【実施例】
【0031】
図1に示すように、車両用表示装置10は、横長の透視窓11を備える上ケース12と、回路基板13を受けるボス14を備える下ケース15と、上ケース12と下ケース15との間に収納されるアッセンブリー体20とを備えている。
【0032】
上ケース12は、透視窓11を含む表示面16を有する。表示面16には、透視窓11の図面下方に警告表示部50が設けられる。加えて、表示面16には、透視窓11の左上に左方向指示灯の作動を表示する方向表示部としての左矢印マーク17L(Lは運転者から見て左を示す添え字。以下同様)を有し、透視窓11の右上に右方向指示灯の作動を表示する方向表示部としての右矢印マーク17R(Rは運転者から見て右を示す添え字。以下同様)を有する。
【0033】
図2に示すように、アッセンブリー体20は、中ケース21と、液晶表示パネル22と、回路基板13とからなる。
中ケース21は、周壁状の第1遮光壁23と、周壁状の第2遮光壁24と、周壁状の第3遮光壁25を有する樹脂成形品であり、遮光性を維持するために、不透明な樹脂材料で構成される。
【0034】
周壁状の第1遮光壁23の構造を詳述すると、回路基板13に垂直な壁23aと、この垂直な壁23aの途中から回路基板13に平行に延びる平行な壁23bとを有している。
同様に、周壁状の第2遮光壁24の構造を詳述すると、回路基板13に垂直な壁24aと、この垂直な壁24aの途中から回路基板13に平行に延びる平行な壁24bとを有している。
【0035】
第1遮光壁23の一端には、窓枠状の第1枠部26が設けられ、この第1枠部26に第1光拡散板31が嵌められる。
第2遮光壁24の一端には、窓枠状の第2枠部27が設けられ、この第2枠部27に第2光拡散板32が嵌められる。
液晶表示パネル22は、裏面に半透過半反射膜28が貼られている。
【0036】
また、回路基板13は、第1遮光壁23で囲われる部位に第1の発光素子33を備え、第2遮光壁24で囲われる部位に第2の発光素子34を備え、第3遮光壁25で囲われる部位に第3の発光素子35を備え、第1遮光壁23の外側部位に第4の発光素子36を備える。
第1の発光素子33は、多色LED(発光ダイオード)で構成される。
第2の発光素子34、第3の発光素子35、及び第4の発光素子36は、安価な単色LEDで構成される。
【0037】
中ケース21に回路基板13を取付ける。また、第1枠部26に第1光拡散板31を嵌め、第2枠部27に第2光拡散板32を嵌めながら、中ケース21に液晶表示パネル22を取付ける。結果、
図3の中央に示すアッセンブリー体20が得られる。
【0038】
図3に示すように、上ケース12は、表示面16の周囲から下ケース15側へ周壁部37が延びている。表示面16の裏面には、透視窓11を除く部位に、黒色又は灰色の遮光層38が印刷等で形成される。
ただし、警告表示部50は、ごく薄い膜厚とされる。同様に、矢印マーク17L、17Rもごく薄い膜厚とされる。ごく薄い膜は、遮光層38と同色の半透明膜であってもよい。
【0039】
図4に示すように、車両用表示装置10は、上ケース12及び下ケース15からなるハウジング39と、このハウジング39に収納される液晶表示パネル22と、ハウジング39に収納される回路基板13とを備える。
回路基板13は、多色で発光可能な第1の発光素子33と、単色で発光する第2の発光素子34と、単色で発光する第3の発光素子35と、単色で発光する第4の発光素子36とを各々備える。
液晶表示パネル22は、半透過半反射膜28を備える。
ハウジング39は、警告表示部50を有し、この警告表示部50は、第3の発光素子35によって直接的に(液晶表示パネル22を介することなく)透過照明される。
【0040】
図から明らかなように、透視窓11を通過してハウジング39内へ侵入する太陽光は、半透過半反射膜28で反射される。
また、第1の発光素子33による照明は、第1光拡散板31で拡散され、半透過半反射膜28を通過し、液晶表示パネル22(正確には、後述する第1のセグメント表示部)を照らす。第2の発光素子34による照明は、第2光拡散板32で拡散され、半透過半反射膜28を通過し、液晶表示パネル22(正確には、後述する第2のセグメント表示部)を照らす。
【0041】
一方、第3の発光素子35による照明は、直接警告表示部50を照らすため、警告表示部50は高輝度で表示される。第4の発光素子36による照明も、直接矢印マーク17L、17Rを照らすため、矢印マーク17L、17Rは高輝度で表示される。
【0042】
図5に示すように、透視窓11を通して液晶表示パネル22の要部を見ることができる。この液晶表示パネル22の要部には、例えばエンジンの回転速度をグラフィック表示する第1のセグメント表示部41が設けられると共に車両の速度を数値で表示する第2のセグメント表示部42が設けられている。
【0043】
折れ線グラフ状のグラフィックは、表示セグメント43を線状に並べて構成する。表示セグメント43は線の断片(セグメント)と見なすことができ、このような形態の表示部を第1のセグメント表示部41と呼ぶ。
【0044】
アラビヤ数字は、I字表示セグメント44を、「1」であれば上下に2個並べ、0〜9であれば、7個並べて日の字状に形成する。I字表示セグメント44は、数字の切片(セグメント)と見なし、このような形態の表示部を第2のセグメント表示部42と呼ぶ。
【0045】
警告表示部50は、例えば、ハイビームマーク51、ABS(アンチロック・ブレーキ・システム)マーク52、ニュートラルマーク53、オーバーヒートマーク54、エンジン異常マーク55からなる。これらは、破線で示すように、通常は見えない。方向表示部としての左右矢印マーク17L、17Rも同様である。
【0046】
図4に示すとおりに、第1の発光素子33の下位位置に第2の発光素子34が配置され、この第2の発光素子34の下位位置に第3の発光素子35が配置され、第1の発光素子33の上位位置に第4の発光素子36が配置されている。
すると、
図5に示すように、第3の発光素子で照明される警告表示部50が、車両用表示装置10の下縁に表示され、第4の発光素子で照明される方向表示部としての左右矢印マーク17L、17Rが上縁に表示されるため、警告表示部50及び方向表示部17L、17Rが目立ち、これらの視認性が高まる。
【0047】
また、
図4にて、垂直な壁23a、24aは、一端が回路基板13に当接し、他端が液晶表示パネル22に当接している。第1の発光素子33が発した光が、隣の表示部(
図5、符号42)に漏れないようにすることができ、同様に、第2の発光素子34が発した光が、隣の表示部(
図5、符号41)に漏れないようにすることができる。
【0048】
さらには、
図4に示すように、垂直な壁23a、24aに、回路基板13に対して平行な壁23b、24bを付設した。
第1・第2の発光素子33、34が発した光は、第1・第2光拡散板31、32で拡散された後に、半透明
半反射膜28を通過するが、一部が半透明
半反射膜28で反射される。この反射光は、平行な壁23b、24bで再反射され半透明
半反射膜28へ戻される。結果、液晶表示パネル22の表示輝度が向上する。
【0049】
また、
図4にて、回路基板13と警告表示部50との間に、液晶表示パネル22が配置される。すなわち、回路基板13から液晶表示板20までの距離H1に対して、回路基板13から警告表示部50までの距離H2が大きい(H1<H2)。
【0050】
図5に示すように、液晶表示パネル22は第1のセグメント表示部41及び第2のセグメント表示部42を有する。警告表示部50が手前にあり、第1のセグメント表示部41及び第2のセグメント表示部42は警告表示部50より、図面奥にある。乗員等の観察者の眼を基準にすると、警告表示部50は眼にやや近い位置にあり、第1・第2のセグメント表示部41、42は眼からやや遠い位置にある。距離が異なるために立体感に富む表示となる。
【0051】
以上の構成からなる車両用表示装置10の作用を次に述べる。
<メインスイッチ・オン時>
図6(a)に示すように、メインスイッチをオフからオンにすると、第1のセグメント表示部41は、エンジンの回転速度がゼロであることを示す。第2のセグメント表示部42は車両の速度が「0」であることを示す。警告表示部50では、ニュートラルマーク53が点灯し、ニュートラルギヤが選択されていることを示す。
【0052】
<エンジン始動、発進準備時>
図6(b)に示すように、エンジンを始動すると、第1のセグメント表示部41は、エンジンがアイドル回転状態にあることを示す。運転者がギヤをローに変えると、ニュートラルマーク53が消える。右ウインカーを出すと、右矢印マーク17Rが点滅する。
【0053】
<通常走行時>
図7(a)に示すように、通常走行に移行すると、第1のセグメント表示部41は、エンジンの回転速度を表示する。第1のセグメント表示部41の色は、安全色(青色や緑色)とされる。
第2のセグメント表示部42は、車両の速度を表示する。
【0054】
運転者がハイビームを選択した場合には、ハイビームマーク51が点灯状態になる。
図4に示すように、警告表示部50は、液晶表示パネル22を介することなく、直接第3の発光素子35で照明される。よって、
図7(a)に示すハイビームマーク51は高輝度で表示され、太陽光下であっても視認が容易である。他の警告表示部50も同様である。
【0055】
<エンジン回転速度異常時>
高速走行中に、ギヤ比の選択を誤ると、エンジンの回転速度が危険回転領域に達することがある。
図7(b)に示すように、第1のセグメント表示部41が一杯に延び、且つ、表示色が安全色から危険色(赤色)に変わる。運転者は直ちにエンジンの回転速度を下げる処置を講じる。
【0056】
図7(b)にて、第1のセグメント表示部41は多色表示としたが、第2のセグメント表示部42は安価な単色表示とした。よって、液晶表示パネル22のコストアップを抑制することができる。
【0057】
次に、車両用表示装置10を車両に搭載した例を説明する。
図8に示すように、車両は運転者が跨った形態で乗車する鞍乗り型車両60である。この鞍乗り型車両60は、前部にフロントカウル61を備え、このフロントカウル61に左右の方向指示灯62L、62R及び前照灯63を備え、想像線で示すウインドスクリーン64及びこのウインドスクリーン64を支持するステイ65を備えている。
【0058】
ステイ65は、フロントカウル61の上部から立ち上がる左右一対の立ち上がり部66L、66Rと、一対の立ち上がり部66L、66R間に渡される架橋板部67とからなる。
【0059】
そして、立ち上がり部66L、66Rと架橋板部67で囲われる領域に、車両用表示装置10が配置される。
ウインドスクリーン64は、中央下部に開口部68を有する。ウインドスクリーン64は、ビス等の締結部材69により立ち上がり部66L、66Rに締結される。
【0060】
図9に示すように、ハンドルホルダ71に操向ハンドル72が取付けられ、この操向ハンドル72の車両前方に車両用表示装置10が配置され、この車両用表示装置10の車両前方に架橋板部67が配置され、この架橋板部67の前方に、ウインドスクリーン64が配置される。
ウインドスクリーン64の開口部68から流入する走行風は、架橋板部67の前面で案内される。
【0061】
開口部68が無い場合に比較して、開口部68が有る本実施では、ウインドスクリーン64の受圧面積が減少し、走行風による走行抵抗を減じることができる。
また、ウインドスクリーン64の上端に渦流が発生しやすい。開口部68から取り入れた走行風の一部を架橋板部67で案内しつつウインドスクリーン64の背面を上昇させる。この上昇空気流れで渦流を解消することが可能となる。
【0062】
このような目的で設けた架橋板部67は、図示する通りに、車両用表示装置10の車両前方を覆った後に、上方へ延びて車両用表示装置10の上方をカバーする。架橋板部67の上半部がサンバイザー、すなわちメータバイザ73を兼ねる。メータバイザ73により、太陽光が直接車両用表示装置10に到達することを阻止することができる。
【0063】
尚、第1のセグメント表示部41は、エンジンの回転速度の他、燃料消費量を表示させても良い。すなわち、経済的な運転を行っているときには第1のセグメント表示部41は緑色とし、不経済な運転を行っているときには第1のセグメント表示部41は赤色とし、その中間では青色とする。このように、第1のセグメント表示部41の用途は任意である。