【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明の第一の態様によれば、前記目的は、上述したタイプの装置の改良によって実現され、この場合、第1の保護区域の内側限界は、機械から第1の距離にあり、および第2の保護区域の外側限界は、機械から第1の保護区域よりも大きな第2の距離にあり、センサユニットは、両方の保護区域を監視し、評価ユニットは、機械の機械要素が第1の保護区域内に入ったか否かと、異物が第2の保護区域内に入ったか否かとの両方を判断し、および装置は、これらのイベントの少なくとも一方が起きた場合に、安全性関連機能を始動させるように構成されている。
【0022】
本発明の追加的な態様によれば、前記目的は、監視区域を監視するためのセンサユニットを設けるステップと、少なくとも1つの第1および第2の仮想保護区域を画成するステップであって、第1の保護区域は、機械から第1の距離にあり、第2の保護区域は、その機械から第1の保護区域よりも大きな第2の距離にあるステップと、センサユニットによって、両方の保護区域を監視するステップと、機械の機械要素が第1の保護区域に入ったか否かと、異物が第2の保護区域に入ったか否かを検出するステップと、機械の機械要素が第1の保護区域に入ったことおよび/または異物が第2の保護区域に入ったことが検出された場合に、安全性関連機能を始動させるステップと、を伴う、上述したタイプの改良方法によって実現される。
【0023】
プログラムコードが評価ユニット上で実行される場合に、前記方法を実施するように設計されているプログラムコードを備えたコンピュータプログラム製品を用いて、本新規な方法および本新規な装置が実施される場合が特に有利である。
【0024】
したがって、前記好適な実施態様における構成ユニットは、評価ユニット内に実装されているソフトウェアモジュールの形で実施される。この場合、監視区域を監視するためのセンサユニットを設けることは、プログラムコードの絶対に欠かせない要素ではないことが理解されよう。
【0025】
本新規な装置および本新規な方法は、特に、離間されている2つの保護区域が画成されることを特徴とする。画成された保護区域を用いた、機械の作業区域に近づく異物の検出に本質的に重点が置かれる他の通常のアプローチとは対照的に、ここでは、機械自体の保護区域(第1の保護区域)が監視され、他方の保護区域(第2の保護区域)は、機械に近づく異物(例えば、人)の検出に用いられる。
【0026】
このようにして、本新規な装置は、監視区域を両側で、すなわち、機械自体の部分が、いわば内側から第1の保護区域に入ったか否かを判断するために機械から、およびまた異物が外側から第2の保護区域に入ったか否かを判断するために機械の周囲から監視区域を監視する。
【0027】
したがって、前記両側アプローチによって、本新規な装置は、機械自体が非意図的に、その通常の作業区域から出たか否かを検知することができる。この場合、ここでは機械要素と呼ぶ機械の部分は、第1の保護区域に入ることになり、その場合、それによって安全性関連機能が評価ユニットによって始動される。
【0028】
本新規な装置の顕著な利点は、装置が、とりわけ機械の追加的な外部監視によって、「不安全な」機械またはロボットにも用いることができるということである。上述した意味で、それ自体が冗長的かつ安全であるように実施されていない自動的に作動する機械はこれで本新規な装置によって追加的に保護することができる。しかし、疑わしい場合、機械の仮想的に画成された保護区域の距離、具体的には、機械の第2の保護区域の第2の距離を、公知のこの種の安全システムと比較して低減することができるということがより重要である。このことは、特に互いに隣接して配置された複数の自動的に作動する機械を備える製造ラインの場合に、個々の機械の安全防護監視区域を全体的に低減できるため、互いに比較的短い距離で配置することを可能にしている。また、このことは、人と機械の連携も単純化する。
【0029】
上述したような安全距離Sの大きさは、(これが機械的停止部を備えていない場合)機械の最大可能作業区域に基づいて、基準EN ISO13855:2010およびEN ISO13857:2008に従って決めることができる。しかし、機械は今や、前述の装置を用いて追加的に監視され、および機械が、その機械の周囲に設けられている第1の保護区域に入ったか否かが判断されるため、その第1の保護区域および第2の保護区域もまた、機械からより短い距離に配置することができる。
【0030】
第1の保護区域は、好ましくは、実際にプログラムされた機械の作業区域に依存して画成される。このようにして、上述した標準化された安全距離計算と比較した安全距離の低減は、異物の進入を検出する外側の保護区域(第2の保護区域)に加えて、機械のプログラムされた作業区域の境界における、本セクションと呼ばれている第1の保護区域に基づいている。
【0031】
前記第1の保護区域には、プログラムされた機械の作業区域を監視するというコンプライアンスのための役割がある。機械が、現時点で、そのシステム内の欠陥の結果として、または、安全距離の適合を伴わないそのプログラミングの変更の結果として、前記プログラムされた作業区域から逸脱するならば、評価ユニットも、その安全性関連機能を始動させることになり、それによって、一般的には、機械の停止が生じるか、または、機械が安全状態にされる。
【0032】
ここで画成された2つの保護区域は、特許文献3に記述されている第1および第2の段階の危険区域と混同すべきではない。すなわち、そこで述べられている両危険区域は、機械自体を監視するのには用いられていないが、外側から機械への異物の接近を検出するための外部観測に関連している。特許文献3において画成されている第1の段階の危険区域は、比較的低い危険度の領域を画成し、異物によるそこへの進入は、可聴または視覚的な警告信号を起動させる。機械の近くに位置している第2の段階の危険区域は、より大きな危険度の領域を画成し、異物によるそこへの進入は、機械を完全な停止状態にさせる。特許文献3は、いわば二段階のモデルを用いており、いずれの場合にも、外部観測だけに重点を置いているが、機械自体が、そのプログラムされた作業区域から逸脱しているか否かはチェックしない。
【0033】
したがって、特許文献3による公知の装置とは対照的に、本発明による装置は、不安全な機械にも用いることができる。付け加えると、2つの保護区域の画成は、特許文献3の場合よりも非常にシンプルで複雑ではない方法で実現することが可能である。
【0034】
したがって、上述した本発明の目的は完全に達成される。
【0035】
本発明の好適な実施態様において、第1の保護区域は、機械の実際にプログラムされた作業区域に依存して画成され、また、第2の保護区域は、第1の保護区域に依存して画成される。第2の距離と第1の距離の差は、所定の安全距離に一致している。
【0036】
したがって、安全距離Sは、一般的に機械の最大到達範囲(最大スペース)に基づくようには定義されず、実際にプログラムされた機械の作業区域(動作スペース)に基づいて定義される。上述した実施例の計算では、S=2.83mという安全距離が算出された。第1の保護区域による機械の追加的な安全防護対策のため、前記安全距離Sは、従来のように機械の最大スペースに基づくのではなく、動作スペースに基づいて定義することができる。そのため、外側に位置する第2の保護区域は、機械のプログラムされた偏向と、安全距離Sとの合計に一致する、機械の中心点からの総距離に設けることができる。通常のアプローチと比較して、前記実施態様は、「機械の最大作業区域(最大スペース)」と「機械のプログラムされた作業区域(動作スペース)」との差だけ、機械の第2の保護区域の総距離の低減をもたらす。
【0037】
このために、第1の距離は、その機械と、第1の保護区域の内側限界との間の距離として定義される。対照的に、いわゆる第2の距離は、機械と、第2の保護区域の外側限界との間に定義される。内側限界は、機械から見た場合に、機械により近いそれぞれの保護区域の部分であると理解すべきであり、すなわち、それぞれの保護区域の外側限界とは対照的に、それらの内側限界は、それぞれの箇所において、機械からより短い距離にある。したがって、外側限界は、機械から見た場合に、機械からより遠くにあるそれぞれの保護区域の部分であると理解すべきであり、すなわち、それぞれの保護区域の内側限界とは対照的に、それらの外側限界は、それぞれの箇所において、機械からより大きな距離にある。
【0038】
このようにして、それぞれの保護区域は、それらの内側限界と外側限界との間に及んでいる。それらの保護区域の幅または厚さ、すなわち、それぞれの保護区域の内側限界と外側限界との間の距離は、好ましくは、システムに依存して定義される。距離は、とりわけ、センサの応答時間ならびに分析プロセスの応答時間に依存する。これが、第1の保護区域の内側限界に基づいているのとは対照的に、第2の距離が、第2の保護区域の外側限界および第1の距離に基づいている理由は、上述の背景に照らして明らかになるはずである。第2の保護区域は、「外側から」監視するために用いられ、これは、特に、その外側限界が重要であるためである。第1の保護区域は、「内側から」監視するために用いられ、これは、特に、その内側限界が重要であるためである。
【0039】
さらなる好適な実施態様において、その所定の安全距離は、機械に近づいている異物の推測される接近速度と、機械の電源オフ時間と、センサユニットの応答時間とに少なくとも依存する。
【0040】
第1の保護区域を用いた機械の追加的な安全防護策のため、オペレータは、危険な位置から適切な距離にいることになり、第1の保護区域と第2の保護区域との間の安全距離の低減が危険な状況をもたらすことはない。
【0041】
機械の制御システムにちょうど欠陥が生じて、同時に、人が外側から第2の保護区域に入ってきそうな可能性があるか否かだけは判断しなければならない。前記のイベントを同時に想定しなければならない場合には、(オペレータの)異物の接近速度と、機械の停止距離の両方に基づいて、安全距離を計算しなければならない。しかし、前記の極端なケースを除外できる場合、このことは、人が(例えば、材料を取り除いたり、供給したりするために)定期的に保護区域に入る必用がない場合には常に敏感でなければならないように考えられるが、その場合には、人の接近速度に基づいて安全距離を決めることで十分である。
【0042】
本発明のさらなる実施態様において、構成ユニットは、第1および/または第2の保護区域を画成するための入力モジュールを備えている。
【0043】
このことは、例えば、入力パネルか、または、装置の構成ユニットに接続される外部入力装置(例えば、コンピュータ)によって実現することができる。このようにして、2つの保護区域を手動で画成することができる。第1の保護区域に依存する第2の保護区域の画成により、第1の保護区域の手動入力で大抵は十分である。実際には、このことは、例えば、機械の周りに基準マーカーを配置することによって実行することができ、第1の保護区域は、前記マーカーを用いて画成される。
【0044】
第1の保護区域は、好ましくは、実際にプログラムされた機械の作業区域に依存して画成されるため、この場合、基準点は、実際にプログラムされた機械の外側偏向点に配置される。簡潔に言えば、このことは、それによって、実際にプログラムされた機械の最大偏向(機械の最大可能偏向と混同すべきではない)が測定された後に、第1の保護区域が、その機械の周りの前記半径方向の距離に円形のかたちで画成されることも保証できるであろう。しかし、同じものが後に機械の周りに円形で形成されないが、実際にプログラムされた機械の作業移動に一致する任意のパターンで形成されるように、第1の保護区域も入力モジュールを用いて正確に画成できることは理解されるであろう。この場合、第2の保護区域の依存性画成のため、第2の保護区域もまた、同じかまたは同様の幾何学形状を備えるであろう。
【0045】
本発明の代替的な実施態様によれば、構成ユニットは、機械制御ユニットに結合され、制御ユニットは、機械の移動制御に用いられるパラメータを用いて、第1の保護区域を画成できるようにするために、機械の移動を制御する。
【0046】
前記実施態様においては、このようにして、機械制御ユニットは、第1の保護区域の画成に必要なパラメータを直接的に供給する。その結果、第1の保護区域および第2の保護区域の画成は、制御ユニットに依存して自動的に実行することができる。このことは、機械の実際にプログラムされた変位量での、それらの保護区域のより正確な画成を可能にするだけではなく、装置の設置時間もかなり低減する。さらなる利点は、機械移動の変化、すなわち、機械プログラミングの変更もまた、2つの保護区域の対応する適応を自動的にもたらすということである。それに反して、上述した2つの保護区域の手動による画成によって、オペレータが、機械プログラミングの変更の結果として、保護区域を修正することを忘れる可能性もある。しかし、この場合も、本新規な装置によって保護されるであろう。実際に、新たにプログラムされた移動中に、機械が第1の保護区域に入ろうとした場合、危険な衝突が生じることなく、安全性関連機能が直ちに起動されるであろう。
【0047】
本発明のさらなる実施態様によれば、安全性関連機能は、機械の電源オフを生じさせ、または、機械が第1の保護区域に入ることが検出された場合には、第2の保護区域の、特に第2の距離の適応的な調節を生じさせる。
【0048】
機械の緊急の電源オフまたは緊急停止は、機械が第1の保護区域に入った場合の通常の結果である。あるいは、第2の保護区域もまた、機械による第1の保護区域へのこのような進入の場合には、適切に適応させることができる。この場合、センサ装置は、機械の第1の保護区域内への進入度を検出し、評価ユニットは、このことを評価した後、検出されて評価された進入度によって、第1の保護区域と第2の保護区域との間の安全距離を適切に修正する。機械の電源をオフにする代わりに、機械は、安全性を損なうことなく、結果的に動作し続けることも可能であろう。
【0049】
さらなる実施態様によれば、第1および第2の保護区域は、機械を少なくとも部分的に取り囲む仮想的な3次元保護区域として構成される。
【0050】
2つの保護区域は、機械が360°の作動半径を有する場合にのみ、好ましくは、機械を完全に取り囲む。そうでない場合は、2つの保護区域は、機械の実際にプログラムされた作業区域を外部から保護するだけで十分である。上述したように、これらの保護区域は、好ましくは、仮想的な3次元保護区域として構成される。そのため、それらの保護区域は、保護スペースと呼ぶこともできる。また、それらは、機械の周りを、すなわち、上方向および横方向に完全に保護することもできる。機械の中心点から半径方向で測定したそれらの保護区域の厚さは、この場合、好ましくは、少なくとも検出可能な進入度Cに一致する。それらの保護区域の厚さは、既に述べたように、システムに依存して画成すべきであり、したがって、好ましくは、センサおよび評価プロセスの応答時間にも依存すべきである。
【0051】
さらに好適な実施態様によれば、センサユニットは、多チャンネルの冗長的なマルチ接眼レンズカメラシステムを備えている。
【0052】
そのようなカメラシステムの1つが、特許文献1に開示されており、その開示内容は、参照によって本願明細書に完全に組み込まれるものとする。このようなカメラシステムの1つは、SafetyEYE(登録商標)という名称で本出願人によって流通販売されている。
【0053】
さらなる実施態様において、センサユニットは、少なくとも1つの空間的位置を表す距離値を決定するように構成され、その距離値は、遷移時間測定により、および/または2つのカメラ画像の立体視的比較により決定される。
【0054】
遷移時間測定プロセスの間、異物までの往復の信号、特に光信号の遷移時間が測定される。異物までの距離は、その信号の既知の伝播速度から判断することができる。遷移時間測定プロセスは、距離情報を得るための、および3次元画像分析を可能にするための非常に安価なオプションである。
【0055】
距離情報を判断するための立体視的方法は、わずかに異なる視野角により、少なくとも2つのカメラ画像を生じるいわゆる視差を利用して、物体までの距離を測定するという点で人の目の動きと似ている。前記実施態様もまた、三眼顕微鏡的方法および装置を含むこと、すなわち、前記実施態様は、厳密に2つのカメラまたは2つのカメラ画像の使用に限定されないことは理解されるであろう。冗長的システムは、単一のフェイルセーフに関しては有利であるため、立体視的方法を用いる監視区域の3次元監視は、好適な用途に特に良く適している。立体視的システムは、現存の多眼カメラまたは画像取得ユニットの最適な利用を可能にする。
【0056】
上述した構成が、クレームで定義されている装置だけではなく、方法にも関連していないことは理解されるであろう。したがって、本新規な方法は、本新規な装置と同じかまたは同様の構成を有している。
【0057】
本発明による方法の第1の実施態様において、第1の保護区域は、実際にプログラムされた機械の作業区域に依存して画成され、また、第2の保護区域は、機械第1の保護区域に依存して画成される。
【0058】
本発明による方法のさらなる実施態様において、第2の距離と第1の距離との間の差は所定の安全距離であり、それは少なくとも、機械に近づいている異物の推定される接近側に、その機械の電源オフ時間に、およびセンサユニットの応答時間に依存する。
【0059】
本発明による方法のさらなる実施態様によれば、前記方法は、次のステップ、すなわち、機械の移動を機械制御ユニットによって制御するステップと、機械の移動制御に用いられるパラメータを用いて、第1の保護区域を画成するステップとをさらに含んでいる。
【0060】
本発明による方法のさらなる実施態様において、前記方法は、次のプロセスステップ、すなわち、第1の保護区域内への機械の進入が検出された場合の、第2の保護区域の、特に第2の距離の適応的な調節を含んでいる。
【0061】
本発明による方法のさらなる実施態様において、前記方法は、次のプロセスステップ、すなわち、少なくとも1つの異物の空間的位置を表す距離値を判断するステップを含み、その距離値は、遷移時間測定プロセスにより、および/または2つのカメラ画像の立体視的比較によって判断される。
【0062】
上述した、およびこれから以下で説明される特徴は、本発明の範囲から逸脱しなければ、それぞれ述べられた組合せだけではなく、他の組合せでも、またはそのままで用いることができることが理解される。