(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
相対向する左右一対の梯子状枠体と、上記梯子状枠体間に架設された足場板と、同じく、上記梯子状枠体間に架設された手摺と、上記足場板の外周に起立する前後の巾木と左右の巾木とを備え、
上記梯子状枠体は、前後一対の中空な縦支柱と、上記縦支柱間に貫通して架設された複数の筒状支持桿とで構成され、
上記手摺は、任意の上記支持桿に着脱自在に嵌合する支持部を有する左右一対の縦フレームと、上記縦フレーム間に架設された横フレームとを備え、
さらに、上記足場板を上記支持桿に着脱させる足場板ロック機構と、上記縦フレームを上記支持桿に着脱させる手摺ロック機構と、上記巾木を上記縦支柱に着脱させる巾木ロック機構とを設け、
上記手摺ロック機構は、上記縦フレームに突設された保持金具と、上記保持金具に回転自在に結合されたロック用リンクとを備え、
上記ロック用リンクは、上記保持金具から上記支持桿方向に延びる水平リンクと、上記水平リンクの先端に設けられて回転させると、上記支持桿の外周に係合する引っ掛け部とを備えることを特徴とする吊り足場。
上記手摺の支持部が上記縦フレームの端部から張り出された突起であって、上記支持桿の端部開口内に上記支持部を嵌合することで、上記手摺を上記梯子状枠体に保持することを特徴とする請求項1または2に記載の吊り足場。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1の吊り足場は、高所で作業するにあたって、作業効率が優れる点で、基本的に問題はないが、実際に高所作業をするにあたって、少々改善が要望されている点がある。
【0008】
すなわち、従来の吊り足場においては、足場板の高さ周辺の作業をする場合に、位置が低すぎたり、高すぎたりして、足場板からでは作業がしにくく、他の箇所に比べて作業効率が落ちてしまう恐れがある。
【0009】
これに対して、特許文献1の吊り足場では、梯子の足掛け部となる支持桿に足場板を着脱可能に架設することで、作業位置に合わせて、足場板の架設高さ位置を任意に設定できる利点がある。
【0010】
しかしながら、特許文献1の吊り足場においては、足場板の高さ位置は変更できるものの、手摺は縦枠体に固定状態で連結されており、足場板の位置に追従して手摺の高さ位置は変更できない不具合がある。足場板の高さ位置と手摺の高さ位置の関係は、法令(労働安全衛生規則第563条(3)イ)で、足場の高さ位置から、高さ15センチメートル以上40センチメートル以下の位置に桟(手摺)を設けなければならないことが、厳密に定められており、手摺位置を変更することができない特許文献1の吊り足場では、足場板の高さ位置を変更してしまうと上記法令に違反してしまう恐れがあった。
【0011】
そこで、本発明の目的は、作業位置に対応して足場板の高さ位置を変更することはもとより、この足場板の高さ位置に追従して手摺の高さ位置を変更でき、容易に手摺と足場板の距離を一定にしたまま高さ位置を変更して、作業効率を落とさずに作業できる吊り足場を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記課題を解決するための手段は、相対向する左右一対の梯子状枠体と、上記梯子状枠体間に架設された足場板と、同じく、上記梯子状枠体間に架設された手摺と、上記足場板の外周に起立する前後の巾木と左右の巾木とを備え、上記梯子状枠体は、前後一対の中空な縦支柱と、上記縦支柱間に貫通して架設された複数の筒状支持桿とで構成され、上記手摺は、任意の上記支持桿に着脱自在に嵌合する支持部を有する左右一対の縦フレームと、上記縦フレーム間に架設された横フレームとを備え、さらに、上記足場板を上記支持桿に着脱させる足場板ロック機構と、上記縦フレームを上記支持桿に着脱させる手摺ロック機構と、上記巾木を上記縦支柱に着脱させる巾木ロック機構
とを設け、上記手摺ロック機構は、上記縦フレームに突設された保持金具と、上記保持金具に回転自在に結合されたロック用リンクとを備え、上記ロック用リンクは、上記保持金具から上記支持桿方向に延びる水平リンクと、上記水平リンクの先端に設けられて回転させると、上記支持桿の外周に係合する引っ掛け部とを備えることを特徴とする。
この場合、上記縦支柱を縦方向に沿って一つ又は複数の支柱ロック機構を介して着脱自在に連結し、上記足場板の端部を上記足場板ロック機構を介して上記支持桿のいずれか1つに選択的に着脱自在に連結し、上記手摺における上記縦フレームの両端部を上記いずれか二つの支持桿の端部に選択的に着脱自在に嵌合させると共に、上記縦フレームの中間部を上記縦支柱と上記支持桿とに上記手摺ロック機構を介して着脱自在に連結し、さらに、上記各左右の巾木の両端部をそれぞれ上記巾木ロック機構を介して上記縦支柱に着脱自在に連結してもよい。
【0013】
また、上記手摺の支持部が上記縦フレームの端部から張り出された突起であって、上記支持桿の端部開口内に上記支持部を嵌合することで、上記手摺を上記梯子状枠体に保持するようにしてもよい。この構成によると、一定の間隔で設けられた上記支持桿の中空部を利用して手摺を上記梯子状枠体に固定できるため、上記足場板の高さ位置を変更したときに、上記足場板が移動した上記支持桿の数だけ上記手摺を移動すれば、手摺と足場板の距離を一定にしながら、高さ位置を変更することが容易にできる。さらに、手摺をボルトやピンを使用して固定する必要がないため、設置コストを削減できる。
【0014】
また、上記手摺ロック機構
の構成によると、上記支持部が上記支持桿内から抜けようとすると、上記引っ掛け部が上記梯子状枠体に引っ掛かって、抜け止めし、上記手摺が上記梯子状枠体から脱落することを防止することができる。
【0015】
また、上記縦支柱は上段支柱と下段支柱と、上段支柱と下段支柱とを着脱自在に連結する支柱ロック機構を備え、上記支柱ロック機構は、上記下段支柱内の上部に下部が固定されたスペーサと、上記上段支柱と上記スペーサを貫通するロックピンと、上記ロックピンに連結され、上記ロックピンが先端側から抜けるのを防止するピン保持部材と、上記ピン保持部材の上下および左右が異なる位置から上記ロックピンの先端側に向けて延び、上記異なる位置を支点にして回動する抜け止めバネを備え、上記抜け止めバネが、上記上段支柱外周に向けて附勢して、上記ロックピンが基端側から抜けるのを防止するようにしてもよい。この構成によると、吊り足場の高さを構造物の大きさに合わせて変更できると共に、上記ピン保持部材と上記抜け止めバネで上記ロックピンの抜けを両側から防止し、上記縦支柱と他の縦支柱の連結を強固なものにすることができる。
【0016】
上記
足場板ロック機構は、上記足場板の端部に形成された湾状溝と、上記足場板の側面に突設された軸を中心に回動し、上記湾状溝を開閉する足場カムと、上記軸に回転自在に支持され、上記足場カムを閉方向に附勢するバネ部材とを備えるようにしてもよい。この構成によると、上記足場板が上記支持桿から外れて脱落してしまうことを防止すると共に着脱自在にすることができる。
【0017】
また、上記足場板は、前後一対の梁と、上記前後一対の梁に一体に架設された左右一対の梁とで形成される足場枠と、上記足場枠上に敷設された踏み板と、上記足場枠上に上記踏み板と並べて開閉自在にヒンジ結合された開閉板と、上記開閉板に設けた開閉板ロック機構とを備え、上記開閉板ロック機構は、上記前後一対の梁の一方側内周面に突設されたストッパピンと、上記開閉板の下面に上記ストッパピンと対向して垂設され、下部に湾状溝が形成された開閉板用ブラケットと、上記開閉板用ブラケットの側面に軸で連結されて、上記軸を中心に回動し、上記開閉板用ブラケットの湾状溝を開閉する開閉板用カムと、上記軸に回転自在に支持され、上記開閉板用カムを閉方向に附勢するバネ部材とを備え、上記開閉板用カムの基端部が、上記開閉板に設けられた開口部から上記開閉板の上方に突出されて、上記
開閉板用カムの開閉操作を行うようにしてもよい。この構成によると、上記開閉板が開閉自在になっているため、上記梯子状枠を昇降して内側から安全に足場間を移動することができ、さらに、上記開閉板は、閉じるときには、上記開閉板ロック機構によって、ロックされて、下から吹き上げられたとしても開いてしまうことがなく、反対に上記開閉板を開けるときには、上記開閉板に設けられた上記開口部から突出している上記開閉板用カムの基端部を上方から押すだけで、ロックが外れて、上記開閉板を開けることができる。
【0018】
また、上記前後の巾木が、板状の巾木本体と、上記巾木本体の上端に外方に向けて一体に連設された補強フレームと、上記巾木本体の外周面側に突設されたL字状の支持片と、同じく巾木本体の外面両側に突設された耳片と、上記補強フレームと上記支持片に縦方向に対向してそれぞれ形成されたピン挿入孔と、上記耳片に形成されたロックピン挿入孔とを備え、上記耳片のロックピン挿入孔にロックピンを挿入することで上記前後の巾木を縦支柱に着脱自在に連結する第一巾木ロック機構を備え、上記左右の巾木が、板状の巾木本体と、上記巾木本体の上端に外方に向けて一体に連設された補強フレームと、上記補強フレームの一端部に固定ピン挿入孔を設けた支持板が連結され、上記補強フレームの他端部には、コの字状の取付フレームを保持する連結板が連結されてなり、上記固定ピン挿入孔と、上記前後の巾木の上記補強フレームと上記支持片に設けられたピン挿入孔に固定ピンを挿入し、上記取付フレームを上記縦支柱に嵌合させることで、上記左右の巾木を上記前後の巾木に着脱自在に連結する
第二巾木ロック機構を備えるようにしてもよい。この構成によると、足場板上からの工具等の落下を防ぐと共に、ロックピンと固定ピンを抜くだけで取り外しが可能なため、巾木を再利用することができる。
【発明の効果】
【0019】
その結果、作業位置に対応して足場板と手摺の高さ位置を変更でき、容易に手摺と足場板の距離を一定にしたまま高さ位置を変更し、作業効率を落とさずに作業できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本実施の形態に係る吊り足場の全体を示す斜視図である。
【
図2】(a)は、本実施の形態に係る足場板を示す平面図である。(b)は、本実施の形態に係る足場板を示す側面図である。
【
図3】本実施の形態に係る足場ロック機構を示す側面図である。
【
図4】本実施の形態に係る開閉板ロック機構のストッパピンを示す平面図である。
【
図5】本実施の形態に係る開閉板ロック機構を示す正面図である。
【
図6】本実施の形態に係る開閉板ロック機構の使用状態を示す拡大斜視図である。
【
図7】(a)は、本実施の形態に係る手摺を示す正面図である。(b)は、本実施の形態に係る手摺の縦フレームを示す正面図である。
【
図8】本実施の形態に係る手摺ロック機構を示す拡大正面図である。
【
図9】本実施の形態に係る手摺ロック機構の使用状態を示す拡大斜視図である。
【
図10】本実施の形態に係る縦支柱の連結部を示す拡大斜視図である。
【
図11】本実施の形態に係る支柱ロック機構を示す平面断面図である。
【
図12】本実施の形態に係る支柱ロック機構を示す斜視図である。
【
図13】本実施の形態に係る支柱ロック機構を示す側面図である。
【
図14】本実施の形態に係る巾木ロック機構を説明する図である。
【
図15】(a)は、本実施の形態に係る前後一対の巾木を示す正面図である。(b)は、本実施の形態に係る前後一対の巾木を示す平面図である。(c)は、本実施の形態に係る前後一対の巾木を示す側面図である。
【
図16】(a)は、本実施の形態に係る左右一対の巾木を示す正面図である。(b)は、本実施の形態に係る左右一対の巾木を示す平面図である。(c)は、本実施の形態に係る左右一対の巾木を示す側面図である。
【
図17】外周に巾木が取り付けられている本実施の形態に係る足場板を示す平面図である。
【
図18】本実施の形態に係る上部固定金具の使用状態を示す拡大斜視図である。
【
図19】(a)は、本実施の形態に係る下部固定金具を示す背面図である。(b)は、本実施の形態に係る下部固定金具を示す側面図である。(c)は、本実施の形態に係る下部固定金具の使用状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に、図示した本実施の形態に基づいて、図面を参照しながら説明する。いくつかの図面を通して付された同じ符号は、同じ部品か対応する部品を示す。
【0022】
図1に示すように、本実施の形態に係る吊り足場は、相対向する左右一対の梯子状枠体1,2と、上記梯子状枠体1,2間に架設した足場板3と、上記梯子状枠体1,2間に架設した手摺4とを備え、上記梯子状枠体1,2は、前後一対の中空な縦支柱5,6と、上記縦支柱5,6間に一定の間隔で貫通して架設された複数の筒状支持桿7とを備えている。上記足場板3は、両端が任意の上記支持桿7に着脱自在に連結されている。上記手摺4は、任意の上記支持桿7に着脱自在に連結される支持部8aを有する左右一対の縦フレーム8,8と、上記縦フレーム8,8間に一体に架設された横フレーム9とを備えてなる。なお、横フレーム9は縦フレーム8,8間に着脱自在に架設されてもよい。
【0023】
本発明の吊り足場は、例えば、橋梁のような巨大な構造物に対する溶接、交鋲、塗装工事などをする際の利用に向くが、利用法はこれに限定されるものではない。
【0024】
以下、本実施の形態に係る吊り足場の構成について詳細に説明する。
【0025】
図1に示すように、本実施の形態に係る一対の梯子状枠体1,2は、鉛直方向に延びる一対の中空な縦支柱5,6と、縦支柱5,6を外面まで貫通して連結させる複数の筒状の支持桿7で、いわゆる梯子状に形成されている。支持桿7の中空部は、縦支柱5,6の外面に開口している。
【0026】
また、支持桿7は、縦支柱5,6に上下方向に沿って、一定の間隔で設けられており、梯子状枠体1,2を使って、別の足場板3に昇降する際の足かけ部としても利用される。
【0027】
図1、
図2(a)、
図2(b)に示すように、本実施の形態に係る足場板3は、両端部に下側に向けて開口する湾状溝
13を備えた前後一対の梁10a,10aと、前後一対の梁10a,10aの両側から一体に架設された左右一対の梁10b,10bとで形成される足場枠10と、足場枠10上に敷設された踏み板11と、踏み板11と並べて開閉自在にヒンジ部Tを介してヒンジ結合された開閉板12を備えてなる。
【0028】
また、前後一対の梁10a,10aの両端部には、それぞれ後述する足場板ロック機構Bが設けられており、足場板3は、足場板ロック機構Bを介して、任意の支持桿7に着脱自在に連結して、梯子状枠体1,2間に架設される。そのため、足場板3は、支持桿7が設けられている高さ位置であれば、任意の高さ位置に設置することができる。
【0029】
図3に示すように、足場板ロック機構Bは、前後一対の梁10a,10aの両端に一体に形成された湾状溝13と、軸14によって、梁10aの側面に配置されて、軸14を中心に回動し、湾状溝13を開閉する足場カム15と、湾状溝13を閉じる方向に足場カム15を附勢するばね性に富んだリンク状のバネ部材16とで構成されている。
【0030】
本実施の形態に係る足場カム15は、
図3に示すように、フック状になっており、さらに先端外周が湾曲しているため、先端が下側から押されると、図中実線で示された位置から破線で示された位置、すなわち、バネ部材16の附勢方向と反対方向に回動する。また、下からの附勢力が解除されるとバネ部材16の附勢力で実線位置に復帰する。
【0031】
本実施の形態に係るバネ部材16は、
図3に示すように、ねじりコイルばね構造になっており、中間が軸14で支持され、基端が梁10aの側面に差し込まれ、先端が足場カム15に設けた保止片15aに引っ掛けられている。なお、バネ部材16は、ねじりコイルばね構造に限定されず、例えば、スプリングばねで足場カム15を附勢してもよい。
【0032】
上記構成によると、足場板3を梯子状枠体1,2間に架設する場合には、まず、梁10aの両端に一体に形成された湾状溝13に向けて支持桿7を押し込むと、足場カム15は外面が湾曲しているので、支持桿7に押されてバネ部材16に抗して
図4において時計方向に回動し、支持桿7を湾状溝13内に収容する。その後、足場カム15は、
バネ部材16の復元力で反時計方向に回動し、支持桿7が湾状溝13から抜けなくする。すなわち、支持桿7が、湾状溝13内に嵌合されると、足場カム15を押し上げる力が働かなくなるため、足場カム15を閉じる方向に附勢するバネ部材16の附勢力で、足場カム15は、湾状溝13の入口をロックして、支持桿7の足場板3からの抜けを防止することができる。
【0033】
なお、足場
板ロック機構Bは、足場板3の四隅全てに設けても勿論良いが、少なくとも斜めに対向するように二カ所に設けられていれば、足場板3の両側とも抜け止めがされるため足りる。
【0034】
また、
図2(b)に示すように、本実施の形態に係る開閉板12は、ヒンジ部Tを介して、踏み板11にヒンジ結合されることで、開閉自在になっているため、作業員が梯子状枠
体1,2を内側から昇降して安全に足場間を移動することができる。
【0035】
さらに、本実施の形態に係る足場板3には、
図4〜
図6に示すように、意図せずに開閉板12が開いてしまうことを防止する開閉板ロック機構Dが備えられている。この開閉板ロック機構Dの構造、作用は、上記足場板ロック機構Bと実質的に同じである。
【0036】
以下、開閉板ロック機構Dについて、詳細に説明する。
【0037】
開閉板ロック機構Dは、
図5に示す、前後一対の梁10aの内周面に足場枠10の内方に向けて突設されたストッパピン37と、
図6に示す、固定プレート38を介してボルトで開閉板12に固定され、下側に湾状溝40が設けられている開閉板用ブラケット39と、ピンなどの軸41によって、開閉板用ブラケット39の上側に固定され、軸41を中心に回動することで湾状溝40を開閉自在にする開閉板用カム42と、軸41に回転自在に支持されて、開閉板用カム42を閉方向に附勢するバネ部材43を備えてなり、開閉板用カム42の基端部42aが、開閉板12に設けられた開口部12aから上方に突出されてなる。
【0038】
開閉板用カム42は、
図6に示すように、フック状になっており、さらに先端外周が断面円弧状になっているため、開閉板用ブラケット39を下方に押圧すると開閉板用カム42の先端がストッパピン37によって、下側から押される。その結果、図中実線で示された開閉板用カム42が時計方向に回動し、破線で示された位置まで、すなわち、バネ部材43の附勢方向と反対方向に移動する。また、湾状溝40内にストッパピン37が嵌合された後には、開閉板用カム42がバネ部材43の復元力で元の位置に戻され、開閉板用カム42が、ストッパピン37に係合し、開閉板12が上方に開くのを防止する。
【0039】
本実施の形態に係るバネ部材43は、図
5に示すように、ねじりコイルばね構造になっており、中間が軸41で支持され、基端が梁10aの側面に差し込まれ、先端が開閉板用カム42に設けた保止片
42bに引っ掛けられ、開閉板用カム42を湾状溝40を閉じる方向(図中右方向)に附勢している。なお、バネ部材43は、ねじりコイルばね構造に限定されず、例えば、スプリングばねで開閉板用カム42を附勢してもよい。
【0040】
また、開閉板12の開口部12aから突出している開閉板用カム42の基端部42aを手動で押すことで、開閉板用カム42が、軸41を中心に
バネ部材43の附勢力に抗して、図中時計方向に回転し、湾状溝40の下部が大きく開く。これにより、ストッパピン37の上方にブラケット39を移動でき、開閉板12を開かせることができる。
【0041】
つまり、本実施の形態に係るロック機構Dは、開閉板12を閉じるとバネ部材43の附勢力によって、自動的にロックされ、開閉板12を開ける際には、カム42の基端部42aを押すだけでロックを外すことができる。
【0042】
図7(a)、
図7(b)に示すように、本実施の形態に係る手摺4は、任意の支持桿7に着脱自在に連結する支持部8aを両端に有する左右一対の縦フレーム8,8と、縦フレーム8,8間に架設された上桟9aと下桟9bからなる横フレーム9とを備え、上桟9aと下桟9bの間には、補強材であるブレース17が設けられている。
【0043】
本実施の形態においては、ブレース17は上桟9aの両端から下桟9bの中間に向けて延びて下桟9bに連結されているが、手摺4の補強材として機能すれば、どのような形で設けられていてもよい。
【0044】
図7(b)、
図9に示すように、縦フレーム8は、フレーム本体8bとフレーム本体8bの上下端にそれぞれ横方向に突出するロッド上の支持部8aとでコ字状に形成されている。支持部8aは、縦支柱5,6の外面側(反構造物S側)に開口する支持桿7の中空部に着脱自在に嵌合される。そのため、手摺4は、支持桿7が設けられている高さ位置であれば、任意の高さ位置に設置することができる。
【0045】
なお、支持部8aは、常にフレーム本体8bの端部に設けられる必要はなく、フレーム本体8bの任意の位置から突出させるようにしてもよい。したがって、縦フレーム8は、コの字状でなくてもよい。
【0046】
上記構成によると、足場板3と手摺4は、支持桿7が設けられている高さであれば、任意の高さ位置に設置することができるため、作業位置に合わせて、足場板3と手摺4の高さを両方とも変更することができる。また、支持桿7は、一定の間隔で縦支柱5,6間に設けられているため、例えば、足場板3を支持桿7一段分上方に移動させた場合は、手摺4も支持桿7一段分上方に移動させることで、足場板3と手摺4の距離を一定にしたまま高さ位置を変更することが容易にできる。
【0047】
また、支持桿7同士の間隔を15センチメートル以上40センチメートル以下に設定すれば、足場板3から一段分高い位置の支持桿7に手摺4を連結することで、常に法令に定められた高さ位置に手摺4を設けることができる。
【0048】
なお、
図1に示すところでは、作業に係る構造物Sと反対側、つまり前側の縦支柱5側に手摺4を連結させているが、構造物S側に手摺4を設けてもよい。その場合、図示しないが、横フレーム9を一本の桟のみにすることで、作業を妨げない手摺4にすることができる。
【0049】
本実施の形態においては、
図7(a)、
図7(b)および
図9に示すように、手摺4の縦フレーム8の両端に設けられた支持部8aの間に、支持部8aが支持桿7内から抜けて、手摺4が梯子状枠体1,2の間から脱落することを防止する手摺ロック機構Aを備えている。
【0050】
以下、手摺ロック機構Aについて詳しく説明する。
【0051】
図9に示すように、手摺ロック機構Aは、縦フレーム8に突設されたプレート状の保持金具18と、保持金具18に設けられた孔(図示せず)に貫通して両側からナット20で抜け止めされて結合されたロック用リンク19を備えてなる。
【0052】
ロック用リンク19は、保持金具18から支持桿7方向に延びる水平リンク19aと、水平リンク19aの先端に水平リンク19aを軸にして回転自在なフック状の引っ掛け部19bを設けてなる。
【0053】
上記構成を備えることで、
図8に示すように、実線の引っ掛け部19bを二点鎖線で描かれた位置(支持桿7側)に回動させた場合、引っ掛け部19bが支持桿7の外周に係合し、支持部8aが支持桿7内から抜ける方向に力が働いたとしても、引っ掛け部19bが縦支柱5に引っ掛かるため、支持部8aの抜けをロックし、梯子状枠体1,2から手摺4が脱落することを防止できる。反対に、
図8に実線で描かれた引っ掛け部19bの位置(反支持桿7側)に二点鎖線で描かれた位置の引っ掛け部19bを回動させた場合には、ロックが外れる。そのため、手摺4の取付け、取り外しが、引っ掛け部19bを回動させるだけで容易にできるため、手摺4の高さ位置を変更することが容易にできる。
【0054】
なお、
図7〜
図9に示すところでは、引っ掛け部19bは、水平リンク19aの先端からフック状に延びているが、上記機能を発揮するためには、引っ掛け部19bを支持桿7側に回動させたときに、支持桿7の外周に当接すれば足りるため、引っ掛け部19bの形状は、L字状または棒状であってもよい。
【0055】
図10に示すように、本実施の形態に係る梯子状枠体1,2は、縦支柱5,6(下段支柱L)が、後述する支柱ロック機構Cを介して、他の梯子状枠体1,2の縦支柱5,6(上段支柱H)と上下に連結することができる。
【0056】
図10および
図11に示すように、支柱ロック機構Cは、ボルトで下段支柱Lの内側に下部が固定された角管状のスペーサ21と、上段支柱Hとスペーサ21の上部を貫通させて、上段支柱Hをスペーサ21の上部に固定するロックピン24と、ロックピン24の基端側に連結され、ロックピン24が先端側に抜けてしまうのを防止するピン保持部材23と、ピン保持部材23の上下および左右が異なる位置から上記ロックピン24の先端に向けて延び、この上下および左右が異なる位置を支点にして回動するロックピン24が基端側に抜けてしまうのを防止する抜け止めバネ22を備えてなる。
【0057】
この抜け止めバネ22は、
図12および
図13に示すように、ピン保持部材23の上下および左右が異なる位置から、それぞれ上段支柱Hの外周に沿ってロックピン24の先端側に向けて延びるコの字状の長手ばね22a,22aと長手ばね22a,22aの先端を連結する棒状の短手ばね22bとで一体に構成されており、長手ばね22a,22aの先端は、外方に向けて僅かに傾斜してなる。
【0058】
上記構成によると、下段支柱Lと上段支柱Hが、下段支柱Lに下部が固定されたスペーサ21の上部と上段支柱Hをロックピン24で貫通させることで上段支柱Hが下段支柱Lに連結される。さらに、ロックピン24の一端に連結されているピン保持部材23がロックピン24の径より大きいため、ロックピン24が、他端側に引っ張られたとしても、ピン保持部材23が引っ掛かって抜け止めされる。また、ピン保持部材23から延びる抜け止めバネ22は、上下および左右異なる位置から延びているため、長手ばね22a,22aのストローク長さが異なるので、抜け止めバネ22を、外方へ回動させると、上段支柱H側に附勢するバネ力が発生する。
【0059】
ロックピン24を上段支柱Hとスペーサ21に貫通させるときは、抜け止めバネ22を外方に回動させてから、ロックピン24を貫通させて、その後、自然状態に戻すと、上段支柱H側に附勢するバネ力によって、抜け止めバネ22が、ロックピン24の先端側の上段支柱Hの外面方向に押さえつけるため、ロックピン24に対して、基端側に引っ張る力が働いたとしても、抜け止めバネ22が上段支柱Hに引っ掛かって抜け止めされる。
【0060】
したがって、上記支柱ロック機構Cによれば、梯子状枠体1,2の縦支柱5,6と他の梯子状枠体1,2の縦支柱5,6を上下に連結するロックピン24をピン保持部材23と抜け止めバネ22で両側から抜け止めすることができる。
【0061】
その結果、支柱ロック機構Cで着脱自在に、他の梯子状枠体1,2と連結することができるため、構造物Sの高さに合わせて吊り足場の長さを調整することができる。
【0062】
図1に示すように、本実施の形態に係る足場板3の外周には、工具などが地上に落下することを防止するための巾木が前後左右各一対に起立して設けられている。
【0063】
以下、前後一対の巾木25,25と、左右一対の巾木26,26と、これらを縦支柱5,6に着脱自在に連結する第一,第二巾木ロック機構E,Fについて、詳細に説明する。
【0064】
図15(a)〜(c)に示すように、前後一対の巾木25,25は、板状の巾木本体25aと、巾木本体25aの上下端に外方に向けて一体に連設されたL字状の補強フレーム25b,25cで構成されており、上側の補強フレーム25bは、両端に第一ピン挿入孔25dが設けられ、巾木本体25aの外周面側には、L字状の支持片27と、一端が巾木25から突出して外方に向けてL字状になっており、他端がコの字状になっている耳片28が突設されている。また、
図14,
図15(b)および
図15(c)に示すように、支持片27には、上側の補強フレーム25bに設けられた第一ピン挿入孔25dに対向するように縦方向にピン挿入孔27aが形成され、耳片28は、巾木25から突出しているL字状の一端に水平方向のロックピン挿入孔28aを備えてなる。
【0065】
また、左右一対の巾木26,26は、
図14、16(a)〜(d)に示すように、板状の巾木本体26aと、巾木本体26aの上端に外方に向けて一体に連設されたL字状の補強フレーム26bと、巾木本体26aの下端に足場板方向(内方)に向けて一体に連設された水平な塞ぎ板29で構成されており、補強フレーム26bの一端部には、固定ピン挿入孔30が形成された支持板31が連結され、補強フレーム26bの他端部には、コの字状の取付フレームを保持する連結板33が連結されてなる。
【0066】
上記構成を備える前後一対の巾木25,25と左右一対の巾木26,26を縦支柱5,6に取り付ける巾木ロック機構は、
図14、
図17に示すように、まず前後一対の巾木25,25に突設されている耳片28のコの字状の他端部を縦支柱5,6に引っ掛けるように当接させ、耳片28の一端に設けられたロックピン挿入孔28aにロックピン34を挿入することで、前後一対の巾木25,25を縦支柱5,6に連結する第一巾木ロック機構Eと、左右一対の巾木26,26を前後一対の巾木25,25間に上から嵌めこんで架設し、左右一対の巾木26,26の他端部に設けられたコの字状の取付フレーム32を縦支柱5,6のいずれか一方と嵌合し、一端部に設けられた支持板31の固定ピン挿入孔30と、前後一対の巾木25,25の補強フレーム25bに設けられた第一ピン挿入孔25dと、支持片27に設けられた第二ピン挿入孔27aを対向させて、固定ピン挿入孔30と第一,第二ピン挿入孔25d,
27aに固定ピン36を挿入することで、前後一対の巾木25,25と左右一対の巾木26を連結するとともに、縦支柱5,6に連結される第二巾木ロック機構Fからなる。
【0067】
前後一対の巾木25,25と縦支柱5,6を連結するロックピン34は、支柱ロック機構Cのロックピンを抜け止めする構造と同様の構造であるため、説明を省略する。また、ここで使用される前後一対の巾木25,25と縦支柱5,6の連結手段は、ロックピン34に限られず、例えばボルトとナットで固定されてもよい。
【0068】
これによって、前後一対の巾木25,25と左右一対の巾木26は、足場板3の外周に起立して設置される。
【0069】
なお、巾木26,26の下端に足場板方向(内方)に向けて一体に連設された塞ぎ板29は、
図17で示すように、巾木26,26が嵌めこまれると同時に、足場板3と支持桿7の隙間を塞ぎ、工具等の落下を防ぐことができる。
【0070】
上記巾木ロック機構によれば、前後一対の巾木25,25と左右一対の巾木26,26で足場
板3を囲うようにする場合に、すべての接地面をボルトや接着剤で連結する場合に比べて、ロックピン34と固定ピン36を抜くだけで取り外すことができ、巾木を再利用することができる。
【0071】
なお、巾木の設置方法は、足場板3の高さ位置の変更に合わせて変更できるのであれば、上記方法に限られず、例えば、足場板3にワイヤー等で括り付けるなどの方法であってもよい。
【0072】
本実施の形態に係る吊り足場は、
図1に示すように、上部固定金具44によって、構造物Sに吊持され、下部固定金具45によって、構造物Sが、揺れ止めされている。
【0073】
以下、上部固定金具44と下部固定金具45について、詳細に説明する。
【0074】
上部固定金具44は、
図18に示すように、後側の縦支柱6にボルトで連結されるL字プレート46と、L字プレート46にI字プレート47を介して連結され、構造物S側に向かって延びるロッド部48と、ロッド部48の外周に沿って摺動可能なフック金具49と、フック金具49を位置決めする蝶ナット
54を備えてなる。
【0075】
フック金具49は、ロッド部48に挿入されてロッド部48の外周に摺動可能な筒部49aと構造物Sの上面奥側端部に引っ掛けることが可能なフック部49bを有する。
【0076】
上記構成を備えることで、フック金具49のフック部49bを構造物Sの上端に引っ掛けてから、蝶ナット
54でフック金具49を構造物Sとの間に挟むことで、フック金具49の位置を決定し、吊り足場を吊持することができる。
【0077】
また、本実施の形態においては、梯子状枠体1,2の側面にボルト孔(付示せず)を設けているため、L字プレート46を任意の箇所に連結できる。なお、このボルト孔(付示せず)は、ピン用の孔としても利用でき、他の用途、例えば、前後一対の巾木25,25を縦支柱6に連結するロックピン34を挿入するための孔に利用することもできる。
【0078】
下部固定金具45は、
図19(a)〜(c)に示すように、後側の縦支柱6に連結するためのボルト孔50a,50aが対向するように両側に設けられるコの字状の連結プレート50と、連結プレート50の中間に貫通し、溶接して固定される基ロッド51と、基ロッド51に胴体枠52を介して連結されるフックロッド53を備え、フックロッド53の先端に、構造物Sの下端に引っ掛けることが可能なフック部53aを有し、基ロッド51と胴体枠52とフックロッド53とでターンバックル構造を構成してなる。
【0079】
基ロッド51とフックロッド53の胴体枠52との連結側にボルトになっており、胴体枠52は、両端内周に互いに反対向きのネジ山が切られているため、胴体枠52を回転させると、胴体枠52に連結している基ロッド51とフックロッド53が胴体枠52内で近づいたり、離れたりして、下部固定金具45を伸縮させることができる。そのため、下部固定金具45によって、構造物Sの揺れ止めをする際に、構造物Sとの距離によって、下部固定金具45の長さを微調整することができる。
【0080】
なお、下部固定金具45は、上部固定金具44を固定するために梯子状枠体1,2の側面に設けられているボルト孔(付示せず)を利用して、構造物Sの大きさに合わせて、任意の位置に設けることができる。
【0081】
また、本実施の形態に係る吊り足場は、地上で構造物Sに組付けられてから、構造物Sと共にクレーンで上方に引き上げられて設置される。
【0082】
また、高さ位置を変更する際には、まず、下層の足場板3の位置から作業員が手作業で高さ位置を変更したい足場板3の取り外しと取り付けを行い、次に、高さ位置を変更した足場板3の位置から作業員が手作業で手摺4の取り外しと取り付けを行うことで、高所であっても足場板3と手摺4の高さ位置を変更できる。
【0083】
以上、本発明の好ましい実施の形態を詳細に説明したが、特許請求の範囲から逸脱することなく改造、変形及び変更を行うことができることは理解すべきである。