(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6491584
(24)【登録日】2019年3月8日
(45)【発行日】2019年3月27日
(54)【発明の名称】発信機管理システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/10 20120101AFI20190318BHJP
G08B 25/04 20060101ALI20190318BHJP
G08B 21/02 20060101ALI20190318BHJP
G08B 29/14 20060101ALI20190318BHJP
G06Q 50/22 20180101ALI20190318BHJP
H04W 4/029 20180101ALI20190318BHJP
H04W 12/12 20090101ALI20190318BHJP
H04M 11/00 20060101ALI20190318BHJP
G06F 21/44 20130101ALI20190318BHJP
【FI】
G06Q50/10
G08B25/04 K
G08B21/02
G08B29/14
G06Q50/22
H04W4/029
H04W12/12
H04M11/00 301
G06F21/44
【請求項の数】6
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-204628(P2015-204628)
(22)【出願日】2015年10月16日
(65)【公開番号】特開2017-76325(P2017-76325A)
(43)【公開日】2017年4月20日
【審査請求日】2017年12月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(73)【特許権者】
【識別番号】397014282
【氏名又は名称】株式会社エヌ・ティ・ティ ピー・シー コミュニケーションズ
(74)【代理人】
【識別番号】110000567
【氏名又は名称】特許業務法人 サトー国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宇佐見 隆史
(72)【発明者】
【氏名】加藤 直也
(72)【発明者】
【氏名】柴田 喜匡
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 大啓
(72)【発明者】
【氏名】斎藤 伸彦
(72)【発明者】
【氏名】只野 一樹
【審査官】
塩屋 雅弘
(56)【参考文献】
【文献】
特開2001−025067(JP,A)
【文献】
特開2005−228197(JP,A)
【文献】
特開2006−350869(JP,A)
【文献】
国際公開第2006/038290(WO,A1)
【文献】
特開2006−285844(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F19/00
21/00
21/30−21/46
G06Q10/00−10/10
30/00−30/08
50/00−50/20
50/26−99/00
G08B19/00−31/00
H04B 7/24−7/26
H04M 3/00
3/16−3/20
3/38−3/58
7/00−7/16
11/00
H04W 4/00−8/24
8/26−16/32
24/00−28/00
28/02−72/02
72/04−74/02
74/04−74/06
74/08−84/10
84/12−88/06
88/08−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
監視対象に付帯される発信機(11A)と、
前記発信機から当該発信機の識別情報を受信する受信機(12)と、
前記発信機を管理する管理サーバ(13)と、
を備える発信機管理システム(10)であって、
前記発信機の識別情報は書き換え可能であり、
前記受信機は、
受信した前記発信機の識別情報に、当該識別情報を受信した時間を示す時間情報および前記受信機の位置を示す位置情報のうち少なくとも何れか一方を付加した情報を発信機情報として送信する送信手段(14)を備え、
前記管理サーバは、
前記発信機を管理するための管理用情報として、前記発信機の識別情報と前記監視対象の移動パターンを特定する移動パターン情報とを対応付けた情報を記憶する記憶手段(22)と、
前記受信機から得られた前記発信機情報と前記記憶手段が記憶している前記管理用情報とが一致するか否かを確認する確認手段(41)と、
前記確認手段により前記発信機情報と前記管理用情報とが一致しないことが確認された場合に、前記発信機と同じ識別情報が書き込まれたなりすまし発信機(11B)が存在すると判定する判定手段(42)と、
を備え、
前記確認手段は、前記発信機情報に含まれる複数種類の情報と前記管理用情報に含まれる複数種類の情報とを複合的に比較することにより、前記発信機情報と前記管理用情報とが一致するか否かを確認する発信機管理システム。
【請求項2】
前記判定手段は、前記発信機情報に含まれる識別情報と前記管理用情報に含まれる識別情報とが一致する場合であっても、前記発信機情報に含まれる識別情報以外の情報と前記管理用情報に含まれる識別情報以外の情報とが一致しない場合には、前記なりすまし発信機が存在すると判定する請求項1に記載の発信機管理システム。
【請求項3】
前記受信機から得られた前記発信機情報に基づいて前記記憶手段に記憶されている前記管理用情報を更新する更新手段(51)をさらに備える請求項1または2に記載の発信機管理システム。
【請求項4】
前記更新手段は、前記受信機から前記発信機情報が得られるごとに前記管理用情報の更新処理を繰り返し実行する請求項3に記載の発信機管理システム。
【請求項5】
前記判定手段により前記なりすまし発信機が存在していると判定された場合に、前記発信機のなりすましが発生していることを通知する通知手段(43)をさらに備える請求項1から4の何れか1項に記載の発信機管理システム。
【請求項6】
前記判定手段は、前記なりすまし発信機が存在する可能性を複数レベルで判定し、
前記通知手段は、前記判定手段により判定されたレベルも通知する請求項5に記載に発信機管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発信機を管理する発信機管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、例えば特許文献1に開示されているように、高齢者や子供を見守るためのシステムの開発が進められている。この種のシステムの一例として、近年では、例えばビーコンなどといった小型の発信機を利用して人や物の移動状況や所在を監視するシステムが考えられている。このシステムでは、監視対象者や監視対象物に発信機を付帯させる。そして、監視対象者や監視対象物に付帯する発信機と各地に存在する受信機との間の通信状況を確認することにより、監視対象者や監視対象物の移動状況や所在を監視する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−85390号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、例えばビーコンなどといった小型の発信機に書き込まれている識別情報は容易に書き換え可能となっている。そのため、例えば、システムの利用者、管理者、監視対象者などといった関係者以外の第三者であっても、同じ識別情報が書き込まれた発信機を容易に作り出すことができる。即ち、第三者により容易に発信機のなりすましを行うことができる。このようななりすましが行われた場合、監視対象者や監視対象物の移動状況や所在を正確に確認することが困難となり、監視サービスそのものが成り立たなくなる。
【0005】
そこで、本発明は、識別情報が書き換え可能な発信機を利用して監視対象の移動状況や所在を監視する監視サービスを提供する場合において、発信機のなりすましが発生していることを精度良く判定することができ、安定した監視サービスを実現できるようにした発信機管理システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る発信機管理システムは、監視対象に付帯される発信機と、発信機から当該発信機の識別情報を受信する受信機と、発信機を管理する管理サーバとを備える。発信機の識別情報は書き換え可能である。受信機は、送信手段を備える。送信手段は、受信した発信機の識別情報に、当該識別情報を受信した時間を示す時間情報および受信機の位置を示す位置情報のうち少なくとも何れか一方を付加した情報を発信機情報として送信する。
【0007】
管理サーバは、記憶手段、確認手段、判定手段を備える。記憶手段は、発信機を管理するための管理用情報として、発信機の識別情報と監視対象の移動パターンを特定する移動パターン情報とを対応付けた情報を記憶する。確認手段は、受信機から得られた発信機情報と記憶手段が記憶している管理用情報とが一致するか否かを確認する。判定手段は、確認手段により発信機情報と管理用情報とが一致しないことが確認された場合に、発信機と同じ識別情報が書き込まれたなりすまし発信機が存在すると判定する。
前記確認手段は、前記発信機情報に含まれる複数種類の情報と前記管理用情報に含まれる複数種類の情報とを複合的に比較することにより、前記発信機情報と前記管理用情報とが一致するか否かを確認する。
【0008】
この構成によれば、容易に書き換え可能な発信機の識別情報だけでなく、識別情報以外の情報も含む発信機情報と管理用情報との総合的な比較結果に基づいて発信機のなりすましの有無が判定される。従って、発信機のなりすましが発生していることを精度良く判定することができ、安定した監視サービスを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本実施形態に係るビーコン管理システムの構成例を概略的に示すブロック図
【
図4】なりすましレベルと通知態様との関係例を示す図
【
図5】ビーコン管理システムによるなりすまし判定処理の一例を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照しながら説明する。
図1に例示するビーコン管理システム10は、監視対象に付帯される発信機と各地に存在する受信機との間の通信状況を確認することにより監視対象の移動状況や所在を監視する監視サービスを実現するものである。ビーコン管理システム10は、発信機管理システムの一例であり、ビーコン11A、受信機12、クラウドサーバ13を備える。
【0011】
ビーコン11Aは、発信機の一例であり、この場合、BLEビーコン(BLE:Bluetooth Low Energy)(登録商標)で構成されている。ビーコン11Aは、監視サービスによる監視対象となる人や物に付帯される。即ち、監視対象が例えば高齢者や子供などといった人である場合には、ビーコン11Aは、その監視対象者に携帯される。また、監視対象が例えば荷物や器具などといった物である場合には、ビーコン11Aは、その監視対象物に取り付けられる。ビーコン11Aには、当該ビーコン11Aを識別するためのID情報が書き込まれている。ID情報は、識別情報の一例である。ビーコン11Aは、自身に書き込まれているID情報を発信する。ビーコン11Aに書き込まれているID情報は、外部の端末、例えばスマートフォンなどからの操作により書き換え可能となっている。
【0012】
受信機12は、所定の通信範囲内に存在するビーコン11Aから、当該ビーコン11Aが発信するID情報を受信する。受信機12は、例えばスマートフォンなどといった移動可能な受信機、設置型の移動不能な受信機などで構成され、各地に散在している。受信機12は、当該受信機12の動作全般を制御する図示しない制御装置により制御プログラムを実行することにより、送信部14をソフトウェアにより仮想的に実現する。なお、送信部14は、ハードウェアにより実現してもよいし、ソフトウェアとハードウェアの組み合わせにより実現してもよい。
【0013】
送信部14は、送信手段の一例であり、ビーコン11AからID情報を受信すると、そのID情報を含むビーコン情報を生成してクラウドサーバ13に送信する。ビーコン情報は、発信機情報の一例である。
図2に例示するように、ビーコン情報は、ビーコン11Aから受信したID情報に、当該ID情報を受信した時間を示す時間情報、当該ID情報を受信した受信機12の位置を示す位置情報、当該ID情報を受信した日付を示す日付情報などを付加した情報となっている。なお、時間情報および日付情報は、例えば受信機12が備える計時機能により得ることができる。また、位置情報は、例えば受信機12が備える現在位置検出機能により得ることができる。
【0014】
クラウドサーバ13は、管理サーバの一例であり、データストレージ21、サービス情報データベース22、ゲートウェイ部23、管理用グラフィカルユーザインタフェース部24、なりすまし検知部25を備える。以下、サービス情報データベース22をサービス情報DB22と称し、管理用グラフィカルユーザインタフェース部24を管理用GUI部24と称する。データストレージ21およびサービス情報DB22は、例えば大容量の記憶媒体により構成される。ゲートウェイ部23、管理用GUI部24、なりすまし検知部25は、ソフトウェアにより実現してもよいし、ハードウェアにより実現してもよいし、ソフトウェアとハードウェアの組み合わせにより実現してもよい。
【0015】
データストレージ21は、受信機12からゲートウェイ部23を介して受信したビーコン情報を蓄積する。サービス情報DB22は、記憶手段の一例であり、例えば監視サービスの利用者や管理者が登録したサービス情報を記憶するデータベースである。サービス情報の登録は、例えばクラウドサーバ13外部のサービス利用端末30を介して入力される。即ち、サービス利用端末30に入力されたサービス情報は、管理用GUI部24により受信される。そして、管理用GUI部24は、受信したサービス情報をサービス情報DB22に格納する。
【0016】
サービス情報は、管理用情報の一例であり、登録されたビーコン11Aごとに設定されている。
図3に例示するように、サービス情報は、登録されたビーコン11AのID情報と移動パターン情報とを対応付けた情報となっている。移動パターン情報は、監視サービスによる監視対象の日常的な移動パターンを特定するための情報である。即ち、移動パターン情報によれば、監視対象の基本的な移動パターン、つまり、どの時間に、どのエリアに移動する傾向があるのか、どのエリアに存在する傾向があるのかを特定することができる。特に監視対象が人である場合には、その監視対象者に対応する移動パターン情報は、監視対象者の日常的な活動パターン、行動パターン、生活パターンを特定可能な情報となる。
【0017】
なりすまし検知部25は、制御プログラムを実行することにより、確認部41、判定部42、通知部43をソフトウェアにより仮想的に実現する。なお、確認部41、判定部42、通知部43は、ハードウェアにより実現してもよいし、ソフトウェアとハードウェアの組み合わせにより実現してもよい。
【0018】
確認部41は、確認手段の一例であり、受信機12から得られたビーコン情報、つまり、データストレージ21に格納されているビーコン情報と、サービス情報DB22に記憶されているサービス情報とが一致するか否かを確認する。確認部41は、ビーコン情報に含まれる複数種類の情報とサービス情報に含まれる複数種類の情報とを複合的に比較することにより、ビーコン情報とサービス情報とが一致するか否かを確認する。
【0019】
即ち、確認部41は、定期的にデータストレージ21にアクセスし、ビーコン情報を取得する。そして、確認部41は、取得したビーコン情報とサービス情報DB22のサービス情報とを照合する。このとき、確認部41は、まず、ビーコン情報のID情報とサービス情報のID情報とが一致するか否かを確認する。確認部41は、両ID情報が一致しない場合には、取得したビーコン情報が未登録のビーコンに係るビーコン情報であると判断し、次のビーコン情報の照合に移行する。
【0020】
判定部42は、判定手段の一例であり、確認部41によりビーコン情報とサービス情報とが一致しないことが確認された場合に「なりすましビーコン11B」が存在すると判定する。なりすましビーコン11Bは、なりすまし発信機の一例であり、ビーコン11Aと同じID情報が書き込まれたビーコンである。
【0021】
受信機12は、所定の通信範囲内になりすましビーコン11Bが存在する場合には、当該なりすましビーコン11Bが発信するID情報を受信する。そして、受信機12は、なりすましビーコン11Bから受信したID情報を含むビーコン情報を生成してクラウドサーバ13に送信する。そして、クラウドサーバ13は、なりすましビーコン11B由来のID情報を含むビーコン情報もデータストレージ21に蓄積していく。
【0022】
ここで、真正のビーコン11A由来のID情報を含むビーコン情報と不真正のビーコン11B由来のID情報を含むビーコン情報とは、内容としては同じであり、同じビーコンに係るビーコン情報として扱われる。そのため、なりすましビーコン11Bが存在する場合には、データストレージ21に蓄積されるビーコン情報が不正確なものとなり、ビーコン11Aを付帯する監視対象の移動状況や所在を正確に把握することが困難となる。
【0023】
そこで、判定部42は、データストレージ21に蓄積されているビーコン情報とサービス情報DB22に登録されているサービス情報との比較結果に基づいて、なりすましビーコン11Bの存在の有無を精度良く判定する機能を備える。即ち、判定部42は、ビーコン情報に含まれるID情報とサービス情報に含まれるID情報とが一致する場合であっても、ビーコン情報に含まれるID情報以外の情報とサービス情報に含まれるID情報以外の情報とが一致しない場合には、なりすましビーコン11Bが存在すると判定する。
【0024】
通知部43は、通知手段の一例であり、判定部42によりなりすましビーコン11Bが存在していると判定された場合に、ビーコン11Aのなりすましが発生していることをサービス利用端末30に通知する。サービス利用端末30に対する通知の態様は、例えばメールや電話など種々の態様を採用することができる。また、サービス利用端末30に発光部を設け、通知部43は、遠隔により発光部を光らせることにより、なりすましの発生を通知するようにしてもよい。また、サービス利用端末30に音出力部を設け、通知部43は、遠隔により音出力部から音を出力することにより、なりすましの発生を通知するようにしてもよい。また、サービス利用端末30に振動部を設け、通知部43は、遠隔により振動部を振動させることにより、なりすましの発生を通知するようにしてもよい。
【0025】
また、判定部42は、なりすましビーコン11Bが存在する可能性を複数、この場合、高、中、低の3段階のなりすましレベルで判定する機能を有する。即ち、
図4に例示するように、判定部42は、データストレージ21に、同じID情報を有する複数のビーコン情報が同時に蓄積されている場合、あるいは、所定時間内に蓄積されている場合には、なりすましレベルとして「高レベル」と判定する。また、判定部42は、データストレージ21に蓄積されているビーコン情報に含まれる位置情報が、サービス情報DB22に登録されている活動エリア情報から外れている場合には、なりすましレベルとして「中レベル」と判定する。また、判定部42は、データストレージ21に蓄積されているビーコン情報に含まれる時間情報が、サービス情報DB22に登録されている活動時間帯情報から外れている場合には、なりすましレベルとして「低レベル」と判定する。
【0026】
そして、通知部43は、判定部42により判定されたなりすましレベルもサービス利用端末30に通知することが可能である。即ち、通知部43は、判定部42により判定されたなりすましレベルを、例えばメールに記載あるいは電話音声に含ませることが可能である。また、通知部43は、判定部42により判定されたなりすましレベルに応じて、音声の大きさ、発光量、振動量などを調整することが可能である。
【0027】
また、通知部43は、判定部42により判定された成りすましレベルに応じて、サービス利用端末30に対する通知態様を変更することが可能である。即ち、通知部43は、判定部42により判定されたなりすましレベルが高レベルである場合には、例えばメールおよび電話の双方による通知態様を選択する。また、通知部43は、判定部42により判定されたなりすましレベルが中レベルである場合には、例えばメールまたは電話による通知態様を選択する。また、通知部43は、判定部42により判定されたなりすましレベルが低レベルである場合には、例えばメールによる通知態様を選択する。
【0028】
また、クラウドサーバ13は、さらに学習部51をソフトウェアにより仮想的に実現する。なお、学習部51は、ハードウェアにより実現してもよいし、ソフトウェアとハードウェアの組み合わせにより実現してもよい。学習部51は、更新手段の一例であり、受信機12から得られたビーコン情報、つまり、データストレージ21に蓄積されているビーコン情報に基づいて、サービス情報DB22に記憶されているサービス情報を更新する。この場合、学習部51は、受信機12からビーコン情報が得られるごとにサービス情報の更新処理を繰り返し実行する。即ち、クラウドサーバ13は、実際に得られるビーコン情報をサービス情報に反映することを繰り返すことにより、監視対象の移動パターンを学習する機能を備える。これにより、サービス情報DB22に格納されるサービス情報は、監視対象の実際の移動パターンに一致あるいは近似した精度の高い情報となる。
【0029】
次に、ビーコン管理システム10によるなりすまし判定処理の一例について説明する。即ち、
図5に例示するように、クラウドサーバ13は、データストレージ21に蓄積されているビーコン情報を定期的に取得すると(S1)、ビーコン情報のID情報とサービス情報のID情報とが一致するか否かを確認する(S2)。クラウドサーバ13は、両ID情報が一致しない場合には(S2:NO)、ステップS1に移行して、別のビーコン情報を取得する。
【0030】
クラウドサーバ13は、両ID情報が一致する場合には(S2:YES)、ビーコン情報のID情報以外の情報とサービス情報のID情報以外の情報とが一致するか否かを確認する(S3)。即ち、クラウドサーバ13は、受信機12から得られるビーコン11Aの移動パターンと登録されている移動パターンとが一致するか否かを確認する。クラウドサーバ13は、両移動パターンが一致する場合には(S3:YES)、なりすましビーコン11Bは存在しないと判定し(S4)、この処理を終了する。
【0031】
クラウドサーバ13は、両移動パターンが一致しない場合には(S3:NO)、なりすましビーコン11Bが存在すると判定する(S5)。そして、クラウドサーバ13は、ビーコンのなりすましが発生していることをサービス利用端末30に通知し(S6)、この処理を終了する。サービス利用端末30を操作する関係者、例えば、監視システムの利用者、管理者、監視対象者などは、クラウドサーバ13から通知を受けたことに基づき、ビーコンのなりすましが発生していることを認識する。そして、なりすましが発生していることに対する措置を迅速に行うことができる。
【0032】
本実施形態によれば、ビーコン管理システム10は、容易に書き換え可能なビーコンのID情報だけでなく、ID情報以外の情報も含むビーコン情報と、同じくID情報以外の情報も含む登録されたサービス情報とを総合的に比較する。そして、その比較結果に基づいてビーコンのなりすましの有無を判定する。従って、容易に書き換え可能なID情報のみに基づいてなりすましの有無を判定する構成に比べ、ビーコンのなりすましが発生していることを精度良く判定することができ、安定した監視サービスを提供できる。
【0033】
また、ビーコン管理システム10は、ビーコン情報に含まれる複数種類の情報とサービス情報に含まれる複数種類の情報とを複合的に比較することにより、ビーコン情報とサービス情報とが一致するか否かを確認する。これにより、両情報が一致するか否かの確認をより精度良く行うことができ、ひいては、なりすましの発生の有無をより精度良く判定ことができる。
【0034】
また、ビーコン管理システム10は、ビーコン情報に含まれるID情報とサービス情報に含まれるID情報とが一致する場合であっても、ビーコン情報に含まれるID情報以外の情報とサービス情報に含まれるID情報以外の情報とが一致しない場合には、なりすましビーコン11Bが存在すると判定する。即ち、単にID情報のみに基づいてなりすましの有無を判定するのではなく、ビーコンの移動パターンも含めてなりすましの有無を判定するようにしたので、より高い精度によりなりすましの有無を判定することができる。
【0035】
また、ビーコン管理システム10は、受信機12から得られたビーコン情報に基づいて、サービス情報DB22に記憶されているサービス情報を更新する。これにより、サービス情報DB22に記憶されるサービス情報を、実際のビーコンの移動パターンに忠実な情報にブラッシュアップしていくことができ、なりすましの有無の判定をより高い精度により行うことができる。
【0036】
さらに、ビーコン管理システム10は、このようなサービス情報の更新処理を、受信機12からビーコン情報が得られるごとに繰り返し実行する。これにより、サービス情報DB22に記憶されるサービス情報をリアルタイムにブラッシュアップしてくことができ、なりすましの有無の判定を一層高い精度で行うことができる。
【0037】
また、ビーコン管理システム10は、なりすましビーコン11Bが存在していると判定した場合には、ビーコンのなりすましが発生していることをサービス利用端末30に通知する。これにより、ビーコンのなりすましが発生していることを監視サービスの関係者に積極的に認識させることができ、なりすましの発生に対する措置を迅速に行うことができる。
【0038】
さらに、ビーコン管理システム10は、ビーコン情報とサービス情報との一致度に応じてなりすましビーコン11Bが存在する可能性を複数レベルで判定し、その判定レベルもサービス利用端末30に通知することが可能である。これにより、監視サービスの関係者は、通知される判定レベルに応じて対応の緊急度や重要度を判断することができる。よって、なりすましが極めて高い確率で発生しているにも関わらず初動が遅れるといったことを回避することができる。
【0039】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の実施形態に適用可能である。
例えば、受信機12は、時間情報および位置情報のうち少なくとも何れか一方をID情報に付加した情報をビーコン情報として生成する構成であってもよい。また、受信機12は、時間情報や位置情報以外の情報をビーコン情報に含ませるように構成してもよい。また、発信機は、いわゆるビーコンに限られない。
【0040】
ビーコン情報とサービス情報とが一致するか否かの判断は、例えば、両情報が完全に一致するか否かに基づいて行うようにしてもよいし、両情報の一部が一致するか否かに基づいて行うようにしてもよい。
【符号の説明】
【0041】
図面中、10はビーコン管理システム(発信機管理システム)、11Aはビーコン(発信機)、11Bはなりすましビーコン(なりすまし発信機)、12は受信機、13はクラウドサーバ(管理サーバ)、14は送信部(送信手段)、22はサービス情報データベース(記憶手段)、41は確認部(確認手段)、42は判定部(判定手段)、43は通知部(通知手段)、51は学習部(更新手段)を示す。