(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態である掃除具100の具体的な態様について、
図1から
図7に基づいて説明する。ただし、本発明の技術的範囲は、図示例に限定されない。
また、便宜的に、
図1に示したようにX軸、Y軸及びZ軸並びに前後方向、左右方向及び上下方向を定めて説明する。また、以下の説明においては、
図1における上から見た場合を平面視、下から見た場合を底面視、前から見た場合を正面視、右又は左から見た場合を側面視とする。
【0015】
(実施形態の構成)
掃除具100は、清掃シートPが取り付けられるヘッド部1と、使用者が掃除具100を把持するための柄部2と、ヘッド部1と柄部2とを接続するジョイント部3と、を備えている。
【0016】
(ヘッド部)
ヘッド部1は、
図1、
図2及び
図3に示すように、異なる材質によって形成された天面部11と底面部12とによって構成され、天面部11の上面の略中央部に、ジョイント部3を介して柄部2が取り付けられている。
【0017】
(天面部)
天面部11は、X軸方向50mm〜150mm、好ましくは70mm〜120mm、Y軸方向200mm〜300mm、好ましくは220mm〜270mmの大きさを有する、Y軸方向に長い平面視略矩形状の部材であり、例えばABS樹脂(アクリロニトリル、ブタジエン、スチレン共重合合成樹脂)等の硬質な材料によって形成されている。
天面部11の上面側は、
図2に示すように、Y軸方向両端部付近が高く、Y軸方向中央部付近が低くなるように形成されており、Y軸方向両端部付近に隆起部111が形成され、Y軸方向中央部付近に沈降部112が形成されている。
天面部11の下面側は、平面となるように形成され、底面部12の上面側と貼付されている。
【0018】
(隆起部)
隆起部111は、
図2に示すように、正面視において天面部11の上面側のY軸方向両端部付近において、上方に向けて隆起するように形成されている。また、隆起部111は、
図3に示すように、側面視においてX軸方向中央部付近が最も高く、前後方向からX軸方向中央部付近にむけて緩やかに隆起するように形成されている。
隆起部111は、最も高い部分において、ヘッド部1の厚みが10mm〜30mm、好ましくは15mm〜25mmとなるように形成されている。ヘッド部1の厚みが10mmより低いと、後述の取付部13へのシート取付け時に指の入りが悪くシートが外れやすくなり、ヘッド部1の厚みが30mmより高いと、ソファやラック下などの足の低い家具の下側への入り込みが困難となる。
【0019】
なお、隆起部111の具体的な配置位置及び形状は、上記のものに限られず、柄部2が第1突起部311を乗り越える際にこれを持ち上げることができる範囲で、適宜変更することが可能である。
また、隆起部111は、ヘッド部1の平面視における長手方向の両端部付近に形成されることが望ましいが、これに限られず、後述の第1ヨーク部31の2つの第1突起部311が並ぶ方向と同一の方向の両端部付近に形成されていればよい。
【0020】
(沈降部)
沈降部112は、
図2に示すように、天面部11の上面側のY軸方向中央部付近において、両端部に形成された隆起部111から緩やかに沈降するように形成されている。
沈降部112は、ジョイント部3を介して柄部2が取り付けられる天面部11の中央部において、ヘッド部1の厚みが15mm以下、好ましくは12mm以下となるように形成されている。
【0021】
(底面部)
底面部12は、
図1、
図2及び
図3に示すように、例えばTPE(熱可塑性エラストマー)等の天面部11と比較して軟質な弾性変形可能な材料によって、平面視において天面部11と合同な略矩形状となるように形成されている。厚みはZ軸方向に1mm〜10mm、好ましくは3mm〜4mmに形成される。
用いられる材料のゴム硬度は60〜100(JIS K 6253で規定する、デュロメータタイプA(ショアA)で測定した値)がダスト捕集性の観点から好ましい。
底面部12は、上面側と下面側とが略平行となるように形成され、上面側において、天面部11と貼付されている。
【0022】
(平面部及び凹状部)
底面部12の下面側には、
図4に示すように、平面部121と、短手方向凹状部122と、長手方向凹状部123と、が形成されている。
【0023】
(平面部)
平面部121は、
図4に示すように、底面部12下面側の短手方向凹状部122及び長手方向凹状部123以外の部分を構成する、後述の線状リブ124を除いて略平面上に形成された部分である。
【0024】
なお、底面部12は、ヘッド部1の下側を構成する弾性変形可能な材料によって形成された部材の全体を指し、平面部121は、底面部12の下面のうち、略平面上に形成された部分を指す。
【0025】
(短手方向凹状部)
短手方向凹状部122は、
図2及び
図4に示すように、底面部12の下面側の短手方向(X軸方向)の両端部付近に形成された上方に向けて凹状となるように形成された部分である。これによって、掃除具100の使用時において、ヘッド部1の下面側の短手方向(X軸方向)の両端部付近は、床面に密着せず、床面との間に間隙が生じることとなる。
【0026】
短手方向凹状部122は、ヘッド部1の短手方向(X軸方向)の両端部付近の下面側において、床面との間に間隙を生じさせることが可能であれば任意の形状に形成することが可能であるが、ヘッド部1の前側又は後側の端部のY軸方向中央部において底面部12の下面側が最も大きく凹むように形成され、当該部分から離れるにつれて凹みが小さくなり、平面部121になだらかに接続されるように形成されていることが望ましい。
短手方向凹状部122は、最も凹んだ部分において、上方に0.1mm〜5mm、より好ましくは0.5mm〜3mm平面部121と比較して凹むように形成される。
【0027】
底面部12の下面側に短手方向凹状部122が形成されていることによって、掃除具100をヘッド部1の短手方向(X軸方向)に動かして床面の清掃を行う際に、床面のごみがヘッド部1の前後の端部に溜まらずに、ヘッド部1の下面に誘い込まれるようになり、ごみの捕集性を向上させることができる。
【0028】
(長手方向凹状部)
長手方向凹状部123は、
図3及び
図4に示すように、底面部12の下面側の長手方向(Y軸方向)の両端部付近に形成された上方に向けて凹状となるように形成された部分である。これによって、掃除具100の使用時において、ヘッド部1の下面側の長手方向(Y軸方向)の両端部付近は、床面に密着せず、床面との間に間隙が生じることとなる。
【0029】
長手方向凹状部123は、ヘッド部1の長手方向(Y軸方向)の両端部付近の下面側において、床面との間に間隙を生じさせることが可能であれば任意の形状に形成することが可能であるが、ヘッド部1の右側又は左側の端部のX軸方向中央部において底面部12の下面側が最も大きく凹むように形成され、当該部分から離れるにつれて凹みが小さくなり、平面部121になだらかに接続されるように形成されていることが望ましい。
長手方向凹状部123は、最も凹んだ部分において、上方に0.1mm〜5mm、より好ましくは0.5mm〜3mm平面部121と比較して凹むように形成される。
【0030】
底面部12の下面側に長手方向凹状部123が形成されていることによって、掃除具100をヘッド部1の長手方向(Y軸方向)に動かして床面の清掃を行う際に、床面のごみがヘッド部1の左右の端部に溜まらずに、ヘッド部1の下面に誘い込まれるようになり、ごみの捕集性を向上させることができる。
【0031】
(線状リブ)
底面部12下面側の平面部121には、
図4に示すように、底面視において線状となるように下方に凸となった線状リブ124が形成されている。
線状リブ124は、全てY軸方向に同一の高さを有するように形成され、具体的には、0.1mm〜2mm、より好ましくは0.2mm〜1mm下方に向けて突出するように形成される。また、各線状リブは、長さが1mm〜100mm、好ましくは8mm〜85mm、幅が0.1mm〜2mm、好ましくは0.2mm〜1.2mmの線状に形成される。
なお、線状リブ124には、底面視直線状に形成されたリブと、底面視曲線状に形成されたリブの双方を含む。
【0032】
線状リブ124は、斜線リブ1241と、菱形リブ1242と、からなり、具体的な配置は以下の通りである。
【0033】
(斜線リブ)
斜線リブ1241は、平面部121に、菱形リブ1242が形成された部分を除いた略全面に形成されている。
斜線リブ1241は、
図4に示すように、ヘッド部1の底面視において、ヘッド部1底面のX軸方向中央部から、前方又は後方に向かうにつれて、Y軸方向中央部に向けて、X軸に平行な方向から傾斜する線状に形成されている。
また、斜線リブ1241は、ヘッド部1裏面のX軸方向中心部を対称軸として、前後に線対称に形成され、ヘッド部1裏面のY軸方向中心部を対照軸として、左右に線対称に形成されている。
【0034】
(菱形リブ)
菱形リブ1242は、
図4に示すように、線状のリブが、底面視略菱形上に配置された部分であり、平面部121のうち、X軸方向及びY軸方向における中央部と、X軸方向中央部であって、Y軸方向において中央部と端部との中間となる位置の2か所と、ヘッド部1下面の四隅付近の4箇所と、に形成されている。
【0035】
(端部リブ)
底面部12下面側の長手方向(Y軸方向)の両端部付近の下面側には、X軸方向中央部に、Y軸方向に沿って直線状に形成された端部リブ125が形成されている。
端部リブ125は、平面部121から見て、下方向に1mm〜5mmの高さを有するように形成される。1mmより低いと溝の清掃を十分に行うことができなくなり、5mmより高いと床面の平面部の清掃の際に邪魔になる可能性が高くなる。ただし、端部リブ125は、Z軸方向に線状リブ124よりも高くなるように形成される必要がある。
なお、
図4に示すように端部リブ125が、長手方向凹状部123に重なって形成されている場合においても、端部リブは、平面部121に対して上記の高さを有するように形成される必要がある。
また、端部リブ125は、Y軸方向の長さ10mm〜50mm、より好ましくは20mm〜30mm、X軸方向の幅0.1mm〜3mm、より好ましくは0.5mm〜1.5mmとなるように形成される。
端部リブが設けられていることによって、これを床面の溝に入り込ませることで、床面の平面部のみならず、溝の清掃を行うことも可能となる。
【0036】
(端部突起部)
ヘッド部1の長手方向(Y軸方向)の両端部のX軸方向の中央部には、
図1、
図2及び
図4に示すように、端部リブ125から連続する形で、Y軸方向に突出する端部突起部126が形成されている。端部突起部126は、ヘッド部1の長手方向(Y軸方向)の両端部から、0.5mm〜3mm、より好ましくは0.8mm〜2mm右方又は左方へ突出するように形成される。
【0037】
(取付部)
天面部11上面の平面視四隅付近には、
図1に示すように、取付部13が備えられている。取付部13は、天面部11上面の隆起部111上に形成された、周囲にEVA(エチレン酢酸ビニル共重合体)等によって形成された爪部131が備えられた穴であり、清掃シートPを押し込み爪部131に引っ掛けることで、ヘッド部1に清掃シートPを取り付けることができる。具体的には、底面部12の下面側に清掃シートPを密着させ、底面部12の下面側からはみ出した部分の清掃シートPを天面部11の上面側に折り返し、天面部11の上面側に設けられた取付部13に押し込むことで、清掃シートPをヘッド部1に取り付けることとなる。
なお、取付部13の形状は、清掃シートPをヘッド部1に取り付けることができればよく、上記の形状には限られない。
【0038】
(柄部)
柄部2は、掃除具100を使用する際に使用者がこれ把持するために用いられる棒状の部材であり、
図1に示すように、柄本体21と、把持部22とを備える。なお、柄部2は、ヘッド部1に対してジョイント部3を介して回動可能に接続されるが、
図1に示すようにヘッド部1上に垂直に立てた状態において前後方向、左右方向及び上下方向を定めて説明する。
【0039】
(柄本体)
柄本体21は、
図1に示すように、例えばABS樹脂(アクリロニトリル、ブタジエン、スチレン共重合合成樹脂)等の硬質な材料によって形成された棒状の部材であり、下端において、ヘッド部1の天面部11の上面側の略中央部に、ジョイント部3を介して接続され、上端部において、把持部22に接続されている。
柄本体21は、下端部付近において、
図3に示すように、前後方向の厚みが左右方向の厚みと比較して薄くなるように形成されている。これによって、柄部2を低い状態に倒し易くなる。
なお、柄部2を低い状態に倒し易くなるという効果は減少するものの、柄本体21の下端部付近は、前後方向と、左右方向とにおいて同じ厚みとなるように形成してもよい。また、例えば後述の第2突起部321の強度を重視し、前後方向の厚みが左右方向の厚みよりも厚くなるように形成してもよい。
【0040】
(把持部)
把持部22は、掃除具100の使用時に使用者が把持する部材であり、例えばポリプロピレン、ポリアセタール等の柄本体21と比較して軟質な材料によって形成され、
図1に示すようにその下端部において、柄本体21に接続されている。
【0041】
(ジョイント部)
ジョイント部3は、
図1、
図2及び
図3に示すように、ヘッド部1の天面部11の上面側の略中央部に備えられる第1ヨーク部31と、柄部2の下端部に備えられる第2ヨーク部32と、第1ヨーク部31と、第2ヨーク部32と、を接続する連結部33と、から形成されている。
【0042】
(第1ヨーク部)
第1ヨーク部31は、
図1、
図2、
図3及び
図5に示すように、ヘッド部1の天面部11の上面側中央部において天面部11と一体的に形成された、第1対向面部3111で向かい合う二つの対称形状の第1突起部311によって形成されている。なお、本実施形態においては、2つの対称形状の突起を備えて形成された、他の部材との接続に用いられる部分を「ヨーク部」と呼ぶ。
【0043】
(第1突起部)
第1突起部311は、
図1、
図2、
図3及び
図5に示すように、X軸方向から見て、第1突起部311同士が対向する第1対向面部3111に向けて徐々に高さが高くなるように形成され、Y軸に沿って並ぶように配置されている。
【0044】
第1突起部311は、X軸方向5mm〜20mm、好ましくは8mm〜15mm、Y軸方向10mm〜50mm、好ましくは15mm〜30mmとなるように形成されている。また、最も高くなる第1対向面部3111付近においては、Z軸方向5mm〜15mm、好ましくは8mm〜12mmとなり、隆起部111と比較して同等又は高くなるように形成されている。また、第1突起部311は、第1対向面部3111同士が、10mm〜25mm、好ましくは15mm〜20mmの間隔を有するように配置されている。
【0045】
(第1対向面部)
第1対向面部3111は、
図1、
図2及び
図5に示すように、第1突起部311同士が向かい合う面であり、天面部11の上面側から略垂直に立設する略矩形状に形成され、第1対向面部3111同士が平行となるように形成されている。
また、
図5に示すように、第1対向面部3111には、穴部3113が形成されている。
【0046】
(穴部)
穴部3113は、第1対向面部3111に形成された円柱状の穴であり、後述のように連結部33の第1回動軸心部331との接続に用いられる。
【0047】
(側面部)
側面部3112は、
図1、
図2及び
図5に示すように、第1対向面部3111の左右両側から連続して形成された、第1突起部311の、YZ平面と平行にX軸方向を向く面であり、ヘッド部1の天面部11の上面側から略垂直に立設するように形成されている。
【0048】
(第2ヨーク部)
第2ヨーク部32は、
図1、
図2、
図3及び
図6に示すように、柄部2の柄本体21の下端部において、軸方向に向けて延出する二つの対称形状の第2突起部321と、第2突起部321の第2対向面部3211の間に架け渡された第2軸部材322と、から形成されている。
【0049】
(第2突起部)
第2突起部321は、
図1、
図3及び
図6に示すように、柄本体21下端の、
図1に示す状態におけるX軸方向の両端部に、第2対向面部3211同士が平行に向かい合うように柄本体21と一体的に形成されている。
【0050】
第2突起部321は、
図1に示す状態において、X軸方向に2mm〜6mm、好ましくは3mm〜5mmの厚みを有し、Y軸方向に柄本体21と略同一の幅を有する。X軸方向の厚みが薄すぎると清掃時の押圧による強度不足となり破損に繋がり易く、厚すぎると柄をX軸方向へ倒した際、柄がヘッド部の上面と干渉し略平行まで傾け難くなる。
また、第2対向面部3211同士が、2mm〜10mm、好ましくは3mm〜7mmの間隔を有するように形成されている。
【0051】
(第2軸部材)
第2軸部材322は、
図6に示すように、第2対向面部3211の間を、Y軸方向中心部においてX軸に沿って架け渡すように、第2突起部321と一体的に形成されている。
【0052】
(連結部)
連結部33は、
図1、
図2及び
図3に示すように第1ヨーク部31と、第2ヨーク部32の間に介在する形で備えられ、
図7に示すように、前方向から見て略三角形状に形成され、中心軸が立体交差する形で交わることなく直交する第1回動軸心部331と第2回動軸心部332とを備えている。
また、連結部33を形成する材料としては、例えばポリアセテートが用いられる。
【0053】
(第1回動軸心部)
第1回動軸心部331は、
図7に示すように、連結部33の下端部に形成された、第1ヨーク部31との接続に用いられる部分であり、Y軸方向両端部に、円柱状の突出部3311を有する。
第1回動軸心部331は、突出部3311を除いた部分のY軸方向の幅が、第1突起部311の第1対向面部3111同士の間隔と略同一となり、また、突出部3311が、穴部3113と略同一の形状となるように形成されている。したがって、突出部3311を穴部3113に嵌め込むことで、連結部33を、Y軸周りに回動可能に第1ヨーク部31に装着することができる。
なお、
図7に示す第1回動軸心部331のY軸に沿った中心軸を、第1軸心aとする。
【0054】
(第2回動軸心部)
第2回動軸心部332は、
図7に示すように、連結部33の上端部に形成された、第2ヨーク部32との接続に用いられる部分であり、上端部の一部が切り欠かれ、前後方向に貫通した略円筒形状の第2装着孔部3321を有する。第2装着孔部3321は、内側に形成された円筒形状の空間の直径が、第2軸部材322の直径と略同一となる。また、X軸方向の長さが、第2軸部材322の長さと略同一となるように形成されており、第2装着孔部3321に、第2軸部材322を嵌め込むことで、連結部33を、X軸周りに回動可能に、第2ヨーク部32に固定することができる。
なお、
図7に示す第2回動軸心部332のX軸に沿った中心軸を、第2軸心bとする。
【0055】
(実施形態の効果)
本実施形態によれば、ヘッド部1の底面に清掃シートPを取り付けて清掃を行う場合において、清掃シートPに、線状リブ124によって支えられ、床面に押し付けられる部分と、そうでない部分が生じる。これによって、清掃シートPの床面への当たり方が一律でなくなり、清掃シートPによるごみの捕集性を向上させることができる。特に、リブが線状に形成されていることによって、清掃シートPを十分に支えることができ、上記効果を得ることが可能となっている。
【0056】
また、
図4に示すように、斜線リブ1241が形成されていることによって、清掃シートPを支えやすくなり、より上記効果を高めることができる。
また、
図4に示すように、菱形リブ1242が形成されていることによって、ヘッド部1の左右、前後のあらゆる方向の動きに対向可能となり、より効果的に清掃シートPを支えることが可能となる。
【0057】
また、底面部12の下面側に、短手方向凹状部122及び長手方向凹状部123が形成されていることによって、床面のごみがヘッド部1の端部に溜まらずに、ヘッド部1の下面に誘い込まれるようになり、さらにごみの捕集性を向上させることができる。
【0058】
なお、清掃シートPを線状リブ124で支えることによって、清掃シートPによるごみの捕集性を向上させるという本発明の効果は、清掃シートPが、エンボス加工等によって凹凸が形成されたものである場合に特に顕著となる。
【0059】
すなわち、清掃シートPの凹凸は、主として、当該凹凸によって、清掃シートPが一律に床面に当たらないようにすることで、ごみの捕集性を向上させることを目的として設けられているところ、本発明によれば、清掃シートPの凹凸に、線状リブ124によって支えられている部分とそうでない部分が生じるため、清掃時の凹凸の潰れ方が区々となり、より清掃シートPの床面への当たり方に変化を持たせることができ、ごみの捕集性を向上させることができる。特に、リブが線状に形成されていることによって、清掃シートの凹凸を十分に支えることができ、上記効果を得ることが可能となっている。
具体的には、例えば、
図8に示すように、平面視においてシートの上面側に凸となる凸エンボスEM1と、シートの下面側に凸となる凹エンボスEM2が、X軸方向及びY軸方向において交互に配置されるように形成された清掃シートPを用いる場合に、X軸方向に並んだエンボスに沿うように線状のリブが形成されていることによって、効果的に凹凸を支えることができる。なお、
図8に記載した線状リブ124の配置は、あくまで一例であってこの限りではない。
【実施例】
【0060】
次に、本発明の実施例及び比較例について、清掃シートPによって清掃可能な面積を評価した結果について説明する。以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0061】
(実施例1)
天面部を、ABS樹脂を用いて長辺240mm、短辺95mmの平面視矩形状に形成し、底面部を、硬度70°のエラストマー(TPE)を用いて長辺248mm、短辺98mmの平面視矩形状に形成した。また、柄部は、ヘッド部との連結部分から、把持部上端までの長さが215mmとなるように形成した。
上記のような掃除具の底面部の下面を、
図9(a)に示すように形成した。具体的には以下の通りである。
線状リブを、下方に0.3mm、幅1mmの線状のリブによって、斜線リブが、長さ10mm〜80mmの曲線状となり、菱形リブが、大きいものでX軸方向50mm、Y軸方向28mm、小さいものでX軸方向14mm、Y軸方向11mmの大きさとなるように形成した。
斜線リブは、配置間隔が、最も狭いところで6mm、最も広いところで9mmとなるように配置し、菱形リブは四隅から斜め方向に10mの位置に計4つ配置し、中央に1つ、中央と端部の中間位置に2つ配置した。
端部リブは、底面部下面の平面部からの高さが下方に2mm、Y軸方向の長さ23mm、X軸方向の幅1mmとなるように形成し、端部突起部は、底面部下面の平面部からの高さが下方に2mm、Y軸方向に1.5mmとなるように形成した。
斜線リブは36本、菱形リブは大小あわせて7つ、端部リブは左右あわせて2つ形成した。
清掃シートは、長辺300mm、短辺200mmの矩形状に形成された、秤量100gsmのエンボス加工が施されたドライシートを用いた。具体的には、
図8に示したように凸エンボス及び凹エンボスを有し、各エンボスは、長辺方向8mm、短辺方向3mm、高さ0.8mmとなるように形成した。なお、平面視においてエンボスが長くなる方向、すなわち
図8におけるX軸方向を長辺方向とし、平面視においてエンボスが短くなる方向、すなわち
図8におけるY軸方向を短辺方向とする。
また、清掃シート外層の疎水性繊維にはポリエチレンテレフタレートを主成分とする不織布を用い、清掃シート内層の疎水性繊維にはポリプロピレンを主成分とする繊維を用いた。
外層の組成の詳細としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリエチレンなどを主成分とする化学繊維が適用される。具体的には、外層は、疎水性繊維が100%で構成されており、疎水性繊維としてポリエチレンテレフタレートが80%含有され、バインダー繊維としてポリプロピレンとポリエチレンの芯鞘繊維が20%含有されている。また、ポリエチレンテレフタレート繊維は、繊度が3.3dtex、バインダー繊維は、繊度が1.7dtexのものを用いた。
内層は、ポリプロピレン100%のスパンボンド不織布からなる。
水流交絡により、内層と外層とを合わせ3層構造のスパンレース不織布となる。
なお、本実施形態においてはドライシートを用いたが、ウェットシートを用いることも可能である。
【0062】
(実施例2)
図9(b)に示すように、ヘッド部1の裏面にリブを形成した掃除具である。具体的には以下の通りである。
斜線リブを、下方に0.3mm、幅1mm、長さ10mm〜80mmの曲線状となるように形成し、配置間隔が最も狭いところで6mm、最も広いところで9mmとなるよう配置した。
斜線リブは36本、端部リブは左右あわせて2つ形成した。
その余の構成は実施例1と同様である。
【0063】
(実施例3)
図9(c)に示すように、ヘッド部1の裏面にリブを形成した掃除具である。具体的には以下の通りである。
菱形リブを、大きいものでX軸方向50mm、Y軸方向28mm、小さいものでX軸方向14mm、Y軸方向11mmとなるように形成し、四隅から斜め方向に10mの位置に計4つ配置し、中央に1つ、中央と端部の中間位置に2つ配置した。
菱形リブは、大小あわせて7つ、端部リブは左右あわせて2つ形成した。
その余の構成は実施例1と同様である。
【0064】
(比較例1)
図9(d)に示すように、ヘッド部1の裏面にリブを形成した掃除具である。具体的には以下の通りである。
直径5mm〜8mmのドット状のリブを中央から端部方向に向かうにつれて徐々に大きくなるように、10mm間隔で配置した。また、ドット状のリブは110個形成した。端部リブは左右あわせて2つ形成した。
その余の構成は実施例1と同様である。
【0065】
(比較例2)
図9(e)に示すように、ヘッド部1の裏面にリブを形成した掃除具である。具体的には以下のとおりである。
直径1mm〜5mmのドット状のリブを中央から端部方向に向かうにつれて徐々に大きくなるように、5mm間隔で配置した。また、ドット状のリブは220個形成した。端部リブは左右あわせて2つ形成した。
その余の構成は実施例1と同様である。
【0066】
(比較例3)
図9(f)に示すように、ヘッド部1の裏面の平面部にリブを形成していない掃除具である。また、その余の構成は実施例1と同様である。
【0067】
上記実施例及び比較例の掃除具に、清掃シートを取り付けて、ヘッド部1の短手方向にこれを動かして清掃を行い、ごみの捕集性を評価した。
【0068】
試験の結果を表Iに示す。なお、評価の基準は、以下のとおりである。
◎:満足感が得られた
○:多少の塵など残るものの、ほぼ満足感が得られた
△:ごみが残ってしまい、不満がのこった
×:ごみをうまく捕集できず、全く満足感を得られなかった
【0069】
【表1】
【0070】
(評価)
実施例1から3並びに比較例1及び2と、比較例3との比較により、ヘッド部の裏面にリブを設けることにより、清掃シートによるごみの捕集性を向上できることが分かる。
また、実施例1及び実施例2と、比較例1及び2との比較により、ヘッド部裏面のリブを線状に形成することによって、より清掃シートによるごみの捕集性を向上できることが分かる。なお、実施例3については、比較例1及び2と同様に△という評価となっているものの、リブが形成されている範囲が狭いにも拘わらず、広範囲にリブが形成された比較例1及び2と同等の効果が生じていることから考えて、菱形状にリブを形成することによる高い効果を示しているものといえる。
また、実施例1と、その他の実施例及び比較例との比較により、上記実施形態に示したように線状リブを配置した場合において、最も清掃シートによるごみの捕集性を向上できることが分かる。