(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記スライダ凹部において、前記ロッドの前記先端部が接触する接触部分における接平面が、前記ダイの径方向の外側に向かって前記ダイ凹部の開口側に傾斜する傾斜面である請求項1に記載の樹脂成形品の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照しつつ、第一実施形態の樹脂成形品の
製造方法と、この製造方法に適用可能な成形装置22について説明する。
【0022】
第一実施形態の成形装置22は、
図1及び
図2に示すように、円筒状のダイ24と、このダイ24の内側に配置されたコア26とを有する。コア26は、略円柱状あるいは略円筒状であり、ダイ24と同軸上に配置されている(ダイ24とコア26の中心線CLが一致している)。
【0023】
成形装置22の使用時には、たとえば、ダイ24及びコア26の軸方向の一端側が上側となり、他端側が下側となるように、成形装置22が配置される。すなわち、中心線CLが鉛直方向となる向きである。ただし、成形装置22の使用時の向きはこれに限定されず、たとえば、中心線CLが水平方向となる向き、あるいは水平方向に対し傾く向きに配置されてもよい。以下において、単に「軸方向」というときは、ダイ24及びコア26の軸方向を言い、中心線CLの延在方向と一致する。また、単に「一端側」あるいは「他端側」というときは、ダイ24及びコア26の軸方向の一端側あるいは他端側を意味し、これは、成形装置22における一端側あるいは他端側と一致する。さらに、「径方向」というときは、ダイ24及びコア26の径方向を意味する。図面において、成形装置22の上方を矢印UPで、下側を矢印DWで、径方向外側を矢印KSでそれぞれ示す。なお、単に「上側」あるいは下側」というときは、
図2、
図3等における「上側」あるいは「下側」を意味する。
【0024】
図3にも示すように、ダイ24の内周面24Nと、コア26の外周面26Gとの間には、溶融樹脂の流路28が形成されている。流路28に、一端側から他端側(
図2及び
図3における上側から下側)へ溶融樹脂が流され、所定の形状の樹脂シートPに成形される。なお、成形装置22を、中心線CLが水平方向となる向き、あるいは水平方向に対し傾く向きに配置した場合であっても、流路28に対し、一端側から他端側へ溶融樹脂を流して、所定の形状の樹脂シートを形成する。
【0025】
成形装置22において所定の形状に形成された樹脂は、たとえば、
図4に示す燃料タンク90を形成する部材として用いられる。この場合、成形装置22においては、筒状の樹脂シートが形成され、これを金型にセットし、筒状の樹脂シートの内側に空気を送り込むことで、所望の形状の燃料タンク90を成形できる(ブロー成形)。また、筒状の樹脂シートを所望の位置で切断することで、複数枚の板状の樹脂シートを得るようにしてもよい。この場合は、得られた板状の樹脂シートを成形用の金型に2枚セットし、樹脂シートの間に空気を送り込むことで、所望の形状の燃料タンク構成体92、94に成形できる。
【0026】
成形装置22において、コア26は、図示しない移動機構により、ダイ24に対し、軸方向(矢印UP方向及びその反対方向である矢印DW方向)へ移動可能である。
【0027】
コア26の外周面26Gにおける他端側には、直径D1(
図2参照)が他端側に向かって漸増するコア拡径部30が形成されている。このコア拡径部30と、後述するダイ拡径部32あるいはセパレータ36の対向面40との間では、コア26の軸方向への移動により、流路28の流路幅W1が他端側に向かって変化するようになっている。
【0028】
ダイ24には、他端側に開口するダイ凹部34が形成されている。
図1に示すように、ダイ凹部34は、ダイ24の周方向に連続する環状である。
【0029】
ダイ凹部34には、複数のセパレータ36が収容されている。
図1に示すように、セパレータ36は、ダイ24の周方向に並べて(図示の例では8つ)配置されている。それぞれのセパレータ36は、軸方向に見て円弧形状である。そして、複数のセパレータ36が全体として、コア26を環状に取り囲んでいる。セパレータ36は、スライダの一例である。
【0030】
図2及び
図3に示すように、ダイ24には、セパレータ36に対し、コア26側に位置する壁部38が形成されている。壁部38は、ダイ凹部34において、一端側から他端側(上方から下方)へ延出されており、壁部38は、ダイ凹部34の内壁の一部を成している。
【0031】
図5に示すように、セパレータ36の幅W2(径方向の長さ)は、ダイ凹部34の幅W3(径方向の間隔)よりも短い。したがって、セパレータ36とダイ凹部34との間に、径方向の間隙GPが生じている。後述するように、ロッド48によってセパレータ36が径方向内側に押されることで、セパレータ36は壁部38に押し付けられる。なお、
図5では、間隙GPを実際よりも広く示している。
【0032】
セパレータ36における他端側の一部が、壁部38よりも他端側にはみ出し、コア26と対向するように、セパレータ36の高さが決められている。
【0033】
図3に示すように、セパレータ36においてコア拡径部30と対向する部分には、他端側に向かってコア26から離間する方向に傾斜する対向面40が形成されている。コア26が軸方向(矢印UP方向及び矢印DW方向)に移動することで、コア拡径部30と対向面40との流路幅W1を変化させることができる。また、対向面40をコア拡径部30に接触させることで、流路28を流れる溶融樹脂を所望の位置で切断することも可能である。
【0034】
セパレータ36において、コア側(壁部38に接触する側)の反対面は、複数のセパレータ36を全体で見たときに外周側に位置する外周面36Gである。それぞれのセパレータ36の外周面36Gには、セパレータ凹部42が形成されている。セパレータ36はスライダの一例であるのと同様に、セパレータ凹部42はスライダ凹部の一例である。
【0035】
セパレータ凹部42は、セパレータ36の外周面26Gから、径方向内側(中心線CLに向かう方向)へ凹んでいる。
図5に示すように、セパレータ凹部42の奥側(中心線CLに近い部位、
図5では左側)は、略半球状に湾曲する湾曲面42Aである。湾曲面42Aは、軸方向に沿ったセパレータ36の断面では円弧状に現れる。以下において、湾曲面42Aの半径をR1とする。
【0036】
図3及び
図5に示すように、セパレータ凹部42の開口側(中心線CLから遠い部位)は、湾曲面42Aから連続すると共に、セパレータ36の外周面36Gに向かって円錐台状に広がる拡径面42Bである。拡径面42Bは、軸方向に沿ったセパレータ36の断面(
図3に示す断面)では、上側(軸方向の一端側)及び下側(軸方向の他端側)の2つの境界線44として現れる。そして、2つの境界線44はそれぞれ、ダイ24の径方向外側に向かって広がる向きに傾斜している。具体的には、上側の境界線44Uは、ダイ24の径方向外側に向かって上方に傾斜し、下側の境界線44Sは、ダイ24の径方向外側に向かって下方へ傾斜している。また、中心線CLと直交する方向の断面においても、拡径面42Bは、ダイ24の径方向外側に向かって広がる向きに傾斜する2つの境界線として現れる。したがって、セパレータ凹部42は、径方向内側から径方向外側へ向かって広がる形状である。
【0037】
図1〜
図3に示すように、成形装置22は、セパレータ36と一対一で対応する複数(本実施形態では8つ)のロッド48を有する。
【0038】
ダイ24には、一対の支持板52を有する支持部材50がロッド48と一対一で取り付けられている。支持板52に設けられた支軸64により、ロッド48は中間部分において回転可能に、ダイ24に支持されている。ロッド48の先端部48Aは、セパレータ36に連結しない状態(非連結状態)で、セパレータ凹部42に収容されている。
【0039】
ダイ24の外周側には、ロッド48と一対一に対応する移動機構60を有する。移動機構60は、アクチュエータ62と、上記した支軸64とを含む。
【0040】
アクチュエータ62は、ダイ24の外周面24Gに固定されるシリンダ66を有する。シリンダ66からは、ピストン68が延出されている。ピストン68は、ロッド48の後端部48Bにピン68Pで連結されると共に、軸方向(
図3の上下方向)に移動するようになっている。アクチュエータ62の駆動により、ピストン68が軸方向の一端側(上側)へ移動すると、ロッド48の先端部48Aが軸方向の他端側(下側)へ移動する。ロッド48の先端部48Aはセパレータ凹部42に収容されているので、セパレータ36が軸方向の他端側(下側)へスライドする。これとは逆に、ピストン68が軸方向の他端側(下側)へ移動すると、セパレータ36が軸方向の一端側(上側)へ移動する。
【0041】
本実施形態では、
図3に示すように、ロッド48の長手方向がダイ24の径方向に沿う姿勢を初期状態としている。この初期状態から、
図6に示すように、ロッド48の後端部48Bを軸方向の一端側(
図6における上側)へ移動させてロッド48を矢印R3方向へ回転させることで、セパレータ36を他端側(
図6における下側)に移動させるように、ロッド48の姿勢(傾き)が設定されている。
【0042】
図5に示すように、ロッド48の先端部48Aは、半径R2の球状に形成されている。この球状の先端部48Aの半径R2は、セパレータ凹部42の湾曲面42Aの半径R1よりも小さい。そして、ロッド48の先端部48Aが、セパレータ凹部42の湾曲面42Aに対し、ロッド48の中心よりも軸方向他端側(下側)において接触点TPで接触するように、ロッド48の初期状態における位置が設定されている。
【0043】
セパレータ凹部42において、ロッド48の先端部48Aが接触する接触点TPにおける湾曲面42Aの接平面PLを考える。接平面PLは、径方向の外側に向かってダイ凹部34の開口側(下側)に傾斜する傾斜面46である。ロッド48の矢印R3方向への回転に伴って先端部48Aが他端側へ移動すると、接触点TPも他端側へ移動し、傾斜面46(接平面PL)の傾きは緩やかになる。ただし、この場合であっても、傾斜面46(接平面PL)径方向の外側に向かってダイ凹部34の開口側(下側)に傾斜する状態は維持される。
【0044】
なお、ロッド48の先端部48Aの形状は、上記した球状に限定されない。たとえば、ロッド48は円柱状あるいは角柱状に形成されていてもよく、この場合は、
図3等に示す断面において、ロッド48の先端部48Aに、2つの角部が現れる形状である。そして、円柱状あるいは角柱状のロッド48であっても、上記したように接触点TPにおける湾曲面42Aの接平面PLが、径方向の外側に向かってダイ凹部34の開口側(下側)に傾斜する傾斜面46であるように、ロッド48の大きさ(径)や位置を適切に設定することができる。
【0045】
次に、本実施形態の
樹脂成形品の製造方法及び成形装置22の作用を説明する。
【0046】
本実施形態の成形装置22では、ダイ24の内周面24Nとコア26の外周面26Gとの間に形成された流路28を溶融樹脂が流れることで、樹脂が所望の形状に成形される。コア26は、ダイ24に対し軸方向に移動することで、流路28の形状(幅)を変えることができる。
【0047】
ダイ凹部34に収容されたセパレータ36は、移動機構60により、軸方向にスライドする。これにより、セパレータ36の対向面40の位置を変え、流路28の幅をさらに変えることができる。
【0048】
本実施形態では、
図5に詳細に示すように、ロッド48の先端部48Aとセパレータ凹部42の湾曲面42Aとの接触点TPにおける接平面PLは、径方向の外側に向かってダイ凹部34の開口側(下側)に傾斜する傾斜面46である。したがって、ロッド48の先端部48Aが軸方向の他端側(下側)に移動したときに傾斜面46の法線方向に作用する力FTは、軸方向の他端側(下側)への軸方向成分FT−Aと、径方向の内側(コア26に向かう側)への径方向成分FT−Bと、に分けることができる。径方向成分FT−Bは、セパレータ36を壁部38へ押し付ける力として作用するので、セパレータ36と壁部38との間に隙間GPが発生することを抑制できる。壁部38は、セパレータ36が径方向内側(コア26へ向かう方向)への移動を、一定範囲に制限する。
【0049】
ダイ24は、
図7に示すように、熱膨張等により、外周面26Gが径方向外側へ広がるように変形することがある。そして、シリンダ66及びロッド48も径方向外側へ移動する。
【0050】
ここで、
図8に示すように、第一比較例として、ロッド48がセパレータ36にピン84で連結されている構造の成形装置82を考える。ダイ24の熱膨張等により、第一比較例の成形装置82では、シリンダ66が径方向外側へ移動すると、ロッド48からセパレータ36に対し、ピン84を介して径方向外側への力が作用する。
図8に二点鎖線で示すように、セパレータ36が径方向外側に移動すると、セパレータ36と壁部38との間に隙間が生じるおそれがある。
【0051】
また、
図9に示すように、第二比較例として、セパレータ凹部88が外周面36Gに向かって狭くなる(断面に現れる上下の境界線88Bが接近する)成形装置86を考える。第二比較例の成形装置86では、ロッド48がシリンダ66と連結されていない構造であっても、たとえばロッド48の姿勢によっては、径方向外側へ移動しようとするロッド48の一部がセパレータ36に引っ掛かることがある。特に、ロッド48が径方向に対し傾斜していると、ロッド48の一部がセパレータ36に引っ掛かりやすい。そして、ロッド48がセパレータ36に引っ掛かると、セパレータ36に径方向外側への力が作用する。セパレータ36が径方向外側に移動すると、セパレータ36と壁部38との間に隙間が生じるおそれがある。
【0052】
上記した第一比較例及び第二比較例に対し、本実施形態の成形装置22では、ロッド48はセパレータ36と連結されていない。しかも、本実施形態の成形装置22では、
図5に示す断面で現れるセパレータ凹部42の境界線44が、径方向の外側に向かって広がる向きにそれぞれ傾斜している。したがって、ロッド48が径方向外側へ移動しても、ロッド48がセパレータ36に引っ掛かることはない。特に、ロッド48が径方向に対し傾斜していても、セパレータ36への引っ掛かりが抑制できる。したがって、ロッド48が径方向外側へ移動しても、ロッド48からセパレータ36に径方向外側への力が作用しない。
【0053】
このように、セパレータ36に対し、径方向外側への力が作用しないので、セパレータ36が壁部38から離れて、セパレータ36と壁部38との間に隙間が生じることを抑制できる。これにより、流路28を流れる溶融樹脂がこの隙間に流れて流出することを抑制できる。
【0054】
しかも、セパレータ36が壁部38から離れないようにするために、セパレータ36を壁部38に付勢する(押し付ける)部材を設ける必要がない。このため、成形装置22の大型化、高コスト化を抑制できる。
【0055】
そして、上記したように、ロッド48の先端部48Aから傾斜面46の法線方向に作用する力FTの径方向成分FT−Bは、セパレータ36に対し壁部38へ押し付ける力として作用するので、セパレータ36と壁部38との隙間の発生をより確実に抑制できる。たとえば、流路28を流れる樹脂から、セパレータ36に対し径方向外側へ押す力が作用することが想定される。この場合に、この径方向外側への力よりも大きな力で、ロッド48からセパレータ36に径方向内側への力が作用するように、ロッド48に対する回転駆動力や、湾曲面42Aの形状、接触点TPの位置(傾斜面46の傾き)等を設定すればよい。
【0056】
次に、第二実施形態について説明する。なお、以下の各実施形態及び変形例において、第一実施形態と同様の要素、部材等については、同一符号を付して、詳細な説明を省略する。また、成形装置の全体的な構造も第一実施形態と同様であるので、図示を省略する。
【0057】
図10に示すように、第二実施形態の成形装置122では、支持部材50の一対の支持板52に、長孔124が形成されている。長孔124は、その長手方向がダイ24の軸方向と一致し、長さL1を有する。
【0058】
ロッド48の中間部には、長孔124に収容される収容板126が形成されている。収容板126は、軸方向に所定の長さL2を有するが、L2<L1である。したがって、収容板126は長孔124に収容された状態を維持しつつ、軸方向に移動する。また、収容板126は長孔124に対し、径方向の内側面126U及び外側面126Sにおいて、軸方向の所定の範囲で接触する。これにより、第二実施形態のロッド48は、
図10において中心線CLと直交する方向(矢印KS方向)の姿勢を維持しつつ、軸方向にスライド可能である。
【0059】
ピストン68は、ロッド48の後端部48B側に対し、所定の幅W2の範囲で固定されている。したがって、ピストン68が軸方向の他端側(下方)に移動すると、ロッド48に対し幅W2の範囲で下方への力を作用させるので、ロッド48は他端側へスライドしようとする。
【0060】
第二実施形態において、ロッド48の先端部48Aを軸方向の他端側(下方)へ移動させるには、アクチュエータ62の駆動により、ピストン68がロッド48の後端部48Bを軸方向の他端側(
図10における下側)へ押す。これにより、ロッド48が矢印S1方向にスライドし、先端部48Aが軸方向の他端側へ移動する。
【0061】
このように、ロッド48は、支軸64によって回転可能とされる第一実施形態の構造に限られず、軸方向にスライド可能とされる第二実施形態の構造であってもよい。第二実施形態では、ピストン68によってロッド48を押込んだ長さとセパレータ36の軸方向へのスライド量とが一致する。このため、セパレータ36のスライド量の設定や調整が容易である。
【0062】
これに対し、第一実施形態では、ロッド48を支軸64により回転可能に支持するので、第二実施形態のようなスライド可能にロッド48を保持する構造が不要であり、構造の簡素化を図ることができる。
【0063】
また、ロッド48自体がスライドしてセパレータ36をスライドさせる構造では、ロッド48に高い直進性や位置精度(ダイ24に対する位置の正確さ)が要求される。第一実施形態では、ロッド48は、セパレータ36に連結されておらず、ロッド48の回転により、セパレータ36をスライドさせるため、直進性は要求されない。また、第一実施形態では、ロッド48の位置精度としても、高い精度が要求されない。このため、成形装置22を低コストで構成できる。
【0064】
第一実施形態において、セパレータ36を軸方向の他端側へ移動させるときのロッド48の姿勢は限定されない。ただし、上記したように、ロッド48をダイ24の径方向に沿った姿勢(水平姿勢)から矢印R3方向に回転させてセパレータ36をスライドさせると、ロッド48の回転角度に対しセパレータ36のスライド量を多く確保できる。
【0065】
また、ロッド48を水平姿勢から矢印R3方向に回転させると、ロッド48の先端部48Aは、ダイ24の径方向外側へ僅かに移動する。しかし、ロッド48の先端部48Aは、径方向の外側に向かってダイ凹部34の開口側(下側)に傾斜する傾斜面46でセパレータ凹部42に接触する。したがって、したがって、ロッド48の先端部48Aからセパレータ36に作用する力の一部を利用して、セパレータ36をコア26側、すなわち壁部38に確実に押し付けることができる。
【0066】
なお、本願の成形装置において、セパレータ凹部は、上記各実施形態の形状の他に、以下の第三実施形態〜第五実施形態の各形状を例示できる。第三実施形態〜第五実施形態において、成形装置の全体的構成は、第一実施形態又は第二実施形態と同様の構成を採り得るので、図示を省略する。
【0067】
第三実施形態の成形装置130では、
図11に示すように、セパレータ凹部132は、奥側(中心線CLに近い部位)の湾曲面132Aを有し、開口側(中心線CLから遠い部位)は、湾曲面132Aから連続すると共に、外周面26Gに向かって一定の径を有する円柱状の円柱面132Bを有する。湾曲面132Aは、第一実施形態の湾曲面42Aと同様の一体の半径を有する半球状の面である。円柱面132Bは、外周面26Gに向かって一定の径を有する円柱状の面である。したがって、セパレータ凹部132は、径方向に沿う形状である。
【0068】
そして、湾曲面132Aに、ロッド48の先端部48Aが接触する。接触点TPにおける接平面PLは、径方向の外側に向かってダイ凹部34の開口側(下側)に傾斜する傾斜面46である。
【0069】
第四実施形態の成形装置140では、
図12に示すように、セパレータ凹部142は、奥側の円板面142Aと、開口側の円柱面142Bとを有する。円板面142Aは、開口側から矢印V1方向に見て円形の平面である。円柱面142Bは、第三実施形態と同様に、外周面26Gに向かって一定の径を有する円柱状の面である。すなわち、セパレータ凹部142は、径方向に沿う形状である。
【0070】
このように、セパレータ凹部の境界線44が、ダイ24の径方向に沿った形状(境界線44U、44Sが平行)であっても、ロッド48が径方向外側へ移動した場合にロッド48からセパレータ36に径方向外側への力が作用しない構造を実現できる。
【0071】
第五実施形態では、
図13に示すように、セパレータ凹部152は、奥側の円板面152Aと、開口側の拡径面152Bとを有する。円板面152Aは、第三実施形態と同様に、開口側から矢印V1方向に見て円形の平面である。拡径面152Bは、第一実施形態と同様に、外周面26Gに向かって円錐台状に広がる面である。したがって、セパレータ凹部152は、径方向内側から径方向外側へ向かって広がる形状である。
【0072】
そして、第五実施形態では、拡径面152Bに、ロッド48の先端部48Aが接触する構造を採りうる。接触点TPにおける接平面PLが拡径面152Bであり、この拡径面152Bは、径方向の外側に向かってダイ凹部34の開口側(下側)に傾斜する傾斜面46でもある。
【0073】
第五実施形態においても、セパレータ凹部152は拡径面152Bを有している。すなわち、ロッド48が径方向外側へ移動した場合にロッド48からセパレータ36に径方向外側への力が作用しない構造である。
【0074】
上記各実施形態では、セパレータが、他端側(下側)に向かってコア26から離間する方向に傾斜する対向面40(
図2等参照)を備えた例を挙げたが、このように傾斜する面を有さないセパレータであってもよい。たとえば
図14に示す変形例の成形装置では、セパレータ162に、他端側(下側)に向かってコア26から離間する方向に傾斜する面(
図3等の対向面40)が形成されていない。しかし、セパレータ162を軸方向にスライドさせることで、流路28の幅を変えることができる。
【0075】
なお、
図14に示す変形例において、成形装置の全体的構成は、第一実施形態と同様としているが、これに代えて、第二〜第五の各実施形態の成形装置に適用することも可能である。
【0076】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記構造に限定されず、その主旨を逸脱しない範囲において種々変形して実施することが可能である。