(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
略矩形状の車両用下部ふさぎ板を車体の下面開口部を隔てて対向する位置に設けた下面開口受部に車内側から当接させ、車外側からボルトを締結して前記車両用下部ふさぎ板を前記下面開口受部に着脱可能に固定する車両用下部ふさぎ板の脱落防止構造であって、
前記下面開口受部には、少なくとも一対の鍔付き係止ピンを車内側へ突出して設けるとともに、車内側に突出した係止爪を有し弾性体によって車内側へ付勢されるプランジャピンを設けたこと、
前記車両用下部ふさぎ板には、前記各鍔付き係止ピンと係合される被係合部と、前記プランジャピンの係止爪が挿入される係止孔とを形成したことを特徴とする車両用下部ふさぎ板の脱落防止構造。
略矩形状の車両用下部ふさぎ板を車体の下面開口部を隔てて対向する位置に設けた下面開口受部に車内側から当接させ、車外側からボルトを締結して前記車両用下部ふさぎ板を前記下面開口受部に着脱可能に固定する車両用下部ふさぎ板の脱落防止構造であって、
前記下面開口受部には、少なくとも一対の鍔付き係止ピンを車内側へ突出して設けるとともに、係止孔を形成したこと、
前記車両用下部ふさぎ板には、前記各鍔付き係止ピンと係合される被係合部を形成するとともに、前記下面開口受部の係止孔に挿入される係止爪を有し弾性体の押圧力によって車外側へ付勢されるプランジャピンを設けたことを特徴とする車両用下部ふさぎ板の脱落防止構造。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載された車両用下部ふさぎ板の脱落防止装置は、車両用下部ふさぎ板の切り込みを設けた辺に、係合体を車両の外部から内部へ挿入する方向に押圧する押圧体によって係合させる構造であるので、車両用下部ふさぎ板が適正な位置にセットされていないと、係合体が切り込みを設けた辺以外の箇所に当接して、切り込みを設けた辺に係合できない恐れがあった。そのため、上記脱落防止装置を確実に機能させるためには、車両用下部ふさぎ板を適正な位置にセットさせ、かつ、押圧体によって係合体を車両の外部から内部に挿入させるという新たな操作が必要であり、その新たな操作を人為的ミス等で忘れた場合、結局、車両用下部ふさぎ板が車体の下面開口受部から脱落する恐れは解消されない問題があった。
また、上記係合体は、下部ふさぎ板受に設けられた穴を通じて車両の外部から内部に挿脱可能に設けられているので、車両用下部ふさぎ板の切り込みを設けた辺に係合体が確実に係合していることの確認行為は、必ずしも容易ではなかった。そのため、車両用下部ふさぎ板の切り込みを設けた辺に係合体が確実に係合していないにもかかわらず、係合していると思い違いをする人為的ミスも生じる問題があった。
【0006】
本発明は、かかる問題を解決するためになされたものであり、車両用下部ふさぎ板を車体の下面開口受部の所定位置に配置した段階で、新たな操作を必要とすることなく、下面開口受部から車両用下部ふさぎ板が脱落するのを防止できる車両用下部ふさぎ板の脱落防止構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明に係る車両用下部ふさぎ板の脱落防止構造は、以下の構成を備えている。
(1)略矩形状の車両用下部ふさぎ板を車体の下面開口部を隔てて対向する位置に設けた下面開口受部に車内側から当接させ、車外側からボルトを締結して前記車両用下部ふさぎ板を前記下面開口受部に着脱可能に固定する車両用下部ふさぎ板の脱落防止構造であって、
前記下面開口受部には、少なくとも一対の鍔付き係止ピンを車内側へ突出して設けるとともに、車内側に突出した係止爪を有し弾性体によって車内側へ付勢されるプランジャピンを設けたこと、
前記車両用下部ふさぎ板には、前記各鍔付き係止ピンと係合される被係合部と、前記プランジャピンの係止爪が挿入される係止孔とを形成したことを特徴とする。
【0008】
本発明においては、下面開口受部には、少なくとも一対の鍔付き係止ピンを車内側へ突出して設けるとともに、車内側に突出した係止爪を有し弾性体によって車内側へ付勢されるプランジャピンを設け、また、車両用下部ふさぎ板には、各鍔付き係止ピンと係合される被係合部と、プランジャピンの係止爪が挿入される係止孔とを形成したので、車両用下部ふさぎ板を車体の下面開口受部に車内側から当接させ、各鍔付き係止ピンと被係合部とを係合させるだけで、プランジャピンの係止爪が車両用下部ふさぎ板の係止孔に自動的に挿入されて、下面開口受部に対する車両用下部ふさぎ板の変位を抑制することができる。
そのため、その後の下面開口受部に対する車両用下部ふさぎ板のボルト締結が、人為的な締め忘れや走行時の振動等により不十分となった場合でも、車両用下部ふさぎ板は、鍔付き係止ピン及びプランジャピンに拘束されて、車両用下部ふさぎ板が車体の下面開口受部から脱落するのを防止することができる。
よって、車両用下部ふさぎ板を車体の下面開口受部における所定の位置に配置した段階で、新たな操作を必要とすることなく、下面開口受部から車両用下部ふさぎ板が脱落するのを防止できる。
【0009】
(2)(1)に記載された車両用下部ふさぎ板の脱落防止構造において、
前記プランジャピンには、前記下面開口受部から車外側へ突出したつまみ部を形成したことを特徴とする。
【0010】
本発明においては、プランジャピンには、前記下面開口受部から車外側へ突出したつまみ部を形成したので、車両用下部ふさぎ板を下面開口受部から取り外すときには、つまみ部を車外側へ引くだけで、プランジャピンの係止状態を簡単に解除させることができる。また、プランジャピンの係止爪が車両用下部ふさぎ板の係止孔に挿入されていない時には、つまみ部が正規の位置より多く車外側へ突出しているので、プランジャピンの係止異常を簡単に発見することができる。
【0011】
(3)略矩形状の車両用下部ふさぎ板を車体の下面開口部を隔てて対向する位置に設けた下面開口受部に車内側から当接させ、車外側からボルトを締結して前記車両用下部ふさぎ板を前記下面開口受部に着脱可能に固定する車両用下部ふさぎ板の脱落防止構造であって、
前記下面開口受部には、少なくとも一対の鍔付き係止ピンを車内側へ突出して設けるとともに、係止孔を形成したこと、
前記車両用下部ふさぎ板には、前記各鍔付き係止ピンと係合される被係合部を形成するとともに、前記下面開口受部の係止孔に挿入される係止爪を有し弾性体の押圧力によって車外側へ付勢されるプランジャピンを設けたことを特徴とする。
【0012】
本発明においては、下面開口受部には、少なくとも一対の鍔付き係止ピンを車内側へ突出して設けるとともに、係止孔を形成し、また、車両用下部ふさぎ板には、各鍔付き係止ピンと係合される被係合部を形成するとともに、下面開口受部の係止孔に挿入される係止爪を有し弾性体の押圧力によって車外側へ付勢されるプランジャピンを設けたので、車両用下部ふさぎ板を車体の下面開口受部に車内側から当接させ、各鍔付き係止ピンと被係合部とを係合させるだけで、プランジャピンの係止爪が下面開口受部の係止孔に自動的に挿入されて、下面開口受部に対する車両用下部ふさぎ板の変位を抑制することができる。
そのため、その後の下面開口受部に対する車両用下部ふさぎ板のボルト締結が、人為的な締め忘れや走行時の振動等により不十分となった場合でも、車両用下部ふさぎ板は、鍔付き係止ピン及びプランジャピンに拘束されて、車両用下部ふさぎ板が車体の下面開口受部から脱落するのを防止することができる。
よって、車両用下部ふさぎ板を車体の下面開口受部における所定の位置に配置した段階で、新たな操作を必要とすることなく、下面開口受部から車両用下部ふさぎ板が脱落するのを防止できる。
【0013】
(4)(3)に記載された車両用下部ふさぎ板の脱落防止構造において、
前記下面開口受部には、前記係止孔に隣接して覗き孔を形成し、前記車両用下部ふさぎ板には、前記車両用下部ふさぎ板を前記下面開口受部に固定したとき前記覗き孔から目視可能なインジケートピンを設けたことを特徴とする。
【0014】
本発明においては、下面開口受部には、係止孔に隣接して覗き孔を形成し、車両用下部ふさぎ板には、車両用下部ふさぎ板を下面開口受部に固定したとき覗き孔から目視可能なインジケートピンを設けたので、下面開口受部に対する車両用下部ふさぎ板のボルト締結が、人為的な締め忘れや走行時の振動等により不十分となった場合に、インジケートピンによってそのボルト締結異常を検出できる。
したがって、下面開口受部に対する車両用下部ふさぎ板のボルト締結が不十分であるにもかかわらず、ボルト締結されていると思い違いをする人為的ミスを回避することができる。
【0015】
(5)(1)乃至(4)のいずれか1つに記載された車両用下部ふさぎ板の脱落防止構造において、
前記被係合部は、切欠き部及び孔部であって、前記切欠き部には、先端が略V字状に拡開された案内部を備え、前記孔部には、前記鍔付き係止ピンの鍔部が通過できる拡幅部を備えたことを特徴とする。
【0016】
本発明においては、被係合部は、切欠き部及び孔部であって、切欠き部には、先端が略V字状に拡開された案内部を備え、孔部には、鍔付き係止ピンの鍔部が通過できる拡幅部を備えたので、案内部及び拡幅部を経由して各鍔付き係止ピンと切欠き部及び孔部とをスムーズに係合させることができる。すなわち、車両用下部ふさぎ板を下面開口受部に車内側から当接させるとき、一方の鍔付き係止ピンの鍔部を拡幅部から孔部に挿入した後、他方の鍔付き係止ピンの脚部を案内部に沿って移動させることによって、各鍔付き係止ピンと切欠き部及び孔部とを簡単かつ確実に係合させることができる。したがって、車外側から見にくい各鍔付き係止ピンと被係合部との係合作業を楽に行うことができ、その人為的ミスを低減することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、車両用下部ふさぎ板を車体の下面開口受部の所定位置に配置した段階で、新たな操作を必要とすることなく、下面開口受部から車両用下部ふさぎ板が脱落するのを防止できる車両用下部ふさぎ板の脱落防止構造を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(第1実施形態)
次に、本発明の第1実施形態に係る車両用下部ふさぎ板の脱落防止構造について、
図1〜
図5を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本発明に係る第1実施形態の車両用下部ふさぎ板の脱落防止構造における車内側から見た平面図を示す。
図2は、
図1に示すA−A断面図を示す。
図3は、
図1に示すB−B断面図を示す。
図4は、
図1に示すC−C断面図を示す。
図5は、
図1に示す車両用下部ふさぎ板の取付け時、取外し時におけるC−C断面図を示す。
【0020】
図1、
図2に示すように、本実施形態の車両用下部ふさぎ板の脱落防止構造は、略矩形状の車両用下部ふさぎ板2を車体10の下面開口部9から車内側に挿入して、下面開口部9を隔てて対向する位置に設けた下面開口受部1、1に車両用下部ふさぎ板2を車内側から当接させ、車外側からボルト3を締結して車両用下部ふさぎ板2を下面開口受部1、1に着脱可能に固定する構造である。
【0021】
車体10の下面開口受部1、1は、車両前後方向で略一定に形成された下面開口部9を隔てて対向する位置に形成されている。下面開口受部1、1には、車両用下部ふさぎ板2が車内側から当接する面が平坦に形成された端縁部11、16と、端縁部11、16の基端部から車内側へ突設する基端補強リブ12、13とを備えている。
【0022】
下面開口受部1、1の端縁部11、16には、少なくとも一対の鍔付き係止ピン51、52が、車両前後方向で対向する位置に車内側へ向けて立設されている。各鍔付き係止ピン51、52は、頭部に円形状の鍔部511、521を有する。鍔部511、521は脚部512、522と同心状に形成され、鍔部511、521の外径は、脚部512、522の外径より大きく形成されている。鍔部511、521と端縁部11、16との上下隙間は、車両用下部ふさぎ板2の板厚の2〜3倍程度に形成されている。基端補強リブ12、13は、矢印Q1、Q2の方向へ車両用下部ふさぎ板2をスライドさせて、被係合部61、62を鍔付き係止ピン51、52に係合、離脱させるとき、車両用下部ふさぎ板2の端部と干渉しない位置に形成されている。なお、鍔部511、521は、鉤形でもよく、脚部512、522と一体でも別体でもよい。
【0023】
車両用下部ふさぎ板2は、蓋体21の上面に補強リブ22が形成された略矩形状の板状体である。蓋体21は、平坦面に形成され、下面開口受部1、1の端縁部11、16に当接する。補強リブ22は、車両前後方向に沿って複数個形成され、各補強リブ22は略等間隔で配置されている。
また、蓋体21には、下面開口受部1における車両前方の端縁部11に立設した一方の鍔付き係止ピン51と係合する切欠き部(被係合部)61が形成され、車両後方の端縁部16に立設した他方の鍔付き係止ピン52と係合する孔部(被係合部)62が形成されている。
【0024】
切欠き部61の車両前方側には、先端が略V字状に拡開された案内部611を備えている。案内部611の基端には、略U字状の係合溝612が形成されている。孔部62の車両前方側には、鍔付き係止ピン52の鍔部521が通過できる円弧状の拡幅部621を備えている。拡幅部621の後方には、縦長孔状の係合溝622が連通されている。縦長孔状の係合溝622は、車両左右方向に長く形成されている。案内部611と拡幅部621とを備えることによって、作業者が車外側から視認しにくい鍔付き係止ピン51、52の脚部512、522と係合溝612、622との係合作業(いわゆるブラインド作業)をスムーズに行うことができ、人為的ミスを低減することができる。
【0025】
また、切欠き部61に形成された係合溝612が端縁部11に立設した一方の鍔付き係止ピン51に係合され、孔部62に形成された係合溝622が端縁部16に立設した他方の鍔付き係止ピン52に係合されることによって、車両用下部ふさぎ板2は、車両左右方向及び車両上下方向の変位が抑制される。
なお、車両用下部ふさぎ板2は、下面開口受部1の上方へ突出する量が少ないので、車体10の床面に装着した各種電気機器や空調機器等との干渉を容易に回避できる利点がある。
【0026】
蓋体21の上面には、下面開口受部1の端縁部11、16にボルト締結されるナット31が固定されている。ナット31は、車両前後方向の対向する位置に、複数個配置されている。
また、ナット31が配設された位置に対応して、車両前方の端縁部11には、ボルト3を挿通する横長孔32が形成されている。横長孔32は、車両前後方向に長く形成されている。車両後方の端縁部16には、ボルト3を挿通する縦長孔33が形成されている。縦長孔33は、車両左右方向に長く形成されている。
【0027】
横長孔32は、鍔付き係止ピン51に係合される係合溝612と向きを揃えて形成され、縦長孔33は、鍔付き係止ピン52に係合される係合溝622との向きを揃えて形成されている。それぞれ向きを揃えて形成することによって、車両用下部ふさぎ板2の前後左右の位置ズレを吸収して、ボルト締結を確実に行うことができ、人為的ミスを低減することができる。
【0028】
図1、
図3〜
図5に示すように、下面開口受部1の端縁部11には、車内側に突出する係止爪41を有し弾性体46によって車内側へ付勢されるプランジャピン4が設けられている。また、車両用下部ふさぎ板2の蓋体21には、中央部231が車内側に突出する略ハット形断面の被係止部材23が固定されている。被係止部材23の中央部231には、プランジャピン4の係止爪41が挿入される係止孔232が形成されている。被係止部材23の両端部233は、補強リブ22の間で、車両用下部ふさぎ板2の蓋体21にボルト24で固定されている。
【0029】
プランジャピン4の係止爪41は、車内側に突出する四角柱の一側面に傾斜面411を形成したものである。傾斜面411は、上端部から車両後下方に向けて傾斜して形成されている。係止爪41の基端部には、被係止部材23の中央部231に車外側から当接する止め部42が形成されている。止め部42の下端には、弾性体46が接合されている。弾性体46は、所定の帯状板ばねを略矩形状に湾曲して両端で重ね合わせて形成し、重ね合わせ部461をボルト47で端縁部11に固定したものである。止め部42の下方には、上下で軸径が異なる軸部43、44が延伸されている。上方の軸部43は、下方の軸部44より軸径が大きく形成されている。上方の軸部43は、端縁部11に立設された筒状ガイド部14と摺接する。下方の軸部44は、端縁部11に形成された通孔15を貫通し、車外側に突出されたつまみ部45と連結されている。
【0030】
つまみ部45を車外側(矢印Pの方向)に引くと、弾性体46が撓み、上方の軸部43が端縁部11に当接する。そのとき、プランジャピン4の係止爪41は、被係止部材23の中央部231に形成された係止孔232から外れる。この状態で、車両用下部ふさぎ板2は、車両前後方向(矢印Q1、Q2の方向)へスライドでき、下面開口受部1への取付け、取外しを行うことができる。
すなわち、車両用下部ふさぎ板2を車両前方(矢印Q1の方向)へスライドさせると、鍔付き係止ピン51、52と切欠き部61及び孔部62とが係合され、かつ、プランジャピン4の係止爪41が係止孔232に自動的に挿入され、車両用下部ふさぎ板2を下面開口受部1の所定位置に取付けることができる。
また、つまみ部45を車外側(矢印Pの方向)に引き、車両用下部ふさぎ板2を車両後方(矢印Q2の方向)へスライドさせると、プランジャピン4の係止爪41が係止孔232から脱出し、かつ、鍔付き係止ピン51、52と切欠き部61及び孔部62との係合状態が解除され、車両用下部ふさぎ板2を下面開口受部1から取外すことができる。
【0031】
なお、車両用下部ふさぎ板2を矢印Q1の方向へスライドさせるときには、蓋体21の端部が係止爪41の傾斜面411に当接して、プランジャピン4を車外側(矢印Pの方向)へ移動させるので、つまみ部45を引く必要がない。また、つまみ部45が正規の位置より多く車外側へ突出しているときは、係止爪41が係止孔232に挿入されていないことになり、プランジャピン4の係止異常を簡単に発見することができる。
【0032】
<作用効果>
以上、詳細に説明した本実施形態に係る車両用下部ふさぎ板2の脱落防止構造によれば、車両用下部ふさぎ板2を車体10の下面開口受部1、1に車内側から当接させ、鍔付き係止ピン51、52と切欠き部61及び孔部62とを係合させるだけで、プランジャピン4の係止爪41が車両用下部ふさぎ板2の係止孔232に自動的に挿入されて、下面開口受部1、1に対する車両用下部ふさぎ板2の変位を抑制することができる。
この状態で、車両用下部ふさぎ板2と下面開口受部1、1とを車外側からボルト締結するが、仮に、ボルト締結が、人為的な締め忘れや走行時の振動等により不十分となった場合でも、車両用下部ふさぎ板2は、鍔付き係止ピン51、52及びプランジャピン4に拘束されて、車両用下部ふさぎ板2が車体10の下面開口受部1、1から脱落するのを防止することができる。
【0033】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態に係る車両用下部ふさぎ板2Bの脱落防止構造について、
図6〜
図10を参照しながら詳細に説明する。
図6に、本発明に係る第2実施形態の車両用下部ふさぎ板の脱落防止構造における車内側から見た平面図を示す。
図7に、
図6に示すD−D断面図を示す。
図8に、
図6に示すE−E断面図を示す。
図9に、
図6に示すF−F断面図であって、(a)は車両用下部ふさぎ板を下面開口受部にボルト締結したとき、(b)は当該ボルト締結を緩めたとき、(c)はプランジャピンに係合を解除したときを示す。
図10に、
図6に示すG−G断面図であって、(a)は車両用下部ふさぎ板を下面開口受部にボルト締結したとき、(b)は当該ボルト締結を緩めたときを示す。
【0034】
図6〜
図8に示すように、本実施形態の車両用下部ふさぎ板2Bの脱落防止構造は、略矩形状の車両用下部ふさぎ板2Bを車体10の下面開口部9から車内側に挿入して、下面開口部9を隔てて対向する位置に設けた下面開口受部1、1に車両用下部ふさぎ板2Bを車内側から当接させ、車外側からボルト3を締結して車両用下部ふさぎ板2Bを下面開口受部1、1に着脱可能に固定する構造である。
【0035】
車体10の下面開口受部1、1は、車両前後方向で略一定に形成された下面開口部9を隔てて対向する位置に形成されている。下面開口受部1、1には、車両用下部ふさぎ板2Bが車内側から当接する面が平坦に形成された端縁部11、16と、端縁部11、16の基端部から車内側へ突設する基端補強リブ12、13とを備えている。
【0036】
下面開口受部1、1の端縁部11、16には、少なくとも一対の鍔付き係止ピン52、53が、車両前後方向で対向する位置に車内側へ向けて立設されている。各鍔付き係止ピン52、53は、頭部に円形状の鍔部521、531を有する。鍔部521、531は脚部522、532と同心状に形成され、鍔部521、531の外径は、脚部522、532の外径より大きく形成されている。鍔部521と端縁部16との上下隙間は、車両用下部ふさぎ板2Bの板厚の2〜3倍程度に形成されている。鍔部531と端縁部11との上下隙間は、鍔部521と端縁部16との上下隙間の5〜6倍程度に形成されている。基端補強リブ12、13は、矢印S1、S2の方向へ車両用下部ふさぎ板2Bをスライドさせて、鍔付き係止ピン52、53に係合、離脱させるとき、車両用下部ふさぎ板2Bの端部と干渉しない位置に形成されている。なお、鍔部521、531は、鉤形でもよく、脚部522、532と一体でも別体でもよい。
【0037】
車両用下部ふさぎ板2Bは、第1蓋体21Bと第2蓋体25とが部分的に重ね合わせて連結された略矩形状の板状体である。第1蓋体21Bは、平坦面に形成され、その上面に補強リブ22Bが形成されている。補強リブ22Bは、車両前後方向に沿って複数個形成され、各補強リブ22Bは略等間隔で配置されている。また、第1蓋体21Bには、下面開口受部1の端縁部16に立設した鍔付き係止ピン52と係合する切欠き部(被係合部)63が形成されている。
第2蓋体25は、第1蓋体21Bと連結された連結部252と、下面開口受部1の端縁部11に着脱可能に固定される固定部251とが、階段状に形成されている。固定部251は、連結部252より高く、その高さは、第1蓋体21Bに立設した補強リブ22Bの高さと同程度である。固定部251には、端縁部11に立設した鍔付き係止ピン53と係合する孔部(被係合部)64が形成されている。
【0038】
切欠き部63の車両後方側には、先端が略V字状に拡開された案内部631を備えている。案内部631の基端には、略U字状の係合溝632が形成されている。
孔部64の車両後方側には、鍔付き係止ピン53の鍔部531が通過できる長円弧状の拡幅部641を備えている。拡幅部641の前方には、略U字状の係合溝642が連通されている。案内部631と拡幅部641とを備えることによって、目暗作業となる鍔付き係止ピン52、53の脚部522、532と係合溝632、642との係合作業をスムーズに行うことができ、人為的ミスを低減することができる。
【0039】
また、切欠き部63に形成された係合溝632が端縁部16に立設した鍔付き係止ピン52に係合され、孔部64に形成された係合溝642が端縁部11に立設した鍔付き係止ピン53に係合されることによって、車両用下部ふさぎ板2Bは、車両左右方向及び車両上下方向の変位が抑制される。
なお、車両用下部ふさぎ板2Bは、下面開口受部1の上方へ突出する量が少ないので、車体10の床面に装着した各種電気機器や空調機器等との干渉を容易に回避できる利点がある。
【0040】
車両用下部ふさぎ板2Bの第1蓋体21B及び第2蓋体25の固定部251には、下面開口受部1の端縁部11、16にボルト締結されるナット31が固定されている。ナット31は、第1蓋体21B及び固定部251の上面で車両前後方向の対向する位置に、複数個配置されている。固定部251の下面には、ボルト3が挿通される台座253が固定されている。
また、下面開口受部1の端縁部11には、ボルト3を挿通する横長孔32が形成されている。横長孔32は、車両前後方向に長く形成されている。下面開口受部1の端縁部16には、ボルト3を挿通する縦長孔33が形成されている。縦長孔33は、車両左右方向に長く形成されている。
【0041】
横長孔32は、鍔付き係止ピン53に係合される係合溝642と向きを揃えて形成され、縦長孔33は、鍔付き係止ピン52に係合される係合溝632との向きを揃えて形成されている。それぞれ向きを揃えて形成することによって、車両用下部ふさぎ板2Bの前後左右の位置ズレを吸収して、ボルト締結を確実に行うことができ、人為的ミスを低減することができる。
【0042】
図9に示すように、第2蓋体25の固定部251には、車外側に突出する係止爪76を有し弾性体78によって車外側へ付勢されるプランジャピン7が設けられている。また、下面開口受部1の端縁部11には、プランジャピン7の係止爪76が挿入される横長孔状の係止孔17が形成されている。
【0043】
プランジャピン7の係止爪76は、円柱形状をなし、その外径は係止孔17の短径と同一であり、その高さは端縁部11の厚さと同一である。係止爪76の基端部には、下面開口受部1の端縁部11に車内側から当接する止め部75が形成されている。止め部75の上端には、軸部74が固定部251を貫通して延伸され、軸部74との間に弾性体78を収納するカラー部材77が接合されている。弾性体78は、所定の長さの圧縮コイルばねである。カラー部材77は、固定部251の下面に立設された筒状ガイド部254と摺接する。軸部74の上端には、プランジャピン7の落下止め部材73が締結されている。
【0044】
図9(a)に示すように、車両用下部ふさぎ板2Bを下面開口受部1にボルト締結したとき、プランジャピン7の係止爪76が係止孔17に挿入された状態(係合状態)で、弾性体78は圧縮されている。
図9(b)に示すように、当該ボルト締結を緩めたとき、車両用下部ふさぎ板2Bは、弾性体78に押圧されて矢印Rの方向に上昇するが、プランジャピン7の係合状態は保持される。この状態から、
図9(c)に示すように、ドライバー等を係止孔17から挿入することによってプランジャピン7を矢印Sの方向に押すと、係止爪76は係止孔17から脱出する。そして、車両用下部ふさぎ板2Bを矢印S2の方向にスライドさせると、鍔付き係止ピン52、53と切欠き部63及び孔部64との係合状態が解除され、車両用下部ふさぎ板2Bを下面開口受部1から取外すことができる。
【0045】
一方、車両用下部ふさぎ板2Bを下面開口受部1に車内側から当接させて、鍔付き係止ピン52、53と切欠き部63及び孔部64とを係合させると、
図9(b)に示すように、プランジャピン7は弾性体78に押圧されて係止爪76が係止孔17に自動的に挿入され、車両用下部ふさぎ板2を下面開口受部1に取付けることができる。
【0046】
図10(a)に示すように、第2蓋体25の固定部251には、下面開口受部1の端縁部11に形成された覗き孔18に挿入されるインジケートピン8が固定されている。覗き孔18は、係止孔17に隣接して形成されている。インジケートピン8は、半球状の頭部81と円柱状の脚部82からなり、頭部81が固定部251に固定され、脚部82が覗き孔18に完全に挿入される。車両用下部ふさぎ板2Bを下面開口受部1にボルト締結したときには、脚部82の下端が端縁部11の下端と一致する。このとき、インジケートピン8は、車外側から明確に確認することができる。
一方、
図10(b)に示すように、当該ボルト締結を緩めた時には、インジケートピン8が上昇して覗き孔18から見えにくくなる。そのため、下面開口受部1に対する車両用下部ふさぎ板2Bのボルト締結が、人為的な締め忘れや走行時の振動等により不十分となった場合に、インジケートピン8によってそのボルト締結異常を検出できる。
【0047】
<作用効果>
以上、詳細に説明した本実施形態に係る車両用下部ふさぎ板2Bの脱落防止構造によれば、車両用下部ふさぎ板2Bを車体10の下面開口受部1、1に車内側から当接させ、鍔付き係止ピン52、53と切欠き部63及び孔部64とを係合させるだけで、プランジャピン7の係止爪76が下面開口受部1の係止孔17に自動的に挿入されて、下面開口受部1に対する車両用下部ふさぎ板2Bの変位を抑制することができる。
そのため、その後の下面開口受部1、1に対する車両用下部ふさぎ板2Bのボルト締結が、人為的な締め忘れや走行時の振動等により不十分となった場合でも、車両用下部ふさぎ板2Bは、鍔付き係止ピン52、53及びプランジャピン7に拘束されて、車両用下部ふさぎ板2Bが車体10の下面開口受部1、1から脱落するのを防止することができる。
【0048】
以上、本発明の車両用下部ふさぎ板の脱落防止構造について実施形態を詳細に説明したが、本発明はこれに限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
例えば、第1実施形態では、切欠き部61を車両用下部ふさぎ板2の車両前側に形成し、孔部62を車両用下部ふさぎ板2の車両後側に形成したが、切欠き部61を車両用下部ふさぎ板2の車両後側に形成し、孔部62を車両用下部ふさぎ板2の車両前側に形成することもできる。また、第2実施形態では、切欠き部63を車両用下部ふさぎ板2Bの車両後側に形成し、孔部64を車両用下部ふさぎ板2Bの車両前側に形成したが、切欠き部63を車両用下部ふさぎ板2Bの車両前側に形成し、孔部64を車両用下部ふさぎ板2Bの車両後側に形成することもできる。