【課題を解決するための手段】
【0010】
第1の態様では、上記およびさらなる目的は、vii.複数のトレイを含む少なくとも1台のトロリを滅菌するステップ、およびviii.複数のトレイを含む少なくとも1台のトロリを充填ステーションに運び込むステップの追加のステップを含む、導入部で述べられた種類の方法によって満たされる。
【0011】
トレイを充填ステーションに運び込むステップの前のステップにおいて、トレイをトロリに入れ、そしてトレイを含む1つまたは複数のトロリを滅菌することにより、凍結乾燥ラインでの製品の半連続的な運搬および取扱いが、滅菌状態下で可能とされる。したがって、本方法は、個々の処理ユニットで処理されるバッチにおける連続操作として説明され得る。乾燥時間は、典型的に、既存の代替形態である典型的な医薬品凍結乾燥処理と比較して半分に短縮され得る。サイクル時間は、トレイを含むトロリ全体を凍結乾燥機ユニット内にすばやく移送するためにトレイ上に装填された凍結した製品をトロリに保存することにより、さらに短縮される。
【0012】
本方法は、バッチ凍結乾燥機ユニットでの乾燥に基づく。トロリとの間のトレイの装填および取出しは、自動的または半自動的に行われ得るので、製品の手動での取扱いを排除するか、少なくとも大幅に減らすことが可能である。トロリ内のトレイに製品が装填されると、それらは、架空レールシステムなどの適切な運搬手段により、自動的に凍結貯蔵庫へ運搬され、さらに、凍結乾燥機ユニット、取出しステーション、および洗浄滅菌ユニットへ運搬される。1つ1つのトレイおよびトロリの唯一の手動運搬は、取出しステーションにおけるものであるが、この操作も同様に自動的または半自動的にすることが考えられる。
【0013】
本文脈において、「滅菌」という用語は、製品の表面に存在するかもしくは製品の残りの部分に含有された様々な形態の微生物(細菌、ウイルス、胞子形態、など)を規則および規定によって必要とされる通りの滅菌水準で排除(除去)するかまたは殺す任意の洗浄処理を含むと見なされる。滅菌の手段は、乾燥(例えば、熱、火炎殺菌、焼却、電子ビーム、X線、ガンマ線、もしくは亜原子粒子、紫外線照射、反応性ガス(例えば、エチレンオキシドなどのアルキル化剤、および、過酸化水素やオゾンなどの酸化剤)、過酸化水素、銀イオン、および銀化合物)条件下であってもよく、または、湿潤(例えば、蒸気、熱、熱および圧力、濾過、エタノール、化学薬品、塩素系漂白剤、グルタルアルデヒド、およびホルムアルデヒド、オルソフタルアルデヒド、過酸化水素)条件下であってもよい。
【0014】
別の態様では、本方法を実施するためのシステムが考案され、この方法は、入口端部および出口端部またはドッキングステーションを有する充填ステーションと、凍結貯蔵庫と、凍結乾燥機ユニットと、入口端部および出口端部またはドッキングステーションを有する取出しステーションと、少なくとも1つのトロリに収容されるように構成された複数のトレイとを備え、前述のシステムは、取出しステーションの出口端部と充填ステーションの入口端部との間に洗浄滅菌ユニットが設けられることを特徴とする。
【0015】
処理ラインに洗浄滅菌ユニットを挿入することにより、空のトレイを含むトロリは、第1のゲートを通して導入されて洗浄および滅菌され、そして第2のゲートから出されて清潔な環境で製品を充填されることができる。したがって、洗浄滅菌ユニットは、堰戸またはロックとして機能し、また、充填ステーションが設置される部屋は、取出しステーショ
ンが設置される部屋とは事実上物理的に接触しない。
【0016】
本発明の利点は、全ての処理ステップを単一のシステムまたはプラントに統合する独特の設計である。このプラントでは、医薬品等級のプラントと比較して、大量の製品を滅菌条件下で凍結乾燥させることができる。
【0017】
本発明の第3の態様では、プロバイオティクス細菌、乳酸菌、ホエー派生物、酵母菌、細菌培養物から選択された製品を凍結乾燥させるための方法の使用が提供される。
【0018】
製品は、例えば、細菌培養物、酵母、酵素、プロバイオティクス、および他の生細胞培養物であり得る。製品の中でも特に適切なものは、衛生的な生産と各バッチ間での交差汚染の防止とが要求される場合の使用のためのものである。高水準の衛生状態は、主要な乳製品原料の生産者によって生産されかつ使用されるプロバイオティクスおよび乳酸菌ならびに様々なホエー派生物などの製品に対して要求される。
【0019】
本発明によるシステムに伴うさらなる利点は、定置洗浄(Clean−In−Place、CIP)が可能であることである。これは多くの用途における要件であって、例えば幼児食業界では、完全にCIP可能なプラントが必要とされる。
【0020】
従属請求項から、また、下記の本方法を実施するための好ましい実施形態および実例の詳細な説明から、さらなる詳細および利点が明らかになる。
本願発明の実施形態は、例えば以下の通りである。
[実施形態1] 少なくとも1台のトロリに収容された複数のトレイ内の固形物および水などの溶媒を含有する製品の直列滅菌凍結乾燥を実現する方法であって、
i.充填ステーションにおいて前記複数のトレイに前記製品を充填するステップと、
ii.前記製品の温度を低下させるステップと、
iii.凍結乾燥機ユニットにおいて前記製品を前記溶媒の三重点よりも低い圧力および温度に至らせるステップと、
iv.前記凍結乾燥機ユニットにおいて前記圧力下を維持しそれにより蒸気として前記溶媒を除去することによって凍結乾燥した製品を提供するステップと、
v.前記凍結乾燥した製品を前記三重点よりも高い温度および圧力に至らせるステップと、
vi.前記複数のトレイから前記製品を取り出すステップと、
vii.前記複数のトレイを含む前記少なくとも1台のトロリを滅菌するステップと、
viii.前記複数のトレイを含む前記少なくとも1台のトロリを前記充填ステーションに運び込むステップと
を含む方法。
[実施形態2] 前記複数のトレイを含む前記少なくとも1台のトロリが、ステップi.の前に冷却される、実施形態1に記載の方法。
[実施形態3] 前記複数のトレイを含む前記少なくとも1台のトロリが、ステップi.の後で凍結貯蔵庫に運ばれる、実施形態1または2に記載の方法。
[実施形態4] 前記複数のトレイを含む前記少なくとも1台のトロリが、ステップi.の前に前記凍結貯蔵庫において冷却される、実施形態2または3に記載の方法。
[実施形態5] 前記複数のトレイを含む前記少なくとも1台のトロリが、ステップi.の前に補足的な凍結貯蔵庫に運ばれる、実施形態2または3に記載の方法。
[実施形態6] 前記充填ステーションが、ステップi.の前に滅菌される、実施形態1から5のいずれか一項に記載の方法。
[実施形態7] 前記凍結乾燥機ユニットが、ステップiii.またはiv.の前に滅菌される、実施形態1から6のいずれか一項に記載の方法。
[実施形態8] 前記凍結貯蔵庫および/または前記補足的な凍結貯蔵庫が、ステップi.の前に滅菌される、実施形態4から7のいずれか一項に記載の方法。
[実施形態9] クリーンルーム内でステップi.からviii.を提供する追加的なステップを含む、実施形態1から8のいずれか一項に記載の方法。
[実施形態10] 前記凍結乾燥が、0.1〜0.25mbarの圧力において、好ましくは0.1〜0.2mbarの圧力において行われる、実施形態1から9のいずれか一項に記載の方法。
[実施形態11] 前記凍結乾燥が、0.5kg/m2/h以上の平均昇華速度で行われる、実施形態1から10のいずれか一項に記載の方法。
[実施形態12] ステップvii.が、洗浄滅菌ユニットにおいて実施される、実施形態1から11のいずれか一項に記載の方法。
[実施形態13] 実施形態1から12のいずれか一項に記載の方法を実施するためのシステムであって、
入口端部(11)および出口端部(12)またはドッキングステーションを有する充填ステーション(1)と、
凍結貯蔵庫(2)と、
凍結乾燥機ユニット(3)と、
入口端部(41)および出口端部またはドッキングステーション(42)を有する取出しステーション(4)と、
少なくとも1台のトロリ(9)に収容されるように構成された複数のトレイ(8)と
を備え、
前記取出しステーション(4)の前記出口端部(42)と前記充填ステーション(1)の前記入口端部(11)との間に洗浄滅菌ユニット(5)が設けられることを特徴とする、システム。
[実施形態14] 前記凍結乾燥機ユニット(3)が、入口端部(31)および出口端部(32)を有し、前記入口端部(31)が前記凍結貯蔵庫(2)の出口端部(22)に接続し、前記出口端部(32)が前記取出しステーション(4)の前記入口端部(41)に接続する、実施形態13に記載のシステム。
[実施形態15] 前記凍結貯蔵庫(2)の前記出口端部(22)が、前記充填ステーション(1)の前記入口端部に選択的に接続可能である、実施形態13または14に記載のシステム。
[実施形態16] 前記洗浄滅菌ユニット(5)と前記充填ステーション(1)との間に補足的な凍結貯蔵庫(6)が設けられる、実施形態13または14に記載のシステム。
[実施形態17] 前記取出しステーション(4)の前記出口端部(42)と前記洗浄滅菌ユニット(5)との間にトロリ貯蔵庫(7)が設けられる、実施形態13から16のいずれか一項に記載のシステム。
[実施形態18] 前記洗浄滅菌ユニット(5)が、入口端部(51)および出口端部(52)を有する、実施形態13から17のいずれか一項に記載のシステム。
[実施形態19] 前記洗浄滅菌ユニット(5)の前記入口端部(51)が、前記取出しステーション(4)の前記出口端部(42)に接続する、実施形態18または実施形態13から16のいずれか一項に記載のシステム。
[実施形態20] 前記洗浄滅菌ユニット(5)の前記入口端部(51)が、前記トロリ貯蔵庫(7)の前記出口端部に接続する、実施形態17または18に記載のシステム。
[実施形態21] 前記洗浄滅菌ユニット(5)の前記出口端部(52)が、前記充填ステーション(1)の前記入口端部(11)に接続する、実施形態18から20のいずれか一項に記載のシステム。
[実施形態22] 前記洗浄滅菌ユニット(5)の前記出口端部(52)が、前記補足的な凍結貯蔵庫(6)の前記入口端部に接続する、実施形態16または実施形態18から21のいずれか一項に記載のシステム。
[実施形態23] 前記洗浄滅菌ユニット(5)が、1台から6台のトロリ(9)、好ましくは2台から4台のトロリを収容するように構成される、実施形態13から22のいずれか一項に記載のシステム。
[実施形態24] 前記凍結乾燥機ユニット(3)が、1台から6台のトロリ(9)、好ましくは2台から4台のトロリを収容するように構成される、実施形態13から23のいずれか一項に記載のシステム。
[実施形態25] 前記凍結貯蔵庫(2)が、1台から6台のトロリ(9)、好ましくは2台から4台のトロリを収容するように構成される、実施形態13から24のいずれか一項に記載のシステム。
[実施形態26] 前記凍結乾燥機ユニット(3)および前記洗浄滅菌ユニット(5)の両側上に延在する第1の線(a)と第2の線(b)との間に通り抜け区間が画定され、前記第2の線(b)と第3の線(c)との間に充填区間が画定され、前記第1の線(a)と第4の線(d)との間に取出し区間が画定される、請求項13から25のいずれか一項に記載のシステム。
[実施形態27] 前記通り抜け区間、前記充填区間、および前記取出し区間が、クリーンルーム(10)内に配置される、実施形態26に記載のシステム。
[実施形態28] プロバイオティクス細菌、乳酸菌、ホエー派生物、酵母菌、細菌培養物から選択された製品を凍結乾燥させるための、請求項1から12のいずれか一項に記載の方法の使用。