(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6491441
(24)【登録日】2019年3月8日
(45)【発行日】2019年3月27日
(54)【発明の名称】ホールセンサ基板構造およびホールセンサ
(51)【国際特許分類】
H01L 43/06 20060101AFI20190318BHJP
H01L 43/04 20060101ALI20190318BHJP
【FI】
H01L43/06 S
H01L43/06 Z
H01L43/04
【請求項の数】28
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2014-181073(P2014-181073)
(22)【出願日】2014年9月5日
(65)【公開番号】特開2016-58421(P2016-58421A)
(43)【公開日】2016年4月21日
【審査請求日】2017年8月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】000116024
【氏名又は名称】ローム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100133514
【弁理士】
【氏名又は名称】寺山 啓進
(74)【代理人】
【識別番号】100122910
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 広之
(72)【発明者】
【氏名】湯地 洋行
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼水 大樹
【審査官】
上田 智志
(56)【参考文献】
【文献】
特開昭63−299286(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2006/0255797(US,A1)
【文献】
特開平08−064887(JP,A)
【文献】
特開平04−106988(JP,A)
【文献】
特開2000−138403(JP,A)
【文献】
特開2003−069107(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 43/04,43/06
G01R 33/07
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板上に配置された感磁層と、
前記感磁層上に配置された第1磁性薄膜と、
前記基板と前記感磁層との間に配置された第2磁性薄膜と
を備えることを特徴とするホールセンサ基板構造。
【請求項2】
前記基板は、半導体基板若しくは磁性体基板を備えることを特徴とする請求項1に記載のホールセンサ基板構造。
【請求項3】
前記基板は、GaAs基板、InAs基板、またはSi基板のいずれかを備えることを特徴とする請求項1に記載のホールセンサ基板構造。
【請求項4】
前記感磁層は、半導体層若しくは磁性体層を備えることを特徴とする請求項1に記載のホールセンサ基板構造。
【請求項5】
前記感磁層は、GaAs層、またはInAs層を備えることを特徴とする請求項1に記載のホールセンサ基板構造。
【請求項6】
前記第1磁性薄膜若しくは前記第2磁性薄膜は、磁性半導体、酸化物磁性体若しくは金属膜のいずれかを備えることを特徴とする請求項1に記載のホールセンサ基板構造。
【請求項7】
基板と、
前記基板上に配置された感磁層と、
前記感磁層上に配置された第1磁性薄膜と、
前記基板と前記感磁層との間に配置された第2磁性薄膜と
を備えるホールセンサ基板構造であって、
前記基板は、GaAs基板を備え、
前記感磁層は、GaAs層を備え、
前記第1磁性薄膜若しくは前記第2磁性薄膜は、GaMnAs層を備えることを特徴とするホールセンサ基板構造。
【請求項8】
基板と、
前記基板上に配置された感磁層と、
前記感磁層上に配置された第1磁性薄膜と、
前記基板と前記感磁層との間に配置された第2磁性薄膜と
を備えるホールセンサ基板構造であって、
前記基板は、InAs基板を備え、
前記感磁層は、InAs層を備え、
前記第1磁性薄膜若しくは前記第2磁性薄膜は、InMnAs層を備えることを特徴とするホールセンサ基板構造。
【請求項9】
前記第1磁性薄膜若しくは前記第2磁性薄膜は、フェライトを備えることを特徴とする請求項1に記載のホールセンサ基板構造。
【請求項10】
前記第1磁性薄膜若しくは前記第2磁性薄膜は、Co基合金、鉄合金、もしくは磁性体ナノ粒子層のいずれかを備えることを特徴とする請求項1に記載のホールセンサ基板構造。
【請求項11】
基板と、
前記基板上に配置された感磁層と、
前記感磁層上に配置された第1磁性薄膜と、
前記基板と前記感磁層との間に配置された第2磁性薄膜と、
前記第1磁性薄膜上に配置された絶縁層と、
前記感磁層上に配置されたパッド電極と
を備えることを特徴とするホールセンサ。
【請求項12】
前記感磁層と前記第2磁性薄膜の側面に段差構造を備え、
前記パッド電極は、前記段差構造の側面および段差底面の前記基板上に延在して配置されることを特徴とする請求項11に記載のホールセンサ。
【請求項13】
前記感磁層は平坦化構造を備え、
前記パッド電極は、前記感磁層上に延在して配置されることを特徴とする請求項11に記載のホールセンサ。
【請求項14】
前記感磁層は平坦化構造を備え、
前記パッド電極は、前記第1磁性薄膜上に延在して配置されることを特徴とする請求項11に記載のホールセンサ。
【請求項15】
前記基板は、半導体基板若しくは磁性体基板を備えることを特徴とする請求項11に記載のホールセンサ。
【請求項16】
前記基板は、GaAs基板、InAs基板、またはSi基板のいずれかを備えることを特徴とする請求項11に記載のホールセンサ。
【請求項17】
前記感磁層は、半導体層若しくは磁性体層を備えることを特徴とする請求項11に記載のホールセンサ。
【請求項18】
前記感磁層は、GaAs層、またはInAs層を備えることを特徴とする請求項11に記載のホールセンサ。
【請求項19】
前記第1磁性薄膜若しくは前記第2磁性薄膜は、磁性半導体、酸化物磁性体若しくは金属膜のいずれかを備えることを特徴とする請求項11に記載のホールセンサ。
【請求項20】
前記基板は、GaAs基板を備え、
前記感磁層は、GaAs層を備え、
前記第1磁性薄膜若しくは前記第2磁性薄膜は、GaMnAs層を備えることを特徴とする請求項11に記載のホールセンサ。
【請求項21】
前記基板は、InAs基板を備え、
前記感磁層は、InAs層を備え、
前記第1磁性薄膜若しくは前記第2磁性薄膜は、InMnAs層を備えることを特徴とする請求項11に記載のホールセンサ。
【請求項22】
前記第1磁性薄膜若しくは前記第2磁性薄膜は、フェライトを備えることを特徴とする請求項11に記載のホールセンサ。
【請求項23】
前記第1磁性薄膜若しくは前記第2磁性薄膜は、Co基合金、鉄合金、もしくは磁性体ナノ粒子層のいずれかを備えることを特徴とする請求項11に記載のホールセンサ。
【請求項24】
前記パッド電極は、クロスバー形状に接続されたことを特徴とする請求項11〜23のいずれか1項に記載のホールセンサ。
【請求項25】
前記パッド電極は、第1パッド電極、第2パッド電極、第3パッド電極および第4パッド電極を備え、
前記第4パッド電極から前記第2パッド電極方向に電流IHを導通し、前記ホールセンサ中央部に印加される磁場をBOとすると、前記第1パッド電極と前記第3パッド電極と間には、材料および幾何学的寸法によって決まる定数である積感度をKHとすると、
VH=KH×IH×BO
で表される出力ホール電圧VHが発生することを特徴とする請求項24に記載のホールセンサ。
【請求項26】
第1リードフレームおよび第3リードフレームと、
前記第3リードフレーム上に配置された基板と、
前記基板上に配置された感磁層と、
前記感磁層上に配置された第1磁性薄膜と、
前記基板と前記感磁層との間に配置された第2磁性薄膜と、
前記第1磁性薄膜上に配置された絶縁層と、
前記感磁層上に配置された第1パッド電極、第2パッド電極、第3パッド電極および第4パッド電極と、
前記第1リードフレームと前記第1パッド電極との間に接続された第1ボンディングワイヤと、
前記第3リードフレームと前記第3パッド電極との間に接続された第3ボンディングワイヤと、
素子全体をパッケージ封止する樹脂封止層と
を備えることを特徴とするホールセンサ。
【請求項27】
前記第1パッド電極、前記第2パッド電極、前記第3パッド電極および前記第4パッド電極は、クロスバー形状に接続されたことを特徴とする請求項26に記載のホールセンサ。
【請求項28】
前記第4パッド電極から前記第2パッド電極方向に電流IHを導通し、前記ホールセンサ中央部に印加される磁場をBOとすると、前記第1パッド電極と前記第3パッド電極と間には、材料および幾何学的寸法によって決まる定数である積感度をKHとすると、
VH=KH×IH×BO
で表される出力ホール電圧VHが発生することを特徴とする請求項27に記載のホールセンサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本実施の形態は、ホールセンサ基板構造およびホールセンサに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、我々の身の回りにあるビデオ、パソコン、携帯電話、デジタルカメラ、エアコン、洗濯機、自動車などには、InSbやInAs、GaAsなどの薄膜や超薄膜を用いたホール素子が磁気センサとして多数使われている。中でも電子移動度が大きいInSbの単結晶や薄膜は、ホール素子へ応用するために研究され、実際に適用されている。
【0003】
ホール素子は、小型で、半導体のホール効果を利用して磁束密度を高感度で検出し、電圧信号として出力する磁気センサである。この電圧信号は、ホール電圧と呼ばれ、検出磁界の磁束密度に比例する。磁気信号を電気信号に変換するため磁電変換素子とも呼ばれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−265996号公報
【特許文献2】特開2004−265997号公報
【特許文献3】特開2004−265998号公報
【特許文献4】特開平11−118895号公報
【特許文献5】特開平08−97486号公報
【特許文献6】特開平05−145140号公報
【特許文献7】特開2005−337866号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本実施の形態は、集磁効果により感度が向上可能でかつ小型化されたホールセンサ基板構造およびホールセンサを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本実施の形態の一態様によれば、基板と、前記基板上に配置された感磁層と、前記感磁層上に配置された第1磁性薄膜と、前記基板と前記感磁層との間に配置された第2磁性薄膜とを備えるホールセンサ基板構造が提供される。また、本実施の形態の他の態様によれば、基板と、前記基板上に配置された感磁層と、前記感磁層上に配置された第1磁性薄膜と
、前記基板と前記感磁層との間に配置された第2磁性薄膜とを備えるホールセンサ基板構造であって、前記基板は、GaAs基板を備え、前記感磁層は、GaAs層を備え、前記第1磁性薄膜若しくは前記第2磁性薄膜は、GaMnAs層を備えるホールセンサ基板構造が提供される。また、本実施の形態の他の態様によれば、基板と、前記基板上に配置された感磁層と、前記感磁層上に配置された第1磁性薄膜と
、前記基板と前記感磁層との間に配置された第2磁性薄膜とを備えるホールセンサ基板構造であって、前記基板は、InAs基板を備え、前記感磁層は、InAs層を備え、前記第1磁性薄膜若しくは前記第2磁性薄膜は、InMnAs層を備えることを特徴とするホールセンサ基板構造が提供される。
【0007】
本実施の形態の他の態様によれば、基板と、前記基板上に配置された感磁層と、前記感磁層上に配置された第1磁性薄膜と、
前記基板と前記感磁層との間に配置された第2磁性薄膜と、前記第1磁性薄膜上に配置された絶縁層と、前記感磁層上に配置さ
れたパッド電極とを備えるホールセンサが提供される。
【0008】
本実施の形態の他の態様によれば、第1リードフレームおよび第3リードフレームと、前記第3リードフレーム上に配置された基板と、前記基板上に配置された感磁層と、前記感磁層上に配置された第1磁性薄膜と、
記基板と前記感磁層との間に配置された第2磁性薄膜と、前記第1磁性薄膜上に配置された絶縁層と、前記感磁層上に配置さ
れた第1パッド電極、第2パッド電極、第3パッド電極および第4パッド電極と、前記第1リードフレームと前記第1パッド電極との間に接続された第1ボンディングワイヤと、前記第3リードフレームと前記第3パッド電極との間に接続された第3ボンディングワイヤと、素子全体をパッケージ封止する樹脂封止層とを備えるホールセンサが提供される。
【発明の効果】
【0009】
本実施の形態によれば、集磁効果により感度が向上可能でかつ小型化されたホールセンサ基板構造およびホールセンサを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施の形態に係るホールセンサ基板構造の模式的断面構造図。
【
図2】実施の形態に係るホールセンサ基板構造の別の模式的断面構造図。
【
図3】実施の形態に係るホールセンサ基板構造のさらに別の模式的断面構造図。
【
図4】実施の形態に係るホールセンサの模式的平面パターン構成図。
【
図5】実施の形態に係るホールセンサであって、
図4のI−I線に沿う模式的断面構造例1。
【
図6】実施の形態に係るホールセンサであって、
図4のI−I線に沿う模式的断面構造例2。
【
図7】実施の形態に係るホールセンサであって、
図4のI−I線に沿う模式的断面構造例3。
【
図8】パッケージ封止された実施の形態に係るホールセンサの模式的断面構造図。
【
図9】(a)一様磁場中の非磁性体による磁束の様子を示す模式図、(b)一様磁場中の磁性体による磁束の変化の様子を示す模式図。
【
図10】実施の形態に係るホールセンサに適用可能なGaAsエピタキシャル層/GaAs基板の模式的断面構造図。
【
図11】実施の形態に係るホールセンサにおけるホール効果の説明図。
【
図12】比較例に係るホールセンサの模式的断面構造図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
次に、図面を参照して、本実施の形態を説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、厚みと平面寸法との関係、各層の厚みの比率等は現実のものとは異なることに留意すべきである。したがって、具体的な厚みや寸法は以下の説明を参酌して判断すべきものである。又、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることはもちろんである。
【0012】
又、以下に示す実施の形態は、技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記のものに特定するものでない。この実施の形態は、特許請求の範囲において、種々の変更を加えることができる。
【0013】
[比較例]
比較例に係るホールセンサ1Aの模式的断面構造は、
図12に示すように表される。
【0014】
比較例に係るホールセンサ1Aは、
図12に示すように、基板10Aと、基板10A上に配置された感磁層14Aと、感磁層14A上に貼り付けにより配置された第1磁性体16
2Aと、基板10Aの第1磁性体16
2Aと対向する裏面に貼り付けにより配置された第2磁性体16
1Aとを備える。第1磁性体16
2Aおよび第2磁性体16
1Aは、感磁層14Aとは別の部材であって、外部から組み立て時の貼り付けにより接着モールド樹脂28Aなどにより固定されている。ここで、基板10Aは、GaAs基板若しくは磁性体基板などで形成され、感磁層14Aは、GaAs層もしくはInAs層などで形成される。
【0015】
比較例に係るホールセンサ1Aにおいては、感磁層14A/基板10Aを上下から相対的に厚い第1磁性体16
2A・第2磁性体16
1Aで挟み、貼り付ける工程を要し、そのためのウェハ処理工程が必要である。磁性体(フェライト)16
2A・16
1Aがモールド時に基板からはがれるなどの実装時の不良が発生しやすく、そのための特殊なモールド材を必要としている。
【0016】
[ホールセンサ基板構造]
実施の形態に係るホールセンサ基板構造の模式的断面構造は、
図1〜
図3に示すように表される。
【0017】
実施の形態に係るホールセンサ基板構造2は、
図1に示すように、基板10と、基板10上に配置された感磁層14と、感磁層14上に配置された第1磁性薄膜16とを備える。
【0018】
また、
図2に示すように、基板10と感磁層14との間に配置された第2磁性薄膜12を備えていても良い。
【0019】
また、実施の形態に係るホールセンサ基板構造2は、
図3に示すように、基板10の感磁層14と対向する裏面に配置された第2磁性薄膜12を備えていても良い。
【0020】
ここで、基板10は、GaAs基板、InAs基板、Si基板、その他の半導体基板若しくは磁性体基板を備えていても良い。
【0021】
また、感磁層14は、GaAs層、InAs層、その他の半導体層若しくは磁性体層を備えていても良い。
【0022】
また、基板10としてSi基板を適用し、感磁層14としてGaAs層、InAs層などを適用して、ヘテロエピタキシャル構造を形成しても良い。
【0023】
また、第1磁性薄膜16若しくは第2磁性薄膜12は、磁性半導体、酸化物磁性体若しくは金属膜のいずれかを備えていても良い。
【0024】
また、基板10は、GaAs基板を備え、第1磁性薄膜16若しくは第2磁性薄膜12は、GaMnAs層を備えていても良い。GaMnAs層は、GaAs基板上にエピタキシャル成長することができる。製法は、分子線エピタキシー(MBE:Molecular Beam Epitaxy)や有機金属気相堆積法(MOCVD:Metal Organic Chemical Vapor Deposition)などを適用可能である。
【0025】
また、基板10は、InAs基板を備え、第1磁性薄膜16若しくは第2磁性薄膜12は、InMnAs層を備えていても良い。InMnAs層は、InAs基板上にエピタキシャル成長することができる。製法は、MBEやMOCVDなどを適用可能である。
【0026】
また、第1磁性薄膜16若しくは第2磁性薄膜12は、一般的なフェライトと呼ばれる酸化物半導体を備えていても良い。製膜方法としては、スパッタリング技術などを適用可能である。また、第1磁性薄膜16若しくは第2磁性薄膜12は、その他の磁性化合物を薄膜で成膜しても良い。
【0027】
また、第1磁性薄膜16若しくは第2磁性薄膜12は、Co基合金、鉄合金、もしくは磁性体ナノ粒子層を備えていても良い。
【0028】
実施の形態に係るホールセンサ基板構造は、感磁層を薄膜磁性材料で挟み、若しくは感磁層の片側のみ積層させることで、集磁効果により感度や指向性を向上させることができる。また、貼り付けや、特殊モード材を不要とし、外部磁性体を不要とし、小型化することができる。
【0029】
[ホールセンサ]
実施の形態に係るホールセンサ1の模式的平面パターン構成は、
図4に示すように表される。また、実施の形態に係るホールセンサであって、
図4のI−I線に沿う模式的断面構造例1は、
図5に示すように表され、
図4のI−I線に沿う模式的断面構造例2は、
図6に示すように表され、
図4のI−I線に沿う模式的断面構造例3は、
図7に示すように表される。
【0030】
実施の形態に係るホールセンサ1は、
図4〜
図7に示すように、基板10と、基板10上に配置された感磁層14と、感磁層14上に配置された第1磁性薄膜16と、第1磁性薄膜16上に配置された絶縁層22と、感磁層14上に配置され、クロスバー形状に接続された第1パッド電極P1(24)・第3パッド電極P3(26)および第2パッド電極P2・第4パッド電極P4とを備える。
【0031】
ここで、実施の形態に係るホールセンサ1は、
図4〜
図7に示すように、基板10と感磁層14との間に配置された第2磁性薄膜12を備えていても良い。
【0032】
また、実施の形態に係るホールセンサ1は、
図3に示されたホールセンサ基板構造2と同様に、基板10の感磁層14と対向する裏面に配置された第2磁性薄膜12を備えていても良い。
【0033】
(構造例1:
図5)
構造例1では、
図5に示すように、感磁層14と第2磁性薄膜12の側面に段差構造を備え、第1パッド電極P1(24)・第3パッド電極P3(26)は、感磁層14上に配置されると共に、段差構造の側面および段差底面の基板10上に配置された絶縁層22を介して延在して配置されている。
【0034】
(構造例2:
図6)
構造例2では、
図6に示すように、感磁層14は平坦化構造を備え、第1パッド電極P1(24)・第3パッド電極P3(26)は、感磁層14上に配置されると共に、感磁層14上に配置された絶縁層22上に延在して配置されている。
【0035】
(構造例3:
図7)
構造例3では、
図7に示すように、感磁層14は平坦化構造を備え、第1パッド電極P1(24)・第3パッド電極P3(26)は、感磁層14上に配置されると共に、感磁層14上に配置された絶縁層22/第1磁性薄膜16上に延在して配置されている。
【0036】
実施の形態に係るホールセンサ1において、基板10は、GaAs基板、InAs基板、Si基板、その他の半導体基板若しくは磁性体基板を備えていても良い。
【0037】
また、実施の形態に係るホールセンサ1において、感磁層14は、GaAs層、InAs層、その他の半導体層若しくは磁性体層を備えていても良い。
【0038】
また、実施の形態に係るホールセンサ1において、第1磁性薄膜16若しくは第2磁性薄膜12は、磁性半導体、酸化物磁性体若しくは金属膜のいずれかを備えていても良い。
【0039】
また、実施の形態に係るホールセンサ1において、基板10は、GaAs基板を備え、第1磁性薄膜16若しくは第2磁性薄膜12は、GaMnAs層を備えていても良い。
【0040】
また、実施の形態に係るホールセンサ1において、基板10は、InAs基板を備え、第1磁性薄膜16若しくは第2磁性薄膜12は、InMnAs層を備えていても良い。
【0041】
また、実施の形態に係るホールセンサ1において、第1磁性薄膜16若しくは第2磁性薄膜12は、フェライトを備えていても良い。
【0042】
また、実施の形態に係るホールセンサ1において、第1磁性薄膜16若しくは第2磁性薄膜12は、Co基合金、鉄合金、もしくは磁性体ナノ粒子層を備えていても良い。
【0043】
実施の形態に係るホールセンサは、感磁層を薄膜磁性材料で挟み、若しくは感磁層の片側のみ積層させることで、集磁効果により感度や指向性を向上させることができる。また、貼り付けや、特殊モード材を不要とし、外部磁性体を不要とし、小型化することができる。
【0044】
[パッケージ封止構造]
パッケージ封止された実施の形態に係るホールセンサ1の模式的断面構造は、
図8に示すように表される。
【0045】
パッケージ封止された実施の形態に係るホールセンサ1は、
図8に示すように、第1リードフレーム34および第3リードフレーム36と、第3リードフレーム36上に配置された基板10と、基板10上に配置された感磁層14と、感磁層14上に配置された第1磁性薄膜16と、第1磁性薄膜16上に配置された絶縁層22と、感磁層14上に配置され、クロスバー形状に接続された第1パッド電極24、第2パッド電極、第3パッド電極26および第4パッド電極と、第1リードフレーム34と第1パッド電極24との間に接続された第1ボンディングワイヤ30
1と、第3リードフレーム36と第3パッド電極26との間に接続された第3ボンディングワイヤ30
3と、素子全体をパッケージ封止する樹脂封止層28とを備える。なお、
図8において、ワイヤ接続部30B・32Bはボンディングに伴うワイヤボール若しくは半田ボールを示す。
【0046】
さらに、パッケージ封止された実施の形態に係るホールセンサ1は、
図8に示すように、基板10と感磁層14との間に配置された第2磁性薄膜12を備える。
【0047】
第2パッド電極・第4パッド電極についても、図示は省略するが、第2リードフレーム・第4リードフレームに第2ボンディングワイヤ・第4ボンディングワイヤを介して接続される。
【0048】
また、パッケージ封止された実施の形態に係るホールセンサ1は、
図8に示すように、基板10の感磁層14と対向する裏面に配置された第2磁性薄膜12を備えていても良い。
【0049】
また、パッケージ封止された実施の形態に係るホールセンサ1は、
図8の構造例では、
図5に示された構造例1を備えるが、他の構造例2・3を備えていても良い。
【0050】
実施の形態に係るホールセンサ1は、
図8に示すように、フェライトなどの磁性体を外部から貼り付けることもないため、薄層化され、面実装可能であり、パッケージを小型化することができる。
【0051】
[集磁効果]
一様な磁界H中の非磁性体50による磁束52は模式的に
図9(a)に示すように表され、一様な磁界H中の磁性体56による磁束54は模式的に
図9(b)に示すように表される。
【0052】
一様な磁界H中に非磁性体50を挿入した場合には、一様な磁界Hは乱されることなく、非磁性体50の挿入前後で、磁束52は変化しない。
【0053】
一方、一様な磁界H中に磁性体56を挿入した場合には、磁束54が磁性体56に吸い寄せられるようになる。このように磁性体56の基本的性質は、外部の磁力線の束(磁束54)をより多く集めることができるという集磁効果を発揮する点にある。磁性体56の内部では、外部よりも磁力線の束(磁束54)の密度は高くなる。
【0054】
実施の形態に係るホールセンサは、感磁層を薄膜磁性材料で挟み、若しくは感磁層の片側のみ積層させることで、集磁効果により感度や指向性を向上させることができる。
【0055】
(エピタキシャル成長基板)
実施の形態に係るホールセンサ1に適用可能なGaAsエピタキシャル層11/GaAs基板10の模式的断面構造は、
図10に示すように表される。GaAsエピタキシャル成長層11は、上記の実施の形態に係るホールセンサ1における感磁層14として動作する。GaAsエピタキシャル成長層11は、例えば、1×10
16〜5×10
17cm
-3程度にドーピングされ、抵抗値コントロールを実施している。GaAsエピタキシャル成長層11の不純物密度を制御して、抵抗値を制御することによって、集磁効果による感度を制御することができる。
【0056】
[ホール効果]
実施の形態に係るホールセンサ1におけるホール効果の説明図は、
図11に示すように表される。
【0057】
実施の形態に係るホールセンサ1において、パッド電極P4からパッド電極P2方向に電流I
Hを導通し、ホールセンサ中央部に印加される磁場(磁束密度)をB
Oとすると、パッド電極P1・P3間には、積感度をK
Hとすると、次式で表される出力ホール電圧V
Hが発生する。
【0058】
V
H=K
H×I
C×B
O (1)
ここで、積感度K
Hは、材料および幾何学的寸法によって決まる定数である。
【0059】
以上説明したように、本実施の形態によれば、集磁効果により感度が向上可能でかつ小型化されたホールセンサ基板構造およびホールセンサを提供することができる。
【0060】
[その他の実施の形態]
上記のように、本実施の形態によって記載したが、この開示の一部をなす論述および図面は例示的なものであり、本実施の形態を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例および運用技術が明らかとなろう。
【0061】
このように、本実施の形態はここでは記載していない様々な実施の形態などを含む。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本実施の形態のホールセンサは、ビデオ、パソコン、携帯電話、デジタルカメラ、エアコン、洗濯機、自動車などに適用可能であり、特にブラシレスモータのロータ位置検出素子に適用可能である。
【符号の説明】
【0063】
1、1A…ホールセンサ
2…ホールセンサ基板構造
10…基板
11…エピタキシャル層
12、16…磁性薄膜
14…感磁層
22…絶縁層
24、26、P1、P2、P3、P4…パッド電極
28…樹脂封止層
30
1、30
3…ボンディングワイヤ
30B、32B…ワイヤ接続部
34、36…リードフレーム(電極端子)
50…非磁性体
52、54…磁力線
56…磁性体
H…磁界
B
O…印加される磁場(磁束密度)
I
H…電流
V
H…出力ホール電圧