項で定められる式1の化合物を製造する製造方法であって、式中、
が水素、ハロ、C1〜4アルキル基、C1〜4アルキルハライド基、(C1〜4アルコキシ)(C2〜4アルキル)基、C2〜4アルケニル基、C2〜4アルキニル基またはC3〜7シクロアルキル基を表し;かつ

【化9】
またはその互変異性体を表す、
製造方法
【請求項15】
式1
【化10】
[式中、
が水素、ハロ、C1〜4アルキル基、C1〜4アルキルハライド基、(C1〜4アルコキシ)(C2〜4アルキル)基、C2〜4アルケニル基、C2〜4アルキニル基またはC3〜7シクロアルキル基を表し;

【化11】
またはその互変異性体を表し;かつ
が水素、C1〜4アルキル基、(C1〜4アルコキシ)(C2〜4アルキル)基またはC3〜7シクロアルキル基を表す]
の鏡像異性体の混合物を分割することによって、式2a
【化12】
の化合物を製造する製造方法であって、式中、
が水素、ハロ、C1〜4アルキル基、C1〜4アルキルハライド基、(C1〜4アルコキシ)(C2〜4アルキル)基、C2〜4アルケニル基、C2〜4アルキニル基またはC3〜7シクロアルキル基を表す、
製造方法
【請求項16】
式16
【化13】
の中間化合物であって、式中、
が水素、ハロ、C1〜4アルキル基、C1〜4アルキルハライド基、(C1〜4アルコキシ)(C2〜4アルキル)基、C2〜4アルケニル基、C2〜4アルキニル基またはC3〜7シクロアルキル基を表し;
2aが−R、−CN、−CONH、−(C=NH)NHOHを表し;かつ

【化14】
またはその互変異性体を表す、
中間化合物。
【請求項17】
式14
【化15】
の中間体化合物であって、式中、
が水素、ハロ、C1〜4アルキル基、C1〜4アルキルハライド基、(C1〜4アルコキシ)(C2〜4アルキル)基、C2〜4アルケニル基、C2〜4アルキニル基またはC3〜7シクロアルキル基を表す、
中間体化合物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規な治療剤、特にγ−アミノ酪酸誘導体、その医薬組成物、その調製の工程、および疼痛治療におけるその治療活性に関する。
【背景技術】
【0002】
(緒言)
電位依存性カルシウムチャネルは細孔形成αサブユニットと補助タンパク質αδ、β、およびγとが組み合わさって形成される(Caterall(2000)Annu.Rev.Cell Dev.Biol.16:521−555)。αδタンパク質は、カルシウムチャネル密度およびこれらのチャネルの電位依存性の動態の両方を調節することが知られている(Felixら(1997)J.Neuroscience 17:6884−6891;Klugbauerら(1999)J.Neuroscience 19:684−691;Hobomら(2000)Eur.J.Neuroscience 12:1217−1226;およびQinら(2002)Mol.Pharmacol.62:485−496)。
【0003】
ガバペンチン(GBP)は、カルシウムチャネルαδサブユニットであるαδおよびαδと高い親和性で結合する抗てんかん薬、抗痛覚過敏薬および抗不安薬である。GBPは本来てんかん用に開発されたものであり、疼痛および不安の治療にも用いられてきた(Taylorら(1998)Epilepsy Res.29:223−249)。GBPの作用の根底にある機序については未だ十分に理解されていない。GBPは本来、脂溶性のγ−アミノ酪酸(GABA)類似体として設計されたが、のちになって、GABA代謝経路のいずれの酵素とも相互作用せず、GABA受容体ともGABA受容体とも直接相互作用しないことが明らかになった。しかし、GBPはL系アミノ酸輸送体を介して効率的に血液脳関門を通過できる。
【0004】
プレガバリン(PGB)は、上に挙げたものと同じ病態の治療に用いられるさらに強力な第二世代のGBP後継薬である。GBP(構造G、下記)およびPGB(構造P、下記)はαδ−1サブユニットと結合し、そのIC50値はそれぞれ140nMおよび80nMである(Dolphin(2013)Biochim Biophys Acta 1828:1541−1549)。
【化1】
【化2】
【0005】
GBPは、臨床的に意味のある用量では中毒性副作用が認められたとしてもごくわずかである。しかし、おそらく水溶性が極めて高く見かけ上in vivoでタンパク質と結合しないために、半減期が比較的短く、変化せずに排泄される。軽度の鎮静、めまいおよび運動失調が主な用量制限的な副作用であり、これらは中枢介在性であると考えられている。
【0006】
GBPおよびPGBは他の多くの中枢作用薬とは異なり、中性pHでは親水性で二重に荷電しており、このため、細胞膜などの脂質に不溶である。しかし、両化合物とも、L−ロイシン、L−イソロイシンおよびL−バリンなどの内因性アミノ酸も輸送する特殊な輸送体系(L系)を介して消化管、血液脳関門および細胞膜の膜バリアを通過すると思われる(Suら(2005)J.Pharmacol.Exp.Ther.313,1−10)。
【0007】
哺乳動物では、4種類の関連したサブタイプのαδタンパク質があり、それぞれ異なる遺伝子によってコードされている。タンパク質サブタイプはそれぞれ分子量が約150kDであり、997〜1150個のアミノ酸残基からなる。αδサブタイプ1および2のみがPGBを高い親和性で結合し、サブタイプ3および4には有意な薬物結合がみられない(Finkら(2002)Neuropharmacology,42,229−236)。組換えαδタイプ1タンパク質およびタイプ2タンパク質に対するPGBの結合親和性は同程度であり、このことはPGBがサブタイプ選択的ではないことを示している(Piechanら(2004)Soc.Neuroscience Abstr.,111(プログラム番号115))。
【0008】
欧州特許公開第2192109(A)号は、式A
【化3】
の二環式γ−アミノ酸化合物に関するものであり、式中、
、R、R2’およびR〜RおよびR8’がそれぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、またはC1〜C6アルキル基であるか、RおよびR2’が、それらが結合している炭素原子とともにC3〜C7シクロアルキル基を形成し;かつ
が、水素原子、ハロゲン原子、C1〜C6アルキル基、C1〜C6ハロゲン化アルキル基、ヒドロキシ−Cl〜C6アルキル基、スルファニル−C1〜C6アルキル基、C1〜C6アルコキシ−C1〜C6アルキル基、C2〜C6アルケニル基、C2〜C6アルキニル基、C1〜C6アルコキシ基、C1〜C6アルキルスルファニル基、C1〜C6アルキルスルファニル−C1〜C6アルキル基、C2〜C7アシルチオ−C1〜C6アルキル基、C2〜C7アシルオキシ−C1〜C6アルキル基、またはC3〜C7シクロアルキル基である。
【0009】
上記誘導体は、αδリガンドとしての活性があり、かつ疼痛または中枢神経系障害の治療に有効であるとして開示されている。米国特許出願公開第2012071685号は、特定の上記二環式γ−アミノ酸誘導体を作製する調製方法を開示している。
【発明の概要】
【0010】
一態様では、本発明は式1
【化4】
の化合物であって、式中、
が、水素、ハロ、C1〜4アルキル基、C1〜4アルキルハライド基、(C1〜4アルコキシ)(C2〜4アルキル)基、C2〜4アルケニル基、C2〜4アルキニル基またはC3〜7シクロアルキル基を表し;
が、
【化5】
またはその互変異性体を表し;かつ
が、水素、C1〜4アルキル基、(C1〜4アルコキシ)(C2〜4アルキル)基またはC3〜7シクロアルキル基を表す、
化合物またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物を提供する。
【0011】
別の態様では、本発明は、対象において神経因性疼痛を治療する方法であって、上記対象に治療有効量の式1の化合物またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物を投与することを含む方法も提供する。
【0012】
さらなる態様では、本発明は、対象において中枢神経系の障害を治療する方法であって、上記対象に治療有効量の式1の化合物またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物を投与することを含む方法を提供する。
【0013】
本発明は、電位依存性カルシウムチャネルのαδ−1サブユニットに高い親和性で結合する化合物を提供する。
【0014】
またさらなる態様では、本発明は、本明細書に開示される化合物を適切な賦形剤または適切なローションとともに含む、医薬組成物を提供する。医薬組成物は、対象に投与するのに好都合な任意の形態、例えば、カプセル、カプレット、錠剤の形態、または局所軟膏の形態であり得る。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(発明の詳細な説明)
本発明は式1
【化6】
の化合物であって、式中、
が、水素、ハロ、C1〜4アルキル基、C1〜4アルキルハライド基、(C1〜4アルコキシ)(C2〜4アルキル)基、C2〜4アルケニル基、C2〜4アルキニル基またはC3〜7シクロアルキル基を表し;

【化7】
またはその互変異性体を表し;かつ
が、水素、C1〜4アルキル基、(C1〜4アルコキシ)(C2〜4アルキル)基またはC3〜7シクロアルキル基を表す、
化合物またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物に関する。
【0016】
次に挙げる用語は以下の意味を有すると理解されるものとする。
【0017】
「C1〜4アルキル」という用語は、炭素原子を1〜4個有する直鎖または分岐鎖脂肪族炭化水素鎖、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチルまたはtert−ブチルを意味する。
【0018】
「C1〜4アルキルハライド」という用語は、1つまたは複数のハロ原子で置換されたC1〜4アルキル基を意味する。
【0019】
「(C1〜4アルコキシ)(C2〜4アルキル)」という用語は、1つまたは複数のC1〜4アルコキシ基で置換されたC2〜4アルキル基を意味する。
【0020】
「C2〜4アルケニル」という用語は、炭素原子を2〜4個有し、炭素間二重結合を1つ含む直鎖または分岐鎖脂肪族炭化水素鎖、例えば、エテニル、プロペニル、n−ブテニルおよびイソブテニルを意味する。
【0021】
「C2〜4アルキニル」という用語は、炭素原子を2〜4個有し、炭素間三重結合を1つ含む直鎖または分岐鎖脂肪族炭化水素鎖、例えば、エチニル、プロピニル、n−ブチニルおよびイソブチニルを意味する。
【0022】
「C3〜7シクロアルキル」という用語は、炭素原子が3〜7個の非芳香族の単環系または多環系、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルおよびシクロヘプチルを意味する。
【0023】
「ハロ」という用語は、フルオロ、クロロ、ブロモまたはヨードを意味する。
【0024】
本明細書で使用される「式1の化合物」という用語は、その薬学的に許容される塩および溶媒和物を包含する。中間化合物と言う場合も、その塩および溶媒和物を包含する。本発明の化合物の薬学的に許容される塩は、化合物の塩基付加塩を包含し得る。このような塩は、薬学的に許容される陽イオンを生じる無機塩基を用いて形成され得、例えば、ナトリウム塩もしくはカリウム塩などのアルカリ金属塩、またはカルシウム塩もしくはマグネシウム塩などのアルカリ土類金属塩である。本発明の薬学的に許容される塩は、酸付加塩も包含し得る。このような塩は、薬学的に許容される陰イオンを生じる無機酸または有機酸を用いて形成され得、例えば、塩化物塩もしくは臭化物塩などのハロゲン化水素塩、硫酸塩またはリン酸塩、あるいは有機酸塩、例えば酢酸、フマル酸、マレイン酸、酒石酸、乳酸、クエン酸、ピルビン酸、コハク酸、シュウ酸、メタンスルホン酸またはp−トルエンスルホン酸との塩などである。「溶媒和物」という用語は、結晶格子中に適切な溶媒の分子が組み込まれた固体状態の式1の化合物を指す。治療的投与に適した溶媒は、投与する量において生理的に許容されるものである。治療的投与に適した溶媒の例はエタノールおよび水である。水が溶媒である場合、溶媒和物は水和物と呼ばれる。溶媒和物は一般に、化合物をしかるべき溶媒に溶かし、冷却または貧溶媒の使用により溶媒和物を単離することによって形成される。溶媒和物は通常、周囲条件下で乾燥または共沸させる。典型的な溶媒和物としては、一水和物、二水和物または三水和物などの水和物が挙げられる。
【0025】
本発明に従って作製される化合物がキラル中心を含む場合、その化合物は2つの鏡像異性体形態で存在し、したがって、本発明の化合物はラセミ体、単一の鏡像異性体またはその混合物を含む。鏡像異性体は、当業者に公知の方法、例えばキラル高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、例えばキラルリガンドが結合したシリカによって分割され得る。鏡像異性体は、ジアステレオマー塩を形成するキラル酸またはキラル塩基を有する塩の形成とその後の結晶化を含む方法によっても分割され得る。本発明に従って作製される本発明の化合物は、単一のジアステレオ異性体またはジアステレオ異性体の混合物も含み得る。ジアステレオ異性体は、当業者に公知の方法により、例えば、酸または塩基とともに塩を形成させた後、結晶化することにより分離され得る。
【0026】
あらゆる互変異性型もまた本明細書に包含される。
【0027】
「治療有効量」という用語は、所望の治療効果を得るためにヒト対象により使用される必要がある、本発明による化合物の量を表す。この量は対象によって異なり得、年齢、体重、身長、健康状態および既往歴などのパラメータに左右される。本発明による化合物は、患者における望ましくない症状の軽減、抑制または改善に効果的であり得る。
【0028】
本発明による化合物の一実施形態では、Rは、水素、C1〜4アルキル基またはハロ、好ましくは水素またはC1〜4アルキル基、より好ましくはC1〜4アルキル基、例えばメチル、エチルまたはプロピルを表す。さらに好ましい式1の化合物では、Rはエチルを表す。
【0029】
本発明による化合物の一実施形態では、Rは、水素またはC1〜C4アルキル基、例えばメチル、エチルまたはプロピルを表す。好ましい式1の化合物では、Rは水素またはエチルを表す。さらに好ましい式1の化合物では、Rは水素を表す。
【0030】
一実施形態では、本発明は式2:
【化8】
の化合物であって、式中、
が、水素、ハロ、C1〜4アルキル基、C1〜4アルキルハライド基、(C1〜4アルコキシ)(C2〜4アルキル)基、C2〜4アルケニル基、C2〜4アルキニル基またはC3〜7シクロアルキル基を表す、
化合物またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物である。
【0031】
式2の化合物は式2a
【化9】
の化合物に示される特異的立体化学を有し得る。
【0032】
別の実施形態では、本発明は式3:
【化10】
の化合物であって、式中、
が、水素、ハロ、C1〜4アルキル基、C1〜4アルキルハライド基、(C1〜4アルコキシ)(C2〜4アルキル)基、C2〜4アルケニル基、C2〜4アルキニル基またはC3〜7シクロアルキル基を表す、
化合物またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物である。
【0033】
式3の化合物は式3a:
【化11】
の化合物に示される特異的立体化学を有し得る。
【0034】
別の実施形態では、本発明は式4:
【化12】
の化合物である。
【0035】
式4の化合物は式4a:
【化13】
の化合物に示される特異的立体化学を有し得る。
【0036】
別の実施形態では、本発明は式5:
【化14】
の化合物である。
【0037】
式5の化合物は式5a:
【化15】
の化合物に示される特異的立体化学を有し得る。
【0038】
式1の具体的な化合物は、
3−(((1R,5S,6S)−6−(アミノメチル)−3−エチルビシクロ[3.2.0]ヘプタ−3−エン−6−イル)メチル)−1,2,4−オキサジアゾール−5(4H)−オン、
3−(((1S,5R,6R)−6−(アミノメチル)−3−エチルビシクロ[3.2.0]ヘプタ−3−エン−6−イル)メチル)−1,2,4−オキサジアゾール−5(4H)−オン、
ラセミ3−(((1R,5S,6S)−6−(アミノメチル)−3−エチルビシクロ[3.2.0]ヘプタ−3−エン−6−イル)メチル)−1,2,4−オキサジアゾール−5(4H)−オン、
((1R,5S,6S)−6−((1H−テトラゾール−5−イル)メチル)−3−エチルビシクロ[3.2.0]ヘプタ−3−エン−6−イル)メタンアミン、
((1S,5R,6R)−6−((1H−テトラゾール−5−イル)メチル)−3−エチルビシクロ[3.2.0]ヘプタ−3−エン−6−イル)メタンアミン、
ラセミ((1R,5S,6S)−6−((1H−テトラゾール−5−イル)メチル)−3−エチルビシクロ[3.2.0]ヘプタ−3−エン−6−イル)メタンアミン、
N−(((1R,5S,6S)−6−((1H−テトラゾール−5−イル)メチル)−3−エチルビシクロ[3.2.0]ヘプタ−3−エン−6−イル)メチル)エタンアミン、
N−(((1S,5R,6R)−6−((1H−テトラゾール−5−イル)メチル)−3−エチルビシクロ[3.2.0]ヘプタ−3−エン−6−イル)メチル)エタンアミン、
ラセミN−(((1R,5S,6S)−6−((1H−テトラゾール−5−イル)メチル)−3−エチルビシクロ[3.2.0]ヘプタ−3−エン−6−イル)メチル)エタンアミン
である。
【0039】
当業者であれば、キラル分子を回転させても同じ相対的立体化学配置が維持され得ることを理解するであろう。例えば、式4aおよび5aの化合物は以下のように図示され得る:
【化16】
【化17】
【0040】
本発明は、治療有効量の式1の化合物を薬学的に許容される担体とともに含む、医薬組成物も提供する。式1の化合物は、疼痛病態が認められる対象、特にヒト対象における神経因性疼痛を治療、軽減または改善するのに有効な量で使用する。このような疼痛の治療は、中枢神経系(CNS)または末梢神経系(PNS)の障害に関連するかどうかを問わない。式1の化合物は、他の任意の非疼痛性CNS障害を治療、軽減または改善するのにも有効である。本発明の組成物は治療有効量の式1の化合物を含み、それは一般に0.1〜95%w/wの範囲の式1の化合物であるが、活性化合物の正確な性質および投与様式によって異なる。活性化合物の投与量は通常、活性化合物の正確な性質および投与様式に応じて、単回投与量または分割投与量で0.1〜500mgの範囲内にある。
【0041】
治療的使用において、式1の化合物を経口的に、直腸内に、非経口的にまたは局所的に投与し得る。本発明による医薬組成物は、製薬分野で周知の担体を用いた当業者に公知の任意の経口、経直腸、非経口または局所組成物の形態をとり得る。このような組成物は一般に、単位投与剤形で調製する。経口投与組成物としては、錠剤、カプセル剤もしくはカプレット剤などの固形剤形、またはシロップ剤および水性もしくは油性懸濁剤などの液体剤形を挙げ得る。錠剤およびカプレット剤などの固形剤形は、崩壊剤および滑沢剤などの他の製剤補助剤の存在下で、式1の化合物を不活性希釈剤と混合することによって調製され得る。カプセル剤は、硬カプセル剤、例えば硬ゼラチンカプセル剤の形態であっても、軟カプセル剤の形態であってもよく、このようなカプセル剤は、活性化合物を担体に組み込んでカプセルに封入する従来の工程によって調製される。任意選択で、このような剤形は、遅延放出組成物もしくは徐放組成物をもたらすように、放出速度を修正するのに使用され得る、従来の方法に従って調製される腸溶性コーティング、または放出を遅延させる賦形剤を含み得る。液体剤形は、活性化合物を、任意選択で1つまたは複数の溶解剤、界面活性剤および/または懸濁助剤の存在下で、水または油性賦形剤などの適切な液体担体に溶かすことによって調製され得る。経直腸投与用組成物は、このような投与のための既知の医薬形態であり、例えば、ロウまたはポリエチレングリコールを基剤とする坐剤である。非経口投与用組成物も、このような投与のための既知の医薬形態であり、例えば、適切な溶媒系での無菌液剤または懸濁剤である。局所投与用組成物としては、組成物を患部に直接塗布することによって、あるいは経皮パッチなどの媒体に組成物を組み込むことによって、あるいは疼痛のある領域に塗布する透過性の膜に含まれた組成物として投与され得る、クリーム剤、ローション剤、軟膏剤、ゲル剤または他のそのような剤形を挙げ得る。クリーム剤、ローション剤または軟膏剤の調製には、鉱油およびロウなどの従来の水性担体および非水性担体を単独で、または組み合わせて使用し得る。ゲル剤は、水の存在下で、式1の化合物を、ゲル化剤を含む局所補形剤、例えばカルボマーと混合することによって調製され得る。任意選択で、さらに経皮促進剤、増粘剤などの製剤補助剤を組み込んでもよい。
【0042】
別の実施形態では、本発明の化合物を適切な医薬品賦形剤と組み合わせて背部痛の局所治療に使用し得る。化合物と医薬品賦形剤との組合せはゲルの形態であり得、ゲルは、疼痛のある対象の皮膚に載せるように成形し適合される。別の実施形態では、化合物と医薬品賦形剤との組合せは、パッチの生地内に組み込まれてよく、パッチは、疼痛のある対象の皮膚に載せ、かつ/または粘着するように成形し適合される。より好ましい実施形態では、化合物はパッチの生地内の医薬品賦形剤から緩やかな速度で放出される。
【0043】
式1の化合物は、以下に挙げる病態に有用な本発明による医薬組成物に組み込まれる。
【0044】
本発明は、神経因性疼痛を治療する臨床現場で式1の化合物を使用し得ることを企図する。別の実施形態では、化合物を中枢神経系(CNS)での疼痛の治療に使用し得る。別の実施形態では、本発明の化合物をCNSと関連しない疼痛の治療に使用し得る。さらなる実施形態では、本発明の化合物をPNSと関連しない疼痛の治療に使用し得る。さらに別の実施形態では、本発明の化合物をCNS障害の治療に使用し得る。一実施形態では、CNS障害は、てんかん、虚血性脳血管疾患、脳卒中、脳腫瘍、アルツハイマー病、ピック病、ハンチントン病、認知症、パーキンソン病をはじめとする錐体外路系障害、筋萎縮性側索硬化症をはじめとする運動ニューロン障害、進行性神経筋萎縮症、網膜色素変性、遺伝性運動失調、多発性硬化症をはじめとする脱髄性疾患、細菌性およびウイルス性髄膜炎、脳膿瘍、硬膜下蓄膿、硬膜外膿瘍、化膿性頭蓋内血栓性静脈炎、脊髄炎および神経根炎、ウイルス性中枢神経系疾患、クールー病、クロイツフェルト・ヤコブ病およびゲルストマン・シュトロイスラー・シャインカー症候群を含むプリオン病、致死性家族性不眠症、神経系の栄養疾患および代謝疾患、神経線維腫症、結節性硬化症、脳網膜血管芽細胞腫、脳三叉神経症候群、ダウン症候群を含む知的障害をはじめとする中枢神経系の発達障害、脳性麻痺、神経骨格障害、自律神経障害、脳神経障害、脊髄疾患、筋ジストロフィーをはじめとする神経筋障害、末梢神経障害、皮膚筋炎および多発性筋炎、先天性、代謝性、内分泌性および中毒性ミオパチー、重症筋無力症、周期性四肢麻痺、気分障害、不安障害および統合失調症を含む精神障害、季節性感情障害(SAD)、静座不能症、健忘症、緊張病、糖尿病性ニューロパチー、遅発性ジスキネジア、ジストニア、妄想性精神病、帯状疱疹後神経痛、トゥレット症、進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症ならびに家族性前頭側頭型認知症からなる群より選択される。別の実施形態では、本発明の化合物をCNSでの疼痛、例えば特に限定されないが、頭痛および片頭痛などの治療に使用し得る。
【0045】
別の実施形態では、本発明の化合物を適切なローションと組み合わせて、背部痛の局所治療のための医薬製剤として使用し得る。別の実施形態では、本発明の化合物を関節痛の局所治療に使用し得る。
【0046】
これより、本発明の化合物を調製する工程について記載する。これらの工程は本発明のさらなる態様を構成する。
【0047】
式1の化合物は、RおよびRが上で定義される通りである式12
【化18】
の化合物を適切な還元剤で還元することによって調製され得る。
【0048】
例えば、Rが本明細書で定義される通りであり、R
【化19】
を表し、RがC1〜4アルキル基、(C1〜4アルコキシ)(C2〜4アルキル)基またはC3〜7シクロアルキル基を表す式1の化合物は、式12の化合物を適切な還元剤で還元した後、適切なアルデヒドまたはケトンで還元的にアミノ化することによって調製され得る。適切な試薬は、例えば周囲温度〜還流温度の適切な温度で、適切な溶媒中の、例えばエタノールなどの水性アルコール中の、鉄粉と塩化アンモニウムを含む。適切なアルデヒドまたはケトン存在下で適切な還元剤を用いるさらなる還元的アミノ化は、例えば、周囲温度で、ジクロロエタンなどの適切な塩素化溶媒またはエーテル溶媒中での水素化ホウ素ナトリウムの使用を含む。
【0049】
が本明細書で定義される通りであり、R
【化20】
を表し、Rが水素を表す式1の化合物は、ある温度、例えば周囲温度〜還流温度の温度にて、水性エタノールなどの溶媒中で、鉄粉と塩化アンモニウムなどの適切な還元剤により式12の化合物を還元することによって調製され得る。粗生成物に保護基を加えて式13
【化21】
の中間化合物を作製することを用いて精製を容易にした後、酸性条件下で脱保護を実施できる。適切な保護基としては、適切な塩基および溶媒の存在下でジ−tert−ブチルジカルボナートと反応させることによって得られるtert−ブトキシカルボニル基が挙げられる。適切な塩基の例としては、周囲温度〜還流温度の温度での、水性エーテル溶媒、例えば水性テトラヒドロフランなどの適切な溶媒中のN,N−ジイソプロピルエチルアミンまたはトリエチルアミンが挙げられる。脱保護は、適切な溶媒中の塩酸またはトリフルオロ酢酸などの強酸、例えば、ジクロロメタン中のトリフロウロ酢酸(triflouroacetic acid)を用いて実施できる。
【0050】
およびRが本明細書で定義される通りであり、R
【化22】
を表す式1の化合物は、適切な溶媒中、例えばメタノール中で、0℃〜周囲温度の温度にて、塩化ニッケル(II)六水和物の存在下、式12の化合物を適切な還元剤、例えば水素化ホウ素ナトリウムと反応させることによって調製され得る。
【0051】
がアルキルまたはシクロアルキルを表す式1の化合物は、例えば適切なアルデヒドまたはケトン化合物と、水素化ホウ素ナトリウム、シアノ水素化ホウ素ナトリウムまたはナトリウムトリアセトキシボロヒドリドなどの適切な還元剤とで処理することによって、Rが水素を表す式1の化合物の還元的アミノ化により一般に調製され得る。例えば、アセトアルデヒドを用いると、Rがエチル基である化合物が生成する。またはシクロペンタノンを用いると、Rがシクロペンチル基である化合物が生成する。
【0052】
式1の化合物は、Rが保護基、例えばCOOC(CHで置換されている式1の化合物から保護基を除去することによっても一般に調製され得、保護基は適切な酸、例えば塩酸またはトリフルオロ酢酸との反応によって除去され得る。
【0053】
式1の化合物の鏡像異性体は、例えば、適切なキラル酸またはキラル塩基を有するジアステレオマー塩の形成によって、対応するラセミ体またはジアステレオ異性体混合物を分割することにより調製され得る。適切なキラル酸の例としては、マンデル酸、α−メトキシフェニル酢酸、酒石酸、ナプロキセンまたはモッシャー酸が挙げられる。適切なキラル塩基の例としては、α−メチルベンジルアミン、4−クロロ−α−メチルベンジルアミンまたはエフェドリンが挙げられる。
【0054】
が本明細書で定義される通りであり、R
【化23】
を表す式12の化合物は、ジメチルホルムアミド(DMF)、N−メチルピロリジノン(NPO)またはトルエンなどの溶媒中の、60℃〜120℃の範囲の高温での、ジブチルスズオキシド、ピリジン塩酸塩または塩化アンモニウムなどのよく知られた適切な触媒とともに適切なアジド、例えばナトリウム−アジドまたはトリメチルシリル−アジドを用いる環形成反応によって、Rが本明細書で定義される通りである式6
【化24】
の化合物から調製され得る。
【0055】

【化25】
を表す式12の化合物は、2段階の方法で、式6の化合物を適切な試薬と反応させてオキサジアゾロン部分を生成させることによって調製され得る。例えば、第一段階では、Rが本明細書で定義される通りである式9
【化26】
の中間体を生成するためのヒドロキシルアミンの使用を含み得る。第二の環形成段階は、中間体9を、カルボニル基を組み込む適切な環化試薬と反応させることを含み得る。例えば、適切な試薬としては、カルボニルジイミダゾールまたはホスゲンが挙げられる。カルボニルジイミダゾールによる処理は、1,4−ジオキサンなどの適切なエーテル溶媒中で還流温度にて実施し得る。
【0056】
式9の化合物は、高温にて、例えば100ワットのマイクロ波オーブン内で、式6を水性エタノールなどの適切な溶媒中においてヒドロキシルアミンで処理することによって調製され得る。
【0057】
式6の化合物は、Rが本明細書で定義される通りである式7
【化27】
の化合物をジクロロメタンなどの適切な溶媒中において、周囲温度にて適切な脱水剤、例えばバージェス試薬で処理することによって調製され得る。
【0058】
式7の化合物は、Rが本明細書で定義される通りである式8
【化28】
の化合物を適切なカップリング剤で処理した後、0.88の濃アンモニア水を加えることによって調製され得る。適切なカップリング剤は、適切な塩基、例えばN,N−ジイソプロピルエチルアミン(ヒューニッヒ塩基)またはトリエチルアミン、およびジメチルホルムアミド(DMF)またはN−メチルピロリジノン(NMP)などの溶媒の存在下での1−[ビス(ジメチルアミノ)メチレン]−1H−1,2,3−トリアゾロ[4,5−b]ピリジニウム3−オキシドヘキサフルオロホスファート(HATU)であり得る。
【0059】
式8の化合物は、tert−ブチル2−(3−アルキル−6−(ニトロメチル)ビシクロ[3.2.0]ヘプタ−3−エン−6−イル)アセタート化合物をジクロロメタンまたは1,4−ジオキサンなどの適切な溶媒中で、適切な強酸、例えば塩酸またはトリフルオロ酢酸で処理することによって調製され得る。
【0060】
tert−ブチル2−(3−アルキル−6−(ニトロメチル)ビシクロ[3.2.0]ヘプタ−3−エン−6−イル)アセタート化合物は、米国特許出願公開第2012/0071685号に記載されている通りに調製され得る。
【0061】
式6の化合物は、Rが本明細書で定義される通りである式14
【化29】
の化合物を、適切な塩基、例えば1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(DBU)、およびジクロロメタンなどの溶媒の存在下でニトロメタンと反応させることによっても調製され得る。
【0062】
式14の化合物は、Rが本明細書で定義される通りである式15
【化30】
の化合物を、、0℃〜周囲温度の範囲の温度にて、例えばテトラヒドロフランのような適切な溶媒中のカリウムtert−ブトキシドなどの適切な塩基の存在下で、適切な二重結合形成試薬で、例えばシアノメチルホスホン酸ジエチルで処理することによって調製され得る。
【0063】
ニトロメチル中間化合物6、7、8、9、10、11および12は、中間体の式16
【化31】
に包含され得、式中、
は、水素、ハロ、C1〜4アルキル基、C1〜4アルキルハライド基、(C1〜4アルコキシ)(C2〜4アルキル)基、C2〜4アルケニル基、C2〜4アルキニル基またはC3〜7シクロアルキル基を表し;
2aは、−R、−CN、−CONH、−COOH、−(C=NH)NHOHを表し;かつ

【化32】
またはその互変異性体を表す。
【0064】
特定の式1の化合物を調製する好ましい工程段階の詳細を、以下のスキーム1〜3に記載する。
【0065】
式4aの化合物の合成は、式6のニトロ−ニトリル中間体を用いて遂行される:(スキーム1)
【化33】
【0066】
式5の化合物の合成は、式6のニトロ−ニトリル中間体を用いて遂行される:(スキーム2)
【化34】
【0067】
式4の化合物(4bとして示される)およびその鏡像異性体の合成は、スキーム3によっても実施され得る。
【化35】
【0068】
式6、7、8、9、10、11、12、13、14および16の特定の中間化合物およびその立体異性体は、新規な化合物であると考えられる。本発明は、式6、式7、式8、式9、式12、式13、式14および式16で示される化学構造を含む化合物ならびに以下で特定される具体的な化合物の中間体のあらゆる立体異性体も企図する。
【0069】
【化36】
【0070】
新規な化合物はいずれも、本発明のさらなる態様として特許請求される。
【実施例】
【0071】
以下の非限定的な実施例により本発明を説明する。
【0072】
実施例1:式3の化合物の合成
ラセミ3−(((1R,5S,6S)−6−(アミノメチル)−3−エチルビシクロ[3.2.0]ヘプタ−3−エン−6−イル)メチル)−1,2,4−オキサジアゾール−5(4H)−オンの合成
【化37】
【0073】
段階1(式8の化合物)
ラセミ2−((1R,5S,6S)−3−エチル−6−ニトロメチル)ビシクロ[3.2.0]ヘプタ−3−エン−6−イル)酢酸
【化38】
tert−ブチル2−(3−エチル−6−(ニトロメチル)ビシクロ[3.2.0]ヘプタ−3−エン−6−イル)アセタート(1.8g、6.09mmol)[調製については米国特許出願公開第2012/0071685(A1)号、実施例5−dに記載されている]のジクロロメタン(20ml)溶液にトリフルオロ酢酸(20ml)を加え、混合物を1時間静置した。溶媒を除去し、残渣をトルエン(100ml)に再溶解して蒸発乾固させ、この手順を5回繰り返して、2−(3−エチル−6−(ニトロメチル)ビシクロ[3.2.0]ヘプタ−3−エン−6−イル)酢酸(1.4g、5.62mmol、収率92%)を無色の油として得た。
【0074】
LCMS(Agilent、X−Select、Waters X−Select C18、2.5μm、4.6×30mm、酸性(0.1%ギ酸)4分間法、5〜95%アセトニトリル/水):m/z;238(M−H)(ES)、2.21分、215nmにおける純度93%。
【0075】
H NMR(400MHz,DMSO−d6):δ12.25(1H,s),5.26(1H,d,J=2.0),4.87(2H,d,J=1.6),3.13(1H,br.s),2.85(1H,quin,J=7.5),2.46−2.32(3H,m),2.21(1H,ddd,J=12.5,8.8,2.5),2.11(2H,q,J=7.4),2.03(1H,br.d,J=16.5),1.46(1H,dd,J=11.3,7.3),1.04(3H,t,J=7.4)ppm。(トルエンも存在していた:7.26−7.23(0.3H,m),7.18−7.12(0.45H,m),2.30(0.45H,m))。
【0076】
段階2(式7の化合物)
ラセミ2−((1R,5S,6S)−3−エチル−6−(ニトロメチル)ビシクロ[3.2.0]ヘプタ−3−エン−6−イル)アセトアミド
【化39】
2−(3−エチル−6−(ニトロメチル)ビシクロ[3.2.0]ヘプタ−3−エン−6−イル)酢酸(2.5g、10.45mmol)の乾燥ジメチルホルムアミド(10ml)溶液にヒューニッヒ塩基(2.74ml、15.67mmol)、次いでHATU(4.37g、11.49mmol)を加えた。混合物を室温で10分間攪拌した後、氷水で冷却した。この冷却した攪拌溶液に0.88のアンモニア水溶液(6.46ml、104mmol)を加えた。次いで、反応混合物を室温まで温め、さらに1時間攪拌した。回転蒸発により溶媒を除去し、残渣を酢酸エチル中に溶かし、水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させた。粗生成物をシリカクロマトグラフィー(40gシリカカラム、溶媒勾配20〜100%エーテル:イソヘキサン)により精製して、2−(3−エチル−6−(ニトロメチル)ビシクロ[3.2.0]ヘプタ−3−エン−6−イル)アセトアミド(2.3g、9.46mmol、収率91%)を無色透明のゴム状物質として得た。
【0077】
LCMS(Agilent、X−Select、Waters X−Select C18、2.5μm、4.6×30mm、酸性(0.1%ギ酸)4分間法、5〜95%アセトニトリル/水):m/z 239(M+H)+(ES+);237(M−H)−(ES−)、1.949分。
【0078】
H NMR(400MHz,DMSO−d6):δ7.28(1H,br.s),6.77(1H,br.s),5.27(1H,d,J=2.2),4.88(2H,dd,J=22.3,12.3),3.12(1H,br.s),2.85−2.78(1H,m),2.46−2.39(1H,m),2.24(1H,br.d,J=1.4),2.19(1H,ddd,J=12.4,8.8,2.6),2.11(2H,q,J=7.5),2.00(1H,br.d,J=16.8),1.42(1H,dd,J=12.5,7.4),1.05(3H,t,J=7.4)ppm。(DCMも存在していた:5.87(0.9H,s))
【0079】
段階3(式6の化合物)
ラセミ2−((1R,5S,6S)−3−エチル−6−(ニトロメチル)ビシクロ[3.2.0]ヘプタ−3−エン−6−イル)アセトニトリル
【化40】
氷冷したラセミ2−((1R,5S,6S)−3−エチル−6−(ニトロメチル)ビシクロ[3.2.0]ヘプタ−3−エン−6−イル)アセトアミド(0.8g、3.36mmol)の乾燥ジクロロメタン(20ml)溶液にバージェス試薬(0.880g、3.69mmol)を一部ずつ20分かけて加え、混合物を室温まで温め、3時間攪拌した。反応混合物を体積が半分になるまで蒸発させ、シリカカートリッジに通し、Companionでのクロマトグラフィー(40gカラム、0〜60%エーテル:イソヘキサン)により精製して、ラセミ2−((1R,5S,6S)−3−エチル−6−(ニトロメチル)ビシクロ[3.2.0]ヘプタ−3−エン−6−イル)アセトニトリル(501mg、2.23mmol、収率66.4%)を無色透明の油として得た。
【0080】
LCMS(Agilent、X−Select、Waters X−Select C18、2.5μm、4.6×30mm、酸性(0.1%ギ酸)4分間方法、5〜95%アセトニトリル/水):m/z 221(M+H)+(ES+);219(M−H)−(ES−)、2.34。
【0081】
H NMR(400MHz,DMSO−d6):δ5.33(1H,d,J=2.0),4.87(2H,d,J=1.9),3.17(1H,br.s),2.93−2.85(1H,m),2.65(2H,br.s),2.49−2.43(1H,m),2.23(1H,ddd,J=12.5,8.8,2.5),2.16−2.05(3H,m),1.56(1H,dd,J=12.6,7.2),1.07(3H,t,J=7.4)ppm。
【0082】
段階4(式9の化合物)
ラセミ2−((1R,5S,6S)−3−エチル−6−(ニトロメチル)ビシクロ[3.2.0]ヘプタ−3−エン−6−イル)−N−ヒドロキシアセトイミドアミド
【化41】
ヒドロキシルアミンの水溶液(50%水溶液)(543μl、8.85mmol)とラセミ2−((1R,5S,6S)−3−エチル−6−(ニトロメチル)ビシクロ[3.2.0]ヘプタ−3−エン−6−イル)アセトニトリル(650mg、2.95mmol)のエタノール(10ml)溶液の混合物を100ワットのCEMマイクロ波で2時間、85℃で加熱した。反応混合物を蒸発乾固させ、残渣を酢酸エチル中に溶かし、水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させた。ろ過し、蒸発させて、ラセミ2−((1R,5S,6S)−3−エチル−6−(ニトロメチル)ビシクロ[3.2.0]ヘプタ−3−エン−6−イル)−N−ヒドロキシアセトイミドアミド(530mg、1.883mmol、収率63.8%)を無色の油として得、これをそれ以上精製せずに使用した。
【0083】
LCMS(Agilent、X−Select、Waters X−Select C18、2.5μm、4.6×30mm、酸性(0.1%ギ酸)4分間法、5〜95%アセトニトリル/水):m/z 254(M+H)+(ES+);1.25分。
【0084】
H NMR(400MHz,DMSO−d6):δ8.92(1H,s),5.36−5.35(1H,m),5.26(2H,br.s),4.96(1H,d,J=12.8),4.83(1H,d,J=12.8),3.13(1H,br.s),2.77(1H,quin,J=7.5),2.41(1H,dd,J=16.4,8.2),2.20−2.09(5H,m),2.02(1H,d,J=16.0),1.53(1H,dd,J=12.4,7.4),1.06(3H,t,J=7.4)ppm。
【0085】
段階5(式11の化合物)
ラセミ3−(((1R,5S,6S)−3−エチル−6−(ニトロメチル)ビシクロ[3.2.0]ヘプタ−3−エン−6−イル)メチル)−1,2,4−オキサジアゾール−5(4H)−オン
【化42】
ラセミ2−((1R,5S,6S)−3−エチル−6−(ニトロメチル)ビシクロ[3.2.0]ヘプタ−3−エン−6−イル)−N−ヒドロキシアセトイミドアミド(520mg、2.053mmol)とカルボニルジイミダゾール(666mg、4.11mmol)の混合物のジオキサン(30mL)溶液を還流下で2時間加熱した。反応混合物を蒸発乾固させ、残渣を水(50ml)に溶かし、この溶液を1N HCLで慎重に酸性化した。水性混合物をエーテル中に抽出し、硫酸ナトリウムで乾燥させた。粗生成物をシリカクロマトグラフィー(12gカラム、溶媒:エーテル)により精製して、ラセミ3−(((1R,5S,6S)−3−エチル−6−(ニトロメチル)ビシクロ[3.2.0]ヘプタ−3−エン−6−イル)メチル)−1,2,4−オキサジアゾール−5(4H)−オン(195mg、0.684mmol、収率33.3%)を無色のゴム状物質として得た。
【0086】
LCMS(Agilent、X−Select、Waters X−Select C18、2.5μm、4.6×30mm、塩基性(0.1%炭酸水素アンモニウム)4分間法、5〜95%アセトニトリル/水):278(M−H)(ES)、1.58分、215nmにおける純度98%。
【0087】
H NMR(400MHz,DMSO−d6):δ12.12(1H,s),5.35(1H,q,J=1.9),4.88(2H,q,J=13.5),3.16(1H,br.s),2.8791H,quin,J=7.5),2.66(2H,d,J=1.4),2.44(1H,dd,J=16.6,7.8),2.17−2.09(3H,m),2.06−2.02(1H,m),1.62(1H,dd,J=12.5,7.4),1.06(3H,t,J=7.5)。エーテルが存在し、3.4ppmにおいて1.06でのシグナルおよび水のシグナルと重なり合っている。
【0088】
13C NMR(100MHz,DMSO−d6):δ159.44,157.15,150.69,120.63,80.09,52.17,42.75,41.80,35.38,30.19,28.46,23.87,12.25ppm。
【0089】
段階6(式3の化合物)
ラセミ3−(((1R,5S,6S)−6−(アミノメチル)−3−エチルビシクロ[3.2.0]ヘプタ−3−エン−6−イル)メチル)−1,2,4−オキサジアゾール−5(4H)−オン
【化43】
メタノール(40ml)中のラセミ3−(((1R,5S,6S)−3−エチル−6−(ニトロメチル)ビシクロ[3.2.0]ヘプタ−3−エン−6−イル)メチル)−1,2,4−オキサジアゾール−5(4H)−オン(286mg、1.024mmol)および塩化ニッケル(II)・6HO(24.34mg、0.102mmol)の氷冷した溶液に、水素化ホウ素ナトリウム(387mg、10.24mmol)を一部ずつ15分間かけて加えた。添加終了後、反応混合物を室温まで温めた。反応混合物に酢酸(1ml)を慎重に加えて反応を停止させ、混合物を蒸発乾固させた。残渣をメタノール中に溶かし、シリカのプラグに通し、溶離物を蒸発乾固させて、オフホワイトの固体を得た。粗生成物を分取HPLC(Waters社、酸性(0.1%ギ酸)、酸性、Waters X−Select Prep−C18、5μm、19×50mmカラム、25〜70%アセトニトリル水溶液)により精製し、凍結乾燥した後、ラセミ3−(((1R,5S,6S)−6−(アミノメチル)−3−エチルビシクロ[3.2.0]ヘプタ−3−エン−6−イル)メチル)−1,2,4−オキサジアゾール−5(4H)−オン(8.0mg,0.031mmol、収率3.07%)を無色の固体として得た。
【0090】
LCMS(Agilent、X−Select、Waters X−Select C18、2.5μm、4.6×30mm、酸性(0.1%ギ酸)4分間法、5〜95%アセトニトリル/水):m/z 250(M+H)(ES);248(M−H)(ES)、1.143分、215nmにおける純度100%。
【0091】
H NMR(400MHz,DMSO−d6):δ8.27(0.5H,s),5.33(1H,d,J=1.5),3.11(1H,d,J=13.1),3.04(1H,J=13.1),2.97(1H,br.s),2.76(1H,quin,J=7.5),2.44−2.34(3H,m),2.12(2H,q,J=7.4),2.03−1.97(2H,m),1.31(1H,dd,J=12.2,7.4),1.05(3H,t,J=7.4)ppm。
【0092】
13C NMR(100MHz,DMSO−d6):δ170.67,165.86,149.09,121.20,51.92,46.98,42.62,41.81,34.69,32.98,30.35,24.11,12.64ppm。
【0093】
実施例2:式2の化合物の合成
ラセミ((1R,5S,6S)−6−((1H−テトラゾール−5−イル)メチル)−3−エチルビシクロ[3.2.0]ヘプタ−3−エン−6−イル)メタンアミンおよび鏡像異性体の合成
【化44】
【0094】
段階1(式10の化合物)
ラセミ5−(((1R,5S,6S−3−エチル−6−(ニトロメチルビシクロ[3.2.0]ヘプタ−3−エン−6−イル)メチル)−1H−テトラゾール
【化45】
ラセミ2−((1R,5S,6S)−3−エチル−6−(ニトロメチル)ビシクロ[3.2.0]ヘプタ−3−エン−6−イル)アセトニトリル(280mg、1.271mmol)(調製については式3の化合物の段階3に記載されている)の乾燥トルエン(5ml)溶液にアジドトリメチルシラン(675μl、5.08mmol)およびジブチルスズオキシド(63.3mg、0.254mmol)を加え、混合物を電力100ワット、温度110℃のCEMマイクロ波オーブンで1時間加熱した。上記の工程を11回繰り返し、粗反応混合物を合わせた。合わせた反応混合物を蒸発乾固させ、残渣を0.1N水酸化ナトリウム溶液(10ml)中に溶かし、エーテル(2×20ml)で洗浄し、水層を分離し、1N塩酸で酸性化した。次いで、粗生成物を再びエーテル中に逆抽出し、硫酸ナトリウムで乾燥させた。ろ過し、蒸発させて固体を得、これをCompanionでのクロマトグラフィー(4gカラム、溶媒勾配:10〜70%エーテル:イソヘキサン)により精製して、ラセミ5−(((1R,5S,6S)−3−エチル−6−(ニトロメチル)ビシクロ[3.2.0]ヘプタ−3−エン−6−イル)メチル)−1H−テトラゾール(1.81g、5.50mmol、収率39%)を無色の固体として得た。
【0095】
LCMS(Agilent、X−Select、Waters X−Select C18、2.5μm、4.6×30mm、酸性(0.1%ギ酸)4分間法、5〜95%アセトニトリル/水):m/z 264(M+H)(ES);262(M−H)(ES)、2.05分、210nmにおける純度98%。
【0096】
H NMR(400MHz,DMSO−d6):δ16.12(1H,br.s),5.37(1H,d,J=1.0),4.80(2H,s),3.22(1H,br.s),3.02(2H,s),2.92−2.84(1H,m),2.50−2.44(1H,m),2.18−2.05(4H,m),1.64(1H,dd,J=12.4,7.4),1.06(3H,t,J=7.4)ppm。
【0097】
段階2(式13の化合物)
ラセミtert−ブチル(((1R,5S,6S)−6−((1H−テトラゾール−5−イル)メチル)−3−エチルビシクロ[3.2.0]ヘプタ−3−エン−6−イル)メチル)カルバマート
【化46】
エタノール(50ml)と水(15ml)の溶媒中のラセミ5−(((1R,5S,6S)−3−エチル−6−(ニトロメチル)ビシクロ[3.2.0]ヘプタ−3−エン−6−イル)メチル)−1H−テトラゾール(400mg、1.519mmol)の溶液に、鉄粉(848mg、15.19mmol)および塩化アンモニウム(488mg、9.12mmol)を加えた。混合物を攪拌し、1時間、加熱還流した。反応混合物を冷却し、セライトのパッドでろ過し、エタノールで十分に洗浄し、ろ液を蒸発乾固させた。上記の残渣を水(20ml)とテトラヒドロフラン(60ml)の混合物に溶かし、この溶液にジ−tert−ブチルジカルボナート(2.8g、12.86mmol)およびトリエチルアミン(1.79ml、12.86mmol)を加えた後、40℃で加熱し1時間攪拌した。反応混合物を体積が半分になるまで蒸発させ、残留物に10%クエン酸水溶液を加えて酸性化した。次いで、粗生成物を酢酸エチル中に抽出し、有機層を分離し、水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させた。粗生成物をシリカクロマトグラフィー(12gカラム、溶媒勾配0〜70%エーテル:イソヘキサン)により精製して、ラセミtert−ブチル(((1R,5S,6S)−6−((1H−テトラゾール−5−イル)メチル)−3−エチルビシクロ[3.2.0]ヘプタ−3−エン−6−イル)メチル)カルバマート(380mg、1.140mmol、収率89%)を無色透明のゴム状物質として得た。
【0098】
LCMS(Agilent、X−Select、Waters X−Select C18、2.5μm、4.6×30mm、酸性(0.1%ギ酸)4分間法、5〜95%アセトニトリル/水):m/z 334(M+H)(ES);332(M−H)(ES)、2.34分、210nmにおける純度98%。
LCMS(Agilent、X−Select、Waters X−Bridge C18、2.5μm、4.6×30mm、塩基性(0.1%炭酸水素アンモニウム)4分間法、5〜95%アセトニトリル/水):m/z 334(M+H)(ES);332(M−H)(ES)、1.51分、215nmにおける純度98%。
【0099】
H NMR(400MHz,CDOD):δ6.96(1H,t,J=5.8),5.43(1H,br.s),3.27−3.15(2H,m),3.11(1H,br.s),2.99(1H,d,J=14.9),2.89(1H,d,J=14.9),2.84−2.76(1H,m),2.51(1H,dd,J=16.4,7.8),2.17(2H,q,J=7.4),2.07(1H,br.d,J=16.4),1.90(1H,ddd,J=11.8,8.7,2.6),1.56(1H,dd,J=12.1,7.3),1.46(7H,s,Bu(主要回転異性体)),1.44(2H,s,Bu(副次的回転異性体)),1.11(3H,t,J=7.5)ppm。(ジクロロメタンも存在していた:5.49(0.5H,s))
【0100】
段階3(式2の化合物)
ラセミ((1R,5S,6S)−6−((1H−テトラゾール−5−イル)メチル)−3−エチルビシクロ[3.2.0]ヘプタ−3−エン−6−イル)メタンアミン
【化47】
ラセミtert−ブチル(((1R,5S,6S)−6−((1H−テトラゾール−5−イル)メチル)−3−エチルビシクロ[3.2.0]ヘプタ−3−エン−6−イル)メチル)カルバマート(1.3g、3.90mmol)のジクロロメタン(50ml)溶液にトリフルオロ酢酸(30ml、389mmol)を加え、混合物を室温で30分間静置した。
【0101】
混合物を蒸発乾固させ、残渣をトルエン(60ml)に再溶解し、蒸発乾固させ、この手順を3回繰り返した。残渣を1:1のメタノール/水(30m)に溶かした。この溶液をDowex(登録商標)50WX8水素型100−200メッシュイオン交換樹脂(10g)に通した。溶離物が中性になるまで樹脂を水で洗浄して溶離させた。次いで、2Nのアンモニアのメタノール溶液を用いて生成物を溶離させ、蒸発させた後、無色のゴム状物質を得た。この残渣をアセトニトリル(13ml)で研和して、ラセミ((1R,5S,6S)−6−((1H−テトラゾール−5−イル)メチル)−3−エチルビシクロ[3.2.0]ヘプタ−3−エン−6−イル)メタンアミンを無色の固体(365mg、1.50mmol、38.5%)として得た。
【0102】
LCMS(Agilent、X−Select、Waters X−Select C18、2.5μm、4.6×30mm、酸性(0.1%ギ酸)4分間法、5〜95%アセトニトリル/水):m/z 234(M+H)(ES);232(M−H)(ES)、1.01分。
【0103】
LCMS(Agilent、X−Select、Waters X−Bridge C18、2.5μm、4.6×30mm、塩基性(0.1%炭酸水素アンモニウム)4分間法、5〜95%アセトニトリル/水):,m/z 234(M+H)(ES);232(M−H)(ES)、1.21分。
【0104】
H NMR(400MHz,CDOD):δ5.40(1H,d,J=1.8),3.15(3H,m),3.05(1H,d,J=15.3),2.94(1H,d,J=15.3),2.83(1H,m),2.52(1H,br.dd,J=16.4,7.8),2.19(2H,q,J=7.8),2.10(1H,br.d),1.93(1H,ddd,J=12.4,8.7,2.7),1.64(1H,dd,J=12.6,7.5),1.13(3H,t,7=7.4)ppm。
【0105】
13C NMR(100MHz,CDOD):δ159.86,151.60,122.57,53.69,47.96,44.73,43.03,36.87,30.21,25.40,12.84ppm。
【0106】
段階4
ラセミ((1R,5S,6S)−6−((1H−テトラゾール−5−イル)メチル)−3−エチルビシクロ[3.2.0]ヘプタ−3−エン−6−イル)メタンアミンの鏡像異性体のキラル分割
【化48】
Diacel Chiralpak IC、5μm、20×250mm、15ml/分、50%エタノール:50%イソヘキサンを用いて、ラセミ((1R,5S,6S)−6−((1H−テトラゾール−5−イル)メチル)−3−エチルビシクロ[3.2.0]ヘプタ−3−エン−6−イル)メタンアミン(155mg)を分割した。蒸発後、保持時間9.91分のピーク1(32mg)および保持時間18.91分のピーク2(28mg)の画分が得られた。
【0107】
分析キラルクロマトグラフィー:Diacel Chiralpak IC、5μm、4.6×250mm、30分間法、1.5ml/分、30%エタノール:70%イソヘキサン、215nmにおいてピーク1の保持時間9.49分%、ピーク2の保持時間19.41分。
【0108】
実施例3:式2の化合物の合成
ラセミN−(((1R,5S,6S)−6−((1H−テトラゾール−5−イル)メチル)−3−エチルビシクロ[3.2.0]ヘプタ−3−エン−6−イル)メチル)エタンアミンの合成
【化49】
ラセミ((1R,5S,6S)−6−((1H−テトラゾール−5−イル)メチル)−3−エチルビシクロ[3.2.0]ヘプタ−3−エン−6−イル)メタンアミン(式2の化合物)(50mg、0.214mmol)の乾燥ジクロロエタン(10ml)懸濁液にアセトアルデヒド(121μl、2.143mmol)を加え、混合物を20分間攪拌し、その間に溶液が透明になった。回転蒸発により溶媒を除去し、残渣をエタノール(10ml)中に溶かし、この溶液に水素化ホウ素ナトリウム(81mg、2.143mmol)を加え、混合物を20分間攪拌した。1N塩酸の滴加により反応混合物をpH1に酸性化し、得られた混合物を蒸発乾固させた。粗生成物を分取HPLC(Waters社、Basic(0.1%炭酸水素アンモニウム)、Basic、Waters X−Bridge Prep−C18、5μm、19×50mmカラム、20〜50%アセトニトリル水溶液)により精製して、N−(((1R,5S,6S)−6−((1H−テトラゾール−5−イル)メチル)−3−エチルビシクロ[3.2.0]ヘプタ−3−エン−6−イル)メチル)エタンアミン(24mg,0.090mmol、収率42.0%)を無色の固体として得た。
【0109】
LCMS(Agilent、Basic、Waters X−Bridge C18、2.5μm、4.6×30mm、Basic(0.1%炭酸水素アンモニウム)4分間法、5〜95%アセトニトリル/水):m/z 262(M+H)(ES);260(M−H)(ES)、1.32分、215nmにおける純度98%。
【0110】
H NMR(400MHz,CDOD):δ5.35(1H,d,J=1.8),3.25(2H,dd,J=16.0,13.0),3.18−3.12(3H,m),3.08(1H,d,J=15.5),2.99(1H,d,J=15.5),2.88(1H,quin,J=7.4),2.52(1H,dd,J,=16.4,7.8),2.21−2.16(2H,m),2.10(1H,d,J=16.4),1.99(1H,ddd,J=12.4,8.7,2.7),1.60(1H,dd,J=12.4,7.5),1.40(3H,t,J=7.3),1.12(3H,t,J=7.4)ppm。
【0111】
13C NMR(100MHz,CDOD):δ160.10,151.80,122.38,56.59,53.89,45.05,44.50,42.99,37.25,31.93,31.08,25.39,12.80,11.53ppm。
【0112】
実施例4:化合物10を調製する代替経路
段階1(式14の化合物)
ラセミ(2E/Z)−2−((1R,5S)−3−エチル−6−ビシクロ[3.2.0]ヘプタ−3−エニリデン)アセトニトリル
【化50】
テトラヒドロフラン(45mL)で希釈し0℃に冷却した1.78Mカリウムtert−ブトキシドのテトラヒドロフラン(64mL、113.9mmol)溶液にシアノメチルホスホン酸ジエチル(21.16g、119mmol)を加えた。反応混合物を0℃で10分間攪拌し、室温まで温め、さらに30分間攪拌した。混合物を均圧滴下漏斗に移し、0℃のラセミ(1R,5S)−3−エチルビシクロ[3.2.0]ヘプタ−3−エン−6−オン(14.8g、109mmol)のテトラヒドロフラン(140mL)溶液に滴加した。混合物を室温まで温め、18時間攪拌した。混合物を飽和塩化アンモニウム水溶液(100mL)および酢酸エチル(200mL)で希釈し、層を分離した。水層を酢酸エチル(50mL)で抽出し、合わせた有機層をブライン(50mL)で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させた。ろ過後の残渣をシリカでのクロマトグラフィー(2.5%酢酸エチル:イソヘキサン)により精製して、ラセミ(2E)−2−((1R,5S)−3−エチル−6−ビシクロ[3.2.0]ヘプタ−3−エニリデン)アセトニトリルをE/Z異性体の混合物として得た(14.45g、84%)。
【0113】
LCMS(Agilent、Waters SunFire C18、4.6×30mm、ギ酸、アセトニトリル水):m/z 160.2(M+H)+ES+、2.88分。
【0114】
1H NMR(400MHz,CDC13):アルケン異性体の約60:40の混合物δ5.43(0.4H,m),5.23(0.6H,m),5.09(0.6H,m),4.98(0.4H,m),4.12(0.4H,br s),3.93(0.6H,br s),3.19−2.90(2H,m),2.74−2.46(2H,m),2.29−2.07(2H,m),1.14−1.06(3H,m)。
【0115】
段階2(式6の化合物)
ラセミ2−((1R,5S,6S)−3−エチル−6−(ニトロメチル)ビシクロ[3.2.0]ヘプタ−3−エン−6−イル)アセトニトリル
【化51】
(1R,5S)−3−エチルビシクロ[3.2.0]ヘプタ−3−エン−6−オン(9.59g、60.3mmol)のニトロメタン(75mL、84.6g、1.38mol)溶液に1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(10mL、10.2g、66.9mmol)を窒素下で加え、混合物を室温で18時間攪拌した。反応混合物をオルトリン酸二水素カリウム(400mL)の5%水溶液に注加し、酢酸エチル(300mL)を加えた。層を分離し、さらに水層を酢酸エチル(2×150mL)で抽出した。合わせた有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させ、蒸発させて、粗生成物を得、それまでに半分の規模で実施した反応の粗生成物と合わせた。残渣をシリカでのクロマトグラフィー(5〜10%酢酸エチル:イソヘキサン)により精製して、ラセミ2−((1R,5S,6S)−3−エチル−6−(ニトロメチル)ビシクロ[3.2.0]ヘプタ−3−エン−6−イル)アセトニトリル(16.5g、75mmol、収率83%)をジアステレオ異性体の約2:1の混合物として得た。主要ジアステレオ異性体のデータ。
【0116】
LCMS(Agilent、Waters SunFire C18、4.6×30mm、酸性(0.05%ギ酸、6分間法、3〜97%アセトニトリル/水):m/z 221(M+H)(ES)、2.79分。
【0117】
1H NMR(400MHz,DMSO−d6):δ5.32(1H,d,J=2.1),4.87(2H,s),3.16(1H,br.s),2.97−2.82(1H,m),2.65(2H,s),2.48−2.40(1H,m),2.23(1H,ddd,J=12.4,8.8,2.5),2.16−2.02(3H,m),1.56(1H,dd,J=12.5,7.2),1.07(3H,t,J=7.5)ppm。
【0118】
段階3(式10の化合物)
ラセミ5−(((1R,5S,6S−3−エチル−6−(ニトロメチル−6−ビシクロ[3.2.0]ヘプタ−3−エニル)メチル)−1H−テトラゾール
【化52】
ラセミ2−((1R,5S,6S)−3−エチル−6−(ニトロメチル)ビシクロ[3.2.0]ヘプタ−3−エン−6−イル)アセトニトリル(200mg、0.909mmol)の乾燥トルエン(4mL)溶液にアジドトリメチルシラン(590μl、4.44mmol)およびジブチルスズオキシド(113mg、0.45mmol)を加えた。容器を密閉し、18時間、110℃に加熱した。混合物を室温まで冷却し、水(20mL)と酢酸エチル(20mL)との間で分配した。有機層を2M水酸化ナトリウム溶液(20mL)で処理し、水層を分離した後、濃塩酸でpH約1に酸性化した。酸性の水層を酢酸エチル(2×20mL)で再抽出し、合わせた有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させた。ろ過し、蒸発させて、粗生成物を得、シリカでのクロマトグラフィー(50%エーテル:イソヘキサン)により精製して、ラセミ5−(((1R,5S,6S)−3−エチル−6−(ニトロメチル)−6−ビシクロ[3.2.0]ヘプタ−3−エニル)メチル)−1H−テトラゾール(10mg、0.038mmol、収率4%)を得た。
【0119】
LCMS(Agilent、Waters SunFire C18、4.6×30mm、酸性(0.05%ギ酸、6分間法、3〜97%アセトニトリル/水):m/z 264(M+H)+(ES+);262(M−H)−(ES−)、2.35分。
【0120】
1H NMR(400MHz,DMSO−d6):δ11.09(1H,br.s),5.37(1H,d,J=1.2),4.80(2H,s),3.22(1H,br.s),3.01(2H,s),2.93−2.81(1H,m),2.50−2.40(1H,m),2.19−2.05(4H,m),1.63(1H,dd,J=12.5,7.5),1.05(3H,t,J=7.6)ppm。
【0121】
段階3(式10の化合物)の代替条件
ラセミ5−(((1R,5S,6S−3−エチル−6−(ニトロメチル−6−ビシクロ[3.2.0]ヘプタ−3−エニル)メチル−1H−テトラゾール
ラセミ2−((1R,5S,6S)−3−エチル−6−(ニトロメチル)ビシクロ[3.2.0]ヘプタ−3−エン−6−イル)アセトニトリル(170mg、0.772mmol)の1−メチル−2−ピロリジノン(2.7mL)溶液にピリジン塩酸塩(180mg、1.57mmol)およびアジ化ナトリウム(263mg、4.04mmol)を加えた。フラスコを窒素下で18時間、100℃に加熱した。次いで、さらに4時間、フラスコの温度を117〜120℃に上昇させた後、室温まで冷却させた。混合物を水(20mL)中に注加し、2M塩酸水溶液で慎重に酸性化した。水層を酢酸エチル(2×20mL)で抽出した後、有機層を2M水酸化ナトリウム水溶液(1×20mL、1×10mL)とともに振盪した。次いで、合わせた水層を濃塩酸でpH約1に酸性化し、酢酸エチル(3×20mL)で再抽出した。合わせた有機層を水(10mL)で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させた。ろ過し、蒸発させて、粗生成物を得、シリカでのクロマトグラフィー(7gシリカ、ジエチルエーテル:イソヘキサン:酢酸(200:300:8))により精製して、ラセミ5−(((1R,5S,6S)−3−エチル−6−(ニトロメチル)−6−ビシクロ[3.2.0]ヘプタ−3−エニル)メチル)−1H−テトラゾール(81mg、0.304mmol、収率40%)を得た。
【0122】
LCMS(Agilent、Waters SunFire C18、4.6×30mm、酸性(0.05%ギ酸、6分間法、3〜97%アセトニトリル/水):m/z 264(M+H)(ES);262(M−H)(ES)、2.35分。1H NMR(400MHz,DMSO−d6):δ16.10(1H,br.s),5.34(1H,d,J=1.4),4.80(2H,s),3.22(1H,br.s),3.02(2H,s),2.94−2.81(1H,m),2.48−2.40(1H,m),2.19−2.05(4H,m),1.64(1H,dd,J=12.5,7.4),1.05(3H,t,J=7.4)ppm。
【0123】
実施例5
αδ−1結合親和性アッセイにより本発明の化合物の治療活性が示された。この試験は以下の方法で実施した。
【0124】
カルシウムチャネルαδ−1サブユニット結合アッセイ
この節では、αδ−1を含む膜への[H]ガバペンチン([H]GBP)結合を測定するシンチレーション近接アッセイ(SPA)および化合物のプロファイリングへのその使用について記載する(Calvoら(2012)J.Biomol.Screen.17:1041−1049)。
【0125】
ヒトCavl.2/β3/αδ−1カルシウムチャネル膜(Chantest社)を氷上で融解して等分し、のちに使用するために−80℃で保管した。アッセイ緩衝液(10mM HEPES(Sigma社)、(pH7.4))で膜を200μg/ml(最終アッセイ濃度(FAC)3μg/ウェル)に希釈した。[H]GBP(Perkin Elmer社)ストック溶液を−20℃で保管した。[H]GBPをアッセイ緩衝液で40nM(FAC 10nM)に希釈した。SPAビーズ(Perkin Elmer社)を10mM HEPES(pH7.4)中に100mg/mlで再懸濁させた。ビーズをアッセイ緩衝液で40mg/ml(FAC 0.6mg/ウェル)に希釈した。過剰のプレガバリン(Tocris社)を用いて非特異的結合(NSB)を生じさせた。プレガバリンをMilli−Q HOに10mMで可溶化させた。10mMのプレガバリンをアッセイ緩衝液で400μΜ(FAC 100μΜ)に希釈した。化合物を100μΜに希釈し、次いで半対数希釈した。次いで、これらをアッセイ緩衝液で1:100に希釈して4×アッセイ濃度にした(最高希釈FAC 1μΜ)。SPAビーズ15μl;膜15μl;プレガバリンまたはアッセイ緩衝液/被験化合物15μlおよび[]GBP 15μlを白色の96ウェルisoplate(Perkin Elmer社)に加えた。アッセイプレートを密閉し、プレート振盪機で10秒間混合した後、プレートラックに入れ、リーダースタッカ―中に差し込んだ。プレートを一晩(20時間)インキュベートした後、1450 MicroBeta TriLux Microplate Scintillation and Luminescence Counterで周囲室温(RT)にて読み取った。
【0126】
データ解析
化合物で得られた値から100μΜプレガバリンの添加によって得られたNSB値を減じて、特異的結合値を求めた。カウント毎分(cpm)で表した特異的結合を化合物濃度(M)に対してプロットし、4パラメータロジスティック方程式を用いてフィットさせた。化合物が特異的結合を50%阻害するときの化合物の濃度であるIC50値を算出した。被験化合物の結果を表1に示す。
【0127】
【表1】
【0128】
実施例6
αδ−1サブユニットに対するGABA類似体の速度論的結合パラメータ(結合速度および解離速度)および親和性(KD)を決定する方法。
【0129】
結合親和性がKDまたは平衡解離定数として表せることは当該技術分野で周知であり、結合親和性の増大はKDの減少と相関し、KDは速度論的結合定数から算出できる。αδ−1サブユニットに対するGABA類似体の速度論的結合解析は、Biacore(商標)SPR機器(Biacore、GE Healthcare社、ウプサラ)に適用される表面プラズモン共鳴技術によって決定できる。速度論的結合速度(ka;k−on)および解離速度(kd;k−off)を求める。平衡解離定数(KD;親和性)の値をk−off/k−onとして計算する。
【0130】
先行技術および科学刊行物では、完全長の電位依存性カルシウムチャネルサブユニットαδ−1内のある短い領域がガバペンチンおよびプレガバリンの結合部分であるとされている(Wangら(1999)Biochem.J.342,313−320;Fieldら(2006)Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A,14,103,17537−17542)。
【0131】
この実施例は、GABA類似体である((1R,5S,6S)−6−((1H−テトラゾール−5−イル)メチル)−3−エチルビシクロ[3.2.0]ヘプタ−3−エン−6−イル)メタンアミン(「試験化合物」:実施例2に記載される通りに調製される化合物)および(1R,5S,6S)−6−(アミノメチル)−3−エチルビシクロ[3.2.0]ヘプタ−3−エン−6−イル]酢酸(「参照化合物」:国際公開第2010/079668号および米国特許出願公開第2012/0071685(A1)号に記載される通りに調製される化合物)がヒト電位依存性カルシウムチャネルサブユニット(αδ−1、CACNA2D1)の組換えフラグメントに結合可能であることを開示する。さらに、上記2つの化合物の、それらの標的(CACNA2D1)に対する潜在的な結合特性の差を特定して特徴づけるために、これらの2つの化合物の比較結合論的結合解析を実施した。
【0132】
チオールカップリング化学反応を製造業者の指示通りに用いて、標的リガンドであるヒト組換えCACNA2D1をBiacore CM5光学センサーチップの表面に共有結合により高密度(26000RU)で固定化した(Biacore Thiol Coupling Kit、注文コード:BR−10057;GE−Healthcare社、ウプサラ)。非特異的バックグランド結合を補正するため、参照フローセルにウシ血清アルブミンを固定化した。HBS−P緩衝液(注文コード:BR−100368;GE−Healthcare社、ウプサラ)に溶かした漸増濃度の試験化合物および参照化合物を流速30μl/分でフローセルに通した。前に結合した物質を除去して活性化合物結合部位を再構築するため、実行する毎に10mM塩酸でセンサーチップ表面を再生した(流速=30μl/分)。次いで、減算センサグラム(CACNA2D1組換えタンパク質がBSA参照を減じたもの)を作成した。
【0133】
次いで、BiaEvaluation 4.0ソフトウェアにより提供されるラングミュア1:1相互作用アルゴリズムを用いる各減算結合センサグラムの数学的単一センサグラムフィッティングにより、速度論的結合解析を実施した。
【0134】
この実施例に記載される実験結果から、検討した両化合物が、ヒトCACNA2D1組換えタンパク質に特異的に結合できたことが明らかになった。さらに、この実施例に開示されるデータにより、試験化合物と参照化合物との間で結合特性を差別化できる。これらの差異が試験化合物の薬理活性を参照化合物よりも増大させると予測される。
【0135】
上記の実施例は本発明を説明することを意図するものであって、本発明を限定することを決して意図するものではないことが理解されよう。したがって、本発明の範囲は、添付の任意の請求項およびそのような請求項の権利が及ぶ均等物の全範囲に関して定められる。