特許第6491778号(P6491778)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社リクルートの特許一覧

<>
  • 特許6491778-分析装置、分析方法及びプログラム 図000002
  • 特許6491778-分析装置、分析方法及びプログラム 図000003
  • 特許6491778-分析装置、分析方法及びプログラム 図000004
  • 特許6491778-分析装置、分析方法及びプログラム 図000005
  • 特許6491778-分析装置、分析方法及びプログラム 図000006
  • 特許6491778-分析装置、分析方法及びプログラム 図000007
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6491778
(24)【登録日】2019年3月8日
(45)【発行日】2019年3月27日
(54)【発明の名称】分析装置、分析方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/10 20120101AFI20190318BHJP
【FI】
   G06Q50/10
【請求項の数】5
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2018-107837(P2018-107837)
(22)【出願日】2018年6月5日
【審査請求日】2018年6月18日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】518135412
【氏名又は名称】株式会社リクルート
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100139066
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】奥山 晃次
【審査官】 木方 庸輔
(56)【参考文献】
【文献】 特開2017−215651(JP,A)
【文献】 特開2013−008233(JP,A)
【文献】 特開2013−238910(JP,A)
【文献】 特開2014−006841(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 − 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のユーザ端末と、コンテンツ提供サイトを前記複数のユーザ端末の各々に提供するコンテンツ提供装置と、前記複数のユーザ端末の各々から前記コンテンツ提供サイトにおける行動内容を示すアクセス情報を収集してデータベースに格納する収集装置と、前記データベースに格納されたアクセス情報の品質を分析する分析装置とを含むアクセス解析システムにおける前記分析装置であって、
前記コンテンツ提供装置から、前記コンテンツ提供サイトで所定の契約が完了した際に生成される契約情報を収集する第1収集部と、
前記収集装置から、前記収集装置が収集したアクセス情報のうち、少なくとも前記所定の契約が完了したユーザの契約情報に該当するアクセス情報を収集する第2収集部と、
前記コンテンツ提供装置から収集した契約情報と、前記収集装置から収集した前記所定の契約が完了したユーザの契約情報に該当するアクセス情報とを比較することで、前記収集装置が収集したアクセス情報の品質を示す指標を算出する比較部と、
を有し、
前記収集装置が収集したアクセス情報の品質を示す指標は、前記収集装置から収集した前記所定の契約が完了したユーザの契約情報に該当するアクセス情報の数を、前記コンテンツ提供装置から収集した契約情報の数で除算することで算出される割合に関する、
分析装置。
【請求項2】
所定の期間における前記収集装置が収集したアクセス情報の品質を示す指標を、ユーザ端末のデバイス種別ごとに示す画面を表示させる表示部、を有する、
請求項1に記載の分析装置。
【請求項3】
前記契約情報には、前記所定の契約が完了した際に払い出される契約IDと前記所定の契約を行ったユーザのユーザIDとが含まれる、
請求項1又は2に記載の分析装置。
【請求項4】
複数のユーザ端末と、コンテンツ提供サイトを前記複数のユーザ端末の各々に提供するコンテンツ提供装置と、前記複数のユーザ端末の各々から前記コンテンツ提供サイトにおける行動内容を示すアクセス情報を収集してデータベースに格納する収集装置と、前記データベースに格納されたアクセス情報の品質を分析する分析装置とを含むアクセス解析システムにおける前記分析装置が行う分析方法であって、
前記コンテンツ提供装置から、前記コンテンツ提供サイトで所定の契約が完了した際に生成される契約情報を収集するステップと、
前記収集装置から、前記収集装置が収集したアクセス情報のうち、少なくとも前記所定の契約が完了したユーザの契約情報に該当するアクセス情報を収集するステップと、
前記コンテンツ提供装置から収集した契約情報と、前記収集装置から収集した前記所定の契約が完了したユーザの契約情報に該当するアクセス情報とを比較することで、前記収集装置が収集したアクセス情報の品質を示す指標を算出するステップと、
を有し、
前記収集装置が収集したアクセス情報の品質を示す指標は、前記収集装置から収集した前記所定の契約が完了したユーザの契約情報に該当するアクセス情報の数を、前記コンテンツ提供装置から収集した契約情報の数で除算することで算出される割合に関する、
分析方法。
【請求項5】
複数のユーザ端末と、コンテンツ提供サイトを前記複数のユーザ端末の各々に提供するコンテンツ提供装置と、前記複数のユーザ端末の各々から前記コンテンツ提供サイトにおける行動内容を示すアクセス情報を収集してデータベースに格納する収集装置と、前記データベースに格納されたアクセス情報の品質を分析する分析装置とを含むアクセス解析システムにおいて、コンピュータを前記収集装置として実行させるためのプログラムであって、
前記コンピュータに、
前記コンテンツ提供装置から、前記コンテンツ提供サイトで所定の契約が完了した際に生成される契約情報を収集するステップと、
前記収集装置から、前記収集装置が収集したアクセス情報のうち、少なくとも前記所定の契約が完了したユーザの契約情報に該当するアクセス情報を収集するステップと、
前記コンテンツ提供装置から収集した契約情報と、前記収集装置から収集した前記所定の契約が完了したユーザの契約情報に該当するアクセス情報とを比較することで、前記収集装置が収集したアクセス情報の品質を示す指標を算出するステップと、
を実行させ
前記収集装置が収集したアクセス情報の品質を示す指標は、前記収集装置から収集した前記所定の契約が完了したユーザの契約情報に該当するアクセス情報の数を、前記コンテンツ提供装置から収集した契約情報の数で除算することで算出される割合に関する、
プログラム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分析装置、分析方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、Webサイトにおけるユーザの行動を解析するためのサービス(例えば、非特許文献1及び非特許文献2)が提供されている。また、Webサイトの提供者は、これらのサービスを利用することで、自身が提供するWebサイトにおけるユーザの行動履歴を解析することが可能になる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】Google Analytics、[online]、[2018年6月5日検索]、インターネット<URL: https://www.google.com/analytics/index.html>
【0004】
【非特許文献2】Adobe Analytics、[online]、[2018年6月5日検索]インターネット<URL: https://www.adobe.com/data-analytics-cloud/analytics.html>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
Webサイト内でのユーザの行動を解析する目的の一つとして、例えばコンバージョン率の向上が挙げられる。コンバージョン率とは、Webサイトを訪問したユーザが最終的にサービスの締結や商品購入といった契約に結び付いたか否かの確率を示す指標である。Webサイトの運営者は、Webサイト内の行動履歴を示すデータを様々な視点で分析することで、コンバージョン率を上げるための様々な施策に繋げている。
【0006】
しかしながら、近年のスマートフォンの普及により、ユーザは、モバイル通信によりWebサイトにアクセスすることが多い。モバイル通信の場合、ユーザの場所によっては通信が不安定になることがあり、Webサイト内の行動履歴を示すデータが十分に収集されない可能性がある。例えば、Webサイトで実際にサービスの契約を行ったユーザの通信状態が不安定である場合、Webサイト内では契約が完了したにも関わらず、契約が完了したことを示すデータが、通信エラー等のためデータ収集用のサーバで受信されず、データ収集用サーバにはサービスの契約が行われたことが記録されないといったケースが生じ得る。また、同様の状況は、モバイル通信に限られず、固定回線によるインターネットに障害が生じた場合等にも生じ得る。このような状況をWebサイトの運営者が把握していない場合、不完全なデータを分析することになってしまい、正しい分析を行うことができない可能性がある。
【0007】
そこで、本発明は、サーバに蓄積されたWebサイト内の行動履歴を示すデータの品質を把握することが可能な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様に係る分析装置は、複数のユーザ端末と、コンテンツ提供サイトを複数のユーザ端末の各々に提供するコンテンツ提供装置と、複数のユーザ端末の各々からコンテンツ提供サイトにおける行動内容を示すアクセス情報を収集してデータベースに格納する収集装置と、データベースに格納されたアクセス情報の品質を分析する分析装置とを含むアクセス解析システムにおける分析装置であって、コンテンツ提供装置から、コンテンツ提供サイトで所定の契約が完了した際に生成される契約情報を収集する第1収集部と、収集装置から、データベースに格納されたアクセス情報のうち、少なくとも所定の契約が完了したユーザの契約情報に該当するアクセス情報を収集する第2収集部と、コンテンツ提供装置から収集した契約情報と、収集装置から収集した所定の契約が完了したユーザの契約情報に該当するアクセス情報とを比較することで、データベースに格納されたアクセス情報の品質を示す指標を算出する比較部と、を有する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、サーバに蓄積されたWebサイト内の行動履歴を示すデータの品質を把握することが可能な技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】行動モニタリングシステムのシステム構成例を示す図である。
図2】ハードウェア構成例を示す図である。
図3】行動モニタリングシステムが行う処理手順の一例を示すシーケンス図である。
図4】契約DB及びアクセス情報DBの具体例を示す図である。
図5】比較処理の具体例を説明するための図である。
図6】管理端末に表示される画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について説明する。なお、各図において、同一の符号を付したものは、同一又は同様の構成を有する。
【0012】
<システム構成>
図1は、行動モニタリングシステムのシステム構成例を示す図である。本実施形態に係る行動モニタリングシステムは、コンテンツ提供サーバ(コンテンツ提供装置)20にアクセスするユーザが利用するユーザ端末10と、ユーザ端末10に所定のコンテンツ提供サイト(例えば旅行予約サイト等)を提供するコンテンツ提供サーバ20と、コンテンツ提供サイト内における行動履歴を示す情報(以下、「アクセス情報」と言う。)を収集する収集サーバ(収集装置)30と、収集サーバ30で収集されたアクセス情報の品質を分析する分析サーバ(分析装置)40と、分析サーバ40による分析結果を参照するための管理端末50とを含む。図1にはユーザ端末10が1つ図示されているが、複数のユーザ端末10が含まれていてもよい。同様に、図1にはコンテンツ提供サーバ20が1つ図示されているが、複数のコンテンツ提供サーバ20が含まれていてもよい。
【0013】
ユーザ端末10は、ユーザが操作する端末であり、スマートフォン、タブレット端末、携帯電話機、パーソナルコンピュータ(PC)、ノートPC、携帯情報端末(PDA)、家庭用ゲーム機器など、通信機能を備えた端末であればあらゆる端末を用いることができる。
【0014】
ユーザ端末10はWebブラウザを備えており、Webブラウザが、コンテンツ提供サーバ20が提供するコンテンツ提供サイトにアクセスすることで、所定のコンテンツをユーザ端末10の画面に表示する。コンテンツ提供サーバ20が提供するコンテンツ提供サイトのHTMLデータには、コンテンツ提供サイト内でのユーザの行動履歴を示すアクセス情報を、収集サーバ30に送信するためのスクリプト(例えばJavaScript(登録商標))が組み込まれている。アクセス情報には、例えば、Webページのページ名、Webページに表示されている文字列、ユーザが選択した項目、ユーザが入力した文字列等など、様々な情報が含まれる。どのようなアクセス情報を、どのようなタイミングで収集サーバ30に送信するのかについては全てスクリプトにより定義されており、Webブラウザは、当該スクリプトを実行することで、アクセス情報を収集サーバ30に送信する。
【0015】
また、ユーザ端末10には、ユーザ端末10の画面にコンテンツ提供サイトを表示するためのアプリケーション(例えば旅行予約を行うためのアプリケーション)がインストールされていてもよい。この場合、当該アプリケーションがコンテンツ提供サーバ20にアクセスすることで、コンテンツ提供サイトをユーザ端末10の画面に表示することになる。当該アプリケーションには、アクセス情報を収集サーバ30に送信するためのプログラムが組み込まれている。どのようなアクセス情報を、どのようなタイミングで収集サーバ30に送信するのかについては全て当該プログラムにより定義されている。当該プログラムは、例えば、Adobe(登録商標) Analytics SDK(Solution Development Kit) 又は Google(登録商標) Analytics SDKであってもよい。
【0016】
ユーザ端末10は、通信部100と、UI(User Interface)部101と、送信部102とを有する。通信部100は、コンテンツ提供サーバ20との間で各種データの送受信を行う。UI部101は、例えばWebブラウザやユーザ端末10にインストールされたアプリケーションであり、ユーザからの操作を受け付ける機能や、ディスプレイに画面を表示させる機能を提供する。送信部102は、Webブラウザ上で実行されるスクリプトにより実現される機能、又はユーザ端末10にインストールされたアプリケーションが提供する機能であり、アクセス情報を収集サーバ30に送信する。
【0017】
コンテンツ提供サーバ20は、コンテンツ提供部200と、契約処理部201と、データベース202とを有する。コンテンツ提供部200は、ユーザ端末10からの要求に応じて、コンテンツDB(Database)202aに格納されているコンテンツ提供サイトのデータをユーザ端末10に送信する。コンテンツ提供サイトのデータとは、例えば、所定のサービスを提供するコンテンツ提供サイトのHTMLデータや、ユーザ端末10にインストールされたアプリケーションにコンテンツを表示させるためのHTMLデータや当該アプリケーションのみが解釈可能な独自フォーマットのデータ等である。
【0018】
契約処理部201は、コンテンツ提供サイトにおいて、所定の契約が完了した際に契約情報を生成して契約DB(Database)202bに格納する。契約情報には、具体的には、契約を一意に特定するための識別子(以下、「契約ID」と言う。)と、契約を行ったユーザを特定するための識別子(以下、「ユーザID」と言う。)と、契約が成立した際のタイムスタンプとが含まれる。
【0019】
収集サーバ30は、受信部300と、格納部301と、データベース302とを有する。受信部300は、ユーザ端末10のWebブラウザで動作するスクリプト又はユーザ端末10にインストールされたアプリケーションから送信されるアクセス情報を受信する。格納部301は、受信部300で受信したアクセス情報をアクセス情報DB302aに格納する。収集サーバ30は、例えば、Adobe(登録商標) Analyticsサーバ、又は、Google(登録商標) Analyticsサーバであってもよい。
【0020】
分析サーバ40は、収集部400と、比較部401と、表示部402と、データベース403とを有する。収集部400は、コンテンツ提供サーバ20から、契約DB202bに格納された契約情報を収集する。また、収集部400は、収集サーバ30から、アクセス情報DB302aに格納されたアクセス情報のうち、コンテンツ提供サイトで所定の契約が完了したユーザの“契約情報に該当するアクセス情報”を収集する。
【0021】
比較部401は、コンテンツ提供サーバ20から収集した契約情報と、収集サーバ30から収集した“契約情報に該当するアクセス情報”とを比較することで、アクセス情報DB302aに格納されたアクセス情報の品質を示す指標を算出して比較結果DB403aに格納する。アクセス情報の品質を示す指標は、例えば、コンテンツ提供サーバ20から収集した契約情報のうち、収集サーバ30から収集した“契約情報に該当するアクセス情報”と一致している契約情報の数の割合を、所定の期間ごと(例えば日ごと又は時間ごと)に示す値であってもよい。
【0022】
表示部402は、比較部401で算出された、アクセス情報DB302aに格納されたアクセス情報の品質を示す指標を、管理端末50の画面に表示させる。
【0023】
管理端末50は、スマートフォン、タブレット端末、携帯電話機、パーソナルコンピュータ(PC)、ノートPC、携帯情報端末(PDA)、家庭用ゲーム機器など、ディスプレイを備えた端末であればあらゆる端末を用いることができる。管理端末50は、通信部500と、UI部501とを含む。通信部500は、分析サーバ40との間で各種データの送受信を行う。UI部501は、ユーザからの操作を受け付ける機能や、ディスプレイに、分析サーバ40による分析結果を示す画面を表示する機能を提供する。
【0024】
<ハードウェア構成>
図2は、ユーザ端末10、コンテンツ提供サーバ20、収集サーバ30、分析サーバ40及び管理端末50のハードウェア構成例を示す図である。ユーザ端末10、コンテンツ提供サーバ20、収集サーバ30、分析サーバ40及び管理端末50の各々は、CPU(Central Processing Unit)11、メモリ等の記憶装置12、有線又は無線通信を行う通信IF(Interface)13、入力操作を受け付ける入力デバイス14、及び情報の出力を行う出力デバイス15を有する。ユーザ端末10、コンテンツ提供サーバ20、収集サーバ30、分析サーバ40及び管理端末50の各々が備える各種の機能部は、各々の記憶装置12に記憶されたプログラムが各々のCPU11に実行させる処理により実現することができる。なお、当該プログラムは、例えば非一時的な記録媒体に格納することができる。
【0025】
コンテンツ提供サーバ20、収集サーバ30及び分析サーバ40は、1又は複数の情処理装置から構成されていてもよいし、クラウドサーバや仮想サーバにより構成されていてもよい。例えば、コンテンツ提供サーバ20は、コンテンツをユーザ端末10に送信するサーバと、ユーザに送信すべきコンテンツをユーザの属性等に応じて生成するコンテンツ生成サーバと、所定の契約が完了した際に契約情報を格納する契約DB202bを管理するデータベースサーバとを含む複数のサーバから構成されていてもよい。
【0026】
<処理手順>
図3は、行動モニタリングシステムが行う処理手順の一例を示すシーケンス図である。以下の説明では、ユーザ端末10はWebブラウザを用いてコンテンツ提供サーバ20にアクセスすると仮定して説明する。また、コンテンツ提供サーバ20が提供するコンテンツ提供サイトは旅行予約サイトであり、ユーザは、当該旅行予約サイトにてホテルの予約を行う状況を想定して説明する。
【0027】
まず、ユーザ端末10のWebブラウザ(UI部101)は、コンテンツ提供サーバ20が提供する旅行予約サイトにHTTPリクエストを送信する(S101)。コンテンツ提供サーバ20のコンテンツ提供部200は、当該HTTPリクエストに応答するHTTPレスポンスをユーザ端末10に送信する(S102)。HTTPレスポンスには、HTMLデータ、CSS(Cascading Style Sheets)及びスクリプトが含まれる。
【0028】
Webブラウザは、スクリプトに従って処理を行うことで、旅行予約サイトに含まれる各種の値又は文字列、及び旅行予約サイトにおいてユーザが入力した各種の値又は文字列を収集する(S103)。
【0029】
続いて、Webブラウザは、スクリプトの記述に従い収集したアクセス情報を含むHTTPリクエストを収集サーバ30に送信する(S104)。収集サーバ30の格納部301は、受信部300で受信したアクセス情報を、アクセス情報DB302aに格納する(S105)。収集サーバ30は、アクセス情報をアクセス情報DB302aに格納すると、HTTPレスポンスをユーザ端末10に送信する(S106)。当該HTTPレスポンスには、例えば1ピクセル画像が含まれる。ステップS103乃至ステップS106の処理手順は、トラッキングとも呼ばれる。
【0030】
ステップS101乃至ステップS106の処理手順を繰り返すことで、ユーザは、予約をしたい宿泊先の検索を行う。ユーザは、予約をしたい宿泊先を見つけると、旅行予約サイトに自身の会員ID(ユーザID)を用いてログインし、宿泊予約(契約)を行う(S107)。ユーザ端末10のWebブラウザは、宿泊予約の確定を要求するHTTPリクエストをコンテンツ提供サーバ20に送信する(S108)。コンテンツ提供サーバ20の契約処理部201は、指定された宿泊先への予約を確定させる処理を行う(S109)。具体的には、契約処理部201は、予約が確定した際に契約IDを払い出し、払い出した契約IDと会員IDとタイムスタンプとを含む契約情報を契約DB202bに格納する。
【0031】
続いて、コンテンツ提供サーバ20のコンテンツ提供部200は、HTTPレスポンスをユーザ端末10に送信する(S110)。当該HTTPレスポンスには、契約ID及び会員IDが記述された予約完了画面をWebブラウザに描画するためのHTMLデータ、CSS及びスクリプトが含まれる。
【0032】
Webブラウザは、スクリプトに従って処理を行うことで、予約完了画面に含まれる各種の値又は文字列(ここでは、契約ID及び会員IDを含む)を収集する(S111)。
【0033】
続いて、Webブラウザは、スクリプトの記述に従い収集したアクセス情報(契約ID及び会員IDを含む)を含むHTTPリクエストを収集サーバ30に送信する(S112)。収集サーバ30の格納部301は、受信部300で受信したアクセス情報(契約ID及び会員IDを含む)を、アクセス情報DB302aに格納する(S113)。収集サーバ30は、アクセス情報をアクセス情報DB302aに格納すると、HTTPレスポンスをユーザ端末10に送信する(S114)。
【0034】
ここで、契約DB202bの具体例を図4(a)に示す。「タイムスタンプ」には、宿泊予約が確定した際の日時が格納される。「契約ID」には、宿泊予約が確定した際に契約処理部201により払い出された契約IDが格納される。「会員ID」は、宿泊予約サイトにログインして宿泊予約を行ったユーザの会員ID(ユーザID)が格納される。「人数」及び「宿泊先」には、宿泊する人数や予約されたホテルの名称等が格納される。
【0035】
次に、アクセス情報DB302aの具体例を図4(b)に示す。アクセス情報DB302aには、収集サーバ30がアクセス情報を含むHTTPリクエストを受信する度に、当該HTTPリクエストに含まれるアクセス情報が1レコードずつ記録されていく。「レコードID」は、アクセス情報DB302aに格納されたアクセス情報のレコードを一意に識別するためのIDを示す。「VisitorID」は、旅行予約サイトを訪問したWebブラウザを一意に識別するためのIDが格納される。「タイムスタンプ」には、スクリプトが収集サーバ30にアクセス情報を送信する時点の日時、又は、収集サーバがアクセス情報を受信した時点の日時のいずれかが格納される。前者の場合、ユーザ端末10から収集サーバ30に送信されるアクセス情報に、タイムスタンプが含まれる。後者の場合、ユーザ端末10から収集サーバ30に送信されるアクセス情報にタイムスタンプは含まれておらず、収集サーバ30が、アクセス情報を受信した日時を自ら「タイムスタンプ」に格納する。「契約ID」は、宿泊予約が確定した際にコンテンツ提供サーバ20により払い出された契約IDが格納される。「会員ID」は、宿泊予約サイトにログインして宿泊予約を行ったユーザの会員ID(ユーザID)が格納される。その他特に言及しない情報については説明を省略する。
【0036】
なお、アクセス情報DB302aには、更に、コンテンツ提供サーバ20にアクセスしたデバイスの種別を示す情報が格納されていてもよい。当該デバイスの種別としては、例えば、スマートフォンにインストールされたアプリケーション、パーソナルコンピュータ(Webブラウザ利用)、スマートフォン(Webブラウザ利用)が挙げられる。この場合、比較部401は、デバイスの種別ごとに、アクセス情報の品質を示す指標を算出するようにしてもよい。
【0037】
図4(a)の例では、「タイムスタンプ」、「契約ID」及び「会員ID」には、それぞれ、「2017/09/08 17:10」、「101010」及び「a00001」が格納されている。これは、図3のステップS109において、会員IDがa00001であるユーザによって2017/09/08 17:10に宿泊予約が確定され、契約IDとして101010が払い出されたことを示している。
【0038】
図4(b)の例では、レコードIDが「7」であるレコードの「タイムスタンプ」、「契約ID」及び「会員ID」にも、それぞれ、「2017/09/08 17:10」、「101010」及び「a00001」が格納されている。これは、図3のステップS110〜ステップS112の処理手順において、コンテンツ提供サーバ20からユーザ端末10に送信されたHTMLデータに含まれている契約ID及び会員IDがスクリプトによって収集され、「タイムスタンプ」、「契約ID」及び「会員ID」を含むアクセス情報が収集サーバ30に送信されたことを示している。図3に戻り説明を続ける。
【0039】
分析サーバ40の収集部400(第1収集部)は、コンテンツ提供サーバ20から、契約DB202bに格納された契約情報を収集する(S120)。続いて、収集部400(第2収集部)は、収集サーバ30から、アクセス情報DB302aに格納されたアクセス情報のうち、契約情報に該当するアクセス情報を収集する処理を行う。
【0040】
続いて、分析サーバ40の比較部401は、コンテンツ提供サーバ20から収集した契約情報のうち、収集サーバ30から収集した“契約情報に該当するアクセス情報”と一致する契約情報の数を、コンテンツ提供サーバ20から収集した契約情報の数で除算した値を、アクセス情報の品質を示す指標として算出する。
【0041】
図5を用いて具体例を説明する。図5左側は、所定の期間(例えば、2017/09/08 17:00:00〜17:59:59等)における、コンテンツ提供サーバ20から収集された契約情報の例を示したものであり、図5右側は、同一の所定の期間における、収集サーバ30から収集された契約情報に該当するアクセス情報の例を示したものである。
【0042】
図5の例では、左図に存在する、会員ID及び契約IDがそれぞれ「c00001」及び「101012」であるレコードが、右図には存在しない。これは、ユーザが宿泊予約を確定させたタイミングで通信状態が悪化し、図3のステップS110におけるHTTPレスポンスがユーザ端末10に到達せず、当該HTTPレスポンスを受信した際にアクセス情報DB302aに記録されるべきであったアクセス情報が記録されなかったことを示している。このように、図5の例では、コンテンツ提供サーバ20から収集した契約情報(5件)のうち4件が、収集サーバ30から収集された契約情報に該当するアクセス情報と一致している。従って、比較部401が算出する所定の期間におけるアクセス情報の品質を示す指標は80%(4÷5)になる。図3に戻り説明を続ける。
【0043】
続いて、分析サーバ40の表示部402は、管理端末50からのアクセスを受けた場合に、所定の期間におけるアクセス情報の品質を示す指標を示す画面データを管理端末50送信する。図6に、管理端末50に表示される画面の一例を示す。図6の例では、WebサイトA〜Eの各々について、4月15日におけるアクセス情報の品質の時間変化を示すグラフが、ユーザ端末10のデバイス種別ごとに表示されている。
【0044】
<まとめ>
以上、実施形態について説明した。本実施形態によれば、所定の期間において、宿泊予約が確定した(契約が行われた)実際の件数と、宿泊予約が確定したことを示すアクセス情報が収集サーバ30で収集された件数とを比較することで、収集サーバ30に蓄積されているアクセス情報の品質を示す指標を算出するようにした。これにより、所定の期間におけるアクセス情報の品質を把握することが可能になった。
【0045】
例えば、あるWebサイトにおいて、4月15日の18時〜21時以外の時間帯における品質を示す指標は正常値(例えば95%以上)であるにも関わらず、18時〜21時のみ、品質を示す指標が異常値(例えば70%など)であったと仮定する。この場合、4月15日の18時〜21時に収集サーバ30のアクセス情報DB302aに蓄積されたアクセス情報は欠損が多いことから、Webサイトの管理者は、当該期間はアクセス情報の品質が悪い可能性があると判断することが可能である。
【0046】
また、Webサイトの管理者は、例えばコンバージョン率を上げるための施策を検討するためにアクセス情報DB302aに蓄積されたアクセス情報の分析を行うといった場合に、アクセス情報の品質が悪い可能性がある期間(上述の4月15日の18時〜21時)に蓄積されたアクセス情報については分析の対象外とする等の対応を行うことが可能になる。
【0047】
また、分析サーバ40は、予め分析サーバ40が実行するプログラムに組み込まれた分析方法に従ってアクセス情報の品質を示す指標の算出を行う。これにより、算出される指標の正確性を保ちつつ、一定の処理速度を確保することが可能になる。
【0048】
以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。実施形態で説明したフローチャート、シーケンス、実施形態が備える各要素並びにその配置、材料、条件、形状及びサイズ等は、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。また、異なる実施形態で示した構成同士を部分的に置換し又は組み合わせることが可能である。
【符号の説明】
【0049】
10…ユーザ端末、11…CPU、11…CPU、12…記憶装置、13…通信IF、14…入力デバイス、15…出力デバイス、20…コンテンツ提供サーバ、30…収集サーバ、40…分析サーバ、50…管理端末、100…通信部、101…UI部、102…送信部、200…コンテンツ提供部、201…契約処理部、202…データベース、202a…コンテンツDB、202b…契約DB、300…受信部、301…格納部、302…データベース、302a…アクセス情報DB、400…収集部、401…比較部、402…表示部、403…データベース、403a…比較結果DB、500…通信部、501…UI部
【要約】
【課題】サーバに蓄積されたWebサイト内の行動履歴を示すデータの品質を把握することが可能な技術を提供すること。
【解決手段】コンテンツ提供装置(20)から、コンテンツ提供サイトで所定の契約が完了した際に生成される契約情報を収集する第1収集部(400)と、収集装置(30)から、収集装置のデータベースに格納されたアクセス情報のうち、少なくとも所定の契約が完了したユーザの契約情報に該当するアクセス情報を収集する第2収集部(400)と、コンテンツ提供装置から収集した契約情報と、収集装置から収集した所定の契約が完了したユーザの契約情報に該当するアクセス情報とを比較することで、収集装置のデータベースに格納されたアクセス情報の品質を示す指標を算出する比較部(401)と、を有する分析装置(40)を提供する。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6