特許第6491694号(P6491694)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6491694-運動用靴下 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6491694
(24)【登録日】2019年3月8日
(45)【発行日】2019年3月27日
(54)【発明の名称】運動用靴下
(51)【国際特許分類】
   A41B 11/00 20060101AFI20190318BHJP
   A41D 13/00 20060101ALI20190318BHJP
【FI】
   A41B11/00 J
   A41D13/00 115
【請求項の数】12
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2017-115204(P2017-115204)
(22)【出願日】2017年6月12日
(65)【公開番号】特開2019-2080(P2019-2080A)
(43)【公開日】2019年1月10日
【審査請求日】2017年6月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】591038820
【氏名又は名称】株式会社デサント
(74)【代理人】
【識別番号】110002837
【氏名又は名称】特許業務法人アスフィ国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100075409
【弁理士】
【氏名又は名称】植木 久一
(74)【代理人】
【識別番号】100129757
【弁理士】
【氏名又は名称】植木 久彦
(74)【代理人】
【識別番号】100115082
【弁理士】
【氏名又は名称】菅河 忠志
(74)【代理人】
【識別番号】100125243
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 浩彰
(72)【発明者】
【氏名】水谷 周平
(72)【発明者】
【氏名】神谷 将志
(72)【発明者】
【氏名】戸床 文彦
【審査官】 木原 裕二
(56)【参考文献】
【文献】 実開平03−081302(JP,U)
【文献】 特開2012−153992(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3134462(JP,U)
【文献】 登録実用新案第3093347(JP,U)
【文献】 特開2016−204780(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3121092(JP,U)
【文献】 特開2002−201502(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A41B 11/00 − 11/14
A41D 13/00 − 13/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
足裏の外面側に滑り止め部材を有する運動用靴下であって、
拇趾球部に複数の第1滑り止め部材を有しており、
前記第1滑り止め部材は、前記第1滑り止め部材の内方側端が前記第1滑り止め部材の外方側端よりも踵側に近く、
かつ、前記足裏において、親指の先端と前記踵の先端とを結ぶ線と各々の前記第1滑り止め部材の長軸方向との、爪先側に開く外方側の角度の平均が50度以上75度以下であり、
かつ、前記第1滑り止め部材の形状は、前記爪先側が凸であって、かつ前記踵側が凹である形状であることを特徴とする運動用靴下。
但し、
[拇趾球部]:拇趾球に重なる円状領域であって当該円の直径が靴下の最大幅の1/4である。
【請求項2】
踵部に複数の第2滑り止め部材を有しており、
前記足裏において、前記親指の先端と前記踵の先端とを結ぶ線と各々の前記第2滑り止め部材の長軸方向との、前記爪先側に開く外方側の角度の平均が80度以上120度以下である請求項1に記載の運動用靴下。
但し、
[踵部]:足裏を長さ方向に7等分したときの最も踵側に位置する領域。
【請求項3】
踵部に複数の第2滑り止め部材を有しており、
複数の前記第2滑り止め部材は、放射状に配列されている請求項1に記載の運動用靴下。
但し、
[踵部]:足裏を長さ方向に7等分したときの最も踵側に位置する領域。
【請求項4】
小指球部に複数の第3滑り止め部材を有しており、
前記第3滑り止め部材は、前記第3滑り止め部材の内方側端が前記第3滑り止め部材の外方側端よりも踵側に近く、
前記足裏において、前記親指の先端と前記踵の先端とを結ぶ線と各々の前記第3滑り止め部材の長軸方向との、前記爪先側に開く外方側の角度の平均が50度以上100度未満である請求項1〜3のいずれか一項に記載の運動用靴下。
但し、
[小指球部]:小指球に重なる円状領域であって当該円の直径が靴下の最大幅の1/4である。
【請求項5】
部よりも前記爪先側かつ前記拇趾球部よりも前記踵側に第4滑り止め部材を有しており、
前記第4滑り止め部材は、前記第4滑り止め部材の外方側端が前記第4滑り止め部材の内方側端よりも踵側に近く、
前記足裏において、前記親指の先端と前記踵の先端とを結ぶ線と前記第4滑り止め部材の長軸方向との、前記踵側に開く外方側の角度が20度以上110度以下である請求項1〜4のいずれか一項に記載の運動用靴下。
但し、
[踵部]:足裏を長さ方向に7等分したときの最も踵側に位置する領域。
【請求項6】
指部に複数の第5滑り止め部材を有しており、
前記足裏において、前記親指の先端と前記踵の先端とを結ぶ線と各々の前記第5滑り止め部材の長軸方向との、前記爪先側に開く外方側の角度の平均が80度以上120度以下である請求項1〜5のいずれか一項に記載の運動用靴下。
【請求項7】
土踏まずよりも外方側に第6滑り止め部材を有しており、
前記足裏において、前記親指の先端と前記踵の先端とを結ぶ線と前記第6滑り止め部材
の長軸方向との、前記爪先側に開く外方側の角度が80度以上120度以下である請求項1〜6のいずれか一項に記載の運動用靴下。
【請求項8】
複数の前記第1滑り止め部材、踵部に配置されている複数の第2滑り止め部材、小指球部に配置されている複数の第3滑り止め部材、前記踵部よりも前記爪先側かつ前記拇趾球部よりも前記踵側に配置されている複数の第4滑り止め部材、指部に配置されている複数の第5滑り止め部材および土踏まずよりも外方側に配置されている複数の第6滑り止め部材の少なくともいずれか1つは、前記足裏において、前記親指の先端と前記踵の先端とを結ぶ線と各々の該滑り止め部材の長軸方向とがなす各角度の差が10度以下(0度を含む)である請求項1〜7のいずれか一項に記載の運動用靴下。
但し、
[踵部]:足裏を長さ方向に7等分したときの最も踵側に位置する領域。
[小指球部]:小指球に重なる円状領域であって当該円の直径が靴下の最大幅の1/4である。
【請求項9】
横方向に隣接する複数の前記第1滑り止め部材、踵部に配置されている複数の第2滑り止め部材、小指球部に配置されている複数の第3滑り止め部材、前記踵部よりも前記爪先側かつ前記拇趾球部よりも前記踵側に配置されている複数の第4滑り止め部材、指部に配置されている複数の第5滑り止め部材および土踏まずよりも外方側に配置されている複数の第6滑り止め部材の少なくともいずれか1つは、隣り合う該滑り止め部材の間隔が、1mm以上20mm以下である請求項1〜8のいずれか一項に記載の運動用靴下。
但し、
[踵部]:足裏を長さ方向に7等分したときの最も踵側に位置する領域。
[小指球部]:小指球に重なる円状領域であって当該円の直径が靴下の最大幅の1/4である。
【請求項10】
複数の前記第1滑り止め部材、踵部に配置されている複数の第2滑り止め部材、小指球部に配置されている複数の第3滑り止め部材、前記踵部よりも前記爪先側かつ前記拇趾球部よりも前記踵側に配置されている複数の第4滑り止め部材、指部に配置されている複数の第5滑り止め部材および土踏まずよりも外方側に配置されている複数の第6滑り止め部材の少なくともいずれか1つは、各々の該滑り止め部材の長軸方向の長さの平均が短軸方向の長さの平均の2倍以上12倍以下である請求項1〜9のいずれか一項に記載の運動用靴下。
但し、
[踵部]:足裏を長さ方向に7等分したときの最も踵側に位置する領域。
[小指球部]:小指球に重なる円状領域であって当該円の直径が靴下の最大幅の1/4である。
【請求項11】
複数の前記第1滑り止め部材、踵部に配置されている複数の第2滑り止め部材、小指球部に配置されている複数の第3滑り止め部材、前記踵部よりも前記爪先側かつ前記拇趾球部よりも前記踵側に配置されている複数の第4滑り止め部材、指部に配置されている複数の第5滑り止め部材および土踏まずよりも外方側に配置されている複数の第6滑り止め部材の少なくともいずれか1つは、各々の該滑り止め部材の短軸方向の長さの平均が2mm以上である請求項1〜10のいずれか一項に記載の運動用靴下。
但し、
[踵部]:足裏を長さ方向に7等分したときの最も踵側に位置する領域。
[小指球部]:小指球に重なる円状領域であって当該円の直径が靴下の最大幅の1/4である。
【請求項12】
複数の前記第1滑り止め部材、踵部に配置されている複数の第2滑り止め部材、小指球部に配置されている複数の第3滑り止め部材、前記踵部よりも前記爪先側かつ前記拇趾球部よりも前記踵側に配置されている複数の第4滑り止め部材、指部に配置されている複数の第5滑り止め部材および土踏まずよりも外方側に配置されている複数の第6滑り止め部材の少なくともいずれか1つは、各々の該滑り止め部材の長軸方向の長さの平均が12mm以下である請求項1〜11のいずれか一項に記載の運動用靴下。
但し、
[踵部]:足裏を長さ方向に7等分したときの最も踵側に位置する領域。
[小指球部]:小指球に重なる円状領域であって当該円の直径が靴下の最大幅の1/4である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は靴下に関するものであり、詳細には足裏部に滑り止め部材を有する靴下に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、靴と足との衝撃を吸収して足を保護する目的や、足の保温、汗を吸収して足を乾燥させるために靴下を着用する。靴下を着用した状態で靴を履き、歩行等をした際に、靴の内部において靴の中敷きと靴下との間に滑りが生じ、着用者の運動能力の低下を引き起こすという問題があった。靴下着用時の足裏の滑りを抑制するために、足裏部分に滑り止め用の突起を設けた靴下(例えば、特許文献1〜2参照)や、足裏部分を摩擦係数の高い糸で構成した靴下(例えば、特許文献3〜4参照)が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−7204号公報
【特許文献2】実用新案登録第3161737号公報
【特許文献3】特開2006−97189号公報
【特許文献4】実用新案登録第3167965号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1〜4に記載されているような構造の靴下では、走ったり跳躍したりする等の運動時における、靴下着用時の足裏と靴の中敷きとの滑りを防ぐ効果が不十分であり、更に改善の余地があると考えられる。
【0005】
本発明は、前記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、足裏の滑りを防止する効果を有しており、着用者の運動能力を向上させる靴下を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決することができた本発明の靴下は、足裏の外面側に滑り止め部材を有する靴下であって、拇趾球部に複数の第1滑り止め部材を有しており、第1滑り止め部材は、第1滑り止め部材の内方側端が第1滑り止め部材の外方側端よりも踵側に近く、足裏において、親指の先端と踵の先端とを結ぶ線と各々の第1滑り止め部材の長軸方向との、爪先側に開く外方側の角度の平均が50度以上100度未満であることを特徴とするものである。但し、拇趾球部は、拇趾球に重なる円状領域であって当該円の直径が靴下の最大幅の1/4である。
【0007】
上記の靴下は、踵部に複数の第2滑り止め部材を有しており、足裏において、親指の先端と踵の先端とを結ぶ線と各々の第2滑り止め部材の長軸方向との、爪先側に開く外方側の角度の平均が80度以上120度以下であることが好ましい。但し、踵部は、足裏を長さ方向に7等分したときの最も踵側に位置する領域である。
【0008】
上記の靴下において、踵部に複数の第2滑り止め部材を有しており、複数の第2滑り止め部材は、放射状に配列されていることが好ましい。但し、踵部は、足裏を長さ方向に7等分したときの最も踵側に位置する領域である。
【0009】
上記の靴下は、小指球部に複数の第3滑り止め部材を有しており、第3滑り止め部材は、第3滑り止め部材の内方側端が第3滑り止め部材の外方側端よりも踵側に近く、足裏において、親指の先端と踵の先端とを結ぶ線と各々の第3滑り止め部材の長軸方向との、爪先側に開く外方側の角度の平均が50度以上100度未満であることが好ましい。但し、小指球部は、小指球に重なる円状領域であって当該円の直径が靴下の最大幅の1/4である。
【0010】
上記の靴下は、踵部よりも爪先側かつ拇趾球部よりも踵側に第4滑り止め部材を有しており、第4滑り止め部材は、第4滑り止め部材の外方側端が第4滑り止め部材の内方側端よりも踵側に近く、足裏において、親指の先端と踵の先端とを結ぶ線と第4滑り止め部材の長軸方向との、踵側に開く外方側の角度が20度以上110度以下であることが好ましい。
【0011】
上記の靴下は、指部に複数の第5滑り止め部材を有しており、足裏において、親指の先端と踵の先端とを結ぶ線と各々の第5滑り止め部材の長軸方向との、爪先側に開く外方側の角度の平均が80度以上120度以下であることが好ましい。
【0012】
上記の靴下は、土踏まずよりも外方側に第6滑り止め部材を有しており、足裏において、親指の先端と踵の先端とを結ぶ線と第6滑り止め部材の長軸方向との、爪先側に開く外方側の角度が80度以上120度以下であることが好ましい。
【0013】
上記の靴下において、複数の第1滑り止め部材、複数の第2滑り止め部材、複数の第3滑り止め部材、複数の第4滑り止め部材、複数の第5滑り止め部材および複数の第6滑り止め部材の少なくともいずれか1つは、足裏において、親指の先端と踵の先端とを結ぶ線と各々の該滑り止め部材の長軸方向とがなす各角度の差が10度以下(0度を含む)であることが好ましい。
【0014】
上記の靴下において、複数の第1滑り止め部材、複数の第2滑り止め部材、複数の第3滑り止め部材、複数の第4滑り止め部材、複数の第5滑り止め部材および複数の第6滑り止め部材の少なくともいずれか1つは、隣り合う該滑り止め部材の間隔が、1mm以上20mm以下であることが好ましい。
【0015】
上記の靴下において、複数の第1滑り止め部材、複数の第2滑り止め部材、複数の第3滑り止め部材、複数の第4滑り止め部材、複数の第5滑り止め部材および複数の第6滑り止め部材の少なくともいずれか1つは、各々の該滑り止め部材の長軸方向の長さの平均が短軸方向の長さの平均の2倍以上12倍以下であることが好ましい。
【0016】
上記の靴下において、複数の第1滑り止め部材、複数の第2滑り止め部材、複数の第3滑り止め部材、複数の第4滑り止め部材、複数の第5滑り止め部材および複数の第6滑り止め部材の少なくともいずれか1つは、各々の該滑り止め部材の短軸方向の長さの平均が2mm以上であることが好ましい。
【0017】
上記の靴下において、複数の第1滑り止め部材、複数の第2滑り止め部材、複数の第3滑り止め部材、複数の第4滑り止め部材、複数の第5滑り止め部材および複数の第6滑り止め部材の少なくともいずれか1つは、各々の該滑り止め部材の長軸方向の長さの平均が12mm以下であることが好ましい。
【発明の効果】
【0018】
本発明の靴下は、足裏の外面側に滑り止め部材を有する靴下であって、拇趾球部に複数の第1滑り止め部材を有しており、第1滑り止め部材は、第1滑り止め部材の内方側端が第1滑り止め部材の外方側端よりも踵側に近く、足裏において、親指の先端と踵の先端とを結ぶ線と各々の第1滑り止め部材の長軸方向との、爪先側に開く外方側の角度の平均が50度以上100度未満であることを特徴とする。靴下がこのような構成であることにより、足裏の滑りを防止し、着用者の運動能力を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の実施の形態における靴下の足裏の外面側の一例を表す。
図2】本発明の実施の形態における靴下の足裏の外面側の他の一例を表す。
図3】本発明の実施の形態における靴下の滑り止め部材の拡大図を表す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、下記実施の形態に基づき本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施の形態によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。また、図面における種々部材の寸法は、本発明の特徴の理解に資することを優先しているため、実際の寸法とは異なる場合がある。
【0021】
本発明に係る靴下は、足裏の外面側に滑り止め部材を有する靴下であって、拇趾球部に複数の第1滑り止め部材を有しており、第1滑り止め部材は、第1滑り止め部材の内方側端が第1滑り止め部材の外方側端よりも踵側に近く、足裏において、親指の先端と踵の先端とを結ぶ線と各々の第1滑り止め部材の長軸方向との、爪先側に開く外方側の角度の平均が50度以上100度未満であることを特徴とするものである。
【0022】
本発明において、靴下の外面側とは、靴下の着用時に着用者から見て外気側を意味する。靴下の肌面側とは、外面側とは反対の、着用者側を意味する。また、外方側とは、靴下の着用時に着用者から見て着用者の土踏まずとは反対の方向を指す。内方側とは、外方側とは反対の、着用者の土踏まず側の方向を指す。
【0023】
図1および図2に示すように、本発明の靴下1は、足裏の外面側に滑り止め部材70を有している。なお、図1および図2は、右足用の靴下を図示しており、紙面の上側が爪先側、下側が踵側、右側が土踏まず側であり内方側、左側が土踏まずとは反対側であり外方側にそれぞれ相当する。左足用の靴下は、右足用の靴下の対称とすればよい。
【0024】
滑り止め部材70は、靴下1の着用時に足裏部分と靴の中敷きとの滑りを防止する。このことによって、マラソンやランニング等の走る運動、バレーボールやバスケットボール等の跳ぶ運動等の際に足裏部で発生する力のロスを軽減することができ、着用者の運動能力を向上させることが可能となる。
【0025】
滑り止め部材70を構成する材質は、特に限定されず、ウレタン樹脂、シリコン樹脂、塩化ビニール樹脂等の合成樹脂、天然ゴム等が挙げられる。中でも、シリコン樹脂であることが好ましい。滑り止め部材70を構成する材質がこのようになっていることにより、滑り止め効果を高め、また、滑り止め部材70の耐久性を高くすることができる。
【0026】
靴下1は、拇趾球部4に複数の第1滑り止め部材10を有している。拇趾球部4とは、拇趾球に重なる円状領域であって当該円の直径が靴下の最大幅の1/4である。この円状領域の中心点が必ずしも拇趾球の中心点と一致している必要はなく、円状領域の少なくとも一部が拇趾球と重なっていればよい。拇趾球部4は、足裏において、運動時に最も荷重が加わる部分であり、滑りが発生しやすい。そのため、拇趾球部4に複数の第1滑り止め部材10を配置することにより、足裏の滑りを防止することができる。
【0027】
第1滑り止め部材10は、第1滑り止め部材10の内方側端が第1滑り止め部材10の外方側端よりも踵側に近く、足裏において、親指の先端2と踵の先端3とを結ぶ線Xと各々の第1滑り止め部材10の長軸方向との、爪先側に開く外方側の角度θ1の平均が50度以上100度未満であるように配置されている。すなわち、第1滑り止め部材10の土踏まず側が、土踏まずの反対側よりも下方となるように傾斜して配置されている。第1滑り止め部材10がこのように配置されていることにより、拇趾球部4に加わる応力の向きに沿って第1滑り止め部材10を配置することができ、拇趾球部4の滑りを防止する効果を高めることができる。
【0028】
親指の先端2と踵の先端3とを結ぶ線Xと各々の第1滑り止め部材10の長軸方向との、爪先側に開く外方側の角度θ1の平均は、55度以上であることが好ましく、60度以上であることがより好ましく、65度以上であることがさらに好ましい。また、親指の先端2と踵の先端3とを結ぶ線Xと各々の第1滑り止め部材10の長軸方向との、爪先側に開く外方側の角度θ1の平均は、95度以下であることが好ましく、85度以下であることがより好ましく、75度以下であることがさらに好ましい。第1滑り止め部材10の角度θ1の上限値および下限値をこのように設定することにより、拇趾球部4において発生する滑りを効果的に防ぐことが可能となる。
【0029】
複数の第1滑り止め部材10において、各々の第1滑り止め部材10の配置は、親指の先端2と踵の先端3とを結ぶ線Xと各々の第1滑り止め部材10の長軸方向との、爪先側に開く外方側の角度θ1の平均が50度以上100度未満であればよく、全ての第1滑り止め部材10の角度θ1が同じであってもよく、異なっていてもよい。また、各々の第1滑り止め部材10が配置されている間隔も、一定であってもよく、異なっていてもよい。第1滑り止め部材10の好ましい配置の詳細については、後述する。
【0030】
第1滑り止め部材10を構成する材質は、滑り止め部材70を構成する材質として挙げたものを使用することができる。中でも、シリコン樹脂を有していることが好ましい。第1滑り止め部材10を構成する材質がこのようになっていることにより、拇趾球部4の滑り止め効果を高めることができる。
【0031】
第1滑り止め部材10の形状は、特に限定されず、複数の第1滑り止め部材10の全ての形状が同じであってもよく、異なる形状のものが含まれていてもよい。中でも、複数の第1滑り止め部材10の全ての形状が同じであることが好ましい。第1滑り止め部材10がこのようになっていることにより、拇趾球部4全体の滑り止め防止効果を一定のものとすることができる。なお、第1滑り止め部材10の好ましい形状の詳細については、後述する。
【0032】
靴下1は、踵部5に複数の第2滑り止め部材20を有していることが好ましい。踵部5とは、足裏を長さ方向に7等分したときの最も踵側に位置する領域である。踵部5も、運動時に荷重が加わりやすい部分であって滑りやすい。そのため、踵部5に複数の第2滑り止め部材20を配置することにより、足裏の踵部5の滑りを防止することができる。
【0033】
第2滑り止め部材20は、足裏において、親指の先端2と踵の先端3とを結ぶ線Xと各々の第2滑り止め部材20の長軸方向との、爪先側に開く外方側の角度θ2の平均が80度以上であることが好ましく、85度以上であることがより好ましく、90度以上であることがさらに好ましい。また、親指の先端2と踵の先端3とを結ぶ線Xと各々の第2滑り止め部材20の長軸方向との、爪先側に開く外方側の角度θ2の平均が120度以下であることが好ましく、115度以下であることがより好ましく、110度以下であることがさらに好ましい。第2滑り止め部材20の角度θ2の上限値および下限値をこのように設定することにより、踵部5に加わる応力の向きに沿って第2滑り止め部材20を配置することができ、踵部5の滑りを防止する効果を高めることができる。
【0034】
複数の第2滑り止め部材20において、全ての第2滑り止め部材20の角度θ2が同じであってもよく、異なっていてもよい。また、各々の第2滑り止め部材20が配置されている間隔も、一定であってもよく、異なっていてもよい。第2滑り止め部材20の好ましい配置の詳細については、後述する。
【0035】
また、第2滑り止め部材20は、放射状に配列されていることも好ましい。第2滑り止め部材20がこのように配置されていることにより、特に跳躍する運動時に踵部5の滑りを防ぐ効果を高めることができる。
【0036】
第2滑り止め部材20を構成する材質は、滑り止め部材70を構成する材質として挙げたものを使用することができる。中でも、シリコン樹脂であることが好ましい。第2滑り止め部材20を構成する材質がこのようになっていることにより、踵部5の滑り止め効果を高めることができる。
【0037】
第2滑り止め部材20の形状は、特に限定されず、複数の第2滑り止め部材20の全ての形状が同じであってもよく、異なる形状のものが含まれていてもよい。中でも、複数の第2滑り止め部材20の全ての形状が同じであることが好ましい。第2滑り止め部材20がこのようになっていることにより、踵部5全体の滑り止め防止効果を一定のものとすることができる。なお、第2滑り止め部材20の好ましい形状の詳細については、後述する。
【0038】
靴下1は、小指球部6に複数の第3滑り止め部材30を有していることが好ましい。小指球部6とは、小指球に重なる円状領域であって当該円の直径が靴下の最大幅の1/4である。この円状領域の中心点が必ずしも小指球の中心点と一致している必要はなく、円状領域の少なくとも一部が小指球と重なっていればよい。小指球部6に複数の第3滑り止め部材30を配置することにより、足裏において、荷重の加わりやすい部分である小指球部6の滑りを防ぐことができる。
【0039】
第3滑り止め部材30は、第3滑り止め部材30の内方側端が第3滑り止め部材30の外方側端よりも踵側に近く、足裏において、親指の先端2と踵の先端3とを結ぶ線Xと各々の第3滑り止め部材30の長軸方向との、爪先側に開く外方側の角度θ3の平均が50度以上100度未満であるように配置されていることが好ましい。すなわち、第3滑り止め部材30の土踏まず側が、土踏まずの反対側よりも下方となるように傾斜して配置されている。第3滑り止め部材30がこのように配置されていることにより、小指球部6に加わる応力の向きに沿って第3滑り止め部材30を配置することができ、小指球部6の滑りを防止する効果を高めることができる。
【0040】
第3滑り止め部材30は、足裏において、親指の先端2と踵の先端3とを結ぶ線Xと各々の第3滑り止め部材30の長軸方向との、爪先側に開く外方側の角度θ3の平均が50度以上であることが好ましく、55度以上であることがより好ましく、60度以上であることがさらに好ましく、65度以上であることが特に好ましい。また、親指の先端2と踵の先端3とを結ぶ線Xと各々の第3滑り止め部材30の長軸方向との、爪先側に開く外方側の角度θ3の平均が95度以下であることが好ましく、85度以下であることがより好ましく、75度以下であることがさらに好ましい。第3滑り止め部材30の角度θ3の上限値および下限値をこのように設定することにより、小指球部6に加わる応力の向きに沿って第3滑り止め部材30を配置することができ、小指球部6の滑りを防止する効果を高めることができる。
【0041】
複数の第3滑り止め部材30において、全ての第3滑り止め部材30の角度θ3が同じであってもよく、異なっていてもよい。また、各々の第3滑り止め部材30が配置されている間隔も、一定であってもよく、異なっていてもよい。第3滑り止め部材30の好ましい配置の詳細については、後述する。
【0042】
第3滑り止め部材30を構成する材質は、滑り止め部材70を構成する材質として挙げたものを使用することができる。中でも、シリコン樹脂であることが好ましい。第3滑り止め部材30を構成する材質がこのようになっていることにより、小指球部6の滑り止め効果を高めることができる。
【0043】
第3滑り止め部材30の形状は、特に限定されず、複数の第3滑り止め部材30の全ての形状が同じであってもよく、異なる形状のものが含まれていてもよい。中でも、複数の第3滑り止め部材30の全ての形状が同じであることが好ましい。第3滑り止め部材30がこのようになっていることにより、小指球部6全体の滑り止め防止効果を一定のものとすることができる。なお、第3滑り止め部材30の好ましい形状の詳細については、後述する。
【0044】
靴下1は、踵部5よりも爪先側かつ拇趾球部4よりも踵側に第4滑り止め部材40を有していることが好ましい。すなわち、踵部5と拇趾球部4との間の部分に第4滑り止め部材40が配置されていることが好ましい。踵部5と拇趾球部4との間の部分は、運動時に足裏に加わる力の向きが大きく変化する部分であり、この部分に第4滑り止め部材40を配置して、滑りを抑えることによって運動能力を向上させることができる。
【0045】
第4滑り止め部材40は、第4滑り止め部材40の外方側端が第4滑り止め部材40の内方側端よりも踵側に近く、足裏において、親指の先端2と踵の先端3とを結ぶ線Xと各々の第4滑り止め部材40の長軸方向との、踵側に開く外方側の角度θ4が20度以上110度以下であるように配置されていることが好ましい。すなわち、第4滑り止め部材40の土踏まずの反対側が、土踏まず側よりも下方となるように傾斜して配置されている。第4滑り止め部材40がこのように配置されていることにより、踵から土踏まずよりも外側の部分に加わる応力の向きに沿って第4滑り止め部材40を配置することができ、この部分の滑りを防止する効果を高めることができる。
【0046】
第4滑り止め部材40は、足裏において、親指の先端2と踵の先端3とを結ぶ線Xと第4滑り止め部材40の長軸方向との、踵側に開く外方側の角度θ4が20度以上であることが好ましく、25度以上であることがより好ましく、30度以上であることがさらに好ましく、35度以上であることが特に好ましい。また、親指の先端2と踵の先端3とを結ぶ線Xと第4滑り止め部材40の長軸方向との、踵側に開く外方側の角度θ4の平均が110度以下であることが好ましく、105度以下であることがより好ましく、100度以下であることがさらに好ましく、95度以下であることが特に好ましい。第4滑り止め部材40の角度θ4の上限値および下限値をこのように設定することにより、踵から土踏まずよりも外側の部分に加わる応力の向きに沿って第4滑り止め部材40を配置することができ、この部分の滑りを防止する効果を高めることができる。
【0047】
第4滑り止め部材40の数は、1つであってもよく、複数であってもよいが、複数であることが好ましい。第4滑り止め部材40の数が複数であることにより、踵から土踏まずよりも外側の部分の滑りを防ぐ効果を向上させることが可能となる。
【0048】
第4滑り止め部材40が複数設けられている場合、複数の第4滑り止め部材40において、全ての第4滑り止め部材40の角度θ4が同じであってもよく、異なっていてもよい。また、各々の第4滑り止め部材40が配置されている間隔も、一定であってもよく、異なっていてもよい。第4滑り止め部材40の好ましい配置の詳細については、後述する。
【0049】
第4滑り止め部材40を構成する材質は、滑り止め部材70を構成する材質として挙げたものを使用することができる。中でも、シリコン樹脂であることが好ましい。第4滑り止め部材40を構成する材質がこのようになっていることにより、踵から土踏まずよりも外側の部分の滑り止め効果を高めることができる。
【0050】
第4滑り止め部材40の形状は、特に限定されず、第4滑り止め部材40が複数である場合には、複数の第4滑り止め部材40の全ての形状が同じであってもよく、異なる形状のものが含まれていてもよい。中でも、複数の第4滑り止め部材40の全ての形状が同じであることが好ましい。第4滑り止め部材40がこのようになっていることにより、踵から土踏まずよりも外側の部分の全体の滑り止め防止効果を一定のものとすることができる。なお、第4滑り止め部材40の好ましい形状の詳細については、後述する。
【0051】
靴下1は、指部7に複数の第5滑り止め部材50を有していることが好ましい。指部7は、走り出しの際や、跳ぶための踏み切りの際に荷重が加わりやすい部分である。そのため、指部7に複数の第5滑り止め部材50を配置することにより、足裏の指部7の滑りを防止することができる。
【0052】
第5滑り止め部材50は、足裏において、親指の先端2と踵の先端3とを結ぶ線Xと各々の第5滑り止め部材50の長軸方向との、爪先側に開く外方側の角度θ5の平均が80度以上であることが好ましく、85度以上であることがより好ましく、90度以上であることがさらに好ましく、95度以上であることが特に好ましい。また、親指の先端2と踵の先端3とを結ぶ線Xと各々の第5滑り止め部材50の長軸方向との、爪先側に開く外方側の角度θ5の平均が120度以下であることが好ましく、115度以下であることがより好ましく、110度以下であることがさらに好ましく、105度以下であることが特に好ましい。第5滑り止め部材50の角度θ5の上限値および下限値をこのように設定することにより、指部7に加わる応力の向きに沿って第5滑り止め部材50を配置することができ、指部7の滑りを防止する効果を高めることができる。
【0053】
複数の第5滑り止め部材50において、全ての第5滑り止め部材50の角度θ5が同じであってもよく、異なっていてもよい。また、各々の第5滑り止め部材50が配置されている間隔も、一定であってもよく、異なっていてもよい。第5滑り止め部材50の好ましい配置の詳細については、後述する。
【0054】
第5滑り止め部材50を構成する材質は、滑り止め部材70を構成する材質として挙げたものを使用することができる。中でも、シリコン樹脂であることが好ましい。第5滑り止め部材50を構成する材質がこのようになっていることにより、指部7の滑り止め効果を高めることができる。
【0055】
第5滑り止め部材50の形状は、特に限定されず、複数の第5滑り止め部材50の全ての形状が同じであってもよく、異なる形状のものが含まれていてもよい。中でも、複数の第5滑り止め部材50の全ての形状が同じであることが好ましい。第5滑り止め部材50がこのようになっていることにより、指部7全体の滑り止め防止効果を一定のものとすることができる。なお、第5滑り止め部材50の好ましい形状の詳細については、後述する。
【0056】
靴下1は、土踏まずよりも外方側に第6滑り止め部材60を有していることが好ましい。土踏まず部8の外方側は、走ったり歩いたりする際に力が踵部5から拇趾球部4へと移動するときに荷重が加わる部分である。そのため、土踏まず部8の外方側のこの部分に第6滑り止め部材60を配置することにより、この部分の滑りを防止することができ、運動能力を高めることができる。
【0057】
第6滑り止め部材60は、足裏において、親指の先端2と踵の先端3とを結ぶ線Xと第6滑り止め部材60の長軸方向との、爪先側に開く外方側の角度θ6が80度以上であることが好ましく、85度以上であることがより好ましく、90度以上であることがさらに好ましく、95度以上であることが特に好ましい。また、親指の先端2と踵の先端3とを結ぶ線Xと第6滑り止め部材60の長軸方向との、爪先側に開く外方側の角度θ6が120度以下であることが好ましく、115度以下であることがより好ましく、110度以下であることがさらに好ましく、105度以下であることが特に好ましい。第6滑り止め部材60の角度θ6の上限値および下限値をこのように設定することにより、土踏まずよりも外方側に加わる応力の向きに沿って第6滑り止め部材60を配置することができ、この部分の滑りを防止する効果を高めることができる。
【0058】
第6滑り止め部材60の数は、1つであってもよく、複数であってもよいが、複数であることが好ましい。第6滑り止め部材60の数が複数であることにより、土踏まずよりも外方側の部分の滑りを防ぐ効果を向上させることが可能となる。
【0059】
第6滑り止め部材60が複数設けられている場合、複数の第6滑り止め部材60において、全ての第6滑り止め部材60の角度θ6が同じであってもよく、異なっていてもよい。また、各々の第6滑り止め部材60が配置されている間隔も、一定であってもよく、異なっていてもよい。第6滑り止め部材60の好ましい配置の詳細については、後述する。
【0060】
第6滑り止め部材60を構成する材質は、滑り止め部材70を構成する材質として挙げたものを使用することができる。中でも、シリコン樹脂であることが好ましい。第6滑り止め部材60を構成する材質がこのようになっていることにより、土踏まずよりも外方側の部分の滑り止め効果を高めることができる。
【0061】
第6滑り止め部材60の形状は、特に限定されず、第6滑り止め部材60が複数である場合、複数の第6滑り止め部材60の全ての形状が同じであってもよく、異なる形状のものが含まれていてもよい。中でも、複数の第6滑り止め部材60の全ての形状が同じであることが好ましい。第6滑り止め部材60がこのようになっていることにより、土踏まずよりも外方側部分の全体の滑り止め防止効果を一定のものとすることができる。なお、第6滑り止め部材60の好ましい形状の詳細については、後述する。
【0062】
複数の第1滑り止め部材10、複数の第2滑り止め部材20、複数の第3滑り止め部材30、複数の第4滑り止め部材40、複数の第5滑り止め部材50、および複数の第6滑り止め部材60の少なくともいずれか1つは、足裏において、親指の先端2と踵の先端3とを結ぶ線Xと各々の該滑り止め部材の長軸方向とがなす角度の差が10度以下(0度を含む)であることが好ましい。すなわち、図3に示すように、少なくともいずれか1つの滑り止め部材70において、それぞれの滑り止め部材70の各角度θ7の差が小さいことが好ましく、それぞれの滑り止め部材70の角度θ7が全て同じであることがより好ましい。複数の滑り止め部材70の角度θ7の差がこのようになっていることにより、滑り止め部材70が設けられている部分の滑りを防止する効果を高めることができ、着用者の運動能力をより向上させることが可能となる。
【0063】
複数の第1滑り止め部材10、複数の第2滑り止め部材20、複数の第3滑り止め部材30、複数の第4滑り止め部材40、複数の第5滑り止め部材50、および複数の第6滑り止め部材60の少なくともいずれか1つは、隣り合う該滑り止め部材の間隔が1mm以上20mm以下であることが好ましい。すなわち、少なくともいずれか1つの滑り止め部材70において、横方向に隣接する滑り止め部材70の間隔L1aおよび縦方向に隣接する滑り止め部材70の間隔L1bが1mm以上20mm以下であることが好ましい。隣り合う複数の滑り止め部材70の間隔L1aおよびL1bがこのようになっていることにより、滑り止め効果を十分に発揮することができる。
【0064】
隣り合う複数の滑り止め部材70の間隔は、1mm以上であることが好ましく、3mm以上であることがより好ましく、5mm以上であることがさらに好ましい。隣り合う複数の滑り止め部材70の間隔の下限値をこのように設定することにより、足裏における滑り止め効果を適切なものとすることができ、靴下1の着用者の運動能力を高めることができる。また、隣り合う複数の滑り止め部材70の間隔は、20mm以下であることが好ましく、15mm以下であることがより好ましく、10mm以下であることがさらに好ましい。隣り合う複数の滑り止め部材70の間隔の上限値をこのように設定することにより、足裏における滑り止め効果を向上させることが可能となる。
【0065】
複数の第1滑り止め部材10、複数の第2滑り止め部材20、複数の第3滑り止め部材30、複数の第4滑り止め部材40、複数の第5滑り止め部材50、および複数の第6滑り止め部材60の形状は特に限定されないが、長方形状や楕円形状等の長軸方向の長さと短軸方向の長さが異なっている、横長の形状であることが好ましい。滑り止め部材70の形状が横長形状であれば、滑り止め部材70が設けられている部分の滑りをより防止することができる。
【0066】
中でも、複数の第1滑り止め部材10、複数の第2滑り止め部材20、複数の第3滑り止め部材30、複数の第4滑り止め部材40、複数の第5滑り止め部材50、および複数の第6滑り止め部材60の少なくともいずれか1つの全ての形状は、V字型であることが好ましい。少なくともいずれか1つの滑り止め部材70の全ての形状がV字型であることにより、滑り止め部材70が設けられている部分に加わる荷重を受け止めることができ、より高い滑り止め効果を発揮することができる。
【0067】
複数の第1滑り止め部材10、複数の第2滑り止め部材20、複数の第3滑り止め部材30、複数の第4滑り止め部材40、複数の第5滑り止め部材50、および複数の第6滑り止め部材60の少なくともいずれか1つは、各々の該滑り止め部材の長軸方向の長さの平均が短軸方向の長さの平均の2倍以上12倍以下であることが好ましい。すなわち、少なくともいずれか1つの滑り止め部材70において、複数の滑り止め部材70の長軸方向の長さL2の平均値が、複数の滑り止め部材70の短軸方向の長さL3の平均値の2倍以上12倍以下であることが好ましい。滑り止め部材70の形状をこのようにすることにより、滑り止め部材70が設けられている部分における荷重を滑り止め部材70が十分に受け止めることができ、滑りを防ぐ効果を高めることが可能となる。
【0068】
滑り止め部材70の長軸方向の長さL2の平均は、短軸方向の長さL3の平均の2倍以上であることが好ましく、4倍以上であることがより好ましく、6倍以上であることがさらに好ましい。滑り止め部材70の長軸方向の長さL2と短軸方向の長さL3との比率の下限値をこのように設定することにより、足裏に加わる力を滑り止め部材70が十分に受けることができる。また、滑り止め部材70の長軸方向の長さL2の平均は、短軸方向の長さL3の平均の12倍以下であることが好ましく、10倍以下であることがより好ましく、8倍以下であることがさらに好ましい。滑り止め部材70の長軸方向の長さL2と短軸方向の長さL3との比率の上限値をこのように設定することにより、滑り止め部材70の形状のバランスがよくなり、滑り止め部材70の強度を高めることができる。
【0069】
複数の第1滑り止め部材10、複数の第2滑り止め部材20、複数の第3滑り止め部材30、複数の第4滑り止め部材40、複数の第5滑り止め部材50、および複数の第6滑り止め部材60の少なくともいずれか1つは、各々の該滑り止め部材の短軸方向の長さの平均が2mm以上であることが好ましい。すなわち、少なくともいずれか1つの滑り止め部材70において、複数の滑り止め部材70の短軸方向の長さL3の平均値が2mm以上であることが好ましい。滑り止め部材70の形状をこのようにすることにより、滑り止め部材70が設けられている部分の滑り止め効果を向上させることが可能となる。
【0070】
滑り止め部材70の短軸方向の長さL3の平均は、2mm以上であることが好ましく、3mm以上であることがより好ましく、6mm以上であることがさらに好ましい。滑り止め部材70の短軸方向の長さL3の下限値をこのように設定することにより、滑りを防ぐ効果をより高めることが可能となる。また、滑り止め部材70の短軸方向の長さL3の平均は、12mm以下であることが好ましく、11mm以下であることがより好ましく、10mm以下であることがさらに好ましい。滑り止め部材70の短軸方向の長さL3の上限値をこのように設定することにより、滑り止め部材70の強度を十分なものとすることができる。
【0071】
複数の第1滑り止め部材10、複数の第2滑り止め部材20、複数の第3滑り止め部材30、複数の第4滑り止め部材40、複数の第5滑り止め部材50、および複数の第6滑り止め部材60の少なくともいずれか1つは、各々の該滑り止め部材の長軸方向の長さの平均が12mm以下であることが好ましい。すなわち、少なくともいずれか1つの滑り止め部材70において、複数の滑り止め部材70の長軸方向の長さL2の平均値が12mm以下であることが好ましい。滑り止め部材70の形状をこのようにすることにより、滑り止め部材70の強度を高めることが可能となる。
【0072】
滑り止め部材70の長軸方向の長さL2の平均は、12mm以下であることが好ましく、11mm以下であることがより好ましく、10mm以下であることがさらに好ましい。滑り止め部材70の長軸方向の長さL2の上限値をこのように設定することにより、滑り止め部材70の強度を十分なものとすることができる。また、滑り止め部材70の長軸方向の長さL2の平均は、2mm以上であることが好ましく、3mm以上であることがより好ましく、6mm以上であることがさらに好ましい。滑り止め部材70の長軸方向の長さL2の下限値をこのように設定することにより、滑りを防ぐ効果をより高めることが可能となる。
【0073】
複数の第1滑り止め部材10、複数の第2滑り止め部材20、複数の第3滑り止め部材30、複数の第4滑り止め部材40、複数の第5滑り止め部材50、および複数の第6滑り止め部材60を構成する材料は、同じであってもよく、異なっていてもよい。各滑り止め部材を構成する材料を同じものとすることにより、足裏全体における滑り止め効果のバランスをとることができる。各滑り止め部材を構成する材料を異なるものとすることにより、例えば、他の部分よりも荷重が大きく加わり、破損する可能性の高い部分の滑り止め部材を強度の高い材料とすることによって耐久性を高めることができる。
【0074】
靴下1は、複数の第1滑り止め部材10、複数の第2滑り止め部材20、複数の第3滑り止め部材30、複数の第4滑り止め部材40、複数の第5滑り止め部材50、および複数の第6滑り止め部材60とは異なる滑り止め部材を有していてもよい。例えば、足裏の周囲に位置する部分に滑り止め部材を設けることにより、運動時に足裏に加わる力が逃げることを防ぐことができ、着用者の運動能力を向上させることが可能となる。
【0075】
靴下1は、足裏の肌面側に肌側滑り止め部材を有していてもよい。肌側滑り止め部材が設けられていることより、素足と靴下との間での滑りも防止することができ、より着用者の運動能力を向上させることが可能となる。肌側滑り止め部材の位置は特に限定されないが、踵部5および指部7の少なくともいずれかに設けられていることが好ましい。肌側滑り止め部材がこのような位置に設けられていることにより、さらに効果的に素足と靴下との間の滑り止めを行うことができる。
【0076】
肌側滑り止め部材を構成する材料は特に限定されないが、例えば、足裏の外面側に設けている滑り止め部材70を構成する材質として挙げたものや、ナノファイバーやブークレ糸のような繊維状滑り止め材等が挙げられる。中でも、繊維状滑り止め材であることが好ましい。肌側滑り止め部材を構成する材料がこのようになっていることにより、肌当たりがよく、着用時に異物感を感じにくい靴下1とすることができる。
【0077】
靴下1は、複数の指収容部を有することが好ましく、2以上5以下の指収容部を有することがより好ましい。すなわち、図1に示すような、指を収容する部分が親指収容部とその他の指収容部の2つである、足袋形状の靴下1や、図2に示すような、指を収容する部分が各指をそれぞれ収容する5つである、5本指形状の靴下1が好ましい。靴下1の形状がこのようになっていることにより、足裏の滑りをより防止することが可能となる。
【0078】
以上のように、本発明の靴下は、足裏の外面側に滑り止め部材を有する靴下であって、拇趾球部に複数の第1滑り止め部材を有しており、第1滑り止め部材は、第1滑り止め部材の内方側端が第1滑り止め部材の外方側端よりも踵側に近く、足裏において、親指の先端と踵の先端とを結ぶ線と各々の第1滑り止め部材の長軸方向とがなす角度の平均が50度以上100度未満であることを特徴とする。靴下がこのような構成であることにより、足裏の滑りを防止し、着用者の運動能力を向上させることができる。
【符号の説明】
【0079】
1:靴下
2:親指の先端
3:踵の先端
4:拇趾球部
5:踵部
6:小指球部
7:指部
8:土踏まず部
10:第1滑り止め部材
20:第2滑り止め部材
30:第3滑り止め部材
40:第4滑り止め部材
50:第5滑り止め部材
60:第6滑り止め部材
70:滑り止め部材
X:親指の先端と踵の先端とを結ぶ線
L1a:滑り止め部材の横方向の間隔
L1b:滑り止め部材の縦方向の間隔
L2:滑り止め部材の長軸方向の長さ
L3:滑り止め部材の短軸方向の長さ
θ1:親指の先端と踵の先端とを結ぶ線と第1滑り止め部材の長軸方向との、爪先側に開く外方側の角度
θ2:親指の先端と踵の先端とを結ぶ線と第2滑り止め部材の長軸方向との、爪先側に開く外方側の角度
θ3:親指の先端と踵の先端とを結ぶ線と第3滑り止め部材の長軸方向との、爪先側に開く外方側の角度
θ4:親指の先端と踵の先端とを結ぶ線と第4滑り止め部材の長軸方向との、踵側に開く外方側の角度
θ5:親指の先端と踵の先端とを結ぶ線と第5滑り止め部材の長軸方向との、爪先側に開く外方側の角度
θ6:親指の先端と踵の先端とを結ぶ線と第6滑り止め部材の長軸方向との、爪先側に開く外方側の角度
θ7:親指の先端と踵の先端とを結ぶ線と滑り止め部材の長軸方向とがなす角度
図1
図2
図3