特許第6491385号(P6491385)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6491385
(24)【登録日】2019年3月8日
(45)【発行日】2019年3月27日
(54)【発明の名称】雨具
(51)【国際特許分類】
   A41D 3/04 20060101AFI20190318BHJP
   A45B 11/02 20060101ALI20190318BHJP
【FI】
   A41D3/04 M
   A45B11/02
   A41D3/04 H
   A41D3/04 B
【請求項の数】8
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2018-143801(P2018-143801)
(22)【出願日】2018年7月31日
(65)【公開番号】特開2019-31769(P2019-31769A)
(43)【公開日】2019年2月28日
【審査請求日】2018年8月28日
(31)【優先権主張番号】特願2017-153885(P2017-153885)
(32)【優先日】2017年8月9日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】508203183
【氏名又は名称】本間 拓巳
(74)【代理人】
【識別番号】100103207
【弁理士】
【氏名又は名称】尾崎 隆弘
(72)【発明者】
【氏名】本間 拓巳
【審査官】 大光 太朗
(56)【参考文献】
【文献】 中国特許出願公開第101574187(CN,A)
【文献】 米国特許第08944300(US,B1)
【文献】 仏国特許発明第00353863(FR,A)
【文献】 米国特許出願公開第2017/0215534(US,A1)
【文献】 特開2011−024948(JP,A)
【文献】 韓国登録実用新案第20−0438289(KR,Y1)
【文献】 特開2017−104471(JP,A)
【文献】 仏国特許出願公開第03013190(FR,A1)
【文献】 中国特許出願公開第104433035(CN,A)
【文献】 特開2013−085899(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A41D 3/04
A45B 11/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部構造と、
下部構造と、
該上部構造と下部構造を連結する連結部と、を備え
前記上部構造が上部骨組みと、該上部骨組みを覆う上部覆いとを有し、
前記下部構造が硬質のベルト又は弾性部材を有する携帯品であり、前記連結部が前記携帯品の上部と、前記上部構造とを連結するとともに肩乗せ部を構成し、
前記肩乗せ部が支点であり、
重心が、支点である前記肩乗せ部の直下にあることを特徴とする雨具。
【請求項2】
上部構造と、
下部構造と、
該上部構造と下部構造を連結する一対の連結部と、を備え
前記上部構造が上部骨組みと、該上部骨組みを覆う上部覆いとを有し、
前記下部構造が剛性の下部骨組みと、該下部骨組みの下端に錘を備え、前記連結部が前記上部構造と下部骨組みを連結するとともに肩乗せ部を構成し、
前記肩乗せ部が支点であり、
重心が、支点である前記肩乗せ部よりも下にあり、
支点である前記肩乗せ部に加えて、前記下部構造を身体に固定せずに接触させることで前記上部構造を安定させることを特徴とする雨具。
【請求項3】
前記連結部が一対の肩掛けパッドであることを特徴とする請求項1又は2の雨具。
【請求項4】
前記上部骨組みが一対の線条部材で構成され、前記肩乗せ部又は肩乗せ部の近傍の位置で前記連結部により前記線条部材が交差連結され、前記上部構造の前後方向に開口を有する請求項1乃至3のいずれかの雨具。
【請求項5】
前記線条部材がワイヤー又は板材である請求項4の雨具。
【請求項6】
前記上部構造又は下部構造に伸縮可能な拡縮具を有する請求項1ないし5のいずれかの雨具。
【請求項7】
前記上部構造が傘状構造部又は帽子状構造部である請求項1ないし3いずれかの雨具。
【請求項8】
上部構造と、
下部構造と、
該上部構造と下部構造を連結する連結部と、を備え、
前記上部構造が上部骨組みと、該上部骨組みを覆う上部覆いとを有し、
前記下部構造が線状部材であり、前記連結部が前記線状部材の上部と、前記上部構造とを連結するとともに肩乗せ部を構成し、
前記肩乗せ部が、一対のパッドを有し、該パッドが連結線条によって連結され、該連結線条から前記上部構造が上方に延び出し
記線条部材の下端が曲げられ、先端に係止部が設けられ
前記肩乗せ部が支点であり、
重心が、支点である前記肩乗せ部の直下にあることを特徴とする雨具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は人体を防雨する雨具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来は主に傘又は合羽(レインコート、ポンチョ)が使用されている。その他、傘又は庇状の器具を使用者に固定させる技術(特許文献1〜4)、ポンチョを拡げてまとわりつかないようにする工夫(特許文献5、6)、庇状の器具を肩付近で拡げる工夫(特許文献7〜9)、フードを拡げる工夫(特許文献10)などが提案されている。
【0003】
特許文献11〜14に示す発明は、特許文献1〜10に示す技術に替わるものとして新しく提案されている。頭が自由に動くドーム型フードを持つ雨具で肩又は脇に固定具で固定する発明に関するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005-73980号公報
【特許文献2】特開2007-54105号公報
【特許文献3】特開2003-310320号公報
【特許文献4】特開2007-107166号公報
【特許文献5】特開2002-227009号公報
【特許文献6】特開2009-13528号公報
【特許文献7】特開2012-255243号公報
【特許文献8】特開2003-113506号公報
【特許文献9】特開2005-89945号公報
【特許文献10】特開2001-192922号公報
【特許文献11】特開2012-7279号公報
【特許文献12】特開2013-138767号公報
【特許文献13】特開2005-82951号公報
【特許文献14】特開2007-195932号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の傘は手で持つ必要があるため両手で荷物を運べなかったり、自転車乗車時には安全性に課題がある。レインコートは使用者にまとわりついて不快である上に着用に手間がかかる。ポンチョは使用者にまとわりついて不快である上に、足が濡れる。
【0006】
特許文献1〜4は傘又は庇状の雨具を身体にベルト、帯、鉤状部分、紐止め具で固定する技術であるが、固定の手間がかかる上に装着時の安定性や快適性に欠ける。特に特許文献4は頭頂に弾性体輪で固定するため、ヘアスタイルを乱す。
【0007】
特許文献5〜9は合羽が身体に纏わり付く不快を解消するため、ポンチョの裾をバネリングで拡げる(特許文献5)、ポンチョを空気で拡げる(特許文献6)、フードの下方を板で拡げる(特許文献7)、肩に板を据える(特許文献8)、ポンチョの肩の前後を拡げる(特許文献9)の技術であるが、肩より下のまとわりつきは解消されているが頭部の不快さを解消できていない。
【0008】
特許文献10は合羽のフードが頭部に纏わり付く不快を解消するための頭巾を空気で拡げる技術であるが、フードのまとわり付きは解消されるが開口部が大きくなるため風を受けるとフードが飛ばされてしまう。
【0009】
特許文献11〜14はフード又はドームが頭部に接触しないように肩又は脇に固定するための固定部を設ける技術である。頭部へのまとわりつきは解消され、ハンズフリーとなるが、重心が肩より上にあるため、肩に接着するだけだと風圧によって傾きやすい。傾倒を防ぐために胸部や肩部に強力に固定する必要があるため、それぞれ固定部に違和感が残ることとなる。
【0010】
つまり、傘や特許文献1〜3、11〜14のように雨具を身体から離した状態で防雨する器具は、使用者もしくは頭部にまとわりつく不快については解消されるが、その重心が固定位置より高く不安定であるため、使用者の手・肩・胸・脇等に固定させる必要がある。このように固定するために器具の重量が重くなったり、器具を固定する肩や脇に荷重が集中し違和感があったり、取り付け作業が手間となる。しかも下半身の防雨は考慮されていないため、合羽等を併用しなければならない等の課題が残る。
【0011】
また、特許文献5〜10は合羽のまとわり付きを解消しようとしているが、一部分しか解消されていない。頭頂部へ固定するものはヘアスタイルを乱すため好ましくない。
【0012】
そこで、本発明の目的は、頭部・上半身及び下半身の防雨を可能とし、使用者への雨具のまとわりつきをなくした上で、重量バランスを良好とし、肩又は脇への負担を軽減し、製造を簡素化し、取り付けを簡単にするといった諸課題を一挙に解決することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
第1発明は、上部構造と、下部構造と、該上部構造と下部構造を連結する連結部と、を備え、前記上部構造が上部骨組みと、該上部骨組みを覆う上部覆いとを有し、前記下部構造が硬質のベルト又は弾性部材を有する携帯品であり、前記連結部が前記携帯品の上部と、前記上部構造とを連結するとともに肩乗せ部を構成し、前記肩乗せ部が支点であり、重心が、支点である前記肩乗せ部の直下にあることを特徴とする雨具である。ここでいう携帯品にはバッグ、カバン等の袋物、ファン及びソーラーファンが例示される。
【0014】
肩掛けカバンを下部構造として採用し、肩掛けカバンのベルトは上部構造を支持するだけの硬さが必要である。支点は1点となるので、不安定さを防止するため、カバンに手を添えることが必要である。ベルトを硬軟自在の材質とすれば便利である。
【0015】
第2発明は、上部構造と、下部構造と、該上部構造と下部構造を連結する一対の連結部と、を備え、前記上部構造が上部骨組みと、該上部骨組みを覆う上部覆いとを有し、前記下部構造が剛性の下部骨組みと、該下部骨組みの下端に錘を備え、前記連結部が前記上部構造と下部骨組みを連結するとともに肩乗せ部を構成し、前記肩乗せ部が支点であり、重心が、支点である前記肩乗せ部よりも下にあり、支点である前記肩乗せ部に加えて、前記下部構造を身体に固定せずに接触させることで前記上部構造を安定させることを特徴とする雨具である。
【0016】
前記連結部が一対の肩掛けパッドであることを特徴とすることが好ましい。
【0017】
前記上部骨組みが一対の線条部材で構成され、前記肩乗せ部又は肩乗せ部の近傍の位置で前記連結部により前記線条部材が交差連結され、前記上部構造の前後方向に開口を有する
【0018】
前記線条部材がワイヤー又は板材である。
【0019】
前記上部構造又は下部構造に伸縮可能な拡縮具を有する。
【0023】
前記上部構造が傘状構造部又は帽子状構造部である
【0024】
第3発明は、上部構造と、下部構造と、該上部構造と下部構造を連結する連結部と、を備え、前記上部構造が上部骨組みと、該上部骨組みを覆う上部覆いとを有し、前記下部構造が線状部材であり、前記連結部が前記線状部材の上部と、前記上部構造とを連結するとともに肩乗せ部を構成し、前記肩乗せ部が、一対のパッドを有し、該パッドが連結線条によって連結され、該連結線条から前記上部構造が上方に延び出し
記線条部材の下端が曲げられ、先端に係止部が設けられ、前記肩乗せ部が支点であり、重心が、支点である前記肩乗せ部の直下にあることを特徴とする雨具である
【0025】
「上部構造」は連結部よりも上に位置する構造である。
【0026】
「下部構造」は連結部よりも下に位置する構造である。
【0028】
「上部骨組み」、「下部骨組み」は、雨具の主要な部分である。弾力性のある硬質素材が好ましい。例えば、ワイヤ、金属製薄板材、プラスチック線材、プラスチック薄板材、ばね鋼材、棒材等が挙げられる。硬質素材であるため、覆いの形状を保持できる。ワンタッチで折り畳む雨具にできる。骨の構造を工夫することで、傘なみの折り畳み構造にできる。
【0029】
「上部覆い」は、雨除けのため、上部骨組みを覆い縫った状態の防水生地のことである。覆いは防水性のあるシートが好ましい。上部覆いで頭部から肩にかけての部分を防雨できる。晴天時の日除けとしても利用可能である
【0031】
「肩乗せ部」は、肩に掛けて、支点となる部分である。通常は2点支持であるが、1点支持、3点以上の支持となることもある。肩乗せ部は前記骨組みに設ける場合には、硬質の部材、例えば、プラスチック、金属、セラミック等となることが例示される
【0032】
「重心」は雨具全体の重心であり、上部構造、下部構造、連結部、覆いの各部に作用する力の合力の作用点である。第1発明、第3発明においては、重心が肩(支点)の直下にあるときに上部構造が頭上に来るように調整される。
【0033】
以上の通り、上部構造、下部構造の形状、大きさ、重さが調整されて、重心が前記肩乗せ部よりも下にあることで、前記上部構造が前記肩乗せ部を支点とし、力学的に安定的に立設される。上部構造よりも下部構造が相対的に重いので、肩乗せ部を肩に乗せるだけで安定させる、いわゆる、やじろべえの構造を採用したものである。重心が支点よりも下になるように下部構造は適度な重さが必要である。
【0034】
これにより、雨具を手で持つ必要も、また、ベルト等で固定させる必要もなく、合羽と比較してまとわりつかずに、雨を防ぐことができる。また、上部骨組みにより、覆いを拡げることができるため、使用者へ覆いがまとわりつかない状態のまま濡れることを防ぎ、肩に肩乗せ部を乗せるだけなので固定させる手間もないといった利点がある。下部骨組みに取っ手を設ければ、自転車等に乗る際にハンドルと共に持つことで更に安全に使用することができる。強風時にも煽られることを低減できるので、対応ができる。重さのバランスさえ適切であればよいので構造も簡単で製造しやすい。
【0037】
「前後方向」は、使用者を基準とする方向である。
【0038】
「線条部材」は線の形をした部材であり、覆いが張設可能なものである。本数は基本的には一対であり、追加的に3本以上の線条にすることもある。
「交差連結」の態様としては、使用者の左面及び/又は右面のそれぞれに、線条部材がX字形状で交差連結する構造が例示できる。
【0040】
前記線条部材がワイヤー又は板材であることが好ましい。材質は弾力性のある金属材料が好ましい。比較的、軽い素材であるため、使用者への負担が軽減できる。線条同士を紐状部材で連結すれば、上部構造と下部構造の形状を整えることができ、強風時や自転車乗車時等に手に持つことができる。
【0041】
前記上部構造又は下部構造に伸縮可能な拡縮具を有することが好ましい。
【発明の効果】
【0048】
第1発明〜第3発明によれば、肩乗せ部を肩に乗せるだけで使用者に装着できるので、雨具を手に持ったり、肩または脇等に取り付けるための固定具が不要となり、肩又は脇への負担を軽減し、使用者や自転車等に固定させる手間もかからない。また、製造を簡素化し、取り付けを簡単にすることができる。傘や合羽と比較してハンズフリーであり、使用者への雨具のまとわりつきをなくすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
図1】本発明実施形態1の雨具1の斜視図である。
図2】同じく雨具1の連結部4付近の(a)内側からの側面図、(b)外側からの側面図である。
図3】同じく雨具1の使用状態の斜視図である。
図4】変形例1の雨具101の使用状態の斜視図である。
図5】変形例1の雨具101の使用状態の別の角度からの斜視図である。
図6】変形例2の雨具201の使用状態の斜視図である。
図7】変形例1の雨具101と変形例2の雨具201の同時使用状態の斜視図である。
図8】変形例3の雨具301の使用状態の斜視図である。
図9】変形例4の雨具401の使用状態の斜視図である。
図10】変形例5の雨具501の使用状態の斜視図である。
図11】変形例6の雨具601の使用状態の斜視図である。
図12】変形例7の雨具701の使用状態の斜視図である。
図13】本発明実施形態2の雨具1001の斜視図である。
図14】本発明実施形態2の雨具1001の使用状態1の斜視図である。
図15】本発明実施形態2の雨具1001の使用状態2の別の角度からの斜視図である。
図16】本発明実施形態3の雨具2001の使用状態の斜視図である。
図17】(a)(b)は本発明実施形態4の雨具3001の斜視図及び使用状態の斜視図である。
図18】(a)(b)は本発明実施形態4の雨具3001の変形例の斜視図及び使用状態の斜視図である。
図19】(a)(b)は本発明実施形態4の雨具3001の変形例の斜視図及び別の使用状態の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0050】
本発明の第1実施形態の雨具1を図1〜12を参照して説明する。
【0051】
雨具1は、上部構造2と、下部構造3と、上部構造2と下部構造3を連結する連結部4と、を備え、上部構造2が上部骨組み2aと、上部骨組み2aを覆う上部覆い2bとを有し、下部構造3が下部骨組み3aと、下部骨組み3aを覆う下部覆い3bとを有し、下部覆い3bに肩乗せ部5を有し、重心が肩乗せ部5よりも下にあることを特徴とする。
【0052】
上部構造2は連結部4よりも上に位置する構造であり、下部構造3は連結部4よりも下に位置する構造である。
【0053】
上部骨組み2a及び下部骨組み3aは、雨具1の主要な部分であり、上部覆い2b,下部覆い3bを張設するものである。弾力性のある硬質金属製材であり、傘の骨組と同様の材質であり、上部覆い2b,下部覆い3bの形状を保持できる。弾力性があるため、ワンタッチで雨具1を折り畳むことができる。
【0054】
上部骨組み2aと下部骨組み3aは、一対の無端線条部材、ここでは略楕円形のループ部材で構成され、2つのループ部材がX字形状に交差する。使用時の交差点での交差角度は、図示の角度は例示であり、子供用、大人用、車椅子用等の用途等に応じて、適宜、設定される。また、少なくとも使用者が前方の開口から外部が視認できるように設定する。さらに、重量のバランスも考慮する。上部構造2の前後方向に開口を有し、下部構造3の左右方向に開口を有する。
【0055】
上部覆い2b、下部覆い3bは、それぞれ、上部骨組み2aと下部骨組み3aを覆い縫った状態の防水生地である。上部覆い2bは、頭部と肩を覆う高さと長さ、下部覆い3bは、肩から腰ほどの高さと長さを備えれば十分である。上部覆い2b及び下部覆い3bを上部骨組み2a,下部骨組み3aから脱着可能な構造、例えば、止めボタンで脱着可能としてもよい。下部覆い3bが取り外し構造であれば、下部構造3の下部覆い3bを取り外すことで、上部覆い2bのみとなるため、晴天時の日除けとしても利用可能である。下部覆い3bが拡がっているのであれば、風通しが良いため、上部覆い2bを取り外せば、下半身の日除けにすることも利用可能である。
【0056】
上部覆い2bの左右には、2個の窓6を設けている。下部覆い3bの中心部には頭通し穴7を設けている。
【0057】
連結部4は上部骨組み2aと下部骨組み3aを構成する2つのループ部材の交差点に設けられ、この交差点でピンがループ部材の貫通穴を通り、揺動可能に止着する。ループ部材は、てこの原理で揺動可能である。連結部4は、支点として作用する肩乗せ部5又は肩乗せ部5の近傍の位置、ここでは、それよりも下の位置で、連結部4により上部骨組み2aと下部骨組み3aが連結されている。連結部4を支点として、折り畳みが可能になる。
【0058】
連結部4は上部構造2と下部構造3とが連結部4で一体にされ分離不可能な構造である。連結部4を支点として、上部骨組み2a,下部骨組み3aの揺動により、上部構造2と下部構造3の開閉が行われるようになっている。上部構造2と下部構造3とは釣り合いのとれた重さによって位置が保持され、下部構造3の自重によって上部構造2が不安定となり倒れることを防ぐ。
【0059】
肩乗せ部5は、下部覆い3bの上部中心の左右に一対が設けられていて、肩に掛けて、支点となる部分であり、2点支持であり、下部覆い3bを兼用している部分である。
【0060】
重心は雨具1全体の重心であり、上部構造2、下部構造3、連結部4の各部に作用する力の合力の作用点である。重心が肩(支点)の直下にあるときに上部構造が頭上に来るように調整される。
【0061】
上部構造2に伸縮可能な拡縮具8を有する。この拡縮具8は、第1アーム8a、第2アーム8b、これらを連結するピン8c、第1アーム8aと上部骨組み2aを連結するピン8d、第2アーム8bと上部骨組み2aを連結するピン8eを備えている。第1アーム8a、第2アーム8bを上下に移動させることで、上部骨組み2aと上部覆い2bが伸縮する。
【0062】
上部骨組み2a及び/又は下部骨組み3a、又は、上部覆い2b及び又は下部覆い3bに取っ手9を設ければ、自転車等に乗る際にハンドルと共に持つことで安全に使用することができる。強風時にも煽られることを低減できるので、対応ができる。
【0063】
上部構造2は保張具10を備えている。保張具10は上部覆い2bの内側に配置されたワイヤ10aと、上部覆い2bの両端部の下端10bに設けた半袋状部材10cとを備え、ワイヤ10aの先端が半袋状部材10cに差し込まれることで、左右方向に展開し、張設されるものである。
【0064】
図3の雨具1の使用状態の斜視図に示す通り、母親が子供を抱いた状態で使用可能である。使用者と子供の頭は上部覆い2bで、肩以下は下部覆い3bで防雨される。車椅子や自転車等での使用も可能である。
【0065】
以上の通り、上部構造2、下部構造3の形状、大きさ、重さが調整されて、上部構造2よりも下部構造3が相対的に重く、重心が支点である肩乗せ部5よりも下にある、いわゆる、やじろべえの構造であるので、肩乗せ部5を支点として力学的に安定的に雨具1を立設できる。
【0066】
雨具1を被り、肩乗せ部5を肩に乗せるだけでよいので、雨具1を手で持つ必要も、また、ベルト等で肩や脇、自転車等に固定させる必要もなく、肩又は脇への負担を軽減し、雨具1を使用者に固定させる手間もかからず、使用者への装着が簡単である。下部覆い3bが前方に張り出しているので、手足まで雨を防ぐことができる。重さのバランスさえ適切であればよいので、構造も簡単で製造しやすい。
【0067】
上部骨組み2aと下部骨組み3aにより、覆いを拡げることができるため、下半身の防雨を可能とし、傘や合羽と比較してハンズフリーであり、まとわりつかずに、雨を防ぐことができる。
【0068】
風が吹いて風圧で前後左右に揺れる場合には、取っ手9等の補助具を取り付けたり、下部構造3に手を添えたり、上部構造2を支えたりすることで、雨具1の揺動を防止できる。
【0069】
図4図5の変形例1の雨具101の使用状態の斜視図に示す通り、雨具101は保張具10を省略するとともに窓6を1個としたもので、他は雨具1と同様であるので、説明は上記を援用する。部品番号は100番台とし、対応する部品は同様の番号を付する。
【0070】
図6の変形例2の雨具201の使用状態の斜視図に示す通り、雨具201は車椅子用に下部覆い203bのうち、後方の覆いの全部又は一部を除去し、開口211を設けたものであり、他は変形例1と同様であるので、説明は援用する。介護者が車椅子を手で操作するための空間を設けるためである。部品番号は200番台とし、対応する部品は同様の番号を付する。
【0071】
図7の変形例1の雨具101と変形例2の雨具201の同時使用状態の斜視図に示す通り、要介護者が雨具201を、介護者が雨具101を用いることができる。
【0072】
図8の変形例3の雨具301の使用状態の斜視図に示す通り、雨具301は頭通し穴307を、前方にえぐれるように開口を拡大したものである。これにより、母親に抱かれた子供の頭を開口により上方に突出させることができる。子供の頭を通すための覆いを脱着構造で脱着することもできる。幼児を背負った主婦用の雨具301とする場合には、後方にえぐれるように頭通し穴307を設けても良い。部品番号は300番台とし、対応する部品は同様の番号を付する。
【0073】
図9の変形例4の雨具401の使用状態の斜視図に示す通り、雨具401は上部骨組み402a、下部骨組み403a及び上部覆い402b、下部覆い403bの形状を角形に変更したものである。部品番号は400番台とし、対応する部品は同様の番号を付する。
【0074】
図10の変形例5の雨具501の使用状態の斜視図に示す通り、下部構造503の左右にドレープ512を有する。このドレープ512は下部覆い503bの同じ側の側端面同士を連結したものである。使用者の側面にドレープ512を設けることで、ファッション性を高めたり、側面の防雨に役立てることが可能である。部品番号は500番台とし、対応する部品は同様の番号を付する。
【0075】
図11の変形例6の雨具601の使用状態の斜視図に示す通り、下部骨組み603aの下部が有端構造であり、自由端613を有している。折り畳み傘のように折り畳むことが容易になり、携帯に便利である。また上部構造602が三角形の構造である。部品番号は600番台とし、対応する部品は同様の番号を付する。
【0076】
図12の変形例7の雨具701の使用状態の斜視図に示す通り、上部骨組み702aと下部骨組み703aの交差角度が相違する例である。部品番号は700番台とし、対応する部品は同様の番号を付する。
【0077】
本発明の第2実施形態の雨具1001は、第1実施形態の雨具1と共通点があるが、下半身を防雨しない点で相違する。上部構造1002と、下部構造1003と、上部構造1002と下部構造1003を連結する連結部1004と、を備える。上部構造1002が傘状構造部であり、中棒1002cを備えた上部骨組み1002aと、上部骨組み1002aを覆う上部覆い1002bとを有する。下部構造1003が下部骨組み1003aを有する。下部骨組み1003aが、一対のパッドである肩乗せ部1005から、それぞれ、下方に延び出す一対のL字形状又は屈曲形状のアーム1003bと、肩乗せ部1005を連結する横方向に延び出す棒材1003cと、を有する。アーム1003bは使用者の前方に突出する形状である。下部構造1003の下端に係止部1015を構成する。
【0078】
図14図15の本発明実施形態2の雨具1001の使用状態1の斜視図に示す通り、肩乗せ部1005を肩に掛け、アーム1003bを脇の下に通し、係止部1015を背中側に配置する。
【0079】
これにより、基本的には第1実施形態と原理的に同様の作用効果を奏する。下部構造1003の自重により肩乗せ部1005を支点として力学的に安定的に雨具1001が立設されるが、下部骨組み1003a及び/又は係止部1015を使用者、車椅子、自転車等に係止することで、より上部構造1002が倒れることを防止できる。
【0080】
図16の本発明実施形態3の変形例である雨具2001の使用状態の斜視図に示す通り、上部構造2002と、下部構造2003と、上部構造2002と下部構造2003を連結する連結部2004と、を備え、上部構造2002が支持棒2002cを備えた上部骨組み2002aと、上部骨組み2002aを覆う上部覆い2002bとを有し、下部構造2003が硬質のベルト2003aを有する携帯品であり、連結部2004が携帯品の上部と、上部構造2002とを連結するとともに肩乗せ部を構成し、重心が肩乗せ部よりも下にあることを特徴とする。ここでは、肩掛けカバンを下部構造2003として採用し、肩掛けカバンのベルト2003aは上部構造2002を支持するだけの硬さが必要である。支点は1点となるので、不安定さを防止するため、カバンを手で押さえることが必要である。ベルト2003aを硬軟自在の材質とすれば便利である。
【0081】
図17の本発明実施形態4である雨具3001の斜視図と使用状態に示す通り、上部構造を支えられるように一定の曲げ剛性を備える。上部構造3002と、下部構造3003と、上部構造3002と下部構造3003を連結する連結部3004と、を備える。上部構造3002が上部骨組み3002aと、上部骨組み3002aを覆う上部覆い3002bとを有する。下部構造3003が骨組み3003aと骨組み3003aの先端に設ける錘3003bである。骨組み3003aは前方に凸状に曲がる曲線構造である。連結部3004が骨組み3003aの上端と、上部構造3002下端を連結するとともに一対の肩乗せ部(ここでは使用者の人を基準として前後方向に延び出す肩乗せパッド)を構成し、重心が肩乗せ部よりも下にあることを特徴とする。錘3003b(ポーチと兼用)、上部の重心が支点よりも後側に維持すれば、雨具3001は軽くてもよい。
【0082】
この雨具3001は錘3003bが片側(人体を基準として前部又は後部のいずれか一方)にしかないため、支点(肩乗せ部)の直下には身体があるので錘3003bをそこに置けず、重心を体軸内(肩乗せ部直下)に置いた状態で使用することができない。この場合、支点である肩乗せ部に加えて下部構造を身体に接触させることで上部の安定を確保する。
【0083】
図18及び図19に示す変形例は錘3003bがポーチ、バッグ等の袋物を兼用する例である。図18及び図19では下部構造3003の骨組み3003aが曲がっておらず、直線上になっているが図17の通りに曲がっていてもよい。図18では連結部3004の位置の前部(ここでは使用者の人を基準として前後方向の前部)に上部構造3002と下部構造3003が連結している。上部骨組み3002aは肩の前側に配置される。錘3003bとしてのポーチ、バッグ等の袋物が人の前に配置される。図19では連結部3004の位置の後部(ここでは使用者の人を基準として前後方向の後部)に上部構造3002と下部構造3003が連結している。上部骨組み3002aは肩の後側に配置される。錘3003bとしてのポーチが人の前に配置される。
【0084】
図17では下部構造3003が腰の後ろに接触することで安定する。ここで下部の錘3003bを廃し上部後ろ側をやや重くすると、上部構造3002が支点から後ろ側に向かって倒れようとするが、下部構造3003が腰にあたってとまるため安定する。
【0085】
同様に図18では下部構造3003が腰に接触することで安定する。図18では本体が自重で下に落ちてしまわないよう、肩乗せ部がフックのような構造になっている。
【0086】
図19は下部構造3003を後ろから前に持ってきているのが特徴であるが、これは図17を使用者から見て前後反対に配置し骨組み3003aを直線とした変形例である。これも同様に下部構造3003が腰に接触することで安定する。
【0087】
なお、本発明は、上述の実施の形態に限定されず、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲で、様々な改変、置換、欠失等を行うことが出来、改変、均等、置換、欠失等も本発明の技術的範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0088】
本発明は、自転車、車椅子等の運転の際、農作業等の各種屋外活動での防雨用の利用に提供される。
【符号の説明】
【0089】
1・・・雨具
2・・・上部構造
2a・・・上部骨組み
2b・・・上部覆い
3・・・下部構造
3a・・・下部骨組み
3b・・・下部覆い
4・・・連結部
5・・・肩乗せ部
6・・・窓
7・・・頭通し穴
8・・・拡縮具
8a・・・第1アーム
8b・・・第2アーム
8c,8d,8e・・・ピン
9・・・取っ手
10・・・保張具
10a・・・ワイヤ
10b・・・下端
10c・・・半袋状部材
101・・・雨具
201・・・雨具
203b・・・下部覆い
211・・・開口
301・・・雨具
307・・・頭通し穴
401・・・雨具
402a・・・上部骨組み
402b・・・上部覆い
403a・・・下部骨組み
403b・・・下部覆い
501・・・雨具
503・・・下部構造
503b・・・下部覆い
512・・・ドレープ
601・・・雨具
602・・・上部構造
603・・・下部構造
603a・・・下部骨組み
613・・・自由端
701・・・雨具
702a・・・上部骨組み
703a・・・下部骨組み
1001・・・雨具
1002・・・上部構造
1002a・・・上部骨組み
1002b・・・上部覆い
1002c・・・中棒
1003・・・下部構造
1003a・・・下部骨組み
1003b・・・アーム
1003c・・・棒材
1004・・・連結部
1005・・・肩乗せ部
1015・・・係止部
2001・・・雨具
2002・・・上部構造
2002a・・・上部骨組み
2002b・・・上部覆い
2002c・・・支持棒
2003・・・下部構造
2003a・・・ベルト
2004・・・連結部
3001・・・雨具
3002・・・上部構造
3003・・・下部構造
3004・・・連結部
3002a・・・上部骨組み
3002b・・・上部覆い
3003a・・・骨組み
3003b・・・錘
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
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図10
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図12
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図16
図17
図18
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