(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6491395
(24)【登録日】2019年3月8日
(45)【発行日】2019年3月27日
(54)【発明の名称】水溶性フィルム及び洗剤パケットにおけるその使用
(51)【国際特許分類】
C08L 33/04 20060101AFI20190318BHJP
C08K 5/10 20060101ALI20190318BHJP
C08K 5/053 20060101ALI20190318BHJP
C11D 17/04 20060101ALI20190318BHJP
C11D 10/02 20060101ALI20190318BHJP
【FI】
C08L33/04
C08K5/10
C08K5/053
C11D17/04
C11D10/02
【請求項の数】9
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2018-512631(P2018-512631)
(86)(22)【出願日】2016年8月24日
(65)【公表番号】特表2018-528310(P2018-528310A)
(43)【公表日】2018年9月27日
(86)【国際出願番号】US2016048259
(87)【国際公開番号】WO2017058405
(87)【国際公開日】20170406
【審査請求日】2018年3月8日
(31)【優先権主張番号】62/234,170
(32)【優先日】2015年9月29日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】590002035
【氏名又は名称】ローム アンド ハース カンパニー
【氏名又は名称原語表記】ROHM AND HAAS COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100128495
【弁理士】
【氏名又は名称】出野 知
(74)【代理人】
【識別番号】100093665
【弁理士】
【氏名又は名称】蛯谷 厚志
(74)【代理人】
【識別番号】100173107
【弁理士】
【氏名又は名称】胡田 尚則
(74)【代理人】
【識別番号】100147212
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 直樹
(72)【発明者】
【氏名】アフア・サーポン・カリカリ
(72)【発明者】
【氏名】マイケル・ミッシェル
(72)【発明者】
【氏名】ファンウェン・ツェン
【審査官】
岡谷 祐哉
(56)【参考文献】
【文献】
特開2010−261050(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2006/0223935(US,A1)
【文献】
国際公開第2014/126159(WO,A1)
【文献】
特表2001−504065(JP,A)
【文献】
国際公開第98/021118(WO,A1)
【文献】
特表平11−507971(JP,A)
【文献】
国際公開第97/000282(WO,A1)
【文献】
特開2005−187742(JP,A)
【文献】
特開2015−048379(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D
C08K
C08L
C11D
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水溶性フィルムであって、
(A)アクリルポリマーブレンドであって、
(a)60℃〜130℃のガラス転移温度(「Tg」)を有するハードポリマーであって、前記ハードポリマーの全重量に基づいて、(i)50〜90重量%の少なくとも1つの(C1−C10)アルキル(メタ)アクリレート、(ii)10〜50重量%の少なくとも1つのC3−C8モノエチレン性不飽和モノカルボン酸モノマーまたはエチレン性不飽和ジカルボン酸モノマー、及び(iii)0〜25重量%の少なくとも1つのヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートに由来する重合単位を含む、ハードポリマーと、
(b)−20℃〜40℃のTgを有するソフトポリマーであって、前記ソフトポリマーの全重量に基づいて、(i)50〜90重量%の少なくとも1つの(C1−C10)アルキル(メタ)アクリレート、(ii)10〜50重量%の少なくとも1つのC3−C8モノエチレン性不飽和モノカルボン酸モノマーまたはエチレン性不飽和ジカルボン酸モノマー、及び(iii)0〜25重量%の少なくとも1つのヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートに由来する重合単位を含む、ソフトポリマーと、を含み、
前記ハードポリマーの前記Tgと前記ソフトポリマーの前記Tgの差が40℃以上であり、前記ハードポリマーもしくは前記ソフトポリマー、または前記ハードポリマー及び前記ソフトポリマーの両方のカルボン酸基の少なくとも一部が中和される、アクリルポリマーブレンドと、
(B)可塑剤と、を含む、水溶性フィルム。
【請求項2】
架橋剤をさらに含む、請求項1に記載の水溶性フィルム。
【請求項3】
前記架橋剤が二価金属カチオンである、請求項2に記載の水溶性フィルム。
【請求項4】
粘着付与剤、充填剤、または造膜助剤のうちの1つ以上をさらに含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の水溶性フィルム。
【請求項5】
前記ハードポリマーは、前記ハードポリマーの全重量に基づいて、(i)50〜90の少なくとも1つの(C1−C3)アルキルメタクリレート及び少なくとも1つの(C2−C8)アルキルアクリレート、ならびに(ii)10〜50重量%の少なくとも1つのC3−C8モノエチレン性不飽和モノカルボン酸モノマーまたはエチレン性不飽和ジカルボン酸モノマーに由来する重合単位を含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の水溶性フィルム。
【請求項6】
前記ソフトポリマーは、前記ソフトポリマーの全重量に基づいて、(i)50〜90重量%の少なくとも1つの(C2−C8)アルキル(メタ)アクリレート、(ii)10〜50重量%の少なくとも1つのC3−C8モノエチレン性不飽和モノカルボン酸モノマーまたはエチレン性不飽和ジカルボン酸モノマー、及び(iii)0〜25重量%の少なくとも1つのヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートに由来する重合単位を含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の水溶性フィルム。
【請求項7】
前記可塑剤が、疎水性材料と親水性材料とのブレンドである、請求項1〜6のいずれか1項に記載の水溶性フィルム。
【請求項8】
洗剤パケットであって、
(a)14〜40重量%の界面活性剤、3〜25重量%の塩、及び20〜75重量%の水を含む洗剤配合物と、
(b)前記洗剤配合物を封入するパッケージであって、前記パッケージが、請求項1〜7のいずれか1項に記載の水溶性フィルムを含む、パッケージと、を含む、洗剤パケット。
【請求項9】
前記塩が、塩化物、クエン酸塩、リン酸塩、硫酸塩、炭酸塩、メタケイ酸塩、アルミノケイ酸塩、及びそれらの2つ以上の混合物からなる群から選択される、請求項8に記載の洗剤パケット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、ハードポリマーとソフトポリマーとのブレンドである(メタ)アクリルポリマーを含有する水溶性フィルムに関し、封入材料としてこの水溶性フィルムを含有する洗剤パケットに関する。
【背景技術】
【0002】
水溶性フィルムは多くの用途に有用である。家庭用及び工業用市場では、単位用量送達システムのような洗剤パケットに水溶性フィルムを使用することは、使用の容易さ及び利便性、低コスト、洗浄配合物中に存在する化学物質への暴露の低減の結果としての安全性の向上を含め、消費者にとっていくつかの利点をもたらす。単位用量の洗剤を包装する技術の多くは、水溶性フィルムパッケージの開発に関する。現在、液体洗濯洗剤を含有するパウチまたはパッケージは、主に、部分的に加水分解されたポリビニルアルコールホモポリマー、PVOH、及びそのコポリマーをベースとする。
【0003】
液体洗濯洗剤組成物は、通常、高い含水量、例えば、約70〜90重量%の水で配合される。高い含水量は、配合成分のより速い送達及び分散性を含むいくつかの利点を提供する。しかしながら、PVOHベースのポリマーは、含水量が15〜20%を超える液体洗濯洗剤組成物を包装するには好適ではない。より高い含水量は、フィルムの可塑化、ならびに早すぎる溶解及び破壊のため、水溶性パウチの構造完全性を破壊する。
【0004】
したがって、PVOHベースの水分散性パウチまたはパケットに包装された現在の単位用量の液体洗濯洗剤は、水分含有量が低い高濃度の強力液体配合物である。これらの配合物では、液体洗剤と水分散性パウチとの相溶性を確実にし、パウチの早すぎる溶解及び分解を防ぐために、水分含有量は典型的に約10重量%に制限される。水分含有量が低いため、液体単位投与システムは、液体洗濯洗剤対応物と比較して、より多量の有機溶媒を必要とする。残念ながら、これらの溶媒は、追加の洗浄利益を提供することなく洗剤配合物のコストを増大させる。
【0005】
本発明によって対処される問題は、例えば20重量%以上の高含水量を含有する液体洗濯用配合物のための水溶性フィルム及びパケットまたはパウチの提供である。
【0006】
発明の陳述
本発明者らは、本明細書に記載されている特定のガラス転移温度を有するアクリルポリマーのブレンドから調製された水溶性フィルムが、高イオン強度水溶液中での安定性を含む種々の望ましい特性ならびにイオン強度が低下したときに容易に溶解する能力を示すことを今や見出した。有利には、これらの特性は、フィルムを、高含水量(例えば、20〜75重量%の水)、塩(例えば、3〜25重量%の塩)、及び界面活性剤を含む洗剤配合物を含有する洗剤パケット(例えば、単位用量送達システム)の封入パッケージとして好適にする。
【0007】
したがって、一態様では、水溶性フィルムが提供される。この水溶性フィルムは、
(A)アクリルポリマーブレンドであって、
(a)60℃〜130℃のガラス転移温度(「Tg」)を有するハードポリマーであって、前記ハードポリマーの全重量に基づいて、(i)50〜90重量%の少なくとも1つの(C1−C10)アルキル(メタ)アクリレート、(ii)10〜50重量%の少なくとも1つのC3−C8モノエチレン性不飽和モノカルボン酸モノマーまたはエチレン性不飽和ジカルボン酸モノマー、及び(iii)0〜25重量%の少なくとも1つのヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートに由来する重合単位を含む、ハードポリマーと、
(b)−20℃〜40℃のTgを有するソフトポリマーであって、前記ソフトポリマーの全重量に基づいて、(i)50〜90重量%の少なくとも1つの(C1−C10)アルキル(メタ)アクリレート、(ii)10〜50重量%の少なくとも1つのC3−C8モノエチレン性不飽和モノカルボン酸モノマーまたはエチレン性不飽和ジカルボン酸モノマー及び、(iii)0〜25重量%の少なくとも1つのヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートに由来する重合単位を含む、ソフトポリマーと、を含み、
前記ハードポリマーの前記Tgと前記ソフトポリマーの前記Tgの差が40℃以上であり、前記ハードポリマーもしくは前記ソフトポリマー、または前記ハードポリマー及び前記ソフトポリマーの両方のカルボン酸基の少なくとも一部が中和される、アクリルポリマーブレンドと、
(B)可塑剤と、を含む。
【0008】
別の態様では、洗剤パケットが提供される。この洗剤パケットは、(a)14〜40重量%の界面活性剤、3〜25重量%の塩、及び20〜75重量%の水を含む洗剤配合物と、(b)前記洗剤配合物を封入するパッケージであって、前記パッケージが、本明細書に記載の水溶性フィルムを含む、パッケージと、を含む。
【発明を実施するための形態】
【0009】
他に示さない限り、数値範囲は、例えば「2〜10」のように、範囲を定義する数字(例えば、2及び10)を含む。他に示さない限り、比、百分率、部などは重量に基づく。本明細書で使用されるように、他に示さない限り、「分子量」またはMwという語句は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)及びポリアクリル酸標準を用いて従来の方法で測定した重量平均分子量を指す。GPC技術は、Modem Size Exclusion Chromatography,W.W.Yau,J.J.Kirkland、D.D.Bly,Wiley−Interscience,1979、及びA Guide to Materials Characterization and Chemical Analysis,J.P.Sibilia,VCH,1988,p.81−84で論じられている。分子量はダルトン単位で本明細書に報告される。用語「エチレン性不飽和」は、それを重合可能にする1つ以上の炭素−炭素二重結合を有する分子または部分を記載するために使用される。「ポリマー」は、同じタイプまたは異なるタイプにかかわらず、モノマーを重合することによって調製された重合性化合物を指す。一般用語「ポリマー」には、用語「ホモポリマー」、「コポリマー」、及び「ターポリマー」が含まれる。「に由来する重合単位」という用語は、重合技術に従って合成されたポリマー分子を指し、生成物ポリマーは、重合反応の出発物質である構成モノマー「に由来する重合単位」を含有する。本明細書で使用する用語「(メタ)アクリル」は、アクリルまたはメタクリルのいずれかを指し、「(メタ)アクリレート」は、アクリレートまたはメタクリレートのいずれかを指す。組成物中の重量パーセンテージ(または重量%)は、乾燥重量または活性成分重量のパーセンテージ、すなわち、組成物中に存在し得る水を除外したパーセンテージである。ポリマー中のモノマー単位のパーセンテージは、固体または純モノマー重量のパーセンテージ、すなわち、ポリマーエマルジョン中に存在する水を除外したパーセンテージであり、ポリマーの全重量に基づく(ポリマーが構成されるモノマーの総重量から決定される)。
【0010】
本発明の目的のために、用語「ハードポリマー」及び「ソフトポリマー」はそれぞれ独立して、ポリマーの混合物を含む。
【0011】
「ガラス転移温度」または「T
g」は、ガラス質ポリマーがポリマー鎖のセグメント運動を受ける温度またはそれ以上の温度を指す。ポリマーのガラス転移温度は、以下のFox方程式(Bulletin of the American Physical Society,1(3)Page 123(1956))によって以下のように推定することができる。
【0013】
コポリマーの場合、w
1及びw
2は、2つのコモノマーの重量分率を指し、T
g(1)及びT
g(2)は、モノマーから作製された2つの対応するホモポリマーのガラス転移温度を指す。3つ以上のモノマーを含有するポリマーの場合、追加の用語が加えられる(w
n/T
g(n))。ホモポリマーのガラス転移温度の適切な値を用いることによって、ポリマーのT
(g)を計算することもでき、これは、例えば、“Polymer Handbook”,J.Brandrup and E.H.Immergut,Interscience Publishersで見つけることができる。ポリマーのT
gは、例えば、示差走査熱量測定(DSC)を含む様々な技術によって測定することもできる。本明細書に報告されるT
gの値は、DSCによって測定される。
【0014】
上記のように、一態様では、本発明は、(A)(a)ハードポリマー及び(b)ソフトポリマーを含有するアクリルポリマーブレンドと、(B)可塑剤とからなる水溶性フィルムを提供する。
【0015】
ブレンドのハードポリマーは、60℃〜130℃のガラス転移温度を有する材料である。いくつかの実施形態では、ハードポリマーのTgは、70〜100℃、あるいは75〜85℃である。ハードポリマーは、ハードポリマーの全重量に基づいて、(i)50〜90重量%の少なくとも1つの(C1−C10)アルキル(メタ)アクリレート、(ii)10〜50重量%の少なくとも1つのC3−C8モノエチレン性不飽和モノカルボン酸モノマーまたはエチレン性(好ましくはモノエチレン性)不飽和ジカルボン酸モノマー、及び(iii)0〜25重量%の少なくとも1つのヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートに由来する重合単位を含む。
【0016】
ハードポリマーの(C1−C10)アルキル(メタ)アクリレートは、直鎖状であっても分岐状であってもよい。(C1−C10)アルキル(メタ)アクリレートの量は、ハードポリマーの全重量に基づいて、50〜90重量%、好ましくは75〜85重量%の範囲である。好ましくは、(C1−C10)アルキル(メタ)アクリレートは、(C1−C8)アルキル(メタ)アクリレート、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、及び2−エチルヘキシル(メタ)アクリレートのうちの1つ以上から選択される。好ましくは、ハードポリマー中、(C1−C10)アルキル(メタ)アクリレート成分は、少なくとも1つの(C1−C3)アルキルメタクリレート、及び少なくとも1つの(C2−C8)アルキルアクリレートを含む。最も好ましくは、アルキル(メタ)アクリレート成分は、メチルメタクリレート、ブチルアクリレート、及び2−エチルヘキシルアクリレートを含む。ハードポリマー中の少なくとも1つの(C1−C3)アルキルメタクリレートの量は、ハードポリマーの全重量に基づいて、好ましくは30〜60重量%、好ましくは43〜53重量%である。(C2−C8)アルキルアクリレートの量は、ハードポリマーの全重量に基づいて、好ましくは20〜50重量%、より好ましくは30〜40重量%である。
【0017】
ハードポリマーのC3−C8モノエチレン性不飽和モノカルボン酸モノマーまたはエチレン性不飽和ジカルボン酸モノマーは、好ましくは、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、イタコン酸(またはその無水物)、及びマレイン酸(またはその無水物)のうちの1つ以上から選択される。より好ましくは、モノマーは、メタクリル酸である。ハードポリマー中の不飽和モノカルボン酸と不飽和ジカルボン酸モノマーの合計量は、ハードポリマーの全重量に基づいて、10〜50重量%、好ましくは12〜25重量%である。
【0018】
場合によりハードポリマー中に存在するヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート成分のアルキル基は、好ましくは(C1−C5)アルキル基である。例えば、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートは、存在する場合、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート及びヒドロキシペンチル(メタ)アクリレートのうちの1つ以上から選択される。より好ましくは、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートは、ヒドロキシエチルメタクリレート及びヒドロキシプロピルアクリレートのうちの1つ以上から選択される。さらにより好ましくは、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートは、2−ヒドロキシエチルメタクリレートである。ハードポリマー中のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートの量は、0〜25重量%、好ましくは0〜10重量%である。いくつかの実施形態では、その量は、0である。
【0019】
いくつかの実施形態では、ハードポリマーは、ハードポリマーの全重量に基づいて、(i)70〜90重量%、好ましくは75〜85重量%のメチルメタクリレート、ブチルアクリレート、及び2−エチルヘキシルアクリレート及び(ii)10〜30重量%、好ましくは15〜25重量%のメタクリル酸に由来する重合単位を含む。
【0020】
いくつかの実施形態において、ハードポリマーは、40,000〜150,000、好ましくは40,000〜90,000の重量平均分子量を有する。
【0021】
いくつかの実施形態では、水溶性フィルムは、フィルムの全重量に基づいて、30〜70重量%、好ましくは40〜60重量%のハードポリマーを含有する。
【0022】
ブレンドのソフトポリマーは、−20℃〜40℃のガラス転移温度を有する材料である。いくつかの実施形態では、ソフトポリマーのTgは、5〜35℃、あるいは10〜30℃である。ソフトポリマーは、ソフトポリマーの全重量に基づいて、(i)50〜90重量%の少なくとも1つの(C1−C10)アルキル(メタ)アクリレート、(ii)10〜50重量%の少なくとも1つのC3−C8モノエチレン性不飽和モノカルボン酸モノマーまたはエチレン性(好ましくはモノエチレン性)不飽和ジカルボン酸モノマー、及び(iii)0〜25重量%の少なくとも1つのヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートに由来する重合単位を含む。
【0023】
ソフトポリマーの(C1−C10)アルキル(メタ)アクリレートは、直鎖状であっても分岐状であってもよい。(C1−C10)アルキル(メタ)アクリレートの量は、ソフトポリマーの全重量に基づいて、50〜90重量%、好ましくは60〜80重量%の範囲である。好ましくは、(C1−C10)アルキル(メタ)アクリレートは、(C2−C8)アルキル(メタ)アクリレート、例えば、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート及び2−エチルヘキシル(メタ)アクリレートのうちの1つ以上から選択される。好ましくは、ソフトポリマー中、(C1−C10)アルキル(メタ)アクリレート成分は、1つ以上の(C2−C8)アルキルアクリレート、例えば、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、及び/または2−エチルヘキシルアクリレートを含む。最も好ましくは、(C2−C8)アルキルアクリレートは、エチルアクリレートとブチルアクリレートの混合物、またはエチルアクリレート、ブチルアクリレート、及び2−エチルヘキシルアクリレートの混合物を含む。
【0024】
ソフトポリマーのC3−C8モノエチレン性不飽和モノカルボン酸モノマーまたはエチレン性不飽和ジカルボン酸モノマーは、好ましくは、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、イタコン酸(またはその無水物)、及びマレイン酸(またはその無水物)のうちの1つ以上から選択される。より好ましくは、モノマーは、メタクリル酸である。ソフトポリマー中の不飽和モノカルボン酸と不飽和ジカルボン酸モノマーの合計量は、ソフトポリマーの全重量に基づいて、10〜50重量%、好ましくは12〜30重量%である。
【0025】
場合によりソフトポリマー中に存在するヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート成分のアルキル基は、好ましくは(C1−C5)アルキル基である。例えば、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートは、存在する場合、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、及びヒドロキシペンチル(メタ)アクリレートのうちの1つ以上から選択される。より好ましくは、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートは、ヒドロキシエチルメタクリレート及びヒドロキシプロピルアクリレートのうちの1つ以上から選択される。さらにより好ましくは、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートは、2−ヒドロキシエチルメタクリレートである。ソフトポリマー中のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートの量は、0〜25重量%、好ましくは0〜10重量%である。いくつかの実施形態では、その量は、0である。いくつかの実施形態では、その量は、ソフトポリマーの全重量に基づいて、0〜20重量%、あるいは10〜20重量%である。
【0026】
いくつかの実施形態では、ソフトポリマーは、ソフトポリマーの全重量に基づいて、(i)55〜90重量%、好ましくは60〜90重量%の、エチルアクリレート、ブチルアクリレート及び場合により2−エチルヘキシルアクリレート(ii)10〜45重量%、好ましくは10〜40重量%のメタクリル酸、及び(iii)0〜25重量%、好ましくは0〜20重量%の2−ヒドロキシエチルメタクリレートに由来する重合単位を含む。
【0027】
いくつかの実施形態において、ソフトポリマーは、40,000〜150,000、好ましくは40,000〜90,000の重量平均分子量を有する。
【0028】
いくつかの実施形態では、水溶性フィルムは、フィルムの全重量に基づいて、15〜45重量%、好ましくは20〜40重量%のソフトポリマーを含有する。
【0029】
本発明によるハード(高Tg)ポリマーとソフト(低Tg)ポリマーの組み合わせは、パッケージング洗剤に望ましい特性を有する材料を提供することが見出されている。望ましい特性を達成するために、ハードポリマーのTgとソフトポリマーのTgの差は、少なくとも40℃である。いくつかの実施形態では、ハードポリマーのTgとソフトポリマーのTgの差は、50℃以上である。
【0030】
理論に縛られることを望むものではないが、(C1−C3)アルキルメタクリレート成分、例えばメチルメタクリレートは、ポリマーに硬度を与えると考えられている。したがって、ポリマー中に見られる(C1−C3)アルキルメタクリレートの割合は、所望のTgを提供するように、ソフトポリマーではより少なく(または全くない)、ハードポリマーではより多く、選択することができる。
【0031】
本発明のハードポリマー及びソフトポリマーは、当業者に周知の従来の方法によって調製することができる。ポリマーは、好ましくは乳化重合によって、より好ましくは連続的なインライン乳化プロセスによって調製される。米国特許第3,245,932号、第3,453,245号、及び第4,196,190号は、好適な乳化重合法に関するさらなる一般的かつ具体的な詳細について参照することができる。ポリマー調製に使用される乳化剤は、ポリマーをエマルション中に懸濁させたままにする。ポリマーを調製するために使用される典型的な乳化剤としては、例えば、1つ以上の(C8−C18)アルコールスルフェート(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム及びトリデシルエーテル硫酸ナトリウム)、ジエステルスルホスクシネート、リン酸エステル(例えば、長鎖アルキルオキシポリ(アルキレンオキシド)、長鎖アルキルアリールオキシポリ(アルキレンオキシド)、リン酸の長鎖アルキル及び長鎖アルキルアリールモノ−及びジ−エステル、例えば(C8−C18)アルキルアリールオキシポリ(アルキレンオキシド)、(C10−C18)アルキルオキシポリ(アルキレンオキシド)、リン酸の(C10−C18)アルキル及び(C8−C18)アルキルアリールモノ−及びジ−エステル)、アルクアリールスルホネート、アルキルまたはアリールポリエーテルスルホネート、アルキルまたはアリールポリエーテルアルコール、プロピレンオキシド及びプロピレングリコール付加物のエチレンオキシド縮合物が挙げられる。好ましくは、使用される乳化剤は、長鎖アルキルオキシポリ(アルキレンオキシド)、長鎖アルキルアリールオキシポリ(アルキレンオキシド)、リン酸の長鎖アルキル及び長鎖アルキルアリールモノ−及びジ−エステルなどのアニオン型乳化剤である。
【0032】
本発明では、ハードポリマーまたはソフトポリマー、またはハードポリマー及びソフトポリマーの両方のカルボン酸基の少なくとも一部が中和される。カルボン酸は、少なくとも1つの塩基を用いて従来の技術によって中和されてもよい。ポリマーを中和する塩基は、1つ以上の、アミン、アルカリまたはアルカリ土類金属の水酸化物、及び水酸化アンモニウムから選択することができる。好適なアミン中和剤には、例えば、2アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、N、N−ジメチル−2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、モノイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、エタノールアミン、トリエタノールアミン、及びモルホリンが挙げられる。好適なアルカリまたはアルカリ土類金属の水酸化物には、例えば、水酸化ナトリウム及び水酸化カリウムが含まれる。好ましくは、中和剤は、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、またはそれらの混合物から選択される。
【0033】
ポリマーに添加される中和剤の量は、所望のレベルの中和を提供するのに必要な量である。典型的には、モル当量に基づいて、アクリルポリマーブレンド中の酸基の5〜100%、好ましくは10〜100%、より好ましくは50〜100%、最も好ましくは75〜100%が中和される。
【0034】
いくつかの実施形態において、中和度は、約70%〜約95%、好ましくは約85%〜約95%、より好ましくは約90%〜約95%であり得る。残りのカルボン酸の一部または全部をイオン架橋することができる。ポリマーのイオン架橋は、高水分洗浄剤で改善された耐水性及び安定性をもたらすことが見出されている。好適な架橋剤は、例えば、Ca
2+、Mg
2+、Al
3+、またはZn
2+のような二価カチオンを含み得る。Ca
2+及びZn
2+が好ましく、これは、例えば、CaCl
2、ZnO、または可溶性亜鉛錯体(例えば、重炭酸亜鉛アンモニウム)によって提供され得る。好ましくは、架橋剤は、存在する場合、水溶性フィルムの全重量に基づいて、少なくとも0.1重量%、あるいは少なくとも0.2重量%、あるいは少なくとも最大0.3重量%、5重量%、あるいは最大3重量%、あるいは最大1重量%の量で存在する。
【0035】
いくつかの実施形態では、本発明のハードポリマー及びソフトポリマーは、限定された結晶含量を含有する(すなわち、それらは高度に非晶質である)ことが好ましい。より好ましくは、ポリマーは完全に非晶質であり、結晶化可能な含有物はない。パーセント結晶化度は、示差走査熱量測定法を用いて決定することができる。パーセント結晶化度は、各試料の融解熱を100%結晶参照標準の既知の融解熱で標準化することによって計算することができる。好ましくは、ハードポリマー及びソフトポリマーの結晶化率は、5.0%以下、より好ましくは1.0%以下である。さらに好ましくは、結晶化率は、ゼロである。
【0036】
本発明の水溶性フィルムは、可塑剤を含有する。可塑剤は親水性または疎水性であり得るが、親水性可塑剤はフィルム全体の崩壊時間をわずかに増加させることがある。したがって、いくつかの実施形態では、疎水性可塑剤と親水性可塑剤との混合物を使用することが好ましい。このような混合物は、改善されたフィルム形成と迅速なフィルムの破断と崩壊の適切なバランスを提供する。好適な疎水性可塑剤の例には、安息香酸のC9−11分枝アルキルエステルのような安息香酸エステル、及びジ安息香酸でキャップされたジエチレングリコールが含まれる。好適な親水性可塑剤の例は、グリセロール、ソルビトール、プロピレングリコール、ポリオール、及びポリエチレングリコール(例えば、PEG200またはPEG400)を含む。可塑剤は、水溶性フィルムの全重量に基づいて、1〜30重量%、好ましくは1〜20重量%の範囲の量で水溶性フィルム中に存在し得る。
【0037】
本発明の水溶性フィルムは、粘着付与剤(例えば、ロジンエステル)、架橋剤(例えば、CaCl
2、ZnO)、充填剤(例えば、ステアリン酸亜鉛、コロイド状シリカ粒子(本明細書ではシリカゾルとも呼ばれる)、例えば、沈降シリカ、マイクロシリカ(シリカフューム)、焼成シリカ(ヒュームドシリカ)、またはシリカゲルなどの種々の原料から製造することができ、それらはシラン化され得る)、または造膜助剤(例えば、ジプロピレングリコールメチルエーテル、フィルム形成助剤)を含むが、これらに限定されない任意の他の成分を含有し得る。
【0038】
好ましい実施形態では、本発明の水溶性フィルムは、
(A)アクリルポリマーブレンドであって、
(a)水溶性フィルムの全重量に基づいて、30〜70重量%の、60℃〜130℃(好ましくは70〜90℃)のガラス転移温度(「Tg」)を有するハードポリマーであって、ハードポリマーの全重量に基づいて、(i)50〜90重量%(好ましくは75〜90重量%)のブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、及びメチルメタクリレート、ならびに(ii)10〜50重量%(好ましくは10〜25重量%)のメタクリル酸に由来する重合単位を含む、ハードポリマーと、
(b)水溶性フィルムの全重量に基づいて、15〜45重量%の、−20℃〜40℃(好ましくは10℃〜30℃)のTgを有するソフトポリマーであって、ソフトポリマーの総重量に基づいて、(i)50〜90重量%(好ましくは60〜90重量%)のブチルアクリレート、エチルアクリレート、及び場合により2−エチルヘキシルアクリレート、(ii)10〜50重量%(好ましくは10〜40重量%)のメタクリル酸、及び(iii)0〜20重量%の2−ヒドロキシエチルメタクリレートに由来する重合単位を含む、ソフトポリマーと含み、
ハードポリマーのTgとソフトポリマーのTgの差が40℃以上であり、ハードポリマーもしくはソフトポリマー、またはハードポリマー及びソフトポリマーの両方のカルボン酸基の少なくとも一部が中和される、アクリルポリマーブレンドと、
(B)水溶性フィルムの全重量に基づいて、1〜30重量%の、疎水性可塑剤と親水性可塑剤との混合物である可塑剤と、
(C)水溶性フィルムの全重量に基づいて、0〜5重量%(好ましくは0.1〜3重量%)の二価金属イオン架橋剤(例えば、ZnOまたはCaCl
2)と、
(D)水溶性フィルムの全重量に基づいて、0〜15重量%(好ましくは1〜10重量%)の充填剤(例えば、シリカまたはヒュームドシリカ)と、を含有する。
【0039】
本発明の水溶性フィルムは、例えば、ガラスのような基材上への溶液キャスティングを介することを含む、当業者に知られている技術によって調製することができる。典型的には、水を溶液キャスティングのための溶媒として使用するが、他の溶媒を使用してもよい。キャスティング後、フィルムを高温、例えば65〜80℃で加熱乾燥することができる。
【0040】
別の態様では、本発明は、上記の水溶性フィルムを利用する、単位用量パケットなどの洗剤パケットを提供する。パケットの洗剤成分は、典型的には、高イオン強度材料であり、少なくとも3重量%の濃度の塩を含有する。有利には、洗剤は、従来のPVOHベースのパケットで可能であるよりも多量の水を保持することができる。
【0041】
したがって、本発明のこの態様による洗剤パケットは、(a)14〜40重量%の界面活性剤、3〜25重量%の塩、及び20〜75重量%の水を含む洗剤配合物と、(b)洗剤配合物を封入するパッケージであって、上記のような水溶性フィルムを含む、パッケージと、を含む。
【0042】
好ましくは、洗剤配合物は、少なくとも17重量%、好ましくは少なくとも20重量%、好ましくは少なくとも23重量%、好ましくは少なくとも26重量%、好ましくは38重量%以下、好ましくは35重量%以下、好ましくは32重量%以下の界面活性剤を含む。好ましくは、洗剤配合物は、少なくとも43重量%、好ましくは少なくとも46重量%、好ましくは少なくとも49重量%、好ましくは少なくとも52重量%、好ましくは少なくとも55重量%、好ましくは72重量%以下、好ましくは69重量%以下、好ましくは66重量%以下の水を含む。好ましくは、洗剤配合物は、少なくとも4重量%、好ましくは少なくとも5重量%、好ましくは少なくとも7重量%、好ましくは少なくとも9重量%、好ましくは少なくとも10重量%、好ましくは20重量%以下、好ましくは17重量%以下、好ましくは15重量%以下、好ましくは13重量%以下の塩を含む。塩の量は、洗剤中に存在するアニオン性またはカチオン性界面活性剤を含まない。好ましくは、塩は、10個以下の炭素原子、好ましくは6個以下の炭素原子、好ましくは3個以下の炭素原子を有する。好ましくは、塩は、塩化物、クエン酸塩、リン酸塩、硫酸塩、炭酸塩、メタケイ酸塩及びアルミノケイ酸塩からなる群から選択される。好ましくは、塩のカチオンは、アルカリ金属イオンまたはアンモニウムイオンである。好ましくは、洗剤は、塩化ナトリウム、塩化アンモニウム、及び硫酸アンモニウムからなる群から選択される塩、好ましくは塩化ナトリウムまたは塩化アンモニウムを含む。いくつかの実施形態では、0.5重量%〜2重量%の二価無機塩、例えば、硫酸マグネシウムが、例えば、前述の塩との混合物として含まれ得る。
【0043】
界面活性剤は、カチオン性、アニオン性、非イオン性、脂肪酸金属塩、双性イオン性またはベタイン性界面活性剤であってもよい。好ましくは、洗剤配合物は、少なくとも1つのアニオン性界面活性剤、好ましくは少なくとも2つのアニオン性界面活性剤を含む。好ましくは、非イオン性界面活性剤は、少なくとも8個の炭素原子を有するアルキル基及び少なくとも5個の重合エチレンオキシドまたはプロピレンオキシド残基を有する。好ましくは、非イオン性界面活性剤は、少なくとも5個の重合エチレンオキシド残基、好ましくは少なくとも6個、好ましくは少なくとも7、好ましくは12個以下、好ましくは11個以下、好ましくは10個以下の重合エチレンオキシド残基を含む。好ましくは、洗剤配合物は、少なくとも5重量%の直鎖アルコールエトキシレート、好ましくは少なくとも6重量%、好ましくは少なくとも8重量%、好ましくは15重量%以下、好ましくは13重量%以下、好ましくは11重量%以下の直鎖アルコールエトキシレートを含む。好ましくは、直鎖アルコールエトキシレートは、C
8−C
18アルキル基、好ましくはC
10−C
16、好ましくはC
12−C
15のアルキル基を有する。好ましくは、直鎖アルコールエトキシレートは、エチレンオキシドの6〜12個の重合単位、好ましくは7〜10個の重合単位を含有する。好ましくは、アニオン性界面活性剤は、少なくとも10個の炭素原子を有するアルキル基及びアニオン性基を有する。アニオン性界面活性剤はまた、エチレンオキシドの重合残基を有してもよく、かつ/または芳香族環を有してもよい。
【0044】
好ましくは、洗剤配合物のpHは、4.5〜11、より好ましくは7〜10である。配合物のpHを調整するのに適した塩基としては、水酸化ナトリウム及び水酸化カリウムのような鉱物性塩基、水酸化アンモニウム、モノ−、ジ−、もしくはトリ−エタノールアミンのような有機塩基、または2−ジメチルアミノ−2−メチル−1−プロパノール(DMAMP)である。塩基の混合物を使用してもよい。
【0045】
上記のように、洗剤パケットの水溶性フィルムは、高イオン強度洗剤(上記の量の塩を含有する)の存在下で安定である。使用時には、例えば洗濯機の洗浄サイクル中に遭遇する可能性がある低イオン強度水(例えば、3重量%未満の塩を含有する)にパケットを曝すことによって、パケットの洗剤内容物を放出することができる。そのような曝露後、水溶性フィルムは容易に崩壊し、洗剤配合物を周囲に放出する。
【0046】
本発明のいくつかの実施形態を、以下の実施例で詳細に説明する。
【実施例】
【0047】
概要
以下の実施例で使用される材料には、表1に列記されたものが含まれる。
【0048】
【表1】
【0049】
ポリマー合成
以下の実施例のポリマー1−4は、構成モノマーを乳化重合して、40−44%の固形分を有するラテックス組成物を得ることによって調製することができる。表2のモノマー略語は、ポリマー組成物を示す際に使用される。
【0050】
【表2】
【0051】
ポリマー1の合成。375gの脱イオン水、18gのRHODAFAC(登録商標)RS−610(23%)(Solvayからの陰イオン性界面活性剤)、164gのBA、409gのMMA、122gのHEMA、122gのHEMA、MAA、及び8.2gのn−DDMを含むモノマーエマルジョン混合物を作製する。572mlの脱イオン水及び10.9gのRS−610を含む反応容器を85℃(窒素下)に加熱した後、5gの水のすすぎ液とともに上記単量体混合物の6.7%を加え、次いで15gの水中の1gの過硫酸アンモニウム(APS)を添加する。この配合物を85℃で5分間保持する。次に、残りのモノマー混合物を0.6gのAPS(過硫酸アンモニウム、開始剤)と42gの水との同時供給と共に60分間かけて添加する。全ての同時供給が完了した後、50gのすすぎ液を加え、容器を85℃で15分間保持し、次いで80℃に冷却し、続いて1回以上の追跡を行う(開始剤の添加、続いて80℃での保持期間)。生成物を冷却し、ろ過して約40%固形分のポリマーエマルジョンを得る。重合後、上記の塩感受性乳化重合体を固形分20%に希釈する。次いで、以下の手順に従ってエマルションポリマーを中和することにより、室温で水可溶化ポリマー組成物を調製する。エマルジョン組成物を撹拌し、15%固形分の中和剤、有機または無機塩基の水溶液を、所望の中和度が達成されるまで添加する。文脈上別途指示がない限り、以下の実施例の組成物は、少なくともそれらが半透明になる時点まで中和される。ポリマー2〜4は、モノマーの適切な置換を伴って同様の方法で調製される。ポリマー1〜4は、表3に示す組成及び特性を有する。モノマー量は、重量%である。ポリマー1〜3は、ソフトポリマーであり、ポリマー4は、ハードポリマーである。
【0052】
【表3】
【0053】
試験方法
水性フィルムキャスティング。15〜25gの組成物を、ステンレススチールドローダウンバーを使用してPET基材上にキャストして、76μmの目標厚さを有する乾燥フィルムを得る。プレートを直ちに強制空気オーブンに移し、65〜80℃で10〜15分間乾燥させる。乾燥したフィルムを支持するガラス板を、フィルム乾燥後、室温で数時間平衡させる。
【0054】
冷水溶解度試験。幅0.5インチ及び長さ1.5インチの薄いフィルムストリップを20mlの水道水中に入れた。フィルムを約2分間静置した後、手で60秒間振盪した。次いで、溶解/分散したフィルム混合物を、25μmのメッシュスクリーンを用いてろ過した。次いで、0.025mmのメッシュスクリーン上の残留物に基づく以下の評価尺度を使用して、全体の冷水溶解性を特徴付けた。
5=透明な溶液、残留物なし
4=濁った溶液または分散液、残留物なし
3=細粒
2=大量の粗粒/残留物
1=フィルム断片
0=無傷/破損しなかった
【0055】
実施例1〜9:改善された機械的及び高水分洗剤耐性を有する水溶性フィルムの調製
表4は、ポリマー1〜4を用いて調製され、フィルムの機械的特性を改善するための様々な可塑剤及び添加剤を含むように配合された、本発明の水溶性フィルムである実施例1〜11の配合物の詳細を列記する。表5は、洗剤と共に使用される場合を含めて、フィルムの特性を列記する。
【0056】
表5は、試験したフィルムの全てが良好な冷水溶解性を示したことを示す。すべてのフィルムは、10%の塩及び53%の水の存在下でpH4.5での洗剤耐性も示した。しかしながら、フィルムは、低pH配合物への暴露後に溶解性または再分散性を失うことが観察された。実施例7、8、及び9は、より高いpH7.6での洗剤耐性を示し、洗剤に暴露した後に再分散可能であった。したがって、実施例7、8、及び9は、良好な冷水溶解性及び高水分及び塩の洗剤耐性の好ましい組み合わせを提供することが見出された。
【0057】
【表4】
【0058】
【表5】