【実施例1】
【0025】
図1〜5において本発明に係る園芸用連続仕切り具1は、全体がポリプロピレン等の樹脂で一体成形され且つ一方向に長尺状に連続するものであって、地中2に打ち込み埋設される仕切り板3,3相互がヒンジ部5(
図1〜3)を介して連結されてなり、前記仕切り板3の下端部分6は、下端7に向けて細くなる鋭角板部9として形成されている。そして、前記仕切り板3の前後対向する側面部10,10(
図3、
図5)の内の少なくとも一方の側面部10の左右の側縁部11,11には、縦方向に連続する左右の縦補強リブ12,12が膨出形成され、
図5(B)に示すように、左右の該縦補強リブ12,12の夫々の、横方向のリブ外縁13,13は該側面部10の左右の外縁15,15に合致している。又、
図1〜4に示すように、左右の該縦補強リブ12,12の上端16,16相互を一体に連結する横補強リブ17が前記側面部10の上縁部19に連続して設けられ、該横補強リブ17のリブ上縁20は
図4(C)に示すように、前記側面部10の上縁21に合致している。又前記ヒンジ部5は、
図3に示すように、前記鋭角板部9の上端22よりも上側において前記仕切り板3,3相互を屈曲可能に連結するものであり、該ヒンジ部5は、
図6に示すように、平面視で時計回り及び反時計回りの夫々で少なくとも90度屈曲可能に構成されている。以下これをより具体的に説明する。
【0026】
前記仕切り板3は、本実施例においては
図3に示すように、縦方向に長い長方形状板部23の上端25に、上に突の半円状板部26が一連に設けられると共に、該長方形状板部23の下端27に、下端に向けて細くなる三角形状板部29としての前記鋭角板部9が連設された薄い板状に構成されている。本実施例において該仕切り板3は、その肉厚が2.5mm程度に設定されると共に、その縦方向の長さが150mm程度に設定され、その横幅が45mm程度に設定されている。又前記半円状板部26の縦方向長さは28mm程度に設定され、前記三角形状板部29の縦方向長さは38mmに設定されている。そして、前記仕切り板3の前後対向する前記側面部10,10は、その使用状態で見て垂直面状を呈しており、該三角形状板部29の先側部分30の左右の傾斜縁部31,31は共に、先端鋭の刃状部32として構成されている。このように刃状部32が設けられているため、後述のように前記仕切り板3を地中に打ち込む際の打込み力を軽減できる。
【0027】
そして
図1〜2、
図5(B)に示すように、該仕切り板3の前後対向する前記側面部10,10の夫々において、その左右の側縁部11,11に、縦方向に連続する前記縦補強リブ12,12が膨出形成され、
図5(B)に示す、該縦補強リブ12,12の横方向のリブ外縁13,13は該側面部10,10の外縁15,15に合致している。又
図1〜3に示すように、左右の該縦補強リブ12,12の上端16,16相互を一体に連結する前記横補強リブ17が設けられており、該横補強リブ17はアーチ状補強リブ17aとして構成されている。これによって
図1〜3に示すように、一連の該縦補強リブ12,12と該横補強リブ17とは全体として倒U字状の補強リブ33を構成し、これによって前記仕切り板3の剛性が向上されている。そして本実施例においては、該縦補強リブ12,12と該横補強リブ17は、その横断面が同形で同サイズの円弧状を呈している。本実施例においては
図4(A)(C)に示すように、前記前後の側面部10,10の夫々に設けられている前記アーチ状補強リブ17a,17aの前記リブ上縁20,20と前記仕切り板3の前記上縁21とが一連に連続しており、平面視で幅広の幅広上縁部35が構成されている。
【0028】
前記ヒンジ部5は、
図1〜3に示すように、前記鋭角板部9の上端22よりも上側において前記仕切り板3,3相互を屈曲可能に連結するものである。該ヒンジ部5は本実施例においては
図3に示すように、前記三角形状板部29(前記鋭角板部9)の上端22と前記半円状板部26の下端36との間に縦方向に連続状態に設けられており、
図5(B)に示すように、幅方向の中央部分38が比較的幅の広い薄肉片39を以って構成されている。そして
図3に示すように、該ヒンジ部5の上端40は下に凸の円弧状部41として構成される一方、その下端42は上に凸の円弧状部43としてに構成されている。これによって該ヒンジ部5は、その長手中央線(下に凸の円弧状部41の下端45と上に凸の下の円弧状部43の上端46とを結んだ直線)47で屈曲できる。即ち、屈曲する部分を強度的に弱い該長手中央線47に特定できるため、該ヒンジ部5は屈曲させ易い。この屈曲は、
図6に示すように、平面視で時計回り及び反時計回りの夫々で少なくとも90度屈曲可能とされている。本実施例においては夫々120度程度に屈曲可能とされている。
【0029】
前記仕切り板3,3相互が前記ヒンジ部5を介して前記のように連結されることによって、
図1〜2に示す、長尺状に連続する前記園芸用連続仕切り具1が構成される。該園芸用連続仕切り具1は、例えば、所定長さ分(例えば50cm)の射出成形を繰り返すことによって、長尺状に連続させて製造できる。その長さは例えば1〜5mに設定できる。或いは、その用途に応じてそれ以上の長さのものとして製造される。かかる長尺の園芸用連続仕切り具1は、前記ヒンジ部5で屈曲可能であるため、全体を巻回状態で保管でき又運搬等できる。
【0030】
図2、
図7〜8は、かかる構成を有する園芸用連続仕切り具1の使用例を示すものであり、
図2は、該園芸用連続仕切り具1を用いて地面49に直線状の仕切体50を形成した場合を示す。該仕切体50を形成するために、先ず、その必要長さに合わせて、長尺材としての該園芸用連続仕切り具1から所要長さ分を切り取る。この切り取りは、前記ヒンジ部5の前記薄肉片39(
図5)において容易に行うことができる。これによって、所要枚数の前記仕切り板3が連なった仕切り材51(
図7)が得られる。その後、前記直線状の仕切体50(
図2)を形成すべき場所において、例えば
図7〜8に示すように地面49に直線状の溝部52を形成する。該溝部52の溝幅と溝深さは共に例えば50mm〜60mm程度に設定する。
【0031】
図7〜8に示すように、該溝部52内に、前記仕切り材51の各仕切り板3の下側の部分53を嵌め入れ、その下端部55(
図8)を該溝部の底部56に若干押し込む。該溝部52は、後述のように前記仕切り材51を地中に所要に打ち込んだ後に埋め戻す。
【0032】
このようにして該溝部52内に、前記仕切り材51の前記下側の部分53を嵌め入れた後、
図7〜8に示すように、前記横補強リブ17の上端57をハンマーで下方向に打撃して前記仕切体50(
図2)の長さ方向で見た上端高さを揃える。この打撃は、アーチ状を呈する前記幅広上縁部35の上端57を下方に打撃して行うのであるが該上端57は打撃の目印としても機能できる。
【0033】
本実施例においては
図4(C)に示すように、前記前後の側面部10,10の夫々に設けられている前記アーチ状補強リブ17a,17aの前記リブ上縁20,20と前記仕切り板3の前記上縁21とが一連に連続していて平面視で幅広上縁部35が構成されている。しかも
図1〜3に示すように、前記仕切り板3の前後の側面部10,10の夫々が、前記倒U字状の補強リブ33,33で補強されていて該仕切り板3の剛性が向上されている。かかることから、前記打撃を該幅広上縁部35(
図4(C))で安定的に行うことができると共に、該打撃時において前記仕切り板3を撓み変形させにくい。
【0034】
かかることから
図7に矢印で示すように、該打撃に伴う打ち込み力Fを、前記仕切り板3の前後の側面部10,10の夫々に設けられている前記アーチ状補強リブ17a,17aと左右の前記縦補強リブ12,12,12,12に分散させて、該仕切り板3の両側において下方向に良好に伝達させることができる。これによって、地中への前記仕切り板3の打ち込み埋設を良好に行うことができる。
【0035】
そして、前記ヒンジ部5の両側に位置させて前記縦補強リブ12,12を設けているため、前記幅広上縁部35を打撃した際の衝撃によって前記ヒンジ部5が損傷を受けるのを防止できることともなる。又前記仕切体50(
図2)を形成する作業にあっては、切り取られた前記仕切り材51が、繋ぎ目なく連続しているため、特許文献1や特許文献3に記載されているような連結作業が不要である。従って、該仕切体50の形成を作業能率よく行うことができる。又前記仕切り材51が、繋ぎ目なく連続しているため、特許文献1や特許文献3におけるような前記連結部分の隙間からの土の流出の問題も生じさせないため、前記仕切体50が土留機能を有効に発揮する。
【0036】
前記仕切り板3の埋設は、例えば
図2、
図4に示すように、その上側の40〜50mm程度の部分58を地面49から上方に突出させて行う。この埋設状態において、
図2、
図4(B)に示すように、前記ヒンジ部5の前記下に凸の円弧状部41の前記下端45が地面49の上方に位置する。もしも
図9に示すように、該下に凸の円弧状部41の下端45が地中に存するように前記仕切り板3を埋設したとすると、該下端45の上側部分59で土が流れることになり、土留機能が有効に発揮されなくなってしまう。
【0037】
図2は、前記の各仕切り板3の前記幅広上縁部35の上端57(
図4)に所要の打撃を加えることによって、上端高さが揃った前記直線状の仕切り体50を形成した状態を示している。この場合は
図5に示すように、各ヒンジ部5は屈曲していない。
【0038】
図10は、前記園芸用連続仕切り具1を用いて、コーナー部60が直角を呈する仕切体50を前記と同様の要領によって形成する場合を示すものである。この場合は、前記と同様にして所要長さに形成された前記仕切体50の該コーナー部60に位置する各ヒンジ部5が
図6に実線で示すように90度の屈曲状態とされる。なお該屈曲角度は、形成せんとする仕切体50の形態に応じて、90度よりも大きな角度に設定されることがあり、又、90度よりも小さな角度に設定されることもある。
【0039】
該園芸用連続仕切り具1においては、前記ヒンジ部5の両側に位置させて前記縦補強リブ12,12を設けているため、前記コーナー部60等の屈曲部を形成するに際して前記ヒンジ部5を折り曲げる際、その際の折り曲げ力が前記仕切り板3に変形をもたらす等の悪影響を及ぼすことを防止できる。
【0040】
前記ヒンジ部5は、本実施例においては
図5に示すように、中央部分38が薄肉に形成されており、又
図3に示すように、該ヒンジ部5の上縁40は下に凸の円弧状部41として構成される一方、その下縁42は上に凸の円弧状部として構成されているため、該ヒンジ部5を、常に、前記長手中央線47(
図3)で確実に屈曲させることができ、折り曲げ力が前記仕切り板3の変形をもたらす等の悪影響を、より一層確実に防止できることとなる。
【0041】
図11(A)は、前記園芸用連続仕切り具1を用いて円形状乃至楕円形状の仕切体50を前記と同様の要領によって構成した場合を示すものである。この場合は、前記の各ヒンジ部5が
図11(B)に示すように緩く湾曲している。
【0042】
図12は、前記園芸用連続仕切り具1を用いてウエーブ状部61を有する仕切体50を前記と同様の要領によって構成した場合は示すものである。この場合は、該ウエーブ状部61に位置する前記の各ヒンジ部5,5が
図11(B)に示すと同様にして緩く湾曲している。
【0043】
前記園芸用連続仕切り具1を用いて形成された仕切体50の形態は、その他にも各種のものがあるが、何れの仕切体50も、土地の境界部分の見栄えをよくする仕切りを形成するために用いられる他、土の流出を防止する土留や、芝等の植物の根がみだりに伸長しないように仕切る根止めとして用いることができる。
【実施例2】
【0044】
本発明は、前記実施例で示したものに限定されるものでは決してなく、「特許請求の範囲」の記載内で種々の設計変更が可能であることはいうまでもない。
【0045】
(1)
図13は、前記園芸用連続仕切り具1を構成する前記仕切り板3が有する前記横補強リブ17の他の態様を示すものである。
【0046】
図13(A)に示す横補強リブ17は、横方向の直線状の補強リブ17bとして構成されている。
図13(B)に示す横補強リブ17は、上方向に緩く湾曲した円弧状の補強リブ17cとして構成されている。
図13(C)に示す横補強リブ17は、
図13(A)に示す直線状の横補強リブ17bの中央部分を上方向に半円弧状に湾曲させた補強リブ17dとして構成されている。
図13(D)に示す横補強リブ17は、
図13(A)に示す直線状の横補強リブ17bの左右側部分を傾斜部62,62とした台形状の補強リブ17eとして構成されている。
図13(E)に示す横補強リブ17は、
図13(A)に示す直線状の横補強リブ17bの中央部分を下方向に半円弧状に湾曲させた補強リブ17fとして構成されている。
図13(F)に示す横補強リブ17は、
図13(A)に示す直線状の横補強リブ17bの中央部分を、左右の段差63,63を介して稍浮き上げた補強リブ17gとして構成されている。
図13(G)に示す横補強リブ17は、その全体が下方向に緩く湾曲する補強リブ17hとして構成されている。又
図13(H)に示す横補強リブ17は、
図13(A)に示す横補強リブの長さの3分の1程度の長さの補強リブ17iとして構成されている。この場合、左右の前記縦補強リブ12,12は、上端65から下端66に向けて両者間の間隔が大きくなる山形状の配置となっている。
【0047】
かかる構成を有する前記の各園芸用連続仕切り具1においても、
図4(C)に示すように、前記横補強リブ17の前記リブ上縁20は前記側面部10の前記上縁21に合致している。そして該横補強リブ17は、前記と同様に、左右の前記縦補強リブ12,12の上端16,16相互を一体に連結している。然して、前記と同様にして幅広上縁部35を打撃すると、該打撃に伴う打ち込み力を、前記仕切り板3の前後の側面部10,10の夫々に設けられている前記縦補強リブ12,12を介して、該仕切り板3の両側で下方向に伝達させることができる。これによって、地中への前記仕切り板3の打ち込み埋設を良好に行うことができる。
【0048】
図13に示されている各園芸用連続仕切り具1においては、前記ヒンジ部5の上端40が前記仕切り板3の上端69に略合致しているが、前記実施例におけると同様にして、該ヒンジ部5の上端40は下に凸の円弧状部として形成される一方、その下端42は上に凸の円弧状部として構成されている。符号5、10、16、35、40、42は、便宜上
図13(A)に代表させて示している。なお該上端40は、
図1におけると同様に、該仕切り板3の上端69よりも比較的大きく下方に位置させて設けられることもある。
【0049】
(2)
図14は、下端70が前記三角形状板部(前記鋭角板部)29の下端71に略連なる縦方向(上下方向)の中央縦補強リブ72を、前記左右の縦補強リブ12,12に加えて設けた場合を示しており、その上端73が、例えば
図14に示す直線状の横補強リブ17の中央部位の下面部75に連結されている。このように構成する場合は、前記左右の縦補強リブ12,12による打ち込み力の下方への伝達作用が得られることに加えて、該中央縦補強リブ72による打ち込み力の下方向への伝達作用が得られるため、地中への前記仕切り板3の打ち込み埋設をより良好に行うことができる。このように中央縦補強リブ72を設ける場合、前記横補強リブ17の形態は、
図1に示すアーチ状横補強リブ17や
図13に示されているその他の形態の横補強リブ17等であってもよい。
【0050】
(3)
図15は、前記ヒンジ部5の両側に設けられる縦補強リブ12の他の態様を例示するものである。該縦補強リブ12,12は本実施例においては、前記仕切り板3の前後対向する側面部10,10の夫々に設けられており前後対称形態を呈している。なお、符号1と符号3と符号10は便宜上
図15(A)においてのみ記載している。そして該ヒンジ部5は、幅方向の中央部分が薄肉片39を以って構成されており、前記と同様に、平面視で時計回り及び反時計回りの夫々で少なくとも90度屈曲可能に構成されている。前記縦補強リブ12は、
図15(A)においては断面三角形状に形成されており、
図15(B)においては断面台形状に形成されており、
図15(C)においては断面四分割円状に形成されており、
図15(D)においては断面三角状に形成されており、
図15(E)においては断面花形状に形成されている。前記縦補強リブ12は、その他各種形態のものとして構成でき、その表面にねじれ模様等の適宜の立体模様が付されることもある。
【0051】
(4)前記縦補強リブ12と前記横補強リブ17は、前記打ち込み力の下方向への伝達が所要に得られる限り、
図16に示すように、前記仕切り板3の前後対向する側面部10,10の内の一方にのみ設けられることもある。
【0052】
(5)前記ヒンジ部5の上端40及び下端42は例えば
図17に示すように水平を呈する如く設けられることもある。
【0053】
(6)前記ヒンジ部5は、前記仕切り板3,3相互を、平面視で時計回り及び反時計回りの夫々で少なくとも90度屈曲可能とするものであるならば、前記したような、幅方向の中央部分38が比較的幅の広い薄肉片39を以って構成されたものには特定されず、例えば、幅狭の縦方向溝線として構成されてもよい。
【0054】
(7)前記仕切り板3の厚さや幅寸法、上下長さ、前記園芸用連続仕切り具1の全長等は、該園芸用連続仕切り具1の用途に応じて所要に設定されるものである。該仕切り板3の幅寸法は例えば30〜80mmに設定でき、その厚さは5mm程度と比較的大きく形成されることもある。又、該園芸用連続仕切り具1の長さは、その取り扱い性を考慮して前記のように1〜5mに設定できるが、それよりも長く例えば5m程度に或いはそれ以上の長さに設定されることもある。
【0055】
(8)前記仕切り板3の前後対向する側面部10,10の一方或いは双方の例えば上側部位に、例えば
図18に示すように、前記園芸用連続仕切り具1の意匠性を向上させるために所要の立体模様54等の模様が付されることもある。
【0056】
(9)前記仕切り板3の下端部分6をなす前記鋭角板部9は、例えば
図19に示すように複数とされることもある。
【0057】
(10)前記の使用例においては、例えば
図7〜8に示すように、形成せんとする仕切体50の形状に合わせて地面に溝部52を設け、該溝部52内に、前記仕切り材51の前記下側の部分53を挿入後に前記幅広上縁部35の上端57をハンマーで打撃することとしているが、地面が比較的柔らかい場合には、かかる溝部52を設けることなく、地面の所定場所で、各仕切り板3の前記幅広上縁部35の上端57をハンマーで打撃して該仕切り板3を地中に所要に打ち込み埋設することもある。
【0058】
(11)前記仕切り板3の地中への埋設深さ(該仕切り板3の地面49からの突出量)は、前記ヒンジ部5の上端40を地面49の上方に位置させる限り、前記仕切体50の目的に応じて適宜に設定できる。