特許第6491693号(P6491693)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6491693
(24)【登録日】2019年3月8日
(45)【発行日】2019年3月27日
(54)【発明の名称】顧客情報管理システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/02 20120101AFI20190318BHJP
   G06Q 10/00 20120101ALI20190318BHJP
【FI】
   G06Q30/02 300
   G06Q10/00
【請求項の数】10
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2017-111801(P2017-111801)
(22)【出願日】2017年6月6日
(65)【公開番号】特開2018-206134(P2018-206134A)
(43)【公開日】2018年12月27日
【審査請求日】2018年8月6日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】515109296
【氏名又は名称】株式会社ジーネクスト
(74)【代理人】
【識別番号】100137338
【弁理士】
【氏名又は名称】辻田 朋子
(72)【発明者】
【氏名】横治 祐介
【審査官】 山本 雅士
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−026405(JP,A)
【文献】 特開2004−086652(JP,A)
【文献】 特開2004−199223(JP,A)
【文献】 特表2017−528782(JP,A)
【文献】 特開2002−329033(JP,A)
【文献】 特開2002−092305(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2016/0034953(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 − 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の端末装置及び第2の端末装置間で送受信される電子メール中のメールデータに含まれている顧客情報を抽出する顧客情報抽出手段と;
抽出された前記メールデータに含まれている前記顧客情報を解析し、解析した前記顧客情報をデータベースに登録して顧客台帳を作成する顧客台帳作成手段と;
前記データベースにおける前記顧客台帳に基づいて、前記顧客情報に未収集項目があることを検出した場合、ウェブ検索エンジンと連携して前記未収集項目対応の不足顧客情報の充足を図る顧客情報充足手段と;
前記顧客台帳における顧客情報の収集項目に応じて予め定められた重み付け評価値を設定して、顧客情報の充足度を評価し、前記重み付け評価値の総和が所定値を満足するまでは、前記不足顧客情報の継続的充足処理を実施する顧客情報評価手段と;
を備える顧客情報管理装置。
【請求項2】
前記顧客情報評価手段は、
前記顧客情報の充足度を示す前記重み付け評価値の総和が第1所定値未満の第1段階であるときは、前記第1の端末装置と充足インタフェース画面を通して連携して、前記不足顧客情報の充足処理を促進する第1のアクションを実施し、
前記重み付け評価値の総和が第1所定値以上かつ第2所定値未満の第2段階であるときは、前記ウェブ検索エンジンと連携した前記不足顧客情報の充足処理を継続するための第2のアクションを実施し、
前記重み付け評価値の総和が第2所定値以上の第3段階であるときは、前記不足顧客情報の充足処理を終了する第3のアクションを実施する、
請求項1記載の顧客情報管理装置。
【請求項3】
前記予め定められた重み付け評価値は、顧客情報の項目に応じて定義されている基礎点及び付加点を含む、
請求項1または2記載の顧客情報管理装置。
【請求項4】
前記顧客情報は、前記電子メール中のメールヘッダ、本文及び署名欄におけるメールデータに含まれている個人情報及びビジネス実行組織体情報の双方を含む、
請求項1または2記載の顧客情報管理装置。
【請求項5】
前記顧客台帳は、前記顧客情報としての個人情報及びビジネス実行組織体情報の双方を含む、
請求項1または2記載の顧客情報管理装置。
【請求項6】
前記顧客台帳においては、メールアドレスをキー情報として他の顧客情報が対応付けられていて、前記メールアドレスは、取引先のビジネス実行組織体に所属する顧客により利用される前記第2の端末装置のメールアドレスである、
請求項1または2記載の顧客情報管理装置。
【請求項7】
前記第1の端末装置は、ビジネス実行組織体に所属する顧客担当者により利用され、前記第2の端末装置は、取引先のビジネス実行組織体に所属する顧客により利用される、
請求項1または2記載の顧客情報管理装置。
【請求項8】
第1の端末装置及び第2の端末装置間で送受信される電子メール中のメールデータに含まれている顧客情報を抽出し;
抽出された前記メールデータに含まれている前記顧客情報を解析し、解析した前記顧客情報をデータベースに登録して顧客台帳を作成し;
前記データベースにおける前記顧客台帳に基づいて、前記顧客情報に未収集項目があることを検出した場合、ウェブ検索エンジンと連携して前記未収集項目対応の不足顧客情報の充足を図り
前記顧客台帳における顧客情報の収集項目に応じて予め定められた重み付け評価値を設定して、顧客情報の充足度を評価し、前記重み付け評価値の総和が所定値を満足するまでは、前記不足顧客情報の継続的充足処理を実施する;
プロセッサを備える顧客情報管理装置。
【請求項9】
第1の端末装置及び第2の端末装置間で送受信される電子メール中のメールデータに含まれている顧客情報を抽出するステップと;
抽出された前記メールデータに含まれている前記顧客情報を解析し、解析した前記顧客情報をデータベースに登録して顧客台帳を作成するステップと;
前記データベースにおける前記顧客台帳に基づいて、前記顧客情報に未収集項目があることを検出した場合、ウェブ検索エンジンと連携して前記未収集項目対応の不足顧客情報の充足を図るステップと;
前記顧客台帳における顧客情報の収集項目に応じて予め定められた重み付け評価値を設定して、顧客情報の充足度を評価し、前記重み付け評価値の総和が所定値を満足するまでは、前記不足顧客情報の継続的充足処理を実施するステップと;
をプロセッサが実行する顧客情報管理方法。
【請求項10】
第1の端末装置及び第2の端末装置間で送受信される電子メール中のメールデータに含まれている顧客情報を抽出するステップと;
抽出された前記メールデータに含まれている前記顧客情報を解析し、解析した前記顧客情報をデータベースに登録して顧客台帳を作成するステップと;
前記データベースにおける前記顧客台帳に基づいて、前記顧客情報に未収集項目があることを検出した場合、ウェブ検索エンジンと連携して前記未収集項目対応の不足顧客情報の充足を図るステップと;
前記顧客台帳における顧客情報の収集項目に応じて予め定められた重み付け評価値を設定して、顧客情報の充足度を評価し、前記重み付け評価値の総和が所定値を満足するまでは、前記不足顧客情報の継続的充足処理を実施するステップと;
をプロセッサに実行させる顧客情報処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、顧客情報管理システムに関し、詳細には顧客情報管理装置、顧客情報管理方法及び顧客情報処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
電子メール(E−mail)サービスはインターネットなどの通信ネットワークの利用サービスとして最も普及している。電子メール(単に、メールと記載することもある)は通信ネットワークに接続されている電子メール端末装置間などで文字情報、音声情報、及び画像情報を含むメールデータを送受信する技術である。
【0003】
企業及び事業者などのビジネス実行組織体における顧客管理の重要性が益々増大している近年では、電子メールなどを利用して顧客情報を取得(収集)する技術が数々提案されている。
【0004】
例えば、特許文献1には、処理サーバが、顧客から送信されたメールの署名部分から顧客情報を取得すること、顧客との間で送受信されたメールの本文部分または添付ファイルを解析して顧客の業務内容を判断し、メールの署名部分から取得された顧客情報と、メールの本文部分または添付ファイルに基づいて判断された業務内容とを対応付けて記憶部の顧客データベースに記憶させて管理することに関する技術が開示されている。
【0005】
また、特許文献2には、様々な情報伝達経路を通じて取得された顧客からの要求やニーズ等の顧客情報を一元的に蓄積して活用することを可能とする顧客情報活用装置に関する技術が開示されている。この特許文献2には、集信サーバがクローラにて各サーバを周期的に巡回取得して顧客情報やEC顧客情報を収集してもよいことの開示がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2014−026405号公報
【特許文献2】特開2008−021202号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、これまでに提案されている顧客情報の取得(収集)に関する技術は未だ十分ではない。
【0008】
課題は、Web(ウェブ:World Wide Web)クローラ(Crawler)などのWeb検索エンジンと連携し、不足顧客情報の充足処理を遂行することにより、ビジネス実行組織体における顧客情報の利用価値を顧客担当者の手間を増大することなく向上することを可能にする技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、一態様の顧客情報管理装置は、第1の端末装置及び第2の端末装置間で送受信される電子メール中のメールデータに含まれている顧客情報を抽出する顧客情報抽出手段と;抽出された前記メールデータに含まれている前記顧客情報を解析し、解析した前記顧客情報をデータベースに登録して顧客台帳を作成する顧客台帳作成手段と;前記データベースにおける前記顧客台帳に基づいて、前記顧客情報に未収集項目があることを検出した場合、ウェブ検索エンジンと連携して前記未収集項目対応の不足顧客情報の充足を図る顧客情報充足手段とを備える。
【0010】
上記一態様の顧客情報管理装置は、前記顧客台帳における顧客情報の収集項目に応じて予め定められた重み付け評価値を設定して、顧客情報の充足度を評価し、前記重み付け評価値の総和が所定値を満足するまでは、前記不足顧客情報の継続的充足処理を実施する顧客情報評価手段を更に備える。
【0011】
上記一態様の顧客情報管理装置において、前記顧客情報評価手段は、前記顧客情報の充足度を示す前記重み付け評価値の総和が第1所定値未満の第1段階であるときは、前記第1の端末装置と充足インタフェース画面を通して連携して、前記不足顧客情報の充足処理を促進する第1のアクションを実施し、前記重み付け評価値の総和が第1所定値以上かつ第2所定値未満の第2段階であるときは、前記ウェブ検索エンジンと連携した前記不足顧客情報の充足処理を継続するための第2のアクションを実施し、前記重み付け評価値の総和が第2所定値以上の第3段階であるときは、前記不足顧客情報の充足処理を終了する第3のアクションを実施する。
【0012】
上記一態様の顧客情報管理装置において、前記予め定められた重み付け評価値は、顧客情報の項目に応じて定義されている基礎点及び付加点を含む。
【0013】
上記一態様の顧客情報管理装置において、前記顧客情報は、前記電子メール中のメールヘッダ、本文及び署名欄におけるメールデータに含まれている個人情報及びビジネス実行組織体情報の双方を含む。
【0014】
上記一態様の顧客情報管理装置において、前記顧客台帳は、前記顧客情報としての個人情報及びビジネス実行組織体情報の双方を含む。
【0015】
上記一態様の顧客情報管理装置において、前記顧客台帳においては、メールアドレスをキー情報として他の顧客情報が対応付けられていて、前記メールアドレスは、取引先のビジネス実行組織体に所属する顧客により利用される前記第2の端末装置のメールアドレスである。
【0016】
上記一態様の顧客情報管理装置において、前記第1の端末装置は、ビジネス実行組織体に所属する顧客担当者により利用され、前記第2の端末装置は、取引先のビジネス実行組織体に所属する顧客により利用される。
【0017】
他の態様の顧客情報管理装置は、第1の端末装置及び第2の端末装置間で送受信される電子メール中のメールデータに含まれている顧客情報を抽出し;抽出された前記メールデータに含まれている前記顧客情報を解析し、解析した前記顧客情報をデータベースに登録して顧客台帳を作成し;前記データベースにおける前記顧客台帳に基づいて、前記顧客情報に未収集項目があることを検出した場合、ウェブ検索エンジンと連携して前記未収集項目対応の不足顧客情報の充足を図るプロセッサを備える。
【0018】
別の態様の顧客情報管理方法は、第1の端末装置及び第2の端末装置間で送受信される電子メール中のメールデータに含まれている顧客情報を抽出するステップと;抽出された前記メールデータに含まれている前記顧客情報を解析し、解析した前記顧客情報をデータベースに登録して顧客台帳を作成するステップと;前記データベースにおける前記顧客台帳に基づいて、前記顧客情報に未収集項目があることを検出した場合、ウェブ検索エンジンと連携して前記未収集項目対応の不足顧客情報の充足を図るステップとをプロセッサが実行する。
【0019】
更に別の態様の顧客情報処理プログラムは、第1の端末装置及び第2の端末装置間で送受信される電子メール中のメールデータに含まれている顧客情報を抽出するステップと;抽出された前記メールデータに含まれている前記顧客情報を解析し、解析した前記顧客情報をデータベースに登録して顧客台帳を作成するステップと;前記データベースにおける前記顧客台帳に基づいて、前記顧客情報に未収集項目があることを検出した場合、ウェブ検索エンジンと連携して前記未収集項目対応の不足顧客情報の充足を図るステップとをプロセッサに実行させる。
【発明の効果】
【0020】
開示した技術によれば、WebクローラなどのWeb検索エンジンと連携し、不足顧客情報の充足処理を遂行することにより、ビジネス実行組織体における顧客情報の利用価値を顧客担当者の手間を増大することなく向上することが可能になる。
【0021】
他の課題、特徴及び利点は、図面及び特許請求の範囲とともに取り上げられる際に、以下に記載される発明を実施するための形態を読むことにより明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】一実施の形態の顧客情報管理システムの構成を示すブロック図。
図2】一実施の形態における顧客情報管理サーバの構成を示す図。
図3】一実施の形態における顧客情報、重み付けポイント、及び顧客台帳を説明するための図。
図4】一実施の形態における顧客情報処理を説明するための図。
図5図4中の処理S45の詳細を説明するための図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、添付図面を参照して、さらに詳細に説明する。図面には好ましい実施形態が示されている。しかし、多くの異なる形態で実施されることが可能であり、本明細書に記載される実施形態に限定されない。
【0024】
[顧客情報管理システム]
一実施の形態におけるシステム構成を示す図1を参照すると、顧客情報管理システム1は、顧客情報管理サーバ2、電子メールサーバ3、電子メール端末装置4、電子メール端末装置5、及び通信ネットワーク6を含む。
【0025】
通信ネットワーク6は、インターネット及びイントラネットなどのIP(Internet Protocol)ネットワークから構成され、顧客情報管理サーバ2、電子メールサーバ3、電子メール端末装置4、及び電子メール端末装置5をそれぞれ収容する。
【0026】
電子メール端末装置4,5は、パーソナルコンピュータなどのコンピュータ端末、ワークステーションなどのデータ端末、及びスマートフォンなどの携帯電話端末から構成され、それぞれ異なるメールアドレス(単に、アドレスと記載することもある)を割り当てられている。電子メール端末装置4,5は、電子メールソフトウェア(プログラム及びデータ)を有し、このソフトウェアを起動することにより、通信ネットワーク6及び電子メールサーバ3を介して電子メール(単に、メールと記載することもある)の送受信を行う。
【0027】
電子メール端末装置4は企業及び事業者などのビジネス実行組織体(ここでは、取引先企業B)に所属する顧客により利用され、電子メール端末装置5は企業及び事業者などのビジネス実行組織体(ここでは、企業A)に所属する顧客担当者(単に、担当者と記載することもある)により利用される。電子メール端末装置5を利用する顧客担当者が所属する企業Aは、後に詳述する顧客情報管理サーバ2の利用契約者である。ここでは、電子メール端末装置4,5は、代表の1個をそれぞれ図示しているが、実際にはそれぞれ複数個存在することになる。これら電子メール端末装置4,5のハードウェア及び機能の構成要素は、当業者が容易に理解でき、実施可能であるので、図示を省略している。
【0028】
電子メールポストである電子メールサーバ3はメールボックス(図示省略)を有し、このメールボックスには、電子メールの送信先(宛先)のメールアドレス毎にメールデータ(文字情報、音声情報、及び画像情報を含む)を格納するための記憶領域が割り当てられている。ある電子メール端末装置などから他の電子メール端末装置に宛てて送信された電子メールは、このメールボックスの対応記憶領域に格納され、送信先の電子メール端末装置がこの記憶領域からメールデータ、つまり自己宛の電子メールを読み出すことにより、電子メールの送受信が遂行される。この電子メールサーバ3はISP(インターネット接続事業者:Internet Service Provider)などによって運用及び管理されるサーバコンピュータであり、そのハードウェア及び機能の構成要素は、当業者が容易に理解でき、実施可能であるので、図示を省略している。
【0029】
顧客情報管理装置としての顧客情報管理サーバ2は、ASP(Application Service Provider)などによって運用及び管理されるサーバコンピュータであり、WebクローラなどのWeb検索エンジンと連携し、不足顧客情報の充足処理を遂行することにより、ビジネス実行組織体(企業A)における顧客情報の利用価値を更に向上することを可能にする。
【0030】
[顧客情報管理サーバの概要]
上述した顧客情報管理システム1における顧客情報管理サーバ2は、図2に例示するように、ハードウェア及び機能の構成要素を含んでいる。
【0031】
つまり、顧客情報管理サーバ2は、ハードウェア構成要素として、プロセッサとしてのCPU(Central Processing Unit)21と、作業用メモリとしてのRAM(Random Access Memory)22と、立ち上げのためのブートプログラムを格納したROM(Read Only Memory)23とを備える。
【0032】
また、顧客情報管理サーバ2は、OS(Operating System)、アプリケーションプログラム、及び各種情報(データを含む)を書換え可能に格納する不揮発性のフラッシュメモリ24と、通信制御部25と、NIC(Network Interface Card)などの通信インタフェース(IF)部26などとを更に備える。
【0033】
顧客情報管理サーバ2は、後に詳述する機能構成要素として、電子メール取得部201、顧客情報抽出部202、顧客台帳作成部203、顧客情報充足部204、Webクローラ205、顧客情報評価部206、及び顧客情報管理データベースDB1を備える。
【0034】
ここで、Webクローラ205はWeb検索エンジン(Web検索ソフトウェア)としてフラッシュメモリ24に格納される。また、顧客情報管理データベースDB1はフラッシュメモリ24に構成される。
【0035】
顧客情報管理サーバ2において上述した他の機能構成要素を論理的に実現するには、フラッシュメモリ24に顧客情報処理プログラムをアプリケーションプログラムとしてインストールしておく。そして、顧客情報管理サーバ2においては、電源投入を契機に、プロセッサ(CPU)21がこの処理プログラムをRAM22に常時展開して実行する。
【0036】
[顧客情報管理サーバの詳細]
図1図2及び関連図を併せ参照して更に詳述すると、顧客情報管理サーバ2における電子メール取得部201は、企業Aに所属する顧客担当者が利用する電子メール端末装置5から取引先企業Bに所属する顧客(つまり、企業Aの顧客)が利用する電子メール端末装置4に宛てて送信された電子メール(送信メール)、及び電子メール端末装置4から送信されて電子メール端末装置5により受信される電子メール(受信メール)を通信ネットワーク6からリアルタイムに取得する。取得した電子メールはFIFO(First in First out)形態のバッファメモリに蓄積される。
【0037】
電子メール取得部201によるこの取得行為は、電子メール端末装置5を利用する顧客担当者が所属する企業Aが顧客情報管理サーバ2の利用契約者であるので、予め許容されている。この取得部201が、電子メールを通信ネットワーク6(厳密には、通信ネットワーク6の伝送回線)から取得するためには、例えば、ネットワーク伝送信号の分岐・取出機能を有するTAP(タップ)を採用すればよい。
【0038】
顧客情報抽出部202は、電子メール取得部201により取得された電子メール中のメールヘッダ、本文、及び署名欄におけるメールデータ(メール文と記載することもある)に含まれている顧客情報を順次に抽出する。
【0039】
電子メール中のメールヘッダ(メールアドレス(宛先の種類:To,Cc,Bcc)及び件名を含む)、本文、及び署名欄におけるメールデータには、顧客情報として個人情報と企業情報(ビジネス実行組織体情報)とが含まれる。個人情報は、例えば、メールアドレス、氏名、性別、誕生日、趣味、所属部署、役職、直通電話(TEL)番号、及び直通ファクシミリ(FAX)番号などを含む。また、企業情報は、例えば、会社名、会社名フリガナ、会社郵便番号、会社住所、代表電話番号、及び代表ファクシミリ番号などを含む。この企業情報は後に詳述する企業付属情報を含む。
【0040】
顧客台帳作成部203は、顧客情報抽出部202により抽出された電子メール中のメールデータに含まれている顧客情報を解析し、解析した顧客情報を顧客情報管理データベースDB1に登録(新規登録)して顧客台帳を作成する。なお、顧客台帳作成部203は、顧客台帳を作成するとき、顧客情報管理データベースDB1に該当の顧客名簿(単に、名簿と記載することもある)が既に登録されていないことを顧客情報におけるメールアドレスに基づいて確認する。顧客台帳作成部203は、顧客情報管理データベースDB1に該当の顧客名簿が既に登録されている場合は、解析した顧客情報を上書きすることにより更新する。
【0041】
顧客情報管理データベースDB1に作成(登録)される顧客台帳は、顧客情報として個人情報と企業情報とを含む(図3参照)。この顧客台帳においては、顧客名簿のレコード毎にメールアドレスをキー情報として氏名などの他のデータが対応付けられる。ここで、メールアドレスは取引先企業Bに所属する顧客が利用する電子メール端末装置4のアドレスである。
【0042】
顧客情報充足部204は、顧客情報管理データベースDB1に登録(新規登録及び既登録)されている顧客台帳に基づいて、顧客情報の内容に未収集項目があることを検出した場合、Webクローラ205と連携して不足顧客情報(単に、不足情報と記載することもある)の充足を図る。Webクローラ205は、Web上の文書情報及び画像情報などを周期的に取得し、自動的にデータベース化するためのWeb検索エンジンである。顧客情報充足部204は、リアルタイム処理によりWebクローラ205と連携して不足顧客情報の充足を図るが、必要に応じて夜間などにバッチ処理で実施してもよい。
【0043】
顧客情報充足部204は、顧客情報管理データベースDB1に登録されている顧客台帳に基づいて、例えば、顧客情報に未収集項目として「企業付属情報」(図3参照)があることを検出した場合、Webクローラ205に対してこの不足情報の取得を依頼(指示)する。Webクローラ205は、Web検索により、対応の不足情報を顧客の所属する会社名などにより特定されるWebページから取得して顧客情報充足部204に報告する。
【0044】
顧客情報充足部204は、Webクローラ205から報告された企業付属情報を顧客情報として顧客台帳に反映し、不足情報を充足させる。この結果、顧客情報管理データベースDB1に登録されている顧客台帳は、企業付属情報を更に含むことになる。ここで、企業付属情報は、例えば、ホームページ(HP)アドレス、業種、会社規模/従業員数、業界順位、企業コード、東証コード、及び株式上場情報などを含む。
【0045】
また、顧客情報充足部204は、顧客情報管理データベースDB1に登録されている顧客台帳に基づいて、顧客情報に未収集項目として「個人情報」及び「企業情報」(図3参照)に含まれるいずれかの項目があることを検出した場合、Webクローラ205に対してこの不足情報の取得を依頼する。Webクローラ205は、同様のWeb検索により、対応の不足情報を取得して顧客情報充足部204に報告する。顧客情報充足部204は、Webクローラ205から報告された不足情報を顧客情報として顧客台帳に反映し、不足情報を充足させることになる。
【0046】
上述した顧客情報抽出部202がメールデータに含まれている顧客情報を抽出したり、顧客台帳作成部203がメールデータに含まれている顧客情報を解析したり、顧客情報充足部204が充足処理を実施するためには、既存の自然言語処理などの言語処理技術を採用すればよく、また必要に応じて自然言語理解のために人工知能(AI)の機械学習分析技術を併用すればよい。
【0047】
上述した一実施の形態の顧客情報管理サーバ2は、電子メール端末装置5及び電子メール端末装置4間で送受信される電子メールを通信ネットワーク6から取得し(図4中の処理S41参照);取得された電子メール中のメールデータに含まれている顧客情報を抽出し(図4中の処理S42参照);抽出されたメールデータに含まれている顧客情報を解析し、解析した顧客情報を顧客情報管理データベースDB1に登録して顧客台帳を作成し(図4中の処理S43参照);顧客情報管理データベースDB1における顧客台帳に基づいて、顧客情報に未収集項目があることを検出した場合、Webクローラ205と連携して未収集項目対応の不足顧客情報の充足を図る(図4中の処理S44参照)特徴を含む。
【0048】
上述した一実施の形態の顧客情報管理サーバ2においては、顧客情報充足部204がWebクローラ205と連携して不足顧客情報の充足処理を実施することにより、顧客情報処理を終了することになるが、終了前にシステム処理として名簿情報が顧客台帳の該当名簿に自動的に登録される。名簿情報には、例えば、登録日、登録者(顧客担当者)、更新日、及び更新者(顧客担当者)が含まれる。これらの名簿情報は、電子メール端末装置5の送受信メールにおけるメールデータと、標準時刻及び通算秒(積算秒)のいずれかとに基づいて取得される。
【0049】
一実施の形態の変形例としての顧客情報管理サーバ2は、後に詳述するように、顧客情報管理データベースDB1における顧客台帳に基づいて、顧客情報の充足度(顧客名簿の精度(完成度))を評価する(図4中の処理S45参照)特徴を更に含んでもよい。
【0050】
顧客情報管理サーバ2における顧客情報評価部206は、顧客情報管理データベースDB1における顧客台帳に基づいて、顧客情報の充足度を評価する。つまり、この評価部206は、予め定められた完成ポイント(評価値)を顧客台帳における顧客情報の収集項目に応じて付与する。そして、評価部206は、この完成ポイントを顧客台帳における顧客情報の各収集項目に明示的に反映する。
【0051】
評価値としての完成ポイントは、図3に例示するように、顧客情報の各項目に応じて重み付けされている。完成ポイントは、個人情報、企業情報、及び企業付属情報毎に定義される基礎ポイント及び付加ポイント(+X)を含む。これらの基礎ポイント及び付加ポイントは、パラメータであり、状況に応じて適宜変更可能である。基礎ポイントの総計は100ポイントである。基礎ポイント及び付加ポイントが定義された顧客情報は、定義ファイルとしてフラッシュメモリ24に予め格納されていて、顧客情報評価部206によって参照される。
【0052】
顧客情報評価部206は、顧客台帳における顧客情報の収集項目に応じて予め定められた重み付け完成ポイント(重み付け評価値)を設定して、顧客情報の充足度を評価し、完成ポイントの総計(総和)が所定値を満足するまでは、不足情報の継続的充足処理を指示する。顧客情報評価部206は、重み付け完成ポイントを設定するとき、顧客台帳における顧客情報の収集項目について、メールアドレスと会社名との一致など正確性を加味して、顧客情報の充足度を評価する。
【0053】
具体的には、顧客情報評価部206は、顧客情報の充足度を重み付け完成ポイントにより評価した結果に応じて、第1、第2及び第3のアクションを選択的に実施する。つまり、顧客情報評価部206は、完成ポイントの総計が第1所定値に達しない場合、つまり顧客情報の充足度を示す完成ポイントの総計が第1所定値(ここでは、55ポイント)未満の第1段階であるときは、不足情報(不足顧客情報)の充足処理を促進するための第1のアクションを実施する。
【0054】
また、顧客情報評価部206は、完成ポイントの総計が第2所定値に達しない場合、つまり完成ポイントの総計が第1所定値(ここでは、55ポイント)以上かつ第2所定値(ここでは、80ポイント)未満の第2段階であるときは、不足情報の充足処理を継続するための第2のアクションを実施する。
【0055】
さらに、顧客情報評価部206は、完成ポイントの総計が第2所定値に達した場合、つまり完成ポイントの総計が第2所定値(ここでは、80ポイント)以上の第3段階であるときは、不足情報の充足処理を終了するための第3のアクションを実施する。
【0056】
更に詳述すると、顧客情報評価部206は、図5に例示するように、顧客情報の充足度を示す完成ポイントの総計が55ポイント未満の第1段階であるときに実施する第1のアクションにおいては、不足情報の充足処理を促進するための依頼メールを作成し、企業Aに所属する顧客担当者の利用する電子メール端末装置5に対して、作成した依頼メールを通信制御部25及び通信IF部26と協働して送信する(図5中の処理S51参照)。なお、不明確にならない限り通信ネットワーク6及び電子メールサーバ3の介在を省略する。
【0057】
この依頼メールには、例えば、「あなたの送受信メールに基づいて作成した顧客台帳の名簿には、下記不足顧客情報がありますので下記URLをクリックし、名簿完成のお手伝いをお願いいたします。
不足顧客情報:性別、誕生日、趣味
https://********.******/****123456/」が記載されている。
【0058】
依頼メールを受信した電子メール端末装置5において、顧客担当者がURL(Uniform Resource Locator)をクリックすると、図示省略の情報編集画面(充足インタフェース画面)が表示される。顧客担当者が、この充足インタフェース画面において、不足顧客情報としての性別、誕生日、趣味に関する既知データの入力を終了すると、この不足顧客情報は、充足インタフェース画面を通して顧客情報管理サーバ2で受信された後、顧客情報評価部206により取得される(図5中の処理S52参照)。
【0059】
顧客情報評価部206は、取得した不足顧客情報に対応する性別、誕生日、趣味に関するデータを顧客台帳の該当名簿に反映するように、顧客台帳作成部203に指示する(図5中の処理S53参照)。顧客台帳作成部203はこの指示を遂行する。
【0060】
上述した第1のアクションについて補足すると、顧客情報充足部204がWebクローラ205と連携して不足顧客情報の充足処理を実施しても、実際のビジネス展開に貢献する可能性のある顧客情報、例えば、趣味などについては、自動的に取得(収集)し難い情報である。しかし、このような情報は顧客の実相を映し出すものであり、重要な項目である。顧客情報評価部206は、第1のアクションを実施することにより、顧客担当者が利用する電子メール端末装置5と充足インタフェース画面を通して連携して、不足顧客情報の充足を促進することができる。
【0061】
また、顧客情報評価部206は、顧客情報の充足度を示す完成ポイントの総計が55ポイント以上かつ80ポイント未満の第2段階であるときに実施する第2のアクションにおいては、不足情報の充足処理を継続することを電子メール取得部201、顧客情報抽出部202、顧客台帳作成部203及び顧客情報充足部204に指示する(図5中の処理S54参照)。このとき、顧客情報評価部206は現段階での不足情報を特定して通知してもよい。
【0062】
顧客情報評価部206から不足情報の充足処理の継続指示を受信し、現段階での不足情報が特定されている場合、顧客情報充足部204は、Webクローラ205と連携して特定の不足情報の充足を迅速に図ることが可能になる。
【0063】
さらに、顧客情報評価部206は、顧客情報の充足度を示す完成ポイントの総計が80ポイント以上の第3段階であるときに実施する第3のアクションにおいては、不足情報の充足処理を終了することを告知するために、顧客情報管理データベースDB1における顧客台帳の該当名簿に対応する終了フラグをオン「1」状態に設定する(図5中の処理S55参照)。
【0064】
そして、顧客情報評価部206は、不足情報の充足処理を終了することを告知するための連絡メールを作成し、顧客担当者の利用する電子メール端末装置5に対して、作成した連絡メールを通信制御部25及び通信IF部26と協働して送信する(図5中の処理S56参照)。この連絡メールには、例えば、「あなたの送受信メールに基づいて作成した顧客台帳の名簿は完成しましたので連絡いたします。」が記載されている。
【0065】
連絡メールを受信した電子メール端末装置5において、顧客担当者が確認メールを返信すると、この確認メールは、顧客情報管理サーバ2で受信された後、顧客情報評価部206により取得される(図5中の処理S57参照)。
【0066】
確認メールを取得した顧客情報評価部206は、顧客台帳の該当名簿に基づいて顧客担当者の貢献度を評価し、この貢献度評価結果を名簿情報として顧客台帳の該当名簿に設定する(図5中の処理S58参照)。
【0067】
上述した顧客情報評価部206が実施する処理においても、上記言語処理技術及び上記機械学習分析技術を採用可能である。
【0068】
[一実施の形態における効果]
上述した一実施の形態の顧客情報管理システム1における顧客情報管理サーバ2は、電子メール端末装置5及び電子メール端末装置4間で送受信される電子メールを通信ネットワーク6から取得し;取得された電子メール中のメールデータに含まれている顧客情報を抽出し;抽出されたメールデータに含まれている顧客情報を解析し、解析した顧客情報を顧客情報管理データベースDB1に登録して顧客台帳を作成し;顧客情報管理データベースDB1における顧客台帳に基づいて、顧客情報に未収集項目があることを検出した場合、Webクローラ205と連携して未収集項目対応の不足顧客情報の充足を図ることにより、電子メール端末装置5を利用する顧客担当者が所属するビジネス実行組織体(企業A)における顧客情報の利用価値を顧客担当者の手間を増大することなく向上することができる。また、各顧客担当者に埋もれがちであった顧客情報(例えば、名刺情報)が組織として自動的に共有可能になり、各種作業の生産性を飛躍的に向上させることができる。
【0069】
また、顧客情報管理サーバ2は、顧客台帳における顧客情報の収集項目に応じて予め定められた重み付け評価値を設定して、顧客情報の充足度を評価し、重み付け評価値の総和が所定値を満足するまでは、電子メール端末装置5と充足インタフェース画面を通して連携するか、Webクローラ205と連携して、不足顧客情報の継続的充足処理を実施することにより、顧客台帳の名簿の精度(完成度)向上を推進することができる。
【0070】
さらに、顧客情報管理サーバ2は、顧客台帳の名簿に基づいて顧客担当者の貢献度を評価し、この貢献度評価結果を名簿情報として顧客台帳の名簿に設定することにより、顕彰制度に反映したり、顧客台帳の名簿を利用するCRM(Customer Relationship Management)などの他の顧客情報管理システムへの連携を図ることも可能である。
【0071】
[他の変形例]
上述した一実施の形態における処理はコンピュータで実行可能なプログラムとして提供され、CD−ROMやフレキシブルディスクなどの非一時的コンピュータ可読記録媒体、さらには通信回線を経て提供可能である。
【0072】
また、上述した一実施の形態における各処理はその任意の複数または全てを選択し組合せて実施することもできる。
【符号の説明】
【0073】
1 顧客情報管理システム
2 顧客情報管理サーバ
3 電子メールサーバ
4 電子メール端末装置
5 電子メール端末装置
6 通信ネットワーク
DB1 顧客情報管理データベース
201 電子メール取得部
202 顧客情報抽出部
203 顧客台帳作成部
204 顧客情報充足部
205 Webクローラ
206 顧客情報評価部
図1
図2
図3
図4
図5