(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、上記従来のアキュムレータを備えるダンパが、例えば、寒冷地又は冷凍倉庫等、−30℃を下回るような厳しい低温環境下で利用される場合、フリーピストンを液室側へ附勢する力が不足することがある。なぜなら、通常、気室内の圧力はフリーピストンを液室側へ附勢する方向に作用するが、従来のアキュムレータでは気室が密閉されているので、ダンパが室温で組み立てられてから厳しい低温に曝されると、気室内の温度が低下して気室内が負圧になり、フリーピストンを気室側へ引き寄せる力が作用するためである。
【0006】
そして、気室内の圧力が過剰に低下してフリーピストンを気室側へ引き寄せる力が大きくなると、フリーピストンを液室側へ附勢する力が不足するので、アキュムレータからシリンダ内へ液体を充分に供給できず、ダンパが所望の減衰力を発揮できなくなる虞がある。特に、特開2006−77800号公報の
図4,6に記載のダンパのように、シリンダ内へのロッド出没体積分のシリンダ内容積変化をアキュムレータで補償する場合、ロッドがシリンダから退出する伸長行程で圧側室に充分な液体が供給されないと、続く圧縮行程で圧側室の昇圧が遅れ、減衰力発生応答性が低下する。そして、このような不具合の発生は、アキュムレータの気室と液室をフリーピストンで区画する場合に限らず生じ得る。
【0007】
そこで、本発明は、厳しい低温環境下で使用されたとしても、気室内の圧力が過剰に低下するのを防止できるアキュムレータ及びダンパの提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決する請求項1に記載のアキュムレータは、ケースの外気圧よりも気室内の圧力が低下すると、前記気室へ気体を吸い込む吸込バルブを備える。このため、気室内の圧力がケースの外気圧よりも下がるのを防止できる。
【0009】
請求項2に記載のアキュムレータは、請求項1に記載の構成を備えるとともに、前記ケース内を液室と前記気室に区画するフリーピストンを備える。このため、液室内の液体と気室内の気体を分離して液体内に気泡が混入するのを防げるとともに、液室の液量変化を気室で補償できる。
【0010】
請求項3に記載のアキュムレータは、請求項1又は請求項2に記載の構成を備えるとともに、上記気室内に設けられて前記フリーピストンを前記液室側へ附勢する弾性部材を備える。弾性部材を備えるアキュムレータでは、気室内の圧力が低下し易いので、本発明の吸込バルブを設けるのが特に有効である。
【0011】
請求項4に記載のアキュムレータでは、請求項1から請求項3の何れか一項に記載の構成を備えるとともに、前記吸込バルブが前記気室を前記ケース外に連通する吸込流路を開閉する弁体と、前記弁体を閉じ方向へ附勢するばねとを有し、前記ばねのばね定数は、前記気室内の圧力が負圧になると、前記弁体を開弁させるように設定されている。このため、吸込バルブの開弁圧を下げられる。
【0012】
請求項5に記載のダンパは、請求項1から請求項4の何れか一項に記載のアキュムレータと、シリンダと、前記シリンダ内に移動可能に挿入されて前記シリンダ内を一方室と他方室に区画するピストンと、前記一方室と前記液室とを区画する隔壁と、前記一方室と前記液室とを連通する流路とを備える。このため、流路を通じてシリンダ内の容積変化及びシリンダ内の液体の体積変化をアキュムレータで補償できる。
【0013】
請求項6に記載のダンパは、請求項1から請求項4の何れか一項に記載のアキュムレータと、シリンダと、前記シリンダ内に移動可能に挿入されて前記シリンダ内を一方室と他方室に区画するピストンとを備え、前記一方室と前記液室が一体となる。このため、シリンダ内の容積変化及びシリンダ内の液体の体積変化をアキュムレータで補償できる。
【0014】
請求項7に記載のダンパは、請求項5又は請求項6に記載の構成を備えるとともに、構造体の柱と梁との間、又は構造体と地盤との間に介装されている。このため、ダンパを制振用又は免震用に利用できる。そして、このようにダンパが制振用又は免震用に利用される場合には、ダンパの待機時間(作動しない時間)が長くなるとともに、ダンパが冷凍倉庫内又は寒冷地等、厳しい低温環境下で使用される状況が想定される。よって、このようなダンパに本発明に係るアキュムレータを利用するのが特に有効である。
【発明の効果】
【0015】
本発明のアキュムレータ及びダンパによれば、厳しい低温環境下で使用されたとしても、気室内の圧力が過剰に低下するのを防止できる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。いくつかの図面を通して付された同じ符号は、同じ部品か対応する部品を示す。
【0018】
図1に示すように、本発明の一実施の形態に係るアキュムレータA1は、免震装置を構成するダンパD1に利用されている。当該免震装置は、制振対象である冷凍倉庫の免震床と、固定側である基礎との間に介装されて、地震による揺れをアイソレータ(図示せず)で吸収するとともに、免震床が揺れ続けるのを上記ダンパD1で抑制する。
【0019】
ダンパD1は、筒状のシリンダ1と、このシリンダ1内に摺動自在に挿入されるピストン2と、一端がピストン2に連結されて他端がシリンダ1外に突出するロッド3と、シリンダ1におけるピストン2の反ロッド側に固定されるバルブケース4とを備え、このバルブケース4の反シリンダ側に上記アキュムレータA1が接続されている。このアキュムレータA1は、シリンダ1と軸方向に並ぶ筒状のケース5と、このケース5内に摺動自在に挿入されるフリーピストン6と、フリーピストン6をバルブケース4側へ附勢する弾性部材である附勢ばね7とを備える。
【0020】
そして、シリンダ1から突出するロッド3の
図1中左端部には取付部30が設けられ、当該取付部30を介してロッド3が冷凍倉庫の免震床と基礎の一方に連結される。また、アキュムレータA1の
図1中右端部にも取付部50が設けられ、当該取付部50とアキュムレータA1を介してシリンダ1が冷凍倉庫の免震床と基礎の他方に連結される。よって、地震の発生により免震床が揺れると、ロッド3がシリンダ1に出入りしてダンパD1が伸縮し、ピストン2がシリンダ1内を軸方向に動く。
【0021】
シリンダ1とケース5は、バルブケース4の一端と他端にそれぞれ螺合されており、当該バルブケース4を介して軸方向に連なった状態で一体化される。このバルブケース4は隔壁であり、シリンダ1内とケース5内を区画する。シリンダ1において、バルブケース4の反対側にはヘッド部材10が設けられ、このヘッド部材10でロッド3を軸方向に移動自在に軸支するとともに、シリンダ1の
図1中左側開口を塞いでいる。他方のケース5において、バルブケース4の反対側にはボトムキャップ51が設けられ、このボトムキャップ51でケース5の
図1中右側開口を塞いでいる。さらに、シリンダ1及びケース5とバルブケース4との間は、それぞれシール(図示せず)で塞がれる。よって、シリンダ1からケース5にかけての内部が密閉空間となり、外気と区画される。
【0022】
つづいて、シリンダ1内は、ピストン2でヘッド部材10側の伸側室L1と、バルブケース4側の圧側室L2に区画される。他方のケース5内は、フリーピストン6でバルブケース4側の液室L3とボトムキャップ51側の気室Gに区画される。そして、伸側室L1、圧側室L2、及び液室L3は、液体で満たされており、気室Gには気体が封入されている。なお、本実施の形態において、圧側室L2が一方室、伸側室L1が他方室であり、圧側室L2と液室L3がバルブケース4で区画されるとともに、圧側室L2がバルブケース4に設けた後述の流路により液室L3と連通される。
【0023】
伸側室L1、圧側室L2、及び液室L3に収容される液体として、氷点を大きく下回るような環境下であっても粘性が高くなり過ぎず、減衰力発生に適した粘性を維持できる液体が選定される。このような低温環境下での利用に適した液体であれば、液体の種類及び添加物等を問わないが、例えば、上記液体として、航空機用のオイル等の利用が可能である。
【0024】
つづいて、伸側室L1と圧側室L2とを区画するピストン2には、伸側室L1と圧側室L2とを連通する伸側流路2a及び圧側流路2cが形成されている。伸側流路2aには、伸側室L1から圧側室L2へ向かう液体の流れに抵抗を与える伸側バルブV1が設けられる。他方の圧側流路2cには、圧側室L2から伸側室L1へ向かう液体の流れに抵抗を与える圧側バルブV2が設けられる。
【0025】
伸側バルブV1は、伸側流路2aの途中に設けた環状の弁座2bに弁頭を離着座させる弁体20と、この弁体20を弁座2b側へ附勢するばね21とを有し、弁体20が弁頭を伸側室L1へ向けて配置されている。そして、弁体20は、伸側室L1の圧力が圧側室L2の圧力よりも所定以上高くなるとばね21の附勢力に抗して後退し、伸側流路2aを開く。
【0026】
他方の圧側バルブV2は、圧側流路2cの途中に設けた環状の弁座2dに弁頭を離着座させる弁体22と、この弁体22を弁座2d側へ附勢するばね23とを有し、弁体22が弁頭を圧側室L2へ向けて配置されている。そして、弁体22は、圧側室L2の圧力が伸側室L1の圧力よりも所定以上高くなるとばね23の附勢力に抗して後退し、圧側流路2cを開く。
【0027】
なお、伸側バルブV1及び圧側バルブV2の弁体20,22はポペット型であるがこの限りではなく、伸側バルブV1及び圧側バルブV2の構成は適宜変更できる。また、所望の減衰力の特性に応じて伸側バルブV1及び圧側バルブV2の開弁圧を自由に変更可能であり、圧側バルブV2がチェックバルブであるとしてもよい。
【0028】
つづいて、シリンダ1内とケース5内を区画するバルブケース4には、圧側室L2と液室L3とを連通する流路である吸込流路4a及び減衰流路4bが形成されている。吸込流路4aには、液室L3から圧側室L2へ向かう液体の流れのみを許容するチェックバルブである吸込バルブV3が設けられる。他方の減衰流路4bには、圧側室L2から液室L3へ向かう液体の流れに抵抗を与える減衰バルブV4が設けられる。
【0029】
吸込バルブV3は、吸込流路4aの出口を開閉可能な環状の弁体40と、この弁体40を閉じ方向へ附勢するばね41とを有し、弁体40がバルブケース4の圧側室L2側に積層されている。そして、弁体40は、液室L3の圧力が圧側室L2の圧力を上回るとばね41の附勢力に抗して後退し、吸込流路4aを開放する。
【0030】
他方の減衰バルブV4は、伸側バルブV1及び圧側バルブV2と同様に、減衰流路4bの途中に設けた環状の弁座4cに弁頭を離着座させる弁体42と、この弁体42を弁座4c側へ附勢するばね43とを有し、弁体42が弁頭を圧側室L2へ向けて配置されている。そして、弁体42は、圧側室L2の圧力が液室L3の圧力よりも所定以上高くなるとばね43の附勢力に抗して後退し、減衰流路4bを開く。
【0031】
なお、吸込バルブV3の弁体40は環状板であり、減衰バルブV4の弁体42はポペット型であるがこの限りではなく、吸込バルブV3及び減衰バルブV4の構成は適宜変更できる。また、所望の減衰力の特性に応じて減衰バルブV4の開弁圧を自由に変更できる。
【0032】
つづいて、液室L3と気室Gとを区画するフリーピストン6は、前述のように附勢ばね7でバルブケース4側に附勢されている。附勢ばね7は、フリーピストン6とボトムキャップ51との間に介装されて圧縮されると弾性力を発揮する。よって、フリーピストン6は、附勢ばね7により液室L3側へ附勢され、液室L3を加圧する。すると、液室L3内の圧力が高くなるとともに、シリンダ1内の圧力が高くなる。なぜなら、上記液室L3は、バルブケース4の流路を通じて圧側室L2と相互に連通され、圧側室L2はピストン2の流路を通じて伸側室L1と相互に連通されるためである。
【0033】
また、上記気室Gは、気体用の吸込流路5aを通じて外気側に連通される。この吸込流路5aには、気体のチェックバルブである吸込バルブV5が設けられ、気室G内の圧力がケース5の外気圧を下回ると吸込流路5aを開放し、気室G内に外気を吸い込む。外気とは、ケース5の周囲に存在する空気である。また、ケース5の外気圧とは、ケース5の周囲の空気の圧力であり、本実施の形態のように、ダンパD1を冷凍倉庫内で利用する場合には冷凍倉庫内(使用環境)の圧力に相当する。冷凍倉庫内は密閉性の高い空間であるが、搬入搬出に伴う入口の開閉により、冷凍倉庫内の圧力は大気圧と略等しくなる。よって、気室G内の温度が低下して圧力が下がっても気室G内が冷凍倉庫内の圧力よりも下がらず、負圧が大きくなってフリーピストン6を気室G側に引き寄せる力が大きくなるのを防止できる。
【0034】
なお、上記吸込バルブV5は、ポペット型の弁体52と、弁体52を閉じ方向へ附勢するばね53とを有して構成されるがこの限りではなく、適宜変更できる。さらに、気体用の吸込流路5aの外気側の入口にカバーを設け、当該カバーで吸込流路5a内への埃及び塵の侵入を防いで、吸込流路5aが詰まるのを防止してもよい。
【0035】
以下、本実施の形態に係るアキュムレータA1を備えるダンパD1の作動について説明する。
【0036】
シリンダ1からロッド3が退出するダンパD1の伸長行程では、ピストン2がシリンダ1内を
図1中左方へ移動して伸側室L1が圧縮され、圧側室L2が拡大する。すると、圧縮される伸側室L1内の圧力が上昇して伸側室L1の液体が伸側バルブV1を押し開き、伸側流路2aを通過して圧側室L2へ移動する。シリンダ1内では、退出したロッド体積分の液体が不足するが、吸込バルブV3が開いて不足分に見合った液体が吸込流路4aを通じてアキュムレータA1の液室L3から圧側室L2へ供給される。
【0037】
伸側室L1から圧側室L2へ向かう液体の流れに対しては、伸側バルブV1により抵抗が与えられるため、伸側室L1内の圧力が上昇する。これに対して、圧側室L2はアキュムレータA1からの液体の供給を受けるので、ケース5内の圧力と略等しくなる。よって、伸側室L1と圧側室L2の圧力に差圧が生じ、この差圧がピストン2に作用してダンパD1の伸長作動を抑制する減衰力が発生する。また、退出したロッド体積分の液体が液室L3から圧側室L2に供給されると、液室L3内の液体が減少するが、フリーピストン6が
図1中左方へ移動して気室Gが拡大し、ケース5内の液体の減少分を補償する。
【0038】
反対に、シリンダ1にロッド3が進入するダンパD1の収縮行程では、ピストン2がシリンダ1内を
図1中右方へ移動して圧側室L2が圧縮され、伸側室L1が拡大する。すると、圧縮される圧側室L2内の圧力が上昇して圧側室L2の液体が圧側バルブV2を押し開き、圧側流路2cを通過して伸側室L1へ移動する。シリンダ1内では、進入したロッド体積分の液体が余剰となるが、この余剰分の液体が減衰バルブV4を押し開き、減衰流路4bを通じて圧側室L2からアキュムレータA1の液室L3に排出される。
【0039】
圧側室L2から伸側室L1及び液室L3へ向かう液体の流れに対しては、圧側バルブV2及び減衰バルブV4で抵抗が与えられるため、圧側室L2内の圧力が上昇する。これに対して、拡大する伸側室L1内の圧力は低下する。よって、圧側室L2と伸側室L1の圧力に差圧が生じ、この差圧がピストン2に作用してダンパD1の収縮作動を抑制する減衰力が発生する。また、進入したロッド体積分の液体が圧側室L2から液室L3に排出されると、液室L3内の液体が増加するが、フリーピストン6が
図1中右方へ移動して気室が縮小し、ケース5内の液体の増加分を補償する。
【0040】
また、フリーピストン6は、附勢ばね7の弾性力で液室L3側へ附勢されているので、液室L3を介してシリンダ1内の圧力を高め、減衰力発生応答性を向上できる。
【0041】
また、ダンパD1外の環境変化によりダンパD1の外気温が低下すると、気室G内の温度が低下して圧力が下がる。そして、気室G内の圧力がケース5の外気圧を下回ると、吸込バルブV5が吸込流路5aを開放し、ケース5外の空気が気室Gに流入する。加えて、気室G内の圧力がケース5の外気圧を上回る限りは吸込バルブV5が開かないので、気室G内の圧力をケース5の外気圧、即ち、冷凍庫内の圧力以上に保てる。つまり、気室G内の温度が低下して圧力が下がっても、気室G内の負圧が大きくなってフリーピストン6を気室G側に引き寄せる力が大きくなるのを防止できる。よって、フリーピストン6を液室L3側へ附勢する力が不足せず、ダンパD1における減衰力発生応答性が良好に維持される。
【0042】
以下、本実施の形態のアキュムレータA1及びアキュムレータA1を備えるダンパD1の作用効果について説明する。
【0043】
本実施の形態において、ダンパD1は構造体である冷凍倉庫の免震床と地盤との間に介装される。
【0044】
このようにダンパD1が免震用に利用される場合には、ダンパD1の待機時間(作動しない時間)が長くなるとともに、冷凍倉庫内又は寒冷地の屋外等、厳しい低温環境下で使用される状況が想定される。よって、当該ダンパD1に本発明に係るアキュムレータを利用するのが特に有効である。また、本実施の形態では、制振対象が冷凍倉庫の免震床であるが、他の構造体と地盤との間にダンパD1を介装してもよい。また、ダンパD1が構造体の柱と梁との間に介装されて、制振用に利用されてもよい。このように、ダンパD1が制振用に利用される場合であっても、免震用に利用される場合と同様に、厳しい低温環境下で使用される状況が想定されるので、制振用のダンパに本発明に係るアキュムレータを利用するのも有効である。
【0045】
また、本実施の形態において、ダンパD1は、アキュムレータA1と、シリンダ1と、シリンダ1内に移動可能に挿入されてシリンダ1内を圧側室(一方室)L2と伸側室(他方室)L1に区画するピストン2と、圧側室L2と液室L3とを区画するバルブケース(隔壁)4と、圧側室L2と液室L3とを連通する吸込流路及び減衰流路(流路)4a,4bとを備える。
【0046】
上記構成によれば、吸込流路及び減衰流路(流路)4a,4bを通じて、シリンダ1内の容積変化及びシリンダ1内の液体の体積変化をアキュムレータA1で補償できる。また、本実施の形態では、バルブケース4を境にして圧側室L2と液室L3が分かれているが、
図2に示すダンパD2のように、液室を圧側室L2と一体にしてもよく、この場合にも上記と同様の効果を得られる。さらに、
図2に示すダンパD2では、シリンダとアキュムレータA2のケースが一つの部品8として継ぎ目なく一体化されている。このような変更は、上記ダンパD1でも可能である。
【0047】
また、本実施の形態において、アキュムレータA1はダンパD1の圧側室L2に接続されているが、この限りではない。例えば、アキュムレータA1がシリンダ装置等を構成する液圧回路の途中に接続されていてもよい。
【0048】
また、本実施の形態において、吸込バルブV5は、気室Gをケース5外に連通する吸込流路5aを開閉する弁体52と、この弁体52を閉じ方向へ附勢するばね53とを有する。そして、当該ばね53のばね定数は、気室G内の圧力が負圧になると、弁体52を開弁させるように設定されているのが好ましい。
【0049】
このように、気室G内の圧力が負圧(大気圧よりも低い圧力)になった状態で、弁体52を開くようにした場合、気室G内の圧力は、大気圧又はそれ以上であっても問題ないので、弁体52が吸込流路5aを閉じた状態での気密性を高くする必要がない。よって、弁体52を閉じ方向に附勢する力を小さくできるので、ばね定数の小さいばね53の採用が可能であり、吸込バルブV5の開弁圧を下げられる。そして、吸込バルブV5の開弁圧を下げると、気室G内外の圧力差が小さくても吸込バルブV5が開弁するので、気室G内の圧力を高く保てる。
【0050】
なお、吸込バルブV5の構成は上記の限りではなく、適宜変更できる。例えば、上記構成によれば、弁体52による気密性が低くてもよいので、吸込バルブV5としてばね53を備えていないものも採用できる。また、ばね53のばね定数を大きくして、弁体52による気密性を高くするとともに、ダンパD1の組立時における気室G内の圧力を高圧にして、当該圧力をダンパD1が低温環境下で利用されても気室Gがケース5の外気圧よりも低くならないように設定してもよい。このような場合には、気室Gに窒素等の不活性ガスを封入して錆の発生を防止できるとともに、組立後に外気が気室Gに取り込まれる心配がないので、埃及び塵の侵入を防ぐカバーを省略できる。そして、このような変更は、アキュムレータA2でも可能であり、アキュムレータA1,A2が接続される接続対象の種類及び構成によらず可能である。
【0051】
また、開弁圧の低い吸込バルブV5を利用する場合、冷凍倉庫内の湿度は低いので、吸込バルブV5が冷凍庫内で開弁し、冷凍倉庫内の空気を気室Gに取り込むようにしても錆等の心配がないが、ダンパD1を組み立てて冷凍倉庫まで運搬し、冷凍倉庫に取り付ける過程では、湿度の高い外気が気室G内に取り込まれる虞がある。そこで、前述のような吸込バルブV5を利用する場合であっても、この間の開弁を抑制するため、ダンパD1の組立時に気室Gに窒素等の不活性ガスを注入したり、組立時における気室G内の圧力をある程度高めるようにしたりしてもよい。
【0052】
また、本実施の形態において、アキュムレータA1は、気室G内に設けられてフリーピストン6を液室L3側へ附勢する附勢ばね(弾性部材)7を備える。
【0053】
上記構成によれば、液室L3を介してシリンダ1内を加圧して減衰力発生応答性を向上できる。さらに、附勢ばね7を備えるアキュムレータA1に吸込バルブV5を設けるのが特に有効である。なぜなら、附勢ばね7は気室Gを拡大させる方向に作用するので、附勢ばね7を設けると気室G内の圧力が低下し易くなるためである。そして、気室G内が負圧になるとともに、負圧が大きくなるとフリーピストン6を気室G側へ引き寄せる力が大きくなるので、附勢ばね7を設けたこことによる効果を損なうことになる。これに対して、上記吸込バルブV5を設けると、気室G内の圧力が著しく低下しないので、減衰力発生応答性を良好に維持できる。
【0054】
なお、アキュムレータA1は、必ずしも附勢ばね7を備えていなくてもよい。また、本実施の形態において、附勢ばね7はコイルばねであるが、コイルばね以外のばね、又はゴム等の弾性部材でフリーピストン6を附勢するとしてもよい。そして、このような変更は、アキュムレータA2でも可能であり、アキュムレータA1,A2が接続される接続対象の種類及び構成、吸込バルブV5の構成によらず可能である。
【0055】
また、本実施の形態において、アキュムレータA1は、ケース5内に移動可能に挿入されて液室L3と気室Gとを区画するフリーピストン6を備える。
【0056】
上記構成によれば、液室L3内の液体と気室G内の気体を分離して液体内に気泡が混入するのを防げるとともに、液室L3の液量変化を気室Gで補償できる。また、フリーピストン6で液室L3と気室Gを区画する場合、附勢ばね7でフリーピストン6を液室L3側へ附勢できるので液室L3を加圧し易い。なお、液室L3と気室Gとを区画するための構成はこの限りではなく、伸縮可能なブラダ又はベローズ等を利用してもよい。そして、このような変更は、アキュムレータA2でも可能であり、アキュムレータA1,A2が接続される接続対象の種類及び構成、吸込バルブV5の構成によらず可能である。
【0057】
さらに、本実施の形態では、シリンダ1とケース5とを軸方向に並べて連結しているが、シリンダ1の外周にケースを設けて、当該ケースとシリンダ1との間にできる筒状の空間に液室L3と気室Gを形成してもよい。そして、この場合には、液室L3の液面を境に液室L3と気室Gが分かれ、液室L3の液体と気室Gの気体が液面で接するとしてもよい。このような変更は、アキュムレータA2でも可能であり、アキュムレータA1,A2が接続される接続対象の種類及び構成、吸込バルブV5の構成によらず可能である。
【0058】
また、本実施の形態において、アキュムレータA1は、ケース5と、このケース5内に設けた液室L3及び気室Gと、ケース5の外気圧よりも気室G内の圧力が低下するとケース5外から気室Gへ気体を吸い込む吸込バルブV5とを備える。
【0059】
上記構成によれば、気室G内がケース5の外気圧よりも低くなるのを防止できる。その結果、上記アキュムレータA1によれば、厳しい低温環境下で使用されたとしても、気室G内の圧力が過剰に低下するのを防止できる。
【0060】
以上、本発明の好ましい実施の形態を詳細に説明したが、特許請求の範囲から逸脱しない限り、改造、変形および変更が可能である。