【実施例】
【0053】
以下、実施例及び比較例に基づき本発明を更に具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に何ら限定されるものではない。なお、実施例および比較例中の「%」または「部」はいずれも質量%または質量部、主剤と硬化剤との配合比は質量比を示す。また、実施例等において使用される記号は、下記の意味を有する。すなわち、表中の“←”は、左欄の内容と同じであることを示す。
【0054】
実施例及び比較例において用いた主剤及び硬化剤に含まれる成分を以下の通り略称する。また、実施例及び比較例で用いた評価方法についても以下に示す。
【0055】
<主剤>
PTG−650:ポリテトラメチレンエーテルグリコール、分子量650
(商品名“PTG−650SN”、保土谷化学工業社製)
PTG−850:ポリテトラメチレンエーテルグリコール、分子量850
(商品名“PTG−850SN”、保土谷化学工業社製)
PTG−1000:ポリテトラメチレンエーテルグリコール、分子量1000
(商品名“PTG−1000SN”、保土谷化学工業社製)
PTG−2000:ポリテトラメチレンエーテルグリコール、分子量2000
(商品名“PTG−2000SN”、保土谷化学工業社製)
PTG−L1000:THF/メチル基置換THF共重合体、分子量1000
(商品名“PTG−L1000”、保土谷化学工業社製)
PTG−L2000:THF/メチル基置換THF共重合体、分子量2000
(商品名“PTG−L2000”、保土谷化学工業社製)
PTG−L3000:THF/メチル基置換THF共重合体、分子量3000
(商品名“PTG−L3000”、保土谷化学工業社製)
T−80:トリレンジイソシアネート、2,4/2,6異性体比=80/20
(商品名“コロネートT−80”、日本ポリウレタン工業社製)
T−100:トリレンジイソシアネート、2,4/2,6異性体比=100/0
(商品名“コロネートT−100”、日本ポリウレタン工業社製)
【0056】
<硬化剤>
DETDA:ジエチルトルエンジアミン
(商品名“エタキュア100”、アルベマール・コーポレーション社製)
可塑剤:フタル酸ジオクチル(大八化学工業所製)
有機溶剤:NSソルベント(イソパラフィン系炭化水素、保土谷バンデックス建材社製)
無機充填材:炭酸カルシウム(丸尾カルシウム社製)
【0057】
<粘度の測定方法>
粘度は、JIS K 7301:1995の「熱硬化性ウレタンエラストマー用トリレンジイソシアネート型プレポリマー試験方法 6.2粘度」に準じて、回転粘度計(東機産業(株)BH II形)を用い23℃で測定した。
【0058】
<歩行性の評価方法>
主剤と硬化剤とを混合した後ガラス板上に流延し、流延後16時間経過時点での塗膜の硬化状態を手で触わることにより歩行性を評価した。歩行性が特に良好なものを++、良好なものを+、やや不良なものを±、不良なものを−とした。
【0059】
<可使時間の評価方法>
主剤と硬化剤とを混合した後、混合液の23℃での粘度が10万mPa・sに達するまでの時間(分)を、支障なく塗工できる時間(可使時間)とした。
【0060】
<硬化塗膜の物性の評価方法>
塗工後、23℃で7日経過後にJIS A 6021:2011(建築用塗膜防水材、高強度形および高伸長形)に準じて硬化塗膜の物性を評価した。本実施例及び比較例に記載する基礎物性の主な試験項目は、破断時の引張強さ(TB)、破断時の伸び率(EB)、抗張積、つかみ間の伸び率、および引裂強さ(TT)である。それらの規格値は下記の通りで、示されている温度は試験時温度である。なお、本JIS A 6021:2011においては、硬さに関する試験項目とその規格値は特に定められていないので、下記のJIS K 6253に規定する方法により評価する。また100%モジュラスに関しても同様に、本JIS A 6021には定められていない。
【0061】
・破断時の引張強さ(TB、単位;N/mm
2):10以上/23℃、
および6.0以上/60℃、
・破断時の伸び率(EB、単位;%): 450以上/23℃、
・抗張積(単位;N/mm):700以上/23℃、
・つかみ間の伸び率(単位:%):250以上/−20℃、
・引裂強さ(TT、単位;N/mm):30以上/23℃、
・硬さ(JIS K 6253に規定するデュロメータによる。硬度A):35〜90、
【0062】
加熱処理(80℃×7日処理)後の主な試験項目は、破断時の伸び率、および引張強さ比であり、そのJIS A 6021:2011に定められている規格値は下記の通りである。
【0063】
・破断時の伸び率(単位:%):400以上/23℃、
・引張強さ比(単位:%):80以上/23℃、
【0064】
なお本発明のJIS適合材とは、JIS A 6021:2011(高強度形および高伸長形)に記載された上記の試験項目以外のすべての項目について評価を行い、硬化塗膜の物性が上記JISの両規格で定められた規格値に適合するポリウレタン塗膜材をいう。
【0065】
[主剤の調製]
2リットルのガラスコルベンに、配合表に従い所定量のポリオール(PTG、またはPTG−L)を仕込み、95℃〜105℃で1時間減圧脱水を実施する。液温を40℃以下まで冷却後、窒素気流下で所定の当量比(NCO基/OH基)に従ってTDIを徐々に加え、60℃〜80℃で2〜4時間加熱撹拌して反応を完結させる。室温まで冷却して、主剤(イソシアネート基末端プレポリマー)を調製する。
【0066】
[硬化剤の調製]
2リットルの円筒形開放容器(SUS製)に、実施例および比較例に記載する配合表に従い所定量のDETDA、可塑剤、無機充填材を仕込み、室温でディゾルバーを用いて30分間撹拌し、それぞれの硬化剤を調製する。
【0067】
[実施例1]
所定温度に調整した恒温槽に、上記の条件で調製した各イソシアネート基末端プレポリマー(NCO基/OH基=2.0で反応)を96時間(4日間)放置し、TDIプレポリマーの性状を観察した。結果を表1に示す。
なお、実施例1−1のPTG−L1000&TDI(T−100)とは、PTG−L1000のTDI(T−100)プレポリマーの略称であり、以下同様に表1の名称に略す。
【0068】
【表1】
【0069】
[実施例2、比較例2]
表2に示す組成の主剤および硬化剤を以下の手順に従って調製した。
まず、2リットルのガラスコルベンに、PTG−L2000を851.7g仕込み、95℃〜105℃で1時間減圧脱水を行った。液温を40℃以下まで冷却し、窒素雰囲気下で当量比(NCO基/OH基は2.0)に従って2,4−異性体/2,6−異性体質量比が100/0のTDIを148.3gを徐々に加え、70〜75℃で1〜2時間加熱撹拌し反応を完結させて、NCO基含有率3.5質量%の主剤(粘度:20,200mPa・s/23℃)1000gが得られた。室温まで冷却し、必要により溶剤50.0g(主剤に対して5.0質量%)を添加し調製した。
【0070】
これとは別に、2リットルの円筒型開放容器に、表2に示した配合表に従い、DETDA、可塑剤(DOP)、および炭酸カルシウムを仕込み、室温でディゾルバーにて30分間撹拌し、各1000gの硬化剤を調製した。
【0071】
上記方法により調製した主剤と硬化剤とを23℃の環境下で一夜静置した後、主剤および硬化剤を質量比で1対2(NCO基/NH
2基の当量比:0.9〜3.0)の割合で混合し、また必要により所定量の有機溶剤を添加し、可使時間をチェックしながらプライマー処理したスレート板にヘラを用いて厚さ1〜2mmになるように手塗り塗布した。
【0072】
また、23℃で上記方法により混合したものの1部をガラス板上に厚さ1〜2mmになるように流延し、23℃の環境下で7日間硬化させた硬化塗膜の物性(基礎および加熱処理後)を評価した。
【0073】
なお主剤と硬化剤との混合時の当量比(NCO基/NH
2基)は、主剤(プレポリマー)のNCO含有量と硬化剤中のアミン架橋剤(DETDA)含有量から当量比を算出した。
【0074】
試験結果を表3に示す。
主剤/硬化剤の配合比を1/2に設定し主剤に対して有機溶剤5.0質量%添加した実施例2−1〜2−4、および配合比を1/1に設定した実施例2−5、また有機溶剤を添加していない実施例2−6の硬化塗膜の物性はいずれもJIS規格値を満足していた。すなわち、23℃で7日後の硬化塗膜の基礎物性および加熱処理後の物性は、ポリウレタン塗膜防水材のJIS(高強度形および高伸長形)の両規格に適合する性能を示した(JIS適合材)。
【0075】
【表2】
【0076】
【表3】
【0077】
[実施例3、比較例3]
実施例2と同様に、表4に示す組成の主剤を調製した。
2リットルのガラスコルベンに、PTG−L1000を747.7g仕込み、95℃〜105℃で1時間減圧脱水を行った。液温を40℃以下まで冷却し、窒素雰囲気下で当量比(NCO基/OH基)2.0に従って2,4−異性体/2,6−異性体質量比が100/0のTDIを252.3gを徐々に加え、65〜70℃で1〜2時間加熱撹拌し反応を完結させて、NCO基含有率6.2質量%の主剤(粘度:12,000mPa・s/23℃)1000gが得られた。室温まで冷却し、必要により有機溶剤50.0g(主剤に対して5.0質量%)を添加し調製した。
【0078】
上記実施例2と同様に、表4に示す組成の各硬化剤1000gを調製し、得られた主剤および硬化剤を用いて、硬化塗膜の物性(基礎および加熱処理後)を評価した。
【0079】
試験結果を表5に示す。
主剤に対して有機溶剤5.0質量%添加した表4の実施例3−1〜3−5、また有機溶剤を添加していない実施例3−6、いずれも硬化塗膜の物性はJIS規格値を満足していた(JIS適合材)。
【0080】
【表4】
【0081】
【表5】
【0082】
[実施例4]
実施例2と同様に、表6に示す組成の主剤を調製した。
2リットルのガラスコルベンに、PTG−L3000を898.3g仕込み、95℃〜105℃で1時間減圧脱水を行った。液温を40℃以下まで冷却し、窒素雰囲気下で当量比(NCO基/OH基は2.0)に従って2,4−異性体/2,6−異性体質量比が100/0のTDIを101.7gを徐々に加え、75〜80℃で1〜2時間加熱撹拌し反応を完結させて、NCO基含有率2.5質量%の主剤1000gが得られた(粘度:42,000mPa・s/23℃)。室温まで冷却し、必要により溶剤50.0g(主剤に対して5.0質量%)を添加し調製した。
【0083】
上記実施例2と同様に、表6に示す組成の各硬化剤1000gを調製し、得られた主剤および硬化剤を用いて、硬化塗膜の物性(基礎および加熱処理後)を評価した。
【0084】
試験結果を表7に示す。
主剤/硬化剤の配合比を1/1.9〜1/1に設定した実施例4−1〜4−3は、いずれもJIS規格値を充分満足する性能を示した(JIS適合材)。
【0085】
【表6】
【0086】
【表7】
【0087】
[実施例5、比較例5]
実施例2と同様に、表8に示す組成の主剤を調製した。
2リットルのガラスコルベンに、PTG−1000を739.7g仕込み、95℃〜105℃で1時間減圧脱水を行った。液温を40℃以下まで冷却し、窒素雰囲気下で当量比(NCO基/OH基は2.0)に従って2,4−異性体/2,6−異性体質量比が100/0のTDIを260.3gを徐々に加え、65〜70℃で1〜2時間加熱撹拌し反応を完結させて、NCO基含有率6.3質量%の主剤1000gが得られた(粘度:9,100mPa・s/23℃)。室温まで冷却し、必要により溶剤50.0g(主剤に対して5.0質量%)を添加し調製した。
【0088】
上記実施例2と同様に、表8に示す組成の各硬化剤1000gを調製し、得られた主剤および硬化剤を用いて、歩行性、硬化塗膜の物性(基礎および加熱処理後)等を評価した。
【0089】
試験結果を表9に示す。
塗膜物性値(実施例5−1〜5−5)は、いずれもJIS規格値を充分満足する性能を示した(JIS適合材)。
【0090】
【表8】
【0091】
【表9】
【0092】
[実施例6]
実施例2と同様に、表10に示す組成の主剤1000gを調製した。
また同様に、表10に示す組成の各硬化剤1000gを調製し、得られた主剤および硬化剤を用いて、可使時間、歩行性、硬化塗膜の物性(基礎および加熱処理後)等を評価した。
【0093】
試験結果を表11に示す。
塗膜物性値(実施例6−1〜6−2)は、いずれもJIS規格値を充分満足する性能を示した(JIS適合材)。
【0094】
【表10】
【0095】
【表11】
【0096】
[実施例7]
前記した表1の実施例1−7の結果から、PTG−2000のTDIプレポリマーは、20℃の環境下では結晶化する。有用なポリアルキレンポリオールであるPTG−2000の性能を保持し、プレポリマーの結晶化温度を下げ液状での使用温度範囲を広げるために、PTG−2000と相溶性が高い共重合体のPTG−L2000とを混合(当量比で4対6)し、TDI(T−100)によるプレポリマー化を試みた。その組成を表12に示す。
また得られた上記混合プレポリマー(主剤)を下記の環境条件下で放置後、その性状を観察した(各所定温度で96時間放置)。結果を表14に示す。
【0097】
また表12に示す組成の硬化剤を調製し、得られた主剤および硬化剤を用いて、可使時間、歩行性、硬化塗膜の物性(基礎および加熱処理後)を評価した。結果を表13に示す。
【0098】
【表12】
【0099】
【表13】
【0100】
【表14】
【0101】
表14より、上記二種混合プレポリマーは10℃においては結晶化しているが、20℃においては液状である。このため溶剤や可塑剤等による希釈の必要がなく、希釈せずに使用可能な温度範囲を更に広げることができた。
また表13の結果より、二種混合プレポリマーを用いて得られた塗膜の物性は、PTG−2000のTDIプレポリマーの特性を損なうことなくJIS規格値を充分満足する性能を示した。また塗膜の歩行性等も良好で、本発明の塗膜材用主剤として充分使用が可能である(JIS適合材)。
【0102】
[実施例8]
主剤のイソシアネート成分である2,4−異性体/2,6―異性体含有率の異なるTDIを用いて、性状(可使時間、歩行性)および硬化塗膜の物性への効果を検討した。
表15に示す組成で主剤および硬化剤を調製し、得られた主剤および硬化剤を用いて実施例2と同様にして硬化塗膜を得た。なお実施例8−2および比較例8−1は、TDI中の2,4−異性体の含有量はそれぞれ90質量%、65質量%である。性状および硬化塗膜の物性を表16に示す。
【0103】
実施例8−1〜8−3の塗膜物性は、いずれもJIS規格値を充分満足する性能を示した(JIS適合材)。また実施例8−1の可使時間(23℃)は35分/10万mPa・sであり、塗膜のレベリングや歩行性等も良好であった。
しかし、比較例8−1の可使時間は13分と短く、また破断時の引張強さ(TB)/60℃試験ではJIS規格に不適合であった。
【0104】
【表15】
【0105】
【表16】
【0106】
[実施例9、比較例9]
実施例2と同様に、表17に示す組成の主剤および硬化剤を調製した。得られた主剤および硬化剤を用いて、歩行性、硬化塗膜の物性(基礎および加熱処理後)等を評価した。
【0107】
低分子量PTG(PTG−650)のTDIプレポリマーを主剤とし、ポリアミン架橋剤にDETDAを使用すると、表18の比較例9−1に示す通り、得られた硬化塗膜の物性値はJIS規格値を満たすことができない[破断時の伸び率(EB、単位:%)、つかみ間の伸び率(単位:%、−20℃)等が不適合]。
また、硬化塗膜の表面には可塑剤等の浮き(ブリード)が激しく認められた。
【0108】
これらの問題を有する低分子量PTG−650であるが、表17に示す組成で各主剤を調製した。まず、PTG−650と相溶性が高い異種ポリオールのPTG−L2000等とを混合(当量比で1対1)し、所定量のTDIと反応させてプレポリマー(主剤)を調製した。また表17の配合表に従って硬化剤を調製し、硬化塗膜の物性(基礎および加熱処理後)、ブリードの有無、および歩行性を評価した。
試験結果を表18に示す。
【0109】
【表17】
【0110】
【表18】
【0111】
表18の結果より、硬化塗膜の物性(実施例9−2および9−3)は、いずれもPTG−L2000およびL3000単品(実施例2−2および4−2)では得られなかった性能に改善することができた。また得られた塗膜表面のブリードも抑止でき、歩行性も良好で、予想以上に硬化塗膜の改質効果が認められた。
【0112】
すなわち、低分子量のPTG−650を配合することにより、実施例9−2(PTG−650/PTG−L2000のTDI(T−100)プレポリマーでは、PTG−L2000単品を使用した実施例2−2と比較すると、硬さ(硬度A)、破断時の引張強さ(TB)/60℃、および引裂強さ(TT)が格段に向上し、また歩行性も良好であり、全体的にバランスのとれた塗膜性能(物性値)に改善することができた。また実施例9−3(PTG−650/PTG−L3000のTDI(T−100)プレポリマー)の場合も、PTG−L3000単品を使用した実施例4−2と比較すると、上記実施例9−2と同様に、塗膜物性値が格段に向上し、全体的にバランスのとれた塗膜性能に改善ができた。
【0113】
[比較例10]
前記した特許文献3(例1)との対比試験を行った。
特許文献3の記載内容に従い、表19に示す組成(比較例10−1)の主剤および硬化剤を調製し、得られた主剤および硬化剤を用いて硬化塗膜の物性(基礎および加熱処理後)を評価した。また比較例10−2および10−3は、一般的な手塗り塗工を想定し主剤と硬化剤との配合比を1/1および1/2に調製した。得られた硬化塗膜の性状および物性を表20に示す。
【0114】
【表19】
【0115】
【表20】
【0116】
特許文献3(例1)に記載されたスプレー塗工用組成による硬化塗膜の物性値(比較例10−1)は、JIS規格(高強度形および高伸長形)の両規格に適合した。しかし、その硬化性(レベリング可能時間)は6分で、本発明の手塗り塗工としての使用は難しい。
また、比較例10−2および10−3の硬化塗膜の物性は、いずれも破断時の引張強さ(TB)/23および60℃、破断時の伸び率(EB)、抗張積、引裂強さ(TT)等は大幅に低下し、上記JIS規格には不適合であった。
【0117】
上記比較例10−2および10−3の結果より、スプレー塗工用組成をそのまま手塗り塗工用組成に置き換えても、上記JIS規格への適合は難しい。
【0118】
[実施例11、比較例11]
本発明品と保土谷バンデックス社(HVC社)製品との対比試験を行なった。評価結果を表21に示す。
比較例11−1は、主に手塗り塗工による高強度タイプの床材製品である。
比較例11−2は、床材やピット向けのスプレータイプの床材製品である。
また、比較例11−3は汎用ウレタン塗膜防水材製品(主剤/硬化剤との配合比は1/2)である。
【0119】
【表21】
【0120】
比較例11−1〜11−3の各製品は、いずれもポリウレタン塗膜防水材のJIS規格(高強度形および高伸長形)の両規格値を同時には満たすことはできなかった。特に高強度が要求される比較例11−2は、JIS規格(高強度形)についてすべての項目に適合するが、高伸長形の規格項目[破断時の伸び率(EB、単位:%)、つかみ間の伸び率(単位:%)/−20℃、および加熱処理後の破断時の伸び率(単位:%)]が不適合であった。
また比較例11−1では、JIS規格(高強度形)のつかみ間の伸び率(単位:%)/−20℃が不適合であった。JIS規格(高伸長形)では、上記比較例11−2と同様に[破断時の伸び率(EB、単位:%)、つかみ間の伸び率(単位:%)/−20℃、加熱処理後の破断時の伸び率(単位:%)]が不適合であった。
【0121】
一方、比較例11−3は従来の塗膜防水材であり、JIS規格(高伸長形)は満たすものの、高強度形の規格の23℃と60℃の引張強さ(TB、単位:N/mm
2)、および引裂強さ(TT、単位:N/mm)は、JIS規格(高強度形)に不適合であった。
【0122】
参考までに、本発明に関するJIS A 6021:2011(建築用塗膜防水材、「高強度形」および「高伸長形」)に記載の、両規格の主な試験項目とその規格値を記載する。
なお本発明では、「高強度形」および「高伸長形」の両規格に規定された数値のうち、高い方の数値を物性範囲として設定している。
【0123】
【表22】