特許第6491700号(P6491700)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6491700
(24)【登録日】2019年3月8日
(45)【発行日】2019年3月27日
(54)【発明の名称】電気めっき溶液内のレベラー濃度の監視
(51)【国際特許分類】
   G01N 27/48 20060101AFI20190318BHJP
   C25D 21/12 20060101ALI20190318BHJP
   C25D 21/14 20060101ALI20190318BHJP
   G01N 27/28 20060101ALI20190318BHJP
   G01N 27/416 20060101ALI20190318BHJP
【FI】
   G01N27/48 301
   C25D21/12 C
   C25D21/14 B
   G01N27/28 311
   G01N27/416 302G
   G01N27/416 341B
【請求項の数】13
【外国語出願】
【全頁数】28
(21)【出願番号】特願2017-130053(P2017-130053)
(22)【出願日】2017年7月3日
(62)【分割の表示】特願2014-547352(P2014-547352)の分割
【原出願日】2012年12月11日
(65)【公開番号】特開2018-9984(P2018-9984A)
(43)【公開日】2018年1月18日
【審査請求日】2017年8月1日
(31)【優先権主張番号】61/569,741
(32)【優先日】2011年12月12日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】513014695
【氏名又は名称】ノベラス・システムズ・インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】NOVELLUS SYSTEMS INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】特許業務法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マイヤー・スティーブン・ティー.
【審査官】 櫃本 研太郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−195983(JP,A)
【文献】 特開2001−073200(JP,A)
【文献】 特開平05−080028(JP,A)
【文献】 特開2001−073183(JP,A)
【文献】 特開2004−323971(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 27/26−27/49
C25D 21/12−21/14
JSTPlus/JST7580/JSTChina(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
テスト溶液内のレベラー濃度を監視する装置であって、
金属表面を有する電極と、
前記電極へのカソード電流の供給に伴う、前記テスト溶液内における前記電極の電気化学応答を測定するように構成されている1つ以上の電気化学セルと、
コントローラであって、
(a)少なくとも1種の促進剤化合物を含む事前促進溶液に前記電極を暴露し、前記電極を前記事前促進溶液から取り出す前に、前記電極の前記表面が前記少なくとも1種の促進剤化合物で実質的に飽和されることを可能にすること、
(b)前記実質的に飽和された電極を前記テスト溶液に暴露し、レベラーの濃度が未知の前記テスト溶液内で前記実質的に飽和された電極をめっきしながら前記電気化学応答を測定すること、
(c)(b)で測定された前記電気化学応答を、レベラー濃度を既知の電気化学応答に関係付けるモデルと比較することによって、前記テスト溶液内のレベラー濃度を決定すること、
によって、前記測定された前記電極の電気化学応答に基づいて、前記テスト溶液内のレベラー濃度を決定するように構成されているコントローラと、
を備える、装置。
【請求項2】
請求項1に記載の装置であって、
前記コントローラは、更に、前記金属めっき電極への既定の電流又は電位の送達を生じるように設計又は構成されている、装置。
【請求項3】
請求項1に記載の装置であって、
前記コントローラは、更に、1つ以上の容器への1種以上の流体の投入を生じるように設計又は構成されている、装置。
【請求項4】
請求項1に記載の装置であって、
前記コントローラは、更に、前記テスト溶液内に存在する、決定されたレベラー濃度に応答してめっき溶液にレベラーを投与することによって、電気めっきシステムにおける前記レベラーの濃度を調整するように設計又は構成されている、装置。
【請求項5】
請求項1に記載の装置であって、
前記コントローラは、更に、めっき溶液内のレベラー濃度を既定の範囲内に維持するように設計又は構成され、前記テスト溶液は、前記めっき溶液から得られる、装置。
【請求項6】
請求項5に記載の装置であって、
前記レベラー濃度の既定の範囲は、約1〜1000ppmである、装置。
【請求項7】
電気めっき溶液内のレベラー濃度を監視するための装置であって、
金属表面を有する電極と、
(i)前記電極が事前促進溶液内の少なくとも1種の促進化合物によって飽和され次いでテスト溶液内でめっきされた後に測定された前記電極の電気化学応答を、(ii)レベラー濃度を既知の電気化学応答に関係付けるモデルと比較することによって、前記テスト溶液内に存在するレベラー濃度を決定するように構成されているコントローラと、
を備え
前記コントローラは、
(a)少なくとも1種の促進剤化合物を含む前記事前促進溶液に前記電極を暴露し、前記電極の前記表面が前記少なくとも1種の促進剤化合物で実質的に飽和されることを可能にし、
(b)レベラーの濃度が既知の第1の溶液と、レベラーの濃度が未知の第2の溶液とを提供し、
(c)前記第2の溶液を前記第1の溶液に加えることによって、前記テスト溶液を調製し、
(d)前記テスト溶液内で前記電極をめっきしながら電気化学応答を測定し、
(e)操作(d)で得られた前記電気化学応答を、レベラー濃度を既知の電気化学応答に関係付けるモデルと比較することによって、前記テスト溶液内の前記レベラー濃度を決定し、
(f)前記第1の溶液内の前記既知のレベラー濃度と、前記決定された前記テスト溶液内のレベラー濃度と、操作(c)で加えられた前記第2の溶液の量とを関係付けることによって、前記第2の溶液内のレベラー濃度を決定すること、
を備える、装置。
【請求項8】
請求項に記載の装置であって、
前記コントローラは、更に、前記金属めっき電極への既定の電流又は電位の送達を生じるように構成されている、装置。
【請求項9】
請求項に記載の装置であって、
前記コントローラは、更に、1つ以上の容器への1種以上の流体の投入を生じるように構成されている、装置。
【請求項10】
請求項に記載の装置であって、
前記コントローラは、更に、前記テスト溶液内に存在するとして決定されたレベラー濃度に応答してめっき溶液にレベラーを投与することによって、電気めっきシステムにおけるレベラーのレベルを調整するように構成される、装置。
【請求項11】
請求項に記載の装置であって、
前記コントローラは、更に、めっき溶液内のレベラー濃度を既定の範囲内に維持するように構成される、装置。
【請求項12】
請求項11に記載の装置であって、
前記レベラー濃度の既定の範囲は、約1〜1000ppmである、装置。
【請求項13】
電気めっき溶液内のレベラー濃度を監視するための装置であって、
金属表面を有する電極と、
(i)前記電極が事前促進溶液内の少なくとも1種の促進化合物によって飽和され次いでテスト溶液内でめっきされた後に測定された前記電極の電気化学応答を、(ii)レベラー濃度を既知の電気化学応答に関係付けるモデルと比較することによって、前記テスト溶液内に存在するレベラー濃度を決定するように構成されているコントローラと、
を備え、
前記コントローラは、
(a)少なくとも1種の促進剤化合物を含む前記事前促進溶液に前記電極を暴露し、前記電極を前記事前促進溶液から取り出す前に、前記電極の前記表面が前記少なくとも1種の促進剤化合物で実質的に飽和されることを可能にし、
(b)前記実質的に飽和された電極を前記テスト溶液に暴露し、レベラーの濃度が未知の前記テスト溶液内で前記実質的に飽和された電極をめっきしながら前記電気化学応答を測定し、
(c)(b)で測定された前記電気化学応答を、レベラー濃度を既知の電気化学応答に関係付ける前記モデルと比較することによって、前記テスト溶液内の前記レベラー濃度を決定すること、を備える、装置。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、参照によってその全体を本明細書に組み込まれる、2011年12月12日に出願された発明の名称を「MONITORING LEVELER CONCENTRATIONS IN ELECTROPLATING SOLUTIONS(電気めっき溶液内のレベラー濃度の監視)」とする米国仮特許出願第61/569,741号に基づく優先権を主張する。
【0002】
ダマシン処理は、集積回路上に金属線を形成するための方法である。この方法がよく用いられる理由は、他の方法よりも必要な処理工程が少なく、高い歩留まりが得られるからである。内部配線を通じて縦方向に配列された電子デバイスを相互に接続して三次元(3D)パッケージ及び3D集積回路を作成するために、シリコン貫通電極(TSV)が、ダマシン処理と併用されることがある。このような3Dパッケージ及び3D集積回路は、マルチチップ電子回路の複雑性及び全体寸法を大幅に抑え得るだろう。ダマシン処理中に形成される集積回路表面上の又はTSV内の導電経路は、銅で充填されるのが一般的である。
【0003】
TSVは、シリコンウエハ又はダイを完全に貫通する垂直な電気的接続である。代表的なTSVプロセスは、TSVホールを形成すること、共形の拡散障壁及び導電性のシード層を蒸着させること、並びにそれに続いてTSVホールを金属で充填することを伴う。銅は、3Dパッケージ及び3D集積回路などの複雑な集積において見舞われる高い電流密度を支えられるゆえに、TSV充填における導電性金属として一般的に使用されている。銅は、また、高いデバイス速度も支えられる。更に、銅は、優れた熱伝導性を有し、純度の高い状態で入手可能である。
【0004】
TSVホールは、通常、高いアスペクト比を有し、これは、このような構造内に銅を無ボイド蒸着させることを困難にする。銅の化学的気相蒸着(CVD)は、複雑で高価な前駆体を必要とし、一方で、物理的気相蒸着(PVD)は、ボイドの発生及び回り込み率の限界を招くことが多い。電気めっきは、TSV構造内に銅を蒸着させる方法として、より一般的であるが、TSVのサイズの大きさ及びアスペクト比の高さゆえに、やはり、一連の困難を示す。
【0005】
代表的なTSV電気充填プロセスでは、基板は、電気的に負のバイアスをかけられ、めっき溶液に接触される。めっき溶液は、通常、銅イオン源としての硫酸銅又は銅メタンスルホン酸塩、並びに導電性を制御するための硫酸又は銅メタンスルホン酸を、抑制剤、促進剤、及びレベラーとして知られる様々な機能的分類に入る塩化物イオン及び有機添加物とともに含んでいる。しかしながら、標準的な電解質及び添加剤を、ダマシンめっきに一般的に使用される濃度及び材料で使用すると、多くの場合、めっきが大幅に遅くなり、TSV充填中にボイドが形成される結果になる。更に、TSVの充填では、それに付随して、長いめっき期間(10〜100分)中にフィールド領域内にかなりの量の銅が蒸着されるのが通常であり、これらの銅蒸着は、その後、個々の特徴を分離するために化学的機械研磨(CMP)及び/又はその他の平坦化又はエッチングの方法によって除去される必要がある。更に、TSV側壁上にかなりの量の銅を蒸着させることを含む共形充填は、電解質を補足しうるシームボイドを発生させて、接続を非機能的なものにする可能性がある。
【0006】
TSV充填に関連する問題の一部は、既存の方法によって対処されているが、一方では、より高速な充填方法、並びに個々のウエハにおける充填プロセスの質及びめっきツールで複数のウエハにめっきする間における質をより強固に制御する方法が望まれている。
【発明の概要】
【0007】
本明細書で説明される幾つかの実装形態は、ウエハ基板の特徴内に金属をめっきするため及びめっき浴の化学組成を監視するための方法と、装置と、システムとに関する。上記のように、TSV用途は、比較的大きい(例えば直径が少なくとも約5マイクロメートルの)開口を有する高アスペクト比のビア(例えば約10:1を上回るアスペクト比を有するビア)内に銅をめっきすることを伴う。TSV構造は、2010年8月17日に発行された米国特許第7,776,741号、及び2011年5月18日に出願された発明の名称を「THROUGH SILICON VIA FILLING USING AN ELECTROLYTE WITH A DUAL STATE INHIBITOR(二重状態の阻害剤を伴う電解質を使用したシリコン貫通電極の充填)」とする米国特許出願第13/110,488号で更に説明されている。これらは、それぞれ、参照によってその全体を本明細書に組み込まれる。本明細書で開示される実装形態では、本明細書で例として挙げられるような技術及び/又は装置を使用して、めっき浴内の1種以上のレベラー化合物の濃度が監視される。
【0008】
テスト溶液内のレベラー濃度を決定する方法が提供される。この方法は、金属表面を有する電極を提供することと、少なくとも1種の促進剤化合物を伴う事前促進溶液に電極を暴露し、電極の表面が(1種以上の)促進剤化合物で実質的に飽和されることを可能にすること、レベラーの濃度が未知のテスト溶液内で電極をめっきしながら電気化学応答を測定すること、測定された電気化学応答を、レベラー濃度を既知の電気化学応答に関係付けるモデルと比較することによって、テスト溶液内のレベラー濃度を決定することを含んでいてよい。特定の実施形態では、電極は、回転円盤電極である。特定の実装形態では、テスト溶液内でめっきする間に、電極が約100〜5000毎分回転数で回転するのに対し、その他の実装形態では、電極は、例えば1600毎分回転数などの、約400を超える毎分回転数で回転する。電極は、特定の実装形態において、金属でめっきされてよく、一実施形態では、銅でめっきされる。その他の実装形態では、電極は、固体の金属であり、使用前にそれ以外にめっきされることはない。
【0009】
レベラー濃度を既知の電気化学応答に関係付けるモデルは、特定の実施形態では、既知のレベラー濃度を有する溶液を使用して、上述された方法を実施する(金属表面を有する電極を提供し、それを飽和されるまで事前促進溶液に暴露し、溶液内でめっきしながら電気化学応答を測定する)ことによって生成されてよい。電気化学応答は、特定の実施形態では、ガルバノメトリック(電流測定)スイープ、剥離、又はACインピーダンスを通じて測定されてよい。測定される電気化学応答は、ボルタンメトリ応答又はポーラログラフィ応答であってよい。特定の実装形態では、電気化学応答の測定は、定電流で電極を分極させることと、電極の電位を経時的に測定することとを含んでいてよい。その他の実装形態では、電気化学応答の測定は、電極を定電位で分極させることと、電極への電流又は電流密度を経時的に測定することとを含んでいてよい。一部の実施形態では、事前促進溶液は、脱イオン水内又は弱酸内の促進剤化合物が約0.05〜10g/Lの溶液である。促進剤化合物は、特定の実装形態では、メルカプトプロパンスルホン酸、ジメルカプトプロパンスルホン酸、メルカプトエタンスルホン酸、ジメルカプトエタンスルホン酸、及びDSPからなる群より選択されてよい。電極は、テスト溶液内に存在するのと同じ種類の金属イオンを含む事前めっき溶液内でめっきされてよい。特定の実施形態では、事前めっき溶液は、いかなるレベラーも含まない。その他の実施形態では、事前めっき溶液は、レベラーを含んでいてよいが、テスト溶液内の濃度を特性化されようとしているレベラーと同じ種のレベラーは含まない。更なる実施形態では、事前めっき溶液は、硫酸銅及び酸の補給溶液であってよい、又は硫酸銅及び塩化物イオンの補給溶液であってよい。
【0010】
方法は、更に、事前促進溶液に暴露する前に金属めっき電極を脱イオン水ですすぐことを含んでいてよい。方法は、また、吸着されなかった促進剤化合物を除去するために、テスト溶液内でめっきする前に金属めっき電極をすすぐことも含んでいてよい。更に、方法は、事前促進溶液に暴露する間に、約5mA/cm2を超える電流密度の電流を電極に印加することを含んでいてよい。特定の実施形態では、テスト溶液内でめっきするときの電極の近くの溶液内における境界層厚さは、約60ミクロン未満である。方法は、更に、電極をその開始状態に回復させることを含んでいてよい。この回復は、化学的エッチング又はボルタンメトリ陽極酸化などの、機械的技術、化学的技術、又は電気化学的技術を通じて実現されてよい。特定の実施形態において、方法が、主めっき装置の外で実施される一方で、その他の実施形態では、方法は、主めっき装置の内部で又は主めっき装置の実質的に内部で実施される。方法は、一部の実施形態では、テスト溶液ごとに1日に約1〜10回繰り返されてよい。
【0011】
方法の更なる実装形態は、金属表面を有する電極を提供することと、少なくとも1種の促進剤化合物を有する事前促進溶液に電極を暴露し、電極の表面が少なくとも1種の促進剤化合物で実質的に飽和されることを可能にすることと、レベラーの濃度が既知の第1の溶液と、レベラーの濃度が未知の第2の溶液とを提供することと、第2の溶液を第1の溶液に加えることによって、第3の溶液を調製することと、第3の溶液内で電極をめっきしながら電気化学応答を測定することと、測定された電気化学応答を、レベラー濃度を既知の電気化学応答に関係付けるモデルと比較することによって、第3の溶液内のレベラー濃度を決定することと、第1の溶液内の既知のレベラー濃度と、決定された第3の溶液内のレベラー濃度と、第3の溶液を作成するために第1の溶液に加えられた第2の溶液の量とを関係付けることによって、第2の溶液内のレベラー濃度を決定することとを含んでいてよい。第2の溶液は、電気めっき装置からとられた溶液のサンプルであってよい。特定の実装形態では、第2の溶液内のレベラー濃度は、第1の溶液内の既知のレベラー濃度と、第3の溶液を作成するために第1の溶液に加えられた第2の溶液の量と、測定された電気化学応答とに基づいて、第2の溶液内のレベラー濃度を計算するための命令でプログラムされたコントローラによって決定される。方法は、更に、吸着されなかった促進剤化合物を除去するために、事前促進溶液への暴露後に電極をすすぐことを含んでいてよい。一部の実装形態では、方法で使用される2種以上の溶液が、個別の容器に入れて提供されてよい。その他の実装形態では、方法で使用される全ての溶液が、1つの容器に入れて提供されてよい。容器は、運搬メカニズムに載せて提供されてよい。容器は、特定の実装形態では不動であってよい。容器が不動である場合は、電極が容器に相対的に可動である。
【0012】
別の一実装形態では、電気めっき溶液内のレベラー濃度を監視するための装置が提供される。装置は、金属表面を有する電極と、溶液内の電極の電気化学応答を、電極にカソード電流が供給されるのに伴って測定するように構成された1つ以上の電気化学セルと、測定された電極の電気化学応答に基づいて、テスト溶液内のレベラー濃度を決定するように構成されたコントローラとを含んでいてよい。コントローラは、特定の実施形態では、金属めっき電極への既定の電流又は電位の送達を生じるように設計又は構成されてよい。更なる実施形態では、コントローラは、1つ以上の容器への1種以上の流体の投入を生じるように設計又は構成されてよい。尚も更なる実施形態では、コントローラは、テスト溶液内に存在するとして決定されたレベラー濃度に応答してめっき溶液にレベラーを投与することによって、電気めっきシステムにおけるレベラーのレベルを調整するように設計又は構成されてよい。
【0013】
更なる一実装形態では、電気めっき溶液内のレベラー濃度を監視するための装置が提供される。この装置は、金属表面を有する電極と、電極の電気化学応答を測定するための測定装置と、電極が少なくとも1種の促進化合物によって飽和され次いでテスト溶液内でめっきされた後に測定された電極の電気化学応答を、レベラー濃度を既知の電気化学応答に関係付けるモデルに適用することによって、テスト溶液内に存在するレベラー濃度を決定するように設計又は構成されたコントローラとを含んでいてよい。特定の実装形態では、コントローラは、電極への既定の電流又は電位の送達を生じるように設計又は構成されてよい。更なる実装形態では、コントローラは、1つ以上の容器への1種以上の流体の投入を生じるように設計又は構成されてよい。コントローラは、また、特定の実施形態では、テスト溶液内に存在するとして決定されたレベラー濃度に応答してめっき溶液にレベラーを投与することによって、電気めっきシステムにおけるレベラーのレベルを調整するように設計又は構成されてよい。一部の実装形態では、コントローラは、めっき溶液内のレベラー濃度を既定の範囲内に維持するように設計又は校正されてよい。特定の実施形態では、レベラー濃度の既定の範囲は、約1〜1000ppmである。
【図面の簡単な説明】
【0014】
開示される実施形態のこれら及びその他の実施形態の特徴が、関連の図面を参照にして以下で更に詳しく説明される。
【0015】
図1】溶液内のレベラーの濃度を決定するための代表的なプロセスを示したフローチャートである。
【0016】
図2】レベラー濃度が既知の様々な溶液について、印加される電流密度を1600rpmにおいて0mA/cm2から8mA/cm2にステップ変化させた後におけるEwe(V)対時間(秒)のグラフである。
【0017】
図3】3つのパネルを含む。図3の上段パネルは、図2の各溶液がターゲット電位に到達するために要した時間を溶液内のレベラー濃度に対して示している。図3の中段パネルは、図2の各溶液がターゲット電位に到達するために要した時間をレベラー濃度の逆数に対して示しており、データを線形モデルに当てはめることによって2つのモデルが作成されている。図3の下段パネルは、図3の中段パネルのデータ及びモデルに対応する表を示している。
【0018】
図4】2つのパネルを含む。図4の上段パネルは、図2の各溶液がターゲット電位に到達するために要した時間をレベラー濃度の逆数に対して示しており、データを二次モデルに当てはめることによって2つのモデルが作成されている。図4の下段パネルは、図4の上段パネルのデータ及びモデルに対応する表を示している。
【0019】
図5】複数のめっきセルを有する電気めっきシステムの概略図である。
【0020】
図6】本明細書で提示される特定の実施形態にしたがった計測ツールの断面の一例を示している。
【発明を実施するための形態】
【0021】
導入
本出願では、「半導体ウエハ」、「ウエハ」、「基板」、「ウエハ基板」、及び「一部作成された集積回路」という用語が、区別なく使用される。当業者ならば、「一部作成された集積回路」という用語が、集積回路を上に作成される多数の段階のうちの任意にあるときのシリコンウエハを指しうることを理解することができるだろう。以下の詳細な説明は、本発明を、ウエハ上で具現化されるものと想定している。しかしながら、本発明は、そのように限定はされず、被加工物は、形状、サイズ、及び材料が様々であってよい。半導体ウエハ以外に、本発明を活かせるだろうその他の被加工物として、プリント回路基板などの様々な物品が挙げられる。
【0022】
本明細書で開示される実施形態は、特定の種の又は族の化学物質に限定されず、むしろ、総じて、レベラー化合物として当業者が認識しているだろう化合物(これ以降に発見又は作成されるあらゆるレベラー化合物を含む)に限定される。化学物質は、それがめっきプロセスに対して及ぼす実際的及び工学的影響に基づいてレベラー化合物として特性化されてよい。めっきレベラー化合物は、総じて、それらの機能感度及びプロセス感度によって記述することができる。
【0023】
めっき溶液へのレベリング化合物の追加は、めっきプロセスの分極(より具体的には、表面電気化学的動的抵抗)を増加させる傾向がある。分極は、レベラーの濃度が最大の領域において選択的に増す傾向がある。レベラー化合物は、(永久的ではなく)一時的な影響を有するのが通常であり、レベラー化合物による分極化作用を維持するためには、めっき表面に絶えず化合物を供給し続ける必要がある。代表的なレベラー濃度では、分極の量は、総じて、表面に到達するレベラー化合物の量の増加に伴って(例えば線形的に)増加する。化合物は、その天然型において機能的であってよい、或いはめっき浴内に配された後に構造を変化させてよい。更に、レベラー化合物は、機能的な分極化動的抑制剤を形成するために表面で化学的に又は電気化学的に反応する前駆体であってよい。
【0024】
レベリング化合物に関連した分極の有効性及び程度の増加は、一般に、表面に到達する活性種の具体的濃度に関係付けられる。表面の露出領域及び突出領域は、凹んだ領域すなわちアクセス不可能領域よりも多くのレベラー供給を受ける傾向がある。レベリング化合物は、そうでなければめっきに対して触媒的影響を有するだろうめっき化合物を非活性化させるだろう。場合によっては、抑制レベラー化合物又はその活性生成物が、成長する金属蒸着物内に取り込まれ、それによって、活性物質が、露出しためっき表面から取り除かれる。新しいレベリング化合物が溶液から継続的に供給されなければ、抑制の効果は時間の経過とともに失われる。更に、露出している表面領域は、凹んだ領域又はそれ以外の理由でアクセス不能な領域と比べて大フラックスのレベラー化合物を有することができる。したがって、新しいレベリング化合物の送達及び古いレベリング化合物の(例えば蒸着物への取り込みを通じた)除去を受けて、露出領域は、更に高い正味レベルの抑制を維持する。レベラー化合物は、したがって、総じて、凹んだ領域及びアクセス不能領域では高いめっき速度で、露出領域では比較的低いめっき速度でめっきを生じさせることができる。更に、レベラー化合物は、比較的高濃度の促進剤を含む突出などの、促進作用又は触媒作用の大きいめっき表面領域の成長を終結又は減速させられるだろう。
【0025】
レベラー化合物は、多くの場合、1つ以上の窒素官能基、アミン官能基、イミド官能基、又はイミダゾール官能基を含んでおり、また、硫黄官能基も含んでいてよい。場合によっては、レベラー化合物は、表面活性剤のような性質も有している。銅めっきレベラー化合物は、1つ以上の五員環及び六員環、並びに共役有機化合物誘導体を含んでいてよい。多くのレベラー化合物は、環構造の一部をなす1つ以上の窒素基を含んでいる。化合物は、更に、大きな鎖に機能的に挿入されているアミンの断片を備える、一般構造がポリエチレングリコール又はポリエチレンオキシドに類似するエトキシド基を含んでいてよい。この化学的分類の化合物の一具体例は、Janus Green Bである。
【0026】
レベリング剤は、重合体又は単量体/非重合体であってよい。幾つかの重合体レベリング剤の例として、ポリエチレンイミン、ポリアミドアミン、及びアミンと、様々な酸素エポキシド又は硫化酸素との反応生成物が挙げられる。銅めっき化合物を組み入れた、拡散制御された非重合体レベリング剤の一例は、硫黄を含有する6−メルカプトヘキサノールである。これらの化合物、なかでも特にアミン系の化合物は、第一級、第二級、又は第三級のアルキルアミンであってよい。これらは、アリルアミン又は複素環アミンであってもよい。アミンの非限定的な例として、ジアルキルアミン、トリアルキルアミン、アリルアルキルアミン、トリアゾール、イミダゾール、トリアゾール、テトラゾール、ベンズイミダゾール、ベンゾトリアゾール、ピペリジン、モルホリン、ピペラジン、ピリジン、オキサゾール、ベンズオキサゾール、ピリミジン、キノリン、及びイソキノリンが挙げられる。イミダゾール及びピリジンは、とりわけ有用である。エポキシドの非限定的な例としては、エピクロルヒドリン及びエピブロモヒドリンなどのエピハロヒドリンや、ポリエポキシド化合物が挙げられる。特に適したポリエポキシド化合物は、エーテルを含有した結合によって2つ以上のエポキシド部分を結合されたものである。しかしながら、上記及び上述のように、レベリング化合物は、特定の化学化合物又は化学構造を有する必要はなく、むしろ、本開示との関係では、レベリング化合物は、少なくとも一部には、その電気化学的な機能及び影響によって特性化されてよい。レベリング化合物は、参照によってその全体を本明細書に組み込まれる米国特許公報第2009/0139873号で更に議論及び説明されている。
【0027】
開示される実施形態は、TSV・ダマシン充填のためのめっき特徴充填動作の信頼性を、めっき溶液内の、特に非常に低いレベラー濃度で存在しているレベラーの測定を可能にすることによって維持する。レベリング化合物、なかでも特にTSVめっき動作で使用されているレベリング化合物の濃度は、非常に低くてよい(例えば1〜2ppm以下)。代表的な処理時間である約10〜100分間にわたって生じるボトムアップ成長プロセスの終結を回避するためには、レベラーの濃度が低いことが望ましい。もし、レベラー濃度が高すぎると、それは、成長しているTSVの基部における促進化合物の幾何学的集中メカニズムに一般的に関連した超充填メカニズムを停止させる傾向がある。これは、めっきの初期段階中にフィールド領域内への電気めっきを抑制剤添加物(例えばポリエチレンオキシド−ポリプロピレンオキシド)が優先的に抑制する及びめっきプロセス全体にわたって特徴凹所内への充填を促進剤が促すメカニズムである。しかしながら、もし、深いTSV特徴をめっきする非常に長い期間(通常は10〜100分間)にわたってレベラーの濃度又は活動性が低すぎると、浴内の促進剤がめっき表面と反応するにつれて表面が徐々に脱分極する恐れがある。上記のように、レベラーは、多くの場合、(1)抑制を引き起こすとともに(2)促進化合物による触媒効果を排除するという二重機能的役割を有する。したがって、めっき溶液内のレベラーの濃度を低く一定に維持することは、金属の電気蒸着においてとりわけ有用である。更に、レベラー化合物は、通常は、消費される、取り込まれる、又は比較的短い活動寿命を有するので、多数のウエハを順番にめっきし続ける一方で一定のめっき条件を維持するためには、レベラー化合物濃度を正確に測定することが必要である。
【0028】
レベラーを含むめっき浴成分を測定するために、様々な技術が用いられてよく、このような技術には、サイクリックボルタンメトリの分析を様々な化学滴定、HPLC、及び分光光度測定と組み合わせて用いる様々な方法が含まれる。
【0029】
最適な充填性能を制御する及び発生させる、並びに浴性能(長寿命性/安定性)を維持するためには、なかでも特に、大きくて深いTSV構造のための銅めっき浴などの銅めっき浴内において、レベラー濃度が低いことが役に立つ(本明細書で言う低濃度は、ppb(10億分の1)から数ppm(百万分の1)までを意味する)。しかしながら、レベラーの濃度は、非常に低いのが一般的であるので、浴内のレベラーによる電気化学的作用は、微妙なうえに長期間にわたって生じ、これは、現行の方法(例えばCVSボルタンメトリ、滴定、分光法)による検出及び濃度の定量化/決定を、非常に困難にする。本明細書で開示される方法及び関連のハードウェアは、レベラー濃度を測定するための低コストで高精度のアプローチを提供し、これは、レベラー濃度が非常に低い場合に特に適している(しかしながら、レベラー濃度が非常の低い場合に限定はされない)。
【0030】
浴内において複数の機能的及び動作上の役割を有する添加剤を含む特定のめっき浴は、(「V」TSV特徴充填と比べて)高速ボトムアップTSV特徴充填において有用であることを見いだされた。これらの浴は、二成分めっき浴と呼ばれ、通常は、強いポリエチレンオキシド(PEO)、ポリプロピレンオキシド(PPO)、ポリエチレングリコール(PEG)、及び/又はポリプロピレングリコール(PPG)タイプの抑制剤と、非常に低濃度の促進化合物(例えばジメルカプトプロパンスルホン酸(SPS))とを含む。当業者にならば、二成分めっき浴が必ずしも2つの固有な「化合物」を必要とするわけではなく、分子量及び機能性の広がりを有する単一の化合物又は種を含んでいてもよいことが理解されるだろう。特定のモデル又は理論に捕らわれることは望ましくないが、抑制剤は、機能的には、表面動的分極化化合物であり、表面化学吸着ハロゲン化物(例えば塩化物又は臭化物)と相まって、界面における電圧降下の大幅な(約200mVから700mVまでの)の増加をもたらす。抑制剤は、(常にではないが)通常は、高い「過剰」濃度で存在し、めっきプロセス中に消費されないのが一般的であり(すなわち、抑制剤は、徐々に分解はされるだろうが蒸着物には取り込まれないのが一般的であり)、強く濃度又は流量に依存する挙動を実効的な流量レベル又は濃度レベルの近傍(前後)で見せることはない。
【0031】
銅ダマシンめっき浴及びTSVめっき浴の大半では、促進化合物(最もよく使用されるのは、TSV浴における、約0.5〜2ppmの濃度のジメルカプトプロパンスルホン酸、ジメルカプトエタンスルホン酸、及びそれらの誘導体である)が、浴内の抑制剤の存在に関連する分極を低減させる、及びしたがってそれが存在しない領域よりもそれが存在する場所におけるめっき速度を「加速させる」傾向がある。通常は、2つの成分の組み合わせが用いられる。(参照によってその全体を本明細書に組み込まれる米国特許第7,449,009号、第7,560,016号、第7,799,200号、及び第7,947,163号を含むがこれらに限定はされない先に発行された特許で詳しく開示されている)詳細には言及されないが、促進化合物は、めっき反応の結果として強く吸着され、総じて横方向に表面に固定される。そうして、分極は、めっき表面に結合された促進剤の局所的表面濃度(例えばメルカプト−金属結合化合物の濃度)の関数の形で低減される。レベラーなどの化合物の条件又は活動(後述される)下にある場合を除き、促進剤は、その更なる属性として、浴からの追加補充がなくても表面活性状態にとどまって表面で「浮遊する」だろう(すなわち、表面への金属の蒸着とともに成長膜に取り込まれる、埋没する、又は変換されることがないだろう)。促進剤の非限定的な例として、2−メルカプトエタンスルホン酸、3−メルカプト−2プロパンスルホン酸、ジメルカプトプロパンスルホン酸、ジメルカプトエタンスルホン酸、3−メルカプトプロピオン酸、メルカプトピルビン酸、3−メルカプト−2−ブタノール、及び1−チオグリセロールが挙げられる。
【0032】
なかでも特に、TSVのように、充填するのに10分から数時間を要するかもしれない非常に大きくて深い構造におけるボトムアップ充填中は、めっき表面の他の部分と比べて大幅に高い表面濃度でメルカプト−金属結合促進化合物が蓄積されることによって、特徴の底部が脱分極される。促進剤の表面濃度が比較的高いこと、及びそれに付随する脱分極は、特徴の底部における蒸着速度を増加させる。脱分極化化合物は、浴内の分子と同じであってよい、又はその促進剤の分解生成物であってよい。
【0033】
特定のモデル又は理論に捕らわれることは望まないが、表面吸着される促進剤化合物が促進剤前駆体から形成される速度が電圧の関数であること、及び吸着のプロセスが化学的にも電気化学的にも生じうることが想定される。低電流/電位において、プロセスは、化学的であると考えられ、主に、めっき表面における自由第一銅イオン濃度によって作動される。反対に、負が増すと(作動電位が高くなると)、直接的な促進剤−電気化学的−還元メカニズムが働くと考えられる。還元電流が増加するにつれて、表面吸着される第一銅イオンによって反応が触媒されるゆえに、表面促進剤結合化合物が化学的に形成される速度が低下する。電流が増加するにつれて及び電位が負を増すにつれて、2段階プロセス(Cu+2+e-→Cu+及びそのあとに続くCu++e-→Cu)の中間イオンがめっきプロセスにおいて銅金属を形成するために使用される速度が増加するので、表面吸着される第一銅イオンの濃度は減少する。したがって、促進プロセスに対する化学的作用による寄与は、電流密度の増大とともに減少すると想定される。これに対して、直接的な電気化学的還元の速度、及び表面吸着される促進剤種(例えばメルカプトプロパンスルホン酸又は類似の誘導体)を形成するためのSPS又は類似の促進剤の変換速度は、電流密度が増すにつれて及び電位が負を増すにつれて増加する。したがって、表面促進種の形成速度は、促進剤前駆体の濃度の関数の形で増加すると考えられ、ただし、中間電流密度(例えば0.5〜2mA/cm2)において最小形成速度を有しており、また、溶液及び/又は表面第一銅イオン濃度(例えば電解質に溶解した酸素含有量)を変化させるその他の任意の要因によって影響を受ける可能性がある。
【0034】
幾何学的領域還元作用促進モデルにしたがうと、充填プロセスの初期段階では、表面上にごく僅かな促進剤しか存在しない又は促進剤が存在しない。時間の経過、めっきプロセスの進行、及び電流の供給とともに、凹所を含むめっき表面全体にわたり、実質的に均一な低い濃度で促進剤が蓄積すると考えられる。しかしながら、めっき表面の場所によっては、低いはずの促進剤濃度が増加し、促進剤が集中して蓄積する可能性がある。例えば、促進剤は、窪んだ/凹状の特徴の領域(例えば、凹状の特徴の底部)に沿って集中するかもしれない。なぜならば、そのような特徴は、めっきの発生及び表面の成長とともに面積が減少する傾向があるからである。これは、特徴底部における促進化合物の表面濃度の増加をもたらし、また、それに対応し、局所的動的抵抗を減少させる促進剤の効果ゆえの、特徴底部における局所的めっき速度の増加を招く。これは、特徴底部ではその他の部分の表面と比べてめっきに対する抵抗が比較的低い(その「促進性」が高い)ゆえに特徴が「ボトムアップ」式に充填されることを可能にする。
【0035】
特徴が充填されるにつれて、そして、これまで特徴の底部及び壁にあった材料から促進剤が蓄積されることによって移動底部における促進剤の濃度が増すにつれて、電流は、ますます特徴の底部に向けられるようになり、同時に、めっき表面のその他の部分に向けられる電流、なかでも特に特徴の側壁及びフィールド領域に向けられる電流が減少する。この相対的な、フィールドにおける電流の減少及び特徴内側における分極の低下は、全ての表面において電位を降下させ、全ての表面上において促進剤が更に形成される速度を大幅に減少させる又は停止させる。電気めっきの目標は、1つには、プロセス全体を通して促進剤濃度及び分極の差を維持することにある。この目標を追及するにあたっては、形成の開始期間の後、金属がめっきされるのに伴って、促進剤形成速度を全体的に低下させる及び/又は非常に低くとどめることが有用であり、ときには必要でもある。しかしながら、促進剤の形成速度がゼロに低下することはなく、したがって、TSV充填に関連した長期間にわたり、最適な充填及び無ボイド蒸着を達成するためにはそれが生じるのが望ましくない場所(例えばフィールド上及び特徴の上部側壁領域)で促進剤分子の濃度がゆっくりではあるが着実に同時発生的に増加する恐れがある。もし、これらの表面に促進剤化合物が積み上がると、それは、特徴の主フィールド(頂部)における表面動的抵抗を減少させる傾向があり、特徴の底面と側壁又はフィールドとの間で望まれるめっき速度のコントラストが損なわれ、充填プロセスを機能させなくなる恐れがある。充填の不具合は、充填の停止及び/又は充填特徴内におけるボイド形成を招くだろう。したがって、特徴充填浴の性質を長期間にわたって注意深く維持することが有益である。
【0036】
低濃度で存在する1種以上のレベリング化合物は、多くの場合、特徴充填の損失を回避するのに有益である。レベラーは、特徴側壁及びフィールドに促進剤化合物が積み上がるにつれてそれらの表面が脱分極される傾向を打ち消すことができるだろう抑制剤として機能する。レベラーの使用は、化学的に活性な促進剤の分解生成物が存在する場合に特に有益である。なぜならば、これらの分解生成物は、時間の経過とともに/複数のウエハが処理されるにつれて蓄積し、これは、めっきプロセスにとって有害であるかもしれないからである。例えば、浴内における、前駆体ジメルカプトプロパンスルホン酸(SPS)からの非常に低レベルの化学吸着性メルカプトプロパンスルホン酸(MSP)の積み上がりは、ウエハのフィールドを脱分極させ、特徴充填の不具合、ボイド発生、及び/又は浴充填速度の低下をもたらす恐れがある。したがって、低濃度の1種以上のレベリング化合物は、充填プロセスを助けるとともに、多数のウエハの処理にわたって充填プロセスの均一性を維持することができる。
【0037】
概して、めっきをむらなくする化合物(レベラー)は、そうでなければ高いめっき速度でめっきされるだろう表面領域におけるめっき速度を低下させる機能を有する。これは、従来、表面の端及び露出部分を含むと考えられる。特定のモデル又は理論に捕らわれることは望まないが、レベラーは、それら単独で、又は他の化合物と相まって、又はめっき浴内の化合物どうしの機能的相互作用によって、電気蒸着反応の分極(表面抵抗)を局所的に増加させる働きをする化合物である。レベラーは、低い(数十ppm又はそれ未満の)濃度で存在することが多い。レベラーは、電極界面において、拡散律速速度又はそれに近い速度で反応する又は消費される。したがって、レベリング剤の継続的供給が維持されなければならず、電極におけるその分布は、最も露出されている領域すなわち対流が最大の領域において最大である。めっき浴レベリング化合物の機能は、一般に、単独で又は他の浴添加剤と相まって電荷移動(動的)界面抵抗を増加させるものとして当業者に理解され、従来、そうでなければ蒸着物内の他の場所よりも大きい速度で成長するだろうめっき表面上の地点における成長を抑制するために使用される。本明細書で開示される多くの実施形態に具体的に適用されるように、レベラーは、考察される化学系に応じて様々な手段によって動作させる及び機能化することができるが、その機能は、少なくとも一部には、表面上の露出領域における促進化合物による作用を排除することである。
【0038】
本明細書で説明される方法にしたがって測定されるものとして最も適したレベラーは、促進剤の存在に関連した界面の脱分極を低減する、並びにその下にある抑制された分子の分極を回復させる(すなわち、促進を排除する、表面分極を低減する、及び抵抗を増加させる)性質を、(単独で又は上記特性に加えて)有する。
【0039】
一具体例として、銅酸めっき溶液は、硫酸、硫酸銅、20〜100ppm(例えば50ppm)の塩化物イオンを伴ったポリエチレンオキシド/ポリエチレングリコール抑制剤分子、及びジメルカプトプロパンスルホン酸(SPS)促進剤を、SPS活動を非活性化する傾向を有するレベラーとともに含んでいる。開示された実施形態にしたがって、レベラー濃度を測定することができる。レベリング化合物は、したがって、多くの場合、表面動的抑制分子であり、類似の性質を有する促進剤(ジメルカプトプロパンスルホン酸(SPS)、メルカプトプロパンスルホン酸(MPS)、ジメルカプトエタンスルホン酸(SES)、メルカプトエタンスルホン酸(MES)、ビス−(3−スルホプロピル)−ジスルフィド(SDSP)など)による脱分極化(促進)作用を排除することができる機能を有していてよい。
【0040】
繰り返し述べるが、特定の理論又はモデルに捕らわれることは望ましくないが、長い時間の経過とともに、及び電荷がめっき浴を通過するのに伴って、特定の脱分極化促進分子の濃度及び吸着速度が局所的に増加するだろう。これらの分子は、反応や吸着などを通じてめっき表面上に直接的に蓄積し、任意の中間生成物、促進反応生成物、又は分解生成物を含んでいる。
【0041】
レベラー濃度を検出する方法
めっき浴内のレベラーの低濃度を検出する方法及び関連の装置が説明される。便宜上、これらの技術は、事前促進−回復−分極(PARP)方法及び装置と呼ぶことができる。本明細書では、シリコン貫通電極構造(TSV)をめっきするために使用される銅めっき浴との関連のもとで、検出方法の1つが説明されるが、その概念は、その用途又は金属に限定されない(その他の用途及びめっき材料として、例えば、ダマシン、バンプ、パッド、及びコネクタタブのめっき、並びに錫、銀、ニッケル、金などの金属が挙げられる)。通常は、作用電極への質量移動対流を再現可能に維持するのに適した電気化学めっき装置が使用される。この装置は、制御された温度と、質量移動境界層とを提供するだろう。このようなめっき装置の一例は、回転する環/円盤/円柱電極、又は衝突噴流若しくは衝突噴水と、動くパドル(パドルプレータ)とを含むものである。
【0042】
一部の実施形態において、PARP測定プロセスの第1の工程は、銅めっき電極のような金属めっき電極を用意することである。このプロセスは、分析前めっき工程又は事前めっき工程と呼ばれることもある。この工程の一機能は、のちの分析で使用される清浄な金属表面を形成することであり、ここで、表面は、分析されるめっき浴に含まれるのと同じ金属で作成される。もし、開始時の回転円盤電極(RDE)が不活性電極(例えば、プラチナで作成された又はプラチナをコーティングされた電極)であり、分析される溶液が銅めっき溶液であるならば、第1の工程は、不活性RDEを銅でめっきすることを伴ってよい。めっきは、例えば銅めっき溶液内で発生することができ、この溶液は、測定されるめっき溶液と同じ溶液であってよい、又は異なる溶液であってよい(すなわち、この工程で使用されるめっき溶液は、テストされるめっき溶液内に見いだされるものと物理的に同じ対象物を、異なる化学的濃度で含んでいてよい)。単純な事例では、めっき溶液は、第2銅塩と酸(例えば硫酸銅と硫酸)とを含んでいる。一部の実施形態では、事前めっき溶液は、大量の有機めっき添加剤を含んでいない。一部の事例では、事前めっき動作は、滑らかで明るい表面を形成するために、1種以上の添加剤(例えば抑制剤、促進剤、及び随意としてレベラー)を含んでいてよい。
【0043】
総じて、形成されためっき表面は、吸着性の強い促進化合物(代表的な銅めっき浴の事例におけるメルカプトプロパンスルホン酸など)を既に含んでいる、及び/又はそのような促進化合物を受け入れ可能である。したがって、めっき表面は、促進化合物の吸着を阻害するかもしれない材料を含んでいないことが望ましい。分析前めっき工程で使用されるめっき溶液は、添加剤を含まず、銅塩及び随意としての酸のみを水溶液内に含んでいてよい(例えば、60g/Lの銅イオン及び60g/Lの硫酸)。しかしながら、下にある基板の開始時における質及び分析前めっきの厚さによっては、形成される表面のマイクロラフネスが最適でない恐れがある。したがって、一部の実施形態では、蒸着物を滑らかで明るいものにする特性/添加剤を有するめっき浴内において、分析前めっきが実施される。分析前めっき溶液への1種以上の促進剤の追加は、このラフネス因子を僅かに向上させるだろう。めっきプロセス後の蒸着物を、促進剤の吸着を阻害する分子が存在しない滑らかで明るいものにすることができる分析前めっき溶液の一種は、抑制添加剤及び促進添加剤をともに含む溶液である。例えば、分析前めっきは、60g/Lの銅イオンと、60g/Lの硫酸と、5ppmのSPSと、100ppmの、L62として知られるBASFからのPEO化合物とを含む溶液内で実施することができる。使用される電流密度は、約1〜50mA/cm2の範囲にわたってよく、約10〜35℃の温度で約1〜100秒間にわたって印加することができる。
【0044】
低濃度のレベラーを測定及び監視されることによる恩恵を受けるだろう代表的なTSVめっき溶液は、約20〜100g/Lの濃度の硫酸銅又は銅メタンスルホン酸塩と、約20〜100g/Lの濃度の硫酸又はメタンスルホン酸とを含み、銅イオンの溶解限度を下回る約1.0〜1.8M/Lの全溶解固形成分濃度(酸+金属塩)を有する溶液である。このようなめっき溶液は、通常、約10〜100ppmの範囲の濃度で、より一般的には25〜75ppmの濃度で塩化物イオンを含む。めっき溶液は、また、一般に、SPS(ジメルカプトプロパンスルホン酸)などの促進化合物を約0.2〜2ppmの濃度で、又は代替として、Moses Lake Industriesの独占促進剤「HSL−A」を約0.1〜2ml/Lの濃度で含む。更に、TSV浴は、通常、例えばBASFからのL62などの、PEOをベースにした抑制化合物などの抑制剤を、約50〜400ppmの濃度で含む。代替として、抑制剤は、約0.5〜1ml/Lの濃度の、Moses Lake Industriesからの「HSL−B」と呼ばれる独占抑制剤であってよい。レベラー濃度測定による恩恵を受けるめっき浴は、また、約0.05〜2ppmの濃度でJanus Green Bを、又は約0.05〜2ml/Lの濃度でMoses Lake Industriesの独占レベリング化合物「HSL−C」を含んでいてよい。HSL−Cのこの濃度範囲は、約2ppmを下回る活性レベリング分子濃度に対応すると考えられる。後述される例では、TSVめっき溶液内で測定される低濃度レベリング化合物の一例として、HSL−Cレベリング化合物が使用されるが、当業者にならば、開示される方法及び装置がそれに限定されないことが理解されるだろう。その他の多くの組成が使用されてよい。総じて、組成は、レベラーと促進剤とを含む。
【0045】
一部の事例では、めっき浴のベンダは、レベラー剤の機能性を、「添加剤」の一成分としてその他の剤(抑制剤、促進剤、結晶微細化剤、湿潤剤など)と混ぜ合わせて化合させてよい。別の事例では、ベンダは、例えばそれがとりわけ低レベルでありターゲット添加剤自体の生産プロセスの副生成物又は残留物であるかもしれないゆえに、それら添加剤内におけるレベラー化合物の機能的存在を知らないだろう。この可能性の一例としては、抑制剤として機能するポリマを一定の分子量分布で有する製造ブレンドが一般的であり、このようなブレンドは、その機能性及び応答の両方が一定範囲にわたるだろう。このようなブレンドは、更に、レベラーとして一般的な作用特性を有することができる低分子量の(例えば単量体の)部分又は分子量が非常に高い断片を低いレベルで含んでいるだろう。したがって、関係する1種の又は一群のターゲットレベラー化合物の存在は、ベンダによる技術データシート、公表内容、又は命名体系によってではなく、本明細書で説明される手順及び装置を使用しためっき浴の電気化学応答の標準値対測定値の比較研究を非限定例として含む注意深い分析及び研究によってのみ区別可能だと考えられる。
【0046】
一部の実施形態では、分析前めっき工程の目的は、後続のプロセス及び測定のために、極細に再現可能な銅めっき表面を異質基板(Pt)上に形成することである。蒸着された銅層又はその他の層は、絶えず電極表面全体を覆っていることが望ましい。蒸着された層は、あまり厚い必要はない(例えば約2μメータ未満であってよい)。膜が厚いと、後続の動作で測定が行われた後、貴金属表面を回復及び露出させるために、より多くの時間と努力とが必要になるかもしれないので、膜は、薄いほど好ましいだろう。厚さは、場合によっては、ウエハをめっきするために使用される従来の銅シード層の厚さ程度である(例えば約500〜2000Å)。代替の実施形態では、銅層は、無電解蒸着によって、又はPVDなどの非電気化学的な蒸着技術によって提供される。銅層は、純粋な銅の固体の円盤又は棒として提供されてもよく、促進のための前処理前にエッチング及び洗浄を施される。
【0047】
分析前めっき溶液による分析前めっきを実施した後、電極は、溶液から取り出され、随意として、例えば脱イオン(DI)水によってすすがれる。或いは、円盤を固定したままで、分析前めっきセルから溶液が排出され、すすぎ水が加えられる。PARPプロセスにおける次の工程、すなわち事前促進工程は、一般に、用意された銅表面において、促進剤を表面吸着させるとともに実質的に飽和させる。この結果は、事前促進溶液とも呼ばれる高濃度の1種以上の促進化合物の溶液に、実質的な飽和を達成するのに十分な時間にわたって表面を暴露することによって達成される。この促進剤吸着動作は、参照によって上記で組み込まれた特許のなかで更に論じられている。事前促進工程の一例は、1g/Lのメルカプトプロパンスルホン酸(これは、ジメルカプトプロパンスルホン酸の単量体であり、銅表面との化学的反応性に富む)を含む溶液に、めっきされた銅表面を10秒間にわたって暴露することである。
【0048】
厳密な接触時間、使用される(一種以上の)促進化合物、及びそれらの濃度は、飽和状態を実現するのに十分であることが望ましい。この飽和状態では、たとえ促進剤の投与量(濃度及び/又は暴露時間)が増えても表面の電気化学的性質において測定可能な変化は生じないのが通例である。飽和状態下における動作は、再現可能な均一な開始状態を形成し、その状態からは、レベラーと表面との相互作用の検出及び測定の両方を行うことができる。飽和に満たない状態でシステムを分析することも可能ではあるが、その場合は、より高度な投入暴露制御が必要とされる傾向があり、促進の程度に対するその作用は、溶液内の(1種以上の)促進剤の濃度、暴露時間、温度、及び電極表面における対流を含む幾つかの変数の関数である。したがって、PARPプロセスを実施するときは、飽和状態を実現することが、必ずしも必要ではないが好ましい。
【0049】
表面を完全に促進されたら、電極は、溶液内のレベラーとの間に、優れた再現性で確定可能である相互作用を容易に且つ速やかに経ることができる。飽和された電極表面を形成するために使用されうる促進剤の例として、SPS、MPS、SES、MES、及びDSPが挙げられる。一部の実施形態では、溶液内に1種以上の適切な促進剤を有する事前めっき溶液を使用すること、並びに十分な長さの暴露時間及び/又は印加電流を事前めっき動作で使用し、促進剤で実質的に飽和され事前にめっきされた表面を実現することによって、事前めっき工程と事前促進工程とを組み合わせることができる。
【0050】
飽和された電極表面を形成した後、促進溶液は、排出され又はそれ以外の形で電極表面との接触から取り除かれ、電極は、通常、乗っている溶液を振り落すためにスピンされ、次いで水で完全にすすがれる。容器/セル内に又は電極表面上に残った余分な促進化合物が、間もなく測定されるテストめっき溶液に移る事態を回避するためには、大規模な洗浄及びすすぎのプロセスが有益である。電極表面上に吸着された促進剤のみが、テストセル内にある唯一の促進剤であってよい。
【0051】
次に、促進剤で飽和された表面と溶液内のレベラーとの相互作用が、PARPプロセスの分極回復過程を通じて検出及び特性化される。一部の実施形態では、銅又はその他の金属を事前にめっきされた事前に促進された電極は、すすぎ後、測定対象レベラーを含有した溶液内において電気蒸着を経る(較正を目的として標準応答を得るため又はレベラー濃度が未知の溶液内のレベラーを測定するため)。レベラーは、比較的低い濃度で存在しているので、相当な大きさの信号を検出及び測定するためは、極めて高い対流条件における動作が有益だろう。なぜならば、高対流条件は、表面へのレベラーのフラックス速度を増加させ、分極回復及び測定の時間を短縮させるからである。これらの条件は、相互作用の速度を向上させ、RDEなどの小型の測定用電極で測定可能なレベラー信号を増幅させる。したがって、対流条件は、TSVめっきプロセスで適用されるものよりも遥かに積極的な条件であるのが一般的である。これは、少なくとも一部には、TSVめっき中にレベラーがTSV構造の底部に又は側壁の深部に運ばれることが望ましくないからである。TSVめっき中のレベラー作用は、構造の上方領域及びフィールドに限られる必要がある。
【0052】
一例として、分析のこの過程におけるRDE(例えば約0.125cm2の表面積を有するRDE)の回転速度は、約400rpmを上回る、又は約800prmを上回る、又は例えば1600rpmのように約1000rpmを上回る。この回転速度1600rpmは、境界層の厚さを、100rpmで動作されるRDEと比べて約4分の1に、及び25rpmで動作されるRDE(TSVめっき用途において通常使用される)と比べて約8分の1に減少させる。レーヴィッチの式にしたがうと、回転円盤の表面への拡散律速成分のフラックスは、回転速度の平方根に比例して増加する。これらの回転速度では、約5×10-6cm2/秒の拡散速度で水中にある銅イオンなどの分子に対する質量移動境界層の厚さが極めて小さく、具体的には、100rpmにおいて約40マイクロメートル、400rpmにおいて20マイクロメートル、及び1600rpmにおいて10マイクロメートルである。一様に高い対流条件は、事前に促進された表面をレベラーが再分極する速度を加速させる働きをする。この動作で使用される溶液の体積は、めっき浴のサイズと比べて比較的小さいことが望ましい(例えば、100ml未満、50ml未満、又は25ml未満)。より大きい体積の溶液が使用されてもよいが、排液の費用を削減するために及び溶液を節約するために、並びに設備投資(ポンプ、弁、セルなどのサイズ)を抑えて費用を節約するためには、より小さい体積の使用が有益である。
【0053】
電気化学応答(例えばボルタンメトリ/ポーラログラフィ応答)を測定すること及びそれを基準群又はモデルに照らして特性化することによって、未知の浴内の濃度を決定することができる。様々な実施形態では、モデルは、従属変数としてのレベラー濃度を、独立変数としてのテストサンプルの電気化学応答に関係付ける。テストサンプル内のレベラー濃度を電気化学応答から導き出すために、様々な技術が用いられてよい。一部の事例では、関係付けが自動的に実施される。例えば、モデルは、レベラー濃度を電気化学応答に関係付ける式又はその他の数学的関係の形をとってよい。その他のアプローチは、これまでに記録された電気化学応答に関連付けられたレベラー濃度値間に補間する又はそのようなレベラー濃度値から推定することを伴ってよい。
【0054】
(独立変数としての)電気化学応答は、様々な技術によって適切に測定及び特性化されてよい。電気化学応答を測定するための2つの基本的方法の例として、(1)定電流でめっきし、電極における電位を監視すること、及び(2)定電位でめっきし、電極に供給される電流又は電極における若しくは溶液内における電流密度を監視することがある。その他の方法として、電位又は電圧をスイープすること、それらの変数をパルス状にすること、回転速度を変更することなどが挙げられる。これらの技術が組み合わせて使用されてもよい。一具体例として、1600rpmにおいて約0.5〜40mA/cm2の定電流めっきが用いられてよく、開始時の開回路電位と比べて特定のターゲット還元電圧増加に達するための時間(すなわち、電位が更にもう一段負を増すために又は更にもう一段還元分極されるために要する時間)をレベラー濃度に相関させて、未知の浴組成を予測することができる。或いは、開回路電位に対して約100〜700mVの分極での定電位めっきを適用し、電流密度が特定の値に下がるために又は全電荷が通過して特定の値に達するために要する時間をレベラー浴組成に相関付けることができる。代表的技術の更なる説明には、図2〜4に関する以下の議論を参照せよ。繰り返しになるが、促進剤で飽和されたテスト電極の電気化学応答を特性化及び比較するためには、多くの形態のボルタンメトリ(スイープ、剥離、ACインピーダンスなど)を使用することができる。ボルタンメトリ方法は、促進化合物で意図的に事前に飽和された表面上における分極をレベラーによって回復させるなどの基本的プロセス又はPARPプロセスの原理を変更することはないのが一般的である。
【0055】
促進剤で飽和された電極とレベラーとの間の相互作用が完了した後、電極は、それを再びその開始状態にするために処理されてよい。例えば、多くの実装形態では、テスト溶液分析動作中及び事前めっき動作中に電極上にめっきされた銅又はその他の金属の一部又は全部が取り除かれる。この除去は、機械的技術、化学的技術、及び電気化学的技術を含む任意の適切な技術によって達成されてよい。一例では、金属層は、酸性の酸化性溶液によるエッチングなどの化学的エッチングによって除去される。適切な銅エッチング溶液の一具体例は、5wt%の過酸化水素と5wt%の硫酸との混合である。銅の場合、適切な化学的エッチング溶液の1つは、過酸化物と酸とを含む。或いは、電極金属は、例えばボルタンメトリ陽極酸化によって、電気化学的に取り除かれてよい。一実装形態では、電極金属は、テストの分析過程後、テスト溶液が処分される前に、電極がまだテスト溶液内にある間に分極を逆転させることよって取り除かれる。表面の化学機械研磨及び電解研磨が使用されてもよい。
【0056】
特定の実施形態では、金属の事前めっきは、テスト溶液内でなされ、電極は、表面の事前促進及び電極表面のすすぎの後に、再びテスト溶液に浸漬され、ポテンショスタティック(定電位式)めっき若しくはガルバノスタティック(定電流式)めっき、又はガルバノメトリック(電流差式)スイープ若しくはポテンショメトリック(電位差式)スイープ及びその後に続く剥離によって、ボルタンメトリが実施される。その他の実施形態では、レベラーの濃度が既知の第1の溶液が提供され、第1の溶液にレベラーの濃度が未知の第2の溶液が「投入」されて、第3の溶液が形成される。第3の溶液は、次いで、本明細書で説明される方法(例えば、金属表面を有する電極が提供され、事前促進溶液内で飽和され、次いで、すすがれ、次いで、電極の電気化学応答が測定される間に第3の溶液内でめっきされ、次いで、電気化学応答を使用して第3の溶液内のレベラーの濃度が決定される)にしたがってテストされる。この時点で、第2の溶液内の未知のレベラー濃度を、第1の溶液内の既知の濃度と、決定された第3の溶液内の濃度と、第3の溶液を形成するために加えられた第2の溶液の量と基づいて計算することができる。
【0057】
特定の実施形態では、事前めっきから、促進剤で飽和された電極とレベラーとの間の電気化学的相互作用の測定に至るまでの、全ての手順が、測定ごとに繰り返される。測定の頻度は、様々な要因に応じて変化する。代表的な連続フローの半導体ウエハめっき装置では、レベラー濃度を毎日1〜10回にわたって(又は既定の量の電荷が電解質を通過した後又は既定の枚数のウエハがめっきされた後に)テストすることが適しているだろう。なお、めっき溶液は、銅塩、酸、促進剤、及び抑制剤などの他の成分の濃度を定期的にテストされることに留意せよ。レベラー測定は、これらの他の測定と同時に又は異なる時点でなされてよい。測定ツールは、既知のレベラー濃度を使用して再較正される必要があるだろう。再較正は、所望の精度に応じて、測定ごとに、数日ごとに、又は数週間にわたってなされることが適しているだろう。
【0058】
レベラー測定は、ツール上の投与システムの一部として用いられてよいことが理解されるべきである。更に、測定結果(例えば計算された濃度情報)が、めっき浴濃度を低レベラー濃度に維持するための修正投与プロセスを動作させてよい、又は単純に、オペレータによる通知若しくは「制御不能」発信警報などのツールを作動させてよい。例えば、測定は、聴覚的応答、視覚的応答、ツール作動によるシャットダウン、又は条件作動によるその他の応答を非限定的な例として含む、規格外範囲の動作をセットするための行為又はトリガを伴わずに、合格対不合格条件としてなされてよい。より一般的には、溶液内のレベラー濃度が特性化されたら、その情報を、溶液内のレベラー濃度を適宜調整して比較的一定のレベラー濃度を経時的に維持するために使用することができる。これらの調整は、必要に応じ、手動で、自動で、又は半自動で更なるレベラーを加えることによって生じてよい。
【0059】
溶液内のレベラーの濃度を決定する方法の一実装形態が、図1に示されている。プロセス100は、金属めっき電極が提供されるブロック101から開始する。この動作は、電極を銅又は別の金属で事前めっきすることを含んでいてよい。或いは、電極は、提供される時点で既に金属でめっきされていてよい、又は電極は、実質的に銅又は他の金属で作成されてよい。この場合は、事前めっきは不要であり、ただし、このような電極の表面は、一定の品質の表面を提供するために、各測定前にエッチングされてよい又はそれ以外のやり方で処理されてよい。ブロック103では、随意として、電極及びめっきセルがすすがれる。ブロック105では、電極は、事前促進剤溶液と呼ばれることもある高濃度の促進剤溶液に暴露される。上述のように、電極は、この動作中に、促進剤で飽和されることを可能にされることが望ましい。ブロック107では、随意として、電極及びめっきセルがすすがれる。これは、吸着されなかった促進剤を除去し、それらがテスト溶液内へ移るのを阻止する。ブロック109では、電極は、レベラーの濃度が未知のテスト溶液内でめっきされる。多くの実施形態では、この動作は、TSVめっき中に通常使用されるものと比べて高い対流条件で実施される。
【0060】
テスト溶液内で電極がめっきされた後、ブロック111において、電極の電気化学応答がテスト及び記録される。電気化学応答は、本明細書で説明されるように、様々なやり方でテストされてよい。ブロック113では、ブロック111で得られた電気化学応答が、モデルデータと比較される。モデルデータは、図1で説明されたのと同じ動作(101、103、105、107、109*、111、及び117)を実施することによって生成されてよく、ただし、ブロック109*では、濃度が未知のテスト溶液の代わりに濃度が既知の溶液が使用される。この方法によって、テスト溶液内でめっきされた電極の電気化学応答を突き合わせて比較するためのモデル電気化学応答データの集合を生成することが可能である。次に、ブロック115において、テスト溶液内のレベラーの濃度が決定される。この決定は、ブロック111及びブロック113で生成/使用された比較データによって作動される。ブロック117では、随意として、電極から金属めっきが除去される。金属めっきの除去は、後続の分析で電極が再利用されることを可能にする。モデル/較正データの集合の1つが、図2に示されている。プロットされた各線は、印加される電流密度を1600rpmにおいて0mA/cm2から8mA/cm2にステップ(大きく)変化させた後における電気化学応答Ewe(V)を表している。Eweは、較正溶液内の促進剤、抑制剤、及びレベラーの量が既知であるときの、対参照電極における時間の関数としての作用電極の電圧「V」であり、この事例では、参照電極は、Hg/HgSO4参照電極である。この例では、各較正溶液は、1mL/Lの促進剤HSL−A及び5mL/LのHSL−B抑制剤で調製される。溶液内のレベラーHSL−Cの濃度が様々な場合における応答が、曲線402、404、406、408、410、及び412によって表され、対応するレベラー濃度は、それぞれ0.0ml/L、0.125ml/L、0.25ml/L、0.5ml/L、1.0ml/L、及び2.0ml/Lである。
【0061】
特定の値において、分極変化ターゲット点が選択され、この事例では、−0.47Vである。分極変化点は、幾分任意ではあるが、溶液内に通常存在するレベラー濃度の範囲と、データの感度とに基づいて選択されることが望ましい。時間403、405、407、409、411、及び413は、選択された分極変化点に各対応する溶液が到達するのに要した時間を表している。この図は、高い濃度のレベラーを有する溶液が、低い濃度のレベラーを有する溶液よりも速く分極変化点に到達することを示している。なお、時間の経過に伴う参照電極の電位のドリフトに関連した精度の喪失を回避するためには、開始時開回路電位に相対的な電位変化を使用して電位を正規化することができる。この場合は、各事例における開始時開回路電位は、対Hg/Hg/SO4において約−0.324Vである。もし、参照電位がシフトしたならば、それは、テスト中における、電流印加の直前又は直後の開始時開回路電位のシフトから明らかになる。したがって、電流工程開始の直前又は直後の電位に相対的な電位差を追跡することによって、原則的に、微小な参照電位電極ドリフトに関連した不正確さを回避することができる。
【0062】
図3は、比較対照較正データを提示する更なる方法を示している。この図におけるデータは、図2に示されたデータに対応している。図3の上段パネルでは、ターゲット電位(分極変化点)に到達するのに要した時間が、レベラー濃度に対してプロットされている。図3の中段パネルでは、ターゲット電位(分極変化点)に到達するのに要した時間が、レベラー濃度の逆数に対してプロットされている。いずれの場合も、2つのデータ群がプロットされている。1つのデータ群は、−0.47Vに選択された分極変化点に関するものであり、一方で、第2のデータ群は、−0.46Vに選択された分極変化点に関するものである。図3の中段パネルは、更に、ターゲット電位までの時間とレベラーの逆濃度との間の最良線形適合に対応する数値モデル予測を含む。表3の下段パネルの表は、図3の中段パネルに示された数値モデルに対応しており、その濃度のモデル予測は、「モデル化」濃度を計算するために使用される時間対逆濃度の最良線形適合関係に基づく。これらのモデル化計算は、次いで、モデル誤差を決定するために、2つの事例について最後2つの欄で比較される(ゼロ誤差は、その時点において、モデル計算された濃度と構成された溶液の実際の濃度とが同一であったことを意味すると考えられる)。結果は、妥当な相関性を示している。
【0063】
図4は、比較対照較正データを提示する更なる方法を示しており、この事例では、(より単純な、時間対逆濃度の線形相関であった)図3の方法と比べて、予測サンプルとターゲットサンプル(較正溶液の濃度)との間の誤差の程度が低減されている。図4の上段パネルでは、図3と同様に、ターゲット電位(分極変化点)に到達するための時間が、レベラー濃度の逆数に対してプロットされている。図4の数値モデルは、しかしながら、図3に示された線形適合モデルと異なり、二次適合モデルに対応している。図4の下段パネルの表は、図4の上段パネルに示されたモデルに対応している。図3及び図4のモデルは、レベラー濃度が未知の溶液内でめっきされた電極から得られる具体的な電気化学結果と較正データとを比較するために使用されてよいので、図3及び図4は、溶液内のレベラーの濃度を決定するために使用されうる異なるモデルを例示したものでる。当業者ならば、様々なタイプの電気化学応答がテスト及び分析されてよいこと、並びに様々なタイプのモデルがレベラー濃度を特性化するために使用されてよいことを認識できるだろう。
【0064】
テスト装置及びめっき装置
様々な実施形態において、レベラー濃度は、ex−situで(すなわち、めっきのために使用されるツール及び浴の外で)測定される。このような実施形態では、浴サンプルは、浴タンクから抽出され、別個のテスト装置において処理され、主めっき装置の外で濃度を測定される。それでもなお、目標は、通常、めっき装置の浴内に又は被加工物が処理されるめっきセルにめっき溶液を供給する貯蔵器内に目下存在している(又はごく最近存在していた)ときのレベラー濃度を測定することである。この目標を達成するために、貯蔵器から、又はめっき装置の流体系のその他の構成要素から、めっき溶液のテストサンプルが抽出されてよい。
【0065】
分析機器が被加工物めっきツールから別れている一実施形態では、フローループが提供され、めっき浴/装置から分析ツールへそして再びめっき浴へ電解質が絶えず再循環している。このような一実施形態では、分析のために電解質のサンプルが必要とされるときに、そのサンプルは、循環ループから直接引き出されてよい。一部の実装形態では、分析ツールは、複数のめっき浴に関連付けられている。この実装形態は、更に、1つの分析ツールが容易に且つ効果的に複数のめっき浴を監視することを可能にする適切な切り替え弁を含む。サンプルは、促進剤で飽和された上述の電極を内包した分析テストセル内に置かれ、次いで、説明されたようにレベラー濃度をテストされる。その他の実施形態では、レベラー濃度は、上述のように事前に促進された電極を用意した後に、PARPプロセスの一環としてin−situで(すなわち、ツール自体の浴内で)測定される。本明細書で説明される装置は、ウエハ又はその他の被加工物を能動的にめっきする1つ以上のめっきセルに供給を行うために使用されるめっき浴貯蔵器の近くに配備されてよい。
【0066】
テスト手順は、手動で、自動で、又は半自動で行われてよい。完全に自動の手順の一例では、電極及びそれに関連付けられた流体収容容器が、一連の流体に自動的に接触される。例えば、容器は、最初、銅などで電極を事前めっきするための溶液で満たされてよい。電極は、次いで、事前めっき溶液に浸漬され、めっきされる(或いは、電極は、容器の空間のなかに縦方向に固定されたままで、容器内の流体の高さが上がっていくにつれて浸漬されてよい)。その後、電極及び/又はめっき溶液は、容器から取り除かれ、すすぎ溶液が導入される。電極は、次いで、容器に浸漬され、表面をすすぐために回転される又はそれ以外のやり方で撹拌される。次いで、すすぎ溶液及び/又は電極は、取り除かれ、容器に促進剤溶液が導入される(上記のように、電極は、縦方向に固定された状態のままでよく、流体が、電極表面が浸漬されるレベルまで容器を満たしてよい)。説明のように、促進剤は、電極表面が比較的短期間のうちに促進剤で飽和されるのに十分な濃度で存在していることが望ましい。促進剤溶液が容器内に存在しているとき、電極は、電極表面(例えば新たに蒸着された銅表面)を飽和させるために、浸漬され、随意として回転される。次に、電極は、すすがれる。これは、促進剤溶液を脱イオン水で置き換えること、及び次いで電極を浸漬させることによって達成されてよい。なお、電極がすすがれる工程は、いずれも、電極が容器外に配置されている間に電極に吹き付けを行うことによって達成できることが理解されるべきである。電極表面が促進剤で飽和され、次いですすがれた後、容器にはテスト溶液が導入され、すると、その溶液に電極が導入されて、電気化学的活性化(例えばガルバノスタティック(定電流式)めっき)を経る。次いで、電気化学応答が測定され(例えば過渡電圧)、レベラー濃度が特性化される。特性化は、命令がプログラムされたマイクロプロセッサなどのコントローラの使用を通じて達成されてよい。
【0067】
テストのための別のアプローチでは、事前めっき、すすぎ、促進剤コーティング、すすぎ、及びテスト溶液の電気化学的探査に使用される2種以上の溶液が、異なる容器に入れて提供されてよい。これらの容器は、電極に対して所定位置に着かせる又はそのような位置から離れさせるために、ベルト又はプラテン/車輪などの輸送メカニズムに載せて提供されてよい。或いは、容器が固定され、電極が必要に応じて移動されてよい。
【0068】
上記の実施形態における容器は、いずれも、手動で又は自動で満たされてよい。
【0069】
総じて、適切な装置は、プロセス動作を実現するためのハードウェアと、開示された実装形態にしたがってプロセス動作を制御するための命令を有するシステムコントローラとを含む。コントローラは、ユーザ入力、又は例えばめっき浴貯蔵器内の若しくはex−situ計測ツール内の回転円盤電極からの電位若しくは電流の読み取り値などの、様々な入力に基づいて動作してよい。関連の入力に応えて、コントローラは、装置を特定の方式で動作させるための制御命令を実行する。例えば、コントローラは、(1つ以上の)容器への様々な流体の投入を引き起こしてよい。また、テストサンプルの測定中に、既定の電流及び/又は電位の送達を引き起こしてもよい。また、テストサンプル内の電極からの過渡電流、過渡電圧、通過クーロン数などを示した信号などを、センサから受信してもよい。更に、コントローラは、もし、主めっきシステムに関連付けられているならば、レベラーの濃度を貯蔵器内では特定の既定数値範囲内に、そして電気めっきセル内では異なる既定数値範囲内に調整する又は維持するために、添加剤投入システム並びに/又は放出メカニズム及び供給メカニズムに、レベラー送達のレベル又は装置のその他の制御可能特徴を調整するように指示してよい。この点について、コントローラは、例えば、添加剤送達メカニズムを、貯蔵器内における(又は再循環ループのなかで電気めっきセルよりも下流のどこか他の地点における)レベラー濃度を約0.1〜100ppmに維持する方式で動作させるように構成されてよい。システムコントローラは、通常、1つ以上のメモリデバイスと、開示された実装形態にしたがって装置が方法を実施するために命令を実行するように構成された1つ以上のプロセッサとを含む。システムコントローラには、開示された実装形態にしたがってプロセス動作を制御するための命令を含む機械読み取り可能な媒体が接続されてよい。
【0070】
図5は、代表的な電気充填システム300の概略図を示している。電気充填システム300は、3つの個別の電気充填モジュール302、304、及び306を含む。電気充填システム300は、また、様々なプロセス動作用に構成された3つの個別の電気充填後モジュール(PEM)312、314、及び316も含む。モジュール312、314、及び316は、それぞれ、ウエハが電気充填モジュール302、304、及び306のいずれかによって処理された後にウエハのエッジベベル除去、裏面エッチング、表面金属エッチング、及び酸洗浄などの機能を実施するように構成された電気充填後モジュール(PEM)であってよい。
【0071】
電気充填システム300は、中央電気充填チャンバ324を含む。中央電気充填チャンバ324は、電気充填モジュールにおいてめっき溶液として使用される化学溶液を保持するチャンバである。電気充填システム300は、また、めっき溶液用の化学添加剤を貯蔵及び送達しうる投入システム326も含む。化学希釈モジュール322は、例えばPEMにおいてエッチャントとして使用される化学剤を貯蔵及び混合してよい。フィルタリング・ポンピングユニット328は、中央電気充填チャンバ324用にめっき溶液をフィルタリングし、それを電気充填モジュールに送り込んでよい。システムは、随意として、上述のように、1つ以上の脱気装置と、1つ以上の貯蔵器(不図示)とを含む。めっき溶液は、電気めっきモジュールに送り込まれる前に、脱気装置を通過してよい。めっき溶液は、電気めっきモジュールから流れ出た後に貯蔵器を通過してよい。
【0072】
システムコントローラ330は、電気充填システム300を動作させるための電子・界面制御を提供する。システムコントローラ330は、通常、1つ以上のメモリデバイスと、本明細書で説明された実装形態にしたがって装置が方法を実施することができるために命令を実行するように構成された1つ以上のプロセッサとを含む。システムコントローラには、本明細書で説明された実装形態にしたがってプロセス動作を制御するための命令を含む機械読み取り可能な媒体が接続されてよい。システムコントローラ330は、電気充填システム300のための電源も含んでいてよい。上記のように、一実施形態では、めっきツールから物理的には切り離されているがフローループによってめっき浴と流体的に連通しているめっき浴サンプルが抽出されることを可能にする機器によって、レベラー計測が実施される。その他の実施形態では、レベラー計測機器は、浴サンプルを抽出するための手段を用いてはいるものの、例えば図5の、化学希釈モジュール322と中央電気充填チャンバ324との間又はフィルタリング・ポンピングユニット328の中のように、めっき装置自体の外殻内にある。
【0073】
電気めっきモジュール及びそれに関連付けられた構成要素の一例が、参照によって本明細書に組み込まれ「PULSE SEQUENCE FOR PLATING ON THIN SEED LAYERS(薄いシード層上にめっきするためのパルスシーケンス)」と題された2010年5月24日出願の米国特許出願第12/786,329号に示されている。
【0074】
動作にあたっては、ハンドオフツール340が、カセット342又はカセット344などのウエハカセットからウエハを選択してよい。カセット342又は344は、正面開口式カセット一体型搬送保管体(FOUP)であってよい。FOUPは、制御された環境内にウエハをしっかりと且つ安全に保持するように、並びに適切なロードポート及びロボット式ハンドリングシステムを備えたツールによってウエハが処理又は測定のために取り出されることを可能にするように設計された筐体である。ハンドオフツール340は、真空吸着又はその他の何らかの付着メカニズムを使用してウエハを保持してよい。
【0075】
ハンドオフツール340は、アニールステーション332、カセット342又は344、搬送ステーション350、又はアライナ348と境界を接していてよい。搬送ステーション350以降は、ハンドオフツール346がウエハにアクセスしてよい。搬送ステーション350は、ハンドオフツール340及び346がアライナ348を経ることなくウエハの引き渡しを行いうるようなスロット又は位置であってよい。一部の実装形態では、しかしながら、電気充填モジュールへの精密な送達のためにウエハが、ハンドオフツール346上で正確に位置合わせされることを保証するために、ハンドオフツール346は、アライナ348によってウエハを位置合わせしてよい。ハンドオフツール346は、また、電気充填モジュール302、304、306の1つに、又は様々なプロセス動作用に構成された3つの個別のモジュール312、314、316の1つにウエハを送達してもよい。
【0076】
例えば、ハンドオフツール346は、ウエハ基板を、そのウエハ基板上に本明細書で説明される実装形態にしたがって金属(例えば銅)がめっきされる電気充填モジュール302に送達してよい。電気めっき動作が完了した後、ハンドオフツール346は、ウエハ基板を電気充填モジュール302から取り除き、PEM312などのPEMの1つに搬送してよい。PEMは、ウエハ基板の洗浄、すすぎ、及び/又は乾燥を行ってよい。その後、ハンドオフツール346は、ウエハ基板をPEM314などの別のPEMに移動させてよい。そこでは、化学希釈モジュール322によって提供されるエッチャント溶液によって、ウエハ基板上の幾つかの場所(例えばエッジベベル領域及び裏面)から望ましくない金属(例えば銅)がエッチング除去されてよい。モジュール314は、ウエハ基板の洗浄、すすぎ、及び/又は乾燥も行ってよい。
【0077】
電気充填モジュール及び/又はPEMにおける処理が完了した後、ハンドオフツール346は、ウエハをモジュールから取り出して、それをカセット342又はカセット344に戻してよい。電気充填システム300又は別のツールのなかで、電気充填後のアニールが完了されてよい。一実装形態では、電気充填後のアニールは、アニールステーション332の1つで完了される。その他の幾つかの実装形態では、炉などの専用のアニールシステムが使用されてよい。次いで、カセットは、更なる処理のために、化学機械研磨システムなどのその他のシステムに提供することができる。
【0078】
上述された方法を実行に移すのに適した半導体めっきツールとしては、非限定例として、カリフォルニア州サンノゼ市のNouvellus Systems社によって製造されたSABRE(登録商標)システム及びSABRE(登録商標)システム3D Lite、カリフォルニア州サンタクララ市のApplied Materials社によって製造されたSLIM(商標)セルシステム、又はマサチューセッツ州カリスペル市のSemitool社(Applied Materials傘下)によって製造されたRAIDER(商標)ツールが挙げられる。
【0079】
図6は、本発明にしたがった代表的な計測ツール装置200を示している。この例では、電気化学的測定を実施するための作用電極201は、回転円盤表面202に電流を運ぶためのワイヤ又は棒を円筒状の外側絶縁材料(例えばプラスチック)で取り巻いて構成された回転円盤電極である。円盤表面202は、プラチナ又は金などの貴金属で作成されることが多い。プロセスで使用される各種のプロセス流体203(例えば、事前めっき溶液、すすぎ溶液、活性化溶液、テスト浴溶液、及びエッチング溶液)は、個別のライン204、205、206、207によって送られ、加圧・弁制御式(217)の送達によって又はシリンジポンプ群(不図示)によって供給される。容器内の処理流体203のレベルは、レベル感知器219及び220によって制御することができる。レベル感知器219が、計測ツール200が必要に応じて十分に流体で満たされることを保証するために、計測ツール200内の流体レベルを感知する一方で、レベル感知器220は、ツール内の流体が必要に応じて十分に排出されていることを検出するように動作する。アノード209(銅めっき溶液内の銅を分析するときは、銅で作成されることが多い)は、アノード電解質溶液210をアノード区画208内に維持する底、側壁、及び膜211(例えばNafionなどのカチオン膜)を有する別個の密封容器208に収容される。このようにして、アノード電解質溶液と処理流体とは、めっきの最中も、各種液体のすすぎ及び排出の最中も、互いに流体的に分離されている。この分離が有益であるのは、アノード電解質溶液が、処理流体内に存在する添加剤を含まないことが多いからであり、そして、アノードにおける、妨害可能性のある第一銅イオンの形成及び輸送、並びに対カソードRDEにおいてアノード電位にあるアノードと添加剤との直接反応が、抑制可能であるからである。アノード区画208の上壁周りのシール212は、各種の全てのプロセス工程中における流体の移動及び漏出、並びにチャンバからの流体の追加及び除去を阻止する。導線230は、アノードと電源との間で電流を運び、アノードチャンバ208において封止されている。導線235は、作用電極201と電源との間で電流を運ぶ。参照電極221(Hg/HgSO4参照電極)もまた、セルに収容されている電極とイオン的に連通するように浸漬され、導線213を通じて電源に電気的に接続される(電源は、作用電極と参照電極との間の電圧を絶えず監視及び制御することが可能であってよい)。セル容器の基部にある排出・弁アセンブリ218は、データ収集・プロセス制御コンピュータ215を通じて作動されてよい。コントローラと呼ばれることもあるデータ収集コンピュータ215は、プログラム可能なポテンショスタット/ガルバノスタット214と通信可能であり、ポテンショスタット/ガルバノスタットを制御し、その分析の結果を、通信ライン216を通じて表示のために及び/又はツール上のめっき浴制御・投与装置(不図示)に送信する。
【0080】
特定の実施形態は、様々な目的に適うことができるコントローラを含む。例えば、コントローラは、テストセルへの各種流体の流入又はテストセルからの各種流体の流出を引き起こすように構成されてよい。これらの流体の非限定的な例として、事前めっき溶液、事前促進溶液、すすぎ溶液、テスト対象にされるめっき溶液はもちろん、例えばレベラー、促進剤、抑制剤などの、テスト対象溶液内の個々の成分が挙げられる。コントローラは、これらの流体を、特定の時点で又は感知された若しくは計算されたレベル及び/若しくは成分濃度に応答して追加するように設計又は構成されてよい。一実施形態では、コントローラは、レベラーの濃度が低すぎると決定されためっき溶液にレベラーを追加するように構成される。この構成は、めっき溶液が経時的にかなり均一なレベラー濃度を維持することを可能にする。特定の実施形態では、コントローラは、本明細書で説明された、例えば金属表面を有する電極を提供すること、電極を事前促進溶液に暴露すること、電極をすすぐこと、濃度が未知の溶液内で電極をめっきしながら電気化学応答を測定すること、及び/又は測定された電気化学応答に基づいてレベラーの濃度を決定することなどの、任意の又は全ての動作を実施する(又はその実施を引き起こす)ように構成される。これらの動作を実現するにあたり、コントローラは、本明細書で説明された要素の1つ以上と通信可能であってよい。
【0081】
更なる実装形態
本明細書で以上に説明された装置/方法は、例えば、半導体デバイス、ディスプレイ、LED、光起電性パネルなどの加工又は製造のために、リソグラフィパターニングのツール又はプロセスと併用されてよい。必ずしもそうとは限らないが、総じて、このようなツール/プロセスは、共通の加工施設のなかで併せて使用される又は実施される。膜のリソグラフィパターニングは、一般に、(1)スピンオンツール又は噴き付けツールを使用して、被加工物にフォトレジストを塗布する工程、(2)加熱板又は加熱炉又は紫外線硬化ツールを使用して、フォトレジストを硬化させる工程、(3)ウエハステッパなどのツールによって、可視光又は紫外線又はX線にフォトレジストを暴露させる工程、(4)レジストを選択的に除去してパターン化するために、ウェットベンチなどのツールを使用して、レジストを現像する工程、(5)ドライ又はプラズマ強化式のエッチングツールを使用することによって、レジストパターンをその下の膜又は被加工物に転写する工程、並びに(6)RF又はマイクロ波プラズマレジストストリッパなどのツールを使用して、レジストを除去する工程の、幾つか又は全部を含み、各工程は、考えられる幾つかのツールによってそれぞれ可能にされる。
【0082】
開示された方法及び装置を実現するには、多くの代替の手法があることも留意されるべきである。したがって、本開示は、そのような代替、変更、置換、及び代わりとなる均等物を、開示された実装形態の真の趣旨及び範囲に入るものとして含むものと解釈されることが、意図される。
適用例1:テスト溶液内のレベラー濃度を決定する方法であって、(a)金属表面を有する電極を提供すること、(b)少なくとも1種の促進剤化合物を含む事前促進溶液に前記電極を暴露し、前記電極の前記表面が前記少なくとも1種の促進剤化合物で実質的に飽和されることを可能にすること、(c)レベラーの濃度が未知のテスト溶液内で前記電極をめっきしながら電気化学応答を測定すること、(d)操作(c)で得られた前記電気化学応答を、レベラー濃度を既知の電気化学応答に関係付けるモデルと比較することによって、前記テスト溶液内のレベラー濃度を決定すること、を備える方法。
適用例2:適用例1に記載の方法であって、前記電極は、回転円盤電極である、方法。
適用例3:適用例2に記載の方法であって、前記回転円盤電極は、操作(c)中に、約100〜5000毎分回転数で回転する、方法。
適用例4:適用例2に記載の方法であって、前記回転円盤電極は、操作(c)中に、約400を超える毎分回転数で回転する、方法。
適用例5:適用例1に記載の方法であって、前記電極は、金属でめっきされる、方法。
適用例6:適用例5に記載の方法であって、前記電極は、銅でめっきされる、方法。
適用例7:適用例1に記載の方法であって、操作(d)における前記モデルは、既知のレベラー濃度を有する溶液で操作(a)〜(c)を実施することによって形成される、方法。
適用例8:適用例1に記載の方法であって、前記電気化学応答は、ガルバノメトリックスイープ、剥離、又はACインピーダンスを通じて測定される、方法。
適用例9:適用例1に記載の方法であって、前記測定される電気化学応答は、ボルタンメトリ応答又はポーラログラフィ応答である、方法。
適用例10:適用例1に記載の方法であって、操作(c)は、更に、(i)定電流で前記電極を分極させること、(ii)前記電極の電位を経時的に測定すること、を備える、方法。
適用例11:適用例1に記載の方法であって、操作(c)は、更に、(i)定電位で前記電極を分極させること、(ii)前記電極への電流又は電流密度を経時的に測定すること、を備える、方法。
適用例12:適用例1に記載の方法であって、前記事前促進溶液は、脱イオン水内又は弱酸内に0.05〜10g/Lの促進剤化合物を含む、方法。
適用例13:適用例1に記載の方法であって、前記促進剤化合物は、メルカプトプロパンスルホン酸、ジメルカプトプロパンスルホン酸、メルカプトエタンスルホン酸、ジメルカプトエタンスルホン酸、及びビス−(3−スルホプロピル)−ジスルフィドからなる群より選択される、方法。
適用例14:適用例1に記載の方法であって、前記電極は、前記テスト溶液内に存在するのと同じ金属イオンを含む事前めっき溶液内でめっきされる、方法。
適用例15:適用例1に記載の方法であって、前記事前めっき溶液は、いかなるレベラーも含まない、方法。
適用例16:適用例1に記載の方法であって、前記事前めっき溶液は、操作(d)において濃度が特徴付けられるレベラーと同じ種のレベラーは含まない、方法。
適用例17:適用例1に記載の方法であって、前記事前めっき溶液は、硫酸銅及び酸の補給溶液である、方法。
適用例18:適用例1に記載の方法であって、前記事前めっき溶液は、硫酸銅及び塩化物イオンの補給溶液である、方法。
適用例19:適用例1に記載の方法であって、更に、操作(b)の前に、前記金属めっき電極を脱イオン水ですすぐことを備える方法。
適用例20:適用例1に記載の方法であって、更に、操作(b)中に、約5mA/cm2を超える電流密度の電流を前記電極に印加することを備える方法。
適用例21:適用例1に記載の方法であって、操作(d)において、前記電極の近くの前記溶液内の境界層厚さは約60ミクロン未満である、方法。
適用例22:適用例1に記載の方法であって、更に、前記電極をその開始状態に回復させることを備える方法。
適用例23:適用例22に記載の方法であって、前記金属めっき電極は、機械的技術、化学的技術、又は電気化学的技術を通じてその開始状態に回復される、方法。
適用例24:適用例23に記載の方法であって、前記金属めっき電極は、化学的エッチングを通じてその開始状態に回復される、方法。
適用例25:適用例23に記載の方法であって、前記金属めっき電極は、ボルタンメントリ陽極酸化を通じてその開始状態に回復される、方法。
適用例26:適用例1に記載の方法であって、主めっき装置の外部で実施される方法。
適用例27:適用例1に記載の方法であって、テスト溶液ごとに1日に1〜10回繰り返される方法。
適用例28:適用例1に記載の方法であって、更に、(c)吸着されなかった促進剤化合物を除去するために、操作(c)の前に前記電極をすすぐことを備える方法。
適用例29:溶液内のレベラー濃度を決定する方法であって、(a)金属表面を有する電極を提供すること、(b)少なくとも1種の促進剤化合物を含む事前促進溶液に前記電極を暴露し、前記電極の表面が前記少なくとも1種の促進剤化合物で実質的に飽和されることを可能にすること、(c)レベラーの濃度が既知の第1の溶液と、レベラーの濃度が未知の第2の溶液とを提供すること、(d)第2の溶液を第1の溶液に加えることによって、第3の溶液を調製すること、(e)前記第3の溶液内で前記電極をめっきしながら電気化学応答を測定すること、(f)操作(e)で得られた前記電気化学応答を、レベラー濃度を既知の電気化学応答に関係付けるモデルと比較することによって、前記第3の溶液内のレベラー濃度を決定すること、(g)前記第1の溶液内の前記既知のレベラー濃度と、前記決定された前記第3の溶液内のレベラー濃度と、操作(d)で加えられた前記第2の溶液の量とを関係付けることによって、前記第2の溶液内のレベラー濃度を決定すること、を備える方法。
適用例30:適用例29に記載の方法であって、前記第2の溶液は、電気めっき装置からとられた溶液のサンプルを含む、方法。
適用例31:適用例29に記載の方法であって、前記第2の溶液内のレベラー濃度は、前記第1の溶液内の前記レベラー濃度と、操作(d)において加えられた前記第2の溶液の量と、操作(e)で得られた前記電気化学応答とに基づいて前記第2の溶液内のレベラー濃度を計算するための命令でプログラムされた、コントローラによって決定される、方法。
適用例32:適用例29に記載の方法であって、更に、吸着されなかった促進剤化合物を除去するために、操作(c)の前に前記電極をすすぐことを備える方法。
適用例33:適用例29に記載の方法であって、前記方法で使用される2種以上の溶液は、異なる容器に入れて提供される、方法。
適用例34:適用例33に記載の方法であって、前記容器は、運搬メカニズム搭載されて提供される、方法。
適用例35:適用例33に記載の方法であって、前記容器は、不動であり、前記電極は、前記容器に相対的に可動である、方法。
適用例36:電気めっき溶液内のレベラー濃度を監視するための装置であって、金属表面を有する電極と、溶液内における前記電極の電気化学応答を、前記電極にカソード電流が供給されるのに伴って測定するように構成された1つ以上の電気化学セルと、前記測定された前記電極の電気化学応答に基づいて、前記溶液内のレベラー濃度を決定するように構成されているコントローラと、を備える装置。
適用例37:適用例36に記載の装置であって、前記コントローラは、更に、前記金属めっき電極への既定の電流又は電位の送達を生じるように設計又は構成されている、装置。
適用例38:適用例36に記載の装置であって、前記コントローラは、更に、1つ以上の容器への1種以上の流体の投入を生じるように設計又は構成されている、装置。
適用例39:適用例36に記載の装置であって、前記コントローラは、更に、前記テスト溶液内に存在するとして決定されたレベラー濃度に応答してめっき溶液にレベラーを投与することによって、電気めっきシステムにおけるレベラーのレベルを調整するように設計又は構成される、装置。
適用例40:電気めっき溶液内のレベラー濃度を監視するための装置であって、
金属表面を有する電極と、前記電極の電気化学応答を測定するように構成された測定装置と、前記電極が少なくとも1種の促進化合物によって飽和され次いでテスト溶液内でめっきされた後に測定された前記電極の電気化学応答を、レベラー濃度を既知の電気化学応答に関係付けるモデルに適用することによって、前記テスト溶液内に存在するレベラー濃度を決定するように設計又は構成されているコントローラと、を備える装置。
適用例41:適用例40に記載の装置であって、前記コントローラは、更に、前記金属めっき電極への既定の電流又は電位の送達を生じるように設計又は構成されている、装置。
適用例42:適用例40に記載の装置であって、前記コントローラは、更に、1つ以上の容器への1種以上の流体の投入を生じるように設計又は構成されている、装置。
適用例43:適用例40に記載の装置であって、前記コントローラは、更に、前記テスト溶液内に存在するとして決定されたレベラー濃度に応答してめっき溶液にレベラーを投与することによって、電気めっきシステムにおけるレベラーのレベルを調整するように設計又は構成される、装置。
適用例44:適用例40に記載の装置であって、前記コントローラは、更に、めっき溶液内のレベラー濃度を既定の範囲内に維持するように設計又は構成される、装置。
適用例45:適用例44に記載の装置であって、前記レベラー濃度の既定の範囲は、約1〜1000ppmである、装置。
図1
図2
図3
図4
図5
図6