特許第6491640号(P6491640)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6491640自動的に作動する機械を保護するための装置および方法ならびにコンピュータ・プログラムデータ記憶媒体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6491640
(24)【登録日】2019年3月8日
(45)【発行日】2019年3月27日
(54)【発明の名称】自動的に作動する機械を保護するための装置および方法ならびにコンピュータ・プログラムデータ記憶媒体
(51)【国際特許分類】
   B25J 19/06 20060101AFI20190318BHJP
【FI】
   B25J19/06
【請求項の数】15
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2016-509380(P2016-509380)
(86)(22)【出願日】2014年4月15日
(65)【公表番号】特表2016-524544(P2016-524544A)
(43)【公表日】2016年8月18日
(86)【国際出願番号】EP2014057572
(87)【国際公開番号】WO2014173725
(87)【国際公開日】20141030
【審査請求日】2017年2月1日
(31)【優先権主張番号】102013104265.1
(32)【優先日】2013年4月26日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】501493037
【氏名又は名称】ピルツ ゲーエムベーハー アンド コー.カーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100087701
【弁理士】
【氏名又は名称】稲岡 耕作
(74)【代理人】
【識別番号】100101328
【弁理士】
【氏名又は名称】川崎 実夫
(74)【代理人】
【識別番号】100149766
【弁理士】
【氏名又は名称】京村 順二
(74)【代理人】
【識別番号】100110799
【弁理士】
【氏名又は名称】丸山 温道
(72)【発明者】
【氏名】メルクス,ヨアヒム
【審査官】 稲垣 浩司
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2008/0021597(US,A1)
【文献】 特開2011−125975(JP,A)
【文献】 国際公開第2008/004487(WO,A1)
【文献】 特開2010−188515(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 1/00 − 21/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
監視区域(14)を監視するためのセンサユニット(12)と、少なくとも1つの第1の保護区域(30)および少なくとも1つの第2の保護区域(32)を画成するための構成ユニット(28)と、安全性関連機能を始動させるための評価ユニット(26)とを備える、自動的に作動する機械(24)がその中に配置されている前記監視区域(14)を保護するための装置(10)であって、
前記第1の保護区域(30)は、前記機械(24)から第1の距離(50)にあり、および前記第2の保護区域(32)は、前記機械(24)から第2の距離(52)にあり、前記第2の距離(52)は前記第1の距離(50)よりも大きく、
前記センサユニット(12)は前記監視区域(14)を向いたカメラシステム(16)を有し、前記カメラシステム(16)によって撮られるカメラ画像は前記第1の保護区域(30)および前記第2の保護区域(32)をカバーし、
前記センサユニット(12)は、前記第1、第2の両方の保護区域(30,32)を監視し、
前記評価ユニット(26)は、前記機械(24)の機械要素が前記第1の保護区域(30)に入ったか否かと、異物が前記第2の保護区域(32)に入ったか否かとの両方を、前記カメラ画像によって評価し、前記機械(24)の機械要素が前記第1の保護区域(30)に入ったこと、前記異物が前記第2の保護区域(32)に入ったことの少なくとも一方が起きた場合に、前記安全性関連機能を始動させるように構成される、装置。
【請求項2】
前記第1の保護区域(30)は、実際にプログラムされた機械(24)の作業区域(48)に応じて画成される、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記第2の保護区域(32)は、前記第1の保護区域(30)に応じて画成され、前記第2の距離(52)と第1の距離(50)との差は、所定の安全距離である、請求項1または請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記所定の安全距離は、機械(24)に近付いている異物の推定接近速度、機械(24)の電源オフ時間、およびセンサユニット(12)の応答時間の少なくともいずれかに依存する、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記構成ユニット(28)は、第1および/または第2の保護区域(30,32)を画成するための入力モジュール(36)を備える、請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
前記機械(24)の動きは、機械制御ユニット(58)によって制御され、前記構成ユニット(28)は、前記機械(24)の運動制御に用いられるパラメータを用いて第1の保護区域(30)を画成するために、機械制御ユニット(58)に結合される、請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の装置。
【請求項7】
前記安全性関連機能は、前記機械(24)の電源オフを発生させ、または、前記機械(24)が第1の保護区域(30)内に入ったことが検出された場合に、前記第2の距離(52)の適応的な調節を生じさせる、請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の装置。
【請求項8】
前記第1および第2の保護区域(30,32)は、前記機械(24)を少なくとも部分的に取り囲む仮想的な3次元保護区域である、請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の装置。
【請求項9】
前記カメラシステム(16)は、多チャンネルの冗長的なマルチ接眼レンズカメラシステムを備える、請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載の装置。
【請求項10】
前記センサユニット(12)は、少なくとも1つの異物の空間的位置を表す距離値を測定するように構成され、前記距離値は、遷移時間測定法により、および/または2つのカメラ画像の立体視的比較によって決定される、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
自動的に作動する機械(24)がその中に配置されている監視区域(14)を保護するための方法であって、
前記監視区域(14)を向いたカメラシステム(16)を有し、該カメラシステム(16)により前記監視領域(14)を監視するためのセンサユニット(12)を設けるステップと、
少なくとも前記機械(24)から第1の距離(50)にある第1の保護区域(30)と、前記機械(24)から第2の距離(52)にある第2の保護区域(32)とを画成するステップであって前記第2の距離(52)は前記第1の距離(50)よりも大きい、ステップと、
センサユニット(12)によって、第1、第2の両方の保護区域(30,32)を監視し、ここにおいて前記カメラシステム(16)によって作られるカメラ画像は前記第1の保護区域(30)および前記第2の保護区域(32)をカバーしている、ステップと、
前記機械(24)の機械要素が前記第1の保護区域(30)に入ったか否かと、異物が前記第2の保護区域(32)に入ったか否かとを、前記カメラ画像によって検出するステップと、
前記機械(24)の機械要素が前記第1の保護区域(30)に入ったことおよび/または前記異物が前記第2の保護区域(32)に入ったことが検出された場合に、安全性関連機能を始動させるステップと、
を含む方法。
【請求項12】
前記第1の保護区域(30)は、前記機械(24)の実際にプログラムされた作業区域(48)に応じて画成され、前記第2の保護区域(32)は、第1の保護区域(30)に応じて画成される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記第2の距離(52)と前記第1の距離(50)との差は、前記機械(24)に近づいている異物の推定接近速度、前記機械(24)の電源オフ時間、およびセンサユニット(12)の応答時間の少なくともいずれかに依存する所定の安全距離である、請求項11または請求項12に記載の方法。
【請求項14】
機械制御ユニット(58)によって、前記機械(24)の移動を制御するステップと、
前記機械(24)の移動制御に用いられるパラメータを用いて、前記第1の保護区域(30)を画成するステップと、
をさらに含む、請求項11〜請求項13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
請求項1〜請求項10のいずれか1項に記載の装置(10)のための評価ユニット上でプログラムコードが実行される場合に、請求項11〜請求項14のいずれか1項に記載の方法のステップを有する方法を実施するようにデザインされた前記プログラムコードが格納されたコンピュータ・プログラムデータ記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動的に作動する機械がその中に配置されている監視区域を、その監視区域を監視するためのセンサユニットを用いて保護し、少なくとも1つの第1および第2の保護区域を画成するための構成ユニットを用いて保護し、および安全関連機能を始動させるための評価ユニットを用いて保護するための装置に関するものである。
【0002】
本発明はさらに、自動的に作動する機械がその中に配置されている監視区域を保護するための、対応する方法に関するものである。
【背景技術】
【0003】
かなりの速度で動く最新の産業用ロボットの場合、一般的に、衝突は、ロボットと、そのロボットによって処理されているワークピースの両方に対して著しい損傷を生じさせる。このことは、コストのかかる製造停止期間を生じさせる可能性がある。また、自動的に作動するロボットとやり取りしている人の安全性は、優先順位が最も高い。
【0004】
最新の産業用ロボット、および可動機械要素を備える他の機械の場合、その動きは、人および他の物体に対してリスクとなるため、その可動機械要素と異物との間で衝突が起きることは、安全装置を用いることによって防がなければならない。
【0005】
このためには、一般に、想定外の接触が起きる前に、その機械を停止状態にすることで十分である。
【0006】
従来、自動的に作動する機械の周りの危険区域は、防護フェンスや保護ドアの形態の機械的バリアによって、および/または光バリア、光グリッドおよびレーザスキャナを用いて囲まれている。人が保護ドアを開け、または、光グリッドまたは光バリアを遮断するとすぐに、機械の危険な作業移動がそれによって停止されるスイッチオフ信号が生成される。しかし、そのような安全装置の設置は、かなりコストがかかり、安全装置は、危険な機械の周りに大きなスペースを必要とする。さらに、そのような安全装置は、機械における異なる作動状況に対する危険な作業区域の安全保護の適応に関しては、あまり適応性がない。
【0007】
前記の欠点を避けるために、以前から、カメラシステムおよび適当な画像処理を用いて、自動的に作動する機械の危険な作業区域の保護を実施するための努力がなされてきた。そのような1つのシステムは、SafetyEYE(登録商標)という名称で、本出願人によって流通販売されている。
【0008】
特許文献1は、危険な作業区域の画像を周期的に生成する少なくとも2つのカメラを有するそのようなシステムを開示している。それらのカメラからの画像は、少なくとも2つのアルゴリズム的に異なる方法を用いて解析され、2つの方法のうちの少なくとも一方が、既定の保護区域内での異物の検出をもたらした場合には、機械の危険な作業移動が停止される。
【0009】
2つの解析法の各々は、カメラからの画像から3次元情報を生成し、その結果、既定の保護区域内の物体の位置を、方法を用いて判断することができる。そのような方法および装置に対する大きな課題は、そのような装置を、危険な機械の保護に実際に使用できるようにするために、既に複雑である画像処理は、関連する機械の安全基準(特に、EN 954−1(廃止)、EN ISO 13849−1、IEC 61508およびEN ISO13855)について、フェイルセーフを実施しなければならないということである。その装置自体の故障が、機械の安全防護対策の喪失をもたらしてはならない。そのため、この意味で、以下においては、EN 954−1によるカテゴリー3、IEC 61508によるSIL2および/またはEN ISO 13849によるパフォーマンスレベルPL(d)を少なくとも実現する装置がフェイルセーフであると見なされている。特許文献1および対応する装置によって公知である方法は、これを実現することができ、および既にそれ自体が実用化されていることが明らかになっている。
【0010】
上述したテーマの下で、人と機械の間のやりとりの改善に対する要望が次第に増えてきている。ここでの焦点は、主に、人に対してリスクをもたらすことなく、また、すぐ近くに存在する人が原因で、機械が頻繁に非意図的に停止されることなく、危険な機械のすぐ近くで人が作業することを可能にする安全システムを開発することにある。例えば、本来の場所で、ロボットの作業プロセスを監視するために、または、ワークピースをロボットと同時にまたは交互に処理するために、ロボットが作業している間、人が、基本的には危険であるロボットの周囲に留まることができることが望ましい。それでもやはり、人がロボットの作業移動によって負傷することはあってはならない。
【0011】
上述したカメラベースの安全システムの場合、仮想保護区域の大部分は、機械の周りに画成しなければならない。そして、カメラシステムは、そのような保護区域に異物が入ったか否かを検出し、その後、機械を停止させるか、または、機械を安全な状態にする。十分な安全性を確保できるようにするために、このための保護区域は、機械の周りの比較的大きな距離に画成される。維持すべき安全距離は、基準EN ISO13855:2010およびEN ISO13857:2008に基づいている。
【0012】
その最少距離を計算するための一般式は、
S=K・(t+t)+C+Z
で表される。ただし、
S=(保護区域の始点から危険の源までを測った最少距離(mm))
K=(検出すべき物体が危険区域に接近する接近速度(mm/s)(上述したカメラベースの安全システムの場合、これは、通常、K=1600mm/sであると仮定される))
=(安全システムの応答時間(上述したカメラベースの安全システムの場合、これは、一般に、t=0.34sであると仮定される))
=(機械の応答時間(例えば、ロボットで、0.7sであると仮定する))
=(安全システムの測定公差の許容範囲)
C=(進入深さ。これは、安全装置が始動される前に、体の一部が、安全装置を越えて、危険区域に向かって移動できる距離として定義される。)
上述したカメラベースの安全システムの場合の安全距離の例示的な現実的計算は、次のように示される。
【0013】
S=K・(t+t)+C+Z
=1600mm/s・(0.34s+0.7s)+850mm+316mm
=2.83m
前記安全距離の大きさは、一般に、そのロボットが機械的停止部を有していない場合に、ロボットによって到達される最大作業区域によって決められる。これは、その安全区域がロボットを比較的幅広く取り囲んでいることを意味する。ほとんどのロボットが、その可能性のある最大作業区域を実際に利用することは現実的には極めてまれであることを念頭に置くと、ロボットの影響が及ぶ最大作業区域を根幹とする3mという値は、十分であるか、または大きいものと考えられる。その結果として、所要の安全レベルを実際に保証することができるが、これは、かなりのスペースを占める。
【0014】
したがって、このこともまた、比較的小さなスペースに、複数のロボットを互いに隣接させて設置することを困難にし、そのことは、特に、複数のそのようなロボットを備える製造施設において不利であることが分かるであろう。そのため、原則として、これが、保証すべき安全性に悪影響を及ぼすことなく、その仮想保護区域の空間的範囲を多少、制限できることが好ましいであろう。
【0015】
特許文献2は、ロボットの危険な作業区域を保護するための方法および装置を提案しており、この場合、作業区域の3次元画像が生成されて、運動学的人体モデルが、作業区域内に存在する人と関連付けられる。その3次元画像は、作業区域の実際の状態が、作業区域の目標の状態から外れているか否かに関して分析され、この場合、運動学的人体モデルを用いて、人の目標位置が考慮される。前記方法および対応する装置は、人間とロボットの連携を可能にするであろう。しかし、目標と実際の比較のため、ロボットの作業区域内の人は、運動学的人体モデルにおける目標の状態に従って正確に動かなければならない。新たな作動状況に対する適応が、その都度、新たなモデリングを必要とするため、適切なモデリングは複雑に思われ、そのことが、どのような場合であっても柔軟性を制限する。
【0016】
また、特許文献2は、EN 954−1のカテゴリー3によるシングルフォールトトレランスを有するスキャナのセンサユニットとしての利用を提案している。さらに、センサユニットの機能の周期的または連続的なチェックが提案されており、およびそのチェック段階中のロボットの移動は、安全性関連技術を用いて、例えば、ロボットシステムの軸方向位置の冗長的記録および分析によってモニタリングされるはずである。しかし、特許文献2は、3次元画像の分析に関する情報を含んでおらず、基本的なモデリングは、危険な作業区域を保護するのに必要なフェイルセーフをもたらすことができる。
【0017】
特許文献3は、危険区域を画成するための評価ユニットを、機械の機械制御ユニットに結合することにより、および危険区域の画成に必要なパラメータを、機械の移動制御のための機械制御ユニットによって用いられる制御信号から導出するように評価ユニットを設計することによって、非常に小さな保護区域を画成するという課題にアプローチしている。また、危険区域の画成に必要なパラメータは、機械制御ユニットに用いられるパラメータ(例えば、ロボットアームの位置、移動速度および移動方向)に基づいて決められる。その結果、危険区域は、動的に、すなわちロボットアームによって動く。このため、機械自体は、本質的に常に、危険区域内に配置される。危険区域または保護区域のこのような動的な画成は、理想的な条件下で、相対的に設置面積の節約になるであろう。しかし、そのような保護区域の動的な画成は、現実的には非常に複雑であるだけではなく、高いコンピューティングコストも必要とする。さらに、その実施は、(保護すべき機械の周りに隣接する)そのような厳密なサイズの保護区域が、現実的に所要の安全性レベルを保証できるか否か疑わしく思われる。
【0018】
くわえて、特許文献3に開示されている方法および関連する装置は、フェイルセーフの機械またはロボットに適しているだけである。これは、その機械制御ユニット自体を、フェイルセーフかつ冗長的になるように構成しなければならないことを意味する。しかし、上述の方法および装置は、不安全なロボットまたは機械には適していない。上述の方法および装置は、機械またはロボットが、実際には、プログラムされた機械制御ユニットに従って動くことを前提としている。機械またはロボットの誤作動は、どのような場合であっても、カメラベースの監視センサによっては検出不可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0019】
【特許文献1】欧州特許第1 543 270 B1号明細書
【特許文献2】独国特許出願公開第10 2007 007 576 A1号明細書
【特許文献3】欧州特許出願公開第1 635 107 A1号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
このような背景の下で、本発明の目的は、非常にシンプルかつ有効な方法で、自動的に作動する機械の危険ゾーン内に人がフレキシブルに存在することを可能にする上述したタイプの装置および方法を提示することであり、この場合、その機械の保護と、そのような用途の場合の必要なフェイルセーフとが保証される。具体的には、これまでの標準的な安全距離計算と比較して、設定すべき機械と保護区域との間の安全距離を、人および機械の安全性が結果として悪影響を及ぼされることなく、低減できなければならない。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明の第一の態様によれば、前記目的は、上述したタイプの装置の改良によって実現され、この場合、第1の保護区域の内側限界は、機械から第1の距離にあり、および第2の保護区域の外側限界は、機械から第1の保護区域よりも大きな第2の距離にあり、センサユニットは、両方の保護区域を監視し、評価ユニットは、機械の機械要素が第1の保護区域内に入ったか否かと、異物が第2の保護区域内に入ったか否かとの両方を判断し、および装置は、これらのイベントの少なくとも一方が起きた場合に、安全性関連機能を始動させるように構成されている。
【0022】
本発明の追加的な態様によれば、前記目的は、監視区域を監視するためのセンサユニットを設けるステップと、少なくとも1つの第1および第2の仮想保護区域を画成するステップであって、第1の保護区域は、機械から第1の距離にあり、第2の保護区域は、その機械から第1の保護区域よりも大きな第2の距離にあるステップと、センサユニットによって、両方の保護区域を監視するステップと、機械の機械要素が第1の保護区域に入ったか否かと、異物が第2の保護区域に入ったか否かを検出するステップと、機械の機械要素が第1の保護区域に入ったことおよび/または異物が第2の保護区域に入ったことが検出された場合に、安全性関連機能を始動させるステップと、を伴う、上述したタイプの改良方法によって実現される。
【0023】
プログラムコードが評価ユニット上で実行される場合に、前記方法を実施するように設計されているプログラムコードを備えたコンピュータプログラム製品を用いて、本新規な方法および本新規な装置が実施される場合が特に有利である。
【0024】
したがって、前記好適な実施態様における構成ユニットは、評価ユニット内に実装されているソフトウェアモジュールの形で実施される。この場合、監視区域を監視するためのセンサユニットを設けることは、プログラムコードの絶対に欠かせない要素ではないことが理解されよう。
【0025】
本新規な装置および本新規な方法は、特に、離間されている2つの保護区域が画成されることを特徴とする。画成された保護区域を用いた、機械の作業区域に近づく異物の検出に本質的に重点が置かれる他の通常のアプローチとは対照的に、ここでは、機械自体の保護区域(第1の保護区域)が監視され、他方の保護区域(第2の保護区域)は、機械に近づく異物(例えば、人)の検出に用いられる。
【0026】
このようにして、本新規な装置は、監視区域を両側で、すなわち、機械自体の部分が、いわば内側から第1の保護区域に入ったか否かを判断するために機械から、およびまた異物が外側から第2の保護区域に入ったか否かを判断するために機械の周囲から監視区域を監視する。
【0027】
したがって、前記両側アプローチによって、本新規な装置は、機械自体が非意図的に、その通常の作業区域から出たか否かを検知することができる。この場合、ここでは機械要素と呼ぶ機械の部分は、第1の保護区域に入ることになり、その場合、それによって安全性関連機能が評価ユニットによって始動される。
【0028】
本新規な装置の顕著な利点は、装置が、とりわけ機械の追加的な外部監視によって、「不安全な」機械またはロボットにも用いることができるということである。上述した意味で、それ自体が冗長的かつ安全であるように実施されていない自動的に作動する機械はこれで本新規な装置によって追加的に保護することができる。しかし、疑わしい場合、機械の仮想的に画成された保護区域の距離、具体的には、機械の第2の保護区域の第2の距離を、公知のこの種の安全システムと比較して低減することができるということがより重要である。このことは、特に互いに隣接して配置された複数の自動的に作動する機械を備える製造ラインの場合に、個々の機械の安全防護監視区域を全体的に低減できるため、互いに比較的短い距離で配置することを可能にしている。また、このことは、人と機械の連携も単純化する。
【0029】
上述したような安全距離Sの大きさは、(これが機械的停止部を備えていない場合)機械の最大可能作業区域に基づいて、基準EN ISO13855:2010およびEN ISO13857:2008に従って決めることができる。しかし、機械は今や、前述の装置を用いて追加的に監視され、および機械が、その機械の周囲に設けられている第1の保護区域に入ったか否かが判断されるため、その第1の保護区域および第2の保護区域もまた、機械からより短い距離に配置することができる。
【0030】
第1の保護区域は、好ましくは、実際にプログラムされた機械の作業区域に依存して画成される。このようにして、上述した標準化された安全距離計算と比較した安全距離の低減は、異物の進入を検出する外側の保護区域(第2の保護区域)に加えて、機械のプログラムされた作業区域の境界における、本セクションと呼ばれている第1の保護区域に基づいている。
【0031】
前記第1の保護区域には、プログラムされた機械の作業区域を監視するというコンプライアンスのための役割がある。機械が、現時点で、そのシステム内の欠陥の結果として、または、安全距離の適合を伴わないそのプログラミングの変更の結果として、前記プログラムされた作業区域から逸脱するならば、評価ユニットも、その安全性関連機能を始動させることになり、それによって、一般的には、機械の停止が生じるか、または、機械が安全状態にされる。
【0032】
ここで画成された2つの保護区域は、特許文献3に記述されている第1および第2の段階の危険区域と混同すべきではない。すなわち、そこで述べられている両危険区域は、機械自体を監視するのには用いられていないが、外側から機械への異物の接近を検出するための外部観測に関連している。特許文献3において画成されている第1の段階の危険区域は、比較的低い危険度の領域を画成し、異物によるそこへの進入は、可聴または視覚的な警告信号を起動させる。機械の近くに位置している第2の段階の危険区域は、より大きな危険度の領域を画成し、異物によるそこへの進入は、機械を完全な停止状態にさせる。特許文献3は、いわば二段階のモデルを用いており、いずれの場合にも、外部観測だけに重点を置いているが、機械自体が、そのプログラムされた作業区域から逸脱しているか否かはチェックしない。
【0033】
したがって、特許文献3による公知の装置とは対照的に、本発明による装置は、不安全な機械にも用いることができる。付け加えると、2つの保護区域の画成は、特許文献3の場合よりも非常にシンプルで複雑ではない方法で実現することが可能である。
【0034】
したがって、上述した本発明の目的は完全に達成される。
【0035】
本発明の好適な実施態様において、第1の保護区域は、機械の実際にプログラムされた作業区域に依存して画成され、また、第2の保護区域は、第1の保護区域に依存して画成される。第2の距離と第1の距離の差は、所定の安全距離に一致している。
【0036】
したがって、安全距離Sは、一般的に機械の最大到達範囲(最大スペース)に基づくようには定義されず、実際にプログラムされた機械の作業区域(動作スペース)に基づいて定義される。上述した実施例の計算では、S=2.83mという安全距離が算出された。第1の保護区域による機械の追加的な安全防護対策のため、前記安全距離Sは、従来のように機械の最大スペースに基づくのではなく、動作スペースに基づいて定義することができる。そのため、外側に位置する第2の保護区域は、機械のプログラムされた偏向と、安全距離Sとの合計に一致する、機械の中心点からの総距離に設けることができる。通常のアプローチと比較して、前記実施態様は、「機械の最大作業区域(最大スペース)」と「機械のプログラムされた作業区域(動作スペース)」との差だけ、機械の第2の保護区域の総距離の低減をもたらす。
【0037】
このために、第1の距離は、その機械と、第1の保護区域の内側限界との間の距離として定義される。対照的に、いわゆる第2の距離は、機械と、第2の保護区域の外側限界との間に定義される。内側限界は、機械から見た場合に、機械により近いそれぞれの保護区域の部分であると理解すべきであり、すなわち、それぞれの保護区域の外側限界とは対照的に、それらの内側限界は、それぞれの箇所において、機械からより短い距離にある。したがって、外側限界は、機械から見た場合に、機械からより遠くにあるそれぞれの保護区域の部分であると理解すべきであり、すなわち、それぞれの保護区域の内側限界とは対照的に、それらの外側限界は、それぞれの箇所において、機械からより大きな距離にある。
【0038】
このようにして、それぞれの保護区域は、それらの内側限界と外側限界との間に及んでいる。それらの保護区域の幅または厚さ、すなわち、それぞれの保護区域の内側限界と外側限界との間の距離は、好ましくは、システムに依存して定義される。距離は、とりわけ、センサの応答時間ならびに分析プロセスの応答時間に依存する。これが、第1の保護区域の内側限界に基づいているのとは対照的に、第2の距離が、第2の保護区域の外側限界および第1の距離に基づいている理由は、上述の背景に照らして明らかになるはずである。第2の保護区域は、「外側から」監視するために用いられ、これは、特に、その外側限界が重要であるためである。第1の保護区域は、「内側から」監視するために用いられ、これは、特に、その内側限界が重要であるためである。
【0039】
さらなる好適な実施態様において、その所定の安全距離は、機械に近づいている異物の推測される接近速度と、機械の電源オフ時間と、センサユニットの応答時間とに少なくとも依存する。
【0040】
第1の保護区域を用いた機械の追加的な安全防護策のため、オペレータは、危険な位置から適切な距離にいることになり、第1の保護区域と第2の保護区域との間の安全距離の低減が危険な状況をもたらすことはない。
【0041】
機械の制御システムにちょうど欠陥が生じて、同時に、人が外側から第2の保護区域に入ってきそうな可能性があるか否かだけは判断しなければならない。前記のイベントを同時に想定しなければならない場合には、(オペレータの)異物の接近速度と、機械の停止距離の両方に基づいて、安全距離を計算しなければならない。しかし、前記の極端なケースを除外できる場合、このことは、人が(例えば、材料を取り除いたり、供給したりするために)定期的に保護区域に入る必用がない場合には常に敏感でなければならないように考えられるが、その場合には、人の接近速度に基づいて安全距離を決めることで十分である。
【0042】
本発明のさらなる実施態様において、構成ユニットは、第1および/または第2の保護区域を画成するための入力モジュールを備えている。
【0043】
このことは、例えば、入力パネルか、または、装置の構成ユニットに接続される外部入力装置(例えば、コンピュータ)によって実現することができる。このようにして、2つの保護区域を手動で画成することができる。第1の保護区域に依存する第2の保護区域の画成により、第1の保護区域の手動入力で大抵は十分である。実際には、このことは、例えば、機械の周りに基準マーカーを配置することによって実行することができ、第1の保護区域は、前記マーカーを用いて画成される。
【0044】
第1の保護区域は、好ましくは、実際にプログラムされた機械の作業区域に依存して画成されるため、この場合、基準点は、実際にプログラムされた機械の外側偏向点に配置される。簡潔に言えば、このことは、それによって、実際にプログラムされた機械の最大偏向(機械の最大可能偏向と混同すべきではない)が測定された後に、第1の保護区域が、その機械の周りの前記半径方向の距離に円形のかたちで画成されることも保証できるであろう。しかし、同じものが後に機械の周りに円形で形成されないが、実際にプログラムされた機械の作業移動に一致する任意のパターンで形成されるように、第1の保護区域も入力モジュールを用いて正確に画成できることは理解されるであろう。この場合、第2の保護区域の依存性画成のため、第2の保護区域もまた、同じかまたは同様の幾何学形状を備えるであろう。
【0045】
本発明の代替的な実施態様によれば、構成ユニットは、機械制御ユニットに結合され、制御ユニットは、機械の移動制御に用いられるパラメータを用いて、第1の保護区域を画成できるようにするために、機械の移動を制御する。
【0046】
前記実施態様においては、このようにして、機械制御ユニットは、第1の保護区域の画成に必要なパラメータを直接的に供給する。その結果、第1の保護区域および第2の保護区域の画成は、制御ユニットに依存して自動的に実行することができる。このことは、機械の実際にプログラムされた変位量での、それらの保護区域のより正確な画成を可能にするだけではなく、装置の設置時間もかなり低減する。さらなる利点は、機械移動の変化、すなわち、機械プログラミングの変更もまた、2つの保護区域の対応する適応を自動的にもたらすということである。それに反して、上述した2つの保護区域の手動による画成によって、オペレータが、機械プログラミングの変更の結果として、保護区域を修正することを忘れる可能性もある。しかし、この場合も、本新規な装置によって保護されるであろう。実際に、新たにプログラムされた移動中に、機械が第1の保護区域に入ろうとした場合、危険な衝突が生じることなく、安全性関連機能が直ちに起動されるであろう。
【0047】
本発明のさらなる実施態様によれば、安全性関連機能は、機械の電源オフを生じさせ、または、機械が第1の保護区域に入ることが検出された場合には、第2の保護区域の、特に第2の距離の適応的な調節を生じさせる。
【0048】
機械の緊急の電源オフまたは緊急停止は、機械が第1の保護区域に入った場合の通常の結果である。あるいは、第2の保護区域もまた、機械による第1の保護区域へのこのような進入の場合には、適切に適応させることができる。この場合、センサ装置は、機械の第1の保護区域内への進入度を検出し、評価ユニットは、このことを評価した後、検出されて評価された進入度によって、第1の保護区域と第2の保護区域との間の安全距離を適切に修正する。機械の電源をオフにする代わりに、機械は、安全性を損なうことなく、結果的に動作し続けることも可能であろう。
【0049】
さらなる実施態様によれば、第1および第2の保護区域は、機械を少なくとも部分的に取り囲む仮想的な3次元保護区域として構成される。
【0050】
2つの保護区域は、機械が360°の作動半径を有する場合にのみ、好ましくは、機械を完全に取り囲む。そうでない場合は、2つの保護区域は、機械の実際にプログラムされた作業区域を外部から保護するだけで十分である。上述したように、これらの保護区域は、好ましくは、仮想的な3次元保護区域として構成される。そのため、それらの保護区域は、保護スペースと呼ぶこともできる。また、それらは、機械の周りを、すなわち、上方向および横方向に完全に保護することもできる。機械の中心点から半径方向で測定したそれらの保護区域の厚さは、この場合、好ましくは、少なくとも検出可能な進入度Cに一致する。それらの保護区域の厚さは、既に述べたように、システムに依存して画成すべきであり、したがって、好ましくは、センサおよび評価プロセスの応答時間にも依存すべきである。
【0051】
さらに好適な実施態様によれば、センサユニットは、多チャンネルの冗長的なマルチ接眼レンズカメラシステムを備えている。
【0052】
そのようなカメラシステムの1つが、特許文献1に開示されており、その開示内容は、参照によって本願明細書に完全に組み込まれるものとする。このようなカメラシステムの1つは、SafetyEYE(登録商標)という名称で本出願人によって流通販売されている。
【0053】
さらなる実施態様において、センサユニットは、少なくとも1つの空間的位置を表す距離値を決定するように構成され、その距離値は、遷移時間測定により、および/または2つのカメラ画像の立体視的比較により決定される。
【0054】
遷移時間測定プロセスの間、異物までの往復の信号、特に光信号の遷移時間が測定される。異物までの距離は、その信号の既知の伝播速度から判断することができる。遷移時間測定プロセスは、距離情報を得るための、および3次元画像分析を可能にするための非常に安価なオプションである。
【0055】
距離情報を判断するための立体視的方法は、わずかに異なる視野角により、少なくとも2つのカメラ画像を生じるいわゆる視差を利用して、物体までの距離を測定するという点で人の目の動きと似ている。前記実施態様もまた、三眼顕微鏡的方法および装置を含むこと、すなわち、前記実施態様は、厳密に2つのカメラまたは2つのカメラ画像の使用に限定されないことは理解されるであろう。冗長的システムは、単一のフェイルセーフに関しては有利であるため、立体視的方法を用いる監視区域の3次元監視は、好適な用途に特に良く適している。立体視的システムは、現存の多眼カメラまたは画像取得ユニットの最適な利用を可能にする。
【0056】
上述した構成が、クレームで定義されている装置だけではなく、方法にも関連していないことは理解されるであろう。したがって、本新規な方法は、本新規な装置と同じかまたは同様の構成を有している。
【0057】
本発明による方法の第1の実施態様において、第1の保護区域は、実際にプログラムされた機械の作業区域に依存して画成され、また、第2の保護区域は、機械第1の保護区域に依存して画成される。
【0058】
本発明による方法のさらなる実施態様において、第2の距離と第1の距離との間の差は所定の安全距離であり、それは少なくとも、機械に近づいている異物の推定される接近側に、その機械の電源オフ時間に、およびセンサユニットの応答時間に依存する。
【0059】
本発明による方法のさらなる実施態様によれば、前記方法は、次のステップ、すなわち、機械の移動を機械制御ユニットによって制御するステップと、機械の移動制御に用いられるパラメータを用いて、第1の保護区域を画成するステップとをさらに含んでいる。
【0060】
本発明による方法のさらなる実施態様において、前記方法は、次のプロセスステップ、すなわち、第1の保護区域内への機械の進入が検出された場合の、第2の保護区域の、特に第2の距離の適応的な調節を含んでいる。
【0061】
本発明による方法のさらなる実施態様において、前記方法は、次のプロセスステップ、すなわち、少なくとも1つの異物の空間的位置を表す距離値を判断するステップを含み、その距離値は、遷移時間測定プロセスにより、および/または2つのカメラ画像の立体視的比較によって判断される。
【0062】
上述した、およびこれから以下で説明される特徴は、本発明の範囲から逸脱しなければ、それぞれ述べられた組合せだけではなく、他の組合せでも、またはそのままで用いることができることが理解される。
【図面の簡単な説明】
【0063】
図1】本発明の実施形態に係る、本新規な装置の単純化した図を示す。
図2】本新規な装置の単純化した構成をブロック図で示す。
図3】本新規な装置に用いることのできるカメラシステムの斜視図を下からのアングルで示す。
図4】第1の実施形態に係る本新規な装置および本新規な方法の動作原理を説明するための単純化した図を示す。
図5】さらなる実施形態に係る本新規な装置および本新規な方法の動作原理を説明するための単純化した図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0064】
本発明の例示的な実施形態は、図面に示されており、および以下の説明において詳細に記載されている。
【0065】
図1および図2においては、本新規な装置の好適な実施形態の全体が参照数字10で示されている。
【0066】
装置10は、空間的区域または監視区域14を監視するように構成されている少なくとも1つのセンサユニット12を含み、その区域内には、自動的に作動するシステムまたは機械、この場合はロボット24が配置されている。
【0067】
この目的のために、センサユニット12は、好ましくは、監視区域14の方に向けられているカメラシステム16を備えている。カメラシステム16は、好ましくは、少なくとも第1のカメラ18と、第2のカメラ20とを備えているステレオカメラシステムの形で構成されている。
【0068】
カメラ18,20は、保護すべき監視区域14の2つの互いにわずかにオフセットされた画像を生成する。カメラ18,20の互いのオフセットのため、および三角法の関係を用いて、センサユニット12から、監視区域14内の物体までの距離を、カメラ画像を用いて測定することができる。この種の好適なセンサユニットは、前述の特許文献1に開示されている。
【0069】
他の実施形態において、センサユニット12は、遷移時間カメラを含むことができる。これは、一方においては、そのカメラが、監視すべき領域の2次元画像を生成することを意味する。また、そのカメラは、遷移時間測定によって得られる距離情報を生成する。また、センサユニット12は、3Dスキャナとして作動するように設計することもでき、および/または保護すべき監視区域の3次元画像を生成することを可能にする異なる技術を用いることもできる。
【0070】
さらに、他の実施形態においては、複数の1次元および/または2次元センサが、ペアでおよび/または全体として、監視区域14の所要の3次元画像を生成する3Dセンサユニットを構成することができる。したがって、好適ではあるが、本新規な装置10のためのセンサユニット12としてステレオカメラシステム16を用いることは必ずしも必要なことではない。
【0071】
センサユニット12は、制御装置22に接続されている。制御装置22は、カメラシステム16によって取得された監視区域14の画像を分析し、およびそれに依存して、危険な状況が検出された場合に、ロボット24を停止させるか、または安全な状態にするように設計されている。
【0072】
図1の描画とは異なって、センサユニット12と制御装置22は、共通のハウジング内で一体化することもできる。
【0073】
制御装置22は、好ましくは、評価ユニット26および構成ユニット28(図2を参照)を備えている。評価ユニット26は、カメラシステム16によって記録されたカメラ画像を分析し、および危険な状況の場合には、安全性関連機能を起動するように、例えば、ロボット24の電源をオフにするように構成されている。
【0074】
一方、構成ユニット28は、図4および図5を用いて以下で詳細に説明するように、少なくとも2つの仮想保護区域30,32の画成に用いられる。
【0075】
評価ユニット26と構成ユニット28は、ともにソフトウェアベースのまたはハードウェアベースの別々のユニットとして実装することができる。あるいは、前記2つのユニット26,28は、制御装置22内の共通のソフトウェアベースまたはハードウェアベースのユニットに実装することもできる。
【0076】
図1に示す、センサユニット12と、制御装置22と、機械24との間の接続は、それぞれ、有線または無線の接続部として構成することができる。
【0077】
監視区域14を照らすために、参照数字34で示す光源を必要に応じて設けることができる。本発明のいくつかの例示的な実施形態において、光源34は、光信号を生成するのに用いることができ、その遷移時間から、監視区域14内の物体までの距離を測定することができる。しかし、現時点で好適な実施形態において、光源34は、監視区域14の照明のためだけに用いられている。監視区域14の3次元記録は、好ましくは、立体画像記録を用いて、既に述べたように実行される。
【0078】
さらに、図1は、参照数字36によって示されている入力モジュールも概略的に示している。前記入力モジュール36は、装置10の、特にセンサユニット12の据付および構成に用いることができる。そのセンサユニットは、以下で詳細に説明するように、特に、仮想保護区域30,32の手動調節および構成に用いられる。入力モジュール36は、専用の入力パネルとして装置10に適合させることができる。あるいは、入力モジュールは、装置10の設置および構成に適しているソフトウェアがインストールされる従来のコンピュータによって実施することもできる。
【0079】
さらに、装置10は、バスによって、または、異なる通信媒体によって相互に接続されている複数の評価ユニット26を含むこともできることに言及しなければならない。また、センサユニット12の信号およびデータ処理容量の一部が、評価ユニット26内に設けられることが可能である。例えば、カメラ18,20の立体画像を用いる、物体の位置の判断は、評価ユニット26も実装しているコンピュータで実行することができる。また、センサユニット12は、必ずしも単一のハウジング内に配置する必要はない。それどころか、本発明の目的のためには、センサユニット12は、複数のモジュールおよび/またはハウジング内に分散させることもできるが、可能な限りコンパクトにセンサユニット12を実装することが好適である。
【0080】
図3は、SafetyEYE(登録商標)という名称で、本出願人によって流通販売されているセンサユニット12の好適な実施形態を示す。
【0081】
前記実施形態によれば、センサユニット12は、実質的に平坦なプレートの形態で構成されているシステム本体38を備えている。前記プレート38は、ここでは、略菱形の設置面積を有している。合計で3つのカメラユニット40a,40b,40cが、システム本体38の4つの「角部」のうちの3つに配置されている。
【0082】
参照数字42で示す取付け部は、センサユニット12を壁に、マストに、または同様のものに(ここでは図示せず)取り付けるのに用いることができる。この場合、取付け部42は、少なくとも2つの互いに直交する回転軸周りのシステム本体38の旋回を可能にする複数のスイベルジョイント44、46を備えた取付けアームである。また、そのシステム本体は、好ましくは、それに対して直交する第3の回転軸周りにも旋回することができる。しかし、図3においては、関連するスイベルジョイントは隠れている。
【0083】
したがって、カメラユニット40a,40b,40cは、監視すべき監視区域14に向けて比較的簡単に配置することができる。3つのカメラユニット40a,40b,40cは、システム本体38上で三角形状に配置されている。したがって、前記カメラユニットによって生成されたカメラ画像は、互いにわずかにオフセットされている。カメラユニット40a,40b,40cはそれぞれ、カメラペアを構成し、この場合、前記例示的な実施形態において、カメラユニット40a,40bの互いからの距離、およびカメラユニット40a,40cの互いからの距離は、それぞれ厳密に等しくかつ不変である。前記2つの距離は、それぞれ、カメラペア40a,40bおよび40a,40cの立体的分析のためのベース幅を構成する。
【0084】
さらに、主に、カメラペア40b,40cは、独立した立体的分析にも用いることができるであろう。2つの立体カメラペア40a,40bおよび40a,40cが共通の直線に沿って配置されていないことの結果として、例えば、他の物体によって遮られているために、単一のカメラペアには見えないであろう監視区域14内の物体も検出することができる。また、3つのカメラユニット40a,40b,40cを用いれば、監視区域14内の何らかの物体までの距離を確実に測定することができる。2つのカメラユニットだけを使用した場合には、ベース幅に平行に延びている細長い輪郭までの距離は、測定することができないであろう。
【0085】
本発明の重要な点は、保護区域30,32の画成と、その機能であり、そのことは、例として図4および図5を用いて以下詳細に記載されている。
【0086】
装置10は、センサユニット12を用いて監視することができる仮想3次元保護区域30,32の設定を可能にしている。保護区域30,32の画成は、好ましくは、上述した構成ユニット28によって行う。保護区域30,32は、好ましくは、ソフトウェアの支援により、構成ユニット28を用いて手動で、または自動的に設定することができる。
【0087】
本発明の場合、装置10によって設定される、少なくとも2つの保護区域、すなわち、第1の保護区域30と、第2の保護区域32とがある。第1の保護区域30は、本質的には、機械24が、その実際にプログラムされた作業区域48に対応しているか否かを監視するために用いられる。前記第1の保護区域30は、機械24から第1の距離50にあり、および少なくとも部分的にその機械を取り囲んでいる。
【0088】
第1の距離50は、図4および図5に図示されているように、機械24に対向している第1の保護区域30の内側限界51から測られている。第2の保護区域32は、本質的には、異物、例えば人が、外側から機械24に近づいているか否かを監視するために用いられる。前記第2の保護区域32は、機械24からの第1の保護区域30の第1の距離50よりも大きい、機械24から第2の距離52にある。したがって、第2の保護区域32は、いわばさらに外側に位置している。
【0089】
第1の距離50とは対照的に、第2の距離52は、図4および図5に図示されているように、機械24から遠く離れている第2の保護区域32の外側限界53から測られている。したがって、保護区域30,32の形状および距離50,52はともに、用途に依存して可変的に画成することができる。このことは、例えば、既に述べたように、入力モジュール36(図1を参照)を用いて可能である。
【0090】
センサユニット12は、保護区域30,32を両方とも監視する。したがって、図3に示す実施形態の場合、カメラユニット40a,40b,40cによって生成されたカメラ画像は、2つの保護区域30,32をカバーしている。換言すれば、このようにして、保護区域30,32は、監視区域14内に位置している。これらのカメラ画像は、機械24の機械要素が第1の保護区域30内に入ったか否かを検出するために、および/または異物が外側から第2の保護区域32内に入ったか否かを検出するために、評価ユニット26を用いて分析される。もしも前記イベントのうちの1つが発生した場合には、評価ユニット26は、安全性関連機能を始動させ、それにより、機械は安全状態になる。
【0091】
従来のこの種の安全システムとは対照的に、装置10は、このようにして、異物が外側から機械24の危険な作業区域48に近づいているか否かだけではなく、機械24自体が、そのプログラムされた作業区域48に適合しているか否かも検出する。特に、後者のチェックは、従来の安全システムによって実行されないため、(第2の保護区域32に対応する)前記システムにおいて画成される保護スペースは、本発明の場合に実現できる距離よりも機械24から遠く離れた距離に画成しなければならない。
【0092】
前記システムにおいては、機械24自体は、一般的には、そのプログラムされた作業区域48との適合のために監視されないため、安全距離(S=K・(t+t)+C+Z)は、通常は、その機械が理論的に到達可能である、機械24の最大可能作業区域から測られる。
【0093】
前記最大可能作業区域は、図4において参照数字48’で特徴付けられている。機械24自体の追加的な監視を伴うことなく、保護区域32は、図4において参照数字54’で示され、および上述した標準的な公式に従って計算される最大可能作業区域48’に基づく追加的な安全距離を含むことになるであろう。したがって、その場合、保護区域32は、さらに著しく外側に位置しなければならず、すなわち、図4に示す場合よりも、機械24からより大きな距離にあることになる。
【0094】
しかし、本発明の場合、(第1の保護区域30として知られる)機械24の作業区域48を監視する第2の保護区域32が設定されるため、機械24からの保護区域32の外側限界53の(第2の距離52として知られている)総距離52は、このことが安全性の損失をもたらすことなく低減することができる。新規なセンサユニット12は、機械24がその時点で、そのプログラムされた作業区域48から非意図的に離れているか否かを検出し、機械24の技術的に最大可能な作業区域48’がもはや必要に思えないことに基づいて、安全距離54’の寸法を決めることができる。図示されている安全距離54は、実際には、好ましくは依然として常に、図示されている安全距離54’と同じ安全距離であるが、本発明の場合、これは、機械24の理論的な最大可能作業区域48’からではなく、実際にプログラムされた作業区域48から測られる。
【0095】
このようにして、本新規な装置10は、第2の保護区域32の外側縁部53と、機械24との間の総距離の低減を可能にしている。より正確には、前記距離の低減は、機械24の技術的な最大可能作業区域48’と、機械24の実際にプログラムされた作業区域48との差に相当する。前記スペースの増加は、図4に符号dで示されている。
【0096】
既に述べたように、本発明による装置10によって、安全性を損なうことなく可能である距離の低減は、特に、複数の自動的に作動する機械がその中に設置されている製造施設において、それ自体が非常に有利であることを証明している。個々の機械の監視区域を、結果として全体で低減できるため、このことは、複数の自動的に作動する機械の間の間隔が比較的小さい場合でも、それらの機械の配置を可能にする。
【0097】
第2の距離52と、第1の距離50との差は、上記で計算した安全距離S(54)に相当する。両保護区域は、好ましくは、上述の式による少なくとも記録された進入度Cに相当する幅56を備える。(半径方向で測った)第1の保護区域30の幅は、好ましくは、機械24の技術的な最大可能作業区域48’と、機械24の実際にプログラムされた作業区域48との差に相当する。
【0098】
安全区域30,32の手動による画成、または、機械24からのそれらの距離50,52の代わりに、これは、自動的に実行することもできる。構成ユニット28は、この目的のために、図2に概略的に示すように、機械制御部58に結合することができる。このことは、機械24の移動制御に用いられるパラメータを用いて、第1の保護区域30を指定することを可能にしている。
【0099】
保護区域30,32の形状は、例えば、図5に示すように、それらに起因する可能性があるであろう。本願明細書に示されている実施例において、機械24は、点線で示す運動半径60の範囲内で動くだけである。前記運動半径60の外側での機械24の旋回は想定されていない。そのため、運動半径60の外側では、第1および第2の保護区域30,32は、機械24に非常に近接している可能性がある。その結果として、いわゆる第1および第2の距離50,52は可変的である。
【0100】
機械24の移動が再プログラムされ、その結果、構成ユニット28が機械制御部58に結合された場合、このことは、同じことをオペレータが再プログラムすることなく、機械24の新たに実際にプログラムされた作業区域48のための保護区域30,32の再画成を自動的に生じなければならない。第2および第1の保護区域32,30間の安全距離が予め標準として決められており、第2の保護区域32の適合は、第1の保護区域30に依存して自動的に行われるため、どのような場合であれ、第1の保護区域30のみを、機械24の新たにプログラムされた作業区域48に適合させなければならない。
【0101】
当然、2つの保護区域30,32が、用途により、円形または半円形の形状から逸脱する可能性があることも理解されるであろう。それらの保護区域は、例えば、角張った形状にすることもできる。しかし、それらの保護区域は、好ましくはそれぞれ、3次元空間の形態であり、その厚さは、少なくとも進入度Cに相当する。
図1
図2
図3
図4
図5