(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の第1の実施の形態に係る超音波流量計の模式的断面図である。
【
図2】本発明の第1の実施の形態に係る超音波流量計の計測配管部を上流方向から見た側面図である。
【
図3】本発明の第1の実施の形態に係る超音波流量計の模式的断面図である。
【
図4】本発明の第1の実施の形態に係る超音波流量計の模式的断面図である。
【
図5】本発明の第1の実施の形態に係る超音波流量計の模式的断面図である。
【
図6】本発明の第1の実施の形態に係る超音波流量計の模式的断面図である。
【
図7】本発明の第1の実施の形態に係る超音波流量計の模式的断面図である。
【
図8】本発明の第1の実施の形態に係る超音波流量計の計測配管部を
図7のVIII−VIII方向から見た模式的断面図である。
【
図9】本発明の第1の実施の形態に係る超音波流量計の計測配管部の模式的断面図である。
【
図10】本発明の第1の実施の形態に係る超音波流量計の計測配管部の模式的断面図である。
【
図11】本発明の第1の実施の形態に係る超音波流量計の計測配管部の模式的断面図である。
【
図12】本発明の第1の実施の形態に係る超音波流量計の計測配管部の模式的断面図である。
【
図13】本発明の第1の実施の形態に係る超音波流量計の計測配管部の模式的断面図である。
【
図14】本発明の第2の実施の形態に係る超音波流量計の模式的断面図である。
【
図15】本発明の第3の実施の形態に係る超音波流量計の模式的上面図である。
【
図16】
図15に示すXVI−XVI方向から見た、本発明の第3の実施の形態に係る超音波流量計の模式的断面図である。
【
図17】本発明の第4の実施の形態に係る超音波流量計の模式的上面図である。
【
図18】本発明の第4の実施の形態に係る超音波流量計の模式的側面図である。
【
図19】
図17に示すXIX−XIX方向から見た、本発明の第4の実施の形態に係る超音波流量計の模式的断面図である。
【
図20】
図17に示すXX−XX方向から見た、本発明の第4の実施の形態に係る超音波流量計の模式的断面図である。
【
図21】本発明の第4の実施の形態に係る超音波流量計の模式的断面図である。
【
図22】本発明の第4の実施の形態に係る超音波流量計の模式的断面図である。
【
図23】本発明のその他の実施の形態に係る超音波流量計の模式的断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に本発明の実施の形態を説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号で表している。但し、図面は模式的なものである。したがって、具体的な寸法等は以下の説明を照らし合わせて判断するべきものである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。
【0013】
(第1の実施の形態)
第1の実施の形態に係る超音波流量計は、
図1に示すように、流体が流れる断面形状が円の計測配管部1に対して第1の超音波信号を入射する第1の超音波トランスデューサ101と、第1の超音波信号を受信可能な位置に配置され、計測配管部1に対して第2の超音波信号を入射する第2の超音波トランスデューサ102と、第1の超音波信号が配管内を経て第2の超音波トランスデューサ102に到達するまでの第1の時間と、第2の超音波信号が配管内を経て第1の超音波トランスデューサ101に到達するまでの第2の時間と、に基づき、計測配管部1内の流体の流速を算出する流速算出部302と、を備える。ここで、第1の実施の形態に係る超音波流量計において、第1及び第2の超音波トランスデューサ101、102が、計測配管部1の中心軸に対して連続的に回転可能である。
【0014】
計測配管部1の上流側は、断面形状が円の上流配管2に接続される。上流配管2の端部には、フランジ状の突起部12が設けられている。突起部12は、上流配管2の外周上を周回している。計測配管部1の中心軸方向から見て、突起部12の外周形状は円である。
【0015】
計測配管部1の上流側端部には、上流配管2の突起部12と接する、鉤上の段部11Aが設けられている。計測配管部1の中心軸を上流側に延長した方向から見た
図2に示すように、段部11Aは、計測配管部1の外周上を周回している。段部11Aの内周及び外周形状は円である。例えば、計測配管部1の段部11Aの内周の径は、
図1に示す上流配管2の突起部12の外周の径と等しく、上流配管2端部の突起部12は、計測配管部1の段部11Aに挿入される。
【0016】
計測配管部1の段部11Aの内周の幅は、上流配管2の突起部12の外周の幅よりも長い。上流配管2の外周と、計測配管部1の段部11Aの内周と、上流配管2の突起部12の側壁と、の間には、Oリング等のガスケット4が配置される。さらに、上流配管2の外周には、環状部材6が固定されている。環状部材6は、突起部12に対して、上流配管2の開口の反対側に固定されている。環状部材6の内周の径は、上流配管2の外周の径と等しく、環状部材6の内周は、上流配管2の外周と密に接している。環状部材6の高さは、突起部12の高さよりも高く、環状部材6の側壁は、計測配管部1の段部11Aの端面と接する。
【0017】
計測配管部1の下流側は、断面形状が円の下流配管3に接続される。下流配管3の端部には、フランジ状の突起部13が設けられている。突起部13は、下流配管3の外周上を周回している。計測配管部1の中心軸方向から見て、突起部13の外周形状は円である。
【0018】
計測配管部1の下流側端部には、下流配管3の突起部13と接する、鉤上の段部11Bが設けられている。段部11Bは、計測配管部1の外周上を周回している。計測配管部1の中心軸を下流側に延長した方向から見て、段部11Bの内周及び外周形状は円である。例えば、計測配管部1の段部11Bの内周の径は、下流配管3の突起部13の外周の径と等しく、下流配管3端部の突起部13は、計測配管部1の段部11Bに挿入される。
【0019】
計測配管部1の段部11Bの内周の幅は、下流配管3の突起部13の外周の幅よりも長い。下流配管3の外周と、計測配管部1の段部11Bの内周と、下流配管3の突起部13の側壁と、の間には、Oリング等のガスケット5が配置される。さらに、下流配管3の外周には、環状部材7が固定されている。環状部材7は、突起部13に対して、下流配管3の開口の反対側に固定されている。環状部材7の内周の径は、下流配管3の外周の径と等しく、環状部材7の内周は、下流配管3の外周と密に接している。環状部材7の高さは、突起部13の高さよりも高く、環状部材7の側壁は、計測配管部1の段部11Bの端面と接する。
【0020】
固定され回転できない上流配管2及び下流配管3に対し、計測配管部1は、その中心軸に対して回転可能である。第1及び第2の超音波トランスデューサ101、102は、計測配管部1に固定されており、計測配管部1と共に、第1及び第2の超音波トランスデューサ101、102は、計測配管部1の中心軸に対して連続的に回転可能である。第1の実施の形態においては、計測配管部1は、例えば手動で連続的に回転させられることが可能である。
【0021】
第1の超音波トランスデューサ101は計測配管部1内を流れる流体の上流側に配置され、第2の超音波トランスデューサ102は下流側に配置される。第1及び第2の超音波トランスデューサ101、102は、計測配管部1内を流れる流体に接触する。
図3に示すように、第1の超音波トランスデューサ101から発せられた第1の超音波信号は、計測配管部1内の流体中を進み、第2の超音波トランスデューサ102で受信される。また、
図4に示すように、第2の超音波トランスデューサ102から発せられた第2の超音波信号は、計測配管部1内の流体中を進み、第1の超音波トランスデューサ101で受信される。例えば、第1の超音波トランスデューサ101と第2の超音波トランスデューサ102は、交互に駆動信号が印加され、交互に超音波信号を発する。
【0022】
第1の超音波トランスデューサ101から発せられた第1の超音波信号は、例えば、計測配管部1の中心軸を横切る。また、第2の超音波トランスデューサ102から発せられた第2の超音波信も、計測配管部1の中心軸を横切る。
【0023】
計測配管部1の内部においては、流体が流速vで流れている。上述したように、第1の超音波トランスデューサ101は計測配管部1内を流れる流体の上流側に配置され、第2の超音波トランスデューサ102は下流側に配置される。そのため、
図3に示す第1の超音波トランスデューサ101から発せられた第1の超音波信号は、計測配管部1内の空洞部を流体の流れに従って伝播する。これに対し、
図4に示す第2の超音波トランスデューサ102から発せられた第2の超音波信号は、計測配管部1内の空洞部を流体の流れに逆らって伝播する。よって、計測配管部1内の空洞部において、第1の超音波信号の伝播時間と、第2の超音波信号の伝播時間と、で、流体の流速vによる差が生じる。
【0024】
図3に示す計測配管部1内の流体に出射する第1の超音波信号の出射角をθ
o1、計測配管部1内の流体における超音波の音速をcとすると、第1の超音波信号が計測配管部1内の空洞部を横切るために必要な伝播時間t
1は、下記(1)式で与えられる。
t
1=L/(c+v・cos((π/2)−θ
o1)) (1)
また、
図4に示す計測配管部1内の流体に出射する第2の超音波信号の出射角をθ
o2として、第2の超音波信号が計測配管部1内の空洞部を横切るために必要な伝播時間t
2は、下記(2)式で与えられる。
t
2=L/(c−v・cos((π/2)−θ
o2)) (2)
ここで、
図5及び
図6に示すように、Lは第1の超音波信号及び第2の超音波信号のそれぞれが計測配管部1内の空洞部を横切る長さを表す。
また、θ
o2はθ
o1と等しいため、上記(2)式から、下記(3)式が得られる。
t
2=L/(c−v・cos((π/2)−θ
o1)) (3)
【0025】
上記(1)及び(3)式より、伝播時間t
1と伝播時間t
2の平均は、下記(4)式で与えられる。
(t
1+t
2)/2=L・c/(c
2−v
2・cos
2((π/2)−θ
o1)) (4)
音速cは、流速vと比較して非常に速いため、上記(4)式は下記(5)式に近似される。
(t
1+t
2)/2=L・c/c
2 (5)
上記(5)式より、計測配管部1内の空洞部を流れる流体における音速cは、下記(6)式で与えられる。
c=2・L/(t
1+t
2) (6)
【0026】
また、上記(1)及び(3)式より、伝播時間t
2と伝播時間t
1との差Δtは、下記(7)式で与えられる。
Δt=t
2−t
1≒(2Lv・sinθ
o1)/c
2 (7)
上記(7)式より、計測配管部1内の空洞部を流れる流体の流速vは、下記(8)式で与えられる。
v=c
2Δt/(2L・sinθ
o1) (8)
ここで、音速cは、上記(6)式より算出可能である。あるいは、音速cは既知である。出射角θ
o1及び長さLは、既知である。したがって、第1及び第2の超音波信号の伝播時間t
1、t
2を計測することにより、計測配管部1内の空洞部を流れる流体の流速vを算出可能である。ただし、上記(8)式で算出される流速vは、第1及び第2の超音波信号の伝播経路上における流体の平均流速である。
【0027】
さらに、下記(9)式に示すように、流体の流速vに計測配管部1の断面積Sを乗じて、流体の流量Qを算出可能である。
Q=S・v (9)
【0028】
第1の超音波トランスデューサ101及び第2の超音波トランスデューサ102は、中央処理装置(CPU)300に電気的に接続されている。CPU300は、第1の超音波信号が第1の超音波トランスデューサ101から発せられてから計測配管部1内を経て第2の超音波トランスデューサ102に到達するまでの第1の時間、及び第2の超音波信号が第2の超音波トランスデューサ102から発せられてから配管内を経て第1の超音波トランスデューサ101に到達するまでの第2の時間を計測する時間計測部301と、第1の時間と、第2の時間と、に基づき、計測配管部1内の流体の流速を算出する流速算出部302と、を含む。
【0029】
時間計測部301は、第1の超音波トランスデューサ101が第1の超音波信号を発したタイミングと、第2の超音波トランスデューサ102が第1の超音波信号を受信したタイミングと、を監視し、第1の超音波信号が第1の超音波トランスデューサ101から発せられてから計測配管部1内を経て第2の超音波トランスデューサ102に到達するまでの第1の時間を計測する。また、時間計測部301は、第2の超音波トランスデューサ102が第2の超音波信号を発したタイミングと、第1の超音波トランスデューサ101が第2の超音波信号を受信したタイミングと、を監視し、第2の超音波信号が第2の超音波トランスデューサ102から発せられてから計測配管部1内を経て第1の超音波トランスデューサ101に到達するまでの第2の時間を計測する。
【0030】
時間計測部301は、第2の時間と第1の時間の差の値を算出し、流速算出部302に伝送する。ただし、時間計測部301は、第2の時間と第1の時間の差を、直接計測してもよい。
【0031】
流速算出部302は、上記(8)式及び(9)式等に基づいて、計測配管部1内の空洞部を流れる流体の流速v及び流量Qを算出する。なお、流速算出部302は、第1の時間の逆数と第2の時間の逆数の差に基づいて流速v及び流量Qを算出してもよい。
【0032】
CPU300には、測定値保存部352及び出力装置401が接続されている。流速算出部302は、算出した流体の流速v及び流量Qを、記憶装置である測定値保存部352に保存し、出力装置401に出力する。
【0033】
ここで、計測配管部1内を流れる流体の流速分布に偏りがない場合は、
図7及び
図8に示すように、計測配管部1の中心軸で最も流速が速く、中心軸対称に計測配管部1の側壁に近づくにつれて流速が遅くなる。この場合、計測配管部1の中心軸に対して第1及び第2の超音波トランスデューサ101、102の組みがどこにあっても、中心軸を交差する第1及び第2の超音波信号の伝播経路上における流体の平均流速は同じになる。
【0034】
これに対し、例えば
図9、
図10、及び
図11に示すように、計測配管部1内を流れる流体の流速分布が中心軸対称ではなく、偏っている場合、仮に計測配管部1の断面における流体の平均流速が
図9ないし
図11において同じであったとしても、超音波信号の伝播経路上における流体の平均流速は
図9ないし
図11において異なる。具体的には、流体の流速分布において、流速が速い部分を第1及び第2の超音波信号が多く伝播すれば、計測される平均流速は速くなり、流速が遅い部分を第1及び第2の超音波信号が多く伝播すれば、計測される平均流速は遅くなる。
【0035】
しかし、計測配管部1の断面における流体の平均流速が同じであるにもかかわらず、第1及び第2の超音波トランスデューサ101、102の配置によって、計測される平均流速が異なってくるのは好ましくない。また、通常、計測される平均流速が最も速くなるときに、流速分布の影響が最も抑制されている。そのため、計測される平均流速が最も速くなるよう、第1及び第2の超音波信号の伝播経路を設定することが好ましい。
【0036】
これに対し、第1の実施の形態に係る超音波流量計によれば、第1及び第2の超音波トランスデューサ101、102が固定された計測配管部1が中心軸に対して回転可能であるため、例えば
図10に示すように流速分布が偏っている場合は、
図12に示すように計測配管部1を回転させ、
図11に示すように流速分布が偏っている場合は、
図13に示すように計測配管部1を回転させることによって、流体の流速の平均値が最も速くなる、第1及び第2の超音波信号の伝播経路を設定することが可能である。
【0037】
第1の実施の形態に係る超音波流量計で流体の流量を計測する際には、まず、調整用に、流量が一定の流体を計測配管部1に流し、計測配管部1を回転させながら、計測される流速又は流量が最大となる第1及び第2の超音波トランスデューサ101、102の位置を探す。計測される流速又は流量が最大となるところで、計測配管部1の回転を止め、調整用の流体を流すことを止める。その後、測定対象の流体を計測配管部1に流し、流速又は流量を計測する。
【0038】
偏流は、超音波流量計の上流及び下流の配管の形状及び経路等に影響されるため、偏流の状態が変化しない場合がある。この場合、計測される流速又は流量が最大となる第1及び第2の超音波トランスデューサ101、102の位置を一度探しておけば、その後、同じ位置を保ったまま測定対象の流体の流速又は流量を計測すればよい。ただし、偏流の状態が変化する場合は、調整用に流量が一定の流体を計測配管部1に流して、計測される流速又は流量が最大となる第1及び第2の超音波トランスデューサ101、102の位置を探すことを、適宜行えばよい。
【0039】
従来、固定された管の周囲に多数の超音波トランスデューサの組み合わせを固定して、計測される流速又は流量が最大となる超音波トランスデューサの組み合わせを選択することが提案されている。しかし、偏流の状態が変化しない場合、選択されなかった超音波トランスデューサは使用されず無駄であり、製造コストに見合わない。また、管の周囲に多数の超音波トランスデューサの組み合わせを固定しても、超音波トランスデューサは間隔をおいて配置されるので、選択可能な超音波信号の伝播経路は離散的に存在する。そのため、選択可能な超音波信号の伝播経路以外に、流速又は流量が最大となる超音波信号の伝播経路が存在する可能性がある。
【0040】
これに対し、第1の実施の形態に係る超音波流量計においては、第1及び第2の超音波トランスデューサ101、102が固定された計測配管部1が連続的に回転可能であるため、多数の超音波トランスデューサを要しない。また、選択可能な第1及び第2の超音波信号の伝播経路が非離散的に連続的に存在するため、流速又は流量が最大となる第1及び第2の超音波信号の伝播経路を設定可能である。
【0041】
(第2の実施の形態)
第2の実施の形態に係る超音波流量計は、
図14に示すように、計測配管部1を回転させる回転機構20を備える。回転機構20は、例えば、モータ及び計測配管部1に接する円筒摩擦車を備えるが、これに限定されない。回転機構20は、流速算出部302で算出される流速又は流量が最高となる位置で計測配管部1の回転を止める。第2の実施の形態に係る超音波流量計のその他の構成要素は、第1の実施の形態と同様である。
【0042】
(第3の実施の形態)
第3の実施の形態に係る超音波流量計は、上面図である
図15、及びXVI−XVI方向から見た断面図である
図16に示すように、計測配管部1の回転範囲を制限する制限部材31、32を備える。制限部材31は、計測配管部1の段部11Aの外周上に固定されており、計測配管部1と共に計測配管部1の中心軸に対して回転する。制限部材32は、固定された上流配管2に固定された環状部材6の外周上に固定されている。そのため、制限部材32の位置は固定されている。計測配管部1に固定された制限部材31は、上流配管2側に突き出ており、上流配管2に固定された制限部材32は、計測配管部1側に突き出ている。制限部材32は、回転する計測配管部1のストッパーとして機能し、制限部材31が制限部材32に接触すると、計測配管部1はそれまでと同じ方向にそれ以上回転できない。
【0043】
制限部材31、32により、計測配管部1は、例えば0度から約360度までの約1回転に制限され、複数回回転することが制限される。これにより、例えば第1及び第2の超音波トランスデューサ101、102の配線が絡まることを防止することが可能となる。なお、さらに制限部材を設けて、計測配管部1の回転を、例えば0度から約180度までの約半回転に制限してもよい。第3の実施の形態に係る超音波流量計のその他の構成要素は、第1又は第2の実施の形態と同様である。
【0044】
(第4の実施の形態)
第4の実施の形態に係るクランプオン式超音波流量計は、上面図である
図17、側面図である
図18、
図17のXIX−XIX方向から見た断面図である
図19、
図17のXX−XX方向から見た断面図である
図20に示すように、流体が流れる断面形状が円の計測配管部1に対して第1の超音波信号を入射する第1の超音波トランスデューサ101と、第1の超音波信号を受信可能な位置に配置され、計測配管部1に対して第2の超音波信号を入射する第2の超音波トランスデューサ102と、第1の超音波信号が配管内を経て第2の超音波トランスデューサ102に到達するまでの第1の時間と、第2の超音波信号が配管内を経て第1の超音波トランスデューサ101に到達するまでの第2の時間と、に基づき、計測配管部1内の流体の流速を算出する流速算出部302と、を備える。ここで、第4の実施の形態に係る超音波流量計において、計測配管部1は固定されており、回転せず、第1及び第2の超音波トランスデューサ101、102が、計測配管部1の周りを連続的に回転可能である。
【0045】
第1の超音波トランスデューサ101は、第1のウェッジ111上に固定されている。計測配管部1の外周に接触する第1のウェッジ111は、例えばポリエーテルイミド等のプラスチック等の合成樹脂等からなる。第1の超音波トランスデューサ101は、第1のウェッジ111を介して計測配管部1の外周上に配置される。第1の超音波トランスデューサ101及び第1のウェッジ111は、筐体151に格納されている。クランプにより、筐体151は計測配管部1の外周上に押しつけられる。第1の超音波トランスデューサ101は、第1のウェッジ111及び計測配管部1の側壁を介して、計測配管部1内部の流体に第1の超音波信号を送り込む。
【0046】
第2の超音波トランスデューサ102は、第2のウェッジ112上に固定されている。計測配管部1の外周に接触する第2のウェッジ112は、例えばポリエーテルイミド等のプラスチック等の合成樹脂等からなる。第2の超音波トランスデューサ102は、第2のウェッジ112を介して計測配管部1の外周上に配置される。第2の超音波トランスデューサ102及び第2のウェッジ112は、筐体152に格納されている。クランプにより、筐体152は計測配管部1の外周上に押しつけられる。第2の超音波トランスデューサ102は、第2のウェッジ112及び計測配管部1の側壁を介して、計測配管部1内部の流体に第2の超音波信号を送り込む。
【0047】
計測配管部1の外周上には、レール固定部材261、262が固定されている。レール固定部材261、262には、計測配管部1を周回する円環状のレール251、252が平行に固定されている。円環状のレール251、252の中心は、計測配管部1の中心軸上にある。
【0048】
第1の超音波トランスデューサ101及び第1のウェッジ111を格納する筐体151は、レール251に沿って、計測配管部1上を周回可能である。したがって、第1の超音波トランスデューサ101及び第1のウェッジ111を格納する筐体151は、レール251を介して、
図20、
図21、及び
図22に示すように、計測配管部1の周りを回転可能である。また、第2の超音波トランスデューサ102及び第1のウェッジ112を格納する筐体152は、レール252沿って、計測配管部1上を周回可能である。したがって、第2の超音波トランスデューサ102及び第1のウェッジ112を格納する筐体152は、レール252を介して、計測配管部1の周りを回転可能である。
【0049】
第1及び第2の超音波トランスデューサ101、102を計測配管部1上で回転させる際、筐体151、152を計測配管部1の外周上に押しつけるクランプ力を弱めてもよい。
【0050】
第4の実施の形態に係る超音波流量計によれば、第1及び第2の超音波トランスデューサ101、102が、計測配管部1の中心軸に対して回転可能であるため、計測配管部1内の流体の流速分布が偏っている場合、第1及び第2の超音波トランスデューサ101、102を計測配管部1の中心軸に対して回転させることによって、流体の流速の平均値が最も速くなる、第1及び第2の超音波信号の伝播経路を設定することが可能である。
【0051】
第4の実施の形態に係る超音波流量計で流体の流量を計測する際には、まず、調整用に、流量が一定の流体を計測配管部1に流し、計測配管部1上で第1及び第2の超音波トランスデューサ101、102を回転させながら、計測される流速又は流量が最大となる第1及び第2の超音波トランスデューサ101、102の位置を探す。計測される流速又は流量が最大となるところで、第1及び第2の超音波トランスデューサ101、102の回転を止め、調整用の流体を流すことを止める。その後、測定対象の流体を計測配管部1に流し、流速又は流量を計測する。
【0052】
(その他の実施の形態)
上記のように本発明を実施の形態によって記載したが、この開示の一部をなす記述及び図面はこの発明を限定するものであると理解するべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例及び運用技術が明らかになるはずである。例えば、
図1においては、第1及び第2の超音波トランスデューサ101、102が対向して配置されている例を示した。これに対し、
図23に示すように、第1及び第2の超音波トランスデューサ101、102を、計測配管部1の中心軸方向に平行に配置し、計測配管部1内で反射された超音波信号を、第1及び第2の超音波トランスデューサ101、102のそれぞれで受信してもよい。また、超音波信号は、計測配管部1内を複数回反射させてもよい。このように、本発明はここでは記載していない様々な実施の形態等を包含するということを理解すべきである。