(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0154】
本発明は、グルコースなどの糖類の全身濃度に応答する形で、インシュリンの薬物動態(PK)および/または薬力学(PD)プロファイルを制御する方法を提供する。その方法は、特定のインシュリン複合体を修飾して分岐トリマンノースなどの高アフィニティ糖類リガンドを含むようにした場合に、それらが、レクチンコンカナバリンA(ConA)などの外因性の多価糖類結合性分子の非存在下であっても糖類濃度変化に応答するPK/PDプロファイルを示すようになる可能性があるという米国公開特許出願番号2011/0301083で開示の発見に一部基づくものである。
【0155】
概して、本発明のインシュリン複合体は、二本の腕を有するかそれらからなる少なくとも一つの分岐リンカーに共有結合的に結合したインシュリンもしくはインシュリン類縁体分子を含み、各腕は独立に糖類を含むかそれからなるリガンドに共有結合的に結合しており、リンカーの少なくとも一つのリガンドは糖類フコースを含む。特定の実施形態において、リガンドは、内因性糖類結合性分子への結合に関して糖類(例えば、グルコースまたはα−メチルマンノース)と競合することができる。特定の実施形態において、リガンドは、ConAへの結合に関してグルコースまたはα−メチルマンノースと競合することができる。特定の実施形態において、リンカーは非ポリマー性である。特定の実施形態において、複合体は、多分散指数1および約20,000Da未満のMWを有することができる。特定の実施形態において、複合体は、本明細書で定義および記載の式(I)または(II)のものである。特定の実施形態において、複合体は長期作用性である(すなわち、可溶性組換えヒトインシュリン(RHI)より持続性であるPKプロファイルを示す)。
【0156】
本明細書で使用される場合、「インシュリン複合体」という用語には、(i)インシュリンの天然または野生型アミノ酸配列を有するインシュリン分子を含むインシュリン複合体および(ii)インシュリン類縁体分子を含むインシュリン複合体(インシュリン類縁体は、少なくとも一つのアミノ酸置換、欠失、転位もしくは付加により天然もしくは野生型インシュリンアミノ酸配列と異なるアミノ酸配列を含む。)が含まれる。その用語はさらに、ポリエチレングリコールまたは脂肪酸分子に結合したインシュリンもしくはインシュリン類縁体分子を含む。インシュリン分子は、ヒトインシュリン、ブタインシュリン、ウシインシュリン、ウサギインシュリン、ヒツジインシュリンなど、またはそれらの類縁体であることができる。多くのこれらインシュリン分子が、例えばSigma−Aldrich(St. Louis、MO)から市販されている。各種の改変型インシュリンが当業界で知られている(例えば、Crotty and Reynolds, Pediatr. Emerg. Care. 23:903−905, 2007およびGerich, Am. J. Med. 113:308−16, 2002およびそれらで引用されている参考文献参照)。改変型のインシュリンは、化学修飾(例えば、下記に記載のPEG基または脂肪アシル鎖などの化学部分の付加による)および/または突然変異(すなわち、1以上のアミノ酸の付加、欠失または置換による)したものであることができる。
【0157】
インシュリン複合体
1態様において、本発明は、少なくとも一つの2本の腕を有する分岐リンカー(二座リンカー)に共有結合的に結合したインシュリンもしくはインシュリン類縁体分子を含み、前記二座リンカーの各腕が独立に、糖類を含むかそれからなるリガンドに共有結合的に連結されており、二座リンカーの第1のリガンドが、フコースである第1の糖類を含むかそれからなる、インシュリン複合体を提供する。二座リンカーの第2のリガンドは、フコース、マンノース、グルコサミンもしくはグルコースであることができる第2の糖類を含むかそれからなるものである。特定の態様において、第2のリガンドは二糖類、三糖類、四糖類もしくは分岐三糖類を含むかそれからなる。特定の態様において、第2のリガンドはジマンノース、トリマンノース、テトラマンノースまたは分岐トリマンノースを含む。
【0158】
特定の態様において、インシュリンもしくはインシュリン類縁体分子は、1個、2個、3個もしくは4個の二座リンカーに結合しており、各二座リンカーの各腕は独立に、糖類を含むかそれからなるリガンドに共有結合的に連結されており、二座リンカーの第1のリガンドは、フコースである第1の糖類を含むかそれからなり、二座リンカーの第2のリガンドは、フコース、マンノースもしくはグルコースであることができる第2の糖類を含むかそれからなる。特定の態様において、第2のリガンドは、二糖類、三糖類、四糖類もしくは分岐三糖類を含むかそれからなる。特定の態様において、第2のリガンドは、ジマンノース、トリマンノース、テトラマンノースまたは分岐トリマンノースを含むかそれからなる。
【0159】
特定の態様において、インシュリンもしくはインシュリン類縁体分子は、1個、2個、3個もしくは4個の二座リンカーに結合しており、各二座リンカーの各腕は独立に、糖類を含むかそれからなるリガンドに共有結合的に連結されており、二座リンカーのうちの少なくとも一つについて、二座リンカーの第1のリガンドは、フコースである第1の糖類を含むかそれからなり、二座リンカーの第2のリガンドは、フコース、マンノースもしくはグルコースであることができる第2の糖類を含むかそれからなる。特定の態様において、第2のリガンドは、二糖類、三糖類、四糖類もしくは分岐三糖類を含むかそれからなる。特定の態様において、第2のリガンドは、ジマンノース、トリマンノース、テトラマンノースまたは分岐トリマンノースを含むかそれからなる。第2、第3および第4の二座リンカーにおいて、第1および第2の糖類は独立に、フコース、マンノース、グルコース、二糖類、三糖類、四糖類、分岐三糖類、ジマンノース、トリマンノース、テトラマンノース、または分岐トリマンノースであることができる。
【0160】
特定の態様において、インシュリンもしくはインシュリン類縁体分子は、(i)1個の二座リンカーに結合しており、各二座リンカーの各腕は独立に、糖類を含むかそれからなるリガンドに共有結合的に連結されており、二座リンカーの第1のリガンドは、フコースである第1の糖類を含むかそれからなり、二座リンカーの第2のリガンドは、フコース、マンノース、グルコース、二糖類、三糖類、四糖類、分岐三糖類、ジマンノース、トリマンノース、テトラマンノースもしくは分岐トリマンノースであることができる第2の糖類を含むかそれからなる。
【0161】
特定の態様において、本明細書に開示のインシュリン複合体のインシュリンもしくはインシュリン類縁体分子はさらに、フコース、マンノース、グルコサミンもしくはグルコースであることができる糖類を含むかそれからなる1個のリガンドを有する少なくとも一つの直鎖リンカーに共有結合的に結合している。特定の態様において、リガンドは、二糖類、三糖類、四糖類または分岐三糖類を含むか、それからなる。特定の態様において、リガンドは、ジマンノース、トリマンノース、テトラマンノースまたは分岐トリマンノースを含むかそれからなる。
【0162】
特定の態様において、本明細書に開示のインシュリンもしくはインシュリン類縁体分子複合体はさらに、少なくとも一つの三座リンカーに共有結合的に結合しており、その三座リンカーの各腕は独立に、フコース、マンノース、グルコサミンもしくはグルコースであることができる糖類を含むかそれからなるリガンドに共有結合的に連結されている。特定の態様において、リガンドは、二糖類、三糖類、四糖類もしくは分岐三糖類を含むかそれからなる。特定の態様において、リガンドは、ジマンノース、トリマンノース、テトラマンノースまたは分岐トリマンノースを含むかそれからなる。
【0163】
インシュリン複合体を哺乳動物に投与する場合、複合体の少なくとも一つの薬物動態または薬力学特性が、糖類の血清濃度に感受性である。特定の実施形態において、複合体のPKおよび/またはPDは、グルコースなどの内因性糖類の血清濃度に感受性である。特定の実施形態において、複合体のPKおよび/またはPD特性は、外因性糖類、例えばマンノース、L−フコース、N−アセチルグルコサミンおよび/またはα−メチルマンノースなど(これらに限定されるものではない)の血清濃度に感受性である。
【0164】
PKおよびPD特性
各種実施形態において、インシュリン複合体の薬物動態および/または薬力学挙動は、糖類の血清濃度が変動することで変わり得る。例えば、薬物動態(PK)の観点からは、糖類(例えば、グルコース)の血清濃度が上昇する場合、または糖類の血清濃度が閾値(例えば、正常グルコースレベルより高い)を通過する場合、血清濃度曲線は上方向に移動し得る。
【0165】
特定の実施形態において、複合体の血清濃度曲線は、空腹状態下および高血糖状態下で哺乳動物に投与した場合に実質的に異なる。本明細書で使用される場合、「実質的に異なる」という用語は、その二つの曲線がスチューデントのt検定(p<0.05)によって求めた場合に実質的に異なることを意味する。本明細書で使用される場合、「空腹状態」という用語は、血清濃度曲線が5以上の空腹非糖尿病個体からのデータを合わせることで得られたものであることを意味している。特定の実施形態において、空腹非糖尿病個体は、採血時に糖尿病の症状を示さず、採血の12時間以内に食事を摂っていない無作為に選択される18から30歳ヒトである。本明細書で使用される場合、「高血糖状態」という用語は、血清濃度曲線が、高血糖状態(グルコースC
maxが空腹状態下で認められる平均グルコース濃度より少なくとも100mg/dL高い)が複合体およびグルコースの同時投与によって誘発された5名以上の空腹非糖尿病個体からのデータを合わせることで得られたことを意味する。複合体およびグルコースの同時投与は単に、
複合体が血清中に検出可能なレベルで存在する期間中にグルコースC
maxが生じることを必要とする。例えば、グルコース注射(または消化)が、複合体を投与する直前、同時または直後に生じるように時間を決定することができるものと考えられる。特定の実施形態において、複合体およびグルコースは、異なる経路または異なる位置で投与される。例えば、特定の実施形態において、複合体は皮下投与し、一方でグルコースは経口投与もしくは静脈投与する。
【0166】
特定の実施形態において、複合体の血清C
maxは、空腹状態と比較して、高血糖状態下の方が高い。さらにまたは代替形態として、特定の実施形態において、複合体の血清の曲線下面積(AUC)は、空腹状態と比較して高血糖状態下の方が高い。各種実施形態において、複合体の血清排出速度は、空腹状態と比較して高血糖状態下の方が遅い。特定の実施形態において、複合体の血清濃度曲線は、一方が短半減期および一方が長半減期の2コンパートメント双指数モデルを用いて適合させることができる。長半減期は、グルコース濃度に対して特に感受性であるように思われる。従って、特定の実施形態において、長半減期は、空腹状態と比較して高血糖状態下の方が長い。特定の実施形態において、空腹状態には、100mg/dL未満(例えば、80mg/dL、70mg/dL、60mg/dL、50mg/dLなど)のグルコースC
maxが関与する。特定の実施形態において、高血糖状態には、200mg/dLを超える(例えば、300mg/dL、400mg/dL、500mg/dL、600mg/dLなど)グルコースC
maxが関与する。平均血清滞留時間(MRT)、平均血清吸収時間(MAT)などの他のPKパラメータを、上記のパラメータに代えて、またはそれらと組み合わせて用いることが可能であろうことは明らかである。
【0167】
ヒト、イヌ、ネコおよびラットでのグルコース濃度の正常範囲は、60から200mg/dLである。当業者であれば、異なる正常範囲を有する動物種について下記の値を外挿することができるであろう(例えば、ミニブタにおけるグルコース濃度の正常範囲は40から150mg/dLである。)。60mg/dL以下のグルコース濃度は低血糖と考えられる。200mg/dLを超えるグルコース濃度は高血糖と考えられる。特定の実施形態において、複合体のPK特性はグルコースクランプ法を用いて調べることができ(実施例参照)、複合体の血清濃度曲線は50および200mg/dL、50および300mg/dL、50および400mg/dL、50および500mg/dL、50および600mg/dL、100および200mg/dL、100および300mg/dL、100および400mg/dL、100および500mg/dL、100および600mg/dL、200および300mg/dL、200および400mg/dL、200および500mg/dL、200および600mg/dLなどのグルコース濃度で投与した場合に実質的に異なり得る。さらにまたは代替形態として、血清T
max、血清C
max、平均血清滞留時間(MRT)、平均血清吸収時間(MAT)および/または血清半減期は、二つのグルコース濃度で実質的に異なり得る。下記で記載するように、特定の実施形態において、100mg/dLおよび300mg/dLを比較グルコース濃度として用いることができる。しかしながら、理解すべき点として、本開示は、次のペア:50および200mg/dL、50および300mg/dL、50および400mg/dL、50および500mg/dL、50および600mg/dL、100および200mg/dL、100および400mg/dL、100および500mg/dL、100および600mg/dL、200および300mg/dL、200および400mg/dL、200および500mg/dL、200および600mg/dLなどのいずれか(これらに限定されるものではない)の別の比較グルコース濃度ペアであるこれら実施形態のそれぞれを包含するものである。
【0168】
従って、特定の実施形態において、複合体のC
maxは、二つのグルコース濃度(例えば、300と100mg/dLグルコース)の高い方の哺乳動物に投与した場合の方が高い。特定の実施形態において、複合体のC
maxは、二つのグルコース濃度(例えば、300と100mg/dLグルコース)の高い方の哺乳動物に投与した場合の方が、少なくとも50%(例えば、少なくとも100%、少なくとも200%または少なくとも400%)高い。
【0169】
特定の実施形態において、複合体のAUCは、二つのグルコース濃度(例えば、300と100mg/dLグルコース)の高い方の哺乳動物に投与した場合の方が高い。特定の実施形態において、複合体のAUCは、二つのグルコース濃度(例えば、300と100mg/dLグルコース)の高い方の哺乳動物に投与した場合の方が少なくとも50%(例えば、少なくとも例えば、少なくとも100%、少なくとも200%または少なくとも400%)高い。
【0170】
特定の実施形態において、複合体の血清排出速度は、二つのグルコース濃度(例えば、300と100mg/dLグルコース)の高い方の哺乳動物に投与した場合の方が遅い。特定の実施形態において、複合体の血清排出速度は、二つのグルコース濃度(例えば、100と300mg/dLグルコース)の低い方の哺乳動物に投与した場合の方が、少なくとも25%(例えば、少なくとも50%、少なくとも100%、少なくとも200%、または少なくとも400%)早い。
【0171】
特定の実施形態において、複合体の血清濃度を、一つの短半減期および一つの長半減期を有する2コンパートメント双指数を用いて適合させることができる。長半減期はグルコース濃度に対して特に感受性であるように思われる。従って、特定の実施形態において、長半減期は、二つのグルコース濃度(例えば、300と100mg/dLグルコース)の高い方の哺乳動物に投与した場合の方が長い。特定の実施形態において、長半減期は、二つのグルコース濃度(例えば、300と100mg/dLグルコース)の高い方の哺乳動物に投与した場合の方が少なくとも50%(例えば、少なくとも100%、少なくとも200%または少なくとも400%)長い。
【0172】
特定の実施形態において、本開示は、複合体の血清濃度曲線を二つの異なるグルコース濃度(例えば、300と100mg/dLグルコース)で得る方法を提供し、その二つの曲線を一つの短半減期および一つの長半減期のある2コンパートメント双指数モデルを用いて適合させ、二つのグルコース濃度下で得られた長半減期を比較する。特定の実施形態において、この方法を、1以上の複合体のグルコース感受性を調べるアッセイまたは比較するアッセイとして用いることができる。
【0173】
特定の実施形態において、本開示は、複合体化薬剤(例えば、本開示のインシュリン複合体)および非複合体化型の薬剤(例えば、RHI)の血清濃度曲線を同じ状態(例えば、空腹状態)で得る方法を提供し、その二つの曲線を、一つの短半減期および一つの長半減期を有する2コンパートメント双指数モデルを用いて適合させ、複合体化薬剤および非複合体化薬剤について得られた長半減期を比較する。特定の実施形態において、この方法を、非複合体化薬剤より急速にクリアランスされる複合体を確認するアッセイとして用いることができる。
【0174】
特定の実施形態において、複合体の血清濃度曲線は、高血糖状態下の哺乳動物に投与された場合の非複合体型薬剤の血清濃度曲線と実質的に同じである。本明細書で使用される場合、「実質的に同じ」という用語は、スチューデントt検定(p>0.05)によって測定される二つの曲線間に統計的差がないことを意味する。特定の実施形態において、複合体の血清濃度曲線は、空腹状態下で投与された場合に、非複合体化型薬剤の血清濃度曲線とは実質的に異なる。特定の実施形態において、複合体の血清濃度曲線は、高血糖状態下で投与した場合は非複合体化型薬剤の血清濃度曲線と実質的に同じであり、空腹状態下で投与した場合は実質的に異なる。
【0175】
特定の実施形態において、高血糖状態には、200mg/dLを超える(例えば、300mg/dL、400mg/dL、500mg/dL、600mg/dLなど)グルコースC
maxが関与する。特定の実施形態において、空腹状態には、100mg/dL未満(例えば、80mg/dL、70mg/dL、60mg/dL、50mg/dLなど)のグルコースC
maxが関与する。血清T
max、血清C
max、AUC、平均血清滞留時間(MRT)、平均血清吸収時間(MAT)および/または血清半減期などの上記PKパラメータのいずれかを比較可能であることは明らかであろう。薬力学(PD)の観点からは、グルコース濃度が上昇すると、またはグルコース濃度が閾値(例えば、正常グルコースレベルより高い)を通過すると、複合体の生理活性は上昇し得る。特定の実施形態において、複合体の生理活性は、高血糖状態と比較して、空腹状態下で投与した場合の方が低い。特定の実施形態において、空腹状態には、100mg/dL未満(例えば、80mg/dL、70mg/dL、60mg/dL、50mg/dLなど)のグルコースC
maxが関与する。特定の実施形態において、高血糖状態には、200mg/dLを超える(例えば、300mg/dL、400mg/dL、500mg/dL、600mg/dLなど)グルコースC
maxが関与する。
【0176】
特定の実施形態において、定常グルコース濃度を維持するのに必要なグルコース注入速度(GIR)を測定することで、複合体のPD特性を調べることができる。そのような実施形態によれば、50および200mg/dL、50および300mg/dL、50および400mg/dL、50および500mg/dL、50および600mg/dL、100および200mg/dL、100および300mg/dL、100および400mg/dL、100および500mg/dL、100および600mg/dL、200および300mg/dL、200および400mg/dL、200および500mg/dL、200および600mg/dLなどのグルコース濃度で投与した場合に、複合体の生理活性は実質的に異なり得る。従って、特定の実施形態において、複合体の生理活性は、二つのグルコース濃度(例えば、300と100mg/dLグルコース)の高い方の哺乳動物に投与した場合の方が高い。特定の実施形態において、複合体の生理活性は、二つのグルコース濃度(例えば、300と100mg/dLグルコース)の高い方の哺乳動物に投与した場合の方が少なくとも25%(例えば、少なくとも50%または少なくとも100%)高い。
【0177】
特定の実施形態において、複合体は、薬剤としてインシュリン分子を含む。そのような実施形態によれば、インシュリンについてのPD挙動は、最小血糖濃度(T
nadir)に達するのに要する時間を比較することで観察することができ、その期間中、血糖レベルは初期値の特定のパーセント以下に維持する(例えば、初期値の70%またはT70%BGLなど)。
【0178】
概して、このセクションで議論されるPKおよびPDの特徴のいずれかを、各種の公開された薬物動態法および薬力学法のいずれかに従って確認できることは明らかであろう(例えば、皮下送達に好適な方法については、Baudys et al., Bioconjugate Chem. 9:176−183, 1998を参照する。)。さらに理解すべき点として、PKおよび/またはPD特性はあらゆる哺乳動物(例えば、ヒト、ラット、ネコ、ミニブタ、イヌなど)で測定することができる。特定の実施形態において、PKおよび/またはPD特性をヒトで測定する。特定の実施形態において、PKおよび/またはPD特性をラットで測定する。特定の実施形態において、PKおよび/またはPD特性をミニブタで測定する。特定の実施形態において、PKおよび/またはPD特性をイヌで測定する。
【0179】
さらに、前記の内容はグルコース応答性複合体の文脈で記載されたたものであるが、同じ特性およびアッセイが外因性糖類、例えば、マンノース、L−フコース、N−アセチルグルコサミン、α−メチルマンノースなどの他の糖類に応答する複合体に適用されることは明らかであろう。下記および実施例でより詳細に議論されるように、空腹状態および高血糖状態下でのPKおよび/またはPD特性を比較するのではなく、外因性糖類を投与する場合と投与しない場合で空腹状態下にてPKおよび/またはPD特性を比較することができる。理解すべき点として、複合体は、所定の外因性糖類の異なるC
max値に応答するよう設計することができる。
【0180】
リガンド
概して、インシュリン複合体は、少なくとも一つの2個のリガンドを有する二座リンカーに共有結合的に結合したインシュリンもしくはインシュリン類縁体分子を含み、そのリガンドの少なくとも一方(第1のリガンド)はフコースである糖類を含むかそれからなり、他方のリガンド(第2のリガンド)は1以上の糖類を含むかそれからなる。特定の実施形態において、インシュリン複合体はさらに、1以上の直鎖リンカーを含むことができ、各リンカーが、1以上の糖類を含むかそれからなる単一のリガンドを含む。特定の実施形態において、インシュリン複合体はさらに、それぞれが少なくとも2個、3個、4個、5個もしくはそれ以上のリガンドを含む1以上の分岐リンカーを含むことができ、各リガンドは独立に、1以上の糖類を含むかそれからなる。複数のリガンドが存在する場合、それらリガンドは、同一または異なる化学構造を有することができる。
【0181】
特定の実施形態において、リガンドは、内因性糖類結合性分子(例えば、界面活性剤タンパク質AおよびDまたはセレクチンファミリーの構成員などがあるが、これらに限定されるものではない)への結合に関して糖類(例えば、グルコース、α−メチルマンノース、またはマンノース)と競合することができる。特定の実施形態において、リガンドは、細胞表面糖受容体(例えば、マクロファージマンノース受容体、グルコース輸送体リガンド、内皮細胞糖受容体、または肝細胞糖受容体などがあるが、これらに限定されるものではない)への結合に関して糖類(例えば、グルコース、α−メチルマンノース、またはマンノース)と競合することができる。特定の実施形態において、リガンドは、内因性グルコース結合性分子(例えば、界面活性剤タンパク質AおよびDまたはセレクチンファミリーの構成員などがあるが、これらに限定されるものではない)への結合に関してグルコースと競合することができる。特定の実施形態において、リガンドは、ヒトマクロファージマンノース受容体1(MRC1)への結合に関してグルコースまたはα−メチルマンノースと競合することができる。特定の実施形態において、リガンドは、非ヒトレクチン(例えば、ConA)への結合に関して糖類と競合することができる。特定の実施形態において、リガンドは、非ヒトレクチン(例えば、ConA)への結合に関してグルコース、α−メチルマンノース、またはマンノースと競合することができる。グルコース結合性レクチンの例には、カルネキシン、カルレティキュリン、N−アセチルグルコサミン受容体、セレクチン、アシアロ糖タンパク質受容体、コレクチン(マンノース結合性レクチン)、マンノース受容体、アグリカン、バーシカン、エンドウマメアグルチニン(PSA)、ソラマメレクチン、レンズマメレクチン、ダイズレクチン、ピーナッツレクチン、ヒゲレンリソウレクチン、イガマメレクチン、エンジュレクチン、ボーリンギア・ミルブラエジイ(bowringia milbraedii)レクチン、コンカナバリンA(ConA)、およびヤマゴボウマイトジェンなどがある。
【0182】
特定の実施形態において、糖類フコースを含むかそれからなる第1のリガンド以外のリガンドは、グルコースと同じ化学構造を有することができるか、グルコースの化学的に関連のある化学種、例えばグルコサミンであることができる。各種実施形態において、リガンドがグルコースとは異なる化学構造を有することで、例えば、複合体のグルコース応答を微調整することが有利な場合がある。例えば、特定の実施形態において、グルコース、マンノース、L−フコースまたはこれらの誘導体(例えば、α−L−フコピラノシド、マンノサミン、β−連結N−アセチルマンノサミン、メチルグルコース、メチルマンノース、エチルグルコース、エチルマンノース、プロピルグルコース、プロピルマンノースなど)および/またはこれらのより高次の組み合わせ(例えば、ジマンノース、直鎖および/または分岐トリマンノースなど)を含むリガンドを用いることが考えられる。
【0183】
特定の実施形態において、リガンドには、単糖類などがある。特定の実施形態において、リガンドには二糖類などがある。特定の実施形態において、リガンドには三糖類などがある。一部の実施形態において、リガンドは、糖類および1以上のアミン基を含む。一部の実施形態において、リガンドは糖類およびエチル基を含む。特定の実施形態において、糖類およびアミン基は、C
1−C
6アルキル基、例えばC
1−C
3アルキル基によって分離されている。一部の実施形態において、リガンドはアミノエチルグルコース(AEG)である。一部の実施形態において、リガンドはアミノエチルマンノース(AEM)である。一部の実施形態において、リガンドはアミノエチルジマンノース(AEBM)である。一部の実施形態において、リガンドはアミノエチルトリマンノース(AETM)である。一部の実施形態において、リガンドはβ−アミノエチル−N−アセチルグルコサミン(AEGA)である。一部の実施形態において、リガンドはアミノエチルフコース(AEF)である。特定の実施形態において、糖類は「D」配置のものであり、他の実施形態において糖類は「L」配置のものである。下記のものは、C
2エチル基によって糖類から分離されたアミン基を有する例示的糖類の構造であり、Rは水素またはリンカーのカルボニル基であることができる。他のリガンドの例は、当業者には明らかであろう。
【化21】
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【0184】
インシュリン
本明細書で使用される場合、「インシュリン」または「インシュリン分子」という用語は、インシュリン分子の全ての塩の形態および非塩の形態を包含する。塩形態は、インシュリン分子により、アニオン性でもカチオン性でもよいことは明らかである。「インシュリン」または「インシュリン分子」は、生理活性(すなわち、イン・ビボで投与された場合、グルコースの検出可能な還元を起こすことができる)である限りにおいて、野生型インシュリンも修飾型インシュリンも両方包含するものと本発明者らは意図する。野生型インシュリンとして、精製、合成または組換えの形態を問わず、あらゆる動物種からのインシュリン(たとえば、ヒトインシュリン、ブタインシュリン、ウシインシュリン、ウサギインシュリン、ヒツジインシュリンなど)が挙げられる。これらの数多くが、たとえば、Sigma−Aldrich(St. Louis、MO)から市販されている。インシュリンの各種修飾型(インシュリン類縁体)が当分野で公知である(例えば、Crotty and Reynolds, Pediatr. Emerg. Care. 23:903−905, 2007およびGerich, Am. J. Med. 113:308−16, 2002およびそこに列挙されている参考文献参照)。修飾型のインシュリンは、化学的に修飾(たとえば、以下に記載するように、PEG基または脂肪族アシル鎖のような化学的部分の付加によって)してもよく、および/または突然変異を(すなわち、1個以上のアミノ酸の付加、欠失または置換によって)起こさせてもよい。
【0185】
特定の実施形態では、本開示のインシュリン分子は、1から10個の(たとえば、1−9、1−8、1−7、1−6、1−5、1−4、1−3、1−2、2−9、2−8、2−7、2−6、2−5、2−4、2−3、3−9、3−8、3−7、3−6、3−5、3−4、4−9、4−8、4−7、4−6、4−5、5−9、5−8、5−7、5−6、6−9、6−8、6−7、7−9、7−8、8−9、9、8、7、6、5、4、3、2または1)アミノ酸置換、付加および/または欠失の点で、野生型インシュリンと異なる。特定の実施形態では、本開示のインシュリン分子は、アミノ酸置換のみの点で、野生型インシュリンと異なる。特定の実施形態では、本開示のインシュリン分子は、アミノ酸付加のみの点で、野生型インシュリンと異なる。特定の実施形態では、本開示のインシュリン分子は、アミノ酸置換および付加の点で、野生型インシュリンと異なる。特定の実施形態では、本開示のインシュリン分子は、アミノ酸置換と欠失との点で、野生型インシュリンと異なる。
【0186】
特定の実施形態では、アミノ酸置換を、関与する残基の極性、荷電性、溶解性、疎水性、親水性および/または両親媒性特性における類似性に基づいて行ってもよい。特定の実施形態では、置換は保存的であってもよく、すなわち、一つのアミノ酸が、それと類似した形および電荷を持つものと置き換えられてもよい。保存的置換は、当分野で公知であり、通常、以下の群、グリシン、アラニン;バリン、イソロイシン、ロイシン;アスパラギン酸、グルタミン酸;アスパラギン、グルタミン;セリン、トレオニン;リジン、アルギニン;およびチロシン、フェニルアラニン内での置換が挙げられる。特定の実施形態では、適切な置換変異の選択において、アミノ酸の疎水性指数を考慮してもよい。ポリペプチドにおける相互作用的生理機能の付与における疎水性アミノ酸指数の重要性は、当分野で一般的に理解されている。あるいは、アミノ酸と同じ置換は、親水性に基づいて効果的に行うことができる。ポリペプチドにおける相互作用的生理機能の付与における親水性の重要性は、当分野で一般的に理解されている。ポリペプチドの設計における疎水性指数または親水性の使用については、米国特許第5,691,198号で、さらに検討されている。
【0187】
ヒトインシュリンの野生型配列(A鎖およびB鎖)を、以下に示す。
【0188】
A鎖(配列番号1):GIVEQCCTSICSLYQLENYCN
B鎖(配列番号2):FVNQHLCGSHLVEALYLVCGERGFFYTPKT。
【0189】
各種実施形態で、本開示のインシュリン分子は、B−ペプチド配列のB28および/またはB29位で変異を起こす。例えば、インシュリンリスプロ(HUMALOG(登録商標))は、B−ペプチドのC末端上の最後から2番目のリジンと、プロリン残基とが逆転した速効性インシュリン変異体(Lys
B28Pro
B29−ヒトインシュリン)(配列番号3)である。この修飾により、インシュリン多量体の形成が遮断される。インシュリンアスパルト(NOVOLOG(登録商標))は、B28位のプロリンがアスパラギン酸で置換された他の速効性インシュリン変異体(Asp
B28−ヒトインシュリン)(配列番号4)である。この変異体も、多量体の形成を阻止する。一部の実施形態では、B28および/またはB29位での変異は、インシュリンポリペプチドの別の部分での1個以上の変異によって達成される。例えば、インシュリングルリシン(APIDRA(登録商標))は、B3位のアスパラギン酸がリジン残基で置き換えられ、B29位のリジンがグルタミン酸残基で置き換えられた別の速効性インシュリン変異体(Lys
B3Glu
B29−ヒトインシュリン)(配列番号5)でもある。
【0190】
各種実施形態で、本開示のインシュリン分子は、ヒトインシュリンに対してシフトする等電点を有する。一部の実施形態では、等電点のシフトは、1個以上のアルギニン残基を、インシュリンA−ペプチドのN末端および/またはインシュリンB−ペプチドのC末端に付加することによって達成される。そのようなインシュリンポリペプチドの例として、Arg
A0−ヒトインシュリン、Arg
B31Arg
B32−ヒトインシュリン、Gly
A21Arg
B31Arg
B32−ヒトインシュリン、Arg
A0Arg
B31Arg
B32−ヒトインシュリンおよびArg
A0Gly
A21Arg
B31Arg
B32−ヒトインシュリンが挙げられる。さらなる例として、インシュリングラルギン(LANTUS(登録商標))は、Asp
A21がグリシン(配列番号6)で置き換えられ、2個のアルギニン残基がB−ペプチド(配列番号7)のC末端に付加された例示的な持続型インシュリン変異体である。これらの変化の効果は、等電点をシフトさせることであり、pH4で完全に溶解する溶液を作り出す。従って、一部の実施形態では、本開示のインシュリン分子は、A21がGlyであるA−ペプチド配列と、B31およびB32がArg−ArgであるB−ペプチド配列とを含む。本開示は、これらの変異および本明細書で記載される他のいかなる変異(例えば、Gly
A21−ヒトインシュリン、Gly
A21Arg
B31−ヒトインシュリン、Arg
B31Arg
B32−ヒトインシュリン、Arg
B31−ヒトインシュリン)の単独および複数の組合せ全てを包含することは理解されるべきである。
【0191】
各種実施形態で、本開示のインシュリン分子は切断される。例えば、ある実施形態では、本開示のインシュリンポリペプチドのB−ペプチド配列は、B1、B2、B3、B26、B27、B28、B29および/またはB30が欠けている。特定の実施形態では、残基の組合せが、本開示のインシュリンポリペプチドのB−ペプチド配列から欠けている。例えば、B−ペプチド配列は、残基B(1−2)、B(1−3)、B(29−30)、B(28−30)、B(27−30)および/またはB(26−30)を欠いてもよい。一部の実施形態では、これらの欠失および/またはトランケーションは、先に記載したいずれのインシュリン分子(例えば、des(B30)−インシュリンリスプロ、des(B30)−インシュリンアスパルト、des(B30)−インシュリングルリシン、des(B30)−インシュリングラルギンなど(これらに限定されない)を製造するために)にも適用される。
【0192】
一部の実施形態で、インシュリン分子は、AまたはB−ペプチド配列のNまたはC末端に追加のアミノ酸残基を含有する。一部の実施形態では、1個以上のアミノ酸残基が、A0、A21、B0および/またはB31位に位置する。一部の実施形態では、1個以上のアミノ酸残基がA0位に位置する。一部の実施形態では、1個以上のアミノ酸残基がA21位に位置する。一部の実施形態では、1個以上のアミノ酸残基がB0位に位置する。一部の実施形態では、1個以上のアミノ酸残基がB31位に位置する。特定の実施形態では、インシュリン分子は、A0、A21、B0またはB31位にはいかなる追加のアミノ酸残基も含まない。
【0193】
特定の実施形態では、本開示のインシュリン分子を、1個以上のアミド化アミノ酸を酸性型で置き換えるように変異させる。例えば、アスパラギンを、アスパラギン酸またはグルタミン酸で置き換えてもよい。同様に、グルタミンをアスパラギン酸またはグルタミン酸で置き換えてもよい。特に、Asn
A18、Asn
A21またはAsn
B3、またはこれらの残基の任意の組合せを、アスパラギン酸またはグルタミン酸で置き換えてもよい。Gln
A15またはGln
B4、または両方を、アスパラギン酸またはグルタミン酸で置き換えてもよい。特定の実施形態では、インシュリン分子は、A21位でアスパラギン酸を、またはB3位でアスパラギン酸を有し、またはその両方でアスパラギン酸を有する。
【0194】
当業者であれば、生理活性を保ちつつ、インシュリン分子内の他のアミノ酸も変異することが可能であることを認識する。例えば、以下の修飾も、限定されることなく当分野で広く認められている。B10位のヒスチジン残基のアスパラギン酸による置換え(His
B10→Asp
B10)、B1位のフェニルアラニン残基のアスパラギン酸による置換え(Phe
B1→Asp
B1)、B30位のトレオニン残基のアラニンによるによる置換え(Thr
B30→Ala
B30)、B26位のチロシン残基のアラニンによる置換え(Tyr
B26→Ala
B26)、およびB9位のセリン残基のアスパラギン酸による置換え(Ser
B9→Asp
B9)。
【0195】
各種実施形態で、本開示のインシュリン分子は、作用の遅延性プロフィールを有する。従って、特定の実施形態では、本開示のインシュリン分子は、脂肪酸でアシル化されてもよい。すなわち、インシュリン分子上のアミノ基と脂肪酸のカルボン酸基との間にアミド結合が形成されている。アミノ基は、インシュリン分子のN末端アミノ酸のα−アミノ基でもよいし、またはインシュリン分子のリジン残基のε−アミノ基でもよい。本開示のインシュリン分子は、野生型ヒトインシュリンに存在する3個のアミノ基の1個以上のアミノ基で、アシル化されてもよいし、または野生型ヒトインシュリン配列に導入されているリジン残基でアシル化されてもよい。特定の実施形態では、インシュリン分子は、B1位でアシル化されてもよい。特定の実施形態では、インシュリン分子は、B29位でアシル化されてもよい。ある実施形態では、脂肪酸は、ミリスチン酸(C14)、ペンタデシル酸(C15)、パルミチン酸(C16)、ヘプタデシル酸(C17)およびステアリン酸(C18)から選択される。例えば、インシュリンデテミル(LEVEMIR(登録商標))は、Thr
B30が欠失され、C14脂肪酸鎖(ミリスチン酸)がLys
B29に結合されている持続型インシュリン変異体である。
【0196】
一部の実施形態では、A−ペプチドのN末端、B−ペプチドのN末端、B29位のLysのε−アミノ基、または本開示のインシュリン分子中の任意の他の可能なアミノ基は、下記一般式:
【化22】
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【0197】
(式中、R
Fは、水素またはC
1−30アルキル基である)の脂肪酸部分に共有結合で結合している。一部の実施形態では、R
Fは、C
1−20アルキル基、C
3−19アルキル基、C
5−18アルキル基、C
6−17アルキル基、C
8−16アルキル基、C
10−15アルキル基またはC
12−14アルキル基である。特定の実施形態では、インシュリンポリペプチドは、A1位で前記部分に複合体化する。特定の実施形態では、インシュリンポリペプチドは、B1位で前記部分に複合体化する。特定の実施形態では、インシュリンポリペプチドは、B29位のLysのε−アミノ基で前記部分に複合体化する。特定の実施形態では、インシュリン分子のB28位はLysであり、Lys
B28のε−アミノ基が脂肪酸部分に複合体化する。特定の実施形態では、インシュリン分子のB3位はLysであり、Lys
B3のε−アミノ基が脂肪酸部分に複合体化する。一部の実施形態では、脂肪酸鎖は、炭素数8から20の長さである。一部の実施形態では、脂肪酸は、オクタン酸(C8)、ノナン酸(C9)、デカン酸(C10)、ウンデカン酸(C11)、ドデカン酸(C12)、またはトリデカン酸(C13)である。特定の実施形態では、脂肪酸は、ミリスチン酸(C14)、ペンタデカン酸(C15)、パルミチン酸(C16)、ヘプタデカン酸(C17)、ステアリン酸(C18)、ノナデカン酸(C19)またはアラキドン酸(C20)である。
【0198】
各種実施形態で、本開示のインシュリン分子は、3つの野生型ジスルフィド架橋(すなわち、1つはA鎖の7位とB鎖の7位との間にあり、2番目はA鎖の20位とB鎖の19位との間にあり、3番目はA鎖の6位と11位との間にある)を含む。特定の実施形態では、インシュリン分子を変異部位を複合点として使用し、変異部位での複合が、インシュリン受容体(例えば、Lys
A3)への結合を減らすように変異させる。特定の実施形態では、野生型アミノ酸が存在するところまたは末端での複合により、インシュリン受容体(例えば、Gly
A1)への結合が減る。一部の実施形態では、インシュリン分子は、A4、A5、A8、A9またはB30位で複合体化する。特定の実施形態では、A4、A5、A8、A9またはB30位での複合は、野生型アミノ酸側鎖(例えば、Glu
A4)により行われる。特定の他の実施形態では、インシュリン分子は、A4、A5、A8、A9またはB30位で変異を起こし、複合のための部位(例えば、Lys
A4、Lys
A5、Lys
A8、Lys
A9またはLys
B30)を提供する。
【0199】
インシュリン分子を複合体化する方法を、以下に記載する。特定の実施形態では、インシュリン分子は、A1アミノ酸残基を介して、リンカーに複合体化される。特定の実施形態では、A1アミノ酸残基はグリシンである。しかしながら、本開示は、N末端複合に限定されず、特定の実施形態では、インシュリン分子は、末端ではないA鎖アミノ酸残基を介して複合体化されてもよいことは理解される。特に、本開示は、A鎖(野生型または部位特異的変異によって導入された)の任意の位置に存在するリジン残基のε−アミン基を介する複合を包含する。A鎖上の異なる複合位置は、インシュリン活性の異なる減少を起こし得る。特定の実施形態において、インシュリン分子は、B1アミノ酸残基を介してリンカーに結合する。特定の実施形態において、B1アミノ酸残基はフェニルアラニンである。しかしながら、理解すべき点として、本開示はN末端配置に限定されるものではなく、特定の実施形態において、インシュリン分子は非末端B鎖アミノ酸残基を介して結合し得る。特に、本開示は、B鎖(野生型または部位特異的変異により導入された)の任意の位置に存在するリジン残基のε−アミン基を介する結合を包含する。例えば、特定の実施形態では、インシュリン分子はB29リジン残基を介して複合体化されてもよい。インシュリングルリジンの場合、B3リジン残基を介した少なくとも一つのリガンドへの結合を用いることができる。B鎖上の異なる結合位置がインシュリン活性の異なる低減に至る可能性があることは明らかであろう。
【0200】
特定の実施形態において、リガンドは、インシュリン分子上の複数の複合体化箇所に結合する。例えば、インシュリン分子は、A1 N末端およびB29リジンの両方で結合し得る。一部の実施形態において、アミド複合体化は、カーボネート緩衝液中で起こり、B29位置およびA1位置で複合体化するが、B1位置では複合体化しない。他の実施形態において、インシュリン分子は、A1 N末端、B1 N末端およびB29リジンで結合し得る。さらに別の実施形態では、保護基を用いて、B1位置とB29位置またはB1位置とA1位置で結合が起こるようにする。インシュリン分子上の結合箇所のいずれの組み合わせも用いることが可能であることは明らかであろう。一部の実施形態において、結合箇所の少なくとも一つが、突然変異リジン残基、例えばLys
A3である。
【0201】
インシュリン複合体の例
各種実施形態において、本開示のインシュリン複合体は、少なくとも一方の二座リンカーに結合したインシュリンもしくはインシュリン類縁体分子を含み、二座リンカーの少なくとも一つの腕がリガンドアミノエチルフコース(AEF)に結合している。二座リンカーの他の腕は、リガンドAEFおよび/またはアミノエチルグルコース(AEG)、アミノエチルマンノース(AEM)、アミノエチルジマンノース(AEBM)、アミノエチルトリマンノース(AETM)、p−アミノエチル−N−アセチルグルコサミン(AEGA)およびアミノエチルフコース(AEF)からなる群から独立に選択される1以上のリガンドに結合していることができる。特定の実施形態において、インシュリン分子は、A1アミノ酸残基を介して結合している。特定の実施形態において、インシュリン分子はB1アミノ酸残基を介して結合している。特定の実施形態において、インシュリン分子は、Lys
B29のε−アミノ基を介して結合している。特定の実施形態において、インシュリン分子は、位置B28でリジン(Lys
B28)を含む類縁体であり、インシュリン分子は、Lys
B28のε−アミノ基を介して結合しており、例えば、Lys
B28のε−アミノ基を介して結合したインシュリンリスプロである。特定の実施形態において、インシュリン分子は、位置B3でリジン(Lys
B3)を含む類縁体であり、インシュリン分子は、Lys
B3のε−アミノ基を介して結合しており、例えばLys
B3のε−アミノ基を介して結合したインシュリングルリジンである。
【0202】
特定の実施形態において、インシュリンまたは上記インシュリン複合体のインシュリン分子は、1以上のリガンドに結合した1以上の別のリンカーに結合していることができ、各リガンドは独立にアミノエチルグルコース(AEG)、アミノエチルマンノース(AEM)、アミノエチルジマンノース(AEBM)リガンド、アミノエチルトリマンノース(AETM)リガンド、β−アミノエチル−N−アセチルグルコサミン(AEGA)およびアミノエチルフコース(AEF)から選択される。前記別のリンカーは、直鎖、二座、三座、四座などであることができ、リンカーの各腕は、独立にアミノエチルグルコース(AEG)、アミノエチルマンノース(AEM)、アミノエチルジマンノース(AEBM)リガンド、アミノエチルトリマンノース(AETM)リガンド、β−アミノエチル−N−アセチルグルコサミン(AEGA)およびアミノエチルフコース(AEF)から選択されることができるリガンドを含む。
【0203】
従って、特定の実施形態において、インシュリン複合体は、一つの二座リンカーを含むかそれからなることができ、その二座リンカーの少なくとも一つの腕が、インシュリンもしくはインシュリン類縁体の位置A1のアミノ基;またはインシュリンもしくはインシュリン類縁体の位置B1のアミノ基;またはインシュリン類縁体の位置B3のアミノ基;またはインシュリン類縁体の位置B28のアミノ基;またはインシュリンもしくはインシュリン類縁体の位置B29のアミノ基に結合したリガンドアミノエチルフコース(AEF)に結合している。
【0204】
特定の実施形態において、インシュリン複合体は、二つの二座リンカーを含むかそれからなることができ、第1の二座リンカー(第1の二座リンカーの一方の腕に結合したリガンドアミノエチルフコース(AEF)および二座リンカーの他方の腕に結合したアミノエチルグルコース(AEG)、アミノエチルマンノース(AEM)、アミノエチルジマンノース(AEBM)、アミノエチルトリマンノース(AETM)、β−アミノエチル−N−アセチルグルコサミン(AEGA)およびアミノエチルフコース(AEF)から選択されるリガンドを有する)は位置A1のアミノ基に結合しており、1以上のリガンド(各リガンドは独立にアミノエチルグルコース(AEG)、アミノエチルマンノース(AEM)、アミノエチルジマンノース(AEBM)、アミノエチルトリマンノース(AETM)、β−アミノエチル−N−アセチルグルコサミン(AEGA)およびアミノエチルフコース(AEF)から選択される。)に結合している第2の二座リンカーは位置B1、B3、B28もしくはB29のアミノ基に結合している。
【0205】
特定の実施形態において、インシュリン複合体は二つの二座リンカーを含むかそれからなることができ、第1の二座リンカー(第1の二座リンカーの一方の腕に結合したリガンドアミノエチルフコース(AEF)および二座リンカーの他方の腕に結合したアミノエチルグルコース(AEG)、アミノエチルマンノース(AEM)、アミノエチルジマンノース(AEBM)、アミノエチルトリマンノース(AETM)、β−アミノエチル−N−アセチルグルコサミン(AEGA)およびアミノエチルフコース(AEF)から選択されるリガンドを有する)は位置B1のアミノ基に結合しており、1以上のリガンド(各リガンドは独立に、アミノエチルグルコース(AEG)、アミノエチルマンノース(AEM)、アミノエチルジマンノース(AEBM)、アミノエチルトリマンノース(AETM)、β−アミノエチル−N−アセチルグルコサミン(AEGA)およびアミノエチルフコース(AEF)から選択される。)に結合した第2の二座リンカーは位置A1、B3、B28もしくはB29のアミノ基に結合している。
【0206】
特定の実施形態において、インシュリン複合体は二つの二座リンカーを含むかそれからなることができ、第1の二座リンカー(第1の二座リンカーの一方の腕に結合したリガンドアミノエチルフコース(AEF)および二座リンカーの他方の腕に結合したアミノエチルグルコース(AEG)、アミノエチルマンノース(AEM)、アミノエチルジマンノース(AEBM)、アミノエチルトリマンノース(AETM)、β−アミノエチル−N−アセチルグルコサミン(AEGA)、およびアミノエチルフコース(AEFから選択されるリガンドを有する)は位置B3のアミノ基に結合しており、1以上のリガンド(各リガンドは独立に、アミノエチルグルコース(AEG)、アミノエチルマンノース(AEM)、アミノエチルジマンノース(AEBM)、アミノエチルトリマンノース(AETM)、β−アミノエチル−N−アセチルグルコサミン(AEGA)およびアミノエチルフコース(AEF)から選択される。)に結合した第2の二座リンカーは、位置B1、A1、B28もしくはB29のアミノ基に結合している。
【0207】
特定の実施形態において、インシュリン複合体は二つの二座リンカーを含むかそれからなることができ、第1の二座リンカー(第1の二座リンカーの一方の腕に結合したリガンドアミノエチルフコース(AEF)および二座リンカーの他方の腕に結合したアミノエチルグルコース(AEG)、アミノエチルマンノース(AEM)、アミノエチルジマンノース(AEBM)、アミノエチルトリマンノース(AETM)、β−アミノエチル−N−アセチルグルコサミン(AEGA)およびアミノエチルフコース(AEF)から選択されるリガンドを有する)は位置B28のアミノ基に結合しており、1以上のリガンド(各リガンドは独立に、アミノエチルグルコース(AEG)、アミノエチルマンノース(AEM)、アミノエチルジマンノース(AEBM)、アミノエチルトリマンノース(AETM)、β−アミノエチル−N−アセチルグルコサミン(AEGA)およびアミノエチルフコース(AEF)から選択される)に結合した第2の二座リンカーは位置B1、B3、A1もしくはB29のアミノ基に結合している。
【0208】
特定の実施形態において、インシュリン複合体は二つの二座リンカーを含むかそれからなることができ、第1の二座リンカー(第1の二座リンカーの一方の腕に結合したリガンドアミノエチルフコース(AEF)および二座リンカーの他方の腕に結合したアミノエチルグルコース(AEG)、アミノエチルマンノース(AEM)、アミノエチルジマンノース(AEBM)、アミノエチルトリマンノース(AETM)、β−アミノエチル−N−アセチルグルコサミン(AEGA)およびアミノエチルフコース(AEF)から選択されるリガンドを有する)は、位置B29のアミノ基に結合しており、1以上のリガンド(各リガンドは独立に、アミノエチルグルコース(AEG)、アミノエチルマンノース(AEM)、アミノエチルジマンノース(AEBM)、アミノエチルトリマンノース(AETM)、β−アミノエチル−N−アセチルグルコサミン(AEGA)およびアミノエチルフコース(AEF)から選択される)に結合した第2の二座リンカーは位置B1、B3、B28もしくはA1のアミノ基に結合している。
【0209】
特定の実施形態において、インシュリン複合体は三つの二座リンカーを含むかそれからなることができ、第1の二座リンカー(第1の二座リンカーの一方の腕に結合したリガンドアミノエチルフコース(AEF)および二座リンカーの他方の腕に結合したアミノエチルグルコース(AEG)、アミノエチルマンノース(AEM)、アミノエチルジマンノース(AEBM)、アミノエチルトリマンノース(AETM)、β−アミノエチル−N−アセチルグルコサミン(AEGA)およびアミノエチルフコース(AEF)から選択されるリガンドを有する)は位置A1のアミノ基に結合しており;1以上のリガンド(各リガンドは独立に、アミノエチルグルコース(AEG)、アミノエチルマンノース(AEM)、アミノエチルジマンノース(AEBM)、アミノエチルトリマンノース(AETM)、β−アミノエチル−N−アセチルグルコサミン(AEGA)およびアミノエチルフコース(AEF)から選択される)に結合した第2の二座リンカーは位置B1のアミノ基に結合しており;1以上のリガンド(各リガンドは独立に、アミノエチルグルコース(AEG)、アミノエチルマンノース(AEM)、アミノエチルジマンノース(AEBM)、アミノエチルトリマンノース(AETM)、β−アミノエチル−N−アセチルグルコサミン(AEGA)およびアミノエチルフコース(AEF)から選択される。)に結合した第3の二座リンカーは位置B3、B28もしくはB29のアミノ基に結合している。
【0210】
特定の実施形態において、インシュリン複合体は四つの二座リンカーを含むかそれからなることができ、第1の二座リンカー(第1の二座リンカーの一方の腕に結合したリガンドアミノエチルフコース(AEF)および二座リンカーの他方の腕に結合したアミノエチルグルコース(AEG)、アミノエチルマンノース(AEM)、アミノエチルジマンノース(AEBM)、アミノエチルトリマンノース(AETM)、β−アミノエチル−N−アセチルグルコサミン(AEGA)およびアミノエチルフコース(AEF)から選択されるリガンドを有する)は位置A1のアミノ基に結合しており;1以上のリガンド(各リガンドは独立に、アミノエチルグルコース(AEG)、アミノエチルマンノース(AEM)、アミノエチルジマンノース(AEBM)、アミノエチルトリマンノース(AETM)、β−アミノエチル−N−アセチルグルコサミン(AEGA)およびアミノエチルフコース(AEF)から選択される)に結合した第2の二座リンカーは位置B1のアミノ基に結合しており;1以上のリガンド(各リガンドは独立にアミノエチルグルコース(AEG)、アミノエチルマンノース(AEM)、アミノエチルジマンノース(AEBM)、アミノエチルトリマンノース(AETM)、β−アミノエチル−N−アセチルグルコサミン(AEGA)およびアミノエチルフコース(AEF)から選択される。)に結合した第3の二座リンカーは位置B3のアミノ基に結合しており;1以上のリガンド(各リガンドは独立に、アミノエチルグルコース(AEG)、アミノエチルマンノース(AEM)、アミノエチルジマンノース(AEBM)、アミノエチルトリマンノース(AETM)、β−アミノエチル−N−アセチルグルコサミン(AEGA)およびアミノエチルフコース(AEF)から選択される。)に結合した第4の二座リンカーは位置B28またはB29のアミノ基に結合している。
【0211】
特定の実施形態において、インシュリン複合体は、(a)二座リンカー(二座リンカーの少なくとも一つの腕が、位置A1のアミノ基;または位置B1のアミノ基;または位置B3のアミノ基;または位置B28のアミノ基;または位置B29のアミノ基に結合したリガンドアミノエチルフコース(AEF)に結合している。)および(b)1以上のリガンド(各リガンドは独立に、位置A1のアミノ基;または位置B1のアミノ基;または位置B3のアミノ基;または位置B28のアミノ基;または位置B29のアミノ基(どの位置も二座リンカーによって占有されていない)に結合したアミノエチルグルコース(AEG)、アミノエチルマンノース(AEM)、アミノエチルジマンノース(AEBM)、アミノエチルトリマンノース(AETM)、β−アミノエチル−N−アセチルグルコサミン(AEGA)およびアミノエチルフコース(AEF)から選択される。)に結合した直鎖もしくは三座リンカーを含むかそれらからなることができる。
【0212】
特定の実施形態において、インシュリン複合体は、(a)位置A1のアミノ基に結合した二座リンカー(第1の二座リンカーの一方の腕に結合したリガンドアミノエチルフコース(AEF)および二座リンカーの他方の腕に結合したアミノエチルグルコース(AEG)、アミノエチルマンノース(AEM)、アミノエチルジマンノース(AEBM)、アミノエチルトリマンノース(AETM)、β−アミノエチル−N−アセチルグルコサミン(AEGA)およびアミノエチルフコース(AEF)から選択されるリガンドを有する)および(b)位置B1、B3、B28もしくはB29のアミノ基に結合した1以上のリガンド(各リガンドは独立に、アミノエチルグルコース(AEG)、アミノエチルマンノース(AEM)、アミノエチルジマンノース(AEBM)、アミノエチルトリマンノース(AETM)、β−アミノエチル−N−アセチルグルコサミン(AEGA)およびアミノエチルフコース(AEF)から選択される。)に結合した直鎖もしくは三座リンカーを含むかそれらからなることができる。
【0213】
特定の実施形態において、インシュリン複合体は、(a)位置B1のアミノ基に結合した二座リンカー(第1の二座リンカーの一方の腕に結合したリガンドアミノエチルフコース(AEF)および二座リンカーの他方の腕に結合したアミノエチルグルコース(AEG)、アミノエチルマンノース(AEM)、アミノエチルジマンノース(AEBM)、アミノエチルトリマンノース(AETM)、β−アミノエチル−N−アセチルグルコサミン(AEGA)およびアミノエチルフコース(AEF)から選択されるリガンドを有する)および(b)位置A1、B3、B28もしくはB29のアミノ基に結合した1以上のリガンド(各リガンドは独立に、アミノエチルグルコース(AEG)、アミノエチルマンノース(AEM)、アミノエチルジマンノース(AEBM)、アミノエチルトリマンノース(AETM)、β−アミノエチル−N−アセチルグルコサミン(AEGA)およびアミノエチルフコース(AEF)から選択される)に結合した直鎖もしくは三座リンカーを含むかそれらからなることができる。
【0214】
特定の実施形態において、インシュリン複合体は、(a)位置B3のアミノ基に結合した二座リンカー(第1の二座リンカーの一方の腕に結合したリガンドアミノエチルフコース(AEF)および二座リンカーの他方の腕に結合したアミノエチルグルコース(AEG)、アミノエチルマンノース(AEM)、アミノエチルジマンノース(AEBM)、アミノエチルトリマンノース(AETM)、β−アミノエチル−N−アセチルグルコサミン(AEGA)およびアミノエチルフコース(AEF)から選択されるリガンドを有する)および(b)位置B1、A1、B28もしくはB29のアミノ基に結合した1以上のリガンド(各リガンドは独立に、アミノエチルグルコース(AEG)、アミノエチルマンノース(AEM)、アミノエチルジマンノース(AEBM)、アミノエチルトリマンノース(AETM)、β−アミノエチル−N−アセチルグルコサミン(AEGA)およびアミノエチルフコース(AEF)から選択される。)に結合した直鎖もしくは三座リンカーを含むかそれらからなることができる。
【0215】
特定の実施形態において、インシュリン複合体は、(a)位置B28のアミノ基に結合した二座リンカー(第1の二座リンカーの一方の腕に結合したリガンドアミノエチルフコース(AEF)および二座リンカーの他方の腕に結合したアミノエチルグルコース(AEG)、アミノエチルマンノース(AEM)、アミノエチルジマンノース(AEBM)、アミノエチルトリマンノース(AETM)、β−アミノエチル−N−アセチルグルコサミン(AEGA)およびアミノエチルフコース(AEF)から選択されるリガンドを有する)および(b)位置B1、B3、A1もしくはB29のアミノ基に結合した1以上のリガンド(各リガンドは独立に、アミノエチルグルコース(AEG)、アミノエチルマンノース(AEM)、アミノエチルジマンノース(AEBM)、アミノエチルトリマンノース(AETM)、β−アミノエチル−N−アセチルグルコサミン(AEGA)およびアミノエチルフコース(AEF)から選択される。)に結合した直鎖もしくは三座リンカーを含むかそれらからなることができる。
【0216】
特定の実施形態において、インシュリン複合体は、(a)位置B29のアミノ基に結合した二座リンカー(第1の二座リンカーの一方の腕に結合したリガンドアミノエチルフコース(AEF)および二座リンカーの他方の腕に結合したアミノエチルグルコース(AEG)、アミノエチルマンノース(AEM)、アミノエチルジマンノース(AEBM)、アミノエチルトリマンノース(AETM)、β−アミノエチル−N−アセチルグルコサミン(AEGA)およびアミノエチルフコース(AEF)から選択されるリガンドを有する)および(b)位置B1、B3、B28もしくはA1のアミノ基に結合した1以上のリガンド(各リガンドは独立に、アミノエチルグルコース(AEG)、アミノエチルマンノース(AEM)、アミノエチルジマンノース(AEBM)、アミノエチルトリマンノース(AETM)、β−アミノエチル−N−アセチルグルコサミン(AEGA)およびアミノエチルフコース(AEF)から選択される。)に結合した直鎖もしくは三座リンカーを含むかそれらからなることができる。
【0217】
特定の実施形態において、インシュリン複合体は、(a)二座リンカー(第1の二座リンカーの一方の腕に結合したリガンドアミノエチルフコース(AEF)および二座リンカーの他方の腕に結合したアミノエチルグルコース(AEG)、アミノエチルマンノース(AEM)、アミノエチルジマンノース(AEBM)、アミノエチルトリマンノース(AETM)、β−アミノエチル−N−アセチルグルコサミン(AEGA)およびアミノエチルフコース(AEF)から選択されるリガンドを有する);(b)1以上のリガンド(各リガンドは独立に、アミノエチルグルコース(AEG)、アミノエチルマンノース(AEM)、アミノエチルジマンノース(AEBM)、アミノエチルトリマンノース(AETM)、β−アミノエチル−N−アセチルグルコサミン(AEGA)およびアミノエチルフコース(AEF)から選択される。)に結合した第1の直鎖もしくは三座リンカー;および(c)1以上のリガンド(各リガンドは独立に、アミノエチルグルコース(AEG)、アミノエチルマンノース(AEM)、アミノエチルジマンノース(AEBM)、アミノエチルトリマンノース(AETM)、β−アミノエチル−N−アセチルグルコサミン(AEGA)およびアミノエチルフコース(AEF)から選択される。)に結合した第2の直鎖もしくは三座リンカーを含むかそれらからなることができ、各リンカーはそれぞれ、位置A1,B1、B3、B28もしくはB29のアミノ基に結合しており、ただしそれぞれは、合計で3部位が占有されるように別個の位置を占有している。
【0218】
インシュリン複合体
本セクションは、いくつかの例示的なインシュリン複合体もしくはインシュリン類縁体複合体について説明するものである。
【0219】
特定の実施形態において、少なくとも一つのフコースを含むインシュリンおよびインシュリン類縁体複合体であって、当該複合体が機能性インシュリン受容体リン酸化アッセイによって求めたEC
50またはIPのマクロファージマンノース受容体での競合結合アッセイによって求めたIC
50またはIPに対する比が約0.5:1から約1:100;約1:1から約1:50;約1:1から約1:20;または約1:1から約1:10であることを特徴とする複合体が提供される。さらに別の態様において、上記複合体は、第1の腕および第2の腕を有するインシュリンもしくはインシュリン類縁体分子に共有結合的に結合した少なくとも一つの分岐リンカーを含み、前記第1の腕は第1の糖類を含む第1のリガンに連結されており、前記第2の腕は第2の糖類を含む第2のリガンドに連結されており、前記第1の糖類はフコースであり、前記複合体は機能性インシュリン受容体リン酸化アッセイによって求めたEC
50またはIPのマクロファージマンノース受容体で競合結合アッセイによって求めたIC
50またはIPに対する比が約0.5:1から約1:100;約1:1から約1:50;約1:1から約1:20;または約1:1から約1:10であることを特徴とする。特定の態様において、第2の糖類は、フコース、マンノース、グルコサミン、グルコース、二糖類、三糖類、四糖類、分岐三糖類、ジマンノース、トリマンノース、テトラマンノースまたは分岐トリマンノースである。
【0220】
「IP」という用語は、曲率または凹部が正から負または負から正に符号が変わる点である変曲点を指す。概して、IPは通常、EC
50またはIC
50と等価である。
【0221】
特定の態様において、マクロファージマンノース受容体での競合結合アッセイによって求めたIC
50またはIPは、約100nM未満であって約0.5nMより大きいものであることができる。特定の態様において、そのIC
50またはIPは、約50nM未満であって約1nMより大きく;約25nM未満であって約1nMより大きく;または約20nM未満であって約1nMより大きい。特定の態様において、機能性インシュリン受容体リン酸化アッセイによって求めたIC
50またはIPは、約100nM未満であって約0.5nMより大きいものであることができる。特定の態様において、そのIC
50またはIPは、約50nM未満であって約1nMより大きく;約25nM未満であって約1nMより大きく;または約20nM未満であって約1nMより大きい。
【0222】
各種実施形態において、複合体は下記一般式(I)を有することができる。
【化23】
[この文献は図面を表示できません]
【0223】
式中、
【化24】
[この文献は図面を表示できません]
【0224】
の各場合は、複合体の分岐内の可能な繰り返しを表し;
【化25】
[この文献は図面を表示できません]
【0225】
の各場合は独立に、共有結合、炭素原子、ヘテロ原子、またはアシル、脂肪族、ヘテロ脂肪族、アリール、ヘテロアリールおよび複素環からなる群から選択される置換されていても良い基であり;
Tの各場合は独立に、共有結合または2価の直鎖もしくは分岐の飽和もしくは不飽和の置換されていても良いC
1−30炭化水素鎖であり、Tの1以上のメチレン単位は独立に、−O−、−S−、−N(R)−、−C(O)−、−C(O)O−、−OC(O)−、−N(R)C(O)−、−C(O)N(R)−、−S(O)−、−S(O)
2−、−N(R)SO
2−、−SO
2N(R)−、複素環基、アリール基、またはヘテロアリール基によって置き換わっていても良く;
Rの各場合は独立に、水素、好適な保護基、またはアシル部分、アリールアルキル部分、脂肪族部分、アリール部分、ヘテロアリール部分もしくはヘテロ脂肪族部分であり;
−Bは−T−L
B−Xであり、Xの各場合は独立にリガンドであり;
L
Bの各場合は独立に、共有結合またはTとXとの共有結合から誘導される基であり;
nは1、2、または3であり、
ただし、前記インシュリンは少なくとも一つのリンカーと結合し、リガンドXの一つがフコースである。
【0226】
特定の態様において、前記複合体は、機能性インシュリン受容体リン酸化アッセイによって求めたEC
50またはIPのマクロファージマンノース受容体での競合結合アッセイによって求めたIC
50またはIPに対する比が約0.5:1から約1:100;約1:1から約1:50;約1:1から約1:20;または約1:1から約1:10であることを特徴とすることができる。
【0227】
特定の実施形態において、前記インシュリン複合体もしくはインシュリン類縁体複合体は下記一般式(II)を有することができる。
【化26】
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【0228】
式中、
【化27】
[この文献は図面を表示できません]
【0229】
の各場合は、複合体の分岐内の可能な繰り返しを表し;
【化28】
[この文献は図面を表示できません]
【0230】
の各場合は独立に、共有結合、炭素原子、ヘテロ原子、またはアシル、脂肪族、ヘテロ脂肪族、アリール、ヘテロアリールおよび複素環からなる群から選択される置換されていても良い基であり;
Tの各場合は独立に、共有結合または2価の直鎖もしくは分岐の飽和もしくは不飽和の置換されていても良いC
1−30炭化水素鎖であり、Tの1以上のメチレン単位は独立に、−O−、−S−、−N(R)−、−C(O)−、−C(O)O−、−OC(O)−、−N(R)C(O)−、−C(O)N(R)−、−S(O)−、−S(O)
2−、−N(R)SO
2−、−SO
2N(R)−、複素環基、アリール基またはヘテロアリール基によって置き換わっていても良く;
Rの各場合は独立に、水素、好適な保護基、またはアシル部分、アリールアルキル部分、脂肪族部分、アリール部分、ヘテロアリール部分もしくはヘテロ脂肪族部分であり;
−B
1は−T−L
B1−フコースであり、
L
B1は共有結合またはTのXとの共有結合から誘導される基であり;
−B
2は−T−L
B2−Xであり、
Xは糖類を含むリガンドであり、その糖類はフコース、マンノースまたはグルコースであることができ;L
B2は共有結合またはTのXとの共有結合から誘導される基であり;
nは1、2または3である。
【0231】
特定の態様において、前記複合体は、機能性インシュリン受容体リン酸化アッセイによって求めたEC
50またはIPのマクロファージマンノース受容体での競合結合アッセイによって求めたIC
50またはIPに対する比が約0.5:1から約1:100;約1:1から約1:50;約1:1から約1:20;または約1:1から約1:10であることを特徴とすることができる。
【0232】
例示的な基の説明
【化29】
[この文献は図面を表示できません]
【0233】
(ノード)
特定の実施形態において、
【化30】
[この文献は図面を表示できません]
【0234】
の各場合は独立に、アシル、脂肪族、ヘテロ脂肪族、アリール、ヘテロアリールおよび複素環からなる群から選択される置換されていても良い基である。一部の実施形態において、
【化31】
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【0235】
の各場合は同一である。一部の実施形態において、中央の
【化32】
[この文献は図面を表示できません]
【0236】
は、
【化33】
[この文献は図面を表示できません]
【0237】
の他の全ての場合と異なる。特定の実施形態において、
【化34】
[この文献は図面を表示できません]
【0238】
の全ての場合が、中央の
【化35】
[この文献は図面を表示できません]
【0240】
一部の実施形態において、
【化36】
[この文献は図面を表示できません]
【0241】
は、置換されていても良いアリールまたはヘテロアリール基である。
【0242】
一部の実施形態において、
【化37】
[この文献は図面を表示できません]
【0243】
は、2、3、4、6もしくは8員のアリールまたはヘテロアリール基である。一部の実施形態において、
【化38】
[この文献は図面を表示できません]
【0244】
は、5員もしくは6員の複素環基である。特定の実施形態において、
【化39】
[この文献は図面を表示できません]
【0245】
は、N、OまたはSから選択されるヘテロ原子である。一部の実施形態において、
【化40】
[この文献は図面を表示できません]
【0246】
は窒素原子である。一部の実施形態において、
【化41】
[この文献は図面を表示できません]
【0247】
は酸素原子である。一部の実施形態において、
【化42】
[この文献は図面を表示できません]
【0248】
は硫黄原子である。一部の実施形態において、
【化43】
[この文献は図面を表示できません]
【0249】
は炭素原子である。一部の実施形態において、
【化44】
[この文献は図面を表示できません]
【0250】
は、下記構造
【化45】
[この文献は図面を表示できません]
【0252】
T(スペーサー)
特定の実施形態において、Tは、それぞれ独立に、2価の直鎖もしくは分岐で飽和もしくは不飽和の置換されていても良いC
1−20炭化水素鎖であり、Tの1以上のメチレン単位が、独立に−O−、−S−、−N(R)−、−C(O)−、−C(O)O−、−OC(O)−、−N(R)C(O)−、−C(O)N(R)−、−S(O)−、−S(O)
2−、−N(R)SO
2−、−SO
2N(R)−、複素環基、アリール基またはヘテロアリール基で置き換えられていても良い。特定の実施形態において、Tの1、2、3、4または5個のメチレン単位が、独立に置き換えられていても良い。特定の実施形態において、Tは、C
1−10、C
1−8、C
1−6、C
1−4、C
2−12、C
4−12、C
6−12、C
8−12またはC
10−12炭化水素鎖であり、Tの1以上のメチレン単位が、独立に−O−、−S−、−N(R)−、−C(O)−、−C(O)O−、−OC(O)−、−N(R)C(O)−、−C(O)N(R)−、−S(O)−、−S(O)
2−、−N(R)SO
2−、−SO
2N(R)−、複素環基、アリール基またはヘテロアリール基で置き換えられていても良い。一部の実施形態において、Tの1以上のメチレン単位は、複素環基によって置き換えられている。一部の実施形態において、Tの1以上のメチレン単位は、トリアゾール部分によって置き換えられている。特定の実施形態において、Tの1以上のメチレン単位は、−C(O)−によって置き換えられる。特定の実施形態において、Tの1個以上のメチレン単位は、−C(O)N(R)−によって置き換えられている。特定の実施形態において、Tの1以上のメチレン単位は、−O−によって置き換えられている。
【0253】
特定の実施形態において、Tは下記構造であることができる。
【化46】
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[この文献は図面を表示できません]
【0254】
特定の実施形態において、本開示は、1、2または3個の二座リンカーを含むインシュリン複合体もしくはインシュリン類縁体複合体を提供し、各リンカーは下記のものからなる群から独立に選択される。
【化47】
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[この文献は図面を表示できません]
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[この文献は図面を表示できません]
[この文献は図面を表示できません]
[この文献は図面を表示できません]
[この文献は図面を表示できません]
【0255】
式中、各Xは独立に、糖類を含むリガンドであり、ただしインシュリンもしくはインシュリン類縁体に結合した少なくとも一つの二座リンカーが、二座リンカーの少なくとも一つの腕上にフコースを含む。特定の実施形態において、各Xは独立に、下記のものであることができる。
【化48】
[この文献は図面を表示できません]
[この文献は図面を表示できません]
【0256】
式中、波線は、その結合が二座リンカーを含む原子に連結されていることを示している。EGはエチルグルコースであり、EMはエチルマンノースであり、EFはエチルフコースであり、ETMはエチルトリマンノースであり、EBMはエチルジマンノースであり、EGAはエチルグルコサミンであり、EDGはエチルデオキシグルコースであり、EDFはエチルデオキシフコースであり、EDMはエチルデオキシマンノースである。
【0257】
当業者には、各種の複合化化学を用いて、XとTおよび/またはWとT(一般的に「成分」)との共有結合的に結合させることが可能であることは明らかである。そのような技術は、当業界で広く知られており、例示的な技術について以下に述べる。成分は、直接結合(すなわち、介在する化学基なしで)しているか、スペーサー(例えば、複合体化された要素とリンカーの残りの部分との間の何らかの物理的分離を提供するカップリング剤または共有結合鎖)を介して間接的に結合していることができる。理解すべき点として、成分は、アミド結合、アミン結合、エステル結合、エーテル結合、チオエーテル結合、イソ尿素結合、イミン結合など(これらに限定されない)の任意の数の化学結合を介してリンカーに共有結合的に結合していることができる。
【0258】
各種実施形態において、当業界で公知の「クリックケミストリー」反応を使用して、成分をリンカーに共有結合的に結合させてもよい。これらの方法としては、例えば、環化付加反応、求核開環反応、および炭素−炭素多重結合に対する付加(例えば、Kolb and Sharpless, Drug Discovery Today 8:1128−1137, 2003およびそれで引用の参考文献、ならびにDondoni, Chem. Asian J. 2:700−708, 2007およびそれに引用の参考文献参照)などがある。上記で説明のように、各種実施形態において、成分は、天然または化学的に付加された側鎖基を介して、リンカーに結合していてもよい。概して、一対の反応性基(例えば、反応してアミド結合を生じるカルボキシル基とアミン基)の第1の構成員および第2の構成員は、成分および骨格のいずれか一つ上に存在し得る(すなわち、二つの構成員の相対的な位置は、それらが反応して複合体を生成する限り重要ではない。)ことは明らかであろう。連結の例を下記でさらに詳細に説明する。
【0259】
特定の成分は自然に、複数の同じ化学反応性部分を有し得る。一部の例では、化学的反応の種類および条件を選択することで、それらの成分をこれらの部位の一つのみで選択的に反応させることが可能である。例えば、インシュリンを、反応性アミンを介して複合体化する場合、特定の実施形態では、インシュリンの生理活性を保存する上では、N末端α−Phe−B1の方が、N末端α−Gly−A1およびε−Lys−B29より結合箇所として望ましい可能性がある(例えば、Mei et al., Pharm. Res. 16:1680−1686, 1999およびそれで引用の参考文献、ならびにTsai et al., J. Pharm. Sci. 86:1264−1268, 1997参照)。インシュリンとヘキサデセナール(アルデヒド末端分子)との間の例示的な反応において、研究者らは、水素化ホウ素シアノナトリウムの存在下、二つの成分を、54%イソプロパノール含有1.5MのpH6.8のサリチル酸ナトリウム水溶液中で、1:6の比(インシュリン:アルデヒド(モル比))で終夜混合することによって、単一置換Phe−B1 2級アミン複合体化生成物への変換率が80%を超えることを発見した(Mei et al., Pharm. Res. 16:1680−1686, 1999)。彼らの研究は、溶媒、pHおよびインシュリン:アルデヒド比の選択が全て、反応の選択性および収率に影響を及ぼすことを示した。しかしながら、ほとんどの場合、化学反応条件の選択により選択率を達成することは困難である。従って、特定の実施形態において、反応に望ましいもの以外の全ての部位での成分(例えば、インシュリン)を選択的に保護し、次に、物質を反応および精製した後に脱保護段階を行うことが有利であり得る。例えば、酸性(BOC)、弱酸性(シトラコン酸無水物)および塩基性(MSC)条件下で脱保護され得るものなどの文献で利用可能なインシュリンアミン基の選択的保護については多くの例がある(例えば、Tsai et al., J. Pharm. Sci. 86:1264−1268, 1997;Dixonet al., Biochem. J. 109:312−314, 1968;およびSchuettler et al., D. Brandenburg Hoppe Seyler′s Z. Physiol. Chem. 360:1721, 1979参照)。一例では、Gly−A1およびLys−B29アミンは、tert−ブトキシカルボニル(BOC)基で選択的に保護され、これは次いで、複合体化後に、90%トリフルオロ酢酸(TFA)/10%アニソール溶液中4℃で1時間インキュベートして除去される。1実施形態において、インシュリンの乾燥粉末を、脱水DMSOに溶解し、次いで過剰のトリエチルアミンを溶解させる。この溶液に、約2当量のジ−tert−ブチルジカーボネートのTHF溶液をゆっくり加え、その溶液を30から60分間混合する。反応後、粗溶液を過剰量のアセトンに投入し、次いで希HClを滴下して、反応したインシュリンを析出させる。析出した物質を遠心し、アセトンで洗浄し、完全に真空乾燥する。
【0260】
所望のジ−BOC保護生成物を、分取逆相HPLCまたはイオン交換クロマトグラフィーを使用して、未反応のインシュリン、望ましくないジ−BOC異性体ならびにモノ−BOCおよびトリ−BOC副生物から分離することができる(例えば、Tsai et al., J. Pharm. Sci. 86:1264−1268, 1997参照)。逆相HPLCの場合、粗生成物の0.1%TFA含有70%水/30%アセトニトリル溶液を、C8カラムに負荷し、アセトニトリル増加勾配によって溶離する。所望のジ−BOCピークを回収し、アセトニトリルを除去し、凍結乾燥して、生成物を得る。
【0261】
特定の実施形態において、インシュリンオリゴ糖複合体は、インシュリンもしくはインシュリン類縁体および第1の腕および第2の腕を有する少なくとも一つの二座リンカーを含むことができ、前記第1の腕は第1の糖類を含む第1のリガンドに連結されており、前記第2の腕は第2の糖類を含む第2のリガンドに連結されており、少なくとも一つの二座リンカーにおいて、第1の糖類はフコースであり、前記少なくとも一つの二座リンカーは、インシュリンもしくはインシュリン類縁体のA鎖もしくはB鎖のN末端アミノ酸のα−アミノ基またはインシュリンもしくはインシュリン類縁体のA鎖もしくはB鎖のリジン残基のε−アミノ基に結合している。特定の実施形態において、複合体は、少なくとも二つのリンカーを含むことができ、少なくとも一つのリンカーがフコースを含む二座リンカーである。特定の実施形態において、複合体は少なくとも三つのリンカーを含むことができ、少なくとも一つのリンカーがフコースを含む二座リンカーである。
【0262】
特定の実施形態において、前記少なくとも一つの二座リンカーは、上記で示した式A、B、C、D、E、F、G、H、I、J、K、L、M、N、O、P、Q、R、S、T、U、V、W、X、Y、Z、AA、AB、AC、AD、AE、AF、AG、AH、AI、AJまたはAKを有することができ、Xは糖類であり、ただし少なくとも一つの二座リンカーにおいて、少なくとも一つの二座リンカーの少なくとも一つの腕上のXはフコースである。特定の実施形態において、Xは、上記で示した式EG、EM、EBM、EGA、EF、EFβ、EBM、ETM、EDG、EDFまたはEDMを有する。
【0263】
特定の実施形態において、インシュリン類縁体は、GIVEQCCX
1SICSLYQLENYCX
2(配列番号8)の配列を含むA鎖配列;およびX
3LCGX
4X
5LVEALYLVCGERGFF(配列番号9)もしくはX
8VNQX
3LCGX
4X
5LVEALYLVCGERGFFYTX
6X
7(配列番号10)の配列を含むB鎖配列を含むことができ、
X
1は、トレオニンおよびヒスチジンからなる群から選択され;
X
2は、アスパラギンまたはグリシンであり;
X
3は、ヒスチジンおよびトレオニンからなる群から選択され;
X
4は、アラニン、グリシンおよびセリンからなる群から選択され;
X
5は、ヒスチジン、アスパラギン酸、グルタミン酸、ホモシステイン酸およびシステイン酸からなる群から選択され;
X
6は、アスパラギン酸−リジンジペプチド、リジン−プロリンジペプチド、またはプロリン−リジンジペプチドであり;
X
7は、トレオニン、アラニンまたはトレオニン−アルギニン−アルギニントリペプチドであり;
X
8は、フェニルアラニンおよびデスアミノ−フェニルアラニンからなる群から選択される。
【0264】
特定の実施形態において、A鎖は配列番号1もしくは配列番号6に示したアミノ酸配列を有することができ、B鎖は配列番号2、配列番号3、配列番号4もしくは配列番号5に示したアミノ酸配列を有することができる。特定の実施形態において、インシュリン類縁体は、デスB30インシュリン類縁体、デスB29−B30インシュリン類縁体、デスB28−B30インシュリン類縁体、デスB27−B30インシュリン類縁体またはデスB26−B30インシュリン類縁体である。
【0265】
特定の実施形態において、本発明のインシュリンオリゴ糖複合体は下記式を有することができる。
【化49】
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【0266】
式中、R
1、R
2およびR
3はそれぞれ独立に、H(水素)または糖類を含むリガンドを有する直鎖リンカーまたは第1の腕および第2の腕を有する二座リンカーのいずれかであり、前記第1の腕は第1の糖類を含む第1のリガンドに連結されており、前記第2の腕は第2の糖類を含む第2のリガンドに連結されており、ただしR
1、R
2またはR
3のうちの少なくとも一つが二座リンカーであり、第1の糖類はフコースである。ある特定の実施形態において、R
1、R
2またはR
3はそれぞれ独立に、H(水素)または上記で示した式A、B、C、D、E、F、G、H、I、J、K、L、M、N、O、P、Q、R、S、T、U、V、W、X、Y、Z、AA、AB、AC、AD、AE、AF、AG、AH、AI、AJもしくはAKを有する二座リンカーのいずれかであり、Xは糖類であり;ただしR
1、R
2またはR
3のうちの少なくとも一つが二座リンカーであり、少なくとも一つの二座リンカーの少なくとも一つの腕上のXはフコースである。特定の実施形態において、Xは、上記で示した式EG、EM、EBM、EGA、EF、EFβ、EBM、ETM、EDG、EDFまたはEDMを有する。
【0267】
本発明のヒトインシュリンオリゴ糖複合体(IOC)の例には、下記の構造を有するIOCなどがある。
【化50】
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【0268】
徐放製剤
特定の実施形態において、徐放形態で(すなわち、可溶性組換えヒトインシュリンより徐放性の高い吸収プロファイルを示す形態で)インシュリン複合体を投与することが有利である可能性がある。これは、代表的なグルコース変動時間スケール(すなわち、分ではなく時間)により関連の深い時間スケールでのグルコースにおける変動に応答し得る複合体の持続レベルを提供する。特定の実施形態において、徐放製剤は、非高血糖状態(すなわち、空腹状態)下で哺乳動物に投与した場合に、複合体のゼロ次放出を示すことができる。
【0269】
持続吸収プロファイルを提供するあらゆる製剤を使用可能であることは明らかであろう。特定の実施形態において、これは、複合体を、それの全身循環への放出特性を遅くする他の成分と組み合わせることで達成することができる。例えば、PZI(プロタミン亜鉛インシュリン)製剤を、そのために用いることができる。本開示は、これらPZI製剤の非晶質型および結晶型を包含する。
【0270】
従って、特定の実施形態において、本開示の製剤は、約0.05から約10mgプロタミン/mg複合体を含む。例えば、約0.2から約10mgプロタミン/mg複合体、例えば、約1から約5mgプロタミン/mg複合体である。
【0271】
特定の実施形態において、本開示の製剤は、約0.006から約0.5mg亜鉛/mg複合体を含む。例えば約0.05から約0.5mg亜鉛/mg複合体、例えば約0.1から約0.25mg亜鉛/mg複合体である。
【0272】
特定の実施形態において、本開示の製剤は、プロタミンおよび亜鉛を、約100:1から約5:1、例えば約50:1から約5:1、例えば、約40:1から約10:1の範囲の比(重量比)で含む。特定の実施形態において、本開示のPZI製剤は、プロタミンおよび亜鉛を、約20:1から約5:1、例えば約20:1から約10:1、約20:1から約15:1、約15:1から約5:1、約10:1から約5:1、約10:1から約15:1の範囲の比(重量比)で含む。
【0273】
次の成分:抗微生物保存剤、等張剤および/または非複合体化インシュリン分子のうちの1以上がPZI製剤に含まれていても良い。
【0274】
特定の実施形態において、本開示の製剤は、抗微生物保存剤(例えば、m−クレゾール、フェノール、メチルパラベンまたはプロピルパラベン)を含む。特定の実施形態において、抗微生物保存剤はm−クレゾールである。例えば、特定の実施形態において、製剤は、約0.1から約1.0%(体積比)m−クレゾールを含むことができる。例えば、約0.1から約0.5%(体積比)m−クレゾール、例えば約0.15から約0.35%(体積比)m−クレゾールである。
【0275】
特定の実施形態において、本開示の製剤は、等張剤としての多価アルコール(例えば、マンニトール、プロピレングリコールまたはグリセリン)を含む。特定の実施形態において、等張剤はグリセリンである。特定の実施形態において、等張剤は、塩、例えばNaClである。例えば、製剤は、約0.05から約0.5M NaCl、例えば約0.05から約0.25M NaClまたは約0.1から約0.2M NaClを含むことができる。
【0276】
特定の実施形態において、本開示の製剤は、一定量の非複合体化インシュリン分子を含む。特定の実施形態において、製剤は、約100:1から1:1、例えば約50:1から2:1または約25:1から2:1の範囲のモル比の複合化インシュリン分子:非複合体化インシュリン分子を含む。
【0277】
本開示はまた、小分子製剤の業界で公知である標準的な徐放(持続性とも称される)製剤の使用を包含する(例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences, 19th ed., Mack Publishing Co., Easton, PA, 1995参照)。本開示はまた、徐々に複合体を送達するための、ポンプまたは束縛拡散に依存する機器の使用を包含する。特定の実施形態において、修飾インシュリン分子を用いることで、長期作用製剤を(さらにまたは代わりに)提供することができる。例えば、複合体の製造において野生型ヒトインシュリンに代えてインシュリングラルギン(LANTUS(登録商標)またはインシュリンデテミル(LEVEMIR(登録商標))を用いることができると考えられる。インシュリングラルギンはA鎖の位置A21のAsnがグリシンによって置き換わっており、二つのアルギニン残基がB鎖のC末端にある例示的な長期作用性インシュリン類縁体である。これらの変化の効果は、等電点を移動させて、生理pHで不溶であるがpH4で可溶であるインシュリンを生じることである。インシュリンデテミルは、B鎖の位置B30のThrが欠失され、C14脂肪酸鎖が位置B29のLysに結合している別の長期作用性インシュリン類縁体である。
【0278】
複合体の使用
別の態様において、本開示はインシュリン複合体の使用方法を提供する。概して、インシュリン複合体を用いて、糖類(例えば、グルコースまたはマンノース、α−メチルマンノース、L−フコースなどの外因性糖類)に応答して、必要とする個体にインシュリンを制御可能に提供することができる。本開示は、本開示のインシュリン複合体を投与することによる糖尿病治療を包含する。インシュリン複合体を用いてあらゆる患者(例えば、イヌ、ネコ、ウシ、ウマ、ヒツジ、ブタ、マウスなど)を治療することが可能であるが、それらは最も好ましくはヒトの治療で用いる。インシュリン複合体は、あらゆる経路によって患者に投与することができる。概して、本開示は、経口、静脈、筋肉、動脈、皮下、脳室内、経皮、直腸、経膣、腹腔内、局所(粉剤、軟膏もしくは滴剤として)、口腔による投与、または経口もしくは経鼻噴霧剤もしくはエアロゾルとしての投与を包含する。これらの異なる経路のための製剤および医薬組成物製造において通常考慮すべきことは、例えばRemington′s Pharmaceutical Sciences, 19th ed., Mack Publishing Co., Easton, PA, 1995にある。各種実施形態において、複合体は、皮下投与、例えば注射によって投与することができる。インシュリン複合体は、送達を容易にするために担体に溶解させることができる。例えば、担体は、無菌水、生理食塩水または緩衝生理食塩水(これらに限定されるものではない)などの水溶液であることができる。
【0279】
概して、治療上有効量のインシュリン複合体を投与する。「治療上有効量」という用語は、インシュリン複合体の効力と毒性の均衡が関与する妥当な利益/リスク比で糖尿病を治療する上で十分なインシュリン複合体量を意味する。各種実施形態において、インシュリンの平均1日用量は、10から200U、例えば、25から100U(インシュリン1単位は約0.04mgである。)の範囲である。特定の実施形態では、これらのインシュリン用量での複合体の量を1日1回投与する。特定の実施形態では、これらのインシュリン用量の5から10倍での複合体の量を、週1回投与する。特定の実施形態では、これらのインシュリン用量の10から20倍での複合体の量を、2週に1回投与する。特定の実施形態では、これらのインシュリン用量の20から40倍での複合体の量を、月1回投与する。
【0280】
特定の実施形態において、本開示の複合体を用いて、患者(例えば、哺乳動物またはヒト患者)における高血糖を治療することができる。特定の実施形態において、患者は糖尿病である。しかしながら、本方法は、糖尿病患者の治療に限定されるものではない。例えば、特定の実施形態において、複合体を用いて、血糖制御の障害に関連する感染患者における高血糖を治療することができる。特定の実施形態では、複合体を用いて糖尿病を治療することができる。
【0281】
特定の実施形態において、本開示のインシュリン複合体または製剤を患者(例えば、哺乳動物患者)に投与する場合、それは非複合体化版のインシュリン分子より低い低血糖を誘発する。特定の実施形態において、本開示の製剤は、非複合体化版のインシュリン分子を含む製剤より患者(例えば、哺乳動物またはヒト患者)において低いHbA1c値を誘発する。特定の実施形態において、その製剤により、非複合体化版のインシュリン分子を含む製剤より少なくとも10%低い(例えば、少なくとも20%低い、少なくとも30%低い、少なくとも40%低い、少なくとも50%低い)HbA1c値となる。特定の実施形態において、その製剤により、7%未満、例えば、約4から約6%の範囲のHbA1c値となる。特定の実施形態において、非複合体化版のインシュリン分子を含む製剤により、7%を超える、例えば、約8から約12%のHbA1c値となる。
【0282】
外因性トリガー
前述のように、本明細書に記載の方法、複合体および組成物は、グルコース応答性複合体に限定されるものではない。実施例で示したように、いくつかの例示的なインシュリン複合体も、α−メチルマンノースなどの外因性糖類に対して応答性であった。従って、特定の実施形態において、α−メチルマンノースなどのグルコース以外の糖類または複合体のPKもしくはPD特性を変えることができる何らかの他の糖類の外因性投与によってインシュリン複合体をトリガーすることができることは明らかであろう。
【0283】
複合体を上記のように投与したら(例えば、徐放製剤として)、好適な外因性糖類の投与によって、それをトリガーすることができる。ある特定の実施形態において、トリガー量の外因性糖類を投与する。本明細書で使用される場合、「トリガー量」の外因性糖類は、複合体の少なくとも一つのPKおよび/またはPD特性(例えば、前述のようなC
max、AUC、半減期など)における変化を生じさせるのに十分な量である。理解すべき点として、複合体についての前記あらゆる投与方法が外因性糖類に等しく適用される。やはり理解すべき点として、複合体および外因性糖類についての投与方法は同一であっても異なっていても良い。各種実施形態において、投与方法は異なっている(例えば、説明のために、複合体は週1回で皮下注射によって投与することができ、外因性糖類は1日1回経口投与する。)。外因性糖類の経口投与は、それが患者の服用遵守を高めることから特に価値がある。概して、複合体のPKおよびPD特性が外因性糖類のPKプロファイルに関係することは明らかであろう。従って、外因性糖類のPKプロファイルを制御することで、複合体PKおよびPD特性を調整することができる。当業界で公知のように、外因性糖類のPKプロファイルを、用量、経路、回収および使用される製剤に基づいて調整することができる。例えば、複合体の短期間で強い活性化が望まれる場合、経口即時放出製剤を用いることができると考えられる。対照的に、複合体のより長期間の比較的弱い活性化が望まれる場合には、代わりに経口持続放出製剤を用いることができるものと考えられる。製剤ならびに即時放出製剤および持続放出製剤の製造において検討すべきことは、例えば、Remington′s Pharmaceutical Sciences, 19th ed., Mack Publishing Co., Easton, PA, 1995に記載されている。
【0284】
本開示の複合体および外因性糖類の投与の相対的頻度は同一であっても異なっていても良いことも明らかであろう。特定の実施形態では、外因性糖類を複合体より高頻度で投与する。例えば、特定の実施形態において、複合体は1日1回投与することができ、外因性糖類は1日複数回投与する。特定の実施形態において、複合体は週2回、週1回、二週に1回または月に1回投与することができ、外因性糖類は1日1回投与する。特定の実施形態において、複合体を月1回投与し、外因性糖類を週2回、週1回または二週に1回投与する。これらの手法についての他の変形型は当業者には明らかであり、使用される複合体および製剤の性質に応じて変わるものである。
【0285】
下記の実施例は、本発明についての理解をさらに深めるためのものである。
【0286】
実施例
一般手順
化学物質はいずれも、別段の断りがない限り、商業的入手先から購入した。水分や空気に感受性の反応は、脱水溶媒および試薬を用い、窒素またはアルゴン下に行った。反応の進行は、分析薄層クロマトグラフィー(TLC)、高速液体クロマトグラフィー−質量分析(HPLC−MS)、または超高速液体クロマトグラフィー−質量分析(UPLC−MS)によってモニタリングした。TLCは、シリカゲル60F−254、層厚0.25mmをプレコートしたE. Merck TLCプレートで行った。プレートは、254nmUVを用い、および/またはモリブデン酸セリウムアンモニウム(CAM)またはp−アニスアルデヒド染色溶液への曝露とそれに続く炭化によって肉眼観察した。高速液体クロマトグラフィー(HPLC)は、勾配4.0分かけて10:90から99:1(体積比)CH
3CN/H
2O+0.05体積%TFA、次に98:2(体積比)CH
3CN/H
2O+0.05体積%TFAで0.75分保持;流量1.0mL/分、UV範囲200から400nm(LC−MS方法A)でSupelco Ascentis Express C18 2.7μm 3.0×100mmカラムを用いるAgilent 1100シリーズHPLCで行った。質量分析は、陽イオン検出モードでの電気スプレーイオン化を行うWaters Micromass(登録商標) ZQ(商標名)で行い、質量−電荷比の走査範囲は、170から900または500から1500であった。超高速液体クロマトグラフィー(UPLC)は、勾配4.0分かけて10:90から90:10(体積比)CH
3CN/H
2O+0.1体積%TFAおよび0.5分かけて90:10から95:5(体積比)CH
3CN/H
2O+0.1体積%TFA;流量0.3mL/分、UV波長200から300nm(UPLC方法A)でのWaters Acquity(商標名) UPLC(登録商標)BEH300 C4 1.7μm 2.1×100mmカラムを用いるWaters Acquity(商標名) UPLC(登録商標)システムで行った。別のUPLC条件は、UPLC方法B(勾配4.0分かけての10:90から70:30(体積比)CH
3CN/H
2O+0.1体積%TFAおよび40秒かけての70:30から95:5(体積比)CH
3CN/H
2O+0.1体積%TFA;流量0.3mL/分、UV波長200から300nmでのWaters Acquity(商標名) UPLC(登録商標) BEH C18 1.7μm 2.1×100mmカラム)、UPLC方法C(勾配4.0分かけての60:40から100:0(体積比)CH
3CN/H
2O+0.1体積%TFAおよび40秒かけての100:0から95:5(体積比)CH
3CN/H
2O+0.1体積%TFA;流量0.3mL/分、UV波長200から300nmでのWaters Acquity(商標名) UPLC(登録商標) BEH C18 1.7μm 2.1×100mmカラム)、UPLC方法D(勾配4.3分かけての10:90から50:50(体積比)CH
3CN/H
2O+0.1体積%TFAおよび0.5分かけての50:50から70:30(体積比)CH
3CN/H
2O+0.1体積%TFA;流量0.3mL/分、UV波長200から300nmでのWaters Acquity(商標名) UPLC(登録商標) BEH300 C4 1.7μm 2.1×100mmカラム)、UPLC方法E(勾配4.3分かけての10:90から60:40(体積比)CH
3CN/H
2O+0.1体積%TFAおよび0.5分かけての60:40から90:10(体積比)CH
3CN/H
2O+0.1体積%TFA;流量0.3mL/分、UV波長200から300nmでのWaters Acquity(商標名) UPLC(登録商標) BEH C18 1.7μm 2.1×100mmカラム)、UPLC方法F(勾配4.0分かけての60:40から100:0(体積比)CH
3CN/H
2O+0.1体積%TFAおよび0.4分かけての100:0から95:5(体積比)CH
3CN/H
2O+0.1体積%TFA;流量0.3mL/分、UV波長200から300nmでのWaters Acquity(商標名) UPLC(登録商標) BEH C18 1.7μm 2.1×100mmカラム)、およびUPLC方法G(勾配4.2分かけての10:90から55:45(体積比)CH
3CN/H
2O+0.1体積%TFAおよび0.4分かけての100:0から95:5(体積比)CH
3CN/H
2O+0.1体積%TFA;流量0.3mL/分、UV波長200から300nmでのWaters Acquity(商標名) UPLC(登録商標) BEH C8 1.7μm 2.1×100mmカラム)と記した。質量分析は、陽イオン検出モードでの電気スプレーイオン化を用いるWaters Micromass(登録商標) LCT Premier(商標名)XEで行い、質量−電荷比の走査範囲は300から2000であった。生成したインシュリン複合体の同定は、理論分子量をUPLC−MSを用いて測定した実験値に比較することで確認した。糖修飾の位置の決定のために、具体的に、インシュリン複合体についてDTT処理(a/b鎖について)またはGlu−C消化(還元およびアルキル化を伴う)を行い、次に、得られたペプチドをLC−MSによって分析した。測定された質量に基づいて、糖位置を推定した。
【0287】
フラッシュクロマトグラフィーは、Biotageフラッシュクロマトグラフィー装置(Dyax Corp.)またはCombiFlash(登録商標)Rf装置(Teledyne Isco)のいずれかを用いて行った。順相クロマトグラフィーは、記載の大きさのプレパックカートリッジ中のシリカゲル(20から70μm、60Å孔経)で行った。逆相クロマトグラフィーは、記載の大きさのプレパックカートリッジ中のC18結合シリカゲル(20から60μm、60から100Å孔径)で行った。分取規模のHPLCは、記載の勾配でのWaters Delta Pak C4 15μm、300Å、50×250mmカラムまたはKromasil(登録商標) C8 10μm、100Å、50×250mmカラム、流量85mL/分を用いるGilson 333−334バイナリシステムで行った。溶液の濃縮は、減圧下にロータリーエバポレータで行うか、VirTis Freezemobile凍結乾燥機(SP Scientific)で凍結乾燥した。
【0288】
1H NMRスペクトラムは、記載の重水素化溶媒中、500MHz(または他の形で具体的に記載)スペクトル装置で得た。化学シフトは、百万分率(ppm)で報告した。テトラメチルシラン(TMS)または重水素化溶媒の残留プロトンピークを、内部標準として用いた。カップリング定数(J)は、ヘルツ(Hz)単位で報告した。
【0289】
略称:酢酸(AcOH)、アセトニトリル(AcCN)、水系(aq)、O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N′,N′−テトラメチルウロニウム・ヘキサフルオロホスフェート)(HATU)、酢酸エチル(EtOAc)、ジエチルエーテル(エーテルまたはEt
2O)、N,N−ジイソプロピルエチルアミンまたはヒューニッヒ塩基(DIPEA)、(4−ジメチルアミノ)ピリジン(DMAP)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、酢酸エチル(EtOAc)、N−(3−ジメチルアミノプロピル)−N′−エチルカルボジイミド塩酸塩(EDC)、グラム(g)、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール水和物(HOBt)、時間(hまたはhr)、質量スペクトラム(msまたはMS)、ミクロリットル(μL)、ミリグラム(mg)、ミリリットル(mL)、ミリモル(mmol)、分(min)、ペンタフルオロフェノール−テトラメチルウロニウム・ヘキサフルオロホスフェート(PFTU)、石油エーテル(PE)、保持時間(R
t)、室温(rt)、飽和(sat.またはsat′d)、飽和塩化ナトリウム水溶液(ブライン)、トリエチルアミン(TEA)、トリフルオロ酢酸(TFA)、テトラヒドロフラン(THF)、およびN,N,N′,N′−テトラメチル−O−(N−スクシニミジル)ウロニウムテトラフルオロボレート(TSTU)。
【0290】
実施例1
下記構造を有するオリゴ糖リンカー6−[(2,5−ジオキソピロリジン−1−イル)オキシ]−N−(2−{[α−D−マンノピラノシル−(1→3)−[α−D−マンノピラノシル−(1→6)]−α−D−マンノピラノシル]オキシ}エチル)−6−オキソヘキサンアミド(ML−1)の合成について説明する。
【化51】
[この文献は図面を表示できません]
【0291】
段階A:6−[(2,5−ジオキソピロリジン−1−イル)オキシ]−6−オキソヘキサン酸ベンジル
6−(ベンジルオキシ)−6−オキソヘキサン酸(3.3g、13.97mmol)のDMF(50mL)中溶液に0℃で、TSTU(4.3g、14.28mmol)およびDIPEA(2.5mL、14.31mmol)を加えた。0℃で1時間撹拌後、反応混合物をEt
2Oと水との間で分配した。有機層を分離し、水層をエーテルでさらに抽出した(150mLで2回)。合わせた有機相をブラインで洗浄し、Na
2SO
4で脱水し、濾過し、濃縮して、標題化合物を得た。UPLC方法B:C
17H
19NO
6の計算値:333.12、実測m/e:334.10[M+1];R
t=3.75分。
1H NMR(CDCl
3)δ7.40−7.30(5H、m)、5.10(2H、s)、2.80(4H、s)、2.62−2.58(2H、m)、2.41−2.37(2H、m)、1.80−1.72(4H、m)。
【0292】
段階B:6−({2−[(α−D−マンノピラノシル−(1→3)−[α−D−マンノピラノシル−(1→6)]−α−D−マンノピラノシル)オキシ]エチル}アミノ)−6−オキソヘキサン酸ベンジル
2−アミノエチルα−D−マンノピラノシル−(1→3)−[α−D−マンノピラノシル−(1→6)]−α−D−マンノピラノシド(1.23g、2.247mmol、WO2010/088294A1)のDMF(20mL)中溶液に0℃で、6−[(2,5−ジオキソピロリジン−1−イル)オキシ]−6−オキソヘキサン酸ベンジル(1.02g、3.06mmol)およびTEA(0.5mL、3.59mmol)を加えた。0℃で1時間撹拌後、反応混合物を濃縮し、残留物を0%から40%AcCN/H
2Oで溶離を行うC18逆相シリカゲルカラム(275g)でのフラッシュクロマトグラフィーによって精製して、標題化合物を得た。UPLC方法B:C
33H
51NO
19の計算値:765.31、実測m/e=766.26[M+1];R
t=4.04分。
1H NMR(D
2O)δ7.43−7.37(5H、m)、5.14(2H、s)、5.07−5.06(1H、m)、4.82−4.81(1H、m)、4.77−4.76(1H、m)、4.06−4.01(2H、m)、3.96−3.92(2H、m)、3.87−3.81(5H、m)、3.79−3.77(1H、m)、3.74−3.67(5H、m)、3.65−3.60(4H、m)、3.53−3.49(1H、m)、3.37−3.35(2H、m)、2.43−2.40(2H、m)、2.22−2.19(2H、m)、1.62−1.52(4H、m)。
【0293】
段階C:6−({2−[(α−D−マンノピラノシル−(1→3)−[α−D−マンノピラノシル−(1→6)]−α−D−マンノピラノシル)オキシ]エチル}アミノ)−6−オキソヘキサン酸
6−({2−[(α−D−マンノピラノシル−(1→3)−[α−D−マンノピラノシル−(1→6)]−α−D−マンノピラノシル)オキシ]エチル}アミノ)−6−オキソヘキサン酸ベンジル(1.15g、1.502mmol)およびPd/C(80mg、0.075mmol)の水(10mL)中混合物をH
2風船下に室温で16時間撹拌した。触媒を濾去し、H
2Oで洗浄した(10mLで3回)。濾液を濃縮して、標題化合物を得た。UPLC方法B:C
26H
45NO
19の計算値:675.26、実測m/e:676.21[M+1];R
t=3.50分。
【0294】
段階D:6−[(2,5−ジオキソピロリジン−1−イル)オキシ]−N−(2−{[α−D−マンノピラノシル−(1→3)−[α−D−マンノピラノシル−(1→6)]−α−D−マンノピラノシル]オキシ}エチル)−6−オキソヘキサンアミド
6−({2−[(α−D−マンノピラノシル−(1→3)−[α−D−マンノピラノシル−(1→6)]−α−D−マンノピラノシル)オキシ]エチル}アミノ)−6−オキソヘキサン酸(1.55g、2.294mmol)のDMF(22mL)中溶液に0℃で、TSTU(760mg、2.52mmol)およびDIPEA(0.52mL、2.98mmol)を加えた。0℃で1時間撹拌後、反応液を、TFA(371μL、4.82mmol)を加えることで反応停止し、得られた混合物を濃縮して約3mLとした。残留物を、自動ピペットによって、脱水アセトニトリル(45mL)の入った管に滴下によって移し入れた。白色沈澱を遠心(3000rpm、15分、4℃)によって回収し、脱水AcCN(1mL)で洗浄し、乾燥させて、標題化合物を得た。UPLC方法B:C
30H
48N
2O
21の計算値:772.27、実測m/e:773.23[M+1];R
t=3.65分。
1H NMR(D
2O)δ5.07−5.06(1H、m)、4.84−4.83(1H、m)、4.79−4.78(1H、m)、4.06−4.01(2H、m)、3.96−3.93(2H、m)、3.87−3.83(5H、m)、3.80−3.78(1H、m)、3.75−3.69(5H、m)、3.67−3.61(4H、m)、3.57−3.52(1H、m)、3.41−3.38(2H、m)、2.91(4H、s)、2.75−2.71(2H、m)、2.29−2.25(2H、m)、1.75−1.58(4H、m)。
【0295】
実施例2
下記構造を有するオリゴ糖リンカー6−[(2,5−ジオキソピロリジン−1−イル)オキシ]−N−(2−{[3−O−(α−D−マンノピラノシル)−α−D−マンノピラノシル]オキシ}エチル)−6−オキソヘキサンアミド(ML−2)の合成について説明する。
【化52】
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【0296】
段階A:2−アジドエチル2,4−ジ−O−ベンゾイル−6−O−トリチル−β−D−マンノピラノシド
250mL丸底フラスコ中、2−アジドエチル2,4−ジ−O−ベンゾイル−α−D−マンノピラノシド(1.0g、2.186mmol;WO2010/088294A1参照(参照によって本明細書に組み込まれる))をピリジン(50mL)に溶かした。上記溶液に、DMAP(13mg、0.109mmol)、次にトリチルクロライド(762mg、2.73mmol)を加えた。80℃で18時間撹拌後、反応混合物を濃縮した。残留物を、0%から50%EtOAc/ヘキサンで溶離を行うシリカゲル(40g)でのフラッシュクロマトグラフィーによって精製して、標題化合物を得た。UPLC方法C:m/e=722.2955、[M+Na];R
t=4.50。
1H NMR(CDCl
3)δ7.0−8.3(m、25H)、5.8(t、1H)、5.5(m、1H)、5.2(s、1H)、4.3(m、1H)、4.1(m、2H)、4.0(m、1H)、3.5(m、1H)、3.4(m、2H)、3.2(dd、1H)、2.7(d、1H)。
【0297】
段階B:2−アジドエチル2,4−ジ−O−ベンゾイル−3−O−(2,3,4,6−テトラ−O−ベンゾイル−α−D−マンノピラノシル)−6−O−トリチル−α−D−マンノピラノシド
100mL丸底フラスコ中、2−アジドエチル2,4−ビス−O−ベンゾイル−6−O−トリチル−α−D−マンノピラノシド(400mg、0.572mmol)、2,3,4,6−テトラ−O−ベンゾイル−1−O−(2,2,2−トリクロロエタンイミドイル)−α−D−マンノピラノース(508mg、0.686mmol)および4Åモレキュラーシーブス(300mg)を加えた。上記混合物に、CH
2Cl
2(5mL)を加えた。反応混合物を冷却して−78℃とし、それにTMSOTf(10.33μL、0.057mmol)を加えた。混合物を徐々に昇温させて0℃とし、30分間撹拌した。次に、飽和NaHCO
3で反応停止し、セライト層で濾過した。濾液をCH
2Cl
2(20mL)で希釈し、ブラインおよび水で洗浄した。有機相をMgSO
4で脱水し、濃縮した。残留物を、0%から100%EtOAc/ヘキサンで溶離を行うシリカゲル(80g)でのフラッシュクロマトグラフィーによって精製して、標題生成物を得た。LC−MS方法A:m/e=1278.80[M+1];R
t=3.14分。
1H NMR(CDCl
3)δ7.1−8.3(m、30H)、6.0(t、1H)、5.8(t、1H)、5.7(m、2H)、5.4(s、1H)、5.38(m、1H)、5.2(s、1H)、4.7(dd、1H)、4.6(dd、1H)、4.45(m、1H)、4.35(dd、1H)、3.9−4.0(m、2H)、3.8(m、2H)、3.7(m、1H)、3.4(m、2H)。
【0298】
段階C:2−アジドエチル2,4−ジ−O−ベンゾイル−3−O−(2,3,4,6−テトラ−O−ベンゾイル−α−D−マンノピラノシル)−α−D−マンノピラノシド
50mL丸底フラスコ中、2−アジドエチル2,4−ジ−O−ベンゾイル−3−O−(2,3,4,6−テトラ−O−ベンゾイル−α−D−マンノピラノシル)−6−O−トリチル−α−D−マンノピラノシド(450mg、0.352mmol)およびCH
2Cl
2(3mL)を加えた。上記溶液に、TFA(3mL、38.9mmol)を加えた。25℃で1時間撹拌後、反応混合物をCH
2Cl
2(10mL)で希釈し、水(15mLで3回)およびブライン(10mL)で洗浄した。有機相をMgSO
4で脱水し、濾過し、濃縮した。残留物を、0%から100%EtOAc/ヘキサンで溶離を行うシリカゲル(40g)でのフラッシュクロマトグラフィーによって精製して、標題生成物を得た。LC−MS方法A:m/e=1053.57[M+18];R
t=2.73分。
1H NMR(CDCl
3)δ7.0−8.5(m、45H)、6.1(t、1H)、6.0(t、1H)、5.7(m、2H)、5.4(s、1H)、5.3(s、1H)、5.25(s、1H)、4.6(m、2H)、4.5(m、1H)、4.3(m、1H)、4.0−4.2(m、3H)、3.8(m、1H)、3.3−3.5(m、3H)。
【0299】
段階D:2−アジドエチル3−O−α−D−マンノピラノシル−α−D−マンノピラノシド
50mL丸底フラスコ中、2−アジドエチル2,4−ジ−O−ベンゾイル−3−O−(2,3,4,6−テトラ−O−ベンゾイル−α−D−マンノピラノシル)−α−D−マンノピラノシド(350mg、0.338mmol)およびCH
3OH(5mL)を加えた。上記溶液に、pH>10までNaOCH
3(濃)を滴下した。反応混合物を25℃で6時間撹拌した。上記溶液に、pH約7までDowex H+(50W×8−200)樹脂を加えた。固体樹脂を濾去し、濾液を濃縮して、標題化合物を得た。LC−MS方法A:m/e=434.00[M+1];R
t=0.44分。
【0300】
段階E:2−アミノエチル3−O−α−D−マンノピラノシル−α−D−マンノピラノシド
50mL丸底フラスコ中、2−アジドエチル3−O−α−D−マンノピラノシル−α−D−マンノピラノシド(139mg、0.338mmol)を水/CH
3OH(体積比1:1、5mL)に溶かした。上記溶液に、Pd/C(10%、36mg、0.034mmol)を加えた。反応混合物を25℃でH
2風船下に18時間撹拌した。混合物をセライト層で濾過し、濾液を濃縮して、標題化合物を得た。LC−MS方法A:m/e=386.08[M+1];R
t=0.24分。
【0301】
段階F:6−[(2,5−ジオキソピロリジン−1−イル)オキシ]−N−(2−{[3−O−(α−D−マンノピラノシル)−α−D−マンノピラノシル]オキシ}エチル)−6−オキソヘキサンアミド
段階Bにおいて2−アミノエチルα−D−マンノピラノシル−(1→3)−[α−D−マンノピラノシル−(1→6)]−α−D−マンノピラノシドに代えて2−アミノエチル3−O−α−D−マンノピラノシル−α−D−マンノピラノシドを用い、ML−1について記載の手順と同様の手順を用いて、標題化合物を製造した。UPLC方法B:m/e=611.201[M+1]:R
t=1.82分。
【0302】
実施例3
下記構造を有するオリゴ糖リンカー6−[(2,5−ジオキソピロリジン−1−イル)オキシ]−N−(2−{[6−O−(α−D−マンノピラノシル)−α−D−マンノピラノシル]オキシ}エチル)−6−オキソヘキサンアミド(ML−3)の合成について説明する。
【化53】
[この文献は図面を表示できません]
【0303】
段階A:2−アジドエチル2,3,4−トリ−O−ベンゾイル−6−トリチル−α−D−マンノピラノシド
250mL丸底フラスコ中、2−アジドエチル2,4−ジ−O−ベンゾイル−α−D−マンノピラノシド(1.0g、1.429mmol)をピリジン(20mL)に溶かした。上記溶液に0℃で、ベンゾイルクロライド(166μL、1.429mmol)を加えた。室温で18時間撹拌後、混合物を濃縮し、残留物をEtOAc(20mL)に溶かし、水(10mL)およびブライン(10mL)で洗浄した。有機相をMgSO
4で脱水し、濾過し、濃縮した。残留物を0%から50%EtOAc/ヘキサンで溶離を行うシリカゲル(40g)でのフラッシュクロマトグラフィーによって精製して、標題化合物を得た。LC−MS方法A:m/e=804.44[M+1];R
t=2.88分。
1H NMR(CDCl
3)δ7.0−8.2(m、30H)、6.1(t、1H)、5.8(dd、1H)、5.2(d、1H)、4.2−4.3(m、1H)、4.0−4.1(m、1H)、3.8(m、1H)、3.6(m、1H)、3.5(m、1H)、3.4(dd、H)、3.3(dd、1H)。
【0304】
段階B:2−アジドエチル2,3,4−トリ−O−ベンゾイル−α−D−マンノピラノシド
100mL丸底フラスコ中、2−アジドエチル2,3,4−トリ−O−ベンゾイル−6−トリチル−α−D−マンノピラノシド(1.1g、1.368mmol)をCH
2Cl
2(10mL)に溶かした。上記溶液に、TFA(10mL、130mmol)を加えた。25℃で18時間撹拌後、混合物をCH
2Cl
2(20mL)で希釈し、ブライン(10mL)および飽和NaHCO
3でpH約7まで洗浄した。有機相をMgSO
4で脱水し、濾過し、濃縮した。残留物を、0%から100%EtOAc/ヘキサンで溶離を行うシリカゲル(40g)でのフラッシュクロマトグラフィーによって精製して、標題化合物を得た。LC−MS方法A:m/e=579.12[M+18]および584.10[M+Na];R
t=2.22分。
1H NMR(CDCl
3)δ7.2−8.2(m、15H)、6.0(dd、1H)、5.9(t、1H)、5.7(m、1H)、5.2(brs、1H)、4.1−4.2(m、2H)、3.85(m、1H)、3.7−3.8(m、2H)、3.6(m、1H)、3.5(m、1H)。
【0305】
段階C:2−アジドエチル2,3,4−トリ−O−ベンゾイル−6−O−(2,3,4,6−テトラ−O−ベンゾイル−α−D−マンノピラノシル)−α−D−マンノピラノシド
100mL丸底フラスコ中、2−アジドエチル2,3,4−トリ−O−ベンゾイル−α−D−マンノピラノシド(720mg、1.282mmol)、2,3,4,6−テトラ−O−ベンゾイル−1−O−(2,2,2−トリクロロエタンイミドイル)−α−D−マンノピラノース(1.14g、1.539mmol)および4Åモレキュラーシーブス(300mg)を加えた。上記混合物に、CH
2Cl
2(10mL)を加えた。反応混合物を冷却して−78℃とした。上記混合物に、TMSOTf(23.2μL、0.128mmol)を加えた。混合物を徐々に昇温させて0℃とし、30分間撹拌した。飽和NaHCO
3で反応停止し、混合物をセライト層で濾過した。濾液をCH
2Cl
2(20mL)で希釈し、ブラインおよび水で洗浄した。有機相をMgSO
4で脱水し、濾過し、濃縮した。残留物を0%から100%EtOAc/ヘキサンで溶離を行うシリカゲル(80g)でのフラッシュクロマトグラフィーによって精製して、標題生成物を得た。LC−MS方法A:m/e=1157.64[M+18]および1163.52[M+Na];R
t=3.01分。
1H NMR(CDCl
3)δ7.2−8.3(m、25H)、6.0(t、1H)、5.8(t、1H)、5.7(m、2H)、5.4(s、1H)、5.38(m、1H)、5.2(s、1H)、4.7(dd、1H)、4.6(dd、1H)、4.45(m、1H)、4.35(dd、1H)、3.9−4.0(m、2H)、3.8(m、2H)、3.7(m、1H)、3.4(m、2H)。
【0306】
段階D:6−[(2,5−ジオキソピロリジン−1−イル)オキシ]−N−(2−{[6−O−(α−D−マンノピラノシル)−α−D−マンノピラノシル]オキシ}エチル)−6−オキソヘキサンアミド
段階Dで2−アジドエチル2,4−ビス−O−ベンゾイル−3−O−(2,3,4,6−テトラ−O−ベンゾイル−α−D−マンノピラノシル)−α−D−マンノピラノシドに代えて2−アジドエチル2,3,4−トリ−O−ベンゾイル−6−O−(2,3,4,6−テトラ−O−ベンゾイル−α−D−マンノピラノシル)−α−D−マンノピラノシドを用い、ML−2について記載の手順と同様の手順を用いて、標題化合物を製造した。UPLC方法B:m/e=611.202[M+1];R
t=1.88分。
【0307】
実施例4
下記構造を有するオリゴ糖リンカー6−[(2,5−ジオキソピロリジン−1−イル)オキシ]−N−{2−[(α−L−フコピラノシル)オキシ]エチル}−6−オキソヘキサンアミド(ML−4)の合成について説明する。
【化54】
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【0308】
段階Bで2−アミノエチルα−D−マンノピラノシル−(1→3)−[α−D−マンノピラノシル−(1→6)]−α−D−マンノピラノシドに代えて2−アミノエチルα−L−フコピラノシド(Bilstein J. Org. Chem. 2010, 6, 699−703)を用い、ML−1について記載の手順と同様の手順を用いて、標題化合物を製造した。UPLC方法B:m/e=433.14[M+1];R
t=2.14分。
【0309】
実施例5
下記構造を有するオリゴ糖リンカー6−[(2,5−ジオキソピロリジン−1−イル)オキシ]−N−[2−(α−D−マンノピラノシルオキシ)エチル]−6−オキソヘキサンアミド(ML−5)の合成について説明する。
【化55】
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【0310】
段階Bで2−アミノエチルα−D−マンノピラノシル−(1→3)−[α−D−マンノピラノシル−(1→6)]−α−D−マンノピラノシドに代えて2−アミノエチルα−D−マンノピラノシド(Eur. J. Org. Chem. 2002, 79−86)を用い、ML−1について記載の手順と同様の手順を用いて、標題化合物を製造した。UPLC方法B:m/e=449.14[M+1]、R
t=1.90分。
【0311】
実施例6
下記構造を有するオリゴ糖リンカーN,N−ビス[2−({2−[(α−L−フコピラノシル)オキシ]エチル}アミノ)−2−オキソエチル]−6−[(2,5−ジオキソピロリジン−1−イル)オキシ]−6−オキソヘキサンアミド(ML−6)の合成について説明する。
【化56】
[この文献は図面を表示できません]
【0312】
段階A:6−[ビス(2−tert−ブトキシ−2−オキソエチル)アミノ]−6−オキソヘキサン酸ベンジル
6−(ベンジルオキシ)−6−オキソヘキサン酸(1.5g、6.35mmol)のDMF(50mL)中溶液を撹拌しながら、それに室温でDIPEA(2.218mL、12.70mmol)、HOBt(1.945g、12.7mmol)、EDC(2.434g、12.7mmol)およびジ−tert−ブチル2,2′−イミノジアセテート(2.34g、9.52mmol)を加えた。室温で16時間撹拌後、反応混合物をH
2O(30mL)で希釈し、CH
2Cl
2で抽出した(30mLで2回)。合わせた有機相をブラインで洗浄し、Na
2SO
4で脱水し、濃縮した。残留物を0%から40%EtOAc/ヘキサンで溶離を行うシリカゲル(80g)でのフラッシュクロマトグラフィーによって精製して、標題化合物を得た。LC−MS方法A:m/e=464.04[M+1];R
t=2.47分。
1H NMR(CDCl
3)δ7.32(m、5H)、5.07(s、2H)、4.02(s、2H)、3.96(s、2H)、2.35(s、2H)、2.26(s、2H)、1.66(s、4H)、1.42−1.44(bs、18H)。
【0313】
段階B:2,2′−{[6−(ベンジルオキシ)−6−オキソヘキサノイル]イミノ}ジ酢酸
6−[ビス(2−tert−ブトキシ−2−オキソエチル)アミノ]−6−オキソヘキサン酸ベンジル(5.9g、12.73mmol)のCH
2Cl
2(30mL)中溶液を撹拌しながら、それに室温で、TFA(30mL、12.73mmol)を加えた。室温で16時間撹拌後、混合物を濃縮した。残留物をC18逆相シリカゲルでのフラッシュクロマトグラフィーによって精製して、標題化合物を得た。LC−MS方法A:m/e=486[M+1];R
t=2.53分。
1H NMR(CD
3OD)δ7.30(m、5H)、5.06(s、2H)、4.81(s、4H)、4.19(s、2H)、4.07(s、2H)、2.34(q、4H、J=7.03)。
【0314】
段階C:6−{ビス[2−({2−[(α−L−フコピラノシル)オキシ]エチル}アミノ)−2−オキソエチル]アミノ}−6−オキソヘキサン酸ベンジル
2,2′−{[6−(ベンジルオキシ)−6−オキソヘキサノイル]イミノ}ジ酢酸(800mg、2.277mmol)のDMF(12mL)中溶液を撹拌しながら、それに室温で、2−アミノエチルα−L−フコピラノシド(1.132g、5.46mmol)、DMAP(834mg、6.83mmol)およびEDC(1.528g、7.97mmol)を加えた。室温で16時間撹拌後、反応混合物を濃縮し、残留物を0%から40%AcCN/水で溶離を行うC18逆相シリカゲル(120g)でのフラッシュクロマトグラフィーによって精製して、標題化合物を得た。LC−MS方法A:m/e=730.26[M+1];R
t=1.42分。
【0315】
段階D:6−{ビス[2−({2−[(α−L−フコピラノシル)オキシ]エチル}アミノ)−2−オキソエチル]アミノ}−6−オキソヘキサン酸
6−{ビス[2−({2−[(α−L−フコピラノシル)オキシ]エチル}アミノ)−2−オキソエチル]アミノ}−6−オキソヘキサン酸ベンジル(900mg、1.233mmol)のH
2O(5mL)中溶液を撹拌しながら、それに室温で、ジヒドロキシパラジウム(866mg、1.233mmol)を加えた。混合物を脱気し、H
2風船下に撹拌した。H
2下に室温で16時間撹拌後、反応混合物をセライト層で濾過し、CH
3OHで洗浄した(10mLで3回)。濾液を濃縮して、標題化合物を得た。LC−MS方法A:m/e=640.17[M+1];R
t=0.98分。
【0316】
段階E:N,N−ビス[2−({2−[(α−L−フコピラノシル)オキシ]エチル}アミノ)−2−オキソエチル]−6−[(2,5−ジオキソピロリジン−1−イル)オキシ]−6−オキソヘキサンアミド
6−{ビス[2−({2−[(α−L−フコピラノシル)オキシ]エチル}アミノ)−2−オキソエチル]アミノ}−6−オキソヘキサン酸(160mg、0.250mmol)のDMF(3.0mL)中溶液を撹拌しながら、それに0℃で、TSTU(94mg、0.313mmol)のDMF(2mL)中溶液を加え、5分後、DIPEA(53μL、0.300mmol)を加えた。0℃で1.5時間撹拌後、遠心管中、混合物をEt
2O(30mL)に滴下した。3500rpmで30分間遠心後、上清を傾斜法によって除去し、固体残留物をH
2Oに溶かし、それを凍結乾燥して、標題生成物を得た。UPLC方法B:m/e=737[M+1];R
t=2.19分。
【0317】
実施例7
下記構造を有するオリゴ糖リンカー2,2′−{[2−({6−[(2,5−ジオキソピロリジン−1−イル)オキシ]−6−オキソヘキシル}アミノ)−2−オキソエチル]イミノ}ビス(N−{2−[(α−L−フコピラノシル)オキシ]エチル}アセトアミド)(ML−7)の合成について説明する。
【化57】
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【0318】
段階A:2,2′−[(2−{[6−(ベンジルオキシ)−6−オキソヘキシル]アミノ}−2−オキソエチル)イミノ]ジ酢酸
4−メチルベンゼンスルホン酸6−(ベンジルオキシ)−6−オキソヘキサン−1−アミニウム(2.0g、5.08mmol)のDMF(10mL)中溶液に0℃で、K
2CO
3(738mg、5.34mmol)を加えた。0℃で2時間撹拌後、反応混合物の上清を、3−(2,6−ジオキソモルホリン−4−イル)プロパン酸(1.10g、6.35mmol)のDMF(10mL)中溶液に0℃で加えた。0℃で30分間撹拌後、反応混合物を室温で1時間撹拌し、冷却して0℃とし、次に水(10mL)を加えた。得られた混合物を濃縮し、残留物を水(10mL)に懸濁させた。0℃で16時間撹拌後、固体を濾過によって回収し、乾燥させて、標題化合物を得た。
1H NMR(CD
3OD)δ7.36−7.30(m、5H)、5.11(s、2H)、3.56(s、4H)、3.43(s、2H)、3.23(t、J=6.7、2H)、2.39(t、J=7.3、2H)、1.68−1.62(m、2H)、1.57−1.51(m、2H)、1.40−1.35(m、2H)。
【0319】
段階B:6−[({ビス[2−({2−[(α−L−フコピラノシル)オキシ]エチル}アミノ)−2−オキソエチル]アミノ}アセチル)アミノ]ヘキサン酸ベンジル
2−アミノエチルα−L−フコピラノシド(7.88g、38.04mmol)および2,2′−[(2−{[6−(ベンジルオキシ)−6−オキソヘキシル]アミノ}−2−オキソエチル)イミノ]ジ酢酸(2.5g、19.02mmol)のDMF(10mL)中溶液に、HOBt(2.43g、15.85mmol)およびEDC(3.04g、15.85mmol)を加えた。室温で16時間撹拌後、反応混合物を濃縮し、残留物を0%から50%AcCN/水で溶離を行うC18逆相シリカゲル(120g)でのフラッシュクロマトグラフィーによって精製して、標題化合物を得た。UPLC方法B:m/e=773.292[M+1];R
t=3.74分。
【0320】
段階C:2,2′−{[2−({6−[(2,5−ジオキソピロリジン−1−イル)オキシ]−6−オキソヘキシル}アミノ)−2−オキソエチル]イミノ}ビス(N−{2−[(α−L−フコピラノシル)オキシ]エチル}アセトアミド)
段階Dで6−{ビス[2−({2−[(α−L−フコピラノシル)オキシ]エチル}アミノ)−2−オキソエチル]アミノ}−6−オキソヘキサン酸ベンジルに代えて6−[({ビス[2−({2−[(α−L−フコピラノシル)オキシ]エチル}アミノ)−2−オキソエチル]アミノ}アセチル)アミノ]ヘキサン酸ベンジルを用い、ML−6について記載の手順と同様の手順を用いて、標題化合物を製造した。UPLC方法B:m/e=780.265[M+1];R
t=2.39分。
【0321】
実施例8
下記構造を有するオリゴ糖リンカー2,5−ジオキソピロリジン−1−イルN,N−ビス[2−({2−[(α−L−フコピラノシル)オキシ]エチル}アミノ)−2−オキソエチル]グリシル−β−アラニネート(ML−8)の合成について説明する。
【化58】
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【0322】
段階A:2,2′−[(2−{[3−(ベンジルオキシ)−3−オキソプロピル]アミノ}−2−オキソエチル)イミノ]ジ酢酸
3−アミノプロパン酸ベンジル塩酸塩(4.49g、20.8mmol)のDMF(30mL)中溶液を氷浴で冷却し、それにK
2CO
3(3.02g、21.84mmol)を加え、得られた混合物を0℃で2時間撹拌した。混合物を濾過し、濾液を、氷浴で冷却した2−(2,6−ジオキソモルホリノ)酢酸(4.47g、25.8mmol)のDMF(30mL)中溶液に加えた。得られた混合物を0℃で30分間、室温で2時間撹拌した。反応を、水(30mL)を加えることで反応停止し、得られた混合物を濃縮した。残留物を水(40mL)とともに撹拌し、得られた沈澱を濾過によって回収し、乾燥させて、標題化合物を得た。
1H NMR(DMSO−d
6)δ2.53(t、J=6.8、2H)、3.27(s、2H)、3.36(q、J=6.2、2H)、3.42(m、2H)、3.49(s、2H)、5.09(s、2H)、7.28(m、4H)、8.16(m、1H)、12.45(brs、2H)。
【0323】
段階B:2,5−ジオキソピロリジン−1−イルN,N−ビス[2−({2−[(α−L−フコピラノシル)オキシ]エチル}アミノ)−2−オキソエチル]グリシル−β−アラニネート
段階Bで2,2′−[(2−{[6−(ベンジルオキシ)−6−オキソヘキシル]アミノ}−2−オキソエチル)イミノ]ジ酢酸に代えて2,2′−[(2−{[3−(ベンジルオキシ)−3−オキソプロピル]アミノ}−2−オキソエチル)イミノ]ジ酢酸を用い、ML−7について記載の手順と同様の手順を用いて、標題化合物を製造した。UPLC方法E:m/e=738.2149[M+1;R
t=1.77分。
【0324】
実施例9
下記構造を有するオリゴ糖リンカー2,5−ジオキソピロリジン−1−イルN,N−ビス[2−({2−[(α−L−フコピラノシル)オキシ]エチル}アミノ)−2−オキソエチル]グリシルグリシネート(ML−9)の合成について説明する。
【化59】
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【0325】
段階Aで6−(ベンジルオキシ)−6−オキソヘキサン−1−アミニウム4−メチルベンゼンスルホネートに代えてベンジルグリシネートを用い、ML−7について記載の手順と同様の手順を用いて、標題化合物を製造した。UPLC方法B:m/e=724.23[M+1];R
t=1.10分。
【0326】
実施例10
下記構造を有するオリゴ糖リンカー15−[(2,5−ジオキソピロリジン−1−イル)オキシ]−N−{2−[(α−L−フコピラノシル)オキシ]エチル}−3−[2−({2−[(α−L−フコピラノシル)オキシ]エチル}アミノ)−2−オキソエチル]−5,15−ジオキソ−9,12−ジオキサ−3,6−ジアザペンタデカン−1−アミド(ML−10)の合成について説明する。
【化60】
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【0327】
段階Aで6−(ベンジルオキシ)−6−オキソヘキサン−1−アミニウム4−メチルベンゼンスルホネートに代えて3−[2−(2−アミノエトキシル)エトキシ]プロパン酸ベンジルを用い、ML−7について記載の手順と同様の手順を用いて、標題化合物を製造した。UPLC方法B:m/e=825.812[M+1];R
t=2.17分。
【0328】
実施例11
下記構造を有するオリゴ糖リンカー6−{[ビス({3−オキソ−3−[(α−L−フコピラノシル)オキシ]−2−オキソエチル}アミノ)プロピル]アミノ}−6−オキソヘキサン酸2,5−ジオキソピロリジン−1−イル(ML−11)の合成について説明する。
【化61】
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【0329】
段階A:3,3′−{[6−(ベンジルオキシ)−6−オキソヘキサノイル]イミノ}ジプロパン酸
3,3′−イミノジプロピオン酸(2.59g、7.76mmol)のDMF(20mL)中溶液に0℃で、DMF(3mL)中の6−[(2,5−ジオキソピロリジン−1−イル)オキシ]−6−オキソヘキサン酸ベンジル(2.59g、7.76mmol)を15分の期間をかけて少量ずつ加え、次にTEA(951μL、6.83mmol)を10分の期間をかけて滴下した。得られた懸濁液を室温で16時間撹拌した。不溶物を濾過によって除去し、濾液を濃縮した。残留物を、5%から50%AcCN/水で溶離を行うC18逆相シリカゲル(150g)でのフラッシュクロマトグラフィーによって精製して、標題化合物を得た。UPLC方法B:m/e=380.177[M+1];R
t=3.46分。
【0330】
段階B:6−{[ビス({3−オキソ−3−[(α−L−フコピラノシル)オキシ]−2−オキソエチル}アミノ)プロピル]アミノ}−6−オキソヘキサン酸2,5−ジオキソピロリジン−1−イル
段階Cで2,2′−{[6−(ベンジルオキシ)−6−オキソヘキサノイル]イミノ}ジ酢酸に代えて3,3′−{[6−(ベンジルオキシ)−6−オキソヘキサノイル]イミノ}ジプロパン酸を用い、ML−6について記載の手順と同様の手順を用いて、標題化合物を製造した。UPLC方法B:m/e=765.36[M+1];R
t=2.15分。
【0331】
実施例12
下記構造を有するオリゴ糖リンカー1−({6−[(2,5−ジオキソピロリジン−1−イル)オキシ]−6−オキソヘキシル}アミノ)−1−オキソヘキサン−2−イル]−N−{2−[(α−L−フコピラノシル)オキシ]エチル}−N′−[(2S)−6−{[6−({2−[(α−L−フコピラノシル)オキシ]エチル}アミノ)−6−オキソヘキサノイル]アミノ}ヘキサンジアミド(ML−12)の合成について説明する。
【化62】
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【0332】
段階A:N
2−[(ベンジルオキシ)カルボニル]−N6−[6−({2−[(α−L−フコピラノシル)オキシ]エチル}アミノ)−6−オキソヘキサノイル]−L−リジン
250mL丸底フラスコ中、N
2−[(ベンジルオキシ)カルボニル]−L−リジン(194mg、0.694mmol)およびDMF(10mL)を加えた。上記溶液に、DMF(5mL)中のML−4(300mg、0.694mmol)を滴下し、次に、DIPEA(121μL、0.694mmol)を加えた。室温で18時間撹拌後、反応混合物を濃縮した。残留物を、0%から40%AcCN/水で溶離を行うC18逆相シリカゲルでのフラッシュクロマトグラフィーによって精製して、標題生成物を得た。UPLC方法B:m/e=598.2997[M+1];R
t=2.99分。
【0333】
段階B:N
6−[6−({2−[(α−L−フコピラノシル)オキシ]エチル}アミノ)−6−オキソヘキサノイル]−L−リジン
100mLフラスコ中、N
2−[(ベンジルオキシ)カルボニル]−N
6−[6−({2−[(α−L−フコピラノシル)オキシ]エチル}アミノ)−6−オキソヘキサノイル]−L−リジン(200mg、0.335mmol)を水(5mL)に溶かした。フラスコを脱気し、N
2を充填した。上記混合物に、PdOH
2(48.7mg、0.069mmol)を加えた。混合物をH
2風船下に2時間撹拌した。混合物をセライト層で濾過し、濾液を濃縮して、標題化合物を得た。UPLC方法B:m/e=464.2697[M+1];R
t=2.61分。
【0334】
段階C:6−({N
2,N
6−ビス[6−({2−[(α−L−フコピラノシル)オキシ]エチル}アミノ)−6−オキソヘキサノイル]−L−リシル}アミノ)ヘキサン酸ベンジル
40mLバイアル中、N
6−[6−({2−[(α−L−フコピラノシル)オキシ]エチル}アミノ)−6−オキソヘキサノイル]−L−リジン(150mg、0.324mmol)およびDMF(5mL)を加えた。溶液を冷却して0℃とした。上記溶液に、DMF(2mL)中のML−4(140mg、0.324mmol)を滴下し、次にTEA(45μL、0.324mmol)を加えた。反応混合物を昇温させて室温とし、1時間撹拌した。得られた混合物に、TSTU(97mg、0.324mmol)を加え、次にTEA(45μL、0.324mmol)を加えた。混合物を室温で20分撹拌した。得られた混合物に、6−(ベンジルオキシ)−6−オキソヘキサン−1−アミニウム4−メチルベンゼンスルホネート(127mg、0.324mmol)のDMF(1.0mL)中溶液を加えた。室温で18時間撹拌後、混合物を濃縮した。残留物をフラッシュクロマトグラフィーによって精製して、標題化合物を得た。UPLC方法B:m/e=984.5469[M+1];R
t=3.37分。
【0335】
段階D:1−({6−[(2,5−ジオキソピロリジン−1−イル)オキシ]−6−オキソヘキシル}アミノ)−1−オキソヘキサン−2−イル1−N−{2−[(α−L−フコピラノシル)オキシ]エチル}−N′−(2S)−6−{[6−({2−[(α−L−ガラクトピラノシル)オキシ]エチル}アミノ)−6−オキソヘキサノイル]アミノ}ヘキサンジアミド
段階Cで6−({2−[(α−D−マンノピラノシル−(1→3)−[α−D−マンノピラノシル−(1→6)]−α−D−マンノピラノシル)オキシ]エチル}アミノ)−6−オキソヘキサン酸ベンジルに代えて6−({N
2,N
6−ビス[6−({2−[(α−L−フコピラノシル)オキシ]エチル}アミノ)−6−オキソヘキサノイル]−L−リシル}アミノ)ヘキサン酸ベンジルを用い、ML−1について記載の手順と同様の手順を用いて、標題化合物を製造した。UPLC方法B:m/e=991.5182[M+1];R
t=2.41分。
【0336】
実施例13
下記構造を有するオリゴ糖リンカー2N−{2−[(α−L−フコピラノシル)オキシ]エチル}−N′−[(5S)−6−{[6−({2−[(α−L−フコピラノシル)オキシ]エチル}アミノ)−6−オキソヘキシル]アミノ}−5−({8−[(2,5−ジオキソピロリジン−1−イル)オキシ]−8−オキソオクタノイル}アミノ)−6−オキソヘキシル]ヘキサンジアミド(ML−13)の合成について説明する。
【化63】
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【0337】
段階A:N
2−{8−(ベンジルオキシ)−8−オキソオクタノイル}−N
6−[6−({2−[(α−L−フコピラノシル)オキシ]エチル}アミノ)−6−オキソヘキサノイル]−L−リジン
N
6−[6−({2−[(α−L−フコピラノシル)オキシ]エチル}アミノ)−6−オキソヘキサノイル]−L−リジン(310mg、0.669mmol)のDMF(20mL)中溶液に0℃で、8−[(2,5−ジオキソピロリジン−1−イル)オキシ]−8−オキソオクタン酸ベンジル(242mg、0.669mmol)を加え、次にDIPEA(0.117mL、0.669mmol)を加えた。反応液を昇温させて25℃とし、この温度で18時間撹拌した。反応混合物を濃縮し、残留物を、0%から30%CAN/水で溶離を行うC18逆相シリカゲルでのフラッシュクロマトグラフィーによって精製して、標題化合物を得た。UPLC方法B:m/e=710.423[M+1];R
t=4.59分。
【0338】
段階B:8−({(12S)−1,26−ビス[(α−L−フコピラノシル)オキシ]−4,11,18,23−テトラオキソ−3,10,17,24−テトラアザヘキサコサン−12−イル}アミノ)−8−オキソオクタン酸ベンジル
40mLバイアル中、N
2−{8−(ベンジルオキシ)−8−オキソオクタノイル}−N
6−[6−({2−[(α−L−フコピラノシル)オキシ]エチル}アミノ)−6−オキソヘキサノイル]−L−リジン(100mg、0.141mmol)およびDMF(5mL)を加えた。上記溶液に0℃で、EDC(40.5mg、0.211mmol)およびHOBt(23.7mg、0.155mmol)を加えた。反応液を昇温させて室温とし、室温で20分間撹拌した。上記混合物に、6−アミノ−N−{2−[(α−L−フコピラノシル)オキシ]エチル}ヘキサンアミド(45.1mg、0.141mmol)を加えた。室温で18時間撹拌後、混合物を濃縮した。残留物を0%から40%AcCN/水で溶離を行うフラッシュクロマトグラフィーによって精製して、標題化合物を得た。UPLC方法B:m/e=1012.6348[M+1];R
t=3.28分。
【0339】
段階C:N−{2−[(α−L−フコピラノシル)オキシ]エチル}−N′−[(5S)−6−{[6−({2−[(α−L−フコピラノシル)オキシ]エチル}アミノ)−6−オキソヘキシル]アミノ}−5−({8−[(2,5−ジオキソピロリジン−1−イル)オキシ]−8−オキソオクタノイル}アミノ)−6−オキソヘキシル]ヘキサンジアミド
段階Cで6−({2−[(α−D−マンノピラノシル−(1→3)−[α−D−マンノピラノシル−(1→6)]−α−D−マンノピラノシル)オキシ]エチル}アミノ)−6−オキソヘキサン酸ベンジルに代えて8−({(12S)−1,26−ビス[(α−L−フコピラノシル)オキシ]−4,11,18,23−テトラオキソ−3,10,17,24−テトラアザヘキサコサン−12−イル}アミノ)−8−オキソオクタン酸ベンジルを用い、ML−1について記載の手順と同様の手順を用いて、標題化合物を製造した。UPLC方法B:m/e=1019.588[M+1];R
t=2.38分。
【0340】
実施例14
下記構造を有するオリゴ糖リンカーN−{(5S)−5−({8−[(2,5−ジオキソピロリジン−1−イル)オキシ]−8−オキソオクタノイル}アミノ)−6−[(2−{[α−D−マンノピラノシル−(1→3)−[α−D−マンノピラノシル−(1→6)]−α−D−マンノピラノシル]オキシ}エチル)アミノ]−6−オキソヘキシル}−N′−{2−[(α−L−フコピラノシル)オキシ]エチル}ヘキサンジアミド(ML−14)の合成について説明する。
【化64】
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【0341】
段階A:N
2−[(ベンジルオキシ)カルボニル]−N
6−[6−({2−[(α−L−フコピラノシル)オキシ]エチル}アミノ)−6−オキソヘキサノイル]−L−リジン酸2,5−ジオキソピロリジン−1−イル
6−(ベンジルオキシ)−6−オキソヘキサノエートに代えてN
2−{8−(ベンジルオキシ)−8−オキソオクタノイル}−N
6−[6−({2−[(α−L−フコピラノシル)オキシ]エチル}アミノ)−6−オキソヘキサノイル]−L−リジンを用い、ML−1段階Aについて記載の手順と同様の手順を用いて、標題化合物を製造した。UPLC方法B:m/e=695.213[M+1];R
t=3.98分。
【0342】
段階B:N
2−[(ベンジルオキシ)カルボニル]−N
6−[6−({2−[(α−L−フコピラノシル)オキシ]エチル}アミノ)−6−オキソヘキサノイル]−N−(2−{[α−D−マンノピラノシル−(1→3)−[α−D−マンノピラノシル−(1→6)]−α−D−マンノピラノシル]オキシ}エチル)−L−リジンアミド
40mLバイアル中、2−アミノエチルα−D−マンノピラノシル−(1→3)−[α−D−マンノピラノシル−(1→6)]−α−D−マンノピラノシド(883mg、1.612mmol)をDMF(10mL)に溶かした。上記溶液に0℃で、N
2−[(ベンジルオキシ)カルボニル]−N
6−[6−({2−[(α−L−フコピラノシル)オキシ]エチル}アミノ)−6−オキソヘキサノイル]−L−リジン酸2,5−ジオキソピロリジン−1−イル(700mg、1.008mmol)のDMF(10mL)中溶液を滴下した。室温で18時間撹拌後、混合物を濃縮した。残留物をHPLC(Waters Delta Pak C4 300A、15μm、50×250mmカラム、流量85mL/分、25分以内で勾配8%から30%ACN/水)によって精製して、標題化合物を得た。UPLC方法B:m/e=1127.335[M+1];R
t=2.83分。
【0343】
段階C:N−{(5S)−5−アミノ−6−[(2−{[α−D−マンノピラノシル−(1→3)−[α−D−マンノピラノシル−(1→6)]−α−D−マンノピラノシル]オキシ}エチル)アミノ]−6−オキソヘキシル}−N′−{2−[(α−L−フコピラノシル)オキシ]エチル}ヘキサンジアミド
100mLフラスコ中、N
2−[(ベンジルオキシ)カルボニル]−N
6−[6−({2−[(α−L−フコピラノシル)オキシ]エチル}アミノ)−6−オキソヘキサノイル]−N−(2−{[α−D−マンノピラノシル−(1→3)−[α−D−マンノピラノシル−(1→6)]−α−D−マンノピラノシル]オキシ}エチル)−L−リジンアミド(950mg、0.843mmol)を水(10mL)に溶かした。フラスコを脱気し、N
2を充填した。得られた混合物に、Pd/C(10%、179mg、0.169mmol)を加えた。混合物をH
2風船下に18時間撹拌した。混合物をセライト層で濾過し、濾液を濃縮して、標題化合物を得た。UPLC方法B:m/e=993.326[M+1];R
t=1.37分。
【0344】
段階D:N−{(5S)−5−({8−[(2,5−ジオキソピロリジン−1−イル)オキシ]−8−オキソオクタノイル}アミノ)−6−[(2−{[α−D−マンノピラノシル−(1→3)−[α−D−マンノピラノシル−(1→6)]−α−D−マンノピラノシル]オキシ}エチル)アミノ]−6−オキソヘキシル}−N′−{2−[(α−L−フコピラノシル)オキシ]エチル}ヘキサンジアミド
段階CでN
6−[6−({2−[(α−L−フコピラノシル)オキシ]エチル}アミノ)−6−オキソヘキサノイル]−L−リジンに代えてN−{(5S)−5−アミノ−6−[(2−{[α−D−マンノピラノシル−(1→3)−[α−D−マンノピラノシル−(1→6)]−α−D−マンノピラノシル]オキシ}エチル)アミノ]−6−オキソヘキシル}−N′−{2−[(α−L−フコピラノシル)オキシ]エチル}ヘキサンジアミドを用い、ML−12について記載の手順と同様の手順を用いて、標題化合物を製造した。UPLC方法B:m/e=1218.418[M+1];R
t=2.25分。
【0345】
実施例15
下記構造を有するオリゴ糖リンカー2,2′−{[2−({6−[(2,5−ジオキソピロリジン−1−イル)オキシ]−6−オキソヘキシル}アミノ)−2−オキソエチル]イミノ}ビス[N−(2−{[α−D−マンノピラノシル−(1→3)−[α−D−マンノピラノシル−(1→6)]−α−D−マンノピラノシル]オキシ}エチル)アセトアミド](ML−15)の合成について説明する。
【化65】
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【0346】
段階Bで2−アミノエチルα−L−フコピラノシドに代えて2−アミノエチルα−D−マンノピラノシル−(1→3)−[α−D−マンノピラノシル−(1→6)]−α−D−マンノピラノシドを用い、ML−7について記載の手順と同様の手順を用いて、標題化合物を製造した。UPLC方法B:m/e=1460.58[M+1];R
t=1.53分。
【0347】
実施例16
下記構造を有するオリゴ糖リンカーN,N′−ビス{2−[(α−L−フコピラノシル)オキシ]エチル}−1−{6−[2,5−ジオキソピロリジン−1−イル)オキシ]−6−オキソヘキサノイル}ピロリジン−シス−3,4−ジカルボキサミド(ML−16)の合成について説明する。
【化66】
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【0348】
段階Cで2,2′−{[6−(ベンジルオキシ)−6−オキソヘキサノイル]イミノ}ジ酢酸に代えてピロリジン−シス−3,4−ジカルボン酸を用い、ML−6について記載の手順と同様の手順を用いて、標題化合物を製造した。UPLC方法B:m/e=763.38[M+1];R
t=2.12分。
【0349】
実施例17
下記構造を有するオリゴ糖リンカー1−{6−[(2,5−ジオキソピロリジン−1−イル)オキシ]−6−オキソヘキサノイル}−N,N′−ビス{2−[(α−L−フコピラノシル)オキシ]エチル}ピペリジン−シス−3,5−ジカルボキサミド(ML−17)の合成について説明する。
【化67】
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【0350】
段階A:N,N′−ビス{2−[(α−L−フコピラノシル)オキシ]エチル}ピリジン−3,5−ジカルボキサミド
3,5−ピリジンジカルボン酸(311mg、1.861mmol)のDMF(30mL)中溶液を撹拌しながら、それに室温で、2−アミノエチルα−L−フコピラノシド(2.077g、9.30mmol)、DMAP(568mg、4.65mmol)、およびEDC(1784mg、9.30mmol)を加えた。室温で16時間撹拌後、反応混合物を濃縮した。残留物を、AcCN/水で溶離を行うC18逆相シリカゲル(300g)でのフラッシュクロマトグラフィーによって精製して、標題化合物を得た。UPLC方法B:m/e=578.31[M+1];R
t=0.25分。
【0351】
段階B:N,N′−ビス{2−[(α−L−フコピラノシル)オキシ]エチル}ピペリジン−シス−3,5−ジカルボキサミド
N,N′−ビス{2−[(α−L−フコピラノシル)オキシ]エチル}ピリジン−3,5−ジカルボキサミド(550mg、0.952mmol)のH
2O(12mL)中溶液を撹拌しながら、それに室温で、PtO
2(64.9mg、0.286mmol)を加えた。混合物を脱気し、H
2風船下に室温で4時間撹拌した。反応混合物をセライト層で濾過し、濾液を濃縮し、CH
3OHに再溶解させ、遠心分離して、固体触媒を沈澱させた。上清を濃縮して、標題化合物を得た。UPLC方法B:m/e=584.27[M+1];R
t=1.14分。
【0352】
段階C:6−[シス−3,5−ビス({2−[(α−L−フコピラノシル)オキシ]エチル}カルバモイル)ピペリジン−1−イル]−6−オキソヘキサン酸ベンジル
6−(ベンジルオキシ)−6−オキソヘキサン酸(125mg、0.529mmol)のDMF(3mL)中溶液を撹拌しながら、それに室温で、DMAP(64.6mg、0.529mmol)、EDC(203mg、1.058mmol)およびN,N′−ビス{2−[(α−L−フコピラノシル)オキシ]エチル}ピペリジン−シス−3,5−ジカルボキサミド(438mg、0.794mmol)のDMF(2mL)中溶液を加えた。室温で終夜撹拌後、反応混合物を濃縮し、残留物を、0%から50%AcCN/水で溶離を行うC18逆相シリカゲルでのフラッシュクロマトグラフィーによって精製して、標題化合物を得た。UPLC方法F:m/e=770.48[M+1];R
t=1.38分。
【0353】
段階D:1−{6−[(2,5−ジオキソピロリジン−1−イル)オキシ]−6−オキソヘキサノイル}−N,N′−ビス{2−[(α−L−フコピラノシル)オキシ]エチル}ピペリジン−シス−3,5−ジカルボキサミド
段階Dで6−{ビス[2−({2−[(α−L−フコピラノシル)オキシ]エチル}アミノ)−2−オキソエチル]アミノ}−6−オキソヘキサン酸ベンジルに代えて6−[シス−3,5−ビス({2−[(α−L−フコピラノシル)オキシ]エチル}カルバモイル)ピペリジン−1−イル]−6−オキソヘキサン酸ベンジルを用い、ML−6について記載の手順と同様の手順を用いて、標題化合物を製造した。UPLC方法F:m/e=777.35[M+1];R
t=2.23分。
【0354】
実施例18
下記構造を有するオリゴ糖リンカーN
1,N
5−ビス{2−[(α−L−フコピラノシル)オキシ]エチル}−N
2−{6−[(2,5−ジオキソピロリジン−1−イル)オキシ]−6−オキソヘキサノイル}−L−グルタミド(ML−18)の合成について説明する。
【化68】
[この文献は図面を表示できません]
【0355】
段階A:ベンジル[(2S)−1,5−ジオキソ−1,5−ビス({2−[(α−L−フコピラノシル)オキシ]エチル}アミノ)ペンタン−2−イル]カーバメート
N−[(ベンジルオキシ)カルボニル]−L−グルタミン酸(1.1g、3.91mmol)および2−アミノエチルα−L−フコピラノシド(2.026g、9.78mmol)のDMF(10mL)中溶液に、EDC(3.00g、15.64mmol)およびDMAP(0.048g、0.391mmol)を加えた。室温で24時間撹拌後、反応混合物を濃縮し、残留物を5倍カラム体積にわたり100%EtOAc、次に定組成EtOAc:AcCN:MeOH6:1:1で溶離を行うシリカゲル(80g)でのフラッシュクロマトグラフィーによって精製して、標題化合物を得た。
1H NMR(CD
3OD)δ7.38−7.29(m、5H)、5.13−5.05(m、2H)、4.76(s、2H)、4.09(dd、J=5.3、8.6、1H)、3.95−3.91(m、2H)、3.74−3.65(m、6H)、3.53−3.25(m、8H)、2.30(t、J=7.5、2H)、2.06−2.04(m、1H)、1.92−1.89(m、1H)、1.19(d、J=6.5、6H)。
【0356】
段階B:2−[(N−{2−[(α−L−フコピラノシル)オキシ]エチル}−L−α−グルタミニル)アミノ]エチルα−L−フコピラノシド
ベンジル[(2S)−1,5−ジオキソ−1,5−ビス({2−[(α−L−フコピラノシル)オキシ]エチル}アミノ)ペンタン−2−イル]カーバメート(940mg、1.425mmol)およびパールマン触媒(20mg、0.028mmol)のCH
3OH(20mL)中懸濁液を約0.21MPa(30psi)H
2下に室温で振盪した。16時間後、触媒を濾去し、濾液を濃縮して標題化合物を得た。
【0357】
段階C:{[(2S)−1,5−ジオキソ−1,5−ビス({2−[(α−L−フコピラノシル)オキシ]エチル}アミノ)ペンタン−2−イル]アミノ}−6−オキソヘキサン酸ベンジル
6−(ベンジルオキシ)−6−オキソヘキサン酸(260mg、1.1mmol)のDMF(10mL)中溶液に0℃で、TSTU(348mg、1.155mmol)と次にDIPEA(202μL、1.155mmol)を加えた。0℃で1時間撹拌後、反応混合物を、Et
2O(100mL)とブライン(100mL)との間で分配した。有機相を分離し、ブラインでさらに洗浄し(100mLで2回)、MgSO
4で脱水し、濃縮した。残留物をDMF(5mL)に再溶解させ、2−[(N−{2−[(α−L−フコピラノシル)オキシ]エチル}−L−α−グルタミニル)アミノ]エチルα−L−フコピラノシド(368mg、1.103mmol)のDMF(10mL)中溶液に0℃で加え、次にEt
3N(154μL、1.103mmol)を加えた。0℃で30分間撹拌後、反応混合物を徐々に昇温させて室温とし、2時間撹拌した。反応混合物をCH
3OH(10mL)で希釈し、HPLC(勾配34分かけて6%から30% 0.1%TFA/水、50×250mm C4 15μm、300A、100mL/分流量)によって精製した。
1H NMR(CD
3OD)δ8.18(m、1H)、7.35−7.30(m、5H)、5.11(s、2H)、4.76(d、J=3.6、2H)、4.30(dd、J=5.5、8.6、1H)、3.93(dd、J=6.5、13.1、2H)、3.74−3.71(m、4H)、3.65(s、2H)、3.54−3.25(m、6H)、2.40(t、J=6.7、2H)、2.29−2.26(m、4H)、2.07−2.03(m、2H)、1.93−1.88(m、2H)、1.65−1.64(m、4H)、1.19(d、J=6.5、6H)。
【0358】
段階D:{[(2S)−1,5−ジオキソ−1,5−ビス({2−[(α−L−フコピラノシル)オキシ]エチル}アミノ)ペンタン−2−イル]アミノ}−6−オキソヘキサン酸
{[(2S)−1,5−ジオキソ−1,5−ビス({2−[(α−L−フコピラノシル)オキシ]エチル}アミノ)ペンタン−2−イル]アミノ}−6−オキソヘキサン酸ベンジル(380mg、0.511mmol)およびパールマン触媒(50mg、0.071mmol)のメタノール(30mL)中懸濁液を、パール振盪器にて約0.34MPa(50psi)H
2下に室温で撹拌した。16時間後、触媒を濾去し、濾液を濃縮して、標題化合物を得た。
1H NMR(CD
3OD)δ4.76−4.75(m、2H)、4.32−4.29(m、1H)、3.96−3.91(m、2H)、3.76−3.66(m、5H)、3.55−3.27(m、9H)、2.34−2.27(m、6H)、2.09−2.04(m、1H)、1.99−1.88(m、1H)、1.67−1.61(m、4H)、1.20(d、J=6.7、6H)。
【0359】
段階E:N
1,N
5−ビス{2−[(α−L−フコピラノシル)オキシ]エチル}−N
2−{6−[(2,5−ジオキソピロリジン−1−イル)オキシ]−6−オキソヘキサノイル}−L−グルタミド
{[(2S)−1,5−ジオキソ−1,5−ビス({2−[(α−L−フコピラノシル)オキシ]エチル}アミノ)ペンタン−2−イル]アミノ}−6−オキソヘキサン酸(289mg、0.422mmol)のDMF(5.0mL)中懸濁液に0℃で、を加えTSTU(140mg、0.464mmol)、次にヒューニッヒ塩基(810μL、0.464mmol)。撹拌後1時間、混合物を濃縮して標題生成物を得て、それをそれ以上精製せずに用いた。UPLC方法B:m/e=[M+1];R
t=1.82分。
【0360】
実施例19
下記構造を有するオリゴ糖リンカーN
1,N
4−ビス{2−[(α−L−フコピラノシル)オキシ]エチル}−N
2−{6−[(2,5−ジオキソピロリジン−1−イル)オキシ]−6−オキソヘキサノイル}−L−アスパルトアミド(ML−19)の合成について説明する。
【化69】
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【0361】
段階AでN−[(ベンジルオキシ)カルボニル]−L−グルタミン酸に代えてN−[(ベンジルオキシ)カルボニル]−L−アスパラギン酸を用い、ML−18について記載の手順と同様の手順を用いて、標題化合物を製造した。UPLC方法B:m/e=737.3126[M+1];R
t=2.04分。
【0362】
実施例20
下記構造を有するオリゴ糖リンカーN
2−{6−[(2,5−ジオキソピロリジン−1−イル)オキシ]−6−オキソヘキサノイル}−N
5−{2−[(α−L−フコピラノシル)オキシ]エチル}−N
1−{2−[(α−D−マンノピラノシル−(1→3)−[α−D−マンノピラノシル−(1→6)]−α−D−マンノピラノシル)オキシ]エチル}−L−グルタミド(ML−20)の合成について説明する。
【化70】
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【0363】
段階A:N
2−[(ベンジルオキシ)カルボニル]−N−{2−[(α−D−マンノピラノシル−(1→3)−[α−D−マンノピラノシル−(1→6)]−α−D−マンノピラノシル)オキシ]エチル}−L−グルタミン酸ベンジル
Z−Glu−γ−Bn(1.0g、2.69mmol)および2−アミノエチルα−D−マンノピラノシル−(1→3)−[α−D−マンノピラノシル−(1→6)]−α−D−マンノピラノシド(2.21g、4.04mmol)のDMF(10mL)中溶液に、EDC(1.29g、6.73mmol)、HOBt(41mg、0.269mmol)およびEt
3N(38μL、0.269mmol)を加えた。室温で16時間撹拌後、混合物をHPLC(50×250mm、C4、流量85mL/分、勾配30分かけての25%から35%AcCN/H
2O(0.1%TFA含有))によって精製して、標題化合物を得た。
1H NMR(CD
3OD)δ8.12−8.10(m、1H)、7.38−7.26(m、10H)、5.50−5.04(m、5H)、4.81(s、1H)、4.73(s、1H)、4.16−4.13(m、1H)、4.06(s、1H)、3.99−3.3.97(m、1H)、3.93−3.37(m、20H)、2.48(t、J=7.6、2H)、2.15−2.10(m、1H)、1.97−1.90(m、1H)。
【0364】
段階B:N−{2−[(α−D−マンノピラノシル−(1→3)−[α−D−マンノピラノシル−(1→6)]−α−D−マンノピラノシル)オキシ]エチル}−L−グルタミン
N
2−[(ベンジルオキシ)カルボニル]−N−{2−[(α−D−マンノピラノシル−(1→3)−[α−D−マンノピラノシル−(1→6)]−α−D−マンノピラノシル)オキシ]エチル}−L−グルタミン酸ベンジル(1.41g、1.57mmol)およびパールマン触媒(110mg、0.157mmol)のH
2O(30mL)中混合物を、パール振盪器で約0.34MPa(50psi)H
2下に室温で撹拌した。16時間後、触媒を濾去し、濾液を凍結乾燥して、標題化合物を得た。
1H NMR(D
2O)δ5.07(s、1H)、4.87(s、1H)、4.81(s、1H)、4.08−3.55(m、22H)、3.41−3.36(m、1H)、2.32(t、J=7.5、2H)、2.10−2.06(m、2H)。
【0365】
段階C:N
2−[6−(ベンジルオキシ)−6−オキソヘキサノイル1−N−{2−[(α−D−マンノピラノシル−(1→3)−[α−D−マンノピラノシル−(1→6)]−α−D−マンノピラノシル)オキシ]エチル}−L−グルタミン
段階Cで2−[(N−{2−[(α−L−フコピラノシル)オキシ]エチル}−L−α−グルタミニル)アミノ]エチルα−L−フコピラノシドに代えてN−{2−[(α−D−マンノピラノシル−(1→3)−[α−D−マンノピラノシル−(1→6)]−α−D−マンノピラノシル)オキシ]エチル}−L−グルタミンを用い、ML−18について記載の手順と同様の手順を用い、標題化合物を製造した。
1H NMR(CD
3OD)δ8.09−8.06(m、1H)、7.35−7.30(m、5H)、5.11(s、2H)、5.08(s、1H)、4.79(m、1H)、4.72(s、1H)、4.34−4.31(m、1H)、4.06−3.37(m、22H)、2.42−2.36(m、4H)、2.29−2.26(m、2H)、2.09−2.05(m、1H)、1.93−1.88(m、1H)、1.65−1.62(m、4H)。
【0366】
段階D:N
2−[6−(ベンジルオキシ)−6−オキソヘキサノイル]−N
5−{2−[(α−L−フコピラノシル)オキシ]エチル}−N
1−{2−[(α−D−マンノピラノシル−(1→3)−[α−D−マンノピラノシル−(1→6)]−α−D−マンノピラノシル)オキシ]エチル}−L−グルタミド
N
2−[6−(ベンジルオキシ)−6−オキソヘキサノイル]−N−{2−[(α−D−マンノピラノシル−(1→3)−[α−D−マンノピラノシル−(1→6)]−α−D−マンノピラノシル)オキシ]エチル}−L−グルタミン(500mg、0.559mmol)および2−アミノエチルα−L−フコピラノシド(116mg、0.559mmol)のDMF(10mL)中溶液に、EDC(161mg、0.838mmol)およびHOBt(8.56mg、0.056mmol)を加えた。室温で16時間撹拌後、混合物をHPLC(50×250mm、C4、流量85mL/分、勾配30分かけて25%から35%AcCN/H
2O(0.1%TFA含有))によって精製して、標題化合物を得た。
1H NMR(CD
3OD)δ8.12−8.08(m、1H)、7.35−7.29(m、5H)、5.11(s、2H)、5.08(s、1H)、4.80(s、1H)、4.77(s、1H)、4.72(s、1H)、4.32−4.29(m、1H)、4.12−3.26(m、30H)、2.42−2.39(m、2H)、2.30−2.26(m、4H)、2.09−2.04(m、1H)、1.93−1.88(m、1H)、1.65−1.64(m、4H)、1.19(d、J=6.7、3H)。
【0367】
段階E:N
2−{6−[(2,5−ジオキソピロリジン−1−イル)オキシ]−6−オキソヘキサノイル}−N
5−{2−[(α−L−フコピラノシル)オキシ]エチル}−N
1−{2−[(α−D−マンノピラノシル−(1→3)−[α−D−マンノピラノシル−(1→6)]−α−D−マンノピラノシル)オキシ]エチル}−L−グルタミド
段階Dで{[(2S)−1,5−ジオキソ−1,5−ビス({2−[(α−L−フコピラノシル)オキシ]エチル}アミノ)ペンタン−2−イル]アミノ}−6−オキソヘキサン酸ベンジルに代えてN
2−[6−(ベンジルオキシ)−6−オキソヘキサノイル]−N
5−{2−[(α−L−フコピラノシル)オキシ]エチル}−N1−{2−[(α−D−マンノピラノシル−(1→3)−[α−D−マンノピラノシル−(1→6)]−α−D−マンノピラノシル)オキシ]エチル}−L−グルタミドを用い、ML−18について記載の手順と同様の手順を用いて、標題化合物を製造した。
1H NMR(CD
3OD)δ5.08(s、1H)、4.80(s、1H)、4.77(s、1H)、4.72(s、1H)、4.33−4.30(m、1H)、4.06−3.33(m、30H)、2.84−2.82(m、4H)、2.69−2.66(m、2H)、2.34−2.27(m、4H)、2.10−2.02(m、1H)、1.94−1.89(m、1H)、1.76−1.74(m、4H)、1.20(d、J=6.5、3H)。
【0368】
実施例21
下記構造を有するオリゴ糖リンカー2,5−ジオキソピロリジン−1−イルN
2−[5−({2−[(α−L−フコピラノシル)オキシ]エチル}アミノ)−5−オキソペンタノイル]−N−(2−{[α−D−マンノピラノシル−(1→3)−[α−D−マンノピラノシル−(1→6)]−α−D−マンノピラノシル]オキシ}エチル)−L−グルタミニルグリシネート(ML−21)の合成について説明する。
【化71】
[この文献は図面を表示できません]
【0369】
段階A:(S)−ベンジル2−{[(ベンジルオキシ)カルボニル]アミノ}−5−[(2−{[α−D−マンノピラノシル−(1→3)−[α−D−マンノピラノシル−(1→6)]−α−D−マンノピラノシル]オキシ}エチル)アミノ]−5−オキソペンタノエート
2−アミノエチルα−D−マンノピラノシル−(1→3)−[α−D−マンノピラノシル−(1→6)]−α−D−マンノピラノシド(2.6g、4.75mmol)、および(S)−5−(ベンジルオキシ)−4−{[(ベンジルオキシ)カルボニル]アミノ}−5−オキソペンタン酸(2.0g、5.39mmol)のDMF(36mL)中溶液に0℃で、DMAP(580mg、4.75mmol)およびEDC(3.64g、19.00mmol)を加えた。反応混合物を徐々に昇温させて室温とした、16時間撹拌後、反応混合物を濃縮し、残留物を、10%から55%AcCN/H
2Oで溶離を行うC18逆相シリカゲル(275g)でのフラッシュクロマトグラフィーによって精製して、標題化合物を得た。UPLC方法B:C
40H
56N
2O
21の計算値:900.34、実測m/e:901.26[M+1];R
t=2.46分。
【0370】
段階B:(S)−2−アミノ−5−((2−((α−D−マンノピラノシル−(1→3)−[α−D−マンノピラノシル−(1→6)]−α−D−マンノピラノシル)オキシ)エチル)アミノ)−5−オキソペンタン酸
(S)−ベンジル2−{[(ベンジルオキシ)カルボニル]アミノ}−5−[(2−{[α−D−マンノピラノシル−(1→3)−[α−D−マンノピラノシル−(1→6)]−α−D−マンノピラノシル]オキシ}エチル)アミノ]−5−オキソペンタノエート(1.0g、1.11mmol)およびPd/C(118mg、0.111mmol)の水(10mL)中混合物をH
2風船下に室温で16時間撹拌した。触媒を濾去し、H
2Oで洗浄した(10mLで3回)。濾液を濃縮して、標題化合物を得た。UPLC方法B:C
25H
44N
2O
19の計算値:676.25、実測m/e:677.21[M+1];R
t=0.86分。
【0371】
段階C:5−オキソ−5−({2−[(α−L−フコピラノシル)オキシ]エチル}アミノ)ペンタン酸2,5−ジオキソピロリジン−1−イル
6−[(2,5−ジオキソピロリジン−1−イル)オキシ]−6−オキソヘキサン酸ベンジルに代えて5−[(2,5−ジオキソピロリジン−1−イル)オキシ]−5−オキソペンタン酸ベンジルを用い、ML−4について記載の手順と同様の手順を用いて、標題化合物を製造した。UPLC方法B:C
17H
26N
2O
10の計算値:418.16、実測m/e:419.11[M+1];R
t=2.00分。
【0372】
段階D:(S)−5−[(2−{[α−D−マンノピラノシル−(1→3)−[α−D−マンノピラノシル−(1→6)]−α−D−マンノピラノシル]オキシ}エチル)アミノ]−5−オキソ−2−[5−オキソ−5−({2−[(α−L−フコピラノシル)オキシ]エチル}アミノ)ペンタンアミド]ペンタン酸
(S)−2−アミノ−5−[(2−{[α−D−マンノピラノシル−(1→3)−[α−D−マンノピラノシル−(1→6)]−α−D−マンノピラノシル]オキシ}エチル)アミノ]−5−オキソペンタン酸(350mg、4.75mmol)のDMF(5mL)中溶液に0℃で、5−オキソ−5−({2−[(α−L−フコピラノシル)オキシ]エチル}アミノ)ペンタン酸2,5−ジオキソピロリジン−1−イル(216mg、0.517mmol、6−(ベンジルオキシ)−6−オキソヘキサン酸に代えて5−(ベンジルオキシ)−5−オキソペンタン酸を用い、実施例4、ML−4、段階Aに従って製造)およびTEA(0.2mL、1.435mmol)を加えた。0℃で2時間撹拌後、反応混合物を濃縮し、残留物を、5%から40%AcCN/H
2Oで溶離を行うC18シリカゲル(150g)でのフラッシュクロマトグラフィーによって精製して、標題化合物を得た。UPLC方法B:C
38H
65N
3O
26の計算値:979.39、実測m/e:980.31[M+1];R
t=0.92分。
【0373】
段階E:(S)−2,5−ジオキソピロリジン−1−イル5−[(2−{[α−D−マンノピラノシル−(1→3)−[α−D−マンノピラノシル−(1→6)]−α−D−マンノピラノシル]オキシ}エチル)アミノ]−5−オキソ−2−[5−オキソ−5−({2−[(α−L−フコピラノシル)オキシ]エチル}アミノ)ペンタンアミド]ペンタノエート
(S)−5−[(2−{[α−D−マンノピラノシル−(1→3)−[α−D−マンノピラノシル−(1→6)]−α−D−マンノピラノシル]オキシ}エチル)アミノ]−5−オキソ−2−[5−オキソ−5−({2−[(α−L−フコピラノシル)オキシ]エチル}アミノ)ペンタンアミド]ペンタン酸(366mg、0.373mmol)のDMF(2mL)中溶液に0℃で、TSTU(115mg、0.381mmol)およびDIPEA(0.1mL、0.573mmol)を加えた。0℃で1時間撹拌後、TFA(60μL、0.784mmol)で反応停止した。反応混合物を、ピペットによって、AcCN(45mL)を含む管に滴下して移し入れ。得られた白色懸濁液を遠心して(3000rpm、15分、4℃で)、透明上清および白色ペレットを得た。上清を廃棄し、白色ペレットをAcCN(1mL)で洗浄し、乾燥させて、標題化合物を得た。UPLC方法B:C
42H
68N
4O
28の計算値:1076.40、実測m/e:1077.28[M+1];R
t=0.90分。
【0374】
段階F:ベンジルN
2−[5−({2−[(α−L−フコピラノシル)オキシ]エチル}アミノ)−5−オキソペンタノイル]−N−(2−{[α−D−マンノピラノシル−(1→3)−[α−D−マンノピラノシル−(1→6)]−α−D−マンノピラノシル]オキシ}エチル)−L−グルタミニルグリシネート
(S)−2,5−ジオキソピロリジン−1−イル5−[(2−{[α−D−マンノピラノシル−(1→3[α−D−マンノピラノシル−(1→6)]−α−D−マンノピラノシル]オキシ}エチル)アミノ]−5−オキソ−2−[5−オキソ−5−({2−[(α−L−フコピラノシル)オキシ]エチル}アミノ)ペンタンアミド]ペンタノエート(0.35g、0.325mmol)のDMF(4mL)中溶液に0℃で、2−(ベンジルオキシ)−2−オキソエタンアミニウムクロライド(77mg、0.382mmol)およびTEA(0.15mL、1.076mmol)を加えた。室温で24時間撹拌後、反応混合物を濃縮し、残留物を、5%から40%AcCN/H
2Oで溶離を行うC18逆相シリカゲル(150g)でのフラッシュクロマトグラフィーによって精製して、標題化合物を得た。UPLC方法B:C
47H
74N
4O
27の計算値:1126.45、実測m/e:1127.39[M+1];R
t=2.84分。
【0375】
段階G:2,5−ジオキソピロリジン−1−イルN
2−[5−({2−[(α−L−フコピラノシル)オキシ]エチル}アミノ)−5−オキソペンタノイル]−N−(2−{[α−D−マンノピラノシル−(1→3)−[α−D−マンノピラノシル−(1→6)]−α−D−マンノピラノシル]オキシ}エチル)−L−グルタミニルグリシネート
段階Cで6−({2−[(α−D−マンノピラノシル−(1→3)−[α−D−マンノピラノシル−(1→6)]−α−D−マンノピラノシル)オキシ]エチル}アミノ)−6−オキソヘキサン酸ベンジルに代えてN
2−[5−({2−[(α−L−フコピラノシル)オキシ]エチル}アミノ)−5−オキソペンタノイル]−N−(2−{[α−D−マンノピラノシル−(1→3)−[α−D−マンノピラノシル−(1→6)]−α−D−マンノピラノシル]オキシ}エチル)−L−グルタミニルグリシン酸ベンジルを用い、ML−1について記載の手順と同様の手順を用いて、標題化合物を製造した。UPLC方法B:C
44H
71N
5O
29の計算値:1133.42、実測m/e:1134.34[M+1];R
t=2.17分。
【0376】
実施例22
下記構造を有するオリゴ糖リンカー2−{(2S)−8−[(2,5−ジオキソピロリジン−1−イル)オキシ]−1−[(2−{[α−D−マンノピラノシル−(1→3)−[α−D−マンノピラノシル−(1→6)]−α−D−マンノピラノシル]オキシ}エチル)アミノ]−1,8−ジオキソオクタン−2−イル}−N′−{2−[(α−L−フコピラノシル)オキシ]エチル}ヘキサンジアミド(ML−22)の合成について説明する。
【化72】
[この文献は図面を表示できません]
【0377】
段階A:(2S)−8−(ベンジルオキシ)−2−{[6−({2−[(α−L−フコピラノシル)オキシ]エチル}アミノ)−6−オキソヘキサノイル]アミノ}−8−オキソオクタン酸
ML−4(300mg、0.694mmol)のDMF中溶液に0℃で、(S)−2−アミノ−8−(ベンジルオキシ)−8−オキソオクタン酸(194mg、0.694mmol)、次にDIPEA(121μL、0.694mmol)を加えた。反応混合物を室温で2時間撹拌し、濃縮した。残留物を、5%から28%AcCN/H
2Oで溶離を行うC18逆相シリカゲルでのフラッシュクロマトグラフィーによって精製して、標題化合物を得た。UPLC方法B:m/e=597.226[M+1];R
t=3.45分。
【0378】
段階B:N−{(2S)−8−[(2,5−ジオキソピロリジン−1−イル)オキシ]−1−[(2−{[α−D−マンノピラノシル−(1→3)−[α−D−マンノピラノシル−(1→6)]−α−D−マンノピラノシル]オキシ}エチル)アミノ]−1,8−ジオキソオクタン−2−イル}−N′−{2−[(α−L−フコピラノシル)オキシ]エチル}ヘキサンジアミド
段階Aでベンジル6−(ベンジルオキシ)−6−オキソヘキサン酸に代えて(2S)−8−(ベンジルオキシ)−2−{[6−({2−[(α−L−フコピラノシル)オキシ]エチル}アミノ)−6−オキソヘキサノイル]アミノ}−8−オキソオクタン酸を用い、ML−1について記載の手順と同様の手順を用いて、標題化合物を製造した。UPLC方法B:m/e:1133.312[M+1];R
t=2.23分。
【0379】
実施例23
下記構造を有するオリゴ糖リンカー2,5−ジオキソピロリジン−1−イル1−[(α−L−フコピラノシル)オキシ]−13−{2−[(2−{[α−D−マンノピラノシル−(1→3)−[α−D−マンノピラノシル−(1→6)]−α−D−マンノピラノシル]オキシ}エチル)アミノ]−2−オキソエチル}−4,11,15−トリオキソ−3,10,13,16−テトラアザドコサン−22−オエート(ML−23)の合成について説明する。
【化73】
[この文献は図面を表示できません]
【0380】
段階A:ベンジル(6−{2−[(α−L−フコピラノシル)エチル]アミノ}−6−オキソヘキシル)カーバメート
2−アミノエチルα−L−フコピラノシド(3.0g、14.48mmol)のDMF(80mL)中溶液に室温で、2,5−ジオキソピロリジン−1−イル6−{[(ベンジルオキシ)カルボニル]アミノ}ヘキサノエート(6.3g、17.37mmol)を加え、1時間後にTEA(4.44mL、31.8mmol)を加えた。16時間撹拌後、反応混合物を濃縮し、残留物を、5%から40%AcCN/水で溶離を行うC18逆相シリカゲル(230g)でのフラッシュクロマトグラフィーによって精製して、標題化合物を得た。UPLC方法B:m/e=455.2568[M+1];R
t=2.86分。
【0381】
段階B:6−アミノ−N−{2−[(α−L−フコピラノシル)オキシ]エチル}ヘキサンアミド
ベンジル(6−{2−[(α−L−フコピラノシル)エチル]アミノ}−6−オキソヘキシル)カーバメート(1.72g、3.79mmol)のH
2O(20mL)中溶液に、Pd/C(23mg、0.217mmol)を加えた。混合物を脱気し、H
2風船下に撹拌した。2時間後、反応混合物をセライト層で濾過し、濾液を凍結乾燥して、標題化合物を製造した。
1H NMR(CD
3OD)δ1.21(d、3H)、1.40−1.38(m、2H)、1.62−1.60(m、4H)、2.23(t、2H)、2.76(t、2H)、3.28−3.27(m、1H)、3.44−3.43(m、1H)、3.54−3.52(m、1H)、3.66(s、1H)、3.75−3.74(m、2H)、3.94−3.93(m、1H)、4.76(d、1H)。UPLC方法B:m/e=321.2323[M+1];R
t=3.02分。
【0382】
段階C:[(2−{[6−(ベンジルオキシ)−6−オキソヘキシル]アミノ}−2−オキソエチル)(2−{[6−({2−[(α−L−フコピラノシル)オキシ]エチル}アミノ)−6−オキソヘキシル]アミノ}−2−オキソエチル)アミノ]酢酸
2,2′−[(2−{[6−(ベンジルオキシ)−6−オキソヘキシル]アミノ}−2−オキソエチル)アザネジイル]ジ酢酸(1.0g、2.54mmol)のCH
2Cl
2(30mL)中懸濁液に0℃で、無水トリフルオロ酢酸(448μL、3.17mmol)を加えた。0℃で3時間撹拌後、混合物を冷却して−30℃とし、それにEt
3N(848μL、6.08mmol)のDMF(20mL)中溶液を30分間かけて滴下した。−30℃で30分間撹拌後、6−アミノ−N−{2−[(α−L−フコピラノシル)オキシ]エチル}ヘキサンアミド(812mg、2.54mmol)のDMF(30mL)中混合物を加え、得られた混合物を室温で撹拌した。16時間撹拌後、混合物を濃縮し、残留物を、0%から40%AcCN/水で溶離を行うC18逆相シリカゲル(42g)でのフラッシュクロマトグラフィーによって精製して、標題化合物を製造した。UPLC方法B:m/e=697.3876[M+1];R
t=3.398分。
1H NMR(CD
3OD)δ1.23(3H、d、J=6.59)、1.39−1.36(4H、m)、1.56(6H、s)、1.67(6H、d、J=10.32)、2.23(2H、t、J=7.50)、2.41(2H、t、J=7.37)、3.24(6H、m)、3.42(4H、s)、3.49(2H、s)、3.57−3.52(3H、m)、3.68(1H、s)、3.77(3H、t、J=1.65)、3.98−3.94(1H、m)、4.77(1H、s)、5.14(2H、s)、7.38(5H、d、J=4.43)。
【0383】
段階D:ベンジル1−[(α−L−フコピラノシル)オキシ]−13−{2−[(2−{[α−D−マンノピラノシル−(1→3)−[α−D−マンノピラノシル−(1→6)]−α−D−マンノピラノシル]オキシ}エチル)アミノ]−2−オキソエチル}−4,11,15−トリオキソ−3,10,13,16−テトラアザドコサン−22−オエート
[(2−{[6−(ベンジルオキシ)−6−オキソヘキシル]アミノ}−2−オキソエチル)(2−{[6−({2−[(α−L−フコピラノシル)オキシ]エチル}アミノ)−6−オキソヘキシル]アミノ}−2−オキソエチル)アミノ]酢酸(800mg、1.148mmol)のDMF(15mL)中溶液に、2−アミノエチルα−D−マンノピラノシル−(1→3)]−[α−D−マンノピラノシル−(1→6)]−α−D−マンノピラノシド(1.89g、3.44mmol)、HOBt(17.6mg、0.115mmol)、およびEDC(770mg、4.02mmol)を加えた。室温で16時間撹拌後、反応混合物を濃縮し、残留物を、10%から40%AcCN/水で溶離を行うC18逆相シリカゲル(50g)でのフラッシュクロマトグラフィーによって精製して、標題化合物を得た。UPLC方法B:m/e=1226.5990[M+1];R
t=2.96分。
1H NMR(CD
3OD)δ1.23(3H、d、J=6.58)、1.38(6H、s)、1.56(6H、s)、1.69−1.65(6H、m)、2.23(2H、t、J=7.44)、2.41(2H、t、J=7.35)、3.27−3.23(6H、m)、3.37(1H、s)、3.37(1H、s)、3.38(1H、s)、3.45(1H、s)、3.47(1H、s)、3.47(1H、s)、3.54(3H、s)、3.60(1H、s)、3.62(2H、s)、3.64(1H、s)、3.65(1H、s)、3.67(2H、s)、3.68(3H、s)、3.88−3.72(20H、m)、4.07(1H、s)、4.76(1H、s)、4.78(1H、s)、4.84(1H、d、J=1.69)、5.10(1H、s)、5.14(2H、s)、7.38(5H、d、J=4.37)。
【0384】
段階E:2,5−ジオキソピロリジン−1−イル13−(2−((2−((((α−D−マンノピラノシル−(1→3)]−[α−D−マンノピラノシル−(1→6)]−α−D−マンノピラノシル−オキシ−(1−O→2))−エチルアミノ)−2−オキソエチル)−4,11,15−トリオキソ−1−(((2−(α−L−フコピラノシル−オキシ)−(1−O→2)))オキシ)−3,10,13,16−テトラアザドコサン−22−オエート
段階Dで6−{ビス[2α−({2−[(α−L−フコピラノシル)オキシ]エチル}アミノ)−2−オキソエチル]アミノ}−6−オキソヘキサン酸ベンジルに代えてベンジル1−[(α−L−フコピラノシル)オキシ]−13−{2−[(2−{[α−D−マンノピラノシル−(1→3[α−D−マンノピラノシル−(1→6)]−α−D−マンノピラノシル]オキシ}エチル)アミノ]−2−オキソエチル}−4,11,15−トリオキソ−3,10,13,16−テトラアザドコサン−22−オエートを用い、ML−6について記載の手順と同様の手順を用いて、標題化合物を製造した。UPLC方法B:m/e=1233.6006[M+1];R
t=2.223分。
【0385】
実施例21
下記構造を有するオリゴ糖リンカー2,5−ジオキソピロリジン−1−イルN−(2−{[6−({2−[(6−デオキシ−α−L−ガラクトピラノシル)オキシ]エチル}アミノ)−6−オキソヘキシル]アミノ}−2−オキソエチル)−N−[2−({6−[(2−{[α−D−マンノピラノシル−(1→3)−[α−D−マンノピラノシル−(1→6)]−α−D−マンノピラノシル]オキシ}エチル)アミノ]−6−オキソヘキシル}アミノ)−2−オキソエチル]グリシル−β−アラニネート(ML−21)の合成について説明する。
【化74】
[この文献は図面を表示できません]
【0386】
段階A:ベンジル{6−[(2−{[α−D−マンノピラノイル−(1→3)−[α−D−マンノピラノシル−(1→6)]−α−D−マンノピラノシル]オキシ}エチル)アミノ]−6−オキソヘキシル}カーバメート
2−アミノエチルα−D−マンノピラノシル−(1→3)−[α−D−マンノピラノシル−(1→6)]−α−D−マンノピラノシド(1.8g、3.29mmol)のDMF(50mL)中溶液を撹拌しながら、それに0℃で、ベンジル{6−[(2,5−ジオキソピロリジン−1−イル)オキシ]−6−ヘキシル}カーバメート(1.787g、4.93mmol)および30分後にEt
3N(1.146mL、8.22mmol)を加えた。16時間撹拌後、反応混合物を濃縮し、得られた残留物を、5%から40%AcCN/水で溶離を行うC18逆相シリカゲル(240g)でのフラッシュクロマトグラフィーによって精製して、標題化合物を得た。
1H NMR(CD
3OD)δ1.35(brs、2H)、1.52(brs、2H)、1.63(brs、2H)、2.21(s、2H)、3.12(s、2H)、3.37(s、1H)、3.51−3.37(brm、5H)、3.81−3.69(brm、14H)、3.98(s、1H)、4.06(s、1H)、4.72(s、1H)、4.81(s、2H)、5.07(s、2H)、7.35(s、5H)。UPLC方法B:m/e=795.303[M+1];R
t=2.49分。
【0387】
段階B:6−アミノ−N−(2−{[α−D−マンノピラノシル−(1→3)−[α−D−マンノピラノシル−(1→6)]−α−D−マンノピラノシル]オキシ}エチル)ヘキサンアミド
段階Bでベンジル(6−{2−[(α−L−フコピラノシル)エチル]アミノ}−6−オキソヘキシル)カーバメートに代えてベンジル{6−[(2−{[α−D−マンノピラノイル−(1→3)−[α−D−マンノピラノシル−(1→6)]−α−D−マンノピラノシル]オキシ}エチル)アミノ]−6−オキソヘキシル}カーバメートを用い、ML−23について記載の手順と同様の手順を用いて、標題化合物を製造した。
1H NMR(CD
3OD)δ1.40(2H、d、J=7.97)、1.63(4H、d、J=12.78)、2.23(2H、t、J=7.37)、2.82(2H、q、J=8.46)、3.44−3.37(2H、m)、3.53−3.46(1H、m)、3.63−3.61(4H、m)、3.72−3.70(6H、m)、3.80(5H、dd、J=9.96、4.52)、3.83(2H、s)、3.90(1H、dd、J=11.05、5.87)、3.97(1H、s)、4.03(1H、s)、4.72(1H、s)、4.81(1H、s)、5.06(1H、s)。UPLC方法B:m/e661.3543[M+1];R
t=3.89分。
【0388】
段階C:2,5−ジオキソピロリジン−1−イルN−(2−{[6−({2−[(6−デオキシ−α−L−フコピラノシル)オキシ]エチル}アミノ)−6−オキソヘキシル]アミノ}−2−オキソエチル)−N−[2−({6−[(2−{[α−D−マンノピラノシル−(1→3)−[α−D−マンノピラノシル−(1→6)]−α−D−マンノピラノシル]オキシ}エチル)アミノ]−6−オキソヘキシル}アミノ)−2−オキソエチル]グリシル−β−アラニネート
段階Cで2−アミノエチルα−L−フコピラノシドおよび2,2′−[(2−{[6−(ベンジルオキシ)−6−オキソヘキシル]アミノ}−2−オキソエチル)イミノ]ジ酢酸に代えてそれぞれ6−アミノ−N−(2−{[α−D−マンノピラノシル−(1→3)−[α−D−マンノピラノシル−(1→6)]−α−D−マンノピラノシル]オキシ}エチル)ヘキサンアミドおよびベンジルN,N−ビス(カルボキシメチル)グリシル−3−アラニネートを用い、段階Dで6−アミノ−N−(2−{[α−D−マンノピラノシル−(1→3)−[α−D−マンノピラノシル−(1→6)]−α−D−マンノピラノシル]オキシ}エチル)ヘキサンアミドに代えて6−アミノ−N−{2−[(6−デオキシ−α−L−ガラクトピラノシル)オキシ]エチル}ヘキサンアミドを用い、ML−23について記載の手順と同様の手順を用いて、標題化合物を製造した。UPLC方法E:m/e=1304.444[M+1];R
t=1.76分。
【0389】
実施例25
下記構造を有するオリゴ糖リンカー2,5−ジオキソピロリジン−1−イル1−[(α−L−フコピラノシル)オキシ]−13−[2−({6−[(2−{[α−D−マンノピラノシル−(1→3)−[α−D−マンノピラノシル−(1→6)]−α−D−マンノピラノシル]オキシ}エチル)アミノ]−6−オキソヘキシル}アミノ)−2−オキソエチル]−4,11,15−トリオキソ−3,10,13,16−テトラアザドコサン−22−オエート(ML−25)の合成について説明する。
【化75】
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【0390】
ベンジルN,N−ビス(カルボキシメチル)グリシル−β−アラニネートに代えて2,2′−[(2−{[6−(ベンジルオキシ)−6−オキソヘキシル]アミノ}−2−オキソエチル)イミノ]ジ酢酸を用い、ML−23について記載の手順と同様の手順を用い、標題化合物を製造した。UPLC方法E:m/e=1346.5950[M+1];R
t=2.29分。
【0391】
実施例26
下記構造を有するオリゴ糖リンカー2,5−ジオキソピロリジン−1−イル1−[(α−L−フコピラノシル)オキシ]−11−[2−({4−[(2−{[α−D−マンノピラノシル−(1→3)−[α−D−マンノピラノシル−(1→6)]−α−D−マンノピラノシル]オキシ}エチル)アミノ]−4−オキソブチル}アミノ)−2−オキソエチル]−4,9,13−トリオキソ−3,8,11,14−テトラアザイコサン−20−オエート(ML−26)の合成について説明する。
【化76】
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【0392】
段階A:ベンジル{4−[(2−{[α−D−マンノピラノイル−(1→3)−[α−D−マンノピラノシル−(1→6)]−α−D−マンノピラノシル]オキシ}エチル)アミノ]−4−オキソブチル}カーバメート
2−アミノエチルα−D−マンノピラノシル−(1→3)]−[α−D−マンノピラノシル−(1→6)]−α−D−マンノピラノシド(790mg、1.44mmol)および4−{[(ベンジルオキシ)カルボニル]アミノ}ブタン酸(342mg、1.443mmol)のDMF(5mL)中混合物に、EDC(553mg、2.89mmol)およびDMAP(176mg)を加えた。室温で終夜撹拌後、反応混合物を濃縮し、残留物を、5%から40%AcCN/水で溶離を行うC18逆相シリカゲル(43g)でのフラッシュクロマトグラフィーによって精製して、標題化合物を得た。UPLC方法B:m/e=767.2084[M+1];R
t=2.56分。
【0393】
段階B:4−アミノ−N−(2−{[α−D−マンノピラノシル−(1→3)−[α−D−マンノピラノシル−(1→6)]−α−D−マンノピラノシル]オキシ}エチル)ブタンアミド
ベンジル{4−[(2−{[α−D−マンノピラノイル−(1→3)−[α−D−マンノピラノシル−(1→6)]−α−D−マンノピラノシル]オキシ}エチル)アミノ]−4−オキソブチル}カーバメート(955mg、1.25mmol)の水(6mL)中溶液に窒素を流し、それに10%パラジウム/炭素(133mg)を加え、得られた混合物をH
2風船下に4時間撹拌した。反応混合物をセライト層で濾過し、濾液を凍結乾燥して、標題化合物を得た。UPLC方法B:m/e=633.2224[M+1];R
t=0.78分。
【0394】
段階C:4−アミノ−N−{2−[(α−L−フコピラノシル)オキシ]エチル}ブタンアミド
段階Aで2−アミノエチルα−D−マンノピラノシル−(1→3)]−[α−D−マンノピラノシル−(1→6)]−α−D−マンノピラノシドに代えて2−アミノエチルα−L−フコピラノシドを用い、ML−26について記載の手順と同様の手順を用いて、標題化合物を製造した。UPLC方法E:m/e=1248.365[M+1];R
t=1.37分。
【0395】
段階D:11−[2−({6−[(2,5−ジオキソピロリジン−1−イル)オキシ]−1−[(α−L−フコピラノシル)オキシ]−6−オキソヘキシル}アミノ)−2−オキソエチル]−N−(2−{[α−D−マンノピラノシル−(1→3)−[α−D−マンノピラノシル−(1→6)]−α−D−マンノピラノシル]オキシ}エチル)−4,9,13−トリオキソ−3,8,11,14−テトラアザオクタデカン−18−アミド
それぞれ、段階Cで6−アミノ−N−{2−[(α−L−フコピラノシル)オキシ]エチル}ヘキサンアミドに代えて4−アミノ−N−{2−[(α−L−フコピラノシル)オキシ]エチル}ブタンアミドを用い、そして段階Dで2−アミノエチルα−D−マンノピラノシル−(1→3)]−[α−D−マンノピラノシル−(1→6)]−α−D−マンノピラノシドに代えて4−アミノ−N−(2−{[α−D−マンノピラノシル−(1→3)−[α−D−マンノピラノシル−(1→6)]−α−D−マンノピラノシル]オキシ}エチル)ブタンアミドを用い、ML−23について記載の手順と同様の手順を用いて、標題化合物を製造した。UPLC方法E:m/e=1290.4012[M+1];R
t=2.03分。
【0396】
実施例27
下記構造を有するオリゴ糖リンカー2,5−ジオキソピロリジン−1−イルN−(2−{[4−({2−[(6−デオキシ−α−L−ガラクトピラノシル)オキシ]エチル}アミノ)−4−オキソブチル]アミノ}−2−オキソエチル)−N−[2−({4−[(2−{[α−D−マンノピラノシル−(1→3)−[α−D−マンノピラノシル−(1→6)]−α−D−マンノピラノシル]オキシ}エチル)アミノ]−4−オキソブチル}アミノ)−2−オキソエチル]グリシル−β−アラニネート(ML−27)の合成について説明する。
【化77】
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【0397】
段階Bでベンジル{6−[(2,5−ジオキソピロリジン−1−イル)オキシ]−6−オキソヘキシル}カーバメートに代えてベンジル{4−[(2,5−ジオキソピロリジン−1−イル)オキシ]−4−オキソブチル}カーバメートを用い、ML−23について記載の手順と同様の手順を用いて、標題化合物を製造した。UPLC方法E:m/e=1248.365[M+1];R
t=1.37分。
【0398】
実施例28
下記構造を有するオリゴ糖リンカーN−{2−[(α−L−フコピラノシル)オキシ]エチル}−11−[2−({6−[(2,5−ジオキソピロリジン−1−イル)オキシ]−6−オキソヘキシル}アミノ)−2−オキソエチル]−1−{[α−D−マンノピラノシル−(1→3)−[α−D−マンノピラノシル−(1→6)]−α−D−マンノピラノシル]オキシ}−4,9,13−トリオキソ−3,8,11,14−テトラアザイコサン−20−アミド(ML−28)の合成について説明する。
【化78】
[この文献は図面を表示できません]
【0399】
段階Dで2−アミノエチルα−D−マンノピラノシル−(1→3)]−[α−D−マンノピラノシル−(1→6)]−α−D−マンノピラノシドに代えて4−アミノ−N−(2−{[α−D−マンノピラノシル−(1→3)−[α−D−マンノピラノシル−(1→6)]−α−D−マンノピラノシル]オキシ}エチル)ブタンアミドを用い、ML−23について記載の手順と同様の手順を用いて、標題化合物を製造した。UPLC方法E:m/e=1318.4270[M+1];R
t=2.19分。
【0400】
実施例29
下記構造を有するオリゴ糖リンカー6−({[(2−オキソ−2−{[α−D−マンノピラノシル−(1→3)−[α−D−マンノピラノシル−(1→6)]−α−D−マンノピラノシル]−2−オキシエチル}アミノ)({2−オキソ−2−[(α−L−フコピラノシル)オキシ]−2−オキソエチル}アミノ)エチル]アミノ}アセトアミド)−6−オキソヘキサン酸2,5−ジオキソピロリジン−1−イル(ML−29)の合成について説明する。
【化79】
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【0401】
段階Cで6−アミノ−N−{2−[(α−L−フコピラノシル)オキシ]エチル}ヘキサンアミドに代えて2−アミノエチルα−L−フコピラノシドを用い、ML−23について記載の手順と同様の手順を用いて、標題化合物を製造した。UPLC方法A:m/e=1120.30[M+1];R
t=1.90分。
【0402】
実施例30
下記構造を有するオリゴ糖リンカー2−({[(2−オキソ−2−{[α−D−マンノピラノシル−(1→3)−[α−D−マンノピラノシル−(1→6)]−α−D−マンノピラノシル]−2−オキシエチル}アミノ)({2−オキソ−2−[(α−L−フコピラノシル)オキシ]−2−オキソエチル}アミノ)エチル]アミノ}アセトアミド)酢酸2,5−ジオキソピロリジン−1−イル(ML−30)の合成について説明する。
【化80】
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【0403】
段階Cでそれぞれ、2,2′−((2−((6−(ベンジルオキシ)−6−オキソヘキシル)アミノ)−2−オキソエチル)イミノ)ジ酢酸に代えてベンジルN,N−ビス(カルボキシメチル)グリシルグリシネートを用い、6−アミノ−N−(2−α−L−フコピラノシル)エチル)ヘキサンアミドに代えて2−アミノエチルα−L−フコピラノシドを用い、ML−23について記載の手順と同様の手順を用いて、標題化合物を製造した。UPLC方法B:m/e=1064.25[M+1];R
t=2.65分。
【0404】
実施例31
下記構造を有するオリゴ糖リンカー2−{[2−({6−[(2,5−ジオキソピロリジン−1−イル)オキシ]−6−オキソヘキシル}アミノ)−2−オキソエチル][2−({2−[(α−L−フコピラノシル)オキシ]エチル}アミノ)−2−オキソエチル]アミノ}−N−(2−{[α−D−マンノピラノシル−(1→3)−[α−D−マンノピラノシル−(1→6)]−β−D−グルコピラノシル]オキシ}エチル)アセトアミド(ML−31)の合成について説明する。
【化81】
[この文献は図面を表示できません]
【0405】
段階A:ベンジル{2−[(4,6−O−ベンジリデン−β−D−グルコピラノシル)オキシ]エチル}カーバメート
ベンジル[2−β−D−グルコピラノシルオキシ)エチル]カーバメート(10g、28.0mmol、Beilstein J. Org. Chem.2010, 6, 699)のAcCN(150mL)中溶液に、ベンズアルデヒドジメチルアセタール(5mL、31.6mmol)およびp−トルエンスルホン酸・1水和物(60mg、0.315mmol)を加えた。24時間撹拌後、反応混合物を濃縮した。残留物を、0%から20%CH
3OH/CH
2Cl
2で溶離を行うシリカゲル(330g)でのフラッシュクロマトグラフィーによって精製して、標題化合物を得た。UPLC方法B:C
23H
27NO
8の計算値:445.17、実測m/e:446.06[M+1];R
t=3.21分。
1H NMR(CDCl
3)δ7.50−7.45(2H、m)、7.35−7.25(8H、m)、5.50(1H、s)、5.10(2H、s)、4.40−4.36(1H、m)、4.31−4.26(1H、m)、3.95−3.85(1H、m)、3.80−3.70(2H、m)、3.55−3.40(4H、m)、3.40−3.30(2H、m)。
【0406】
段階B:ベンジル{2−[(2−O−ベンゾイル−4,6−O−ベンジリデン−β−D−グルコピラノシル)オキシ]エチル}カーバメート
ベンジル{2−[(4,6−O−ベンジリデン−β−D−グルコピラノシル)オキシ]エチル}カーバメート(4.5g、10.10mmol)およびジブチルスタンナノン(3g、12.05mmol)のトルエン(50mL)中混合物を撹拌しながら、5時間還流させた。得られた混合物を冷却して室温とし、ベンゾイルクロライド(1.3mL、11.19mmol)で処理した。室温で1時間撹拌後、混合物を濃縮した。残留物を、シリカゲル(330g、0%から10%アセトン/CH
2Cl
2で溶離)でのフラッシュクロマトグラフィーによって精製して、標題化合物を得た。UPLC方法B:C
30H
31NO
9の計算値:549.20、実測m/e:572.09[M+Na];R
t=3.94分。
1H NMR(CDCl
3)δ8.05−8.00(2H、m)、7.55−7.45(3H、m)、7.40−7.25(10H、m)、5.55(1H、s)、5.18−5.12(1H、m)、5.04−5.00(1H、m)、4.93−4.89(1H、m)、4.66−4.63(1H、m)、4.38−4.32(1H、m)、4.05−4.00(1H、m)、3.90−3.85(1H、m)、3.82−3.77(1H、m)、3.70−3.60(2H、m)、3.55−3.45(1H、m)、3.40−3.25(2H、m)。1H−1H 2D COSY実験によって位置化学を確認した。
【0407】
段階C:ベンジル{2−[(2−O−ベンゾイル−4−O−ベンジル−β−D−グルコピラノシル)オキシ]エチル}カーバメート
ベンジル{2−[(2−O−ベンゾイル−4,6−O−ベンジリデン−β−D−グルコピラノシル)オキシ]エチル}カーバメート(2.58g、4.69mmol)およびボランテトラヒドロフラン錯体(40mL、40.0mmol、1.0MのTHF中溶液)の溶液に0℃で、ジブチル(((トリフルオロメチル)スルホニル)オキシ)ボランの溶液(6mL、6.00mmol、1.0M CH
2Cl
2中溶液)を滴下した。0℃で2時間撹拌後、TEA(0.5mL)を反応混合物に加え、次にH
2発生が止むまでCH
3OHを注意深く加えた。反応混合物を濃縮し、残留物を、0%から100%EtOAc/ヘキサンで溶離を行うシリカゲル(330g)でのフラッシュクロマトグラフィーによって精製して、標題化合物を得た。TLC:シリカゲル、ヘキサン/EtOAc:35/65、R
f=0.5.
1H NMR(CDCl
3)δ8.05−8.00(2H、m)、7.55−7.25(13H、m)、5.05−4.98(3H、m)、4.86−4.82(1H、m)、4.78−4.74(1H、m)、4.60−4.58(1H、m)、3.95−3.90(2H、m)、3.85−3.80(1H、m)、3.75−3.65(2H、m)、3.61−3.58(1H、m)、3.45−3.40(1H、m)、3.35−3.30(2H、m)。
1H−
1H COSYおよび
1H−
13C単一結合相関(HSQC)2D NMR実験によって位置化学を確認した。
【0408】
段階D:ベンジル(2−{[2,3,4,6−テトラ−O−ベンゾイル−α−D−マンノピラノシル−(1→3)−[2,3,4,6−テトラ−O−ベンゾイル−α−D−マンノピラノシル−(1→6)]−2−O−ベンゾイル−4−O−ベンジル−β−D−グルコピラノシル]オキシ}エチル)カーバメート
ベンジル{2−[(2−O−ベンゾイル−4−O−ベンジル−β−D−グルコピラノシル)オキシ]エチル}カーバメート(1.47g、2.67mmol)、2,3,4,6−テトラ−O−ベンゾイル−D−マンノピラノシルトリクロロアセトイミデート(4.15g、5.60mmol、Organic Letters, 2003, 5, 4041)および4ÅモレキュラーシーブスのCH
2Cl
2(40mL)中混合物に−30℃で、トリフルオロメタンスルホン酸トリメチルシリル(0.25mL、1.384mmol)を滴下した。混合物を徐々に昇温させて室温とした。6時間撹拌後、TEA(0.4mL、2.87mmol)で反応停止した。反応混合物を濾過し、濾液を濃縮した。残留物を、0%から75%EtOAc/ヘキサンで溶離を行うシリカゲル(330g)でのフラッシュクロマトグラフィーによって精製して、標題化合物を得た。TLC:シリカゲル、ヘキサン/EtOAc3/2、R
f=0.5。
1H NMR(CDCl
3)δ8.20−7.95(8H、m)、7.85−7.75(8H、m)、7.65−7.60(3H、m)、7.55−7.40(8H、m)、7.38−7.18(24H、m)、7.15−7.05(4H、m)、6.00−5.95(1H、m)、5.88−5.85(1H、m)、5.75−5.65(3H、m)、5.48−5.46(1H、m)、5.35−5.25(2H、m)、5.22−5.20(1H、m)、5.07−5.05(1H、m)、4.95−4.85(2H、m)、4.78−4.75(1H、m)、4.70−4.60(1H、m)、4.60−4.55(2H、m)、4.40−4.30(2H、m)、4.27−4.23(1H、m)、4.20−4.10(2H、m)、3.95−3.90(1H、m)、3.80−3.75(1H、m)、3.75−3.70(3H、m)、3.60−3.55(1H、m)、3.51−3.48(1H、m)、3.40−3.25(2H、m)。
【0409】
段階E:ベンジル(2−{[α−D−マンノピラノシル−(1→3)−[α−D−マンノピラノシル−(1→6)]−4−O−ベンジル−β−D−グルコピラノシル]オキシ}エチル)カーバメート
ベンジル(2−{[2,3,4,6−テトラ−O−ベンゾイル−α−D−マンノピラノシル−(1→3)−[2,3,4,6−テトラ−O−ベンゾイル−α−D−マンノピラノシル−(1→6)]−2−O−ベンゾイル−4−O−ベンジル−β−D−グルコピラノシル]オキシ}エチル)カーバメート(3.39g、1.984mmol)のCH
3OH(30mL)中溶液に、NaOCH
3(0.4mL、0.2mmol、0.5M CH
3OH中溶液)を加えた。室温で24時間撹拌後、反応混合物にアンバーライト(アンバーライト(amberlite))IR 120(H)イオン交換樹脂(CH
3OH30mLで3回予洗)を加えた。得られた混合物をさらに15分間撹拌した。樹脂を濾去し、CH
3OHで洗浄した(5mLで3回)。濾液を濃縮して、標題化合物を得た。UPLC方法B:C
35H
49NO
18の計算値:771.29、実測m/e:772.42[M+1];R
t=2.51分。
【0410】
段階F:2−アミノエチルα−D−マンノピラノシル−(1→3)−[α−D−マンノピラノシル−(1→6)]−β−D−グルコピラノシド
ベンジル(2−{[α−D−マンノピラノシル−(1→3)−[α−D−マンノピラノシル−(1→6)]−4−O−ベンジル−β−D−グルコピラノシル]オキシ}エチル)カーバメート(0.96g、1.244mmol)およびPd/C(124mmol)の水(20mL)中混合物をH
2風船下に室温で16時間撹拌した。触媒を濾去し、H
2Oで洗浄した(10mLで3回)。濾液を濃縮して、標題化合物を得た。UPLC方法B:C
20H
37NO
16の計算値:547.21、実測m/e:548.29[M+1];R
t=0.87分。
1H NMR(D
2O)δ5.20−5.19(1H、m)、4.88−4.87(1H、m)、4.51−4.49(1H、m)、4.05(1H、m)、4.00−3.90(4H、m)、3.85−3.70(9H、m)、3.70−3.60(5H、m)、3.40−3.30(1H、m)、3.05−3.00(2H、m)。
【0411】
段階G:2−{[2−({6−[(2,5−ジオキソピロリジン−1−イル)オキシ]−6−オキソヘキシル}アミノ)−2−オキソエチル][2−({2−[(α−L−フコピラノシル)オキシ]エチル}アミノ)−2−オキソエチル]アミノ}−N−(2−{[α−D−マンノピラノシル−(1→3)−[α−D−マンノピラノシル−(1→6)]−β−D−グルコピラノシル]オキシ}エチル)アセトアミド
2−アミノエチルα−D−マンノピラノシル−(1→3)−[α−D−マンノピラノシル−(1→6)]−α−D−マンノピラノシドに代えて2−アミノエチルα−D−マンノピラノシル−(1→3)−[α−D−マンノピラノシル−(1→6)]−β−D−グルコピラノシドを用い、ML−29について記載の手順と同様の手順を用いて、標題化合物を製造した。UPLC方法B:C
44H
71N
5O
29の計算値:1133.42、実測m/e:1134.34[M+1];R
t=2.17分。
【0412】
実施例32
下記構造を有するオリゴ糖リンカー2−{[2−({6−[(2,5−ジオキソピロリジン−1−イル)オキシ]−6−オキソヘキシル}アミノ)−2−オキソエチル][2−({2−[(α−L−フコピラノシル)オキシ]エチル}アミノ)−2−オキソエチル]アミノ}−N−(2−{[α−D−マンノピラノシル−(1→3)−[α−D−マンノピラノシル−(1→6)]−2−デオキシ−2−フルオロ−β−D−グルコピラノシル]オキシ}エチル)アセトアミド(ML−32)の合成について説明する。
【化82】
[この文献は図面を表示できません]
【0413】
段階A:2−クロロエチル3,4,6−トリ−O−アセチル−2−デオキシ−2−フルオロ−D−グルコピラノシド
2−クロロエタノール(1.0mL、14.92mmol)、3,4,6−トリ−O−アセチル−2−デオキシ−2−フルオロ−D−グルコピラノシルトリクロロアセトイミデート(1.4g、3.09mmol、Angew. Chem. Int. Ed. 2010, 49, 8724)および4ÅモレキュラーシーブスのCH
2Cl
2(50mL)中溶液に−30℃で、トリフルオロメタンスルホン酸トリメチルシリル(0.25mL、1.384mmol)を滴下した。混合物を徐々に昇温させて室温とした。2時間撹拌後、TEA(0.13mL、0.933mmol)で反応停止した。得られた混合物を濾過し、濾液を濃縮した。残留物を、0%から60%EtOAc/ヘキサンで溶離を行うシリカゲル(80g)でのフラッシュクロマトグラフィーによって精製して、標題化合物を得た。このアノマー混合物を、それ以上精製せずに次の段階で直接用いた。TLC:シリカゲル、ヘキサン/EtOAc:3/1、R
f=0.35。
【0414】
段階B:2−クロロエチル2−デオキシ−2−フルオロ−D−グルコピラノシド
2−クロロエチル3,4,6−トリ−O−アセチル−2−デオキシ−2−フルオロ−D−グルコピラノシド(0.85g、2.293mmol)のCH
3OH(10mL)中溶液に、NaOCH
3(0.46mL、0.230mmol、0.5M CH
3OH中溶液)を加えた。得られた混合物を室温で2時間撹拌した。Dowex 50wx 2−200(H)イオン交換樹脂(CH
3OH10mLで3回予洗)を反応混合物に加えた。15分間撹拌後、樹脂を濾去し、濾液を濃縮して、標題化合物を得た。このアノマー混合物を、それ以上精製せずに次の段階で直接用いた。TLC:シリカゲル、ヘキサン/EtOAc:1/1、R
f=0.2。
【0415】
段階C:2−クロロエチル4,6−O−ベンジリデン−2−デオキシ−2−フルオロ−β−D−グルコピラノシド
2−クロロエチル2−デオキシ−2−フルオロ−D−グルコピラノシド(0.55g、2.248mmol)のAcCN(10mL)中溶液に、ベンズアルデヒドジメチルアセタール(540μL、3.6mmol)およびp−トルエンスルホン酸・1水和物(6mg、0.032mmol)を加えた。3時間撹拌後、反応混合物を濃縮した。残留物を、0%から60%EtOAc/ヘキサンで溶離を行うシリカゲル(80g)でのフラッシュクロマトグラフィーによって精製して、標題化合物を得た。
1H NMR(CD
3OD)δ7.50−7.47(2H、m)、7.35−7.32(3H、m)、5.58(1H、s)、4.76−4.72(1H、m)、4.32−4.28(1H、m)、4.16−4.02(2H、m)、3.95−3.85(2H、m)、3.80−3.74(1H、m)、3.70−3.66(2H、m)、3.52−3.48(2H、m)。βアノマー立体化学を、
1H−
13C単一結合相関(HSQC)および
1H−
1H NOE(NOESY)2D NMR実験によって確認した。TLC:シリカゲル、ヘキサン/EtOAc:7/3、R
f=0.5。
【0416】
段階D:2−クロロエチル4−O−ベンジル−2−デオキシ−2−フルオロ−β−D−グルコピラノシド
2−クロロエチル4,6−O−ベンジリデン−2−デオキシ−2−フルオロ−β−D−グルコピラノシド(422mg、1.268mmol)のボラン・テトラヒドロフラン錯体(9mL、9.0mmol、1.0M THF中溶液)中溶液に0℃で、ジブチル{[(トリフルオロメチル)スルホニル]オキシ}ボラン溶液(1.27mL、1.270mmol、1.0M CH
2Cl
2注溶液)を滴下した。0℃で2時間撹拌後、TEA(0.5mL)を反応混合物に加え、次にH
2発生が止むまでCH
3OHを注意深く加えた。反応混合物を濃縮し、残留物を、0%から60%EtOAc/ヘキサンで溶離を行うシリカゲル(40g)でのフラッシュクロマトグラフィーによって精製して、標題化合物を得た。TLC:シリカゲル、ヘキサン/EtOAc:1/1、R
f=0.6。
1H NMR(CDCl
3)δ7.38−7.28(5H、m)、4.84−4.71(2H、m)、4.56−4.53(1H、m)、4.22−4.04(2H、m)、3.93−3.83(3H、m)、3.77−3.71(1H、m)、3.67−3.63(2H、m)、3.55−3.50(1H、m)、3.40−3.37(1H、m)。
1H−
13C単一結合相関(HSQC);
1H−
13C多結合相関(HMQC);および
1H−
1H NOE(NOESY) 2D NMR実験によって、位置化学を確認した。
【0417】
段階E:2−アジドエチル4−O−ベンジル−2−デオキシ−2−フルオロ−β−D−グルコピラノシド
2−クロロエチル4−O−ベンジル−2−デオキシ−2−フルオロ−β−D−グルコピラノシド(1.53g、4.57mmol)のDMF(45mL)中溶液に室温で、アジ化ナトリウム(360mg、5.54mmol)を加えた。70℃で16時間撹拌後、反応混合物を冷却して室温とし、氷水(200mL)に投入し、CH
2Cl
2で抽出した(100mLで3回)。有機層を合わせ、ブラインで洗浄し(100mLで2回)、Na
2SO
4で脱水し、濾過し、濃縮した。残留物を、0%から100%EtOAc/ヘキサンで溶離を行うシリカゲル(120g)でのフラッシュクロマトグラフィーによって精製して、標題化合物を得た。TLC:シリカゲル、ヘキサン/EtOAc:1/1、R
f=0.55。
1H NMR(CDCl
3)δ7.37−7.28(5H、m)、4.84−4.71(2H、m)、4.55−4.52(1H、m)、4.22−4.07(1H、m)、4.03−3.98(1H、m)、3.94−3.86(2H、m)、3.79−3.71(2H、m)、3.56−3.51(1H、m)、3.48−3.36(3H、m)。
【0418】
段階F:2−アジドエチル2,3,4,6−テトラ−O−ベンゾイル−α−D−マンノピラノシル−(1→3)−[2,3,4,6−テトラ−O−ベンゾイル−α−D−マンノピラノシル−(1→6)]−4−O−ベンジル−2−デオキシ−2−フルオロ−β−D−グルコピラノシド
2−アジドエチル4−O−ベンジル−2−デオキシ−2−フルオロ−β−D−グルコピラノシド(1.23g、3.6mmol)、2,3,4,6−テトラ−O−ベンゾイル−D−マンノピラノシルトリクロロアセトイミデート(5.35g、7.22mmol、Organic Letters, 2003, 5, 4041)、および4ÅモレキュラーシーブスのCH
2Cl
2(60mL)中溶液に−30℃で、トリフルオロメタンスルホン酸トリメチルシリル(0.25mL、1.384mmol)を滴下した。混合物を徐々に昇温させて室温とした。6時間撹拌後、TEA(0.4mL、2.87mmol)で反応停止した。得られた混合物を濾過し、濾液を濃縮した。残留物を、0%から75%EtOAc/ヘキサンで溶離を行うシリカゲル(330g)でのフラッシュクロマトグラフィーによって精製して、標題化合物を得た。
1H NMR(CDCl
3)δ8.20−7.70(16H、m)、7.60−7.05(29H、m)、6.14−5.98(2H、m)、5.90−5.80(2H、m)、5.79−5.77(1H、m)、5.66−5.64(1H、m)、5.42−5.41(1H、m)、5.23−5.22(1H、m)、5.03−5.02(1H、m)、4.91−4.89(1H、m)、4.70−4.60(3H、m)、4.57−4.55(1H、m)、4.50−4.48(1H、m)、4.40−4.22(3H、m)、4.10−4.00(2H、m)、3.80−3.70(3H、m)、3.55−3.45(2H、m)、3.44−3.38(1H、m)、3.36−3.30(1H、m)。
【0419】
段階G:2−アジドエチルα−D−マンノピラノシル−(1→3)−[α−D−マンノピラノシル−(1→6)]−4−O−ベンジル−2−デオキシ−2−フルオロ−β−D−グルコピラノシド
2−アジドエチル2,3,4,6−テトラ−O−ベンゾイル−α−D−マンノピラノシル−(1→3)−[2,3,4,6−テトラ−O−ベンゾイル−α−D−マンノピラノシル−(1→6)]−4−O−ベンジル−2−デオキシ−2−フルオロ−β−D−グルコピラノシド(5.0g、3.34mmol)のCH
3OH(40mL)中溶液に、NaOCH
3(1.0mL、0.5mmol、0.5M CH
3OH中溶液)を加えた。室温で24時間撹拌後、アンバーライト(アンバーライト(amberlite)) IR 120(H)イオン交換樹脂(CH
3OH 30mLで3回予洗)を反応混合物に加えた。15分後、樹脂を濾去し、CH
3OHで洗浄した(5mLで3回)。濾液を濃縮し、残留物をEtOAc(50mL)に取り、2時間撹拌した。固体を濾過し、EtOAcで洗浄し(15mLで3回)、乾燥して、標題化合物を得た。UPLC方法B:C
27H
40FN
3O
15の計算値:665.24、実測m/e:666.35[M+1];R
t=2.03分。
【0420】
段階H:2−アミノエチルα−D−マンノピラノシル−(1→3)−[α−D−マンノピラノシル−(1→6)]−4−O−ベンジル−2−デオキシ−2−フルオロ−β−D−グルコピラノシド
2−アジドエチルα−D−マンノピラノシル−(1→3)−[α−D−マンノピラノシル−(1→6)]−4−O−ベンジル−2−デオキシ−2−フルオロ−β−D−グルコピラノシド(1.77g、2.66mmol)およびPd/C(0.133mmol)の水(30mL)中混合物をH
2風船下に室温で16時間撹拌した。触媒を濾去し、H
2Oで洗浄した(10mLで3回)。濾液を濃縮して、標題化合物を得た。UPLC方法B:C
20H
36FNO
15の計算値:549.21、実測m/e:550.29[M+1];R
t=0.86分。
1H NMR(D
2O)δ5.16−5.14(1H、m)、4.88−4.86(1H、m)、4.80−4.76(1H、m)、4.30−4.16(1H、m)、4.06−4.03(1H、m)、3.98−3.88(4H、m)、3.86−3.72(9H、m)、3.70−3.62(5H、m)、2.94−2.88(2H、m)。
【0421】
段階I:2−{[2−({6−[(2,5−ジオキソピロリジン−1−イル)オキシ]−6−オキソヘキシル}アミノ)−2−オキソエチル][2−({2−[(α−L−フコピラノシル)オキシ]エチル}アミノ)−2−オキソエチル]アミノ}−N−(2−{[α−D−マンノピラノシル−(1→3)−[α−D−マンノピラノシル−(1→6)]−2−デオキシ−2−フルオロ−β−D−グルコピラノシル]オキシ}エチル)アセトアミド
2−アミノエチルα−D−マンノピラノシル−(1→3)−[α−D−マンノピラノシル−(1→6)]−α−D−マンノピラノシドに代えて2−アミノエチルα−D−マンノピラノシル−(1→3)−[α−D−マンノピラノシル−(1→6)]−4−O−ベンジル−2−デオキシ−2−フルオロ−β−D−グルコピラノシドを用い、ML−29について記載の手順と同様の手順を用いて、標題化合物を製造した。UPLC方法B:C
44H
71N
5O
29の計算値:1133.42、実測m/e:1134.34[M+1];R
t=2.17分。
【0422】
実施例33
下記構造を有するオリゴ糖リンカー2−{[2−({2−[(α−L−フコピラノシル)オキシ]エチル}アミノ)−2−オキソエチル][2−({6−[(2,5−ジオキソピロリジン−1−イル)オキシ]−6−オキソヘキシル}アミノ)−2−オキソエチル]アミノ}−N−[2−(β−D−グルコピラノシルオキシ)エチル]アセトアミド(ML−33)の合成について説明する。
【化83】
[この文献は図面を表示できません]
【0423】
それぞれ、段階Cで6−アミノ−N−(2−α−L−フコピラノシル)エチル)ヘキサンアミドに代えて2−アミノエチルα−L−フコピラノシドを用い、段階Dで2−アミノエチルα−D−マンノピラノシル−(1→3)−[α−D−マンノピラノシル−(1→6)]−α−D−マンノピラノシドに代えて2−アミノエチルα−D−グルコピラノシドを用い、ML−23について記載の手順と同様の手順を用いて、標題化合物を製造した。UPLC方法B:m/e=796.38[M+1];R
t=1.87分。
【0424】
実施例34
下記構造を有するオリゴ糖リンカーN,N−ビス{2−[(α−L−フコピラノシル)オキシ]エチル}−6−[(2,5−ジオキソピロリジン−1−イル)オキシ]−6−オキソヘキサンアミド(ML−34)の合成について説明する。
【化84】
[この文献は図面を表示できません]
【0425】
段階A:プロパ−2−エン−1−イル2,3,4−トリ−O−ベンゾイル−α−L−フコピラノシド
1,2,3,4−テトラ−O−ベンゾイル−L−フコピラノシド(70.34g、121mmol、Organic Letters 2007, 9, 1227−30)のCH
2Cl
2(300mL)中溶液を撹拌しながら、それに0℃で、アリルアルコール(12.36mL、182mmol)を加え、次に内部温度を20℃以下に維持しながら、1時間かけて三フッ化ホウ素ジエチルエーテラート(44.9mL、363mmol)を滴下した。室温で16時間撹拌後、反応混合物を冷却して0℃とし、それに飽和NaHCO
3(600mL、121mmol)をゆっくり加えた。16時間撹拌後、反応混合物をCH
2Cl
2で抽出した(400mLで2回)。有機相を水(200mL)、飽和NaHCO
3(100mLで3回)、およびブライン(200mL)で洗浄した。有機相を分離し、MgSO
4で脱水し、濾過した。濾液を濃縮し、残留物を5つの等しい部分に分け、それらを別個に0%から60%EtOAc/ヘキサンで溶離を行うシリカゲル(330g)でのフラッシュクロマトグラフィーによって精製して、標題化合物を得た。(α異性体R
f=0.6330:70EtOAc:ヘキサン)。
1H NMR(CDCl
3)δ1.32(3H、t、J=6.77)、2.09(1H、s)、4.15−4.14(1H、m)、4.33−4.31(1H、m)、4.51−4.49(1H、m)、5.22(1H、d、J=10.52)、5.39−5.38(2H、m)、5.73(1H、dd、J=10.74、3.67)、5.82(1H、d、J=3.30)、5.92−5.91(1H、m)、6.04(1H、dd、J=10.75、3.43)、7.44(3H、dt、J=22.64、7.61)、7.48−7.57(5H、m)、7.65(1H、d、J=7.49)、7.84(2H、d、J=7.84)、8.04(2H、d、J=7.84)、8.15(2H、d、J=7.79)。
【0426】
段階B:2−オキソエチル2,3,4−トリ−O−ベンゾイル−α−L−フコピラノシド
プロパ−2−エン−1−イル2,3,4−トリ−O−ベンゾイル−α−L−フコピラノシド(6.06g、11.73mmol)のアセトン(94mL)および水(23.5mL)中溶液に、4−メチルモルホリン4−オキサイド(2.75g、23.46mmol)を加え、次に2.5%OsO
4水溶液(5.97g、0.587mmol)を加えた。混合物を室温で16時間撹拌した。得られた混合物に、NaIO
4(5.40g、23.46mmol)の水(100mL)中溶液を加えた。さらに6時間撹拌後、沈澱を濾過し、アセトン(200mL)で洗浄した。濾液の体積を最初の体積の1/3とし、EtOAc(200mL)で抽出した。有機相を分離し、飽和NaHCO
3(200mL)で洗浄した。水相をEtOAcで抽出した(100mLで3回)。有機相を合わせ、ブラインで洗浄し、Na
2SO
4で脱水し、濃縮した。残留物を、0%から100%EtOAc/ヘキサンで溶離を行うシリカゲル(220g)でのフラッシュクロマトグラフィーによって精製して、標題化合物を得た。
1H NMR(CDCl
3)δ1.33−1.29(3H、m)、3.27(1H、s)、3.41(1H、s)、4.35−4.31(1H、m)、5.51−5.45(1H、m)、5.75−5.69(1H、m)、5.81(1H、dd、J=13.91、3.57)、6.05−5.98(1H、m)、7.42(2H、d、J=7.76)、7.53(5H、d、J=8.61)、7.67−7.63(2H、m)、7.84−7.81(2H、m)、8.01(2H、t、J=8.82)、8.14−8.12(2H、m)、9.77−9.77(1H、m)。
【0427】
段階C:ベンジル{2−[(2,3,4−トリ−O−アセチル−α−L−フコピラノシル)オキシ]エチル}カーバメート
1,2,3,4−テトラ−O−アセチル−L−フコピラノース(200g、601.86mmol)のAcCN(100mL)およびベンジル(2−ヒドロキシエチル)カーバメート(140.96g、722.08mmol)中溶液を撹拌しながら、それに0℃で、BF
3・Et
2O(427.7g、3.01モル)を2時間かけて滴下した。室温で16時間撹拌後、反応混合物を冷却して0℃とし、次にEt
3N(130mL)を加えた。得られた混合物を濃縮し、残留物をCH
2Cl
2(2.0L)に溶かし、次にそれを飽和NaHCO
3(500mLで2回)、水(500mLで2回)およびブライン(500mL)で洗浄した。有機相を分離し、Na
2SO
4で脱水し、濃縮した。残留物を、EtOAc/石油エーテル(1:3)で溶離を行うシリカゲルでのフラッシュクロマトグラフィーによって精製して、標題化合物を得た。
1H NMR(CDCl
3)δ7.33−7.37(5H、m)、5.12−5.32(5H、m)、4.99−5.04(1H、m)、4.42−4.45(1H、d)、3.87−3.94(1H、m)、3.78−3.84(1H、m)、3.66−3.70(1H、m)、3.42−3.44(2H、m)、2.19(3H、s)、2.05−2.12(6H、m)、1.25−1.30(3H、d)。
【0428】
段階D:2−アミノエチル2,3,4−トリ−O−アセチル−α−L−フコピラノシド
ベンジル{2−[(2,3,4−トリ−O−アセチル−α−L−フコピラノシル)オキシ]エチル}カーバメート(1.0g、2.139mmol)の水(10mL)中溶液にPd/C(68mg、0.642mmol)を加えた。得られた懸濁液を脱気し、H
2風船下に室温で撹拌した。1時間後、反応混合物をセライト層で濾過し、濾液を凍結乾燥して標題化合物を得た。UPLC方法B:m/e=334.1563[M+1];R
t=1.43分。
【0429】
段階E:2−(ベンジルアミノ)エチル2,3,4−トリ−O−アセチル−α−L−フコピラノシド
2−アミノエチル2,3,4−トリ−O−アセチル−α−L−フコピラノシド(8.56g、25.7mmol)のCH
2Cl
2(100mL)中溶液に、ベンズアルデヒド(2.197mL、21.67mmol)、酢酸(372μL、6.50mmol)およびNaCNBH
3(3.40g、54.2mmol)を加えた。室温で16時間撹拌後、反応混合物を濃縮し、残留物を、EtOAc(50mL)と飽和NaHCO
3(50mL)との間で分配した。有機相を分離し、飽和NaHCO
3(100mLで2回)、ブライン(100mL)で洗浄し、MgSO
4で脱水し、濃縮した。残留物を、0%から100%AcCN/水で溶離を行うC18逆相シリカゲル(130g)でのフラッシュクロマトグラフィーによって精製して、標題化合物を得た。UPLC方法B:m/e=424.2089[M+1];R
t=3.42分。
【0430】
段階F:2−(ベンジル{2−[(2,3,4−トリ−O−ベンゾイル−α−L−フコピラノシル)オキシ]エチル}アミノ)エチル2,3,4−トリ−O−アセチル−α−L−フコピラノシド
2−(ベンジルアミノ)エチル2,3,4−トリ−O−アセチル−α−L−フコピラノシド(1.021g、2.411mmol)のCH
2Cl
2(50mL)中溶液に、2−オキソエチル2,3,4−トリ−O−ベンゾイル−α−L−フコピラノシド(1.25g、2.411mmol)、酢酸(41μL、0.723mmol)およびNaCNBH
3(227mg、3.62mmol)を加えた。室温で16時間撹拌後、反応混合物を濃縮し、残留物を、EtOAc(50mL)と飽和NaHCO
3(50mL)との間で分配した。有機相を分離し、飽和NaHCO
3(100mLで2回)およびブライン(100mL)で洗浄し、MgSO
4で脱水し、濃縮した。残留物を、フラッシュクロマトグラフィーシリカゲル(120g、0%から100EtOAc/ヘキサンで溶離)によって精製した。標題化合物を含む分画を合わせ、濃縮した。残留物を、0%から100%AcCN/水で溶離を行うC18逆相シリカゲル(130g)でのフラッシュクロマトグラフィーによってさらに精製して、標題化合物を得た。UPLC方法B:me/e=926.3234[M+1];R
t=1.947分。
1H NMR(CDCl
3)δ1.12(3H、d、J=6.54)、1.27(3H、d、J=6.57)、2.00(6H、d、J=5.40)、2.20(3H、s)、2.78(2H、q、J=5.85)、2.85(2H、t、J=5.72)、3.48−3.46(1H、m)、3.77−3.59(4H、m)、3.87−3.85(1H、m)、4.09(1H、d、J=6.63)、4.39(1H、d、J=6.71)、5.02(1H、d、J=3.71)、5.14(1H、dd、J=10.82、3.68)、5.30(1H、d、J=3.36)、5.37−5.34(2H、m)、5.65(1H、dd、J=10.72、3.66)、5.77(1H、d、J=3.49)、5.98(1H、dd、J=10.70、3.47)、7.29(6H、s)、7.36(3H、t、J=7.74)、7.45(1H、t、J=7.59)、7.52(3H、t、J=7.73)、7.64(1H、t、J=7.46)、7.81(2H、dd、J=8.00、1.41)、7.97(2H、dd、J=8.07、1.40)、8.14−8.12(2H、m)。
【0431】
段階G:2−(ベンジル{2−[(α−L−フコピラノシル)オキシ]エチル}アミノ)エチル6−α−L−フコピラノシド
2−(ベンジル{2−[(2,3,4−トリ−O−ベンゾイル−α−L−フコピラノシル)オキシ]エチル}アミノ)エチル2,3,4−トリ−O−アセチル−α−L−フコピラノシド(432.9mg、0.468mmol)のCH
3OH(10mL)中溶液に、NaOCH
3(0.087μL、0.468mmol、1.0M)を加えた。16時間撹拌後、反応混合物を濃縮して、標題化合物を得た。UPLC方法B:m/e=488.2324[M+1];R
t=2.106分。
【0432】
段階H:2−({2−[(α−L−フコピラノシル)オキシ]エチル}アミノ)エチルα−L−フコピラノシド
2−(ベンジル{2−[(α−L−フコピラノシル)オキシ]エチル}アミノ)エチル6−α−L−フコピラノシド(220mg、0.451mmol)の水(10mL)中溶液に、Pd/C(14.41mg、0.135mmol)を加えた。混合物を脱気し、H
2風船下に撹拌した。1時間後、反応混合物をセライト層で濾過し、濾液を凍結乾燥して標題化合物を得た。UPLC方法:m/e=398.2161[M+1];R
t=1.119分。
1H NMR(CD
3OD)δ1.24(6H、d、J=6.58)、2.91−2.89(4H、m)、3.56(2H、ddd、J=10.66、6.64、4.66)、3.70−3.69(2H、m)、3.80−3.75(4H、m)、3.86(2H、dt、J=10.61、4.53)、3.98(2H、q、J=6.63)、4.80(2H、d、J=3.45)。
【0433】
段階I:6−(ビス{2−[(α−L−フコピラノシル)オキシ]エチル}アミノ)−6−オキソヘキサン酸ベンジル
6−(ベンジルオキシ)−6−オキソヘキサン酸(40mg、0.169mmol)、EDC(114mg、0.593mmol)およびHOBt(2.59mg、0.017mmol)のDMF(5mL)中溶液に室温で、2−({2−[(α−L−フコピラノシル)オキシ]エチル}アミノ)エチルα−L−フコピラノシド(190mg、0.478mmol)を加えた。16時間撹拌後、反応混合物を濃縮し、残留物を、5%から40%AcCN/水で溶離を行うC18逆相シリカゲル(50g)でのフラッシュクロマトグラフィーによって精製して、標題化合物を得た。UPLC方法B:m/e=616.2923[M+1];R
t=3.114分。
1H NMR(CD
3OD)δ1.24(6H、d、J=6.58)、1.72−1.64(4H、m)、2.45(2H、t、J=7.11)、2.53(2H、t、J=7.32)、3.91−3.55(17H、m)、4.78−4.75(2H、m)、5.14(2H、s)、7.38−7.37(5H、m)。
【0434】
段階J:N,N−ビス{2−[(α−L−フコピラノシル)オキシ]エチル}−6−[(2,5−ジオキソピロリジン−1−イル)オキシ]−6−オキソヘキサンアミド
段階Cで6−({2−[(α−D−マンノピラノシル−(1→3)−[α−D−マンノピラノシル−(1→6)]−α−D−マンノピラノシル)オキシ]エチル}アミノ)−6−オキソヘキサン酸ベンジルに代えて6−(ビス{2−[(α−L−フコピラノシル)オキシ]エチル}アミノ)−6−オキソヘキサン酸ベンジルを用い、ML−1について記載の手順と同様の手順を用いて、標題化合物を製造した。UPLC方法B:m/e=623.2853[M+1];R
t=2.155分。
【0435】
実施例35
下記構造を有するオリゴ糖リンカー2−({2−[(α−L−フコピラノシル)オキシ]エチル}{6−[(2,5−ジオキソピロリジン−1−イル)オキシ]−6−オキソヘキシル}アミノ)エチルα−L−フコピラノシド(ML−35)の合成について説明する。
【化85】
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【0436】
段階A:6−(ビス{2−[(2,3,4−トリ−O−ベンゾイル−α−L−フコピラノシル)オキシ]エチル}アミノ)ヘキサン酸ベンジル
2−オキソエチル2,3,4−トリ−O−ベンゾイル−α−L−フコピラノシド(1.25g、2.411mmol)のCH
2Cl
2(50mL)中溶液に、6−(ベンジルオキシ)−6−オキソヘキサン−1−アミニウム4−メチルベンゼンスルホネート、酢酸(17μL、0.300mmol)およびNaCNBH
3(189mg、3.00mmol)を加えた。室温で16時間撹拌後、反応混合物を濃縮し、残留物を、EtOAc(50mL)と飽和NaHCO
3(50mL)との間で分配した。有機相を分離し、飽和NaHCO
3(100mLで2回)、ブライン(100mL)で洗浄し、MgSO
4で脱水し、濃縮した。残留物を、0%から100%EtOAc/ヘキサンで溶離を行うシリカゲル(120g)でのフラッシュクロマトグラフィーによって精製した。標題化合物を含む分画を合わせ濃縮した。残留物を、0%から100%AcCN/水で溶離を行うC18逆相シリカゲル(50g)でのフラッシュクロマトグラフィーによってさらに精製して、標題化合物を得た。UPLC方法B:m/e=1226.4591[M+1];R
t=3.310分。
1H NMR(CDCl
3)δ1.29(5H、d、J=6.62)、2.36−2.31(2H、m)、2.75(3H、d、J=23.31)、3.53(2H、d、J=9.26)、3.78−3.76(1H、m)、4.45(1H、d、J=6.66)、5.13(2H、s)、5.35(1H、d、J=3.64)、5.64(2H、dd、J=10.69、3.63)、5.79(2H、d、J=3.48)、5.98(1H、dd、J=10.71、3.44)、7.26(4H、t、J=7.64)、7.56−7.40(14H、m)、7.64(2H、t、J=7.72)、7.82−7.80(5H、m)、7.99−7.97(5H、m)、8.19−8.12(5H、m)。
【0437】
段階B:6−(ビス{2−[(α−L−フコピラノシル)オキシ]エチル}アミノ)ヘキサン酸メチル
2−(ベンジル{2−[(2,3,4−トリ−O−ベンゾイル−α−L−フコピラノシル)オキシ]エチル}アミノ)エチル2,3,4−トリ−O−アセチル−α−L−フコピラノシドに代えて6−(ビス{2−[(2,3,4−トリ−O−ベンゾイル−α−L−フコピラノシル)オキシ]エチル}アミノ)ヘキサン酸ベンジルを用い、段階GでML−34について記載の手順と同様の手順を用いて、標題化合物を製造した。UPLC方法B:m/e=526.2852[M+1];R
t=2.112分。
【0438】
段階C:6−(ビス{2−[(α−L−フコピラノシル)オキシ]エチル}アミノ)ヘキサン酸
6−(ビス{2−[(α−L−フコピラノシル)オキシ]エチル}アミノ)ヘキサン酸メチル(45mg、0.086mmol)の水(10mL)中溶液に、NaOH(0.086μL、0.086mmol、1.0M)を加えた。16時間撹拌後、反応混合物を0.01M HClで中和し、得られた溶液を凍結乾燥して、標題化合物を得た。UPLC方法B:m/e=512.2866[M+1];R
t=1.709分。
【0439】
段階D:2−({2−[(α−L−フコピラノシル)オキシ]エチル}{6−[(2,5−ジオキソピロリジン−1−イル)オキシ]−6−オキソヘキシル}アミノ)エチルα−L−フコピラノシド
6−({2−[(α−D−マンノピラノシル−(1→3)−[α−D−マンノピラノシル−(1→6)]−α−D−マンノピラノシル)オキシ]エチル}アミノ)−6−オキソヘキサン酸に代えて6−(ビス{2−[(α−L−フコピラノシル)オキシ]エチル}アミノ)ヘキサン酸を用い、ML−1段階Dについて記載の手順と同様の手順を用いて、標題化合物を製造した。UPLC方法B:m/e=609.2808[M+1];R
t=2.088分。
【0440】
実施例36
下記構造を有するオリゴ糖2−({6−[(2,5−ジオキソピロリジン−1−イル)オキシ]−6−オキソヘキシル}[3−(α−L−フコピラノシル)プロピル]アミノ)エチル2−(アセチルアミノ)−2−デオキシ−β−D−グルコピラノシド(ML−36)の合成について説明する。
【化86】
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【0441】
段階A:3−(2,3,4−トリ−O−アセチル−α−L−フコピラノシル)−1−プロペン
1,2,3,4−テトラ−O−アセチル−α−L−フコピラノース(12g、36.1mmol)およびアリルトリメチルシラン(11.48mL、72.2mmol)のAcCN(60mL)中溶液に0℃で、TMS−OTf(3.52mL、19.50mmol)を加えた。反応混合物を0℃で18時間、次に室温で6時間撹拌した。得られた赤色溶液をCH
2Cl
2(250mL)で希釈し、飽和NaHCO
3(150mL)を注意深く加えた。水層を分離し、CH
2Cl
2で抽出した(50mLで2回)。合わせた有機層をNa
2SO
4で脱水し、濾過し、濃縮した。残留物を、15%EtOAc/ヘキサンで溶離を行うシリカゲル(220g)でのフラッシュクロマトグラフィーによって精製して、標題化合物を得た。
1H NMR(CDCl
3、400MHz)δ1.16(d、J=6.4、3H)、2.04(s、3H)、2.08(s、3H)、2.18(s、3H)、2.34(m、1H)、2.57(m、1H)、4.00(m、1H)、4.29(dt、J=10.4、7.3、1H)、5.13(m、2H)、5.23(dd、J=10.0、3.4、1H)、5.30(dd、J=3.4、1.9、1H)、5.35(dd、J=10.0、5.6、1H)、5.77(m、1H)。
【0442】
段階B:3−(α−L−フコピラノシル)−1−プロペン
3−(2,3,4−トリ−O−アセチル−α−L−フコピラノシル)−1−プロペン(10.65g、33.9mmol)のCH
3OH(50mL)中溶液を撹拌しながら、それにNaOCH
3(183mg、3.4mmol)を加えた。室温で2時間撹拌後、反応混合物をアンバーライト(アンバーライト(amberlite))IR120(メタノール25mLで3回予洗)で中和した。樹脂を濾去し、濾液を濃縮して白色固体を得て、それをEtOAc(約200mL)から再結晶して、標題化合物を得た。
1H NMR(CDCl
3、400MHz)δ1.22(d、J=6.5、3H)、2.41(m、1H)、2.47(m、1H)、3.73(m、2H)、3.85(qd、J=6.5、2.0、1H)、3.90(dd、J=8.9、5.5、1H)、3.99(m、1H)、5.07(m、1H)、5.15(dq、J=17.2、1.7、1H)、5.85(m、1H)。
【0443】
段階C:3−(2,3,4−トリ−O−ベンジル−α−L−フコピラノシル)−1−プロペン
NaH(3.91g、オイル中60%分散品、98mmol)のDMF(120mL)中懸濁液を撹拌しながら、それに室温で、3−(α−L−フコピラノシル)−1−プロペン(4.6g、24.44mmol)を少量ずつ加えた。2時間後、得られた混合物に、ヨウ化テトラブチルアンモニウム(451mg、1.22mmol)を加え、次に臭化ベンジル(13.1mL、110mmol)をゆっくり加えた。室温で16時間撹拌後、反応混合物を濃縮し、残留物を、水(300mL)とEt
2O(150mL)との間で分配した。水層をEt
2Oで抽出した(150mLで3回)。合わせた有機層をブライン(100mL)で洗浄し、Na
2SO
4で脱水し、濾過し、濃縮した。残留物を、0%から40%EtOAc/ヘキサンで溶離を行うシリカゲル(220g)でのフラッシュクロマトグラフィーによって精製して、標題化合物を得た。
1H NMR(CDCl
3、400MHz)δ1.34(d、J=6.6、3H)、2.33(m、1H)、2.42(m、1H)、3.82(m、3H)、3.99(m、1H)、4.12(m、1H)、4.58(d、J=11.8、1H)、4.64(d、J=11.8、2H)、4.69(d、J=12.0、1H)、4.76(dd、J=12.0、8.9、2H)、5.05、5.07および5.11(m、2H)、5.80(m、1H)、7.30−7.40(m、15H)。
【0444】
段階D:3−(2,3,4−トリ−O−ベンジル−α−L−フコピラノシル)プロパノール
3−(2,3,4−トリ−O−ベンジル−α−L−フコピラノシル)−1−プロペン(10.4g、22.68mmol)のTHF(100mL)中溶液に0℃で、9−BBN(58.5mL、29.3mmol、0.5M THF中溶液)をゆっくり加えた。混合物を昇温させて室温とし、次に3時間還流した。反応混合物を冷却して室温とし、エタノール(4.4mL、75mmol)を滴下して、次にNaOH(11.51mL、46mmol、4.0M水溶液)を滴下した。得られた混合物を冷却して0℃とし、35%過酸化水素(10mL、115mmol)を加えた。得られた懸濁液を室温で終夜撹拌した。反応混合物をブライン(125mL)およびエーテル(200mL)で希釈した。有機層をブラインで洗浄し(125mLで2回)、Na
2SO
4で脱水し、濾過し、濃縮した。残留物を、0%から100%EtOAc/ヘキサンで溶離を行うシリカゲル(330g)でのフラッシュクロマトグラフィーによって精製して、標題化合物を得た。
1H NMR(CDCl
3、400MHz)δ1.33(d、J=6.6、3H)、1.67(m、3H)、1.70(m、1H)、3.65(m、2H)、3.80(m、3H)、3.98(m、1H)、4.02(m、1H)、4.56(d、J=11.8、1H)、4.63(t、J=12.2、2H)、4.69(d、J=12.0、1H)、4.78(dd、J=12.1、2.1、2H)、7.27−7.40(m、15H)。
【0445】
段階E:3−(2,3,4−トリ−O−ベンジル−α−L−フコピラノシル)プロパナール
3−(2,3,4−トリ−O−ベンジル−α−L−フコピラノシル)プロパノール(8.4g、17.62mmol)のCH
2Cl
2(100mL)中溶液に0℃で、デス−マーチンペルヨージナン(11.21g、26.4mmol)を加えた。得られた混合物を0℃で1時間、次に室温で2時間撹拌した。TLCでは、原料のアルコールがまだ若干存在していることが示されていることから、追加のデス−マーチンペルヨージナン(5g、11.8mmol)を加え、混合物を室温でさらに2時間撹拌した。得られた混合物を飽和NaHCO
3(150mLで3回)、ブライン(50mL)で洗浄し、Na
2SO
4で脱水し、濾過し、濃縮した。残留物を、0%から80%EtOAc/ヘキサンで溶離を行うシリカゲル(220g)でのによって精製してフラッシュクロマトグラフィーして、標題化合物を得た。
1H NMR(CDCl
3、400MHz)δ1.26(d、J=6.6、3H)、1.82(m、1H)、2.06(m、1H)、2.40−2.58(m、2H)、3.80(m、2H)、3.84(m、1H)、3.90(m、1H)、3.99(dt、J=10.9、3.8、1H)、4.55(d、J=11.8、1H)、4.65(d、J=11.8、1H)、4.70(t、J=12.0、2H)、4.79(dd、J=12.0、9.2、2H)、7.28−7.40(m、15H)。
【0446】
段階F:2−{[3−(2,3,4−トリ−O−ベンジル−α−L−フコピラノシル)プロピル]アミノ}エチル2−(アセチルアミノ)−2−デオキシ−β−D−グルコピラノシド
3−(2,3,4−トリ−O−ベンジル−α−L−フコピラノシル)プロパナール(800mg、1.69mmol)および2−アミノエチル3,4,6−トリ−O−アセチル−2−(アセチルアミノ)−2−デオキシ−β−D−グルコピラノシド(987mg、2.53mmol)のCH
2Cl
2(15mL)中混合物に、酢酸(29μL、0.506mmol)および水素化ホウ素トリアセトキシナトリウム(893mg、4.21mmol)を加えた。室温で終夜撹拌後、反応混合物を濃縮し、残留物をEtOAc(70mL)に取り、飽和NaHCO
3(100mLで2回)、ブライン(30mL)で洗浄し、Na
2SO
4で脱水し、濾過し、濃縮した。残留物をCH
3OH(8mL)に取り、それにNaOCH
3(27mg、0.506mmol)を加えた。室温で2時間撹拌後、得られた混合物を濃縮し、残留物を、5%から100%AcCN/水で溶離を行うC18逆相シリカゲル(120g)でのフラッシュクロマトグラフィーによって精製して、標題化合物を得た。
1H NMR(CDCl
3、400MHz)δ1.30(d、J=6.6、3H)、1.50(m、1H)、1.60(m、1H)、1.68(m、1H)、2.02(s、3H)、2.64(m、2H)、2.81(m、2H)、3.39(m、1H)、3.57(m、2H)、3.69(m、1H)、3.78−3.85(m、4H)、3.92(m、2H)、4.00(m、2H)、4.45(d、J=7.7、1H)、4.52(d、J=11.9、1H)、4.62(d、J=11.8、1H)、4.68(d、J=12.1、1H)、4.79(d、J=12.0、2H)、7.28−7.38(m、15H)、7.65(s、1H);[M+H/e]+=723.3925。
【0447】
段階G:6−{[3−(2,3,4−トリ−O−ベンジル−α−L−フコピラノシル)プロピル](2−{[2−(アセチルアミノ)−2−デオキシ−β−D−グルコピラノシル]オキシ}エチル)アミノ}ヘキサン酸ベンジル
6−オキソヘキサン酸ベンジル(170mg、0.77mmol)および2−{[3−(2,3,4−トリ−O−ベンジルオキシ−α−L−フコピラノシル)プロピル]アミノ}エチル2−(アセチルアミノ)−2−デオキシ−β−D−グルコピラノシド(558mg、0.77mmol)のCH
2Cl
2(8mL)中混合物に、酢酸(13μL、0.232mmol)および水素化ホウ素トリアセトキシナトリウム(327mg、1.54mmol)を加え、得られた混合物を室温で2時間撹拌した。追加の6−オキソヘキサン酸ベンジル(170mg、0.77mmol)を加え、撹拌を終夜続けた。混合物を溶媒留去し、残留物を、EtOAc(40mL)と飽和NaHCO
3(60mL)との間で分配し、有機層をブライン(30mL)で洗浄し、Na
2SO
4で脱水し、濾過し、濃縮した。残留物を、5%から20%MeOH/CH
2Cl
2で溶離を行うシリカゲル(40g)でのフラッシュクロマトグラフィーによって精製して、標題化合物を得た。
1H NMR(CDCl
3、400MHz):1.27−1.38(m、5H)、1.48(m、1H)、1.62−1.75(m、4H)、1.80(m、1H)、2.09(s、3H);2.37(t、J=7.3、2H)、2.90−3.02(m、4H)、3.04(m、1H)、3.13(m、1H)、3.42(m、1H)、3.59(t、J=8.9、1H)、3.65−3.75(m、3H)、3.78(d、J=4.9、2H)、3.86(m、1H)、3.87−4.05(m、4H)、4.15(d、J=11.2、1H)、4.49(d、J=11.9、1H)、4.62(d、J=11.8、1H)、4.66(d、J=11.7、1H)、4.69(m、2H)、4.74(d、J=11.8、1H)、4.78(d、J=12.0、1H)、5.12(s、2H)、7.25−7.38(m、15H)、8.36(s、1H);UPLC−MS[M+H/e]+=927.5049。
【0448】
段階H:2−({6−[(2,5−ジオキソピロリジン−1−イル)オキシ]−6−オキソヘキシル}[3−(α−L−フコピラノシル)プロピル]アミノ)エチル2−(アセチルアミノ)−2−デオキシ−β−D−グルコピラノシド
段階Cで6−({2−[(α−D−マンノピラノシル−(1→3)−[α−D−マンノピラノシル−(1→6)]−α−D−マンノピラノシル)オキシ]エチル}アミノ−6−オキソヘキサン酸ベンジルに代えて6−{[3−(2,3,4−トリ−O−ベンジル−α−L−フコピラノシル)プロピル](2−{[2−(アセチルアミノ)−2−デオキシ−β−D−グルコピラノシル]オキシ}エチル)アミノ}ヘキサン酸ベンジルを用い、実施例1、ML−1について記載の手順と同様の手順を用いて、標題化合物を製造した。UPLC方法B:m/e=664.3474[M+1];R
t=1.08分。
【0449】
実施例37
下記構造を有するオリゴ糖リンカー2−({6−[(2,5−ジオキソピロリジン−1−イル)オキシ]−6−オキソヘキシル}[3−(α−L−フコピラノシル)プロピル]アミノ)エチルβ−D−グルコピラノシド(ML−37)の合成について説明する。
【化87】
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【0450】
段階Fで2−アミノエチル3,4,6−トリ−O−アセチル−2−(アセチルアミノ)−2−デオキシ−β−D−グルコピラノシドに代えて2−アミノエチル2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−β−D−グルコピラノシドを用い、ML−36について記載の手順と同様の手順を用いて、標題化合物を製造した。UPLC方法B:m/e=623.3277[M+1];R
t=1.11分。
【0451】
実施例38
下記構造を有するオリゴ糖リンカー2−({6−[(2,5−ジオキソピロリジン−1−イル)オキシ]−6−オキソヘキシル}[3−(α−L−フコピラノシル)プロピル]アミノ)エチルα−D−グルコピラノシド(ML−38)の合成について説明する。
【化88】
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【0452】
段階Fで2−アミノエチル3,4,6−トリ−O−アセチル−2−(アセチルアミノ)−2−デオキシ−β−D−グルコピラノシドに代えて2−アミノエチル2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−α−D−グルコピラノシドを用い、ML−36について記載の手順と同様の手順を用いて、標題化合物を製造した。UPLC方法B:m/e=623.3336[M+1];R
t=1.11分。
【0453】
実施例39
下記構造を有するオリゴ糖リンカー2,5−ジオキソピロリジン−1−イル6−{[3−(α−L−フコピラノシル)プロピル][2−(α−D−グルコピラノシル)プロピル]アミノ}ヘキサノエート(ML−39)の合成について説明する。
【化89】
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【0454】
段階A:メチル2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−α−D−グルコピラノシド
NaH(オイル中60%分散品5.19g、130mmol)のDMF(150mL)中懸濁液に、メチル−α−D−グルコピラノシド(4.2g、21.6mmol)を少量ずつ加えた。得られた混合物を室温で2時間撹拌し、それに臭化テトラブチルアンモニウム(800mg、2.16mmol)を加え、次に臭化ベンジル(11.58mL、97mmol)を滴下した。室温で終夜撹拌後、混合物を濃縮し、残留物を水に懸濁させ、エーテルで抽出した(150mLで3回)。合わせたエーテル層をブライン(200mL)で洗浄し、Na
2SO
4で脱水し、濾過し、溶媒留去した。残留物を、0%から30%EtOAc/ヘキサンで溶離を行うシリカゲル(330g)でのフラッシュクロマトグラフィーによって精製して、標題化合物を得た。
1H NMR(CDCl
3、400MHz)δ3.44(s、3H)、3.62(dd、J=9.6、3.5、1H)、3.66−3.72(m、2H)、3.75−3.82(m、2H)、4.04(t、J=9.3、1H)、4.51−4.55(m、2H)、4.66(d、J=12.1、1H)、4.69(d、J=3.5、1H)、4.72(d、J=12.1、1H)、4.83−4.90(m、3H)、5.04(d、J=11.0、1H)、7.19(m、2H)、7.30−7.43(m、18H)。
【0455】
段階B:3−(2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−α−D−グルコピラノシル)−1−プロペン
1,2,3,4−テトラ−O−アセチル−α−L−フコピラノースに代えてメチル2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−α−D−グルコピラノシドを用い、段階AでML−36について記載の手順と同様の手順を用いて、標題化合物を製造した。
1H NMR(CDCl
3)δ2.48−2.60(m、2H)、3.64−3.70(m、3H)、3.76(dd、J=10.5、3.2、1H)、3.80−3.88(m、2H)、4.18(m、1H)、4.52(d、J=10.5、2H)、4.68(d、J=13.7、2H)、4.74(d、J=11.6、1H)、4.86(dd、J=10.6、3.3、2H)、4.98(d、J=11.0、1H)、5.11−5.18(m、2H)、5.84−5.90(m、1H)、7.18(m、2H)、7.29−7.41(m、18H)。
【0456】
段階C:3−(2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−α−D−グルコピラノシル)プロパノール
3−(2,3,4−トリ−O−ベンジル−α−L−フコピラノシル)−1−プロペンに代えて3−(2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−α−D−グルコピラノシル)−1−プロペンを用い、段階DでML−36について記載の手順と同様の手順を用いて、標題化合物を製造した。
1H NMR(CDCl
3)δ1.70(m、2H)、1.85(m、2H)、3.61(m、1H)、3.65−3.76(m、2H)、3.76−3.86(m、2H)、4.91(m、1H)、4.52(d、J=10.8、1H)、4.55(d、J=12.3、1H)、4.65(d、J=12.1、1H)、4.67(d、J=11.8、1H)、4.75(d、J=11.7、1H)、4.86(d、J=11.3、2H)、4.98(d、J=11.0、1H)、7.18(m、2H)、7.29−7.40(m、18H)。
【0457】
段階D:メタンスルホン酸3−(2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−α−D−グルコピラノシル)プロピル
3−(2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−α−D−グルコピラノシル)プロパノール(3.35g、5.75mmol)のCH
2Cl
2(30mL)中溶液に0℃で、DIPEA(1.25mL、7.19mmol)を加え、次にメタンスルホニルクロライド(538μL、6.9mmol)を滴下した。0℃で1時間撹拌後、反応混合物を水(50mL)に投入した。有機層を分離し、飽和NaHCO
3(50mL)、ブライン(30mL)で洗浄し、MgSO
4で脱水し、濾過し、濃縮して、標題化合物を得た。
1H NMR(CDCl
3)δ1.76−1.90(m、3H)、1.90−1.99(m、2H)、3.00(s、3H)、3.58−3.66(m、2H)、3.68−3.74(m、2H)、3.77−3.85(m、2H)、4.06(m、1H)、4.52(d、J=10.7、1H)、4.54(d、J=12.1、1H)、4.65(d、J=12.1、1H)、4.66(d、J=11.6、1H)、4.76(d、J=11.6、1H)、4.85(d、J=10.9、1H)、4.98(d、J=10.9、1H)、7.18(m、2H)、7.30−7.40(m、18H)。
【0458】
段階E:3−(2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−α−D−グルコピラノシル)プロピルアジド
メタンスルホン酸3−(2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−α−D−グルコピラノシル)プロピル(3.78g、5.72mmol)のAcCN(50mL)中溶液に、アジ化テトラブチルアンモニウム(1.66g、5.83mmol)を加えた。得られた混合物を終夜還流させた。冷却して室温とした後、反応混合物を濃縮した。残留物をエーテル(50mL)に溶かし、それを水(50mLで2回)、ブライン(25mL)で洗浄し、Na
2SO
4で脱水し、濾過し、濃縮した。残留物を、シリカゲル(120g、0%から30%EtOAc/ヘキサンで溶離)でのフラッシュクロマトグラフィーによって精製して、標題化合物を得た。
1H NMR(CDCl
3)δ1.58−1.68(m、2H)、1.74−1.86(m、2H)、3.32−3.41(m、2H)、3.58−3.76(m、4H)、3.76−3.85(m、2H)、4.40(m、1H)、4.52(t、J=10.4、2H)、4.65(dd、J=11.7、2.5、2H)、4.75(d、J=11.7、1H)、4.86(m、2H)、4.97(d、J=10.8、1H)、7.16(m、2H)、7.28−7.40(m、18H)。
【0459】
段階F:3−(2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−α−D−グルコピラノシル)プロピルアミン
3−(2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−α−D−グルコピラノシル)プロピルアジド(3g、4.94mmol)のCH
3OH(100mL)中溶液に窒素を流し、それに10%Pd/C(525mg)を加えた。得られた混合物をH
2風船下に終夜撹拌した。反応混合物をセライト層で濾過し、濾液を濃縮して、標題化合物を得た。
1H NMR(CDCl
3)δ1.48(m、1H)、1.59(m、1H)、2.23(m、1H)、2.30(m、2H)、3.66−3.76(m、5H)、4.00(m、1H)、4.09(m、1H)、4.38(d、J=10.0、1H)、4.50(d、J=12.1、1H)、4.61(d、J=11.7、1H)、4.68(d、J=11.8、1H)、4.70(d、J=12.0、1H)、4.79(d、J=10.0、1H)、4.86(d、J=11.2、1H)、5.02(d、J=11.2、1H)、7.00(m、2H)、7.25−7.40(m、18H)、8.06(s、2H)。
【0460】
段階G:2,5−ジオキソピロリジン−1−イル6−{[3−(α−L−フコピラノシル)プロピル][2−(α−D−グルコピラノシル)プロピル]アミノ}ヘキサノエート
段階Fで2−アミノエチル3,4,6−トリ−O−アセチル−2−(アセチルアミノ)−2−デオキシ−β−D−グルコピラノシドに代えて3−(2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−α−D−グルコピラノシル)プロピルアミンを用い、ML−36について記載の手順と同様の手順を用いて、標題化合物を製造した。UPLC方法B:m/e=621.3424[M+1];R
t=1.08分。
【0461】
実施例40
下記構造を有するオリゴ糖リンカー2,5−ジオキソピロリジン−1−イル6−{[3−(α−L−フコピラノシル)プロピル][2−(β−D−グルコピラノシル)プロピル]アミノ}ヘキサノエート(ML−40)の合成について説明する。
【化90】
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【0462】
段階A:2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−α−D−グルコピラノシルブロマイド
β−D−グルコースペンタアセテート(5g、12.81mmol)に、室温で33%HBr/酢酸(30mL、192mmol)を加えた。40分撹拌後、混合物をCH
2Cl
2(150mL)で希釈し、洗浄液が中性pHとなるまで氷冷水で洗浄した。有機層をMgSO
4で脱水し、濾過し、濃縮して、標題化合物を得た。
1H NMR(CDCl
3)δ2.06(s、3H)、2.08(s、3H)、2.12(s、3H)、2.13(s、3H)、4.15(d、J=11.1、1H)、4.31−4.37(m、2H)、4.86(dd、J=9.9、4.0、1H)、5.19(t、J=9.8、1H)、5.58(t、J=9.8、1H)、6.63(d、J=4.0、1H)。
【0463】
段階B:3−(2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−β−D−グルコピラノシル)−1−プロペン
アリルマグネシウムブロマイドの溶液(100mL、100mmol、1.0Mエーテル中溶液)に0℃で、1時間の期間をかけて2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−α−D−グルコピラノシルブロマイド(4.45g、10.82mmol)のエーテル(60mL)中溶液を滴下した。添加完了後、混合物を昇温させ、室温で終夜撹拌した。得られた混合物に、水(200mL)を注意深く加え、次に酢酸を加えてマグネシウム塩を溶解させた。有機層を分離し濃縮した。残留物を無水酢酸(70mL、740mmol)およびピリジン(100mL)で処理した。室温で終夜撹拌後、混合物を濃縮し、残留物をEtOAc(200mL)に取り、飽和NaHCO
3で洗浄し(300mLで5回)、MgSO
4で脱水し、濾過し、溶媒留去した。残留物を、シリカゲル(120g、0%から100%EtOAc/ヘキサンで溶離)でのフラッシュクロマトグラフィーによって精製して、標題化合物を得た。
1H NMR(CDCl
3)δ2.00(s、3H)、2.03(s、3H)、2.04(s、3H)、2.09(s、3H)、2.26−2.37(m、2H)、3.51(m、1H)、3.65(m、1H)、4.10(dd、J=12.2、2.2、1H)、4.24(dd、J=12.2、5.0、1H)、4.93(t、J=9.4、1H)、5.07(m、2H)、5.09(s、1H)、5.17(t、J=9.4、1H)、5.83(m、1H)。
【0464】
段階C:3−(β−D−グルコピラノシル)−1−プロペン
3−(2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−β−D−グルコピラノシル)−1−プロペン(4.15g、11.14mmol)のCH
3OH(50mL)中溶液に、NaOCH
3(0.56mL、2.2mmol、4.0M CH
3OH中溶液)を加えた。室温で2時間撹拌後、反応混合物を、Dowex 50W(酸性型)を用いて中和した。樹脂を濾去し、濾液を濃縮して、標題化合物を得た。
1H NMR(DMSO−d
6)δ2.09(m、1H)、2.49(m、1H)、2.88(t、J=8.9、1H)、2.98−3.07(m、3H)、3.11(m、1H)、3.39(dd、J=11.4、4.7、1H)、3.60(d、J=11.6、1H)、4.99(dd、J=10.3、0.9、1H)、5.06(d、J=17.2、1H)、5.90(m、1H)。
【0465】
段階D:3−(2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−β−D−グルコピラノシル)−1−プロペン
3−(α−L−フコピラノシル)−1−プロペンに代えて3−(β−D−グルコピラノシル)−1−プロペンを用い、段階CでML−36について記載の手順と同様の手順を用いて、標題化合物を製造した。
1H NMR(CDCl
3)δ2.39(m、1H)、2.65(m、1H)、3.41(m、2H)、3.49(m、1H)、3.68(t、J=9.5、1H)、3.72−3.82(m、3H)、4.72(dd、J=10.8、2.1、1H)、4.89(d、J=10.7、1H)、4.94−500(m、3H)、5.16(m、2H)、6.03(m、1H)、7.25(m、2H)、7.32−7.44(m、18H)。
【0466】
段階E:3−(2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−β−D−グルコピラノシル)−1−プロパノール
3−(2,3,4−トリ−O−ベンジル−α−L−フコピラノシル)−1−プロペンに代えて3−(2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−β−D−グルコピラノシル)−1−プロペンを用い、段階DでML−36について記載の手順と同様の手順を用いて、標題化合物を製造した。
1H NMR(CDCl
3)δ1.60(m、1H)、1.76(m、2H)、2.04(m、1H)、2.36(t、J=5.7、1H)、3.35(m、2H)、3.49(m、1H)、3.62−3.72(m、4H)、3.72−3.77(m、2H)、4.58(d、J=12.2、1H)、4.60(d、J=10.7、1H)、4.65(d、J=12.2、1H)、4.70(d、J=10.8、1H)、4.86(d、J=10.8、1H)、4.95(m、3H)、7.21(m、2H)、7.31−7.41(m、18H)。
【0467】
段階F:2,5−ジオキソピロリジン−1−イル6−{[3−(α−L−フコピラノシル)プロピル][2−(β−D−グルコピラノシル)プロピル]アミノ}ヘキサノエート
段階Dで3−(2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−α−D−グルコピラノシル)プロパノールに代えて3−(2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−β−D−グルコピラノシル)−1−プロパノールを用い、ML−39について記載の手順と同様の手順を用いて、標題化合物を製造した。UPLC方法B:m/e=621.3412[M+1];R
t=1.08分。
【0468】
実施例41
下記構造を有するオリゴ糖リンカー2−({6−[(2,5−ジオキソピロリジン−1−イル)オキシ]−6−オキソヘキシル}[3−(α−D−マンノピラノシル)プロピル]アミノ)エチルα−L−フコピラノシド(ML−41)の合成について説明する。
【化91】
[この文献は図面を表示できません]
【0469】
段階A:3−(2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−α−D−マンノピラノシル)−1−プロペン
メチル2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−α−D−グルコピラノシドに代えてメチル2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−α−D−マンノピラノシドを用い、段階BでML−39について記載の手順と同様の手順を用いて、標題化合物をαおよびβアノマーの混合物として製造した。これらのアノマーを、30%IPA(0.1%DEA)/CO
2、100バール、200mL/分、220nm;注入量:162mg/mL4:1(体積比)IPA/CH
2Cl
2の濃度で1.0mL)で溶離を行うキラルSFCクロマトグラフィー(カラム:AD−H(50×250cm))によって分離して、主生成物をαアノマーとして得た。
1H NMR(CDCl
3)δ2.38(m、2H)、3.68(dd、J=4.6、3.2、1H)、3.76(dd、J=10.4、3.7、1H)、3.83(m、2H)、3.90(m、2H)、4.10(m、1H)、4.55−4.62(m、4H)、4.62−4.65(m、3H)、4.75(d、J=11.3、1H)、5.06(d、J=4.6、1H)、5.08(s、1H)、5.80(m、1H)、7.25(m、2H)、7.30−7.42(m、18H)。
【0470】
段階B:3−(2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−α−D−マンノピラノシル)−1−プロパノール
3−(2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−α−D−グルコピラノシル)−1−プロペンに代えて3−(2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−α−D−マンノピラノシル)−1−プロペンを用い、段階CでML−39について記載の手順と同様の手順を用いて、標題化合物を製造した。
1H NMR(CDCl
3)δ1.85−2.00(m、2H)、2.53(m、1H)、2.60(m、1H)、3.62(dd、J=6.0、2.4、1H)、3.73(dd、J=10.2、4.2、1H)、3.78−3.87(m、3H)、3.90(m、1H)、3.98(m、1H)、4.54−4.62(m、7H)、4.67(d、J=11.5、1H)、7.25(m、2H)、7.28−7.40(m、18H)、9.79(s、1H)。
【0471】
段階C:2−({6−[(2,5−ジオキソピロリジン−1−イル)オキシ]−6−オキソヘキシル}[3−(α−D−マンノピラノシル)プロピル]アミノ)エチルα−L−フコピラノシド
段階Eで3−(2,3,4−トリ−O−ベンジル−α−L−フコピラノシル)プロパノールに代えて3−(2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−α−D−マンノピラノシル)−1−プロパノールを用い、段階Fで2−アミノエチル(3,4,6−トリ−O−アセチル−2−(アセチルアミノ)−2−デオキシ−β−D−グルコピラノシド)に代えて2−アミノエチル(2,3,4−トリ−O−アセチル−α−L−フコピラノシド)を用い、ML−36について記載の手順と同様の手順を用いて、標題化合物を製造した。UPLC方法B:m/e=623.3235[M+1];R
t=1.13分。
【0472】
実施例42
下記構造を有するオリゴ糖リンカー2,5−ジオキソピロリジン−1−イル6−{[3−(α−L−フコピラノシル)プロピル][2−(α−D−マンノピラノシル)プロピル]アミノ}ヘキサノエート(ML−42)の合成について説明する。
【化92】
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【0473】
段階Dで3−(2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−α−D−グルコピラノシル)プロパノールに代えて3−(2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−α−D−マンノピラノシル)−1−プロパノールを用い、ML−39について記載の手順と同様の手順を用いて、標題化合物を製造した。UPLC方法B:m/e=621.3358[M+1];R
t=1.11分。
【0474】
実施例43
下記構造を有するオリゴ糖リンカー2,5−ジオキソピロリジン−1−イル3−({6−[({ビス[2−({2−[(α−L−フコピラノシル)オキシ]エチル}アミノ)−2−オキソエチル]アミノ}アセチル)アミノ]ヘキシル}アミノ)−N−[(9H−フルオレン−9−イルメトキシ)カルボニル]−D−アラニネート(ML−43)の合成について説明する。
【化93】
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【0475】
段階A:6−[({ビス[2−({2−[(α−L−フコピラノシル)オキシ]エチル}アミノ)−2−オキソエチル]アミノ}アセチル)アミノ]ヘキサン酸ペンタフルオロフェニル
6−[({ビス[2−({2−[(α−L−フコピラノシル)オキシ]エチル}アミノ)−2−オキソエチル]アミノ}アセチル)アミノ]ヘキサン酸(1.0g、1.465mmol)のDMF(7.7mL)中溶液を撹拌しながら、それに0℃で、PFTU(627mg、1.465mmol)および5分後にDIPEA(256μL、1.465mmol)を加えた。混合物を徐々に昇温させて室温とした。16時間撹拌後、反応混合物を濃縮し、残留物をEtOAc 300mLで溶離を行うシリカゲル(40g)でのフラッシュクロマトグラフィーによって精製して、非極性混合物を洗い出し、次に混合溶媒(体積比EtOAc/H
2O/MeOH/AcCN:6/1/1/1)、=6:1:1:1)で溶離を行って、標題生成物を得た。LC−MS方法A:m/e=849.50[M+1];R
t=1.94分。
【0476】
段階B:3−アミノ−N−[(9H−フルオレン−9−イルメトキシ)カルボニル]−L−アラニン塩酸塩
3−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]−N−[(9H−フルオレン−9−イルメトキシ)カルボニル]−D−アラニン(1.0g、2.35mmol)のCH
2Cl
2(11.72mL)中溶液を撹拌しながら、それにHCl(4.0Mジオキサン中溶液、11.72mL、46.9mmol)を加えた。16時間撹拌後、反応混合物を濃縮して標題生成物を得て、それをそれ以上精製せずに用いた。LC−MS方法A:m/e=327.19[M+1];R
t=1.73分。
【0477】
段階C:3−({6−[({ビス[2−オキソ−2−({2−[(α−L−フコピラノシル)オキシ]エチル}アミノ)エチル]アミノ}アセチル)アミノ]ヘキサノイル}アミノ)−N−[(9H−フルオレン−9−イルメトキシ)カルボニル]−L−アラニン
6−[({ビス[2−({2−[(α−L−フコピラノシル)オキシ]エチル}アミノ)−2−オキソエチル]アミノ}アセチル)アミノ]ヘキサン酸ペンタフルオロフェニル(270mg、0.318mmol)のDMF中溶液を撹拌しながら、それに0℃で、3−アミノ−N−[(9H−フルオレン−9−イルメトキシ)カルボニル]−L−アラニン塩酸塩(303mg、0.306mmol)および5分後にDIPEA(111μL、0.636mmol)を加えた。0℃で2時間撹拌後、反応混合物を濃縮し、残留物を、最初にEtOAc 100mLで溶離し、次に0%から20%の溶媒B/溶媒A(溶媒A:(体積比)EtOAc/MeOH/AcCN/H
2O:6/1/1/1;溶媒B(体積比)EtOAc/MeOH/AcCN/H
2O:2/1/1/1)で溶離を行うシリカゲル(22g)でのフラッシュクロマトグラフィーによって精製して、標題化合物を得た。LC−MS方法A:m/e=991.66[M+1];R
t=1.84分。
【0478】
段階D:2,5−ジオキソピロリジン−1−イル3−({6−[({ビス[2−({2−[(α−L−フコピラノシル)オキシ]エチル}アミノ)−2−オキソエチル]アミノ}アセチル)アミノ]ヘキシル}アミノ)−N−[(9H−フルオレン−9−イルメトキシ)カルボニル]−D−アラニネート
段階Dで6−({2−[(α−D−マンノピラノシル−(1→3)−[α−D−マンノピラノシル−(1→6)]−α−D−マンノピラノシル)オキシ]エチル}アミノ)−6−オキソヘキサン酸に代えて3−({6−[({ビス[2−オキソ−2−({2−[(α−L−フコピラノシル)オキシ]エチル}アミノ)エチル]アミノ}アセチル)アミノ]ヘキサノイル}アミノ)−N−[(9H−フルオレン−9−イルメトキシ)カルボニル]−L−アラニンを用い、ML−1について記載の手順と同様の手順を用いて、標題化合物を製造した。LC−MS方法A:m/e=1088.9[M+1];R
t=1.96分。
【0479】
実施例44
下記構造を有するオリゴ糖リンカー2,5−ジオキソピロリジン−1−イル3−({6−[({ビス[2−({2−[(α−L−フコピラノシル)オキシ]エチル}アミノ)−2−オキソエチル]アミノ}アセチル)アミノ]ヘキシル}アミノ)−N−[(9H−フルオレン−9−イルメトキシ)カルボニル]−L−アラニネート(ML−44)の合成について説明する。
【化94】
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【0480】
段階Bで3−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]−N−[(9H−フルオレン−9−イルメトキシ)カルボニル]−D−アラニンに代えて3−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]−N−[(9H−フルオレン−9−イルメトキシ)カルボニル]−L−アラニンを用い、ML−43について記載の手順と同様の手順を用いて、標題化合物を製造した。LC−MS方法A:m/e=1088.9[M+1];R
t=1.96分。
【0481】
実施例45
下記構造を有するオリゴ糖リンカー2,2′−{[2−({6−[(2,5−ジオキソピロリジン−1−イル)オキシ]−6−オキソヘキシル}アミノ)−2−オキソエチル]イミノ}ビス(N−{[1−(α−D−マンノピラノシル)−1H−1,2,3−トリアゾール−4−イル]メチル}アセトアミド)(ML−45)の合成について説明する。
【化95】
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【0482】
段階A:6−[({ビス[2−オキソ−2−(プロパ−2−イン−1−イルアミノ)エチル]アミノ}アセチル)アミノ]ヘキサン酸ベンジル
2−アミノエチルα−D−マンノピラノシル−(1→3)−[α−D−マンノピラノシル−(1→6)]−α−D−マンノピラノシドに代えてプロパルギルアミンを用い、ML−1段階Bについて記載の手順と同様の手順を用いて、標題化合物を製造した。
1H NMR(CDCl
3、400MHz)δ7.32(m、5H)、5.08(s、2H)、4.014(s、4H)、3.298(m、4H)、3.23(m、2H)、3.21(m、2H)、2.32(m、2H)、2.22(s、2H)、1.63(m、2H)、1.51(m、2H)、1.33(m、2H)。
【0483】
段階B:6−[({ビス[2−オキソ−2−({[(1−(α−D−マンノピラノシル)−1H−1,2,3−トリアゾール−4−イル]メチル}アミノ)エチル]アミノ}アセチル)アミノ]ヘキサン酸ベンジル
6−[({ビス[2−オキソ−2−(プロパ−2−イン−1−イルアミノ)エチル]アミノ}アセチル)アミノ]ヘキサン酸ベンジル(546mg、1.165mmol)およびα−D−マンノピラノシルアジド(598mg、2.91mmol)のDMF(5.8mL)中溶液を撹拌しながら、それにDIPEA(1.0mL、5.83mmol)およびヨウ化Cu(I)(222mg、1.165mmol)を加えた。反応混合物を全てのCuIが溶解するまで60℃で30分間撹拌し、室温で1時間撹拌した。反応混合物を10倍体積のCH
3OHによって希釈した。沈澱した無機物を濾去した。濾液を濃縮し、残留物を0%から60%溶媒B/溶媒A(溶媒A:(体積比)EtOAc/MeOH/AcCN/H
2O:6/1/1/1;溶媒B(体積比)EtOAc/MeOH/AcCN/H
2O:2/1/1/1)で溶離を行うシリカゲル(40g)でのフラッシュクロマトグラフィーによって精製して、標題化合物を得た。LC−MS方法A:m/e=879.31[M+1];R
t=0.98分。
【0484】
段階C:2,2′−{[2−({6−[(2,5−ジオキソピロリジン−1−イル)オキシ]−6−オキソヘキシル}アミノ)−2−オキソエチル]イミノ}ビス(N−{[1−(α−D−マンノピラノシル)−1H−1,2,3−トリアゾール−4−イル]メチル}アセトアミド)
段階Cで6−({2−[α−D−マンノピラノシル−(1→3[α−D−マンノピラノシル−(1→6)]−α−D−マンノピラノシル)オキシ]エチル}アミノ)−6−オキソヘキサン酸ベンジルに代えて6−[({ビス[2−オキソ−2−({[1−(α−D−マンノピラノシル)−1H−1,2,3−トリアゾール−4−イル]メチル}アミノ)エチル]アミノ}アセチル)アミノ]ヘキサン酸ベンジルを用い、ML−1について記載の手順と同様の手順を用いて、標題化合物を製造した。UPLC方法A:m/e=886.2[M+1];R
t=2.02分。
【0485】
実施例46
下記構造を有するオリゴ糖リンカー2,2′−{[2−({6−[(2,5−ジオキソピロリジン−1−イル)オキシ]−6−オキソヘキシル}アミノ)−2−オキソエチル]イミノ}ビス(N−{2−[(β−L−フコピラノシル)オキシ]エチル}アセトアミド)(ML−46)の合成について説明する。
【化96】
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【0486】
段階Bで2−アミノエチルα−L−フコピラノシドに代えて2−アミノエチルβ−L−フコピラノシドを用い、ML−7について記載の手順と同様の手順を用いて、標題化合物を製造した。UPLC方法B:m/e=780.361[M+1];R
t=2.09分。
【0487】
実施例47
下記構造を有するオリゴ糖リンカー6−[(2,5−ジオキソピロリジン−1−イル)オキシ]−N−[2−({2−[(α−L−フコピラノシル)オキシ]エチル}アミノ)−2−オキソエチル]−N−{2−[(2−{[α−D−マンノピラノシル−(1→3)−[α−D−マンノピラノシル−(1→6)]−α−D−マンノピラノシル]オキシ}エチル)アミノ]−2−オキソエチル}−6−オキソヘキサンアミド(ML−47)の合成について説明する。
【化97】
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【0488】
2,2′−[(2−{[6−(ベンジルオキシ)−6−オキソヘキシル]アミノ}−2−オキソエチル)イミノ]ジ酢酸に代えて2,2′−{[6−(ベンジルオキシ)−6−オキソヘキサノイル]イミノ}ジ酢酸を用い、ML−29について記載の手順と同様の手順を用いて、標題化合物を製造した。UPLC方法B:m/e=1070.33[M+1];R
t=3.08分。
【0489】
実施例48
下記構造を有するオリゴ糖リンカー2−{[2−({2−[(α−L−フコピラノシル)オキシ]エチル}アミノ)−2−オキソエチル][2−({6−[(2,5−ジオキソピロリジン−1−イル)オキシ]−6−オキソヘキシル}アミノ)−2−オキソエチル]アミノ}−N−[2−(α−D−マンノピラノシルオキシ)エチル]アセトアミド(ML−48)の合成について説明する。
【化98】
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【0490】
それぞれ、段階Cで6−アミノ−N−(2−α−L−フコピラノシル)エチル)ヘキサンアミドに代えて2−アミノエチルα−L−フコピラノシドを用い、段階Dで2−アミノエチルα−D−マンノピラノシル−(1→3)−[α−D−マンノピラノシル−(1→6)]−α−D−マンノピラノシドに代えて2−アミノエチルα−D−マンノピラノシドを用い、ML−23について記載の手順と同様の手順を用いて、標題化合物を製造した。UPLC方法Bm/e=796.37[M+1];R
t=1.87分。
【0491】
実施例49
下記構造を有するオリゴ糖リンカー2−{[2−({2−[(α−L−フコピラノシル)オキシ]エチル}アミノ)−2−オキソエチル][2−({6−[(2,5−ジオキソピロリジン−1−イル)オキシ]−6−オキソヘキシル}アミノ)−2−オキソエチル]アミノ}−N−[2−(β−D−マンノピラノシルオキシ)エチル]アセトアミド(ML−49)の合成について説明する。
【化99】
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【0492】
段階A:ベンジル{2−[(3,6−ジ−O−ベンゾイル−β−D−ガラクトピラノシル)オキシ]エチル}カーバメート
ベンジル2−({2−[(β−D−ガラクトピラノシル)オキシ]エチル}アミノ)カーバメート(15.5g、43.4mmol、Beilstein J. Org. Chem. 2010, 6, 699)および4Åモレキュラーシーブスのトルエン(150mL)中溶液に、ジブチルスタンナノン(23.4g、94mmol)を加えた。5時間還流後、反応混合物をゆっくり冷却して0℃とし、それにベンゾイルクロライド(11mL、95mmol)を滴下した。得られた混合物を徐々に昇温させて室温とした。室温で24時間撹拌後、反応混合物を濾過し、濾液を濃縮した。残留物を、0%から75%EtOAc/ヘキサンで溶離を行うシリカゲル(330g)でのフラッシュクロマトグラフィーによって精製して、標題化合物を得た。TLC:シリカゲル、ヘキサン/EtOAc:1/1、R
f=0.35。UPLC方法B:C
30H
31NO
10の計算値:565.19、実測m/e=566.21[M+1];R
t=1.87分。
1H NMR(CDCl
3)δ8.05−7.95(4H、m)、7.60−7.25(11H、m)、5.10−5.05(1H、m)、5.02(2H、s)、4.60−4.55(1H、m)、4.50−4.45(1H、m)、4.40−4.35(1H、m)、4.20−4.15(1H、m)、4.05−4.00(1H、m)、3.90−3.80(2H、m)、3.75−3.70(1H、m)、3.45−3.30(1H、m)、3.35−3.25(1H、m)。
1H−
13C単一結合相関(HSQC);
1H−
13C多結合相関(HMBC);および
1H−
1H NOE(NOESY) 2D NMR実験によって位置化学を確認した。
【0493】
段階B:ベンジル{2−[(3,6−ジ−O−ベノイル(benoyl)−β−D−マンノピラノシル)オキシ]エチル}カーバメート
ベンジル{2−[(3,6−ジ−O−ベンゾイル−β−D−ガラクトピラノシル)オキシ]エチル}カーバメート(1.17g、2.069mmol)のCH
2Cl
2(26mL)中溶液を撹拌しながら、それに−20℃で、ピリジン(2.4mL、29.7mmol)を加え、5分後に無水トリフ酸(1.1mL、6.51mmol)を滴下した。混合物を2時間かけて−20℃から0℃までゆっくり昇温させた。得られた混合物をCH
2Cl
2(75mL)で希釈し、それを冷1.0M HCl(100mL)、冷飽和NaHCO
3(100mL)、冷水(100mL)、および冷ブライン(100mL)で洗浄した。有機相をNa
2SO
4で脱水し、低温で濃縮した。残留物をAcCN(20mL)に溶かし、それに亜硝酸テトラブチルアンモニウム(3.0g、10.40mmol)のAcCN(6mL)中溶液を加えた。50℃で6時間撹拌後、反応混合物を濃縮し、残留物を0%から75%EtOAc/ヘキサンで溶離を行うシリカゲル(330g)でのフラッシュカラムクロマトグラフィーによって精製して、標題化合物を得た。TLC:シリカゲル、ヘキサン/酢酸エチル:1/1、R
f=0.33。UPLC方法B:C
30H
31NO
10の計算値:565.19、実測m/e=566.22[M+1];R
t=1.84分。
1H NMR(CDCl
3)δ8.10−8.00(4H、m)、7.55−7.25(11H、m)、5.05−5.00(3H、m)、4.72−4.68(1H、m)、4.64−4.58(2H、m)、4.24−4.20(1H、m)、4.17−4.12(1H、m)、3.93−3.87(1H、m)、3.77−3.72(1H、m)、3.65−3.60(1H、m)、3.46−3.34(2H、m)。
1H−
13C単一結合相関(HSQC);
1H−
13C多結合相関(HMBC);および
1H−
1H NOE(NOESY) 2D NMR実験によって立体化学を確認した。
【0494】
段階C:ベンジル[2−(β−D−マンノピラノシルオキシ)エチル]カーバメート
ベンジル{2−[(3,6−ジ−O−ベンゾイル−β−D−フコピラノシル)オキシ]エチル}カーバメート(287mg、0.507mmol)のCH
3OH(5mL)中溶液を撹拌しながら、それにNaOCH(0.1mL、0.05mmol、0.5M CH
3OH中溶液)を加えた。4時間後、アンバーライト(アンバーライト(amberlite)) IR120(H)イオン交換樹脂(CH
3OH5mLで3回予洗)を、撹拌した反応混合物に加えた。15分後、樹脂を濾去し、CH
3OHで洗浄した(5mLで3回)。濾液を濃縮し、残留物を、5%から60%AcCN/H
2Oで溶離を行うC18逆相シリカゲル(50g)でのフラッシュクロマトグラフィーによって精製して、標題化合物を得た。UPLC方法B:C
16H
23NO
8の計算値:357.14、実測m/e=358.16[M+1];R
t=1.40分。
1H NMR(CD
3OD)δ7.35−7.24(5H、m)、5.04(2H、s)、4.50−4.48(1H、m)、3.90−3.82(3H、m)、3.74−3.60(2H、m)、3.55−3.50(1H、m)、3.42−3.37(1H、m)、3.36−3.30(2H、m)、3.18−3.12(1H、m)。
【0495】
段階D:2−アミノエチルβ−D−マンノピラノシド
ベンジル[2−(β−D−マンノピラノシルオキシ)エチル]カーバメート(133mg、0.372mmol)、およびPd/C(20mg、0.019mmol)の水(5mL)中混合物をH
2風船下に室温で4時間撹拌した。触媒を濾去し、H
2Oで洗浄した(5mLで3回)。濾液を濃縮して、標題化合物を得た。
1H NMR(CD
3OD)δ4.53−4.52(1H、m)、3.93−3.85(3H、m)、3.72−3.64(2H、m)、3.53−3.49(1H、m)、3.44−3.42(1H、m)、3.22−3.18(1H、m)、2.92−2.85(2H、m)。
【0496】
段階E:2−{[2−({2−[(α−L−フコピラノシル)オキシ]エチル}アミノ)−2−オキソエチル][2−({6−[(2,5−ジオキソピロリジン−1−イル)オキシ]−6−オキソヘキシル}アミノ)−2−オキソエチル]アミノ}−N−[2−(β−D−マンノピラノシルオキシ)エチル]アセトアミド
2−アミノエチルα−D−マンノピラノシドに代えて2−アミノエチルβ−D−マンノピラノシドを用い、ML−48について記載の手順と同様の手順を用いて、標題化合物を製造した。UPLC方法B:m/e=796.37[M+1];R
t=2.19分。
【0497】
実施例50
下記構造を有するオリゴ糖リンカー2−{[2−({6−[(2,5−ジオキソピロリジン−1−イル)オキシ]−6−オキソヘキシル}アミノ)−2−オキソエチル][2−({2−[(α−L−フコピラノシル)オキシ]エチル}アミノ)−2−オキソエチル]アミノ}−N−(2−{1[α−D−マンノピラノシル],4[α−D−マンノピラノシル]−オキシ}ブチル)アセトアミド(ML−50)の合成について説明する。
【化100】
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【0498】
段階A:ベンジル(1[2,3,4,6−テトラ−O−ベンゾイル−α−D−マンノピラノシル],4[2,3,4,6−テトラ−O−ベンゾイル−α−D−マンノピラノシル]−ジヒドロキシブタン−2−イル)カーバメート
4Åモレキュラーシーブスの入った500mL丸底フラスコに、(S)−ベンジル(1,4−ジヒドロキシブタン−2−イル)カーバメート(2.7g、11.28mmol)、および2,3,4,6−テトラ−O−ベンゾイル−D−マンノピラノシルトリクロロアセトイミデート(17.35g、23.42mmol、Organic Letters, 2003, vol.5, No.22, 4041に従って製造)の脱水ジクロロメタン(200mL)中溶液を加えた。混合物を冷却して−30℃とし、トリフルオロメタンスルホン酸トリメチルシリル(0.4mL、2.214mmol)を加えた。窒素下に−30℃から環境温度で4時間撹拌後、反応混合物をTEA(3.15mL、22.57mmol)で反応停止し、濾過し、減圧下に濃縮した。残留物をシリカクロマトグラフィー(0%から60%EtOAc/ヘキサン)によって精製して、標題化合物を得た。(TLC:シリカゲル、ヘキサン/酢酸エチル:3/2、生成物R
f=0.4)。
1H NMR(クロロホルム−d、500MHz):δ8.15−8.10(4H、m)、8.10−8.05(4H、m)、8.00−7.95(4H、m)、7.80−7.75(4H、m)、7.65−7.55(4H、m)、7.45−7.20(15H、m)、6.15−6.10(2H、m)、5.95−5.85(2H、m)、5.80−5.75(2H、m)、5.15−5.10(4H、m)、4.75−4.65(2H、m)、4.55−4.40(4H、m)、4.25−4.20(1H、m)、4.10−4.00(2H、m)、3.75−3.65(2H、m)、2.15−2.05(2H、m)。
【0499】
段階B:ベンジル(1[α−D−マンノピラノシル],4[α−D−マンノピラノシル]−ジヒドロキシブタン−2−イル)カーバメート
ベンジル(1[2,3,4,6−テトラ−O−ベンゾイル−α−D−マンノピラノシル],4[2,3,4,6−テトラ−O−ベンゾイル−α−D−マンノピラノシル]−ジヒドロキシブタン−2−イル)カーバメート(9.72g、6.96mmol)のメタノール(30mL)中溶液に、0.5Mナトリウムメトキシドのメタノール中溶液(1.5mL、0.750mmol)を加えた。室温で48時間撹拌後、アンバーライト(amberlite) IR 120(H)イオン交換樹脂(メタノール30mLで3回予洗)を反応混合物に加え、さらに15分間撹拌した。イオン交換樹脂を濾去し、メタノールで洗浄した(5mLで2回)。濾液を濃縮し、残留物を、5%CH
3CN/水(3カラム体積)と次に5%から50%CH
3CN/水(20カラム体積)で溶離を行うC18カラム逆相86gで精製して、標題化合物を白色固体として得た。UPLC−MS:C
24H
37NO
14の計算値:563.22、実測m/e:564.24(M+H)+(R
t:2.31/5.00分)。
【0500】
段階C:1(α−D−マンノピラノシル),4(α−D−マンノピラノシル)−ジヒドロキシブタン−2−アミン
ベンジル(1[α−D−マンノピラノシル],4[α−D−マンノピラノシル]−ジヒドロキシブタン−2−イル)カーバメート(3.73g、6.62mmol)、およびPd/C(0.300g、0.282mmol)の水(60mL)中混合物をH
2風船下に室温で2時間撹拌した。触媒を濾去し、H
2Oで洗浄した(10mLで3回)。濾液を濃縮して、標題化合物を得た。UPLC−MS:C
16H
31NO
12の計算値:429.18、実測m/e:430.21(M+H)+(R
t:1.37/5.00分)。
【0501】
段階D:2−{[2−({6−[(2,5−ジオキソピロリジン−1−イル)オキシ]−6−オキソヘキシル}アミノ)−2−オキソエチル][2−({2−[(α−L−フコピラノシル)オキシ]エチル}アミノ)−2−オキソエチル]アミノ}−N−(2−{1−[α−D−マンノピラノシル]4[−α−D−マンノピラノシル]−オキシ}ブチル)アセトアミド
2−アミノエチルα−D−マンノピラノシル−(1→3)−[α−D−マンノピラノシル−(1→6)]−α−D−マンノピラノシドに代えて1(α−D−マンノピラノシル),4(α−D−マンノピラノシル)−ジヒドロキシブタン−2−アミンを用い、ML−29について記載の手順と同様の手順を用いて、標題化合物を製造した。UPLC方法B:C
40H
62N
5O
24の計算値:1001.42、実測m/e:1002.48[M+1];R
t=2.05分。
【0502】
実施例51
下記構造を有するオリゴ糖リンカー2−{[2−({6−[(2,5−ジオキソピロリジン−1−イル)オキシ]−6−オキソヘキシル}アミノ)−2−オキソエチル][2−({2−[(α−L−フコピラノシル)オキシ]エチル}アミノ)−2−オキソエチル]アミノ}−N−(2−{[α−D−マンノピラノシル−(1→3)−[α−D−マンノピラノシル−(1→6)]−β−D−マンノピラノシル]オキシ}エチル)アセトアミド(ML−51)の合成について説明する。
【化101】
[この文献は図面を表示できません]
【0503】
段階A:(2−((3,6−O−ベンゾイル−β−D−ガラクトピラノシル)オキシ)クロロエチル)
4Åモレキュラーシーブスの入った500mL丸底フラスコに、2−クロロエチル−3−D−ガラクトピラノシド(6.58g、27.1mmol、Carbohydr. Res. 1992, 223, 303に従って製造)、ジブチルスタンナノン(14.5g、58.2mmol)および脱水トルエン(150mL)を加えた。混合物を3時間還流攪拌した。3時間後、反応混合物を冷却して室温とし、次に0℃とした。粗反応溶液を0℃で冷却しながら、それにベンゾイルクロライド(6.7mL、57.7mmol)を加え、得られた混合物を0℃から環境温度で撹拌した。24時間後、反応混合物を濾去し、濾液を減圧下に濃縮した。残留物を、シリカクロマトグラフィー(0%から75%EtOAc/ヘキサン)によって精製して、標題化合物を得た。UPLC−MS:C
22H
23ClO
8の計算値:450.11実測、m/e:473.11(M+Na)+(R
t:1.82/5.00分)。
1H NMR(クロロホルム−d、500MHz):δ8.10−8.05(2H、m)、8.05−8.00(2H、m)、7.60−7.55(2H、m)、7.50−7.40(4H、m)、5.20−5.10(1H、m)、4.70−4.60(1H、m)、4.55−4.50(1H、m)、4.50−4.45(1H、m)、4.25−4.20(1H、m)、4.20−4.15(1H、m)、4.12−4.08(1H、m)、4.00−3.95(1H、m)、3.90−3.85(1H、m)、3.72−3.68(2H、m)。
1H−
13C単一結合相関(HSQC);
1H−
13C多結合相関(HMBC);および
1H−
1H NOE(NOESY) 2D NMR実験によって位置化学を確認した。
【0504】
段階B:(2−((3,6−O−ベンゾイル−β−D−マンノピラノシル)オキシ)クロロエチル)
(2−((3,6−O−ベンゾイル−β−D−ガラクトピラノシル)オキシ)クロロエチル)(1g、2.218mmol)のDCM(28mL)中溶液に−20℃で、ピリジン(2.5mL、30.9mmol)を加えた。5分間撹拌後、無水トリフ酸(1.2mL、7.10mmol)を滴下し、混合物を撹拌しながら、2時間かけて−20℃から0℃まで昇温させた。得られた混合物をDCM 75mLで希釈し、冷1M HCl(100mLで1回);冷NaHCO
3水溶液(100mLで1回);冷水(100mLで1回)および冷ブライン100mLで洗浄した。有機相をNa
2SO
4で脱水し、低温で減圧下に濃縮した。残留物を、それ以上精製せずに次の段階で直接用いた。亜硝酸テトラブチルアンモニウム(3.3g、11.44mmol)の脱水アセトニトリル(5mL)中溶液を、トリフ化中間体の脱水アセトニトリル(22mL)中溶液に加え、50℃で5時間反応させた。得られた混合物を減圧下に濃縮し、シリカクロマトグラフィー(0%から75%EtOAc/ヘキサン)によって直接精製して、標題化合物を得た。UPLC−MS:C
22H
23ClO
8の計算値:450.11、実測m/e:451.13(M+H)+(R
t:1.80/5.00分)。
1H NMR(クロロホルム−d、500MHz):δ8.15−8.05(4H、m)、7.65−7.60(2H、m)、7.50−7.40(4H、m)、5.12−5.08(1H、m)、4.77−4.72(2H、m)、4.68−4.65(1H、m)、4.34−4.32(1H、m)、4.24−4.14(2H、m)、3.90−3.84(1H、m)、3.71−3.66(3H、m)、2.98−2.96(1H、b)、2.41−2.39(1H、b)。
1H−
13C単一結合相関(HSQC);
1H−
13C多結合相関(HMBC);および
1H−
1H NOE(NOESY) 2D NMR実験によって立体化学を確認した。
【0505】
段階C:(2−((2,4−O−ベンジル,3,6−O−ベンゾイル−β−D−マンノピラノシル)オキシ)クロロエチル)
250mL丸底フラスコ中、2−(ベンジルオキシ)−1−メチルピリジン−1−イウム・トリフルオロメタンスルホネート(5g、14.31mmol)、酸化マグネシウム(0.085g、2.118mmol)、トリフルオロトルエン(40mL)、および(2((3,6−O−ベンゾイル−β−D−マンノピラノシル)オキシ)クロロエチル)(1.91g、4.24mmol)を加えた。得られた不均一反応混合物を82℃で48時間撹拌した。反応完了したら、反応混合物を濾過し、減圧下に濃縮した。残留物を、シリカクロマトグラフィー(0%から75%EtOAc/ヘキサン)によって精製して、標題化合物を得た。UPLC−MS:C
36H
35ClO
8の計算値:630.20、実測m/e:631.21(M+H)+(R
t:3.97/5.00分)。
【0506】
段階D:(2−((2,4−O−ベンジル−β−D−マンノピラノシル)オキシ)クロロエチル)
(2−((2,4−O−ベンジル,3,6−O−ベンゾイル−β−D−マンノピラノシル)オキシ)クロロエチル)、(1.6g、2.54mmol)のメタノール(25mL)およびDCM(5mL)中溶液に、0.5Mナトリウムメトキシドのメタノール中溶液(0.5mL、0.25mmol)を加えた。室温で4時間撹拌後、アンバーライト(amberlite) IR 120(H)イオン交換樹脂(メタノール5mLで3回予洗)を反応混合物に加え、さらに15分間撹拌した。イオン交換樹脂を濾去し、メタノールで洗浄した(5mLで3回)。濾液を減圧下に濃縮し、残留物をシリカクロマトグラフィー(0%から75%EtOAc/ヘキサン)によって精製して、標題化合物を得た。UPLC−MS:C
22H
27ClO
6の計算値:422.15、実測m/e:423.14(M+H)+(R
t:1.90/5.00分)。
【0507】
段階E:(2−((2,4−O−ベンジル−β−D−マンノピラノシル)オキシ)アジドエチル)
(2−((2,4−O−ベンジル−β−D−マンノピラノシル)オキシ)クロロエチル)(800mg、1.892mmol)の脱水DMF(25mL)中溶液に、アジ化ナトリウム(140mg、2.154mmol)を室温で加えた。反応混合物を加熱して70℃とし、窒素下に16時間撹拌した。反応完了したら、粗反応混合物を冷却して室温とし、氷水(200mL)に投入し、エーテルで抽出した(100mLで3回)。有機層を合わせ、ブラインで洗浄し(100mLで2回)、Na
2SO
4で脱水し、濾過し、減圧下に濃縮した。残留物をシリカクロマトグラフィー(0%から100%EtOAc/ヘキサン)によって精製して、標題化合物を得た。UPLC−MS:C
22H
27N
3O
6の計算値:429.19、実測m/e:430.19(M+H)+(R
t:1.87/5.00分)。
【0508】
段階F:(2−((2,3,4,6−テトラ−O−ベンゾイル−α−D−マンノピラノシル−(1→3)−[2,3,4,6−テトラ−O−ベンゾイル−α−D−マンノピラノシル−(1→6)]−(2,4−O−ベンジル−β−D−マンノピラノシル)オキシ)アジドエチル)
4Åモレキュラーシーブスの入った250mL丸底フラスコに、(2−((2,4−O−ベンジル−β−D−マンノピラノシル)オキシ)アジドエチル)(710mg、1.653mmol)および2,3,4,6−テトラ−O−ベンゾイル−D−マンノピラノシルトリクロロアセトイミデート(2.6g、3.51mmol、Organic Letters、2003, vol. 5, No.22, 4041に従って製造)の脱水ジクロロメタン(30mL)中溶液を加えた。混合物を冷却して−30℃とし、トリフルオロメタンスルホン酸トリメチルシリル(0.03mL、0.166mmol)を加えた。窒素下に−30℃から環境温度で4時間撹拌後、反応混合物をTEA(0.1mL、0.717mmol)で反応停止し、濾過し、減圧下に濃縮した。残留物を、シリカクロマトグラフィー(0%から75%EtOAc/ヘキサン)によって精製して、標題化合物を得た。(TLC:シリカゲル、ヘキサン/酢酸エチル:3/2、生成物R
f=0.6)。
1H NMR(クロロホルム−d、500MHz):δ8.15−7.80(16H、m)、7.62−7.49(8H、m)、7.47−7.32(20H、m)、7.30−7.15(6H、m)、6.13−6.05(2H、m)、6.01−5.91(2H、m)、5.87−5.85(1H、m)、5.71−5.69(1H、m)、5.43−5.42(1H、m)、5.26−5.23(1H、m)、5.13−5.12(1H、m)、5.03−5.00(1H、m)、4.84−4.81(1H、m)、4.68−4.63(2H、m)、4.60−4.55(2H、m)、4.54−4.48(2H、m)、4.31−4.25(2H、m)、4.20−4.15(1H、m)、4.08−4.07(1H、m)、3.98−3.88(3H、m)、3.84−3.80(1H、m)、3.78−3.73(1H、m)、3.62−3.54(2H、m)、3.38−3.33(1H、m)。
【0509】
段階G:(2−((α−D−マンノピラノシル−(1→3)−[α−D−マンノピラノシル−(1→6)]−(2,4−O−ベンジル、β−D−マンノピラノシル)オキシ)アジドエチル)
2−((2,3,4,6−テトラ−O−ベンゾイル−α−D−マンノピラノシル−(1→3)−[2,3,4,6−テトラ−O−ベンゾイル−α−D−マンノピラノシル−(1→6)]−(2,4−O−ベンジル−β−D−マンノピラノシル)オキシ)アジドエチル(2.52g、1.588mmol)のメタノール(20mL)およびDCM(4mL)中溶液に、0.5Mナトリウムメトキシドのメタノール中溶液(0.32mL、0.16mmol)を加えた。室温で24時間撹拌後、アンバーライト(amberlite) IR 120(H)イオン交換樹脂(メタノール30mLで3回予洗)を反応混合物に加え、撹拌をさらに15分間行った。イオン交換樹脂を濾去し、メタノールで洗浄した(5mLで3回)。濾液を減圧下に濃縮し、残留物を逆相クロマトグラフィー(C18カラム)(ACN/H
2O(調節剤なし))によって精製して、標題生成物を得た。UPLC−MS:C
34H
42N
3O
16の計算値:753.30、実測m/e:754.29(M+H)+(R
t:2.93/5.00分)。
【0510】
段階H:2−アミノエチルα−D−マンノピラノシル−(1→3)−[α−D−マンノピラノシル−(1→6)]−β−D−マンノピラノシド
2−((α−D−マンノピラノシル−(1→3)−[α−D−マンノピラノシル−(1→6)]−(2,4−O−ベンジル、13−D−マンノピラノシル)オキシ)アジドエチル(1.05g、1.393mmol)、およびPd/C(0.148g、0.139mmol)の水(25mL)中混合物をH
2風船下に室温で16時間撹拌した。触媒を濾去し、H
2Oで洗浄した(5mLで3回)。濾液を減圧下に濃縮して、標題化合物を得た。UPLC−MS:C
20H
32NO
16の計算値:547.21、実測m/e:548.23(M+H)+(R
t:1.07/5.00分)。
1H NMR(D
2O、500MHz):δ5.06−5.05(1H、m)、4.86−4.85(1H、m)、4.655−4.65(1H、m)、4.13−4.12(1H、m)、4.02−4.01(1H、m)、3.95−3.82(6H、m)、3.80−3.67(8H、m)、3.66−3.57(3H、m)、3.53−3.49(1H、m)、2.90−2.85(2H、m)。
【0511】
段階I:2−{[2−({6−[(2,5−ジオキソピロリジン−1−イル)オキシ]−6−オキソヘキシル}アミノ)−2−オキソエチル][2−({2−[(α−L−フコピラノシル)オキシ]エチル}アミノ)−2−オキソエチル]アミノ}−N−(2−{[α−D−マンノピラノシル−(1→3)−[α−D−マンノピラノシル−(1→6)]−β−D−マンノピラノシル]オキシ}エチル)アセトアミド
2−アミノエチルα−D−マンノピラノシル−(1→3)−[α−D−マンノピラノシル−(1→6)]−α−D−マンノピラノシドに代えて2−アミノエチルα−D−マンノピラノシル−(1→3)−[α−D−マンノピラノシル−(1→6)]−β−D−マンノピラノシドを用い、ML−29について記載の手順と同様の手順を用いて、標題化合物を製造した。UPLC方法B:C
44H
73N
5O
28の計算値:1119.44、実測m/e:1120.46[M+1];R
t=2.09分。
【0512】
実施例52
下記構造を有するオリゴ糖リンカー6−[(2,5−ジオキソピロリジン−1−イル)オキシ]−N−{2−[(β−D−マンノピラノシル)オキシ]エチル}−6−オキソヘキサンアミド(ML−52)の合成について説明する。
【化102】
[この文献は図面を表示できません]
【0513】
段階Bで2−アミノエチルα−D−マンノピラノシル−(1→3)−[α−D−マンノピラノシル−(1→6)]−α−D−マンノピラノシドに代えて2−アミノエチルβ−D−マンノピラノシドを用い、ML−1について記載の手順と同様の手順を用いて、標題化合物を製造した。UPLC−MS:C
18H
28N
2O
11の計算値:448.17、実測m/e:449.19(M+H)+(R
t:1.96/5.00分)。
【0514】
実施例53
下記構造を有するオリゴ糖リンカー4−[(2,5−ジオキソピロリジン−1−イル)オキシ]−N−{2−[(α−L−フコピラノシル)オキシ]エチル}4−オキソブタンアミド(ML−53)の合成について説明する。
【化103】
[この文献は図面を表示できません]
【0515】
段階Aで6−(ベンジルオキシ)−6−オキソヘキサン酸に代えて4−(ベンジルオキシ)−4−オキソブタン酸を用い、ML−4について記載の手順と同様の手順を用いて、標題化合物を製造した。UPLC−MS:C
16H
24N
2O
10の計算値:404.14、実測m/e:405.14(M+H)+(R
t:1.87/5.00分)。
【0516】
実施例54
下記構造を有するオリゴ糖リンカー2,2′−{[2−({6−[(2,5−ジオキソピロリジン−1−イル)オキシ]−6−オキソヘキシル}アミノ)−2−オキソエチル]イミノ}ビス[N−(2−{[α−D−マンノピラノシル−(1→3)−[α−D−マンノピラノシル−(1→6)]−β−D−グルコピラノシル]オキシ}エチル)アセトアミド](ML−54)の合成について説明する。
【化104】
[この文献は図面を表示できません]
【0517】
段階Bで2−アミノエチルα−D−マンノピラノシル−(1→3)−[α−D−マンノピラノシル−(1→6)]−α−D−マンノピラノシドに代えて2−アミノエチルα−D−マンノピラノシル−(1→3)−[α−D−マンノピラノシル−(1→6)]−β−D−グルコピラノシドを用い、ML−15について記載の手順と同様の手順を用いて、標題化合物を製造した。UPLC方法B:C
56H
93N
5O
39の計算値:1459.54、実測m/e:m/e=1460.62[M+1];R
t=0.92分。
【0518】
実施例55
下記構造を有するオリゴ糖リンカー2−(2−{([α−D−マンノピラノシル−(1→3)−[α−D−マンノピラノシル−(1→6)]−α−D−マンノピラノシル]オキシ)エチル}{6−[(2,5−ジオキソピロリジン−1−イル)オキシ]−6−オキソヘキシル}アミノ)エチルα−L−フコピラノシド(ML−55)の合成について説明する。
【化105】
[この文献は図面を表示できません]
【0519】
段階A:2−アミノエチル2,3,4,6−ペンタ−ベンゾイル−α−D−マンノピラノシル−(1→3)−[2,3,4,6−ペンタ−ベンゾイル−α−D−マンノピラノシル−(1→6)]−2,4−ジベンゾイル−α−D−マンノピラノシド
2−アジドエチル2,3,4,6−ペンタ−O−ベンゾイル−α−D−マンノピラノシル−(1→3)−[2,3,4,6−O−ペンタ−ベンゾイル−α−D−マンノピラノシル−(1→6)]−2,4−ジ−O−ベンゾイル−α−D−マンノピラノシド(25g、15.5mmol、WO2010/088294A1)のEtOAc(300mL)中溶液に窒素を流し、それに10%パラジウム/炭素(1.65g)を加え、得られた混合物を室温で水素風船下に終夜撹拌した。混合物をセライトで濾過し、濾液を溶媒留去し、残留物を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー((Teledyne Isco:330g)溶離液:勾配8カラム体積かけて2%から5%MeOH/DCM)によって精製して、標題化合物(18g、73%)をオフホワイト泡状物として得た。UPLC方法C:C
90H
77NO
26の計算値:1587.47、実測m/e:1588.6636[M+1];R
t=4.17分。
【0520】
段階B:6−(2−{2,3,4,6−ペンタ−O−ベンゾイル−α−D−マンノピラノシル−(1→3)−[2,3,4,6−ペンタ−O−ベンゾイル−α−D−マンノピラノシル−(1→6]−2,4−ジ−O−ベンゾイル−α−D−マンノピラノシル]−2−オキシエチル}アミノ)ヘキサン酸ベンジル
2−アミノエチル2,3,4,6−ペンタ−O−ベンゾイル−α−D−マンノピラノシル−(1→3)−[2,3,4,6−ペンタ−O−ベンゾイル−α−D−マンノピラノシル−(1→6)]−2,4−ジ−O−ベンゾイル−α−D−マンノピラノシド(18g、11.35mmol)および6−オキソヘキサン酸ベンジル(1g、4.54mmol)のDCM(150mL)中溶液に、酢酸(0.26mL、4.54mmol)および水素化ホウ素トリアセトキシナトリウム(2.41g、11.35mmol)を加え、得られた混合物を室温で終夜撹拌した。混合物を溶媒留去し、残留物をEtOAc(300mL)に溶解させ、飽和NaHCO
3(300mLで2回)、飽和NaCl(200mL)で洗浄し、Na
2SO
4で脱水し、濾過し、溶媒留去した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー((Teledyne Isco:2×330g)溶離液:勾配8倍カラム体積かけて2%から5%MeOH/DCM)によって精製して、標題化合物(4.8g、59%)を白色泡状物として得た。
1H NMR(CDCl
3)δ8.33(2H、m)、8.18(2H、m)、8.13(2H、dd、J=8.0および1.4Hz)、8.10(2H、dd、J=8.0および1.4Hz)、8.06(2H、m)、8.05(2H、dd、J4.8および1.6Hz)、7.84(4H、m)、7.78(2H、dd、J=8.0および1.4Hz)、7.74(2H、dd、J=8.0および1.4Hz)、7.67−7.48(8H、m)、7.47−7.30(23H、m)、7.25(2H、t、J=7.8Hz)、6.14(1H、t、J=10.1Hz)、6.10(1H、t、J=10.0Hz)、6.03(1H、dd、J=10.1および3.3Hz)、5.93(1H、t、J=10.0Hz)、5.80(2H、m)、5.75(1H、dd、J=10.1および3.3Hz)、5.42(1H、d、J=1.9Hz)、5.38(1H、dd、J=3.3および1.9Hz)、5.20(1H、s)、5.18(1H、d、J=1.8Hz)、5.11(2H、s)、4.69(1H、dd、J=9.7および3.5Hz)、4.67(1H、dd、J=12.4および2.6Hz)、4.62(1H、dd、J=12.2および2.4Hz)、4.57(1H、m)、4.48(1H、dt、J=10.1および2.8Hz)、4.42−4.31(3H、m)、4.22(1H、dd、J=10.8および6.3Hz)、4.09(1H、dt、J=10.0および5.4Hz)、3.83(1H、d、J=10.6Hz)、3.78(1H、m)、3.02(2H、m)、2.73(2H、t、J=7.3Hz)、2.37(2H、t、J=7.6Hz)、1.71(2H、m)、1.59(2H、m)、1.40(2H、m)。
【0521】
段階C:2−オキソエチル2,3,4−トリ−O−アセチル−α−L−フコピラノシド
プロパ−2−エン−1−イル2,3,4−トリ−O−アセチル−α−L−フコピラノシド(1.34g、4.06mmol)のアセトン(30mL)および水(7.5mL)中溶液に、4−メチルモルホリン4−オキサイド(950mg、8.11mmol)を加え、次に2.5%OsO
4のtert−ブタノール中溶液(2.04mL、0.162mmol)を加えた。混合物を室温で16時間撹拌した。得られた混合物に、NaIO
4(1.74g、8.11mmol)の水(15mL)中溶液を加えた。さらに4時間撹拌後、沈澱を濾過し、アセトン(50mL)で洗浄した。濾液の体積を初期体積の約1/3まで減量し、次に飽和NaHCO
3(100mL)で希釈した。混合物をEtOAcで抽出した(50mLで3回)。有機相を合わせ、ブラインで洗浄し、Na
2SO
4で脱水し、濃縮した。残留物を0%から80%EtOAc/ヘキサンで溶離を行うシリカゲルカラムクロマトグラフィー(Teledyne Isco:120g)によって精製して、標題化合物を得た(660mg、49%)。
1H NMR(CDCl
3)δ9.72(1H、s)、5.44(1H、dd、J=10.9および3.3Hz)、5.35(1H、dd、J=3.4および1.8Hz)、5.19(1H、dd、J=10.9および3.8Hz)、5.13(1H、d、J=3.8Hz)、4.26(3H、m)、2.19(3H、s)、2.15(3H、s)、2.02(3H、s)、1.17(3H、d、J=6.6Hz)。
【0522】
段階D:6−{[{2−(2,3,4−トリ−O−アセチル−α−L−フコピラノシル)−オキシ}エチル](2−{(2−{2,3,4,6−ペンタ−O−ベンゾイル−α−D−マンノピラノシル−(1→3)−[2,3,4,6−ペンタ−O−ベンゾイル−α−D−マンノピラノシル−(1→6)]−2,4−ジ−O−ベンゾイル−α−D−マンノピラノシル]−オキシ}エチル)アミノ}ヘキサン酸ベンジル
6−(2−{2,3,4,6−ペンタ−O−ベンゾイル−α−D−マンノピラノシル−(1→3)−[2,3,4,6−ペンタ−O−ベンゾイル−α−D−マンノピラノシル−(1→6)]−2,4−ジ−O−ベンゾイル−α−D−マンノピラノシル]−2−オキシエチル}アミノ)ヘキサン酸ベンジル(1.3g、0.725mmol)および2−オキソエチル2,3,4−トリ−O−アセチル−α−L−フコピラノシド(651mg、1.96mmol)のDCM(20mL)中溶液に、酢酸(0.042mL、0.725mmol)および水素化ホウ素トリアセトキシナトリウム(307mg、1.45mmol)を加え、得られた混合物を室温で終夜撹拌した。混合物を溶媒留去し、残留物をEtOAc(60mL)と飽和NaHCO
3(80mL)との間で分配し;有機層を追加の飽和NaHCO
3(80mL)、飽和NaCl(50mL)で洗浄し、Na
2SO
4で脱水し、濾過し、溶媒留去した。残留物を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー((Teledyne Isco:80g)溶離液:勾配10倍カラム体積かけての20%から100%EtOAc/ヘキサン)によって精製して、標題化合物(1.5g、99%)を白色泡状物として得た。
1H NMR(CDCl
3)δ8.34(2H、dd、J=6.7および3.2Hz)、8.15(2H、m)、8.10(4H、m)、8.07(2H、dd、J=8.0および1.4Hz)、8.05(2H、dd、J8.1および1.5Hz)、7.88(4H、m)、7.78(2H、dd、J=8.0および1.4Hz)、7.72(2H、dd、J=7.8および1.5Hz)、7.62−7.55(6H、m)、7.54−7.36(14H、m)、7.34−7.29(11H、m)、7.25(2H、t、J=7.7Hz)、6.14(1H、t、J=10.0Hz)、6.07(1H、m)、6.03(2H、m)、5.83(1H、dd、J=3.3および1.8Hz)、5.75(2H、m)、5.41(1H、m)、5.39(2H、m)、5.35(1H、d、J=3.8Hz)、5.33(2H、m)、5.59(1H、d、J=3.7Hz)、5.18(3H、m)、5.16(1H、d、J=3.8Hz)、5.13(1H、t、J=4.2Hz)、5.10(1H、d、J=3.7Hz)、5.06(2H、s)、4.62(2H、m)、4.54(1H、m)、4.50(2H、m)、4.57(1H、m)、4.33(3H、m)、4.25(2H、m)、4.19(2H、m)、3.80(2H、m)、2.82(2H、m)、2.60(1H、t、J=7.3Hz)、2.32(2H、t、J=7.5Hz)、2.20(3H、s)2.11(3H、s)2.02(3H、s)、1.63(2H、m)、1.51(1H、m)1.34(1H、m)1.18(3H、d、J=6.6Hz)。
【0523】
段階E:6{[{2−(−α−L−フコピラノシル)−オキシ}エチル](2−{(2−{−α−D−マンノピラノシル−(1→3)−[−α−D−マンノピラノシル−(1→6)]−α−D−マンノピラノシル]−オキシ}エチル)アミノ}ヘキサン酸メチル
6−{[{2−(2,3,4−トリ−O−アセチル−α−L−フコピラノシル)−オキシ}エチル](2−{(2−{2,3,4,6−ペンタ−O−ベンゾイル−α−D−マンノピラノシル−(1→3)−[2,3,4,6−ペンタ−O−ベンゾイル−α−D−マンノピラノシル−(1→6)]−2,4−ジ−O−ベンゾイル−α−D−マンノピラノシル]−オキシ}エチル)アミノ}ヘキサン酸ベンジル(1.5g、0.71mmol)のDCM(5mL)およびMeOH(15mL)混合物中溶液に、ナトリウムメトキシド(0.5M MeOH中溶液0.284mL、0.142mmol)を加え、混合物を室温で4日間撹拌した。混合物を溶媒留去して体積を約4mLとし、撹拌アセトニトリル(80mL)に滴下して、白色沈澱を得た。混合物を20分間にわたり3500rpmで遠心し、上清を傾斜法で除去し、固体をアセトニトリル(80mL)に再懸濁させ、さらに20分間3500rpmで遠心し、上清を傾斜法によって除去し、固体を乾燥窒素気流下に乾燥させて、標題化合物(580mg、94%)を白色固体として得た。UPLC方法B:C
35H
63NO
23の計算値:865.38、実測m/e:866.48[M+1];R
t=1.71分。
【0524】
段階F:6−{[{2−(−α−L−フコピラノシル)−オキシ}エチル](2−{(2−{−α−D−マンノピラノシル−(1→3)−[−α−D−マンノピラノシル−(1→6)]−α−D−マンノピラノシル]−オキシ}エチル)アミノ}ヘキサン酸
6−{[{2−(−α−L−フコピラノシル)−オキシ}エチル](2−{(2−{−α−D−マンノピラノシル−(1→3)−[−α−D−マンノピラノシル−(1→6)]−α−D−マンノピラノシル]−オキシ}エチル)アミノ}ヘキサン酸メチル(580mg、0.67mL)の水(3mL)中溶液に、5N NaOH(0.161mL、0.804mmol)を加え、得られた混合物を室温で6時間撹拌した。酢酸(0.039mL、0.683mmol)を加え、混合物を凍結乾燥して、標題化合物を得た(620mg、100%)。UPLC方法B:C
34H
61NO
23の計算値:851.36、実測m/e:852.48[M+1];R
t=1.74分。
【0525】
段階G:2−(2−{([α−D−マンノピラノシル−(1→3)−[α−D−マンノピラノシル−(1→6)]−α−D−マンノピラノシル]オキシ)エチル}{6−[(2,5−ジオキソピロリジン−1−イル)オキシ]−6−オキソヘキシル}アミノ)エチルα−L−フコピラノシド
6−{[{2−(−α−L−フコピラノシル)−オキシ}エチル](2−{(2−{−α−D−マンノピラノシル−(1→3)−[−α−D−マンノピラノシル−(1→6)]−α−D−マンノピラノシル]−オキシ}エチル)アミノ}ヘキサン酸(100mg、0.117mmol)の脱水DMF(2mL)中懸濁液に、ヒューニッヒ塩基(0.082mL、0.47mmol)および1−(((2,5−ジオキソピロリジン−1−イル)オキシ)(ピロリジン−1−イル)メチレン)ピロリジン−1−イウム・ヘキサフルオロホスフェート(V)(58mg、0.141mmol)を加え、得られた混合物を室温で30分間撹拌した。TFA(0.036mL、0.47mmol)を加え、得られた混合物を脱水アセトニトリル(40mL)に滴下して、白色沈澱を生成した。混合物を3500rpmで20分間遠心し、溶媒を傾斜法によって除去し、固体をアセトニトリル(40mL)に再懸濁させ、3500rpmで20分間遠心し、溶媒を傾斜法によって除去し、固体を乾燥窒素気流下で乾燥させて、標題化合物(84mg、75%)を得た。UPLC方法B:C
38H
64N
2O
25の計算値:948.38、実測m/e:949.48[M+1];R
t=3.64分。
【0526】
実施例56
下記構造を有するオリゴ糖リンカー2−(2−{([α−D−マンノピラノシル−(1→3)−[α−D−マンノピラノシル−(1→6)]−α−D−マンノピラノシル]オキシ)エチル}{6−[(2,5−ジオキソピロリジン−1−イル)オキシ]−6−オキソヘキシル}アミノ)エチルβ−L−フコピラノシド(ML−56)の合成について説明する。
【化106】
[この文献は図面を表示できません]
【0527】
段階Cでプロパ−2−エン−1−イル2,3,4−トリ−O−アセチル−α−L−フコピラノシドに代えてプロパ−2−エン−1−イル2,3,4−トリ−O−アセチル−β−L−フコピラノシドを用い、ML−55について記載の手順と同様の手順を用いて、標題化合物を製造した。UPLC方法B:m/e=949.48[M+1];R
t=3.70分。
【0528】
実施例57
下記構造を有するオリゴ糖リンカー3−(2−{([α−D−マンノピラノシル−(1→3)−[α−D−マンノピラノシル−(1→6)]−α−D−マンノピラノシル]オキシ)エチル}{6−(2,5−ジオキソピロリジン−1−イル)−6−オキソヘキシル}アミノ)プロピルα−L−フコピラノシド(ML−57)の合成について説明する。
【化107】
[この文献は図面を表示できません]
【0529】
段階A:6−{[3−(2,3,4−トリ−O−ベンジル−α−L−フコピラノシル)プロピル](2−[2−{2,3,4,6−ペンタ−O−ベンゾイル−α−D−マンノピラノシル−(1→3)−[2,3,4,6−ペンタ−O−ベンゾイル−α−D−マンノピラノシル−(1→6)]−2,4−ジ−O−ベンゾイル−α−D−マンノピラノシル}−オキシ]エチル)アミノ}ヘキサン酸ベンジル
ML−XX段階Dについて説明した手順に従って6−(2−{2,3,4,6−ペンタ−O−ベンゾイル−α−D−マンノピラノシル−(1→3)−[2,3,4,6−ペンタ−O−ベンゾイル−α−D−マンノピラノシル−(1→6)]−2,4−ジ−O−ベンゾイル−α−D−マンノピラノシル]−2−オキシエチル}アミノ)ヘキサン酸ベンジル[ML−XX段階B]および3−(2,3,4−トリ−O−ベンジル−α−L−フコピラノシル)プロパナール[ML−36段階E]から製造した。
1H NMR(CDCl
3)δ8.35(2H、dd、J=6.4および2.9Hz)、8.17(2H、d、J=7.7Hz)、8.10(4H、m)、8.06(2H、dd、J=7.1および1.5Hz)、8.04(2H、dd、J=7.7および1.5Hz)、7.89(2H、m)、7.87(2H、m)、7.80(2H、dd、J=7.9および1.4Hz)、7.74(2H、m)、7.61(2H、m)、7.59−7.55(4H、m)、7.49(2H、d、J=7.2Hz)、7.45−7.35(12H、m)、7.35−7.27(26H、m)、7.23(2H、m)、6.18(1H、t、J=9.9Hz)、6.11−6.02(3H、m)、5.85(1H、dd、J=3.3および1.8Hz)、5.75(2H、m)、5.37(2H、m)、5.17(2H、m)、5.06(2H、s)、4.77(1H、d、J=12.0Hz)、4.70(2H、d、J=8.3Hz)、4.67−4.60(5H、m)、4.56(2H、d、J=8.6Hz)、4.55−4.47(4H、m)、4.33(3H、m)、4.19(1H、dd、J=11.0および4.8Hz)、4.01(1H、dd、J=10.5および4.7Hz)、3.86(1H、m)、3.79(1H、d、J=11.2Hz)、3.75(2H、m)、3.62(1H、m)、2.79(2H、t、J=6.5Hz)、2.52(4H、m)、2.32(2H、t、J=7.6Hz)、1.65(4H、m)、1.48(2H、m)、1.30(3H、m)、1.25(3H、d、J=6.6Hz)。
【0530】
段階B:6−{[3−(2,3,4−トリ−O−ベンジル−α−L−フコピラノシル)プロピル](2−[2−{−α−D−マンノピラノシル−(1→3)−[−α−D−マンノピラノシル−(1→6)]−α−D−マンノピラノシル}−オキシ]エチル)アミノ}ヘキサン酸メチル
6−{[3−(2,3,4−トリ−O−ベンジル−α−L−フコピラノシル)プロピル](2−[2−{2,3,4,6−ペンタ−O−ベンゾイル−α−D−マンノピラノシル−(1→3)−[2,3,4,6−ペンタ−O−ベンゾイル−α−D−マンノピラノシル−(1→6)]−2,4−ジ−O−ベンゾイル−α−D−マンノピラノシル}−オキシ]エチル)アミノ}ヘキサン酸ベンジル(1.3g、0.577mmol)の脱水DCM(5mL)および脱水MeOH(15mL)混合物中溶液に、ナトリウムメトキシド(0.5M MeOH中溶液1.16mL、0.577mmol)を加え、得られた混合物を室温で3日間撹拌した。混合物を溶媒留去して約5mLの体積とし、撹拌した脱水アセトニトリル(80mL)に滴下した。混合物を3500rpmで30分間遠心し、溶媒を傾斜法によって除去し、固体をアセトニトリル(80mL)に再懸濁させた。混合物を3500rpmで30分間遠心し、溶媒中を傾斜法によって除去し、固体を窒素気流下で風乾させて、標題化合物(650mg、100%)を得た。UPLC方法B:C
57H
83NO
22の計算値:1133.54、実測m/e:1134.64[M+1];R
t=2.08分。
【0531】
段階C:6−{[3−(−α−L−フコピラノシル)プロピル](2−[2−{−α−D−マンノピラノシル−(1→3)−[−α−D−マンノピラノシル−(1→6)]−α−D−マンノピラノシル}−オキシ]エチル)アミノ}ヘキサン酸メチル塩酸塩
6−{[3−(2,3,4−トリ−O−ベンジル−α−L−フコピラノシル)プロピル](2−[2−{−α−D−マンノピラノシル−(1→3)−[−α−D−マンノピラノシル−(1→6)]−α−D−マンノピラノシル}−オキシ]エチル)アミノ}ヘキサン酸メチル(650mg、0.577mmol)のメタノール(5mL)中溶液に濃HCl(0.142mL、1.73mmol)を加え、窒素を流し、10%パラジウム/炭素(61mg)を加え、水素風船下に3時間撹拌した。0.4ミクロンシリンジ先端フィルターで濾過し、濾液を溶媒留去した。残留物を水(4mL)に溶かし、凍結乾燥して、標題化合物を得た(531mg、100%)。UPLC方法B:C
39H
66N
2O
24の計算値:863.40、実測m/e:864.43[M+1];R
t=1.64分。
【0532】
段階D:3−(2−{([α−D−マンノピラノシル−(1→3)−[α−D−マンノピラノシル−(1→6)]−α−D−マンノピラノシル]オキシ)エチル}{6−(2,5−ジオキソピロリジン−1−イル)−6−オキソヘキシル}アミノ)プロピルα−L−フコピラノシド
ML−XX段階FおよびGについて説明した手順に従って、6−{[3−(−α−L−フコピラノシル)プロピル](2−[2−{−α−D−マンノピラノシル−(1→3)−[−α−D−マンノピラノシル−(1→6)]−α−D−マンノピラノシル]−オキシ]エチル)アミノ}ヘキサン酸メチル塩酸塩から製造した。UPLC方法B:C
39H
66N
2O
24の計算値:946.40、実測m/e:947.51[M+1];R
t=3.55分。
【0533】
実施例58
下記構造を有するオリゴ糖リンカー4−(2−{([α−D−マンノピラノシル−(1→3)−[α−D−マンノピラノシル−(1→6)]−α−D−マンノピラノシル]オキシ)エチル}6−(2,5−ジオキソピロリジン−1−イル)−6−オキソヘキシル}アミノ)ブチルα−L−フコピラノシド(ML−58)の合成について説明する。
【化108】
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【0534】
段階A:メタンスルホン酸3−(2,3,4−トリ−O−ベンジル−α−L−フコピラノシル)プロピル
氷浴で冷却した3−(2,3,4−トリ−O−ベンジル−α−L−フコピラノシル)プロパノール[ML−36段階D](10.6g、22.2mmol)およびヒューニッヒ塩基(4.66mL、26.7mmol)の脱水DCM(100mL)中溶液に、メタンスルホニルクロライド(1.9mL、24.5mmol)を滴下した。添加完了後、混合物を氷浴温度で1時間撹拌した。混合物を水(100mL)、飽和NaCl(50mL)で洗浄し、Na
2SO
4で脱水し、濾過し、溶媒留去して標題化合物を得た(12.6g、100%)。
1H NMR(CDCl
3)δ7.37(15H、m)、4.80(2H、m)、4.68(2H、m)、4.63(1H、d、J=11.8Hz)、4.53(1H、J=11.8Hz)、4.22(2H、m)、4.00(1H、d、J=9.8Hz)、3.94(1H、m)、2.99(3H、s)、1.88(1H、m)、1.75(2H、m)、1.62(1H、m)、1.31(3H、d、J=6.6Hz)。
【0535】
段階B:3−(2,3,4−トリ−O−ベンジル−α−L−フコピラノシル)ブタンニトリル
メタンスルホン酸3−(2,3,4−トリ−O−ベンジル−α−L−フコピラノシル)プロピル(3g、5.4mmol)の脱水DMF(30mL)中溶液に、アジ化ナトリウム(422mg、6.49mmol)を加え、得られた混合物を60℃で終夜加熱した。混合物を冷却し、水(100mL)で希釈し、Et
2Oで抽出し(30mLで3回);合わせたEt
2O層を飽和NaCl(30mL)で洗浄し;Na
2SO
4で脱水し、濾過し、溶媒留去した。残留物を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー((Teledyne Isco;120g)溶離液:勾配0%から70%EtOAc/ヘキサン)によって精製して、標題化合物を得た(6g、76%)。
1H NMR(CDCl
3)δ7.29(15H、m)、4.80(2H、m)、4.71(1H、d、J=11.8Hz)、4.69(1H、d、J=11.8Hz)、4.65(1H、d、J=11.8Hz)、4.54(1H、d、J=11.8Hz)、3.95(2H、m)、3.79(3H、m)、2.37(2H、m)、1.80(2H、m)、1.62(2H、m)、1.31(3H、d、J=6.6Hz)。
【0536】
段階C:3−(2,3,4−トリ−O−ベンジル−α−L−フコピラノシル)ブタン酸
3−(2,3,4−トリ−O−ベンジル−α−L−フコピラノシル)ブタンニトリル(6g、12.36mmol)のエタノール(100mL)中混合物を水(100mL)および5N NaOH(25mL、124mmol)で処理し、得られた混合物を3日間加熱還流した。混合物を冷却し、エタノールを溶媒留去によって除去し、残りの水層を濃HClを加えることで酸性とし、EtOAcで抽出し(100mLで3回);合わせたEtOAc層を飽和NaCl(100mL)で洗浄し、Na
2SO
4で脱水し、濾過し、溶媒留去して、標題化合物(5.2g、83%)を明黄色油状物として得た。
1H NMR(CDCl
3)δ7.40−7.30(15H、m)、4.79(2H、m)、4.71(1H、d、J=12.0Hz)、4.65(2H、m)、4.53(1H、d、J=11.8Hz)、4.01(1H、m)、3.92(1H、m)、3.83(1H、m)、3.78(2H、m)、2.39(2H、m)、1.75(2H、m)、1.59(2H、m)、1.30(3H、d、J=6.6Hz)。
【0537】
段階D:4−(2,3,4−トリ−O−ベンジル−α−L−フコピラノシル)ブタン−1−オール
3−(2,3,4−トリ−O−ベンジル−α−L−フコピラノシル)ブタン酸(5.2g、10.3mmol)の脱水THF(100mL)中溶液を氷浴で冷却し、それにボラン−テトラヒドロフラン錯体(1M THF中溶液12.3mL、12.3mmol)をゆっくり加え、得られた混合物を昇温させて室温とし、3日間撹拌した。混合物を、メタノール(5mL)を加えることで反応停止し、飽和NaCl(200mL)で希釈し、EtOAcで抽出し(150mLで2回);合わせたEtOAc層をNa
2SO
4で脱水し、濾過し、溶媒留去した。残留物を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー((Teledyne Isco:120g)溶離液:勾配0%から100%EtOAc/ヘキサン)によって精製して、標題化合物(1.73g、34%)を透明油状物として得た。
1H NMR(CDCl
3)δ7.40−7.28(15H、m)、4.79(2H、m)、4.71(1H、d、J=12.1Hz)、4.66(2H、m)、4.54(1H、d、J=11.9Hz)、3.99(1H、m)、3.93(1H、m)、3.80(3H、m)、3.65(2H、t、J=6.5Hz)、1.67(2H、m)、1.60−1.41(4H、m)、1.30(3H、d、J=6.6Hz)。
【0538】
段階E:4−(2,3,4−トリ−O−ベンジル−α−L−フコピラノシル)ブタナール
4−(2,3,4−トリ−O−ベンジル−α−L−フコピラノシル)ブタン−1−オール(1.73g、3.53mmol)のDCM(50mL)中溶液に、デス−マーチン試薬(2.24g、5.29mmol)を加え、得られた混合物を室温で3時間撹拌した。混合物を飽和NaHCO
3(100mL)で洗浄し;Na
2SO
4で脱水し、濾過し、溶媒留去した。残留物を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー((Teledyne Isco:80g)溶離液:勾配0%から80%EtOAc/ヘキサン)によって精製して、標題化合物を得た(1.24g、72%)。
1H NMR(CDCl
3)δ9.77(1H、s)、7.40−7.28(15H、m)、4.80(1H、d、J=12.0Hz)、4.78(1H、J=12.0Hz)、4.71(1H、d、J=12.0Hz)、4.66(2H、m)、4.54(1H、d、J=11.8Hz)、3.98(1H、m)、3.92(1H、m)、3.83−3.76(3H、m)、2.43(2H、m)、1.80−1.63(2H、m)、1.62−1.48(2H、m)、1.30(3H、d、J=6.6Hz)。
【0539】
段階F:4−(2−{([α−D−マンノピラノシル−(1→3)−[α−D−マンノピラノシル−(1→6)]−α−D−マンノピラノシル]オキシ)エチル}{6−(2,5−ジオキソピロリジン−1−イル)−6−オキソヘキシル}アミノ)ブチルα−L−フコピラノシド
ML−57について説明した手順に従って4−(2,3,4−トリ−O−ベンジル−α−L−フコピラノシル)ブタナールから製造した。UPLC方法B:C
40H
68N
2O
24の計算値:960.42、実測m/e:961.48[M+1];R
t=3.46分。
【0540】
実施例59
下記構造を有するオリゴ糖リンカー2−({6−[(2,5−ジオキソピロリジン−1−イル)オキシ]−6−オキソヘキシル}[3−(α−L−フコピラノシル)プロピル]アミノ)エチルα−D−マンノピラノシド(ML−59)の合成について説明する。
【化109】
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【0541】
段階Fで2−アミノエチル3,4,6−トリ−O−アセチル−2−(アセチルアミノ)−2−デオキシ−β−D−グルコピラノシドに代えて2−アミノエチル2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−α−D−マンノピラノシドを用い、ML−36について記載の手順と同様の手順を用いて、標題化合物を製造した。UPLC方法B:C
27H
46N
2O
14の計算値:622.29、実測m/e=623.3231[M+1];R
t=1.16分。
【0542】
実施例60
下記構造を有するオリゴ糖リンカー2−({6−[(2,5−ジオキソピロリジン−1−イル)オキシ]−6−オキソヘキシル}[3−(α−L−フコピラノシル)プロピル]アミノ)エチルβ−D−マンノピラノシド(ML−60)の合成について説明する。
【化110】
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【0543】
段階A:ベンジル(2−((4,6−ジ−O−ベンゾイル−β−D−ガラクトピラノシル)オキシ)エチル)カーバメート
ベンジル(2−((4,6−ジ−O−ベンゾイル−β−D−ガラクトピラノシル)オキシ)エチル)カーバメート(9.4g、26.3mmol)に、4Å粉末モレキュラーシーブス3gを加え、混合物を脱水トルエン(100mL)に懸濁させた。この混合物に、酸化ジブチルスズ(IV)(14.21g、57.1mmol)を加え、得られた混合物を95℃で5時間加熱した。混合物を放冷して室温とし、次に氷浴で冷却し、塩化ベンゾイル(6.66mL、57.3mmol)を滴下した。微細白色沈澱が生成し、脱水アセトニトリル(15mL)を加え、室温で48時間撹拌した。混合物を溶媒留去し、残留物をシリカゲルでのカラムクロマトグラフィー((Teledyne Isco:330g)、溶離液:0%から50%EtOAc/ヘキサン(8カラム体積);および50%EtOAc/ヘキサン(10カラム体積))によって精製して、標題化合物(11.56g、78%)を白色固体として得た。
1H NMR(CDCl
3)δ8.11(2H、d、J=7.7Hz)、8.04(2H、dd、J=7.9および1.4Hz)、7.58(2H、m)、7.45(4H、m)、7.36−7.29(5H、m)、5.53(1H、m)、5.14(1H、dd、J=10.1および3.3Hz)、5.06(2H、s)、4.64(1H、dd、J=11.5および6.3Hz)、4.55(1H、dd、J=11.5および6.6Hz)、4.4(1H、d、J=7.7Hz)、4.24(1H、t、J=4.2Hz)、4.08(1H、t、J=8.8Hz)、3.93(2H、m)、3.76(1H、m)、3.48(1H、m)、3.37(1H、m)、3.28(1H、d、J=3.3Hz)、2.80(1H、d、J=5.3Hz)。
【0544】
段階B:ベンジル(2−((((3,5−ビス(トリフルオロメチル)スルホニル)オキシ)−4,6−ジ−O−ベンゾイル−β−D−ガラクトピラノシル)オキシ)エチル)カーバメート
DCM(200mL)に溶かしたベンジル(2−((4,6−ジ−O−ベンゾイル−β−D−ガラクトピラノシル)オキシ)エチル)カーバメート(11.56g、20.44mmol)溶液を冷却して−15℃とし、それにピリジン(21.5mL、266mmol)を加え、次に無水トリフ酸(10.36mL、61.3mmol)をゆっくり加え、得られた混合物を3時間かけて昇温させて0℃とした。混合物を追加のDCM(200mL)で希釈し、氷冷1N HCl(500mL)、氷冷飽和NaHCO
3(500mL)および氷冷飽和NaCl(500mL)で洗浄し;Na
2SO
4で脱水し、濾過し、溶媒留去して、標題化合物(16.9g、100%)を黄色泡状物として得た。
1H NMR(CDCl
3)δ8.16(2H、dd、J=8.0および1.4Hz)、8.04(2H、dd、J=8.1および1.4Hz)、7.65(2H、m),7.52(2H、m)、7.50(2H、m)、7.39(4H、m)、7.33(1H、m)、5.55(1H、dd、J=10.4および3.1Hz)、5.50(1H、d、J=3.1Hz)、5.35(1H、t、J=6.4Hz)、5.14(2H、s)、5.12(1H、m)、4.77(1H、d、J=7.9Hz)、4.73(1H、m)、4.28(2H、m)、4.06(1H、m)、3.80(1H、m)、3.55(1H、m)、3.47(1H、m)。
【0545】
段階C:ベンジル(2−((3,5−ジ−O−アセチル−4,6−ジ−O−ベンゾイル−β−D−マンノピラノシル)オキシ)エチル)カーバメート
ベンジル(2−((((3,5−ビス(トリフルオロメチル)スルホニル)オキシ)−4,6−ジ−O−ベンゾイル−β−D−ガラクトピラノシル)オキシ)エチル)カーバメート(16.9g、20.37mmol)の脱水トルエン(100mL)中溶液に、酢酸テトラブチルアンモニウム(25g、82.9mmol)のトルエン(150mL)およびDMF(4mL)混合物中溶液を加え、得られた混合物を室温で終夜撹拌した。CH
2Cl
2(30mL)で希釈し、飽和NaClで洗浄し(100mLで2回)、MgSO
4で脱水し、濾過し、溶媒留去した。残留物を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー((Teledyne Isco:330g)溶離液:0%から50%EtOAc/ヘキサン(10カラム体積)と次に50%EtOAc/ヘキサン(5カラム体積))によって精製して、標題化合物を得た(8g、60.5%)。
1H NMR(CDCl
3)δ8.10(2H、m)、7.98(2H、dd、J=8.1および1.4Hz)、7.61(2H、m)、7.48(2H、t、J=7.8Hz)、7.46(2H、t、J=7.7Hz)、7.37(4H、m)、7.33(1H、m)、5.70(1H、d、J=3.3Hz)、5.61(1H、t、J=10.0Hz)、5.29(1H、dd、J=10.0および3.3Hz)、5.26(1H、m)、5.10(2H、s)、4.79(1H、s)、4.64(1H、dd、J=12.1および2.7Hz)、4.47(1H、dd、J=12.1および5.8Hz)、3.94(2H、m)、3.74(1H、m)、3.48(1H、m)、3.37(1H、m)、2.15(3H、s)、2.00(3H、s)。
【0546】
段階D:2−アミノエチル3,5−ジ−O−アセチル−4,6−ジ−O−ベンゾイル−β−D−マンノピラノシド
ベンジル(2−((3,5−ジ−O−アセチル−4,6−ジ−O−ベンゾイル−β−D−マンノピラノシル)オキシ)エチル)カーバメート(8g、12.31mmol)のEtOAc(100mL)中溶液に窒素を流し、それに10%パラジウム/炭素(1.31g)を加え、得られた混合物を水素風船下に終夜撹拌した。混合物をセライトで濾過し、濾液を溶媒留去して、標題化合物(6.3g、99%)を明黄色泡状物として得た。
1H NMR(CDCl
3)δ8.11(2H、m)、7.90(2H、m)、7.60(2H、m)、7.47(4H、m)、5.72(1H、ddd、J=9.2、3.2および1.1Hz)、5.59(1H、t、J=9.7Hz)、5.33(1H、ddd、J=10.1、4.8および3.3Hz)、4.85(1H、dd、J16.0および1.1Hz)、4.65(1H、m)、4.45(1H、ddd、J=12.1、5.7および2.0Hz)、3.95(2H、m)、3.73(1H、m)、3.09(2H、bs)、2.90(1H、m)、2.15(3H、s)、1.99(3H、s)。
【0547】
段階E:2−({6−[(2,5−ジオキソピロリジン−1−イル)オキシ]−6−オキソヘキシル}[3−(α−L−フコピラノシル)プロピル]アミノ)エチルα−D−マンノピラノシド
段階Fで2−アミノエチル3,4,6−トリ−O−アセチル−2−(アセチルアミノ)−2−デオキシ−β−D−グルコピラノシドに代えて2−アミノエチル3,5−ジ−O−アセチル−4,6−ジ−O−ベンゾイル−β−D−マンノピラノシドを用い、ML−36について記載の手順と同様の手順を用いて、標題化合物を製造した。UPLC方法B:C
27H
46N
2O
14の計算値:622.29、実測m/e=623.3536[M+1];R
t=1.13分。
【0548】
実施例61
下記構造を有するオリゴ糖リンカー2−({6−[(2,5−ジオキソピロリジン−1−イル)オキシ]−6−オキソヘキシル}−2−[(α−L−フコピラノシル)オキシ]エチル)−α−D−マンノピラノシド(ML−61)の合成について説明する。
【化111】
[この文献は図面を表示できません]
【0549】
段階A:2−{[2−(2,3,4−トリ−O−アセチル−α−L−フコピラノシル)エチル]アミノ}エチル−2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−α−D−マンノピラノシド
2−オキソエチル2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−α−D−マンノピラノシド(1.3g、3.33mmol)および2−アミノエチル2,3,4−トリ−O−アセチル−α−L−フコピラノシド(2.22g、6.7mmol)の脱水DCM(20mL)中混合物に、TFA(0.257mL、3.3mmol)を加え、混合物を室温で10分間撹拌し、水素化ホウ素トリアセトキシナトリウム(1.41g、6.66mmol)を加え、混合物を室温で終夜撹拌した。混合物を溶媒留去し、残留物をEtOAc(50mL)と飽和NaHCO
3(100mL)との間で分配し;有機層を飽和NaCl(50mL)で洗浄し;Na
2SO
4で脱水し;濾過し、溶媒留去した。残留物を、逆相シリカゲルカラムクロマトグラフィー((Teledyne Isco:C18275g)溶離液:勾配10%から100%CH
3CN/水)によって精製して、標題化合物を得た(667mg、28%)。
1H NMR(CDCl
3)δ5.37(1H、dd、J=10.0および3.5Hz)、5.32(1H、d、J=9.8Hz)、5.29(1H、dd、J=3.4および1.9Hz)、5.26(1H、dd、J=3.5および1.1Hz)、5.20(1H、dd、J=10.5および7.9Hz)、5.04(1H、dd、J=10.5および3.4Hz)、4.87(1H、d、J=1.8Hz)、4.50(1H、d、J=7.9Hz)、4.32(1H、dd、J=12.3および2.5Hz)、4.13(1H、dd、J=12.2および2.5Hz)、4.04(1H、m)、4.00(1H、m)、3.86−3.79(2H、m)、3.69(1H、m)、3.59(1H、m)、2.91−2.85(4H、m)、2.19(3H、s)、2.18(3H、s)、2.13(3H、s)、2.09(3H、s)、2.07(3H、s)、2.02(3H、s)、2.01(3H、s)、1.25(3H、d、J=6.4Hz)。
【0550】
段階B:6−{[2−(2,3,4−トリ−O−アセチル−α−L−フコピラノシル)エチル](2−{[2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−α−D−マンノピラン]オキシ}エチル)アミノ}ヘキサン酸ベンジル
2−{[2−(2,3,4−トリ−O−アセチル−α−L−フコピラノシル)エチル]アミノ}エチル−2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−α−D−マンノピラノシド(667mg、0.943mmol)および6−オキソヘキサン酸ベンジル(311mg、1.41mmol)のDCM(6mL)中溶液に、酢酸(0.054mL、0.943mmol)を加えた。混合物を室温で10分間撹拌し、水素化ホウ素トリアセトキシナトリウム(400mg、1.89mmol)を加え、混合物を室温で終夜撹拌した。UPLC−MSは変換が完了していることを示している。混合物を溶媒留去し、残留物をEtOAc(30mL)と飽和NaHCO
3(40mL)との間で分配し;有機層を飽和NaCl(20mL)で洗浄し;Na
2SO
4で脱水し、濾過し、溶媒留去した。残留物を、逆相シリカゲルカラムクロマトグラフィー((Teledyne Isco:C1840g)溶離液:勾配5%から100%CH
3CN/水)によって精製して、標題化合物を得た(434mg、50%)。
1H NMR(CDCl
3)δ7.37(5H、m)、5.35(1H、dd、J=9.9および3.1Hz)、5.32(1H、d、J=9.2Hz)、5.25(2H、dd、J=3.2および1.7Hz)、5.19(1H、dd、J=10.5および7.9Hz)、5.14(2H、s)、5.04(1H、dd、J=10.4および3.5Hz)、4.85(1H、d、J=1.7Hz)、4.51(1H、d、J=7.9Hz)、4.32(1H、dd、J=12.2および5.1Hz)、4.12(1H、dd、J=12.2および2.5Hz)、4.04(1H、m)、3.93(1H、dt、J=9.9および5.9Hz)、3.85(1H、m)、3.72(1H、dt、J=10.1および6.0Hz)、3.59(1H、dt、J=9.9および6.6Hz)、3.51(1H、m)、2.74−2.71(4H、m)、2.50(2H、t、J=7.4Hz)、2.39(2H、t、J=7.5Hz)、2.19(3H、s)、2.18(3H、s)、2.13(3H、s)、2.07(3H、s)、2.06(3H、s)、2.01(3H、s)、2.00(3H、s)、1.70−1.66(4H、m)、1.44(2H、m)、1.32(2H、m)、1.24(3H、d、J=6.4Hz)。
【0551】
段階C:2−({6−[(2,5−ジオキソピロリジン−1−イル)オキシ]−6−オキソヘキシル}−2−[(α−L−フコピラノシル)オキシ]エチル)−α−D−マンノピラノシド
6−(ビス{2−[(2,3,4−トリ−O−ベンゾイル−α−L−フコピラノシル)オキシ]エチル}アミノ)ヘキサン酸ベンジルに代えて6−{[2−(2,3,4−トリ−O−アセチル−α−L−フコピラノシル)エチル](2−{[−2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−α−D−マンノピラン]オキシ}エチル)アミノ}ヘキサン酸ベンジルを用い、段階BでML−35について記載の手順と同様の手順を用いて、標題化合物を製造した。UPLC方法B:C
26H
44N
2O
15の計算値:624.27、実測m/e=625.2990[M+1];R
t=1.12。
【0552】
実施例62
下記構造を有するオリゴ糖リンカーN,N′−ビス{2−[(α−L−フコピラノシル)オキシ]エチル}−1−{6−[(2,5−ジオキソピロリジン−1−イル)オキシ]−6−オキソヘキサノイル}ピロリジン−(2R,5R)−2,5−ジカルボキサミド(ML−62)の合成について説明する。
【化112】
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【0553】
段階Cで2,2′−{[6−(ベンジルオキシ)−6−オキソヘキサノイル]イミノ}ジ酢酸に代えて(2R,5R)−ピロリジン−2,5−ジカルボン酸を用い、ML−6について記載の手順と同様の手順を用いて、標題化合物を製造した。UPLC方法B:m/e=736.36[M+1];R
t=2.22分。
【0554】
実施例63
下記構造を有するオリゴ糖リンカーN,N′−ビス{2−[(α−L−フコピラノシル)オキシ]エチル}−1−{6−[(2,5−ジオキソピロリジン−1−イル)オキシ]−6−オキソヘキサノイル}(ピペリジン−4,4−ジイル)ジアセトアミド(ML−63)の合成について説明する。
【化113】
[この文献は図面を表示できません]
【0555】
段階Cで2,2′−{[6−(ベンジルオキシ)−6−オキソヘキサノイル]イミノ}ジ酢酸に代えて2,2′−(ピペリジン−4,4−ジイル)ジ酢酸を用い、ML−6について記載の手順と同様の手順を用いて、標題化合物を製造した。UPLC方法B:m/e=805.38[M+1];R
t=2.35分。
【0556】
実施例64
下記構造を有するオリゴ糖リンカー1−{6−[(2,5−ジオキソピロリジン−1−イル)オキシ]−6−オキソヘキサノイル}−N,N′−ビス{2−[(α−L−フコピラノシル)オキシ]エチル}ピペリジン−シス−3,4−ジカルボキサミド(ML−64)の合成について説明する。
【化114】
[この文献は図面を表示できません]
【0557】
段階Aでの原料として3,5−ピリジンジカルボン酸に代えて3,4−ピリジンジカルボン酸を用い、ML−17について記載の手順と同様の手順を用いて、標題化合物を製造した。UPLC方法F:m/e=777.3660[M+1];R
t=2.15分。
【0558】
実施例65
下記構造を有するオリゴ糖リンカー6−((3R,4R)−3,4−ビス((2−(((2R,3S,4R,5S,6S)−3,4,5−トリヒドロキシ−6−メチルテトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ)エチル)カルバモイル)ピペリジン−1−イル)ヘキサン酸2,5−ジオキソピロリジン−1−イル(ML−65)の合成について説明する。
【化115】
[この文献は図面を表示できません]
【0559】
段階A:(3R,4R)−N
3,N
4−ビス(2−(((2R,3S,4R,5S,6S)−3,4,5−トリヒドロキシ−6−メチルテトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ)エチル)ピペリジン−3,4−ジカルボキサミド
段階Aで原料として3,5−ピリジンジカルボン酸に代えて3,4−ピリジンジカルボン酸を用い、ML−17段階AおよびBについて記載の手順と同様の手順を用いて、標題化合物を製造した。UPLC方法F:m/e=552.2733[M+1];R
t=1.37分。
【0560】
段階B:6−((3R,4R)−3,4−ビス((2−(((2R,3S,4R,5S,6S)−3,4,5−トリヒドロキシ−6−メチルテトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ)エチル)カルバモイル)ピペリジン−1−イル)ヘキサン酸ベンジル
(3R,4R)−N
3,N
4−ビス(2−(((2R,3S,4R,5S,6S)−3,4,5−トリヒドロキシ−6−メチルテトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ)エチル)ピペリジン−3,4−ジカルボキサミド(118mg、0.214mmol)をTHF(2mL)に溶かし、それにTHF(0.5mL)中の6−オキソヘキサン酸ベンジル(70.7mg、0.321mmol)を加え、次に水素化ホウ素トリアセトキシナトリウム(136mg、0.642mmol)および酢酸(3.67μL、0.064mmol)を加え、混合物を室温で3時間撹拌した。生成物を、0%から30%AcN/水の勾配を用いるC−18カラムでの分取逆相クロマトグラフィーによって単離した。UPLC方法F:m/e=756.4241[M+1];R
t=3.05分。
【0561】
段階C:オリゴ糖リンカー6−((3R,4R)−3,4−ビス((2−(((2R,3S,4R,5S,6S)−3,4,5−トリヒドロキシ−6−メチルテトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ)エチル)カルバモイル)ピペリジン−1−イル)ヘキサン酸2,5−ジオキソピロリジン−1−イルの合成
段階Cで6−({2−[(α−D−マンノピラノシル−(1→3)−[α−D−マンノピラノシル−(1→6)]−α−D−マンノピラノシル)オキシ]エチル}アミノ)−6−オキソヘキサン酸ベンジルに代えて6−((3R,4R)−3,4−ビス((2−(((2R,3S,4R,5S,6S)−3,4,5−トリヒドロキシ−6−メチルテトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ)エチル)カルバモイル)ピペリジン−1−イル)ヘキサン酸ベンジルを用い、段階Dで6−({2−[α−D−マンノピラノシル−(1→3)−[α−D−マンノピラノシル−(1→6)]−α−D−マンノピラノシル)オキシ]エチル}アミノ)−6−オキソヘキサン酸に代えて6−((3R,4R)−3,4−ビス((2−(((2R,3S,4R,5S,6S)−3,4,5−トリヒドロキシ−6−メチルテトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ)エチル)カルバモイル)ピペリジン−1−イル)ヘキサン酸を用い、ML−1段階CおよびDについて記載の手順と同様の手順を用いて、標題化合物を製造した。UPLC方法F:m/e=763.7796[M+1];R
t=2.15分。
【0562】
実施例66
下記構造を有するオリゴ糖リンカー6−((2R,5R)−2,5−ビス((2−(((2R,3S,4R,5S,6S)−3,4,5−トリヒドロキシ−6−メチルテトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ)エチル)カルバモイル)ピペリジン−1−イル)−6−オキソヘキサン酸2,5−ジオキソピロリジン−1−イル(ML−66)の合成について説明する。
【化116】
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【0563】
段階Aで原料として3,5−ピリジンジカルボン酸に代えて2,5−ピリジンジカルボン酸を用い、ML−17について記載の手順と同様の手順を用いて、標題化合物を製造した。UPLC方法A:UPLCm/e=777.0[M+1];R
t=0.5分。
【0564】
実施例67
下記構造を有するオリゴ糖リンカー6−(((R)−1,4−ジオキソ−1−((2−(((2S,3S,4S,5S,6R)−3,4,5−トリヒドロキシ−6−(ヒドロキシメチル)テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ)エチル)アミノ)−4−((2−(((2R,3S,4R,5S,6S)−3,4,5−トリヒドロキシ−6−メチルテトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ)エチル)アミノ)ブタン−2−イル)アミノ)−6−オキソヘキサン酸2,5−ジオキソピロリジン−1−イル(ML−67)の合成について説明する。
【化117】
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【0565】
段階Aで、Z−ASP(OBZL)−OHに代えてZ−Glu−γ−Bnを用い、2−アミノエチルα−D−マンノピラノシドに代えて2−アミノエチルα−D−マンノピラノシル−(1→3)−[α−D−マンノピラノシル−(1→6)]−α−D−マンノピラノシドを用い、ML−20について記載の手順と同様の手順を用いて、標題化合物を製造した。UPLC方法B:m/e=753.26[M+1];R
t=1.59分。
【0566】
実施例68
下記構造を有するオリゴ糖リンカー(ML−68)の合成について説明する。
【化118】
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【0567】
段階AでZ−ASP(OBZL)−OHに代えてZ−Glu−γ−Bnを用い、ML−20について記載の手順と同様の手順を用いて、標題化合物を製造した。UPLC方法B:m/e=1077.52[M+1];R
t=2.93分。
【0568】
実施例69
下記構造を有するオリゴ糖リンカー6−(2−(ビス(−[(α−L−フコピラノシル)オキシ)エチル)アミノ)アセトアミド)ヘキサン酸2,5−ジオキソピロリジン−1−イル(ML−69)の合成について説明する。
【化119】
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【0569】
段階A:1,2,3,4−テトラキス(オキシ)テトラキス(トリメチルシラン)L−フコース
L−フコース(4.0g、24.37mmol、1.0当量)のDMF(25mL)中溶液に0℃で、TEA(17.32mL、124mmol、5.1当量)を加えた。上記混合物に、TMS−Cl(15.88mL、125mmol、5.1当量)を滴下した。反応液を昇温させて室温とし、室温で4時間撹拌した。反応混合物を氷およびヘキサン混合物(100mL、1:1)に投入した。混合物をヘキサンで抽出した(100mLで3回)。有機層を水で洗浄し(10mLで3回)、MgSO
4で脱水し、濾過した。濾液を濃縮し、高真空ポンプで乾燥させて、標題化合物を無色油状物として得た(8.7g、19.2mmol、79%)。
13C NMR(CDCl
3、125MHz)δ94.5(1C)、70.6(1C)、69.6(1C)、66.6(1C)、39.6(4C)、16.7(Me)、0.67(3Me)、0.43(3Me)、0.29(3Me)、0.16(3Me);
1H NMR(CDCl
3、500MHz)δ5.0(s、1H)、4.0(m、1H)、3.8(1H)、3.6(1H)、1.0(d、3H)、0−0.2(m、36H)。
【0570】
段階B:6−(2−(ビス(2−ヒドロキシエチル)アミノ)アセトアミド)ヘキサン酸ベンジル
2−(ビス(2−ヒドロキシエチル)アミノ)酢酸(500mg、3.06mmol、1.0当量)のDMF(10mL)中溶液に0℃で、TSTU(1107mg、3.68mmol、1.2当量)と、次にTEA(0.512mL、3.68mmol、1.2当量)を加えた。反応液を昇温させて室温とし、その温度で2時間撹拌した。上記の混合物に、TEA(0.512mL、3.66mmol)と予め混合したL−000503048−001W001(1447mg、3.68mmol、1.2当量)を加えた。反応液を室温で18時間撹拌した.UPLCで、所望の生成物の生成が示された。DMFを減圧下に除去した。粗取得物をC18逆相クロマトグラフィー(16カラム体積で0%から30%ACN/水で溶離)によって精製した。所望の生成物を含む分画を合わせ、濃縮し、凍結乾燥して、標題化合物を無色シロップとして得た。UPLC方法B:m/e=367.2356[M+1];R
t=3.54分。
【0571】
段階C:6−(2−(ビス(2−[(α−L−フコピラノシル)オキシ)エチル)アミノ)アセトアミド)ヘキサン酸ベンジル
6−(2−(ビス(2−ヒドロキシエチル)アミノ)アセトアミド)ヘキサン酸ベンジル(210mg、0.573mmol、1.0当量)のDCM(10mL)中溶液に0℃で、TBAI(1820mg、4.93mmol、8.6当量)、DIPEA(0.500mL、2.87mmol、5.0当量)を加えた。その混合物を昇温させて室温とし、室温で30分間撹拌した。上記溶液に、DCM(10mL)中の1,2,3,4−テトラキス(オキシ)テトラキス(トリメチルシラン)L−フコース(1557mg、3.44mmol、6.0当量)とヨードトリメチルシラン(0.390mL、2.87mmol、5.0当量)を滴下した。混合物を室温で18時間撹拌した。UPLCで、所望の生成物の生成が示された。DCMを除去し、MeOH(10mL)およびDowex H+樹脂をpH約2となるまで加えた。室温で1時間撹拌した。セライト層で濾過した。濾液を濃縮し、C18逆相クロマトグラフィー(16カラム体積で0%から30%ACN/水で溶離)によって精製した。所望の生成物を含む分画を合わせ、濃縮し、凍結乾燥して、標題化合物を無色シロップとして得た(40mg、0.061mmol、10.6%)。UPLC方法B:m/e=659.3745[M+1];R
t=3.36分。
【0572】
段階D:6−(2−(ビス(2−[(α−L−フコピラノシル)オキシ)エチル)アミノ)アセトアミド)ヘキサン酸
6−(2−(ビス(2−[(α−L−フコピラノシル)オキシ)エチル)アミノ)アセトアミド)ヘキサン酸ベンジル(40mg、0.061mmol)の水(5mL)中溶液に、Pd/C(30.5mg、0.029mmol)を加えた。反応液をH
2風船下に18時間撹拌した。UPLCにより、所望の生成物の生成が示された。上記溶液をMeOH(5mL)で希釈し、セライト層で濾過し、濃縮し、凍結乾燥して、標題化合物を無色シロップとして得た(20mg、6.1%)。UPLC方法B:m/e=569.3191[M+1];R
t=1.93分。
【0573】
段階E:6−(2−(ビス(−[(α−L−フコピラノシル)オキシ)エチル)アミノ)アセトアミド)ヘキサン酸2,5−ジオキソピロリジン−1−イル
6−(2−(ビス(2−[(α−L−フコピラノシル)オキシ)エチル)アミノ)アセトアミド)ヘキサン酸(20mg、0.037mmol、1.0当量)のDMF(1mL)中溶液に、TSTU(16.68mg、0.055mmol、1.5当量)、次にヒューニッヒ塩基(7.74μL、0.044mmol、1.2当量)を加えた。反応液を室温で1時間撹拌した。TLC(4/1/1/1EtOAc/MeOH/ACN/水)により、原料が全く残っていないことが示された。UPLCにより、生成物の生成が示された。DMFを減圧下に除去した。粗生成物を精製せずに用いた。UPLC方法B:m/e=666.3351[M+1];R
t=2.28分。
【0574】
実施例70
下記構造を有するオリゴ糖リンカー6−(2−(ビス(−[(α−L−フコピラノシル)オキシ)プロピル)アミノ)アセトアミド)ヘキサン酸2,5−ジオキソピロリジン−1−イル(ML−70)の合成について説明する。
【化120】
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【0575】
段階A:6−(ビス(3−ヒドロキシプロピル)アミノ)−6−オキソヘキサン酸ベンジル
3,3′−アザネジイルビス(プロパン−1−オール)(1000mg、7.51mmol、1.0当量)のDMF(10mL)中溶液に、(2,5−ジオキソピロリジン−1−イル)アジピン酸ベンジル(2503mg、7.51mmol、1.0当量)と、次にTEA(1.046mL、7.51mmol、1.0当量)を加えた。反応液を25℃で18時間撹拌した。UPLCにより、所望の生成物の生成が示された。DMFを減圧下に除去した。粗取得物をC18逆相クロマトグラフィー(16カラム体積で0%から40%ACN/水で溶離)によって精製した。所望の生成物を含む分画を合わせ、濃縮して、標題化合物を無色油状物として得た(1.55g、4.41mmol、58.7%)。UPLC方法B:m/e=352.2171[M+1];R
t=3.47分。
1H NMR(CDCl
3、500MHz)δ7.3−7.5(m、5H)、5.15(m、2H)、3.65(m、2H)、3.40(m、5H)、2.66(s、3H)、2.45(m、3H)、2.29(s、1H)、1.84(s、1H)、1.70(m、7H)。
【0576】
段階B:6−(2−(ビス(2−[(α−L−フコピラノシル)オキシ)プロピル)アミノ)アセトアミド)ヘキサン酸ベンジル
段階Cで6−(2−(ビス(2−ヒドロキシエチル)アミノ)アセトアミド)ヘキサン酸ベンジルに代えて6−(ビス(3−ヒドロキシプロピル)アミノ)−6−オキソヘキサン酸ベンジルを用い、ML−YZ−1について記載の手順と同様の手順を用いて、標題化合物を製造した。UPLC方法B:m/e=644.3454[M+1];R
t=3.28分。
【0577】
段階C:6−(2−(ビス(2−[(α−L−フコピラノシル)オキシ)プロピル)アミノ)アセトアミド)ヘキサン酸
段階Dで6−(2−(ビス(2−[(α−L−フコピラノシル)オキシ)エチル)アミノ)アセトアミド)ヘキサン酸ベンジルに代えて6−(2−(ビス(2−[(α−L−フコピラノシル)オキシ)プロピル)アミノ)アセトアミド)ヘキサン酸ベンジルを用い、ML−YZ−1について記載の手順と同様の手順を用いて、標題化合物を製造した。UPLC方法B:m/e=554.3076[M+1];R
t=2.13分。
【0578】
段階E:6−(2−(ビス(−[(α−L−フコピラノシル)オキシ)プロピル)アミノ)アセトアミド)ヘキサン酸2,5−ジオキソピロリジン−1−イル
段階Eで6−(2−(ビス(2−[(α−L−フコピラノシル)オキシ)エチル)アミノ)アセトアミド)ヘキサン酸に代えて6−(2−(ビス(2−[(α−L−フコピラノシル)オキシ)プロピル)アミノ)アセトアミド)ヘキサン酸を用い、ML−YZ−1について記載の手順と同様の手順を用いて、標題化合物を製造した。UPLC方法B:m/e=651.3166[M+1];R
t=2.41分。
【0579】
実施例71
下記構造を有するオリゴ糖リンカー6−(2−(ビス(2−[(α−L−フコピラノシル)オキシ)ブチル)アミノ)アセトアミド)ヘキサン酸ベンジル(ML−71)の合成について説明する。
【化121】
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【0580】
段階A:4−(ベンジルオキシ)−N−(4−(ベンジルオキシ)ブチル)ブタンアミド
4−(ベンジルオキシ)ブタン酸(1g、5.15mmol、1.0当量)のDMF(5mL)中溶液に0℃で、TSTU(1.627g、5.41mmol、1.05当量)と、次にTEA(0.718mL、5.15mmol、1.0当量)を加えた。反応液を昇温させて室温とし、室温で2時間撹拌した。上記反応液に、4−(ベンジルオキシ)ブタン−1−アミン(0.969g、5.41mmol、1.05当量)と、次にTEA(0.718mL、5.15mmol、1.0当量)を加えた。反応液を室温で18時間撹拌した。LC−MSによって、所望の生成物の生成が示された。DMFを減圧下に除去した。粗取得物をシリカゲルカラム(120g、16カラム体積で0%から15%MeOH/DCMで溶離)によって精製した。所望の生成物を含む分画を合わせ、濃縮して、標題化合物を得た(1.65g、4.64mmol、収率90%)。LC−MS方法A:m/e=356.70[M+1];R
t=1.22分。
1H NMR(CDCl
3、500MHz)δ7.2−7.4(m、10H)、5.98(s、1H)、4.51(m、4H)、3.53(m、4H)、3.24(m、2H)、2.28(m、2H)、1.96(m、2H)、1.5−1.7(m、4H)。
【0581】
段階B:ビス(4−(ベンジルオキシ)ブチル)アミン
200mL丸底フラスコ中、4−(ベンジルオキシ)−N−(4−(ベンジルオキシ)ブチル)ブタンアミド(1.65g、4.64mmol)のTHF(5mL)中溶液に0℃で、BH
3・THF(13.93mL、13.93mmol)を滴下した。反応液を昇温させて室温とし、室温で18時間撹拌した。TLCにより生成物の生成および原料の消失が示された。飽和NH
4Cl水溶液で反応停止した。混合物を濃縮し、EtOAcで希釈し、1N HClとともに振盪し、重炭酸塩、ブラインおよび水で洗浄した。有機層をMgSO
4で脱水し、濾過し、濃縮した。粗取得物を、精製せずに次の段階で用いた。LC−MS方法A:m/e=341.00[M+1];R
t=1.06分。
【0582】
段階C:4,4′−アザネジイルビス(ブタン−1−オール)
ビス(4−(ベンジルオキシ)ブチル)アミン(300mg、0.879mmol)のジオキサン(5mL)/水(5mL)の混合溶媒中溶液に、PdOH
2(30.8mg、0.044mmol)を加えた。反応液を約0.28MPa(40psi)のH
2下に18時間撹拌した。LC−MSにより、原料がないことおよび所望の生成物の生成が示された。混合物をセライト層で濾過し、ジオキサン/水(10mL、1/1)で洗浄した。濾液を濃縮し、高真空ポンプで脱水して、標題化合物を得た(130mg、0.806mmol、収率92%)。LC−MS方法A:m/e=162.01[M+1];R
t=0.18分。
【0583】
段階D:6−(2−(ビス(2−[(α−L−フコピラノシル)オキシ)ブチル)アミノ)アセトアミド)ヘキサン酸ベンジル
段階Cで6−(2−(ビス(2−ヒドロキシエチル)アミノ)アセトアミド)ヘキサン酸ベンジルに代えて6−(ビス(3−ヒドロキシブチル)アミノ)−6−オキソヘキサン酸ベンジルを用い、ML−69について記載の手順と同様の手順を用いて、標題化合物を製造した。UPLC方法B:m/e=644.3454[M+1];R
t=3.28分。
【0584】
段階E:6−(2−(ビス(2−[(α−L−フコピラノシル)オキシ)プロピル)アミノ)アセトアミド)ヘキサン酸
段階Dで6−(2−(ビス(2−[(α−L−フコピラノシル)オキシ)エチル)アミノ)アセトアミド)ヘキサン酸ベンジルに代えて6−(2−(ビス(2−[(α−L−フコピラノシル)オキシ)ブチル)アミノ)アセトアミド)ヘキサン酸ベンジルを用い、ML−69について記載の手順と同様の手順を用いて、標題化合物を製造した。UPLC方法B:m/e=554.3076[M+1];R
t=2.13分。
【0585】
段階F:6−(2−(ビス(−[(α−L−フコピラノシル)オキシ)ブチル)アミノ)アセトアミド)ヘキサン酸2,5−ジオキソピロリジン−1−イル
段階Eで6−(2−(ビス(2−Rα−L−フコピラノシル)オキシ)エチル)アミノ)アセトアミド)ヘキサン酸に代えて6−(2−(ビス(2−Rα−L−フコピラノシル)オキシ)ブチル)アミノ)アセトアミド)ヘキサン酸を用い、ML−69について記載の手順と同様の手順を用いて、標題化合物を製造した。UPLC方法B:m/e=651.3166[M+1];R
t=2.41分。
【0586】
段階G:6−(2−(ビス(2−[(α−L−フコピラノシル)オキシ)ブチル)アミノ)アセトアミド)ヘキサン酸ベンジル
段階Cで6−(2−(ビス(2−ヒドロキシエチル)アミノ)アセトアミド)ヘキサン酸ベンジルに代えて6−(ビス(3−ヒドロキシブチル)アミノ)−6−オキソヘキサン酸ベンジルを用い、ML−69について記載の手順と同様の手順を用いて、標題化合物を製造した。UPLC方法B:m/e=644.3454[M+1];R
t=3.28分。
【0587】
実施例72
下記構造を有するオリゴ糖リンカー6−(2,3−ビス−2[2−(α−L−フコピラノシル)オキシエチル)カルバモイル)シクロプロパンカルボキシリック)アミノ)アセトアミド))ヘキサン酸2,5−ジオキソピロリジン−1−イル(ML−72)の合成について説明する。
【化122】
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【0588】
段階A:2,3−ビス−2[2−(α−L−フコピラノシル)オキシエチル)カルバモイル)シクロプロパンカルボン酸
L−000719504−000×003(353mg、2.027mmol)のDMF(10mL)中溶液に、EDC(816mg、4.26mmol)およびHOBT(93mg、0.608mmol)を加えた。混合物を25℃で30分間撹拌した。上記混合物に、AEF(882mg、4.26mmol)を加えた。混合物を25℃で18時間撹拌した。UPLCにより、所望の生成物の生成が示された。DMFを減圧下に除去した。粗取得物をC18逆相クロマトグラフィー(37分で0%から30%ACN/水(0.05%TFA含有)で溶離)によって精製した。所望の生成物を含む分画を合わせ、凍結乾燥して、標題化合物(80mg、0.145mmol、収率7.14%)を得た。UPLC方法B:m/e=553.2539[M+1];R
t=2.63分。
【0589】
段階B:6−(2,3−ビス−2[2−(α−L−フコピラノシル)オキシエチル)カルバモイル)シクロプロパンカルボキシリック)アミノ)アセトアミド)ヘキサン酸ベンジル
段階Bで2−(ビス(2−ヒドロキシエチル)アミノ)酢酸に代えて2,3−ビス−2[2−(α−L−フコピラノシル)オキシエチル)カルバモイル)シクロプロパンカルボン酸を用い、ML−69について記載の手順と同様の手順を用いて、標題化合物を製造した。UPLC方法B:m/e=756.3689[M+1];R
t=3.15分。
【0590】
段階C:6−(2,3−ビス−2[2−(α−L−フコピラノシル)オキシエチル)カルバモイル)シクロプロパンカルボキシリック)アミノ)アセトアミド)ヘキサン酸
段階Dで6−(2−(ビス(2−[(α−L−フコピラノシル)オキシ)エチル)アミノ)アセトアミド)ヘキサン酸ベンジルに代えて6−(2−(ビス(2−Rα−L−フコピラノシル)オキシ)エチル)アミノ)アセトアミド)ヘキサン酸ベンジルを用い、ML−69について記載の手順と同様の手順を用いて、標題化合物を製造した。UPLC方法B:m/e=666.3151[M+1];R
t=1.23分。
【0591】
段階D:6−(2,3−ビス−2[2−(α−L−フコピラノシル)オキシエチル)カルバモイル)シクロプロパンカルボキシリック)アミノ)アセトアミド))ヘキサン酸2,5−ジオキソピロリジン−1−イル
段階Eで6−(2−(ビス(2−[(α−L−フコピラノシル)オキシ)エチル)アミノ)アセトアミド)ヘキサン酸に代えて6−(2,3−ビス−2[2−(α−L−フコピラノシル)オキシエチル)カルバモイル)シクロプロパンカルボキシリック)アミノ)アセトアミド)ヘキサン酸を用い、ML−69について記載の手順と同様の手順を用いて、標題化合物を製造した。UPLC方法B:m/e=763.3411[M+1];R
t=1.99分。
【0592】
実施例73
下記構造を有するオリゴ糖リンカー6−オキソ−(6−((3−α−D−マンノピラノシル)プロピル−α−L−フコピラノシル)エチル]アミノ)ヘキサン酸2,5−ジオキソピロリジン−1−イル(ML−73)の合成について説明する。
【化123】
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【0593】
段階A:per−TMSD−マンノース
段階AでL−フコースに代えてD−マンノースを用い、ML−69について記載の手順と同様の手順を用いて標題化合物を製造した。
1H NMR(CDCl
3、500MHz)δ4.9(s、1H)、3.5−3.9(m、6H)、0−0.3(m、45H)。
【0594】
段階B:2,3,4,6−テトラ−O−トリメチルシランD−マンノピラノシル
per−TMSD−マンノース(5.4g、9.98mmol)のDCM(25mL)中溶液に0℃で、ヨードトリメチルシラン(1.426mL、10.48mmol)を加えた。反応液を昇温させて室温とし、室温で1時間撹拌した。減圧によってDCMを除去した。その中間体を、精製せずに次の段階で用いた。
【0595】
段階C:3−ヨードプロポキシルα−D−マンノピラノジドおよび3−ヨードプロポキシルβ−D−マンノピラノジド
2,3,4,6−テトラキス(トリメチルシラン)D−マンノピラノシル(2.89g、4.99mmol)のDCM(10mL)中溶液に0℃で、オキセタン(0.488mL、7.49mmol)を加えた。反応液を昇温させて室温とし、室温で5時間撹拌した。DCMをロータリーエバポレータによって除去した。混合物をMeOH(10mL)に溶かした。上記溶液に、pH約2までDowex H+樹脂を加えた。混合物を室温で1時間撹拌した。LC−MSにより、所望の生成物の生成が示された。混合物をセライト層で濾過し、濃縮し、C8逆相クロマトグラフィー(25分で5%から25%ACN/水(0.05%TFA含有)で溶離)によって精製した。所望の生成物を含む分画を回収し、凍結乾燥して、3−ヨードプロポキシルα−D−マンノピラノシド(710mg、2.04mmol、40.8%)および3−ヨードプロポキシルβ−D−マンノピラノシド(420mg、1.21mmol、24.2%)を得た。LC−MS方法A:m/e=696.96[M+1];R
t=0.46分およびR
t=0.53分。
1H NMR(CD
3OD、500MHz)3−ヨードプロポキシルβ−D−マンノピラノシド:δ4.54(d、J=0.95Hz、1H)、3.95(m、1H)、3.88−3.92(m、2H)、3.75(m、1H)、3.65(m、1H)、3.50(m、1H)、3.45(m、1H)、3.3−3.4(m、2H)、3.23(m、1H)、2.1(m、2H)。
1H NMR(CD
3OD、500MHz)3−ヨードプロポキシルα−D−マンノピラノシド:δ4.81(m、1H)、3.8−3.9(m、3H)、3.6−3.8(m、3H)、3.5−3.6(m、2H)、3.3−3.4(m、2H)、2.1(m、2H)。
【0596】
段階D:α−L−フコピラノシル)エチル]アミノ}プロピルα−D−マンノピラノジド
3−ヨードプロポキシルα−D−マンノピラノシド(220mg、0.632mmol)のDMF(5mL)中溶液に、AEF(131mg、0.632mmol)およびLiOH(15.13mg、0.632mmol)を加えた。混合物を室温で24時間撹拌した。UPLCで生成物の生成が示された。DMFを減圧下に除去した。粗取得物を精製せずに次の段階で用いた。UPLC方法B:m/e=428.2252[M+1];R
t=1.02分。
【0597】
段階E:6−オキソ−(6−((3−α−D−マンノピラノシル)プロピル−α−L−フコピラノシル)エチル]アミノ)ヘキサン酸ベンジル
段階Aでα−L−フコピラノシル)エチル]アミノ}プロピルα−D−マンノピラノジドに代えてα−L−フコピラノシル)エチル]アミノ}プロピルα−D−マンノピラノジドを用い、ML−69について記載の手順と同様の手順を用いて、標題化合物を製造した。UPLC方法B:m/e=646.3233[M+1];R
t=3.13分。
【0598】
段階F:6−オキソ−(6−((3−α−D−マンノピラノシル)プロピル−α−L−フコピラノシル)エチル]アミノ)ヘキサン酸
段階Dで6−(2−(ビス(2−Rα−L−フコピラノシル)オキシ)エチル)アミノ)アセトアミド)ヘキサン酸ベンジルに代えて6−オキソ−(6−((3−α−D−マンノピラノシル)プロピル−α−L−フコピラノシル)エチル]アミノ)ヘキサン酸ベンジルを用い、ML−69について記載の手順と同様の手順を用いて、標題化合物を製造した。UPLC方法B:m/e=556.2731[M+1];R
t=1.77分。
【0599】
段階G:6−オキソ−(6−((3−α−D−マンノピラノシル)プロピル−α−L−フコピラノシル)エチル]アミノ)ヘキサン酸2,5−ジオキソピロリジン−1−イル
段階Eで6−(2−(ビス(2−Rα−L−フコピラノシル)オキシ)エチル)アミノ)アセトアミド)ヘキサン酸に代えて6−オキソ−(6−((3−α−D−マンノピラノシル)プロピル−α−L−フコピラノシル)エチル]アミノ)ヘキサン酸を用い、ML−69について記載の手順と同様の手順を用いて、標題化合物を製造した。UPLC方法B:m/e=653.3008[M+1];R
t=2.09分。
【0600】
実施例74
下記構造を有するオリゴ糖リンカー6−オキソ−(6−((3−β−D−マンノピラノシル)プロピル−α−L−フコピラノシル)エチル]アミノ)ヘキサン酸2,5−ジオキソピロリジン−1−イル(ML−74)の合成について説明する。
【化124】
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【0601】
段階AからFでα−D−マンノースに代えてβ−D−マンノピラノースを用い、ML−73について記載の手順と同様の手順を用いて、標題化合物を製造した。UPLC方法B:m/e=653.3167[M+1];R
t=2.07分。
【0602】
実施例75
下記構造を有するオリゴ糖リンカー2,5−ジオキソピロリジン−1−イル8−オキソ−(6−((3−β−D−マンノピラノシル)プロピル−α−L−フコピラノシル)エチル]アミノ)オクタンジエート(ML−75)の合成について説明する。
【化125】
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【0603】
段階AからFでα−D−マンノースに代えてβ−D−マンノピラノースを用い、(2,5−ジオキソピロリジン−1−イル)アジピン酸ベンジルに代えてベンジル8−(2,5−ジオキソピロリジン−1−イル)オクタンジエートを用い、ML−73について記載の手順と同様の手順を用いて、標題化合物を製造した。UPLC方法B:m/e=681.3568[M+1];R
t=2.44分。
【0604】
実施例76
下記構造を有するオリゴ糖リンカー2,5−ジオキソピロリジン−1−イル8−オキソ−(6−((3−α−D−マンノピラノシル)プロピル−α−L−フコピラノシル)エチル]アミノ)オクタンジエート(ML−76)の合成について説明する。
【化126】
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【0605】
(2,5−ジオキソピロリジン−1−イル)アジピン酸ベンジルに代えてベンジル8−(2,5−ジオキソピロリジン−1−イル)オクタンジエートを用い、ML−73について記載の手順と同様の手順を用いて、標題化合物を製造した。UPLC方法B:m/e=681.3456[M+1];R
t=2.21分。
【0606】
実施例77
下記構造を有するオリゴ糖リンカー2,5−ジオキソピロリジン−1−イル9−オキソ−(6−((3−α−D−マンノピラノシル)プロピル−α−L−フコピラノシル)エチル]アミノ)ノナンジオエート(ML−77)の合成について説明する。
【化127】
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【0607】
(2,5−ジオキソピロリジン−1−イル)アジピン酸ベンジルに代えてベンジル9−(2,5−ジオキソピロリジン−1−イル)ノナンジオエートを用い、ML−73について記載の手順と同様の手順を用いて、標題化合物を製造した。UPLC方法B:m/e=695.3532[M+1];R
t=2.55分。
【0608】
実施例78
下記構造を有するオリゴ糖リンカー2,5−ジオキソピロリジン−1−イル10−オキソ−(6−((3−α−D−マンノピラノシル)プロピル−α−L−フコピラノシル)エチル]アミノ)デカンジオエート(ML−78)の合成について説明する。
【化128】
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【0609】
(2,5−ジオキソピロリジン−1−イル)アジピン酸ベンジルに代えてベンジル10−(2,5−ジオキソピロリジン−1−イル)デカンジオエートを用い、ML−73について記載の手順と同様の手順を用いて、標題化合物を製造した。UPLC方法B:m/e=709.3766[M+1];R
t=2.79分。
【0610】
実施例79
下記構造を有するオリゴ糖リンカー6−[(2,5−ジオキソピロリジン−1−イル)オキシ]−N−(2−{[α−D−マンノピラノシル−(1→3)−[α−D−マンノピラノシル−(1→6)]−β−D−マンノピラノシル]オキシ}プロピル)−6−オキソヘキサンアミド(ML−79)の合成について説明する。
【化129】
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【0611】
段階A:3−アジドプロポキシルβ−D−マンノピラノシド
3−ヨードプロポキシルβ−D−マンノピラノシド(2.0g、5.74mmol)のDMF(10mL)中溶液に、アジ化ナトリウム(448mg、0.448mmol)を加えた。反応液を昇温させて60℃とし、この温度でN
2下に12時間撹拌した。LC−MSにより、所望の生成物の生成が示された。DMFを減圧下に除去した。粗生成物をC18逆相クロマトグラフィー(16カラム体積で0%から20%ACN/水、次に2カラム体積で100%ACN、0%ACNで2カラム体積で溶離)によって精製した。所望の生成物を含む分画を合わせ、凍結乾燥して、標題化合物を得た(1.27g、4.82mmol、収率84%)。LC−MS方法A:m/e=264.16[M+1];R
t=0.21.
1H NMR(CD
3OD、500MHz):δ4.53(m、1H)、4.02(m、1H)、3.97(m、2H)、3.65(m、2H)、3.56(m、1H)、3.48(m、3H)、3.22(m、1H)、1.92(m、2H)。
【0612】
段階B:2.4−ベンゾイル3−アジドプロポキシルβ−D−マンノピラノシド
3−アジドプロポキシルβ−D−マンノピラノシド(1030mg、3.91mmol)のアセトニトリル(15mL)中溶液に、オルト安息香酸トリエチル(2.352mL、10.17mmol)と、次にTFA(0.030mL、0.391mmol)およびACN(0.5mL)を加えた。混合物を室温で1時間撹拌した。ロータリーエバポレータによってACNを除去した。TFA(10%水溶液)(4.28mL、5.55mmol)を加えた。混合物を室温で2時間撹拌した。残留物をエーテル/CH
2Cl
2で溶離を行うシリカゲルでのカラムクロマトグラフィーによって精製して、上記の生成物を白色固体として得た。
1H NMR(CDCl
3、500MHz):δ7.0−8.2(m、10H)、5.72(dd、1H、J=3.4Hz、J=1.1Hz)、5.44(t、1H、J=9.6Hz)、4.79(d、1H、J=1.1Hz)、4.16(dd、1H、J=3.4Hz、J=1.1Hz)、4.00(m、1H)、3.88(m、1H)、3.82(m、1H)、3.66(m、2H)、3.31(m、2H)、1.82(m、2H)。
【0613】
段階C:2−アジドプロポキシル2,4−ジ−O−ベンゾイル−3,6−O−(2,3,4,6−テトラ−O−ベンゾイル−α−D−マンノピラノシル)−β−D−マンノピラノシド
段階Bで2−アジドエチル2,4−ビス−O−ベンゾイル−6−O−トリチル−α−D−マンノピラノシドに代えて2.4−ベンゾイル3−アジドプロポキシルβ−D−マンノピラノシドを用い、ML−2について記載の手順と同様の手順を用いて、標題化合物を製造した。
1H NMR(CDCl
3、500MHz):δ7.0−8.3(m、50H)、6.2(m、2H)、5.95(m、2H)、5.85(m、2H)、5.70(m、1H)、5.35(m、2H)、5.22(s、1H)、3.0−5.0(m、15H)、1.90(m、2H)。
【0614】
段階D:6−[(2,5−ジオキソピロリジン−1−イル)オキシ]−N−(2−{[α−D−マンノピラノシル−(1→3)−[α−D−マンノピラノシル−(1→6)]−β−D−マンノピラノシル]オキシ}プロピル)−6−オキソヘキサンアミド
段階DからFでML−2について記載の手順と同様の手順を用いて、標題化合物を製造した。UPLC方法B:m/e=787.3816[M+1];R
t=3.39分。
【0615】
実施例80
A1保護インシュリンの合成について説明する。
【0616】
適切な大きさの容器中、インシュリンを、塩基、例えばTEAの存在下に室温で有機溶媒、例えばDMSOに懸濁させる。混合物を、インシュリンが完全に溶解するまでやさしく撹拌する。得られた溶液に、保護試薬、例えば、トリフルオロ酢酸エチルまたは9−フルオレニルメチルペンタフルオロフェニルカーボネートを無希釈でまたはDMSOもしくはDMFなどの有機溶媒の溶液中で加える。UPLCクロマトグラムで反応混合物のかなり部分がA1−保護インシュリンに変換されていることが示された後、反応混合物について、直接、逆相HPLC精製(Waters C4 250×50mmカラム、10μm、1000ÅカラムまたはKromasil C8 250×50mm、10μm、100Åカラム;緩衝液A:0.05%から0.1%TFA/脱イオン水;緩衝液B:0.05%から0.1%TFA/AcCN)を行うことができるか、0℃で冷酸性H
2O(20×、pH約3.0)によって注意深く希釈することで反応停止することができ、それのpHを、1N HCl(必要に応じて0.1N NaOH)を用いて最終pH2.5に調節する。溶液を最初に、接線流濾過(TFF)システムによる、または1K、3Kもしくは10K MWCO膜を用いるAmicorn Ultra−15遠心ユニットを用いる限外濾過によって濃縮することができる。次に、濃縮した溶液について、逆相HPLC精製(Waters C4 250×50mmカラム、10μm、1000ÅカラムまたはKromasil C8 250×50mm、10μm、100Åカラム;緩衝液A:0.05%から0.1%TFA/脱イオン水;緩衝液B:0.05%から0.1%TFA/AcCN)を行う。標題複合体を含む分画を合わせ、凍結乾燥し、またはTFFシステムおよび/またはAmicorn Ultra−15を用いて緩衝液交換を行って、NA1保護インシュリンを得る。
【0617】
実施例81
N
A1−トリフルオロアセチルインシュリンの合成について説明する。
【0618】
100丸底フラスコにインシュリン(300mg、0.052mmol)を入れ、それにDMSO 8mL、次にTEA(43.4mg、0.429mmol)を加える。混合物を、透明溶液が得られるまで室温で約30分間やさしく撹拌する。得られた溶液に、トリフルオロ酢酸エチル(35.2mg、0.248mmol)を加える。室温で4時間撹拌後、混合物をH
2O(100mL、pH=3.00)で注意深く希釈する。10MWCO Amicon Ultra−15遠心管を用いて、それの容量を20mLに減らした後、得られた溶液をHPLC(Kromasil(登録商標) C8 10μm、100Å、50×250mmカラム、210nm、流量:85mL/分、0.05%TFAのAcCN/H
2O中溶液、26%AcCNから37%AcCNのH
2O中溶液、20分の勾配)によって精製する。所望の分画を合わせ、凍結乾燥して、N
A1−トリフルオロアセチルインシュリンを得る。UPLC方法A:m/e=1476.55[(M+4)/4];R
t=3.62分。
【0619】
実施例82
本実施例は、IOC−143の合成を示すものである。
【0620】
N
A1−トリフルオロアセチルヒトインシュリン(77.7mg、0.013mmol)のDMSO(1.2mL)中溶液に室温で、TEA(18μL、0.132mmol)およびML−11(30.2mg、0.039mmol)のDMSO(300μL)中溶液を加えた。室温で4時間撹拌後、混合物をAcCN(40mL)に加えた。沈澱を遠心によって回収した。回収した固体を水(5mL、pH=3.00)に溶かし、混合物を冷却して0℃とし、それにNH
4OH溶液(5mL、28%水溶液)を加えた。混合物を0℃で2時間撹拌し、水(20mL、pH=3.00)で希釈した。得られた溶液の体積を、10K MWCO Amicon Ultra−15遠心フィルターユニットを用いて5mLに減らし、水(100mL、pH=3.00)でさらにダイアフィルトレーションして、最終体積約7.5mLとし、それをHPLCによって精製してIOC−143を得た。UPLC方法A:R
t=3.58分;m/e=1801.906。
【0621】
実施例83
N
A1−[(9H−フルオレン−9−イルメトキシ)カルボニル]ヒトインシュリン(N
1−Fmocインシュリン)の合成について説明する。
【0622】
20mLシンチレーションバイアル中、インシュリン(1.5g、0.258mmol)をDMSO(6mL)に溶かした。そのインシュリン溶液に、DMSO(1mL)中の9−フルオレニルメチルペンタフルオロフェニルカーボネート(0.105g、0.258mmol)を加えた。混合物を15分間撹拌した。
【0623】
生成物を、C−4逆相カラムでのGilson HPLCクロマトグラフィーによって精製した。所望の分画(最初に溶出するモノマー)を回収し、凍結乾燥して、所望のNαA1−Fmocインシュリン生成物を得た。UPLC MS(C4、5分):1508.37(M+4/4)(4.47分)。
【0624】
実施例84
A1、B29保護インシュリンまたはA1,B28保護インシュリンリスプロの合成について説明する。
【0625】
適切な大きさの容器中、インシュリンを室温で、塩基、例えばTEA存在下に有機溶媒または混合水/有機溶媒、例えばDMSOに懸濁させる。インシュリンが完全に溶解するまで、混合物をやさしく撹拌する。得られた溶液に、無希釈またはDMSOもしくはDMFなどの有機溶媒の溶液で、保護試薬、例えば、トリフルオロ酢酸エチルまたは9−フルオレニルメチルペンタフルオロフェニルカーボネートを加える。UPLCクロマトグラムが、反応混合物のかなりの部分がA1,B29−保護インシュリン(A1,B28−保護インシュリンリスプロ)に変換されていることを示した後、反応混合物について、直接、逆相HPLC精製(Waters C4250×50mmカラム、10μm、1000ÅカラムまたはKromasil C8250×50mm、10μm、100Åカラム;緩衝液A:0.05%から0.1%TFA/脱イオン水;緩衝液B:0.05%から0.1%TFA/AcCN)を行うことができるか、0℃で冷酸性H
2O(20×、pH約3.0)によって注意深く希釈することで反応停止することができ、それのpHを、1N HCl(および必要に応じて0.1N NaOH)を用いて最終pH2.5に調節する。溶液を最初に、接線流濾過(TFF)システムによる、または1K、3Kもしくは10K MWCO膜を用いるAmicon Ultra−15遠心ユニットを用いる限外濾過によって濃縮することができる。次に、濃縮した溶液について、逆相HPLC精製(Waters C4 250×50mmカラム、10μm、1000ÅカラムまたはKromasil C8 250×50mm、10μm、100Åカラム;緩衝液A:0.05%から0.1%TFA/脱イオン水;緩衝液B:0.05%から0.1%TFA/AcCN)を行う。標題複合体を含む分画を合わせ、凍結乾燥し、またはTFFシステムおよび/またはAmicon Ultra−15を用いて緩衝液交換を行って、標題生成物を得る。
【0626】
実施例85
N
A1,N
εB29−ビス(トリフルオロアセチル)ヒトインシュリンの合成について説明する。
【0627】
100丸底フラスコに、ヒトインシュリン(300mg、0.052mmol)を入れ、それにAcCN(6.0mL)、水(6.0mL)、およびDIPEA(1.5mL、8.59mmol)を加えた。得られた混合物に0℃で、トリフルオロ酢酸エチル(0.9mL、7.54mmol)を加えた。0℃で2時間撹拌後、混合物をHPLC(Kromasil(登録商標) C8 10μm、100Å、50×250mmカラム、210nm、流量:85mL/分、0.05%TFAのAcCN/H
2O中溶液、27%AcCNから37%AcCNのH
2O中溶液、20分の勾配)によって精製した。所望の分画を合わせ、凍結乾燥して、N
A1,N
εB29−ビス(トリフルオロアセチル)ヒトインシュリンを得た。UPLC方法A:m/e=1500.677[(M+4)/4];R
t=3.87分。
【0628】
実施例86
N
A1,N
εB29−ビス[(9H−フルオレン−9−イルメトキシ)カルボニル]ヒトインシュリンの合成について説明する。
【0629】
20mLシンチレーションバイアル中、ヒトインシュリン(1.19g、0.205mmol)およびTEA(257μL、1.844mmol)をDMSO(10mL)に溶かした。このインシュリン溶液に、DMSO(2mL)中の1−{[(9H−フルオレン−9−イルメトキシ)カルボニル]オキシ}ピロリジン−2,5−ジオン(207mg、0.615mmol)を加えた。室温で30分間撹拌後、HCl(1.84mL、1.844mmol、1.0M)を加えることで反応停止した。得られた混合物を逆相HPLCクロマトグラフィーによって精製した。所望の分画を回収し、凍結乾燥して、N
A1,N
εB29−ビス[(9H−フルオレン−9−イルメトキシ)カルボニル]ヒトインシュリンを得た。UPLC方法A:m/e=1564.04[(M+4/4)];R
t=4.41分。
【0630】
実施例87
インシュリンのN
A1およびN
εB29での同じリンカー−オリゴ糖との複合体の合成
適切な大きさの容器中、インシュリンを室温で、塩基、例えばTEA存在下に有機溶媒、例えばDMSOに懸濁させる。インシュリンが完全に溶解するまで、混合物をやさしく撹拌する。別のバイアル中、活性化エステル中間体を室温で、有機溶媒、例えばDMSOに溶かす。UPLCクロマトグラムで未修飾インシュリンが全て反応して、反応混合物のかなりの部分がA1,B29−複合体化インシュリンに変換されるまで、活性化エステルの溶液の小分けしたものを、インシュリンを含有する溶液に一定期間をかけて加える。アミン求核剤、例えば2−アミノエタノールを加えることで反応停止する。反応溶液を室温で30分間撹拌する。得られた溶液を、0℃で冷H
2O(20倍)で注意深く希釈し、それのpHを1N HCl(および必要に応じて0.1N NaOH)を用いて最終pH2.5に調節する。溶液を最初に、接線流濾過(TFF)システムによる、または1K、3Kもしくは10K MWCO膜を用いるAmicon Ultra−15遠心ユニットを用いる限外濾過によって濃縮する。通常、最初に、濃縮した溶液について、イオン交換クロマトグラフィー(PolySULFOETHYL Aカラム、PolyLC Inc.、250×21mm、5m、1000Å;緩衝液A:0.1%(体積比)H
3PO
4/25%AcCN;緩衝液B:0.1%(体積比)H
3PO
4/25%AcCN/0.5M NaCl)を行う。所望の純度でA1,B29−複合体を含む分画を合わせ、TFFシステムまたはAmicon Ultra−15を用いて濃縮する。得られた溶液を、逆相HPLC(Waters C4 250×50mmカラム、10μm、1000ÅカラムまたはKromasil C8 250×50mm、10μm、100Åカラム;緩衝液A:0.05%から0.1%TFA/脱イオン水;緩衝液B:0.05%から0.1%TFA/AcCN)によってさらに精製する。標題複合体を含む分画を合わせ、凍結乾燥し、またはTFFシステムおよび/またはAmicon Ultra−15を用いて緩衝液交換を行って、標題生成物を得る。
【0631】
実施例88
インシュリンのN
A1でのリンカー−オリゴ糖との複合体の合成
適切な大きさの容器中、インシュリンを室温で、塩基、例えばTEA存在下に有機溶媒、例えばDMSOに懸濁させる。インシュリンが完全に溶解するまで、混合物をやさしく撹拌する。別のバイアル中、活性化エステル中間体を室温で、有機溶媒、例えばDMSOに溶かす。UPLCクロマトグラムで未修飾インシュリンのほとんどが反応して、反応混合物のかなりの部分がA1−複合体化インシュリンに変換されるまで、活性化エステルの溶液の小分けしたものを、インシュリンを含有する溶液に一定期間をかけて加える。アミン求核剤、例えば2−アミノエタノールを加えることで反応停止する。反応溶液を室温で30分間撹拌する。得られた溶液を、0℃で冷H
2O(20倍)で注意深く希釈し、それのpHを1N HCl(および必要に応じて0.1N NaOH)を用いて最終pH2.5に調節する。溶液を最初に、接線流濾過(TFF)システムによる、または1K、3Kもしくは10K MWCO膜を用いるAmicon Ultra−15遠心ユニットを用いる限外濾過によって濃縮する。通常、最初に、濃縮した溶液について、イオン交換クロマトグラフィー(PolySULFOETHYL Aカラム、PolyLC Inc.、250×21mm、5μm、1000Å;緩衝液A:0.1%(体積比)H
3PO
4/25%AcCN;緩衝液B:0.1%(体積比)H
3PO
4/25%AcCN/0.5M NaCl)を行う。所望の純度でA1−複合体を含む分画を合わせ、TFFシステムまたはAmicon Ultra−15を用いて濃縮する。得られた溶液を、逆相HPLC(Waters C4 250×50mmカラム、10μm、1000ÅカラムまたはKromasil C8 250×50mm、10μm、100Åカラム;緩衝液A:0.05%から0.1%TFA/脱イオン水;緩衝液B:0.05%から0.1%TFA/AcCN)によってさらに精製する。標題複合体を含む分画を合わせ、凍結乾燥し、またはTFFシステムおよび/またはAmicon Ultra−15を用いて緩衝液交換を行って、標題生成物を得る。
【0632】
実施例89
インシュリンのN
B1でのリンカー−オリゴ糖との複合体の合成
N
B1インシュリン複合体を、実施例50に従って製造することができる。またはそれは、基質として保護されたインシュリンを用いて製造することができる。
【0633】
適切な大きさの容器中、保護されたインシュリン、例えば、N
A1,N
εB29−ビス[(9H−フルオレン−9−イルメトキシ)カルボニル]−またはN
A1,N
εB29−ビス(トリフルオロアセチル)ヒトインシュリンを室温で、塩基、例えばTEA存在下に有機溶媒、例えばDMSOに懸濁させる。保護インシュリンが完全に溶解するまで、混合物をやさしく撹拌する。別のバイアル中、活性化エステル中間体を室温で、有機溶媒、例えばDMSOに溶かす。UPLCクロマトグラムで未修飾インシュリンが全て反応して、反応混合物のかなりの部分がB1−複合体化保護インシュリンに変換されるまで、活性化エステルの溶液の小分けしたものを、インシュリンを含有する溶液に一定期間をかけて加える。過剰量のアミン求核剤、例えば2−アミノエタノールまたはアンモニアを加えることで、低温で反応停止する。UPLCクロマトグラムで保護基が完全に除去されたことが示されるまで、反応溶液を低温で撹拌する。得られた溶液を、0℃で冷H
2O(20倍)で注意深く希釈し、それのpHを1N HCl(および必要に応じて0.1N NaOH)を用いて最終pH2.5に調節する。溶液を最初に、接線流濾過(TFF)システムによる、または1K、3Kもしくは10K MWCO膜を用いるAmicon Ultra−15遠心ユニットを用いる限外濾過によって濃縮する。通常、最初に、濃縮した溶液について、イオン交換クロマトグラフィー(PolySULFOETHYL Aカラム、PolyLC Inc.、250×21mm、5μm、1000Å;緩衝液A:0.1%(体積比)H
3PO
4/25%AcCN;緩衝液B:0.1%(体積比)H
3PO
4/25%AcCN/0.5M NaCl)を行う。所望の純度でB1−複合体を含む分画を合わせ、TFFシステムまたはAmicon Ultra−15を用いて濃縮する。得られた溶液を、逆相HPLC(Waters C4 250×50mmカラム、10μm、1000ÅカラムまたはKromasil C8 250×50mm、10μm、100Åカラム;緩衝液A:0.05%から0.1%TFA/脱イオン水;緩衝液B:0.05%から0.1%TFA/AcCN)によってさらに精製する。標題複合体を含む分画を合わせ、凍結乾燥し、またはTFFシステムおよび/またはAmicon Ultra−15を用いて緩衝液交換を行って、標題生成物を得る。
【0634】
実施例90
インシュリンのN
εB29でのリンカー−オリゴ糖との複合体の合成
適切な大きさの容器中、インシュリンを、やさしく撹拌しながら、室温で混合溶媒:2:3(体積比)0.1M Na
2CO
3:AcCNに溶かす。混合物が透明となった後、アルカリ溶液、例えば0.1N NaOHを用いて、pHを10.5から10.8の値に調節する。別のバイアル中、活性化エステル中間体を室温で、有機溶媒、例えばDMSOに溶かす。UPLCクロマトグラムで未修飾インシュリンのほとんどが反応して、反応混合物のかなりの部分がB29−複合体化インシュリンに変換されるまで、活性化エステルの溶液の小分けしたものを、インシュリンを含有する溶液に一定期間をかけて加える。アミン求核剤、例えば2−アミノエタノールを加えることで反応停止する。反応溶液を室温で30分間撹拌する。得られた溶液を、0℃で冷H
2O(20倍)で注意深く希釈し、それのpHを1N HCl(および必要に応じて0.1N NaOH)を用いて最終pH2.5に調節する。溶液を最初に、接線流濾過(TFF)システムによる、または1K、3Kもしくは10K MWCO膜を用いるAmicon Ultra−15遠心ユニットを用いる限外濾過によって濃縮する。通常、最初に、濃縮した溶液について、イオン交換クロマトグラフィー(PolySULFOETHYL Aカラム、PolyLC Inc.、250×21mm、5μm、1000Å;緩衝液A:0.1%(体積比)H
3PO
4/25%AcCN;緩衝液B:0.1%(体積比)H
3PO
4/25%AcCN/0.5M NaCl)を行う。所望の純度でB29−複合体を含む分画を合わせ、TFFシステムまたはAmicon Ultra−15を用いて濃縮する。得られた溶液を、逆相HPLC(Waters C4 250×50mmカラム、10μm、1000ÅカラムまたはKromasil C8 250×50mm、10μm、100Åカラム;緩衝液A:0.05%から0.1%TFA/水;緩衝液B:0.05%から0.1%TFA/AcCN)によってさらに精製する。標題複合体を含む分画を合わせ、凍結乾燥し、またはTFFシステムおよび/またはAmicon Ultra−15を用いて緩衝液交換を行って、標題生成物を得る。
【0635】
実施例91
インシュリンのN
B1およびN
εB29での同じリンカー−オリゴ糖との複合体の合成
適切な大きさの容器中、保護されたインシュリン、例えば、N
A1−(9H−フルオレン−9−イルメトキシ)カルボニル−またはN
A1−(トリフルオロアセチル)ヒトインシュリンを室温で、塩基、例えばTEA存在下に有機溶媒、例えばDMSOに懸濁させる。保護インシュリンが完全に溶解するまで、混合物をやさしく撹拌する。別のバイアル中、活性化エステル中間体を室温で、有機溶媒、例えばDMSOに溶かす。UPLCクロマトグラムで未修飾保護インシュリンが全て反応して、反応混合物のかなりの部分がB1,B29−複合体化保護インシュリンに変換されるまで、活性化エステルの溶液の小分けしたものを、インシュリンを含有する溶液に一定期間をかけて加える。過剰量のアミン求核剤、例えば2−アミノエタノールまたはアンモニアを加えることで低温で反応停止する。UPLCクロマトグラムで保護基が完全に除去されたことが示されるまで、反応溶液を低温で撹拌する。得られた溶液を、0℃で冷H
2O(20倍)で注意深く希釈し、それのpHを1N HCl(および必要に応じて0.1N NaOH)を用いて最終pH2.5に調節する。溶液を最初に、接線流濾過(TFF)システムによる、または1K、3Kもしくは10K MWCO膜を用いるAmicon Ultra−15遠心ユニットを用いる限外濾過によって濃縮する。通常、最初に、濃縮した溶液について、イオン交換クロマトグラフィー(PolySULFOETHYL Aカラム、PolyLC Inc.、250×21mm、5μm、1000Å;緩衝液A:0.1%(体積比)H
3PO
4/25%AcCN;緩衝液B:0.1%(体積比)H
3PO
4/25%AcCN/0.5M NaCl)を行う。所望の純度でB1,B29−複合体を含む分画を合わせ、TFFシステムまたはAmicon Ultra−15を用いて濃縮する。得られた溶液を、逆相HPLC(Waters C4 250×50mmカラム、10μm、1000ÅカラムまたはKromasil C8 250×50mm、10μm、100Åカラム;緩衝液A:0.05%から0.1%TFA/脱イオン水;緩衝液B:0.05%から0.1%TFA/AcCN)によってさらに精製する。標題複合体を含む分画を合わせ、凍結乾燥し、またはTFFシステムおよび/またはAmicon Ultra−15を用いて緩衝液交換を行って、標題生成物を得る。
【0636】
実施例92
インシュリンのN
A1、N
B1およびN
εB29での同じリンカー−オリゴ糖との複合体の合成
適切な大きさの容器中、インシュリンを室温で、塩基、例えばTEA存在下に有機溶媒、例えばDMSOに懸濁させる。インシュリンが完全に溶解するまで、混合物をやさしく撹拌する。別のバイアル中、活性化エステル中間体を室温で、有機溶媒、例えばDMSOに溶かす。UPLCクロマトグラムで未修飾インシュリンが全て反応して、反応混合物のかなりの部分がA1−、B1−およびB29−複合体化インシュリンに変換されるまで、活性化エステルの溶液の小分けしたものを、インシュリンを含有する溶液に一定期間をかけて加える。アミン求核剤、例えば2−アミノエタノールを加えることで反応停止する。反応溶液を室温で30分間撹拌する。得られた溶液を、0℃で冷H
2O(20倍)で注意深く希釈し、それのpHを1N HCl(および必要に応じて0.1N NaOH)を用いて最終pH2.5に調節する。溶液を最初に、接線流濾過(TFF)システムによる、または1K、3Kもしくは10K MWCO膜を用いるAmicon Ultra−15遠心ユニットを用いる限外濾過によって濃縮する。通常、最初に、濃縮した溶液について、イオン交換クロマトグラフィー(PolySULFOETHYL Aカラム、PolyLC Inc.、250×21mm、5μm、1000Å;緩衝液A:0.1%(体積比)H
3PO
4/25%AcCN;緩衝液B:0.1%(体積比)H
3PO
4/25%AcCN/0.5M NaCl)を行う。
【0637】
所望の純度でA1、B1、B29−複合体を含む分画を合わせ、TFFシステムまたはAmicon Ultra−15を用いて濃縮する。得られた溶液を、逆相HPLC(Waters C4 250×50mmカラム、10μm、1000ÅカラムまたはKromasil C8 250×50mm、10μm、100Åカラム;緩衝液A:0.05%から0.1%TFA/脱イオン水;緩衝液B:0.05%から0.1%TFA/AcCN)によってさらに精製する。標題複合体を含む分画を合わせ、凍結乾燥し、またはTFFシステムおよび/またはAmicon Ultra−15を用いて緩衝液交換を行って、標題生成物を得る。
【0638】
実施例93
インシュリンのN
A1およびN
εB29での異なるリンカー−オリゴ糖との複合体の合成
適切な大きさの容器中、N
εB29−複合体化インシュリンを室温で、塩基、例えばTEA存在下に有機溶媒、例えばDMSOに懸濁させる。インシュリンが完全に溶解するまで、混合物をやさしく撹拌する。別のバイアル中、活性化エステル中間体を室温で、有機溶媒、例えばDMSOに溶かす。UPLCクロマトグラムで未修飾インシュリンが全て反応して、反応混合物のかなりの部分がA1−、B29−複合体化インシュリンに変換されるまで、活性化エステルの溶液の小分けしたものを、インシュリンを含有する溶液に一定期間をかけて加える。アミン求核剤、例えば2−アミノエタノールを加えることで反応停止する。反応溶液を室温で30分間撹拌する。得られた溶液を、0℃で冷H
2O(20倍)で注意深く希釈し、それのpHを1N HCl(および必要に応じて0.1N NaOH)を用いて最終pH2.5に調節する。溶液を最初に、接線流濾過(TFF)システムによる、または1K、3Kもしくは10K MWCO膜を用いるAmicon Ultra−15遠心ユニットを用いる限外濾過によって濃縮する。最初に、濃縮した溶液について、イオン交換クロマトグラフィー(PolySULFOETHYL Aカラム、PolyLC Inc.、250×21mm、5μm、1000Å;緩衝液A:0.1%(体積比)H
3PO
4/25%AcCN;緩衝液B:0.1%(体積比)H
3PO
4/25%AcCN/0.5M NaCl)を行うことができる。所望の純度でA1,B29−複合体を含む分画を合わせ、TFFシステムまたはAmicon Ultra−15を用いて濃縮する。得られた溶液を、逆相HPLC(Waters C4 250×50mmカラム、10μm、1000ÅカラムまたはKromasil C8 250×50mm、10μm、100Åカラム;緩衝液A:0.05%から0.1%TFA/脱イオン水;緩衝液B:0.05%から0.1%TFA/AcCN)によってさらに精製する。標題複合体を含む分画を合わせ、凍結乾燥し、またはTFFシステムおよび/またはAmicon Ultra−15を用いて緩衝液交換を行って、標題生成物を得る。
【0639】
実施例94
インシュリンのN
B1およびN
εB29での同じリンカー−オリゴ糖との複合体の合成
適切な大きさの容器中、保護されたインシュリン、例えば、N
εB29−(9H−フルオレン−9−イルメトキシ)カルボニル−またはN
A1−(トリフルオロアセチル)ヒトインシュリンを室温で、塩基、例えばTEA存在下に有機溶媒、例えばDMSOに懸濁させる。保護インシュリンが完全に溶解するまで、混合物をやさしく撹拌する。別のバイアル中、活性化エステル中間体を室温で、有機溶媒、例えばDMSOに溶かす。UPLCクロマトグラムで未修飾保護インシュリンが全て反応して、反応混合物のかなりの部分がA1,B1−複合体化保護インシュリンに変換されるまで、活性化エステルの溶液の小分けしたものを、インシュリンを含有する溶液に一定期間をかけて加える。過剰量のアミン求核剤、例えば2−アミノエタノールまたはアンモニアを加えることで低温で反応停止する。UPLCクロマトグラムで保護基が完全に除去されたことが示されるまで、反応溶液を低温で撹拌する。得られた溶液を、0℃で冷H
2O(20倍)で注意深く希釈し、それのpHを1N HCl(および必要に応じて0.1N NaOH)を用いて最終pH2.5に調節する。溶液を最初に、接線流濾過(TFF)システムによる、または1K、3Kもしくは10K MWCO膜を用いるAmicon Ultra−15遠心ユニットを用いる限外濾過によって濃縮する。通常、最初に、濃縮した溶液について、イオン交換クロマトグラフィー(PolySULFOETHYL Aカラム、PolyLC Inc.、250×21mm、5μm、1000Å;緩衝液A:0.1%(体積比)H
3PO
4/25%AcCN;緩衝液B:0.1%(体積比)H
3PO
4/25%AcCN/0.5M NaCl)を行う。所望の純度でB1,B29−複合体を含む分画を合わせ、TFFシステムまたはAmicon Ultra−15を用いて濃縮する。得られた溶液を、逆相HPLC(Waters C4 250×50mmカラム、10μm、1000ÅカラムまたはKromasil C8 250×50mm、10μm、100Åカラム;緩衝液A:0.05%から0.1%TFA/脱イオン水;緩衝液B:0.05%から0.1%TFA/AcCN)によってさらに精製する。標題複合体を含む分画を合わせ、凍結乾燥し、またはTFFシステムおよび/またはAmicon Ultra−15を用いて緩衝液交換を行って、標題生成物を得る。
【0640】
実施例95
N
εB29−(トリフルオロアセチル)ヒトインシュリンの合成について説明する。
【0641】
100丸底フラスコにヒトインシュリン(200mg、0.034mmol)を入れ、それにAcCN(4.0mL)、水(4.0mL)、およびTEA(0.5mL、3.44mmol)を加えた。得られた混合物に0℃で、トリフルオロ酢酸エチル(0.41mL、3.44mmol)を加えた。0℃で30分間撹拌後、混合物を水(20mL、pH約3.0)で希釈した。得られた溶液をpH約2.5となるまで注意深く酸性とした後、混合物をHPLC(Delta Pak C4 15μm、300Å、50×250mmカラム、210nm、流量:85mL/分、0.05%TFAのAcCN/H
2O中溶液、27%AcCNから37%AcCNのH
2O中溶液、20分の勾配)によって精製した。所望の分画を合わせ、凍結乾燥して、標題化合物を得た。UPLC方法A:m/e=1476.5012[(M+4)/4];R
t=3.71分。
【0642】
実施例96
IOC−3、リンカーML−7にB1およびB29で結合したヒトインシュリンの合成
N
αA1−Tfa−インシュリン(60mg、0.01mmol)を室温でDMSO 1mLに溶かし、この溶液にトリエチルアミン(10.3mg、0.102mmol)を加え、ML−7(18.2mg、0.023mmol)をDMSO 100μLに溶かし、反応混合物に加えた。室温で4時間撹拌後、混合物をAcCN 40mLに加えた。沈澱が生成し、遠心によって回収した。回収した固体をpH=3.00DI水5mLに溶かし、冷却して0℃とし、NH
4OH(28%水溶液)5mLを前記水溶液に加え、混合物を0℃で2時間撹拌し、DI水pH=3.00 20mLで希釈した。混合物を10K膜Amicon遠心管で濃縮して5mLとし、pH=3.00DI水100mLでさらにダイアフィルトレーションして最終容量約7.5mLとし、分取HPLCによって精製した。HPLC条件は、Kromasil(登録商標) C8 10μm、100Å、50×250mmカラム、210nm、流量:85mL/分、0.05%TFAのAcCN/H
2O中溶液、26%AcCNから32%AcCNのH
2O中溶液、25分の勾配であり、分画を回収し、凍結乾燥して粉末を得た。(38.8mg、収率52.4%)。1784.76[M+4]/4、t
R=3.435
実施例97
本実施例は、オリゴ糖リンカーML−11がヒトインシュリンの位置B1およびB29でNH
2基に連結されているインシュリンオリゴ糖複合体(IOC−123)の製造を示すものである。
【0643】
N
αA1−Fmocインシュリン(80mg、0.014mmol)およびリンカーML−11(100mg、0.068mmol)を昇温させて室温として30分間経過させた。20mLバイアル中のDMSO(1.00mL)中N
αA1−Fmocインシュリン(80mg、0.014mmol)に、トリエチルアミン(18.95μL、0.136mmol)を加えた。DMSO(0.90mL)中のML−11(100mg、0.068mmol)を、反応バイアルに、等量ずつ3回、50分間の間隔で加えた。2−アミノエタノール(103μL、1.700mmol)を加えることで反応停止し、混合物を室温で20分間撹拌した。混合物を、0℃でH
2O(10mL)で希釈した。反応混合物のpHを、1N HClを用いて約2.5に調節する。
【0644】
粗生成物を最初に、イオン交換クロマトグラフィーによって精製した。所望の分画を、Amicon Ultra遠心フィルターを用いて濃縮するか終夜凍結乾燥し、次に逆相分取HPLC(Gilson C−4カラム)によってさらに精製した。合わせた所望の分画を凍結乾燥して、固体を製造した。次に、固体を水に溶かし、0.1N NaOH溶液を用いてpHを7に調節することで、IOC−123の溶液を得た。
【0645】
実施例98
本実施例は、ヒトインシュリンのA1およびB1位置がML−17に結合しているIOC−113(N
A1,N
βB29−ビス{6−[シス−3,5−ビス({2−[(α−L−フコピラノシル)オキシ]エチル}カルバモイル)ピペリジン−1−イル]−6−オキソヘキサノイル}ヒトインシュリン)の合成を説明するものである。
【0646】
ヒトインシュリン(105mg、0.018mmol)の入った20mLシンチレーションバイアルに室温で、DMSO(1mL)およびDIPEA(35.1mg、0.271mmol)を加えた。インシュリンが溶解するまで、混合物をやさしく撹拌した。別のバイアル中、リンカーML−17(35.1mg、0.045mmol)を室温でDMSO(0.9mL)に溶かした。ヒトインシュリンを含む溶液に、ML−17の溶液を50分の間隔で等量ずつ3回で加えた。2−アミノエタノール(34μL、0.42mmol)を加えることで反応停止した。室温で20分間撹拌後、得られた混合物を0℃で冷H
2O(4mL)で注意深く希釈した。得られた混合物のpHを、1N HCl(または0.1N NaOH)を用いて最終pH2.5に調節した。混合物について、最初に、イオン交換クロマトグラフィー((PolySULFOETHYL Aカラム、PolyLC Inc.、250×21mm、5μm、1000Å;緩衝液A:0.1%(体積比)H
3PO
4/25%AcCN;緩衝液B:0.1%(体積比)H
3PO
4/25%AcCN/0.5M NaCl))を行った。主要生成物として標題複合体を含む分画を合わせ、Amicon−15MWCO 3kまたは10k超遠心フィルターを用いて濃縮するか、pH約7.0に中和したのちに凍結乾燥した。得られた溶液または再生した複合体溶液を、逆相分取HPLC(Waters C4 250×50mmカラム、10μm、1000ÅカラムまたはKromasil C8 250×50mm、10μm、100Åカラム;緩衝液A:0.05%から0.1%TFA/脱イオン水;緩衝液B:0.05%から0.1%TFA/AcCN)によってさらに精製した。>95%標題複合体を含む分画を合わせ、凍結乾燥して標題生成物を得た。UPLCMS(C4、5分):1948.66(M+4/4)(3.48分)。
【0647】
実施例99
本実施例は、ヒトインシュリンのA1およびB1残基がそれぞれ、リンカーML−4およびML−29に結合しているIOC−52(N
A1−6−オキソ−6−((2−(α−L−フコピラノシルオキシ)エチル)アミノ)ヘキサノイル−N
εB29−6−((((2−オキソ−2−((α−D−マンノピラノシル−(1→3)−[α−D−マンノピラノシル−(1→6)]−α−D−マンノピラノシル)−2−オキシエチル)アミノ)(2−オキソ−2−((α−L−フコピラノシルオキシ)−2−オキソエチル)アミノ)エチル)アミノ)アセトアミド)−6−オキソヘキサノイルヒトインシュリン)の構築を示すものである。
【0648】
N
εB29−6−((((2−オキソ−2−((α−D−マンノピラノシル−(1→3)−[α−D−マンノピラノシル−(1→6)]−α−D−マンノピラノシル)−2−オキシエチル)アミノ)(2−オキソ−2−((α−L−フコピラノシルオキシ)−2−オキソエチル)アミノ)エチル)アミノ)アセトアミド)−6−オキソヘキサノイルヒトインシュリン(IOC−58)の合成
ヒトインシュリン(1000mg、0.172mmol)をNa
2CO
3水溶液(8.6mL、0.1M)およびAcCN(5.7mL)に溶かした。得られた溶液のpHを10.5に調節し、それにML−29(6−((((2−オキソ−2−((α−D−マンノピラノシル−(1→3)−[α−D−マンノピラノシル−(1→6)]−α−D−マンノピラノシル)−2−オキシエチル)アミノ)(2−オキソ−2−((α−L−フコピラノシルオキシ)−2−オキソエチル)アミノ)エチル)アミノ)アセトアミド)−6−オキソヘキサン酸2,5−ジオキソピロリジン−1−イル)(289mg、0.258mmol)のDMF(2.9mL)中溶液を少量ずつ加えた。反応の進行をUPLC−MSによってモニタリングし、エタノールアミン(52.1μL、0.861mmol)を加えることで反応停止した。反応混合物をH
2O(15mL)で希釈し、1.0N HCl溶液を用いてpHを約2.5に調節した。得られた混合物をHPLC(イオンクロマトグラフィー、PolySULFOETHYL A、9.4×250mm、勾配10%から45%)(30分かけて移動相A:0.1%(体積比)H
3PO
4/25%アセトニトリルの水溶液、移動相B:0.1%(体積比)H
3PO
4/25%アセトニトリル/0.5M NaClの水溶液)、流量15mL/分)によって精製した。所望の分画を合わせ、3500rpmにて4℃でUtracel 10Kを用いるAmicon超遠心フィルター6個を用いて濃縮し、凍結乾燥して、標題化合物(600mg、収率51%)を白色粉末として得た。UPLC方法A:t
R=3.58分。[M+4H/4]
+=1703.99。
【0649】
N
A1−6−オキソ−6−((2−(α−L−フコピラノシルオキシ)エチル)アミノ)ヘキサノイル−N
εB29−6−((((2−オキソ−2−((α−D−マンノピラノシル−(1→3)−[α−D−マンノピラノシル−(1→6)]−α−D−マンノピラノシル)−2−オキシエチル)アミノ)(2−オキソ−2−((α−L−フコピラノシルオキシ)−2−オキソエチル)アミノ)エチル)アミノ)アセトアミド)−6−オキソヘキサノイルヒトインシュリンの合成
N
εB29−6−((((2−オキソ−2−((α−D−マンノピラノシル−(1→3)−[α−D−マンノピラノシル−(1→6)]−α−D−マンノピラノシル)−2−オキシエチル)アミノ)(2−オキソ−2−((α−L−フコピラノシルオキシ)−2−オキソエチル)アミノ)エチル)アミノ)アセトアミド)−6−オキソヘキサノイルヒトインシュリン(150mg、0.022mmol)およびTEA(30.7μL、0.22mmol)のDMSO(1.5mL)中溶液に室温で、6−オキソ−6−((2−(α−L−フコピラノシルオキシ)エチル)アミノ)ヘキサン酸2,5−ジオキソピロリジン−1−イル(17mg、0.040mmol)(ML−4)のDMSO(1.0mL)中溶液を少量ずつ加えた。エタノールアミン(13.32μL、0.22mmol)を加えることで反応停止した。室温で15分間撹拌後、反応混合物をH
2O(15mL)で希釈し、1.0N HCl溶液を用いてpHを約2.5に調節した。得られた混合物をHPLC(イオンクロマトグラフィー、PolySULFOETHYL A、9.4×250mm、勾配10%から40%)(30分かけての移動相A:0.1%(体積比)H
3PO
4/25%アセトニトリルの水溶液、移動相B:0.1%(体積比)H
3PO
4/25%アセトニトリル/0.5M NaClの水溶液)、流量15mL/分)によって精製した。所望の分画を合わせ、3500rpmにて4℃でUtracel 10Kを用いるAmicon超遠心フィルター2個を用いて濃縮した。得られた混合物を、HPLC(C4、50×250mm、30分かけての勾配25%から30%AcCN/H
2O(0.1%TFA含有)、流量85mL/分)で精製した。所望の分画を合わせ、凍結乾燥して、標題化合物(31mg、収率19%)を白色粉末として得た。UPLC方法A:t
R=3.79分。[M+4H/4]
+=1783.3。
【0650】
実施例100
IOC−10、リンカーML−6にB1およびB29で結合したヒトインシュリンの合成
A1 Fmocインシュリン(80mg、0.014mmol)およびリンカーML−6(100mg、0.068mmol)を昇温させて室温として30分経過させた。20mLバイアルに入ったDMSO(1.00mL)中のA1 Fmocインシュリン(80mg、0.014mmol)に、トリエチルアミン(18.95μL、0.136mmol)を加えた。DMSO(0.90mL)中のリンカーML−6(100mg、0.068mmol)を、3回等量ずつ、50分間の間隔で反応バイアルに加えた。2−アミノエタノール(103μL、1.700mmol)を加えることで反応停止し、混合物を室温で20分間撹拌した。混合物を、0℃でH
2O(10mL)で希釈した。反応混合物のpHを、1N HClを用いて約2.5に調節する。
【0651】
粗生成物を最初に、イオン交換クロマトグラフィーによって精製した。所望の分画を、Amicon超遠心フィルターを用いて濃縮するか、終夜凍結乾燥してから、逆相分取HPLC(Gilson C−4カラム)によってさらに精製した。合わせた所望の分画を凍結乾燥した。次に、固体を水に溶かし、0.1N NaOH溶液を用いてpHを7に調節した。サンプルの濃度を、λ276でLambda Bio+UV\Vis分光計によって測定した。UPLCMS(C4、5分):1763.3(M+4/4)(3.72分)。
【0652】
実施例101
IOC−226、リンカーML−31およびML−54にそれぞれB1およびB29で結合したヒトインシュリン複合体の合成
N
αA1−Tfa−インシュリン(40mg、0.0067mmol)を室温でDMSO 1mLに溶かし、この溶液に、DIPEA(0.038mL、0.215mmol)を加え、ML−54(11.5mg、0.0078mmol)をDMSO 115μLに溶かし、反応混合物に加えた。反応混合物を、2時間またはUPLCクロマトグラムで反応混合物のかなりの部分がB29−複合体化インシュリンに変換されていることが示されるまで室温で撹拌した。次に、第2の活性化エステル、ML−31(16mg、0.014mmol)をDMSO 160μLに溶かし、反応混合物に加えた。反応混合物を、16時間またはUPLCクロマトグラムで反応混合物のかなりの部分がB1、B29−複合体化インシュリンに変換されていることが示されるまで、室温で撹拌した。混合物をAcCN 40mLに加えた。沈澱が生成し、遠心によって回収した。回収した固体をpH=3.00 DI水5mLに溶かし、冷却して0℃とし、その水溶液にNH
4OH(28%水溶液)5mLを加え、混合物を0℃で2時間撹拌し、DI水pH=3.00 20mLで希釈した。混合物を10K膜Amicon遠心管で濃縮して3mLとし、pH=3.00DI水60mLでさらにダイアフィルトレーションして、最終体積約5mLとした。粗生成物を最初に、イオン交換クロマトグラフィーによって精製した。所望の分画を、Amicon超遠心フィルターを用いて濃縮し、次に逆相分取HPLCによってさらに精製した。HPLC条件は、Kromasil(登録商標) C8 10μm、100Å、50×250mmカラム、210nm、流量:85mL/分、0.05%TFAのAcCN/H
2O中溶液、27%AcCNから33%AcCNのH
2O中溶液、25分の勾配であり、分画を回収し、凍結乾燥して粉末を得た。次に、固体を水に溶かし、0.1N NaOH溶液を用いてpHを7に調節した。λ276でLambda Bio+UV\Vis分光計によって、サンプルの濃度を測定した。(16.53mg、収率29.2%)。1632.54[M+5]/5、t
R=3.35。
【0653】
実施例101
インシュリン受容体結合アッセイを下記のように実施した。
【0654】
二つの競合結合アッセイを用いて、
125[I]で標識した内因性リガンド、インシュリンに対するヒトインシュリン受容体B型(IR(B))へのIOCアフィニティを求めた。
【0655】
方法E:IR結合アッセイは、ヒトIR(B)を過剰発現するCHO細胞を用いる全細胞結合法であった。細胞を10%FBSおよび抗生物質(G418、ペニシリン/ストレプトアビジン(Strepavidin))を含むF12培地で増殖させ、96ウェル組織培養プレートに40,000細胞/ウェルで蒔き、少なくとも8時間経過させた。1%BSAを含むDMEM培地(インシュリンを含まない)に切り換えて終夜経過させることで、細胞を血清飢餓状態とした。細胞を、1%BSAを含む冷DMEM培地(インシュリンを含まない)で2回洗浄し、次に同じ培地90μL中適切な濃度のIOC分子を加えた。細胞を氷上で60分間インキュベートした。
125[I]−インシュリン(10μL)を0.015nM最終濃度で加え、氷上で4時間インキュベートした。細胞を、冷培地で3回やさしく洗浄し、振盪しながら室温でCell Signaling溶解緩衝液(カタログ番号9803)30μLで10分間溶解させた。溶解物をシンチレーション液に加え、カウンティングを行って、IRへの
125[I]−インシュリン結合およびこの相互作用に対するIOC分子の滴定効果を求めた。
【0656】
方法D:10%FBSおよび抗生物質(G418、ペニシリン/ストレプトアビジン(Strepavidin))を含むF12培地で増殖させたヒトIR(B)を過剰発現するCHO細胞から製造した細胞膜を用い、384ウェル形式で、シンチレーション近似アッセイ(SPA)にて、IR結合アッセイを行った。5mM MgCl
2含有50mM Tris緩衝液、pH7.8中で、細胞膜を準備した。アッセイ緩衝液は、50mM Tris緩衝液、pH7.5、150mM NaCl、1mM CaCl
2、5mM MgCl
2、0.1%BSAおよびプロテアーゼ阻害薬(Complete−Mini−Roche)を含んでいた。細胞膜をWGA PVT PEI SPAビーズ(5mg/mL最終濃度)に加え、次にIOC分子を適切な濃度で加えた。室温で5から15分間インキュベーション後、
125[I]−インシュリンを0.015nM最終濃度で加えて、最終総体積を50μLとした。その混合物を振盪しながら、室温で1から12時間インキュベートし、次にシンチレーションカウンティングを行って、IRへの
125[I]−インシュリン結合およびこの相互作用に対するIOC分子の滴定効果を求めた。
【0657】
実施例102
インシュリン受容体リン酸化アッセイを以下にように実施した。
【0658】
インシュリン受容体リン酸化アッセイを、市販のMeso Scale Discovery(MSD)pIRアッセイ(Meso Scale Discovery, 9238 Gaithers Road, Gaitherburg, MD参照)を用いて実施した。ヒトIR(B)を安定に発現するCHO細胞を10%FBSおよび抗生物質(G418、ペニシリン/ストレプトアビジン(Strepavidin))を含むF12細胞培地で少なくとも8時間増殖させ、FBSに代えて0.5%BSAを含むF12培地(インシュリンを含まない)に切り換えて血清飢餓状態として終夜増殖させた。細胞を回収し、MSD pIRアッセイで用いるために小分けして冷凍した。すなわち、冷凍細胞を、96ウェル(40,000細胞/ウェル、方法AおよびB)または384ウェル(10,000細胞/ウェル、方法C)透明細胞培養プレートに蒔き、回復させた。適切な濃度のIOC分子を加え、細胞を37℃で8分間インキュベートした。培地を吸引し、MSDキットの説明書に従って、冷MSD細胞溶解緩衝液を加えた。細胞を氷上で40分間溶解させ、次に溶解物を室温で10分間混和した。溶解物をMSDキットpIR検出プレートに移した。アッセイの残りを、MSDキット推奨プロトコールに従って実施した。
【0659】
実施例103
ヒトマクロファージマンノース受容体1(MRC1)結合アッセイを下記のように実施した。
【0660】
MRC1についての競合結合アッセイで、文献に報告のようにリガンド、DELFIA Eu−N1−ITC試薬で標識したマンノシル化−BSAを用いた。100mM NaCl、5mM CaCl
2、1mM MgCl
2および0.1%Tween−20(洗浄緩衝液)を含む50mM Tris緩衝液、pH7.5 100μLで3回洗浄したタンパク質Gプレートに、抗MRC1抗体(25μL、2ng/μL)を加えた。その抗体をプレートで室温にて振盪しながら1時間インキュベートした。プレートを3から5回洗浄緩衝液で洗浄し、次に1%安定剤BSAを含むPBS 25μL中のMRC1(2ng/μL最終濃度)を加えた。プレートを、室温でやさしく振盪しながら1時間インキュベートした。プレートを洗浄緩衝液で3回洗浄した。適切な濃度の緩衝液12.5μL中IOC分子を加え、次に100mM NaCl、5mM CaCl
2、1mM MgCl
2および0.2%安定剤BSAを含む50mM Tris、pH7.5中のEu−マンノシル化BSA12.5μL(0.1nM最終濃度)を加えた。プレートを振盪しながら室温で2時間インキュベートし、次に洗浄緩衝液で3回洗浄した。パーキンエルマー(Perkin Elmer)Eu−誘発試薬(25μL)を加え、室温で30分間インキュベートしてから、Euシグナルの検出を行った(励起=340nm:発光=615nm)。手動液体分配(方法F)により、もしくは自動液体分配(方法G)を用いて96ウェルプレートで、または自動分配(方法H)により384ウェルプレートでアッセイを実施した。
【0661】
実施例104
下記の表には、上記で記載の一般法の一つに従って、適切な中間体を用いて製造した複合体を挙げてある。これらの複合体は、アスタリスクによって示されたUPLC方法AもしくはUPLC方法D、または#によって示されたUPLC方法Gを用いること、ある一定の保持時間(R
t)で親化合物の4価、すなわち[(M+4)/4]、(または5価、すなわち[(M+5)/5])化学種を示すことを特徴とした。インシュリン受容体(IR)に対するそれらのイン・ビトロ生理活性を、下記のように表示した上記のようなリガンド競合アッセイまたは機能性リン酸化アッセイによって測定した。方法A:手動液体分配による96ウェルに基づくIRリン酸化アッセイ;方法B:自動液体分配での96ウェルに基づくIRリン酸化アッセイ;方法C:自動液体分配での384ウェルに基づくIRリン酸化アッセイ;方法D:IR結合アッセイ方法D;方法E:IR結合アッセイ方法E;方法F:MRC1アッセイを手動液体分配での96ウェルプレートで実施;方法G:MRC1アッセイを自動液体分配での96ウェルプレートで実施;方法H:MRC1アッセイを自動分配での384ウェルプレートで実施した。結果を表1に示す。
【表1】
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【0662】
実施例105
非糖尿病ミニブタにおけるIOCのPKおよびPDに対するメチルα−D−マンノピラノジド(αMM)の効果を評価した。
【0663】
二つの尾静脈血管アクセスポート(VAP)を設けた非糖尿病の雄ユカタンミニブタを、これらの試験で用いる。動物は終夜絶食させてから試験に供する。試験当日、動物を吊り包帯で拘束し、注入およびサンプリングにVAPを用いる。t=−60分で、PBS(n=3)または21.2%α−メチルマンノース(aMM)(n=3)の一定注入を、2.67mL/kg/時の速度で開始する。この注入は、試験期間中維持される。t=0分で、および血漿グルコース測定用の基底線血液サンプルを採取した後に、動物に、単一ボラスIVとしてIOCを投与する。サンプリングを90分間続け、血漿グルコースおよび化合物レベルの最終読み取りを行う。
【0664】
IOCは、塩化ナトリウム(87mM)、フェノール(21mM)、リン酸水素ナトリウム(26.5mM)、オスモル濃度=275mOsm、pH=7.4;適量の注射用水中17から69nmol/mLで製剤する。
【0665】
サンプル採取の時間点:−60分、0分、1分、2分、4分、6分、8分、10分、15分、20分、25分、30分、35分、45分、60分、および90分。
【0666】
K3−EDTA管に採血を行い、10μg/mLアプロチニンを補充し、採血の30分以内で処理まで氷浴上に置いておく。3000rpm、4℃で8分間遠心後、血漿を採取し、Beckman Coulter AU480 Chemistry分析装置を用いるグルコース測定用およびLC−MSによる化合物レベル測定用に小分けした。
【0667】
グルコースの結果は、t=0分での基底線値に対する%変化として表し、
図1から14でそれぞれ、IOC−2、IOC−3、IOC−8、IOC−9、IOC−16、IOC−22、IOC−23、IOC−46、IOC−48、IOC−52、IOC−56、IOC−60、IOC−75、IOC−75およびIOC−76について示してある。
【0668】
図1は、静注α−メチルマンノース(aMM)溶液(2.67mL/kg/時の一定速度で注入した21.2%(重量/体積))またはPBSを注入した、デュアル血管アクセスポートを取り付けた非糖尿病雄ユカタンミニブタへの0.69nmol/kg静脈(i.v.)注射後のIOC−2の血清濃度のプロット(試験当たりn=3)を示す。
【0669】
図2は、静注α−メチルマンノース(aMM)溶液(2.67mL/kg/時の一定速度で注入した21.2%(重量/体積))またはPBSを注入した、デュアル血管アクセスポートを取り付けた非糖尿病雄ユカタンミニブタへの0.17nmol/kg静脈(i.v.)注射後のIOC−3の血清濃度のプロット(試験当たりn=3)を示す。
【0670】
図3は、静注α−メチルマンノース(aMM)溶液(2.67mL/kg/時の一定速度で注入した21.2%(重量/体積))またはPBSを注入した、デュアル血管アクセスポートを取り付けた非糖尿病雄ユカタンミニブタへの0.17nmol/kg静脈(i.v.)注射後のIOC−8の血清濃度のプロット(試験当たりn=3)を示す。
【0671】
図4は、静注α−メチルマンノース(aMM)溶液(2.67mL/kg/時の一定速度で注入した21.2%(重量/体積))またはPBSを注入した、デュアル血管アクセスポートを取り付けた非糖尿病雄ユカタンミニブタへの0.17nmol/kg静脈(i.v.)注射後のIOC−9の血清濃度のプロット(試験当たりn=3)を示す。
【0672】
図5は、静注α−メチルマンノース(aMM)溶液(2.67mL/kg/時の一定速度で注入した21.2%(重量/体積))またはPBSを注入した、デュアル血管アクセスポートを取り付けた非糖尿病雄ユカタンミニブタへの0.35nmol/kg静脈(i.v.)注射後のIOC−16の血清濃度のプロット(試験当たりn=3)を示す。
【0673】
図6は、静注α−メチルマンノース(aMM)溶液(2.67mL/kg/時の一定速度で注入した21.2%(重量/体積))またはPBSを注入した、デュアル血管アクセスポートを取り付けた非糖尿病雄ユカタンミニブタへの0.35nmol/kg静脈(i.v.)注射後のIOC−22の血清濃度のプロット(試験当たりn=3)を示す。
【0674】
図7は、静注α−メチルマンノース(aMM)溶液(2.67mL/kg/時の一定速度で注入した21.2%(重量/体積))またはPBSを注入した、デュアル血管アクセスポートを取り付けた非糖尿病雄ユカタンミニブタへの0.35nmol/kg静脈(i.v.)注射後のIOC−23の血清濃度のプロット(試験当たりn=3)を示す。
【0675】
図8は、静注α−メチルマンノース(aMM)溶液(2.67mL/kg/時の一定速度で注入した21.2%(重量/体積))またはPBSを注入した、デュアル血管アクセスポートを取り付けた非糖尿病雄ユカタンミニブタへの0.35nmol/kg静脈(i.v.)注射後のIOC−46の血清濃度のプロット(試験当たりn=3)を示す。
【0676】
図9は、静注α−メチルマンノース(aMM)溶液(2.67mL/kg/時の一定速度で注入した21.2%(重量/体積))またはPBSを注入した、デュアル血管アクセスポートを取り付けた非糖尿病雄ユカタンミニブタへの0.35nmol/kg静脈(i.v.)注射後のIOC−48の血清濃度のプロット(試験当たりn=3)を示す。
【0677】
図10は、静注α−メチルマンノース(aMM)溶液(2.67mL/kg/時の一定速度で注入した21.2%(重量/体積))またはPBSを注入した、デュアル血管アクセスポートを取り付けた非糖尿病雄ユカタンミニブタへの0.35nmol/kg静脈(i.v.)注射後のIOC−52の血清濃度のプロット(試験当たりn=3)を示す。
【0678】
図11は、静注α−メチルマンノース(aMM)溶液(2.67mL/kg/時の一定速度で注入した21.2%(重量/体積))またはPBSを注入した、デュアル血管アクセスポートを取り付けた非糖尿病雄ユカタンミニブタへの0.69nmol/kg静脈(i.v.)注射後のIOC−56の血清濃度のプロット(試験当たりn=3)を示す。
【0679】
図12は、静注α−メチルマンノース(aMM)溶液(2.67mL/kg/時の一定速度で注入した21.2%(重量/体積))またはPBSを注入した、デュアル血管アクセスポートを取り付けた非糖尿病雄ユカタンミニブタへの0.35nmol/kg静脈(i.v.)注射後のIOC−60の血清濃度のプロット(試験当たりn=3)を示す。
【0680】
図13は、静注α−メチルマンノース(aMM)溶液(2.67mL/kg/時の一定速度で注入した21.2%(重量/体積))またはPBSを注入した、デュアル血管アクセスポートを取り付けた非糖尿病雄ユカタンミニブタへの0.69nmol/kg静脈(i.v.)注射後のIOC−75の血清濃度のプロット(試験当たりn=3)を示す。
【0681】
図14は、静注α−メチルマンノース(aMM)溶液(2.67mL/kg/時の一定速度で注入した21.2%(重量/体積))またはPBSを注入した、デュアル血管アクセスポートを取り付けた非糖尿病雄ユカタンミニブタへの0.17nmol/kg静脈(i.v.)注射後のIOC−76の血清濃度のプロット(試験当たりn=3)を示す。
【0682】
IOC−2、IOC−3、IOC−16、IOC−22、IOC−23、IOC−52、IOC−56およびIOC−60についてのPK結果を、それぞれ
図15から22に示した。
【0683】
図15は、PBS注入または静注α−メチルマンノース(aMM)注入の条件下での0.69nmol/kgでの複合体IOC−2の静脈注射後のデュアル血管アクセスポートを取り付けた非糖尿病雄ユカタンミニブタにおける血糖降下曲線(試験当たりn=3)を示す。
【0684】
図16は、PBS注入または静注α−メチルマンノース(aMM)注入の条件下での0.17nmol/kgでの複合体IOC−3の静脈注射後のデュアル血管アクセスポートを取り付けた非糖尿病雄ユカタンミニブタにおける血糖降下曲線(試験当たりn=3)を示す。
【0685】
図17は、PBS注入または静注α−メチルマンノース(aMM)注入の条件下での0.35nmol/kgでの複合体IOC−16の静脈注射後のデュアル血管アクセスポートを取り付けた非糖尿病雄ユカタンミニブタにおける血糖降下曲線(試験当たりn=3)を示す。
【0686】
図18は、PBS注入または静注α−メチルマンノース(aMM)注入の条件下での0.35nmol/kgでの複合体IOC−22の静脈注射後のデュアル血管アクセスポートを取り付けた非糖尿病雄ユカタンミニブタにおける血糖降下曲線(試験当たりn=3)を示す。
【0687】
図19は、PBS注入または静注α−メチルマンノース(aMM)注入(2.67mL/kg/時の一定速度で注入した21.2%(重量/体積))の条件下での0.35nmol/kgでの複合体IOC−23の静脈注射後のデュアル血管アクセスポートを取り付けた非糖尿病雄ユカタンミニブタにおける血糖降下曲線(試験当たりn=3)を示す。
【0688】
図20は、PBS注入または静注α−メチルマンノース(aMM)注入の条件下での0.35nmol/kgでの複合体IOC−52の静脈注射後のデュアル血管アクセスポートを取り付けた非糖尿病雄ユカタンミニブタにおける血糖降下曲線(試験当たりn=3)を示す。
【0689】
図21は、PBS注入または静注α−メチルマンノース(aMM)注入(2.67mL/kg/時の一定速度で注入した21.2%(重量/体積))の条件下での0.69nmol/kgでの複合体IOC−56の静脈注射後のデュアル血管アクセスポートを取り付けた非糖尿病雄ユカタンミニブタにおける血糖降下曲線(試験当たりn=3)を示す。
【0690】
図22は、PBS注入または静注α−メチルマンノース(aMM)注入(2.67mL/kg/時の一定速度で注入した21.2%(重量/体積))の条件下での0.35nmol/kgでの複合体IOC−60の静脈注射後のデュアル血管アクセスポートを取り付けた非糖尿病雄ユカタンミニブタにおける血糖降下曲線(試験当たりn=3)を示す。
【0691】
本明細書において、例示の実施形態を参照して本発明を説明しているが、理解すべき点として、本発明はそれに限定されるものではない。当業界における通常の技術を有し、本明細書の記述を読んだ者には、本発明の範囲内でさらなる改変および実施形態は明らかであろう。従って本発明は、本明細書に添付の特許請求の範囲によってのみ限定される。