特許第6491749号(P6491749)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日本特殊陶業株式会社の特許一覧 ▶ 東京濾器株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6491749-プラズマリアクタ 図000002
  • 特許6491749-プラズマリアクタ 図000003
  • 特許6491749-プラズマリアクタ 図000004
  • 特許6491749-プラズマリアクタ 図000005
  • 特許6491749-プラズマリアクタ 図000006
  • 特許6491749-プラズマリアクタ 図000007
  • 特許6491749-プラズマリアクタ 図000008
  • 特許6491749-プラズマリアクタ 図000009
  • 特許6491749-プラズマリアクタ 図000010
  • 特許6491749-プラズマリアクタ 図000011
  • 特許6491749-プラズマリアクタ 図000012
  • 特許6491749-プラズマリアクタ 図000013
  • 特許6491749-プラズマリアクタ 図000014
  • 特許6491749-プラズマリアクタ 図000015
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6491749
(24)【登録日】2019年3月8日
(45)【発行日】2019年3月27日
(54)【発明の名称】プラズマリアクタ
(51)【国際特許分類】
   B01J 19/08 20060101AFI20190318BHJP
   F01N 3/08 20060101ALI20190318BHJP
   F01N 3/023 20060101ALI20190318BHJP
   H05H 1/24 20060101ALI20190318BHJP
   F01N 3/01 20060101ALI20190318BHJP
   B01D 53/92 20060101ALN20190318BHJP
   B01D 53/76 20060101ALN20190318BHJP
【FI】
   B01J19/08 EZAB
   F01N3/08 C
   F01N3/023 E
   H05H1/24
   F01N3/01
   !B01D53/92 320
   !B01D53/92 227
   !B01D53/92 242
   !B01D53/92 280
   !B01D53/76
【請求項の数】5
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2017-531786(P2017-531786)
(86)(22)【出願日】2017年2月27日
(86)【国際出願番号】JP2017007359
(87)【国際公開番号】WO2017150414
(87)【国際公開日】20170908
【審査請求日】2017年6月14日
(31)【優先権主張番号】特願2016-38749(P2016-38749)
(32)【優先日】2016年3月1日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004547
【氏名又は名称】日本特殊陶業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000220804
【氏名又は名称】東京濾器株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114605
【弁理士】
【氏名又は名称】渥美 久彦
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 伸介
(72)【発明者】
【氏名】灘浪 紀彦
(72)【発明者】
【氏名】江原 佑
【審査官】 宮部 裕一
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2007/086430(WO,A1)
【文献】 特開平10−033937(JP,A)
【文献】 特開2006−261040(JP,A)
【文献】 特開2009−270560(JP,A)
【文献】 特開2006−026537(JP,A)
【文献】 国際公開第2006/070838(WO,A1)
【文献】 国際公開第2009/057556(WO,A1)
【文献】 特開2011−125767(JP,A)
【文献】 特開2012−154316(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/008038(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J 19/08
F01N 3/01
F01N 3/028
F01N 3/08
B01D 53/92
H05H 1/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
放電電極を有する複数の電極パネルを積層した構造を有し、隣接する前記電極パネル間に電圧が印加されたときにプラズマを発生するプラズマパネル積層体と、
積層体外表面に露出して配置されるとともに前記複数の電極パネルの前記放電電極に電気的に接続される電気導通部材と、
前記プラズマパネル積層体が収容されるケースと、
前記ケース及び前記プラズマパネル積層体の間に介在され、前記プラズマパネル積層体を前記ケースに固定するマットと
を備えるプラズマリアクタであって、
前記マットは、前記電気導通部材との間に2mm以上30mm以下の隙間を有するように離間して配置され
前記隙間は、前記マットにおいて前記電気導通部材を避けて同マットを厚さ方向に貫通する切欠部の形成により、設けられている
ことを特徴とするプラズマリアクタ。
【請求項2】
複数の前記マットが互いに離間して配置されており、隣接する前記マット間に前記電気導通部材が位置していることを特徴とする請求項に記載のプラズマリアクタ。
【請求項3】
放電電極を有する複数の電極パネルを積層した構造を有し、隣接する前記電極パネル間にガスを通過した状態で電圧が印加されたときにプラズマを発生するプラズマパネル積層体と、
積層体外表面に露出して配置されるとともに前記複数の電極パネルの前記放電電極に電気的に接続される電気導通部材と、
前記プラズマパネル積層体が収容されるケースと、
前記ケース及び前記プラズマパネル積層体の間に介在され、前記プラズマパネル積層体を前記ケースに固定するマットと
を備えるプラズマリアクタであって、
複数の前記マットが、前記ガスの通過方向に沿って互いに離間して配置されているとともに、複数の前記マット間に位置する前記電気導通部材との間に2mm以上30mm以下の隙間を有するように前記電気導通部材から離間して配置されている
ことを特徴とするプラズマリアクタ。
【請求項4】
複数の前記マットは、互いに等しい寸法を有することを特徴とする請求項に記載のプラズマリアクタ。
【請求項5】
複数の前記マットは、いずれも側面視で矩形環状をなすことを特徴とする請求項3または4に記載のプラズマリアクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラズマリアクタに関するものであり、特には、内燃機関(エンジン)の排ガスを浄化するための装置に好適なプラズマリアクタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、エンジンや焼却炉の排ガスをプラズマ場に通すことにより、排ガス中に含まれているCO(一酸化炭素)、HC(炭化水素)、NOx(窒素酸化物)及びPM(Particulate Matter:粒子状物質)などの有害物質を処理するプラズマリアクタが提案されている。
【0003】
例えば、放電電極が形成された複数の電極パネルを積層し、隣接する電極パネル間に電圧を印加して誘電体バリア放電による低温プラズマ(非平衡プラズマ)を発生させることにより、電極パネル間を流れる排ガス中のPMを酸化して除去するプラズマリアクタが種々提案されている(特許文献1〜3参照)。なお、特許文献1〜3に記載のプラズマリアクタは、電極パネルを積層してなるプラズマパネル積層体を収容するためのケースや、ケース及びプラズマパネル積層体の間に介在されるマットなどを備えている。また、プラズマリアクタには、放電電極に電気的に接続される電気導通部材が設けられている。電気導通部材は、マットを介してケースに接触している。例えば、特許文献2には、電気導通部材であるリードライン部材が設けられており、リードライン部材は、マットを介してハウジング(ケース)に接触している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第6464945号明細書(図8等)
【特許文献2】特許第3832654号公報(図4等)
【特許文献3】特許第4448097号公報(図9等)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、プラズマリアクタを車両等に搭載して使用する際に、プラズマリアクタに水が流入することがある。ここで、プラズマリアクタに流入する水としては、例えば、車両の冷間始動時において排気管内の結露に起因して発生する排気凝縮水や、水たまりへの車両の進入に伴いマフラーから流入する水等がある。
【0006】
ところが、特許文献1〜3に記載の従来技術では、プラズマリアクタへの水の流入に伴い、乾燥状態では絶縁性を有していたマットが水を吸って含水状態となるため、マットの絶縁性が低下してしまう。その結果、電気導通部材とケースとの間が、含水状態にあるマットを介して導通してしまい、リーク電流が発生する虞がある。この場合、投入電力に対するプラズマの発生量が少なくなるため、排ガスの浄化効率が低くなるという問題がある。
【0007】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、水が流入した場合であっても、プラズマを確実に発生させることができるプラズマリアクタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するための手段(手段1)としては、放電電極を有する複数の電極パネルを積層した構造を有し、隣接する前記電極パネル間に電圧が印加されたときにプラズマを発生するプラズマパネル積層体と、積層体外表面に露出して配置されるとともに前記複数の電極パネルの前記放電電極に電気的に接続される電気導通部材と、前記プラズマパネル積層体が収容されるケースと、前記ケース及び前記プラズマパネル積層体の間に介在され、前記プラズマパネル積層体を前記ケースに固定するマットとを備えるプラズマリアクタであって、前記マットは、前記電気導通部材との間に2mm以上30mm以下の隙間を有するように離間して配置され、前記隙間は、前記マットにおいて前記電気導通部材を避けて同マットを厚さ方向に貫通する切欠部の形成により、設けられていることを特徴とするプラズマリアクタがある。
【0009】
従って、上記手段1に記載の発明では、ケース及びプラズマパネル積層体の間に介在されるマットが、電気導通部材との間に隙間を有するように離間して配置されている。このため、プラズマパネル積層体側の放電電極に接続されている電気導通部材と、マットとの間の絶縁が確保され、ひいては、電気導通部材とケースとの間の絶縁が確保されるようになる。よって、プラズマリアクタへの水の流入に伴い、マットが水を吸って含水状態になったとしても、マットを介した電気導通部材とケースとの導通が防止されるため、電気導通部材−ケース間の導通に起因するリーク電流の発生を防止することができる。ゆえに、投入電力に対するプラズマの発生量が十分に確保されるため、隣接する電極パネル間を流れる排ガス中のPMをプラズマを用いて酸化して除去する場合に、PMの除去を効率良く行うことができる
ここで、マットと電気導通部材との間に生じる隙間の大きさは、2mm以上30mm以下に設定される。仮に、隙間の大きさが2mm未満になると、沿面放電が生じやすくなるため、マットを介して電気導通部材とケースとが導通する虞がある。一方、隙間の大きさが30mmよりも大きくなると、ケースとマットとの接触面積、及び、マットとプラズマパネル積層体との接触面積が小さくなるため、マットを介してプラズマパネル積層体を確実にケースに固定できない可能性がある。なお、マットと電気導通部材との間に生じる隙間の大きさは、プラズマの形成に必要な電圧のレベルに応じて変化する。一般的に、沿面放電の発生を防止するためには、1kV当り1mm離間させればよいことが知られている。従って、マットと電気導通部材との間に生じる隙間は、2mm以上30mm以下の範囲内で、電極パネル間に印加される電圧に応じた距離とすることがよい。
【0010】
上記プラズマリアクタを構成するプラズマパネル積層体は、放電電極を有する複数の電極パネルを積層した構造を有する。放電電極の形成材料としては、例えば、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、酸化ルテニウム(RuO)、銀(Ag)、銅(Cu)、白金(Pt)などを挙げることができる。
【0012】
また、マットと電気導通部材との間に隙間を有する構造は、特に限定される訳ではなく、例えば、マットに、同マットを厚さ方向に貫通する切欠部を電気導通部材を避けるように形成することにより、マットと電気導通部材との間に隙間を設けたものや、複数のマットを互いに離間して配置し、隣接するマット間に電気導通部材を位置させることにより、隙間を設けたものなどが挙げられる。なお、切欠部を形成した構造にすれば、複数のマットを用いる場合よりも、部品点数を減らすことができるとともに、マットの組付作業が容易になる。一方、複数のマットを互いに離間して配置した構造にすれば、マットに切欠部を設ける場合よりも、隙間を有する構造を容易に形成することができる。
上記課題を解決するための別の手段(手段2)としては、放電電極を有する複数の電極パネルを積層した構造を有し、隣接する前記電極パネル間にガスを通過した状態で電圧が印加されたときにプラズマを発生するプラズマパネル積層体と、積層体外表面に露出して配置されるとともに前記複数の電極パネルの前記放電電極に電気的に接続される電気導通部材と、前記プラズマパネル積層体が収容されるケースと、前記ケース及び前記プラズマパネル積層体の間に介在され、前記プラズマパネル積層体を前記ケースに固定するマットとを備えるプラズマリアクタであって、複数の前記マットが、前記ガスの通過方向に沿って互いに離間して配置されているとともに、複数の前記マット間に位置する前記電気導通部材との間に2mm以上30mm以下の隙間を有するように前記電気導通部材から離間して配置されていることを特徴とするプラズマリアクタがある。
従って、上記手段2に記載の発明では、ケース及びプラズマパネル積層体の間に介在されるマットが複数であり、それら複数のマットがガスの通過方向に沿って互いに離間して配置されている。このため、ガスが通過する際の上流側あるいは下流側からプラズマパネル積層体への水の流入に伴い、水の流入側に位置する一部のマットが水を吸って含水状態になったとしても、当該一部のマットがその水を保持してそこに留める。このため、離間して配置されている他のマットが水に晒されにくくなり、複数のマット全てが含水状態になることが防止される。その結果、プラズマパネル積層体とケース間への水の浸入を少なくできるため、電気導通部材とケースとの間の静電容量の低下が抑制される。従って、電気導通部材−ケース間の導通(即ち、静電容量の過度の低下)に起因するリーク電流の発生を抑制することができる。ゆえに、投入電力に対するプラズマの発生量が十分に確保されるため、隣接する電極パネル間を流れる排ガス中のPMをプラズマを用いて酸化して除去する場合に、PMの除去を効率良く行うことができる。
ここで、複数のマットは互いに等しい寸法を有していてもよい。この構成であると、準備しておく複数のマットが一種類でよくなるため、低コスト化を達成しやすくなる。また、複数のマットはいずれも側面視で矩形環状をなしていてもよい。この構成であると、例えばプラズマパネル積層体が略直方体状であるような場合に好適な形状であることから、プラズマリアクタの製造を比較的容易に行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本実施形態におけるプラズマリアクタを示す概略断面図。
図2】プラズマリアクタを示す平面図。
図3】プラズマパネル積層体がケースに収容されている状態を示す斜視図。
図4】プラズマパネル積層体がケースに収容されている状態を示す側面図。
図5】プラズマパネル積層体、クランプ、外部端子及びマットを示す平面図。
図6】プラズマパネル積層体、クランプ、外部端子及びマットを示す斜視図。
図7】プラズマパネル積層体、クランプ及び外部端子を示す平面図。
図8】プラズマパネル積層体、クランプ及び外部端子を示す斜視図。
図9】電極パネルを示す斜視図。
図10】他の実施形態において、プラズマパネル積層体、クランプ、外部端子及びマットを示す平面図。
図11】他の実施形態において、プラズマパネル積層体、クランプ、外部端子及びマットを示す斜視図。
図12】他の実施形態において、プラズマパネル積層体、クランプ、外部端子及びマットを示す平面図。
図13】他の実施形態において、プラズマパネル積層体、クランプ、外部端子及びマットを示す斜視図。
図14】他の実施形態において、プラズマパネル積層体、クランプ、外部端子及びマットを示す斜視図。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明のプラズマリアクタ1を具体化した一実施形態を図面に基づき詳細に説明する。
【0015】
図1図4に示されるように、本実施形態のプラズマリアクタ1は、自動車のエンジン(図示略)の排ガスに含まれているPMを除去する装置であり、排気管2に取り付けられている。プラズマリアクタ1は、パルス発生電源3、ケース10及びプラズマパネル積層体20を備えている。
【0016】
ケース10は、例えばステンレス鋼を用いて矩形筒状に形成されている。ケース10の第1端部(図1では左端部)には第1コーン部11が接続され、ケース10の第2端部(図1では右端部)には第2コーン部12が接続されている。さらに、第1コーン部11は、排気管2の上流側部分4(エンジン側の部分)に接続され、第2コーン部12は、排気管2の下流側部分5(エンジン側とは反対側の部分)に接続されている。なお、エンジンからの排ガスは、排気管2の上流側部分4から第1コーン部11を介してケース10内に流入し、ケース10内を通過した後、第2コーン部12を介して排気管2の下流側部分5に流出する。
【0017】
図1図3図8に示されるように、プラズマパネル積層体20は、ケース10内に収容されており、一対のガス通過面21,22と、4つのガス非通過面23,24,25,26とを有する略直方体状を成している。両ガス通過面21,22は、プラズマパネル積層体20において互いに反対側に位置している。一方、各ガス非通過面23〜26は、一対のガス通過面21,22の間に位置している。
【0018】
また、プラズマパネル積層体20は複数の電極パネル30を積層した構造を有している。各電極パネル30は、ケース10内における排ガスの通過方向(第1コーン部11から第2コーン部12に向かう方向)と平行に配置されており、互いに隙間(本実施形態では、0.5mmの隙間)を有するように配置されている。
【0019】
図1に示されるように、各電極パネル30には、プラズマパネル積層体20の厚さ方向に沿って第1の配線6及び第2の配線7が交互に電気的に接続されている。第1の配線6は、パルス発生電源3の第1の端子に電気的に接続され、第2の配線7は、パルス発生電源3の第2の端子に電気的に接続されている。
【0020】
図1図9に示されるように、本実施形態の電極パネル30は、第1主面31及び第2主面32を有し、縦100mm×横200mmの略矩形板状を成している。第1主面31及び第2主面32は、電極パネル30の厚さ方向において互いに反対側に位置している。さらに、電極パネル30は、矩形板状の誘電体33に放電電極34(厚さ10μm)を内蔵してなる構造を有している。本実施形態において、誘電体33はアルミナ(Al)等のセラミックからなり、放電電極34はタングステン(W)からなる。また、誘電体33は、第2主面32にて開口する凹部35を有している。凹部35は、電極パネル30の横方向に延びており、電極パネル30の両端面にて開口している。本実施形態のプラズマパネル積層体20では、凹部35と下層側に隣接する電極パネル30の第1主面31とによって、排ガスの流路が構成される。なお、プラズマパネル積層体20を構成する最下層の電極パネル30には、下層側に電極パネル30が存在しないため、凹部35が形成されていない。
【0021】
図9に示されるように、電極パネル30における凹部35の両側部分には、第1主面31側と第2主面32側とを導通させる導通構造40がそれぞれ設けられている。各導通構造40はスルーホール導体41、第1パッド42及び第2パッド43を備えている。スルーホール導体41は、第1主面31及び第2主面32を貫通している。そして、一方の導通構造40に設けられたスルーホール導体41は、第1主面31及び第2主面32に加えて、放電電極34から外周側に延出する延出部36を貫通している。また、第1パッド42は、第1主面31に形成されており、スルーホール導体41の第1主面31側端部に電気的に接続されている。一方、第2パッド43は、第2主面32に形成されており、スルーホール導体41の第2主面32側端部に電気的に接続されている。なお、第1パッド42及び第2パッド43は、それぞれ長方形状を成しており、表面にNi等のめっきが施されている。
【0022】
図7図8に示されるように、プラズマリアクタ1は、各電極パネル30(プラズマパネル積層体20)をガス非通過面24側から挟み込んで固定する3つの第1クランプ50,51,52と、各電極パネル30をガス非通過面26側から挟み込んで固定する3つの第2クランプ53,54,55とを備えている。各クランプ50〜55は、金属板(例えばステンレス板)を折り曲げることによって形成されている。また、各第1クランプ50〜52は、ガス非通過面24において、プラズマパネル積層体20の横方向(電極パネル30の積層方向に対して垂直な方向)に沿って等間隔に配置され、各第2クランプ53〜55は、ガス非通過面26において、プラズマパネル積層体20の横方向に沿って等間隔に配置されている。なお、第1クランプ50〜52のうちガス非通過面24の中央部分に配置された第1クランプ51、及び、第2クランプ53〜55のうちガス非通過面26の中央部分に配置された第2クランプ54は、各電極パネル30を積層方向に挟み込む機能に加えて、放電電極34に電気的に接続される電気導通部材としての機能を有している。一方、第1クランプ50〜52のうちガス非通過面24の両側部分に配置された第1クランプ50,52、及び、第2クランプ53〜55のうちガス非通過面26の両側部分に配置された第2クランプ53,55は、各電極パネル30を積層方向に挟み込む機能のみを有している。
【0023】
また、図7図8に示されるように、各クランプ50〜55は、クランプ本体56及び押さえ板57を備えている。クランプ本体56は、電極パネル30の積層方向に延びている。押さえ板57は、クランプ本体56と一体に形成され、クランプ本体56の両端部に配置されている。各押さえ板57は、弾性を有しており、折り返し構造を有する板ばねである。なお、各クランプ50〜55を構成する両押さえ板57は、プラズマパネル積層体20のガス非通過面23とガス非通過面25とにそれぞれ圧接している。そして、クランプ51,54を構成する両押さえ板57は、ガス非通過面23(最上層の電極パネル30の第1主面31)に形成された第1パッド42と、ガス非通過面25(最下層の電極パネル30の第2主面32)に形成された第2パッド43とに圧接している。
【0024】
図2図8に示されるように、プラズマリアクタ1は、一対の外部端子60,61を備えている。本実施形態の外部端子60,61は、スパークプラグと同様の構造を有している。詳述すると、外部端子60,61は、外部接続部、金属粉末を含む導電性シール、絶縁体、主体金具、滑石、パッキン類等を備えている。外部接続部は、導電性シールを介して中軸62に接続されている。なお、外部端子は、本実施形態のものに限定される訳ではなく、絶縁体によって外部接続部とケース10との間が絶縁されている構造であれば、他の構造であってもよい。
【0025】
また、外部端子60は、基端部が第1クランプ51のクランプ本体56に電気的に接続され、先端部がケース10から露出している(図2図4参照)。同様に、外部端子61は、基端部が第2クランプ54のクランプ本体56に電気的に接続され、先端部がケース10から露出している。即ち、外部端子60は、プラズマパネル積層体20のガス非通過面24に配置され、外部端子61は、ガス非通過面24とは反対側に位置するガス非通過面26に配置されている。そして、各外部端子60,61は、互いに反対方向に突出している。なお、本実施形態では、外部端子60の先端部が第1の配線6(図1参照)に接続されるとともに、外部端子61の先端部が第2の配線7(図1参照)に接続されるようになっている。
【0026】
図3図6に示されるように、ケース10とプラズマパネル積層体20との間には、側面視で矩形環状を成すマット71が介在されている。マット71は、プラズマパネル積層体20をケース10に固定する機能を有している。また、マット71は、プラズマパネル積層体20の外表面を覆っている。詳述すると、マット71は、ガス非通過面23を覆う略矩形板状の第1マット片72と、ガス非通過面24を覆う略矩形板状の第2マット片73と、ガス非通過面25を覆う略矩形板状の第3マット片74と、ガス非通過面26を覆う略矩形板状の第4マット片75とによって構成されている。マット71は、各マット片72〜75を、必要に応じて、接着テープ等を用いて互いに接合することにより構成される。ここで、マット71を構成する材料としては、例えば、セラミック繊維、金属繊維、発泡金属等の絶縁材料を用いることができる。
【0027】
また、図5図6に示されるように、マット71は、電気導通部材としての機能を有しないクランプ50,52,53,55には接触するように配置される一方、電気導通部材としての機能を有するクランプ51,54との間には隙間を有するように離間して配置されている。本実施形態のマット71には、同マット71を厚さ方向に貫通する第1切欠部81が第1クランプ51を避けるように形成されるとともに、マット71を厚さ方向に貫通する第2切欠部82が第2クランプ54を避けるように形成されている。そして、第1切欠部81内に第1クランプ51が配置されるとともに、第2切欠部82内に第2クランプ54が配置されるようになっている。
【0028】
詳述すると、第1切欠部81は、第2マット片73を厚さ方向に貫通する第1溝部83と、マット片72,74をそれぞれ厚さ方向に貫通する一対の第1凹部84とからなっている。第1溝部83は、電極パネル30の積層方向に沿って延びており、第2マット片73を分断している。一方、第1凹部84は、マット片72,74の外周部の一部のみに形成されており、マット片72,74を分断しないようになっている。なお、第1溝部83内には、第1クランプ51のクランプ本体56と外部端子60の基端部とが配置され、第1凹部84内には、第1クランプ51の押さえ板57が配置されている。そして、マット71と第1クランプ51との間(具体的に言うと、第1溝部83の内壁面とクランプ本体56の側縁との間、及び、第1凹部84の内側面と押さえ板57の外周縁との間)には、第1の隙間S1が生じるようになっている。なお、第1の隙間S1の大きさは、2mm以上30mm以下(本実施形態では、最小で5mm)に設定されている。
【0029】
図5図6に示されるように、第2切欠部82は、第4マット片75を厚さ方向に貫通する第2溝部85と、マット片72,74をそれぞれ厚さ方向に貫通する一対の第2凹部86とからなっている。第2溝部85は、電極パネル30の積層方向に沿って延びており、第4マット片75を分断している。一方、第2凹部86は、マット片72,74の外周部の一部のみに形成されており、マット片72,74を分断しないようになっている。なお、第2溝部85内には、第2クランプ54のクランプ本体56と外部端子61の基端部とが配置され、第2凹部86内には、第2クランプ54の押さえ板57が配置されている。そして、マット71と第2クランプ54との間(具体的に言うと、第2溝部85の内壁面とクランプ本体56の側縁との間、及び、第2凹部86の内側面と押さえ板57の外周縁との間)には、第2の隙間S2が生じるようになっている。なお、第2の隙間S2の大きさは、第1の隙間S1の大きさと等しくなっており、2mm以上30mm以下(本実施形態では、最小で5mm)に設定されている。
【0030】
なお、図1に示されるように、本実施形態のプラズマリアクタ1は、例えば、排ガスに含まれているPMを除去するために用いられる。この場合、パルス発生電源3から互いに隣接する電極パネル30間にパルス電圧(例えば、ピーク電圧:5kV(5000V)、パルス繰返し周波数:100Hz)が印加されると、誘電体バリア放電が生じ、放電電極34間に誘電体バリア放電によるプラズマが発生する。そして、プラズマの発生により、放電電極34間を流通する排ガスに含まれるPMが酸化(燃焼)されて除去される。
【0031】
次に、プラズマリアクタ1の製造方法を説明する。
【0032】
まず、アルミナ粉末を主成分とするセラミック材料を用いて、誘電体33となる第1〜第3のセラミックグリーンシートを形成する。なお、セラミックグリーンシートの形成方法としては、テープ成形や押出成形などの周知の成形法を用いることができる。そして、各セラミックグリーンシートに対してレーザ加工を行い、所定の位置に貫通孔を形成する。なお、貫通孔の形成は、パンチング加工、ドリル加工等によって行ってもよい。
【0033】
次に、従来周知のペースト印刷装置(図示略)を用いて、各セラミックグリーンシートの貫通孔に導電性ペースト(本実施形態では、タングステンペースト)を充填し、スルーホール導体41となる未焼成のスルーホール導体部を形成する。
【0034】
次に、第1のセラミックグリーンシートを支持台(図示略)に載置する。さらに、ペースト印刷装置を用いて、第1のセラミックグリーンシートの裏面上に導電性ペーストを印刷する。その結果、第1のセラミックグリーンシートの裏面上に、放電電極34となる厚さ10μmの未焼成電極が形成される。なお、第1のセラミックグリーンシートに対する未焼成電極の印刷方法としては、スクリーン印刷などの周知の印刷法を使用することができる。
【0035】
そして、導電性ペーストを乾燥後、未焼成電極が印刷された第1のセラミックグリーンシートの裏面上に、第2のセラミックグリーンシート及び第3のセラミックグリーンシートを順番に積層し、シート積層方向に押圧力を付与する。その結果、各セラミックグリーンシートが一体化され、セラミック積層体が形成される。さらに、ペースト印刷装置を用いて、第1のセラミックグリーンシートの主面上に導電性ペーストを印刷し、未焼成の第1パッド42を形成するとともに、第3のセラミックグリーンシートの裏面上に導電性ペーストを印刷し、未焼成の第2パッド43を形成する。なお、第3のセラミックグリーンシートは、凹部35の形状に合わせた打抜加工を施した後に積層される。
【0036】
次に、周知の手法に従って乾燥工程や脱脂工程などを行った後、セラミック積層体(セラミックグリーンシート及び未焼成電極)をアルミナ及びタングステンが焼結しうる所定の温度(例えば1400℃〜1600℃程度)に加熱する同時焼成を行う。その結果、セラミックグリーンシート中のアルミナ、及び、導電性ペースト中のタングステンが同時焼結し、誘電体33、放電電極34、スルーホール導体41、第1パッド42及び第2パッド43が同時焼成によって形成され、セラミック積層体が電極パネル30となる。
【0037】
その後、得られた電極パネル30を複数積層し、プラズマパネル積層体20を形成する。次に、クランプ50〜55を用いて、複数の電極パネル30を積層方向に挟み込んで固定する。このとき、クランプ51,54を構成する一対の押さえ板57が、第1パッド42と第2パッド43とに圧接する。さらに、溶接等を行うことにより、第1クランプ51を構成するクランプ本体56に、中軸62を介して外部端子60の基端部を接続するとともに、第2クランプ54を構成するクランプ本体56に、中軸62を介して外部端子61の基端部を接続する。次に、プラズマパネル積層体20の外表面を覆うようにマット71を取り付けた後、マット71の外表面を覆うようにケース10を取り付ける。その後、外部端子60の先端部に第1の配線6を接続するとともに、外部端子61の先端部に第2の配線7を接続する。以上のプロセスを経て、プラズマリアクタ1が完成する。
【0038】
従って、本実施形態によれば以下の効果を得ることができる。
【0039】
(1)本実施形態のプラズマリアクタ1では、ケース10及びプラズマパネル積層体20の間に介在されるマット71が、クランプ51,54との間に隙間S1,S2を有するように離間して配置されている。このため、プラズマパネル積層体20側の放電電極34に接続されているクランプ51,54と、マット71との間の絶縁が確保され、ひいては、クランプ51,54とケース10との間の絶縁が確保されるようになる。よって、プラズマリアクタ1への水の流入に伴い、マット71が水を吸って含水状態になったとしても、マット71を介したクランプ51,54とケース10との導通が防止されるため、クランプ51,54−ケース10間の導通に起因するリーク電流の発生を防止することができる。ゆえに、投入電力に対するプラズマの発生量が十分に確保されるため、隣接する電極パネル30間を流れる排ガス中のPMをプラズマを用いて酸化して除去する場合に、PMの除去を効率良く行うことができる。
【0040】
(2)本実施形態では、マット71に対してクランプ51,54を避けるように切欠部81,82を形成することにより、マット71とクランプ51,54との間に隙間S1,S2を設けている。このため、例えば、複数のマットの間にクランプを配置するなどして、マットとクランプとの間に隙間を設ける場合よりも、プラズマリアクタ1の部品点数を減らすことができる。
【0041】
(3)本実施形態のプラズマリアクタ1は、第1コーン部11及び第2コーン部12を介して排気管2に取り付けられている。その結果、排気管2の上流側部分4→第1コーン部11→プラズマリアクタ1→第2コーン部12→排気管2の下流側部分5の順番に排ガスが流れる排ガス流路内の抵抗が低減されるため、排ガス流路内における圧力損失を抑えることができる。ひいては、圧力損失に伴うエンジンの出力低下も防止することができる。
【0042】
なお、上記実施形態を以下のように変更してもよい。
【0043】
・上記実施形態では、マット71に対してクランプ51,54を避けるように切欠部81,82を形成することにより、マット71とクランプ51,54との間に隙間S1,S2を設けていたが、他の構造によって隙間を設けてもよい。例えば、図10図11に示されるように、2つのマット91,92を排ガスの通過方向に沿って互いに離間して配置することにより、両マット91,92を完全に分断し、隣接するマット91,92間に電気導通部材であるクランプ93,94を配置することにより、マット91,92とクランプ93,94との間に隙間S3を設けるようにしてもよい。
なお、図10図11に示した構造にはさらに以下のような利点がある。
例えば、排気管2の上流側部分4からプラズマパネル積層体20へ水が流入するような場合、流入側に位置する一方のマット91が水を吸って含水状態になったとしても、当該マット91がその水を保持してそこに留める。このため、離間して配置されている他方のマット92が水に晒されにくくなり、複数のマット全てが含水状態になることが防止される。またこれとは逆に、排気管2の下流側部分5からプラズマパネル積層体20へ水が流入するような場合、流入側に位置する一方のマット92が水を吸って含水状態になったとしても、当該マット92がその水を保持してそこに留める。このため、離間して配置されている他方のマット91が水に晒されにくくなり、複数のマット全てが含水状態になることが防止される。
その結果、プラズマパネル積層体20とケース10間への水の浸入を少なくできるため、クランプ51,54とケース10との間の静電容量の低下が抑制され、クランプ51,54−ケース10間の導通(即ち、静電容量の過度の低下)に起因するリーク電流の発生を抑制することができる。
加えて、このプラズマリアクタの場合、2つのマット91,92は互いに等しい寸法を有しているので、プラズマリアクタを製造するにあたり、準備しておくマット91,92が一種類でよくなる。そのため、低コスト化を達成しやすくなるというメリットがある。また、これらマット91,92はいずれも側面視で矩形環状をなしているため、直方体状のプラズマパネル積層体20を包囲するのに好適な形状となっている。ゆえに、プラズマリアクタの製造を比較的容易に行うことができるというメリットがある。
・なお、図10図11のプラズマリアクタにおいては2つのマット91,92を排ガスの通過方向に沿って互いに離間して配置したが、マットの数は2つに限定されず、それ以上(3,4,5,6…)であってもよい。ここで、図12図13のプラズマリアクタにおいては、4つのマット111,112,113,114を用いた例が示されている。このような構造であっても、一部のマットが水を保持してそこに留めることから、離間して配置されている残りのマットが水に晒されにくくなる。ゆえに、複数のマット全てが含水状態になることが防止される。
【0044】
・上記実施形態のマット71は、複数のマット片72〜75を、必要に応じて、接着テープ等を用いて互いに接合することにより構成されていたが、他の手法を用いてマットを構成してもよい。例えば、図14に示されるように、マット片101の外周部に設けた凸部102を、隣接するマット片103の外周部に形成した凹部104に嵌合させることにより、マット100を構成してもよい。
【0045】
・上記実施形態の電極パネル30は、誘電体33に放電電極34を内蔵することによって構成されていた。しかし、誘電体33の表面に放電電極34を形成することによって電極パネルを形成してもよい。
【0046】
・上記実施形態のプラズマリアクタ1は、自動車のエンジンの排ガス浄化に用いられていたが、例えば、船舶等のエンジンの排ガス浄化に用いてもよい。また、プラズマリアクタ1は、プラズマ処理を行うものであればよく、排ガスの処理を行うものでなくてもよいし、浄化に用いるものでなくてもよい。
【0047】
次に、特許請求の範囲に記載された技術的思想のほかに、前述した実施形態によって把握される技術的思想を以下に列挙する。
【0048】
(1)上記手段1において、前記マットに、同マットを厚さ方向に貫通する切欠部が前記電気導通部材を避けるように形成され、前記切欠部が、前記複数の電極パネルの積層方向に沿って延びていることを特徴とするプラズマリアクタ。
【0049】
(2)上記手段1において、前記マットは、前記プラズマパネル積層体の外表面を覆っていることを特徴とするプラズマリアクタ。
【0050】
(3)上記手段1において、前記電極パネルは、第1主面及び第2主面を有しており、前記電極パネルに、前記第1主面側と前記第2主面側とを導通させる導通構造が設けられ、前記導通構造は、前記第1主面及び前記第2主面を貫通するスルーホール導体と、前記第1主面に形成され、前記スルーホール導体の前記第1主面側端部に電気的に接続される第1パッドと、前記第2主面に形成され、前記スルーホール導体の前記第2主面側端部に電気的に接続される第2パッドとを備えることを特徴とするプラズマリアクタ。
【符号の説明】
【0051】
1…プラズマリアクタ
10…ケース
20…プラズマパネル積層体
30…電極パネル
34…放電電
51…電気導通部材としての第1クランプ
54…電気導通部材としての第2クランプ
71,91,92,100,111,112,113,114…マット
81…切欠部としての第1切欠部
82…切欠部としての第2切欠部
93,94…電気導通部材としてのクランプ
S1…隙間としての第1の隙間
S2…隙間としての第2の隙間
S3…隙間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14