特許第6491731号(P6491731)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 大建工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6491731-棚固定構造およびそれを用いた収納庫 図000002
  • 特許6491731-棚固定構造およびそれを用いた収納庫 図000003
  • 特許6491731-棚固定構造およびそれを用いた収納庫 図000004
  • 特許6491731-棚固定構造およびそれを用いた収納庫 図000005
  • 特許6491731-棚固定構造およびそれを用いた収納庫 図000006
  • 特許6491731-棚固定構造およびそれを用いた収納庫 図000007
  • 特許6491731-棚固定構造およびそれを用いた収納庫 図000008
  • 特許6491731-棚固定構造およびそれを用いた収納庫 図000009
  • 特許6491731-棚固定構造およびそれを用いた収納庫 図000010
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6491731
(24)【登録日】2019年3月8日
(45)【発行日】2019年3月27日
(54)【発明の名称】棚固定構造およびそれを用いた収納庫
(51)【国際特許分類】
   A47B 57/42 20060101AFI20190318BHJP
   A47B 47/02 20060101ALI20190318BHJP
   A47B 96/06 20060101ALI20190318BHJP
【FI】
   A47B57/42 B
   A47B47/02 C
   A47B96/06 C
   A47B96/06 J
【請求項の数】6
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-242006(P2017-242006)
(22)【出願日】2017年12月18日
【審査請求日】2018年11月14日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000204985
【氏名又は名称】大建工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】特許業務法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】谷口 雄祐
【審査官】 七字 ひろみ
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭60−112935(JP,U)
【文献】 特開2001−231668(JP,A)
【文献】 特開2005−245777(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47B 57/42
A47B 47/00−47/05
A47B 96/06
A47F 5/00− 8/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右一対の側板が設けられかつ該側板同士の間に棚板が架け渡された収納構造に用いられる棚固定構造であって、
前記各側板の後面に取付固定される棚柱と、
前記棚柱に対し着脱可能に取り付けられるブラケットと、を備え、
前記棚柱は、
前記各側板の後面と間隔をあけて対向しかつ上下方向に延びる棚柱背部と、
前記棚柱背部における左右側部の少なくともいずれか一方から左右方向中央に向かって部分的に切り欠き形成され、互いに上下方向に間隔をあけて配置された複数の係止部と、を有し、
前記ブラケットは、
前記各側板の側面に沿って前後方向に延びていて、前記棚板を固定するための棚板固定部と、
上下方向に延びていて、上下方向中間部が前記棚板固定部の上下位置と対応する位置に配置されかつ該棚板固定部の後部と一体形成された延伸部と、
前記延伸部の前方に配置されかつ前記棚板固定部の後部下側に形成された一つのフック部と、を有し、
前記延伸部は、前記棚柱背部の後面と対向する対向面を含んでおり、
前記ブラケットは、前記フック部が前記係止部に係止されかつ前記延伸部の対向面が前記棚柱背部の後面と当接した状態で前記棚柱に取り付けられている、棚固定構造。
【請求項2】
請求項1に記載の棚固定構造において、
前記ブラケットは、前記延伸部の下側に配置されかつ該延伸部の対向面から前方に突出した突起部を有しており、
前記突起部は、前記フック部が前記係止部に係止されているときに、該係止部に挿入された状態で該係止部の上端部と当接している、棚固定構造。
【請求項3】
請求項1または2に記載の棚固定構造において、
前記棚柱は、前記棚柱背部の左右両側から前方に向かって突出しかつ該棚柱背部に沿って上下方向に延びる棚柱側部を有しており、
前記棚柱側部には、前記各係止部と対応する位置で前記棚柱背部の後面から前方に向かって部分的に切り欠き形成され、該各係止部から挿入された前記フック部を収納するフック収納部が設けられている、棚固定構造。
【請求項4】
請求項3に記載の棚固定構造において、
前記フック収納部は、側面視で前記棚柱背部から前記棚柱側部の前側に向かって湾曲状に切り欠き形成されており、
前記フック部は、側面視で上下方向中間部が前方に突出するように湾曲形成されている、棚固定構造。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の棚固定構造において、
前記ブラケットは、前記フック部の上方に位置する予備フック部をさらに有する、棚固定構造。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の棚固定構造を備える収納庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、棚固定構造およびそれを用いた収納庫に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、室内に設置される収納庫として、例えば特許文献1のようなものが提案されている。
【0003】
特許文献1には、左右一対の側板と、前面側に上下方向に間隔をあけて配置された複数の長孔を有する支柱と、後端部に後方に向かって突出した上下一対のフック部(下向鉤片)を有するブラケットと、ブラケットに取り付けられた状態で側板同士の間に配設された棚板と、を備えた組立式戸棚が開示されている。ブラケットは、上下一対のフック部が複数の長孔のいずれかに係止された状態で各支柱の前面側に取り付けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実公昭56−35070号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の組立式戸棚において、支柱は、正面視で複数の長孔が側板の内側に位置するように側板の後方に配置されている。これにより、組立者は、正面側から見て複数の長孔の位置を確認しながら、ブラケットのフック部を適宜の位置にある長孔に係止することができる。しかしながら、特許文献1の組立式戸棚では、支柱およびフック部が係止されていない長孔が外部に露出することから、組立式戸棚としての意匠性が損なわれていた。また、仮に支柱および複数の長孔を側板の後方に隠してしまうと、長孔の位置を視認することができず、ブラケットのフック部を長孔に係止することが困難となり、その結果、支柱に対するブラケットの取付状態が不安定となるおそれがあった。
【0006】
本発明は斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、収納庫などの意匠性を高めるとともに、棚柱に対するブラケットの取付状態を安定させるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、本発明では、収納庫などに適用される棚固定構造に関し、該棚固定構造を構成する棚柱とブラケットとの取付位置に着目し、その取付構造に工夫を加えることで、収納庫などの収納構造の意匠性を高めかつ棚柱に対するブラケットの取付状態を安定させるようにした。
【0008】
具体的に、本発明の第1の形態は左右一対の側板が設けられかつ側板同士の間に棚板が架け渡された収納構造に用いられる棚固定構造に係るものであり、この棚固定構造は、各側板の後面に取付固定される棚柱と、棚柱に対し着脱可能に取り付けられるブラケットと、を備えている。棚柱は、各側板の後面と間隔をあけて対向しかつ上下方向に延びる棚柱背部と、棚柱背部における左右側部の少なくともいずれか一方から左右方向中央に向かって部分的に切り欠き形成され、互いに上下方向に間隔をあけて配置された複数の係止部と、を有している。ブラケットは、各側板の側面に沿って前後方向に延びていて、棚板を固定するための棚板固定部と、上下方向に延びていて、上下方向中間部が棚板固定部の上下位置と対応する位置に配置されかつ棚板固定部の後部と一体形成された延伸部と、延伸部の前方に配置されかつ棚板固定部の後部下側に形成された一つのフック部と、を有している。延伸部は、棚柱背部の後面と対向する対向面を含んでいる。そして、ブラケットは、フック部が係止部に係止されかつ延伸部の対向面が棚柱背部の後面と当接した状態で棚柱に取り付けられていることを特徴とする。
【0009】
第1の形態では、フック部を係止するための複数の係止部が棚柱の棚柱背部に設けられている。このため、棚柱を各側板の後面に取り付けた状態では、複数の係止部が例えば収納庫などの収納構造の正面側から見えにくくなる。すなわち、複数の係止部を、フック部との係止状態にかかわらず収納構造の正面側から見えないようにすることができる。これにより、収納構造の意匠性が向上する。また、ブラケットは、延伸部の前方に配置され、棚板固定部の後部下側に形成された一つのフック部を有している。このため、収納構造を組み立てる際にその組立者が係止部を視認できずとも、一つのフック部を、収納庫の正面側から手探りで容易に係止部に係止することが可能となる。さらに、ブラケットは、フック部が係止部に係止されかつ延伸部の対向面が棚柱背部の後面と当接した状態で棚柱に取り付けられている。すなわち、ブラケットを、フック部と係止部との係止状態および延伸部の対向面と棚柱背部の後面との当接状態により棚柱に対して安定させることが可能となる。特に、棚板をブラケットの棚板固定部に固定した状態では、棚板の自重による下向きの力が棚板固定部に対して生じ、この下向きの力により延伸部が前方に向かって引っ張られるようになる。その結果、延伸部の対向面が棚柱背部の後面に対してより強く当接して、棚柱に対するブラケットの取付状態が安定する。したがって、第1の形態では、収納構造の意匠性を高めることができるとともに、棚柱に対するブラケットの取付状態を安定させることができる。
【0010】
第2の形態は、第1の形態において、ブラケットは、延伸部の下側に配置されかつ延伸部の対向面から前方に突出した突起部を有しており、突起部は、フック部が係止部に係止されているときに、係止部に挿入された状態で係止部の上端部と当接していることを特徴とする。
【0011】
第2の形態では、突起部が係止部に挿入された状態で係止部の上端部に当接していることから、ブラケットが棚柱に対して上下方向にがたつかないようになり、棚柱に対するブラケットの取付状態をより一層安定させることができる。
【0012】
第3の形態は、第1または第2の形態において、棚柱は、棚柱背部の左右両側から前方に向かって突出しかつ棚柱背部に沿って上下方向に延びる棚柱側部を有しており、棚柱側部には、各係止部と対応する位置で棚柱背部の後面から前方に向かって部分的に切り欠き形成され、各係止部から挿入されたフック部を収納するフック収納部が設けられていることを特徴とする。
【0013】
第3の形態では、フック部をフック収納部に収納することによりフック部と係止部との係止状態が安定するため、棚柱に対するブラケットの取付状態をより一層安定させることができる。
【0014】
第4の形態は、第3の形態において、フック収納部は、側面視で棚柱背部から棚柱側部の前側に向かって湾曲状に切り欠き形成されており、フック部は、側面視で上下方向中間部が前方に突出するように湾曲形成されていることを特徴とする。
【0015】
第4の形態では、フック部を、フック収納部の湾曲形状に沿わせながらフック収納部に収めやすくなる。これにより、組立者が係止部を視認できずとも、フック部を収納庫などの収納構造の正面側から手探りで係止部に係止することができる。
【0016】
第5の形態は、第1〜第4のいずれかの形態において、ブラケットは、フック部の上方に位置する予備フック部をさらに有することを特徴とする。
【0017】
第5の形態では、何らかの事由でフック部が破損した場合に、予備フック部を、フック部の代わりに係止部に係止することができる。
【0018】
第6の形態は、第1〜第5の形態のいずれか1つの棚固定構造を備える収納庫である。
【0019】
この第6の形態では、上記第1〜第5の形態と同様の作用効果を奏する収納庫を得ることができる。
【発明の効果】
【0020】
以上説明したように、本発明によると、収納構造の意匠性を高めることができるとともに、棚柱に対するブラケットの取付状態を安定させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1図1は、本発明の実施形態に係る収納庫の正面図である。
図2図2は、本発明の実施形態に係る収納庫の背面図である。
図3図3は、側板、棚柱、およびブラケットの取付状態を前方から見て示す斜視図である。
図4図4は、側板、棚柱、およびブラケットの取付状態を後方から見て示す斜視図である。
図5図5は、棚柱の構成を後方から見て示す斜視図である。
図6図6は、ブラケットの構成を前方から見て示す斜視図である。
図7図7は、ブラケットの構成を前方から見て示す部分拡大斜視図である。
図8図8は、図2のVIII−VIII線断面図である。
図9図9は、変形例に係るブラケットの構成を示す図7相当図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。以下の実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
【0023】
図1は、本発明の実施形態に係る収納庫1(収納構造)の全体を示している。この収納庫1は、例えば玄関、キッチン、リビング、寝室などの室内に設置されるものとして用いられる。
【0024】
図1および図2に示すように、収納庫1は、左右一対の側板2,2と、側板2,2の下端部同士の間に架け渡されて配置された水平方向の底板3と、側板2,2の上端部同士の間に架け渡されて配置された水平方向の天板4と、側板2,2の上下方向中央部間に架け渡されて配置された水平方向の棚板5とを有している。棚板5は、収納庫1の内部を複数の収納空間に仕切るための仕切り板として構成されている。左右の側板2,2、底板3、天板4、および棚板5の各々は、例えばMDF、合板、LVL、LVS、パーティクルボード等の木質材料からなる。
【0025】
収納庫1には、棚板5を側板2,2に固定するための棚固定構造9,9が設けられている。図2図5に示すように、各棚固定構造9は、後述するブラケット20を側板2に取り付けるための棚柱10を備えている。棚柱10は、各側板2の後面2aに取付固定されている。棚柱10は、例えば鋼板などの比較的剛性が高い材料からなり、平面視略C字状に形成されている。
【0026】
棚柱10は、棚柱背部11および棚柱側部12を有している。棚柱背部11は、各側板2の後面2aに沿って上下方向に延びている。棚柱側部12は、棚柱背部11の左右両側から前方に向かって突出しかつ上下方向に延びている。
【0027】
図5に示すように、棚柱背部11の左右方向略中央には、例えばタッピンネジS,S,…を挿通するための孔部13,13,…(図示例では3つ)が貫通形成されている。棚柱10は、孔部13,13,…に挿通されたタッピンネジS,S,…により側板2の後面2aに取付固定されている。そして、棚柱10が側板2に固定された状態では、棚柱側部12が側板2における左右の各側面2bと面一となる一方、棚柱背部11が側板2の後面2aと間隔をあけて対向している(図3参照)。
【0028】
棚柱10は、複数の係止部14,14,…を有している。係止部14,14,…は、棚柱背部11における左右側部から左右方向中央に向かって部分的に切り欠き形成されている。具体的に、各係止部14は、開口が背面視で略矩形状となるように形成されている(図2参照)。また、係止部14,14,…は、上下方向に互いに間隔をあけて配置されている。
【0029】
棚柱側部12には、各係止部14から挿入された後述のフック部26を収納するためのフック収納部15,15,…が設けられている。各フック収納部15は、各係止部14と対応する位置に配置されていて、棚柱背部11の後面11aから前方に向かって部分的に切り欠き形成されている。具体的に、各フック収納部15は、側面視で棚柱背部11の後面11aから棚柱側部12の前側に向かって湾曲状に切り欠き形成されている。また、各フック収納部15は、上下方向の長さが各係止部14における上下方向の長さよりも長くなるように形成されている。
【0030】
ここで、図2図5に示すように、各係止部14および各フック収納部15は、それらの上下方向中央の位置を左右に横切る仮想的な水平面(図示せず)を対称面として上下対称となるように切り欠き形成されているのが好ましい。これにより、棚柱10を、上下の向きの区別なく各側板2の後面2aに取付固定することが可能となる。これと同様に、棚柱10が取り付けられた側板10についても、上下の向きの区別なく底板3および天板4に取り付けることが可能となる。
【0031】
次に、図1図4に示すように、各棚固定構造9は、棚板5を側板2に取り付けるためのブラケット20を備えている。ブラケット20は、棚柱10に対して着脱可能に取り付けられている。ブラケット20は、例えば鋼板などの比較的剛性が高い材料からなる。
【0032】
図6にも示すように、ブラケット20は、棚板5を固定するための棚板固定部21を有している。棚板固定部21は、各側板2の側面2bに沿って前後方向に延びている(図3参照)。棚板固定部21の前後方向中間部から前端部に亘る部分は正面視略L字状に形成されている。棚板固定部21の下片部22には、例えばタッピンネジ(図示せず)を挿通するための孔部23,23,…(図示例では3つ)が貫通形成されている。棚板5は、孔部23,23,…に挿通されたタッピンネジにより棚板固定部21に固定されている。また、棚板固定部21の後部24は、上下方向に延びる略平板状に形成されている。
【0033】
図2図4に示すように、ブラケット20は、延伸部25を有している。図6図8にも示すように、延伸部25は、略平板状に形成されていて、上下方向に延びている。延伸部25は、その上下方向中間部が棚板固定部21の上下位置と対応する位置に配置されている。また、延伸部25は、棚板固定部21の後部24と一体形成されている。具体的に、後部24および延伸部25は、平面視略L字状となるように一体形成されている。さらに、延伸部25は、棚柱10における棚柱背部11の後面11aと対向する対向面25aを含んでいる。
【0034】
図6図8に示すように、ブラケット20は、棚柱10の係止部14に係止するためのフック部26を有している。フック部26は、側面視で略板状に形成されている。また、フック部26は、延伸部25の前方に配置されていて、棚板固定部21の後部24下側に形成されている。具体的に、フック部26は、棚板固定部21の後部24とその下側で一体形成されている。また、フック部26は、側面視で上下方向中間部が前方に突出するように湾曲形成されている。
【0035】
ブラケット20は、突起部27を有している。突起部27は、延伸部25の下側における左右方向略中央に設けられていて、延伸部25の対向面25aから前方に突出している。具体的に、突起部27は、延伸部25における下端部の一部を前側に向かって折り曲げた状態となるように形成されている。
【0036】
図1図4および図8に示すように、ブラケット20は、フック部26が係止部14に係止されかつ延伸部25の対向面25aが棚柱背部11の後面11aと当接した状態で棚柱10に取り付けられている。特に、フック部26は、その下部が棚柱10のフック収納部15内で棚柱背部11の前面と当接した状態となっている。さらに、突起部27は、フック部26が係止部14に係止されているときに、係止部14内に挿入された状態で係止部14の上端部と当接している。
【0037】
[実施形態の作用効果]
以上のように、各棚固定構造9では、フック部26を係止するための係止部14,14,…が棚柱10の棚柱背部11に設けられている。このため、棚柱10を各側板2の後面2aに取り付けた状態では、係止部14,14,…が収納庫1の正面側から見えにくくなる。すなわち、係止部14,14,…を、フック部26との係止状態にかかわらず収納庫1の正面側から見えないようにすることができる。これにより、収納庫1としての意匠性が向上する。また、ブラケット20は、延伸部25の前方に配置され、棚板固定部21の後部24下側に形成された一つのフック部26を有している。このため、収納庫1を組み立てる際にその組立者が係止部14,14,…を視認できずとも、一つのフック部26を、収納庫1の正面側から手探りで容易に係止部14,14,…のいずれかに係止することが可能となる。さらに、ブラケット20は、フック部26が係止部14に係止されかつ延伸部25の対向面25aが棚柱背部11の後面11aと当接した状態で棚柱10に取り付けられている。すなわち、ブラケット20を、フック部26と係止部14との係止状態および延伸部25の対向面25aと棚柱背部11の後面11aとの当接状態により棚柱10に対して安定させることが可能となる。特に、棚板5をブラケット20の棚板固定部21に固定した状態では、棚板5の自重による下向きの力が棚板固定部21に対して生じ、この下向きの力により延伸部25が前方に向かって引っ張られるようになる。その結果、延伸部25の対向面25aが棚柱背部11の後面11aに対してより強く当接して、棚柱10に対するブラケット20の取付状態が安定する。したがって、本発明の実施形態では、収納庫1(収納構造)の意匠性を高めることができるとともに、棚柱10に対するブラケット20の取付状態を安定させることができる。
【0038】
また、ブラケット20に設けられた突起部27が棚柱10の係止部14に挿入された状態で係止部14の上端部に当接している。このため、ブラケット20が棚柱10に対して上下方向にがたつかないようになり、棚柱10に対するブラケット20の取付状態をより一層安定させることができる。
【0039】
また、フック部26をフック収納部15に収納することによりフック部26と係止部14との係止状態が安定するようになる。このため、棚柱10に対するブラケット20の取付状態をより一層安定させることができる。
【0040】
また、フック収納部15は、側面視で棚柱背部11から棚柱側部12の前側に向かって湾曲状に切り欠き形成されており、フック部26は、側面視で上下方向中間部が前方に突出するように湾曲形成されている。このため、フック部26を、フック収納部15の湾曲形状に沿わせながらフック収納部15に収めやすくなる。これにより、組立者が係止部14を視認できずとも、フック部26を収納庫1の正面側から手探りで係止部14に係止することができる。
【0041】
[実施形態の変形例]
上記実施形態に係る棚固定構造9の変形例として、図9に示すように、ブラケット20は、予備フック部28をさらに有していてもよい。予備フック部28は、フック部26とその上方に間隔をあけて配置されている。また、予備フック部28は、フック部26と同じ形状および同じ大きさに形成されている。この変形例では、何らかの事由でフック部26が破損した場合であっても、予備フック部28を、フック部26の代わりに係止部14,14,…に係止することができる。なお、この変形例において、各係止部14は、その開口がフック部26および予備フック部28を挿入可能な上下長さとなるように切り欠き形成されていればよい。
【0042】
[その他の実施形態]
上記実施形態として、係止部14,14,…を棚柱背部11における左右両側部に設けた形態を示したが、この形態に限られない。すなわち、係止部14,14,…は、棚柱背部11における左右側部の少なくともいずれか一方に設けられていればよい。
【0043】
また、上記実施形態として、突起部27を有するブラケット20の形態を示したが、この形態に限られない。すなわち、ブラケット20は、突起部27を有していなくてもよい。
【0044】
以上、本発明についての実施形態を説明したが、本発明は上述の実施形態のみに限定されず、発明の範囲内で種々の変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明は、例えば室内設置用の収納庫として産業上の利用が可能である。
【符号の説明】
【0046】
1:収納庫
2:側板
3:底板
4:天板
5:棚板
9:棚固定構造
10:棚柱
11:棚柱背部
12:棚柱側部
14:係止部
15:フック収納部
20:ブラケット
21:棚板固定部
25:延伸部
25a:対向面
26:フック部
27:突起部
28:予備フック部
【要約】
【課題】収納庫などの収納構造の意匠性を高めるとともに、棚柱に対するブラケットの取付状態を安定させるようにする。
【解決手段】収納庫1に適用される棚固定構造9は、側板2の後面2aに固定される棚柱10と、ブラケット20と、を備えている。棚柱10は、棚柱背部11と、棚柱背部11の左右両側部に切り欠き形成された係止部14,14,…と、を有している。ブラケット20は、棚板固定部21と、上下方向中間部が棚板固定部21の上下位置と対応する位置に配置されかつ棚板固定部21の後部24と一体形成された延伸部25と、延伸部25の前方に配置され、後部24の下側に形成されたフック部26と、を有している。ブラケット20は、フック部26が係止部14に係止されかつ延伸部25の対向面25aが棚柱背部11の後面11aと当接した状態で棚柱10に取り付けられている。
【選択図】図4
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9