【文献】
Curr. Pharmaceut. Biotech., 2009年,Vol.10,p.400-407
【文献】
J. Biotechnol., 1999年,Vol.72,p21-31
【文献】
J. Biol. Chem., 1956年,Vol.218,p.1-7
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記有機溶媒が、エタノール、イソプロパノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、リン酸トリ(n−ブチル)、及びグリセロールからなる群から選択される1種を含む、請求項18に記載の方法。
エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセロール、エタノール、イソプロパノール、又はリン酸トリ(n−ブチル)を含む有機溶媒が0.01〜1%の範囲の濃度で加えられる、請求項18に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0007】
タンパク質の精製のために、方法及びキットが提供される。ある実施形態において、本発明は、正電荷有機添加剤と、そのような所望のタンパク質の接触を通して、抗体又は他のタンパク質の調剤からのタンパク質−不純物複合体及び凝集体の低減を提供する。ある実施形態において、本発明は、いわゆる生理学上の条件から、そのような生理学上の条件の3倍以上の電気伝導率の値までの電気伝導率レベルの範囲で実施されるだろう;そのように高められた電気伝導率レベルは、所望の又は目標のタンパク質の沈殿を抑えるだろう。ある実施形態において、本発明は、正電荷有機添加剤を極低濃度;沈殿を仲介する目的のためにそのような添加剤が適用される濃度より10倍〜100倍低いようなレベルで用いて実施されるだろう。本発明は、ある実施形態において、注目するタンパク質にカスタマイズされる手段の開発条件の必要性を低下させること、注目するタンパク質の回収の改良、精製方法の再現性の改良、及び凝集体を除去するための追加的な処理工程の必要性を低下させることの利点を提供する。
【0008】
実施形態は、本明細書において、所望のタンパク質を含むサンプルの内容物の凝集を低下させる方法であって、正電荷有機添加剤及び未溶解ウレイドと、サンプルを接触させる工程を含む方法を提供することを開示する。
【0009】
いくつかのそのような実施形態において、電気伝導率の値が15mS/cm以上での、所望のタンパク質を含むサンプルの内容物の凝集を低下させる方法であって、0.1%以下の濃度で正電荷有機添加剤を添加する工程を含む。
【0010】
前述の実施形態の1以上において、所望のタンパク質を含むサンプルの内容物の凝集を低下させる方法であって、前記サンプルの電気伝導率の値が5mS/cm以上であり、沈殿の形成を低下させるために1以上の有機添加剤の存在下で、0.1%以下の濃度で正電荷有機添加剤を添加する工程を含み、1以上の有機添加剤がウレイド、有機溶媒、又は界面活性剤からなる群から選択される。
【0011】
前述の実施形態の1以上において、所望のタンパク質を含むサンプルの内容物の凝集量を低下させる方法であって、凝集体を含有するサンプルを供給する工程を含み、所望のタンパク質がサンプルにおける溶液中に存在し、正電荷有機添加剤とサンプルを接触させる工程を含む。
【0012】
前述の実施形態の1以上において、ウレイドがアラントインである。
【0013】
前述の実施形態の1以上において、ウレイドが約0.5〜約2重量/体積%の範囲で存在する。
【0014】
前述の実施形態の1以上において、正電荷有機添加剤がエタクリジン、クロルヘキシジン、ポリエチレンイミン、メチレンブルー、及び塩化ベンザルコニウムからなる群から選択される1種を含む。
【0015】
前述の実施形態の1以上において、ウレイドが正電荷有機添加剤の前に添加される。
【0016】
前述の実施形態の1以上において、塩が、実質的に、所望のタンパク質の沈殿を防ぐためのレベルで加えられる。
【0017】
前述の実施形態の1以上において、所望のタンパク質が抗体、第VIII因子、成長ホルモン、及び組み換えタンパク質からなる群から選択される1種を含む。
【0018】
前述の実施形態の1以上において、正電荷有機添加剤が1重量/体積%以下のレベルで加えられる。
【0019】
前述の実施形態の1以上において、正電荷有機添加剤が0.1重量/体積%以下のレベルで加えられる。
【0020】
前述の実施形態の1以上において、正電荷有機添加剤が0.01重量/体積%以下のレベルで加えられる。
【0021】
前述の実施形態の1以上において、正電荷有機添加剤が0.001重量/体積%以下のレベルで加えられる。
【0022】
前述の実施形態の1以上において、正電荷有機添加剤が、0.02%〜0.03%の濃度で存在する。
【0023】
前述の実施形態の1以上において、複数種類の正電荷有機添加剤が存在する。
【0024】
前述の実施形態の1以上において、複数種類の正電荷有機添加剤の凝集体の濃度が1重量/体積%以下である。
【0025】
前述の実施形態の1以上において、複数種類の正電荷有機添加剤の凝集体の濃度が0.1重量/体積%以下である。
【0026】
前述の実施形態の1以上において、複数種類の正電荷有機添加剤の凝集体の濃度が0.01重量/体積%以下である。
【0027】
前述の実施形態の1以上において、複数種類の正電荷有機添加剤の凝集体の濃度が0.001重量/体積%以下である。
【0028】
前述の実施形態の1以上において、未溶解ウレイドがアラントインである。
【0029】
前述の実施形態の1以上において、アラントインが、約0.56重量/体積%〜約1重量/体積%の範囲の濃度で存在する。
【0030】
前述の実施形態の1以上において、アラントインが、約1重量/体積%〜約2重量/体積%の範囲の濃度で存在する。
【0031】
前述の実施形態の1以上において、アラントインが、約2重量/体積%〜約5重量/体積%の範囲の濃度で存在する。
【0032】
前述の実施形態の1以上において、アラントインが、約5重量/体積%〜約10重量/体積%の範囲の濃度で存在する。
【0033】
前述の実施形態の1以上において、アラントインが、約10重量/体積%〜約15重量/体積%の範囲の濃度で存在する。
【0034】
前述の実施形態の1以上において、正電荷有機添加剤の添加の前に、ウレイドがサンプルに添加される。
【0035】
前述の実施形態の1以上において、沈殿を通して、所望のタンパク質の実質的な減量を抑えるために、サンプルの電気伝導率が十分に高いレベルに調整される。
【0036】
前述の実施形態の1以上において、サンプルの電気伝導率が、所望のタンパク質の実質的な減量を抑えるのに必要であるレベルより高いレベルに調整される。
【0037】
前述の実施形態の1以上において、サンプルの電気伝導率が生理学上の電気伝導率の2倍まで調整される。
【0038】
前述の実施形態の1以上において、サンプルの電気伝導率が生理学上の電気伝導率の3倍以上まで調整される。
【0039】
前述の実施形態の1以上において、サンプルの電気伝導率が、所望のタンパク質の実質的な減量を抑えるために十分な高さのままであるが、低減される。
【0040】
前述の実施形態の1以上において、正電荷有機添加剤の添加の前に、サンプルの電気伝導率が調整される。
【0041】
前述の実施形態の1以上において、有機溶媒が存在する。
【0042】
前述の実施形態の1以上において、有機溶媒が、エタノール、イソプロパノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、リン酸トリ(n−ブチル)、及びグリセロールからなる群から選択される1種を含む。
【0043】
前述の実施形態の1以上において、有機溶媒が約0.01〜約20重量/体積%の範囲の濃度で含まれる。
【0044】
前述の実施形態の1以上において、有機溶媒が、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセロール、エタノール、イソプロパノール、又はリン酸トリ(n−ブチル)を、約0.01〜約1%の範囲の濃度で含む。
【0045】
前述の実施形態の1以上において、有機溶媒が、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセロール、エタノール、又はイソプロパノールを、約1〜約5%の範囲の濃度で含む。
【0046】
前述の実施形態の1以上において、有機溶媒が、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセロール、エタノール、又はイソプロパノールを、約5〜約10%の範囲の濃度で含む。
【0047】
前述の実施形態の1以上において、有機溶媒が、エチレングリコール、プロピレングリコール、又はグリセロールを、約10〜約20%の範囲の濃度で含む。
【0048】
前述の実施形態の1以上において、有機溶媒が存在し、エタノール、イソプロパノール、及びリン酸トリ(n−ブチル)からなる群から選択される1種を含む。
【0049】
前述の実施形態の1以上において、有機溶媒の濃度が1%未満である。
【0050】
前述の実施形態の1以上において、有機溶媒の濃度が0.1%未満である。
【0051】
前述の実施形態の1以上において、有機溶媒の濃度が0.01%未満である。
【0052】
前述の実施形態の1以上において、可溶性ウレイドが存在する。
【0053】
前述の実施形態の1以上において、可溶性ウレイドが尿素である。
【0054】
前述の実施形態の1以上において、可溶性ウレイドが、約0.5〜約1Mの範囲の濃度で存在する。
【0055】
前述の実施形態の1以上において、可溶性ウレイドが、約1〜約2Mの範囲の濃度で存在する。
【0056】
前述の実施形態の1以上において、可溶性ウレイドが、約2〜約4Mの範囲の濃度で存在する。
【0057】
前述の実施形態の1以上において、可溶性ウレイドが、約4〜約8Mの範囲の濃度で存在する。
【0058】
前述の実施形態の1以上において、界面活性剤が存在する。
【0059】
前述の実施形態の1以上において、界面活性剤が非イオン性の界面活性剤を含む。
【0060】
前述の実施形態の1以上において、非イオン性の界面活性剤が、トゥイーン(Tween)及びトリトン(Triton)からなる群から選択される1種を含む。
【0061】
前述の実施形態の1以上において、界面活性剤が双性イオンの界面活性剤を含む。
【0062】
前述の実施形態の1以上において、双性イオンの界面活性剤がCHAPS、CHAPSO、及びオクタグルコシドからなる群から選択される1種を含む。
【0063】
界面活性剤が1%未満の非ゼロ濃度で存在する。
【0064】
前述の実施形態の1以上において、界面活性剤が0.1%未満の非ゼロ濃度で存在する。
【0065】
前述の実施形態の1以上において、界面活性剤が0.01%未満の非ゼロ濃度で存在する。
【0066】
前述の実施形態の1以上において、キレート剤が存在する。
【0067】
前述の実施形態の1以上において、キレート剤が正に帯電される。
【0068】
前述の実施形態の1以上において、正に帯電したキレート剤が、トリス(2−アミノエチル)アミン又はデフェロキサミンを含む。
【0069】
前述の実施形態の1以上において、キレート剤が100mM未満の非ゼロ濃度で存在する。
【0070】
前述の実施形態の1以上において、キレート剤が50mM未満の非ゼロ濃度で存在する。
【0071】
前述の実施形態の1以上において、キレート剤が20mM未満の非ゼロ濃度で存在する。
【0072】
前述の実施形態の1以上において、キレート剤が10mM未満の非ゼロ濃度で存在する。
【0073】
前述の実施形態の1以上において、キレート剤が5mM未満の非ゼロ濃度で存在する。
【0074】
前述の実施形態の1以上において、以下:(a)有機溶媒、(b)有機ポリマー、(c)可溶性ウレイド、(d)界面活性剤、(e)キレート剤、及び(f)塩のうちの複数が存在する。
【0075】
前述の実施形態の1以上において、残りの不純物から前記所望のタンパク質を分画するための後の処理工程の前に、前記接触したサンプルが、少なくとも1つの正電荷有機添加剤を除去するために、1以上の固形物に晒される。
【0076】
キットは、前述の実施形態の何れか1つの方法を実施するために提供されるだろう。
【0077】
ある実施形態において、本発明は、ホモ−凝集体のような所望のタンパク質と比較して高分子量を有する凝集体のレベルを低下させるため、及びヘテロ−凝集体のような所望のタンパク質よりわずかに大きい流動力学的な大きさの凝集体のレベルも低下させるための方法を提供する。ある実施形態において、凝集体は所望のタンパク質及び不純物のヘテロ−凝集体を含み、このような実施形態において、不純物は核酸、ヌクレオチド、内毒素、金属イオン、タンパク質、脂質、又は細胞培地成分である。ある実施形態において、所望のタンパク質のホモ−凝集体の存在は、実質的に排除する。ある実施形態において、所望のタンパク質及び不純物のヘテロ−凝集体の存在は、実質的に排除する。
【0078】
ある実施形態において、本発明は、凝集体の低下と共に、付加的に、DNA、内毒素、及びウイルスのような不純物のレベルの低下を提供する。ある実施形態において、本発明は、抗ウイルス薬の付加的な含有と共に実施される。
【0079】
ある実施形態において、注目するタンパク質種(例えば、浄化すべき所望のタンパク質)は組み換え起源であり、タンパク質製剤は、細胞含有の細胞培養収集物(harvest)、細胞培養上清、浄化した細胞培養上清、クロマトグラフィカラムからの溶出物、又は精製の前段階で得られたタンパク質含有の溶液を含んでもよい。ある実施形態において、タンパク質製剤は抗体を含有し、そのような実施形態において、抗体は、IgG、IgM、若しくはそれらの断片、又はFc−融合タンパク質のような、抗体若しくは抗体断片の融合タンパク質である。ある実施形態において、所望のタンパク質は第VIII因子のようなタンパク質を凝固してもよい。ある実施形態において、所望のタンパク質はヒト成長ホルモンのようなペプチドホルモンであってもよい。
【0080】
ある実施形態において、本発明は、サンプルの電気伝導率が、サンプルからの所望のタンパク質の沈殿を実質的に避けるための十分に高いレベルであるように実施される。電気伝導率は、当該技術分野で公知の方法に従い、塩又は希釈剤の添加によって調整されてもよい。ある実施形態において、電気伝導率は、所望のタンパク質の実質的な沈殿を避けるために必要とされる定められたレベルより5mS/cm、10mS/cm、15mS/cm又は20mS/cm高い。ある実施形態において、電気伝導率は、20mS/cm、25mS/cm、30mS/cm、35mS/cm、40mS/cm、45mS/cmより高く、又は45mS/cmより高い。これらの系における電荷の相互作用が高い電気伝導率で低減されると知られているから、高い電気伝導率での、不純物の重要なサブセット(subsets)を除去する方法の能力は、本発明の意外な特徴の1つを表す。25mS/cm以上の電気伝導率で、例えば、負に帯電したタンパク質の極少数は正の電荷を有する表面に結合されることが知られている。本発明の方法の他に、5mS/cm未満の電気伝導率で、IgG抗体の調剤への多くの正の電荷を有する作用物質の適用が存在し、及び通常、アルカリpHを必要とする付加的な作業を有する。このような作用pHは、本発明の方法に必要とされない。高い電気伝導率が凝集体中の内部的な静電的会合を弱らせる効果を有し、これにより凝集体の分離、及び/又は所望のタンパク質と引合う不純物の除去を達成する前記方法の能力を増大させることは、当該技術分野の当業者に明らかであろう。
【0081】
ある実施形態において、正電荷有機添加剤は、エタクリジン、9−アミノアクリジン(アミナクリン)、3,6−アクリジンジアミン(プロフラビン)、アクリゾルシン、アクリザン(フェナクリダン)、アクリジンオレンジ、キナクリン、アクリサイド、アクリドン、アクリジン−9−カルボン酸、アクラニール(1−[(6−クロロ−2−メトキシ−9−アクリジニル)アミノ]−3−(ジエチルアミノ)−2−プロパノール二塩酸塩)、フェノサフラニン、フェノキサジン、フェノチアジン、アクリフラビン(3,6−ジアミノ−10−メチルアクリジニウム塩酸塩及び3,6−アクリジンジアミン)、ポリエチレンイミン(ポリ(イミノエチレン))、クロルヘキシジン、又はポリアミノ酸である。ある実施形態において、正電荷有機添加剤は、エタクリジン、ポリエチレンイミン、若しくはクロルヘキシジン、又はその塩である。
【0082】
ある実施形態において、正電荷有機添加剤は、実質的に最も低い濃度で、凝集体の所望の低減度合いを十分に促進するために提供される。ある実施形態において、正電荷有機添加剤の濃度は、(重量/体積基準で)0.1%、0.05%、0.04%、0.025%、又は0.001%未満であってもよい。ある実施形態において、正電荷有機添加剤は0.01〜0.04%、又は0.02〜0.025%の濃度で提供される。そのような実施形態において、正電荷有機添加剤は、エタクリジン、ポリエチレンイミン(PEI)、又はクロルヘキシジンである。正電荷有機添加剤の濃度が0.1%未満で、有用な効果を達成する方法の能力は、その方法の別の意外な特徴の1つを強調する:アルカリpHを必要とせず、高い電気伝導率で作業することに加えて、その方法は、かなりの量の沈殿の形成をもたらすことなく、高効率となり得る。正電荷有機添加剤は、一般に、酸性のタンパク質、DNA、及びウイルス、特に不純物の沈殿を媒介するのに使用される。それらは、それゆえに1%以上のような高い濃度で使用される。本発明の方法の目的は、凝集体を分離すること、又は凝集体中の内部的な会合を弱らせること、又は凝集体を安定させる非生産の不純物を除去することである。多くの実施形態において、正電荷有機添加剤の低濃度、及び高い作用電気伝導率の双方を理由とする、沈殿の除去の必要性を極小にする又は避けることは、沈殿を極小にする又は避ける前記方法の第2の目的である。
【0083】
ある実施形態において、サンプルの凝集体の量を低下させる一方、本発明は、所望のタンパク質の沈殿を避ける又は制限するために選択されたpHレベルで実施されてもよい。そのpHレベルは、従来の手段により調整されてもよく、電気伝導率の選択と組み合わせて選択されてもよい。ある実施形態において、サンプルのpHはおよそ4〜およそ9、およそ5〜およそ8、又はおよそ6〜およそ7.5である。これは、再度、正電荷有機添加剤のこの使用の珍しい性質を強調する。
【0084】
ある実施形態において、サンプルは、好ましくは正電荷有機添加剤と実質的に同時に、付加的に抗ウイルス薬と接触される。そのような実施形態において、抗ウイルス薬それ自身は、塩化ベンザルコニウム又はメチレンブルーのような正電荷を有する有機分子である。リン酸トリ(n−ブチル)のような、電気的中性の又は非イオン性の抗ウイルス薬も使用されてよい。抗ウイルス薬は、およそ1%(w/v)未満の量、およそ0.1%(w/v)未満の量、およそ0.01%(w/v)未満の量、又はおよそ0.001%未満の量で存在してもよい。そのような作用物質は、低いpHでの処理によってウイルス不活化を許容しないタンパク質にとりわけ有用となり得る。
【0085】
ある実施形態において、前記方法は、付加的に、ウレイドがサンプルに溶解しない十分な量で、ウレイドとサンプルを接触させる工程を含む。所望のタンパク質を含有する上清は、沈殿された不純物を含むサンプルの残渣から分離される。そのような実施形態において、ウレイドは、正電荷有機添加剤とサンプルを接触させる工程よりも前に供給され、その他の場合において、ウレイドは、正電荷有機添加剤とサンプルを接触させる工程と実質的に同時に供給され、さらに他の場合において、ウレイドは、正電荷有機添加剤とサンプルを接触させる工程の後に供給される。このような実施形態において、ウレイドは尿酸、ヒダントイン(イミダゾリジン−2,4−ジオン)、アラントイン(2,5−ジオキソ−4−イミダゾリジニル)尿素、アルクロキサ、アルジオキサ、ヘモキャン(hemocane)、ウレイドヒダントイン、5−ウレイドヒダントイン、グリオキシルウレイド、グリオキシル酸ジウレイド、2,5−ジオキソ−4−イミダゾリジニル尿素、イミダゾリジニル尿素、及びプリンの何れかとなり得る。ある実施形態において、ウレイドはアラントインであり、そのような場合において、アラントインは0.56%(w/v)より高い濃度、1%、1.5%、2%、又はそれ以上の濃度で存在する。ある実施形態において、ウレイドは尿酸であり、そのような場合において、尿酸は、0.0025%(w/v)より高い濃度、0.005%、0.01%、0.05%、0.1%、1%、又はそれ以上の濃度で存在する。
【0086】
ある実施形態において、前記方法は、付加的に、ウレイドが完全に溶解される量でウレイドとサンプルを接触させる工程を含む。このような実施形態において、前記可溶性ウレイドは尿素、イミダゾリジナル(imidazolydinal)尿素、又は他のウレイドとなり得る。ある実施形態において、ウレイドは尿素であり、そのような場合において、尿素は0.5Mより高い濃度、又は1Mより高い濃度、又は2Mより高い濃度、又は4Mより高い濃度、又は6Mより高い濃度、又は8Mより高い濃度で存在する。これは、タンパク質沈殿の回避は前記方法の特定の目的である、前記方法の意外な性質を再度強調する。尿素のような高い溶解性のウレイドは、その存在が沈殿物の形成を拒むと言える、多くの化合物の溶解性を増加させる一般的な効果を有する。高い溶解性のウレイドの存在が凝集体中の内部的な疎水性を、及び/又は水素結合の会合を弱める効果を有し、これにより、凝集体の分離、及び/又は所望のタンパク質と引き合う不純物の除去を達成する前記方法の能力を増大させることは、当該技術分野の当業者に明らかであろう。
【0087】
ある実施形態において、本発明を適用する場合、細胞培養収集物(harvest)において細胞片の沈降も加速させ、実質的に、DNA、内毒素、及びウイルスのレベルを低減させることの事実によって、本発明の有用性は高められる。実験データは、優先的に凝集体、内毒素、及びウイルスと相互作用するいくつかのウレイドの能力がこれらの結果に貢献すること、及びウレイドの不存在下での正電荷有機添加剤との処理と比較して、溶解したウレイドの低いレベルが、サポートする抗体回復がより高まることに貢献し得ることを示唆する。本発明は、その有用性をさらに拡大し得る、非正電荷抗ウイルス薬の添加を共に行ってもよい。処理の後、沈降又は濾過によって固体物質が除去されても、実質的に、上清において凝集のないタンパク質のままである。他の方法によって処理された物質が典型的には濁って、もやもやしているのに対して、これは、処理された物質が光学的に透明であり、粒状でないとの本発明の別の有利な点を提供する。
【0088】
ある実施形態において、本発明は、非イオン性の有機ポリマー、有機溶媒、界面活性剤、又はウレイドのような可溶性有機調節因子とサンプルを接触させる付加的な工程と実施してもよい。そのような実施形態において、有機調節因子とサンプルを接触させる工程は、正電荷有機添加剤とサンプルを接触させる工程より前に起こる。他の場合において、有機調節因子とサンプルを接触させる工程は、正電荷有機添加剤とサンプルを接触させる工程と実質的に同時に起こる。さらに他の場合において、有機調節因子とサンプルを接触させる工程は、正電荷有機添加剤とサンプルを接触させる工程の後に起こる。ある実施形態において、有機調節因子は、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、及びポリブチレングリコールのような非イオン性の有機ポリマーであり、そのような実施形態において、非イオン性の有機ポリマーは、およそ1000Da以下、500Da以下、250Da以下、又は100Da以下の平均分子質量を有する。ある実施形態において、有機調節因子は、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ジメチルスルホキシド、エタノール、又はフェノキシエタノールのような有機溶媒である。ある実施形態において、有機調節因子は、およそ1%(w/v)以上の濃度で提供される。ある実施形態において、有機調節因子は、トゥイーン(Tween)、トリトン(Triton)、CHAPS、CHAPSO、又はオクチルグルコシドのような界面活性剤であり、そのような実施形態において、界面活性剤は、およそ1%(w/v)以下、およそ0.1%(w/v)以下、又はおよそ0.02%(w/v)以下の濃度で提供される。ある実施形態において、有機調節因子は、亜飽和の量で提供されるウレイドであり、そのような実施形態において、ウレイドは尿素、ヒダントイン、又はアラントインである。これは、再度、正電荷有機添加剤がかなりの量の沈殿の形成を低減し又は除去する条件下で使用される、前記方法の珍しい性質を強調する。正電荷有機添加剤の著しく低い濃度、高い作用電気伝導率、アルカリpHからの独立性、及び周知の尿素の可溶化作用に加えて、有機溶媒及び界面活性剤の存在は、ある好ましい正電荷有機添加剤と、タンパク質又は他の不純物との間の疎水性の相互作用を弱める効果を有する。これは、とりわけ、エタクリジン若しくはその類似体のような疎水性の正電荷有機添加剤に、又はクロルヘキシジン若しくは塩化ベンザルコニウムに適用される。前述したような有機添加剤の存在が凝集体の内部の化学的な会合を弱める効果を備え、これにより、凝集体の分離、及び/又は所望のタンパク質と引き合う不純物の除去を達成する方法の能力を増大させることは、当該技術分野の当業者に明らかであろう。
【0089】
ある実施形態において、本発明は、サンプルが正電荷有機添加剤と接触される溶液において、所望のタンパク質を含有するサンプルに含まれる凝集体の量を低下させるための方法を提供する。このような実施形態において、サンプルの電気伝導率は、サンプルから所望のタンパク質の沈殿を実質的に避けるために、かなり高いレベルである。ある実施形態において、電気伝導率は15mS/cmよりも高く、又は電気伝導率は30mS/cmよりも高い。
【0090】
ある実施形態において、本発明は、正電荷有機添加剤の濃度がおよそ0.1%(w/v)未満である方法を提供する。ある実施形態において、正電荷有機添加剤は、エタクリジン、9−アミノアクリジン(アミナクリン)、3,6−アクリジンジアミン(プロフラビン)、アクリゾルシン、アクリザン(フェナクリダン)、アクリジンオレンジ、キナクリン、アクリサイド、アクリドン、アクリジン−9−カルボン酸、アクラニール(l−[(6−クロロ−2−メトキシ−9−アクリジニル)アミノ]−3−(ジエチルアミノ)−2−プロパノール二塩酸塩)、フェノサフラニン、フェノキサジン、フェノチアジン、アクリフラビン(3,6−ジアミノ−10メチルアクリジニウム塩酸塩及び3,6−アクリジンジアミン)、ポリエチレンイミン、クロルヘキシジン、及びポリアミノ酸からなる群から選択される。ある実施形態において、本発明は、正電荷有機添加剤がエタクリジン、ポリエチレンイミン、若しくはクロルヘキシジン、又はその塩である方法を提供する。ある実施形態において、本発明は、正電荷有機添加剤が、およそ0.01%〜およそ0.05%の量、又はおよそ0.01%未満の量、又はおよそ0.005%未満の量、又はおよそ0.001%未満の量で存在する方法を提供する。
【0091】
ある実施形態において、本発明は、サンプルのpHがおよそ4〜およそ9、又はおよそ5〜およそ8、又はおよそ6〜およそ7.5である方法を提供する。
【0092】
ある実施形態において、本発明は、低減される凝集体は所望のタンパク質のホモ−凝集体を含む方法を提供し、他の場合において、低減される凝集体は所望のタンパク質及び不純物のヘテロ−凝集体を含み、他の場合において、凝集体はそのようなホモ−凝集体及びヘテロ−凝集体の双方を含有する。ある実施形態において、本発明は、凝集体がサンプル中から実質的に除去される、方法を提供する。ある実施形態において、低減される凝集体は、実質的に、所望のタンパク質と同じ流体力学的な大きさである。ある実施形態において、低減される凝集体は、核酸、ヌクレオチド、内毒素、金属イオン、タンパク質、脂質、又は細胞培地成分を含むヘテロ−凝集体である。
【0093】
ある実施形態において、本発明は、所望のタンパク質が抗体又は抗体断片である方法を提供する。ある実施形態において、サンプルが細胞培養収集物(harvest)、細胞培養上清、細胞培養由来の抗体含有の溶液、又はタンパク質精製の前段階からの抗体含有の溶液である。
【0094】
ある実施形態において、本発明は、サンプルがタンパク質精製の前段階からの溶液を含有する所望のタンパク質である方法を提供する。ある実施形態において、サンプルはクロマトグラフィカラムからの溶出物である。
【0095】
ある実施形態において、本発明は、サンプルが付加的に抗ウイルス薬と接触される方法を提供する。ある実施形態において、抗ウイルス薬は、塩化ベンザルコニウム、メチレンブルー、及びリン酸トリ(n−ブチル)からなる群から選択される。ある実施形態において、抗ウイルス薬は、およそ1%(w/v)未満の量、又はおよそ0.1%(w/v)未満の量、又はおよそ0.01%(w/v)未満の量で存在する。
【0096】
ある実施形態において、本発明は、ウレイドがサンプルに溶解しない十分な量でウレイドとサンプルが接触し、サンプルの一部から、所望のタンパク質を含有する上清を分離する付加的な工程を含む方法を提供する。
【0097】
ある実施形態において、本発明は、ウレイドとサンプルを接触させる工程が正電荷有機添加剤とサンプルを接触させる工程よりも前に起こる方法を提供する。
【0098】
ある実施形態において、本発明は、ウレイドとサンプルを接触させる工程が正電荷有機添加剤とサンプルを接触させる工程と実質的に同時に起こる方法を提供する。
【0099】
ある実施形態において、本発明は、ウレイドとサンプルを接触させる工程が正電荷有機添加剤とサンプルを接触させる工程の後に起こる方法を提供する。
【0100】
ある実施形態において、本発明は、ウレイドが尿素、尿酸、ヒダントイン、アラントイン、アルクロキサ、アルジオキサ、ヘモキャン(hemocane)、ウレイドヒダントイン、5−ウレイドヒダントイン、グリオキシルウレイド、グリオキシル酸ジウレイド、2,5−ジオキソ−4−イミダゾリジニル尿素、及びプリンからなる群から選択される方法を提供する。
【0101】
ある実施形態において、本発明は、ウレイドがアラントインである方法を提供する。ある実施形態において、本発明は、アラントインが0.5%(w/v)より大きい量で存在する方法を提供する。ある実施形態において、本発明は、アラントインがおよそ1%(w/v)より大きい量で存在する方法を提供する。
【0102】
ある実施形態において、本発明は、ウレイドが尿酸である方法を提供する。ある実施形態において、本発明は、尿酸が0.0025%(w/v)より大きい量で存在する方法を提供する。ある実施形態において、本発明は、尿酸がおよそ0.01%(w/v)より大きい量で存在する方法を提供する。ある実施形態において、本発明は、尿酸がおよそ0.1%(w/v)より大きい量で存在する方法を提供する。ある実施形態において、本発明は、尿酸がおよそ1%(w/v)より大きい量で存在する方法を提供する。
【0103】
ある実施形態において、本発明は、非イオン性の有機ポリマー、有機溶媒、界面活性剤、及びウレイドからなる群から選択される有機調節因子とサンプルを接触させる付加的な工程を含む方法を提供する。ある実施形態において、本発明は、有機調節因子とサンプルを接触させる工程が正電荷有機添加剤とサンプルを接触させる工程よりも前に起こる方法を提供する。ある実施形態において、本発明は、有機調節因子とサンプルを接触させる工程が正電荷有機添加剤とサンプルを接触させる工程と実質的に同時に起こる方法を提供する。ある実施形態において、本発明は、有機調節因子とサンプルを接触させる工程が正電荷有機添加剤とサンプルを接触させる工程の後に起こる方法を提供する。
【0104】
ある実施形態において、本発明は、有機調節因子がポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、及びポリブチレングリコールからなる群から選択される非イオン性の有機ポリマーである方法を提供する。ある実施形態において、本発明は、非イオン性の有機ポリマーがおよそ500Da以下の平均分子質量を有する方法を提供する。
【0105】
ある実施形態において、本発明は、有機調節因子がエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ジメチルスルホキシド、エタノール、及びフェノキシエタノールからなる群から選択される有機溶媒である方法を提供する。ある実施形態において、本発明は、有機調節因子がおよそ1%(w/v)以上の濃度で提供される方法を提供する。
【0106】
ある実施形態において、本発明は、有機調節因子がトゥイーン(Tween)、トリトン(Triton)、CHAPS、CHAPSO、及びオクチルグルコシドからなる群から選択される界面活性剤である方法を提供する。ある実施形態において、本発明は、界面活性剤がおよそ1%(w/v)以下の濃度で提供される方法を提供する。ある実施形態において、本発明は、界面活性剤がおよそ0.1%(w/v)以下の濃度で提供される方法を提供する。ある実施形態において、本発明は、有機調節因子が亜飽和の量で提供されるウレイドである方法を提供する。ある実施形態において、本発明は、ウレイドが尿素、ヒダントイン、及びアラントインからなる群から選択される方法を提供する。
【0107】
ある実施形態において、本発明は、本願明細書に開示される、何れかの方法の簡便な実施を提供するキットを提供し、キットは、サンプル、有機調節因子、及び抗ウイルス薬を過飽和させるのに十分な量で正電荷有機添加剤及び少なくとも1つのウレイドを含み、提供される物質は、キットが提供されるサンプルに関して、本発明の簡便な実施のために十分な量で提供される。
【0108】
ある実施形態において、本発明は、本発明のある方法の簡便な実施のためにキットを提供する。そのようなキットは、多価有機カチオン、ウレイド、有機調節因子、抗ウイルス薬、及び電気伝導率の調整のための試薬の1種以上の、そのような、本発明の実施に有用な試薬を提供し得る。キットは、タンパク質の精製において使用するための本発明の実施に適した量及び濃度で物質を提供してもよい。そのようなキットは、IgG又はIgM抗体のようなあるタンパク質と用いるために適合され、タンパク質製剤及び精製のある一定の規模に好適な量に適合されてもよい。物質は、本発明の方法の実施において使用するための溶液の生成において、ユーザーによって使用されるために、既製の溶液形態で、希釈に好適な高濃度溶液で、又は固体形態で供給されてもよい。
【0109】
ある実施形態において、本発明は、付加的な処理より前に、サンプルから正の電荷を有する作用物質、又は他のサンプル構成成分を選択的に除去する効果を有する固形の意図を備える固体物質とサンプルの接触を伴う。
【0110】
ある実施形態において、本発明は、高いレベルの精製を達成するため、又は他の不純物を除去するため、従来のタンパク質の精製方法と組み合わせてもよい。例えば、本発明は、沈殿、クロマトグラフィ、及び液−液抽出方法を含む従来の精製方法と併用して実施されてもよい。そのような付加的な方法は、本発明の前、又は後に実施されるように本発明と組み合わせてもよい。産物の所望の精製を達成するために、これらの方法の適切な条件を開発し、それらを本願明細書に記載される本発明と統合することは、当該技術分野の当業者の能力の範囲内である。
【0111】
ある実施形態において、本発明は、クロマトグラフィによる精製が始まる前に凝集レベルの低減を可能にし、その後の処理工程から負荷を取り除く。DNA、内毒素、及びウイルスレベルは、下流の精製工程における負荷をさらに低減し得る凝集体の低減と同時に低減し得る。ある実施形態において、有機調節因子の使用は、正電荷有機添加剤の低濃度と組み合わせて、実質的な沈殿の形成を防ぎ、潜在的に、固形分を除去するための中間体処理工程がなくとも、クロマトグラフィカラムへの本発明において処理されたサンプルの直接適用を可能にする。そのような実施形態は、付加的に非正電荷有機添加剤抗ウイルス薬の添加と両立できる。
【0112】
ある実施形態において、実施上の条件は、pHによって、並びに/又はキレート剤、有機ポリマー若しくは溶媒、界面活性剤、カオトロープ、及び種々の凝集体が低減する度合いを調節するための塩の種類、及び溶液に残る所望のタンパク質の存在によって変わってもよい。
【0113】
本発明の付加的な目的及び利点は、前記後述の説明において説明し、その説明から明らかになり、又は本発明の実施によって知り得るだろう。本発明の目的及び利点は、特許請求の範囲に特定された構成成分及び組合せの手段によって、理解され、達成するだろう。
【0114】
前述の一般的説明及び以下の詳細な説明の双方が模範的、及び説明的に記載されたものであり、特許請求の範囲に記載の本発明を制限するものではないということを理解されたい。
【0115】
定義
用語は、本発明がより容易に理解されるために定義される。付加的な定義は、詳細な説明の全体にわたって説明される。
【0116】
「凝集体」は、生理学的な条件で安定した、広い範囲のpH及び電気伝導率の条件にわたって安定したままとなり得る2以上の分子の会合に関する。凝集体は、しばしば、タンパク質、核酸、又は脂質、及び別の分子又は金属イオンのような、少なくとも1つの生体分子を含む。会合は、化学的相互作用の何れのタイプ又は何れの組合せによっても起こる。抗体の凝集体は2つのカテゴリに分類できる:「ホモ−凝集体」は、2以上の抗体分子の安定した会合に関し;「ヘテロ−凝集体」は、1以上の抗体分子と1以上の非抗体分子との安定した会合に関する。非抗体の構成成分は、ヌクレオチド、内毒素、金属イオン、タンパク質、脂質、又は細胞培地の構成成分からなる群からの1つ以上の要素からなり得る。
【0117】
「抗体」は、免疫グロブリン、複合体、又はそれらの断片に関する。その用語は、自然の形態、又はヒト化抗体、ヒト抗体、一本鎖抗体、キメラ抗体、合成抗体、組み換え抗体、ハイブリッド抗体、変異抗体、移植抗体、及びインビトロ生成抗体のような遺伝子改変された形態を含む、IgA、IgD、IgE、IgG、及びIgMクラスのポリクローナル又はモノクローナル抗体を含んでもよいが、それらに限定されない。「抗体」は、免疫グロブリン部分を含有する融合タンパク質を含むがそれらに限定されない、複合形態を含んでもよい。「抗体」はまた、それらが抗原結合機能を保留していようとなかろうとFab、F(ab’)
2、Fv、scFv、Fd、dAb、Fc及び他の組成物のような抗体断片を含んでもよい。
【0118】
「内毒素」は、溶解の際に細胞から放出されるグラム陰性菌の外膜に存在する熱毒安定リポ多糖物質に関する。
【0119】
「非イオン性の有機ポリマー」は、荷電基を欠く、結合された繰返しの有機サブユニットからなる、天然に存在する又は合成の炭化水素に関する。直鎖、いくつかの分岐を備える支配的に直鎖、又は支配的に分岐鎖であってもよい。本発明を実施するための好適な例は、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリプロピレングリコール、及びポリビニルピロリドン(PVP)を含むが、これらに限定されない。PEGは構造式HO−(CH
2−CH
2−0)
n−Hを有する。例としては、100Da未満から1000Daより大きい範囲の平均ポリマー分子質量を有する組成物を含むが、これらに限定されない。
【0120】
「正電荷有機添加剤」は、有機分子、カチオン若しくは天然の塩、又は少なくとも1つの正電荷を有し、及び多数の正電荷を含有してもよい合成由来の化合物に関する。正電荷有機添加剤は負電荷を有してもよいが、そのような場合は、採用される実施上の条件下で、実効の正電荷を維持するだろう。正電荷有機添加剤は、塩化物、臭化物、スルフェート、有機酸、乳酸塩、グルコネート、及び前記方法と両立し得ないものでない任意の他のアニオンのような対イオン(アニオン)と一緒に提供されてよい、実効正電荷である。ある実施形態において、正電荷有機添加剤の正電荷の一部は、アミン、イミン又は他の窒素部分によって供給される。正電荷有機添加剤は、付加的に、疎水性の残渣、金属親和性の残渣、水素結合した残渣、他の機能的な部分、及び/又は化学的な相互作用の他のタイプに関与する能力を有するであろうものを含んでもよい。正電荷有機添加剤の例は、ある実施形態において、ポリリジン、ポリアルギニン、ポリヒスチジン、ポリオルニチン;ポリエチレンイミン;ポリアリルアミン;ポリジメチリン(polydimethrine)、ポリメチルアクリルアミドプロピルトリメチルアンモニア;ポリジアリルジメチルアンモニア;ポリビニルベンジルトリメチルアンモニア;ポリビニルグアニジン;ポリ(N−エチル−4−ビニルピリジン;DEAE−デキストラン;DEAE−セルロース;エタクリジン(CAS番号442−16−0;7−エトキシアクリジン−3,9−ジアミン);トリス(2−アミノエチル)アミン;グアニジン;クロルヘキシジン;アレキシジン;シトリシダル、プロタミン;スペルミン;スペルミジン;サルミン;キトサン;及び前述の異形及び誘導体のような、ジアミノ酸、ジ−、トリ−、又は大きいホモ又はヘテロ−ペプチドを含むが、これらに限定されない。例えば、エタクリジンの異形及び誘導体は、9−アミノアクリジン(アミナクリン)、3,6−アクリジンジアミン(プロフラビン)、アクリゾルシン、アクリザン(フェナクリダン)、アクリジンオレンジ、キナクリン、アクリサイド、アクリドン、アクリジン−9−カルボン酸、アクラニール(1−[(6−クロロ−2−メトキシ−9−アクリジニル)アミノ]−3−(ジエチルアミノ)−2−プロパノール二塩酸塩)、フェノサフラニン、フェノキサジン、フェノチアジン、アクリフラビン(3,6−ジアミノ−10−メチルアクリジニウム、塩化物、及び3,6−アクリジンジアミン)、及びそれらの塩(例えば塩化物、臭化物、スルフェート、乳酸塩、グルコネート)を含むことが理解される。
【0121】
「有機溶媒」は、液体状態で存在する、天然に存在する又は合成有機化合物に関する。本発明の実施に好適な例としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジメチルスルホキシド、エタノール、及びフェノキシエタノールを含むが、これらに限定されない。
【0122】
「有機ポリマー」は、自然に発生する有機単量体の合成ポリマーに関する。例としては、とりわけ、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、デキストラン、又はセルロースを含むが、これらに限定されない。
【0123】
「ポリヌクレオチド」は、鎖において、多様な共有結合されたヌクレオチド単量体から構成されるバイオポリマーに関する。DNA(デオキシリボ核酸)及びRA(リボ核酸)は、ポリヌクレオチドの例である。
【0124】
「タンパク質」は、炭素、水素、酸素、窒素、及び通常は硫黄を含有し、主として、ペプチド結合により繋がったアミノ酸の1以上の鎖からなる有機高分子の複合体の任意のグループに関する。タンパク質は、天然又は組み換え由来であってもよい。タンパク質は、グリコシル化、ペグ化、又は他の化学的部分との接合を経たような非アミノ酸部分で変性されてもよい。タンパク質の例としては、抗体、凝血因子、酵素、及びペプチドホルモンを含むが、これらに限定されない。
【0125】
「未溶解ウレイド」は、特定のタンパク質製剤において広くゆき渡った状態下で、ウレイドの最大の溶解度を超過した量を含有する溶液に関する。ある実施形態において、本発明は、そのようなウレイドのいくつかの小部分が、そのサンプル中に未溶解の形態で存在している、そのようなサンプルの状態下、そのようなサンプルにおいて、そのようなウレイドの溶解度を超える量で存在するウレイドとサンプルを提供する。
【0126】
「界面活性剤」は、それらを両親媒性と呼ばせる、一般的に、疎水性の部分と親水性の部分を表す有機分子の分類のような「表面活性剤」を含む。水溶液における十分な濃度で、界面活性剤は、水との接触が最小になるように中心に集まる疎水性の部分と、水との接触が最大になるように外側に放射する親水性の部分とにより、クラスター中に自己会合できる。生物学的な調剤、とりわけ、疎水性の性質有すか、或いは疎水性の性質の領域を有する物質を含むものの存在下で、界面活性剤の疎水性の部分は、自発的に、疎水性の物質のいくつかの部分と会合しやすく、界面活性剤の親水性の部分の影響を通して、それらの溶解性を増大させる。それらは、水溶性溶媒に溶解させた疎水性の異なる物質の双方の間に生じる疎水性の相互作用を調整するのに使用されてもよい。本発明のある実施形態を実施するのに好適な界面活性剤の例は、ポリソルベート界面活性剤(例えば、トゥイーン(Tween)20、ポリオキシエチレン(20)モノラウリン酸ソルビタン、及びトゥイーン(Tween)80、ポリオキシエチレン(20)モノオレイン酸ソルビタン)及びトリトン(Triton)(例えば、ポリエチレングリコールp−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−フェニルエーテル)のような非イオン性の界面活性剤、及びCHAPS(3−[(3−コールアミドプロピル)ジメチルアンモニオ]−1−プロパンスルホン酸)、CHAPSO(3−[(3−コールアミドプロピル)ジメチルアンモニオ]−2−ヒドロキシ−1−プロパンスルホン酸)、及びオクチルグルコシド(例えば、(2R,35’,4S,5R,6R)−2−(ヒドロキシメチル)−6−オクトキシオキサン(octoxyoxane)−3,4,5−トリオール)のような双性イオンの界面活性剤を含むが、これらに限定されない。
【0127】
「ウイルス」又は「ウイルス粒子」は、生きている宿主、主に細菌、植物、及び動物の細胞内のみで複製する、極微(ほぼ直径20〜300nm)の、代謝的に不活性な、感染病原体に関する:RNA又はDNAコア、タンパク質コート、及び、多くの複合タイプで構成され、外膜で覆われる。
【0128】
ある実施形態に係る本発明を使用した調製において、正電荷有機添加剤を選択する必要があるだろう。実験データは、一般的な事項として、正電荷有機添加剤の疎水性が弱いほど、注目するタンパク質の回収率が高いことを明らかにする。また、疎水性が弱いほど、正電荷有機添加剤が、タンパク質のかなりの損失なく効果的な凝集体の低減を達成するのに適用できる濃度範囲は幅広く高い。従って、弱い疎水性のPEIは、疎水性のエタクリジンより好ましい候補であり、疎水性のクロルヘキシジンより、一層好ましい候補であると考えられる。しかしながら、他の課題として、産物の回収率に勝ることが考慮されなければならない。PEIは周知の細胞毒性の特性を現し、精製処理の過程を通して、タンパク質製剤からの除去を容易に確認するために適切な感度で検出するのは難しい。エタクリジンは、抗ウイルス薬として、血漿タンパク分画の分野におけるその長い歴史を理由に好ましいであろう。加えて、その明るい黄色及び内因性の蛍光は、与えられたサンプルの内容物の感度測定を容易にし、これにより、前記方法の実施に続く除去の証拠資料を助ける。異なる正電荷有機添加剤は、所望の効果を仲介するそれらの能力を促す、異なる副次的な化学的官能性を現すだろう。例えば、PEIは、主に、静電的な相互作用、及び水素結合によって、DNAと結合すると理解される。エタクリジンは双方の相互作用の僅かな機会を提供するが、DNAをインターカレートすることが知られている。そのような違いは、僅かに貢献するものであるかもしれないが、他に対する、特定の正電荷有機添加剤の相対的な適合性において有用であり、表面上は非理想の様である評価する候補に、実際の利益があるとのポイントを強調する。
【0129】
ある実施形態において使用する正電荷有機添加剤の評価の過程で、正電荷有機添加剤の適用の条件は、以下のとおり調査されてもよい。正電荷有機添加剤の使用は、潜在的に、ある実施形態において、前記方法が実施され得る条件において、いくつかの制限を課す。例えば、実質的に正電荷有機添加剤と注目するタンパク質との間の強い相互作用を防ぐ条件を採用するのが望ましい。そのような条件の近似を得るための簡単な方法は、アニオン交換体に注目するタンパク質を適用し、塩勾配に溶出することである。塩濃度は、タンパク質が溶出する閾値の真上、前記方法が最も効果的に実施される最小の電気伝導率であることを、一応確認する。この濃度は、前記同じ手段によりモデルが形成され、pHに影響を受けるだろう。前記方法が細胞培養上清に適用されれば、IgG抗体は、前述のかなりの損失を避けるために、塩の添加又はpHの調整を必要としないだろう。IgM抗体は、塩の添加、30mS/cmの値に届く電気伝導率(生理学的なものより約2倍高い値)を必要とするだろう。ある実施形態において、未溶解ウレイドと正電荷有機添加剤との使用を伴う、IgGの適用は、潜在的に1mS/cm以下の値を含む、生理学的な電気伝導率より低い値で実施され、この場合、ホストタンパク質の相当量が解離する凝集体と併せて除去される。そのような適用は、ホストタンパク質への結合により損失した量の補填のために、正電荷有機添加剤の濃度が増加することを必要とする。そのような状況におけるより低い作用電気伝導率は、DNA、内毒素、及びウイルスの除去も向上させる。ある実施形態において、本発明は、一般的に、95%より高く、通常98−99%の抗体の回収率を維持する。サンプルの電気伝導率及びpH条件は、典型的には、ウレイド又は正電荷有機添加剤の何れかを添加する前に確立すべきである。
【0130】
ある実施形態において、及びイオン性の相互作用により仲介されたプロセスのほとんどに反して、本発明を実施するための条件の評価が、実質上の最小値を実質的に上回る電気伝導率の値を明確に含み、潜在的に好むことが推奨される。生理学的な電気伝導率のかなり低い条件は、とりわけ、細胞培養上清のような粗製サンプルに適用する際、1つがそのような条件が沈殿物の形成を促進し得る、潜在的に少なくとも2つの望ましくない結果を生み出す、酸性のタンパク質と正電荷有機添加剤の強い相互作用を促進し得る。他には、酸性タンパク質及び/又は沈殿物により正電荷有機添加剤の部分母集団を隔離することであり、凝集体内容物を低減する本発明の能力を制限する潜在的な効果を備える、残った正電荷有機添加剤の利用できる濃度を低減させる。一般的な事項として、生理学的なものの3倍までの電気伝導率の値は、効果的な凝集体の低減、及び90%より高い抗体の回収率を維持する。
【0131】
ある実施形態において、及びイオン性の相互作用、とりわけ、生体分子と正電荷有機添加剤との間の相互作用により仲介されるプロセスほとんどのための推奨に反して、pHは4以下の値にまで低減され得る。そのような極度は必要とされるとしても極めてまれであり、タンパク質の溶解性を維持するために中性のpHの値より高い電気伝導率を要する。
【0132】
ある実施形態において、IgGモノクローナル抗体を含有する細胞培養の上澄液を浄化するための評価条件の1つの効果的な手段は、正電荷有機添加剤が0.005〜0.05%の範囲にあり、電気伝導率が生理学的な電気伝導率からその2倍までの範囲にあることである。その範囲は、拡大でき、所望に応じて狭められる。これらの範囲内で沈殿が観察される場合において、しばしば、凝集体の低減を縮小することなく、電気伝導率を生理学的なものの3倍まで増加させることによって防げる。これは、約45mS/cmに対応する。より高い電気伝導率もまた使用できる。一般的に、正電荷有機添加剤を添加する前にサンプルの電気伝導率を調整することは有利である。
【0133】
ある実施形態において、細胞培養の上澄液を浄化するための、本発明に係る精製手順を進展させるための都合のよい出発点は、0.02%エタクリジンを使用することである。細胞含有の未浄化の収集物(harvest)は、その細胞がヘテロ−凝集体の分離に利用できる量を減らすための十分な正電荷有機添加剤を引き付けるから、おそらく、より高濃度での使用により利益を得る。本発明の副次的な利益は、細胞含有の調剤に適用される際、実質的に細胞及び残渣の沈降を加速することであり、それらの除去を容易にする。本発明が細胞含有の調剤に適用される際、調製中における過剰の細胞死亡率及び/又は細胞内容物の排出を避けるため、生理学的な条件の付近に維持するのが賢明である。
【0134】
ある実施形態において、その実施により抗体の回収率を改良し得るから、正電荷有機添加剤を添加する前に、タンパク質製剤に有機調節因子を分散することにより開始することが有利である。正電荷有機添加剤の添加前の長いインキュベーションは不要であると考えられる;より長いインキュベーションが不利でないように見えるけれども、15分以下で十分である。実験データは、一般的に、正電荷有機添加剤より先に添加する際、過飽和させる量でのアラントインの添加がIgGの回収率を約1%増加させることを示す。
【0135】
ある実施形態において、タンパク質製剤全体にわたって迅速な分散を容易にするために、サンプルへの追加の前に、例えば水又は緩衝液に、正電荷有機添加剤カチオンが溶解されていることが推奨される。例えば、よく混合された懸濁液中に溶解された正電荷有機添加剤に徐々に注ぐことによって、残留する局所的な過剰を避けることに注意すべきである。インキュベーション時間は、60分間より長い継続から十分に効果が見られないから、少なくとも15分間、好ましくは30分間とすべきである。
【0136】
前記方法は、一般的に、常温で実施されてもよいが、より高い温度又はより低い温度、例えば、4〜37℃の範囲の温度で、実施されてもよい。実験データは、温度が、実質的に得られる結果を変えないことを示し、作業温度選択においては、タンパク質の安定性要求が決定的な要因のままとなるだろう。
【0137】
ある実施形態において、正電荷有機添加剤は、例えば水又は緩衝液に溶解又は分散され、サンプルへの添加前に、pHが調整される。これは、ある正電荷有機添加剤、とりわけ、カチオン性ポリマーを含む正電荷有機添加剤は、極端にアルカリであり、意図しない方法において、実質的に実験条件を変えることへの可能性を有することが理由である。
【0138】
過飽和のウレイド及び正電荷有機添加剤の双方の使用を含む実施形態において、一般的に、ウレイドアラントインを用いたことが、この実施が抗体の回収率を改良できることを示すから、正電荷有機添加剤を添加する前にタンパク質製剤に分散したウレイドで開始することは有利であろう。正電荷有機添加剤の添加前の長いインキュベーションは、不要と思われ、より長いインキュベーションは不利ではないように見えるが、15分以下が適切である。
【0139】
ある実施形態において、組合せ及び実施上の条件が特定用途に最も適しるように決定したプロセスを開始するために、有機調節因子及び正電荷有機添加剤を選択することが望ましいだろう。正電荷有機添加剤の性質が有機調節因子の最も好適な有機調節因子、又は実用的な濃度を、少なくとも部分的に決定する、及び/又は逆もまた同様であることの知識によって、その選択は助けられる。一般用語において、ある実施形態に関して、正電荷有機添加剤の疎水性が強いほど、疎水性の相互作用を弱める高い能力を備える有機調節因子、又は高濃度で使用されるためのより弱い疎水性の調節因子の必要性は高い。これは、調節は水素結合、並びに疎水性の相互作用及び水素結合の能力の異なるバランスを現すことが期待され得る、異なる正電荷有機添加剤、及び異なる有機調節因子も含まれるから、単純化され過ぎであるが、その考えは示される。この弱い疎水性のPEIは、効き目の軽い有機調節因子の最小の濃度で良好な結果をもたらし得るから、場合によっては好ましいが、細胞毒性の特性、及び精製処理の過程を通したタンパク質製剤からの除去を簡単に確認するため、適切な感度でのPEIを検出することが潜在的に困難であることから、PEIは好ましくないだろう。強力に、疎水性のエタクリジンは、相互作用した物質の沈殿が生じる傾向を理由に、場合によっては好ましくないだろう。しかしながら、抗ウイルス薬として、血漿タンパク分画の分野におけるその長い歴史から、エタクリジンは好ましいだろう。付加的に、その明るい黄色及び内因性の蛍光は、与えられたサンプルの内容物の感度測定を容易にし、これにより、前記方法の実施に続く除去の証拠資料を助ける。エタクリジンの結合/沈殿傾向は、適切な濃度で、適切な有機調節因子によって補われる。クロルヘキシジンの優れた疎水性は調節のさらに高い程度を必要とするが、その選択は、280nmでのその強いUV吸光度によって防がれるだろう。
【0140】
手順の進展中であろうと又は生成中であろうと、前記方法による凝集体の分離又は除去の達成を観察するための、複数の選択肢は存在する。最も単純なのは、好適な選択性でカラムの分析的サイズ排除クロマトグラフィを実施し、280nmのUV波長で観察することである。これは、通常、非凝集の産物の大きさの整数倍に適度に従う、流体力学的な寸法を示すから、HMW凝集体を明らかにするだろう。ヘテロ−凝集体は、それらの流体力学的な寸法が非凝集の産物のそれよりわずかに優れるだけであるから、この方法によって、よく見落とされる。そのような場合において、会合した不純物が全く無いことが信じられている浄化されたタンパク質の吸光度比に対する値と比較するとき、凝集体の異形の組成物は、UV吸光度280nmに対するUV吸光度254(又は260)nmの比を算出することによって明らかとなるだろう。例えば、DNA含有ヘテロ−凝集体は、254/280の高い比によって明らかになるだろう。クロマトグラフが機能を提供するなら、エタクリジンの内容物は365nmで同時に観察される。これは、その後の精製処理でエタクリジンの除去を実証するのに役立ち得る。多数の波長観察は、他のクロマトグラフィ法と併用して使用されることもできる。
【0141】
ある実施形態において、その後の精製より前に、本発明は、正電荷有機添加剤、及び潜在的にサンプルの他の成分を取除くための処理と一体として実施できる。そのような処理は、サンプルの残りから正電荷有機添加剤を隔離する目標と共に、性質上、正電荷有機添加剤の特性に相補性のある化学的部分を備える固形分へのサンプルの暴露を含んでもよい。
【0142】
ある実施形態において、本発明は、これらに限定されないが、タンパク質A及び他の形態の生物学的親和性クロマトグラフィ、アニオン交換クロマトグラフィ、カチオン交換クロマトグラフィ、疎水性相互作用クロマトグラフィ、固定化金属アフィニティークロマトグラフィ、ヒドロキシアパタイト、若しくは他の複合モードクロマトグラフィ、並びに/又は沈殿及び液−液抽出のような非クロマトグラフィによる方法を含む、1以上の精製方法と一体として実施できる。特定の抗体の精製に必要なことを達成するために、種々の方法に対して適切な条件を開発すること、及びそれらを本願明細書に記載の本発明と一体として実施することは、当該技術分野の当業者の技能の範囲内である。
【0143】
ある実施形態において、本発明の実施において使用するための評価に対して、少なくとも1つのウレイドの種類を選択する必要性がある。尿酸は、実質的には不溶性であり、未溶解のアラントインは正電荷有機添加剤の効果を調節するように見え、典型的には高い抗体の回収率を維持するが、未溶解の尿酸の除去後に、ほとんど処理されたタンパク質製剤が存在しないとの利益を備える。正電荷有機添加剤の選択に関して、エタクリジンは、特に、抗ウイルス薬として、血漿タンパク分画の分野におけるその長い歴史を含む、いくつかの魅力的な特徴を提供する。また、DNAをインターカレートし、内毒素と強く結合する。付加的に、その明るい黄色及び内因性の蛍光は、与えられたサンプルの内容物の感度測定を容易にし、これにより、前記方法の実施に続く除去の証拠資料を助ける。
【0144】
ある実施形態において、ウレイド及び正電荷有機添加剤の望ましい濃度は、処理に用いられるタンパク質製剤の組成物によって影響される。細胞培養の上澄液を浄化するための都合のよい出発点は、1%アラントイン及び0.02%エタクリジンである。双方は、実験的に、所望の結果を提供する微調整した量に変更できる。細胞含有の細胞培養収集物(harvest)への本発明の適用は、おそらく、ウレイド及び正電荷有機添加剤の双方を多量に必要とするだろう。実験データは、特に、ある実施形態において、過飽和を達成するためにより多い量のアラントインが必要とされ、細胞表面における損失量を補填するためにより多い量のエタクリジンが必要とされる得ることを示す。実験は、双方の好適に有効な量を明らかにするのに役立つだろう。本発明は、ある実施形態において、とりわけ、かなり高い細胞密度の培養が、凝集した抗体の大部分を産生する状況において、凝集体を除去するよりむしろ分離することによって、抗体の回収率を増加させる価値のある利益を提供する。これにより、実質的に、産生/精製プロセス全ての生産性及び経済性を改良する結果と共に、非常に高生産性である細胞培養からのタンパク質の精製を可能にする。本発明の他の利益は、実質的に細胞及び残渣の沈降を加速することであり、それらの除去を容易にする。
【0145】
示差走査熱量測定からのデータは、35mM(飽和付近)のアラントインが、35mMの尿素が熱転移温度を下げる量の約半分によって、IgGに対し熱転移温度を下げる効果を有することを示す。これは、アラントインによるタンパク質変性のリスクが無いことを示す。正電荷有機添加剤とアラントインの組合せが正電荷有機添加剤を単独で用いて達成したレベルを超えて、ウイルス不活化のレベルを増加し、そのようなウイルス不活化が、未溶解ウレイドによるウイルスの結合に加えて起こることも示す。
【実施例】
【0146】
実施例1
HMW凝集体の低減及びヘテロ−凝集体の分離について、正電荷有機添加剤の比較。モノクローナルIgM含有の浄化された細胞培養上清を、200mMのアルギニン、10mMのEDTA、50mMのMESを含む、pH6.5の緩衝液において、実施されたサイズ排除クロマトグラフィによって分析した。その物質は、11%のHMW凝集体及びヘテロ−凝集体の実質的な存在を示す、0.506の254/280比を示したIgMピークを含んでいた。上清の電気伝導率を、塩化ナトリウムの添加によって、20mS/cmまで上げた。9つのサンプルを、0.01、0.05、及び0.1%のPEI−1200、0.01、0.05、及び0.1%のエタクリジン、並びに0.01、0.05、及び0.1%のクロルヘキシジンで処理し、30分間インキュベートし、次いでSECにより分析した(結果は以下に示す)。0.1%のクロルヘキシジンのサンプルは、分析の前に沈殿した。サンプルを30分間インキュベーションし、次いでSECにより分析した。エタクリジンだけHMW凝集体を除去した。効果的なヘテロ−凝集体の分離も維持した。PEIは、全ての濃度で、97%より優れた回収率、及び良好なヘテロ−凝集体の分離を提供したが、ヘテロ−凝集体の低減には乏しかった。クロルヘキシジンは、ほぼエタクリジン及びPEIの中間であった。
【0147】
【表1】
【0148】
実施例2
HMW凝集体の低減及びヘテロ−凝集体の分離について、正電荷有機添加剤の比較。他の抗体を用いて、実施例1の形式を再び実施した。この抗体は7.5%のHMW凝集体及び低いヘテロ−凝集体が内容物であることを示した。傾向は、基本的に実施例1におけるサンプルと同じであるが、明らかな違いがあり、明らかに、抗体の特性に起因し得る。以下に示す。
【0149】
【表2】
【0150】
実施例3
より高い電気伝導率の効果。実施例2の一連のエタクリジンを、40mS/cmの上清の電気伝導率で再び実施した。HMW凝集体及びヘテロ−凝集体レベルは、未処理の対照において20mS/cmより低い値であった。HMW凝集体はエタクリジンの濃度に対しては同様の傾向を示したが、回収率が低い一方、ヘテロ−凝集体は反対方向に向かう傾向がある。
【0151】
【表3】
【0152】
実施例4
モノクローナルIgM含有の細胞培養上清におけるDNA抗体のヘテロ−凝集体のレベルを低下させることについて、作用濃度の測定。ヒドロキシアパタイトクロマトグラフィは、モノクローナルIgMクローン85をDNAと大いに複合化したことを示した。これは、ほぼ、280nmでのUV吸光度と同等である、254nmでのIgMピークのUV吸光度によって明らかとなった。DNA−フリー(free)IgMは約2:1の280/254比を有する。IgMからDNAを解離するための最も有効な組合せを測定するため、正電荷有機添加剤PEI−1300及びウレイドアラントインの様々な組合せと、モノクローナルIgM含有の浄化された細胞培養上清の10mLサンプルを合わせて、実験を行った。サンプルは、最初は、不純物の存在のためにその色が黄褐色であり、少しばかりの濁りは沈殿の存在を示す。乾燥アラントイン粉末の直接の添加によって、全てのサンプルをアラントインで飽和した。アラントインを含むサンプルの全ては、見かけが濃い乳白色である。PEIの原液を、酢酸を用いてpH7.0とした50%のPEI−1300(Sigma)を滴定することによって調製し、水を加えて最終的なPEI濃度を10%とした。PEIを、サンプルに加え、2%、1%、0.5%、0.025%、0.0125%、及び0.00625%の最終濃度とした。PEIを欠くがアラントインを含む、実験対照を調製した。別の対照を、アラントインの不存在下で、0.05%PEIで調製した。後者の対照において、濁度は変わらないままであり、PEI−1300だけでは、実質的なDNA又は他のサンプルの内容物の沈殿を起こす能力が無いことを示す。それぞれのサンプルを0.22μmの膜を通してろ過した。サンプルを容易にろ過し、処理後、光学的に透明に光っていた。これは、本発明の特定の特徴である。それぞれのサンプルを、pH7.0で、50mMのHepesで平衡化したヒドロキシアパタイトのカラム(CHT type II、40μm、1mL、5×50mm、1mL/分)に適用し;pH7.0で、50mMのHepes、2MのNaClで洗浄し;初期条件に再平衡化した;pH7.0で、250mMのリン酸ナトリウムに、10カラム容量(CV)の直線勾配で溶離した;次いで、pH7.0で、500mMのリン酸塩で洗浄した。PEIだけのサンプルは、部分的な分離を示した。非常に大きいDNAピークは、洗浄工程で溶離した。アラントインだけのサンプルは、DNA複合体のより少ない低減を示したが、非常に少ないDNAは洗浄のピークで溶離した。PEI/アラントインで処理したサンプルの全てから溶離したIgMは、IgMから分離した実質的に完全なDNAを示す理想的な280/254比を与え、ごく少量のDNAのみが洗浄工程で溶離した1%のPEIにて前記実験から回収されたヒドロキシアパタイトで分画したIgMを分析的SECカラムに適用した。IgMを、DNAが残っていることを示さない、95%より高い純度であると推定した。この例は、供給材料における高いDNAレベルの存在により通常は無効となる方法によって、有効な産物回収を可能とする本発明の能力を説明する。それは、正電荷有機添加剤及び水素供与体/受容体の組合せがDNA(正電荷有機添加剤に対して高い親和性を有する)と、DNAより低いが正電荷有機添加剤に対する高い親和性を有する産物との間の微細な区別を達成できることも明らかにする。この実験は、また、重要な見識及びこの技術の価値のある実施例をもたらした。PEIだけの処理におけるDNAピークは、ほぼ、未処理のサンプルにおけるDNAピークの2倍の大きさであった。これは、ほぼ、元のサンプルにおけるDNAの半分をタンパク質とのヘテロ−凝集体に含むことを示し、それらの分離の重要性を強調する。この実施例は、また、非常に透明な生物サンプルを達成できる、極めて珍しく、望ましい結果を達成する前記方法の能力を強調する。多くの方法は、細胞培養上清を浄化するために存在するが、全て、サンプルにおいて明らかな曇りを残し、この曇りは、しばしば後の精製のための方法に干渉すると疑われる。前記方法で処理された溶液の著しい透明さは、とりわけ、未溶解アラントインと併用して実施したとき、他の方法との明らかな差異を強調する。
【0153】
実施例5
好ましい添加の順序の決定。実験を、0.025%のPEI−1300及び飽和アラントインで処理した実施例4に記載の抗体の2分割量において実施した。PEIを、一つの実験において、最初に加え、他において、アラントインを最初に加えた。サンプルをろ過し、上記のとおり、ヒドロキシアパタイトカラムに適用した。アラントインで最初に処理したもののIgMピークは、ほぼ、PEIで最初に処理したものの2倍の大きさであった。これらの結果は、産物回収率を最大化するための添加の順番の重要性を強調し、また、正電荷有機添加剤とタンパク質との相互作用を調節するアラントインの能力を強調する。
【0154】
実施例6
インキュベーション時間の測定。実験を、PEIの添加前に1〜30分、及びPEIの添加後、濾過の前に1〜30分間の間隔でインキュベートしたアラントインにおいて実施した。ヒドロキシアパタイトカラムでの280/254比、又はIgMピークの大きさにおいて、明らかな傾向は無かった。これは、DNA分離及び除去の速度が速いということを示唆する。
【0155】
実施例7
モノリスにおける立体排除クロマトグラフィによるIgMの精製。IgM−B07細胞培養上清のサンプルを、上記のとおり、1%のPEI−1200及び飽和アラントインで処理した。8mLのヒドロキシルモノリス(BIA Separations)を、pH7.0で、50mMのHepes、100mMのNaCl、10mMのEDTA、10%のポリエチレングリコール6000を用いて、平衡化した。処理したIgM上清を、10%のPEGで適用した;カラムを、平衡化緩衝液で洗浄し、次いで、3.75CV直線勾配で、pH7.0で、50mMのHepes、100mMのNaClに溶離した。未処理のサンプルを、その後、参考までに、クロマトグラフした。未処理の参考用サンプルは、ブロードな、立下りの(trailing)、薄い、混濁したピークに溶離した。処理したサンプルは、シャープな、対称的な、濃縮した、光学的に透明なピークに溶離し、凝集体の立下りの(trailing)ピークからよく分離した。分析的SECは、処理したサンプルからのIgMが、95%より高い純度であり、ただこの一度だけのクロマトグラフィ工程後に凝集体が無いことを示した。
【0156】
実施例8
酵素により消化されたDNAの除去。DNAをフラグメントに消化するため、モノクローナルIgMクローンA4を、ベンゾナーゼ(benzonase)で事前に処理した。ついで、ヘテロ−凝集体を分離するために、飽和アラントイン及び0.01%のPEI−1300で処理した。沈殿物を除去し、立体排除クロマトグラフィによって、サンプルは分画した。DNAが実質的に溶離した抗体に存在しないことは、小さいDNAフラグメントの除去に対する本発明の有効性が大きいDNAの除去に対するその有効性と同等であることを示している。
【0157】
実施例9
PEI−1300の代わりにエタクリジンを用いること以外は、実施例4の形式を再び実施した。エタクリジンが、より狭いダイナミックレンジを提供するが、同様の結果を生み出すということが見出された。抗体回収率は、0.00625%に下がるまでのエタクリジンの濃度に反比例した。DNA分離の効率は、0.001%〜0.00625%のエタクリジンの濃度に比例した。
【0158】
実施例10
クロルヘキシジンとのIgM−DNA複合体の分離。ろ過したIgM85含有細胞培養上清を強力なアニオン交換多孔性粒子の樹脂(EMD TMAE)に適用し、1MのNaCl(pH7.0)に、直線勾配で分画した。高いDNA含有量が知られているにもかかわらず、DNAピークは全DNAの約2%を表すように見えた。IgM及びDNAの間で溶離する、254nmでの高い吸収を有するピークは、DNAの残りがヘテロ−凝集体に存在していたことを示した。飽和アラントインで処理したIgM85のサンプルは、小さいが、ヘテロ−凝集体の量における一定の低減と、対応するDNAピークにおける増加とを示した。クロルヘキシジンを、0.001〜1%の範囲のレベルで、アラントイン−飽和サンプルに加え、処理したサンプルはアニオン交換体に適用した。ヘテロ−凝集体を分離し、DNAは、0.01〜1.0%の範囲のクロルヘキシジンにおいて除去した。複合体を、低い濃度で部分的にだけ分離し、DNAの低減は最小であった。激しい抗体の低減を、1%及び0.5%のクロルヘキシジンで観察した。これらの結果は、クロルヘキシジンがヘテロ−凝集体の分離、及び飽和アラントインの存在下でのDNA除去に有効である一方、その有効な範囲がPEI−1300又はエタクリジンより高くも狭くもあることを示す。この実施例は、また、事前にDNAを除去してしまう本発明のため、IgMの回収方法としてのアニオン交換クロマトグラフィの実施可能性を説明する。実施例4との比較は、IgMの回収方法としてのヒドロキシアパタイトの実施可能性を示した。
【0159】
実施例11
上記の実験によって明らかにされるように、正電荷有機添加剤の疎水性の増加は、例えば一連のPEI、エタクリジン、クロルヘキシジンにおいて、有用なダイナミックレンジの狭小化、及び注目するタンパク質の損失の増加という結果となる。実験に基づく比較を、0.02%のエタクリジン又は0.02%のPEI−1300と組み合わせて、1%の尿と1%のアラントインとの間で作成した。IgM回収率は、双方のウレイドとPEI、及びアラントインとエタクリジンに対して同等であったが、エタクリジンと尿酸の組合せでは約94%まで低減した。これらの結果は未溶解溶液の飽和成分アラントイン(約36mM)が、エタクリジンと抗体との相互作用を変性することを示すことを解釈した。凝集体の分離は、全ての処理において同等であった。SECもまた、全ての上記実験のように、処理の結果として、抗体ピークの見かけの大きさが低減することが明らかとなった。これは、溶出時間において、僅かだが明確な増加が観察され、肉盛りした特性によって明確に明らかとなった。254/280比の平行した低減は、サイズにおける変化が、抗体と会合する254−ドミナント(dominant)の不純物の除去に起因することを示す。
【0160】
実施例12
細胞含有の培地ブロス(broth)へのアラントイン及びエタクリジンの添加。1.5Lのハイブリドーマ培地ブロスを振とうフラスコから回収した。電気伝導率を25mS/cmに調整し、アラントイン及びエタクリジンを、1%(w/v)及び0.02%(w/v)となるようにそれぞれブロス(broth)に加え、20分間室温でよく混合した。混合物を遠心分離により浄化し、分析的SECによって分析した。この初期では、ヘテロ−凝集体を観察せず、IgMピークの254/280ピーク高さ比が1:2であり、IgMがほとんどDNA不純物を含まないことを示した。この実施例は、DNAの除去、及び細胞除去と凝集体の分離を統合できることを示す。
【0161】
実施例13
モノクローナルIgM含有の細胞培養上清における、DNA−抗体のヘテロ−凝集体のレベルを低下させるための作用濃度の測定。ヒドロキシアパタイトクロマトグラフィは、モノクローナルIgMクローン85をDNAと大いに複合化したことを示した。これは、ほぼ、280nmでのそのUV吸光度と同等である、254nmでのIgMピークのUV吸光度によって明らかとなった。DNA−フリー(free)IgMは、約2:1の280/254比を有する。IgMからDNAを解離するための最も有効な組合せを測定するため、正電荷有機添加剤PEI−1300及び1Mの尿素の様々な組合せと、モノクローナルIgM含有の浄化した細胞培養上清の10mLサンプルを合わせて、実験を行った。サンプルは、最初は、不純物の存在のためにその色が黄褐色であり、少しばかりの濁りは、沈殿の存在を示す。PEIの原液を、酢酸を用いてpH7.0とした50%のPEI−1300(Sigma)を滴定することによって調製し、水を加えて最終的なPEIの濃度を10%とした。PEIを、サンプルに加え、2%、1%、0.5%、0.025%、0.0125%、及び0.00625%の最終濃度とした。乾燥尿素を、1Mの濃度に加えた。PEIを欠くが、1Mの尿素を含む、実験対照を調製した。別の対照を、尿素の不存在下で0.05%のPEIで調製した。後者の対照において、濁度は変わらないままであった。それぞれのサンプルを0.22μmの膜を通してろ過した。それぞれのサンプルを、pH7.0で、50mMのHepesと平衡化した、ヒドロキシアパタイトのカラム(CHT type II、40μm、1mL、5×50mm、1mL/分)に適用し;pH7.0で、50mMのHepes、2MのNaClで洗浄し;初期条件に再平衡化し;pH7.0で、250mMのリン酸ナトリウムに、10カラム容量(CV)の直線勾配で溶離し;次いで、pH7.0で、500mMのリン酸塩で洗浄した。PEIだけのサンプルは、ヘテロ−凝集体の部分的な分離を示したが、洗浄工程における非常に大きいDNAピークはヘテロ−凝集体の分離が、それにもかかわらず、実質的にあったことを示した。尿素だけのサンプルは、ヘテロ−凝集体のより少ない低減、及び洗浄工程のピークにおいてより少ないDNAを示した。PEI/尿素で処理したサンプルの全てから溶離したIgMは、ただ無視してよい量だけの洗浄工程で溶離したDNAと共に、実質的に完全なヘテロ−凝集体の分離を示す、2.0より優れた280/254比を与えた。1%のPEIでの実験から回収したヒドロキシアパタイトを、分析的SECカラムに適用した。0.2%未満のHMW凝集体と、IgMを95%より高い純度であると概算し、ヘテロ−凝集体は見られなかった。回収率は98〜99%であった。この実施例は、供給材料における高いDNAレベルの存在により通常は無効化された方法によって、有効な産物回収を可能とする本発明の能力を説明する。これらの結果は、未処理のサンプルと比較して、抗体と他のタンパク質と共に元のサンプルにおける大部分のDNAをヘテロ−凝集体に含むことの重要な点を強調する。
【0162】
実施例14
好ましい添加の順番の測定。実験を、0.025%のPEI−1300及び1Mの尿素で処理した実施例14に記載の抗体の2分割量において行った。PEIを、一つの実験において、最初に加え、他において、尿素を最初に加えた。サンプルをろ過し、上記のとおり、ヒドロキシアパタイトカラムに適用した。尿素で最初に処理したもののIgMのピークは、ほぼ、PEIで最初に処理したもののピーク2倍の大きさであった。これらの結果は、産物回収率を最大化するための添加の順番の重要性を強調し、また、正電荷有機添加剤とタンパク質との相互作用を調整する尿素の能力を強調する。
【0163】
実施例15
モノリスにおけるサイズ排除クロマトグラフィによる複数の構成要素からなるIgMの精製。IgM−B07細胞培養上清のサンプルを、1%のPEI−1200及び10%のプロピレングリコールで処理した。8mLのヒドロキシルモノリス(BIA Separations)を、pH7.0で、50mMのHepes、100mMのNaCl、10mMのEDTA、10%のポリエチレングリコール6000を用いて平衡化した。処理されたIgM上清を10%のPEGで適用した;カラムを平衡化緩衝液で洗浄し、次いで、3.75CV直線勾配で、pH7.0で、50mMのHepes、100mMのNaClに溶離した。未処理のサンプルを、その後、参考までに、クロマトグラフした。未処理の参考用サンプルは、ブロードな、立下りの(trailing)、薄い、混濁したピークに溶離した。処理したサンプルは、シャープな、対照的な、濃縮した、光学的に透明なピークに溶離した。分析的SECでは、処理したサンプルからのIgMが、0.1%未満のHMW凝集体と共に、95%より高い純度であることを示し、ヘテロ−凝集体は見られなかった。
【0164】
実施例16
クロルヘキシジンと、IgMヘテロ−凝集体の測定。ろ過したIgM85含有細胞培養上清を強力なアニオン交換多孔性粒子の樹脂(EMD TMAE)に適用し、1MのNaCl(pH7.0)に直線勾配で分画した。高いDNA容量が知られているにもかかわらず、DNAピークは、全DNAの約2%だけを表すように見えた。IgM及びDNAの間で溶離する、254nmでの高い吸収を有するピークは、DNAの残りがヘテロ−凝集体に存在していたことを示した。1Mの尿素で処理したIgM85のサンプルは(クロルヘキシジンを含まない)、小さいが、ヘテロ−凝集体の量における一定の低減と、対応するDNAピークにおける増加とを示した。クロルヘキシジンを、0.001%〜1%の範囲のレベルで、1Mの尿素サンプルに加え、処理したサンプルはアニオン交換体に適用した。ヘテロ−凝集体を分離し、DNAは0.01〜1.0%の範囲のクロルヘキシジンにおいて除去した。ヘテロ−凝集体を、低い濃度で部分的にだけ分離し、DNAの低減は最小化であった。深刻な抗体の低減を、0.5%及び1%のクロルヘキシジンで観察した。これらの結果は、クロルヘキシジンが、HMW凝集体の除去及びヘテロ−凝集体の分離に対して有効であり、その有効な範囲が、PEI−1300又はエタクリジンより高くも及び狭くもあることを示す。この実施例は、また、事前にDNAを除去してしまう本発明のためIgMの回収方法としてのアニオン交換クロマトグラフィの実施可能性を説明する。実施例14との比較は、IgMの回収方法としてのヒドロキシアパタイトの実施可能性を示した。
【0165】
実施例17
ウイルス及びDNAの低減。マウス白血病ウイルス(MuLV)、マウス微小ウイルス(MVM)、及びチャイニーズハムスターの卵巣(CHO)細胞の生きたサンプルを含む細胞培養を、1%のアラントイン及び0.025%のエタクリジンで処理した。全ての実験を、生理学的な条件で行った。MuLVは1.6logで低減した。MVMは3.1logで低減した。CHO培養におけるDNAは2.1logで低減した。アラントインの不存在下で0.025%のエタクリジンで処理した並行するサンプルの種類は、効果的でなく、1.3logsでMuLVを、1.4logsでMVMを、及び1.6logsでDNAを低下させた。
【0166】
特定の要求に対応するために必要などんなボリュームでも、上述の実施例において説明したような実験に由来する拡大又は縮小の方法が当該技術分野の当業者によって理解されるだろう。
【0167】
本願明細書に引用した全ての参考文献は、参照によりその全体を援用したものとし、あらゆる目的のために、個々の出版物又は特許若しくは特許出願のそれぞれと同じ範囲が、特に及び個々に、参照によりあらゆる目的のためにその全体を援用されることを示す。本願明細書に含まれる開示と矛盾する、参照により援用された出版物及び特許又は特許出願の範囲のため、本願明細書が取って代わると意図され、及び/又はそのような矛盾する物質の何れにも勝る。
【0168】
成分の量を表す全ての数字、クロマトグラフィの条件、明細書及び特許請求の範囲で使用されたその他のものは、用語「約」との用語によって、あらゆる場合において、加減され得ると理解される。従って、反対を示していない限り、明細書及び特許請求の範囲において説明する数字で表したパラメータは、本発明により得られることが求められる所望のパフォーマンスによって調整され得る近似である。
【0169】
本発明の多くの調節及び変更は、その精神及び範囲から逸脱せずに可能であり、当業者に明らかである。本願明細書に記載される特定の実施形態は、例としてのみ示し、どんな方法であれ制限されることを意味しない。詳細な説明及び実施例はただ例となるものであると、特許請求の範囲によって示される本発明の本当の範囲及び趣旨と共に意図される。