特許第6491648号(P6491648)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6491648冷蔵庫を有するキャビネット用のガラス要素
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6491648
(24)【登録日】2019年3月8日
(45)【発行日】2019年3月27日
(54)【発明の名称】冷蔵庫を有するキャビネット用のガラス要素
(51)【国際特許分類】
   C03C 27/06 20060101AFI20190318BHJP
   E06B 3/66 20060101ALI20190318BHJP
   F25D 23/02 20060101ALI20190318BHJP
   E06B 3/663 20060101ALI20190318BHJP
   E06B 5/00 20060101ALI20190318BHJP
   A47F 3/04 20060101ALI20190318BHJP
【FI】
   C03C27/06 101E
   E06B3/66 A
   F25D23/02 303M
   E06B3/663 F
   E06B5/00 B
   C03C27/06 101Z
   A47F3/04 E
【請求項の数】15
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2016-518908(P2016-518908)
(86)(22)【出願日】2014年5月28日
(65)【公表番号】特表2016-531063(P2016-531063A)
(43)【公表日】2016年10月6日
(86)【国際出願番号】EP2014061128
(87)【国際公開番号】WO2014198549
(87)【国際公開日】20141218
【審査請求日】2017年5月1日
(31)【優先権主張番号】BE2013/0421
(32)【優先日】2013年6月14日
(33)【優先権主張国】BE
(73)【特許権者】
【識別番号】510191919
【氏名又は名称】エージーシー グラス ユーロップ
【氏名又は名称原語表記】AGC GLASS EUROPE
(74)【代理人】
【識別番号】100103816
【弁理士】
【氏名又は名称】風早 信昭
(74)【代理人】
【識別番号】100120927
【弁理士】
【氏名又は名称】浅野 典子
(72)【発明者】
【氏名】シュナイダー, ピエール
(72)【発明者】
【氏名】ブーシェ, ニコラス
(72)【発明者】
【氏名】ブーズナール, オリヴィエ
【審査官】 吉川 潤
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2009/0021125(US,A1)
【文献】 特開昭59−026950(JP,A)
【文献】 特開2002−061464(JP,A)
【文献】 特表2003−508327(JP,A)
【文献】 特表2004−538434(JP,A)
【文献】 特開平02−243895(JP,A)
【文献】 特開2009−242219(JP,A)
【文献】 独国特許出願公開第102012106200(DE,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0021130(US,A1)
【文献】 米国特許第06148563(US,A)
【文献】 実開昭55−032993(JP,U)
【文献】 特開2010−265127(JP,A)
【文献】 特開2011−242094(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C03C 27/06
E06B 3/66 − 3/677
E06B 5/00
A47F 3/00 − 3/14
F25D 23/02 − 23/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラス張り要素であって、
a.スペーサ(12)によって結合された少なくとも第1のガラスシート(10)および第2のガラスシート(11)を含む少なくとも1枚の断熱板ガラスであって、前記スペーサは、前記ガラスシートを互いに一定の距離に保ち、前記スペーサは、前記少なくとも2枚のガラスシートの側縁、上縁および下縁に沿って延在し、かつ前記少なくとも2枚のガラスシート間には、断熱ガスで満たされた空洞を含む少なくとも1つの内部空間(15)があり、および前記内部空間は、前記内部空間の周りに位置決めされる第1の周辺シール(13)および第2の周辺シール(14)によって閉鎖されている、断熱板ガラスと、
b.前記少なくとも1枚の断熱板ガラスを支持する少なくとも1つのフレーム(201)であって、
i.固定支持体(21)、および
ii.前記ガラス張り要素の開放および/または閉鎖を可能にする、前記固定支持体にヒンジ結合された可動支持体(22)
を含むフレームと
を含む、ガラス張り要素において、
− 前記少なくとも2枚のガラスシートの、少なくとも1つの前記側縁に沿って延在する前記スペーサ(12)、前記第1の周辺シール(13)および前記第2の周辺シール(14)は、透明樹脂から形成され、および
− 前記可動支持体には、少なくとも1つの横桟がないことを特徴とする、ガラス張り要素。
【請求項2】
少なくとも2枚の断熱板ガラスを含むことを特徴とする、請求項1に記載のガラス張り要素(200)。
【請求項3】
前記少なくとも2枚のガラスシートの前記側縁に沿って延在する前記スペーサ(12)、前記第1の周辺シール(13)および前記第2の周辺シール(14)が、透明樹脂から形成されていることを特徴とする、請求項1または2に記載のガラス張り要素(200)。
【請求項4】
隣接する断熱板ガラスの前記側縁と並列する第1の断熱板ガラスの前記側縁に沿って延在する前記スペーサ(12)、前記第1の周辺シール(13)および前記第2の周辺シール(14)が、透明樹脂から形成されること、および2枚の隣接する断熱板ガラスを隔てる前記可動支持体には、前記隣接する断熱板ガラスの前記側縁に接する前記側縁に横桟がないことを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載のガラス張り要素(200)。
【請求項5】
前記スペーサが不連続であり、かついくつかの部分で形成され、前記部分は、前記部分の互いに対する接着、および前記断熱板ガラスの密封性を保証するのに好適な材料によって連結され得ることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載のガラス張り要素(200)。
【請求項6】
前記スペーサ(12)が、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニルPVC、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)、ナイロンまたは前記化合物の混合物から選択される透明樹脂から形成されることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載のガラス張り要素(200)。
【請求項7】
前記第1の周辺シール(13)が、アクリルまたはゴム−もしくはシリコーン−変性アクリルの両面テープ、または透明なホットメルト接着剤、または任意選択的に紫外線の作用下で架橋性であるアクリルもしくはエポキシタイプの構造用接着剤から選択される密封シールであることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載のガラス張り要素(200)。
【請求項8】
前記第2の周辺シール(14)が、シリコーンを含むグルー、シリコーンおよびポリウレタンを含むハイブリッドマスチック、ホットメルト、または前記様々な化合物の混合物であることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載のガラス張り要素(200)。
【請求項9】
前記断熱板ガラスの熱的U値が1.6W/m〜1.8W/mであることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか一項に記載のガラス張り要素(200)。
【請求項10】
前記断熱板ガラスが、スペーサ(12)によって結合された少なくとも第1のガラスシート(10)および第2のガラスシート(11)を含み、前記ガラスシートが異なるサイズであることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか一項に記載のガラス張り要素(200)。
【請求項11】
前記断熱板ガラスが、少なくとも1枚の熱的に強化されたガラスまたは合わせガラスを含むことを特徴とする、請求項1〜10のいずれか一項に記載のガラス張り要素。
【請求項12】
冷蔵庫用キャビネットの扉としての、請求項1〜11のいずれか一項に記載のガラス張り要素(200)の使用。
【請求項13】
請求項1〜11のいずれか一項に記載の少なくとも1つのガラス張り要素を含む冷蔵庫用キャビネット。
【請求項14】
前記ガラス張り要素が少なくとも2枚の断熱板ガラスを含むことを特徴とする、請求項13に記載の冷蔵庫用キャビネット。
【請求項15】
前記少なくとも2枚の断熱板ガラス間の密封性が、前記隣接する断熱板ガラスの前記側縁に接する少なくとも前記側縁に位置決めされる透明なシーリング要素31によって達成されることを特徴とする、請求項14に記載の冷蔵庫用キャビネット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の分野は、冷蔵庫用キャビネットのための断熱性のガラス張り要素(insulating glazed elements)の分野である。これらのガラス張り要素は、冷凍庫の扉の板ガラス、冷蔵庫の扉、あるいは実用的な板ガラスなどの任意のタイプの応用に使用され得る。
【背景技術】
【0002】
10℃未満の温度に保たれる必要がある、販売用の製品および/または消費製品、例えば食料品を提供するほとんどの商店において使用されている、冷蔵庫用キャビネット(冷蔵キャビネットとも呼ばれる)は、ガラス張り要素を備えて冷蔵ディスプレイキャビネットに代えていることが多い。これらのキャビネットは、製品を所与の温度に保ちながら、消費者/顧客が製品を見ることができるようにし、かつ、特にセルフサービスでの使用を可能にする。それゆえ、冷蔵キャビネットは、製品が消費者の所有物になる前の食品の低温流通体系(food cold chain)の最後のリンクを担う。製品および特に食料品の開発は、最も重要なものであるが、これは、それらの貯蔵品質を犠牲にして行われるべきではない。換言すると、所与の貯蔵温度(概して10℃未満)で実容量の製品を示すおよび/または陳列するために冷蔵キャビネットが使用される。
【0003】
それゆえ、製品、より詳細には食料品の陳列は、製品の販売において重要な役割を有する。良好な陳列は、特に、キャビネットを開ける必要なく、冷蔵庫用キャビネットに入れられている製品に、良好に視覚的にアクセスできるようにする。しかしながら、冷蔵庫用キャビネットは、製品を陳列する一方で、温度を維持して、冷蔵または冷凍されていなければならない製品を確実に保存する必要がある。それゆえ、熱力学の法則のため、および陳列機能とは逆に、キャビネットは、あらゆる種類の熱応力、例えば扉の開閉に対して、少なくとも製品を保護する必要がある。しかしながら、専門的に言えば、冷蔵庫用キャビネットにおける所与の温度での製品の陳列および保存の役割には、完全に矛盾がある。なぜなら、消費者は、幅広の開口部を有しかつ明るい冷蔵庫用キャビネットから恩恵を受けながら、冷蔵庫用キャビネットに入れられている入手可能な製品を有することができる必要があり、および商店主は、最優先課題として、可能な限りキャビネットを閉鎖するまたは開放を減少させること、可能な限り最低限の照明とすること、およびより詳細には、商店の周囲との熱交換を最小にすることによって、製品の貯蔵品質を保証する必要があるためである。
【0004】
それゆえ、冷蔵庫用キャビネットに使用されるこれらのガラス張り要素の断熱性能を改善するために、真空板ガラスの使用、赤外線放射を反射する層あるいはガスで満たされた空洞のうちの1つがクリプトンで満たされ得る三重板ガラスの使用などの、いくつかの解決法が想定されてきた。しかしながら、そのような設備のエネルギー効率は、依然として改善する必要があり、およびそのような複層板ガラスの使用は、それらの厚さおよび重量に起因して、一般的に、支持フレームを使用する必要があり、この支持フレームのため、複層板ガラスの機械的強度は良好になるが、著しく嵩張ってしまう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、特に、従来技術のこれらの欠点を克服することである。
【0006】
より具体的には、本発明の1つの目的は、その実施形態の少なくとも1つにおいて、冷蔵庫用キャビネットに、安価でありながら、従来使用されてきたガラス張り要素よりも長い期間、良好な断熱特性を保持する、開放式のガラス張り要素を提供することである。
【0007】
本発明の別の目的は、その実施形態の少なくとも1つにおいて、冷蔵庫用キャビネットに幅広の開口部を提供する一方で、外部周囲との熱交換を可能な限り回避する、そのような開放式のガラス張り要素を使用することである。
【0008】
本発明の別の目的は、その実施形態の少なくとも1つにおいて、冷蔵庫用キャビネット内部で必要温度を維持するためのエネルギー消費を削減しながら、冷蔵キャビネットに入れられた製品の効果的な保存を保証することを可能にする開放式のガラス張り要素を、冷蔵庫用キャビネットに提供することである。
【0009】
本発明はまた、その実施形態の少なくとも1つにおいて、冷蔵庫用キャビネットに入れられた製品を陳列する役割を保持しながら、冷蔵キャビネットのエネルギー効率を最適にすることが可能である、そのようなガラス張り要素を提供するという目的を有する。
【0010】
本発明の別の目的は、これらのタイプのキャビネットの密封性基準に適合し、および実施するのが簡単でありかつ経済的に有利な生産を提供する冷蔵庫用キャビネットを生産することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
特定の一実施形態によれば、本発明は、ガラス張り要素であって、
a.スペーサによって結合された少なくとも第1のガラスシートおよび第2のガラスシートを含む少なくとも1枚の断熱板ガラスであって、このスペーサは、それらガラスシートを互いに一定の距離に保ち、前記スペーサは、前記少なくとも2枚のガラスシートの側縁、上縁および下縁に沿って延在し、かつ前記少なくとも2枚のガラスシートの間には、断熱ガスで満たされた空洞を含む少なくとも1つの内部空間があり、およびこの内部空間は、前記内部空間の周りに位置決めされる第1の周辺シールおよび第2の周辺シールによって閉鎖されている、断熱板ガラスと、
b.前記少なくとも1枚の断熱板ガラスを支持する少なくとも1つのフレームであって、
i.固定支持体、および
ii.ガラス張り要素の開放および/または閉鎖を可能にする、固定支持体にヒンジ結合された可動支持体
を含むフレームと
を含む、ガラス張り要素に関する。
【0012】
本発明によれば、そのような1つのガラス張り要素は、スペーサ(12)を含み、前記少なくとも2枚のガラスシートの、少なくとも1つの側縁に沿って延在する第1の周辺シール(13)および第2の周辺シール(14)は、透明樹脂から形成され、および前記可動支持体には、少なくとも1つの横桟がない。
【0013】
本発明の一般的原理は、ガラス張り要素において、複層板ガラスに、スペーサと、透明な周辺シールの使用、およびまた、少なくとも1つの横桟がない、板ガラスを支持する可動支持体の使用に基づく一方で、断熱性の観点から効果的な解決法を提供する。
【0014】
そのようなガラス張り要素は、可動支持体に少なくとも1つの横桟がなく、かつ透明なスペーサおよび透明な周辺シールが存在するゆえに、大きくて透明な表面領域を提供する一方で、エネルギー消費を削減できるという利点を有する。
【0015】
冷蔵キャビネットに複層板ガラスを使用することは既に知られている。しかしながら、板ガラスは、十分な断熱性(U値)を維持するために、フレーム内にある。断熱性は、通常、複層板ガラスにおけるガラス張り要素の全体的性能によって決定され、断熱値によって決定される。いくつかの要因がこの値に影響を及ぼすことが観察される。例えば、ガラスにそのままに結び付けられる熱橋、支持構造への板ガラスの取付点、ガラス張り要素の全表面にわたって分配されたシール、および最終的には、各板ガラス間の周辺接触シールは、一般にスペーサと呼ばれる。従来技術では、概して熱環境改善が不十分なままであり、およびそのような複層板ガラスの使用は、それらの厚さおよび重量ゆえに、板ガラスの周辺全体にわたって延在する完全な支持フレームを使用する必要があり、これにより、複層板ガラスに良好な機械的強度を与え、かつ板ガラスのより良好な断熱性を可能にする。それでもやはり、支持フレームが存在することによって、著しく嵩張ってしまう。
【0016】
さらに、新しい省エネルギー規制および政策は、冷蔵庫用キャビネットのためのガラス張り要素の製造を要求しており、その断熱性能は、継続的に向上されている。
【0017】
それゆえ、本発明は、支持フレーム内の従来の断熱性のガラス張り要素を、可動支持体によって支持される少なくとも2枚のガラスシートからなる少なくとも1枚の断熱板ガラスを含むガラス張り要素で置き換えることを提案し、この支持体は、側縁の少なくとも1つには横桟がないため、厚さを薄くする一方で、良好な断熱性と大きくて透明な表面積とを与える。
【0018】
本発明によれば、ガラス張り要素は少なくとも2枚の断熱板ガラスを含む。それゆえ、ガラス張り要素を使用して、大きな表面領域、例えば、2枚の複層板ガラスが接している、少なくとも2つの開放リーフを提供する大容量の冷蔵キャビネットあるいは小売用の陳列空間を閉鎖するとき、消費者は、横桟が存在することによって視界が遮られない。そこで、消費者は、冷蔵キャビネットには開放式のガラス張り要素がないという印象を受ける。
【0019】
表現「可動または開放式の支持体」は、板ガラスを支持しかつガラス張り要素の開閉を可能にするフレームの可動部を意味すると理解される。
【0020】
本発明の特定の一実施形態によれば、開放式の可動支持体は、板ガラスの上縁および/または下縁の少なくとも1つにわたって延在する水平方向の異形材要素(土台または板ガラス押縁とも称する)を含み、これにより、固定支持体の異形材要素と一緒に、水密性および気密性のバリアを生じる。
【0021】
本発明の特定の一実施形態によれば、本発明によるガラス張り要素内の前記少なくとも2枚のガラスシートの側縁に沿って延在するスペーサ、第1の周辺シールおよび第2の周辺シールは、透明樹脂から形成される。
【0022】
本発明の有利な一実施形態によれば、隣接する板ガラスの側縁に接する板ガラスの側縁に沿って延在するスペーサ、第1の周辺シールおよび第2の周辺シールは、透明樹脂から形成され、および2枚の隣接する板ガラスを隔てる可動支持体には、隣接する板ガラスの側縁に接する側縁に横桟がない。
【0023】
これは、本発明によるガラス張り要素が冷蔵キャビネットの小売用の陳列空間に使用される場合に、より明白な利点を有する。表現「小売用の陳列空間」は、L字形状、Z字形状などに配置されて位置合わせされ得る1組の冷蔵キャビネットを意味すると理解される。
【0024】
表現「透明樹脂」は、光を通過させかつ透けて見えることを可能にするプラスチックの製造あるいはプラスチック自体に使用される化学物質を意味すると理解される。
【0025】
本発明の有利な一実装形態によれば、スペーサは、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート、ポリスチレン(PS)、ポリ塩化ビニルPVC、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)、ナイロンまたはこれらの化合物の混合物から選択される透明樹脂から形成される。
【0026】
そのようなスペーサは、透明を維持しながらも、外部周囲と、板ガラスのガスで満たされた空洞との間でのガス、水分および埃の相互交換を生じ得るという利点を有するため、フレームまたはより詳細には横桟が存在することによって消費者の視界が妨害されることなく、冷蔵庫用キャビネットに入れられた製品を見通すことを可能にする。従来技術では、断熱複層板ガラスで使用されるスペーサは、一般的に、金属製または有機材料製の押出または付形された中空形材、あるいは隅板を備える異形材、または隅部での曲り異形材を有し、この場合、スペーサは、隅部での連続的な曲り異形材からなる。
【0027】
本発明の有利な一実装形態によれば、第1の周辺シールを、スペーサと、板ガラスを構成するガラスシートのそれぞれとの間に使用する。密封バリア(tightness barrier)の名称で一般に知られている第1の周辺シールは、アクリルまたはゴム−もしくはシリコーン−変性アクリルの両面テープ(より一般的には、「粘着(PSA)タイプの両面接着テープまたは転写テープ」の名称で知られている)、または透明な(ブチルゴム)ホットメルト接着剤、または任意選択的に紫外線の作用下で架橋性であるアクリルもしくはエポキシタイプの構造用接着剤から選択される透明樹脂から形成される。
【0028】
これらの材料は、透明であることに加えて、水蒸気およびガスに対する密封性に関して良好な性能を有し、およびさらに、ガラスへの良好な接着性を有する一方、オゾン、酸素および紫外線に耐える。
【0029】
従来、周辺密封シールは、一般的にポリイソブチレン(より一般的にはブチルゴムと呼ばれる)に基づくマスチックの押縁であり、これは、水蒸気およびガスに対する密封性に関して特に効果的であるが、その機械的な性能は、ガラスシートを一緒に保持するには不十分である。
【0030】
本発明の有利な一実装形態によれば、ガラスシートを一緒に密封することを可能にする第2の周辺シール(外部シーリングバリアとも呼ばれる)は、シリコーンを含むグルー、シリコーンおよびポリウレタンを含むハイブリッドマスチック、ホットメルト、またはこれらの様々な化合物の混合物から選択される樹脂を含む。
【0031】
これらの化合物は、ガラスシートへの良好な接着性、および機械的特性を有し、これにより、これらがガラス構成要素をスペーサに対して確実に保持することを可能にする。これらの化合物は、架橋後に弾性特性を有するエラストマーである。これらの化合物は、耐酸化性が良好であり、かつ水蒸気透過性が低い。一成分または二成分エラストマーであるシリコーンが、それらのガラスへの接着性、それらの外部物質への抵抗性、およびそれらのエージングゆえに、特に好ましい。「ホットメルト」タイプのブチルゴムは、透湿に対して良好な耐性を有するホットメルトゴムである。標準温度においてそれらが堅固であることは、それらを、シーリングシールにふさわしい候補にする。
【0032】
本発明の有利な一実装形態によれば、隣接する板ガラスの側縁に並列する第1の板ガラスの側縁に沿って延在するスペーサ、第1の周辺シールおよび第2の周辺シールは、透明樹脂から形成される。
【0033】
本発明の特定の一実施形態によれば、スペーサは不連続であり、および様々な部分の互いに対する接着および前記板ガラスの密封性を保証するのに好適な材料によって結合され得るいくつかの部分から形成される。その後、密封の連続性を保証することを可能にするために、隙間充填製品を使用して密封されたコネクタが追加され得る。接合部の密封性は、隙間充填製品を四隅に注入することによって、補強され得る。
【0034】
これは、前記スペーサの部分がガラスシートの側縁または下縁および上縁に位置決めされたかどうかに依存して、スペーサの様々な部分に異なる材料を使用できるという利点を有する。
【0035】
生産コストを削減するために、および本発明の有利な一実施形態によれば、本発明によるガラス張り要素内の前記少なくとも2枚のガラスシートの側縁に沿って延在するスペーサ、第1の周辺シールおよび第2の周辺シールのみが、透明樹脂から形成される一方で、上縁および下縁に配置されたスペーサおよび周辺シールは、二重板ガラスまたは三重板ガラスに従来使用されるものである、すなわち第1の周辺シールとしてはブチルゴム、第2の周辺シールおよび金属スペーサとしてはシーリングマスチックである。これらの様々な材料は透明ではなく、および消費者に見える。それらを使用するとき、これらの要素は、可動支持体の要素、特に土台によってマスキングされる。
【0036】
本発明の有利な一実装形態によれば、ガラス張り要素の少なくとも1枚の断熱板ガラスは、1.6〜1.8W/mの熱的U値を有する。熱的U値は、材料が通過させる熱の量に対応する。このタイプのガラスは、高断熱性能を可能にするため、エネルギーに関して節約でき、かつ新しい省エネルギー規制に適合する。
【0037】
本発明の特定の一実施形態によれば、少なくとも1枚の断熱板ガラスは、スペーサによって結合された少なくとも第1のガラスシートおよび第2のガラスシートを含み、前記ガラスシートは異なるサイズであり、それゆえ、板ガラスの周辺全体にわたってオフセットし得る。そこで、これは、非対称板ガラスと呼ばれる。少なくとも第1のガラスシートと第2のガラスシートとの間のこのサイズの差は、この部分において、複層板ガラスの下縁および上縁への土台の機械的なアセンブリを簡単に実装でき、あるいはそこへ暖房ネットワークを配置できるという利点を有し、暖房ネットワークは、板ガラスの縁に結露が出現しないようにするためにガラスのオフセット部分に堆積され得る。
【0038】
本発明の特定の一実施形態によれば、少なくとも1枚の断熱板ガラスは、少なくとも1枚の安全ガラスシートを含む。
【0039】
表現「安全ガラスシート」は、熱的に強化されたガラスあるいは合わせガラスを意味すると理解される。
【0040】
このタイプのガラスは、ガラスが割れた場合に負傷するリスクから人を保護できるようにする。
【0041】
本発明はまた、冷蔵庫用キャビネットの扉としての、本発明による断熱性のガラス張り要素の使用に関する。
【0042】
本発明はまた、上述の少なくとも1つのガラス張り要素を含む冷蔵庫用キャビネットに関する。
【0043】
本発明の特定の一実装形態によれば、冷蔵庫用キャビネットは、少なくとも2枚の断熱板ガラスを含む少なくとも1つのガラス張り要素を含む。本発明の特定の一実装形態によれば、冷蔵庫用キャビネットは、少なくとも2枚の断熱板ガラスを含む少なくとも1つのガラス張り要素を含み、少なくとも2枚の断熱板ガラス間のその密封性は、隣接する板ガラスの側縁に接する少なくとも側縁に位置決めされる透明なシーリング要素によって達成される。
【0044】
これらの冷蔵庫用キャビネットの利点は、ガラス張り要素の利点と同じであり、それらを完全に説明したわけではない。
【図面の簡単な説明】
【0045】
本発明の他の特徴および利点は、以下の、単に説明するための非限定的な例として与えられる好ましい一実施形態の説明を読むことから、および添付図面から、明白になる。
【0046】
図1】本発明による断熱板ガラスを示す。
図2】本発明の一実施形態によるガラス張り要素を示す。
図3】本発明によるガラス張り要素の可動部分を示す。
図4a】本発明によるガラス張り要素が冷蔵庫用キャビネットに組み込まれる例を示す。
図4b】可動部分が開放している、ガラス張り要素の上面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0047】
製品を、所与の温度で冷蔵キャビネットに貯蔵する必要があるとき、これらの製品は、消費者に見えたままである必要がある。このため、所与の温度に保たれる必要がある、販売用の製品および/または消費製品を提供するほとんどの商店で使用される、冷蔵庫を備えるキャビネット(冷蔵キャビネットとも呼ばれる)は、ガラス張り要素を備えて、それらを冷蔵ディスプレイキャビネットに代えていることが多い。それゆえ、これらのキャビネットは、消費者/顧客に製品を見えるようにし、かつセルフサービスでの使用を可能にする一方、キャビネットの室内の温度が維持されることを保証する。
【0048】
食料品の陳列は、製品の販売において重要な役割を有する。良好な陳列では、特に、冷蔵キャビネットに入れられた製品をよく見ることができる。しかしながら、製品を陳列している間、冷蔵キャビネットは、ある一定の温度を維持し、かつ冷蔵または冷凍されている必要がある製品を確実に保存する必要がある。
【0049】
冷蔵キャビネットは、一般的に、4つの部分、すなわち、キャビネットを支持する構造、冷蔵要素、効果的な販売空間、換言するとコンテナ、および好ましくは冷蔵キャビネットに入れることおよび販売されている製品へ消費者がアクセスすることを可能にするガラス張りの扉にある。
【0050】
キャビネットを支持する構造は、主に、「鋼−発泡断熱材−鋼」サンドイッチパネルの形態にある断熱シェルで構成される。実装形態の品質および断熱材の厚さは、浸透に対するキャビネットのエネルギー性能(または負の損失)を決定する。今日、冷蔵キャビネットは、特にガラス製の支持構造を有することによって、魅力がさらに増す傾向がある。そこで、エネルギー性能の疑問が生じる。それゆえ、本発明の特定の一実施形態によれば、例えば図2に示すようなガラス張り要素を使用して、冷蔵庫用キャビネットの扉を形成し得るか、または冷蔵庫用キャビネット自体を形成し得る。
【0051】
冷蔵要素は、一般的に、キャビネットの内側にある。
【0052】
直立のキャビネット形状の冷蔵庫用キャビネットあるいは冷蔵ディスプレイキャビネットに関して、本発明をより詳細に説明するが、本発明は、これらのタイプのキャビネットに限定されない。実際、これらの冷蔵ディスプレイキャビネットのいくつかの変形形態がある。いくつかは、直立のキャビネットの形態にあり、かつ扉自体が透明ガラス張り要素であり、他のものは、チェストを構成し、かつ内容物を見えるようにするためにガラス張りの水平のカバーであり、およびさらに他のものは、陳列ケースカウンターであり、かつ商品から一般の人を分けるガラス張りの部分である。これらの冷蔵ディスプレイキャビネットの変形形態に関わらず、ガラス張りの壁を作製して、内容物全体を外側から見えるようにすることも可能である。
【0053】
このタイプの陳列ケースでは、キャビネットを開けずに商品を事前に選び、および不必要なエネルギー損を全て回避し、それゆえ過剰なエネルギー消費を生じることを回避することが可能であるように、顧客に商品を完全に見える状態に保持することが必要である。過剰なエネルギー消費はまた、十分に断熱されていないガラス張り要素の使用に結び付けられることが多い。それゆえ、冷蔵キャビネットのガラス張りの部分、より詳細には、冷蔵ディスプレイキャビネットの開放リーフまたは扉とも呼ばれる開放式のガラス張りの部分は、好ましくは、顧客に、キャビネットには開放リーフがないという印象を与える一方で、その断熱の役割を果たすために、フレームによって、または少なくともその側縁にわたって、範囲が定められるべきではない。キャビネットのおよび特に扉のガラス張りの部分が結露で覆われないようにすることも必要であり、およびこれらのガラス張りの部分が、顧客あるいは冷蔵キャビネットの在庫に責任を負う従業員がこれらの開口部を頻繁に開閉することに起因する圧力に耐えられるようにする。
【0054】
従来、冷蔵キャビネットの扉は、良好な機械的強度を与えるために、板ガラスの周辺全体にわたって延在する支持フレームの使用を必要とする二重または三重板ガラスを含んでいる。残念ながら、より一般的には周囲フレームと呼ばれるこのフレームは、著しく嵩張ってしまうことに加えて、断熱性が常に良好なわけではなく、かつ魅力的ではない。
【0055】
それゆえ、図1に関連して、本発明によるガラス張り要素200を製造するために使用される断熱板ガラス100が示されている。
【0056】
断熱板ガラス100は、第1および第2のガラスシート(例えば厚さ4mmのソーダ−石灰−シリカガラスシート)を含む二重板ガラスであり、これらガラスシートは、スペーサ12によって一緒に接合され、スペーサは、ガラスシートを互いに一定の距離に保つ。
【0057】
2枚のガラスシート10、11の間に、断熱ガスで満たされた空洞を含む内部空間15であって、かつ前記内部空間の周りに位置決めされた第1および第2の周辺シール13、14によって閉鎖される内部空間15。
【0058】
本発明によれば、ガラスシートは、異なるサイズでもよい。
【0059】
本発明によれば、前記少なくとも2枚のガラスシートの縁の少なくとも一方に沿って延在するスペーサ12は、透明樹脂から形成される。本発明の好ましい一実装形態によれば、透明樹脂から形成されたスペーサは、少なくとも板ガラスの、隣接する板ガラスの側縁に接している側縁上に位置決めされ、少なくとも2つの開放リーフを含む冷蔵庫用キャビネットの線形性または連続性を保証する。それゆえ、冷蔵庫用キャビネットに対面する顧客または従業員は、冷蔵庫用キャビネットにはガラス張り要素がないという印象を有し、および顧客または従業員の視界は、フレームまたは横桟が存在することによって遮られない一方、ガラス張り要素は実際に存在し、かつその断熱の役割を果たす。
【0060】
本発明に従って使用されるスペーサは、中空でもまたは中実でもよい。スペーサは六角形とし得る。スペーサが中空である場合、複層板ガラスのチャンバーへの負荷は、バランスを取る必要がある。スペーサ12は、特に、例えば正方形の形状を有する中空の横断面を含み得る。この横断面は、断熱ガスを含む内部空間15の方へ向かって部分的に開口している。そこで、スペーサ12内には乾燥材料を位置決めし得る。
【0061】
本発明の特定の一実装形態によれば、スペーサ12は、結合され得るいくつかの部分から形成され得る。それゆえ、様々な部分が、異なる材料から製造されてもよい。
【0062】
本発明の好ましい一実施形態によれば、複層板ガラスの側縁に置かれたスペーサ12は、透明樹脂から形成される一方、板ガラスの下縁および上縁に置かれたスペーサは、透明でなくてもよい。そこで、透明樹脂から製造されたスペーサ12は、好ましくは、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニルPVC、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)、ナイロンまたはこれらの化合物の混合物から選択される材料から製造され、および、下縁および上縁に、またはさらには隣接する板ガラスの側縁に接しない側縁に置かれたスペーサは、亜鉛めっき鋼、アルミニウム、ステンレス鋼または複合材などで作製された異形材である。
【0063】
本発明によれば、前記少なくとも2枚のガラスシートの、少なくとも1つの側縁に沿って延在する第1の周辺シール(13)は、透明樹脂から形成される。本発明の好ましい一実装形態によれば、透明樹脂から形成された第1の周辺シール13は、少なくともある板ガラスの、これに隣接する板ガラスの側縁に接する側縁上に位置決めされ、少なくとも2つの開放リーフを含む冷蔵庫用キャビネットの線形性または連続性を保証する。それゆえ、冷蔵庫用キャビネットに対面する顧客または従業員は、冷蔵庫用キャビネットにはガラス張り要素がないという印象を受ける。本発明によれば、第1の周辺シール(13)は、周辺シール(14)の前または後ろに位置決めされ得る。そのようなシールは、好ましくは、アクリルまたはゴム−もしくはシリコーン−変性アクリルの両面テープ(「粘着(PSA)タイプのテープまたは転写テープの」両面接着テープとして知られている)、または透明な(ブチルゴム)ホットメルト接着剤、または任意選択的に紫外線の作用下で架橋性であるアクリルもしくはエポキシタイプの構造用接着剤から選択される密封材から製造される。
【0064】
本発明によれば、第2の周辺シール(14)は、周辺シール(13)の前または後ろに位置決めされ得る。少なくともある開放リーフの、別の開放リーフの側縁に接する側縁上に存在する周辺シールは、透明樹脂から製造される。そのようなシールは、好ましくは、シリコーンを含むグルー、シリコーンおよびポリウレタンを含むハイブリッドマスチック、ホットメルト接着剤、またはこれらの様々な化合物の混合物であるシーリング材から製造される。
【0065】
本発明の好ましい一実施形態によれば、複層板ガラスの内側には乾燥材料が位置決めされ得る。スペーサの内側に、または板ガラスの様々な個所、例えば板ガラス押縁内などに位置決めされ得る。好ましくは、乾燥材料は、空間に組み込まれる。ガラスシート間に閉じ込められた空気やガスの脱水は、チューブ状スペーサに入れられた乾燥剤(または脱水剤)によって得られ得る。ここで、このスペーサにはオリフィス(スリットまたは孔)が設けられ、乾燥剤が、内部の空気またはガスと連通するようにしている。この乾燥剤は、一般的に分子篩であり、シリカゲルであることもある。これらの乾燥剤の吸収能力は、それらの重量の20%超である。脱水後、新しい断熱板ガラスでは、−60℃未満の温度でガラス間に結露がないようにするために、水分含量が十分に低い。スペーサまたはスペーサの一部分が、透明樹脂から形成されていない場合、周辺シール13、14は、スペーサ12と第1および第2のガラスシート10、11のそれぞれとの間に位置決めされたポリイソブチレンの密封層13を含み得る。周辺シール14はまた、ガラスシート10、11のそれぞれとスペーサ12との間の密封層13と接触して位置決めされた、ポリスルフィドまたはシリコーン樹脂の押縁を含み得る。
【0066】
本発明の好ましい一実施形態によれば、内部空間15は、板ガラスを最適に断熱できる少なくとも85%のアルゴンまたはクリプトンまたは任意の他の不活性ガスを含む断熱ガスで満たされた空洞を含む。好適なガスは、無色で、無毒性で、非腐食性で、不燃性で、紫外線放射への暴露に反応しにくく、空気よりも密度が濃く、および熱伝導率が低い必要がある。アルゴン(Ar)、クリプトン(Kr)およびキセノン(Xe)が、そのようなガスの例であり、これらは、一般に断熱板ガラスパネル内の空気の代わりとなる。内部空間15は空気で満たされ得ることが理解される。
【0067】
冷蔵キャビネットへの複層板ガラスの使用は既に知られている。しかしながら、板ガラスは、十分な断熱性(U値)を維持するためにフレーム内にあるが、全体的な熱的な改善は不十分なままである。さらに、そのような複層板ガラスの使用は、それらの厚さおよびそれらの重量に起因して、板ガラスの周辺全体にわたって完全な支持フレームを使用することを必要とし、これにより、良好な機械的強度を与えるが、著しく嵩張ってしまう。
【0068】
それゆえ、本発明者らは、板ガラスの周辺全体に延在する可動支持体を存在させる必要のない、冷蔵庫用キャビネット用の扉または開口部として機能するのに好適なガラス張り要素において使用され得る複層板ガラスを提案している。
【0069】
本発明によれば、それぞれ外側および内側の位置にあるガラスシート(10)および(11)は、ソーダ−石灰タイプの単純なガラスシート、強化ガラスあるいは合わせガラス、光透過率を高めるためにフリントガラス、美的外観のために任意選択的にバルク着色ガラス(bulk−tinted glass)であるガラス、または傷防止または疎水性フィルムが堆積され得るガラスとし得る。さらに、これらの板ガラスには、それらの表面に、目標とする適用に依存して特定の性質を与えることを目的とした薄層を堆積することによって、機能がますます追加される。それゆえ、ガラスシートは、それらの外面および/または内面が、以下のリストから選択される1つ以上の層で覆われ得る:防曇層、抗菌層、結露の水が停滞しないようにする疎水性層、あるいは簡単に掃除できる層、半反射または反射層、低放射率層あるいは熱分解層。それゆえ、光機能を有する層、例えば高屈折率の層と低屈折率の層とを交互に有する層の積み重ねで構成された反射防止層として公知の層が存在する。帯電防止機能、または除氷タイプの加熱機能のために、例えば金属またはドープされた金属酸化物に基づいて、導電性の薄層を提供することも可能である。例えば熱、低放射または対日(antisolar)の機能のために、銀タイプの金属で作製されたまたは金属酸化物または窒化物に基づく薄層に代わることも可能である。結露を防止するために、板ガラスの断熱性能は、特に、冷蔵キャビネットのガラス張りの部分を形成するために二重板ガラスを、またはさらには三重板ガラスを使用することによるだけでなく、板ガラスに含まれるガラスシートの面の少なくとも一方に低放射率層、赤外線放射を反射する薄層が存在すること、あるいは三重板ガラス(そのうちの、ガスで満たされた空洞のうちの1つはクリプトンで満たされ得る)を使用することによっても、高められた。板ガラスの少なくともいくつかの面を加熱することも可能である。
【0070】
それゆえ、断熱板ガラス100は、図2〜4に示されるようなガラス張り要素200を製造するために使用される。
【0071】
一般的に、2枚またはさらには3枚以上のガラスシートを含む複層板ガラスでは、スペーサは、断熱板ガラスの内側で、その側面を介して、ガラスシートの内側面にブチルゴムによって取り付けられ、ブチルゴムは、板ガラスの内側を、水蒸気に対して気密性(water vapor tight)にする役割を有している。スペーサは、板ガラスの内側に引っ込めて、かつ前記ガラスシートの縁の近傍に位置決めされて、周辺溝を作り、そこに、マスチックタイプのシーリング手段、例えばポリスルフィドまたはポリウレタンが注入される。マスチックは、2枚のガラスシートの機械的アセンブリを補強し、かつ液状水および溶媒を透過させないようにする。この着色スペーサおよびまたシーリング手段は、魅力的ではなく、一般的に、板ガラスが置かれる外側フレームによってマスキングされる。しかしながら、この目に見えるフレームは、視覚的なバリア、冷蔵キャビネットに入れられた商品へのアクセスに対する障害となる。このフレームは、美的な役割だけでなく、断熱の役割の役割を有する。全体的に弱伝導性である必要がある。
【0072】
従来、骨組みは、以下を含む様々な部分を含む:
− 骨組みのベース構成要素であり、冷蔵キャビネットの荷重支持構造に固定された骨組みの部分である、固定フレームとも呼ばれる固定支持体。一般的に、板ガラスの取り付けのための板ガラス押縁を含む、
− 骨組みの可動部である、開放フレームとも呼ばれる可動支持体。一般的に、気密シールを有する。ここで、固定支持体は、開放リーフの異形材によって、水および空気に対するバリアを生じる異形材を含む。ハードウェア用のハウジングもそこに設けられる。
【0073】
一般的に、固定および可動の支持体は、上縁および下縁および横(右および左)桟で構成される。この構成は、断熱板ガラスを支持するだけでなく、断熱性に寄与することも可能にする。
【0074】
骨組みは、一般的に、木材、PVC(ポリ塩化ビニル)、アルミニウムあるいは複合材料などの様々な材料から製造される。
【0075】
それゆえ、本発明は、少なくとも1つの骨組みによって支持される少なくとも1つの複層板ガラス100を含むガラス張り要素200を提案し、開放リーフとも呼ばれるその可動支持体または開放フレームには、隣接する板ガラスの側縁に接する板ガラスの少なくとも側縁を覆う横桟がない。
【0076】
本発明によるガラス張りの部分および特に冷蔵庫用キャビネットの開放リーフに使用される板ガラスの構造は、前記板ガラスには、板ガラスの周辺全体にわたる可動支持体、またはより詳細には少なくとも側縁に沿って延在する横桟がなくても、単層板ガラスと均等な剛性および強度を与える一方で、良好な断熱性を保証するという利点がある。それゆえ、嵩高性はかなり低減されるため、冷蔵キャビネットの内容物の可視性を良くする。可動支持体のない開放リーフの使用は、さらに驚くべきことである。なぜなら、扉または窓または開放リーフの可動支持体の主な役割は、概して、板ガラスを適所に保持すること、および開放、維持および換気を可能にすることであるためである。特に、支持フレームの構造は、板ガラス、天候による負荷および維持による負荷を構成する要素、およびまたある種の付属品の重量を受けるため、その重量を、冷蔵キャビネットの側壁へ伝え、支持フレームがその側壁へ正しく固着されて、圧力を受ける/圧力に耐えるようにする必要がある。さらに、可動支持体が、板ガラスに対する効果的な支持体を構成するのに必要な十分な強度を有していないため、その重量を、慎重に選択された箇所に伝えて、開放フレームおよび固定桟の過度の変形を回避するようにすることも必要である。一般的に、木材、アルミニウムまたはPVCで作製された弱伝導性の支持フレームを使用して複層板ガラスを支持する。
【0077】
しかしながら、板ガラスの周辺全体にわたる可動支持体のない、そのような断熱板ガラスの使用は、冷蔵庫用キャビネットの構造自体に関して、特に、内部気温が外部気温と大きく異なるキャビネットであるとき、影響がないわけではない。それゆえ、最適な断熱性を保証するために、板ガラス100の熱貫流係数U値は、1.6〜1.8である。
【0078】
熱貫流のU値は、定常状態において、単位面積当たりで、周囲間の、例えば外部と内部との間の1℃の差に対して、板ガラスを通過する熱の量を意味すると理解される。これらのU値は、特に、低放射率層(low−E層)によって達成される。例えば、使用されるガラスシートは、AGC製のThermobel TopNまたはTopTタイプのガラスシートとし得る。それゆえ、ガラスシートは、銀タイプの金属で作製されるか、または金属酸化物もしくは窒化物に基づく薄層で覆われ得る。それゆえ、使用された板ガラス100は、非常に効率的なU値を有する一方、美的品質も示す。
【0079】
次いで、本発明による断熱板ガラスの使用は、厚みを薄くおよび軽量にするために、通例の断熱板ガラスよりも良好な断熱性を生じることを可能にし、結果的に、エネルギー消費の点で節約する。
【0080】
本発明は、より詳細には、新鮮な冷蔵または冷凍製品が陳列される冷蔵庫用キャビネットに関し、この通常の名称は「冷蔵ディスプレイキャビネット」である。本発明は、このタイプのキャビネットに限定されず、高温、湿潤または乾燥雰囲気を有するチャンバーを備える任意のキャビネットも、本発明の範囲に入ることが理解される。
【0081】
本発明の別の主題は、従来技術の様々な欠点を克服し、かつこのタイプのキャビネットの密封性基準に適合し、かつ使いやすくおよび経済的に有利なキャビネットを提供する冷蔵庫用キャビネットである。
【0082】
本発明による冷蔵庫用キャビネットは、開放リーフには、板ガラスパネルの、少なくとも1つの側縁にわたって支持フレームがないため、顧客に、その内容物の可視性を高めることを提供する一方で、良好な断熱性を保証するという利点を有する。
【0083】
そのような冷蔵キャビネットを生じるガラス張り要素を上記で説明し、かつ図2および図3による例によって示した。
【0084】
本発明の特定の一実施形態によれば、2つの開放リーフ間の密封性は、板ガラスに取り付けられた透明なシーリング要素31によって達成される。密封性は、例えば、透明なリップシール、またはフランジシール、または板ガラスの下縁および上縁上のブラシまたはフェルトタイプのシールによって、横桟のない側縁にもたらされる。好ましくは、断熱板ガラスは、特にプラスチック製の接着接合した異形材などの透明なシーリング要素によって、その縁の少なくとも1つにもたらされる。用語「異形材」は、前記異形材の機能に好適な形状を有する全てのタイプの作製済みの異形材を意味すると理解される。好ましくは、異形材は、大きな応力なく、板ガラスの変形を吸収することができるようにするプラスチック異形材である。板ガラスの縁の少なくとも1つに接着接合されたそのような異形材は、板ガラスの縁の保護、ヒンジまたはハンドルなどの様々な要素の取り付け、あるいは開放リーフの美的外観などの様々な機能を果たし得る。さらに、異形材の使用は、開放リーフとキャビネットおよび/または隣接する開放リーフとの間に磁気的接触を生じるのに好都合である。
【0085】
それゆえ、従来の冷蔵庫用キャビネットと比較して、少なくとも2つの開放リーフの側縁を受け入れる鉛直要素がなくされ、側縁は、縁に沿って、キャビネットの壁に取り付けられない側縁である。開放リーフの密封性および遮断が保証されるように、開放リーフが当接した鉛直要素。鉛直要素がないことによって、その美的外観を改善しながら、キャビネットの構造を単純にすることが可能である。
【0086】
本発明の有利な一実施形態によれば、板ガラスの側縁に配置された前記シーリング要素は、板ガラスに抵抗応力を生じず、およびその全長にわたって密封性を破るリスクを生じないという利点を有する透明なリップシールまたはフランジシールである。
【0087】
好ましくは、板ガラスの下隅および上隅は、磁性部分を受け入れることができる要素を備えて、キャビネットおよび/または隣接する開放リーフの縁と確実に接触するようにする。それゆえ、縦枠(jamb)とキャビネットおよび隣接する縦枠との間に良好な接触および良好な当接が達成される一方、前記開放リーフの密封したおよび美的な閉鎖を可能にする。
【0088】
本発明の有利な一変形形態によれば、開放リーフとキャビネットの上縁および下縁との間の密封性は、キャビネットの前記縁に位置決めされた圧縮性の磁性密封シール(compressible magnetic tightness seals)によって達成されるため、開放リーフの周辺における接触が達成される。
【0089】
このようにして、開放リーフの内側面は、明るくされ、かつ圧縮性の磁性密封シールによって密封接触を可能にし、この密封接触は、この接触長さにわたって生じ得るわずかな変形を吸収する。実際、この接触長さはキャビネットの外側端部における接触長さよりも短いため、弓反り変形ははるかに小さく、および接触は、密封性を破るリスクなく、開放リーフの周辺にわたって達成され得る。
【0090】
本発明の有利な一変形形態によれば、枢動ピンは、前記開放リーフの平面に対して中心からずれており、および枢動要素は、開放リーフに接着接合される。
【0091】
本発明の一変形形態によれば、断熱板ガラスは、板ガラスの周辺全体にわたって異なるサイズのガラスシートを有する。2枚のガラスシートが非対称性であることによって、開放リーフ内での複層板ガラスおよび特に二重板ガラスの下縁および上縁での土台の機械的なアセンブリを容易にする。
【0092】
本発明の特定の一実施形態によれば、開放リーフは、棒バネタイプの戻り要素を備える。そのような実施形態は、美的観点から特に好都合である。実際、通例使用されているトーションバーの使用をなくすことを可能にし、これらのバーは、一般的に、かなりの体積であるゆえに、支持フレーム内に位置決めされている。
【0093】
これらのタイプのアセンブリは、多数の利点を有する。第1に、断熱板ガラスの剛性および機械的強度に起因して、標準的な複層板ガラスにおけるように、板ガラスの周辺全体にわたって断熱板ガラスを支持フレームに接合する必要がなく、その支持フレームは、開放リーフ、それゆえキャビネットの全体的な嵩張りを実質的に増す。
【0094】
本発明の好ましい一実施形態によれば、下部および上部土台22は、複層板ガラスの下縁および上縁に位置決めされて、開放リーフを固定フレーム部、すなわち、冷蔵庫用キャビネットの開放リーフ用の固定支持体に保持しかつ取り付けることができるようにする。
【0095】
土台22は、アルミニウム、PVC、鋼、ステンレス鋼、あるいは板ガラスを固定フレーム部に保持しかつ取り付けるこの機能を満たすのに好適な任意の材料で作製され得る。土台は、熱損失を防止するために、可能な限り最小のU値を有する必要がある。スチールに起因して、複層板ガラスの下部と上部との間だけでなく、フレームによっても、ガラスによる機械的負荷の伝達が生じる。そのような土台を図3に示す。
【0096】
ガラスで作製された板ガラス押縁は、下縁および上縁に沿って使用されて、複層板ガラスを土台に保持できるようにし得る。
【0097】
板ガラス押縁は、接着結合、留め具またはねじ留めによって取り付けられ得る。
【0098】
「土台または板ガラス押縁」は、板ガラスを取り付け、保持し、板ガラスの重量を固定支持体および冷蔵庫用キャビネットへ伝達し、および板ガラスを位置決めするために使用される小さな横断面の形材であると意味すると理解される。その高さは、全体的に、ガラスシートの高さと同じである。板ガラスを交換する必要がある場合には、板ガラスを交換できるようにするために、分解できる必要がある。板ガラス押縁を取り付けるための多くのシステムがある。固定または開放セクションへの板ガラスの配置および取り外しを容易にするために、タック溶接またはねじ留めによって、スタッドへの留め具によって、バネまたは溝への留め具によって、または板ガラスの内面に対するねじ留めによって、取り付けられ得る。板ガラス押縁は、一般的に、板ガラスを骨組みの小穴に保持するために使用される、サイズの小さい木製ロッド、または金属製またはPVC製の異形材の形態をとる。
【0099】
複層板ガラスの下縁および上縁に土台が存在することによって、開放リーフの開閉を可能にするための機構の少なくとも一部分の組み込み、および特に、主に開放リーフの開放運動および閉鎖運動のための固着点である、2つ、3つまたはさらには4つの支持点または転心の取り付けを可能にする。開放リーフの開閉を可能にするための機構は、本発明の特定の一実施形態によれば、開放リーフを、冷蔵庫を備えるキャビネットに接続することを、およびより詳細には固定支持体に接続することを可能にする、いくつかの部分で構成されている。
【0100】
固定支持体は、冷蔵庫用キャビネットのフレームとし得ることが理解される。
【0101】
本発明の有利な一実装形態によれば、開放リーフを閉鎖するおよび/または開放位置に保持するための制動当接システムが、土台の少なくとも1つの上にまたはその内部に配置され得る。
【0102】
本発明の別の有利な実施形態によれば、土台の少なくとも1つには乾燥材料が組み込まれ得る。
【0103】
本発明の有利な一実装形態によれば、土台の少なくとも1つは、閉鎖位置にあるときには扉と当接する密封バリアを含み得る。密封バリアは、特に、フランジシール、リップシール、ブラシシールまたはフェルトシールとし得る。
【0104】
本発明の特定の一実施形態によれば、冷蔵キャビネットは、本発明によるガラス張り要素の固定支持体を受け入れることができる。
【0105】
表現「固定支持体」は、冷蔵庫用キャビネットに固定されかつ開放位置および閉鎖位置の双方にあるときに開放リーフを支持するフレームの部分を意味すると理解される。固定支持体は、アルミニウム、PVC、鋼あるいは木材で作製され得る。固定フレームは、特に、開放リーフの開閉を可能にするための機構の一部分を含み、他の部分は、開放リーフに、および本発明の特定の一実施形態によれば、2つの土台のうちの少なくとも一方に配置された開放リーフを開閉するための機構の他の部分に固定されている。それゆえ、固定フレームは、2つ、3つまたは4つの支持点または転心と、シャフトがあるまたはシャフトのないジャッキネジタイプの電気的または空気式運動制御機構とを含み得る。
【0106】
固定支持体は、特に、開口部を閉鎖しかつ開放位置に保持するための制動当接部を含み得る。好ましくは、密封バリアは、固定フレームの外周に配置される。そのようなバリアは、閉鎖位置において扉と当接するフランジシール、リップシール、ブラシシールまたはフェルトシールタイプのものとし得る。
【0107】
本発明によれば、冷蔵キャビネットの開放リーフは、様々な方法で開放され得る。それゆえ、開放リーフは、単に内側から外側へ旋回させることにより開放され得る。開放リーフはまた、開放リーフの1つが他の開放リーフに重なってまたは重ならずに、水平方向の移動によって開放リーフを右から左へまたは左から右へ摺動させることにより、開放され得る。開放リーフはまた、蛇腹式の開放によって開き得る。
【0108】
ガラス張り要素を冷蔵キャビネット用の扉として使用するとき、扉は内側から外側へ開き、そこでキャビネットには、好ましくは、開放リーフが当接するキャビネットの高さにわたって延在する垂直の内部中間縦枠がないため、密封性が達成される。
【0109】
本発明によるガラス張り要素の可動部分の開閉は、好ましくは自動化される、すなわち電気系統によって制御される。
【0110】
本発明の特定の一実施形態によれば、冷蔵庫用キャビネットは、複層板ガラスの内部照明システムを備え得る。照明は、特に、板ガラスの下縁または上縁の少なくとも1つに位置決めされたLEDによって生み出されてもよく、また、光を、複層板ガラスを構成する1枚または複数枚のガラスパネルの視界に投影してもよい。
【0111】
ビデオまたは静止したビルボードが、複層板ガラス内に、および特に二重または三重板ガラス内に組み込まれ得る。電気的に − または機械的に − 制御されたブラインドが、冷蔵庫用キャビネットに追加され得る。
【0112】
このように説明されたこのタイプの冷蔵庫用キャビネットは、非常に多数の部品を必要としないため、生産および設置するのが簡単である。疑う余地のない断熱性およびまた非常に良好な密封性を提供する一方で、美的外観を有する。
【0113】
例として、図2〜4に、本発明によるガラス張り要素を示す。より詳細には、図2は、4つの断熱二重板ガラス100(左から右へ参照符号1〜4を付す)を含む、ガラス張り要素を示し、これら断熱二重板ガラスは、板ガラス1および4の側縁に位置決めされたピボットヒンジによって固定支持体に取り付けられている。板ガラスは、板ガラスの上隅および下隅に位置決めされたダブルピボットによって一緒に接続される。可動部分の開口部は、蛇腹式開口部である(図4aおよび図4b)。移動/回転のシステムは、それぞれ、板ガラス2および3の右上縁および左上縁に配置され、それゆえ開口部分の開放を可能にし、これら開口部分は、2枚の断熱板ガラス100から形成される。板ガラス1および4は、2つの非対称的なソーダ−石灰タイプの強化ガラスシートを含む一方、板ガラス2および4は、同一サイズの2つの強化ガラスシートを含む。ガラスシートは、それらの内側面が、AGC製のTopNTタイプの低放射率層で覆われている。2枚のガラスシート間の内部空間は、断熱ガスとしてアルゴンを含む。断熱板ガラス100は、それらの上縁において、上部平行移動用のレール、および板ガラス100の上縁および下縁に位置決めされた土台22によって、固定支持体の上部および下部に取り付けられる。扉の開閉は自動化される。断熱板ガラス自体の間の、および板ガラスと固定支持体との間の密封性は、透明なバルブシールによってもたらされる。各板ガラス100の2枚のガラスシートを隔て、かつ板ガラスの側縁に沿って配置されるスペーサ12は、PSAタイプの透明な両面接着テープである周辺シール13によってガラスシートに接着接合された透明なポリカーボネートロッドである。ガラスシート間の気密性は、スペーサに沿って位置決めされる透明なシリコーングルー14によって保証される。断熱板ガラス100の上縁および下縁に配置されるスペーサ12の部分は、シリカゲルなどの分子篩を含むアルミニウムロッドである。
【0114】
本発明による冷蔵庫用キャビネットは、これらのキャビネットの美的外観をさらに改善することを可能にする。それゆえ、開放リーフを含むキャビネットの面は、板ガラスの周辺全体に支持フレームがないことに起因して、ほとんど完全にガラスで作製されてもよく、およびこれらのキャビネット内にある内容物の可視性を妨げることなく、およびキャビネットの開閉を妨げることなく、開放リーフ間に小さな空間を提供することが可能である。
【0115】
本発明による冷蔵庫用キャビネットは、これらのタイプのキャビネットに要求される密封性基準に適合することを可能にし、および生産するのが簡単であり、これは、キャビネットの生産コストを増やすことなく、またはさらには削減することによって、達成される。
【0116】
本発明は、この特定のタイプの実施形態に限定されず、および非限定的に、少なくとも第1のガラスシートおよび第2のガラスシートで構成された少なくとも1枚の断熱板ガラスを含む少なくとも2つの開放リーフを含む任意のタイプの冷蔵庫用キャビネットを含むと解釈されるべきである。さらに、当業者は、前図で説明した本発明による断熱板ガラスに任意の変形形態を追加できる。例えば、断熱板ガラスは、いくつかの内部空間を含んでもよく、各内部空間は、断熱ガスで満たされた空洞を含み(例えば三重板ガラス)、本発明による断熱板ガラスパネルのガラスシートは、任意のタイプのガラスからなってもよく、表面テクスチャー加工されてもよく、任意の機能を果たすための任意のタイプのコーティングを含んでもよく、またはそれら自体が、プラスチック中間層によって貼り合わされた板ガラスパネルからなってもよい。断熱板ガラスはまた、VIGタイプの板ガラス、すなわち、ガラスシート間に真空を加えることによって得られた板ガラスとし得る。本発明によるガラス張り要素は、冷蔵キャビネット、冷凍庫、ガラス張りの空間(bay)(例えばベランダ、屋根要素など)の扉などの任意のタイプの適用において使用され得る。
図1
図2
図3
図4a
図4b