(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明を具体的に説明するために実施例を挙げて説明し、発明に対する理解を助けるために添付の図面を参照して詳細に説明する。しかし、本発明に係る各実施例は様々な形態に変形可能であり、本発明の範囲が、以下で詳述する実施例に限定されるものと解釈してはならない。本発明の各実施例は当業界において平均的な知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。
【0021】
本発明に係る実施例の説明において、各構成要素(element)の「上(上部)又は下(下部)(on or under)」に形成されると記載される場合において、上(上部)又は下(下部)は、2つの構成要素が互いに直接(directly)接触したり、1つ以上の他の構成要素が前記2つの構成要素の間に配置されて(indirectly)形成されることを全て含む。また、「上(上部)又は下(下部)」と表現される場合、一つの構成要素を基準として上側方向のみならず、下側方向の意味も含むことができる。
【0022】
図面において、各層の厚さや大きさは、説明の便宜及び明確性のために誇張されたり、省略されたり、又は概略的に図示されている。また、各構成要素の大きさは実際の大きさを全的に反映するものではない。
【0023】
図1は、一実施例に係るシリコン単結晶インゴットの製造方法が行われるシリコン単結晶成長装置の例示を示した図である。
【0024】
実施例に係るシリコン単結晶成長装置1000は、チャンバ10、シリコン溶融液(SM)を収容するるつぼ30、るつぼの外側に配置されるヒーター20、チャンバ内に配置される熱遮蔽部、シリコン単結晶インゴットの成長のためのシード(図示せず)を固定するためのシードチャック、及びシリコン単結晶インゴットを上方に移動させる引き上げ部(図示せず)を含む。
【0025】
チャンバ10は、内部にキャビティ(cavity)が形成された円筒形状であってもよく、チャンバ10の上部にはプル(Pull)チャンバ(図示せず)が連通して配置されてもよい。
【0026】
チャンバ10内には、シリコン融液(SM)を収容するるつぼ30を配置することができる。るつぼ30は、チャンバ10内の中央領域に配置することができ、全体的に凹んだ容器の形状であってもよい。また、るつぼ30は、シリコン溶融液(SM)と直接接触する石英るつぼ、及び石英るつぼの外面を取り囲んで石英るつぼを支持する黒鉛るつぼからなることができる。
【0027】
るつぼ30の上部にはシードチャックを配置することができる。シードチャックは、シリコン単結晶インゴットを成長させるためのシード(Seed)を固定するためのもので、単結晶インゴットの成長工程で成長したインゴットを上方に引き上げるための引き上げ部を含むことができる。
【0028】
るつぼ30の側面には、るつぼ30に向かって熱を供給するためのヒーター20を配置することができる。ヒーター20は、るつぼ30の外周面と所定間隔離隔してるつぼ30の外側に配置され得、るつぼ30の側部を取り囲むように円筒状に配置することができる。また、チャンバ10の上部には、成長した単結晶インゴットの冷却のための水冷管60がさらに含まれてもよい。
【0029】
単結晶成長装置のチャンバ10内には、ヒーター20で加熱されたるつぼ30の熱を保存するために熱遮蔽部40が配置されてもよい。熱遮蔽部40は、ヒーター20とチャンバ10との間に配置することができ、るつぼ30の上部に配置される上側熱遮蔽部、るつぼ30の側面に配置される側面熱遮蔽部、及びるつぼ30の下側に配置される下側熱遮蔽部を含むことができるが、熱遮蔽部40の配置は、これに限定されるものではない。
【0030】
熱遮蔽部40は、ヒーター20及びるつぼ30で最適の熱的分布を生じさせ、そのエネルギーを最大限損失なしに活用可能なようにする材質と形状で設計することができる。
【0031】
図1に示されたシリコン単結晶成長装置を用いたシリコン単結晶インゴットの製造において、単結晶インゴットは、ネック(Neck)部、ショルダー(Shoulder)部、ボディー(Body)部の順に連続的に成長することができる。
【0032】
実施例に係るシリコン単結晶の製造方法によるとき、ショルダー部を成長させる段階は、ショルダー部の引き上げ速度を第1引き上げ速度から第2引き上げ速度に減少させ、工程温度下降管理値を第1管理値から第2管理値に減少させる第1ステップ、及びショルダー部の引き上げ速度を第2引き上げ速度に維持し、工程温度下降管理値を第2管理値に維持する第2ステップを含むことができる。
【0033】
ショルダー部を成長させる第1ステップは、工程進行時間の経過に伴ってショルダー部の引き上げ速度が次第に減少するように制御され得る。すなわち、成長するショルダー部の高さが増加するほど、ショルダー部の引き上げ速度は減少するものであり得る。
【0034】
また、同時に、ショルダー部の成長の第1ステップにおいて、工程管理温度は連続的に減少することができ、減少する温度の下降管理値は、工程進行時間の経過に伴って減少し得る。
【0035】
ショルダー部を成長させる段階での第2ステップは、ショルダー部の引き上げ速度が一定に維持されるように制御されるステップであってもよい。また、同時に、第2ステップにおいて、工程管理温度は連続的に減少し得るが、減少する温度の下降管理値は一定に維持されるように制御され得る。
【0036】
表1は、ショルダー部の成長工程において、工程進行時間の経過による引き上げ速度及び工程温度下降管理値の変化を示したものである。
【0038】
表1を参照すると、時間は、ショルダー部の成長段階での工程進行時間を示し、温度下降管理値は、ショルダー部の成長段階での温度制御値であって、温度管理値の減少を示す。
【0039】
例えば、ショルダー部の成長工程の進行と同時に35pointsの温度管理値の減少があり、その後、工程時間の経過に伴い、追加的に26points、22points、20pointsに温度管理値の減少が起こり得る。このとき、温度管理値によって制御されたショルダー部工程温度は、時間の経過に伴って下降し続ける。
【0040】
一方、工程管理値の一つである温度管理値は、ショルダー部の成長を制御する装置での温度管理値、すなわち、ATC(Auto Temperature Controller)の温度管理値であってもよく、例えば、1pointsの変化は0.5℃の変化に該当し得る。
【0041】
表1を参照すると、例えば、ショルダー部成長工程の開始部での温度が1800℃であるとき、ショルダー部成長工程の初期には、工程温度管理値の減少が35pointsであり、すなわち、1800℃から17.5℃の温度が下がるように制御することができる。
【0042】
次のステップで26pointsの追加の温度降下がなされ、これは、追加で13℃がさらに下がるように制御されるものであり得る。
【0043】
すなわち、表1の温度下降管理値は、連続的に工程温度を下げる管理値を示すものであり得る。
【0044】
表1において、引き上げ速度は、ショルダー部の引き上げ速度であり得る。
【0045】
ショルダー部で初期の引き上げ速度は、工程進行時間の経過に伴って減少するように制御されるが、一定時間後に引き上げ速度は一定の値に維持されてもよい。
【0046】
例えば、表1を参照すると、ショルダー部成長工程の開始後、36分が経過するまで、ショルダー部の引き上げ速度は0.88mm/minから0.81mm/minに線形的に減少することができる。また、36分以降の成長工程では0.80mm/minに引き上げ速度が維持され得る。
【0047】
表1において、引き上げ速度が減少し、工程温度下降管理値が減少する第1ステップは、工程進行時間から見るとき、24分が経過した時間までのステップであり得る。
【0048】
すなわち、第1引き上げ速度は、引き上げ速度が一定に維持される前までのショルダー部の引き上げ速度で、時間の経過に伴って減少する値であり得、第2引き上げ速度は、一定に維持されるショルダー部の引き上げ速度で、例えば、表1に開示された実施例では、0.80mm/minであり得る。
【0049】
また、工程温度下降管理値の第1管理値は、時間の経過に伴って温度の減少幅が小さくなるように減少する値であってもよく、一定の値に維持される第2管理値は、温度の減少幅が一定に維持される区間の管理値であってもよい。
【0050】
一方、引き上げ速度が第2引き上げ速度に維持され、工程温度下降管理値が第2管理値に維持される、24分以降に行われる成長工程は、ショルダー部成長工程の第2ステップに該当し得る。
【0051】
ただし、表1に開示された引き上げ速度値及び温度の下降管理値は例示に該当し、一実施例のシリコン単結晶成長方法において引き上げ速度及び温度下降管理値は、これに限定しない。
【0052】
表1において、比率は、引き上げ速度を温度下降管理値で割った値であり得る。すなわち、比率は、温度管理値の変化に対する引き上げ速度値であり得る。
【0053】
例えば、温度下降管理値をdelta Tとすると、比率は、(引き上げ速度)/(delta T)に該当し得る。
【0054】
表1の結果を参照すると、工程時間が24分になるまで、温度の変化値に対する引き上げ速度の比率は次第に増加する傾向を示し、24分経過からは、比率は一定に維持される傾向を示す。
【0055】
したがって、表1の実施例では、24分の工程時間までの段階はショルダー部成長工程の第1ステップであり、24分以降の工程時間の段階はショルダー部成長工程の第2ステップに該当し得る。
【0056】
すなわち、ショルダー部の成長は、比率値が次第に増加する第1ステップ、及び比率が一定に維持される第2ステップからなることができる。
【0057】
図2は、時間の経過による比率(引き上げ速度/delta T)値を示したグラフである。
【0058】
すなわち、表1及び
図2の結果を参照すると、第1ステップにおいて、ショルダー部の引き上げ速度に対する工程温度下降管理値の比率は、ショルダー部の高さが大きくなるほど増加し得、例えば、比率は、ショルダー部の高さの増加に伴って線形的に増加することができる。
【0059】
また、一定時間経過後には、ショルダー部成長工程の進行時間に関係なく比率が一定に維持され得る。
【0060】
このとき、比率値が増加した後、一定の値に維持される地点は、ショルダー部の単結晶成長で水平方向への成長が急激に増加する部分であり得、例えば、後述する実施例のシリコン単結晶インゴットにおいて、上部ショルダー部と下部ショルダー部との境界に該当する部分であり得る。
【0061】
上述した実施例のシリコン単結晶インゴットの製造方法においてショルダー部を成長させる段階は、メルトギャップを30mmより大きく、38mmより小さく制御するステップを含むことができる。
【0062】
再び
図1を参照すると、メルトギャップGは、熱遮蔽部40とシリコン溶融液(SM)との間の間隔であってもよい。
【0063】
ショルダー部成長工程において、メルトギャップを制御してショルダー部のエッジ(Edge)の熱分布を制御することができる。例えば、メルトギャップGを30mm〜38mmの範囲に制御することによって、ショルダー部のエッジでの熱応力(thermal stress)を最小化することができる。
【0064】
また、詳細には、メルトギャップは33mm〜35mmに制御することができる。
【0065】
図3は、ショルダー部の熱応力の分布を示した図である。
【0066】
図3の(a)は、メルトギャップが30mmよりも小さい場合のショルダー部での熱応力の分布であり、(b)は、メルトギャップが33mm〜35mmである場合であり、(c)は、メルトギャップが38mmよりも大きい場合のショルダー部での熱応力の分布を示した図である。
【0067】
図3を参照すると、メルトギャップが30mm以下または38mm以上である(a)及び(c)の場合において、ショルダー部のエッジの熱応力値は、それぞれ12.82MPaと11.83MPaで、(b)の場合よりも大きく示され、エッジ部で熱分布が密に示されることがわかる。
【0068】
すなわち、
図3の(b)の場合において、ショルダー部の温度分布が単純になり、熱応力の値も10.15MPaと最も低く示されることがわかる。
【0069】
したがって、メルトギャップGの範囲を30mmより大きく、38mmより小さい範囲に制御することによって、ショルダー部の熱応力を緩和して結晶品質を改善することができる。
【0070】
以下では、上述したシリコン単結晶インゴットの製造方法により製造されるシリコン単結晶インゴットの実施例を、図面を参照して説明し、上述した製造方法で説明した内容と重複する内容は再び説明しない。
【0071】
図4Aは、シリコン単結晶インゴットの構成を簡略に示した図である。
【0072】
図4Aを参照すると、シリコン単結晶インゴットは、ネック部100、ショルダー部110及びボディー部120を含むことができる。すなわち、単結晶インゴットは、図示のように、ネック(neck)から成長を始め、ショルダー(shoulder)を経てボディー(body)の順に成長が行われる。
【0073】
図4Aにおいて、ネック部とショルダー部との境界105から、単結晶の直径が増加することができ、ショルダー部とボディー部との境界116から、一定の直径のシリコン単結晶が成長することができ、ショルダー部における上部ショルダー部111と下部ショルダー部115との境界113を基準としてショルダー部の側面の形状が変わり得る。
【0074】
図4Bは、
図4Aに示されたシリコン単結晶インゴットでのショルダー部110を簡略に示した図である。例えば、
図4Bは、ショルダー部を引き上げ方向に切断した断面図に該当し得る。
【0075】
図4Bを参照すると、ショルダー部110は上部ショルダー部111及び下部ショルダー部115を含むことができる。
【0076】
図4Bの実施例において、ショルダー部は、側面111aが直線をなし、ボディー部の方向に行くほど直径が漸増する上部ショルダー部111、及び上部ショルダー部から延び、側面115aが膨らんだ形状の曲面をなし、ボディー部の方向に行くほど直径が漸増する下部ショルダー部115を含むことができる。
【0077】
また、上部ショルダー部の高さAは、ショルダー部の全体の高さBの20%〜30%であってもよい。
【0078】
図4Bにおいて、上部ショルダー部111の断面形状は、ショルダー部の側面である2つの辺が対称となる三角形状であってもよく、上部ショルダー部は円錐形状に製造することができる。
【0079】
上部ショルダー部111では、ショルダー部の成長に伴ってショルダー部の直径が増加することができ、例えば、上部ショルダー部でのショルダー部の直径は、ショルダー部の高さの増加に伴って線形的に増加することができる。
【0080】
すなわち、上部ショルダー部での側面111aは、直線をなすように成長することができる。
【0081】
下部ショルダー部115でも、ショルダー部の高さが大きくなるほど直径が漸増することができる。
【0082】
また、下部ショルダー部の側面115aは、上方に凸状の曲面をなすことができる。
【0083】
図4Bにおいて、上部ショルダー部と下部ショルダー部とを区分する境界113は、シリコン単結晶において水平方向の結晶が成長する部分であり得る。
【0084】
すなわち、シリコン単結晶の成長方向が{100}方向であるとき、上部ショルダー部111と下部ショルダー部115とを区分する境界113は、シリコン単結晶において{111}面の成長が始まる部分であり得る。
【0085】
図4Bにおいて、ショルダー部全体の高さBに対する上部ショルダー部の高さAは20%〜30%となり得、このような上部ショルダー部の高さの割合は、上述したシリコン単結晶インゴットの製造方法において第1ステップの製造段階で制御することができる。例えば、引き上げ速度を低下させ、温度下降管理値を次第に低くする第1ステップのショルダー部製造工程の進行時間に応じて上部ショルダー部の高さが制御され得る。
【0086】
図4Bにおいて、下部ショルダー部の側面の曲率は、上述したシリコン単結晶インゴットの製造方法において第2ステップのショルダー部成長段階で制御することができる。
【0087】
例えば、温度下降管理値に対する引き上げ速度の比率が一定に維持されるように制御する段階で、下部ショルダー部が、凸状の曲面をなして形成され得る。
【0088】
図5A及び
図5Bは、ショルダー部の形状による熱応力の分布を示した図である。
【0089】
図5Aは、ショルダー部の引き上げ速度のみを制御する従来のシリコン単結晶の製造方法によって製造されたショルダー部の形状及び熱応力の分布を示したものである。
【0090】
図5Aにおいて、ショルダー部の形状は、側面の傾斜が変わる地点(点線)を基準として上部ショルダー部111と下部ショルダー部115とに区分することができ、上部ショルダー部の側面111aと下部ショルダー部の側面115aは両方とも、直線形状を有することができる。
【0091】
また、
図5Aの形状を有するショルダー部の直径が160mmに成長したときのショルダー部のエッジの熱応力値は15.43MPaを示す。
【0092】
図5Bは、上述したシリコン単結晶の製造方法の実施例によって製造された一実施例のシリコン単結晶インゴットのショルダー部の形状及び熱応力の分布を示した図である。
【0093】
図5Bにおいて、ショルダー部は、上部ショルダー部111と下部ショルダー部115とに区分することができ、下部ショルダー部の側面115aは凸状の曲面をなすことができる。また、ショルダー部の直径が160mmに成長したときのショルダー部のエッジの熱応力値は10.87MPaを示す。
【0094】
すなわち、ショルダー部成長工程でショルダー部の引き上げ速度及び温度管理値の制御を通じて製造された
図5Bの一実施例のショルダー部の場合、曲率を有する下部ショルダー部を有することができ、また、熱応力値も、従来のショルダー部の形状を有する
図5Aの場合に比べて減少することがわかる。
【0095】
ショルダー部において下部ショルダー部の側面をなす曲面の曲率半径Rは、下記の通りである。
【0097】
ここで、Dは、ショルダー部から延びて成長するボディー部の直径に該当する。
【0098】
図6は、一実施例のショルダー部の形状において側面の曲率半径の値を示した図である。
【0099】
ショルダー部の断面形状において両側の側面がなす凸状の曲面115aは、それぞれ異なる中心を有する円の半径Rを曲率半径とする円の円周の一部と重なり得る。
【0100】
すなわち、下部ショルダー部の側面115aは、互いに異なる中心を有する円の円周と一致することができ、このとき、互いに異なる中心を有する円と重なる各側面の曲率半径は同一であってもよい。
【0101】
また、図示していないが、ショルダー部の断面図においてショルダー部の両側面は、一つの中心を有する円の円周の一部分と一致してもよい。
【0102】
図6に示されたショルダー部が、直径が200mmであるボディー部の製造のためのショルダー部である場合、下部ショルダー部の側面115aの曲率Rは195mm〜205mmであってもよい。
【0103】
例えば、ボディー部の直径が200mmより大きくなる場合、下部ショルダー部の曲率は205mmよりも大きくなり得、ボディー部の直径が200mmより小さくなる場合、下部ショルダー部の曲率は195mmよりも小さくなり得る。
【0104】
図7は、ショルダー部の形状を異ならせた場合の熱応力の分布を示した図である。
【0105】
図7において、x軸は、ショルダー部の直径を示すもので、中心である0を基準として両側が対称となるものであり得る。また、
図7のy軸は、ショルダー部の成長長さを示すものである。
【0106】
図7の(a)は、ショルダー部の上部側面111aと下部側面115aが両方とも直線形状を有する場合であり、(b)は、上部側面111aは直線形状であり、下部側面115aは凸状の曲面である場合であり、(c)は、上部側面111aは直線形状であり、下部側面115aは凹状の曲面である場合を示したものである。
【0107】
また、
図7の(a)〜(c)の場合において、ショルダー部全体において上部ショルダー部の高さが占める割合は、それぞれの場合で全て異なり得る。例えば、
図7の(a)及び(c)の場合において、上部ショルダー部のショルダー部全体に対する高さの割合は40%〜50%であってもよく、(b)の場合、上部ショルダー部のショルダー部全体に対する高さの割合は20%〜30%であってもよい。
【0108】
図8は、
図7の(a)〜(c)の場合において、ショルダー部の成長による熱応力の変化値をグラフで示した図である。
【0109】
図8において、x軸は、ショルダー部の直径(shoulder diameter)に該当し、y軸は、熱応力(Thermal stress)値に該当する。
【0110】
“REF”で表現された(a)の場合には、ショルダー部の直径が増加するにつれて熱応力も次第に増加する傾向を示しているが、“CASE 1”の(b)は、ショルダー部の直径が100mmになる地点までは、(a)の場合よりも熱応力が高く示されるが、100mmから150mmの区間では、熱応力値がほとんど上昇せずに維持され、(a)の場合よりも熱応力が減少した結果を示す。
【0111】
その一方、“CASE 2”の(c)は、区間全体において熱応力値が最も高く示されることがわかる。
【0112】
したがって、ショルダー部の形状が制御された一実施例のシリコン単結晶インゴットにおいて、ショルダー部の直径が100mm〜150mmの範囲での熱応力は、10MPaより大きく、15MPaより小さくなり得る。
【0113】
例えば、下部ショルダー部の側面が曲率を有するショルダー部の直径が100mm〜150mmの範囲で、ショルダー部のエッジの熱応力値は、10MPaより大きく、12MPaより小さくなり得る。
【0114】
すなわち、
図7及び
図8の結果から、下部ショルダー部の形状が上方に凸状の曲面をなす場合、熱応力を最小にすることができ、高品質の単結晶インゴットの生産が可能であることがわかる。
【0115】
表2は、ショルダー部での有転位化の発生頻度を比較して示したものである。
【0117】
表2を参照すると、ショルダー部の形状を制御しなかった従来のショルダー部の場合、有転位化の発生頻度が0.84回/lot.で示されたが、上述した実施例のように上部ショルダー部の長さの割合及び下部ショルダー部の曲面形状を制御した実施例のショルダー部の場合、0.35回/lot.で有転位化の発生頻度が著しく減少することがわかる。
【0118】
すなわち、実施例の制御されたショルダー部の形状は、有転位化の発生頻度を減少させ、ショルダー部での結晶品質を改善する効果を有することができる。
【0119】
図9は、シリコン単結晶のボディー部での抵抗値の分布を示したグラフである。
【0120】
図9において、比較例は、ショルダー部の成長時に引き上げ速度のみを制御して、ショルダー部の形状を制御せずに成長させた後に成長したボディー部に対する抵抗値である。
【0121】
また、実施例1及び実施例2は、ショルダー部の成長において引き上げ速度と温度下降管理値の比率を調節して、下部ショルダー部の形状を制御して成長させた後に成長したボディー部に対する抵抗値を示したものである。
【0122】
図9において、X軸は、ボディー部の長さに該当する。
【0123】
図9において、“A”区間が、低抵抗値を示す区間であって、良好な抵抗値と判断される領域に該当し、
図9を参照すると、実施例1乃至実施例2の場合、ボディー部の前半にも“A”区間に抵抗値が分布するため、良品のボディー部結晶を得ることができる。
【0124】
しかし、比較例の場合、ボディー部の長さが1400mm以上になるとき、“A”区間に抵抗値が位置し得るため、良質のボディー部を得る収率が低いことがわかる。
【0125】
すなわち、実施例のように上部ショルダー部と下部ショルダー部とに区分し、上部ショルダー部をショルダー部全体の20%〜30%の範囲にし、下部ショルダー部の側面を、曲率を有する凸状の曲面で形成するように制御することによって、ショルダー部の有転位化の程度を低減して、ショルダー部の品質を改善できるだけでなく、以降のボディー部工程でも改善された品質を得ることができる。
【0126】
一実施例のシリコン単結晶インゴットは、アンチモン(Sb)、ヒ素(As)及び赤リン(P)のいずれか1つのドーパントを含むことができる。
【0127】
例えば、シリコン単結晶の製造工程において、アンチモン(Sb)、ヒ素(As)及び赤リン(P)のいずれか1つが、高濃度でシリコン溶融液にドーパントとして追加されてもよく、ドーパントを含むシリコン溶融液から成長したシリコン単結晶は、N−typeの低抵抗単結晶であってもよい。
【0128】
このとき、成長したシリコン単結晶の抵抗値は0.05Ωcm以下であってもよい。
【0129】
すなわち、低抵抗値を有するシリコン単結晶インゴットにおいても、ショルダー部の形状を実施例のように制御する場合、ショルダー部での有転位化の発生を抑制し、高品質のシリコン単結晶を得ることができる。
【0130】
以上、実施例を中心に説明したが、これは単なる例示であり、本発明を限定するものではなく、本発明の属する分野における通常の知識を有する者であれば、本実施例の本質的な特性を逸脱しない範囲で、以上で例示していない様々な変形及び応用が可能であるということが理解されるであろう。例えば、実施例に具体的に示した各構成要素は変形して実施可能である。そして、このような変形及び応用に係る相違点は、添付の特許請求の範囲で規定する本発明の範囲に含まれるものと解釈しなければならない。
【0131】
[産業上の利用可能性]
実施例に係るシリコン単結晶インゴット及びシリコン単結晶インゴットの製造方法は、単結晶の引き上げ速度及び温度条件を同時に変化させることによって、ショルダー部の形状を繰り返し性を持って再現することができるので、産業上の利用可能性がある。