(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6491548
(24)【登録日】2019年3月8日
(45)【発行日】2019年3月27日
(54)【発明の名称】二次電池の製造方法および製造装置
(51)【国際特許分類】
H01M 2/02 20060101AFI20190318BHJP
H01M 2/06 20060101ALI20190318BHJP
【FI】
H01M2/02 K
H01M2/06 K
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-120065(P2015-120065)
(22)【出願日】2015年6月15日
(65)【公開番号】特開2017-4885(P2017-4885A)
(43)【公開日】2017年1月5日
【審査請求日】2018年3月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】507357232
【氏名又は名称】オートモーティブエナジーサプライ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100123788
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 昭夫
(74)【代理人】
【識別番号】100127454
【弁理士】
【氏名又は名称】緒方 雅昭
(72)【発明者】
【氏名】草柳 健一
【審査官】
守安 太郎
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2013/108708(WO,A1)
【文献】
特開2005−116482(JP,A)
【文献】
特開2008−243439(JP,A)
【文献】
特開2003−288883(JP,A)
【文献】
国際公開第2015/012195(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 2/02
H01M 2/06
H01M 2/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
2種類の電極がセパレータを介して交互に重ね合わせられた電極積層体が、ラミネートフィルムからなる外装容器の内部に収容されており、前記電極に接続された電極端子が、前記外装容器の内側から外側に延びている、二次電池の製造方法であって、
前記外装容器の外周部において、前記電極端子と前記ラミネートフィルムとが熱接着性樹脂を介して対向する部分と、前記電極積層体の端部との間の位置で、前記ラミネートフィルムを、前記二次電池の厚さ方向において前記外装容器の外側から内側に向かって押圧する工程と、
前記押圧した状態で、前記電極端子と前記ラミネートフィルムとが前記熱接着性樹脂を介して対向する部分を加熱する工程と、
を含む二次電池の製造方法。
【請求項2】
前記2種類の電極は、正極集電体の両面に正極活物質層が形成された構成の正極と、負極集電体の両面に負極活物質層が形成された構成の負極であり、平面的に見て前記負極活物質層は前記正極活物質層よりも大きく、
前記電極積層体の端部は前記負極活物質層の端部である、請求項1に記載の二次電池の製造方法。
【請求項3】
前記ラミネートフィルムを押圧する工程の前に、前記電極の集電体の一部を前記電極端子に重ね合わせて超音波溶接により互いに接合させる工程をさらに含み、
前記ラミネートフィルムを押圧する工程では、前記超音波溶接による接合部よりも前記電極積層体側の位置を押圧する、請求項1または2に記載の二次電池の製造方法。
【請求項4】
2種類の電極がセパレータを介して交互に重ね合わせられた電極積層体が、ラミネートフィルムからなる外装容器の内部に収容されており、前記電極に接続された電極端子が、前記外装容器の内側から外側に延びている、二次電池の製造装置であって、
前記ラミネートフィルムの外周部分を加熱して、前記電極端子に予め設けられた熱接着性樹脂を介して前記電極端子に熱融着させるヒータヘッドと、
前記ラミネートフィルムが前記熱接着性樹脂を介して前記電極端子に熱融着される部分と、前記電極積層体の端部との間の位置で、前記ラミネートフィルムを、前記二次電池の厚さ方向において前記外装容器の外側から内側に向かって押圧する押圧部材と、
を有する二次電池の製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は二次電池の製造方法および製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯型電子機器や電気自動車(ハイブリッド自動車を含む)等の電源として広く用いられている二次電池は、2種類の電極、すなわち正極と負極がセパレータを介して交互に積層された電極積層体が、電解液とともに、ラミネートフィルムからなる外装容器内に収容された構成を有するものが一般的である。
【0003】
特許文献1には、電極積層体から外装容器の外側に向けて延びている電極端子の表面に熱接着性樹脂が配置されており、外装容器を構成するラミネートフィルムの外周縁部の一部が熱接着性樹脂を介して電極端子に接合された構成が記載されている。この構成によると、電極端子の両面に設けられた熱接着性樹脂と、それらに接するラミネートフィルムの外周縁部とをそれぞれ熱融着させることによって、電極端子が外装容器の内側から外側に向かって延びている部分において電極端子の周囲に隙間を生じることなく封止することができる。ラミネートフィルムは、アルミニウム等からなる金属層が内側樹脂層と外側樹脂層とで挟み込まれた多層構造である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000-285903号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明者は、研究開発の結果、以下の知見を得た。ラミネートフィルムと熱接着性樹脂が熱封止された領域の近傍において、ラミネートフィルムと熱接着性樹脂とが部分的に接している場合には、封止時の熱によってその部分が熱融着されてしまう恐れがある。その後に、振動などの外力が加わった時に、ラミネートフィルムの内側樹脂層が部分的に剥がれる等の損傷が生じるおそれがあり、その結果、ラミネートフィルムを構成する金属層が露出するか、あるいは金属層が内側樹脂層で十分に被覆されなくなると、絶縁性が低下するという課題が生じる恐れがある。
【0006】
そこで本発明の目的は、ラミネートフィルムの内側樹脂層が部分的に剥がれる等の損傷が生じることを抑え、それによって絶縁性の低下を抑えることができる、二次電池の製造方法および製造装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の特徴は、2種類の電極がセパレータを介して交互に重ね合わせられた電極積層体が、ラミネートフィルムからなる外装容器の内部に収容されており、電極に接続された電極端子が、外装容器の内側から外側に延びている、二次電池の製造方法が、外装容器の外周部において、電極端子とラミネートフィルムとが熱接着性樹脂を介して対向する部分と、電極積層体の端部との間の位置で、ラミネートフィルムを、二次電池の厚さ方向において外装容器の外側から内側に向かって押圧する工程と、押圧した状態で、電極端子とラミネートフィルムとが熱接着性樹脂を介して対向する部分を加熱する工程と、を含むところにある。
【0008】
本発明のもう1つの特徴は、2種類の電極がセパレータを介して交互に重ね合わせられた電極積層体が、ラミネートフィルムからなる外装容器の内部に収容されており、電極に接続された電極端子が、外装容器の内側から外側に延びている、二次電池の製造装置が、ラミネートフィルムの外周部分を加熱して、電極端子に予め設けられた熱接着性樹脂を介して電極端子に熱融着させるヒータヘッドと、ラミネートフィルムが熱接着性樹脂を介して電極端子に熱融着される部分と、電極積層体の端部との間の位置で、ラミネートフィルムを、二次電池の厚さ方向において外装容器の外側から内側に向かって押圧する押圧部材と、を有するところにある。
【発明の効果】
【0009】
本発明によると、ラミネートフィルムと熱接着性樹脂の熱封止領域の近傍においてラミネートフィルムと熱接着性樹脂とが部分的に接してしまったために、熱封止時の熱で部分的に融着された箇所において、ラミネートフィルムの内側樹脂層が部分的に剥がれる等の損傷が生じることを抑え、それによって絶縁性の低下を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】(a)は本発明により製造された二次電池の平面図、(b)はその二次電池の一部を示すA−A線断面図である。
【
図2】本発明の二次電池の製造方法のフローチャートである。
【
図3】本発明の二次電池の製造方法における押圧工程を模式的に示す断面図である。
【
図4】本発明の二次電池の製造方法における熱融着工程を模式的に示す平面図である。
【
図5】(a)は押圧工程を行わない場合のラミネートフィルムと電極端子上の熱接着性樹脂との接触状態を模式的に示す断面図、(b)はラミネートフィルムの内側樹脂層が引き剥がされた状態を模式的に示す断面図である。
【
図6】本発明の二次電池の製造方法における押圧工程を行った場合のラミネートフィルムと電極端子上の熱接着性樹脂との接触状態を模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について説明する。まず、本発明によって製造される二次電池の基本構造について説明する。
図1(a)はこの二次電池の平面図、
図1(b)はその二次電池の一部を示すA−A線断面図である。
【0012】
図1に示す二次電池1は、シート状の2種類の電極、すなわち正極2と負極3とが、セパレータ4を介して交互に積層された電極積層体(電池素子)5が、電解液6とともに、ラミネートフィルム7からなる外装容器18内に収容された構成である。電極積層体5の各電極(正極2および負極3)にはそれぞれ電極端子(正極端子8および負極端子9)が接続されている。具体的には、正極2は、正極集電体10と、その両面に形成された正極活物質層11とを含み、正極集電体10の正極活物質層11が形成されていない部分がリード10aになっている。負極3は、負極集電体12と、その両面に形成された負極活物質層13とを含み、負極集電体12の負極活物質層13が形成されていない部分がリード12aになっている。各正極2のリード10aは正極端子8の上に重ねられて、超音波溶接等によって互いに接合されている。同様に、各負極3のリード12aは負極端子9の上に重ねられて、超音波溶接等によって互いに接合されている。
図1(a)には超音波溶接部(接合部)19を模式的に示している。正極端子8と負極端子9は外装容器18の内側から外側に延びている。
【0013】
電極積層体5を挟み込んで互いに重なり合うラミネートフィルム7同士が、互いに接合されて外装容器18が構成されている。
図1(b)に拡大して示すように、ラミネートフィルム7は、内側樹脂層7a(例えばポリプロピレンやポリエチレン等のポリオレフィン)と外側樹脂層7c(例えばPET:poly-ethylene-terephthalate)の間に金属層7b(例えばアルミニウム箔)が挟み込まれた多層構造であり、厚さは50〜500μm程度が好ましい。ラミネートフィルム7同士が直接重なり合う部分では、ラミネートフィルム7の内側樹脂層7a同士が熱融着によって接合されている。そして、ラミネートフィルム7同士が電極端子8,9を介して重なり合う部分では、電極端子8,9の表面に予め設けられている熱接着性樹脂(熱融着性樹脂。例えばポリプロピレン。厚さは10〜300μmが好ましい)14を介して、ラミネートフィルム7の内側樹脂層7aと電極端子8,9とがそれぞれ接合されている。こうして、外周縁部が封止された外装容器18が形成されている。本実施形態の外装容器18は、カップ状に予め成形されていない平坦なラミネートフィルム7から形成されている。
【0014】
次に、本発明による二次電池の製造方法について、
図2のフローチャートを参照しながら説明する。まず、正極集電体10と正極活物質層11とからなる複数の正極2と、負極集電体12と負極活物質層13とからなる複数の負極3とを、セパレータ4を間に挟みながら交互に積層して、電極積層体5を形成する(ステップS1)。この時、各正極2のリード10aを正極端子8の一端側の熱接着性樹脂14(例えば熱融着性樹脂)が形成されていない領域の上に重ねて、超音波溶接等によって一括して接合する。同様に、各負極3のリード12aを、負極端子9の一端側の熱接着性樹脂14が形成されていない領域の上に重ねて、超音波溶接等によって一括して接合する。
【0015】
電極積層体5を外装容器18の内部に格納する(ステップS2)。具体的には、外装容器18を構成する2枚の矩形状のラミネートフィルム7を、電極積層体5を間に介在させつつ重ね合わせる。この時、ラミネートフィルム7の外周縁部が熱接着性樹脂14の上に重なるように配置している。次に、外装容器18の外周縁部のうちの少なくとも1辺を除く辺、本実施形態では3辺において、重なり合うラミネートフィルム7の両側からヒータヘッドにより加熱して熱融着させて接合する。これにより、矩形状の外装容器の4辺のうちの3辺が封止される(ステップS3)。この封止方法の詳細については後述する。
【0016】
本方法の変形例として、電極積層体5の形成(ステップS1)と並行して外装容器18の3辺の封止(ステップS3)を行って、その後に外装容器18内への電極積層体5の挿入(ステップS2)を行っても構わない。また、大面積の1枚のラミネートフィルム7を折り曲げて外装容器18を形成することも可能である。その場合には、矩形状の外装容器18の1辺はラミネートフィルム7の折り曲げ部であるので、他の2辺をステップS3で封止すればよい。外装容器18の平面形状が矩形以外である場合には、後で注液口として用いられる少なくとも1辺を除いて、その他の辺をステップS3で封止すればよい。
【0017】
前述したように電極積層体5が格納され、かつ3辺が封止された外装容器18の未封止の1辺から、外装容器18の内部へ電解液6を注入する(ステップS4)。電解液6の注入が完了したら、注液口として用いられた未封止の1辺を封止して(ステップS5)、二次電池1を完成させる。
【0018】
本発明の大きな特徴は、前述した二次電池の製造方法の外装体の3辺を封止する工程(ステップS2)のうちの、電極端子8,9が配置されている辺を封止する工程にある。そこで、この電極端子8,9が配置されている辺を封止する工程について説明する。
図3では、この封止工程を正極端子8の位置において示しているが、負極端子9の位置においても
図3と同様の状態になる。
【0019】
図3に示すように、予め電極端子8,9に熱接着されている熱接着性樹脂14を介してラミネートフィルム7と電極端子8,9が対向する部分と、電極積層体5の電極端子8,9側の端部との間の位置で、押圧部材15によってラミネートフィルム7を、二次電池1の厚さ方向において外装容器18の外側から内側に向かって押圧する。押圧部材15に押圧されることによって、ラミネートフィルム7の一部が、熱接着性樹脂14に押し付けられる。押圧部材15は、熱融着工程で用いられるヒータヘッド17よりも、平面的に見て外装容器18の内側に位置している。ラミネートフィルム7の、押圧部材15によって押圧される部分(押圧部分)20は、平面的に見て、ヒータヘッド17に当接して直接加熱される部分(直接加熱部分)21よりも外装容器18の中央部側(内側)であって、電極積層体5の電極端子8,9側の端部よりも外側の位置である。そして、一例としては、ラミネートフィルム7の押圧部分20は、直接加熱部分21よりも電極積層体5の電極端子8,9側の端部に近い位置にある。押圧部材15による押圧は、押圧部材15の駆動手段であるシリンダ16の示す圧力が所定の値になるまで行われる。そして、シリンダ16の圧力が所定の圧力に到達したら、押圧した状態のまま、
図3,
図4に示すように、ラミネートフィルム7の、予め電極端子8,9に熱接着されている熱接着性樹脂14を介して電極端子8,9と対向する部分の一部(直接加熱部分21)に、上方および下方からヒータヘッド17をそれぞれ当接させて加熱し、ラミネートフィルム7の内側樹脂層7aを、予め電極端子8,9に熱接着されている熱接着性樹脂14に熱融着させる。その後、ヒータヘッド17、次に押圧部材15を元の位置に戻す。ラミネートフィルム7は熱融着の前に押圧部材15によって押圧されて弛みなく延ばされることにより、ヒータヘッド17に直接当接する直接加熱部分21のみならず、直接加熱部分21に近接する部分(近接部分)22も熱接着性樹脂14に密着する。それによって、熱融着時の熱による、近傍部分22の熱接着性樹脂14との接合強度が、押圧部材15による押圧を行わない場合に比べて大きくなる。また、熱接着性樹脂14以外の部分では、ラミネートフィルム7の内側樹脂層7a同士が直接重なり合って、ヒータヘッド17から付与された熱によって互いに熱融着する。その結果、ラミネートフィルム7同士が直接重なり合う部分においては内側樹脂層7a同士が互いに強固に熱融着し、ラミネートフィルム7が電極端子8,9を介して対向する部分においては、内側樹脂層7aが電極端子8,9上の熱接着性樹脂14に強固に熱融着して隙間が生じないように封止される。
【0020】
なお、電極端子8,9が配置されていない各辺は、押圧部材15による押圧は行わず、
図4に示されているのと同様なヒータヘッド17によってそれぞれ加熱して、直接重なり合うラミネートフィルム7の内側樹脂層7a同士を強固に熱融着させる。
【0021】
この製造方法に用いられる製造装置は、一般的な製造装置と同様に外装容器の各辺に対応する位置にそれぞれ配置されているヒータヘッド17に加えて、電極端子8,9が配置されている辺に対応する位置に配置されている押圧部材15およびシリンダ16を有する。
【0022】
以上説明した本発明の二次電池の製造方法の、
図3に示す押圧工程の技術的意義についてさらに詳しく説明する。
仮に、本発明の押圧工程を行わない場合には、
図5(a)に示すように、ラミネートフィルム7の、ヒータヘッド17が当接して直接加熱された直接加熱部分21は、熱接着性樹脂14に密着しているが、ヒータヘッド17が直接当接していない部分において、薄いラミネートフィルム7が波打った状態で熱接着性樹脂14に部分的に接触したような場合には、ヒータヘッド17の熱によって部分的に熱融着し、その接触面積は小さい。従って、振動などの外力が加わりラミネートフィルム7と熱接着性樹脂14とが相対的に移動する(例えばラミネートフィルム7が外側に引っ張られる)と、ラミネートフィルム7の内側樹脂層7aの一部が熱接着性樹脂14に熱融着した状態で剥がれるおそれがある。例えば、
図5(b)に示すように、熱接着性樹脂14に熱融着している部分(直接加熱部分21)の周囲で、ラミネートフィルム7の内側樹脂層7aの熱接着性樹脂14に付着している部分が、熱接着性樹脂14に付着していない部分から引き剥がされて、内側樹脂層7aによる金属層7bの被覆が不十分になるおそれがある。その結果、絶縁性が低下するおそれがある。
【0023】
仮に、ヒータヘッド17を大きくして、ラミネートフィルム7と熱接着性樹脂14とが対向する部分の全体を加熱すると、ヒータヘッド17と熱接着性樹脂14との接合強度は大きくなる。しかし、ヒータヘッド17による加熱時にラミネートフィルム7を介して熱接着性樹脂14に圧力が加わり、その結果、加熱されて溶融した熱接着性樹脂14とラミネートフィルム7の内側樹脂層7aが横方向にはみ出すおそれがある。このようにはみ出した熱接着性樹脂14は、割れ等の不具合を生じる可能性がある。
【0024】
そこで、本発明では、
図3,6に示すように、二次電池1の厚さ方向において外装容器18の外側から内側に向かってラミネートフィルム7を押圧することにより、ラミネートフィルム7と熱接着性樹脂14との接触面積を大きくする。その状態でヒータヘッド17によりラミネートフィルム7を加熱すると、ヒータヘッドに直接接触する直接加熱部分21のみならず、ヒータヘッド17で押圧加熱していない、ラミネートフィルムの内側樹脂層17aと熱接着性樹脂14が接している部分(近接部分22)での接触面積が大きくなるため、ヒータヘッド17の熱が伝達して熱融着されて接合強度が大きくなる。その結果、振動などの外力が加わっても、熱接着性樹脂14に熱融着したラミネートフィルム7が熱接着性樹脂14に対して相対的に移動することが抑えられ、内側樹脂層7aの一部が熱接着性樹脂14によって引き剥がされるおそれが低減する。従って、内側樹脂層7aによる金属層7bの被覆が不十分になるおそれが小さくなり、絶縁性の低下を抑えることができる。
【0025】
押圧部材15による押圧部分20は、ラミネートフィルム7が熱接着性樹脂14を介して電極端子8,9と対向する部分と、電極積層体5の電極端子8,9側の端部との間の位置であることが好ましい。ここでいう電極積層体5の電極端子8,9側の端部とは、たとえば、負極3の負極活物質層13の端部である。一般に、負極活物質層13の平面形状はセパレータ4の平面形状よりも小さく正極活物質層11の平面形状よりも大きいため、負極活物質層13の端部は、セパレータ4の端部と正極活物質層11の端部の間に位置する。負極活物質層13の端部の上方でラミネートフィルム7を押圧部材14によって押圧すると、その位置には正極活物質層11が存在しないため、正極活物質層11の厚さの分だけ各負極3およびセパレータ4が下方に押し下げられる。その結果、ラミネートフィルム7の内側樹脂層7aを熱接着性樹脂14に押しつけることができる。
【0026】
リード10a,12aと電極端子8,9との超音波溶接部(接合部)19に近い位置でラミネートフィルム7を押圧すると、超音波溶接時にリード10a,12aの一部に凸状部分や反りが生じている場合に、その凸状部分や反りがラミネートフィルム7の内側樹脂層7aを傷つける可能性がある。従って、リード10a,12aと電極端子8,9との接合部19から離れた位置で、押圧部材15によってラミネートフィルム7を押圧することが好ましい。すなわち、押圧工程(ステップS4)でラミネートフィルム7を押圧する押圧部分20は、超音波溶接による接合部19よりも電極積層体5側の位置であることが好ましい。
【0027】
図3に示すように、ラミネートフィルム7の上方から押圧部材15によって押圧すれば、下方に押圧部材を設ける必要性は小さい。その理由は、電極端子8,9の下側にはリード10a,12aを重ねて配置するためのスペースが不要なので、電極端子8,9とラミネートフィルム7との間隔が、電極端子8,9の上側に比べて近く、ラミネートフィルム7と接着性樹脂14との密着性が良いことである。もう1つの理由は、押圧工程では外装容器18は不図示の台上に置かれるため、
図3に示すように重力によって電極端子8,9が下降した位置にあるため、電極端子8,9の下面に接するラミネートフィルム7は水平に近い状態になり、ラミネートフィルム7と熱接着性樹脂14の密着性が良く、不要な歪みが生じにくいことである。
【0028】
図示した実施形態は、正極端子8と負極端子9が外装容器18の同一の辺から外部に延びている構成であるが、正極端子8と負極端子9が外装容器18の異なる辺からそれぞれ外部に延びている構成であってもよい。その場合には、正極端子8または負極端子9が配置された2つの辺のいずれにおいても、
図3に示すような押圧工程を行ってから、
図4に示す接合工程(熱融着工程)を行う。
【符号の説明】
【0029】
1 二次電池
2 正極(電極)
3 負極(電極)
4 セパレータ
5 電極積層体(電池素子)
6 電解液
7 ラミネートフィルム
7a 内側樹脂層
7b 金属層
7c 外側樹脂層
8 正極端子(電極端子)
9 負極端子(電極端子)
10 正極集電体
10a リード
11 正極活物質層
12 負極集電体
12a リード
13 負極活物質層
14 熱接着性樹脂(熱融着性樹脂)
15 押圧部材
16 シリンダ(駆動手段)
17 ヒータヘッド
18 外装容器
19 超音波溶接部(接合部)
20 押圧部分
21 直接加熱部分
22 近接部分