【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 (1)使用した場所:大阪市天王寺区上汐4丁目4,使用日:平成26年11月4日乃至同年11月8日 (2)使用した場所:大阪市北区南森町2丁目23−1,使用日:平成26年11月10日乃至同年11月29日
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
対象とする円筒体を垂直状に保持するための円筒体保持部と、その円筒体保持部に保持された円筒体を中心軸線まわりに回転駆動するための回転駆動部と、前記円筒体保持部に保持された円筒体を地中等へ下方駆動するための垂直方向駆動体を備える装置本体と、前記円筒体の下方駆動の反力をとるための反力ウエイトを有してなる全周回転装置であって、
前記装置本体は、その上部位置に、前記反力ウエイトを上向きに支持するウエイト支持部を備え、そのウエイト支持部に対し前記反力ウエイトを上方から載荷し得ると共に上方に除荷し得るものであり、
前記反力ウエイトは、前記ウエイト支持部により装置本体の上部において上向きに支持され得るものであり、
前記垂直方向駆動体は、前記円筒体保持部を介して前記円筒体に下方駆動力を伝える上下可動部を有し、前記反力ウエイトは、前記ウエイト支持部において上向きに支持されることにより、前記上下可動部に対し直接又は間接に下向き押圧力を載荷するものであることを特徴とする全周回転装置。
上記ウエイト支持部の上側の高さ位置が、上記円筒体保持部の上側の高さ位置にその円筒体保持部の軸線方向長さを加えた高さ位置以下の位置である請求項1記載の全周回転装置。
円筒体保持部に垂直状に保持され得る最大径の円筒体に、その円筒体の直径を隔てて外接する一対の平行な垂直面の外側の2つの領域のうち、前記一対の平行な垂直面に直交すると共に前記最大径の円筒体にその円筒体の直径を隔てて外接する一対の平行な垂直面の外側に位置する4つの領域のそれぞれに、上記ウエイト支持部の少なくとも一部が位置する請求項1乃至3の何れか1項に記載の全周回転装置。
上記反力ウエイトおよび/または装置本体に、上記反力ウエイトが、上記ウエイト支持部により装置本体の上部の所定位置において上向きに支持された状態で、所定位置から装置本体の側方へずれることを防ぐズレ防止部を備える請求項1乃至4の何れか1項に記載の全周回転装置。
上記反力ウエイトが、円筒体保持部に対応する円筒体挿通部を開口し、単一で使用されるもの、又は、円筒体保持部に対応する円筒体挿通部を開口し、単層で若しくは複数積層して使用されるものである請求項1乃至5の何れか1項に記載の全周回転装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、装置本体の周囲に反力ウエイトのためのスペースを要せず、狭隘な場所においても使用することができるものでありながら、ウエイトの機能が効果的に発揮されると共にウエイト支持構造の耐久性が良好であり、設置作業及び撤収作業の作業性にも優れる全周回転装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1) 対象とする円筒体を垂直状に保持するための円筒体保持部と、その円筒体保持部に保持された円筒体を中心軸線まわりに回転駆動するための回転駆動部と、前記円筒体保持部に保持された円筒体
を地中等
へ下方駆動
するための垂直方向駆動体を備える装置本体と、前記円筒体の下方駆動の反力をとるための反力ウエイトを有してなる全周回転装置であって、
前記装置本体は、その上部位置に、前記反力ウエイトを上向きに支持するウエイト支持部を備え、そのウエイト支持部に対し前記反力ウエイトを上方から載荷し得ると共に上方に除荷し得るものであり、
前記反力ウエイトは、前記ウエイト支持部により装置本体の上部において上向きに支持され得るものであり、
前記垂直方向駆動体は、前記円筒体保持部を介して前記円筒体に下方駆動力を伝える上下可動部を有し、前記反力ウエイトは、前記ウエイト支持部において上向きに支持されることにより、前記上下可動部に対し直接又は間接に下向き押圧力を載荷するものであることを特徴とする全周回転装置。
【0008】
装置本体は、ウエイト支持部により、反力ウエイトをその装置本体の上部において支持することができるので、装置本体の周囲に反力ウエイトのためのスペースを要せず、狭隘な場所においても使用することができる。
【0009】
また、装置本体の上部位置に、反力ウエイトを上向きに支持するウエイト支持部を備え、そのウエイト支持部に対し反力ウエイトを上方から載荷し得ると共に上方に除荷し得るので、装置本体を所要の箇所に設置し、反力ウエイトを載荷して使用する作業、及び、使用後に反力ウエイトを除荷して装置本体を撤収する作業の何れについても作業性に優れ、而も、ウエイト支持部の耐久性も良好である。
【0010】
更に、反力ウエイトがウエイト支持部において上向きに支持されることにより、垂直方向駆動体における、円筒体保持部を介して対象円筒体に下方駆動力を伝える上下可動部に対し、直接又は間接に下向き押圧力を載荷するものであるから、地中等への下方駆動を行う円筒体からの反力を上方から効果的に押さえることができる。
【0011】
(2) 上記ウエイト支持部の上側の高さ位置が、上記円筒体保持部の上側の高さ位置にその円筒体保持部の軸線方向長さを加えた高さ位置以下の位置である上記(1)記載の全周回転装置。
【0012】
装置本体の上部位置に備えるウエイト支持部の上側の高さ位置が、上記円筒体保持部の上側の高さ位置にその円筒体保持部の軸線方向長さを加えた高さ位置以下の位置であるため、ウエイト支持部により、反力ウエイトを安定的に支持し得る。
【0013】
(3) 上記垂直方向駆動体の上下可動部の上端部が、上記反力ウエイトを上向きに支持するウエイト支持部である上記(1)又は(2)記載の全周回転装置。
【0014】
垂直方向駆動体における、円筒体保持部を介して対象円筒体に下方駆動力を伝える上下可動部の上端部が、上記反力ウエイトを上向きに支持するウエイト支持部であるため、構造上、円筒体に対し地中等への下方駆動を行った場合の円筒体からの反力を上方からより効率良く押さえることができる。
【0015】
(4) 円筒体保持部に垂直状に保持され得る最大径の円筒体に、その円筒体の直径を隔てて外接する一対の平行な垂直面の外側の2つの領域のうち、前記一対の平行な垂直面に直交すると共に前記最大径の円筒体にその円筒体の直径を隔てて外接する一対の平行な垂直面の外側に位置する4つの領域のそれぞれに、上記ウエイト支持部の少なくとも一部が位置する上記(1)乃至(3)の何れか1項に記載の全周回転装置。
【0016】
円筒体保持部に垂直状に保持され得る最大径の円筒体に、その円筒体の直径を隔てて外接する一対の平行な垂直面の外側の2つの領域のうち、前記一対の平行な垂直面に直交すると共に前記最大径の円筒体にその円筒体の直径を隔てて外接する一対の平行な垂直面の外側に位置する4つの領域のそれぞれに、上記ウエイト支持部の少なくとも一部が位置し、それらの4つ領域のそれぞれにおいて上記反力ウエイトが上向きに支持されるので、安定的に反力ウエイトを支持することができる。
【0017】
(5) 上記反力ウエイトおよび/または装置本体に、上記反力ウエイトが、上記ウエイト支持部により装置本体の上部の所定位置において上向きに支持された状態で、所定位置から装置本体の側方へずれることを防ぐズレ防止部を備える上記(1)乃至(4)の何れか1項に記載の全周回転装置。
【0018】
反力ウエイトおよび/または装置本体に、上記反力ウエイトが、上記ウエイト支持部により装置本体の上部の所定位置において上向きに支持された状態で、所定位置から装置本体の側方へずれることを防ぐズレ防止部を備えるため、反力ウエイトを安定的に支持し得る。
【0019】
(6) 上記反力ウエイトが、円筒体保持部に対応する円筒体挿通部を開口し、単一で使用されるもの、又は、円筒体保持部に対応する円筒体挿通部を開口し、単層で若しくは複数積層して使用されるものである上記(1)乃至(5)の何れか1項に記載の全周回転装置。
【0020】
反力ウエイトが、円筒体保持部に対応する円筒体挿通部を開口し、単一で使用されるもの、又は、円筒体保持部に対応する円筒体挿通部を開口し、単一で若しくは複数積層して使用されるものであるため、反力ウエイトを上方から載荷する作業及び上方に除荷する作業を、装置本体に対する反力ウエイトの荷重の偏りをできるだけ生じさせずに効率良く行い得る。
【発明の効果】
【0021】
本発明の全周回転装置においては、装置本体は、ウエイト支持部により、反力ウエイトをその装置本体の上部において支持することができるので、装置本体の周囲に反力ウエイトのためのスペースを要せず、狭隘な場所においても使用することができる。
【0022】
また、装置本体の上部位置に、反力ウエイトを上向きに支持するウエイト支持部を備え、そのウエイト支持部に対し反力ウエイトを上方から載荷し得ると共に上方に除荷し得るので、装置本体を所要の箇所に設置し、反力ウエイトを載荷して使用する作業、及び、使用後に反力ウエイトを除荷して装置本体を撤収する作業の何れについても作業性に優れ、而も、ウエイト支持部の耐久性も良好である。
【0023】
更に、反力ウエイトがウエイト支持部において上向きに支持されることにより、垂直方向駆動体における、円筒体保持部を介して対象円筒体に下方駆動力を伝える上下可動部に対し、直接又は間接に下向き押圧力を載荷するものであるから、地中等への下方駆動を行う円筒体からの反力を上方から効果的に押さえることができる。
【発明を実施するための形態】
【0025】
[1] 本発明の実施の形態を、図面を参照しつつ説明する。
【0026】
図面は何れも本発明の実施の形態の一例としての全周回転掘削装置に関するものである。
【0027】
(1) この全周回転掘削装置Aは、装置本体Bと反力ウエイトを有する。
【0028】
(2) 装置本体Bは、全体として平面視において略長方形状をなし、ベースフレーム部10、昇降フレーム部12、円筒体保持部14、回転駆動部16、垂直方向駆動体18等を備えると共にウエイト支持部として第1ウエイト支持部20及び第2ウエイト支持部22を有する。
【0029】
この装置本体Bは、平面視における中央部に、円筒体保持部14の内側を対象円筒体D(ケーシング)が上下貫通し得る上下貫通状空間Eを有する。昇降フレーム部12及びベースフレーム部10は、それぞれ、前記上下貫通状空間Eを構成する上下貫通孔を有する。装置本体Bは、前記上下貫通状空間Eに、先端部にビットを設けた円筒体Dを円筒体保持部14により垂直状に保持し、その円筒体Dに対し、回転駆動部16による中心軸線まわりの回転駆動及び垂直方向駆動体18による地中等への下方駆動を行って地盤、岩盤、地中構造物等の掘削若しくは切削等を行うことができる。
【0030】
(2-1) 円筒体保持部14は、円筒体Dの外周部を、周方向の複数箇所において油圧シリンダにより径方向内方に押圧して円筒体Dを垂直状に保持するものである。
【0031】
この円筒体保持部14は、円筒体Dを固定的に保持した状態で、垂直方向の回転軸線のまわりに回転し得るよう装置本体Bの昇降フレーム部12に対し支持されている。
【0032】
(2-2) 回転駆動部16は、円筒体Dを固定的に保持した状態の円筒体保持部14を、油圧モータにより、昇降フレーム部12に対し円筒体Dの垂直方向の中心軸線のまわりに回転させることにより円筒体Dを垂直方向の中心軸線のまわりに回転駆動するものである。
【0033】
(2-3) 垂直方向駆動体18は、略垂直円柱状をなし、装置本体Bの平面視における四隅部にそれぞれ設けられている。垂直方向駆動体18の下部はベースフレーム部10に固定され、上部は上下可動部18aであって、昇降フレーム部12の四隅部にそれぞれ固定されている。上下可動部18aの上端部及びその近傍部は、昇降フレーム部12の上側に突出している。
【0034】
垂直方向駆動体18は、油圧シリンダにより上下可動部18aを上下動させることにより、昇降フレーム部12に対し回転可能に支持された円筒体保持部14に保持された円筒体Dに対しその円筒体保持部14を介して地中等への下方駆動及び上方駆動を行い得る。円筒体Dを下方又は上方に所定長駆動後、必要に応じ、円筒体保持部14による円筒体Dの保持を解除し、上下可動部18aを上方動又は下方動させて再度円筒体保持部14による円筒体Dの保持を行った上で、上下可動部18aを下方動又は上方動させることにより、円筒体Dに対し円筒体保持部14を介して更に下方駆動又は上方駆動し得る。
【0035】
(2-4) 第1ウエイト支持部20及び第2ウエイト支持部22は、装置本体Bの上部に位置し、円筒体Dの下方駆動の反力をとるための反力ウエイトを、装置本体Bの上方に上向きに支持する。
【0036】
この例の装置本体Bにおいては、4つの垂直方向駆動体18の上下可動部18aにおける昇降フレーム部12の上方に突出した4つの円形水平面状の上端部(垂直方向駆動体18の上端部)が第1ウエイト支持部20であり、昇降フレーム部12の長辺に沿って両上下可動部18aのそれぞれ内方位置において昇降フレーム部12から上方に突出した装置本体吊り下げ用の4つの掛止突部24の各上端部が第2ウエイト支持部22である。
【0037】
第1ウエイト支持部20の位置は、
装置本体Bにおける円筒体保持部14の垂直方向中心軸線を中心とする平面視長方形状部分(装置本体B全体)の4隅位置に該当すると共に、
円筒体保持部14の垂直方向中心軸線を通る垂直面のうち装置本体Bの長辺又は短辺に平行なものに対し対称な4つの位置であって、その垂直方向中心軸線に対し対称な一対の位置(2回回転対称位置)を2対構成するものにも該当し、
円筒体保持部14に垂直状に保持され得る最大径の円筒体に、その円筒体の直径を隔てて外接する装置本体Bの長辺に平行な一対の垂直面の外側の2つの領域のうち、前記一対の平行な垂直面に直交すると共に前記最大径の円筒体にその円筒体の直径を隔てて外接する装置本体Bの短辺に平行な一対垂直面の外側に位置する4つの領域のそれぞれに少なくとも一部が位置するものにも該当する。
【0038】
第2ウエイト支持部22の位置は、
装置本体Bにおける円筒体保持部14の垂直方向中心軸線を中心とする平面視長方形状部分(装置本体Bの一部)の4隅位置に該当すると共に、
円筒体保持部14の垂直方向中心軸線を通る垂直面のうち装置本体Bの長辺又は短辺に平行なものに対し対称な4つの位置であって、その垂直方向中心軸線に対し対称な一対の位置(2回回転対称位置)を2対構成するものにも該当する。
【0039】
この第1ウエイト支持部20及び第2ウエイト支持部22に対しては、その上方に障害となるものがないため、反力ウエイトを上方から載荷し得ると共に上方に除荷し得る。
【0040】
第1ウエイト支持部20と第2ウエイト支持部22の上側の高さ位置は同じであり、円筒体保持部14の上側の高さ位置にその円筒体保持部14の軸線方向長さ(この例においては、ほぼ昇降フレーム部12の高さ)の2分の1以下の長さを加えた高さ位置である。
【0041】
反力ウエイトは、第1ウエイト支持部20と第2ウエイト支持部22において上向きに支持されることにより、垂直方向駆動体18のうち対象円筒体Dに下方駆動力を伝える上下可動部18aに対し、第1ウエイト支持部20より直接に、また第2ウエイト支持部22より昇降フレーム部12を介して間接に、下向き押圧力を載荷する。
【0042】
(2-5) 装置本体Bは、円筒体保持部14の垂直方向中心軸線が鉛直方向又はその他の必要方向となるようにするための4つのレベル調整用油圧シリンダ26を、ベースフレーム部10の長辺に沿って両上下可動部18aのそれぞれやや内方に有する。
【0043】
また、装置本体Bの昇降フレーム部12の外周部の複数箇所に、上方に突起する作業用の柵(例えば装置本体Bの上方に1m程度突起する高さの柵)や昇降梯子等を着脱するための柵等着脱部28を有する。
【0044】
(3) 反力ウエイトは、円筒体Dの下方駆動の反力をとるために、第1ウエイト支持部20と第2ウエイト支持部22により装置本体Bの上方に上向きに支持され得るものであり、一段目用の反力ウエイトC1の上に二段目以降用の反力ウエイトC2を1層又は2層若しくはそれ以上積層して使用することができるほか、一段目用の反力ウエイトC1を単層で使用することもできる。一段目用の反力ウエイトC1及び二段目以降用の反力ウエイトC2の重量は、それぞれ、装置本体の重量の約35乃至80%である。
【0045】
一段目用の反力ウエイトC1は、装置本体Bの平面視形状にほぼ対応する平面視長方形状の厚板状をなす。一段目用の反力ウエイトC1の四隅は、外側に凸のほぼ90度中心角にわたる湾曲形状であり、中央部に、円筒体保持部14の内側に対応するかそれよりも大径の上下貫通円孔50を有する。一段目用の反力ウエイトC1の各長辺に沿った位置の中央部と端部の間には、それぞれ、上下に貫通するピン孔52を有し、合計4箇所のピン孔52を有する。また、各長辺の両端部付近に、それぞれ、側方に突起する掛止突起54を有する。
【0046】
更に、一段目用の反力ウエイトC1の四隅部の外側には、それぞれ、第1ウエイト支持部20の外周側に外嵌し得る、ほぼ90度中心角にわたり外側に凸に湾曲した下向きの湾曲立板部56を有する。
【0047】
一段目用の反力ウエイトC1は、装置本体Bの第1ウエイト支持部20及び第2ウエイト支持部22に対し上方から載荷することができ、装置本体Bに対し円筒体保持部14の垂直方向の中心軸線を中心としてバランス良く下向きに載荷される。第1ウエイト支持部20及び第2ウエイト支持部22により適切に支持された状態の一段目用の反力ウエイトC1における4箇所の湾曲立板部56は、それぞれ4つの垂直方向駆動体18の上端部における第1ウエイト支持部20の外周側に外嵌し、装置本体Bから側方にずれることが防がれる。
【0048】
二段目以降用の反力ウエイトC2は、湾曲立板部56を有しないこと以外は一段目用の反力ウエイトC1と同様であり、装置本体Bに対し円筒体保持部14の垂直方向の中心軸線を中心としてバランス良く下向きに載荷される。一段目用の反力ウエイトC1上又は一段目用の反力ウエイトC1上に適切に積層された別の二段目以降用の反力ウエイトC2上に適切に積層された状態において、4箇所のピン孔52に全ての層にわたりピンを貫通させることにより、二段目以降用の反力ウエイトC2が一段目用の反力ウエイトC1に対し側方にずれること及び二段目以降用の反力ウエイトC2同士が側方にずれることが防がれる。
【0049】
第1ウエイト支持部20と第2ウエイト支持部22において上向きに支持された状態の一段目用の反力ウエイトC1の上面又はその一段目用の反力ウエイトC1上若しくは一段目用の反力ウエイトC1上に積層された二段目以降用の反力ウエイトC2の上面若しくはその上に積層された別の二段目以降用の反力ウエイトC2の上面は、作業者がその上で作業を行うための作業面として用いることができる。その場合、必要に応じ前記のような柵や昇降梯子等を柵等着脱部28等に取り付けることができる。
【0050】
[2] 本発明の実施の形態を、上記以外の形態を含めて更に説明する。
【0051】
(1) 本発明の全周回転装置は、装置本体と反力ウエイトを有してなり、円筒体に対し中心軸線まわりの回転駆動と地中等への下方駆動を行うことにより、例えば、円筒体の先端部に設けたビットによる地盤、岩盤、地中構造物等の掘削若しくは切削、円筒体の地盤等への圧入等を行うためのものである。
【0053】
装置本体は、円筒体保持部と回転駆動部と垂直方向駆動体を備えると共にウエイト支持部を有してなる。この装置本体は、好ましくは平面視における中央部に、円筒体保持部の内側を対象円筒体が上下貫通し得る上下貫通状空間を有し、その上下貫通状空間に対象円筒体を円筒体保持部により垂直状に保持し、その円筒体に対し、回転駆動部による中心軸線まわりの回転駆動及び垂直方向駆動体による地中等への下方駆動を行う機能を実現するものである。
【0054】
円筒体(ケーシング)としては、例えば、先端部に設けたビットにより地盤、岩盤、地中構造物等の掘削若しくは切削を行うもの、そのような掘削を行いつつ地中に圧入され、必要に応じ内部に鉄筋が配された上でコンクリートが打設されて杭が形成された後、円筒体が引き抜かれるもの等を挙げることができるが、これらに限られるものではない。
【0056】
円筒体保持部は、対象とする円筒体を垂直状に保持するものであり、例えば、円筒体の外周部を、周方向の複数箇所(例えば、回転体の中心軸線に対し回転対称状をなす2又は3以上の箇所)において又は周方向の70乃至90%以上若しくは全周にわたり、油圧シリンダ等により径方向内方に押圧し又は締め付けて円筒体を保持するものとすることができる。
【0057】
円筒体保持部は、例えば、円筒体を固定的に保持した状態で、垂直方向の回転軸線のまわりに回転し得るよう装置本体に対し支持されたものとすることができる。また円筒体保持部は、装置本体に対し固定した位置で円筒体を垂直状に保持しつつ転動する複数の転動体(例えば各種ベアリング状の転動体)からなるものとすることにより、その円筒体が垂直方向の中心軸線のまわりに回転し得るものとすることもできる。
【0059】
回転駆動部は、円筒体保持部に保持された円筒体を垂直方向の中心軸線のまわりに回転駆動するものであり、例えば、円筒体を固定的に保持した状態の円筒体保持部を円筒体の垂直方向の中心軸線のまわりに回転させることにより円筒体を垂直方向の中心軸線のまわりに回転駆動するものとすることができる。また回転駆動部は、例えば、装置本体に対し固定した位置で円筒体を垂直状に保持しつつ転動する複数の転動体の一部又は全部を回転させることにより円筒体を垂直方向の中心軸線のまわりに回転駆動するものとすることができる。
【0060】
回転駆動部の動力源としては、例えば、油圧モータ、電動機等を、必要な減速機と共に適宜用いることができる。
【0062】
垂直方向駆動体は、円筒体保持部に保持された円筒体に対しその円筒体保持部を介して地中等への下方駆動を行うものであり、円筒体保持部を介して対象円筒体に下方駆動力を伝える上下可動部を有する。なお、円筒体に対し上方駆動を行い得るものであってもよい。垂直方向駆動体は、上下可動部を上下動させることにより、円筒体保持部に保持された円筒体に対し下方駆動又は上方駆動を行い得る。円筒体を下方又は上方に所定長駆動後、必要に応じ、円筒体保持部による円筒体の保持を解除し、上下可動部を上方動又は下方動させて再度円筒体保持部による円筒体の保持を行った上で、上下可動部を下方動又は上方動させることにより、円筒体に対し円筒体保持部を介して更に下方駆動又は上方駆動し得る。
【0063】
装置本体がベースフレーム部を有する場合、垂直方向駆動体の下部又はその他の部分は、例えばベースフレーム部に結合されたものとすることができる。
【0064】
垂直方向駆動体は、円筒体保持部の径方向外方の複数位置(例えば、円筒体保持部の垂直方向中心軸線を通る垂直面に対し対称な2n[nは2以上の整数]以上の位置であってその垂直方向中心軸線に対し対称な一対の位置(2回回転対称位置)をn対構成するもの、円筒体保持部の垂直方向中心軸線を中心とする3回以上の回転対称位置)に有するものとすることができるが、これに限るものではない。
【0065】
垂直方向駆動体を4箇所の位置に有するより具体的な例としては、装置本体における円筒体保持部の垂直方向中心軸線を中心とする平面視方形状部分(長方形状又は正方形状)の4隅位置にそれぞれ垂直方向駆動体を有する場合を挙げることができる。
【0066】
垂直方向駆動体としては、油圧シリンダを利用するものを例示することができる。
【0068】
(2-4-1) ウエイト支持部は、装置本体の上部に位置し、円筒体の下方駆動の反力をとるための反力ウエイトを、装置本体の上部(装置本体のうち非回転部分)において上向きに支持し得るものである。
【0069】
ウエイト支持部は、水平状の面において反力ウエイトを上向きに支持するものであることが好ましいが、これに限るものではない。
【0070】
(2-4-2) ウエイト支持部に対しては、反力ウエイトを上方から載荷し得ると共に上方に除荷し得る構造、を有する。このようなウエイト支持部は、反力ウエイトを、例えば円筒体保持部を含む装置本体の上方に支持するもの、上方に障害となるものがないものとすることができる。
【0071】
(2-4-3) ウエイト支持部の上側の高さ位置は、例えば、円筒体保持部の上側の高さ位置にその円筒体保持部の軸線方向長さ(例えば、円筒体保持部が円筒体の外周部を押圧する部分の軸線方向長さ)を加えた高さ位置以下の位置であるものとすることができる。
【0072】
(2-4-4) 反力ウエイトは、ウエイト支持部において上向きに支持されることにより、垂直方向駆動体のうち対象円筒体に下方駆動力を伝える上下可動部に対し、直接又は間接に下向き押圧力を載荷するものである。
【0073】
上下可動部に対し、直接に下向き押圧力を載荷する例としては、垂直方向駆動体の上下可動部の上端部(一般には、垂直方向駆動体の上端部)が、反力ウエイトを上向きに支持するウエイト支持部である場合を挙げることができる。
【0074】
また上下可動部に対し、間接に下向き押圧力を載荷する例としては、装置本体のうち円筒体保持部を支持し上下可動部に連結する部分(例えば、垂直方向駆動体により昇降し得る昇降フレーム部)にウエイト支持部を有し、そのウエイト支持部に反力ウエイトが上向きに支持されることにより、上下可動部に対し下向き押圧力を載荷するものを挙げることができる。
【0075】
(2-4-5) ウエイト支持部の位置は、円筒体保持部の径方向外方の複数位置(例えば、円筒体保持部の垂直方向中心軸線を通る垂直面に対し対称な2n[nは2以上の整数]以上の位置であってその垂直方向中心軸線に対し対称な一対の位置(2回回転対称位置)をn対構成するもの、円筒体保持部の垂直方向中心軸線を中心とする3回以上の回転対称位置)に有するものとすることができるが、これに限るものではない。
【0076】
ウエイト支持部を4箇所の位置に有するより具体的な例としては、装置本体における円筒体保持部の垂直方向中心軸線を中心とする平面視方形状部分(長方形状又は正方形状)の4隅位置にそれぞれ垂直方向駆動体の上下可動部の上端部等のウエイト支持部を有する場合を挙げることができる。
【0077】
また、円筒体保持部に垂直状に保持され得る最大径の円筒体に、その円筒体の直径を隔てて外接する一対の平行な垂直面の外側の2つの領域のうち、前記一対の平行な垂直面に直交すると共に前記最大径の円筒体にその円筒体の直径を隔てて外接する一対の平行な垂直面の外側に位置する4つの領域のそれぞれに、ウエイト支持部の少なくとも一部が位置するものとすることもできる。
【0078】
(2-5) 装置本体は、円筒体保持部の垂直方向中心軸線が鉛直方向又はその他の必要方向となるようにするためのレベル調整部(例えばレベル調整用油圧シリンダ)を好ましくは複数箇所に有するものとすることができる。
【0079】
また、装置本体の上部外周部等に、上方に突起する作業用の柵(例えば装置本体の上方に1乃至2m程度突起する高さの柵)や昇降梯子等を着脱可能に設けることができる。
【0081】
反力ウエイトは、円筒体の下方駆動の反力をとるために、ウエイト支持部により装置本体の上部において上向きに支持され得るものである。
【0082】
反力ウエイトは、装置本体に対し円筒体保持部の垂直方向の中心軸線を中心としてバランス良く(例えば前後方向及び左右方向にバランス良く)下向きに載荷されるものであることが望ましい。このような反力ウエイトは、例えば、円筒体保持部に対応する円筒体挿通部を開口し、単一で使用されるもの、又は、円筒体保持部に対応する円筒体挿通部を開口し、単層で若しくは複数積層して使用されるものとすることができる。尤も、反力ウエイトは、例えば、互いに積層しない複数のウエイトが一組として使用されるもの、又は、互いに積層しない一組の複数のウエイトが、単層で若しくは複数組が積層して使用されるものとすることもできる。
【0083】
反力ウエイトの重量(単一で使用されるものの重量、互いに積層しない複数のウエイトが一組として使用されるものの一組の重量、単層で若しくは複数積層して使用されるものの一層の重量、又は、互いに積層しない一組の複数のウエイトが、単層で若しくは複数組が積層して使用されるものの一層を構成する一組の重量)は、装置本体の自重の例えば20%以上、好ましくは40%以上又は50%以上とすることができ、装置本体の自重の例えば200%以下、好ましくは150%以下又は120%以下とすることができる。
【0084】
反力ウエイトは、より具体的には、例えば厚板状のものとすることができるが、これに限るものではない。
【0085】
また、このような厚板状の反力ウエイトの平面視の外形は、装置本体の平面視の外形にほぼ沿ったものとすることができるが、これに限るものではない。
【0086】
反力ウエイトおよび/または装置本体には、反力ウエイトが、ウエイト支持部により装置本体の上部の所定位置において上向きに支持(一般的には上向きに載置)された状態で、所定位置から装置本体の側方へずれることを防ぐズレ防止部を備えるものとすることができる。
【0087】
このようなズレ防止部の具体的な例としては、反力ウエイトと装置本体のそれぞれにおける対応する複数箇所に上下貫通のピン孔を設け、反力ウエイトをウエイト支持部により支持した状態で各箇所の反力ウエイトと装置本体のピン孔にピンを貫通させた状態とすることにより側方ずれを防ぐものを挙げることができる。また他の例としては、反力ウエイトの外形が平面視方形状又はその他の凸多角形状をなし、その複数の隅部がウエイト支持部上に支持される場合、反力ウエイトのうちウエイト支持部上に支持される隅部の下側に、それぞれ、ウエイト支持部の外周側に外嵌し得る外側に凸の下向き湾曲立板部又は折曲立板部をズレ防止部として備えるもの、又は、ウエイト支持部における反力ウエイトの隅部を支持する箇所に、それぞれ、反力ウエイトの外周側に外嵌し得る外側に凸の上向き湾曲立板部又は折曲立板部をズレ防止部として備えるものを挙げることができる。
【0088】
反力ウエイトが複数積層して使用されるものの場合は、積層した反力ウエイト同士が側方へずれることを防ぐズレ防止部を備えるものとすることができる。このようなズレ防止部の具体的な例としては、積層される複数の反力ウエイトのそれぞれにおける対応する複数箇所に上下貫通のピン孔を設け、反力ウエイトを積層した状態で各箇所の積層した反力ウエイトのピン孔にピンを貫通させた状態とすることにより側方ずれを防ぐものを挙げることができる。
【0089】
ウエイト支持部において上向きに支持された状態の反力ウエイトの上側又は複数積層して使用される反力ウエイトの各層の上側若しくは最上層の上側は、作業者がその上で作業を行うための作業域として用いることができる。その場合、必要に応じ前記のような柵や昇降梯子等を装置本体の上部外周部等に取り付けることができる。