特許第6491756号(P6491756)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6491756ウィンド・ファームを動作させるための方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6491756
(24)【登録日】2019年3月8日
(45)【発行日】2019年3月27日
(54)【発明の名称】ウィンド・ファームを動作させるための方法
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/00 20060101AFI20190318BHJP
   F03D 1/02 20060101ALI20190318BHJP
   H02P 9/00 20060101ALI20190318BHJP
   H02J 7/34 20060101ALI20190318BHJP
   H02J 3/32 20060101ALI20190318BHJP
   H02J 3/38 20060101ALI20190318BHJP
【FI】
   H02J7/00 303B
   F03D1/02
   H02P9/00 F
   H02J7/34 J
   H02J3/32
   H02J3/38 160
【請求項の数】20
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2017-538972(P2017-538972)
(86)(22)【出願日】2016年1月26日
(65)【公表番号】特表2018-506944(P2018-506944A)
(43)【公表日】2018年3月8日
(86)【国際出願番号】EP2016051550
(87)【国際公開番号】WO2016120260
(87)【国際公開日】20160804
【審査請求日】2017年11月7日
(31)【優先権主張番号】102015201431.2
(32)【優先日】2015年1月28日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】512197272
【氏名又は名称】ヴォッベン プロパティーズ ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】WOBBEN PROPERTIES GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100105050
【弁理士】
【氏名又は名称】鷲田 公一
(72)【発明者】
【氏名】ビークマン アルフレート
【審査官】 赤穂 嘉紀
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭59−176473(JP,A)
【文献】 欧州特許出願公開第02236821(EP,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0230689(US,A1)
【文献】 特開2009−036210(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0108582(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0197704(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 3/00−7/12
H02J 7/34−7/36
H02P 9/00
F03D 1/00−80/80
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気供給グリッド(422)に電力を供給するために用意された、ロータ・ブレード(304)および発電機(406)を備えた空気力学的ロータ(106)ならびに動作装置(P)もそれぞれ有する、複数の風力タービン(402)を動作させる方法であって、前記発電機(406)、整流器(408)、DCリンク(410)及びインバータ(414)が前記電気供給グリッド(422)に前記電力を供給するために提供されており、
前記風力タービン(402)が互いに電力を供給することを可能にするために、前記発電機(406)によって生成された電力は、前記整流器(408)によって整流され、結果として生じた直流は、ローカルDC電圧システム(404)を付加的に提供する前記DCリンク(410)へ渡され、
前記インバータ(414)は、前記DCリンク(410)から交流電流を生成し、この交流電流は、ACファームシステム(416)と、グリッド給電点(420)における変圧器(418)とを経由して、前記電気供給グリッド(422)へ供給され、
前記電気供給グリッド(422)からの切断は、断路器(417、424)によって達成可能であり、
前記ローカルDC電圧システム(404)を介して互いに接続された前記複数の風力タービン(402)の1つが破損することを、前記風力タービン(402)のロータを回転動作させ続けることによって防ぐために、
前記風力タービン(402)は、前記風力タービン(402)が前記電気供給グリッド(422)に接続されていない間にも動作させられることと、
前記風力タービン(402)のうちの少なくとも1つが、
電力を生成し、前記風力タービン自体の動作装置(P)に供給を行うために現在必要とするよりも多くの電力を現在生成している場合、前記風力タービン(402)を接続している前記ローカルDC電圧システム(404)へ前記電力を供給すること、および
前記風力タービン自体の動作装置(P)に供給を行うために現在必要とするよりも少ない電力を現在生成している場合、前記風力タービンの動作装置(P)に、前記ローカルDC電圧システム(404)からのエネルギーが完全にまたは部分的に供給されることと
を含む、方法。
【請求項2】
前記風力タービンの周囲の大気湿度が記録されることと、
アイドリング時間の間、前記風力タービンが、アイドリングモードで動作させられることと、
前記アイドリング時間より長い待機時間の経過後、前記風力タービンが、その動作装置を動作させるために前記風力タービンが必要とするよりも少ない電力をなお生成することができる場合、前記アイドリングモードでの動作が繰り返されることと、
前記待機時間および/または前記アイドリング時間が、前記記録された大気湿度に基づいて設定されること、を含み、
前記アイドリングモードは、前記ロータ・ブレードが風に対して起動角度(α)に調整されるモードである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
吹いている風の強さが、前記風力タービンが備える動作装置が必要とする電力を前記風力タービンが生成できる強さ以上である場合、前記ロータを回転させるとともに電力を生成させ、生成した前記電力を前記動作装置に供給し、生成した前記電力の余剰を前記ローカルDC電圧システムに供給し、且つ、
吹いている風の強さが、前記動作装置が必要とする電力を前記風力タービンが生成できる強さ未満である場合、前記ローカルDC電圧システムから前記動作装置に電力を供給し、前記動作装置を動作させるとともに前記ロータを回転させる、
請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
記風力タービン(402)が、それらの動作装置(P)を動作させるために前記風力タービン(402)が必要とするよりも少ない電力を生成することができる場合、前記風力タービン(402)も動作させられる請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
エネルギー貯蔵装置が、前記ローカルDC電圧システム、および少なくとも1つの風力タービン提供され、前記エネルギー貯蔵装置からのエネルギーを、その/それらの動作装置に完全にまたは部分的に供給するために使用する、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記風力タービン(402)のうちの少なくとも1つが、前記ロータ(106)が弱風で十分に起動することができる、風に対する起動角度(α)に前記ロータ・ブレード(304)が調整される、アイドリングモードで動作させられるために用意されており、それぞれの前記風力タービン(402)は、の動作装置を動作させるために前記風力タービン(402)が必要とするよりも少ない電力を生成することが可能である場合、起動後に前記起動角度で動作を継続される、請求項1〜のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記起動角度(α)が、風の影響を全く受けない方向にロータ・ブレードが向けられているフェザーリング位置の角度(α)と、前記ロータ・ブレード(304)が最適な角度となる部分負荷動作モード用の部分負荷角度(α)または中間部分負荷角度との間にある、請求項に記載の方法。
【請求項8】
前記ローカルDC電圧システム(404)が、少なくとも中間電を有し、および/または、前記風力タービン(402)のうちの少なくとも1つが、リンク電圧を備えたDCリンク(410)を備えたインバータ(414)を有し、前記ローカルDC電圧システム(404)が、前記リンク電圧の少なくとも2倍の電を有し、および/または、前記DC電圧システム(404)が、前記DCリンク(410)と結合される、請求項1〜のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記発電機(406)が電力を生成するためにスイッチをオンにされるカットイン風速が、この風により前記風力タービン(402)を動作させるために前記動作装置によって使用されるよりも少ない電力が生成されるように、低い値に設定される、請求項1〜のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
電圧が、前記電圧を規制することによって、前記ローカルDC電圧システム(404)においてできる限り一定に維持され、貯蔵装が、記ローカルDC電圧システム(404)に結合され、前記電圧の前記規制を実行または支援するために、一時的に前記ローカルDC電圧システム(404)へ電力を伝えるために、または前記ローカルDC電圧システム(404)から電力を受け取るために使用される、請求項1〜のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記風力タービン(402)のうちの少なくとも1つの動作装置が、前記風力タービン(402)またはその一部を乾燥させ、または乾燥した状態に維持するための熱を生成するように動作させられる、請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
ウィンド・ファーム(400)であって、複数の風力タービン(402)と、ローカルDC電圧システム(404)とを備え、前記ローカルDC電圧システム(404)は、前記風力タービン(402)と接続され、前記風力タービン(402)のうちの少なくとも1つからの電力を受け取り、前記電力をバッファリング貯蔵するために、および/または、前記風力タービン(402)の動作装置を動作させるべく前記風力タービン(402)のうちの少なくとも1つに前記電力を提供するために用意され、前記発電機(406)、整流器(408)、DCリンク(410)及びインバータ(414)が前記電気供給グリッド(422)に前記電力を供給するために提供されており、
前記風力タービン(402)が互いに電力を供給することを可能にするために、前記発電機(406)によって生成された電力は、前記整流器(408)によって整流され、結果として生じた直流は、前記ローカルDC電圧システム(404)を付加的に提供する前記DCリンク(410)へ渡され、
前記インバータ(414)は、前記DCリンク(410)から交流電流を生成し、この交流電流は、ACファームシステム(416)と、グリッド給電点(420)における変圧器(418)とを経由して、前記電気供給グリッド(422)へ供給され、
前記電気供給グリッド(422)からの切断は、断路器(417、424)によって達成可能であり、
前記ローカルDC電圧システム(404)を介して互いに接続された前記複数の風力タービンの1つが破損することが、前記風力タービンのロータを回転動作させ続けることによって防がれる、ウィンド・ファーム(400)。
【請求項13】
アイドリング時間の間、前記風力タービンが、アイドリングモードで動作させられ、
前記アイドリング時間より長い待機時間の経過後、前記風力タービンが、その動作装置を動作させるために前記風力タービンが必要とするよりも少ない電力をなお生成することができる場合、前記アイドリングモードでの動作が繰り返され、
前記待機時間および/または前記アイドリング時間が、記録された大気湿度に基づいて設定され、
前記アイドリングモードは、前記ロータ・ブレードが風に対して起動角度(α)に調整されるモードである、請求項12に記載のウィンド・ファーム(400)。
【請求項14】
吹いている風の強さが、前記風力タービンが備える動作装置が必要とする電力を前記風力タービンが生成できる強さ以上である場合、前記ロータを回転させるとともに電力を生成させ、生成した前記電力を前記動作装置に供給し、生成した前記電力の余剰を前記ローカルDC電圧システムに供給し、且つ、
吹いている風の強さが、前記動作装置が必要とする電力を前記風力タービンが生成できる強さ未満である場合、前記ローカルDC電圧システムから前記動作装置に電力を供給し、前記動作装置を動作させるとともに前記ロータを回転させる、
請求項12または13に記載のウィンド・ファーム(400)。
【請求項15】
前記ローカルDC電圧システム(404)には、電気エネルギーを貯蔵するためのエネルギー貯蔵装置(426)が存在する、請求項12から14のいずれか一項に記載のウィンド・ファーム(400)。
【請求項16】
請求項1〜11のうちの少なくとも一項によって提供される方法によって動作させられるように用意された、請求項12から15のいずれか一項に記載のウィンド・ファーム(400)。
【請求項17】
請求項1216のいずれか一項に係るウィンド・ファーム(400)において配置され、動作するように用意された風力タービン(402)。
【請求項18】
調整可能なロータ・ブレード(304)を備えたロータ(106)を備える風力タービン(402)を動作させるための方法であって、
前記風力タービン(402)は、カットイン風速超、定格風速未満の風速である弱風において、前記風力タービン(402)がその動作装置を動作させるために十分な電力を生成し、前記ロータ・ブレード(304)が部分負荷角度(α)に設定される部分負荷動作モードにおいて動作するように用意されることと、
前記風力タービンは、前記ロータ・ブレードが風に対して起動角度(α)に調整されるアイドリングモードで動作するように用意され、前記起動角度(α)は、前記部分負荷角度(α)よりもフェザーリング位置の角度(α)に近く、前記起動角度(α)において、前記ロータ(106)は、弱風において、特に、前記カットイン風速をさらに下回る弱風において、十分に起動することができることと、
それぞれの前記風力タービン(402)は、の動作装置を動作させるために前記風力タービン(402)が必要とするよりも少ない電力を生成することができる場合、前記アイドリングモードでの、または前記起動角度(α)での動作を継続させられることと、
前記風力タービンの周囲の大気湿度が記録されることと、
アイドリング時間の間、前記風力タービンが、前記アイドリングモードで動作させられることと、
前記アイドリング時間より長い待機時間の経過後、前記風力タービンが、その動作装置を動作させるために前記風力タービンが必要とするよりも少ない電力をなお生成することができる場合、前記アイドリングモードでの動作が繰り返されることと、
前記待機時間および/または前記アイドリング時間が、前記記録された大気湿度に基づいて設定されること
を含む、方法。
【請求項19】
前記風力タービン(402)は、電力が生成されない状態では、前記アイドリングモードで恒久的に動作させられる、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
請求項1819のいずれか一項によって提供される方法によって動作させられる、調整可能なロータ・ブレード(304)を備えたロータ(106)を備える風力タービン(402)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の風力タービンを動作させるための方法、特に、ウィンド・ファームを動作させるための方法に関する。本発明は、複数の風力タービンの集合、特に、ウィンド・ファームにも関する。本発明は、風力タービン、および風力タービンを動作させるための方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
風力タービンが知られている。風力タービンは、風から電気エネルギーを生成し、この電気エネルギーを電気供給グリッドへ供給する。エネルギーのうちの一部は、風力タービンの動作装置を動作させるために、風力タービンが自ら必要とする。これは、風力タービンのタイプにもよるが、風力タービンを風へ向けるためにヨー駆動装置を動作させること、風に対するロータ・ブレードの迎え角を変化させるためにピッチ駆動装置を動作させること、発電機に励磁力を供給すること、例えばロータ・ブレードを加熱するためなどに、加熱装置を動作させることも、風力タービンの制御装置に電力供給することも含む。
【0003】
風力タービンが、通常動作を始め、電力を生成し、その電力を電気供給グリッドに供給するとすぐに、風力タービンは、風力タービン自体への上記の供給を実行するために電力を使用することができ、かつ、グリッドに電力を供給することもできる十分な電力を生成する。風力タービンが、このための十分な電力を生成することができない場合、特に、風が不十分な場合は常に、風力タービンは、通常はスイッチをオフにされる。その結果、風力タービンは、事実上、風力タービン自体の動作のために電力を必要としない。大抵、そのときには、例えば、進入灯を動作させるためおよび待機モードのために必要な、小さい電力がなお必要とされることがある。
【0004】
しかしながら、そのような風力タービンの動作を再開させることは、風力タービンがそのために電気供給グリッドからの電力を必要とする場合に、特に問題となり得る。この理由は、そのような電力をグリッドから取り出すことは非常にコストがかかり得るからである。
【0005】
特許文献1は、この主題に既に取り組んでいる。この文献は、特に、ウィンド・ファームを再起動させる場合に、どのように電力供給を達成するかに関して、いくつかの提案を行っている。しかしながら、いくつかの問題点、例えば、弱風の際にどうするかなどは、未解決のままである。
【0006】
特に、ある持続期間にわたって風があまりに弱いときに、風力タービンを動作させず、結果として、停止させているそのような状況に起因して、風力タービンが困難な状況になり得る場合には、さらなる問題が生じ得る。そのような問題は、少なくとも一時的に電気供給グリッドへの接続が存在しない場合にも発生し得る。このことは、例えば、供給グリッド内の障害、特に停電が理由で、接続が途切れた場合にも常に当てはまり得る。そのような切断は、風力タービンの通常動作を阻害し、好ましくない休止時間をもたらすことがある。換言すれば、ここにも、タービンが破損する危険性がある。
【0007】
ドイツ特許商標庁は、本出願に関連する優先権出願において、以下の先行技術、すなわち、特許文献1、特許文献2、特許文献3および特許文献4を調査済みである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第8,108,079号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2009/0230689号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2013/0184884号明細書
【特許文献4】国際公開第2009/082326号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、本発明は、前述の問題のうちの少なくとも1つに対処するという目的に基づく。特に、複数の風力タービンにエネルギーを供給することに対する解決策、とりわけ、引用されている特許文献1が提案する内容を補足または改良することが提案される。少なくとも、これまでに知られているものに対する代替的な解決策が提供される。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明によれば、請求項1によって提供される方法が提案される。したがって、提案されるものは、電気供給グリッドに電力を供給するために用意された、ロータ・ブレードおよび発電機を備えた空気力学的ロータならびに動作装置もそれぞれ有する、複数の風力タービンを動作させる方法であって、風力タービンは、風力タービンが電気供給グリッドに接続されない間にも動作させられることと、風力タービンのうちの少なくとも1つが、電力を生成し、その風力タービン自体の動作装置に供給を行うために現在必要とするよりも多くの電力を現在生成している場合、風力タービンを接続しているローカルDC電圧システムへ電力を供給すること、および/または、その風力タービン自体の動作装置に供給を行うために現在必要とするよりも少ない電力を生成している場合、その風力タービンの動作装置には、ローカルDC電圧システムからのエネルギーが完全にまたは部分的に供給されることとを含む方法である。
【0011】
したがって、本方法は、ローカルDC電圧システムによって接続される少なくとも2つの風力タービンに基づく。この点で、本方法は、特に、ウィンド・ファームを動作させることにも関連する。しかしながら、原則として、本方法は、それを上回るものともなり得る。この理由は、複数の風力タービンがローカルDC電圧システムにより接続され、他の点ではウィンド・ファームを形成しないという可能性を、本方法が含むからである。本方法は、ウィンド・ファームの風力タービンのすべてがローカルのDC電圧システムに接続されるわけではない、前記ローカルDC電圧システムを経由して接続されるウィンド・ファームの複数の風力タービンの動作にも関連し得る。しかしながら、好ましくは、本方法は、ウィンド・ファームの動作に関連する。
【0012】
したがって、本方法は、風力タービンが電気供給グリッドに接続されない間でも、風力タービンを動作させる場合に基づく。本方法は、この場合から進展し、風力タービンのうちの少なくとも1つが、それでもなお電力を生成し、その瞬間に、その風力タービンが、それ自体の動作装置に供給を行うために現在必要とするよりも多くの電力を現在生成している場合、ローカルDC電圧システムに電力を供給する。
【0013】
付加的に、または代替的に、電気供給グリッドに接続されていないこの状態の場合に、風力タービンのうちの少なくとも1つが、その風力タービン自体の動作装置に供給するのに現在必要な電力よりも少ない電力を現在生成しているとき、その風力タービンの動作装置に、ローカルDC電圧システムからのエネルギーを完全にまたは部分的に供給することが提案される。これは、風力タービンが、それ自体が必要とするエネルギーの一部を生成し、ローカルDC電圧システムからは補完的な部分のみを取り出すことも意味し得る。したがって、十分な電力より大きい電力を生成している風力タービンは、一部をその風力タービン自体への供給に使用し、その残りをローカルDC電圧システムに供給する。
【0014】
特に有利には、これにより、ある風力タービンが別の風力タービンの余剰電力またはエネルギーを使用することができるという点で、風力タービンは互いに支援することが可能になる。そのようなカップリングは、DC電圧システムにより達成される。
【0015】
風力タービンが互いに供給を行うそのような方法は、DC電圧システムによって特に良好に達成され得ることが、特に認識されている。これは、フェーズ位置の確保を含めて、周波数の同期に注意を払う必要がないことを含む。特に、供給グリッドへ供給を行うめの、および/または発電機を起動するための周波数インバータを有する、多くの風力タービンが、少なくとも1つのDCリンクまたは他の内部DC回路を有する。また、このローカルDC電圧システムの使用により、交流電流で動作する電気供給グリッドへの電気供給からの良好な分離の達成が可能になる。
【0016】
バッテリまたは他のエネルギー貯蔵装置の使用は、エネルギー貯蔵装置がDC電圧で動作する場合であっても、DC電圧によって特に有利に実現できる。これも、ローカルDC電圧システムの提案された使用によって達成され得る。
【0017】
他の利点は、さらなる実施形態に関連して、以下の本文において明らかになる。
【0018】
本方法は、卓越風状態であるが故に、風力タービンの動作装置を動作させるために風力タービンが必要とする電力よりも少ない電力しか風力タービンが生成できない場合にも、風力タービンが動作する、具体的には、スイッチがオフにされないという事実において、特に優れている。これは、弱風の場合に特に当てはまるが、他の場合にも当てはまる。例えば、いくつかの場合には、不具合が理由となり得る。この場合には、それでもなお風力タービンを動作させ、風力タービンがこの動作を可能にするための付加的なエネルギーを必要とするという結果を伴うことが提案される。しかしながら、時に、そのような動作は、例えば、より強い風が近々期待される場合、短期間になり得ることもある。しかしながら、いずれにしても、このような提案される動作は、タービンが破損するという上記リスクの低減のために使用することができる。これは、ローカルDC電圧システムによって提供されている、付加的に必要とされるエネルギーまたは電力によって達成される。換言すれば、エネルギーまたは電力は、比較的問題なく提供され得る。
【0019】
ここで必要とされるエネルギーは、例えば、別のタービンによって提供されてもよく、この別のタービンは、例えば、そのタイプによって、または風に対するその瞬間のより好ましい位置の結果として、余剰エネルギーまたは電力を生成することができる。しかしながら、好ましくは、エネルギー貯蔵装置がローカルDC電圧システムにおいて提供され、少なくとも1つの風力タービンが、その動作装置にエネルギーを完全にまたは部分的に供給するために、エネルギー貯蔵装置からのエネルギーを使用することが提供される。適切な場合、風力タービンのすべてが、それらの動作装置に、エネルギー貯蔵装置からのエネルギーを完全にまたは部分的に供給することも、ここでは可能である。
【0020】
バッテリとして形成され得る、そのようなエネルギー貯蔵装置には、より多くのエネルギーが対応して利用可能であるような時に、特に、対応して強い風が存在する場合に、エネルギーが供給され得る。特に、風力タービンがグリッドから切断されている間に、風力タービンがそれら自体に必要とするよりも大きい電力が風力タービンによって生成される場合は常に、この余剰電力またはエネルギーは、エネルギー貯蔵装置を充電するために使用される。エネルギー貯蔵装置の充電も、タービンがグリッドに接続されている場合は常に、有利となり得る。定格電力が生成され得るが、グリッドのオペレータによる条件に基づいて、グリッドに供給されるこの電力の量だけ、低減され得る。
【0021】
したがって、エネルギー貯蔵装置は、単にバッテリと称され得る、バッテリ群の形式を取ってもよく、または、さもなければ、例えば、電気エネルギーを貯蔵のために別の形式のエネルギーに変換するエネルギー貯蔵装置、例えば、水素ガスもしくは天然ガス(具体的には、メタン)などの形式を取ってもよい。
【0022】
1つの実施形態によれば、風力タービンのうちの少なくとも1つを、アイドリングモード(風に対する起動角度にロータ・ブレードが調整され、弱風下でもロータが十分に起動することができるモード)で動作させるために用意し、卓越風状態であるが故にその動作装置を動作させるために風力タービンが必要とするよりも少ない電力しか生成することができない場合、それぞれの風力タービンを起動後に起動角度で動作させ続けることが提案されている。
【0023】
アイドリング動作モードとは、風によって駆動される空気力学的ロータがゆっくりとわずかな力で回転するようなモードである。対応して、わずかな電力が生成され、または電力が全く生成されない。この場合に、風力タービンを起動するのに特によく適しており、特に、アイドリング動作モードを特徴づけることができる起動角度が、設定される。したがって、起動角度は、空気力学的ロータが静止しており、風力タービンのそのヨーイング位置が風に向けられている状況を対象とする。次いで、このように設定された空気力学的ロータに対して弱風が作用した場合、空気力学的ロータが回転し始めるためには、動き始めのトルクが特に必要とされる。空気力学的ロータが回転し始めるとすぐに、ロータ・ブレードにおける入射流条件が変化する。なぜならば、入射流角度は、風向及び風速と、ロータ・ブレードの動作によって方向が決まる入射流とからベクトル的に構成されるからである。それ故、実際のまたは実質的な入射流角度は、結果として、空気力学的ロータが回転し始めた途端に、著しく変化する。それでもなお、1つの実施形態によれば、起動角度を変更しないままにすること、または、少なくとも、部分負荷動作モードの通常の角度まで起動角度を変化させないことが提案される。これにより、空気力学的ロータは回転するが、低速かつ小さい力で回転するという効果が達成される。これにより、空気力学的ロータの停止が回避されるという効果が特に達成される。それと同時に、それぞれの風力タービンの動作装置を動作させるために使用され得る低い電力を生成することが可能である。動作装置を動作させるために必要なさらなる電力は、ローカルDC電圧システムから取得され得る。
【0024】
したがって、電気供給グリッドに電力を供給することができない場合であっても、少なくとも1つの風力タービンを動作させることが、ここで提案される。起動角度の使用は、ここではあまり多くの電力を生成することはできないが、その代わりに、起動角度の使用、特に保持は、風が再び弱まらない限り、風力タービンが静止したままに留まらないという効果を達成することを意味する。したがって、本提案によって、小さいが非常に信頼できる、空気力学的ロータの回転が達成される。高いエネルギー収量は、重要ではなく、必要とされるさらなる動作エネルギーは、ローカルDC電圧システムによって提供され得る。
【0025】
起動角度が、風の影響を全く受けない方向にロータ・ブレードが向けられているフェザーリング位置の角度から、ロータ・ブレードが最適な角度となる部分負荷動作モード用の部分負荷角度または中間部分負荷角度の間にある場合、特に、起動角度が、約20〜40°、具体的には約30°であってフェザーリング位置の角度よりも小さい、および/または、約40〜60°、具体的には約50°であって部分負荷動作モード用の部分負荷角度または中間の部分負荷角度よりも大きい場合に、特に有利である。
【0026】
したがって、部分負荷角度からフェザーリング位置の範囲内の起動角度は、特に有利に選ばれる。フェザーリング位置では、風力タービンは、部分負荷角度における場合と同様に、回転し始める見込みがなく、したがって、これらの2つの極端な位置の間にあり、かつ、これらの2つの極端な位置と著しく異なる、具体的には、少なくとも10°異なる角度が、起動角度として選ばれる。
【0027】
ローカルDC電圧システムは、好ましくは、中間電圧を有し、中間電圧は、具体的には、1200V〜5kVの範囲内にある。付加的に、または代替的に、風力タービンのうちの少なくとも1つは、リンク電圧を有するDCリンクを備えたインバータを有し、リンク電圧は、ほぼローカルDC電圧システムの電圧レベルを有する。付加的に、または代替的に、ローカルDC電圧システムは、DCリンクと結合される。特に、DCリンクとローカルDC電圧システムとの間に直接結合が存在する場合、約700Vの電圧が双方に提供される。したがって、DCリンクとローカルDC電圧システムとの間のこの直接結合により、単純なカップリングの可能性が得られる。1200V〜5kVの電圧の使用により、ローカルDC電圧システムに電力を供給するための昇圧コンバータ、または電力を取り出すための降圧コンバータを有し得るDCリンクへのカップリングも提供され得る。そのような構成要素も、比較的容易にかつ低コストで、生産し、使用することができる。
【0028】
1つの実施形態によれば、発電機が電力の生成のためにスイッチをオンにされるカットイン速度は、この風により風力タービンを動作させることに関与して、風力タービンの動作装置によって使用されるよりも低い電力が生成されるように、低い値に設定されることが提案される。したがって、この実施形態は、風力タービンの動作を風力タービン自体の保護のために再配置する目的にも役立つ。エネルギーの観点からは、この実施形態は有利ではないが、この実施形態は、長い休止時間に起因する風力タービンへの損傷を防ぐことに役立つ。
【0029】
有利な改善によれば、電圧を規制することによって、ローカルDC電圧システムにおいて電圧をできるだけ一定に保つこと、つまり、この電圧の規制を実行または支援するために、貯蔵装置、特にフライホイールが、好ましくは、ローカルDC電圧システムに結合され、且つ、一時的にローカル・タービン・システムへ電力を伝えるためまたはローカル・タービン・システムから電力を受け取るために使用されることが提案される。
【0030】
ローカルDC電圧システムの電圧の規制により、特に、各風力タービンの視点から、各場合において一定で信頼できる状況を作ることが特に可能になる。電圧降下が発生する1つの考え得る方法は、大量の電力が突然に取り出されることである可能性があり、突然の電圧増加は、供給される電力の突然の増加によって引き起こされ得る。したがって、電圧制御の1つの要点は、短期間、電力またはエネルギーをそれぞれバッファすることである。
【0031】
風力タービンのうちの少なくとも1つの動作装置は、好ましくは、風力タービンまたはその一部を乾燥させるため、または乾燥した状態に維持するために動作装置が熱を生成するように、動作させられる。その結果として、特に、風力タービンを破損から保護する目的のために、風力タービンの動作を設計することが提案される。休止時間に起因する損害を防ぐための、少なくとも空気力学的ロータの低速回転、さらに発電機のロータの低速回転だけでなく、水分、特に結露の回避も、タービンを保護する。これは、特に、タービンまたはその一部を加熱することによって、達成され得る。この点で、グリッドに電力を供給することはできない場合であっても、少なくとも同等の電力を生成することが提案される。この場合、風力タービンの発電機および電子装置は、特に、乾燥した状態に維持するべきそうした部分である。乾燥した状態に維持されるべき電子装置は、特に、制御装置、整流器ユニット、および、提供される場合には昇圧コンバータを含むインバータである。
【0032】
本発明によれば、請求項10によって提供されるようなウィンド・ファームも提案される。このウィンド・ファームは風力タービンと共にローカルのDC電圧システムを備える、それは風力タービンと接続され、風力タービンのうちの少なくとも1つからの電力を受け取り、この電力をバッファリング貯蔵するために、および/または、この少なくとも1つの風力タービンの動作装置を動作させるべく風力タービンのうちの1つに電力を提供するために、用意される。そのようなウィンド・ファームは、好ましくは、ローカルDC電圧システム内に、電気エネルギーを貯蔵するためのエネルギー貯蔵装置を有する。そのようなウィンド・ファームは、上述された実施形態のうちの少なくとも1つに係る方法によって動作するように、特に用意される。対応して、ウィンド・ファームは、そのような方法に係る動作のために設計されており、実装のための対応する技術的な手段を有する。
【0033】
本発明によれば、上述された実施形態のうちの少なくとも1つに係るウィンド・ファームとして構成され、動作するように用意される風力タービンも提案される。特に、そのような風力タービンは、ローカルDC電圧システムに接続するための接続手段を有する。
【0034】
本発明によれば、請求項14によって提供されるような方法も提案される。したがって、調整可能なロータ・ブレードを備えたロータを備える風力タービンを動作させるための方法であって、風力タービンは、カットイン風速超、定格風速未満の風速である弱風において、風力タービンがその動作装置を動作させるために十分な電力を生成し、ロータ・ブレードが部分負荷角度に設定される部分負荷動作モードにおいて動作するように用意されることと、風力タービンは、ロータ・ブレードが風に対して起動角度に調整されるアイドリングモードで動作するように用意され、起動角度は、部分負荷角度よりもフェザーリング位置の角度に近く、起動角度において、ロータは、弱風において、特に、カットイン風速をさらに下回る弱風において、十分に起動することができることと、それぞれの風力タービンが、卓越風状態であるが故に、その動作装置を動作させるために風力タービンが必要とするよりも少ない電力を生成することができる場合、アイドリングモードで、または起動角度での動作を継続されることを含む方法が提案される。風力タービンは、通常動作のための十分な風が存在する前に、部分負荷動作未満の範囲において適宜動作させられる。
【0035】
この方法が基礎とする風力タービンも、アイドリングモードで動作させることができる。アイドリング動作モードは、ここでは、ロータ・ブレードが風に対して起動角度に調整されるモードを意味するものと理解される。この起動角度とは、部分負荷角度からフェザーリング位置の角度までの範囲内にある角度である。特に、この起動角度は、前述の実施形態のうちの少なくとも1つに従って説明されたように選択される。
【0036】
この起動角度により、風力タービンは、わずかな風で、つまり、通常の部分負荷動作モードではタービンが動作させられないほどのわずかな風で起動することができる。起動角度は、結果的に、停止中の空気力学的ロータが、非常に弱い風から十分なトルクをなお受け取り、動き始めのトルクを克服することができる設定である。これは、風力タービンの動作装置に供給を行うための十分なエネルギーを提供することができないような弱風であっても、なお可能である。それでもなお、起動角度または同様の角度を保持しながら、このアイドリングモードで風力タービンを動作させ続けることが提案される。これは、このように動作させられる風力タービンが、停止していることに起因して破損することから保護されるという効果を特に達成する。
【0037】
風力タービンは、好ましくは、電力が生成されない状態で、アイドリングモードで恒久的に動作させられる。これは、結果として、風力タービンが一定の運動状態に維持され得る場合には、特に任意のベアリングにとって有利となり得る。非常に低速の運動は、これに十分となり得る。
【0038】
1つの実施形態によれば、風力タービンの周囲の大気湿度が記録され、風力タービンがアイドリング時間にはアイドリングモードで動作させられることが提案される。アイドリング時間より長い待機時間の経過後に、風力タービンが、卓越風状態であるが故に、その動作装置を動作させるために必要とするよりも少ない電力をなお生成することができる場合、アイドリングモードでの動作が繰り返される。また、待機時間および/またはアイドリング時間は、記録された大気湿度に基づいて設定される。具体的には、記録された大気湿度が高ければ高いほど、アイドリング時間が長くなるように選ばれ、および/または、記録された大気湿度が高ければ高いほど、待機時間が短くなるように選ばれる。
【0039】
これにより、大気湿度が高い場合には、アイドリング動作モードが特に長い時間または特に頻繁に実行されることが可能になり、それによって、腐食からの保護の改善が特に可能になる。同時に、大気湿度が低い場合には、アイドリング動作モードは低減され、このようにして、アイドリングモードで動作させるための費用も低く維持される。
【0040】
本発明によれば、請求項17によって提供されるような風力タービンも提案される。そのような風力タービンは、調整可能なロータ・ブレードを備えたロータを有し、少なくとも1つの実施形態によって上記に解説された方法によって動作させられる。対応して、非常にわずかな風の場合であっても、破損することから効果的に保護され得る風力タービンが提案される。また、上述したそのような風力タービンおよび方法について、風力タービンを動作させるための電力またはエネルギーを、風から現在得ることができない場合に、ローカルDC電圧システムによって提供することは、有利である。
【0041】
風力タービンがそれ自体に供給を行うための十分な電力を生成することができない、説明されたアイドリング動作モードは、好ましくは、ある期間の間だけ、この自己供給が保証されない動作を含む。これは、特に、風力タービンの起動中の期間、または、例えば、ロータ・ブレードを加熱するために、もしくはロータ・ブレードを調節するためなどに、一時的に付加的な電力を必要とする期間であり得る。換言すれば、風力タービンがそれ自体に供給を行うことができないアイドリング動作モードは、風力タービンがそれ自体に供給を行うことができる期間を含む、そのような動作も含む。なぜならば、先行するまたは後続の一次的な期間が、風力タービン自体が生成することができるよりも多くの電力を必要とする場合、これには一時的により少ない電力が必要とされるからである。
【0042】
好ましくは、アイドリング動作モードでは、電力が生成されない。具体的には、発電機は、このアイドリング動作モードでは、風から電力を生成するために起動されない。これは、外部励磁される同期発電機が使用される場合、外部励磁は与えられないこと、または行われないことを特に意味し得る。
【0043】
したがって、1つの実施形態によれば、発電機が起動されず、風力タービンがこの点では完全には動作させられないが、運動状態に維持されるだけであるアイドリングモードで、風力タービンを動作させることも提案される。
【0044】
本発明は、添付の図面を参照しつつ、例示的な実施形態に基づいて、例として、以下でより詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0045】
図1】風力タービンを概略的に示す斜視図である。
図2】ウィンド・ファームを概略的に示す図である。
図3】風力タービンのブレード位置を例示する図である。
図4】ウィンド・ファームにおける電気接続を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0046】
図1は、タワー102と、ナセル104とを備える風力タービン100を示す。3つのロータ・ブレード108と、スピナー110とを備えたロータ106が、ナセル104上に配置される。動作中に、ロータ106は、風によって回転運動するように設定され、それによって、ナセル104内の発電機を駆動する。
【0047】
図2は、例として、3つの風力タービン100を備えるウィンド・ファーム112を示しており、3つの風力タービン100は、同一であっても、異なっていてもよい。したがって、3つの風力タービン100は、原則として、ウィンド・ファーム112の任意の数の風力タービンを表す。風力タービン100は、それらの電力、つまり、具体的には生成された電気を、電気ファームシステム114を経由して提供する。この場合、個々の風力タービン100のそれぞれの生成された電気または電力は、互いに加算される。また、ファームにおける電圧を上げ、この電圧を給電点118において供給グリッド120に供給する変圧器116が通常は存在しており、この変圧器116は、一般に、PCCとも称される。図2は、ウィンド・ファーム112の簡略化された表現に過ぎず、いかなる制御システムも示していないが、制御システムは勿論存在する。また、例えば、ファームシステム114は、例えば、ほんの1つの他の例示的な実施形態を挙げると、各風力タービン100の出力において変圧器も存在するという点で、異なった設計をされてもよい。
【0048】
図3は、ロータ・ブレード304を備えた風力タービンセル302を平面図において概略的に示す。通常の風力タービンの2つのさらなるロータ・ブレードは、簡単のために、この図3には示されていない。
【0049】
このナセル302は、風へ向けられており、ロータ・ブレード304は、ほぼフェザーリング位置にある。ロータ・ブレード304は、ハブ306上に配置され、その長手方向においてわずかにねじられている。これを示すために、ロータ・ブレード304のハブの近くの部分308およびハブから遠い部分310は、この平面図において概略的に示される。特に、ハブから遠い部分310の方へ向かって、ロータ・ブレード304は、風とほぼ平行に向けられる。このフェザーリング位置は風と平行な破線によって図3に表される。これは、90°=αによって識別される。したがって、これは、90°の角度を有する。この90°の角度は、ロータ・ブレード304がその回転中に通過するロータの平面に関連する。この平面は、対応して0°の値を有し、これは、図3に同様に描かれている。
【0050】
図3は、角度αも示しており、この角度αは、ロータ・ブレード304が部分負荷動作モードにおいて取る角度を示す。この角度は、約6°であり、対応して、ロータ・ブレード304は、この部分負荷位置を取るために、図示されたフェザーリング位置から約84°だけ回転しなければならないであろう。
【0051】
図3には、起動角度αの位置も描かれており、この起動角度αは、ほんの一例を挙げると、約45°である。したがって、このアラインメントは、一方では角度αのフェザーリング位置と、他方では部分負荷角度αの部分負荷動作モードとの間のおよそ中間に位置する。
【0052】
そのため、ロータ・ブレード304が、起動角度αの位置へ変化する場合、ロータ・ブレード304は、風に対して良好なアタック位置を提供し、その結果、ロータ・ブレード304またはハブ306は、非常に弱い風であっても、停止された位置から回転し始めることができる。具体的には、ここで必要とされるであろう動き始めのトルクを超過することができる。ロータ・ブレード304およびハブ306を備えたロータが回転し始めるとすぐに、各ロータ・ブレード304における実際の風の状態は、ロータ・ブレード304の動作に起因して変化する。描かれている起動角度αは、そのときには、もはや最適ではないが、それでもなお、好ましくは、特に比較的長い時間アイドリング動作モードを実現するために、この起動角度を保持することが提案される。
【0053】
図4は、様々な他の風力タービンを表し得る、2つの風力タービン402を備えるウィンド・ファーム400を概略的に示す。
【0054】
風力タービン402は、特に、ローカルDC電圧システム404との相互関係も例示するために、風力タービン402の本質的な電気要素のうちのいくつかだけが表される程度まで概略的に表されている。
【0055】
図4の表現によれば、各風力タービン402は、発電機406を有しており、この発電機406は、電力を生成するための空気力学的ロータ(図示せず)によって駆動される。この電力は、3相である。つまり、この電力は、具体的には、交流電流として生成され、整流器408により整流される。結果として生じた直流は、DCリンク410へ渡される。DCリンクは、この場合には、DCリンク・コンデンサ412を有する。DCリンク・コンデンサ412は、中間電気貯蔵装置またはバッファとしての機能を果たすことができる。各インバータ414のDCリンクにおいて、抵抗器として電力を運び出すために、具体的には、このようにしてDCリンクにおける電圧を制御するために、チョッパー409が各場合に提供され得る。
【0056】
次いで、インバータ414は、DCリンク410から交流電流を生成し、この交流電流は、ACファームシステム416と、例えば、グリッド給電点420における変圧器418とを経由して、電気供給グリッド422へ供給される。例えば、障害の場合に必要とされる、グリッドからの切断は、断路器424によって達成され得る。インバータ414の出力側では、適当な場合には、断路器417によってそれぞれ切断され得る変圧器415が提供され得る。
【0057】
この点で、風力タービン402を備えるウィンド・ファーム400は、説明された要素、つまり、供給グリッド422へ電力を供給するための発電機406、整流器408、DCリンク410およびインバータ414によって、動作させられ得る。
【0058】
したがって、風力タービン402が互いに電力を供給することを可能にするために、図示されたローカルDC電圧システム404をさらに提供することが提案される。さらに、このローカルDC電圧システム404は、電気貯蔵装置426も提供し、この電気貯蔵装置426は、ここでは、バッテリ群として形成され、示される。さらに理想的には、同様の貯蔵装置または異なる貯蔵装置も、提供され得る。カップリングについては、DC電圧システム404におけるローカルな直流電圧を、それぞれの貯蔵装置426における電圧、特に、その接続端子における電圧に適応させるために、DC−DCコンバータ427が、各貯蔵装置426について提供され得る。
【0059】
したがって、このローカルDC電圧システム404は、いわゆるDC−DCコンバータ428を経由して、それぞれのDCリンク410へ結合され得る。このDC−DCコンバータは、双方向に動作し、その結果、DC−DCコンバータは、電力をそれぞれのDCリンク410からローカルDC電圧システム404へ渡すことができ、またはローカルDC電圧システム404から電力を取り出し、この電力をDCリンクに供給することができる。
【0060】
したがって、このDC−DCコンバータは、原則として、電力を伝え、または電力を受け取るための制御手段として使用され得る。しかしながら、同時に、DC−DCコンバータは、ローカルDC電圧システム404へ供給するための電圧増加、または電力がローカルDC電圧システム404から取り出される場合、それがDCリンク410と比較して、対応して高電圧を有するときには、電圧低下も提供し得る。DC−DCコンバータは、2つの要素、つまり、説明された機能または有効な方向ごとの1つの要素によっても実現され得る。
【0061】
したがって、このローカルDC電圧システムの使用により、風力タービン402間で電力を容易に交換することが可能になり、同時に、電力を電気貯蔵装置426から容易に取り出し、またはさもなければ、電力を電気貯蔵装置426に容易に供給することが可能になることは明白である。
【0062】
このローカルDC電圧システム404、および、特にDC−DCコンバータはまた、対応する風力タービン402の電気動作装置に供給を行うために、風力タービン402と電気貯蔵装置426との間で電力を交換することが特に意図される。これを例示するために、象徴的な電源キャビネット430が図示されており、電源キャビネット430には、DCリンク410を経由して電力が供給され得る。同様に、象徴的な目的のために、この電源キャビネット430は、いくつかの電源出力432を有する。これは、例えば、ロータ・ブレードを調整するための駆動装置、ロータ・ブレードの加熱器、または外部励起されるDC発電機への適当な電力の供給などの動作装置が、この電源キャビネット430から、または電源を提供するための別の装置から、供給が行われ得ることを例示することが意図される。この電源キャビネット430は、特に、象徴的な装置として理解されるべきであり、動作装置は、DCリンク410に何らかの他の方法で接続されても、または、例えばDC−DCコンバータ428へ接続されてもよい。電源キャビネットには、好ましくは、無停電電力システムUSV(uninterruptible power system)が存在する。
【0063】
例として解説される2つの風力タービン402にも、内部要素の解説において同じ意味が提供されている。これは、より良い説明のために特に役立ち、実際に、例として表される2つの風力タービン402も、現実では同一であってもよい。ただし、異なる風力タービン、または、同様の特性を有するが、詳細は異なる手段を備えた風力タービンも、使用されてもよい。いずれにしても、2つの風力タービン402の各々について同じ意味を使用することは、いかなる実質的な制限を構成することも意図されていない。
図1
図2
図3
図4