(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
中心側からフォーマ、超電導導体層を順に有し、且つ、波付き管である断熱内管及び断熱外管による二重構造を採る断熱管に囲まれる超電導ケーブルコアの端末部が、冷媒が収容される内部容器及び外部容器を有する二重構造からなる断熱容器に接続される超電導ケーブルの端末構造体であって、
前記断熱内管は、前記外部容器の端面を貫通し、少なくとも前記内部容器の端面近傍まで引き込まれており、
前記断熱内管が接続された内部フランジ部を、前記内部容器の端面に押し付けて保持する内部保持部材を有し、
前記内部保持部材は、前記内部フランジ部に係合する内部係合部と、
前記内部係合部を、前記内部容器の端面に止着することにより、前記内部係合部が係合する前記内部フランジ部を前記内部容器の端面に押し付けて保持する止着部とを有し、
前記内部保持部材は、リング状をなし、前記内部フランジ部において前記内部容器の端面側とは逆側の面で外嵌する前記内部係合部としての本体保持部を有し、
前記止着部は、前記本体保持部を前記内部フランジ部の外側で前記内部容器の端面に固定するボルトであること、
を特徴とする超電導ケーブルの端末構造体。
前記内部フランジ部と前記断熱内管は、前記内部フランジ部が前記断熱内管の軸と同軸で前記断熱内管の外周から放射方向に突出するように、接合部を介して気密的に接合されていること、
を特徴とする請求項1に記載の超電導ケーブルの端末構造体。
前記外部フランジ部と前記断熱外管は、前記外部フランジ部が前記断熱外管の軸と同軸で前記断熱外管の外周から放射方向に突出するように、第2の接合部を介して気密的に接合されている、
ことを特徴とする請求項2に記載の超電導ケーブルの端末構造体。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0015】
図1は、本発明の一実施の形態に係る端末構造体1を示す図である。説明の便宜上、超電導ケーブル10が導入される側を後端側(
図1では右側)、反対側を先端側(
図1では左側であり挿入方向側ともいう)として説明する。
【0016】
図1に示すように、端末構造体1は、超電導ケーブル10の端末部と、接続電極部13と、電界緩和部15と、冷媒槽21及び真空槽22を有する低温容器20と、リード部30と、シールド通電部40と、支持脚部(支持部)28を有する。低温容器20(詳細には冷媒槽21)に超電導ケーブル10の端末部が所定の状態で水平方向に延在するように収容され、接続電極部13及びリード部30を介して超電導ケーブル10の導体電流が電力機器等の実系統側に引き出される。また、シールド通電部40を介して、超電導ケーブル10のケーブルシールド層114が接地される。本実施の形態の超電導ケーブル10は、複層の超電導導体層を有し、端末構造体1において、略水平方向に配置した超電導ケーブル10から超電導導体層毎に、水平方向で所定間隔を空けて、接続電極部13及びリード部30を介して導体電流を引き出される。
【0017】
図2は、本発明の一実施の形態に係る端末構造体における超電導ケーブルの概略構成を示す断面図である。
【0018】
図1及び
図2に示すように、超電導ケーブル10は、断熱管12内に、電気絶縁層(導体絶縁層)113(113−1、113−2、113−3)を介して超電導導体層112(112−1、112−2、112−3)を同心円状に複数備えるケーブルコア11が収容された超電導ケーブルである。超電導ケーブル10は、各超電導導体層で位相の異なる電流を流す多相超電導ケーブルとしてもよい。ここでは、超電導導体層を、中心から、U相、V相、W相の電流を流す導体として3層で同軸上に有する三相超電導ケーブルとしている。
【0019】
ケーブルコア11は、例えば中心から順に、フォーマとして機能するN
2冷却管である中央冷却管111、第1超電導導体層112−1、第1電気絶縁層(導体絶縁層)113−1、第2超電導導体層112−2、第2電気絶縁層(導体絶縁層)113−2、第3超電導導体層112−3、第3電気絶縁層(導体絶縁層)113−3、ケーブルシールド層114、及び保護層115等を有する。
【0020】
各超電導導体層112及びケーブルシールド層114は、例えば、下層の外面に螺旋状に巻き付けた多数本の超電導テープ(テープ状の超電導線材)により構成されるものとした。超電導導体層を構成する各超電導テープは、互いに重ならずに配置されている。
【0021】
超電導テープは、ここでは、REBa
yCu
3O
z系(REは、Y、Nd、Sm、Eu、Gd及びHoから選択された1種以上の元素を示し、y≦2及びz=6.2〜7である。)の高温超電導薄膜を備える酸化物超電導材である。この超電導テープは、テープ状の金属基板上に成膜された中間層上に、テープ状の超電導薄膜である酸化物超電導層(以下、「超電導層」と称する)、安定化層が順に積層されることによって作製される。なお、超電導テープの金属基板としては、ニッケル(Ni)、ニッケル合金、ステンレス鋼又は銀(Ag)である。また、中間層は、例えば、金属基板上に、酸化アルミニウム(Al
2O
3)層、ガリウムドープ酸化亜鉛層(Gd
2Zr
2O
7:GZO)、或いはイットリウム安定化ジルコニア(YSZ)等による第1層、Y
2O
3又はLaMnO
3等の層である第2層、酸化マグネシウム(MgO)等から成る第3層、酸化ランタンマンガン(LaMnO
3)等の層である第4層、酸化セリウム(CeO
2)層である第5層を、順に積層することによって構成される。
【0022】
超電導層は、有機金属酸塩あるいは有機金属化合物を原料とし、真空プロセスを使用せずに、MOD法(Metal Organic Deposition Processes:有機酸塩堆積法)により中間層上に成膜される。MOD法は、金属基板上に中間層を設けた複合基板上の金属有機酸塩を加熱して熱分解することによって複合基板上に超電導層である薄膜を形成する。
このように構成される超電導テープを、複合基板上において、下層の中央冷却管111、電気絶縁層113(113−1、113−2)の外周に、超電導層(超電導薄膜)が内周側、複合基板(基板)が外周側となるように、螺旋状に巻回することによって、各超電導導体層112は構成される。
【0023】
電気絶縁層113は、それぞれ下層の超電導導体層112の外周に、例えば、半合成絶縁紙を巻回して構成される。
【0024】
保護層115は、例えば、ケーブルシールド層114の外周にクラフト紙等を巻回して構成される。
【0025】
超電導ケーブル10の端末部においては、
図1に示すように、ケーブルコア11に段剥ぎ加工が施され、先端側から順に各層が露出する。各超電導導体層112(112−1、112−2、112−3)には、各超電導導体層112(112−1、112−2、112−3)に電気的に接続される接続電極部13(13−1、13−2、13−3)が接続されている。ここでは、接続電極部13は、超電導導体層112の外周に配置される。ケーブルシールド層114の外周には、ケーブルシールド層114に電気的に接続されるシールド接続端子14が配置される。超電導導体層112(112−1、112−2、112−3)の外周に配置される電気絶縁層113(113−1、113−2、113−3)の外周には、ストレスコーン等の電界緩和部15(15−1、15−2、15−3)が配置される。具体的には、接続電極部13−1と接続電極部13−2との間に位置する電気絶縁層113−1の外周には、電界緩和部15−1が配置される。接続電極部13−2と絶続電極部13−3との間に位置する電気絶縁層113−2の外周には、電界緩和部15−2が配置される。接続電極部13−3とシールド接続端子14の間に位置する電気絶縁層113−3の外周には電界緩和部15−3が配置される。
【0026】
断熱管12は、内側の断熱内管121と外側の断熱外管122とからなる二重管構造を有する。断熱内管121及び断熱外管122は、コルゲート状を有することが好ましい。断熱内管121及び断熱外管122は、例えば、ステンレス鋼(SUS)製のコルゲート管(波付き管)によりそれぞれ構成される。
【0027】
断熱内管121は、ケーブルコア11を収容し、運転時には冷媒(例えば液体窒素)が充填される。これにより、超電導導体層112は、超電導状態に維持される。断熱内管121と断熱外管122の間は、断熱のために、運転時に真空状態に保持される。
【0028】
このように超電導ケーブル10は、フォーマの外周側に、超電導導体層と、波付き管である断熱内管と断熱外管とによる二重構造を採る断熱管とを順に有する構成となっている。
【0029】
低温容器20は、内側の冷媒槽21と外側の真空槽22とからなる二重構造を有する。
【0030】
冷媒槽21は、例えば中空円筒形状を有し、超電導ケーブル10の端末部を収容する。 冷媒槽21は、エポキシ樹脂や繊維強化プラスチック(FRP:Fiber Reinforced Plastics)等の絶縁材料により構成される絶縁管である。すなわち、超電導ケーブル10の端末部は、冷媒槽21である絶縁管に収容される。冷媒槽21は、リード部30を導入する内側の導体貫通部(「内側貫通部」という)214(214−1、214−2、214−3)及びシールド通電部40を導入するシールド内側貫通部216を有する。冷媒槽21は、例えば真空槽22内に配置された架台(図示略)に載置してもよい。
【0031】
冷媒槽21には後端側から超電導ケーブル10の端末部が導入される。冷媒槽21の後端部の後端面212には、超電導ケーブル10の断熱内管121が接続される。また、冷媒槽21内には、断熱内管121内のケーブルコア11が挿入される。冷媒槽21には、運転時に冷媒循環装置(図示略)により冷媒が循環供給される。冷媒槽21に連通する断熱内管121の内部も冷媒で充填される。なお、本実施の形態では、断熱内管121は、その先端部に取り付けられる内部フランジ部74を介して、後端部(後端面212)に接続されている。この冷媒槽21の後端面212と超電導ケーブル10における断熱管12の断熱内管121との接続については、真空槽22の後端部(後端側管部)と超電導ケーブル10の断熱外管122との接続構造と共に、低温容器20と断熱管12の接続構造として詳細に後述する。
【0032】
冷媒槽21の内側貫通部214には、リード部30の導体中継部32(
図3参照)が取り付けられている。導体中継部32は、内側貫通部214に、例えばエポキシ樹脂やFRP等の絶縁材料で構成される絶縁スペ−サーを介して気密的に取り付けられている。すなわち、絶縁スペーサー及び導体中継部32により冷媒槽21と真空槽22とが仕切られており、冷媒槽21は気密かつ水密に封止される。
【0033】
真空槽22は、例えば中空円筒形状を有し、冷媒槽21を収容する。真空槽22は、冷媒槽21を囲むように配置されている。真空槽22は、電界緩和部15(15−1、15−2、15−3)に対応する位置に、超電導ケーブル10と同軸上に配置されるがい管部23(23−1、23−2、23−3)と、外側の導体貫通部(「外側貫通部」という)224(224−1、224−2、224−3)とを有する。外側貫通部224は、がい管部23の軸方向先端側に接続される。
【0034】
図3は、本発明の一実施の形態に係る端末構造体1のがい管部23を含む要部構成を示す図である。なお、各がい管部23−1、23−2、23−3は、それぞれ同様に構成されるのでがい管部23として説明する。また、がい管部23−1、超電導導体層112−1、接続電極部13−1、電気絶縁層113−1及び電界緩和部15−1の関係と、がい管部23−2、超電導導体層112−2、接続電極部13−2、電気絶縁層113−2及び電界緩和部15−2の関係と、がい管部23−3、超電導導体層112−3、接続電極部13−3、電気絶縁層113−3及び電界緩和部15−3との関係はそれぞれ同様である。よって、以下では、がい管部23とともに、超電導導体層112、接続電極部13、電気絶縁層113及び電界緩和部15を用いて説明する。
【0035】
がい管部23(23−1、23−2、23−3)は、例えば、ポリマーがい管または磁器がい管により構成される。ここでは、がい管部23をポリマーがい管で構成したものとして説明する。
【0036】
図3に示すように、がい管部23は、絶縁筒232と、ポリマー被覆体234と、を有する。絶縁筒232は、機械的強度の高いFRP(繊維強化プラスチック)で構成され、冷媒槽21内の超電導ケーブル10に取り付けられる電界緩和部15の周囲に、電界緩和部15を囲む位置に配置される。ポリマー被覆体234は、電気絶縁性能に優れる材料、例えばシリコーンポリマー(シリコーンゴム)などの高分子材料で構成される。ポリマー被覆体234は、絶縁筒232の外周に設けられており、ポリマー被覆体234の外周面には、複数個の傘状の襞部が長手方向に離間して形成される。がい管部23の内部(絶縁筒232の内部)は中空となっている。
【0037】
がい管部23の内部は、運転時には真空引きされて真空状態となる。本実施の形態では、がい管部23は、絶縁管である冷媒槽21内のケーブルコア11(詳細には電気絶縁層113の外周)に設けられた電界緩和部15を囲む位置で、冷媒槽21の外側に配置されていることから、真空断熱部を大きく確保できる。これにより、リード部30を介して外部から冷媒槽21内へ侵入する熱侵入を低減することができる。
【0038】
真空槽22の外側貫通部224には、リード部30の外部端子部34が取り付けられている。外部端子部34は、外側貫通部224に、例えばエポキシ樹脂やFRP等の絶縁材料で構成される絶縁スペ−サーを介して気密的に取り付けられている。すなわち、絶縁スペーサー及び外部端子部34により真空槽22は気密かつ水密に封止される。
【0039】
真空槽22の内部には、外側貫通部224の下方に内側貫通部214が位置し、シールド外側貫通部226の下方にシールド内側貫通部216が位置する(
図1参照)ように位置決めされた状態で、冷媒槽21が配置される。真空槽22の後端面222(
図1参照)には、超電導ケーブル10の断熱外管122が接続される。なお、後端面222は、真空槽22の後端側の壁部により構成される。本実施の形態では、断熱外管122は、その先端部に取り付けられる外部フランジ部84(
図1参照)を介して真空槽22の後端面222に接続されている。
【0040】
冷媒槽21の内側貫通部214及びシールド内側貫通部216が真空槽22に収容されるので、熱伝達経路となる接続電極部13、リード部30及びシールド通電部40は真空槽22の内部まで導入される。これにより、熱侵入を低減するための熱伝達経路長を確保しやすくなるので、接続電極と外部端子部の長さを最小限にすることができ、端末構造体1の小型化を図ることができる。
【0041】
真空槽22は、運転時に真空ポンプ(図示略)により真空引きされ、真空状態に保持される。真空槽22に連通する断熱内管121と断熱外管122の間の空間が真空状態に保持される。
【0042】
リード部30は、超電導ケーブル10、具体的には、端末構造体1から実系統に電流を引き出すための導体である。リード部30は、超電導ケーブル10の超電導導体層112に接続される接続電極部13に接続されるものであり、内部中間導体31、導体中継部32、外部中間導体33、外部端子部34を有する。
【0043】
なお、本実施の形態では、内部中間導体31及び外部中間導体33を、例えば、平編銅線等のフレキシブル導体等の可撓性を有するように構成し、内部中間導体31及び外部中間導体33が、冷却時における冷媒槽21の熱収縮を吸収する収縮吸収部として機能する。
【0044】
外部端子部34及び導体中継部32は、例えば、導電性を有する材料、例えば、銅で構成される。外部端子部34は、真空槽22を気密に貫通して真空槽22に固定される。外部端子部34の一端34aは、外部に引き出され、他端34bは真空槽22の内部で導体中継部32に、外部中間導体33を介して電気的に接続される。導体中継部32は、冷媒槽21を気密に貫通して冷媒槽21に固定される。導体中継部32は、冷媒槽21の外部に位置する一端32aで外部中間導体33に接続され、冷媒槽21内の他端32bで、内部中間導体31を介して、接続電極部13に接続される。内部中間導体31は、外部中間導体33と同様に可撓性を有するので、冷却時における冷媒槽21の熱収縮(特に水平方向の熱収縮)を容易に吸収できる。
【0045】
図4及び
図5は、本発明の一実施の形態に係る端末構造体の接続電極部13の要部構成を示す斜視図である。
【0046】
図4及び
図5に示す接続電極部13は、冷媒槽21中の超電導導体層112(具体的には超電導テープ1120)の端末に電気的に接続される。
【0047】
接続電極部13は、常温側の機器と接続するための常電導導体であるリード部30に電気的に接続される。接続電極部13は、超電導ケーブル10の超電導導体層112と、外部端子部34とを接続する。
【0048】
接続電極部13は、銅等の導電部材により形成されており、円環板状の電極本体132を有する。電極本体132には、接続片部134が突設されており、この接続片部134に内部中間導体31(
図3参照)が接続されている。
【0049】
電極本体132を貫通する中央の開口には、冷媒槽21内の超電導ケーブル10が挿通されている。電極本体132には、段剥ぎされて外周側で露出する超電導導体層112を構成する複数の超電導テープ(テープ状の超電導線材)1120が接続されている。なお、電極本体132に接続される超電導テープ1120は、ケーブルコア11において、電極本体132を挿通させることが可能な超電導導体層のうち最も外周側に位置する超電導導体層112を構成する複数の超電導テープ1120であることが好ましい。
【0050】
ここでは、ケーブルコア11において、最も外側に位置する超電導導体層112を構成する複数の超電導テープ1120の端部11201以外の部分、つまり最も外側に位置する超電導導体層112より中心側に位置する部位を、電極本体132の開口に挿入されている。そして、最も外側に位置する超電導導体層112を構成する複数の超電導テープ1120の端部11201は、電極本体132の開口を通過せずに、電極本体132において開口する表裏面のうち挿通方向逆側の面(後端側の面)132aで、半田を介して電気的に接続している。ここでは各超電導テープ1120を、電極本体132(後端側の面132a)に、周方向に等間隔を空けて接続されている。
【0051】
また、電極本体132に対して複数の超電導テープ1120は、互い同士や他の部材に接触しないように、それぞれ撓ませた状態で接続されている。これにより冷却時において超電導テープ1120自体が収縮(特に水平方向の熱収縮)しても容易に吸収して電極本体132自体、ひいては、内部中間導体31、内部中間導体31も含む他のリード部自体に負荷がかかることがない。また、超電導テープ1120は、電極本体132を挿通するケーブルコア11の延在方向に配置されている状態から立ち上げて、電極本体132の後端側の面132aに接続している。これにより、可撓性を有する超電導テープ1120は、ケーブルコア11の延在方向に沿った元の位置に戻ろうとするので、戻る方向に位置する後端側の面132aに対して密着した状態で接触する。これにより、超電導テープ1120と電極本体132とを半田を介してより確実に安定して電気的に接続できる。
【0052】
図1に示すシールド通電部40は、超電導ケーブル10のケーブルシールド層114を接地するための導体である。シールド通電部40は、例えば、銅製の棒材からなるシールド引出棒を有する等、公知の構成を適用することができる。ここでは、シールド通電部40は、リード部30と同様に構成され、超電導ケーブル10のシールド層114に接続されるシールド接続端子14に接続されるものであり、内部中間導体31と同様に構成される内部中間導体(図示省略)、導体中継部32と同様に構成されるシールド中継部42、外部中間導体33と同様に構成される外部中間導体(図示省略)、外部端子部34と同様に構成されるシールド外部端子部(図示省略)を有する。シールド通電部40では、シールド外部端子部は、真空槽22におけるシールド外側貫通部226を気密に貫通して外部に引き出されるように固定される。シールド外部端子部は、内部中間導体(図示省略)を介して、真空槽22の内部で、シールド中継部42の一端に電気的に接続される。シールド中継部42は、冷媒槽21を気密に貫通して冷媒槽21に固定される。具体的には、シールド中継部42は、シールド内側貫通部216に、冷媒槽21を貫通して、且つ、気密的に固定されている。シールド中継部42は、シールド接続端子14に接続される。シールド通電部40は、シールド接続端子14を介して超電導ケーブル10のケーブルシールド層114と電気的に接続する。シールド通電部40における内部中間導体、外部中間導体は、例えば平編銅線等のフレキシブル導体(図示略)により構成される。これにより、超電導ケーブル10の熱伸縮によりシールド接続端子14の位置が水平方向に(
図1の左右方向)に移動しても、容易に追従することができるので、真空槽22のシールド外側貫通部226等の損傷を防止できる。本実施の形態では、シールド中継部42において冷媒槽21内に配置される部位をフレキシブル導体で構成して、このフレキシブル導体を介してシールド接続端子14に接続している。
【0053】
図1に示す支持脚部28は、真空槽22(詳細にはがい管部23)を他の機器、ここでは、設置面から離間して支持する。ここでは、支持脚部28は、真空槽22の前端側及び後端側の下面から下方に突出して設けられ、真空槽22を、超電導ケーブル10の軸方向に沿って、水平方向に延在するように支持している。
【0054】
支持脚部28において先端側の脚部28−1には、真空槽22の先端側で高電圧が印可されるため、その外面には複数の襞部を有する電界緩和部282が設けられている。
【0055】
図6は、本発明の一実施の形態に係る端末構造体1において低温容器20と超電導ケーブル10の断熱管12との接続部分を示す図である。
【0056】
図6に示すように、超電導ケーブル10における低温容器20の後端部では、断熱内管121は、真空槽22の後端面222を貫通し、少なくとも冷媒槽21の後端面212近傍まで引き込まれている。本実施の形態では、断熱内管121の先端部は、冷媒槽21の後端面212において、真空槽22中で、且つ、ケーブルコア11が挿入される開口212aの縁部に位置する内部フランジ部74の内部筒部76内に挿入されている。内部筒部76は、後端面212の開口212aの開口縁部に密着する内部フランジ部74に、後端側に突出するように形成されている。
【0057】
内部フランジ部74は、冷媒槽21の後端面212と断熱内管121とを密閉性を損なうことなく、真空槽22内で、気密的に接続している。
【0058】
内部フランジ部74は、冷媒槽21の後端面212と真空槽22の後端面222側の面(具体的には、後端面222を後端側の壁部の表面とすると、後端側の壁部の裏面)との間で、断熱内管121の一端部(先端部)に連続して設けられている。内部フランジ部74の内部は、内部筒部76を介して断熱内管121の内部に連続しており、ケーブルコア11が挿通されている。
【0059】
内部フランジ部74は、円環板状部を有し、ケーブルコア11の外周を囲むように配置されている。内部フランジ部74は、一端部側の円環状の面(内部フランジ部74の一端部)が冷媒槽21の後端面212に当接し、他端部(後端部)側に形成された内部筒部76で断熱内管121の一端部(先端部)に接続されている。
【0060】
ここでは、内部フランジ部74は、内部筒部76の内周面で断熱内管121が接合部90を介して気密的に接合されている。なお、内部筒部76の外周面で接合部90介して絶縁内管121に気密的に接合されてもよい。接合部90は溶接により構成された溶接部であり、内部フランジ部74と断熱内管121とは溶接により一体的に接合されている。すなわち、内部フランジ部74は、断熱内管121に対して溶接されることにより、負荷を与えること無く、断熱内管121に対して、外周側に突出するように固定されている。内部フランジ部74では、一端部側の円環状の面(内部フランジ部74の一端部)が、冷媒槽21の後端面212に押し付けられ、内部フランジ部74は、後端面212と内部保持部材50とで挟持されることにより固定されている。なお、内部筒部76の外周面で接合部90介して絶縁内管121に気密的に接合されてもよい。
【0061】
内部保持部材50は、内部フランジ部74に、内部フランジ部74の他端部側(後端面側)から係合可能な係合部を有する保持部本体52と、保持部本体52を冷媒槽21の後端面212に止着して固定する止着部54と、を有する。
【0062】
図7は、本発明の一実施の形態に係る端末構造体1における内部保持部材50の要部構成を示す斜視図である。
【0063】
保持部本体52は、ここでは、内部フランジ部74に対して、後端側から係合可能なリング状をなしている。言い換えれば、保持部本体52は、内部フランジ部74の他端部(後端部)側でフランジ状に配置されるものである。保持部本体52の内径は、内部フランジ部74の内径よりも大きく、且つ、内部筒部76の外径よりも大きい。また、保持部本体52の外径は、内部フランジ部74の外径よりも大きく、且つ、冷媒槽21の開口212aの内径よりも大きい。なお、保持部本体52を、内部フランジ部74の後端面側に配置する場合には、内部フランジ部74と断熱内管121とを接続する前に両部材の間に介在させておく。また、円環状の保持部本体52を、その軸心を通る面で複数に分割した分割体により構成したものでもよい。この場合、内部フランジ部74と断熱内管121とを組み付けた後で、分割体を内部フランジ部74の後端面側に配置できる。なお、保持部本体52において内部フランジ部74の後端面に当接する面に、内部フランジ部74の外縁に係合する段差部を設けても良い。これにより、保持部本体52を内部フランジ部74に係合する際に、段差部分を内部フランジ部74の外縁に合わせて配置できるので、保持部本体52の位置決めが容易となる。なお、段差を設けた際には、フランジ部74と後端面212とで気密的に接続される構成であれば、どのような長さでもよい。
【0064】
止着部54は、例えば、ボルトであり、保持部本体52の外周縁部で厚み方向に後端側から挿入され、後端側の面で頭部が掛止し、先端側の面から突出する軸部を冷媒槽21の後端面212に螺合する。この止着部54により、保持部本体52は、外周縁側で冷媒槽21の後端面212に止着される(
図6参照)。
【0065】
これにより、止着部(ボルト)54を締めることにより保持部本体52が後端面212側に変位し、保持部本体52の先端側の面52aで係合する内部フランジ部74が全周に亘って均等に後端面212に押圧される(
図1及び
図6参照)。すなわち、保持部本体52は、後端面212とともに内部フランジ部74を挟持した状態で保持する。また、内部フランジ部74と後端面212との間には、ガスケット(Oリング)等の気密部材18が設けられ、内部フランジ部74は、気密部材18を挟み後端面212に、一層気密的に固定される。
【0066】
このように、保持部本体52にボルト等の止着部54をねじ込むことにより内部フランジ部74を冷媒槽21に固定する場合、ねじ込む際の荷重は、保持部本体52にかかる。よって、内部フランジ部74に、止着部54をねじ込んで固定する際の荷重(螺合方向(捻れ方向)の荷重)がかかることがなく、内部フランジ部74(具体的には、内部フランジ部74の一端部側の面)を、超電導ケーブル10の軸方向に沿って、後端面212側に変位して、後端面212に押し付けて、挟持した状態で保持できる。よって、内部保持部材50は、他端部側が断熱内管121に接続された内部フランジ部74の一端部(内部フランジ部74)を、内部フランジ部74を変形させることなく、好適に冷媒槽21に固定することができる。すなわち、断熱内管121に負荷をかけることなく、断熱内管121に接続される内部フランジ部74を、所定箇所、つまり、冷媒槽21の後端面212における開口部212aの開口縁部に、密閉性を損なうことなく接続できる。
【0067】
図6に示すように、真空槽22の後端面222と断熱外管122は、外部フランジ部84を介して気密的に接続されている。
【0068】
外部フランジ部84は、断熱外管122の先端側で接続(ここでは、断熱外管122の先端部に接続)されており、断熱外管122とともに内部には、ケーブルコア11及び断熱内管121が挿通されている。
【0069】
外部フランジ部84は、内部フランジ部74と同様に構成されており、ここでは、円環板状部を有し、ケーブルコア11の外周を囲むように配置されている。外部フランジ部84は、一端部側の円環状の面(内部フランジ部74の一端部)が真空槽22の後端面222に当接し、他端部(後端部)側に形成された外部筒部82で断熱外管122の一端部(先端部)に連続して形成されている。
【0070】
ここでは、外部フランジ部84は、外部筒部82の内周面で断熱外管122が接合部90を介して気密的に接合されている。なお、外部筒部82の外周面で接合部90介して絶縁外管122に気密的に接合されてもよい。接合部90は溶接により構成された溶接部であり、外部フランジ部84と断熱外管122とは溶接により一体的に接合されている。すなわち、外部フランジ部84は、断熱外管122に対して溶接されることにより、負荷を与えること無く、断熱外管122に対して、外周側に突出するように固定されている。
【0071】
外部フランジ部84の外径(円環板状部分の外径)は、真空槽22の後端面222の開口222aよりも大きく、外部フランジ部84の外周縁の先端側の面は、開口222aの縁部に対向する位置に位置される。外部フランジ部84(具体的には外部フランジ部84の外周縁の先端側の面)は、外部保持部材60により、真空槽22の後端面222に押し付けられ、後端面222とで挟持されることにより保持されている。
【0072】
外部保持部材60は、外部フランジ部84に、外部フランジ部84の他端部側(後端面側)から係合する係合部を有する保持部本体62と、保持部本体62を真空槽22の後端面222に止着して固定する止着部64とを有する。
【0073】
外部保持部材60は、例えば、内部保持部材50と比較して外径及び内径の寸法が異なり、内部保持部材50と同様にリング状に形成される。
【0074】
すなわち、保持部本体62は、外部フランジ部84に対して、後端側から係合可能なリング状をなしている。
【0075】
止着部64は、例えばボルトであり、保持部本体62の外周縁部で、厚み方向に後端側から挿入され、後端側の面で頭部が掛止し、先端側の面から突出する軸部が、真空槽22の後端面212に螺合する。この止着部64により、保持部本体62は、外周縁側で真空槽22の後端面222における開口222aの縁部に止着される。止着部(ボルト)64を締めることにより保持部本体62が後端面222側に変位し、これに係合する外部フランジ部84が全周に亘って均等に後端面212に押圧される。すなわち、保持部本体62は、後端面222とともに外部フランジ部84を挟持した状態で保持する。また、外部フランジ部84と後端面222との間には、ガスケット(Oリング)等の気密部材18が設けられ、外部フランジ部84は、気密部材18を挟み後端面222に、一層気密的に固定される。
【0076】
このように、保持部本体62にボルト等の止着部64をねじ込むことにより外部フランジ部84を真空槽22に固定する場合、ねじ込む際の荷重は、保持部本体62にかかる。
【0077】
よって、外部フランジ部84に、止着部64をねじ込んで固定する際の荷重(螺合方向(捻れ方向)の荷重)がかかることがなく、外部フランジ部84(具体的には、外部フランジ部84の一端部側の面)を、超電導ケーブル10の軸方向に沿って、後端面222側に略平行移動させることができる。これにより、外部フランジ部84(具体的には、外部フランジ部84の一端面)を後端面222に押し付けて保持できる。したがって、外部保持部材60は、他端部側が断熱外管122に接続された外部フランジ部84を変形させることなく、好適に真空槽22に固定することができる。すなわち、断熱外管122に負荷をかけることなく、断熱外管122に接続される外部フランジ部84を、所定箇所、つまり、真空槽22の後端面222における開口部222aの開口縁部に、密閉性を損なうことなく接続できる。
【0078】
端末構造体1では、冷却時における冷媒槽21の収縮、超電導ケーブル10のケーブルコア11における各層の収縮を吸収するために、平編銅線等のフレキシブル導体で構成する内部中間導体31及び外部中間導体33、或いは、超電導テープ1120を撓ませて接続電極部13に接続するようにしている。これにより、冷却時において冷媒槽21、超電導ケーブル10が熱収縮しても、リード部30等が損傷することを防止できる。
【0079】
なお、
図4に示す接続電極部13において、超電導テープ1120が接続される電極本体13の挿入方向逆側(後端側)の面132aに、超電導テープ1120を押さえる押え部を設けた構成としてもよい。
【0080】
図8は、接続電極部の変形例1を示す図である。
【0081】
図8に示す接続電極部13Aは、
図4、
図5に示す接続電極部13の構成において、超電導テープ1120が接続された電極本体132の挿入方向逆側(後端側)の面132aに、当該面132aを覆うように、押え部136を取り付けている。
【0082】
押え部136は、電極本体132を軸方向で見た形状と同様の外形を有する円環板状をなしている。押え部136は、絶縁材料でも導電材料でもいずれの材料により形成されてもよい。電極本体132の後端側の面132aと、押え部136とを超電導テープ1120とともに半田を挟む等して密着させた構成にすることが好ましい。このような接続電極部13Aの構成によれば、周方向で等間隔に接続される複数の超電導テープ1120とより確実に電気的に接続できる。
【0083】
また、
図9に示す変形例2としての接続電極部13Bのように、超電導電流リード137を介して、超電導ケーブル10の超電導導体層112(具体的には超電導テープ1120)と接続するようにしてもよい。
【0084】
接続電極部13Bは、銅等の導電部材により形成された円環板状の電極本体132Bを有し、電極本体132Bの外周の一部には、内部中間導体31(
図3参照)が接続される接続片部134が半径方向に突設されている。
【0085】
電極本体132Bにおける後端側の面132Baには、複数の超電導テープ1120が、超電導テープ(酸化物超電導線材)にて形成された超電導電流リード137を介してそれぞれ接続されている。なお、超電導電流リード137における超電導テープは、超電導テープ1120と同様の超電導テープにより構成してもよい。すなわち、超電導電流リード137の超電導テープは、複合基板(超電導テープ1120の複合基板と同様)上にTFA−MOD法により形成された超電導薄膜を有する。この超電導薄膜中には、Y、Zr、Sn、Ti、Ceのうち少なくとも1つを含む50nm以下の酸化物粒子が磁束ピンニング点として分散している。このとき、超電導テープ1120は、超電導電流リード137に、超電導層側の面で半田接続されることが望ましい。
【0086】
端末構造体1において、接続電極部13に替えて接続電極部13Bを用いた構造によれば、超電導ケーブル10の各超電導導体層112を構成する超電導テープ1120は、熱を伝達しにくい超電導電流リード137を介して、接続電極部13Bに電気的に接続される。これにより、外部から冷媒槽21内へ熱が伝達される際に、超電導電流リードを通ることとなるので、接続電極部13と比較して、一層、熱侵入しにくい。
【0087】
また、
図10に示す変形例3としての接続電極部13Cのように、超電導テープとは異なる常電導線(常電導テープ138)を介して、超電導ケーブル10の超電導導体層112(具体的には超電導テープ1120)と接続するようにしてもよい。
【0088】
図10に示す接続電極部13Cは、銅等の導電部材により形成された円環板状の電極本体132Cを有し、電極本体132Cの外周の一部には、内部中間導体31(
図3参照)が接続される接続片部134が半径方向に突設されている。
【0089】
電極本体132Cにおける後端側の面132Caには、超電導ケーブル10の超電導導体層112を各層で構成する複数の超電導テープ1120が、それぞれ常導電テープ(常導電線)138を介して電気的に接続されている。ここでは、常導電テープ138は、常導電性を有する線材であればどのような線材でもよく、例えば、銅テープが用いられる。
【0090】
なお、銅テープ138等の常電導テープ138を介して超電導テープ1120と接続電極部13Cとを電気的に接続(例えば半田接続)する際に、銅テープ(常導電テープ138)と接続電極部13Cとの接続に使用する半田と、銅テープ(常導電テープ138)と超電導テープ1120との接続に使用する半田とを、融点の異なる半田を用いるようにしてもよい。さらに常電導線を介することによって超電導テープ1120を撓ませて接続電極部13Cに接続できるため、冷却時における冷媒槽21の収縮を吸収できる。
【0091】
また、
図9に示す接続電極部13Bにおいて、超電導電流リード137と、超電導テープ1120との間に、
図10で示す常導電テープ138を介在させてもよい。この構成の場合、超電導電流リード137と、超電導テープ1120と、常導電テープ138とはそれぞれ半田により電気的に接続される。なお、この構成においても、超電導テープ1120は、接続対象としての常電導テープ138に対して、超電導テープ1120の超電導層側の面で半田接続されることが望ましい。
【0092】
また、端末構造体1において、接続電極部13に替えて、
図11に示す変形例4の接続電極部13Dを用いても良い。
【0093】
図11に示す接続電極部13Dは、銅等の導電部材により形成された円環板状の電極本体132Dを有し、電極本体132Dの外周の一部には、内部中間導体31(
図3参照)が接続される接続片部134が半径方向に突設されている。
【0094】
また、電極本体132D内には、銅等の導電部材により形成され、且つ、中央の開口に超電導ケーブル10が挿通される円環板部139が配置されている。電極本体132Dと、円環板部139は、超電導電流リード137を介して接続されている。円環板部139には、開口方向に位置する表裏面のうち一方の面(後端側の面)139aに、超電導導体層112を各層毎に構成する複数の超電導テープ1120が、半田を介して電気的に接続されている。この構成における超電導テープ1120は、接続対象としての円環板部139に対して、超電導層側の面で半田接続されることが望ましい。
【0095】
この構成により、複数の超電導テープ1120が接続された円環板部139と、電極本体132とは、熱伝導しにくい超電導電流リード137を介して電気的に接続されているので、超電導テープ1120が配置される冷媒槽21への熱侵入を防止できる。
【0096】
本実施の形態の超電導ケーブルの端末構造体1によれば、中心側からフォーマ、超電導導体層112を順に有し、波付き管である断熱内管121及び断熱外管122による二重構造を採る断熱管12により囲まれる超電導ケーブルコア(ケーブルコア11)の端末部が、冷媒が収容されてなる冷媒槽(内部容器)21及び真空槽(外部容器)22による二重構造からなる低温容器(断熱容器)20に接続されてなる超電導ケーブルの接続構造体である。
【0097】
断熱内管121は、真空槽22の後端面(面)222を貫通し、少なくとも冷媒槽21の後端面212近傍まで引き込まれている。また、断熱内管121が接続された内部フランジ部74を、冷媒槽21の後端面212に押し付けて保持する内部保持部材50を有する。内部保持部材50は、内部フランジ部74を、内部容器21の端面212とで挟持する。また、断熱外管122が接続された外部フランジ部84を、真空槽22の後端面222に押し付けて保持する外部保持部材60を有してもよい。外部保持部材60は、外部フランジ部84を、真空槽22の後端面222とで挟持する。
【0098】
また、内部保持部材50は、内部フランジ部74に係合する保持部本体(内部係合部)52と、保持部本体52を冷媒槽(内部容器)21の後端面(端面)212に止着することにより保持部本体52が係合する内部フランジ部74を後端面212に押し付けて保持する止着部54と、を有するようにしてもよい。止着部54を後端面212に止着するだけで内部フランジ部74を挟持した状態で冷媒槽21に保持できる。
【0099】
また、外部保持部材60は、外部フランジ部84に係合する保持部本体(外部係合部)62と、保持部本体62を外部容器(真空槽22)の後端面222に止着することにより保持部本体62が係合する外部フランジ部84を真空槽22の後端面222に押し付けて保持する止着部64と、を有するようにしてもよい。止着部64を後端面222に止着するだけで外部フランジ部84を挟持した状態で真空槽22に保持できる。
【0100】
また、内部保持部材50及び外部保持部材60は、リング状をなし、内部フランジ部74及び外部フランジ部84において断熱容器20(冷媒槽21、真空槽22)側とは逆側の面で外嵌する係合部としての本体保持部52、62を有するようにしてもよい。止着部54、64は、本体保持部52、62を外周側で断熱容器20(冷媒槽21、真空槽22)の後端面(端面)212、222に固定するボルトであってもよい。
【0101】
このような超電導ケーブル10の端末構造体1は、液体窒素を充填する冷媒槽21と、これを覆うように配置される真空槽22とを有する低温容器20を有する構成において、超電導ケーブル10のコルゲート管である断熱内管121を冷媒槽21の端面212に差し込むように構成される。内部フランジ部74、外部フランジ部84は、他端側(後端側)で断熱内管121、断熱外管122に接合部90を介して接合された後であっても、内部保持部材50、外部保持部材60を介して、断熱内管121、断熱外管122に負荷をかけることなく、冷媒槽21、真空槽22の後端面212、222に固定できる。
【0102】
具体的には、内部フランジ部74、外部フランジ部84は、他端部側(後端側)の内部筒部76、外部筒部82において、接合部90で溶接して断熱内管121、断熱外管122に連結する。その後で、内部フランジ部74、外部フランジ部84は、一端部側の面で冷媒槽21、真空槽22の後端面212、222に押し付けられて、後端面212、222と内部保持部材50、外部保持部材60とにより挟持して固定される。
【0103】
従来、端末構造体の組み立て時においては、超電導ケーブル10を敷設した後、最終工程にて、超電導ケーブル10は低温容器20である冷媒槽21と真空槽22に、気密的に接続する互いの接続部分の位置を合わせて接続することになる。このとき、敷設により固定された超電導ケーブル10を、冷媒槽21や真空槽22の所定箇所へ無理に接続させると、高い密閉性を得ることができず、適切な冷却状態や真空状態を維持することが出来ない。さらに、互いの接続位置が合致していないにかかわらず、負荷を掛けて無理に超電導ケーブル10と低温容器20を接続させると、断熱内管121及び断熱外管122に断熱管12に負荷がかかり、断熱管12の所定箇所に不具合が生じてしまうことがある。
【0104】
しかしながら、本実施の形態では、内部フランジ部74、外部フランジ部84は、それぞれ内部保持部材50、外部保持部材60を介して冷媒槽12、真空槽22に挟持されることで固定される。このため、冷媒槽12、真空槽22への超電導ケーブル10の取り付けに際し、断熱内管121及び断熱外管122に負荷がかかることがない。これにより、超電導ケーブルと、冷媒槽及び真空槽を有する低温容器としての断熱容器、特に冷媒槽とが密閉性を損なうことなく接続でき、信頼性の高い極低温ケーブルの終端接続部としての超電導ケーブルの端末構造体を実現できる。
【0105】
また、本実施の形態の端末構造体1においては、複数層の超電導導体層を有する超電導ケーブル10、特に3相超電導ケーブルとしたが、これに限らず、超電導導体層が一層で一相の超電導ケーブル10を用いた構成としてもよい。
【0106】
なお、本実施の形態では、複数の超電導導体層112―3、112−2、112−3と、これらを絶縁するがい管部23−1、23−2、23−3を直線上に並べた状態で、それぞれの超電導導体層112―3、112−2、112−3を流れる電流を、接続電極部13、電極部リード部30を介して、端末構造体1の外部に引き出すようにしている。よって、従来と異なり、上方に筒状部と絶縁管の設置領域を確保する必要がなく、低温容器をより小さくして端末構造体自体のコンパクト化を図ることができ、設置スペースを小さくできるとともに、熱侵入を低減できる。
【0107】
また、本実施の形態の超電導ケーブルの端末構造体1は、複数の超電導導体層112―3、112−2、112−3と、これらを絶縁するがい管部23−1、23−2、23−3を真空槽22において電界緩和部15−1、15−2、15−3に対応する位置に設けて、直線上に並べた構成したが、これに限らない。すなわち、液体窒素を充填する冷媒槽21と、これを覆うように配置される真空槽22とを有する低温容器20を有する構成に、2重断熱管構造の超電導ケーブル10を接続する構造であれば、どのような容器を有する端末構造体に適用しても良い。真空槽22を、超電導ケーブル10を収容する冷媒槽21を内部に配置した真空槽本体部の上部から、導体引出部を挿通する筒状部を垂設した構成とし、この冷媒槽21と真空槽22とに超電導ケーブル10を接続する構成に用いても良い。この場合、低温容器20において冷媒槽21及び真空槽22の後端面212、222に、内部保持部材50、外部保持部材60により押し付けられ、挟まれた状態で保持される。これにより、本実施の形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0108】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づいて具体的に説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
【0109】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。