(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明に係る分散体組成物は、(A)分散質粒子と(B)分散剤と(C)重合性化合物とを含有し、(A)分散質粒子は、平均粒径が50nm以下の金属酸化物微粒子であり、(B)分散剤は、式(1)で示されるように、炭素数が3〜24の直鎖アルキル基もしくは炭素数3〜24の直鎖アルケニル基である疎水性基Rと、炭素数1〜4のオキシアルキレン基である(AO)
n (nは、アルキレンオキシドの平均付加モル数であり、5〜30の範囲内の数値である)とが、酸素原子を介して結合しているとともに、(AO)
n が、連結基Xを介してカルボキシル基(COOH)に結合している化学構造を有している。
【0017】
以下、本発明に係る分散体組成物の代表的な一例、並びに、本発明に係る分散体組成物を硬化させた硬化物、および、本発明に係る分散体組成物を硬化させた層を含む積層体の代表的な一例について具体的に説明する。
【0018】
[(A)分散質粒子]
本発明に係る分散体組成物が含有する(A)分散質粒子は、平均粒径が50nm未満の金属酸化物微粒子であればよい。金属酸化物微粒子を構成する金属酸化物は特に限定されないが、例えば、酸化チタン(チタニア)、酸化アルミニウム(アルミナ)、酸化ジルコニウム(ジルコニア)、酸化マグネシウム(マグネシア)、酸化ケイ素(シリカ)等の単酸化物;チタン酸カリウム、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸鉛、チタン酸アルミニウム、チタン酸リチウム、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、酸化インジウムスズ(ITO)等の複合酸化物等を挙げることができる。これら金属酸化物は、(A)分散質粒子として1種類のみが用いられてもよいし2種類以上を適宜組み合わせて用いられてもよい。
【0019】
(A)分散質粒子として用いられる金属酸化物微粒子の具体的な構成は特に限定されないが、その平均粒径が50nm未満であればよい。平均粒径が50nm以上であれば、得られる硬化物の透明性の低下、ヘイズの上昇、表面平滑性の低下が生じる可能性がある。金属酸化物微粒子の平均粒径の下限値は特に限定されないが、例えば1nm以上であればよい。したがって、金属酸化物微粒子の代表的な平均粒径の範囲としては、1nm以上50nm未満を挙げることができ、さらに1〜40nmの範囲内を挙げることができる。
【0020】
さらに、金属酸化物微粒子は、結晶状であってもアモルファス状であってもよく、また、等方性粒子であっても異方性粒子であってもよく、繊維状であってもよい。さらに、金属酸化物微粒子は、一般的な粉末状であってもよいし、微粒子ゾルであってもよい。金属酸化物微粒子が微粒子ゾルであれば、他の成分の種類または配合量等にもよるが、良好な光学性能と良好な表面平滑性との双方を実現することが可能となる。例えば、後述する実施例では、(A)分散質粒子として、酸化ジルコニウムの微粒子ゾル(酸化ジルコニウムゾル)を用いている。
【0021】
(A)分散質粒子としての微粒子ゾルの製造方法は特に限定されず、公知の湿式合成法(あるいは乾式合成法)で製造した金属または半金属の微粒子を、公知の溶媒等を用いて懸濁液を調製してゾル化する等の公知の方法を用いて製造することができる。さらに、本発明では、後述するように、市販の微粒子ゾルを(A)分散質粒子として用いることもできる。
【0022】
(A)分散質粒子として用いられる金属酸化物微粒子の製造方法(調製方法)は、特に限定されず、公知の方法を好適に用いることができる。例えば、代表的な製造方法として、粗大粒子を機械的に解砕、微細化していくトップダウン方式;いくつかの単位粒子を生成させ、それが凝集したクラスター状態を経由して粒子が形成されるボトムアップ方式;の2種類の方式の製造方法を挙げることができるが、いずれの方法で調製されたものであってもよい。また、これら方式の製造方法は、湿式法または乾式法のいずれであってもよい。また、これら方式の製造方法で用いられる媒体としては、水系であっても非水系であっても気層であってもよい。
【0023】
また、ボトムアップ方式には、物理的方法と化学的方法があるが、いずれの方法によるものであってもよい。物理的方法の代表例としては、バルク金属を不活性ガス中で蒸発させ、ガスとの衝突により冷却凝縮させてナノ粒子を生成するガス中蒸発法が挙げられる。また、化学的方法の代表例としては、液相還元法(液相中で保護剤の存在下で金属イオンを還元し、生成した0価の金属をナノサイズで安定化させる方法)、金属錯体の熱分解法等が挙げられる。液相還元法のより具体的な例としては、化学的還元法、電気化学的還元法、光還元法、または化学的還元法と光照射法とを組み合わせた方法等を挙げることができる。
【0024】
なお、本発明に係る分散体組成物は、後述するように、(A)分散質粒子としての金属酸化物微粒子、(B)分散剤、および(C)重合性化合物を混合攪拌することにより調製(製造)することができるが、(B)分散剤は、トップダウン方式またはボトムアップ方式での金属酸化物微粒子の製造工程中で使用することができる。また、前述した各種の方式または方法を採用して金属酸化物微粒子を製造する際には、その製造工程で用いた媒体中から金属酸化物微粒子を取り出すために、保護剤を使用することができる。保護剤は、金属酸化物微粒子の表面を修飾する表面修飾剤、あるいは、金属酸化物微粒子の表面を保護する表面保護剤等を挙げることができる。これら保護剤により表面が被覆されるか、これら保護剤により含浸されることにより、媒体中から金属酸化物微粒子を安定的に取り出すことができる。ここで、(B)分散剤は、この保護剤としても使用することができる。
【0025】
[(B)分散剤]
本発明に係る分散体組成物が含有する(B)分散剤は、前記式(1)に示される化学構造を有する化合物である。
【0027】
式(1)の化合物における疎水性基Rは、炭素数3〜24であって直鎖のアルキル基もしくはアルケニル基であり、例えば、アルコール由来の炭化水素基であればよい。疎水性基Rがアルコール由来である場合、原料アルコールは、単一種類のアルコール(つまり、炭素数が全て同じアルコール)であってもよいし、異なる炭素数のアルコールの混合物であってもよい。また、原料アルコールは合成由来であっても天然由来であってもよく、また、その化学構造は単一組成であっても複数の異性体からなる混合物であってもよい。
【0028】
使用できる原料アルコールは公知のものが選択できるが、具体的には、例えば、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、へプタノール、オクタノール、ノニルアルコール、デシルアルコール、シェルケミカルズ社製の商品名:ネオドール23、ネオドール25、ネオドール45等の合成由来の高級アルコール;オクチルアルコール、デシルアルコール、ラウリルアルコール(1−ドデカノール)、トリデシルアルコール、ミリスチルアルコール(1−テトラデカノール)、セチルアルコール(1−ヘキサデカノール)、ステアリルアルコール(1−オクタデカノール)、オレイルアルコール(cis−9−オクタデセン−1−オール)等の天然由来の高級アルコール;等を代表的な原料アルコールとして好適に用いることができる。これら原料アルコールは、前記の通り、1種類のみを用いてもよいし、2種類以上を混合して用いてもよい。
【0029】
式(1)の化合物におけるオキシアルキレン基(AO)
n は、炭素数1〜4であり、nはアルキレンオキシドの平均付加モル数を示す5〜30の範囲内の数値である。オキシアルキレン基の具体的な単量体構造は特に限定されないが、オキシメチレン(炭素数1)、オキシエチレン(エチレングリコール、炭素数2)、オキシプロピレン(炭素数3)、オキシブチレン(炭素数4)、テトラヒドロフラン(炭素数4)等が挙げられる。オキシブチレンとしては、例えば、1,2−オキシブチレンまたは2,3−オキシブチレンが挙げられる。
【0030】
オキシアルキレン基は、これら単量体構造が1種類のみで構成される単独重合鎖であってもよいし、2種類以上の単量体構造の共重合鎖であってもよい。また、共重合鎖は、ランダム重合鎖であってもブロック重合鎖であってもよく、これらの組合せであってもよい。オキシアルキレン基の重合鎖として、単独重合鎖または種々の共重合鎖を採用することで、式(1)の化合物すなわち(B)分散剤の分散媒(後述する(D)分散助剤)に対する親和性を調整することができる。
【0031】
式(1)の化合物における連結基Xは、炭素原子、水素原子および/または酸素原子からなる連結基である。より具体的には、連結基Xは、炭素原子および水素原子で構成される炭化水素基であってもよいし、酸素原子のみであってもよいし、酸素原子を含む有機基(炭素原子、水素原子および酸素原子で構成される基)であってもよい。
【0032】
連結基Xの具体的な構成は特に限定されず、公知の構造を採用することができる。例えば、飽和炭化水素基、不飽和炭化水素基、エーテル基、カルボニル基、エステル基からなる群から選択される1種類を挙げることができる。また、連結基Xは、環構造(脂環構造、芳香環構造等)を含んでもよく、また、繰り返し単位を含んでもよい。なお、連結基Xに窒素原子、硫黄原子、およびまたはりン原子等が含まれると、(A)分散質粒子に対するカルボキシル基の親和効果を弱める作用がある。そのため、連結基Xは、炭素原子、水素原子および/または酸素原子から構成されることが好ましい。
【0033】
式(1)の化合物は、公知の方法で製造することができる。具体的には、例えば、アルコール、アミン、チオールに公知の方法でアルキレンオキシドを付加した一般的な非イオン界面活性剤化合物を原料として、モノハロゲン化低級カルボン酸またはその塩を用い、塩基存在下でアルキレンオキシド末端の水酸基と反応させる方法、または、酸無水物を用いてアルキレンオキシド末端の水酸基との開環反応による方法等を挙げることができる。もちろん式(1)の化合物の製造方法はこれらに限定されないことは言うまでもない。
【0034】
本発明に係る分散体組成物は、式(1)の化合物を(B)分散剤として含有することで、硬化後の膜状または層状の硬化物において良好な表面平滑性を実現することができる。特に、式(1)の化合物においては、疎水性基Rが直鎖構造を有しているため、この直鎖構造が良好な表面平滑性に寄与する。一方、疎水性基Rが分岐鎖であれば、得られる膜状または層状の硬化物において表面平滑性が低下する。
【0035】
[(C)重合性化合物]
本発明に係る分散体組成物が含有する(C)重合性化合物は、重合性を有し、所定の条件によって重合して硬化する公知の化合物であれば、その具体的な種類は特に限定されない。
【0036】
(C)重合性化合物として使用可能な代表的な化合物としては、分子中にエチレン性不飽和基を有する化合物(エチレン系化合物)、末端にエポキシ基を有する化合物(エポキシ系化合物)、アミノ基を有する化合物、カルボキシル基またはその誘導基を有する化合物、水酸基を有する化合物等を挙げることができる。これら化合物は、分子中に含まれる、重合性に寄与する官能基を基準として分類しているが、一つの化合物の構造中に複数種類の官能基が含まれてもよい。例えば、エチレン系化合物が、エチレン性不飽和基以外にアミノ基またはカルボキシル基等を含んでいてもよい。
また、(C)重合性化合物として使用可能な化合物は、一つの化合物中に同一種類の官能基が1つのみ(単官能)であってもよいし、2つ以上(多官能)であってもよい。さらに、これら化合物は、1種類のみを用いてもよいし、複数種類を組み合わせて用いてもよい。代表的な一例としては、1分子中に1以上のカルボキシル基、および、2以上のエチレン性不飽和基を有する化合物が挙げられる。
【0037】
(C)重合性化合物が重合することによって得られる重合体(樹脂)の種類も特に限定されず、本発明に係る分散体組成物または硬化物の用途、使用条件、製造条件等に応じて適宜選択することができる。また、(C)重合性化合物の重合条件も特に限定されず、(C)重合性化合物として用いられる化合物の種類に応じて、加熱による重合、放射線等の照射による重合、硬化剤を用いた重合(硬化)等を挙げることができる。同様に、重合体の分子量も特に限定されず、前記と同様の種々の条件に応じて適宜設定することができる。
【0038】
(C)重合性化合物として使用可能な化合物の代表的な例としては、カルボン酸基含有不飽和重合性モノマー、カルボン酸基含有不飽和重合性モノマーのアルキルエステル、ビニル化合物、ウレタンアクリレート、およびエポキシ化合物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物を挙げることができる。
【0039】
まず、前記群のうちカルボン酸基含有不飽和重合性モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、マレイン酸およびイタコン酸等を挙げることができる。
【0040】
また、前記群のうちカルボン酸基含有不飽和重合性モノマーのアルキルエステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸−n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸−2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸イソステアリル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸−t−ブチルシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸アダマンチル、(メタ)アクリル酸ビシクロ[3,3,1]ノニル、(メタ)アクリル酸−2−メトキシエチル、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸アリル、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸−3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸−4−ヒドロキシブチル、メトキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、プロポキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、プロポキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシプロピレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシプロピレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、プロポキシプロピレングリコール(メタ)アクリレート、プロポキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート等のモノ(メタ)アクリル酸エステル;エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレンジ(メタ)アクリレート等のジ(メタ)アクリレート化合物;ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート等のトリ(メタ)アクリレート化合物;ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート等のテトラ(メタ)アクリレート化合物;ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ソルビトールヘキサ(メタ)アクリレート等のヘキサ(メタ)アクリレート化合物;等を挙げることができる。
【0041】
また、前記群のうちビニル化合物としては、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、ブタジエン、イソプレン等を挙げることができる。
【0042】
また、前記群のうちウレタンアクリレートは、ポリイソシアネートと水酸基含有(メタ)アクリレートとを反応させたものである。まず、ウレタンアクリレートに使用可能なポリイソシアネートとしては、例えば、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ポリフェニルメタンポリイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、リジントリイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、水添化キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、ノルボルネンジイソシアネートおよびこれらの変性体、イソシアネート基末端ウレタンプレポリマー等を挙げることができる。
【0043】
ここで、イソシアネート基末端ウレタンプレポリマーは、ポリイソシアネートとポリオールとを反応させて得られるものであり、例えば、アルキレングリコール、トリメチロールアルカン、グリセリン、ペンタエリスルトール等のポリオール化合物;ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカプロラクトンポリオール、ポリオレフィンポリオール、ポリブタジエンポリオール、ポリカーボネートポリオール等のポリマー化合物;等を挙げることができる。
【0044】
次に、ウレタンアクリレートに使用可能な水酸基含有(メタ)アクリレートは、分子中に1個以上の水酸基を有する(メタ)アクリレート系化合物であればよい。このような(メタ)アクリレート系化合物としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリロイルホスフェート、2−(メタ)アクリロイロキシエチル−2−ヒドロキシプロピルフタレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−アクリロイロキシプロピル(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、シクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
【0045】
また、前記群のうちエポキシ化合物としては、代表的には、分子内に2つ以上のエポキシ基を有するものを挙げることができる。このようなエポキシ化合物としては、例えば、ポリグリシジルエーテル、グリシジルエーテルエステル、ポリグリシジルエステル、グリシジルアミノグリシジルエーテル、グリシジルアミノグリシジルエステル、グリシジルアミン等を挙げることができる。
【0046】
これらエポキシ化合物のうちポリグリシジルエーテルとしては、例えば、多価フェノール化合物とエピクロルヒドリンとを反応させて得られる芳香族ポリグリシジルエーテル、脂肪族多価アルコールとエピクロルヒドリンとを反応させて得られる脂肪族ポリグリシジルエーテル、脂環族ポリグリシジルエーテル等を挙げることができる。
【0047】
これらのうち、芳香族ポリグリシジルエーテルに用いられる多価フェノール化合物としては、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、テトラメチルビスフェノールA、ジアリールビスフェノールA、ハイドロキノン、カテコール、レゾルシン、クレゾール、テトラブロモビスフェノールA、トリヒドロキシビフェニル、ベンゾフェノン、ビスレゾルシノール、ビスフェノールヘキサフルオロアセトン、テトラメチルビスフェノールA、テトラメチルビスフェノールF、トリス(ヒドロキシフェニル)メタン、ビキシレノール、フェノールノボラック、クレゾールノボラック等を挙げることができる。
【0048】
また、脂肪族ポリグリシジルエーテルに用いられる脂肪族多価アルコールとしては、例えば、グリセリン、ネオペンチルグリコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキシレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等を挙げることができる。
【0049】
また、脂環族ポリグリシジルエーテルとしては、グリシジルヘキサヒドロビスフェノールA、3,4−エポキシシクロヘキセニルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキセンカルボキシレート、1,3,5−トリス(2,3−エポキシプロピル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン等を挙げることができる。
【0050】
また、前記エポキシ化合物のうちグリシジルエーテルエステルとしては、例えば、ヒドロキシカルボン酸とエピクロルヒドリンとを反応させて得られるものを挙げることができる。ヒドロキシカルボン酸としては、例えば、p−オキシ安息香酸、β−オキシナフトエ酸等を挙げることができる。
【0051】
また、前記エポキシ化合物のうちポリグリシジルエステルとしては、例えば、ポリカルボン酸とエピクロルヒドリンとを反応させて得られるものを挙げることができる。ポリカルボン酸としては、例えば、フタル酸、メチルフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、テトラハイドロフタル酸、エンドメチレンテトラハイドロフタル酸、エンドメチレンヘキサハイドロフタル酸、トリメリット酸、重合脂肪酸等を挙げることができる。
【0052】
また、前記エポキシ化合物のうちグリシジルアミノグリシジルエーテルとしては、例えば、アミノフェノール、アミノアルキルフェノールとエピクロルヒドリンとを反応させて得られるものを挙げることができる。
【0053】
また、前記エポキシ化合物のうちグリシジルアミノグリシジルエステルとしては、例えば、アミノ安息香酸とエピクロルヒドリンとを反応させて得られるものを挙げることができる。
【0054】
また、前記エポキシ化合物のうちグリシジルアミンとしては、例えば、アミン化合物とエピクロルヒドリンとを反応させて得られるものを挙げることができる。アミン化合物としては、アニリン、トルイジン、トリブロムアニリン、キシリレンジアミン、ジアミノシクロヘキサン、ビスアミノメチルシクロヘキサン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン等を挙げることができる。
【0055】
本発明に係る分散体組成物では、これら(C)重合性化合物としては、1種類のみが用いられてもよいし、2種類以上を適宜組み合わせて混合物が用いられてもよい。また、(C)重合性化合物が前記群のエポキシ化合物である場合に、これらエポキシ化合物の合成反応に用いられる、多価フェノール化合物、脂肪族多価アルコール、ヒドロキシカルボン酸、ポリカルボン酸、アミノフェノール化合物、アミン化合物等も、1種類のみが用いられてもよいし、2種類以上を適宜組み合わせた混合物が用いられてもよい。
【0056】
(C)重合性化合物の重合反応は特に限定されず、公知の光重合反応、熱重合反応等を採用すればよい。これら重合反応においては公知の重合条件を採用すればよい。また、これら重合反応においては公知の重合開始剤を用いればよい。
【0057】
具体的には、光重合開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン系重合開始剤、アセトフェノン系重合開始剤、アントラキノン光重合開始剤等を挙げることができる。また、熱重合開始剤としては、例えば、アゾ系重合開始剤、置換エタン系重合開始剤、レドックス系重合開始剤等を挙げることができる。レドックス系重合開始剤は、過硫酸塩、過酸化物等の過酸化物系開始剤と、亜硫酸塩、亜酸水素塩、金属塩などの還元剤とを組み合わせたものであればよい。重合開始剤の使用量は特に限定されず、公知の範囲内であればよい。代表的には、(C)重合性化合物100質量部に対して、重合開始剤0.005〜10質量部の範囲内を挙げることができる。
【0058】
また、(C)重合性化合物としてエポキシ化合物を用いる場合には、公知の硬化剤を用いることができる。具体的な硬化剤としては、例えば、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、トリアルキルテトラヒドロ無水フタル酸、水素化メチルナジック酸無水物な等の脂肪族酸無水物を挙げることができる。
【0059】
[その他の成分]
本発明に係る分散体組成物には、前述した(A)分散質粒子としての金属酸化物微粒子、(B)分散剤、および(C)重合性化合物以外の成分が含まれもよい。その他の成分としては、具体的には、例えば、界面活性剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、帯電防止剤、レベリング剤、消泡剤等のように分散体組成物の分野で公知の様々な添加剤を挙げることができる。本実施の形態では、代表的なその他の成分として、例えば、(A)分散質粒子の分散性をより良好なものとするために(D)分散助剤を用いることができる。この(D)分散助剤としては、(A)〜(C)成分の種類、物性、使用条件等に応じて、公知の溶媒を適宜選択して用いることができる。
【0060】
(D)分散助剤として使用可能な溶媒としては、具体的には、例えば、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、t−ブチルアルコール、ヘプタノール、n−アミルアルコール、sec−アミルアルコール、n−ヘキシルアルコール、テトラヒドロフルフリルアルコール、フルフリルアルコール、アリルアルコール、エチレンクロロヒドリン、オクチルドデカノール、1−エチル−1−プロパノール、2−メチル−1−ブタノール、イソアミルアルコール、t−アミルアルコール、sec−イソアミルアルコール、ネオアミルアルコール、ヘキシルアルコール、2−メチル−1−ペンタノール、4−メチル−2−ペンタノール、ヘプチルアルコール、n−オクチルアルコール、2−エチルヘキシルアルコール、ノニルアルコール、デシルアルコール、ウンデシルアルコール、ラウリルアルコール、シクロペンタノール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール、α−テルピネオール、ターピネオールC、L−α−ターピネオール、ジヒドロターピネオール、ターピニルオキシエタノール、ジヒドロターピニルオキシエタノール、シクロヘキサノール、3−メトキシブタノール、ジアセトンアルコール、1,4−ブタンジオール、オクタンジオール等のアルコール系溶媒;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒;n−ヘキサン、シクロヘキサン、n−ヘプタン等の炭化水素系溶媒;塩化メチレン、クロロホルム、ジクロロエタンなどのハロゲン化炭化水素系溶媒;エチルエーテル、イソプロピルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、ジブチルエーテル、ブチルエチルエーテル、メチル−t−ブチルエーテル、ターピニルメチルエーテル、ジヒドロターピニルメチルエーテル、ジグライム1,3−ジオキソラン等のエーテル系溶媒;アセトン、アセトフェノン、メチルエチルケトン、メチルプロピルケトン、ジエチルケトン、メチルn−ブチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジプロピルケトン、ジイソブチルケトン、メチルアミルケトン、アセトニルアセトン、イソホロン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、2−(1−シクロヘキセニル)シクロヘキサノンメチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、イソホロン等のケトン系溶媒;ギ酸エチル、ギ酸プロピル、ギ酸ブチル、ギ酸イソブチル、ギ酸ペンチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、酢酸sec−ブチル、酢酸(イソ)アミル、酢酸シクロヘキシル、乳酸エチル、酢酸3−メトキシブチル、酢酸sec−ヘキシル、酢酸2−エチルブチル、酢酸2−エチルヘキシル、酢酸ベンジル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、モノクロロ酢酸メチル、モノクロロ酢酸エチル、モノクロロ酢酸ブチル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、プロピオン酸ブチル、プロピオン酸イソアミル、γ−ブチロラクトン等のエステル系溶媒;エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノn−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノn−プロピルエーテル、プロピレングリコールモノn−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノn−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノn−ブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノn−プロピルエーテル、トリエチレングリコールモノn−ブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールモノn−プロピルエーテル、トリプロピレングリコールモノn−ブチルエーテルなどのグリコールエーテル系溶媒、並びに、これらモノエーテル類の酢酸エステル系溶媒(例えば、後述する実施例14で用いたプロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等);ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルイソブチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテルなどのジアルキルエーテル系溶媒;エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、へキシレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどのグリコール系溶媒;ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド等のアミド系溶媒;等を挙げることができる。これら溶媒は1種類のみが(D)分散助剤として用いられてもよいし、2種類以上が適宜組み合わせられて(D)分散助剤として用いられてもよい。
【0061】
なお、(C)重合性化合物の種類によっては、(D)分散助剤として水が使用可能であることは言うまでもない。また、(D)分散助剤として水を用いる場合には、水と混和可能な極性有機溶媒を併用することもできる。
【0062】
[分散体組成物、硬化物、および積層体]
本発明に係る分散体組成物は、前述した(A)〜(C)の各成分、並びに、必要に応じて(D)分散助剤等の他の成分を所定の組成で配合し、(A)分散質粒子としての金属酸化物微粒子が十分に分散するまで攪拌または均一化すればよい。金属酸化物微粒子を分散させるための分散装置としては、具体的には、例えば、2本ロール、3本ロール等のロールミル;ボールミル、振動ボールミル等のボールミル;ペイントシェーカー;連続ディスク型ビーズミル、連続アニュラー型ビーズミル等のビーズミル;サンドミル;ジェットミル;等を挙げることができるが、特に限定されない。また、超音波発生浴の中で分散処理を行うこともできる。
【0063】
本発明に係る分散体組成物において、前述した(A)〜(C)の各成分の配合量(含有量または添加量)は特に限定されず、各成分の種類、物性、分散体組成物の用途等の諸条件に応じて、適宜好適な範囲を設定することができる。このうち(B)分散剤については、(A)分散質粒子としての金属酸化物微粒子を良好に分散させるために、所定の範囲内で配合することができる。
【0064】
具体的には、分散体組成物の全固形分を100質量%としたときに、(B)分散剤の配合量は、全固形分の3〜30質量%の範囲内であればよく、4〜20質量%の範囲内であるとより好ましい。(B)分散剤の配合量が全固形分に対して少なすぎると、前記諸条件にもよるが得られる硬化物の表面平滑性が低下する場合がある。また、(B)分散剤の配合量が全固形分に対して多すぎると、前記諸条件にもよるが、得られる硬化物の透明性が低下し、当該硬化物の物性(例えば、後述する耐擦傷性、耐アルカリ性等)が十分でなくなる場合がある。
【0065】
なお、分散体組成物の全固形分とは、(A)分散質粒子、(B)分散剤、および(C)重合性化合物の全配合量に相当する。
【0066】
また、(A)分散質粒子である金属酸化物微粒子の配合量も特に限定されないが、例えば、分散体組成物の全量を100質量%としたときに、0.5〜80質量%の範囲内であればよい。前記諸条件にもよるが、金属酸化物微粒子がこの範囲内であれば、得られる硬化物の光学特性および物性を良好なものにできるとともに、(B)分散剤との組合せにより表面平滑性の向上にも寄与することができる。
【0067】
同様に、(C)重合性化合物の配合量も特に限定されないが、例えば、分散体組成物の全量を100質量%としたときに、10〜90重量%の範囲内であればよい。前記諸条件にもよるが、(C)重合性化合物がこの範囲内で配合されれば、得られる膜状または層状の硬化物(硬化膜または硬化層)を形成したときに、(A)分散質粒子を良好に分散した状態で、硬化物として良好な物性を実現することができる。また、(B)分散剤との組合せにより硬化物の表面平滑性の向上にも寄与することができる。
【0068】
なお、(D)分散助剤等のその他の成分は、当該成分の添加により所望の機能を発揮できる範囲内で添加すればよい。
【0069】
本発明に係る分散体組成物は、後述する実施例に示すように、分散体組成物として良好な分散安定性を有するだけでなく、硬化物としたときに、良好な光学特性(高屈折率、高透明性、低ヘイズ等)、表面平滑性、および物性(耐擦傷性、耐アルカリ性)を発揮することができる。特に表面平滑性については、硬化物の算術平均表面粗さ(Sa)を0.1nm〜1.0nmの範囲内にすることが可能となる。
【0070】
それゆえ、本発明に係る分散体組成物を用いて形成される硬化物は、ARフィルムまたはAGフィルム等の高屈折率層、あるいは、IMフィルムの光学調整層等として好適に用いることができる。したがって、本発明に係る硬化物は、基材上に被覆される硬化膜またはコーティング層等として好適に用いることができるとともに、ARフィルム、AGフィルム、IMフィルム等の積層体の光学層としても好適に用いることができる。この光学層は、表面粗さ(Sa)を0.1nm〜1.0nmの範囲内にすることができるので、上層に塗布ムラが発生したり、光学フィルムとして干渉ムラが発生したりするおそれを有効に抑制することができる。
【0071】
もちろん、本発明に係る分散体組成物の用途は、フィルムまたはコーティング層、もしくは積層体の光学層等の膜状物に限定されず、(A)分散質粒子としての金属酸化物微粒子の種類等に応じて、各種の成形物あるいは産業用薬剤等にも好適に用いることができる。
【実施例】
【0072】
本発明について、実施例および比較例に基づいてより具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。当業者は本発明の範囲を逸脱することなく、種々の変更、修正、および改変を行うことができる。なお、以下の実施例および比較例における分散体組成物および硬化物の評価は次に示すようにして行った。
【0073】
(分散体組成物の評価方法)
[平均粒径]
マイクロトラック社(Microtrac Incorporated)製ナノトラック(登録商標)を用いて、得られた分散体組成物中に分散する微粒子の平均粒径を測定して評価した。このとき、小径側から累積50%の粒径を平均粒径とした。
【0074】
[分散安定性]
得られた分散体組成物を50℃で1週間静置した。その後、分散体組成物に何らかの沈降が見られるか否かを目視で確認し、沈降が見られないときを「○」として、沈降が見られるときを「×」として評価した。
【0075】
(硬化物の評価方法)
[全光線透過率およびヘイズ]
日本電色工業株式会社製Haze Meter NDH4000(製品名)を用いて、得られた硬化膜の全光線透過率およびヘイズを測定して評価した。
【0076】
[屈折率]
得られた膜状の硬化物(硬化膜)について、メトリコン社(Metricon Corporation)製プリズムカプラ(製品名)を使用して波長589nmにおける屈折率を測定して評価した。
【0077】
[透明性]
得られた硬化膜の透明性を目視で確認し、濁り、曇り、ムラ等が観察されないときを「○」として、濁り、曇り、ムラ等が観察されるときを「×」として評価した。
【0078】
[表面平滑性]
Bruker社製3次元白色光干渉型顕微鏡Contour GT−K(製品名)を用いて、得られた硬化膜の算術平均表面粗さSaを測定することで、表面平滑性を評価した。
【0079】
[耐アルカリ性]
得られた硬化膜について、2%NaOH水溶液に60℃、3分間浸漬させた後の外観を目視で確認した。硬化膜に濁りまたはムラ等変化が見られないときを「○」として、濁りやムラ等変化が見られるときを「×」として評価した。
【0080】
[耐擦傷性]
得られた硬化膜について、大平理化工業株式会社製ラビングテスター(製品名)を用いて、硬化膜表面に対して200gfの荷重をかけた状態で、スチールウール(日本スチールウール株式会社製、製品名:ボンスター#0000)により当該硬化膜表面を10往復擦った。硬化膜表面における擦り跡またはキズ等による外観の変化を目視で評価し、キズ等が見られないときを「○」として、キズ等が多数見られるときを「×」として評価した。
【0081】
((B)分散剤の製造例)
[製造例1:分散剤Aの合成]
トルエン溶媒中に、ラウリルアルコールエチレンオキシド10モル付加物626g(1モル)およびモノクロロ酢酸ナトリウム151g(1.3モル)を反応器にとり、均一になるよう撹拌した。その後、反応系の温度が60℃の条件で、水酸化ナトリウム52g(1.3モル)を添加した。次いで、反応系の温度を80℃に昇温させ、3時間熟成させた。熟成後、反応系が50℃の条件で98%硫酸117g(1.2モル)を滴下することにより、白色懸濁溶液を得た。次いで、この白色懸濁溶液を蒸留水で洗浄し、溶媒を減圧留去した。これにより、本発明に係る(B)分散剤としての分散剤A(R:直鎖ラウリル基、AO:オキシエチレン、n:10、X:CH
2 )を得た。
【0082】
[製造例2:分散剤Bの合成]
トルエン溶媒中に、ラウリルアルコールエチレンオキシド5モル付加物446g(1モル)およびモノクロロ酢酸ナトリウム151g(1.3モル)を反応器にとり、均一になるよう撹拌した。その後、反応系の温度が60℃の条件で、水酸化ナトリウム52g(1.3モル)を添加した。次いで、反応系の温度を80℃に昇温させ、3時間熟成させた。熟成後、反応系が50℃の条件で98%硫酸117g(1.2モル)を滴下することにより、白色懸濁溶液を得た。次いで、この白色懸濁溶液を蒸留水で洗浄し、溶媒を減圧留去した。これにより、本発明に係る(B)分散剤としての分散剤B(R:直鎖ラウリル基、AO:オキシエチレン、n:10、X:CH
2 )を得た。
【0083】
[製造例3:分散剤Cの合成]
トルエン溶媒中に、ラウリルアルコールエチレンオキシド20モル付加物986g(1モル)およびモノクロロ酢酸ナトリウム151g(1.3モル)を反応器にとり、均一になるよう撹拌した。その後、反応系の温度が60℃の条件で、水酸化ナトリウム52g(1.3モル)を添加した。次いで、反応系の温度を80℃に昇温させ、3時間熟成させた。熟成後、反応系が50℃の条件で98%硫酸117g(1.2モル)を滴下することにより、白色懸濁溶液を得た。次いで、この白色懸濁溶液を蒸留水で洗浄し、溶媒を減圧留去した。これにより、本発明に係る(B)分散剤としての分散剤C(R:直鎖ラウリル基、AO:オキシエチレン、n:10、X:CH
2 )を得た。
【0084】
[製造例4:分散剤Dの合成]
トルエン溶媒中に、プロピルアルコールエチレンオキシド10モル付加物500g(1モル)およびモノクロロ酢酸ナトリウム151g(1.3モル)を反応器にとり、均一になるよう撹拌した。その後、反応系の温度が60℃の条件で、水酸化ナトリウム52g(1.3モル)を添加した。次いで、反応系の温度を80℃に昇温させ、3時間熟成させた。熟成後、反応系が50℃の条件で98%硫酸117g(1.2モル)を滴下することにより、白色懸濁溶液を得た。次いで、この白色懸濁溶液を蒸留水で洗浄し、溶媒を減圧留去した。これにより、本発明に係る(B)分散剤としての分散剤D(R:プロピル基、AO:オキシエチレン、n:10、X:CH
2 )を得た。
【0085】
[製造例5:分散剤Eの合成]
トルエン溶媒中に、C18アルキルアルコールエチレンオキシド10モル付加物710g(1モル)およびモノクロロ酢酸ナトリウム151g(1.3モル)を反応器にとり、均一になるよう撹拌した。その後、反応系の温度が60℃の条件で、水酸化ナトリウム52g(1.3モル)を添加した。次いで、反応系の温度を80℃に昇温させ、3時間熟成させた。熟成後、反応系が50℃の条件で98%硫酸117g(1.2モル)を滴下することにより、白色懸濁溶液を得た。次いで、この白色懸濁溶液を蒸留水で洗浄し、溶媒を減圧留去した。これにより、本発明に係る(B)分散剤としての分散剤E(R:直鎖C18アルキル基、AO:オキシエチレン、n:10、X:CH
2 )を得た。
【0086】
[製造例6:分散剤Fの合成]
トルエン溶媒中に、9−デセン−1−オールエチレンオキシド10モル付加物584g(1モル)およびモノクロロ酢酸ナトリウム151g(1.3モル)を反応器にとり、均一になるよう撹拌した。その後、反応系の温度が60℃の条件で、水酸化ナトリウム52g(1.3モル)を添加した。次いで、反応系の温度を80℃に昇温させ、3時間熟成させた。熟成後、反応系が50℃の条件で98%硫酸117g(1.2モル)を滴下することにより、白色懸濁溶液を得た。次いで、この白色懸濁溶液を蒸留水で洗浄し、溶媒を減圧留去した。これにより、本発明に係る(B)分散剤としての分散剤F(R:直鎖C10アルケニル基、AO:オキシエチレン、n:10、X:CH
2 )を得た。
【0087】
[製造例7:分散剤Gの合成]
トルエン溶媒中に、分岐C11〜14アルキルアルコール(製品名:EXXAL13,エクソンモービル社製)エチレンオキシド10モル付加物640g(1モル)およびモノクロロ酢酸ナトリウム151g(1.3モル)を反応器にとり、均一になるよう攪拌した。その後、反応系の温度を60℃の条件で水酸化ナトリウム52g(1.3モル)を添加した。次いで、反応系の温度を80℃に昇温させ、3時間熟成させた。熟成後、反応系が50℃の条件で98%硫酸117g(1.2モル)を滴下することにより、白色懸濁溶液を得た。次いで、この白色懸濁溶液を蒸留水で洗浄し、溶媒を減圧留去した。これにより、比較分散剤としての分散剤G(R:分岐C11〜14アルキル基、AO:オキシエチレン、n:10、X:CH
2 )を得た。
【0088】
[製造例8:分散剤Hの合成]
オートクレーブに、スチレン化フェノール415g(1モル)、水酸化カリウム1g(0.018モル)を仕込み、均一に混合した。その後、反応系の温度が130℃の条件で、エチレンオキシド352g(8モル)を反応系に滴下した。エチレンオキシドの滴下終了後、この温度で圧力0.1MPaに維持し1時間熟成させて、スチレン化フェノール8EO付加物を得た。トルエン溶媒中に、スチレン化フェノール8EO付加物767g(1モル)およびモノクロロ酢酸ナトリウム152g(1.3モル)を反応器にとり、均一になるよう撹拌した。その後、反応系の温度が60℃の条件で、水酸化ナトリウム52g(1.3モル)を添加した後、反応系の温度を80℃に昇温させ、3時間熟成させた。熟成後、反応系が50℃の条件で98%硫酸117g(1.2モル)を滴下することにより、白色懸濁溶液を得た。次いで、この白色懸濁溶液を蒸留水で洗浄し、溶媒を減圧留去した。これにより、比較分散剤としての分散剤H(R:スチレン化フェニル基、AO:オキシエチレン、n:8、X:CH
2 )を得た。
【0089】
(実施例1)
(A)分散質粒子である金属酸化物微粒子として、市販の酸化ジルコニウムゾルI(堺化学工業株式会社製、製品名:SZR−M、平均粒径:3nm、30重量%のジルコニアを含有するメタノール分散体)を用い、(C)重合性化合物として、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(日本化薬株式会社製、製品名:KAYARAD DPHA)を用い、(B)分散剤として製造例1で製造した分散剤Aを用い、(D)分散助剤として、メチルイソブチルケトン(MIBK)およびプロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME、株式会社クラレ製、製品名:グリコールエーテルPM)を用いた。
【0090】
固形分換算で60質量部の酸化ジルコニウムゾルI、34質量部のジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、6質量部の分散剤A、75質量部のMIBK、75質量部のPGMEをそれぞれ配合して混合し、ロータリーエバポレータを用いてゾル用溶媒(メタノール)を減圧除去し、本発明に係る分散体組成物を調製した。なお、この配合では、分散剤Aの配合量(6質量部)は、分散体組成物の全固形分に対する質量部となっている。この分散体組成物について、前述したように(A)分散質粒子(酸化ジルコニウム粒子)の平均粒径を測定するとともに、分散安定性を評価した。その結果を表1に示す(なお、表1では、酸化ジルコニウムゾルを「ZrO
2 ゾル」と略記している)。
【0091】
得られた分散体組成物を固形分濃度が20重量%になるようにMIBK/PGMEの混合溶媒(質量比1/1)で希釈した後、分散体組成物の全固形分を100質量%としたときに、光重合開始剤(BASFジャパン株式会社製、製品名(登録商標):イルガキュア(Irgacure)184)を3質量%となるように添加した。その後、基材としてポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(東洋紡株式会社製、製品名:A4300)を用い、この基材の表面上に、6μmのバーコーターを用いて分散体組成物を塗布した。
【0092】
その後、90℃×90秒の条件で溶媒を揮発させ、高圧水銀灯にて積算500mJ/cm
2 (酸素濃度0.3%以下)の光を照射することにより、分散体組成物を硬化させた。これによって、本発明に係る硬化物である、膜厚1μmの被膜(硬化膜)を形成した。この硬化物について、前述したように、光学特性(全光線透過率、ヘイズ、透明性、屈折率)を評価するとともに、表面平滑性(表面粗さSa)および物性(耐アルカリ性および耐擦傷性)について評価した。その結果を表2に示す。
【0093】
(実施例2)
(B)分散剤としての分散剤Aの配合量を分散体組成物の全固形分に対して3質量部とした以外は、前記実施例1と同様にして本発明に係る分散体組成物およびその硬化物を得た。分散体組成物の平均粒径および分散安定性の結果を表1に、硬化物の光学特性、表面平滑性、および物性の結果を表2に示す。
【0094】
(実施例3)
(B)分散剤としての分散剤Aの配合量を分散体組成物の全固形分に対して12質量部とした以外は、前記実施例1と同様にして本発明に係る分散体組成物およびその硬化物を得た。分散体組成物の平均粒径および分散安定性の結果を表1に、硬化物の光学特性、表面平滑性、および物性の結果を表2に示す。
【0095】
(実施例4)
(B)分散剤として、分散剤Aに代えて製造例2で製造した分散剤Bを同量用いた以外は、前記実施例1と同様にして本発明に係る分散体組成物およびその硬化物を得た。分散体組成物の平均粒径および分散安定性の結果を表1に、硬化物の光学特性、表面平滑性、および物性の結果を表2に示す。
【0096】
(実施例5)
(B)分散剤として、分散剤Aに代えて製造例3で製造した分散剤Cを同量用いた以外は、前記実施例1と同様にして本発明に係る分散体組成物およびその硬化物を得た。分散体組成物の平均粒径および分散安定性の結果を表1に、硬化物の光学特性、表面平滑性、および物性の結果を表2に示す。
【0097】
(実施例6)
(B)分散剤として、分散剤Aに代えて製造例4で製造した分散剤Dを同量用いた以外は、前記実施例1と同様にして本発明に係る分散体組成物およびその硬化物を得た。分散体組成物の平均粒径および分散安定性の結果を表1に、硬化物の光学特性、表面平滑性、および物性の結果を表2に示す。
【0098】
(実施例7)
(B)分散剤として、分散剤Aに代えて製造例5で製造した分散剤Eを同量用いた以外は、前記実施例1と同様にして本発明に係る分散体組成物およびその硬化物を得た。分散体組成物の平均粒径および分散安定性の結果を表1に、硬化物の光学特性、表面平滑性、および物性の結果を表2に示す。
【0099】
(実施例8)
(B)分散剤として、分散剤Aに代えて製造例6で製造した分散剤Fを同量用いた以外は、前記実施例1と同様にして本発明に係る分散体組成物およびその硬化物を得た。分散体組成物の平均粒径および分散安定性の結果を表1に、硬化物の光学特性、表面平滑性、および物性の結果を表2に示す。
【0100】
(実施例9)
(A)分散質粒子として、酸化ジルコニウムゾルIに代えて、株式会社ソーラー製の酸化ジルコニウムゾルII(製品名:NANON5 ZR−010、平均粒径:15nm)を同量用いた以外は、前記実施例1と同様にして本発明に係る分散体組成物およびその硬化物を得た。分散体組成物の平均粒径および分散安定性の結果を表1に、硬化物の光学特性、表面平滑性、および物性の結果を表2に示す。
【0101】
(実施例10)
(A)分散質粒子として、酸化ジルコニウムゾルIに代えて、日産化学工業株式会社製の酸化ジルコニウムゾルIII(製品名:OZ−S30M、平均粒径:30nm)を同量用いた以外は、前記実施例1と同様にして本発明に係る分散体組成物およびその硬化物を得た。分散体組成物の平均粒径および分散安定性の結果を表1に、硬化物の光学特性、表面平滑性、および物性の結果を表2に示す。
【0102】
(実施例11)
(A)分散質粒子として、酸化ジルコニウムゾルIに代えて、新日本電工株式会社製の酸化ジルコニウム粉末I(製品名:PCS60、一次粒径:15nm)を用いた以外は、前記実施例1と同様の成分で同じ配合量とした。そして、これら成分を混合してペイントシェーカーを用いて分散処理することにより本発明に係る分散体組成物およびその硬化物を得た。分散体組成物の平均粒径および分散安定性の結果を表1に、硬化物の光学特性、表面平滑性、および物性の結果を表2に示す。
【0103】
(実施例12)
(C)重合性化合物として、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(日本化薬株式会社製、製品名:KAYARAD DPHA)と、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレンジアクリレート(新中村化学工業株式会社製、製品名:A−BPEF)とを、質量比3/7で混合して併用した以外は、前記実施例1と同様にして本発明に係る分散体組成物およびその硬化物を得た。分散体組成物の平均粒径および分散安定性の結果を表1に、硬化物の光学特性、表面平滑性、および物性の結果を表2に示す。
【0104】
(実施例13)
(C)重合性化合物として、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(日本化薬株式会社製、製品名:KAYARAD DPHA)に代えて、ペンタエリスリトールトリアクリレート(第一工業製薬株式会社製、製品名:PET−3)を用いた以外は、前記実施例1と同様にして本発明に係る分散体組成物およびその硬化物を得た。分散体組成物の平均粒径および分散安定性の結果を表1に、硬化物の光学特性、表面平滑性、および物性の結果を表2に示す。
【0105】
(実施例14)
(D)分散助剤として、MIBKおよびPGMEに代えて、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(株式会社クラレ製、製品名:PGM−AC)を用いた以外は、前記実施例1と同様にして本発明に係る分散体組成物およびその硬化物を得た。分散体組成物の平均粒径および分散安定性の結果を表1に、硬化物の光学特性、表面平滑性、および物性の結果を表2に示す。
【0106】
(比較例1)
(B)分散剤として、分散剤Aに代えて製造例7で製造した分散剤Gを同量用いた以外は、前記実施例1と同様にして比較の分散体組成物およびその硬化物を得た。分散体組成物の平均粒径および分散安定性の結果を表1に、硬化物の光学特性、表面平滑性、および物性の結果を表2に示す。
【0107】
(比較例2)
(B)分散剤として、分散剤Aに代えて製造例8で製造した分散剤Hを同量用いた以外は、前記実施例1と同様にして比較の分散体組成物およびその硬化物を得た。分散体組成物の平均粒径および分散安定性の結果を表1に、硬化物の光学特性、表面平滑性、および物性の結果を表2に示す。
【0108】
(比較例3)
(B)分散剤としての分散剤Aの配合量を分散体組成物の全固形分に対して2質量部とした以外は、前記実施例1と同様にして本発明に係る分散体組成物およびその硬化物を得た。分散体組成物の平均粒径および分散安定性の結果を表1に、硬化物の光学特性、表面平滑性、および物性の結果を表2に示す。
【0109】
(比較例4)
(B)分散剤としての分散剤Aの配合量を分散体組成物の全固形分に対して35質量部とした以外は、前記実施例1と同様にして本発明に係る分散体組成物およびその硬化物を得た。分散体組成物の平均粒径および分散安定性の結果を表1に、硬化物の光学特性、表面平滑性、および物性の結果を表2に示す。
【0110】
(比較例5)
(B)分散剤としての分散剤Aの配合量を分散体組成物の全固形分に対して2質量部とした以外は、前記実施例9と同様にして本発明に係る分散体組成物およびその硬化物を得た。分散体組成物の平均粒径および分散安定性の結果を表1に、硬化物の光学特性、表面平滑性、および物性の結果を表2に示す。
【0111】
(比較例6)
(B)分散剤としての分散剤Aの配合量を分散体組成物の全固形分に対して35質量部とした以外は、前記実施例9と同様にして本発明に係る分散体組成物およびその硬化物を得た。分散体組成物の平均粒径および分散安定性の結果を表1に、硬化物の光学特性、表面平滑性、および物性の結果を表2に示す。
【0112】
(比較例7)
(B)分散剤としての分散剤Aの配合量を分散体組成物の全固形分に対して2質量部とした以外は、前記実施例10と同様にして本発明に係る分散体組成物およびその硬化物を得た。分散体組成物の平均粒径および分散安定性の結果を表1に、硬化物の光学特性、表面平滑性、および物性の結果を表2に示す。
【0113】
(比較例8)
(B)分散剤としての分散剤Aの配合量を分散体組成物の全固形分に対して35質量部とした以外は、前記実施例10と同様にして本発明に係る分散体組成物およびその硬化物を得た。分散体組成物の平均粒径および分散安定性の結果を表1に、硬化物の光学特性、表面平滑性、および物性の結果を表2に示す。
【0114】
(比較例9)
(A)分散質粒子として、酸化ジルコニウムゾルIに代えて、平均粒径が50nmの酸化ジルコニウムゾルIVを同量用いた以外は、前記実施例1と同様にして本発明に係る分散体組成物およびその硬化物を得た。分散体組成物の平均粒径および分散安定性の結果を表1に、硬化物の光学特性、表面平滑性、および物性の結果を表2に示す。
【0115】
【表1】
【0116】
【表2】
【0117】
(実施例および比較例の対比)
表1および表2の結果から明らかなように、実施例1〜14の分散体組成物は、分散安定性に優れており、これら分散体組成物から得られる硬化物は、光学特性が良好で特に屈折率は1.65以上を実現している。また、実施例1〜14の硬化物は、表面粗さSaが0.8nm以下であるため表面平滑性が良好であり、さらに耐アルカリ性および耐擦傷性も良好なものとなっている。
【0118】
これに対して、比較例1および2の分散体組成物では、(B)分散剤である式(1)の化合物の疎水性基Rが分岐鎖であるため、分散安定性には優れているが、硬化物の光学特性に劣り、表面粗さSaも1.0nm以上となっている。また、比較例3、5、および7の分散体組成物では、(B)分散剤の配合量が十分でないため、硬化物の透明性が低く、表面粗さSaが1.0nm以上となっている。
【0119】
また、比較例4、6、8の分散体組成物では、(B)分散剤の配合量が過剰であるため、硬化物のヘイズが1.1以上であり、白化が見られるため透明性が低く、屈折率も1.60と低くなっており、さらに耐アルカリ性および耐擦傷性にも悪影響が生じている。さらに、比較例9の分散体組成物では、(A)分散質粒子の平均粒径が大きいため、屈折率を除く光学特性が低下しており、表面粗さSaも1.3nm以上となっている。
【0120】
このような比較例の分散体組成物における物性は、硬化物をARフィルム、AGフィルムまたはIMフィルム等として用いた場合に、これら光学フィルムの特性を大きく損なうことになる。
【0121】
なお、本発明は前記実施の形態の記載に限定されるものではなく、特許請求の範囲に示した範囲内で種々の変更が可能であり、異なる実施の形態や複数の変形例にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施の形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。