【実施例】
【0044】
特徴化
【0045】
キシレン可溶性分画の測定
2.5gのポリマー及び250mLのo−キシレンを冷蔵庫及び磁気撹拌機を備えたガラスフラスコに導入する。温度を溶媒の30分内に沸点まで上昇させる。次いで、このようにして得られた溶液を還流下に維持させ、さらに30分間撹拌する。次いで、密閉されたフラスコを氷と水のバス中に30分間維持させ、25℃の恒温水槽に30分間さらに維持させる。このようにして得られた固体を急速濾過紙で濾過し、100mlの濾過液をあらかじめ秤量したアルミニウム容器に注き、これを窒素気流下で加熱板で加熱して蒸発によって溶媒を除去する。次いで、一定の重量が得られるまで容器を80℃のオーブンで真空下に維持させる。残留物は、秤量してキシレン可溶性重合体の百分率を測定する。
【0046】
分子量分布MWD(Mw/Mn)
分子量及び分子量分布は、13μmの粒子サイズを有する4つの混床式カラムPLgel Olexisが備えられたWaters Alliance GPCV/2000装備を使用して150℃で測定した。カラムの寸法は、300×7.8mmであった。使用された移動相は、真空蒸溜された1、2、4−卜リクロロベンゼン(TCB)であり、流量は1.0ml/分に維持した。サンプル溶液を1〜2時間TCBで150℃で撹拌しながらサンプルを加熱して製造した。濃度は1mg/mlであった。分解を防ぐために、0.1g/lの2、6−ジーtert−ブチル−p−クレゾールを添加した。300μl(公称値)の溶液をカラムセットに注入した。580〜7 500 000Da範囲の分子量を有する10個のポリスチレン標準サンプル(アジレント社のEasiCalキット)を使用して較正曲線を得た。Mark−Houwink関係式のK値は、次の通りであると仮定した:
K=1.21×10
−4dl/g及びα=0.706ポリスチレン標準物質の場合、
K=1.90×10
−4dl/g及びα=0.725実験サンプルの場合。
三次多項式フィットを、実験データを補間し、較正曲線を得るために使用した。データ取得及び処理は、GPCオプションを使用してWaters Empowers 3 クロマトグラフィーデータソフトウェアを使用して行った。
【0047】
溶融流量(MFR)
ポリマー組成物の溶融流量MFRは、ISO 1133(230℃、2.16Kg)に従って測定した。
【0048】
コモノマー含量の測定:
コモノマー含量は、フーリエ変換赤外線分光器(FTIR)を使用してサンプル対空気バックグラウンドのIRスペクトルを収集することによって赤外線分光法によって測定した;装備データ取得パラメーターは、次の通りである:
−パージ時間:最小30秒
−収集時間:最小3分
−アポディゼーション:Happ−Genzel
−解像度:2cm
−1。
サンプル製造:
【0049】
油圧プレスを使用して2枚のアルミニウムホイルの間に約1gのサンプルをプレッシングして厚いシートが得られる。均質性が問題になる場合、最小2回のプレッシング作動が推奨される。このようなシートから小さな部分を切断してフィルムを成形する。推奨厚さは0.02〜0.05cm(8〜20ミル)の範囲である。
【0050】
プレッシング温度は、約1分間180±10℃(356°F)及び約10kg/cm
2(142.2PSI)の圧力である。約1分後で、圧力を解除し、サンプルをプレスから除去してサンプルを室温まで冷却する。
【0051】
ポリマーの圧縮フィルムのスペクトルを吸光度対波数(cm
−1)で記録する。次の測定値を使用してエチレン及び1−ブテン含量を計算する:
−膜厚さの分光標準化に使用される4482〜3950cm
−1の組み合わせ吸収帯の面積(At)。
−アイソタクチック非添加的(isotactic non additivate)ポリプロピレンスペクトルの2つの適切な連続的な分光学的減算の以後に750〜700cm
−1の間の吸収帯の面積及び次いで800〜690cm
−1の範囲の1−ブテン−プロピレンランダムコポリマーの基準スペクトルの面積である、AC2。
−アイソタクチック非添加的ポリプロピレンスペクトルの2つの適切な連続的な分光学的減算の以後に769cm
−1(最大値)における吸収帯の高さ及び次いで800〜690cm
−1の範囲のエチレン−プロピレンランダムコポリマーの基準スペクトルの高さである、DC4。
【0052】
エチレン及び1−ブテン含量較正直線を計算するために、既知量のエチレン及び1−ブテンのサンプルを使用して得られたエチレン及び1−ブテンに対する較正直線が必要である:
【0053】
エチレンの較正:
AC2/At対エチレンモルパーセント(%C2m)をフロットすることによって較正直線(GC2)を得る。GC2の勾配は、線形回帰から計算する。
【0054】
1−ブテンの較正:
DC4/At対1−ブテンモルパーセント(%C4m)をフロットすることによって較正直線(GC4)を得る。GC4の勾配は、線形回帰から計算する。
知られないサンプルのスペクトルを記録した後、知られないサンプルの(At)、(AC2)及び(DC4)を計算する。サンプルのエチレン含量(%モル分率C2m)は、次のように計算する:
【0055】
【数1】
【0056】
サンプルの1、ブテン含量(%モル分率C4m)は、次のように計算する:
【0057】
【数2】
【0058】
プロピレン含量(モル分率C3m)は、次のように計算する:
【0059】
【数3】
【0060】
重量を基準に、エチレン、1−ブテン含量は、次のように計算する:
【0061】
【数4】
【0062】
【数5】
【0063】
示差走査熱量法(DSC)を通じる溶融温度
ポリマーの溶融温度(Tm)は、インジウム溶融点に対してあらかじめ較正したパーキンエルマー社製DSC−1熱量計上で、示差走査熱量法(D.S.C.)で、20℃/分でISO 11357−1,2009及び11357−3,2011に従って測定した。すべてのDSCるつぼ内のサンプルの重量は、6.0±0.5mgに維持した。
【0064】
溶融点を得るために、秤量されたサンプルをアルミニウムパンに密封し、20℃/分で200℃まで加熱した。サンプルを200℃で2分間維持し、すべての微結晶を完全に溶解させた後、20℃/分で5℃まで冷却した。5℃で2分間放置した後、サンプルを20℃/分で200℃まで二回目の実行時間加熱した。このような二回目の加熱作業で、ピーク温度(Tp、m)を溶融温度で取った。
【0065】
ヘイズの測定
各試験組成物を単軸スクリューコリン押出機(スクリュー1:25の長さ/直径比)で7m/分のフィルム延伸速度及び210〜250℃の溶融温度で押出して製造された約5×5cm 50μm厚さのフィルム試片を使用した。ヘイズ値は、ヘーズメーター(Hazemeter)タイプUX−10またはフィルター“C”と共にG.E.1209光源を有する同等の装備に連結されたガードナー(Gardner)測光単位を使用して測定した。既知のヘイズの基準サンプルは、装備を較正するのに使用した。
【0066】
表面張力の測定
表面張力の測定は、ASTM D2578−09に従って測定する。
【0067】
シール開始温度(SIT)
フィルム試片の製作
本開始のポリオレフィン組成物は、A/B/C多層フィルムを製造するのに使用されており、ここで、A層は実施例1のポリマーであり、B層はLyondellbasellによって販売されているプロピレンホモポリマーMOPLEN HP522Hであり、C層は比較例2のポリマーである。工程パラメタは表1に報告する。
【0068】
【表1】
【0069】
多層フィルムは、5.1:1の比率で延伸された。
【0070】
比較のために、またC/B/C多層フィルムを製造し、ここで、C層は比較例2のポリマーであり、B層はLyondellbasellによって販売されているプロピレンホモポリマーMOPLEN HP522Hである。工程パラメタは、表2に報告する。
【0071】
【表2】
【0072】
SITの測定:
それぞれの試験のために2つの前記試片を、隣接した層が特定試験組成物の層になるように整列して重ね合わせた。重ね合わされた試片をBrugger Feinmechanik Sealer、モデルHSG−ETK 745を用いて2cm側面の一方に沿って密封した。密封時間は、0.1N/mm
2の圧力で5秒である。密封温度は、各シールに対して1℃を増加させて、試験組成物の溶融温度よりも約30℃未満の温度から始めた。密封されたサンプルを冷却した後、この密封されていない端部をインストロン機械に取り付け、これらを50mm/分の牽引速度(traction speed)で試験した。
【0073】
SITは、少なくとも2ニュトーンの荷重が前記試験条件に適用される場合、シールが壊れない最小限の密封温度である。
【0074】
回復可能なコンプライアンスの測定
回復可能なコンプライアンスは、25mm半径の円錐板形状及び上部に円錐板を有する1.992゜等級の測定円錐角度を有するPhysica MCR301 レオメーターを使用してクリープ及び回復測定によって、測定された。試験温度は200℃である。
【0075】
クリープ時間の測定
複素粘度は、5%の一定の歪みで100rad/s〜0.01rad/sの周波数掃引試験において測定し、0.01rad/sの周波数での値を選択してクリープ時間を計算した(プロファイルにおける時間設定なし)。クリープ時間は、次の式を使用して計算した:
クリープ時間=複素粘度@0.01rad/s/100; [1]
ここで、100は印加された応力パスカルである。
【0076】
回復時間の測定
回復時間は、次の式に従って計算した:
回復時間=クリープ時間*7 [2]
【0077】
クリープ及び回復試験
a)クリープ
クリープは、[1]で計算されたクリープ時間に従って最大秒間1秒に1回測定した。印加されたせん断応力は100Paである;
b)回復
回復は、[2]で計算された回復時間に従って最大秒間1秒に1回測定した。印加されたせん断応力は0Paである。
【0078】
試験の終了時に、ソフトウェアは秒単位で測定されたPa
−1対時間単位で測定された回復可能なコンプライアンスを計算する。
【0079】
実施例1
球状付加物の製造のための手続き
マイクロ楕円体MgCl
2.2.1C
2H
5OH付加物は、ヨーロッパ特許出願第728769号の実施例1に従って製造した。
【0080】
固体触媒成分の製造のための手続き
固体触媒成分は、ヨーロッパ特許出願第728769号の実施例1に従って製造した。
【0081】
予備重合処理
前述の固体触媒成分を重合反応器内に注入する前に、トリエチルアルミニウム(TEAL)及びジシクロペンチルジメトキシシラン(DCPMS、D供与体)と表2に報告された比率で接触させた。
【0082】
その後、得られた混合物を重合反応器内にこれを導入する前に、20℃で約5分間液体プロピレンの中に懸濁液で維持させて予備重合を実施した。
【0083】
重合
第1の気相重合反応器に、予備重合された触媒システム、水素(分子量調節剤として使用した場合)プロピレン及びエチレンを気体状態で連続的且つ一定の流れで供給することによって、プロピレンエチレンコポリマーを生成する。
【0084】
第1反応器で生成されたポリマーは、連続的な流れで排出し、未反応モノマーを除去した後、水素(使用した場合)1−ブテン、エチレン及びプロピレンを気体状態で定量的に一定の流れと共に、第2気相反応器に連続流れで導入する。
【0085】
第2反応器を出るポリマー粒子は、反応性モノマー及び揮発性物質を除去するために蒸気処理を実施した後、乾燥させる。
【0086】
主な重合条件を表3に報告する。ポリマーの特徴は表4に報告されている。
【0087】
【表3】
【0088】
比較例2は、表4に報告された要件を有するLyondellbasellによって販売されている市販品であり、内部供与体として9、9−ビス(メトキシメチル)フルオレンの代わりにジイソブチルプタレートを使用した触媒を使用して製造される。
【0089】
実施例1及び比較例2の回復コンプライアンス曲線は、
図1に報告される。800〜1200秒の間の2つの曲線の最大値は表4に報告される。
【0090】
【表4】
【0091】
得られたフィルムのサンプルに対して、コロナ処理を行った後、異なる時間に表面張力を測定した。結果は表4に報告する。
【0092】
【表4】
【0093】
表4から明らかなように、本開始のポリオレフィン組成物は、比較例2に対してより高い表面張力を示す。