特許第6491500号(P6491500)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6491500
(24)【登録日】2019年3月8日
(45)【発行日】2019年3月27日
(54)【発明の名称】網戸
(51)【国際特許分類】
   E06B 9/52 20060101AFI20190318BHJP
【FI】
   E06B9/52 E
   E06B9/52 A
【請求項の数】5
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-47402(P2015-47402)
(22)【出願日】2015年3月10日
(65)【公開番号】特開2016-166501(P2016-166501A)
(43)【公開日】2016年9月15日
【審査請求日】2017年10月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】000101776
【氏名又は名称】アルメタックス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100122323
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 憲
(74)【代理人】
【識別番号】100067367
【弁理士】
【氏名又は名称】天野 泉
(72)【発明者】
【氏名】中川 智
(72)【発明者】
【氏名】高野 博則
【審査官】 小澤 尚由
(56)【参考文献】
【文献】 特開2016−142055(JP,A)
【文献】 特開2011−247074(JP,A)
【文献】 実開昭58−081267(JP,U)
【文献】 特開2010−159589(JP,A)
【文献】 実開昭50−029739(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 9/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の縦框と一対の横框が組み合わされて枠状に形成される框と、
前記框に張って設けられる網材を備え、
矩形の網戸取付部と、前記網戸取付部より室内側に設けられ、内法の高さと幅が前記網戸取付部の内法における高さおよび幅よりも小さい矩形の開口部と、を有する建物開口部の前記網戸取付部に着脱自在に装着される網戸において、
框内内法の高さと幅の寸法は、前記開口部の内法の高さと幅よりも大きく設定され、
前記縦框および前記横框のいずれか一方は、第一フレームと、第二フレームと、前記第一フレームと前記第二フレームを接続するとともに前記第一フレームに対して奥行方向に回動自在であって前記第二フレームに対して前記奥行方向に回動自在な折畳部材とを有し、
前記折畳部材は、中間で前記奥行方向へ折れ曲がり可能である
ことを特徴とする網戸。
【請求項2】
前記折畳部材は、一端が前記第一フレームに連結される第一連結部と、前記第一連結部の他端に前記奥行方向へ回動自在に連結される第一リンクと、一端が前記第二フレームに連結される第二連結部と、前記第二連結部の他端に前記奥行方向へ回動自在に連結される第二リンクとを有し、前記第一リンクと前記第二リンクとが前記奥行方向へ折れ曲がり可能に連結されている
ことを特徴とする請求項1に記載の網戸。
【請求項3】
前記折畳部材に並列配置されて、前記第一フレームと前記第二フレーム内に移動可能に固定されるスライド棒を備える
ことを特徴とする請求項1または2に記載の網戸。
【請求項4】
前記建物開口部に、前記框の外周側面に対向する取付枠が設けられ、
前記取付枠は、前記框の外周側面に対向する差込穴を有し、
前記一対の縦框および前記一対の横框のうち前記折畳部材を備えていない一方の框の前記網材より室内側に前記框の奥行方向側面に垂直な軸に回転自在に装着されるとともに前記框を前記取付枠に固定するレバーがそれぞれ設けられており、
前記レバーは前記軸に対して一方側に設けられるとともに前記一方の框の内側へ突出可能な持ち手と、前記軸に対して他方側に設けられるとともに前記一方の框の外側へ突出可能なフックとを備え、
前記持ち手を前記一方の框内に収容すると前記フックが前記一方の框の外周側面より外方へ突出し、前記持ち手を前記一方の框の内周側面より内方へ突出させると前記フックが前記一方の框内に収容される
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の網戸。
【請求項5】
前記框の外周側に少なくとも1つの突起を設け
前記取付枠の内周側前記突起に対向する位置に窪みを設け、
前記突起を前記窪みに収容させることにより、前記網戸位置決め
ことを特徴とする請求項に記載の網戸。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、住宅、事務所等の窓枠に用いられ、昆虫等の室内への侵入を防ぐ網戸に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、トイレやキッチンなどの大きな開口をとることができない場所に風や光を取り入れることができる滑り出し窓を採用した住宅等が増えている。
【0003】
このような滑り出し窓を採用する場合、網戸を窓の外側へ設置できないため、網戸を窓(障子)の室内側に設けるようにしている。
【0004】
障子の室内側に網戸を設ける場合、網戸の框が障子の採光部の面積を狭くして、窓の採光性が損なわれてしまうので、網戸の框をサッシ枠に隠す工夫がなされる場合がある。
【0005】
たとえば、特許文献1に開示されたサッシは、建物開口部に取り付けたサッシ枠と、サッシ枠内に開閉自在に設けた障子と、サッシ枠内の障子の室内側に設けた網戸を備えている。また、サッシ枠は、網戸を取り付けるための段部を備えており、この段部と障子との間に網戸の框が装着される。そして、框の内法の長さと幅は、それぞれ、サッシ枠の内法の長さと幅より長いため、室内側正面視で網戸の框が、サッシ枠に隠れて見えないようになっている。
【0006】
また、特許文献1の構造では、室内側からサッシ枠の段部へ網戸の框を取り付け、および取り外しを可能とするため、前記框のうち横框を伸縮させるようになっている。具体的には、横框は、中間で左右に分割されるフレームと、左側と右側のフレーム内にスライド自在に入子式に挿入される挿入部材とを備えている。
【0007】
そして、左右のフレームを接近させると、框の横幅が狭まって、サッシ枠の段部に取り付けた網戸を取り外しでき、また、フレーム同士を接近させて網戸をサッシ枠の開口を通してサッシ枠の上記段部へ配置し、その後、フレーム同士と離間させて框の横幅を広げることでサッシ枠の上記段部へ取り付けできるようになっている。
【0008】
これにより、網戸の框が障子の採光部を遮ることなく、採光性を確保することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2011−247074
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、従来の構造にあっては、左側のフレームと右側のフレームとを挿入部材を介して連結していて、これらフレームを接近、離間させる構造となっている。挿入部材に網を固定してしまうと、左右フレームを接近させることができなくなってしまうので、挿入部材には、網を固定できない。そのため、網が撓むと挿入部材と網との間に隙間が生じて、そこから昆虫等の侵入を許したり、網戸の美観を損なってしまう問題があった。
【0011】
そこで、本発明の目的は、室内側から着脱可能であっても框で障子を遮ることがなく、框の4辺全てに網材を張ることができる網戸の提供である。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記課題を解決するための手段は、一対の縦框と一対の横框が組み合わされて枠状に形成される框と、前記框に張って設けられる網材を備え、建物開口部の網戸取付部に着脱自在に装着される網戸であって、前記縦框および前記横框のいずれか一方は、第一フレームと、第二フレームと、前記第一フレームと前記第二フレームを接続するとともに前記第一フレームに対して奥行方向に回動自在であって前記第二フレームに対して前記奥行方向に回動自在な折畳部材とを有し、前記折畳部材は、中間で前記奥行方向へ折れ曲がり可能であることを特徴とする。また、前記折畳部材は、一端が前記第一フレームに連結される第一連結部と、前記第一連結部の他端に前記奥行方向へ回動自在に連結される第一リンクと、一端が前記第二フレームに連結される第二連結部と、前記第二連結部の他端に前記奥行方向へ回動自在に連結される第二リンクとを有し、前記第一リンクと前記第二リンクとが前記奥行方向へ折れ曲がり可能に連結されているようにしてもよい。
【0013】
また、前記折畳部材に並列配置されて、前記第一フレームと前記第二フレーム内に移動可能に固定されるスライド棒を備えるようにしてもよい。この構成によると、スライド棒が折畳部材の剛性を高めるとともに、スライド棒が第一フレームと第二フレーム内を摺動し、折畳部材の折り曲げ駆動をスムーズにできる。
【0014】
また、前記建物開口部に、前記框の外周側面に対向する取付枠が設けられ、前記取付枠は、前記框の外周側面に対向する差込穴を有し、前記一対の縦框および前記一対の横框のうち前記折畳部材を備えていない一方の框の前記網材より室内側に前記框の奥行方向側面に垂直な軸に回転自在に装着されるとともに前記框を前記取付枠に固定するレバーがそれぞれ設けられており、前記レバーは前記軸に対して一方側に設けられるとともに前記一方の框の内側へ突出可能な持ち手と、前記軸に対して他方側に設けられるとともに前記一方の框の外側へ突出可能なフックとを備え、前記持ち手を前記一方の框内に収容すると前記フックが前記一方の框の外周側面より外方へ突出し、前記持ち手を前記一方の框の内周側面より内方へ突出させると前記フックが前記一方の框内に収容されるようにしてもよい。この構成によると、レバーを回動させるだけで網戸を取付枠に固定でき、また、網戸の取り付け、取り外し時には、レバーの持ち手が把手として利用できるため、取り付け、取り外しが容易にできる。さらに、レバーの持ち手は、網戸の固定時には、框内に収容されるため、室内側正面視では見えず、窓の採光性を損ねない。
【0015】
また、前記框の外周側に少なくとも1つの突起を設け、前記取付枠の内周側前記突起に対向する位置に窪みを設け、前記突起を前記窪みに収容させることにより、前記網戸位置決めるようにしてもよい。前記構成によると、網戸の固定時に框が建物開口部に隠れる位置に容易に位置決めすることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の網戸によれば、室内側から着脱可能であっても框で障子を遮ることがなく、框の4辺全てに網材を張ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本実施の形態に係る窓を示す縦断面図である。
図2】本実施の形態に係る窓を示す横断面図である。
図3】本実施の形態に係る網戸を示す室外側正面図である。
図4(a)】網戸の取り付けの動作を説明する図であって、網戸の取り付けの際に、折畳部材を折り畳んで、幅方向長さを短くしている状態の網戸と、一部切欠いて差込穴と窪みを視認できるようにした取付枠を示す斜視図である。
図4(b)】網戸の取り付けの動作を説明する図であって、レバーのフック部が差込穴に挿入され、網戸が取付枠に仮止めされている状態を示す斜視図である。
図4(c)】網戸の取り付けの動作を説明する図であって、レバーが回動され、網戸が取付枠に固定された状態を示す斜視図である。
図5】レバーの動作を説明する図であって、(a)は、固定の解除状態を示し、(b)は、固定された状態を示す拡大断面図である。
図6】本実施の形態に係る横框の折畳部材とスライド棒の構造を説明する拡大図であって、(a)は、折畳部材が真っ直ぐな状態を示す一部断面平面図であり、(b)は、(a)の縦断面図であり、(c)は、折畳部材が折り畳まれた状態を示す一部断面平面図である。
図7図6(a)にカバーを設けた状態を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、図示した本実施の形態に基づいて、図面を参照しながら説明する。いくつかの図面を通して付された同じ符号は、同じ部品か対応する部品を示す。
【0019】
本実施の形態に係る発明は、いわゆる縦滑り出し窓の網戸として用いられている。ただし、窓の種類は、これに限定されるものではなく、例えば、押し出し窓や外倒し窓などの室内側から、主として、窓外側へ障子が開く窓への適用に向く。
【0020】
図1、2に示すように、本実施の形態に係る網戸2が適用されたサッシは、建物に開口された建物開口11の室内側の縁である矩形の建物開口部11aの内周に沿って取り付けられている枠状の取付枠5と、取付枠5に開閉自在に取り付けられる障子1と、取付枠5の障子1より室内側に着脱自在に設けられる網戸2と、建物開口11の室内側から障子1を開閉できる操作部Hを備えてなる。
【0021】
取付枠5は、実施の形態では、図1図2に示すように、建物開口11の室内側の縁である建物開口部11aの内周に沿って取り付けられる中空の枠体であって、障子取付部5aと、障子取付部5aより室内側に設けられて、その内法の高さおよび幅が、障子取付部5aの内法における高さおよび幅の寸法よりも小さい網戸取付部5bと、網戸取付部5bより室内側に設けられて、その内法の高さおよび幅が網戸取付部5bの内法における高さおよび幅の寸法よりも小さい開口部としての最小開口部5cを備えてなる。よって、障子取付部5aおよび網戸取付部5bは、ともに段状に形成されている。
【0022】
障子1の窓枠1aは、障子取付部5aに開閉自在に取り付けられている。また、網戸取付部5bは、図4(a)に示すように、左右に差込穴5dを有し、下側には2箇所に窪み5e,5eを有している。なお、取付枠5の障子取付部5aと網戸取付部5bが設けられていれば、内部構造は前記したところに限定されない。
【0023】
以下、サッシの開閉動作を簡単に説明する。障子1は取付枠5に対して一端が横方向へスライドおよび回転可能に取り付けられており、取付枠5と障子1とには、操作部Hの操作によって駆動されるアームがヒンジ結合されている。そして、操作部Hでアームを駆動して障子1を窓外側へ押し出すと障子1の一端が取付枠5に対してスライドしつつ、他端が室外側へ開くことで、取付枠5の内法全体を開放できるようになっている。また、反対に、操作部Hを逆方向に駆動させると障子1がアームによって取付枠5側へ引き込まれて、障子1を閉じることができる。なお、障子1を開くための構造は、これに限定されるものではない。
【0024】
障子1は、この場合、窓枠1aに枠状のスペーサ1cを挟んで2枚のガラス板1bを張って形成されてなる。このように、障子1には、2枚のガラス板1b,1b間に空気層が設けられるから、空気層が有する断熱作用で、断熱機能を発揮する。
【0025】
そして、ガラス板1bについては、材質や板厚寸法などについて公知のものが利用されて良く、また、熱線入りとされて結露防止構造とされたり、空気層に対向する面に特殊な金属膜がコーティングされて遮熱性が高められていたりしていても良い。
【0026】
なお、本実施の形態に係る障子1は、ガラス板1bの枚数を2枚にしているが、ガラス板1bの枚数の多少は、この発明の実施を妨げないため、任意の枚数で良い。
【0027】
網戸2は、図3に示すように、一対の縦框3a,3aと一対の横框3b,3bが組み合わされてなる枠状の框3と、網状の面材である網材4と、網材4を縦框3a,3aと横框3b,3bのそれぞれに固定する網戸ロープ10を備えてなる。
【0028】
図2に示すように、縦框3aは、中空のチャンネル材であって、奥行方向の室外側面に2本の突起部3eが設けられている。これらの突起部3eと縦框3aの室外側面とで、溝3cが形成されている。
【0029】
図6(a)、(c)に示すように、横框3bは、左右にそれぞれ設けられた中空の第一フレーム3hと第二フレーム3iと、第一フレーム3hと第二フレーム3iに対して、奥行方向に回動自在に連結されるとともに中間で奥行方向に折り曲げ可能な折畳部材12と、折畳部材12に並列配置され、第一フレーム3hと第二フレーム3i内に移動可能に固定されるスライド棒7を備えている。
【0030】
図3図6(b)に示すように、第一フレーム3hと第二フレーム3iは、室外側端に3本の突起部3fが設けられて、これらの突起部3fと第一フレーム3hおよび第二フレーム3iの室外側端とで内側溝3jと外側溝3kの2つの溝が形成されている。また、図6(a)、(c)に示すように、第一フレーム3hおよび第二フレーム3iの内方には、中空なスライドケース8が収容固定されている。スライドケース8は、筒状であって、第一フレーム3hに対しては、図中左端側に設けられ、第二フレーム3iに対しては、図中右端側に設けられている。さらに、スライドケース8はそれぞれ、終端に内周が縮径された、縮径端部8aを備えている。
【0031】
図6(a)〜(c)に示すように、本実施の形態に係る折畳部材12は、折畳部材12の両端にそれぞれ設けられ、第一フレーム3hと第二フレーム3iの内側溝3j,3jにそれぞれ嵌め込まれて固定される嵌合部12d,12dを有する連結部12a,12aと、一方の第一連結部12a反嵌合部12d側に第一関節12eを介して連結される第一リンク12bと、一端が第一リンク12bに第二関節12fを介して連結されるとともに他端が第三関節12gを介して他方の第二連結部12aの反嵌合部12d側に連結される第二リンク12cとを備えている。第一関節12e、第二関節12fおよび第三関節12gはともに、両側に連結される二つの部材を自身を中心として、奥行方向へ回動可能に連結しており、前記2つの部材を自身を中心として折り畳むようになっている。
【0032】
より詳細には、図6(a)、(c)に示すように、本実施の形態において、第一関節12eおよび第三関節12gは室内側に、第二関節12fは室外側に、それぞれ、肉厚を薄くすることで第一リンク12bおよび第二リンク12cの室外側への回動を可能としている。また、第一リンク12bと第二リンク12cの連結は補強テープの貼付けで補強されてもよい。なお、第一関節12e、第二関節12fおよび第三関節12gの構造はこれに限定されず、例えば、ヒンジ結合等の継手とされてもよい。
【0033】
この構造によると、第一フレーム3hと第二フレーム3iを近づけると、第一関節12eと第三関節12gが奥行方向に回動し、第二関節12fが、奥行き方向に折れ曲がるため、折畳部材12は、図6(c)に示すように、尺取虫動作のように折り畳まれる。
【0034】
また、スライド棒7は、両端部にそれぞれ縮径された縮径部7aを備える丸棒状の部材である。このスライド棒7は、第一フレーム3hと第二フレーム3iの内方に設けられたスライドケース8内に摺動自在に収容されている。スライド棒7は、スライドケース8に対してスライド可能となっており、第一フレーム3hと第二フレーム3iの軸方向への接近および離間をガイドする。スライド棒7の縮径部7aは、スライドケース8の縮径端部8aの内周を通過できるが、それ以外の部位は通過できないようになっている。したがって、スライド棒7に対して、第一フレーム3hと第二フレーム3iの最接近距離を規制してそれ以上の接近を阻止するようになっている。なお、スライド棒7の形状は丸棒状には限定されず、例えば、断面三角状や断面四角状等とされてもよい。
【0035】
また、折畳部材12の連結部12a、第一リンク12b、第二リンク12cには、折畳部材12を真っ直ぐにしたときに、第一フレーム3hおよび第二フレーム3iに設けられている外側溝3kと一連となるがそれぞれ設けられている。
【0036】
そして、折畳部材12の嵌合部12d,12dが、第一フレーム3hおよび第二フレーム3iの内側溝3j,3jにそれぞれ嵌め込まれて固定されることで、折畳部材12と第一フレーム3hおよび第二フレーム3iが一体化されて横框3bが形成される。すると、第一フレーム3hおよび第二フレーム3iの外側溝3kと、連結部12a,12a、第一リンク12b、第二リンク12cに設けられたがつながって、横框3bの室外側端に一連の溝3dが形成される。
【0037】
なお、嵌合部12d,12dを、第一フレーム3hと第二フレーム3iの内側溝3j,3jにそれぞれ嵌め込んで固定するが、接着剤等で嵌合部12dと内側溝3jを接着して分離できないようにしてもよい。
【0038】
また、縦框3aと横框3bは、コーナーブロック13を介装して、連結され、框3を構成している。コーナーブロック13は、框3の四隅に設けられ、縦框3aと横框3b側にそれぞれ突起する挿入部を有するL字状の部材であって、縦框3aと横框3bの内方にコーナーブロック13の挿入部を挿入することで、嵌合されて縦框3aと横框3bを連結できる。
【0039】
また、コーナーブロック13にも室外側面に、縦框3aおよび横框3bと同様の溝3gが設けられており、縦框3aと横框3bをコーナーブロック13を介して連結すると、これらの溝がつながって、框3の四辺全てに一連の溝が設けられる。なお、コーナーブロック13を介さずに直接縦框3aと横框3bを連結してもよい。
【0040】
また、框3の縦框3aの内法の幅寸法、つまり、縦框3a,3a同士の内周面間隔は、取付枠5の最小開口部5cの内法の幅方向の長さよりも長く、横框3b,3b同士の内周面間隔は、取付枠5の最小開口部5cの内法の高さ方向の長さより長く設定される。これにより、網戸2を網戸取付部5bに取り付けると、框3が取付枠5の最小開口部5cに隠されて室内側から見た正面視で、見えなくなり、サッシの採光性を確保することができるとともに美観を損なわない。
【0041】
なお、本実施の形態においては、建物開口部11aの内周に沿って設けられた取付枠5の最小開口部5cによって、框3が隠されているが、取付枠5を設けずに、建物開口部11aの内法の幅方向と高さ方向の長さのみを短くして、框3を隠す段差を作るようにしてもよく、この場合、取付枠5が不要になるため、材料を減らすことができる。
【0042】
また、図3に示すように、横框3bのコーナーブロック13の下端には、それぞれ、突起13a,13aが設けられている。これら突起13a,13aは、框3を網戸取付部5bに嵌めると、突起13a,13aがそれぞれ網戸取付部5bに設けた窪み5e,5eに挿入されるようになっている。
【0043】
網材4は、網状の矩形の面材であって、四隅が縦框3a,3aと横框3b,3bに固定されて、框3の室外側に張られて、昆虫等の室内への侵入を遮断する。また、材質は特に限定されるものではないが、通常の網戸に用いられる網材を使用することができる。これには、例えば、ステンレス鋼、ポリプロピレン、ガラス繊維、ポリ塩化ビニル、ポリエステル等による網材を挙げることができる。
【0044】
網戸ロープ10は、環状に形成されたロープであって、縦框3a,3aの室外側面に設けられた溝3cと、横框3b,3bの室外側面に設けられた溝3dに網材4の四隅を巻き付けた状態で、網戸ロープ10を溝3c,3dに挿入することで、網材4を、框3に固定している。
【0045】
なお、網戸ロープ10の材質は特に限定されないが、網戸ロープ10は、上述の通り、縦框3aおよび横框3bの室外側に設けられた溝3c,3dに挿入されるため、柔軟性のある材料、例えばゴム系の材料であることが好ましい。
【0046】
上述した構成を備える網戸2は、折畳部材12を折り畳んで、横框3bを尺取虫動作のように折り畳んで第一フレーム3hと第二フレーム3iを接近させることで、框3の幅寸法を狭めることができる。
【0047】
また、框3には、四辺全てに一連の溝が設けられているため、網材4を四辺全てに固定できる。
【0048】
また、図7に示すように、本実施の形態に係る横框3b,3bには、コの字状のカバー14が、折畳部材12とスライド棒7を囲むようにして設けられている。カバー14は、カバー14の開口部が折畳部材12側に、底部がスライド棒7側になるように設けられており、折畳部材12が、折り畳まれるのを邪魔しない。
【0049】
また、図4(b)、図5(a)、(b)に示すように、本実施の形態に係る縦框3a,3aは、縦框3a,3a同士が対向する面である内周面に収容部3lと一対のレバー6,6を備えている。このレバー6は、縦框3a内で固定される軸6cを境に内周側に延びる一端と外周側に延びる他端にそれぞれ持ち手6aとフック6bを有している。軸6cは、縦框3aに対し、奥行き方向側面に垂直に設けられている。よって、レバー6は、縦框3aに対して、室内側から見て、時計及び反時計方向に回動できるようになっている。そして、レバー6を回動させて、持ち手6aを框3の内側へ突出させると、フック6bは、縦框3a内に収容され、反対に、レバー6を回動させて持ち手6aを縦框3a内へ収容すると、フック6bが框3aの外側へ突出するようになっている。
【0050】
縦框3aの内周面に設けられる収容部3lは、少なくともレバー6の持ち手6aの長さと厚みを収容できる大きさの窪みであればよい。
【0051】
以下、網戸2の取り付け方法について詳細に説明する。まず、図4(a)に示すように、操作部Hを駆動させて障子1を少し開口させてから、横框3b,3bの折畳部材12を尺取虫動作のように折り畳みながら、框3の上端を少し室内側に傾けるように斜めにして、下端側から取付枠5内に入れる。この際、持ち手6aを框内側へ突出させておくようにして、持ち手6aを両手で掴むことで、折畳部材12を折り畳んだ状態で、框3を網戸取付部5bへ挿入できる。また、持ち手6aを框内へ突出させた状態では、フック6bは縦框3a内に収容されている状態であるので、框3を取付枠5の最小開口部5cを通過させて網戸取付部5bへ挿入する際、フック6bが邪魔となることはない。また、この方法によると、網戸2を取付枠5内に入れる際に、大きく傾けて入れる必要がないため、障子1をほとんど開口せずに済み、障子1を大きく開口させる手間が省略されている。
【0052】
次に、取付枠5の下側の網戸取付部5bに設けられた窪み5eに合わせて下側の横框3bに設けられた突起13aを挿入して網戸2を位置決めし、図4(b)に示すように、縦框3a,3aにそれぞれ設けられたレバー6を回転させて持ち手6aを縦框3a内に収容するとともに、フック6bを縦框3aの両側から突出させて、取付枠5の差込穴5dに挿入する。
【0053】
すると、図4(c)に示すように、フック6bが網戸取付部5bに引っ掛かかり、網戸2が網戸取付部5bに固定される。
【0054】
また、網戸2を取り外す場合は、上記と全く逆の手順を踏むことで、網戸2を取り外すことができる。
【0055】
この発明によると、通常の網戸であれば、取付枠5が開口している幅が網戸の框の幅よりも狭く設定されると、室内側から取り付け、取り外しをすることは困難であるが、本実施の形態に係る横框3bは、前記縦框3aおよび前記横框3bのいずれか一方に、第一フレーム3hと第二フレーム3iとに対し奥行方向へ回動自在に連結されるとともに中間で奥行方向へ折れ曲がり可能な折畳部材12を備えているため、図6(c)に示すように、第一関節12eと第三関節12gが奥行方向に回動し、第二関節12fが、奥行き方向に折れ曲がることで、折畳部材12が尺取虫動作のように折り畳まれ、縦框3a,3a同士の内周間隔を一時的に取付枠5の内法の幅方向の長さより短くすることができる。したがって、網戸2を室内側から取り付け、取り外しすることができる。
【0056】
また、折畳部材12に並列配置され、第一フレーム3hと第二フレーム3i内に移動可能に固定されるスライド棒7が設けられているため、スライド棒7が折畳部材12の剛性を高めるとともに、第一フレーム3hと第二フレーム3iを近づけて、折畳部材12を折り畳む際に、スライド棒7が横框3b内に取り付けられたスライドケース8内を摺動して、第一フレーム3hと第二フレーム3iの移動をスムーズにすることができる。
【0057】
また、スライド棒7の縮径部7aは、スライドケース8の終端に設けられる縮径端部8aの内周を通過できるが、それ以外の部位は通過できないようになっているため、折畳部材12が折り畳まれるときに、スライド棒7に対して、第一フレーム3hと第二フレーム3iの過剰な接近が阻止されるので、折畳部材12に無理な圧縮力が負荷されることが防止される。
【0058】
また、本実施の形態に係る網戸2には、横框3bの折畳部材12にも、網材4を固定するが設けられているため、框3の四辺全てに網材4が固定されており、網材4がしっかりと張られて、撓みにくくなっている。
【0059】
また、図7に示すように、横框3b,3bには、コの字状のカバー14が、折畳部材12とスライド棒7を囲むようにして設けられているため、第一フレーム3hと第二フレーム3iが接近するのをガイドするとともに、室内側の正面から見たときにスライド棒が隠されて、網戸2の美観を損なわない。さらに、カバー14の開口部端に内側を向く爪を設けて、第一フレーム3hおよび第二フレーム3iからカバー14が外れないようにしてもよい。
【0060】
また、縦框3a,3aは、内周面に収容部3lと一対のレバー6,6を備えており、図5(a)に示すように、縦框3aの外周面側に対向する位置に設けられる取付枠5の差込穴5dにフック6bを挿入し、図5(b)に示すように、レバー6を縦框3aの内周面に向けて回動させることで、持ち手6aが収容部3lに収容され、フック6bが取付枠5の外周に引っ掛かって、網戸2が取付枠5の網戸取付部5bに固定される。この結果、網戸2が固定されたときに持ち手6aが収容部3lに収容されるため、レバー6は、取付枠5の最小開口部5cに隠れて室内側正面視では見えず、美観と採光性を損ねない。さらに、框3には内周に張った網材4から内向きの張力が作用するので、特に框3の長辺、この場合、縦框3aが、内側へ撓みやすいが、本実施の形態においては、レバー6で縦框3aを外側に引っ張りながら固定するため、縦框3aの撓みも防止できる。なお、横框3bが長い場合、縦框3aに折畳部材12を設けて、横框3bにレバー6を設けて、横框3bの撓みを防止してもよい。
【0061】
また、図3に示すように、取付枠5の下側の網戸取付部5bに設けられた窪み5eに対向するように、図中下側の横框3bの外周面に2つの突起13a,13aをそれぞれ設けることで、網戸2の取り付け時に突起13aを窪み5eに収容し、網戸2をレバー6と差込穴5dが対向する位置に位置決めすることができるとともに、網戸2のぐらつきを防止できる。なお、本実施の形態においては、突起13aと窪み5eを2つずつ設けているが、1つ以上設けてあれば、位置決め機能としては足り、突起13aと窪み5eの数を増やすほど、網戸2のぐらつきを防止する効果が高まる。
【0062】
以上、本発明の好ましい実施の形態を詳細に説明したが、特許請求の範囲から逸脱なく改造、変形及び変更ができるのは当然である。
【符号の説明】
【0063】
1 障子
2 網戸
3 框
3a 縦框
3b 横框
3h 第一フレーム
3i 第二フレーム
4 網材
5 取付枠
5b 網戸取付部
5d 差込穴
5e 窪み
6 レバー
6a 持ち手
6b フック
7 スライド棒
11a 建物開口部
12 折畳部材
13a 突起
図1
図2
図3
図4(a)】
図4(b)】
図4(c)】
図5
図6
図7