(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6491715
(24)【登録日】2019年3月8日
(45)【発行日】2019年3月27日
(54)【発明の名称】伸縮可撓管及び伸縮可撓管の組立方法
(51)【国際特許分類】
F16L 27/12 20060101AFI20190318BHJP
F16L 27/04 20060101ALI20190318BHJP
【FI】
F16L27/12 J
F16L27/04
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2017-163055(P2017-163055)
(22)【出願日】2017年8月28日
(62)【分割の表示】特願2013-164770(P2013-164770)の分割
【原出願日】2013年8月8日
(65)【公開番号】特開2017-203555(P2017-203555A)
(43)【公開日】2017年11月16日
【審査請求日】2017年8月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】396020361
【氏名又は名称】株式会社水道技術開発機構
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】特許業務法人 ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤田 靖
【審査官】
大谷 光司
(56)【参考文献】
【文献】
特開2015−034568(JP,A)
【文献】
特開2004−324769(JP,A)
【文献】
実開昭62−054388(JP,U)
【文献】
特開2013−127284(JP,A)
【文献】
登録実用新案第3027062(JP,U)
【文献】
特開2004−150491(JP,A)
【文献】
特開2004−150490(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L27/04,27/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに揺動可能且つ伸縮可能に構成された一対の継手部と、
前記一対の継手部の外周にそれぞれ形成される取付部と、
前記取付部に形成されたロッド孔に挿通され、両取付部の間に架橋されるタイロッドと、
前記タイロッドを前記取付部に固定するためのワッシャ及びナットと、
所定中心回りに揺動可能に前記継手部に保持されるボール部と、
前記ボール部に伸縮可能に保持される連結管と、を備え、
前記タイロッドに、ゴムで形成される環状のスペーサが取り付けられ、
前記スペーサが前記ロッド孔の内部に配置された状態で前記ロッド孔を閉塞する位置に前記ワッシャが取り付けられ、当該ワッシャにより前記スペーサが外部から遮蔽されており、
前記取付部は、管軸方向において前記所定中心よりも内側に設けられ、
前記スペーサの軸方向長さは、前記ロッド孔の軸方向長さの半分以下である、伸縮可撓管。
【請求項2】
互いに揺動可能且つ伸縮可能に構成された一対の継手部と、前記一対の継手部の外周にそれぞれ形成される取付部と、所定中心回りに揺動可能に前記継手部に保持されるボール部と、前記ボール部に伸縮可能に保持される連結管と、を備え、前記取付部が管軸方向において前記所定中心よりも内側に設けられた伸縮可撓管に対し、前記両取付部の間にタイロッドを架橋するための組立方法であって、
ゴムで形成される環状のスペーサを前記タイロッドに取り付け、
前記取付部に形成されたロッド孔の内部に、前記スペーサと共に前記タイロッドを挿入し、
前記ロッド孔を閉塞する位置にワッシャを配置し、更に前記ワッシャの外側に配置したナットにより当該タイロッドを前記取付部に固定し、スペーサを外部から遮蔽し、
前記スペーサの軸方向長さは、前記ロッド孔の軸方向長さの半分以下である、伸縮可撓管の組立方法。
【請求項3】
前記取付部の内側に配置されるワッシャと前記スペーサとを前記タイロッドに挿通した状態で、前記タイロッドを斜め姿勢又は立て姿勢にし、当該タイロッドを前記ロッド孔に挿入する請求項2に記載の伸縮可撓管の組立方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水道管等の流体管に接続される伸縮可撓管及びその組立方法に関する。
【背景技術】
【0002】
水道管等の流体管に接続される一対の継手部を有し、当該継手部が互いに揺動可能且つ伸縮可能に構成された伸縮可撓管が知られている。輸送時や配管時、施工後(埋設後)に可撓管が伸縮することを防止するために、継手部に形成した取付部にタイロッドが架橋され、固定される(例えば特許文献1参照)。
【0003】
タイロッドは、両端部にネジ溝が形成されたボルトである。取付部には、タイロッドを挿入するためのロッド孔が形成されている。取付部を挟むように配置した一対のワッシャ及びナットを締め付けて、タイロッドが取付部に固定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−324769号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
伸縮可撓管は、耐圧値をどのように設定するかによって、取り付けるタイロッドの線径(又はネジ径)が異なる。種々の径のタイロッドに対応するために、伸縮可撓管の取付部に形成されるロッド孔は、大きめに形成される。よって、タイロッドを取り付ける際には、ロッド孔の内径よりも小さな外径を有するタイロッドを取り付けることが多くなり、ロッド孔の中心に対してタイロッドの軸の位置がずれやすい。両者の軸がずれると、荷重がかかったときにワッシャに局所的な力が作用し、タイロッドの機能を適切に発揮することができない場合があるので、両者の軸は、可能な限り一致していることが好ましい。
【0006】
また、伸縮可撓管は、タイロッドが取り付けられた状態で地中に埋設されることが多いため、耐候性が求められる。
【0007】
本発明は、このような課題に着目してなされたものであって、その目的は、耐候性を有するのはもとより、タイロッドの機能が適切に発揮され、組立が容易となる構造を有する伸縮可撓管及びその組立方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、かかる目的を達成するために、次のような手段を講じたものである。
【0009】
すなわち、本発明の伸縮可撓管は、互いに揺動可能且つ伸縮可能に構成された一対の継手部と、前記一対の継手部の外周にそれぞれ形成される取付部と、前記取付部に形成されたロッド孔に挿通され、両取付部の間に架橋されるタイロッドと、前記タイロッドを前記取付部に固定するためのワッシャ及びナットと、を備え、前記タイロッドに、弾性部材で形成される環状のスペーサが取り付けられ、前記スペーサが前記ロッド孔の内部に配置された状態で前記ロッド孔を閉塞する位置に前記ワッシャが取り付けられ、当該ワッシャにより前記スペーサが外部から遮蔽されていることを特徴とする。
【0010】
このように、タイロッドに取り付けられた環状のスペーサがロッド孔に配置されているので、ロッド孔の軸とタイロッドの軸とを一致させることが容易となる。両者が同軸となれば、荷重がかかったときにワッシャに均一に力が作用することになるので、継手部の移動を拘束するタイロッドの働きを適切に発揮させることが可能となる。
また、耐圧設計値に応じて必要となるタイロッドの径が異なるものの、スペーサの孔径を変えるだけで、様々な径のタイロッドが利用可能となる。部品の共通化により製造コストを低減することが可能となる。
それでいて、ロッド孔を閉塞する位置にワッシャが取り付けられ、ワッシャによりスペーサが外部から遮蔽されているので、埋設した後に、スペーサが土等の影響を受けにくく、スペーサの劣化を抑制することが可能となる。
しかも、スペーサが弾性部材でありスペーサに通した状態であるので、ロッドを取付部に固定するときに、ロッドを傾けてもスペーサがワッシャを保持でき、組立作業の効率を向上させることが可能となる。
【0011】
特に好ましい適用例としては、前記スペーサは、ゴムで形成されていることが挙げられる。
【0012】
耐久性を向上させるためには、前記スペーサの軸方向長さは、前記ロッド孔の軸方向長さの半分以下であることが好ましい。
【0013】
タイロッドの機能を有効に発揮させるためには、所定中心回りに揺動可能に前記継手部に保持されるボール部と、前記ボール部に伸縮可能に保持される連結管と、を備え、前記取付部は、管軸方向において前記所定中心よりも内側に設けられ、前記取付部の外側に配置されるナットとワッシャの接触面が、管軸方向において前記所定中心と同じ位置に配置されていることが好ましい。
【0014】
本発明の伸縮可撓管の組立方法は、互いに揺動可能且つ伸縮可能に構成された一対の継手部と、前記一対の継手部の外周にそれぞれ形成される取付部と、を備える伸縮可撓管に対し、前記両取付部の間にタイロッドを架橋するための組立方法であって、弾性部材で形成される環状のスペーサを前記タイロッドに取り付け、前記取付部に形成されたロッド孔の内部に、前記スペーサと共に前記タイロッドを挿入し、前記ロッド孔を閉塞する位置にワッシャを配置し、更に前記ワッシャの外側に配置したナットにより当該タイロッドを前記取付部に固定し、スペーサを外部から遮蔽することを特徴とする。
【0015】
この組立方法を実施すれば、タイロッドに取り付けられた環状のスペーサがロッド孔に配置されているので、ロッド孔の軸とタイロッドの軸とを一致させることが容易となる。両者が同軸となれば、荷重がかかったときにワッシャに均一に力が作用することになるので、継手部の移動を拘束するタイロッドの働きを適切に発揮させることが可能となる。
また、耐圧設計値に応じて必要となるタイロッドの径が異なるものの、スペーサの孔径を変えるだけで、様々な径のタイロッドが利用可能となる。部品の共通化により製造コストを低減することが可能となる。
それでいて、ロッド孔を閉塞する位置にワッシャが取り付けられ、ワッシャによりスペーサが外部から遮蔽されているので、埋設した後に、スペーサが土等の影響を受けにくく、スペーサの劣化を抑制することが可能となる。
【0016】
さらに、前記取付部の内側に配置されるワッシャと前記スペーサとを前記タイロッドに挿通した状態で、前記タイロッドを斜め姿勢又は立て姿勢にし、当該タイロッドを前記ロッド孔に挿入することが好ましい。
【0017】
この方法を実施すれば、スペーサがワッシャを保持する保持部として機能するので、ロッドを傾けてもスペーサがワッシャを保持でき、組立作業の効率を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図3】スペーサとワッシャとタイロッドのサイズを示す図。
【
図4A】タイロッドを取り付ける組立工程を示す図。
【
図4B】タイロッドを取り付ける組立工程を示す図。
【
図4C】タイロッドを取り付ける組立工程を示す図。
【
図4D】タイロッドを取り付ける組立工程を示す図。
【
図5】伸縮可撓管が屈曲したときのタイロッドの様子を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0020】
図1Aは、伸縮可撓管を管軸方向に沿って見た正面図である。
図1Bは、伸縮可撓管の側面図である。
図2は、伸縮可撓管の内部構造を示す一部破断図面である。
【0021】
図1A,
図1B及び
図2に示すように、伸縮可撓管は、水道管等の流体管に接続される一対の継手部1と、所定中心C1回りに揺動可能に継手部に保持されるボール部2と、ボール部2に伸縮可能に保持される連結管3と、を有する。連結管3がボール部2に対して伸縮可能であり、且つ、ボール部2が継手部1に対して揺動可能であることにより、一対の継手部1が互いに揺動可能且つ伸縮可能に構成される。継手部1、ボール部2及び連結管3には、シール部4が設けられ、それぞれが水密に接続されている。
【0022】
一対の継手部1の外周には、タイロッド5を取り付けるための取付部10が形成されている。
図4A〜Dは、取付部10に対するタイロッド5の取付工程を示す図である。取付部10には、
図4Aに示すように、タイロッド5を挿入するためのロッド孔11が形成されている。取付部10及びロッド孔11は、
図1Aに示すように、伸縮可撓管の周方向に複数設けられる。
図1Aの例では、4つの取付部10及びロッド孔11が形成されているが、数は任意に変更可能である。タイロッド5には、両ネジボルト又は全ネジボルトが用いられ、ボルトの両端部にはネジ溝が形成されている。
図1及び
図4Dに示すように、タイロッド5は、ロッド孔11に挿通され、両取付部10の間に架橋される。
図2及び
図4Dに示すように、取付部10の両側には、当該取付部10にタイロッド5を固定するためのワッシャ6及びナット7が配置される。取付部10は、管軸方向においてボール部2の回転中心C1よりも内側に配置されている。なお、継手部1の外周には、取付部10の他に、伸縮可撓管の搬送時に用いる吊フック12が形成されている。
【0023】
図4A〜Dに示すように、ロッド孔11は、種々の径のタイロッド5に対応するために、大きめに形成される。煩わしい作業を必要とせずに、ロッド孔11の軸とタイロッド5の軸とを一致させるために、弾性部材で形成される環状のスペーサ8をタイロッド5に取り付けている。本実施形態では、スペーサ8はゴム製であるが、これに限定されない。例えば樹脂製やシリコン製などが挙げられる。
図3及び
図4Aに示すように、スペーサ8の内径R1はタイロッド5の外径R1と同じ大きさにしてある。スペーサ8の外径R2は、ロッド孔11の内径R2と同じ大きさにしている。これにより、タイロッド5に取り付けたスペーサ8をロッド孔11に挿入するだけで、タイロッド5の軸とロッド孔11の中心を一致させることができる。スペーサ8の軸方向長さW1は、ロッド孔11の軸方向長さW2よりも小さければよい。スペーサ8の軸方向長さW1が、ロッド孔11の軸方向長さW2の半分以下であることが好ましい。なぜならば、ロッド孔11の内部に空間が生まれるので、
図5に示すように伸縮可撓管が屈曲してもタイロッド5に局所的な曲げやせん断などの力が作用しにくく、耐久性を向上させることができるからである。
【0024】
ワッシャ6は、
図3に示すように、ロッド孔11よりも大きな外径R3を有する。ワッシャ6は、
図4Dに示すように、スペーサ8がロッド孔11の内部に配置された状態で、ロッド孔11を閉塞する位置に取り付けられる。ワッシャ6は、ロッド孔11を完全に閉塞しなければならない。ワッシャ6によりスペーサ8が外部から遮蔽されている。なお、上記タイロッド5、ワッシャ6及びナット7は、SUS(Steel Use Stainless)製である。
【0025】
図2に示すように、タイロッド5が取付部10に固定された状態において、取付部10の外側に配置されるナット7とワッシャ6の接触面Fが、管軸方向においてボール部2の回転中心C1と同じ位置に配置される。継手部1には、周方向に複数の取付部10が配置されているので、各々の接触面Fは、管軸方向において一致することになる。このように組み立てると、ボール部2が回転しようとする屈曲時に、各々のタイロッド5に均一に力が加わることになり、強度面や耐久性の面で好ましい。
【0026】
上記構成の伸縮可撓管は、次のように組み立てられる。まず、
図4Aに示すように、各々の取付部10の内側に配置されるワッシャ6及びナット7がタイロッド5に挿通される。ワッシャ6の外側にスペーサ8が取り付けられる。次に、ワッシャ6及びスペーサ8をタイロッド5に挿通した状態で、タイロッド5を斜め姿勢又は立て姿勢にし、タイロッド5をロッド孔11に挿入する。このとき、スペーサ8が無ければワッシャ6が重力により落下してしまうが、スペーサ8の内径R1とタイロッド5の外径R1が同じ径であるため(
図3参照)、スペーサ8がワッシャ6を摩擦保持する仮保持部として機能する。次に、
図4Bに示すように、取付部10のロッド孔11の内部にスペーサ8と共にタイロッド5を挿入する。まずは一方のロッド孔11にタイロッド5を挿入し、次に、
図4Cに示すように、他方のロッド孔11にタイロッド5を挿入する。次に、
図4Dに示すように、ロッド孔11を閉塞する位置にワッシャ6を配置し、ワッシャ6の外側に配置したナット7によりタイロッド5を取付部10に固定し、スペーサ8を外部から遮蔽する。
【0027】
以上のように、本実施形態の伸縮可撓管は、互いに揺動可能且つ伸縮可能に構成された一対の継手部1と、一対の継手部1の外周にそれぞれ形成される取付部10と、取付部10に形成されたロッド孔11に挿通され、両取付部10の間に架橋されるタイロッド5と、タイロッド5を取付部10に固定するためのワッシャ6及びナット7と、を備える。タイロッド5に、弾性部材で形成される環状のスペーサ8が取り付けられる。スペーサ8がロッド孔11の内部に配置された状態でロッド孔11を閉塞する位置にワッシャ6が取り付けられる。ワッシャ6によりスペーサ8が外部から遮蔽されている。
【0028】
タイロッド5に取り付けられた環状のスペーサ8がロッド孔11に配置されているので、ロッド孔11の軸とタイロッド5の軸とを一致させることが容易となる。両者が同軸となれば、荷重がかかったときにワッシャ6に均一に力が作用することになるので、継手部1の移動を拘束するタイロッド5の働きを適切に発揮させることが可能となる。
また、耐圧設計値に応じて必要となるタイロッド5の径が異なるものの、スペーサ8の孔径を変えるだけで、様々な径のタイロッド5が利用可能となる。部品の共通化により製造コストを低減することが可能となる。
それでいて、ロッド孔11を閉塞する位置にワッシャ6が取り付けられ、ワッシャ6によりスペーサ8が外部から遮蔽されているので、埋設した後に、スペーサ8が土等の影響を受けにくく、スペーサ8の劣化を抑制することが可能となる。
しかも、スペーサ8が弾性部材でありスペーサ8に通した状態であるので、ロッド5を取付部10に固定するときに、ロッド5を傾けてもスペーサ8がワッシャ6を保持でき、組立作業の効率を向上させることが可能となる。
【0029】
本実施形態では、スペーサ8は、ゴムで形成されている。ゴムは製造しやすいので、製造コストを低減させることが可能となる。それでいて、埋設時にゴムは土等の影響で劣化しやすいものの、本発明では、ゴム製のスペーサ8が外部から遮蔽されているので、劣化を抑制するうえで好ましい。
【0030】
本実施形態では、スペーサ8の軸方向長さW1は、ロッド孔11の軸方向長さW2の半分以下である。この構成によれば、ロッド孔11の内部に空間があるので、伸縮可撓管が屈曲してもタイロッド5に局所的な曲げやせん断などの力が作用しにくく、耐久性を向上させることが可能となる。
【0031】
本実施形態では、所定中心C1回りに揺動可能に継手部1に保持されるボール部2と、ボール部2に伸縮可能に保持される連結管3と、を備える。取付部10は、管軸方向において所定中心C1よりも内側に設けられる。取付部10の外側に配置されるナット7とワッシャ6の接触面Fが、管軸方向において所定中心C1と同じ位置に配置されている。
【0032】
この構成によれば、伸縮可撓管が屈曲しようとする場合に、各々のタイロッド5に均一に力が加わるので、外力が各タイロッド5に分散し、タイロッドの機能を有効に発揮させることが可能となる。また、屈曲後、更に引抜方向に力が加わっても、各タイロッド5に分散されるため、タイロッドの機能を有効に発揮できる。
【0033】
本実施形態の伸縮可撓管の組立方法は、互いに揺動可能且つ伸縮可能に構成された一対の継手部1と、一対の継手部1の外周にそれぞれ形成される取付部10と、を備える伸縮可撓管に対し、両取付部10の間にタイロッド5を架橋するための組立方法である。その方法は、弾性部材で形成される環状のスペーサ8をタイロッド5に取り付け、取付部10に形成されたロッド孔11の内部に、スペーサ8と共にタイロッド5を挿入し、ロッド孔11を閉塞する位置にワッシャ6を配置し、更にワッシャ6の外側に配置したナット7によりタイロッド5を取付部10に固定し、スペーサ8を外部から遮蔽する。
【0034】
この方法を実施すれば、タイロッド5に取り付けられた環状のスペーサ8がロッド孔11に配置されているので、ロッド孔11の軸とタイロッド5の軸とを一致させることが容易となる。両者が同軸となれば、荷重がかかったときにワッシャ6に均一に力が作用することになるので、継手部1の移動を拘束するタイロッド5の働きを適切に発揮させることが可能となる。
また、耐圧設計値に応じて必要となるタイロッド5の径が異なるものの、スペーサ8の孔径を変えるだけで、様々な径のタイロッド5が利用可能となる。部品の共通化により製造コストを低減することが可能となる。
それでいて、ロッド孔11を閉塞する位置にワッシャ6が取り付けられ、ワッシャ6によりスペーサ8が外部から遮蔽されているので、埋設した後に、スペーサ8が土等の影響を受けにくく、スペーサ8の劣化を抑制することが可能となる。
【0035】
本実施形態において、取付部10の内側に配置されるワッシャ6とスペーサ8とをタイロッド5に挿通した状態で、タイロッド5を斜め姿勢又は立て姿勢にし、タイロッド5をロッド孔11に挿入する工程を含む。このように、スペーサ8がワッシャ6を保持する保持部として機能するので、ロッド5を傾けてもスペーサ8がワッシャ6を保持でき、組立作業の効率を向上させることが可能となる。
【0036】
本発明は上述した実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変更が可能である。
【0037】
本発明において、水道管に限定されるものではなく、各種の液体や気体が流れる管に適用可能である。また、各実施形態において採用している構造を他の任意の実施形態に採用することは可能である。
【符号の説明】
【0038】
1…継手部
10…取付部
11…ロッド孔
2…ボール部
3…連結管
5…タイロッド
6…ワッシャ
7…ナット
8…スペーサ