(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記一つ以上の電気部品または機械的部品が、前記マップ生成システム、RFエネルギー源、一つ以上のプロセッサ、一つ以上の記憶装置、一つ以上の位置決め装置、一つ以上の通信装置、または測定回路の一つ以上を含む、請求項3に記載の磁場誘導トモグラフィー撮像システム。
前記手持ち式磁場誘導トモグラフィー装置が、前記一つ以上の電気部品または機械的部品から前記少なくとも一つの感知ユニットの前記単一コイルを分離するシールドをさらに含む、請求項3に記載の磁場誘導トモグラフィー撮像システム。
前記手持ち式磁場誘導トモグラフィー装置が、有線または無線通信インターフェースで前記マップ生成システムと通信している、請求項1に記載の磁場誘導トモグラフィー撮像システム。
前記位置決めシステムが、電磁位置決めシステム、光学感知システム、または音響位置決めシステムの一つ以上を含む、請求項1に記載の磁場誘導トモグラフィー撮像システム。
前記位置決めシステムが、前記手持ち式磁場誘導トモグラフィー装置上に一つ以上のモーションセンサーまたは深さセンサーを含む、請求項1に記載の磁場誘導トモグラフィー撮像システム。
【発明を実施するための形態】
【0015】
ここで、実施形態を詳細に参照するが、その一つ以上の例を図に示す。各例は、実施形態の説明方法として提供されており、本発明を限定するものではない。実際に、本開示の範囲または精神から逸脱することなく、実施形態に様々な改造および変形をなすことができることは、当業者にとって明らかであろう。例えば、一つの実施形態の一部として図示または記述される特徴を、別の実施形態とともに使用して、なおさらなる実施形態を生じる可能性がある。従って、本開示の態様はこのような改造および変形を網羅することが意図されている。
【0017】
一般的に、本開示の態様例は、単一コイルと関連する測定値を使用した、組織試料などの試料の磁場誘導トモグラフィー撮像用手持ち式装置を対象とする。より具体的には、複数のコイル特性測定値は、手持ち式装置を使用して、試料に対して複数の異なる個別場所の一つにある単一コイルを使用して取得されうる。三次元導電率マップまたは三次元誘電率マップなどの三次元電磁特性マップは、複数のコイル特性測定値から生成されうる。このように、手持ち式装置を使用して取得された無接触コイル特性測定値を使用して、シンプルで費用効率の高い組織撮像方法が提供されうる。
【0018】
より具体的には、磁場誘導トモグラフィー撮像システムは、ハウジングおよび少なくとも一つの感知ユニットを持つ手持ち式磁場誘導トモグラフィー装置を含むことができる。少なくとも一つの感知ユニットは単一コイルを含みうる。一部の実施形態では、ハウジングは、技術者の手など、手で手持ち式装置を持つことを容易にするための形状因子を持ちうる。例えば、ハウジングは、手で手持ち式装置を持つことを容易にするためのサイズ、形状、および幾何学配置を持ちうる。磁場誘導トモグラフィー撮像用の携帯手持ち式装置を提供すると、磁場誘導トモグラフィー撮像システムでの試料のコイル測定実施の簡便性および柔軟性を増すことができる。
【0019】
一部の実施形態では、手持ち式装置のハウジングは、手持ち式装置が動作している時、ハウジングを握るまたはその他の方法で持つ手の場所が感知ユニットから分離される(例えば、閾値距離だけ分離される)ような形状因子を持ちうる。例えば、手持ち式装置の握り部分は、感知ユニットから閾値距離だけ離れて配置されうる。このように、コイル測定値取得中に少なくとも一つの感知ユニットの単一コイルの近くに技術者の手を配置することから生じる干渉を減少することができる。
【0020】
手持ち式装置のハウジングは、単一コイルを持つ少なくとも一つの感知ユニットを収容することができる。一部の実施形態では、コイルは、試料との静電結合を減らすために、ループ間に十分な間隔を置いた、または十分に異なる半径を持つ複数の同心導電円形ループを含むことができる。導電ループは、接続トレースが複数の同心導電円形ループによって生成される磁場の歪みを許容することなく、接続トレースと直列に接続されうる。複数の同心導電ループは、二層スタックとして(例えば、多層プリント配線基板上の)複数平面に配列できる。平面間の間隔または平面分離距離は、数学的に、複数の導電ループが定量的分析モデルのための共通平面に位置するとして扱われうるように、選択されうる。例えば、平面分離距離は、約0.5mmなど、約0.2mm〜約0.7mmの範囲でありうる。本明細書で使用される場合、寸法またはその他の特性に関連しての「約」という用語の使用は、指定された寸法またはその他の特性の30%以内を意味することを意図する。
【0021】
一部の実施形態では、手持ち式磁場誘導トモグラフィー装置は、異なるサイズの感知ユニットを収容できるハウジングを含みうる。例えば、ハウジングは、(例えば、感知ユニットの迅速な互換性を促進するための面ファスナーまたはその他の適切なファスナーまたは取り付け機構を使用して)手持ち式装置上で互いに交換することができるモジュラー感知ユニット(例えば、カートリッジ)を収容することができる。各感知ユニットは、手持ち式磁場誘導トモグラフィー装置による測定の異なる深さを提供するために、その他の感知ユニットに対して異なるコイル寸法のコイルを持つことができる。一部の実施形態では、手持ち式磁場誘導トモグラフィー装置は、複数の感知ユニットを収容できる。各感知ユニットはコイル測定を実施するための単一コイルを含むことができる。特定の実施では、手持ち式磁場誘導トモグラフィー装置上の感知ユニットを交換することなく、手持ち式磁場誘導トモグラフィー装置が異なる深さの測定値に対応できるように、複数の感知ユニットのそれぞれが異なるコイル寸法を含むことができる。
【0022】
一部の実施形態では、手持ち式磁気撮像トモグラフィー装置は、手持ち式磁気撮像トモグラフィー装置の動作を支援するために、一つ以上の電気および/または機械的部品を含むことができる。例えば、手持ち式装置は、電源(例えば、一つ以上の電池)、RFエネルギー源(例えば、発振回路)、感知ユニットを駆動しコイル測定値を取得するために使用される測定回路、手持ち式装置の様々な側面を制御するために使用される一つ以上のプロセッサ(例えば、マイクロコントローラ)、コイル測定値を保存するための一つ以上の記憶装置、一つ以上の位置決め装置(例えば、手持ち式装置の位置および/または配向を決定するために使用される光学、電磁、またはその他のモーションセンサー)、および一つ以上の通信装置など、一つ以上の電気部品を含みうる。
【0023】
一部の実施形態では、手持ち式装置のハウジング内の一つ以上のプリント配線基板など、一つ以上の電気部品を手持ち式装置のハウジング内に配置しうる。一つ以上の電気および/または機械的部品は、少なくとも一つの感知ユニットと一つ以上の電気および/または機械的部品との間の電磁干渉を減少するために、少なくとも一つの感知ユニットからハウジング中で分離されうる。特定の実施では、手持ち式装置は、少なくとも一つの感知ユニットを、手持ち式装置の一つ以上の電気および/または機械的部品から分離するために使用されるシールドを含みうる。
【0024】
一部の実施形態では、手持ち式装置の動作を支援するために使用される一つ以上の電気および/または機械的部品は、遠隔ステーションに配置しうる。例えば、少なくとも一つの感知ユニットとの干渉を減少させるために、上述の電気部品の一つ以上を遠隔ステーションに配置しうる。手持ち式装置は、任意の適切な有線もしくは無線通信インターフェースまたはそれらの組み合わせなど、適切な通信インターフェースを使用して遠隔ステーションに配置された一つ以上の電気部品と通信しうる。特定の実施では、手持ち式装置が試料の測定を実施している時、手持ち式装置の近くに遠隔ステーションを配置することを容易にするために、遠隔ステーションは移動可能なカートまたはその他の移動可能な装置上に配置しうる。
【0025】
本開示の特定態様によると、磁場誘導トモグラフィーシステムは、手持ち式装置によって実施される各コイル測定の位置決めデータを取得するように構成された位置決めシステムをさらに含むことができる。位置決めシステムは、試料の電磁特性マップの生成に使用するために、各コイル測定値の位置および/または配向を示すデータを決定するように構成されうる。
【0026】
一実施形態では、位置決めシステムは光学位置決めシステムを含むことができる。光学位置決めシステムは、赤外線センサー、レーザーの一つ以上、および/または一つ以上のカメラまたはその他の画像取り込み装置を使用して、コイル測定を実施する時の手持ち式装置の位置を決定することができる。例えば、一つの実施では、位置決めシステムは、測定の実施中に手持ち式装置の画像を取り込むように構成された少なくとも一つのカメラを含む。画像を処理して、画像中の手持ち式装置の場所を特定することができる。例えば、パターン認識技術を使用し、手持ち式装置上にあるパターンまたは反射素子に基づいて、画像中の手持ち式装置の位置を決定することができる。画像中の手持ち式装置の位置に基づいて、位置決めシステムは、試料の電磁特性マップの生成に使用するために、手持ち式装置の位置および/または配向ならびにコイル測定を実施する単一コイルの位置および/または配向を計算しうる。
【0027】
一部の実施形態では、位置決めシステムには電磁位置決めシステムを含むことができる。例えば、位置決めシステムには、低周波(ポヒマス)位置決めシステムおよび/またはレーダー(UHF)位置決めシステムを含みうる。一部の実施形態では、位置決めシステムには、ソナー位置決めシステムなどの、音響位置決めシステムを含みうる。またその他の実施形態では、手持ち式装置自体の上の一つ以上のセンサー(例えば、モーションセンサー、慣性センサー、レーザー、深さセンサー、カメラなど)を使用して、試料に対する手持ち式装置の位置および/または配向を決定することができる。
【0028】
システムは、コイル特性測定値に少なくとも部分的に基づいて、試料の少なくとも一部分の電磁特性マップ(例えば、導電率マップ)を生成するように構成されたマップ生成システムをさらに含むことができる。マップ生成システムは手持ち式装置上に位置するか、または手持ち式装置と通信している遠隔ステーションに位置しうる。
【0029】
特定実施形態によると、磁場誘導トモグラフィー撮像は、試料のコイル測定値と電磁特性分布との関連性を定義するモデルに少なくとも部分的に基づいて実施しうる。一つの実施では、モデルは、RFエネルギーで励磁され、任意の三次元導電率分布を持つ任意の形状の物体の近くに配置された時、誘導される渦電流から生じる複数の同心導電ループを持つ単一平面多重ループコイルのインピーダンス(例えば、抵抗損)の変化の実数部を説明する定量的分析モデルである。
【0030】
モデルを使用して、複数のコイル特性測定値を使用した組織に対する三次元電磁特性マップを生成しうる。例えば、試料に対して取得された複数のコイル損失測定値にアクセスできる。各コイル特性測定値は、試料に対する複数の個別場所の一つと関連付けられうる。位置データは、各コイル特性測定値と関連付けられうる。位置データは、測定が実施された時の単一コイルの位置および配向を示しうる。
【0031】
複数のコイル特性測定値および関連付けられた位置データが取得されたら、モデルを使用して取得されたコイル特性測定値の反転を実施し、複数の取得された測定値につながる、試料の電磁特性分布(例えば、導電率分布)を示す三次元電磁特性マップを取得しうる。一つの特定の実施では、反転は、試料を有限要素メッシュに離散化することによって実施されうる。非線形または拘束条件付き最小二乗法で、複数の取得されたコイル特性測定値に寄与する可能性が最も高い有限要素メッシュの電磁特性分布を決定できる。得られた導電率分布は、試料の三次元導電率マップとして出力されうる。
【0032】
磁場誘導トモグラフィー撮像用システムの例
【0033】
図1は、ヒト組織または動物組織試料など、試料110の磁場誘導トモグラフィー撮像用システム100の例を示す。システム100は、本開示の態様例による磁場誘導トモグラフィー撮像のためのコイル特性測定値を得るために、少なくとも一つの感知ユニット125を持つ手持ち式装置120を含む。感知ユニット125は、プリント配線基板上の一つ以上の平面に配置された複数の同心導電ループを持つ単一コイルを含みうる。本開示の態様例による磁場誘導トモグラフィー撮像のためのコイル設計の一例が、
図6および7を参照して以下にさらに詳細に記述される。
【0034】
例示および検討の目的で、本開示の態様例は、一つの感知ユニットを持つ手持ち式装置120を参照して検討する。当業者であれば、本明細書に提供された開示を使用して、手持ち式装置120が複数の感知ユニットを含みうることを理解するであろう。各感知ユニットは単一コイルを含みうる。以下でより詳細に検討するように、各単一コイルに関連する独立した測定値を使用して、その他の感知ユニットに関連するコイルからの測定値に依存することなく電磁特性マップを生成することができる。
【0035】
図1の手持ち式装置120は、感知ユニット125が試料110に隣接して配置された時、励起周波数(例えば、12.5MHz)のRFエネルギーで感知ユニット125のコイルを励磁するように構成されたRFエネルギー源(例えば、発振回路)を含みうる。感知ユニット125の励磁されたコイルは磁場を生成でき、これは試料110の渦電流を含みうる。試料のこれらの誘導された渦電流は、感知ユニット125のコイルのコイル損失(例えば、インピーダンスの変化)を生じうる。手持ち式装置120は、試料110に対して特定の場所でのコイル特性測定中の感知ユニット125のコイルと関連するコイル損失を決定するために、回路および電気部品(例えば、測定回路)を含みうる。
【0036】
コイル特性測定値は、手持ち式装置120を試料110に対して様々に異なる場所または配向に位置付けながら、感知ユニット125の単一コイルを使用して取得できる。収集されたコイル特性測定値をマップ生成システム140(例えば、コイル測定値から電磁特性マップを生成するようにプログラムされた計算システム)に供給することができ、ここでコイル特性測定値を分析して、試料110の三次元導電率マップまたは三次元誘電率マップなど、試料110の三次元電磁特性マップを生成しうる。
【0037】
本開示の特定態様によると、手持ち式装置120は、コイル特性測定の性能のために複数の個別場所に手動で位置付けることができる。例えば、医療専門家は、手持ち式コイル装置120を試料110に対して手動で位置付けて、試料110に対する複数の個別場所でコイル特性測定値を取得できる。
【0038】
図2は、本開示の実施形態例による磁場誘導トモグラフィー撮像用手持ち式装置120の一実施形態例の斜視図を示す。図に示すように、手持ち式装置120は、感知ユニット125を使用してコイル測定値の取得を支援するために使用される手持ち式装置120のさまざまな部品(例えば、電気部品)を保存および保護するためのハウジング122を含む。
【0039】
図2の手持ち式装置120例は、コイル測定値の取得中に手で手持ち式装置120を持つことを容易にするための形状因子を含む。例えば、手持ち式装置120は握り部分124を含む。
図2に示すように、握り部分124は、手120で手持ち式装置を握るまたは持つのを容易にするための一つ以上の溝またはチャネルを含みうる。手持ち式装置120は、動作中にハウジングを握る手の場所が、感知ユニット125の単一コイルから閾値距離だけ分離されるような形状因子をさらに含む。例えば、握り部分124は、感知ユニットから約2インチ〜4インチ離れている、感知ユニットから約3インチ離れているなど、感知ユニット125から約0.5インチ〜約6インチ離れて配置しうる。このように、手持ち式装置120で測定を実施する間、技術者の手と感知ユニット125との間の干渉を減少させることができる。
【0040】
手持ち式装置120は、手で装置を持つことを容易にするための、本開示の実施形態例による形状因子の一例を示す。当業者であれば、本明細書に提供された開示を使用して、その他の形状因子が企図されることを理解するであろう。例えば、手持ち式装置120は、感知ユニット125に一致するように適合された第一の形状を持つ第一の部分および動作中に手で持つように適合された異なる形状(例えば、円筒形状)である第二の部分を持つハウジングを持つことができる。
【0041】
図3 に示すように、手持ち式装置120は、手持ち式装置120の動作を支援するための一つ以上の電気部品を含みうる。一つ以上の電気部品には、電池(非表示)などの電源、RFエネルギー源410、プロセッサ420、記憶装置422、測定回路430、通信装置450、および位置決め装置460を含みうる。上記の電気部品の選択された動作については、以下で
図9を参照してより詳細に説明する。
【0042】
図3を参照すると、RFエネルギー源410(例えば、発振回路)は、感知ユニット125のコイルを励磁するためのRFエネルギーを生成するように構成されうる。プロセッサ420は、回路400のさまざまな側面を制御することに加えて、回路400によって得られた情報(例えば、測定回路430によって得られた情報)を処理するように構成されうる。プロセッサ420は、デジタル信号プロセッサ、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、集積回路またはその他の適切な処理装置など、任意の適切な処理装置を含みうる。記憶装置422は手持ち式装置120で収集した情報およびデータを保存するように構成されうる。例えば、記憶装置422は感知ユニット125で取得したコイル測定値を保存するように構成されうる。記憶装置422は、RAM、ROM、ハードドライブ、フラッシュドライブ、光学媒体、磁気媒体またはその他の記憶装置を含むがこれらに限定されない、さまざまな有形非一時的コンピュータ可読媒体の一つ以上の単一または複数部分を含みうる。測定回路430は、感知ユニット125の単一コイルのコイル特性測定値を得るように構成されうる。測定回路例の詳細が
図9を参照して以下で検討されている。
【0043】
図3の位置決め装置460は、コイル測定を実施する時に手持ち式装置120の位置および/または配向を決定するために使用される一つ以上のセンサーを支援する回路を含みうる。例えば、位置決め装置460は、モーションセンサー(例えば、加速度計、コンパス、磁力計、ジャイロスコープなど)および手持ち式装置120の配向を示す信号を提供するその他の適切なセンサーを含みうる。さらに、手持ち式装置120は、手持ち式装置120から試料までの深さまたは距離を決定するために使用しうる深さセンサー(例えば、レーザーセンサー、赤外線センサー、画像取り込み装置)を含みうる。位置決め装置460からの信号は、各コイル特定値と関連する位置および/または配向の決定に使用できる。
【0044】
通信装置450は、手持ち式装置120から、遠隔計算装置などの遠隔場所に情報を通信するために使用できる。通信装置は、例えば、送信機、受信機、ポート、コントローラ、アンテナ、または有線および/または無線ネットワークを介して手持ち式装置120からの情報を通信するためのその他の適切な部品を含みうる。
【0045】
手持ち式装置120の動作を支援するさまざまな電気部品を、手持ち式装置120のハウジング122内のプリント配線基板405上に配置することができる。
図3に示すように、一つ以上の電気部品と感知ユニット125との間の干渉を減少するために、一つ以上の電気部品は、感知ユニット125から閾値距離Dだけ分離されうる。特定の実施形態では、閾値距離Dは、約2インチ〜3インチ離れている、約2インチなど、約0.5インチ〜約4インチの範囲としうる。
【0046】
図3に示すように、手持ち式装置120はシールド408をさらに含みうる。シールド408は、伝導性材料または高誘電率で非損失性の材料から製造しうる。シールド408は感知ユニット125を、手持ち式装置120の動作を支援する電気部品から分離し、電気部品と感知ユニット125との間の電磁干渉をさらに減少することができる。シールド408を通り抜ける導電路412および414を使用して、感知ユニット125から、手持ち式装置120の動作を支援する電気部品まで信号を通信しうる。
【0047】
手持ち式装置の動作を支援する一つ以上の電気部品および磁場誘導トモグラフィーシステムのその他の部品は、手持ち式装置120から離れた場所に配置しうる。例えば
図1に示すように、マップ生成システム140は手持ち式装置120から離れて配置される。マップ生成システム140は、以下にさらに詳細に記述されるように、手持ち式装置120で取得した測定値に基づいて一つ以上の電磁特性マップを生成するように構成されうる。マップ生成システム120を移動可能なカート170またはその他の装置上に配置して、マップ生成システム120を持ち運び可能にすることができる。手持ち式装置120は、通信インターフェース122によってマップ生成システム140と通信するように構成されうる。通信インターフェース122は、任意の適切な有線もしくは無線インターフェースまたは有線および無線リンクの組み合わせとしうる。
【0048】
試料110の正確な三次元電磁特性マップを生成するために、位置データを、手持ち式装置120で取得したコイル特性測定値と関連付ける必要がある。位置データは、コイル125の位置(例えば、試料110に対してx軸、y軸、z軸によって定義される)に加えてコイル125の配向(例えば、試料110に対する傾斜角)を示しうる。本開示の実施形態例による磁場誘導トモグラフィーシステム100は、手持ち式装置120で取得した測定値と関連付けられた位置データを決定するために、位置決めシステムを含む。
【0049】
本開示の態様による位置決めシステムの一例は、光学位置決めシステムを含む。例えば、位置決めシステムは試料110の上方に位置付けられた少なくとも一つのカメラ135を含みうる。カメラ135は、手持ち式装置120が試料110の測定値を取得する時、手持ち式装置120の画像を取り込むように構成されうる。カメラは、紫外線、赤外線または可視スペクトルの一つ以上の波長を含む、さまざまな波長またはスペクトルで画像を取り込むことができる。
【0050】
カメラ135によって取り込まれた画像を処理して、手持ち式装置120および感知ユニット125の位置を決定しうる。一部の実施形態では、手持ち式装置120はコイル装置120の表面上に配置されたグラフィックも含むことができる。グラフィック128の一例を
図2に示す。複数のコイル特性測定が実施される際に、画像取り込み装置135はグラフィック128の画像を取り込むことができる。画像を処理し、画像中のグラフィックの位置に基づいて手持ち式装置120の位置を決定することができる。特定の実施では、カメラ135は、視差効果から生じる誤差を減らすためにテレセントリックレンズを含みうる。赤外線ベースのシステム、レーザーベースのシステム、またはその他の適切なシステムなど、その他の適切な光学的位置決めシステムを使用して、手持ち式装置120の位置を決定することができる。
【0051】
例えば、一実施形態では、手持ち式装置120は、手持ち式装置120の外側に取り付けられた反射マーカーを含む。反射マーカーは、可視光、紫外線、赤外線、またはその他の適切な光を反射するように構成されうる。手持ち式装置120は、反射マーカーが、動作中にカメラ135の視野方向内に維持されるような形状因子を持ちうる。例えば、手持ち式装置120で測定を実施する時に反射マーカーがカメラ135の視野方向内にあるように、反射マーカーは感知ユニット125と反対の表面上に配置しうる。一実施形態では、反射マーカーは、感知ユニット125と関連する軸に平行な軸上に配置される。反射マーカーは、感知ユニット125から最も離れた手持ち式装置120の表面上に配置されうる。
【0052】
カメラ135は手持ち式装置120の画像を取り込むことができる。位置決めシステムは、カメラ135で取り込んだ手持ち式装置120の画像の反射マーカーの場所に少なくとも一部基づいて、手持ち式装置の場所を決定することができる。
【0053】
一部の実施形態では、位置決めシステムは電磁位置決めシステムを含むことができる。例えば、位置決めシステムには、低周波(ポヒマス)位置決めシステムおよび/またはレーダー(UHF)位置決めシステムが含まれうる。一部の実施形態では、位置決めシステムには、ソナー位置決めシステムなどの、音響位置決めシステムを含みうる。
【0054】
一部の実施形態では、手持ち式装置120は一つ以上のモーションセンサー(例えば、3軸加速度計、ジャイロスコープ、および/またはその他のモーションセンサー)および/または一つ以上の深さセンサーを含みうる。単一コイル125の表面に対する配向は、モーションセンサーからの信号を使用して決定することができる。例えば、3軸加速度計からの信号を使用して、コイル特性測定中の感知ユニット125の配向を決定しうる。深さセンサーを使用して、単一コイルから試料110までの距離(例えば、z軸に沿った位置)を決定しうる。深さセンサーは、表面に対する感知ユニット125の場所を決定するように構成された一つ以上の装置を含みうる。例えば、深さセンサーは、一つ以上のレーザーセンサーおよび/または音響位置センサーを含みうる。別の実施では、深さセンサーは、試料110の画像を取り込むように構成された一つ以上のカメラを含みうる。画像は処理されて、例えば、structure−from−motion技術を使用して、試料110までの深さを決定しうる。
【0055】
マップ生成システム140は、コイルの場所および配向データと共にコイル特性測定値を受信し、データを処理して、試料110の三次元電磁特性マップを生成することができる。マップ生成システム140は、
図1では手持ち式装置120から離れて配置されているとして示している。しかし、その他の実施形態では、マップ生成システム140は手持ち式装置120の一部として含まれうる。
【0056】
マップ生成システム140は、デスクトップ、ラップトップ、サーバ、携帯装置、一つ以上のプロセッサを持つディスプレー、または一つ以上のプロセッサおよび一つ以上の記憶装置を持つその他の適切な計算装置のうち一つ以上など、一つ以上の計算装置を含みうる。マップ生成システム140は、(例えば、クラスタまたはその他の分散型計算システムの)一つ以上のネットワークコンピュータを使用して実施されうる。例えば、マップ生成システム140は、一つ以上の遠隔装置160と(例えば、有線または無線接続またはネットワークを通して)通信しうる。
【0057】
計算システム140は、一つ以上のプロセッサ142および一つ以上の記憶装置144を含む。一つ以上のプロセッサ142は、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、集積回路またはその他の適切な処理装置など、任意の適切な処理装置を含みうる。記憶装置144は、RAM、ROM、ハードドライブ、フラッシュドライブ、光学媒体、磁気媒体またはその他の記憶装置を含むがこれらに限定されない、さまざまな有形非一時的コンピュータ可読媒体の一つ以上の単一または複数の部分を含みうる。マップ生成システム140は、一つ以上の入力装置162(例えば、キーボード、マウス、タッチスクリーン、タッチパッド、マイクなど)および一つ以上の出力装置164(例えば、ディスプレー、スピーカーなど)をさらに含みうる。
【0058】
記憶装置144は、一つ以上のプロセッサ142によって実行された時、一つ以上のプロセッサ142に演算を実施させる命令146を保存できる。マップ生成システム140は、命令146にアクセスすることによって望ましい機能を提供する専用マシンとして機能するように適合されうる。命令146はハードウェアまたはソフトウェアで実施されうる。ソフトウェアが使用される時、任意の適切なプログラミング、スクリプト作成、またはその他のタイプの言語または言語の組み合わせを使用して、本明細書に含まれる教示を実施しうる。
【0059】
図示されるように、記憶装置144は、一つ以上のプロセッサ142によって実行される時、一つ以上のプロセッサ142に磁場誘導トモグラフィー(「MIT」)モジュール148を実行させる命令146を保存できる。MITモジュール148は、
図10に開示した方法など、単一コイルを使用した磁場誘導トモグラフィー撮像のために本明細書に開示された方法の一つ以上を実施するように構成されうる。
【0060】
図1の一つ以上の記憶装置144は、コイル特性測定値、位置データ、三次元電磁特性マップ、およびその他のデータなどのデータも保存できる。図示されるように、一つ以上の記憶装置144は、分析モデル150と関連するデータを保存できる。分析モデル150は、単一コイルで取得されたコイル特性測定値と試料110の電磁特性分布との関係を定義できる。分析モデル例の特徴が、以下でさらに詳細に記述される。
【0061】
MITモジュール148は、入力装置162から、コイル装置120から、位置決めシステムから、一つ以上の記憶装置144、またはその他のソースに保存されたデータから入力データを受信するように構成されうる。MITモジュール148は次に、開示された方法に従ってこのようなデータを分析し、三次元電磁特性マップなどの利用可能出力を、出力装置164を介して使用者に提供する。分析は、代替的に、一つ以上の遠隔装置160によって実行されうる。
【0062】
本明細書に記述された技術は、計算システム、サーバ、データベース、ソフトウェアアプリケーション、およびその他のコンピュータベースのシステムに加えて、取られた措置、およびこのようなシステムへと/から送信される情報を参照する。当業者であれば、本明細書に提供された開示を使用して、コンピュータベースのシステムの固有の柔軟性により、構成要素間およびその中で、さまざまに異なる可能な構成、組み合わせ、ならびにタスクおよび機能の分割が可能であることを認識するであろう。例えば、本明細書に記述されたプロセスは、単一の計算装置または組み合わせで動作する複数の計算装置を使用して実行されうる。データベースおよびアプリケーションは、単一システムまたは複数のシステム全体にわたって分配されて実行されうる。分配された構成要素は、順次にまたは並行して動作しうる。
【0063】
図4は、本開示の実施形態例による手持ち式装置を使用して、複数のコイル特性測定値からシステム100によって生成されうる導電率マップ180の一例を示す。導電率マップ180は、手持ち式装置120によって取得された測定値に基づいて、
図1のMITモジュール148により生成される三次元導電率マップの断面の二次元図を提供しうる。
図4の導電率マップ180は、例えば、
図1の計算システム140の出力装置164上に表示されうる。
【0064】
図4の導電率マップ180は、脊柱管を横切して明らかにした患者の脊柱の横断像を提供している。導電率マップ180は、センチメートル単位で、x、y、およびz軸に沿って導電率分布をプロットしている。導電率マップ180は、S/m単位で導電率の変化の程度と関連するグレースケールの色を示すスケール182を含む。図示されるように、導電率マップ180は、脊髄領域のヒト組織の領域の対比導電率を示し、患者の脊髄領域の画像を提供できる。
【0065】
図5は、本開示の実施形態例による単一コイルを使用して、複数のコイル特性測定値からシステム100によって生成されうる導電率マップ190の別の例を示す。導電率マップ190は、手持ち式装置120によって取得された測定値に基づいて、
図1のMITモジュール148により生成される三次元導電率マップの断面の二次元図でありうる。
図5の導電率マップ190は、例えば、
図1の計算システム140の出力装置164上に表示されうる。
【0066】
図5の導電率マップ190は、脊柱からオフセットされているが脊椎に並行な、患者の脊髄領域の矢状断像を提供する。導電率マップ190は、センチメートル単位で、x、y、およびz軸に沿って導電率分布をプロットしている。導電率マップ190は、S/m単位で導電率の変化の程度と関連するグレースケールの色を示すスケール192を含む。図示されるように、導電率マップ190は、脊髄領域のヒト組織の領域の対比導電率を示し、患者の脊髄領域の画像を提供できる。このスライスは、肋骨と椎骨の横突起との接続と関連する構造を横切して明らかにしている。導電率マップ180および導電率マップ190は、その他の図と共に、診断およびその他の目的で患者の脊髄領域の異なる画像を提供できる。
【0068】
手持ち式装置によって得られる複数のコイル特性測定値から、三次元導電率マップを取得するための定量分析モデル例をこれから説明する。定量モデルが、任意の導電率分布に対して開発されているが、誘電率および透磁率は空間的に均一であるとしている。過渡電流がループに沿ったすべての点で同じ値を持つと見なして、すべてが共通平面内にあり直列に接続されており、複数の同心円形ループを含むコイル形状に対して、定量分析モデルが開発された。導電率分布は、空間的には任意に異なることが許容される一方、電界に対する解決策は小さな導電率の限度(<10S/m)で追求される。無電荷状態が保持されると想定され、それによって電界はゼロ発散を持つと見なされる。これらの条件下で、電界は外部電流および渦電流のみによる。
【0069】
定量分析モデルは、試料の導電率分布、試料に対する単一コイルの位置および配向、コイルの形状(例えば、複数の同心導電ループのそれぞれの半径)およびその他のパラメータを含む、さまざまなパラメータを持つコイルのインピーダンスの実数部の変化(例えば、抵抗損)と相関しうる。モデルの一例が以下に提供されている:
【0071】
−Z
reはコイル特性測定値(例えば、コイルのインピーダンス損失の実数部)である。μは自由空間の透磁率である。ωはコイルの励起周波数である。ρ
k およびρ
j は、各相互作用ループ対j,kの各導電ループjおよびkの半径である。関数Q
1/2はリング関数または円環調和関数として知られており、ここに示されるように引数η
jおよびη
kを持つ:
【0074】
ループがすべてXY平面内に横たわるように、同心ループの中心に配置された座標系に関して、ρはコイル軸から試料内の点までの半径距離であるのに対し、zはコイル平面から試料内の同じ点までの距離である。
【0076】
を位置の関数として導入する。(例えば、四面体要素の)有限要素メッシュを使用して積分を評価し、複数のコイル特性測定値の導電率分布を生成できるが、これは以下でさらに詳細に記述される。
【0077】
磁場誘導トモグラフィー撮像用コイルデザインの例
【0078】
定量モデルの例によって意図されるコイルに近似するコイル設計例をこれから説明する。本開示の態様例によるコイルは、多層プリント配線基板上の2つの平面に配列された複数の同心導電ループを含みうる。複数の同心導電ループは、第一の平面内に位置する複数の第一の同心導電ループ、および第二の平面内に位置する複数の第二の同心導電ループを含みうる。第二の平面は、第一の平面から平面分離距離だけ間隔を置くことができる。平面分離距離は、コイルが、本明細書に開示された磁場誘導トモグラフィー撮像のための定量分析モデル例に意図された単一平面に近似するように選択されうる。
【0079】
さらに、複数の導電ループは、複数の接続トレースを使用して直列に接続されうる。複数の接続トレースは、接続トレースによって生成される磁場への寄与が減少されうるように配列することができる。このように、本開示の態様例によるコイルは、互いに同心円をなすように配列され、同じ平面に位置する複数の円形ループに近似した挙動を呈しうる。
【0080】
図6は、本開示の態様例による磁場誘導トモグラフィー撮像用に使用されるコイル200の例を示す。図示されるように、コイル200は10個の同心導電ループを含む。より具体的には、コイル200は、第一の平面に配置された5つの同心導電ループ210および第二の平面に配置された5つの第二の同心導電ループ220を含む。第一および第二の同心導電ループ210および220は、多層プリント配線基板上の1mmまたは0.5mm銅トレースでありうる。実施の一例では、どちらかの平面の5つの同心導電ループの半径は、それぞれ約4mm、8mm、12mm、16mm、および20mmにセットされる。本開示の範囲から逸脱することなく、その他の適切な寸法および間隔を使用しうる。
【0081】
図示されるように、複数の第一の同心導電ループ210のそれぞれは、それが複数の第二の同心導電ループ220の一つと重なるように配置される。さらに、第一の同心導電ループ210および第二の同心導電ループ220は、平面分離距離で分離される。平面分離距離は、コイル200が、定量分析モデルによって意図される同心ループの単一平面に近似するように選択される。例えば、平面分離距離は、約0.5mmなど、約0.2mm〜約0.7mmの範囲でありうる。
【0082】
複数の第一の導電ループ210は第一の最も内側の導電ループ214を含みうる。第一の最も内側の導電ループ214はRFエネルギー源に連結されうる。複数の第二の導電ループ220は第二の最も内側の導電ループ224を含みうる。第二の最も内側の導電ループ224は、基準ノード(例えば、接地ノードまたは共通ノード)に連結されうる。
【0083】
コイルは、第一の同心導電ループ210および第二の同心導電ループ220を直列に接続するために使用される複数の接続トレース230をさらに含む。より具体的には、接続トレース230は、複数の第一の同心導電ループ210を互いに直列に連結し、複数の第二の同心導電ループ220を互いに直列に連結しうる。接続トレース230は、最も外側の第一の同心導電ループ212を最も外側の第二の同心導電ループ214と直列に連結する接続トレース235も含みうる。
【0084】
図7により詳細に示されるように、接続トレース230は、接続トレースから発している磁場が互いに反対になるように配列されうる。より具体的には、接続トレース230は、第一の平面に位置する複数の接続トレースの一つの電流が第二の平面に位置する接続トレースの一つの電流と反対になるように、放射状に整列されうる。例えば、
図7を参照すると、第一の平面に配列された接続トレース232は、第二の平面の接続トレース234とほぼ放射状に整列しうる。接続トレース232に流れる電流は、接続トレース232および234によって生成される磁場が互いに対抗またはキャンセルし合うように、接続トレース234に流れる電流と反対でありうる。
【0085】
図7にさらに示されるように、複数の第一の導電ループ210および第二の導電ループ220のそれぞれは、接続トレース230を使用して導電ループの接続を促進するために、ギャップ240を含みうる。ギャップは、約0.5mmなど、約0.2mm〜約0.7mmの範囲でありうる。
【0086】
ギャップ240は互いにオフセットされて、複数の同心導電ループ210および220の直列接続を促進しうる。例えば、複数の第一の同心導電ループ210の一つと関連するギャップは、複数の第一の同心導電ループ210のもう一つと関連するギャップからオフセットされうる。同様に、複数の第二の同心導電ループ220の一つと関連するギャップは、複数の第二の同心導電ループ220のもう一つと関連するギャップからオフセットされうる。第一の同心導電ループ210の一つと関連するギャップも、複数の第二の同心導電ループ220の一つと関連するギャップからオフセットされうる。オフセットされたギャップは、コイル200と関連する同じ軸に沿っていない可能性がある。
【0087】
図6および7のコイル200は、磁場誘導トモグラフィー撮像のための定量分析モデルによって意図されるコイルの良好な近似を提供しうる。このように、コイル200を使用したコイル特性測定値を使用して、対象試料(例えば、ヒト組織試料)の三次元電磁特性マップを生成しうる。
【0088】
図8は、本開示の態様例による磁場誘導トモグラフィー撮像用コイルを提供するための方法(300)例のプロセスフロー図を示す。
図8は、例示および考察の目的のために特定の順序で実施されるステップを示す。当業者であれば、本明細書に提供された開示を使用して、本明細書に開示された方法のいずれのステップも、本開示の範囲から逸脱することなく、さまざまな方法で変更、省略、再配置、適合、または説明されうることを理解するであろう。
【0089】
(302)では、複数の第一の同心導電ループが第一の平面に配列される。例えば、
図6のコイル200の複数の第一の同心導電ループ210は、多層プリント配線基板の第一の平面上に配列される。
図8の(304)では、複数の第二の同心導電ループが第二の平面に配列される。例えば、
図6の複数の第二の同心導電ループ220は、多層プリント配線基板の第二の平面上に配列される。
【0090】
第一の平面および第二の平面は、平面分離距離によって分離されうる。平面分離距離は、コイルが、本明細書に開示された磁場誘導トモグラフィーのための定量分析モデルの同心導電ループの単一平面に近似するように選択されうる。例えば、平面分離距離は、約0.2mm〜約0.7mmの範囲になるように選択されうる。
【0091】
(306)で、複数の第一の同心導電ループは、第一の平面の複数の第一の接続トレースを使用して、直列に連結される。
図8の(308)で、複数の第二の同心導電ループは、第二の平面の複数の第二の接続トレースを使用して、直列に連結される。接続トレースは、接続トレースによって生成された磁場が互いに対抗するように、放射状に整列されうる。例えば、複数の第一の接続トレースの一つの電流が複数の第二の接続トレースの一つの電流と反対になるように、複数の第一の接続トレースおよび複数の第二の接続トレースが放射状に配列されて複数の第一の同心導電ループおよび複数の第二の同心導電ループを直列に接続するように、接続トレースは配列されうる。
【0092】
(308)で、方法は、複数の第一の同心導電ループおよび複数の第二の同心導電ループが直列に連結されるように、(310)で、第一の平面に位置する第一の最も外側の導電ループと第二の平面の第二の最も外側の導電ループを連結する工程を含みうる。例えば、
図6を参照すると、第一の最も外側の導電ループ212は、第二の最も外側の導電ループ222と直列に連結されうる。
【0093】
図8の(312)で、方法は、第一の最も内側の導電ループをRFエネルギー源に連結する工程を含みうる。例えば、
図6を参照すると、複数の第一の同心導電ループ210の最も内側の導電ループ214は、RFエネルギー源に連結されうる。
図8の(314)で、第二の最も内側の導電ループは、基準ノード(例えば、接地ノードまたは共通ノード)に連結されうる。例えば、
図6を参照すると、複数の第二の同心導電ループ220の最も内側の導電ループ224は、基準ノードに連結されうる。
【0094】
コイル特性測定値を取得するための回路の例
【0095】
図9は、
図6および7のコイル200を使用してコイル特性測定値を得るために使用されうる回路400の例の図を示す。示されるように、
図9の回路400は、コイル200をRFエネルギーで励磁するように構成されたRFエネルギー源410(例えば、発振回路)を含む。RFエネルギー源410は、固定周波数でRFエネルギーをコイル200に適用するように構成された固定周波数水晶発振器でありうる。固定周波数は、例えば、約12.5MHzでありうる。実施形態の一例では、RFエネルギー源410は、コイル200の複数の第一の同心導電ループの最も内側の導電ループに連結されうる。コイル200の複数の第二の同心導電ループの最も内側の同心導電ループは、基準ノード(例えば、共通または接地)に連結されうる。
【0096】
回路400は、一つ以上のプロセッサ420を含み、回路400のさまざまな側面を制御することに加えて、回路400によって得られた情報(例えば、測定回路430によって得られた情報)を処理することができる。一つ以上のプロセッサ420は、デジタル信号プロセッサ、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、集積回路またはその他の適切な処理装置など、任意の適切な処理装置を含みうる。
【0097】
一つ以上のプロセッサ420は、コイル200を使用してコイル損失測定値を取り込むために、回路400のさまざまな構成要素を制御するように構成されうる。例えば、一つ以上のプロセッサ420は、コイル特性測定のためにコイル200が試料に隣接して位置付けられた時、コイル200を共振または近共振へと駆動するように、コイル200と並列に連結されたバラクタ415を制御できる。一つ以上のプロセッサ420は、測定回路430も制御して、コイル200が試料に隣接して位置付けられた時、コイル特性測定値を得ることができる。
【0098】
測定回路430は、コイル200でコイル特性測定値を取得するように構成されうる。コイル特性測定値は、試料に誘導された渦電流から生じるコイル200のコイル損失を示しうる。一つの実施では、測定回路430は、コイル200のアドミタンス変化の実数部を測定するように構成されうる。コイル200のアドミタンス変化の実数部は、分析モデルの目的のためにアドミタンスの逆数としてコイル200のインピーダンス変化の実数部に変換されうる。
【0099】
コイル200のアドミタンスはさまざまな方法で測定されうる。一つの実施形態では、測定回路430は、位相偏移測定回路432および電圧利得測定回路434を使用してアドミタンスを測定する。例えば、測定回路430は、Analog Devices社からのAD8302位相および利得検出器を含みうる。位相偏移測定回路432は、コイル200に関連する電流と電圧の間の位相偏移を測定できる。電圧利得測定回路434は、コイル200と直列に連結された検出抵抗器の電圧とコイル200全体にわたる電圧の比率を測定できる。コイル200のアドミタンスは、測定回路430によって得られるコイル200の位相および利得に基づいて(例えば、一つ以上のプロセッサ420により)派生されうる。
【0100】
コイル特性測定値が得られたら、一つ以上のプロセッサ420は、コイル特性測定値を、例えば記憶装置に保存できる。一つ以上のプロセッサ420は、通信装置440を使用してコイル特性測定値を処理のために一つ以上の遠隔装置に伝達し、試料の三次元電磁特性マップを生成することもできる。通信装置440は、有線または無線接続および/またはネットワークにより、情報を遠隔装置に伝達するための任意のインターフェースまたは装置を含みうる。
【0101】
磁場誘導トモグラフィー撮像のための方法の例
【0102】
図10は、本開示の態様例による磁場誘導トモグラフィー撮像のための方法(500)の例のプロセスフロー図を示す。方法(500)は、
図1に示されるマップ生成システム140の一つ以上の計算装置など、一つ以上の計算装置によって実行されうる。さらに
図10は、例示および考察の目的のために特定の順序で実施されるステップを示す。当業者であれば、本明細書に提供された開示を使用して、本明細書に開示された方法のいずれのステップも、本開示の範囲から逸脱することなく、さまざまな方法で変更、省略、再配置、適合、または説明されうることを理解するであろう。
【0103】
(502)で、方法は、試料に対して複数の異なる個別場所で手持ち式装置を使用して得られた複数のコイル特性測定値にアクセスする工程を含みうる。例えば、複数のコイル特性測定値は、記憶装置からアクセスできる、またはコイル特性測定値を取得するために構成された単一コイルを持つコイル装置から受信できる。コイル特性測定値は、単一コイルがRFエネルギーで励磁されて、複数の個別場所の一つに試料に隣接して配置された時、単一コイルによって取り込まれるコイル損失測定値でありうる。
【0104】
一つの実施では、単一コイルは複数の同心導電ループを含みうる。例えば、単一コイルは、第一の平面に配列された複数の第一の同心導電ループ、および第二の平面に配列された複数の第二の同心導電ループを持つ。複数の同心導電ループは、コイルによって生成される磁場に対する影響が減少するように配列された接続トレースを使用して、接続されうる。例えば、単一コイルは、
図6および7に示されるコイル200のコイル形状を持ちうる。
【0105】
コイル特性測定値は、試料に対する複数の個別位置で取得されうる。各コイル特性測定値は、試料に対して異なる個別位置でとられうる。より多くの数のコイル特性測定値は、三次元電磁特性マップ生成の正確性の増加につながりうる。
【0106】
特定の実施形態では、コイル特性測定値は、コイル特性測定値の複数の異なるデータセットを含みうる。データセットのそれぞれは、単一コイルを使用して複数のコイル特性測定を実施することにより構築されうる。単一コイルは各データセットに対して異なりうる。例えば、各データセットは、その他のデータセットと関連したその他の単一コイルのいずれかに対して、異なる全体的サイズおよび/または外径を持つ単一コイルと関連しうる。データセットは異なる時点で取得されうる。データセットは本開示の態様例に従って集合的に処理し、以下に記述されるように試料の電気特性分布の三次元マップを生成しうる。
【0107】
図10の(504)で、方法は、位置データを複数のコイル特性測定値のそれぞれと関連付ける工程を含む。各コイル特性測定値の位置データは、コイル特性測定が実施された時の試料に対する単一コイルの位置および/または配向を示しうる。位置データは、例えば、計算システムの記憶装置で、各コイル特性測定値と関連付けられうる。
【0108】
位置データは様々な方法で取得されうる。一つの実施では、測定値を取得するために手持ち式装置が使用される時、手持ち式装置の位置および/または配向を決定するように構成された位置決めシステムと関連付けられたデータから、各測定値に対して位置データを取得しうる。さらに、手持ち式装置と関連付けられた一つ以上のセンサー(例えば、一つ以上のモーションセンサーおよび一つ以上の深さセンサー)からの信号は、コイル特性測定値の位置データを決定するためにも使用されうる。
【0109】
(506)で、方法は、単一コイルで取得されたコイル特性測定値と試料の電磁特性との関係を定義する分析モデルにアクセスする工程を含む。例えば、分析モデルは、例えば記憶装置からアクセスしうる。一つの特定の実施では、分析モデルは、複数の同心導電ループを持つ単一コイルのインピーダンスの変化と試料の導電率分布とを関連付ける。より具体的には、分析モデルは、単一コイルのインピーダンスの変化と様々なパラメータを関連付けることができる。パラメータは、試料の導電率分布、各コイル損失測定値と関連する位置および配向、ならびにコイルの形状(例えば、同心導電ループのそれぞれの半径)を含みうる。定量モデル例に関する詳細は、上述の単一コイルの定量分析モデル例の考察で提供されている。
【0110】
(508)で、方法は、複数のコイル特性測定値および関連する位置データに基づいて、分析モデルを評価する工程を含む。より具体的には、複数の取得されたコイル特性測定値に最も近いものをもたらす導電率分布を決定するために、モデルを使用して反転を実施しうる。一つの態様例では、反転は、試料を有限要素メッシュに離散化することによって実施されうる。有限要素メッシュは、四面体要素など、複数の多角形要素を含みうる。有限要素メッシュの形状および解像度は、分析されている試料に合わせることができる。実用性上、コイル場所位置を使用して、コイルが行ったことのある空間領域のメッシングを避けて、効率を改善することができる。有限要素メッシュが試料に対して生成されたら、有限要素メッシュの導電率分布を、非線形または拘束条件付き最小二乗法を使用して計算しうる。
【0111】
より具体的には、複数の電磁特性分布候補を有限要素メッシュに対して計算しうる。これらの電磁特性分布候補のそれぞれは、平均二乗誤差など、費用または目的関数を使用して評価されうる。費用または目的関数は、取得されたコイル特性測定値とモデルを使用した理論的コイル特性測定値との差に少なくとも一部基づいて、費用を各電磁特性分布候補に割り当てることができる。最低費用の電磁特性分布候補を、試料に対する電磁特性分布として選択できる。当業者であれば、本明細書に提供された開示を使用すれば、その他の適切な技術を使用し、本開示の範囲から逸脱することなく、分析モデルを使用して電磁特性分布を決定しうることを理解するであろう。
【0112】
(510)で、反転アルゴリズムを使用して特定された電磁特性分布に基づいて、三次元電磁特性マップが生成されうる。三次元特性マップは、試料に関連する複数の三次元点に対する電磁特性分布(例えば、導電率分布)を提供できる。次に三次元電磁特性マップの断面に沿った二次元図を取込み、例えば表示装置上に表示しうる。三次元電磁特性マップの三次元図を生成し、回転し、例えば表示装置上に表示しうる。
【0113】
本主題は、その特定の実施形態例に関して詳細に記述されているが、当然のことながら、当業者であれば、上記の理解を得ることで、このような実施形態に対する改造、その変形、およびそれとの等価物を容易に作ることができる。従って、本開示の範囲は限定としてではなく例としてであり、当業者にとっては明らかであるので、本開示はこのような改造、変形および/または本主題への追加の包含を排除しない。