特許第6491744号(P6491744)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ネオセラム エス.アー.の特許一覧

特許6491744セラミックポンプ及びそれ用のケーシング
<>
  • 特許6491744-セラミックポンプ及びそれ用のケーシング 図000002
  • 特許6491744-セラミックポンプ及びそれ用のケーシング 図000003
  • 特許6491744-セラミックポンプ及びそれ用のケーシング 図000004
  • 特許6491744-セラミックポンプ及びそれ用のケーシング 図000005
  • 特許6491744-セラミックポンプ及びそれ用のケーシング 図000006
  • 特許6491744-セラミックポンプ及びそれ用のケーシング 図000007
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6491744
(24)【登録日】2019年3月8日
(45)【発行日】2019年3月27日
(54)【発明の名称】セラミックポンプ及びそれ用のケーシング
(51)【国際特許分類】
   F04B 7/06 20060101AFI20190318BHJP
【FI】
   F04B7/06
【請求項の数】15
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-516511(P2017-516511)
(86)(22)【出願日】2015年12月14日
(65)【公表番号】特表2018-503013(P2018-503013A)
(43)【公表日】2018年2月1日
(86)【国際出願番号】EP2015079620
(87)【国際公開番号】WO2016113053
(87)【国際公開日】20160721
【審査請求日】2017年11月16日
(31)【優先権主張番号】15150906.4
(32)【優先日】2015年1月13日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】517098354
【氏名又は名称】ネオセラム エス.アー.
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】特許業務法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シギノルフィ,ダビデ
(72)【発明者】
【氏名】ラファルディ,アルド
【審査官】 山崎 孔徳
(56)【参考文献】
【文献】 特表2010−538197(JP,A)
【文献】 特表2003−518228(JP,A)
【文献】 中国実用新案第203508254(CN,U)
【文献】 特開2006−144677(JP,A)
【文献】 特開2001−317450(JP,A)
【文献】 特表2012−502235(JP,A)
【文献】 特開2001−290251(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04B 7/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーシング(1)がセラミックの壁部(2)を備えてなる、容積ポンプ用のケーシング(1)において、
前記壁部(2)が少なくとも1つの開口手段を備え、該開口手段が、凹部(3)、前記凹部(3)の底部に配置された通し孔(4)、及び、前記凹部(3)の内側に形成されたノズル(5)を備えており、
前記ノズル(5)が前記凹部(3)の底部から突出していると共に、当該ノズル(5)は、前記通し孔(4)と同心的で、且つ前記凹部(3)の深さ(h2)よりも短い長さ(h1)を有する、ことを特徴とするケーシング。
【請求項2】
前記少なくとも1つの開口手段は、二つの開口手段を備えてなる、ことを特徴とする請求項1に記載のケーシング。
【請求項3】
一片の固体セラミックから機械加工されたものである、ことを特徴とする請求項1又は2に記載のケーシング。
【請求項4】
前記ノズル(5)は、ねじ山が付けられている、ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のケーシング。
【請求項5】
前記ノズル(5)は、円錐台形状の端部(6)を備えている、ことを特徴とする請求項4に記載のケーシング。
【請求項6】
前記ノズル(5)は、ポリマー製フェルールの助けを得てポリマー製ダクトに接続される、ことを特徴とする請求項5に記載のケーシング。
【請求項7】
前記ノズル(5)は、テフロン(登録商標)製ダクトに接続される、ことを特徴とする請求項6に記載のケーシング。
【請求項8】
前記ノズル及び前記通し孔によって区画形成される穴は、ガスケットを収容可能である、ことを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載のケーシング。
【請求項9】
前記ノズル及び前記通し孔によって区画形成される穴は、少なくとも1つの環状突起を備える、ことを特徴とする請求項8に記載のケーシング。
【請求項10】
前記ノズル及び前記通し孔によって区画形成される穴は、少なくとも1つの内側部分(7)及び1つの外側部分(8)を備え、
前記外側部分(8)は、前記内側部分(7)よりも大きな断面を有している、ことを特徴とする請求項8に記載のケーシング。
【請求項11】
前記ノズル(5)は、二つの突起(9)を具備した端部を備えている、ことを特徴とする請求項8〜10のいずれか一項に記載のケーシング。
【請求項12】
前記ノズル(5)は、ポリマー製フェルールの助けを得て前記ノズル(5)に固定されるポリマー製アダプタに接続される、ことを特徴とする請求項11に記載のケーシング。
【請求項13】
前記ポリマー製アダプタおよび前記ポリマー製フェルールは、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)でできている、ことを特徴とする請求項12に記載のケーシング。
【請求項14】
請求項1〜13のいずれか一項に記載のケーシング(1)と、
前記ケーシング(1)内でスライド可能な回転ピストンと、
を備えたポンプであって、
前記回転ピストンが、溝を備えると共に、その回転角度に応じて当該ポンプの入口および出口を開閉することができる、ことを特徴とするポンプ。
【請求項15】
請求項1〜13のいずれか一項に記載のケーシング(1)と、
ピストンと、
回転バルブと、
を備えたポンプであって、
前記回転バルブは、その回転角度に応じて当該ポンプの入口および出口を開閉することができる、ことを特徴とするポンプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セラミックの容積ポンプに関する。本発明はまた、そのようなポンプ用のケーシングに関するものである。
【背景技術】
【0002】
容積ポンプは伝統的には、入口ノズル及び出口ノズルが一体のシリンダに構築されることを可能にするステンレススチール(ステンレス鋼)から作られているが、機能的であるためには製品に接触する表面に硬質なクロムに基づくコーティングを必要とする。スチール又は硬質クロムと、ポンプ送りされる流体との接触は、化学的に反応性の製品の場合には受け入れられない。そのような製品は、ポンプを作るのに用いられた材料を腐食させるか、又は、金属との接触によってそれらの特性が変えられてしまう。
【0003】
従来のセラミックポンプは、固さ、磨耗および腐食の耐性、洗浄可能性、並びに熱的安定性に関して、金属の対応部品に比べて多大な利点を有している。ピストン及びシリンダのセラミック表面は、低い摩擦係数および高い耐摩耗性を有しており、かくして、機能さするために、投与された製品と接触するいかなるコーティングも必要としない。それ故、そのようなコーティングの漸進的な劣化や製品内での異種粒子の結果的な放出のリスクが、回避される。これらの理由のために、セラミックの利用は、医療、製薬、美容および食品の各用途において広範囲に及んでいる。
【0004】
特許文献1(CN203081672)は、セラミックの円筒状コア体と、ピストンと、バルブとを有するセラミックポンプを開示する。前記コア体は、シュリンクフィット(shrink fit)を介してスチールジャケットに締め付けられており、スチールジャケットは、ポンプが支持フレームに固定されることを可能にし、投与する製品の吸引及び排出(放出)に使用されるダクト(群)の取付けを許容するものである。ダクト(群)はステンレス鋼でできており、通常はスチールジャケットに溶接されているか又はジャケット内に機械加工されている。投与されるべき製品が金属と接触し得ないとき、そのような設計は適切ではない、というのも、製品がノズルを流通するときにそれは依然として製品を金属との接触にさらすことになるからである。
【0005】
特許文献2(CN203081678)もまた、セラミックのシリンダ体、並びに、シュリンクフィットによって前記セラミック体上に締め付けられた下側及び上側ジャケットを具備するポンプを開示する。そのジャケット(群)もまた、入口ノズル及び出口ノズルを備え、先行技術からの第1の引用文献と同じ欠点を提示する。
【0006】
特許文献3(CN203081735)は、スチールのジャケット体内に嵌められたセラミックのコア体を有する精密セラミックポンプを開示する。但し、それも結果的には、前述の先行技術文献と同じ欠点を提示する。
【0007】
特許文献4(WO2007/119149)は、セラミックのシリンダとダクト(導管)とを備えてなるポンプを開示し、当該ダクトはポンプの本体から取外し可能であると共に、ポンプ本体に対してそれら(ダクト)は動作中に、外部フェルール(口金)を持った外部スチールジャケットを介して固定される。ダクトは、ポンプの本体に対し組み付け可能で且つ使用時に金属ケースによって所定位置に保持され得るセラミック又は他の非金属材料で作られた分離した部品である。この構成は、ダクトが金属でできていないので、スチールと投与された製品との間の接触を回避する。フェルール(口金)の直接的な締め付けは、セラミックケーシングの壁部に半径方向(放射方向)の力を生じさせ、その半径方向の力は、時間と共にシリンダの内部直径を変形させて作動中の急停止(seizing)につながり得る。この欠点は、セラミックケーシングにセラミックダクトを接着することで解決可能であるが、最新の技術および接着性材料を用いたとしても、結合領域においてミクロな多孔性が残留することは、投与する製品との接触時に当該領域の洗浄可能性を低下させるというリスクを生じさせる。
【0008】
上述した先行技術に由来する装置は全て、金属製のジャケットを備えている。というのも、コア体に組み込まれるセラミックノズルを用いてポンプ全体をセラミックで作ろうとする試みは、次のような事実のために失敗に帰したからである。その事実とは、そのような突出したセラミックノズルは特に、操作時にショック(衝撃)にさらされると共に、セラミック製の場合には破壊のリスク(例えば、セラミックポンプが地面に落下したり、機械工具で不注意に打撃されたりすること)にさらされる、という事実である。特にノズルの破壊は、ポンプのセラミック製コア体の避けられないロス(損失)を生じさせる。それに加えて、セラミック体に固定された金属ケースはポンプの重量を大幅に増大させ、そのことは、特に、医薬製品充填用の絶縁材の下で機械にポンプが固定されるときに、(ポンプの)操作を困難にする。重量は、とりわけ大型のポンプについて人間工学上の重大な課題である。
【0009】
結論として、セラミックベースのポンプが、非金属ダクトを伴って固定された場合に金属と反応性の製品と(化学)反応しないという利点を提供するものであるとしても、既存の技術は、ダクトを含む異部品を分解すること又は最新の技術を用いることといった複雑な洗浄手順、並びに、分解せずに部品の高い洗浄基準を保証する手順を要求する。ともかく、そのようなポンプの取扱い及び洗浄は、大きなサイズ故のポンプの重量によって更に困難にさえなるデリケートな手順である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】CN203081672
【特許文献2】CN203081678
【特許文献3】CN203081735
【特許文献4】国際公開WO2007/119149号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、上記で露呈したような先行技術の欠点を克服するセラミックでの容積ポンプ用の完全セラミックケーシングを提供すること、及び、そのようなケーシングの洗浄可能性を改良することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この目的に向けて、本発明は、ケーシングがセラミックの壁部を備えてなる、容積ポンプ用のケーシングを提供するものであり、ここで、前記壁部が少なくとも1つの開口手段を備え、該開口手段が、凹部、前記凹部の底部にある通し孔、及び、前記凹部の内側に形成されたノズルを備えており、前記ノズルは、前記通し孔と同心的で、且つ前記凹部の深さよりも短い長さを有している。
【0013】
このような構成は、入口又は出口として使用可能な、完全にセラミックのノズルを提供する。そのようなノズル、又は換言すれば吐出口(spout)は、前記凹部のボトム(底部)から突出しており、その結果、ダクトに容易に固定することができる。しかしながら、そのようなノズルは、ポンプケーシングから突出していない(飛び出ていない)、というのも、ノズルの長さが、それが(セラミックケーシングの(幾何)形状にかかわりなく)形作られているところの凹部の深さよりも小さくなるように、特別にデザインされた凹部がケーシングの外側表面に機械加工されているからであり、そのことがそれ(ノズル)を有害な衝撃や破壊から保護する。ケーシングが円筒状である場合、そのような構成はポンプケーシングがそれ自体でロール(roll)運動することを許容し、そのことが更に破壊のリスクを低減する。
【0014】
それに加えて、先行技術に比べれば、金属ジャケットの内側にセラミックケーシングを嵌め込むことは、もはや必要ではない。このことはポンプの重量を大いに低減すると共に、操作及び洗浄をより容易にする。加えて、この新しい解決策は、製品と接触する表面でのミクロな多孔性(micro-porosity)を取り除くことにより、及び、ポンプの完成品を作るのに必要とされる分離した部品の数を大幅に低減することにより、入口領域や出口領域で投与された製品と接触する表面の洗浄可能性を大幅に改善する。何にもましてそれは、ポリマー(製)チューブが組込み式セラミックノズル(ビルトイン型セラミックノズル)に直接接続されるときに、金属に反応性であるそれら製品に対する金属とのいかなる接触も回避する。
【0015】
本発明の有利な実施形態によれば、前記少なくとも1つの開口手段は、二つの開口手段を備えている。一方の開口はポンプの入口として利用可能である一方、他方の開口はポンプの出口として利用可能である。
【0016】
本発明の有利な実施形態によれば、一片の固体セラミックから機械加工されたものである。そのような実施形態では、ケーシングは一体の固体セラミック片から構築され、投与する製品用の組込み式ノズル(ビルトイン型ノズル)を有している。洗浄水または洗浄蒸気用のノズルがポンプのセラミックケーシングに構築されてもよい。特に有利な実施形態では、ケーシング用の固体セラミックは、いかなるコーティングも備えていない。
【0017】
本発明の特に有利な実施形態によれば、ケーシングは、一様(均一)に高密度仕上げされた製品を得るべく焼かれた(焼成された)セラミックの固体片から機械加工される。
【0018】
本発明の有利な実施形態によれば、ノズルは、ねじ山が付けられている(又はネジ切りされている)。そのようなネジは、前記ノズルにダクト(導管)やアダプタを固定するためにノズルにフェルール(ferrule、口金、あるいは継ぎ手として機能するキャップやリングの類を指す)を螺着することを許容する。
【0019】
先行する実施形態に基づいた特に有利な実施形態によれば、前記ねじ山付きノズルは、ねじ山が付いていない円錐台形状の端部を備えている。そのような構成は正に、ポンプケーシングの開口手段に対する硬質なダクト(例えばテフロン(登録商標)製のダクト)の接続を可能にする。円錐台形状の端部は正に、ポリマー製フェルールの助けを得て前記ねじ山付きノズルに固定される半硬質(準硬質)ダクトの内側に挿入されるよう適合されている。
【0020】
先行する実施形態に基づく一実施形態によれば、前記ノズルはテフロン(登録商標)(製)ダクトに接続される。
【0021】
特に有利な実施形態によれば、テフロン(登録商標)(製)ダクトは、テフロン(登録商標)FEPである(注:FEPとは、フッ化エチレンプロピレン)。
【0022】
本発明の有利な実施形態によれば、前記ノズル及び前記通し孔によって区画形成される穴(bore)は、ガスケット(シール材)を収容可能である。そのようなガスケットは、ノズルと、ポンプケーシングに続いて接続される外部ダクト又はアダプタとの間の良好な接続を確実ならしめる。
【0023】
先行する実施形態の有利な実施形態によれば、前記ノズル及び前記通し孔によって区画形成される穴(bore)は、少なくとも1つの環状突起を備える。その環状突起に対してガスケットを当接させることができる。
【0024】
先行する実施形態のもう一つの有利な実施形態によれば、前記ノズル及び前記通し孔によって区画形成される穴(bore)は、少なくとも1つの内側部分および1つの外側部分を備えており、前記外側部分は、前記内側部分よりも大きな断面を有している。前記外側部分の底部(ボトム)にガスケットを収容することができる。
【0025】
本発明の有利な実施形態によれば、ねじ山付きノズルは、二つの突起を具備した端部を備えている。ノズルについてのこのような構成は、前記ノズルと、フェルールの助けを得て前記ねじ山付きノズルに固定されるポリマー(製)アダプタとの間にガスケットを取り付けることを可能にする。(両)突起は、アダプタの回転を防止するよう意図されたものである。アダプタのそのような回転は、固定操作時におけるガスケットの回転や剪断を誘発し、ガスケットの気密特性を弱体化させ得る。その外部的な寸法および外形(プロファイル)によれば、アダプタは様々な直径及び外形を持った異なるタイプのダクトを収容することができ、そのことは、本発明の当該実施形態に従うケーシングに対する柔軟性を最大限に付与するものとなる。
【0026】
先行する実施形態に基づく一実施形態によれば、前記ノズルは、ポリマー製フェルールの助けを得て前記ねじ山付きノズルに固定されたポリマー(製)アダプタに接続されている。
【0027】
先行する実施形態に基づく一実施形態によれば、前記ポリマー(製)アダプタおよびポリマー(製)フェルールは、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)でできている。
【0028】
PEEKは、蒸気、乾式加熱、ガンマ放射線などによって非常に効率的に殺菌することができる。それは結果的に、医療、製薬および食品の各用途のための材料として大変適切な選択肢となる。しかしながら、ラデュレ(Radel)(訳注:PPSU、ポリフェニルスルホン樹脂についてのSOLVAY社の登録商標)のようなその他のテクニカルポリマーも使用可能である。
【0029】
有利な一実施形態では、ノズルは全体として凹部の壁部によって取り囲まれている。
【0030】
別の有利な実施形態では、前記凹部は、ノズルを取り囲む二つの壁部と二つの開いた部分(open-sections)を伴ったU字形状のプロファイルを有している。
【0031】
本発明の更なる目的は、上記で露呈したような先行技術の欠点を克服するセラミックでの容積ポンプを提供することにある。
【0032】
この目的のために、本発明は、本発明に従うケーシングと、前記ケーシング内でスライド可能なピストンと、前記ケーシング内で回転可能な回転バルブとを備えたポンプを提供するものであり、前記回転バルブは、CN203081672U(その明細書及び図1において参照番号4であるバルブ)に説明されているような、回転角度に応じてポンプの入口および出口を開閉することが可能なものである。吸引ストローク時には、回転バルブはポンプの入口を開くと共に出口を閉じる。排出ストローク時には、回転バルブは、ポンプの入口を閉じると共に出口を開くように回転する。有利な一実施形態では、回転バルブは、穴(hole)を伴った中空なシリンダを備える。
【0033】
代替的には、ポンプは、本発明に従うケーシングと、前記ケーシング内でスライド可能な回転ピストンとを備える。その回転ピストンは、CN203081735U(その明細書及び図1において参照番号2である回転ピストン)に説明されているような、ピストンの回転角度に応じてポンプの入口および出口にそれぞれ接続可能な溝を備えている。吸引ストローク時には、回転ピストンはポンプの入口を開くと共に出口を閉じる。排出ストローク時には、回転ピストンは、ポンプの入口を閉じると共に出口を開くように回転する。
【0034】
本発明に従うポンプの有利な一実施形態によれば、前記のピストン及びバルブはセラミックでできている。
【0035】
本発明のこれらの特徴および追加の特徴は、(以下に)例示を介して且つ添付の図面を参照して、より詳細に説明されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1図1は、本発明に従うポンプケーシングの第1実施形態の断面を示す。
図2図2は、本発明の第2実施形態に従うポンプケーシングの開口部を示す。
図3図3は、本発明の第3実施形態に従うポンプケーシングの開口部を示す。
図4図4は、本発明の第4実施形態に従うポンプケーシングを示す。
図5図5は、本発明の第5実施形態に従うポンプケーシングを示す。
図6図6は、図5に従う実施形態の断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0037】
図面は縮尺通りに引かれておらず、概ね、同一の部材は図面中の同じ参照番号によって表示される。
【0038】
[好適な実施形態の詳細な説明]
図1は、本発明に従うポンプケーシング1の第1実施形態の断面を示す。ケーシング1はセラミックの壁部2を備えると共に、1つの開口手段を伴う。その開口手段は、凹部3と、該凹部3の底部に位置する通し孔4とを備える。ねじ山付きのノズル5が、前記凹部3の内側に形作られている。ノズル5は前記通し孔4と同心的であり、凹部の深さよりも短い長さを有する。そのような状況は、ノズルはケーシングから突出していない(飛び出ていない)、と言うに等しい。この実施形態では、ノズル5は凹部の壁部3aによって全体的に取り囲まれている。図1で見て取れるように、ノズル5及び通し孔4によって区画形成された穴(bore)は、1つの内側部分7および1つの外側部分8を備えており、その外側部分8は内側部分7よりも大きな断面を有している。そのような構成は実際上、ノズル5と、ダクトに接続されたアダプタ(図示略)との間にガスケット10を収容することを可能にする。
【0039】
図2は、本発明の第2実施形態に従うポンプケーシングの開口部の拡大図を示す。この実施形態では、ねじ山付きのノズルは、ねじ山の付いていない円錐台形状の端部6を備えている。そのような構成は、(例えばテフロン(登録商標)FEPダクトのような)硬質ダクトの、ポンプケーシングの開口手段への接続を可能にする。円錐台形状の端部6は、準硬質な(semi-rigid)ダクトの内側に挿入されるように構成されており、その準硬質ダクトは、ポリマー製フェルールの助けを得てねじ山付きノズル5に固定される(留められる)。ノズル5の高さh1、及び、凹部3の深さh2が図2に示されている。
【0040】
図3は、本発明の第3実施形態に従うポンプケーシングの開口部の拡大図を示す。ねじ山の付いていないノズル5を形作ることができる。ノズル5の高さh1、及び、凹部3の深さh2もまた、図3に示されている。
【0041】
図4は、本発明の第4実施形態に従うポンプケーシングを示す。提示された実施形態は、入口ダクト及び出口ダクトをポンプに接続すべく、二つの開口手段を備えている。ねじ山付きノズル5は、二つの突起(protrusion)9を具備した端部を備えている。該ノズルのそのような構成は、ノズル5と、PEEK製アダプタ11との間にガスケット10を装着することを許容するものであり、PEEK製アダプタ11はポリマー製フェルール(図示略)の助けを得てねじ山付きノズル5に固定される。前記突起(9)は、PEEK製アダプタ11の回転を防止することになる。PEEK製アダプタ11のそうした回転は、固定時におけるガスケット10の回転や剪断を誘発し、そのことでガスケット10の絶縁特性が弱まる。この実施形態では、凹部3は円形状を有している。但し、他の様々な形状が想定され得る(例えば、正方形、三角形、長方形(矩形)など)。この実施形態では、ノズル5は、それ故に全体的に、凹部の壁部3aによって取り囲まれている。
【0042】
図5及び図6は、本発明の第5実施形態に従うポンプケーシングを示す。この実施形態では、一つの凹部3内に二つのノズル5が形作られている。他の実施形態におけるように、ノズル5の長さは凹部3の深さよりも短いものであり、その結果、ノズル5はケーシングから突出していない。この実施形態では、凹部3は、(二つの)ノズル5を取り囲む二つの壁部12及び二つの開いた部分(open-sections)13を伴ったU字形状を有している。
【0043】
本発明はとりわけ図示され且つ上で説明されているものに限定されないことは、当業者によって理解されるであろう。本発明は、ありとあらゆる新規な特徴、及び、ありとあらゆるそれら特徴の組合せを内在するものである。特許請求の範囲中の参照番号は、発明の保護範囲を限定するものではない。動詞「備える(comprise)」及びその活用形は、言及された要素以外の他の要素の存在を排除するものではない。要素に先行する冠詞「a」及び「an」の使用は、そのような要素が複数存在することを排除するものではない。
【0044】
本発明は具体的な実施形態により説明されたが、それら実施形態は本発明の例示に過ぎず、発明を限定するものと解釈されるべきではない。
【符号の説明】
【0045】
1 ポンプケーシング
2 壁部
3 凹部
3a 凹部の壁部
4 通し孔
5 ノズル
6 円錐台形状の端部
7 穴の内側部分
8 穴の外側部分
9 突起
10 ガスケット
11 アダプタ
12 壁部
13 開いた部分
図1
図2
図3
図4
図5
図6