(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6491336
(24)【登録日】2019年3月8日
(45)【発行日】2019年3月27日
(54)【発明の名称】液圧式車両ブレーキ装置用圧力変化抑制器および対応する車両ブレーキ装置
(51)【国際特許分類】
B60T 8/40 20060101AFI20190318BHJP
【FI】
B60T8/40 C
【請求項の数】9
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2017-529624(P2017-529624)
(86)(22)【出願日】2015年10月8日
(65)【公表番号】特表2017-537020(P2017-537020A)
(43)【公表日】2017年12月14日
(86)【国際出願番号】EP2015073248
(87)【国際公開番号】WO2016087094
(87)【国際公開日】20160609
【審査請求日】2017年6月2日
(31)【優先権主張番号】102014224829.9
(32)【優先日】2014年12月4日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】501125231
【氏名又は名称】ローベルト ボッシュ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100177839
【弁理士】
【氏名又は名称】大場 玲児
(74)【代理人】
【識別番号】100172340
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 始
(72)【発明者】
【氏名】ゲルトナー,オリバー
(72)【発明者】
【氏名】ガイルフス, アレクサンダー
【審査官】
竹村 秀康
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2012/0133201(US,A1)
【文献】
実開平06−040586(JP,U)
【文献】
特開平11−304076(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60T 7/12− 8/1769
B60T 8/32− 8/96
F16L 51/00−55/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
チューブ状で弾性変形可能な抑制要素(14)が内設されている抑制器ハウジング(13)を備え、前記抑制要素(14)が内面および/または外面において流体の作用を受け、該流体に圧力変化が生じた場合に該圧力変化を抑制し、且つ前記抑制要素(14)が外面に波形部(16)を、内面に同様に波形部(17)を有し、該内面の波形部は外面に前記波形部(16)が設けられていることにより前記抑制要素(14)の壁厚変化を小さくさせ、
前記抑制要素(14)が変化する壁厚を有している、スリップコントロール型液圧式車両ブレーキ装置(1)用圧力変化抑制器。
【請求項2】
前記抑制要素(14)が開口端と閉鎖端とを有していることを特徴とする、請求項1に記載の圧力変化抑制器。
【請求項3】
前記抑制要素(14)が厚壁であることを特徴とする、請求項1に記載の圧力変化抑制器。
【請求項4】
前記抑制要素(14)の壁厚は、外面にある波谷部の領域よりも、外面にある波山部の領域のほうが大きいことを特徴とする、請求項1に記載の圧力変化抑制器。
【請求項5】
前記抑制要素(14)が弾性変化可能な壁厚を有していることを特徴とする、請求項1に記載の圧力変化抑制器。
【請求項6】
前記抑制要素(14)が変形抑制作用を有することを特徴とする、請求項1に記載の圧力変化抑制器。
【請求項7】
前記抑制要素(14)がエラストマーを有していることを特徴とする、請求項1に記載の圧力変化抑制器。
【請求項8】
請求項1に記載の圧力変化抑制器(14)を備えた液圧式車両ブレーキ装置。
【請求項9】
前記車両ブレーキ装置(1)が液圧ポンプ(8)を有していることを特徴とする、請求項8に記載の液圧式車両ブレーキ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スリップコントロール型液圧式車両ブレーキ装置用圧力変化抑制器およびこのような圧力変化抑制器を備えた液圧式車両ブレーキ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
スリップコントロール型車両ブレーキ装置は、通常液圧ポンプとしてピストンポンプを有し、ピストンポンプは、その搬送態様が脈動式であるために、搬送されるブレーキ液に圧力変動を生じさせる。圧力変動を抑制するために、ピストンポンプの吐出し側に圧力変化抑制器を接続させることが知られている。圧力変化抑制器は、ピストンポンプによるブレーキ液の搬送の際に圧力変化を抑制し、これによって騒音発生を少なくさせるとともに、ブレーキマスターシリンダへの反作用、よってフットブレーキペダルまたはハンドブレーキレバーへの反作用を少なくさせる。さらに、ブレーキ液の圧力変動の抑制はスリップコントロールのコントロールクオリティを改善させる。
【発明の概要】
【0003】
請求項1の構成要件を備えた本発明による圧力変化抑制器は、チューブ状で弾性変形可能な抑制要素を内設したたとえば管状またはドーム状の抑制器ハウジングを有している。好ましくは、抑制要素は開口端と閉鎖端とを有している。抑制要素は内面および/または外面において流体の作用を受け、流体に圧力変化が生じた場合に該圧力変化を抑制する。このような圧力変化は圧力変動、圧力脈動、段階的または衝撃的な圧力変化であるが、これら列挙したものは例であり、決定的なものではない。本発明によれば、抑制要素は内面と外面に波形部を有し、これらの波形部はたとえば周回するように延在し、またはねじ線状であってよい。好ましくは、波形部は丸い波形横断面を有しているが、たとえば角のある波形横断面も可能である。波谷部は、内面において、外面にある波山部と同じ高さに配置され、およびその逆でもあり、或いは、いずれにしろ波長の半分以下でずらして配置されており、その結果外側のみ波形部を有していて内側には波形部を有していない抑制要素に比べて、抑制要素の長手方向において壁厚変化が小さくなっている。
【0004】
本発明による圧力変化抑制器の抑制要素は、壁厚が均一であるために均一な弾性を有し、抑制要素の外面に設けた波形部のより大きな波高を可能にするとともに、この外面に設けた波形部の波谷部におけるより高い剛性および/または波山部でのより高い弾性を可能にする。このようにして本発明は抑制挙動の改善を可能にしている。
【0005】
従属請求項は、請求項1に記載した発明の好適な構成および更なる構成の対象である。本発明の好適な構成では、抑制要素は弾性変化する壁厚を有し(請求項5)、変形抑制作用を有し、これは、抑制要素の弾性変形がエネルギーを消費し、これによって変形を抑制する(請求項6)ことを意味し、好ましくは前記2つの特性を持つエラストマーから成っている(請求項7)。
【0006】
本発明の更なる対象は、前述の種類の圧力変化抑制器を備えた、好ましくはスリップコントロールされている液圧式車両ブレーキ装置であり(請求項9)、液圧ポンプ(請求項10)を有し、たとえばピストンポンプを有し、その吐出し側に圧力変化抑制器が連通し、搬送されるブレーキ液の圧力変動を抑制する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
次に、本発明を、図面に図示した実施形態を用いて詳細に説明する。
【
図1】
図2の圧力変化抑制器を備えた本発明による車両ブレーキ装置の液圧回路図である。
【
図2】本発明による圧力変化抑制器の軸断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1に図示した本発明による液圧式車両ブレーキ装置1は2回路型ブレーキマスターシリンダ2を有し、該2回路型ブレーキマスターシリンダにはそれぞれ1つの隔離弁3を介して2つのブレーキ回路I,IIが接続されている。車輪ブレーキ4は、吸込み弁5を介して隔離弁3に液圧的に並列に接続され、且つ排出弁6を介して蓄圧器7と液圧ポンプ8の吸込み側とに接続されている。それぞれの車輪ブレーキ4には1つの吸込み弁5と1つの排出弁6とが付設されている。それぞれのブレーキ回路I,IIは1つの蓄圧器7と1つの液圧ポンプ8とを有し、蓄圧器と液圧ポンプとには共にそれぞれのブレーキ回路I,IIの車輪ブレーキ4が排出弁6を介して接続されている。図示した、説明している実施形態では、それぞれのブレーキ回路I,IIは2つの車輪ブレーキ4を有しているが、しかしこれは本発明にとって強制的なものではない。複数の液圧ポンプ8はともに1つの電動機により駆動される。液圧ポンプ8の吸込み側は、吸込み弁10によってブレーキマスターシリンダ2と結合可能である。液圧ポンプ8の吐出し側には、圧力変化抑制器11と、これに接続して絞り12とが接続され、圧力変化抑制器と絞りとによって、液圧ポンプ8の吐出し側は隔離弁3と吸込み弁5との間に位置するようにブレーキ回路I,IIに接続されている。上記の弁3,5,6,10は2ポート2位置ソレノイド弁であり、液圧ポンプ8および蓄圧器7とともに車両ブレーキ装置1のスリップコントロール部20を形成している。圧力変化抑制器11と絞り12とは同様にスリップコントロール部20の構成部材である。液圧式車両ブレーキ装置のこのようなスリップコントロール部20とその機能とは当業者に周知であり、ここではこれ以上説明しない。
【0009】
図2は、本発明による圧力変化抑制器11を示している。圧力変化抑制器11は、開口端と閉鎖端とを備えた管状の抑制器ハウジング13を有し、このことはドーム状と理解することもできる。抑制器ハウジング13内にはチューブ状の抑制要素14が配置され、抑制要素も同様に開口端と閉鎖端とを有し、その閉鎖端の方向にいくぶん先細りになっており、その閉鎖端は抑制器ハウジング13の閉鎖端内に配置され、その開口端はリング状のマウント15を用いて抑制器ハウジング13の開口端内に固定されている。
【0010】
抑制要素14はエラストマーから成り、エラストマーは発泡されていてよい。抑制要素14は弾性変形可能であり、その際その壁厚も弾性で変化することができる。抑制要素14は、その材料であるエラストマーの材料特性に基づいて変形抑制作用を及ぼし、すなわち弾性変形の際にエネルギーを消費し、これによって流体(本実施形態ではブレーキ液)の圧力変化を抑制する。
【0011】
抑制要素14は、その外面においてガス(たとえば空気)を自らと抑制器ハウジング13との間に封じ込め、内面は液圧ポンプ8の吐出し側と連通している。
【0012】
抑制要素14は厚壁であり、壁厚は抑制要素14の内径に対して少なくとも0.5の比率であり、または、抑制要素14の外径に対して少なくとも0.25の比率であり、または、抑制要素の長さに対し少なくとも0.05の比率である。
【0013】
抑制要素14は、外側にも内側にも、周回するように延在している波形部16,17を有し、抑制要素14の外面の波形部16は正弦状の横断面を有している。抑制要素14は内面に波山部18と波谷部19とを有している。波山部18は、抑制要素14の内部でたとえば円弧状の横断面を持って周回するように延在している隆起部であり、波谷部19は、抑制要素14の内部でたとえば同様に円弧状の横断面を持って周回するように延在している溝である。抑制要素14の内面にある波山部18は、抑制要素14の外面にある波形部16の波谷部と同じ高さにあり、内面にある波谷部19は、抑制要素14の外面にある波形部16の波山部と同じ高さにある。同じ高さとは、抑制要素14のラジアル面ということである。内面にある波山部18および波谷部19の高さまたは深さはより小さく、すなわち抑制要素14の内面にある波形部17は外面にある波形部16よりも小さい。したがって、抑制要素14の外面および内面にある波形部16,17の領域では、抑制要素14の壁厚はその長手方向において変化しているが、抑制要素14の外面にある波形部16に加えて内面に波形部17があることにより、抑制要素14の長手方向における壁厚変化は、内面に波形部17がない場合に比べて小さい。内面にある波形部17として、波山部18のみ、或いは、波谷部19のみだけを設けることも可能である(図示せず)。
【符号の説明】
【0014】
1 車両ブレーキ装置
8 液圧ポンプ
13 抑制器ハウジング
14 抑制要素
16,17 波形部