特許第6491303号(P6491303)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6491303
(24)【登録日】2019年3月8日
(45)【発行日】2019年3月27日
(54)【発明の名称】冷蔵庫
(51)【国際特許分類】
   F25D 23/00 20060101AFI20190318BHJP
   F25D 27/00 20060101ALI20190318BHJP
【FI】
   F25D23/00 301G
   F25D27/00
   F25D23/00 302Z
   F25D23/00 302A
   F25D23/00 302M
【請求項の数】7
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-235985(P2017-235985)
(22)【出願日】2017年12月8日
(62)【分割の表示】特願2013-174492(P2013-174492)の分割
【原出願日】2013年8月26日
(65)【公開番号】特開2018-36049(P2018-36049A)
(43)【公開日】2018年3月8日
【審査請求日】2017年12月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】503376518
【氏名又は名称】東芝ライフスタイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000567
【氏名又は名称】特許業務法人 サトー国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】兼坂 尚宏
(72)【発明者】
【氏名】丸谷 裕樹
(72)【発明者】
【氏名】品川 英司
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 浩太
【審査官】 石黒 雄一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−251722(JP,A)
【文献】 特開2010−121834(JP,A)
【文献】 特開2010−210171(JP,A)
【文献】 特開2006−300810(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2017/0039511(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2016/0123657(US,A1)
【文献】 特開2015−111024(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25D 23/00
F25D 27/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
貯蔵室内に設けられ、密閉空間を形成する引き出し式の密閉容器と、
前記密閉空間を撮像する撮像手段と、
前記密閉空間を照らす照明手段と、
前記密閉空間の酸素濃度を低下させる減酸素装置と、
を備え、
前記密閉容器は、少なくともその一部に透明材料で形成された窓部材が設けられており、
前記減酸素装置は、前記密閉空間の酸素濃度を、常圧下で電気化学的に低下させるものであり、
前記撮像手段は、前記密閉容器外に配置されており、前記減酸素装置が酸素濃度を低下させる前のタイミングで、前記窓部材を通して前記密閉容器外から前記密閉空間を撮像することを特徴とする冷蔵庫。
【請求項2】
貯蔵室内に設けられ、密閉空間を形成する引き出し式の密閉容器と、
前記密閉空間を撮像する撮像手段と、
前記密閉空間を照らす照明手段と、
前記密閉空間の酸素濃度を低下させる減酸素装置と、
を備え、
前記密閉容器は、少なくともその一部に透明材料で形成された窓部材が設けられており、
前記減酸素装置は、前記密閉空間の酸素濃度を、当該密閉容器内を大気圧よりも低い圧力に減圧することにより低下させるものであり、
前記撮像手段は、前記密閉容器外に配置されており、前記減酸素装置が酸素濃度を低下させるときに、前記窓部材を通して前記密閉容器外から前記密閉空間を撮像することを特徴とする冷蔵庫。
【請求項3】
前記密閉空間を照らす照明手段を、前記密閉空間外に設けたことを特徴とする請求項1または2記載の冷蔵庫。
【請求項4】
前記照明手段として、前記貯蔵室内に設けられている庫内照明を用いることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項記載の冷蔵庫。
【請求項5】
前記庫内照明は、前記貯蔵室の上部に設けられており、
前記庫内照明と前記密閉容器との間に位置する構造物は、透光性材料により形成されていることを特徴とする請求項4記載の冷蔵庫。
【請求項6】
前記撮像手段を、前記照明手段と対向しない位置に設置したことを特徴とする請求項1から5のいずれか一項記載の冷蔵庫。
【請求項7】
前記密閉容器は、その内部に光触媒が施されていることを特徴とする請求項1から6のいずれか一項記載の冷蔵庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、冷蔵庫に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、貯蔵室内を撮像するカメラ(撮像手段)を設けた冷蔵庫が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012−251722号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、貯蔵室に密閉空間を形成する密閉容器を設置した場合、その密閉容器内を撮像することができず、貯蔵状態を把握することがなかった。また、密閉容器を開放してしまうと、密閉空間内の環境が変化して食材に影響を与えるおそれがあった。
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、密閉容器を開放することなく貯蔵状態を把握することができる冷蔵庫を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態による冷蔵庫は、貯蔵室内に設けられ、密閉空間を形成する引き出し式の密閉容器と、密閉空間を撮像する撮像手段と、密閉空間を照らす照明手段と、を備え、密閉容器は、少なくともその一部に透明材料で形成された窓部材が設けられており、撮像手段は、密閉容器外に配置されており、窓部材を通して密閉容器外から密閉空間を撮像する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】一実施形態の冷蔵庫を適用した家電ネットワークの構成を模式的に示す図
図2】一実施形態の冷蔵庫の構成を模式的に示す図
図3】一実施形態の冷蔵庫の電気的構成を模式的に示す図
図4】一実施形態の密閉容器を模式的に示す図
図5】一実施形態の冷蔵庫における撮像処理の流れを示す図
図6】その他の実施形態の密閉容器の構成および撮像カメラの配置態様を模式的に示す図
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、一実施形態について図1から図5を参照しながら説明する。
図1に示すように、本実施形態の冷蔵庫1は、通信手段としての通信アダプタ2が設けられており、アクセスポイント3を介して携帯端末4や、外部ネットワーク5を介して外部のサーバ6との間で通信可能となっている。通信アダプタ2は、アクセスポイント3や室内の携帯端末4などとの間で近距離無線通信を行うものであり、本実施形態では、図1に示すように冷蔵庫1の上部に着脱可能(後付け可能)に設けられている。なお、通信アダプタ2は冷蔵庫1に内蔵されていてもよい。携帯端末4は、いわゆるスマートフォン(高機能携帯電話)やタブレットPCなどを想定しており、図1に示すように住宅内あるいは住宅外から冷蔵庫1やサーバ6との間で通信可能となっている。この携帯端末4は、住宅内であっても外部ネットワーク5を経由する広域通信により冷蔵庫1と通信することも可能であるし、アクセスポイント3を経由して近距離通信により冷蔵庫1と通信することも可能である。なお、冷蔵庫1とアクセスポイント3との間は、無線通信方式に限らず、有線通信方式で接続してもよい。
【0009】
サーバ6は、周知のコンピュータシステムにより構成されており、冷蔵庫1側にアクセスするための情報(例えばIPアドレスなど)を記憶しているとともに、後述するように撮像カメラ41(図3参照)で撮像した密閉空間20b(図2参照)内の画像情報を記憶している。ここで、画像情報とは、庫内の画像を示す情報(データ)であり、例えばビットマップ形式やJPEG形式、MPEG形式などの周知のフォーマットの画像データ(静止画、動画を含む)、その画像データを圧縮や暗号化あるいは画像処理などにより変換したデータなど、通信手段を介した送信が可能であって最終的に画像を表示することができるものであれば、どのような形式の情報であってもよい。
【0010】
次に、冷蔵庫1の構成について説明する。
冷蔵庫1は、図2に示すように、本体10内に上から順に、冷蔵室11、野菜室12、製氷室13、および冷凍室14が設けられている。冷蔵室11および野菜室12と製氷室13との間は、断熱仕切壁により仕切られている。冷蔵室11は扉11aによって開閉され、野菜室12、製氷室13および冷凍室14は、引き出し式の扉12a、扉13aおよび扉14aによってそれぞれ開閉されるようになっている。また、各扉には、その開閉状態を検知する開扉センサ37(図3参照)が設けられている。なお、図2に示した冷蔵庫1の構成は一例であり、各貯蔵室の配置順が異なる等の構成であってもよい。
【0011】
冷蔵室11の後方には、冷蔵室11や野菜室12用の冷蔵用冷却器15と、この冷蔵用冷却器15により冷却された空気を循環させる冷蔵用ファン16とが設けられている。また、製氷室13の後方には、製氷室13および冷凍室14用の冷凍用冷却器17、およびこの冷凍用冷却器17により冷却された空気を循環させる冷凍用ファン18が設けられている。これら冷蔵用冷却器15および冷凍用冷却器17は、冷凍室14の後方に配置されているコンプレッサ19により駆動され、このコンプレッサ19とともに周知の冷凍サイクルを構成している。冷凍サイクルは、温度センサ36により検知された庫内温度に応じてその運転状態が制御される。
【0012】
また、詳細は後述するが、冷蔵室11の底部には密閉容器20が設置されている。この密閉容器20の内部には密閉空間20bが形成されており、その密閉空間20bに低酸素状態で食材を貯蔵することで食材の鮮度を維持している。密閉空間20b内は、密閉容器20に付設されている減酸素装置21によって酸素濃度が低下させられる。
【0013】
このような構成の冷蔵庫1は、図3に示すように、制御部30により制御されている。制御部30は、CPU31、ROM32、RAM33およびタイマ34などを有するコンピュータにより構成されており、例えばROM32などに記憶されているコンピュータプログラムにしたがって冷蔵庫1の全体を制御する。より具体的には、制御部30は、操作パネルから設定された運転状態、温度センサ36により検知された各貯蔵室の温度、および開扉センサ37により検知した扉の開閉状態などに応じて、冷凍サイクルの運転状態を制御する。
【0014】
冷蔵室照明38(照明手段、庫内照明)は、冷蔵室11の天井(図2参照)に設けられており、冷蔵室11の扉11aが開放されたときに点灯して冷蔵室11全体を照らすようになっている。また、野菜室照明39(照明手段、庫内照明)は、野菜室12内に設けられており、野菜室12の扉12aが開放されたときに点灯して野菜室12内を照らすようになっている。また、冷蔵室11に設けられている棚板11b(図2参照)は、本実施形態では透明なガラス材料により形成されており、冷蔵室照明38の光を冷蔵室11の下部まで透過する。つまり、照明手段である冷蔵室照明38と密閉容器20との間に存在する構造物である棚板11bは、透光性材料により形成されている。
【0015】
撮像カメラ41(撮像手段)は、例えばCCDセンサやCMOSセンサなどの撮像素子を有しており、密閉容器20の内部すなわち密閉空間20bを撮像する。この撮像カメラ41は、本実施形態ではカラー画像を撮像可能なものを想定しているが、モノクロ画像を撮像するものでもよいし動画を撮像可能であってもよい。また、撮像カメラ41は、広角レンズが取り付けられており、対象物が比較的近距離に存在する場合であっても大きな画角で撮像することができる。撮像ランプ42は、本実施形態では発光ダイオード(LED)で構成されており、撮像カメラ41が撮像する際に点灯することで密閉空間20bを照らすための照明手段として機能する。
【0016】
ここで、密閉容器20の詳細について、図4を参照しながら説明する。
密閉容器20は、図4(A)および(B)に示すように、中空且つ後部側(減酸素装置21側)が若干細くなった概ね直方体状の容器本体20aを有しており、その容器本体20a内に密閉空間20bが形成されている。この容器本体20aは、断熱性部材によって形成されており、食材を出し入れする開口部(図示省略)に設けられているシール部材(図示省略)により密閉状態を維持することができる。また、密閉容器20は、図4(B)に示すようにその内面側に光触媒20cが施されており、密閉空間20b内の臭気成分の分解や雑菌の除去が可能となっている。
【0017】
このような密閉容器20により形成された密閉空間20bは、減酸素装置21によって酸素濃度が低下される。この減酸素装置21は、高分子電解質膜方法を用いる電気化学的手法により、密閉空間20bの酸素濃度を低下させる。具体的には、減酸素装置21は、図示は省略するが、高分子電解質膜、集電体を備えたカソードおよびアノード、絶縁体、およびそれらを挟む高分子フィルムで形成された撥水層等により構成された減酸素ユニットを備えており、減酸素ユニットのカソード側の撥水層が、容器本体20aに設けられている通気孔20dにて密閉空間20bに露出した状態となるように設置されている。そして、減酸素装置21が稼動されると、アノード側に水が供給され(本実施形態では水蒸気で供給している)、以下の反応式のようにアノード側とカソード側とで化学反応がそれぞれ生じる。
【0018】
・アノード側 2H2O → O2+4H++4e-
・カソード側 O2+4H++4e- → 2H2
この反応式を説明すると、アノード側において供給された水(H2O)が電気分解されて水素イオン(H+)が形成され、その水素イオンが高分子電解質膜等を経てカソード側に移動し、カソード側にて酸素と反応して水を生成する。これにより、密閉空間20b内の酸素が消費されて、酸素濃度が低下する。つまり、密閉空間20b内の空気から酸素(O2)が除去され、酸素濃度が低下する(減酸素が行われる)。なお、減酸素装置21は、定期的に稼動させてもよいし、酸素濃度センサ等を設けて酸素濃度が所定値に達したことが検知されたときに稼動させてもよいし、撮像カメラ41で撮像した画像に基づいて食材の貯蔵状況を把握し、その貯蔵状況に基づいて減酸素装置21を稼動するようにしてもよい。
【0019】
さて、密閉容器20には、図4(B)に示すように容器本体20aの上部側に収容室40が設けられている。この収容室40は、図4(C)に示すように容器本体20aの内面側を凹状とすることで形成されており、撮像カメラ41および撮像ランプ42が収容されている。また、収容室40の密閉空間20b側には窓部材43が設けられており、収容室40と密閉空間20bとの間を仕切っている。本実施形態の場合、上記したように電気化学的に減酸素を行うことから、密閉空間20b内は常圧である。そのため、容器本体20aを収容室40を形成するために凹状としたとしても(つまり、収容室40の厚みが他の部位よりも薄くなったとしても)、容器本体20aが強度不足になることはない。また、密閉空間20bの上方に収容室40を設けているので、食材を貯蔵した状態であっても密閉空間20b内のほぼ全域を視野に入れることが可能となっている。なお、図4(C)では図示は省略しているが、撮像カメラ41や撮像ランプ42は基板に搭載され、制御部30に接続されている。この撮像カメラ41の視野範囲は、撮像カメラ41の対向壁(容器本体20aの底部)の端部(底部の前後・左右の端部)が入るようにするとよい。また、四隅が入るようにするとよい。
【0020】
収容室40の窓部材43は、撮像手段としての撮像カメラ41と密閉空間20bとの間に位置する構造物に相当するものであり、ガラス等の透明材料によって形成されている。このため、撮像カメラ41の視野が窓部材43により防がれることがない。また、撮像ランプ42からの光が窓部材43により遮られることもない。また、撮像カメラ41やレンズが汚れることもない。そのため、本実施形態では、密閉空間20b内に光を照射可能な撮像ランプ42を、撮像用の光源としてだけでなく、光触媒20cを励起させるための光源としても利用している。この撮像ランプ42は、撮像カメラ41と同様に密閉空間20b側を向くように設置されている。
【0021】
次に、上記した構成の冷蔵庫1の作用について説明する。
冷蔵庫1の制御部30は、図5に示す撮像処理を実行しており、撮像タイミングになったかを判定している(S1)。本実施形態では、撮像タイミングとして、以下のタイミングを設定している。
【0022】
・ユーザにより携帯端末4等の遠隔指示手段から撮像指示があったとき
・制御部30が減酸素装置21を稼動させる前
このうち、減酸素装置21を稼動させる前とは、より厳密に言えば、減酸素装置21を稼動させる直前である。これは、上記したように減酸素を行うとカソード側では水が生成されることから、減酸素装置21を稼動させると密閉空間20b内の湿度が高くなり、窓部材43に結露が生じる可能性があるためである。このため、減酸素装置21を稼動させる直前に撮像することで、明瞭な視野を確保することができる。さらに、減酸素装置21を稼動させるのは酸素濃度が増加した状態であると考えられる。換言すると、密閉空間20bが開放される等、食材の貯蔵状態が変化した状態であると考えられる。そのため、減酸素装置21を稼動させる直前のタイミングで撮像することにより、最新の貯蔵状態を撮像することが可能となる。
【0023】
制御部30は、いずれかのタイミングになったと判定すると(S1:YES)、密閉空間20b内を撮像し(S2)、撮像した画像データをサーバ6へ送信する(S3)。これにより、密閉室内の画像データがサーバ6に記憶され、ユーザは、サーバ6にアクセスすることで密閉空間20b内の状況を把握することができる。なお、本実施形態では基本的に画像データをサーバ6に記憶させる構成となっているが、携帯端末4からの指示により撮像した場合には、サーバ6ではなく携帯端末4に直接的に画像データを送信する構成としてもよい。
【0024】
以上説明した本実施形態によれば次のような効果を奏する。
冷蔵庫1は、冷蔵室11や野菜室12等の貯蔵室内に設けられ、密閉空間20bを形成する密閉容器20と、その密閉空間20bを撮像する撮像手段としての撮像カメラ41とを備えているので、密閉容器20を開放状態とすることなく、密閉空間20b内の食材等の貯蔵状態を把握することができる。
【0025】
密閉空間20bの酸素濃度を低下させる減酸素装置21を備えているので、減酸素を行うことにより、食材の酸化を抑制でき、鮮度を維持したまま保存することができる。そして、減酸素が行われた状態を変化させることなく(つまり、密閉容器20を開放することなく)撮像できるので、食材の保存状態を良好に保つことができる。
【0026】
減酸素装置21は、密閉空間20bの酸素濃度を常圧下で電気化学的に低下させるので、容器本体20aに収容室40を形成する凹部を設けたとしても、強度不足になることはない。そのため、収容室40を密閉容器20内に設けることができる。
【0027】
また、撮像カメラ41を凹部に設置し、壁面からレンズが離れて位置していることから、食品がレンズに接触することがなく、写りにくくなることがない。特に、引き出し容器が内部に有る場合には、天井に食材等の主要物が当たり易くなるが、同様に写りにくくなることがない。また、透明部材であるレンズを汚れから守る防護手段も壁面から凹ませて面一にしないように構成すると、透明部材も汚れないため、より効果が高まる。また、透明部材の表面に透明な光職場卯を塗布することで、仮に汚れたとしてもその汚れが取れやすくなり、写りにくくなることを低減することができる。
【0028】
このとき、撮像手段としての撮像カメラ41を密閉容器20内に設置しているので、密閉空間20b内を直接的に撮像することができ、正確に食材の貯蔵状態や鮮度等を把握することができる。また、実施形態のように、密閉空間20bの上方に設けることで、食材を貯蔵した状態であっても密閉空間20b内のほぼ全域を視野に入れることができる。
【0029】
また、撮像カメラ41を密閉空間20b内に設けるため、実施形態のように上方あるいは側方であっても密閉空間20b内を視野に納めることができ、設置位置の自由度が高い。また、設置位置の自由度が高いことから、撮像ランプ42が逆光にならないような配置をとることができ、鮮明な画像を撮像することができる。
【0030】
また、撮像カメラ41は密閉容器20内に設けられた収容室40に収容されているので、減酸素を行った際に密閉空間20bの湿度が上昇したとしても、窓部材43で仕切られた収容室40では湿度の上昇が緩和されるため、結露や曇りが生じるおそれを低減することができる。
【0031】
撮像カメラ41と密閉空間20bとの間に位置する構造物である窓部材43を透明材料により形成しているので、密閉空間20bを撮像する際の障害となることがない。
密閉空間20bを照らすための照明手段である撮像ランプ42を密閉空間20b内に設けているので、撮像ランプ42からの光が遮られることが無い。したがって、密閉空間20b内を撮像に十分な光量で照らすことができる。
【0032】
また、撮像カメラ41を撮像ランプ42と対向しない位置、つまり、撮像カメラ41の視野と撮像ランプ42の照射方向とが同一方向となるように設置しているので、逆光となることが無い。したがって、密閉空間20b内を鮮明に撮像することができる。
【0033】
密閉容器20の内部に光触媒20cを施しているので、臭気成分や雑菌を低減することができる。そして、本実施形態では密閉空間20b内に設置された撮像ランプ42を光触媒20cを励起させるエネルギー源として利用できるので、部品点数を削減することができる。
【0034】
撮像カメラ41は減酸素装置21により酸素濃度を低下させる前のタイミングで密閉空間20bを撮像するので、つまり、湿度が上昇する前に撮像するので、結露等が発生していない鮮明な画像を撮像することができる。
【0035】
また、実施形態のように携帯端末4から撮像指示があったときにも撮像するので、所望のタイミングで、最新の画像データをユーザに提供することができる。
また、電気的科学的に減酸素を行う減酸素装置21であるので、内部は常圧であり、撮像カメラ41を密閉容器20内部に取り付けても、圧力が一定であり、圧力が変化することに起因する故障を無くすことができる。
【0036】
(その他の実施形態)
本発明は、上記した実施形態にて例示したものに限定されることなく、変形又は拡張することができる。
【0037】
一実施形態では撮像カメラ41を密閉容器20内の収容室に設けた例を示したが、例えば図6(A)に示すように、撮像カメラ41を密閉容器20外(例えば、冷蔵室11の下部側)に設けてもよい。このような構成であっても、密閉容器20を開放すること無く密閉空間20b内を撮像することができる。
【0038】
一実施形態では密閉容器20に減酸素装置21を付設したが、減酸素装置21を備えていないものであってもよい。また、密閉空間20bとしては、貯蔵室内において密閉された空間であればよく、例えばチルド室や玉子室等であってもよい。
【0039】
その場合、例えば、密閉容器20の少なくとも一部(図6(A)の場合、容器本体20aの上部側の一部)に透明材料で形成した窓部材50を設け、密閉容器20外からの光を取り入れる構成としてもよい。具体的には、貯蔵室としての冷蔵室11内に設けられている庫内照明である冷蔵室照明38を照明手段として採用することができる。そして、冷蔵室11の上部に設けられている冷蔵室照明38と密閉容器20との間に位置する構造物である棚板11bを透光性材料により形成することで、冷蔵室照明38からの光を密閉空間20bに取り入れることができる。
【0040】
また、撮像カメラ41を密閉容器20外に設置する場合、図6(B)に示すように密閉容器20の前方に配置しても良い。この場合、密閉容器20の前面側に窓部材50をもうけることで、密閉空間20bを撮像することができる。このとき、撮像ランプ42は、密閉容器20内に設けてもよいし、撮像カメラ41に隣接させて対向しない状態で設けたり、冷蔵室照明38等からの光を窓部材50から取り入れたりする構成としてもよい。
【0041】
また、図6(C)に示すように、撮像カメラ41を密閉空間20b内に設置し、窓部材50から例えば冷蔵室照明38からの光を取り入れる構成としてもよい。
これら図6(A)〜(C)の場合、一実施形態のように電気化学的手法により減酸素を行う構成とすれば、密閉容器20に窓部材50を設けたとしても、その強度が問題になるおそれを限りなく低くすることができる。
【0042】
一実施形態では2つの撮像タイミングを例示したが、例えば、密閉容器20に蓋開閉センサを設け、蓋が開閉されたタイミング(より厳密には、蓋が開放された後であって、且つ閉鎖された後のタイミング)で撮像してもよいし、予め撮像時刻を登録しておき、設定された撮像時刻となったタイミングで撮像してもよい。勿論、これら複数のタイミングを併用しても良いし、いずれかのみを採用してもよい。いずれにしろ、ユーザの希望に添ったタイミングであれば、どのようなタイミングを設定してもよい。また、開扉センサ37等の既設のセンサを利用し、冷蔵庫1の扉が開閉されたタイミング(貯蔵状態が変化した可能性のあるタイミング)で撮像するようにすれば、新たなセンサ等の追加部材を設けることなく、最新の状態を撮像することができる。
【0043】
一実施形態では電気化学的手法により減酸素を行ったが、減酸素装置21は、密閉空間20bを大気圧よりも低い圧力に減圧することにより(つまり、真空引きにより真空状態とすることにより)酸素濃度を低下させる構成としてもよい。この場合にも、酸素濃度が低下することにより、食材の鮮度を維持することができる。
【0044】
この場合、撮像カメラ41で密閉空間20b内を撮像するタイミングを、減酸素装置21が酸素濃度を低下させる工程が開始された後に設定してもよい。これは、密閉空間20b内を真空状態とするために減酸素装置21が稼動するのは、密閉空間20bが開放されたとき、すなわち、食材の貯蔵状態が変化したときであることから、そのタイミングで撮像することにより、最新の貯蔵状態を把握可能な画像データを得ることができる。また、減圧が開始されるのは蓋が閉まって密閉状態となったタイミングでもあることから、そのタイミングで撮像するとよい。また、真空引き中には電気ノイズ等が発生している可能性もあるため、減酸素装置21の稼働が終了した後に撮像すると、ノイズを低減することができる。
【0045】
この場合、真空ポンプを備え容器(密閉容器20等)内を減圧することから、撮像カメラ41を直接容器内に設けると圧力の変動により故障する可能性があるため、図6(A)、(B)のように容器の外側に撮像カメラ41があることが望ましい。あるいは、図4に示す窓部材43を強度を有するガラス等の透明板にすることで、撮像カメラ41に圧力がかからなくてすむようになる(圧力の変化の影響を受けないようになる)。
【0046】
一実施形態では密閉容器20を冷蔵室11に設置されている例を示したが、野菜室12に設置されていてもよい。この場合、一実施形態と同様に密閉容器20内に撮像カメラ41や撮像ランプ42を設けてもよいし、野菜室照明39を密閉容器20外の照明手段として用いてもよい。
【0047】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0048】
図面中、1は冷蔵庫、11は冷蔵室(貯蔵室)、12は野菜室(貯蔵室)、14は冷凍室(貯蔵室)、20は密閉容器、20bは密閉空間、20cは光触媒、21は減酸素装置、37は冷蔵室照明(照明手段)、38は野菜室照明(照明手段)、39は棚板(構造物)、41はカメラ装置(撮像手段)、42は密閉室照明(照明手段)、43、50は窓部材(構造物)、を示す。
図1
図2
図3
図4
図5
図6