(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
上記複数のエレメント部又は上記複数のヒューズエレエレメントは、一つのエレメン卜部又はヒューズエレメン卜の一部又は全部の断面積を他のエレメント部又はヒューズエレメン卜の断面積よりも小さくされている請求項1又は2に記載のヒューズ素子。
上記絶縁部は、最初に溶断する上記エレメント部と該最初に溶断する上記エレメント部に並列する上記エレメント部との間、又は最初に溶断する上記ヒューズエレメントと該最初に溶断する上記ヒューズエレメントに並列する上記ヒューズエレメントとの間に設けられている請求項1〜3のいずれか1項に記載のヒューズ素子。
上記絶縁部は、上記複数のエレメント部の間、又は上記複数のヒューズエレメントの間に塗布された絶縁性の材料が硬化することにより形成される請求項1〜12のいずれか1項に記載のヒューズ素子。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明が適用されたヒューズ素子及びヒューズエレメントについて、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更が可能であることは勿論である。また、図面は模式的なものであり、各寸法の比率等は現実のものとは異なることがある。具体的な寸法等は以下の説明を参酌して判断すべきものである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。
【0016】
[第1の形態]
本発明に係るヒューズ素子1は、
図1(A)(B)に示すように、絶縁基板2と、絶縁基板2に設けられた第1及び第2の電極3,4と、第1及び第2の電極3,4間にわたって実装され、定格を超える電流が通電することによって自己発熱により溶断し、第1の電極3と第2の電極4との間の電流経路を遮断するヒューズエレメント5と、ヒューズエレメント5が設けられた絶縁基板2の表面2a上を覆うカバー部材6とを有する。
【0017】
また、ヒューズエレメント5には複数のエレメント部7が並列し、複数のエレメント部7の間には、並列するエレメント部7同士の接続を防止する絶縁部8が設けられている。このヒューズ素子1は、回路基板に実装されることにより、ヒューズエレメント5が当該回路基板上に形成された回路に直列に組み込まれる。
【0018】
ヒューズ素子1は、小型且つ高定格のヒューズ素子を実現するものであり、例えば、絶縁基板2の寸法として3〜4mm×5〜6mm程度と小型でありながら、抵抗値が0.5〜1mΩ、50〜60A定格と高定格化が図られている。なお、本発明は、あらゆるサイズ、抵抗値及び電流定格を備えるヒューズ素子に適用することができるのはもちろんである。
【0019】
絶縁基板2は、たとえば、アルミナ、ガラスセラミックス、ムライト、ジルコニアなどの絶縁性を有する部材によって方形状に形成される。その他、絶縁基板2は、ガラスエポキシ基板、フェノール基板等のプリント配線基板に用いられる材料を用いてもよい。
【0020】
絶縁基板の相対向する両端部には、第1、第2の電極3,4が形成されている。第1、第2の電極3,4は、それぞれ、CuやAg配線等の導電パターンによって形成され、Cu等酸化されやすい配線材料の場合には表面に適宜、酸化防止対策としてSnメッキ等の保護層が設けられている。
【0021】
[カバー部材]
また、ヒューズ素子1は、絶縁基板2の表面2a上に、内部を保護するとともに溶融したヒューズエレメント5の飛散を防止するカバー部材6が取り付けられている。カバー部材6は、絶縁基板2の表面2a上に搭載される側壁6aと、ヒューズ素子1の上面を構成する天面6bとを有する。ヒューズ素子1は、カバー部材6の側壁6aが絶縁基板2の表面2a上に接続されると、絶縁基板2の表面2aと天面6bとの間からヒューズエレメント5の両端に設けられた端子部10を導出する間隙が設けられる。このカバー部材6は、例えば、熱可塑性プラスチック,セラミックス,ガラスエポキシ基板等の絶縁性を有する部材を用いて形成することができる。
【0022】
[ヒューズエレメント]
第1及び第2の電極3,4間にわたって実装されているヒューズエレメント5は、定格を超える電流が通電することによって自己発熱(ジュール熱)により溶断し、第1の電極3と第2の電極4との間の電流経路を遮断するものである。ヒューズエレメント5は、ハンダ等の接続材料を介して第1及び第2の電極3,4間に搭載された後、リフローはんだ付け等により絶縁基板2上に接続される。
【0023】
ヒューズエレメント5は、絶縁基板2に形成された第1、第2の電極3,4間にわたって搭載される複数のエレメント部7と、ヒューズ素子1が実装される回路基板の接続端子に接続される端子部10とを有する。
【0024】
以下では、3つのエレメント部7A〜7Cが並列されたヒューズエレメント5を用いた場合を例に説明する。
図2(A)に示すように、各エレメント部7A〜7Cは、絶縁基板2に形成された第1、第2の電極3,4間にわたって搭載されることにより、ヒューズエレメント5の複数の通電経路を構成する。そして、複数のエレメント部7A〜7Cは、
図2(B)に示すように、定格を超える電流が通電することによって自己発熱(ジュール熱)により溶断する。ヒューズエレメント5は、すべてのエレメント部7A〜7Cが溶断することにより、第1、第2の電極3,4間にわたる電流経路を遮断する(
図2(C))。
【0025】
また、ヒューズエレメント5は、定格を超える電流が通電し、溶断する際に、アーク放電が発生した場合にも、溶融したヒューズエレメントが広範囲にわたって飛散し、飛散した金属によって新たに電流経路が形成され、あるいは飛散した金属が端子や周囲の電子部品等に付着することを防止することができる。
【0026】
すなわち、
図3(A)に示すように、絶縁基板40上の電極端子41,42間にわたって広範囲に搭載されたヒューズエレメント43においては、定格を超えた電圧が印加され大電流が流れると、全体的に発熱する。そして、
図3(B)に示すように、ヒューズエレメント43は、全体が溶融し、凝集状態となった後、
図3(C)に示すように、大規模なアーク放電が発生しながら溶断する。このため、ヒューズエレメント43の溶融物が爆発的に飛散する。このため、飛散した金属によって新たに電流経路が形成され絶縁性を損ない、あるいは、絶縁基板40に形成された電極端子41,42を溶融させて共に飛散することにより、周囲の電子部品等に付着する恐れがある。さらに、ヒューズエレメント43は、全体的に凝集した後にこれを溶融、遮断させることから溶断に要する熱エネルギーも多くなり、速溶断性に劣る。
【0027】
アーク放電を速やかに止めて回路を遮断する対策として、中空ケース内に消弧材を詰めたものや、放熱材の周りにヒューズエレメントを螺旋状に巻きつけてタイムラグを発生させる高電圧対応の電流ヒューズも提案されている。しかし、従来の高電圧対応の電流ヒューズにおいては、消弧材の封入や螺旋ヒューズの製造といった、何れも複雑な材料や加工プロセスが必要とされ、ヒューズ素子の小型化や電流の高定格化といった面で不利である。
【0028】
この点、ヒューズエレメント5は、第1、第2の電極3,4間にわたって搭載される複数のエレメント部7A〜7Cを並列させているため、定格を超える電流が通電されると、抵抗値の低いエレメント部7に多くの電流が流れていき、自己発熱により順次溶断していき、最後に残ったエレメント部7が溶断する際にのみアーク放電が発生する。したがって、ヒューズエレメント5によれば、最後に残ったエレメント部7の溶断時にアーク放電が発生した場合にも、エレメント部7の体積に応じて小規模なものとなり、溶融金属の爆発的な飛散を防止することができ、また溶断後における絶縁性も大幅に向上させることができる。また、ヒューズエレメント5は、複数のエレメント部7A〜7C毎に溶断されることから、各エレメント部7の溶断に要する熱エネルギーは少なくて済み、短時間で遮断することができる。
【0029】
[絶縁部]
また、
図1、
図4に示すように、ヒューズ素子1は、複数のエレメント部7の間に、並列するエレメント部7同士の接続を防止する絶縁部8が設けられている。絶縁部8を設けることにより、ヒューズエレメント5は、エレメント部7が順次溶断していく際に、自身の発熱により溶融、膨張して隣接するエレメント部7に接触し凝集することを防止する。これにより、ヒューズエレメント5は、隣接するエレメント部7同士が溶融、凝集することで大型化し、溶断に必要な電力が増加することによる溶断時間の増加や、溶断時に生じるアーク放電の大規模化による溶融金属の爆発的飛散、溶断後における絶縁性の低下を防止することができる。
【0030】
絶縁部8は、例えば絶縁基板2の表面2aに、ソルダーレジストやガラス等の絶縁材料を印刷すること等により立設されている。また、絶縁部8は、絶縁性を有することから、溶融エレメントに対する濡れ性を有しないため、必ずしも隣接するエレメント部7同士を完全に隔絶する必要はない。すなわち、カバー部材6の天面6bとの間に隙間を有していても濡れ性による引き込み作用は働かず、溶融エレメントが当該隙間から並列するエレメント部側へ流入することはない。また、エレメント部7は、自身の発熱により溶融すると、第1、第2の電極3,4間の領域において断面ドーム状に膨れる。そのため、絶縁部8は、絶縁基板2の表面2aからカバー部材6の天面6bまでに至る高さの半分以上の高さがあれば、溶融エレメントが並列するエレメント部7と接触することを防止できる。もちろん、絶縁部8は、絶縁基板2の表面2aからカバー部材6の天面6bまでに至る高さで形成し、エレメント部7同士を隔絶してもよい。
【0031】
また、
図5に示すように、絶縁部8は、カバー部材6の天面6bに形成してもよい。絶縁部8は、カバー部材6の天面6bに一体形成してもよく、又は天面6bにソルダーレジストやガラス等の絶縁材料を印刷すること等により立設してもよい。この場合も、絶縁部8は、カバー部材6の天面6bから絶縁基板2の表面2aまでに至る高さの半分以上の高さがあれば、溶融エレメントが並列するエレメント部7と接触することを防止できる。
【0032】
また、
図6に示すように、絶縁部8は、絶縁基板2やカバー部材6に設ける他、並列する複数のエレメント部7の間に絶縁部8を構成する液状あるいはペースト状の絶縁材料を塗布し、硬化させることにより形成してもよい。絶縁部8を構成する絶縁性の材料としては、エポキシ樹脂等の熱硬化性の絶縁性接着剤やソルダーレジスト、ガラスペーストを用いることができる。この場合、絶縁部8を構成する絶縁材料は、ヒューズエレメント5が絶縁基板2に接続された後に塗布、硬化させてもよく、ヒューズエレメント5を絶縁基板2に接続する前に塗布、硬化させてもよい。
【0033】
液状あるいはペースト状の絶縁材料は、並列する複数のエレメント部7の間に毛管作用によって充填され、硬化することによりエレメント部7が発熱により溶融した場合に、並列するエレメント部7同士の接続を防止することができる。このため、絶縁部8を構成する絶縁材料は、硬化することによりエレメント部7の発熱温度に対する耐熱性を備えることが求められる。
【0034】
[溶断順序の制御]
ヒューズ素子1は、ヒューズエレメント5の各エレメント部7の間に絶縁部8を設けることが好ましい。また、ヒューズ素子1は、複数のエレメント部7を順次溶断させるとともに、少なくとも最初に溶断するエレメント部7とこの最初に溶断するエレメント部7に隣接するエレメント部7との間に絶縁部8を設けることが好ましい。
【0035】
例えば、ヒューズエレメント5は、複数のエレメント部7のうち、一つのエレメント部7の一部又は全部の断面積を他のエレメント部の断面積よりも小さくすることにより、相対的に高抵抗化することにより、定格を超える電流が通電されると、先ず比較的低抵抗のエレメント部7から多くの電流が通電し溶断していく。このエレメント部7の溶断は自己発熱によるアーク放電を伴うものではないため、溶融金属の爆発的な飛散もない。その後、残った当該高抵抗化されたエレメント部7に電流が集中し、最後にアーク放電を伴って溶断する。これにより、ヒューズエレメント5は、エレメント部7を順次溶断させることができる。ヒューズエレメント5は、断面積の小さいエレメント部7の溶断時にアーク放電が発生するが、エレメント部7の体積に応じて小規模なものとなり、溶融金属の爆発的な飛散を防止することができる。
【0036】
このとき、ヒューズ素子1は、最初に溶断する比較的低抵抗のエレメント部7と、このエレメント部7に隣接するエレメント部との間に絶縁部8を設けることにより、自身の発熱により膨張して隣接するエレメント部7に接触し凝集することを防止することができる。これにより、ヒューズ素子1は、エレメント部7を所定の溶断順序で溶断させるとともに、隣接するエレメント部7同士が一体化することによる溶断時間の増加やアーク放電の大規模化による絶縁性の低下を防止することができる。
【0037】
具体的に、
図1に示す3つのエレメント部7A、7B、7Cからなるヒューズエレメント5が搭載されたヒューズ素子1において、相対的に真ん中のエレメント部7Bの断面積を小さくし高抵抗化することにより、外側のエレメント部7A、7Cから優先的に多くの電流を流し、溶断させた後、最後に真ん中のエレメント部7Bを溶断する。このとき、ヒューズ素子1は、エレメント部7A、7Bとの間、及びエレメント部7B、7Cにそれぞれ絶縁部8を設けることにより、エレメント部7A、7Cが自己発熱により溶融した際にも、隣接するエレメント部7Bと接触することなく短時間で溶断するとともに、最後にエレメント部7Bを溶断させることができる。また、断面積の小さいエレメント部7Bは、隣接するエレメント部7A、7Cとの接触もなく、溶断時におけるアーク放電も小規模なものに止まる。
【0038】
なお、ヒューズエレメント5は、3つ以上のエレメント部を設けた場合、外側のエレメント部を最初に溶断させ、内側のエレメント部を最後に溶断させることが好ましい。例えば、
図2に示すように、ヒューズエレメント5は、3つのエレメント部7A、7B、7Cを設けるとともに、真ん中のエレメント部7Bを最後に溶断させることが好ましい。
【0039】
上述したように、ヒューズエレメント5に定格を超える電流が通電されると、先ず外側に設けられた2つのエレメント部7A、7Cに多くの電流が流れて自己発熱により溶断する。これらエレメント部7A、7Cの溶断は自己発熱によるアーク放電を伴うものではないため、溶融金属の爆発的な飛散もない。また、上述したように、エレメント部7A、7Cは、絶縁部8により隣接するエレメント部7Bとの接触もなく、最初に溶断される。
【0040】
次いで、内側に設けられたエレメント部7Bに電流が集中し、アーク放電を伴いながら溶断する。このとき、ヒューズエレメント5は、内側に設けられたエレメント部7Bを最後に溶断させることにより、アーク放電が発生しても、エレメント部7Bの溶融金属を、先に溶断している外側のエレメント部7A,7Cやエレメント部7A,7Cとの間に設けられた絶縁部8によって捕捉することができる。したがって、エレメント部7Bの溶融金属の飛散を抑制し、溶融金属によるショート等を防止することができる。
【0041】
このときも、ヒューズエレメント5は、3つのエレメント部7A〜7Cのうち、内側に位置する真ん中のエレメント部7Bの一部又は全部の断面積を外側に位置する他のエレメント部7A,7Cの断面積よりも小さくすることにより、相対的に高抵抗化し、これにより真ん中のエレメント部7Bを最後に溶断させてもよい。この場合も、断面積を相対的に小さくすることにより最後に溶断させているため、アーク放電もエレメント部7Bの体積に応じて小規模なものとなり、溶融金属の爆発的な飛散をより抑制することができる。
【0042】
[絶縁部の設置位置]
また、ヒューズ素子1は、絶縁部8をエレメント部7の溶断部位に応じて設ければよい。
図2に示すように、ヒューズエレメント5は、各エレメント部7が絶縁基板2に設けられた第1、第2の電極3,4上に接続されることにより、第1、第2の電極3,4間を導通させている。各エレメント部7は、第1、第2の電極3,4に接続されている両端部では電流が集中せず、第1の電極3と第2の電極4との中間部において電流が集中し、高温に発熱することにより溶融する。
【0043】
したがって、ヒューズ素子1は、各エレメント部7の第1の電極3と第2の電極4とに接続された両端部間の中間部に隣接して設けることで、溶融エレメントが隣接するエレメント部7に接触することを防止することができる。
【0044】
[端子部]
端子部10は、ヒューズエレメント5が搭載されたヒューズ素子1が回路基板に実装されると、当該回路基板に形成された接続端子に接続されるものであり、
図1に示すように、エレメント部7の長手方向の両側に形成されている。そして、端子部10は、ヒューズ素子1がフェースダウンで回路基板に実装されることにより、回路基板上に形成された接続端子とハンダ等を介して接続される。
【0045】
ヒューズ素子1は、ヒューズエレメント5に形成した端子部10を介して回路基板と導通接続されることにより、素子全体の抵抗値を下げて、小型化且つ高定格化を図ることができる。すなわち、ヒューズ素子1は、絶縁基板2の裏面に回路基板との接続用電極を設けるとともに、導電ペーストが充填されたスルーホール等を介して第1、第2の電極3,4と接続する場合、スルーホールやキャスタレーションの孔径や孔数の制限や、導電ペーストの抵抗率や膜厚の制限により、ヒューズエレメントの抵抗値以下の実現が難しく、高定格化が困難となる。
【0046】
そこで、ヒューズ素子1は、ヒューズエレメント5に端子部10を形成するとともに、カバー部材6を介して素子外部へ突出させる。そして、ヒューズ素子1は、
図10(e)に示すように、回路基板上にフェースダウン実装することにより、端子部10を直接、回路基板の接続端子に接続する。これにより、ヒューズ素子1は、導電スルーホールを介在させることによる高抵抗化を防止でき、ヒューズエレメント5によって素子の定格が決まり、小型化を図るとともに高定格化を実現できる。
【0047】
また、ヒューズ素子1は、ヒューズエレメント5に端子部10を形成することにより、絶縁基板2の裏面に回路基板との接続用電極を形成する必要がなく、表面2aのみに第1、第2の電極3,4を形成すれば足り、製造工数の削減を図ることができる。
【0048】
[ヒューズエレメントの製法]
複数のエレメント部7が形成されたヒューズエレメント5は、例えば
図7(A)に示すように、板状の材料の中央部2か所を矩形状に打ち抜くことにより製造することができる。ヒューズエレメント5は、並列する3つのエレメント部7A〜7Cの両側が一体に支持されている。なお、
図7(B)に示すように、ヒューズエレメント5は、並列する3つのエレメント部7A〜7Cの片側が一体に支持されたものでもよい。
【0049】
また、端子部10が設けられたヒューズエレメント5は、例えば、板状に形成された材料を打ち抜いて複数のエレメント部7を形成するとともに、両側縁部を折り曲げることにより製造することができる。また、端子部10が設けられたヒューズエレメント5は、端子部10を構成する金属板と複数のエレメント部7とを接続してもよい。あるいは、端子部10を構成する金属板を第1及び第2の電極3,4上に接続することにより製造してもよい。
【0050】
なお、ヒューズ素子1は、端子部10と複数のエレメント部7とを有するヒューズエレメント5を用いる場合には、絶縁基板2に第1、第2の電極3,4を設けなくともよい。この場合、絶縁基板2は、ヒューズエレメント5の熱を放熱するために用いられ、熱伝導性の良いセラミック基板が好適に用いられる。また、ヒューズエレメント5を絶縁基板2に接続する接着剤としては、導電性は無くともよく、熱伝導性に優れるものが好ましい。
【0051】
[複数エレメント]
また、ヒューズ素子1は、ヒューズエレメントとして、エレメント部7に相当する複数枚のエレメント11を第1及び第2の電極3,4間にわたって並列に接続することにより製造してもよい。
図8に示すように、エレメント11は、例えばエレメント11A,11B,11Cの3枚が並列される。各エレメント11A〜11Cは、矩形板状に形成されるとともに、両端に端子部10が折り曲げ形成されている。エレメント11は、内側に設けられている真ん中のエレメント11Bの断面積を外側に設けられている他のエレメント11A,11Cの断面積よりも小さくすることにより、相対的に高抵抗化し、最後に溶断せるようにしてもよい。
【0052】
なお、ヒューズエレメント5は、端子部10を設けずに、第1、第2の電極3,4を介して回路基板の接続端子と接続されてもよい。この場合、ヒューズ素子1は、第1、第2の電極3,4が、スルーホールを介して絶縁基板2の裏面に設けられた外部接続端子と接続され、あるいは第1、第2の電極3,4上に金属ポスト等からなる外部接続端子が接続され、この外部接続端子と回路基板の接続端子とが接続される。
【0053】
[ヒューズ素子の製造工程]
ヒューズエレメント5が用いられるヒューズ素子1は、以下の工程により製造される。ヒューズエレメント5が搭載される絶縁基板2は、
図9(A)に示すように、表面2aに第1、第2の電極3,4が形成されるとともに、ヒューズエレメント5のエレメント部7間の位置に応じて絶縁部8が設けられている。第1、第2の電極3,4は、ヒューズエレメント5がハンダ付け等により接続される(
図9(B))。これにより、ヒューズエレメント5は、ヒューズ素子1が回路基板に実装されることにより、回路基板に形成された回路上に直列に組み込まれる。また、絶縁基板2の表面2aに絶縁部8が立設されている場合には、ヒューズエレメント5は、並列する複数のエレメント部7の間に絶縁部8が位置される。
【0054】
ヒューズエレメント5は、第1、第2の電極3,4間にハンダ等の接続材料を介して搭載され、ヒューズ素子1が回路基板にリフロー実装される際にハンダ接続される。また、
図9(C)に示すように、ヒューズエレメント5上にはフラックス17が設けられる。フラックス17が設けられることにより、ヒューズエレメント5の酸化防止、濡れ性の向上を図り、速やかに溶断させることができる。また、フラックス5を設けることにより、アーク放電による溶融金属の絶縁基板2への付着を抑制し、溶断後における絶縁性を向上させることができる。
【0055】
次いで、
図9(D)に示すように、絶縁基板2の表面2a上を保護するとともに、アーク放電によるヒューズエレメント5の溶融飛散物を低減させるカバー部材6が搭載されることによりヒューズ素子1が完成する。カバー部材6は、長手方向の両端に幅方向に亘る一対の側壁6aが形成され、この側壁6aが表面2a上に設置されるとともに、開放された側面からヒューズエレメント5の端子部10が上方に突出されている。なお、絶縁部8が絶縁基板2の表面2aではなく、カバー部材6の天面6bに形成されている場合には、カバー部材6が搭載されることにより、ヒューズエレメント5は、並列する複数のエレメント部7の間に絶縁部8が位置される。
【0056】
このヒューズ素子1は、
図9(E)に示すように、カバー部材6が設けられた表面2a側を回路基板に向けるフェースダウン実装によって接続される。これにより、ヒューズ素子1は、ヒューズエレメント5の各エレメント部7がカバー部材6及び端子部10によって覆われるため、アーク放電の発生によっても溶融金属が端子部10やカバー部材6によって捕捉され、周囲への飛散を防止できる。
【0057】
[張出し部]
また、ヒューズ素子1は、
図10(A)(B)に示すように、第1、第2の電極3,4の1つのエレメント部7が接続される部位が張り出す張出し部3a,4aを形成し、張出し部3a,4a間における電極間距離が、他のエレメント部7が接続される部位の電極間距離よりも短くしてもよい。
【0058】
張出し部3a,4a上にもエレメント部7を搭載することにより、当該エレメント部7は、第1、第2の電極3,4及び張出し部3a,4aとの接触面積が増える。このため、当該エレメント部7は、電流が流れて自己発熱した場合にも、第1、第2の電極3,4及びその張出し部3a,4aを介して放熱されることから、張出し部3a,4aが設けられていない部位に搭載された他のエレメント部7に比して冷めやすくなり、他のエレメント部7よりも遅れて溶断する。これにより、ヒューズ素子1は、ヒューズエレメント5のエレメント部7を順次溶断させることができる。
【0059】
また、張出し部3a,4aを設けることにより、電極間距離が他のエレメント部に比して短くなる。エレメント部7は、電極間距離が長くなるほど溶断しやすくなることから、張出し部3a,4a上に搭載されたエレメント部7は、他のエレメント部7よりも溶断されにくく、他のエレメント部7に遅れて溶断する。これによっても、ヒューズ素子1は、ヒューズエレメント5のエレメント部7を順次溶断させることができる。
【0060】
また、ヒューズ素子1は、3つ以上のエレメント部が設けられたヒューズエレメント5を用い、第1、第2の電極3,4のうち、内側のエレメント部7が搭載される部位に張出し部3a,4aを設け、内側のエレメント部7を最後に溶断させることが好ましい。例えば、
図10に示すように、3つのエレメント部7A、7B、7Cを設けたヒューズエレメント5を用いるとともに、真ん中のエレメント部7Bが搭載される部位に張出し部3a,4aを設け、真ん中のエレメント部7Bを冷めやすくするとともに電極間距離も短くすることにより、最後に溶断させることが好ましい。
【0061】
上述したようにヒューズエレメント5は、最後のエレメント部7が溶断する際に、アーク放電を伴うことから、真ん中のエレメント部7Bを最後に溶断させることにより、アーク放電が発生しても、エレメント部7Bの溶融金属を、先に溶断している外側のエレメント部7A,7Cによって捕捉することができる。したがって、エレメント部7Bの溶融金属の飛散を抑制し、溶融金属によるショート等を防止することができる。
【0062】
なお、このとき、ヒューズエレメント5は、3つのエレメント部7A〜7Cのうち、内側に位置する真ん中のエレメント部7Bの一部又は全部の断面積を外側に位置する他のエレメント部7A,7Cの断面積よりも小さくすることにより、相対的に高抵抗化し、これにより真ん中のエレメント部7Bを最後に溶断させてもよい。この場合も、断面積を相対的に小さくすることにより最後に溶断させているため、アーク放電もエレメント部7Bの体積に応じて小規模なものとすることができる。
【0063】
[第2の形態]
また、本発明が適用されたヒューズ素子は、
図11(B)に示すように、ヒューズエレメント5に端子部10を一体成型するとともに、この端子部10を絶縁基板2の側面に嵌合させ、絶縁基板2の裏面側に突出させてもよい。なお、以下に説明するヒューズ素子20において、上述したヒューズ素子1と同じ部材については同じ符号を付してその詳細を省略する。
【0064】
このヒューズ素子20は、
図11(C)に示すように、ヒューズエレメント5上にフラックス17を設け、次いで、
図11(D)に示すように、絶縁基板2の表面2a上にカバー部材6を搭載することにより製造される。端子部10は、カバー部材6の開放された側面より絶縁基板2の裏面側へ突出される。なお、ヒューズ素子20において、絶縁部8が絶縁基板2の表面2aに立設され、あるいはヒューズエレメント5に塗布、硬化されることにより設けられていれば、カバー部材6は必ずしも搭載する必要はない。
【0065】
そして、ヒューズ素子20は、ハンダ等の接続材料により、絶縁基板2の裏面を回路基板へ向けて実装される。これにより、ヒューズ素子20は、端子部10が回路基板に形成された電極端子と接続され、ヒューズエレメント5が回路基板の回路と直列に接続される。
【0066】
このヒューズ素子20は、
図11(A)に示すように、絶縁基板2の側面にヒューズエレメント5の端子部10が嵌合する嵌合凹部21を形成してもよい。嵌合凹部21を形成することにより、回路基板への実装面積が広がることもなく、また、ヒューズエレメント5の嵌合位置を固定することができる。
【0067】
なお、
図11に示すヒューズ素子20は、絶縁基板2の表面2aには、第1、第2の電極3,4を形成しなくともよい。これにより、ヒューズ素子20は、絶縁基板2の表面2aに電極を形成する必要がなく、製造工数の削減を図ることができる。
【0068】
また、ヒューズ素子20において、絶縁基板2は、ヒューズエレメント5の熱を放熱するために用いられ、熱伝導性の良いセラミック基板が好適に用いられる。また、ヒューズエレメント5を絶縁基板2に接続する接着剤としては、導電性は無くともよく、熱伝導性に優れるものが好ましい。さらに、このヒューズ素子20は、絶縁基板2の裏面に、放熱用の電極を形成してもよい。
【0069】
また、ヒューズ素子20は、
図12に示すように、エレメント部7に相当する複数枚のエレメント11を第1及び第2の電極3,4間にわたって並列に接続することにより製造してもよい。ヒューズ素子20は、並列するエレメント11間に絶縁部8が設けられている。各エレメント22は、端子部10が折り曲げ形成されるとともに、これら端子部10を絶縁基板2の側面に嵌合させ、絶縁基板2の裏面側に突出させている。
【0070】
この場合も、絶縁基板2の表面2aに設けられた第1、第2の電極3,4は形成しなくともよい。また、ヒューズ素子20は、エレメント11を3枚並列させ(11A〜11C)、内側に設けられている真ん中のエレメント11Bの断面積を外側に設けられている他のエレメント11A,11Cの断面積よりも小さくすることにより、相対的に高抵抗化し、最後に溶断せるようにしてもよい。
【0071】
[第1、第2の電極の分割]
また、ヒューズ素子1,20は、第1、第2の電極3,4を、ヒューズエレメント5の複数のエレメント部7や複数枚のエレメント11の搭載位置に応じて、複数の第1の分割電極3及び複数の第2の分割電極4に分割してもよい。例えば、
図13(A)(B)に示すように、ヒューズ素子1は、第1、第2の電極3,4を、ヒューズエレメント5の3つのエレメント部7A〜7Cや3枚のエレメント11A〜11Cの搭載位置に応じて、第1の分割電極3A〜3C及び第2の分割電極4A〜4Cに分割してもよい。
【0072】
第1の電極3を第1の分割電極3A〜3Cに、第2の電極4を第2の分割電極4A〜4Cに分割する事により、ヒューズ素子1は、ヒューズエレメント5のエレメント部7A〜7C又はエレメント11A〜11Cのハンダ接続時のハンダの表面張力による実装ズレや不用意なハンダ溜まりを抑制することができる。
【0073】
また、ヒューズ素子1は、絶縁部8を第1の分割電極3A〜3Cに隣接する位置から各第2の分割電極4A〜4Cに隣接する位置にわたって形成してもよい。上述したように、ヒューズ素子1は、リフローはんだ付け等により回路基板に実装され、これにより、ヒューズエレメント5が当該回路基板上に形成された回路に直列に組み込まれる。このとき、回路基板の接続端子に設けられた接続用ハンダが溶融し、ヒューズエレメント5の端子部10を伝って絶縁基板2の表面2aに設けられた第1、第2の電極3,4上まで移動して、並列するエレメント部7間の領域に凝集することがある。このため、ヒューズ素子1は、エレメント部7における抵抗値が低下し、また、遮断時間の遅延を招く恐れがある。
【0074】
そこで、第1、第2の電極3,4をエレメント部7又はエレメント11に応じて複数に分割するとともに、ハンダに対する濡れ性を有しない絶縁部8を第1の分割電極3A〜3Cに隣接する位置から各第2の分割電極4A〜4Cに隣接する位置にわたって形成することにより、回路基板の接続端子に設けられた接続用ハンダが溶融しても、第1の分割電極3A〜3C及び第2の分割電極4A〜4Cまで移動することを抑制し、又は移動量を減少することができ、エレメント部7における抵抗値の低下や、遮断時間の遅延を防止することができる。
【0075】
[ヒューズエレメントの層構造]
次いで、ヒューズエレメント5の構成ついて説明する。なお、以下に説明するヒューズエレメント5の構成は、エレメント11にも適用することができる。上述したヒューズエレメント5は、ハンダ又はSnを主成分とするPbフリーハンダ等の低融点金属、若しくは低融点金属と高融点金属の積層体である。例えば、ヒューズエレメント5は、内層と外層とからなる積層構造体であり、内層として低融点金属層5a、低融点金属層5aに積層された外層として高融点金属層5bを有する(
図4参照)。
【0076】
低融点金属層5aは、好ましくは、Snを主成分とする金属であり、「Pbフリーハンダ」と一般的に呼ばれる材料である(たとえば千住金属工業製、M705等)。低融点金属層5aの融点は、必ずしもリフロー炉の温度よりも高い必要はなく、200℃程度で溶融してもよい。高融点金属層5bは、低融点金属層5aの表面に積層された金属層であり、例えば、Ag若しくはCu又はこれらのうちのいずれかを主成分とする金属であり、ヒューズエレメント5をリフロー炉によって絶縁基板2上に実装を行う場合においても溶融しない高い融点を有する。
【0077】
ヒューズエレメント5は、内層となる低融点金属層5aに、外層として高融点金属層5bを積層することによって、リフロー温度が低融点金属層5aの溶融温度を超えた場合であっても、ヒューズエレメント5として溶断するに至らない。したがって、ヒューズエレメント5は、リフローによって効率よく実装することができる。
【0078】
また、ヒューズエレメント5は、所定の定格電流が流れている間は、自己発熱によっても溶断することがない。そして、定格よりも高い値の電流が流れると、自己発熱によって溶融し、第1及び第2の電極3,4間の電流経路を遮断する。このとき、ヒューズエレメント5は、例えば低融点金属としてSnを40%以上含ませる合金を用いることで、溶融した低融点金属層5aが高融点金属層5bを溶食することにより、高融点金属層5bが溶融温度よりも低い温度で溶融する。したがって、ヒューズエレメント5は、低融点金属層5aによる高融点金属層5bの溶食作用を利用して短時間で溶断することができる。加えて、ヒューズエレメント5の溶融金属は、第1及び第2の電極3,4の物理的な引き込み作用により左右に分断されることから、速やかに、かつ確実に、第1及び第2の電極3,4間の電流経路を遮断することができる。
【0079】
また、ヒューズエレメント5は、内層となる低融点金属層5aに高融点金属層5bが積層されて構成されているため、溶断温度を従来の高融点金属からなるチップヒューズ等よりも大幅に低減することができる。したがって、ヒューズエレメント5は、同一サイズのチップヒューズ等に比して、断面積を大きくでき電流定格を大幅に向上させることができる。また、同じ電流定格をもつ従来のチップヒューズよりも小型化、薄型化を図ることができ、速溶断性に優れる。
【0080】
また、ヒューズエレメント5は、ヒューズ素子1が組み込まれた電気系統に異常に高い電圧が瞬間的に印加されるサージへの耐性(耐パルス性)を向上することができる。すなわち、ヒューズエレメント5は、例えば100Aの電流が数msec流れたような場合にまで溶断してはならない。この点、極短時間に流れる大電流は導体の表層を流れることから(表皮効果)、ヒューズエレメント5は、外層として抵抗値の低いAgメッキ等の高融点金属層5bが設けられているため、サージによって印加された電流を流しやすく、自己発熱による溶断を防止することができる。したがって、ヒューズエレメント5は、従来のハンダ合金からなるヒューズに比して、大幅にサージに対する耐性を向上させることができる。
【0081】
ヒューズエレメント5は、低融点金属層5aの表面に高融点金属5bを電解メッキ法等の成膜技術を用いることにより製造できる。例えば、ヒューズエレメント5は、所定の形状に成形されたハンダ箔の表面にAgメッキを施すことにより効率よく製造できる。また、ヒューズエレメント5は、ハンダ箔を電解メッキ法等により高融点金属被覆した後、エレメント部7の間の領域に応じた所定箇所を打ち抜くことで、低融点金属層5aの上下に高融点金属層5bが積層された積層構造を備える。なお、エレメント11は、それぞれ、ハンダ箔を電解メッキ法等により高融点金属被覆することにより、低融点金属層5aを内層とし、高融点金属層5bを外層とした被覆構造を備える。
【0082】
また、ヒューズエレメント5及びエレメント11は、低融点金属層5aの体積を、高融点金属層5bの体積よりも多く形成することが好ましい。ヒューズエレメント5及びエレメント11は、自己発熱によって低融点金属が溶融することにより高融点金属を溶食し、これにより速やかに溶融、溶断することができる。したがって、ヒューズエレメント5及びエレメント11は、低融点金属層5aの体積を高融点金属層5bの体積よりも多く形成することにより、この溶食作用を促進し、速やかに第1、第2の電極3,4間を遮断することができる。
【0083】
また、上述したように、ヒューズエレメント5は、外層の高融点金属層5b又は低融点金属層5aの酸化防止と、溶断時の酸化物除去及びハンダの流動性向上のために、ヒューズエレメント5上の外層のほぼ全面にフラックス17が塗布されている。フラックス17を塗布することにより、低融点金属(例えばハンダ)の濡れ性を高めるとともに、低融点金属が溶解している間の酸化物を除去し、高融点金属(例えば銀)への溶食作用を用いて速溶断性を向上させることができる。
【0084】
また、フラックス17を塗布することにより、最外層の高融点金属層5bの表面に、Snを主成分とするPbフリーハンダ等の酸化防止膜7を形成した場合にも、当該酸化防止膜7の酸化物を除去することができ、高融点金属層5bの酸化を効果的に防止し、速溶断性を維持、向上することができる。