特許第6491532号(P6491532)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日本精機株式会社の特許一覧 ▶ 本田技研工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6491532-車両用表示装置 図000002
  • 特許6491532-車両用表示装置 図000003
  • 特許6491532-車両用表示装置 図000004
  • 特許6491532-車両用表示装置 図000005
  • 特許6491532-車両用表示装置 図000006
  • 特許6491532-車両用表示装置 図000007
  • 特許6491532-車両用表示装置 図000008
  • 特許6491532-車両用表示装置 図000009
  • 特許6491532-車両用表示装置 図000010
  • 特許6491532-車両用表示装置 図000011
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6491532
(24)【登録日】2019年3月8日
(45)【発行日】2019年3月27日
(54)【発明の名称】車両用表示装置
(51)【国際特許分類】
   B60K 35/00 20060101AFI20190318BHJP
   G01D 7/00 20060101ALI20190318BHJP
   G09F 13/04 20060101ALI20190318BHJP
   G09F 13/00 20060101ALI20190318BHJP
   B62J 99/00 20090101ALI20190318BHJP
【FI】
   B60K35/00 Z
   G01D7/00 301A
   G01D7/00 302T
   G09F13/04 Z
   G09F13/00 W
   B62J99/00 E
【請求項の数】7
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-96650(P2015-96650)
(22)【出願日】2015年5月11日
(65)【公開番号】特開2016-210321(P2016-210321A)
(43)【公開日】2016年12月15日
【審査請求日】2017年11月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000231512
【氏名又は名称】日本精機株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100067356
【弁理士】
【氏名又は名称】下田 容一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100160004
【弁理士】
【氏名又は名称】下田 憲雅
(74)【代理人】
【識別番号】100120558
【弁理士】
【氏名又は名称】住吉 勝彦
(74)【代理人】
【識別番号】100148909
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧澤 匡則
(74)【代理人】
【識別番号】100161355
【弁理士】
【氏名又は名称】野崎 俊剛
(72)【発明者】
【氏名】栗田 康弘
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 篤樹
(72)【発明者】
【氏名】片岡 雄一
【審査官】 首藤 崇聡
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−045983(JP,A)
【文献】 特開2015−017895(JP,A)
【文献】 特開昭59−018025(JP,A)
【文献】 特開平10−114241(JP,A)
【文献】 特開2010−175683(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 35/00
G01D 7/00
B62J 99/00
G09F 13/00
G09F 13/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングと、このハウジングに収納される液晶表示パネルと、前記ハウジングに収納される回路基板とを備える車両用表示装置であって、
前記回路基板は、多色で発光可能な第1の発光素子と、単色で発光する第2の発光素子と、単色で発光する第3の発光素子とを各々備え、
前記液晶表示パネルは、半透過半反射膜を備え、前記第1の発光素子によって透過照明される第1のセグメント表示部と、前記第2の発光素子によって透過照明される第2のセグメント表示部とを有し、
前記ハウジングは、前記第3の発光素子によって透過照明される警告表示部を有し、
前記ハウジングに、中ケースが収納され、
この中ケースは、前記第1の発光素子を囲う周壁状の第1遮光壁と、前記第2の発光素子を囲う周壁状の第2遮光壁とを有し、
前記第1遮光壁は、前記回路基板に垂直な壁と、この垂直な壁の途中から前記回路基板に平行に延びる平行な壁とを有し、
前記第1の発光素子が発した光は、一部が前記半透明半反射膜で反射され、この反射光は、前記平行な壁で再反射され前記半透明半反射膜へ戻され、
前記第2遮光壁は、前記回路基板に垂直な壁と、この垂直な壁の途中から前記回路基板に平行に延びる平行な壁とを有し、
前記第2の発光素子が発した光は、一部が前記半透明半反射膜で反射され、この反射光は、前記第2遮光壁側の前記平行な壁で再反射され前記半透明半反射膜へ戻されるようにしたことを特徴とする車両用表示装置。
【請求項2】
請求項1記載の車両用表示装置であって、
前記第1のセグメント表示部は、エンジンの回転速度を示し、
前記第2のセグメント表示部は、車両の速度を示すことを特徴とする車両用表示装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2記載の車両用表示装置であって、
この車両用表示装置は、鞍乗り型車両に設けられていることを特徴とする車両用表示装置。
【請求項4】
請求項3記載の車両用表示装置であって、
前記車両用表示装置は、前記鞍乗り型車両の操向ハンドルより前方で且つウインドスクリーンより後方に設けられていることを特徴とする車両用表示装置。
【請求項5】
請求項3又は請求項4記載の車両用表示装置であって、
前記車両用表示装置は、太陽光の直射を防止するメータバイザを備えていることを特徴とする車両用表示装置。
【請求項6】
請求項1記載の車両用表示装置であって、
前記回路基板は、単色で発光する第4の発光素子を更に備え、
前記ハウジングは、前記第4の発光素子によって透過照明される方向表示部を更に有し、
前記第1の発光素子の下位位置に前記第2の発光素子が配置され、この第2の発光素子の下位位置に前記第3の発光素子が配置され、前記第1の発光素子の上位位置に第4の発光素子が配置されていることを特徴とする車両用表示装置。
【請求項7】
請求項1記載の車両用表示装置であって、
前記回路基板と前記警告表示部との間に、前記第1のセグメント表示部及び前記第2のセグメント表示部を有する前記液晶表示パネルが配置されていることを特徴とする車両用表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示パネルを含む車両用表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両用表示装置として、各種の形態のものが知られている(例えば、特許文献1(図1図2)や特許文献2(図3図4)参照)。
【0003】
特許文献1を次図に基づいて説明する。
図10は従来の技術の基本原理を説明する図であり、(a)は正面図、(b)は(a)のb−b線断面図である。
図10(a)に示されるように、文字101を配置した表示盤102に、液晶パネル103が嵌め込まれている。この液晶パネル103には、各種の警告灯104〜109が設けられており、これらの警告灯104〜109は選択的に表示される。
【0004】
図10(b)に示されるように、液晶パネル103の背後に、黄色発光素子111、赤色発光素子112、緑色発光素子113が設けられている。これらの発光素子111〜113は、何れか1個が点灯される。
警告灯104と警告灯107は、黄色発光素子111で黄色に点灯される。警告灯105と警告灯106と警告灯108は赤色発光素子112で赤色に点灯される。警告灯109は、緑色発光素子113で緑色に点灯される(特許文献1、段落番号0022)。
【0005】
発光素子111〜113は、何れか1個が点灯されるため、多彩な表示ができない。例えば警告灯106を赤色表示すると同時に、表示灯109を緑色表示することはできない。すなわち、多彩な表示ができない。
【0006】
また、発光素子111〜113の照明光は、液晶パネル103を通過する間に輝度が減衰する。そのため、警告灯105、106、108を、高輝度で表示する必要がある場合であっても、高輝度の表示ができない。輝度が低いと、太陽光下では見え難くなることがある。
【0007】
特許文献2の図3に示されるように、車両用表示装置(30)(括弧付き数字は、特許文献2に記載された符号を示す。以下同様)は、運転者から見て左に液晶速度メータ(36)を備え、右にタコメータ(37)を備える。左の液晶速度メータ(36)は、ラジエータの水温上昇や燃料消費情報などの警告表示部(51)を備える。
【0008】
特許文献2の図4に示されるように、液晶速度メータ(36)の裏面に導光板(42)が設けられて、この導光板(42)の一端に多色発光ダイオード(43)が配置される。多色発光ダイオード(43)は、緑色に発光する発光チップ(56)と、赤色に発光する発光チップ(57)とを備えている。ドライブ回路(44)により、緑色発光チップ(56)と赤色発光チップ(57)の一方を選択することができる。
【0009】
特許文献2の図3にて、図示される6個の警告表示部(51)の一つ又は複数個が、緑色で表示される。又は、図示される6個の警告表示部(51)の一つ又は複数個が、赤色で表示される。
しかし、6個の警告表示部(51)の一つを緑色で表示しつつ、他の一つを赤色で表示することはできない。すなわち、多彩な表示ができない。
【0010】
また、多色発光ダイオード(43)の照明光は、液晶速度メータ(36)を通過する間に輝度が減衰する。そのため、警告表示部(51)を、高輝度で表示する必要がある場合であっても、高輝度の表示ができない。輝度が低いと、太陽光下では見え難くなることがある。
【0011】
すなわち、特許文献1に開示される技術と、特許文献2に開示される技術は、共に、多彩な表示ができない上に、太陽光下では警告表示が見え難い。
要求性能が高まる中、多彩な表示が可能であり、且つ、太陽光下でも見え易い警告表示が可能である自動車用表示装置が求められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2004−226364号公報
【特許文献2】特開2001−281001号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、多彩な表示が可能であり、且つ、太陽光下でも見え易い警告表示が可能である自動車用表示装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
請求項1に係る発明は、ハウジングと、このハウジングに収納される液晶表示パネルと、前記ハウジングに収納される回路基板とを備える車両用表示装置であって、
前記回路基板は、多色で発光可能な第1の発光素子と、単色で発光する第2の発光素子と、単色で発光する第3の発光素子とを各々備え、
前記液晶表示パネルは、半透過半反射膜を備え、前記第1の発光素子によって透過照明される第1のセグメント表示部と、前記第2の発光素子によって透過照明される第2のセグメント表示部とを有し、
前記ハウジングは、前記第3の発光素子によって透過照明される警告表示部を有し、
前記ハウジングに、中ケースが収納され、
この中ケースは、前記第1の発光素子を囲う周壁状の第1遮光壁と、前記第2の発光素子を囲う周壁状の第2遮光壁とを有し、
前記第1遮光壁は、前記回路基板に垂直な壁と、この垂直な壁の途中から前記回路基板に平行に延びる平行な壁とを有し、
前記第1の発光素子が発した光は、一部が前記半透明半反射膜で反射され、この反射光は、前記平行な壁で再反射され前記半透明半反射膜へ戻され、
前記第2遮光壁は、前記回路基板に垂直な壁と、この垂直な壁の途中から前記回路基板に平行に延びる平行な壁とを有し、
前記第2の発光素子が発した光は、一部が前記半透明半反射膜で反射され、この反射光は、前記第2遮光壁側の前記平行な壁で再反射され前記半透明半反射膜へ戻されるようにしたことを特徴とする。
【0015】
請求項2に係る発明は、請求項1記載の車両用表示装置であって、
前記第1のセグメント表示部は、エンジンの回転速度を示し、
前記第2のセグメント表示部は、車両の速度を示すことを特徴とする。
【0016】
請求項3に係る発明は、請求項1又は請求項2記載の車両用表示装置であって、
この車両用表示装置は、鞍乗り型車両に設けられていることを特徴とする。
【0017】
請求項4に係る発明は、請求項3記載の車両用表示装置であって、
前記車両用表示装置は、前記鞍乗り型車両の操向ハンドルより前方で且つウインドスクリーンより後方に設けられていることを特徴とする。
【0018】
請求項5に係る発明は、請求項3又は請求項4記載の車両用表示装置であって、
前記車両用表示装置は、太陽光の直射を防止するメータバイザを備えていることを特徴とする。
【0019】
請求項6に係る発明は、請求項1記載の車両用表示装置であって、
前記回路基板は、単色で発光する第4の発光素子を更に備え、
前記ハウジングは、前記第4の発光素子によって透過照明される方向表示部を更に有し、
前記第1の発光素子の下位位置に前記第2の発光素子が配置され、この第2の発光素子の下位位置に前記第3の発光素子が配置され、前記第1の発光素子の上位位置に第4の発光素子が配置されていることを特徴とする。
【0020】
請求項7に係る発明は、請求項1記載の車両用表示装置であって、
前記回路基板と前記警告表示部との間に、前記第1のセグメント表示部及び前記第2のセグメント表示部を有する前記液晶表示パネルが配置されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
請求項1に係る発明では、第1のセグメント表示部を多色表示させると同時に、第2のセグメント表示部を第1のセグメント表示部とは異なる色で表示する等の多彩な表示が可能である。また、半透過半反射膜の反射作用により、太陽光を反射する。加えて、警告表示部は、液晶表示パネルを介することなく、直接第3の発光素子で照明され、高輝度表示が維持される。
よって、請求項1によれば、多彩な表示が可能であり、且つ、太陽光下でも見え易い警告表示が可能である自動車用表示装置が提供される。
加えて、第1の発光素子を周壁状の第1遮光壁で囲ったので、第1の発光素子が発した光が、隣の表示部に漏れないようにすることができる。同様に、第2の発光素子を周壁状の第2遮光壁で囲ったので、第2の発光素子が発した光が、隣の表示部に漏れないようにすることができる。
さらに加えて、第1遮光壁は、回路基板に垂直な壁と、この垂直な壁の途中から回路基板に平行に延びる平行な壁とを有し、第1の発光素子が発した光は、一部が半透明半反射膜で反射され、この反射光は、平行な壁で再反射され半透明半反射膜へ戻され、
第2遮光壁は、回路基板に垂直な壁と、この垂直な壁の途中から回路基板に平行に延びる平行な壁とを有し、第2の発光素子が発した光は、一部が半透明半反射膜で反射され、この反射光は、第2遮光壁側の平行な壁で再反射され半透明半反射膜へ戻されるようにしたので、液晶表示パネルの表示輝度が向上する。
【0022】
請求項2に係る発明では、第1のセグメント表示部は、エンジンの回転速度を示し、第2のセグメント表示部は、車両の速度を示す。
第1のセグメント表示部は多色表示が可能であるため、回転速度が、いわゆるレッドゾーン域に達したときに赤色表示とし、レッドゾーン域外では安全色表示とすることができ、使い勝手性が向上する。
一方、第2のセグメント表示部は車両の速度を表示であるため、単色で十分であり、単色であれば発光素子は安価となる。
【0023】
請求項3に係る発明では、車両用表示装置は、鞍乗り型車両に設けられる。鞍乗り型車両に、多彩な表示が可能であり、且つ、太陽光下でも見え易い警告表示が可能である自動車用表示装置を搭載することができる。
【0024】
請求項4に係る発明では、車両用表示装置は、鞍乗り型車両の操向ハンドルより前方で且つウインドスクリーンより後方に設けられる。運転者の視認し易い場所に、車両用表示装置が配置される。
【0025】
請求項5に係る発明では、車両用表示装置は、太陽光の直射を防止するメータバイザを備えている。メータバイザで太陽光を遮る又は弱めることができ、太陽光対策を強化することができるため、警告表示部の視認性を一層高めることができる。
【0026】
請求項6に係る発明では、回路基板は、単色で発光する第4の発光素子を更に備え、ハウジングは、第4の発光素子によって透過照明される方向表示部を更に有する。方向表示部は、液晶表示パネルを介することなく、直接第4の発光素子で照明され、高輝度表示が維持されるため、太陽光下でも方向表示部の視認性が良好となる。
【0027】
また、第1の発光素子の下位位置に第2の発光素子が配置され、第2の発光素子の下位位置に第3の発光素子が配置され、第1の発光素子の上位位置に第4の発光素子が配置されている。第3の発光素子で照明される警告表示部が下縁に表示され、第4の発光素子で照明される方向表示部が上縁に表示されるため、警告表示部及び方向表示部が目立ち、これらの視認性が高まる。
【0028】
請求項7に係る発明では、回路基板と警告表示部との間に、第1のセグメント表示部及び第2のセグメント表示部が配置される。乗員等の観察者の眼を基準にすると、警告表示部は眼にやや近い位置にあり、第1・第2のセグメント表示部は眼からやや遠い位置にある。距離が異なるために立体感に富む表示となる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】本発明に係る車両用表示装置の分解図(正面図)である。
図2】アッセンブリー体の分解図である。
図3】本発明に係る車両用表示装置の分解図(断面図)である。
図4】本発明に係る車両用表示装置の断面図である。
図5図4の5矢視図である。
図6】車両用表示装置における表示例を説明する図である。
図7】車両用表示装置における表示例を説明する図である。
図8】鞍乗り型車両前部の斜視図である。
図9】鞍乗り型車両前部の断面図である。
図10】従来の技術の基本原理を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明の実施の形態を添付図に基づいて以下に説明する。
【実施例】
【0031】
図1に示すように、車両用表示装置10は、横長の透視窓11を備える上ケース12と、回路基板13を受けるボス14を備える下ケース15と、上ケース12と下ケース15との間に収納されるアッセンブリー体20とを備えている。
【0032】
上ケース12は、透視窓11を含む表示面16を有する。表示面16には、透視窓11の図面下方に警告表示部50が設けられる。加えて、表示面16には、透視窓11の左上に左方向指示灯の作動を表示する方向表示部としての左矢印マーク17L(Lは運転者から見て左を示す添え字。以下同様)を有し、透視窓11の右上に右方向指示灯の作動を表示する方向表示部としての右矢印マーク17R(Rは運転者から見て右を示す添え字。以下同様)を有する。
【0033】
図2に示すように、アッセンブリー体20は、中ケース21と、液晶表示パネル22と、回路基板13とからなる。
中ケース21は、周壁状の第1遮光壁23と、周壁状の第2遮光壁24と、周壁状の第3遮光壁25を有する樹脂成形品であり、遮光性を維持するために、不透明な樹脂材料で構成される。
【0034】
周壁状の第1遮光壁23の構造を詳述すると、回路基板13に垂直な壁23aと、この垂直な壁23aの途中から回路基板13に平行に延びる平行な壁23bとを有している。
同様に、周壁状の第2遮光壁24の構造を詳述すると、回路基板13に垂直な壁24aと、この垂直な壁24aの途中から回路基板13に平行に延びる平行な壁24bとを有している。
【0035】
第1遮光壁23の一端には、窓枠状の第1枠部26が設けられ、この第1枠部26に第1光拡散板31が嵌められる。
第2遮光壁24の一端には、窓枠状の第2枠部27が設けられ、この第2枠部27に第2光拡散板32が嵌められる。
液晶表示パネル22は、裏面に半透過半反射膜28が貼られている。
【0036】
また、回路基板13は、第1遮光壁23で囲われる部位に第1の発光素子33を備え、第2遮光壁24で囲われる部位に第2の発光素子34を備え、第3遮光壁25で囲われる部位に第3の発光素子35を備え、第1遮光壁23の外側部位に第4の発光素子36を備える。
第1の発光素子33は、多色LED(発光ダイオード)で構成される。
第2の発光素子34、第3の発光素子35、及び第4の発光素子36は、安価な単色LEDで構成される。
【0037】
中ケース21に回路基板13を取付ける。また、第1枠部26に第1光拡散板31を嵌め、第2枠部27に第2光拡散板32を嵌めながら、中ケース21に液晶表示パネル22を取付ける。結果、図3の中央に示すアッセンブリー体20が得られる。
【0038】
図3に示すように、上ケース12は、表示面16の周囲から下ケース15側へ周壁部37が延びている。表示面16の裏面には、透視窓11を除く部位に、黒色又は灰色の遮光層38が印刷等で形成される。
ただし、警告表示部50は、ごく薄い膜厚とされる。同様に、矢印マーク17L、17Rもごく薄い膜厚とされる。ごく薄い膜は、遮光層38と同色の半透明膜であってもよい。
【0039】
図4に示すように、車両用表示装置10は、上ケース12及び下ケース15からなるハウジング39と、このハウジング39に収納される液晶表示パネル22と、ハウジング39に収納される回路基板13とを備える。
回路基板13は、多色で発光可能な第1の発光素子33と、単色で発光する第2の発光素子34と、単色で発光する第3の発光素子35と、単色で発光する第4の発光素子36とを各々備える。
液晶表示パネル22は、半透過半反射膜28を備える。
ハウジング39は、警告表示部50を有し、この警告表示部50は、第3の発光素子35によって直接的に(液晶表示パネル22を介することなく)透過照明される。
【0040】
図から明らかなように、透視窓11を通過してハウジング39内へ侵入する太陽光は、半透過半反射膜28で反射される。
また、第1の発光素子33による照明は、第1光拡散板31で拡散され、半透過半反射膜28を通過し、液晶表示パネル22(正確には、後述する第1のセグメント表示部)を照らす。第2の発光素子34による照明は、第2光拡散板32で拡散され、半透過半反射膜28を通過し、液晶表示パネル22(正確には、後述する第2のセグメント表示部)を照らす。
【0041】
一方、第3の発光素子35による照明は、直接警告表示部50を照らすため、警告表示部50は高輝度で表示される。第4の発光素子36による照明も、直接矢印マーク17L、17Rを照らすため、矢印マーク17L、17Rは高輝度で表示される。
【0042】
図5に示すように、透視窓11を通して液晶表示パネル22の要部を見ることができる。この液晶表示パネル22の要部には、例えばエンジンの回転速度をグラフィック表示する第1のセグメント表示部41が設けられると共に車両の速度を数値で表示する第2のセグメント表示部42が設けられている。
【0043】
折れ線グラフ状のグラフィックは、表示セグメント43を線状に並べて構成する。表示セグメント43は線の断片(セグメント)と見なすことができ、このような形態の表示部を第1のセグメント表示部41と呼ぶ。
【0044】
アラビヤ数字は、I字表示セグメント44を、「1」であれば上下に2個並べ、0〜9であれば、7個並べて日の字状に形成する。I字表示セグメント44は、数字の切片(セグメント)と見なし、このような形態の表示部を第2のセグメント表示部42と呼ぶ。
【0045】
警告表示部50は、例えば、ハイビームマーク51、ABS(アンチロック・ブレーキ・システム)マーク52、ニュートラルマーク53、オーバーヒートマーク54、エンジン異常マーク55からなる。これらは、破線で示すように、通常は見えない。方向表示部としての左右矢印マーク17L、17Rも同様である。
【0046】
図4に示すとおりに、第1の発光素子33の下位位置に第2の発光素子34が配置され、この第2の発光素子34の下位位置に第3の発光素子35が配置され、第1の発光素子33の上位位置に第4の発光素子36が配置されている。
すると、図5に示すように、第3の発光素子で照明される警告表示部50が、車両用表示装置10の下縁に表示され、第4の発光素子で照明される方向表示部としての左右矢印マーク17L、17Rが上縁に表示されるため、警告表示部50及び方向表示部17L、17Rが目立ち、これらの視認性が高まる。
【0047】
また、図4にて、垂直な壁23a、24aは、一端が回路基板13に当接し、他端が液晶表示パネル22に当接している。第1の発光素子33が発した光が、隣の表示部(図5、符号42)に漏れないようにすることができ、同様に、第2の発光素子34が発した光が、隣の表示部(図5、符号41)に漏れないようにすることができる。
【0048】
さらには、図4に示すように、垂直な壁23a、24aに、回路基板13に対して平行な壁23b、24bを付設した。
第1・第2の発光素子33、34が発した光は、第1・第2光拡散板31、32で拡散された後に、半透明反射膜28を通過するが、一部が半透明反射膜28で反射される。この反射光は、平行な壁23b、24bで再反射され半透明反射膜28へ戻される。結果、液晶表示パネル22の表示輝度が向上する。
【0049】
また、図4にて、回路基板13と警告表示部50との間に、液晶表示パネル22が配置される。すなわち、回路基板13から液晶表示板20までの距離H1に対して、回路基板13から警告表示部50までの距離H2が大きい(H1<H2)。
【0050】
図5に示すように、液晶表示パネル22は第1のセグメント表示部41及び第2のセグメント表示部42を有する。警告表示部50が手前にあり、第1のセグメント表示部41及び第2のセグメント表示部42は警告表示部50より、図面奥にある。乗員等の観察者の眼を基準にすると、警告表示部50は眼にやや近い位置にあり、第1・第2のセグメント表示部41、42は眼からやや遠い位置にある。距離が異なるために立体感に富む表示となる。
【0051】
以上の構成からなる車両用表示装置10の作用を次に述べる。
<メインスイッチ・オン時>
図6(a)に示すように、メインスイッチをオフからオンにすると、第1のセグメント表示部41は、エンジンの回転速度がゼロであることを示す。第2のセグメント表示部42は車両の速度が「0」であることを示す。警告表示部50では、ニュートラルマーク53が点灯し、ニュートラルギヤが選択されていることを示す。
【0052】
<エンジン始動、発進準備時>
図6(b)に示すように、エンジンを始動すると、第1のセグメント表示部41は、エンジンがアイドル回転状態にあることを示す。運転者がギヤをローに変えると、ニュートラルマーク53が消える。右ウインカーを出すと、右矢印マーク17Rが点滅する。
【0053】
<通常走行時>
図7(a)に示すように、通常走行に移行すると、第1のセグメント表示部41は、エンジンの回転速度を表示する。第1のセグメント表示部41の色は、安全色(青色や緑色)とされる。
第2のセグメント表示部42は、車両の速度を表示する。
【0054】
運転者がハイビームを選択した場合には、ハイビームマーク51が点灯状態になる。図4に示すように、警告表示部50は、液晶表示パネル22を介することなく、直接第3の発光素子35で照明される。よって、図7(a)に示すハイビームマーク51は高輝度で表示され、太陽光下であっても視認が容易である。他の警告表示部50も同様である。
【0055】
<エンジン回転速度異常時>
高速走行中に、ギヤ比の選択を誤ると、エンジンの回転速度が危険回転領域に達することがある。
図7(b)に示すように、第1のセグメント表示部41が一杯に延び、且つ、表示色が安全色から危険色(赤色)に変わる。運転者は直ちにエンジンの回転速度を下げる処置を講じる。
【0056】
図7(b)にて、第1のセグメント表示部41は多色表示としたが、第2のセグメント表示部42は安価な単色表示とした。よって、液晶表示パネル22のコストアップを抑制することができる。
【0057】
次に、車両用表示装置10を車両に搭載した例を説明する。
図8に示すように、車両は運転者が跨った形態で乗車する鞍乗り型車両60である。この鞍乗り型車両60は、前部にフロントカウル61を備え、このフロントカウル61に左右の方向指示灯62L、62R及び前照灯63を備え、想像線で示すウインドスクリーン64及びこのウインドスクリーン64を支持するステイ65を備えている。
【0058】
ステイ65は、フロントカウル61の上部から立ち上がる左右一対の立ち上がり部66L、66Rと、一対の立ち上がり部66L、66R間に渡される架橋板部67とからなる。
【0059】
そして、立ち上がり部66L、66Rと架橋板部67で囲われる領域に、車両用表示装置10が配置される。
ウインドスクリーン64は、中央下部に開口部68を有する。ウインドスクリーン64は、ビス等の締結部材69により立ち上がり部66L、66Rに締結される。
【0060】
図9に示すように、ハンドルホルダ71に操向ハンドル72が取付けられ、この操向ハンドル72の車両前方に車両用表示装置10が配置され、この車両用表示装置10の車両前方に架橋板部67が配置され、この架橋板部67の前方に、ウインドスクリーン64が配置される。
ウインドスクリーン64の開口部68から流入する走行風は、架橋板部67の前面で案内される。
【0061】
開口部68が無い場合に比較して、開口部68が有る本実施では、ウインドスクリーン64の受圧面積が減少し、走行風による走行抵抗を減じることができる。
また、ウインドスクリーン64の上端に渦流が発生しやすい。開口部68から取り入れた走行風の一部を架橋板部67で案内しつつウインドスクリーン64の背面を上昇させる。この上昇空気流れで渦流を解消することが可能となる。
【0062】
このような目的で設けた架橋板部67は、図示する通りに、車両用表示装置10の車両前方を覆った後に、上方へ延びて車両用表示装置10の上方をカバーする。架橋板部67の上半部がサンバイザー、すなわちメータバイザ73を兼ねる。メータバイザ73により、太陽光が直接車両用表示装置10に到達することを阻止することができる。
【0063】
尚、第1のセグメント表示部41は、エンジンの回転速度の他、燃料消費量を表示させても良い。すなわち、経済的な運転を行っているときには第1のセグメント表示部41は緑色とし、不経済な運転を行っているときには第1のセグメント表示部41は赤色とし、その中間では青色とする。このように、第1のセグメント表示部41の用途は任意である。
【産業上の利用可能性】
【0064】
本発明は、液晶表示パネルを含む車両用表示装置に好適である。
【符号の説明】
【0065】
10…車両用表示装置、13…回路基板、17L、17R…方向表示部(矢印マーク)、21…中ケース、22…液晶表示パネル、23…第1遮光壁、23a…垂直な壁、23b…平行な壁、24…第2遮光壁、24a…第2遮光壁側の垂直な壁、24b…第2遮光壁側の平行な壁、28…半透過半反射膜、33…第1の発光素子、34…第2の発光素子、35…第3の発光素子、36…第4の発光素子、39…ハウジング、41…第1のセグメント表示部、42…第2のセグメント表示部、50…警告表示部、60…鞍乗り型車両、64…ウインドスクリーン、72…操向ハンドル、73…メータバイザ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10