特許第6491524号(P6491524)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6491524
(24)【登録日】2019年3月8日
(45)【発行日】2019年3月27日
(54)【発明の名称】切断用治具
(51)【国際特許分類】
   B28D 7/02 20060101AFI20190318BHJP
   B28D 1/24 20060101ALN20190318BHJP
【FI】
   B28D7/02
   !B28D1/24
【請求項の数】7
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-85345(P2015-85345)
(22)【出願日】2015年4月17日
(65)【公開番号】特開2016-203437(P2016-203437A)
(43)【公開日】2016年12月8日
【審査請求日】2018年2月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】503367376
【氏名又は名称】ケイミュー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】特許業務法人北斗特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100087767
【弁理士】
【氏名又は名称】西川 惠清
(74)【代理人】
【識別番号】100155745
【弁理士】
【氏名又は名称】水尻 勝久
(74)【代理人】
【識別番号】100143465
【弁理士】
【氏名又は名称】竹尾 由重
(74)【代理人】
【識別番号】100155756
【弁理士】
【氏名又は名称】坂口 武
(74)【代理人】
【識別番号】100161883
【弁理士】
【氏名又は名称】北出 英敏
(74)【代理人】
【識別番号】100167830
【弁理士】
【氏名又は名称】仲石 晴樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162248
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 豊
(72)【発明者】
【氏名】津田 宣生
【審査官】 山下 浩平
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭63−179020(JP,U)
【文献】 実開昭60−166509(JP,U)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0006344(US,A1)
【文献】 登録実用新案第3043801(JP,U)
【文献】 特開2001−205624(JP,A)
【文献】 実開昭50−116191(JP,U)
【文献】 特開平09−076117(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0248600(US,A1)
【文献】 実開平03−039510(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B28D 1/00 − 7/04
B27G 3/00
B23D 33/00 − 33/12
B23D 45/00 − 59/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被切断材を切断する際に用いられる切断用治具であって、
上方に開口するように凹設され、前記被切断材を保持する保持部が設けられた粉じん受け部と、
前記粉じん受け部の周壁に設けられ、前記粉じん受け部内からの粉じんが排出される排出部と、
前記粉じん受け部内に設けられ、前記排出部から離反する粉じんを前記排出部側へ誘導する誘導部と
を備え、
前記誘導部は、前記粉じんを前記排出部側へ誘導する誘導面を有し、水平方向における該誘導面の角度調整が可能なように構成されている
ことを特徴とする切断用治具。
【請求項2】
被切断材を切断する際に用いられる切断用治具であって、
上方に開口するように凹設され、前記被切断材を保持する保持部が設けられた粉じん受け部と、
前記粉じん受け部の周壁に設けられ、前記粉じん受け部内からの粉じんが排出される排出部と、
前記粉じん受け部内に設けられ、前記排出部から離反する粉じんを前記排出部側へ誘導する誘導部と
を備え、
前記誘導部は、前記被切断材が当接することにより、該被切断材を位置決めする
ことを特徴とする切断用治具。
【請求項3】
前記誘導部は、前記被切断材が当接することにより、該被切断材を位置決めする
ことを特徴とする請求項1に記載の切断用治具。
【請求項4】
前記保持部は、
前記被切断材が載置される載置部と、
前記載置部に載置された前記被切断材を上から押さえる押さえ部と
で構成されている
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の切断用治具。
【請求項5】
前記載置部および前記押さえ部は、それぞれ前記被切断材の形状に沿って変形可能な保持材を有する
ことを特徴とする請求項4記載の切断用治具。
【請求項6】
前記押さえ部は、前記載置部に対して上下方向に回転自在に連結されている
ことを特徴とする請求項4または請求項5に記載の切断用治具。
【請求項7】
前記粉じん受け部には、
切断機の移動をガイドするガイド部と、
前記ガイド部に前記切断機がガイドされたときの、前記切断機に設けられ前記被切断材を切断する切断具の移動軌跡を示す目印体と
が設けられており、
前記目印体は、前記ガイド部に対して接離可能に構成されている
ことを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の切断用治具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被切断材を切断する際に用いられる切断用治具に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、従来の切断装置が開示されている。この特許文献1記載の切断装置は、回転鋸刃を有する切断機と、箱状の台と、台の内部に設けられたチャンバーと、チャンバーの側壁に設けられた集塵ダクトとを備えている。チャンバーは、上方にスリット状の開口を有している。また、集塵ダクトは、一端が集塵機に接続されており、その反対側の端部がチャンバーの内部に向かって開口している。
【0003】
使用者は、台に被切断材を載置し、集塵機を作動させた状態で、切断機の刃がスリット状の開口に入るようにして被切断材を切断する。すると、切断時に生じる粉じんは、チャンバーの開口を介してチャンバーで受けられると共に、集塵ダクトによって吸引され、この後、集塵機によって吸引除去される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開昭63−179020号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、従来の切断装置では、切断時に生じる粉じんの大部分は、チャンバー内における集塵ダクトの開口に向かう気流に乗って、集塵ダクト内に引き込まれる。しかしながら、一部の粉じんは、チャンバー内における集塵ダクトの開口に向かうものの、開口周縁のチャンバーの側壁に衝突して生ずる別の気流に沿って、当該開口から離れる方向に移動する。このとき、集塵ダクトの開口から離れる方向に移動する粉じんは、集塵ダクトの開口から離れすぎると、チャンバー内に残ってしまう。特に、この従来の切断装置では、チャンバーのスリット幅が狭いため、集塵ダクトによって吸引できない粉じんは除去しにくいという問題もある。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、粉じん受け部内において粉じんの飛散を抑制できる切断用治具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の切断用治具は、被切断材を切断する際に用いられる切断用治具であって、上方に開口するように凹設され、前記被切断材を保持する保持部が設けられた粉じん受け部と、前記粉じん受け部の周壁に設けられ、前記粉じん受け部内からの粉じんが排出される排出部と、前記粉じん受け部内に設けられ、前記排出部から離反する粉じんを前記排出部側へ誘導する誘導部とを備えていることを特徴とする。
【0008】
また、前記誘導部は、前記粉じんを前記排出部側へ誘導する誘導面を有し、水平方向における該誘導面の角度調整が可能なように構成されている
またこの切断用治具において、前記誘導部は、前記被切断材が当接することにより、該被切断材を位置決めすることが好ましい。
【0009】
また本発明の切断用治具は、被切断材を切断する際に用いられる切断用治具であって、上方に開口するように凹設され、前記被切断材を保持する保持部が設けられた粉じん受け部と、前記粉じん受け部の周壁に設けられ、前記粉じん受け部内からの粉じんが排出される排出部と、前記粉じん受け部内に設けられ、前記排出部から離反する粉じんを前記排出部側へ誘導する誘導部とを備え、前記誘導部は、前記被切断材が当接することにより、該被切断材を位置決めすることを特徴とする
【0010】
また、この切断用治具において、前記保持部は、前記被切断材が載置される載置部と、前記載置部に載置された前記被切断材を上から押さえる押さえ部とで構成されていることが好ましい。
【0011】
また、この切断用治具において、前記載置部および前記押さえ部は、それぞれ前記被切断材の形状に沿って変形可能な保持材を有することが好ましい。
【0012】
また、この切断用治具において、前記押さえ部は、前記載置部に対して上下方向に回転自在に連結されていることが好ましい。
【0013】
また、この切断用治具において、前記粉じん受け部には、切断機の移動をガイドするガイド部と、前記ガイド部に前記切断機がガイドされたときの、前記切断機に設けられ前記被切断材を切断する切断具の移動軌跡を示す目印体とが設けられており、前記目印体は、前記ガイド部に対して接離可能に構成されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明の切断用治具によれば、粉じん受け部内において粉じんの飛散を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本実施形態において閉状態の切断用治具を示した斜視図である。
図2】本実施形態において開状態の切断用治具を示した斜視図である。
図3】本実施形態において閉状態の切断用治具を示した断面図である。
図4】本実施形態において使用状態の切断用治具を示した斜視図である。
図5】本実施形態において開状態の切断用治具を示した断面図である。
図6】本実施形態の切断用治具を水平方向に切断した断面図である。
図7】本実施形態の切断用治具の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について添付図面に基づいて説明する。
【0017】
本実施形態の切断用治具1は、被切断材94として、例えば、セメント瓦を切断する際に用いられる。本実施形態の切断用治具1は、集じん機8が接続可能に構成されており、集じん機8を作動しながら切断作業を行うことで、切断する際に生じる粉じんを集じん機8により吸引することができる。また、本実施形態の切断用治具1は、切断する際に用いる切断機91の移動をガイドする機能も有する。切断用治具1は、平面視長矩形状の粉じん受け部10と、排出部5と、誘導部6とを備えている。
【0018】
以下においては、切断用治具1の設置状態に基づいて、上下方向を決定する。また、粉じん受け部10の水平方向のうち、長手方向に平行な方向を前後方向として定義する。特に、粉じん受け部10においては、前後方向のうち排出部5が設けられた側を前側として定義する。
【0019】
粉じん受け部10は、切断用治具1の主体を構成する。粉じん受け部10は、前後方向に延びており、左右方向に幅を有している。粉じん受け部10は、上方に開口した有底箱状をなしている。粉じん受け部10の側壁には、被切断材94を水平な状態に保持する一対の保持部11が設けられている。粉じん受け部10は、被切断材94を保持部11に保持させた状態で、切断機91を用いて上方の開口から被切断材94を切断できるように構成されている。粉じん受け部10は、基台部2と、この基台部2に対して上下方向に移動可能な押さえ部4とを備えている。
【0020】
基台部2は、地面などの設置面に設置される。基台部2は、その上端部の一部に被切断材94を載置できるように構成されていると共に、被切断材94を切断した際に生じる粉じんを受けることができるように構成されている。基台部2は、図2に示すように、基台部本体21と、基台部本体21の上端に設けられた保持材31とを備えている。
【0021】
基台部本体21は、保持部11に保持された被切断材94を切断した際に生じる粉じんを受ける部分である。基台部本体21は、周壁23と、底壁22と、基台部本体21の前端部に設けられた前上壁29とを備えており、上方に開口した箱状をなしている。また、基台部本体21は、底壁22から下方に突出した複数の脚部33を備えている。脚部33は、基台部本体21の底壁22の下面を設置面から離した状態で、周壁23および底壁22を支持するように構成されている。
【0022】
周壁23は、平面視矩形状の底壁22の四周から上方に向かって延出している。周壁23は、基台部本体21の長手方向に沿った一対の長壁24と、その長手方向の端部にそれぞれ設けられた前壁27および後壁28とで構成されている。
【0023】
一対の長壁24は、左右方向に離れている。各長壁24は、長壁本体25と、長壁前部26とで構成されている。長壁本体25は、前後方向に延びている。長壁前部26は、長壁本体25の前端に連結されている。長壁前部26は、長壁本体25の上端面よりも上方に突出している。なお、本実施形態の長壁本体25は、角型鋼管により構成され、長壁前部26は、金属板により構成されている。
【0024】
前壁27は、後壁28よりも左右方向に長く形成される。前壁27は、一対の長壁前部26の前端部間に亙るように設けられている。後壁28は、一対の長壁本体25の後端部間に亙るように設けられている。なお、前壁27および後壁28は、金属板により構成されている。後壁28の上端の右半部分には、後方に水平に延びる規制片28aが形成されている。
【0025】
前上壁29は、一対の長壁前部26の上端間に亙るように設けられている。前上壁29は、金属板により構成されている。
【0026】
本実施形態の基台部本体21は、前側の端部に覆い部30が設けられている。この覆い部30は、一対の長壁前部26と前壁27と前上壁29とで構成されており、後方に向かって開口している。基台部本体21において、覆い部30の後方側に配設されている左右一対の長壁本体25の各上面には、保持材31(以下、下保持材31という)が設けられている。
【0027】
各下保持材31は、被切断材94を載置可能な部分である。各下保持材31は、前後方向に延びている(この下保持材31の上面を載置面310とし、一対の長壁本体25と一対の下保持材31とを合わせて載置部32とする)。下保持材31は、被切断材94の形状に沿って変形可能に構成されている。下保持材31は、例えば、エチレン-プロピレン-ジエンゴム(EPDM)等の軟質ゴムや、エラストマー、ウレタン等により構成される。
【0028】
押さえ部4は、基台部2に対して上下方向に移動することで、基台部2との間で被切断材94を挟持し、これにより当該被切断材94を水平な状態に保持する。押さえ部4は、図1に示すように、基台部本体21に回転自在に連結された上フレーム41と、上フレーム41の下面に取り付けられた保持材46(以下、上保持材46という)とを備え、載置部32に対して上下方向に回動自在に連結されている。押さえ部4は、載置部32とで保持部11を構成する。
【0029】
以下、上フレーム41を下方に回転して、上保持材46が下保持材31に対向した状態を閉状態といい、上フレーム41を上方に回転して、上保持材46が下保持材31から離れて被切断材94を保持できない状態を開状態という。
【0030】
上フレーム41は、一対の長枠体42と、短枠体43とで構成されている。一対の長枠体42は、左右方向に離れており、閉状態において、それぞれが平面視で長壁本体25に重なるように構成されている。長枠体42の前端部は、基台部本体21の前端部にヒンジ44を介して連結されている。長枠体42の後端部は、閉状態において、後壁28よりも後方に突出している。短枠体43は、長枠体42の後端部間に架け渡すように連結されている。すなわち、短枠体43は、基台部本体21の後端部よりも後方に突出しており、作業者が上フレーム41を上昇させる際の把持部として使用される。この短枠体43には、該短枠体43に沿ってスライド移動するスライダ43aが取り付けられている。このスライダ43aは、短枠体43よりも一回り大きな前方に開口する断面略コ字状をなしている。そして、このスライダ43aの底板部は、閉状態において、側面視で上記後壁28の規制片28aよりも下方に位置する。そのため、閉状態において、スライダ43aを規制片28aに対応する位置にスライド移動させると、このスライダ43aの底板部が規制片28aの下面に接触する。この状態で上フレーム41を跳ね上げようとすると、スライダ43aの底板部が規制片28aに下方から当接するため、上フレーム41の上方への移動が規制される。なお、スライダ43aの底板部の右端部は、右方に向かって下側に傾斜している。このように傾斜させることにより、スライダ43aを右方にスライド移動する際、当該底板部の右端が規制片28aの左端に当接することなく、スムーズにスライド移動させることができる。
【0031】
各長枠体42は、直線状の角材により構成されている。したがって、各長枠体42の内側の縁部は直線状をなしており、被切断材94を切断する際の切断機91のガイドとして用いられる。以下、本実施形態においては、この長枠体42の前後方向に延びる内側面をガイド部45と言う。
【0032】
上保持材46は、長枠体42の長手方向に沿って、当該長枠体42の下面に固定されている。上保持材46は、上フレーム41の閉状態において、下保持材31に載置された被切断材94を上から押さえるように構成されている。上保持材46は、下保持材31と同様、被切断材94の形状に沿って変形可能に構成されている。なお、本実施形態において、上保持材46を構成する材料は、下保持材31を構成する材料と同じであるが、互いに異なる材料で構成されてもよい。
【0033】
また、図1に示すように、粉じん受け部10の前上壁29には、係止板71が設けられている。係止板71は矩形枠状をなしている。また、上フレーム41の前側の端部には、係止板71の内周縁に係合する板ばね72が設けられている。板ばね72は、図5に示すように、上フレーム41が上側に回転すると、係止板71の内周縁に係合し、これにより、上フレーム41は起立状態で保持される。なお、一定の強さで上フレーム41を下方に回転させると、係止板71に対する板ばね72の係合状態が解除される。
【0034】
このような構成の粉じん受け部10の周壁23を構成する前壁27の略中央部には、図1に示すように、粉じん受け部10内の粉じんを外部に排出する排出部5が設けられている。排出部5は、前後方向に延びた筒状をなしており、後側の開口が基台部本体21の内部に位置する(この開口を内側開口51とする。)。排出部5の内側開口51は、図3に示すように、覆い部30内に配置されている。また、排出部5は、基台部本体21の外側に位置する箇所が、前壁27よりも前方に突出している。この基台部本体21の外側に位置する箇所は、図4に示すように、集じん機8に接続される。
【0035】
集じん機8は、配管部81を介して切断用治具1に接続されている。配管部81は、分岐継手82と、複数の接続管86とを備えている。分岐継手82は、集じん機8に接続される第一接続部83と、切断用治具1の排出部5に接続される第二接続部84と、切断機91のカバー92の接続口部93に接続される第三接続部85とを備えている。これによって、集じん機8は、切断用治具1だけでなく、切断機91にも接続される。
【0036】
また、図2に示すように、粉じん受け部10の底壁22には誘導部6が設けられる。誘導部6は、排出部5から排出されずに排出部5の周囲の側壁(左右一対の長壁前部26及び前壁27等)に衝突して生じる別の気流(副流という)に乗り、当該排出部5から離反する(離れる方向へ移動する)粉じんを排出部5側へ誘導する。誘導部6において、粉じんを排出部5側へ誘導する面を誘導面64とする。誘導部6は、上下方向に幅、水平方向に長さを有する矩形状をなした立設部61と、立設部61の長さ方向の両端から突出した一対の側部62と、立設部61および一対の側部62の下端部に設けられる下横部63とを備えている。
【0037】
立設部61は、図5に示すように、底壁22の上面から上方に突出する。立設部61は、底壁22の上面に対して垂直となるように設けられる。本実施形態において、誘導面64は、立設部61の前面によって構成される。また、立設部61は、保持材31の載置面310よりも上方に突出している。したがって、誘導部6は、載置面310に載置される被切断材94の位置決めを兼ねることもできる。
【0038】
各側部62は、立設部61の長さ方向の端部から、立設部61の主面に垂直に突出している。これにより、誘導部6は、水平断面において断面略コ字状をなしている。各側部62は、略台形状をした板体により構成されており、下方に向かうほど幅寸法が大きくなるように形成されている。
【0039】
下横部63は、一対の側部62および立設部61の下端に固定されている。下横部63の下面は、水平面であり、この水平面が底壁22の上面に載置される。この下横部63が粉じん受け部10の底壁22に、例えば蝶ねじによりねじ止めされる。
【0040】
このような構成の誘導部6は、図6に示すように、誘導面64が排出部5の内側開口51側に向くようにして、粉じん受け部10の底壁22の前側部分に取り付けられる。誘導部6が取り付けられる位置は、覆い部30の後端近傍が好ましいが、副流に沿って排出部5から離反する粉じんを排出部5側に誘導できる位置であれば、覆い部30の後端近傍に限らない。
【0041】
また、誘導部6は、図7に示すように、上下軸廻りに回転自在となるよう底壁22に取り付けられている。これにより、誘導部6の誘導面64は、平面視において排出部5の吸引方向(すなわち、本実施形態では前後方向)に対して角度調整可能に構成されており、すなわち水平方向における角度を調整することができる。このため、本実施形態の誘導部6は、副流に沿って開口から離れる粉じんを排出部5側へ誘導できる効果的な角度となるよう、角度調整可能に構成されている。
【0042】
さらに、誘導部6は、上記の如く断面略コ字状をなしている。そのため、誘導部6を水平方向に回転させて排出部5と対向しない状態となったとしても、副流に乗った粉じんを誘導部6の立設部61及び側部62に沿って誘導することによって、再び排出部5側に戻すことが可能となる。
【0043】
また、本実施形態の粉じん受け部10は、底壁22に目印体70が取り付けられている。目印体70は、前後方向に直線状に延びている。目印体70は、平面視において切断機91をガイド部45に当てて前後方向に移動させた際の切断具95(例えば、切断刃)の移動軌跡を示すものである。目印体70は、例えば、図1に示すように、断面L字状のアングル材により構成される。なお、本実施形態の目印体70は、上方に突出した突状部分が移動軌跡を示すように使用される。なお、この突状部分は、切断具に干渉しないような突出寸法で形成されている。
【0044】
目印体70は、底壁22に形成された長孔221に固着具90が通され、これによって、底壁22に固定される。長孔221は左右方向に延びており、すなわち、ガイド部45に対して接離方向に延びている。従って、目印体70は、平面視において、ガイド部45に対して接離方向に移動できるように構成されている。また、本実施形態において目印体70は、誘導部6に対して左右方向に隣接配置されているが、互いに干渉しないように配置される。
【0045】
本実施形態の切断用治具1は、例えば、次のようにして使用される。作業者は、図4に示すように、切断用治具1の排出部5と、切断機91のカバー92とに集じん機8を接続する。そして、作業者は、切断機91の側面をガイド部45に当てた状態で、切断具の位置に合うように目印体70を移動させ、目印体70をガイド部45に平行になるように底壁22に固定する。
【0046】
次いで、作業者は、誘導部6の向きを調整する。このとき、誘導部6の後面を被切断材94の位置決めとして使用する場合には、被切断材94の載置すべき角度に合わせて誘導部6の角度を調整する。
【0047】
この後、作業者は、押さえ部4を上方に持ち上げ、被切断材94を左右一対の下保持材31に載置する。このとき、作業者は、平面視において、被切断材94において切断しようとする箇所が目印体70の移動軌跡に一致するように、被切断材94の前端を誘導部6に当て、この状態で押さえ部4を下げる。すると、被切断材94は、下保持材31と上保持材46とにより挟持される。これにより、被切断材94は切断用治具1に水平状態で保持される。
【0048】
この後、作業者は、集じん機8を作動させた状態で、ガイド部45に沿って切断機91を移動させて、被切断材94を切断する。すると、平面視において、被切断材94の切断面が、目印体70の示す移動軌跡に一致する(図6参照)。
【0049】
ここで、切断時に生じた粉じんは、集じん機8が発生させた気流に乗って、排出部5に引き込まれる。このとき、大部分の粉じんは排出部5に引き込まれるが、他の一部の粉じんは、副流に乗って排出部5から離れる方向に移動する。排出部5から離れる方向に移動した粉じんは、誘導部6により向きが変えられた副流に乗って、再度、排出部5に誘導される。
【0050】
なお、誘導部6は、粉じんが誘導面64に当たって落下させ、その後、排出部5に吸い込ませるようなものであってもよい。
<本実施形態のまとめ>
以上説明したように、本実施形態の切断用治具1は、被切断材94を切断する際に用いられる。切断用治具1は、粉じん受け部10と、排出部5と、誘導部6とを備える。粉じん受け部10は、上方に開口するように凹設され、その上部において被切断材94を保持する保持部11が設けられる。排出部5は、粉じん受け部10の周壁23に設けられ、粉じん受け部10内からの粉じんが排出される。誘導部6は、粉じん受け部10内に設けられ、排出部5から離反する粉じんを排出部5側へ誘導する。
【0051】
本実施形態の切断用治具1は、切断時において、集じん機8に吸引された粉じんは、大部分が排出部5に引き込まれるものの、一部が排出部5から離れる方向へ移動する。このとき、排出部5から離れる方向へ移動する粉じんは、誘導部6によって、当該離れる方向へ移動するのを妨げられる。これにより、排出部5から離れる方向へ移動しようとした粉じんは、再度、排出部5に吸引される。この結果、本実施形態の切断用治具1によれば、粉じんが吸引できずに残ってしまうのを抑制できる。
【0052】
さらに、本実施形態の切断用治具1は、上方に開口した箱状をしたシンプルな構造を基本的な構成としているため、構造をより簡単にすることが可能である。また、上方の開口が広いため、万が一、粉じん受け部10に粉じんが残っても清掃するのが容易である。
【0053】
また、本実施形態の切断用治具1は、以下の付加的な構成を備える。すなわち、本実施形態の誘導部6は、粉じんを排出部5側へ誘導する誘導面64を有し、水平方向における該誘導面64の角度調整が可能なように構成されている。
【0054】
このため、本実施形態の切断用治具1によれば、排出部5から離れる方向へ移動しようとする粉じんを、効果的に排出部5側へ誘導することができる。
【0055】
また、本実施形態の切断用治具1は、以下の付加的な構成を備える。すなわち、本実施形態の誘導部6は、被切断材94が当接することにより、該被切断材94を位置決めする。
【0056】
このため、本実施形態の切断用治具1によれば、誘導部6を利用して、被切断材94の位置決めを行うことができる。
【0057】
また、本実施形態の切断用治具1は、以下の付加的な構成を備える。すなわち、本実施形態の保持部11は、被切断材94が載置される載置部32と、載置部32に載置された被切断材94を上から押さえる押さえ部4とで構成されている。
【0058】
このため、本実施形態の切断用治具1によれば、切断用治具1に対して被切断材94を固定することができるため、切断作業を容易にできる。
【0059】
また、本実施形態の切断用治具1は、以下の付加的な構成を備える。すなわち、本実施形態の載置部32および押さえ部4は、それぞれ、被切断材94の形状に沿って変形可能な保持材31,46を有する。
【0060】
このため、本実施形態の切断用治具1によれば、被切断材94の形状によらず、効果的に切断用治具1に対して被切断材94を固定することができる。この結果、本実施形態の切断用治具1を用いれば、立体的で複雑な形状の被切断材94であっても、切断が容易となる。また、保持材31,46によって被切断材94、載置部32及び押え部4との隙間を極力小さくすることができるため、粉じんが当該隙間から粉じん受け部10の外方に飛散するのを抑制することができる。
【0061】
また、本実施形態の切断用治具1は、以下の付加的な構成を備える。すなわち、本実施形態の押さえ部4は、載置部32に対して上下方向に回転自在に連結されている。
【0062】
このため、本実施形態の切断用治具1によれば、押さえ部4を下方向に回転させるだけで、被切断材94を切断用治具1に保持させることができる。この結果、本実施形態の切断用治具1によれば、作業性を向上させることができる。
【0063】
また、本実施形態の切断用治具1は、以下の付加的な構成を備える。すなわち、本実施形態の粉じん受け部10には、切断機91の移動をガイドするガイド部45と、ガイド部45に切断機91がガイドされたときの切断具95の移動軌跡を示す目印体70とが設けられる。切断具95は、切断機91に設けられ、被切断材94を切断する。目印体70は、ガイド部45に対して接離可能に構成されている。
【0064】
このため、本実施形態の切断用治具1によれば、切断機91がガイド部45によってガイドされた際に生じる切断線を、切断作業前に一見して把握することができる。切断機91は種類ごとにサイズが異なるため、ガイド部45によって移動をガイドした際に切断される箇所は、切断機91の種類ごとに異なる。このため、目印体70によって、予め移動軌跡を示すことで、繰り返し行う切断作業の作業性と作業の正確さを向上させることができる。
【0065】
また、本実施形態の切断用治具1の保持部11は、押さえ部4の回転によって、保持材31に載置された被切断材94を押さえる構成であったが、例えば、切断用治具1の側壁を貫通する孔部によって構成されてもよい。すなわち、孔部に被切断材94を挿入し、これにより、被切断材94の上下左右方向の移動を規制するものであってもよい。
【0066】
また、本実施形態の切断用治具1は、被切断材94として、セメント瓦を切断するものであったが、セメント瓦でなくてもよく、被切断材94は特に限定されない。
【0067】
また、本実施形態の誘導部6は、副流の向きを変えて、粉じんを排出部5側に導くものであったが、本発明の誘導部6は、排出部5から離反する粉じんの移動を妨げるだけのものであってもよい。この場合、誘導部6に当たって落下した粉じんは、排出部5から排出される。このため、このような誘導部6であっても、粉じん受け部10における粉じんの残存を抑制することができる。
【符号の説明】
【0068】
1 切断用治具
10 粉じん受け部
11 保持部
2 基台部
21 基台部本体
22 底壁
23 周壁
24 長壁
29 前上壁
30 覆い部
31 下保持材
310 載置面
32 載置部
4 押さえ部
41 上フレーム
42 長枠体
43 短枠体
44 ヒンジ
45 ガイド部
46 上保持材
5 排出部
51 内側開口
6 誘導部
61 立設部
62 側部
63 下横部
64 誘導面
70 目印体
8 集じん機
91 切断機
94 被切断材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7