【文献】
うさぎのトイレが想像以上に凄い:うさぎのいる生活,日本,2013年 8月24日,URL,http://blog.livedoor.jp/inodaiinodai/archives/31125405.html
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
第1および第2積層体は、折りたたまれた各液体吸収シートが包装袋に個別的に収納された状態で積層されて形成されることを特徴とする請求項2記載の液体吸収シートの梱包体。
(a)平面形状がほぼ直角2等辺3角形であり、液体を透過しない底部材と、底部材の外周部で底部材に連なって上方に延びる壁とを有し、底部材の上方に開放した空間を有し、この空間は、少なくとも排泄姿勢にあるペットを収容する大きさを有する容器と、
(b)容器の底部材上に乗載される請求項1記載の液体吸収シートであって、
延在部およびその延在部付近の前記接着された周縁部は、容器の底部材の頂角部付近で、底部材から壁に沿って上方に弯曲して延び、
延在部に連なる少なくとも等辺付近の前記接着された周縁部は、底部材から壁に沿って上方に弯曲して延びる液体吸収シートと、
(c)容器内で、液体吸収シートの上方に間隔をあけて設けられ、ペットが乗った状態で排泄する排泄物が通過して落下する透孔を有する簀子(すのこ)部材とを含むことを特徴とするペット用排泄装置。
【発明を実施するための形態】
【0035】
図1は本発明の実施の一形態の液体吸収シート11の斜視図であり、
図2は液体吸収シート11の平面図であり、
図3(1)は液体吸収シート11の正面図であり、
図3(2)は
図3(1)の切断面線A−A1から見た拡大正面図であり、
図4(1)は液体吸収シート11の背面図であり、
図4(2)は
図4(1)の切断面線B−B1から見た拡大背面図であり、
図5(1)は液体吸収シート11の左側面図であり、
図5(2)は
図5(1)の切断面線C−C1から見た拡大左側面図である。液体吸収シート11の背面は、
図2の平面図と対称に表われ、液体吸収シート11の右側面は、
図5の左側面図と対称に表われる。
図6(1)は、
図2の切断面線VI−VIから見た簡略化した断面図であり、
図6(2)は
図6(1)のセクションDの拡大断面図であり、
図6(3)は
図6(1)のセクションEの拡大断面図である。液体吸収シート11は、後述の
図7および
図8に示されるようにした梱包され、
図9〜
図20に示されるうさぎ16(
図9および
図10)の尿、糞などの排泄物を受ける排泄装置17のために用いられる。
【0036】
液体吸収シート11は、吸収体12が表面シート13と裏面シート14とによってサンドイッチされて構成される。理解の便宜のために、図面中、表面シート13と裏面シート14とによって覆われる吸収体12は、実線で示される。表面シート13と裏面シート14と表面シート13と裏面シート14とは、吸収体12よりも大きい平面形状を有し、液体透過性である。裏面シートは、液体不透過性であってもよい。表面シート13の周縁部21と裏面シート14の周縁部22とは、吸収体12の周縁部外方の全周にわたって、
図6の参照符24で示される接着領域で、ホットメルト接着材などによって、または熱融着によって接着される。
【0037】
吸収体12は、基層25と吸収増強層26とを有する。吸収増強層26は、基層25の表面シート13側(
図6の上方)で、基層25上の吸収増強層26に対応する予め定める領域に設けられる。吸収体12は、その厚みが平面形状の全面にわたって、ほぼ均一であり、偏平である。基層25の繊維状吸収材は、綿状パルプまたはフラッフパルプから成り、液体吸収性樹脂は、たとえばポリアクリル酸ナトリウム系などの高分子ポリマなどから成り、粒状である。この基層25は、繊維状吸収材と液体吸収性樹脂とが単位面積あたり均一な比率で分布され、基層全体にわたって均一に混合されていてもよい。
【0038】
うさぎ16の尿は、カルシウム分を含み、その尿量は、20〜350mL/体重kg/24時間であり、平均130mL/体重kg/24時間である。この尿量に対応して、前述の基層25を構成する綿状パルプは、坪量50〜300g/m
2であり、粒状液体吸収性樹脂高分子ポリマは坪量20〜150g/m
2である。吸収増強層26を構成する粉状液体吸収性樹脂に高分子ポリマの坪量20〜200g/m
2である。基層25および吸収増強層26の前述の粒状の液体吸収性樹脂の粒径は、たとえば3μmφ〜0.3mφであってもよい。
【0039】
基層25はまた、繊維状吸収材の層と液体吸収性樹脂の層とが厚み方向に複数層にわたって積層されて集積された構成を有してもよい。前記予め定める領域である吸収増強層26を構成する液体吸収性樹脂は、基層25に含まれる液体吸収性樹脂と同一物質であってもよいが、異なってもよい。
【0040】
吸収体12はまた、第1シート27と第2シート28とによってサンドイッチされる。第1および第2シート27,28は、尿を拡散させて全体に行き渡らせる働きをする。第1および第2シートは、ティッシュなどであってもよい。第1シート27は、吸収増強層26が形成される前記予め定める領域と、基層25の残余の領域とにわたって、
図6の上方に配置される。第2シート28は、基層25の
図6における下方の全面にわたって配置される。
【0041】
図2〜
図5などでは、理解の便宜のために、表面シート13シートと裏面シート14とによってサンドイッチされた連続した長尺の吸収体12を、個別的に実線で示し、また吸収増強層26が形成される予め定める領域も実線で示される。
【0042】
各吸収体12は、その全体の平面形状がほぼ直角2等辺3角形であり、直角2等辺3角形に近似した形状を有する。この直角2等辺3角形は、直角を挟む2辺である等辺31,32と底辺である斜辺33とを有する。延在部34は、頂角部35に連なり、斜辺33から遠ざかる方向(
図2の上方)に突出して延びる。前述の予め定める領域は、この直角2等辺3角形の頂角部35付近および延在部34である。直角2等辺3角形の底角部36,37の付近は、斜辺33から遠ざかる方向(
図2の上方)に延在部34の長さL1と同じ長さL2(=L1)だけ切欠かれた切欠き部38,39である。
【0043】
基層25上の吸収増強層26は、延在部34の
図2における左右方向の幅W1よりも大きい幅W2を有する。吸収体12の
図2における長さL3は、吸収増強層26の
図2の上下長さL4の2倍である(L3=2・L4)。
【0044】
吸収増強層26の幅W2における延在部34の幅W1からはみ出した領域は、
図2において仮想線で示されており、この仮想線で示される領域は、底角部36,37において、幅W3,W4を有する底角部分領域41,42に対応する(W3=W4、W2−W1=2・W3)。この実施の形態では、W2>W1とすることによって、各吸収体12毎の切断位置の精度が低くても、延在部34とその付近にわたって全面に、液体吸収性樹脂を散粒して吸収増強層26も形成することが確実になる。本発明の実施の他の形態では、W1=W2とし、底角部36,37付近における領域41,42をなくすようにしてもよい(W3=W4=0)。
【0045】
表面シート13および裏面シート14の各周縁部21,22の幅W5は、吸収体12の全ての周縁にわたってほぼ同一の値である。液体吸収シート11および吸収体12は、
図2の対称面44に関して面対称に構成される。対称面44は、直角2等辺3角形の頂角を通り、斜辺に垂直な軸線を含み、吸収増強層26上に存在する。
【0046】
吸収体12の延在部34では、前述の等辺31,32に連なり斜辺33に垂直な延在側辺51,52と、延在頂辺53を有する。延在頂辺53は、これらの延在側辺51,52に垂直である。等辺31,32と斜辺33とは、切欠き部38,39の切欠き辺54,55に連なる。
【0047】
本発明の実施の第1形態における基本的な考え方によれば、延在側辺51,52は、
図2の上下方向に平行であり、切欠き辺54,55は、
図2の上下方向に平行であり、したがって延在側辺51,52と切欠き辺54,55とは、斜辺33に垂直である。この実施の第1形態が遭遇する問題を述べる。後述の
図49に示される第1切断機109のダイカッタロール262とアンビルロール263との間で、長尺吸収体12cを切断して延在側辺51,52と切欠き辺54,55とを形成する各時点で、回転刃133の先端は、ダイカッタロール262の回転軸線を含む仮想平面内で一直線状に存在する。そのため対向するアンビルロール263によって回転刃133に過大な圧縮衝撃力が作用し、その先端が損傷するおそれがあるという問題がある。延在頂辺53と等辺31,32と斜辺33とを切断によって形成する際には、回転刃133の先端は、ダイカッタロール262の回転軸線を含む仮想平面内で一直線状には存在せず、その仮想平面と交差するので、前記問題は生じない。
【0048】
本発明の実施の第2形態では、延在側辺51,52と切欠き辺54,55とを切断する際に生じる前記問題を回避するために、回転刃133の先端が、ダイカッタロール262の回転軸線を含む仮想平面内で一直線状に存在せずに、その仮想平面と交差するように構成する。これによって、
図49に示される第1切断機109の回転刃133の先端が、アンビルロール263との間で長尺吸収体12cの切断位置を、ダイカッタロール262とアンビルロール263との回転に伴って、長尺吸収体12cが第1ベルトコンベア96による搬送方向すなわち流れ方向に移動するに従って、言わば、はさみで切断する動作と同様に、長尺吸収体12cの幅方向(
図2の左右方向)に連続して順次的に移動する。したがって、吸収体の切断中、回転刃133の先端が損傷することを防ぐことができる。実施の第2形態における
図1、
図2では、吸収体12の延在側辺51,52は、
図2の上方向になるにつれて相互に離反して延び、切欠き辺54,55は、延在側辺51,52の形状に対応して
図2の下方向になるにつれて相互に近接して延びる。本発明の実施の第3形態では、延在側辺51,52と切欠き辺54,55とは、相互に
図1、
図2の実施の第2形態とは相互に逆方向に延びて切断形成されてもよい。等辺31,32が延在側辺51,52と切欠き辺54,55とに連なる連続部分57〜59は丸みをおびて形成される。液体吸収シート11の表面シート13と裏面シート14を切断する後述の第2切断機119も、表面シート13と裏面シート14の切断形成のために、上述の第1切断機109の考え方に従って、同様に構成される。
【0049】
本件明細書中、本発明の実施の第1〜第3形態における構成を含める上位概念では、延在側辺51,52は、
図2の上下方向にほぼ平行であり、切欠き辺54,55は、
図2の上下方向にほぼ平行であり、したがって延在側辺51,52と切欠き辺54,55とは、斜辺33にほぼ垂直である、などと記述することがある。
【0050】
寸法の一例として、吸収体12の
図2における延在部34の幅W=4cm、吸収増強層26の幅W2=5.5cm、斜辺33の幅W6=29cm、周縁部21,22の幅W5=2cm、延在部34の長さL1および切欠き部38,39の長さL2はいずれも3cm、吸収増強層26の長さL4=10cmであってもよい。
【0051】
図7は2つ折りされた吸収体12を個別包装袋45に収納した状態を示す簡略化した斜視図であり、
図8はこれらの個別包装袋45に収納された液体吸収シート11を包装袋49に収納した梱包体50を示す簡略化した斜視図である。これらの図面を参照して、第1および第2集積体47,48に関連する構成を説明する。本件明細書中、参照符の数字には、添え字a,b,…を付して示し、添え字a,b,…を省略して総括的に数字だけで示すことがある。第1集積体47は、第1複数枚、たとえば15枚の各液体吸収シート11aが、対称面44aに関して折りたたまれた状態で
図8に示される第1の同一姿勢で集積された構成を有する。この液体吸収シート11aは、その対称面44aが
図8の左方であり、延在部34aが下方となった姿勢である。第2集積体48は、第2複数枚、たとえば前述の第1複数枚とほぼ同一である、たとえば15枚の液体吸収シート11bが、対称面44bに対して折りたたまれた状態で第2の同一姿勢で集積された構成される。この対称面44bは、
図8において右方であり、その延在部34bは
図8の上方である。包装袋49に収納されて被覆されるために、第1集積体47の液体吸収シート11aの等辺31a,32aと、第2集積体48の液体吸収シート11bの等辺31b,32bとが対向して配置され、第1集積体47の液体吸収シート11aの延在部34aと第2集積体48の液体吸収シート11bの切欠き部38b,39bとが対向して配置され、第1集積体47の液体吸収シート11aの切欠き部38a,39aと、第2集積体48の液体集積シート11bの延在部34bとが対向して配置された状態とされる。こうして梱包体50は、ほぼ立方体またはほぼ直方体であり、輸送取扱いが容易になり、輸送時および保管時などに、無駄な死空間がなくなる。
【0052】
上述の実施の形態では周縁部21,22の幅W5は吸収体12の全ての辺31,32,51〜55にわたって、ほぼ同一の値であるが、本発明の実施の他の形態では、各辺毎に異なる値であってもよく、たとえば延在部34付近において、他の部分よりも大きな値とし、あるいはまた切欠き部38,39の付近において他の部分よりも大きな値とするようにしてもよい。
【0053】
図9はペットであるうさぎ16のための排泄装置17の簡略化した斜視図であり、
図10は排泄装置17の簡略化した側方から見た一部切欠き断面図である。排泄装置17は基本的に、合成樹脂などから成る容器61と、容器61内に交換可能に敷設される液体吸収シート11と、液体吸収シート11の上方に配置されて容器61に着脱可能に取付けられる簀子(すのこ)部材62とを含む。うさぎ16は、その大きさがたとえば人の手のひらに乗る程度の大きさであり、たとえばその体重1.5〜3kgであり、
図9および
図10では簀子部材62に乗って排泄姿勢にある。
【0054】
図11は、排泄装置17の簡略化した斜視図である。容器61には液体吸収シート11が敷設される。この
図11では、簀子部材62が省略して示される。
【0055】
図12は容器61の平面図であり、
図13は容器61の正面図であり、
図14は容器61の左側面図であり、
図15は容器61の底面図であり、
図16は
図12の切断面線XVI−XVIから見た断面図である。この容器61は基本的に、平面形状がほぼ直角2等辺3角形である底部材63と、底部材63の外周部で底部材63に連なって上方に延びる前壁64と、側壁65,66とを有する。前壁64は底部材63のほぼ直角2等辺3角形の斜辺に位置し、側壁65,66は一対の等辺に対応する。側壁65,66は背後(
図12および
図15の上方、
図14の左方)になるにつれて高く形成され、これによってうさぎ16の排泄物が容器61の背後に飛散することを防ぐ。うさぎ16は
図9および
図10に示されるように、その尻を、底部材63の頂角部85付近で側壁65,66の連なる立上がり隅部に向けて、または立上がり隅部に当てて、正面を向いた排泄姿勢をとる習性を有する。尿などの排泄物は矢符68のように背後に向けて排泄されて、簀子部材62の透孔69(
図16および
図19参照)を通過して落下し、液体吸収シート11上に落下する。
【0056】
前壁64の上部には、外向きに突出して延びる突部71が形成され、両側壁65,66には突部71に連なる突部72が外向きに突出して形成される。
【0057】
図17は簀子部材62の平面図であり、
図18は簀子部材62の正面図であり、
図19は簀子部材62の右側面図である。簀子部材62は針金などの線状体が溶接されて構成され、容器61の底部材63の形状にほぼ対応した枠部材74と、その枠部材74の下部にそれぞれ固定されて透孔69を形成する複数本(たとえば7〜10本)の相互に交差した支持部材75、76とを含む。
【0058】
図20は、枠部材74が係止溝82に嵌合して係止している状態を示す一部切欠き断面図である。係止溝82は、容器61の前壁64と側壁65,66とにわたってそれらの内方に臨んで、底部材63と平行な仮想平面内で環状に凹んで形成される。簀子部材62の枠部材74は、その枠部材74および容器61の弾発力によって、係止溝82に嵌り込んで係止する。これによって簀子部材62がうさぎ16の移動時に容器61から移動したり外れたりすることが防がれるとともに、底部材63上の液体吸収シート11の取換え交換時などにおいて、簀子部材62を容器61から取外す作業が容易である。
【0059】
容器61は底部材63の上方に開放した空間87を有し、この空間87は、少なくとも排泄姿勢にあるペットであるうさぎ16を収容する大きさを有する。うさぎ16の排泄姿勢では、うさぎ16の身体の全体が簀子部材62上に乗ることができる状態となる。液体吸収シート11の延在部34およびその延在部34付近の周縁部21,22は、底部材63の頂角部85付近で、底部材63から側壁65,66に沿って上方に弯曲して延びる。延在部34に連なる少なくとも等辺31,32付近の周縁部21,22は、底部材63から側壁65,66、さらに前壁64に沿って上方に弯曲して延びる。これらの上方に延びる周縁部21,22は、簀子部材62の支持部材75、76よりも下方に位置し、うさぎ16がつかみ出したり、口で喰んだりすることができない状態にある。
【0060】
図21は、液体吸収シート11を製造するための製造装置91および製造工程における加工形態を示す図である。液体吸収シート11の製造装置91は基本的に、
図21aおよび
図21bの一部に示されるように吸収体12を製造する装置92と、これによって得られた吸収体12を表面シート13と裏面シート14とによってサンドイッチするシートサンドイッチ装置93と、これによって得られた個別的な液体吸収シート11を折りたたんで梱包する折りたたみ梱包装置94とを含む。
【0061】
吸収体製造装置92において、下流と上流とには第1および第2シート27,28をそれぞれ供給する第1および第2シートの供給手段98,99が設けられる。第1および第2シートの供給手段98,99は、ロール状に巻回された第1および第2シート27,28を、その最外周部に無端駆動ベルトの一方張架部分を摺接させて、第1ベルトコンベア96の搬送速度に対応する供給速度でそれぞれ供給する。搬送ベルト97上には第2シート供給手段99から第2シート28が供給され、この第2シート28の上に、連続した長尺の帯状の基層25が供給される。基層25の幅は、吸収体12の長さL3(
図2)を有する。この基層25は、繊維状吸収材と液体吸収性樹脂とが単位面積あたり均一な比率で分布される偏平な構成を有する。基層25上の予め定める領域26には選択的に、選択散粒手段103によって粒状の液体吸収性樹脂104が散粒され、吸収増強層26が、第1ベルトコンベア96の搬送方向に間隔をあけて間欠的に。かつ幅方向に左右交互に、言わば互い違いに、形成される。
図21aには、吸収増強層26が形成される前の基層25を
参照符102で示される。第1シート供給手段98は、基層25上に粒状液体吸収性樹脂104が配置された状態で、第1シート供給手段98から第1シート28を供給して重ねる。
【0062】
第1ベルトコンベア96によって搬送される粒状液体吸収性樹脂104が選択的に配置された基層25は、第1加圧機106の一対のロール107によって加圧圧縮される。こうして粒状液体吸収性樹脂104が配置された基層25は、偏平な薄い、全体の厚みがほぼ一様な帯状の長尺吸収体12cが形成される。第1加圧機106によって、長尺吸収体12cの厚みが設定される。この長尺吸収体12cは、第2ベルトコンベア108によって搬送され、第1切断機109に搬送される。第1切断機109は、長尺吸収体12cを幅方向に切断して、幅方向に相互に逆の姿勢にある個別的な吸収体12a,12bを交互に得る。
【0063】
第1および第2ベルトコンベア96,108の各搬送速度は同一の値V96であり、第1切断機109によって切断された個別の吸収体12を搬送する第3ベルトコンベア111の搬送速度V111は、搬送速度V96を超える値である(V111>V96)。これによって第1切断機109によって切断された個別の吸収体12a,12bの相互間に間隔W7があけられる(W7=2・W5、
図2)。
【0064】
シートサンドイッチ装置93では、第3ベルトコンベア111によって搬送される、間隔W7をあけた個別の吸収体12a,12bは、連続した長尺の表面シート13および裏面シート14によってサンドイッチされ、第2加圧機113によって加熱されるとともに加圧される。表面シート供給手段114および裏面シート供給手段116は、前述の第1および第2シートの供給手段98,99と類似の構成を有し、表面シートおよび裏面シートを、第3ベルトコンベア111の搬送速度に対応する供給速度でそれぞれ供給する。表面シート供給手段114からの表面シート13における吸収体12側の表面には、塗工手段115によってホットメルト接着材が。液体の吸収性能が充分に発揮される程度に、全幅にわたって塗工され、接着強度が向上される。裏面シート供給手段116から供給される裏面シート14における吸収体12側の表面には、もう1つの塗工手段117によってホットメルト接着材が塗工される。
【0065】
塗工手段117では、第3ベルトコンベア111の搬送方向に沿って幅方向に間隔をあけて複数本だけ線状に塗工される。第2加圧機113では、個別の吸収体12の第1および第2シート27,28および周縁部21,22にわたってホットメルトによる溶工加圧接着して一体化した構成とすることができるように、一対の加熱加圧ロールに凹凸が形成される。こうして得られた搬送方向に間隔W7があけられた個別の吸収体12a,12bが表面シート13と裏面シート14とによってサンドイッチされた連続する長尺の帯状の液体吸収シート11cは、ベルト加圧機118によって上下一対のベルトに挟持されて搬送されながらさらに加圧される。第2加圧機113の加圧のためのロールは、ホットメルト接着材などが付着して汚損されないように、そのロールの少なくとも表面を剥離性の優れた材料、たとえばシリコン系ゴム製とする。本発明の実施の他の形態では、第2加圧機113は加熱しない構成であってもよい。
【0066】
第2切断機119は、連続した帯状の長尺の液体吸収シート11cを個別の液体吸収シート11a,11bに切断する。
【0067】
折りたたみ梱包装置94において、第2切断機119からの個別の液体吸収シート11は、それらのうちの不良品が不良品排出装置121によって排出されて除去された後、折りたたみ手段121によって、前述の対称面44a,44bを折り目として2つ折りされて半折りされる。
【0068】
折りたたまれた液体吸収シート11a,11bは、整列装置124,125によって梱包のための相互に点対称な姿勢である第1および第2姿勢にそれぞれ整列される。これらの整列装置124,125によって整列された各液体吸収シート11は、さらに個別包装袋に収納されてもよく、その後、集積手段126,127によって、第1複数枚および第2複数枚ずつ重ねられて集積される。第1および第2複数は、たとえばほぼ同一数であって、前述のように15枚であってもよい。
【0069】
こうして第1および第2集積体47,48が集積手段126,127によって形成された後、包装袋49に、包装手段128に収納されて包装され、梱包されて梱包体50が完成される。
【0070】
この実施の形態によれば、長尺の基層25に第1ベルトコンベア96の搬送方向に沿って間隔をあけてその幅方向の左右寄りに吸収増強層26a,26bが交互に、いわば互い違いに配置され、そのため長尺の液体吸収シート11cには、個別の液体吸収シート11a,11bが搬送方向に順次的にかつ幅方向に相互に逆の姿勢で個別の液体吸収シート11a,11bが、相互に点対称に製造される。そのためこれらの液体吸収シート11a,11bを折りたたんで整列させて、第1および第2集積体47,48を形成するための構成を簡略化することができ、各集積体47,48の等辺31,32を対向して、相互に点対称に配置するための構成が簡略化されるという優れた効果が達成される。しかも連続した帯状の長尺の吸収体11cおよび表面シート13ならびに裏面シート14には、廃棄される無駄な部分がない。
【0071】
図22は、吸収体製造装置92の制御回路の動作を説明するためのブロック図である。シーケンサまたはマイクロコンピュータなどによって実現される処理回路131には、長尺の吸収体12cの第1切断機109によって切断される個別的な切断位置を表す切断位置検出器132からの検出信号が与えられる。この切断位置検出器132は、第1切断機109を構成する回転刃133(後述の
図49〜
図50)の回転角度を検出する構成であってもよい。処理回路131には、表示と制御のための入力操作とを兼用して達成する表示・入力手段135が接続される。
【0072】
選択散粒手段103は、粒状の液体吸収性樹脂を連続的に供給する連続供給手段137と、この粒状の液体吸収性樹脂を予め定める領域に散粒して吸収増強層26を形成する散粒手段138とを含む。連続供給手段137は、粒状液体吸収性樹脂の流量に対応する回転速度を達成する供給用モータ139を含み、この供給用モータ139は、処理回路131からの制御信号に応答するインバータ141によって駆動される。散粒手段138の第1ベルトコンベア96の搬送方向に沿う供給位置を決定するために、輸送制御可能なサーボモータなどによって実現される散粒用モータ142は、処理回路131によって制御されるサーボ回路143によって駆動される。
【0073】
図23は第1加圧機106から供給される連続した長尺吸収体12cの簡略化した平面図であり、
図24は
図23に示される長尺の吸収体12cの正面図であり、
図25は
図23に示される長尺の吸収体12cの背面図であり、
図26は
図23の切断面線2VI−2VIから見た横断面図である。
図23には図解の便宜のために、第1切断機109による切断位置を示す切断線145〜148が実線で示され、また
図24および
図25においても切断線145〜148が実線で示される。吸収体製造装置92は、このようにして連続した長尺の吸収体25cを製造する。
【0074】
図27は、基層25上に粒状の液体吸収性樹脂が散粒された状態を理解しやすくするために誇張して描いた模式的な断面図である。吸収増強層26を形成する粒状の液体吸収性樹脂の厚みTH1,TH2は、基層25上において同一の予め定める値である(TH1=TH2)。基層25上に散粒された粒状の液体吸収性樹脂は、前述の
図27では理解の便宜のために大きく隆起した厚みTH1,TH2で示されているが、実施の形態では、第1加圧機106による加圧操作前において、比較的小さな値である。
【0075】
図28は、第1加圧機106によって加圧された連続する長尺の吸収体12cの簡略化した断面図である。
図27の散粒された吸収増強層26は、第1加圧機106によって基層25とともに加圧されることによって、基層25に入り込み、ほぼ平坦な状態になって、吸収増強層26は基層25から
図28の上方に実質的に隆起しない。
図28では、基層25は、繊維状吸収材151に粒状の液体吸収性樹脂152が混入されて体積または質量の均一な比率で、したがって単位面積あたり均一な比率で混在する。
【0076】
図29は、第2加圧機113およびベルト加圧機118によって順次的に加圧された後における第2切断機119直前の連続した帯状の長尺の液体吸収シート11cの平面図である。
図30は
図29に示される長尺の液体吸収シート11cの正面図であり、
図31は
図29に示される長尺の液体吸収シート11cの背面図であり、
図32は
図29の長尺の液体吸収シート11cの側面図である。
図33は、
図29の切断面線3III−3IIIから見た横断面図である。
図29には第2切断機119によって切断される位置が切断線154〜157が、理解の便宜のために実線で示される。長尺の液体吸収シート11cには、搬送方向に沿って連続して、個別の各液体吸収シート11a,11bが幅方向に相互に逆の姿勢で、点対称に隣接して形成されることになる。
【0077】
図34(1)は、基層25を製造する基層製造手段101の簡略化した斜視図である。前述の
図21aをも併せて参照して、基層製造手段101は、繊維状吸収材151に粒状の液体吸収性樹脂152を全体にわたって均一な比率で混入して混合吸収材162を供給する混合吸収材供給手段161と、その混合吸収材162を用いて連続した長尺の帯状の基層25を形成する吸引ドラム163と、その吸引ドラム163を予め定める一定の速度で回転駆動するモータ164と、吸引ドラム163の内方から混合吸収材162を負圧吸引する負圧手段165とを含む。混合吸収材供給手段161では、一対の回転駆動される供給ロール166,167によってシート状のフラッフパルプなどの繊維状吸収材168が挟持されて供給され、回転刃169に押し当てられて綿状の繊維状吸収材151に粉砕される。供給ロール166,167のモータ171による回転駆動速度は、基層25の層厚および供給流量に対応する。粒状の液体吸収性樹脂152は、供給源172から繊維状吸収材151との予め定める比率が均一になるように予め定める流量で供給される。基層25の層厚、したがって吸引ドラム163の外周面に負圧吸引されて形成される混合吸収材162の層厚は、供給ロール166,167のモータ171による回転駆動速度を調整することによって、したがって混合吸収材供給手段161から吸引ドラム163上への混合吸収材162の供給流量を調整することによって、設定される。
【0078】
吸引ドラム163は直円筒状であり、水平な回転軸線を有し、多数の吸引孔174が全周にわたり均一に分布されて形成される。この各吸引孔174の口径は、混合吸収材162が通過しない大きさに選ばれる。混合吸収材162は、この吸引ドラム163の上方から外周面上に連続して供給される。吸引ドラム163は、直円筒状の網などによって実現されてもよい。
【0079】
負圧手段165において、複数、たとえば2つの負圧箱176,177は、吸引ドラム163の内方で周方向に隣接して固定位置に配置される。各負圧箱176,177は、吸引ドラム163の内周面に臨む上向きの吸引口を有し、その吸引口は、吸引ドラム163の周方向と軸線方向とに拡がって延びる。負圧管181,182は、負圧箱176,177における吸引ドラム163の回転軸線方向一端部にそれぞれ接続され、ファンなどの負圧源183に共通に接続される。負圧箱176,177における吸引ドラム163の回転軸線方向他端部には、吸引負圧を調整するための開口面積が可変の仕切りダンパがそれぞれ設けられる。各負圧管181,182には、吸引口の吸引負圧値、したがって吸引強さを調整するための流量制御弁187,188がそれぞれ介在される。たとえば、吸引ドラム163の回転方向184の上流に配置される負圧箱176における吸引負圧の絶対値P1は、隣接する下流の吸引負圧の絶対値P2以上の値に設定される(P1≧P2)。
【0080】
前述の
図21aの角度A2,A3は、これらの負圧箱176,177の吸引口が、吸引ドラム163の吸引孔174に臨む周方向の角度を示す。上流の負圧箱176は、混合吸収材162を吸引ドラム163の外周面上に吸着させる。下流の負圧箱177は、吸引ドラム163上に吸着された混合吸収材162を、その自重によって吸引ドラム163の外周面から落下することを防止して保持する。
【0081】
第1ベルトコンベア96に関連して、
図21aに示される搬送ベルト97は、通気性を有し、その上張架部分の下方に転写用負圧箱186が配置される。転写用負圧箱186が負圧吸引することによって、搬送ベルト97上に、吸引ドラム163の外周面に吸着されている連続した長尺の帯状の混合吸収材162が移動して転写される。
【0082】
吸引ドラム163の外方には、回転ブラシ179が設けられる。回転ブラシ179は、吸引ドラム163の外周面上に吸着された余分の混合吸収材162を掻き取る。回転ブラシ179の回転方向185は、対向する吸引ドラム163の位置で、吸引ドラム163の回転方向184と同一になるように定められ、掻き取った余分の混合吸収材162を吸引ドラム163上に戻す。
【0083】
図34(2)は、本発明の実施の他の形態における基層25を製造する基層製造手段101aの一部の簡略化した斜視図である。この実施の形態では、吸引ドラム163の外周面上に沿って円弧状に形成された遮蔽板178が、吸引ドラム163上に固定される。遮蔽板178は、その形状に対応した吸引ドラム163の吸引孔174の領域を塞ぐ。遮蔽板178上には混合吸収材162が積層せず、混合吸収材162が吸着されない希望する領域を形成することができる。たとえば、吸引ドラム163上に回転軸線方向全長に延びる遮蔽板178を設けることによって、第1ベルトコンベア96上にその搬送方向に間欠状態で、搬送方向に間隔をあけて分断された基層25による個別的な単一個の吸収体12を順次的に製造することもできる。回転ブラシ179は、その外周面が吸引ドラム163の外周面から遮蔽板178の厚み分以上であってその厚み分にごく近似した値だけ離間して配置され、これによって両者の衝突が防がれる。そのため吸引ドラム163上に吸着される混合吸収材162の厚みの上限は、遮蔽板178の厚みにほぼ等しい。遮蔽板178は、5〜20mm程度の厚みを有してもよい。
【0084】
図35は選択散粒手段103の側面図であり、
図36は選択散粒手段103の平面図である。これらの
図35および
図36では、部分的に切欠いた断面を示す。選択散粒手段103は、第1ベルトコンベア96によって搬送される基層25上に、粒状の液体吸収性樹脂を落下、供給して散粒し、吸収増強層26を形成する散粒体191と、この散粒体191内に粒状の液体吸収性樹脂を連続的に供給する連続供給手段137と、この連続供給手段137からの液体吸収性樹脂を案内する案内部材である案内シュータ193(後述の
図13、
図40)とを含む。
【0085】
案内回収手段199において、散粒体191には、回収樋194と、回収樋194によって回収された粒状の液体吸収性樹脂を受けて回収する回収ホッパ195(
図37、
図40参照)が備えられる。この回収ホッパ195からの粒状液体吸収性樹脂を、輸送手段196によって輸送する。散粒体191は、回転駆動手段197によって、水平軸線まわりに回転駆動される。
【0086】
輸送手段196は、回収ホッパ195の排出管255に連なる輸送ダクト279と、この輸送ダクト279の途中に介在されて排出管255を負圧にするとともにその排出管255から負圧吸引した粒状の液体吸収性樹脂を空気輸送するための吹き飛ばし装置278と、輸送ダクト279によって空気輸送された液体吸収性樹脂を捕集して貯留槽201に戻すサイクロン281とを含む。吹き飛ばし装置278は、空気圧縮機277からの空気が供給されるエジェクタなどによって実現される。
【0087】
図37は、
図35および
図36に示される選択散粒手段103における吸収増強層26を形成するための粒状の液体吸収性樹脂198の移動経路を示すブロック図である。貯留槽201に貯留される粒状の液体吸収性樹脂198は、装置本体202に設置された供給ハウジング203に導かれる。
【0088】
図38は、供給ハウジング203の底部付近の一部の簡略化した軸直角断面図である。供給ハウジング203の下に凸の円弧状に形成された供給底部材204上には、スクリュコンベアのスクリュの働きを果たす線材から成るコイル状供給部材205が、水平な軸線を有して配置される。このコイル状供給部材205は、供給用モータ139によって、そのコイル状供給部材205の軸線まわりに回転駆動される。これによって供給底部材204上の粒状の液体吸収性樹脂が散粒体191に連続的に供給される。
【0089】
コイル状供給部材205は、装置本体202に取付ブラケット206によって固定される水平な直円筒状の供給管207内を挿通する。供給管207の供給方向下流側の端部には、散粒体191内で後述の各ドラム228,229に共通に供給孔208が形成される。
【0090】
図39は、供給管207の輸送方向下流端部付近を示す図である。
図39(1)は、その供給管207の周方向展開図であり、
図39(2)は、この供給管207に形成された供給孔208から散粒体191の回転軸線に沿って供給される供給流量を示す図である。供給孔208は、散粒体191内で螺旋状にたとえば90度の範囲にわたって連続して形成され、供給方向上流から下流(
図39(1))の右から左になるにつれて、回転軸線を含む水平位置付近から斜め下方に延びる。この供給管207の全長にわたって配置されるコイル状供給部材205がその軸線まわりに回転駆動されることによって、供給孔208からは、
図39(2)のように時間経過に伴って、かつ回転軸線方向に、連続的に一定の供給流量で、粒状の液体吸収性樹脂198が落下供給される。散粒体191の水平な軸線と、コイル状供給部材205の軸線と、供給管207の軸線とは、共通な水平の一直線上に存在する。貯留槽201と供給ハウジング203とコイル状供給部材205と供給管207と供給用モータ139などは、前述の連続供給手段137を構成する。
【0091】
図40は連続供給手段137と、散粒体191を含む散粒手段138と、案内回収のための手段199の一部とを示す図であり、
図40(1)はそれらの各手段137,138,199を分解して示す斜視図であり、
図40(2)はその一部を分解して示す斜視図である。
図41は、
図35および
図36の左方から見た散粒体191と案内回収手段199を構成する案内シュータ193および回収ホッパ195などを示す正面図である。散粒体191は、その全体の形状が回転軸線方向(
図42の左右方向)にいわば2連のドラム228,229を有し、ドラム229の環状端板232が円板状の駆動部材211に固定される。駆動部材211は、駆動筒212の一端部に固定される。この駆動筒212の外周面は、軸受213によって支持筒214に水平な回転軸線まわりに回転自在に支持される。支持筒214は、装置本体202に固定される。駆動筒212の他端部には、タイミングプーリ215が固定される。このタイミングプーリ215には、タイミングベルト216(
図36)が巻掛けられ、もう1つのタイミングプーリ217は、速度と位相とを調整可能なサーボモータなどによって実現される散粒用モータ142によって回転駆動される。処理回路131の働きによって、散粒体191は、その軸線まわりに第1ベルトコンベア96の搬送速度、および基層25上の吸収増強層26の搬送方向に沿う位置に関連する位相が調整されて、連続的に回転駆動される。
【0092】
案内回収手段199において、散粒体191の内部空間には、各ドラム228,229に共通の案内シュータ193と、共通の回収ホッパ195とが、取付部材221に角度位置を調整可能に取付けられる。取付部材221は、固定筒222の一端部に連結される。固定筒222は、駆動部材211の中央の挿通孔223を同軸に挿通し、もう1つの軸受224によって駆動筒212の内面に支持される。固定筒222の他端部は、固定用ブラケット225に固定される。固定用ブラケット225は、固定柱226およびボルト227などを用いて装置本体202に固定される。こうして固定筒222は、その軸線まわりに回転しないように装置本体202に固定される。固定筒222内には、供給管207が挿通される。
【0093】
図42は散粒体191の側面図であり、
図43(1)は散粒体191の左側面図であり、
図43(2)は散粒体191の右側面図である。これらの図面を参照して、散粒体191における一方のドラム228と他方のドラム229の軸線方向の両端部には、環状の端板231,232が配置され、軸線方向の中央位置にもう1つの環状の端板233が配置される。一方のドラム228では、端板231,233間で軸線方向に沿って複数(たとえば6個)のほぼU字状の回収樋194aが周方向に等間隔をあけて固定される。もう1つのドラム229では、端板232,233間で軸線方向に沿って延びる同一複数であるたとえば6個のほぼU字状の回収樋194bが周方向に等間隔をあけて固定される。周方向に隣接する回収樋194a,194b間には、散粒孔234a,234bが形成される。これらの各ドラム228,229の回収樋194a,194bは同一寸法形状を有し、また散粒孔234a,234bは、同一寸法形状を有する。
【0094】
図44は、散粒体191の構成と動作を簡略化して示す図である。
図44(1)は散粒体191の各ドラム228,229の簡略化した周方向展開図である。各ドラム228,229の回収樋194a,194bおよび散粒孔234a,234bは、周方向(
図44(1)の左右方向)に角度Δθ1だけ、ずれている。
【0095】
図44(2)は、第1ベルトコンベア96によって搬送される基層25上に形成された吸収増強層26a,26bを示す図である。散粒体191の最外周の周速度V191と、第1ベルトコンベア96の搬送速度V96と、それらの相互の位相とは、吸収増強層26a,26bの位置に対応して、さらに後述の式(1),(2)が達成されるようにして、処理回路131によって制御される。処理回路131によって位相調整される選択散粒手段103の回転駆動は、第1切断機109の位相と連動追従される。第1ベルトコンベア96の搬送速度は、単一個の吸収体12あたり、第1切断機109が1/2回転する移動量に相当する。
【0096】
散粒体191の半径R、周方向に等間隔に形成された散粒孔234の数n、搬送方向に隣接する吸収体11a,11bにおける吸収増強層26a,26b相互間の距離W26ab(
図23、
図44(2))であるとき、移動時間に関する次式(1)が成立する。
【0098】
再び
図40および
図41を参照して、案内シュータ193は、平板状のすべり台部200とその取付片236とを有する断面L字状であり、取付部236は、取付部材221に固定される。取付片236に形成される一対の取付用長孔237には、取付ボルト238がそれぞれ挿通し、散粒体191の水平な回転軸線を含む一仮想平面である鉛直面に対する取付け角度を調整して設定することができる。回収樋194は、散粒体191の周方向に延びる底部材241と、回転方向の上流側および下流側に連なる壁板243,244とを有する。回転方向242の下流側の壁板243は、散粒体191の半径方向内方になるにつれて回転方向242の下流に傾斜して延びる。これによって供給管207の端部の供給孔208から連続的に供給される粒状液体吸収性樹脂を、壁板243の半径方向内方のエッジ245によって、散粒孔243からの供給と遮断とを正確に行うことができる。
【0099】
図45は回収ホッパ195の平面図であり、
図46は回収ホッパ195の散粒体191における軸線方向外方から見た正面図であり、
図47は回収ホッパ195の左側面図であり、
図48は回収ホッパ195の右側面図である。回収ホッパ195は、ドラム228,229に共通であって、その回転軸線に沿って(
図41、
図43の紙面に垂直な方向、
図42の左右方向に)延びる。回収ホッパ195は、散粒体191の回転に伴って回収樋194から半径方向内方に落下する粒状の液体吸収性樹脂を受けるために、上方に開放した開口部247を有し、粒状液体吸収性樹脂を受ける底249と散粒体191の回転方向上流側の立上り部250とを有する断面L字状(
図47、
図48)の受け部材248と、散粒体191の回転軸線方向の両端部で環状の端板231,232の内周面に沿って弯曲した形状を有する回収端板251,252と、受け部材248から回収端板251,252に連なる傾斜側板253,254とを有する。一方の側板252には、一対の取付用長孔257が回転軸線まわりに円弧状に形成され、取付部材221への散粒体191の回転軸線を含む一仮想平面に対する角度を調整することができる。回収端板251,252は、散粒体191の軸線に垂直である。散粒体191の軸線方向外方側の回収端板251には、排出管255の開孔端256が接続される。傾斜側板253,254は、散粒体191の軸線方向外方に向けて排出管255に近づくにつれて相互の間隔D1(
図45)が小さくなるように形成される。これによって受け部材248上に落下した粒状の液体吸収性樹脂が、排出管255の開孔端256に向けて円滑に移動され、排出管255の負圧吸引によって排出されやすくなる。散粒体191の駆動部材211と、取付部材221とには、周方向に間隔をあけて複数(たとえば4)の吸引孔285,286が形成され、回収ホッパ195による負圧吸引のために外部からの空気が通過して供給される。
【0100】
図49は第1切断機109の搬送方向上流から見た正面図であり、
図50は第1切断機109の側面図である。
図51は、ダイカッタロール262の周方向展開図である。第1切断機109は、切断スタンド261にダイカッタロール262とアンビルロール263とが、それらの回転軸線を鉛直な一平面内に平行に配置して回転自在に設けられる。ダイカッタロール262の軸線方向両端部に設けられるアウタリング264は、アンビルロール263の外周面に当接してアンビルロール263を従動回転する。このダイカッタロール262は、駆動源283によって回転駆動される。ダイカッタロール262には、周方向に一対の回転刃133が半径方向外方に突出して周方向に形成される。これらの回転刃133は、対称面265に関して相互に面対称に構成され、ダイカッタロール262の軸線まわりに180度ずれて配置される。各回転刃133は、ダイカッタロール262が1回転するたび毎に、前述の
図23に関連して説明した切断線145,146;147,148で連続した長尺の帯状の吸収体12cをアンビルロール263との間で個別に切断する。アンビルロール263は、ダイカッタロール262に対向し、直円柱状の外周面を有する。
【0101】
第1切断機109の回転刃133の刃先の周速度V133と、第1、第2ベルトコンベア96,108の搬送速度V96とについて、次式(2)が成立する。
【0103】
第2切断機119もまた、周縁部21,22の切断のために、第1切断機109と同様な個別の液体吸収シート11に対応する類似の構成を有する。
【0104】
図52は、液体吸収シート11の使用後における廃棄時の取扱い作業順序を示す斜視図である。
図52(1)に示されるように、液体吸収シート11の特に吸収増強層26が尿などの液体を吸収して膨潤した状態で、先ず延在部34の基端部付近を斜辺33に平行な内折れ線266で折りたたむ。内折れ線266は、吸収増強層26における延在部34の長手方向に沿う途中位置でもよいが、吸収増強層26の外方で参照符266aで示されるように折りたたんでもよい。この延在部34を折りたたんだ状態は、
図52(2)に示される。さらにこの折りたたんだ延在部34上に、切欠き部38,39から中央寄りの内折れ線267,268で折りたたみ、
図52(3)の状態とする。これによって液体吸収シート11が尿などの液体を吸収した状態で、吸収増強層26などによって作業者が手を汚すことなく、液体吸収シート11を折りたたんで廃棄することができるようになる。
【0105】
図53は、本発明の実施の他の形態の液体吸収シート11dの製造時における各工程の順次的な加工形態を示す図である。
図54は、本発明の実施のさらに他の形態の液体吸収シート11hの製造時における各工程の順次的な加工形態を示す図である。
図55は、本発明の実施のさらに他の形態の液体吸収シート11kの製造時における各工程の順次的な加工形態を示す図である。
図53の液体吸収シート11dは、たとえば軽失禁パッドなどとして好適であり、
図54の液体吸収シート11hは補助用尿取りパッドなどとして好適であり、
図55の液体吸収シート11kは縁漏れ防止シーツなどとして好適である。これらの
図53〜
図55の加工形態は、前述の
図21に示される液体吸収シート11の順次的な加工形態にそれぞれ対応する。
【0106】
図56は液体吸収シート11d1を示す図であり、ベビー女子用おむつとして好適し、その
図56(1)は液体吸収シート11d1の平面図であり、
図56(2)は液体吸収シート11d1の簡略化した模式化した断面図である。
【0107】
図57は、液体吸収シート11d2を示す図であり、ベビー男子用おむつとして好適し、その
図57(1)は液体吸収シート11d2の平面図であり、
図57(2)は液体吸収シート11d2の簡略化した模式化した断面図である。
【0108】
これらの
図56および
図57において、基層25d1,25d2上に吸収増強層26d1,26d2が設けられて吸収体12d1,12d2が構成される。さらに吸収体12d1,12d2は、表面シート13d1,13d2と裏面シート14d1,14d2とによってサンドイッチされる。後述の
図58〜
図61も同様な構成を有する。こうして吸収増強層26d1,26d2では、人体の尿吐出口の部位における吸収量と吸収速度との増強を図ることができる。
図56および
図57では、人体装着のために用いられる着脱可能な面状接着テープ271が設けられ、また装着性を向上するための弾発性を有する股ゴム272が設けられる。
【0109】
図58は軽失禁パッドおよび生理用ナプキンとして好適する液体吸収シート11h1を示す図であり、
図58(1)は液体吸収シート11h1の平面図であり、
図58(2)は液体吸収シート11h1の簡略化した模式化した断面図である。
図58に示される液体吸収シート11h1は、座位および就寝時の後ろ漏れを防止することができる。
【0110】
図59は大人用尿パッドとして好適する液体吸収シート11h2を示す図である。
図59(1)は液体吸収シート11h2の平面図であり、
図59(2)は液体吸収シート11h2の簡略化した模式化した断面図である。
図59の液体吸収シート11h2は、夜間長時間の就寝時、尿が尻の方向に流れる後ろ漏れを防止する。
【0111】
図60は、母乳パッドとして好適する液体吸収シート11h3を示す図である。
図60(1)はその液体吸収シート11h3の平面図であり、
図60(2)は液体吸収シート11h3の簡略化した模式化した断面図である。母乳が
図60(1)の上から下に流れて漏れることを防ぐために、その液体吸収シート11h3の下部領域に吸収増強層26h3が設けられる。
【0112】
図61は、液体の外周部への液体の漏れを防ぐための上述のおよびその他のいろんな用途に好適する液体吸収シート11kを示す図である。
図61(1)はその液体吸収シート11kの平面図であり、
図61(2)は液体吸収シート11kの簡略化した模式化した断面図である。液体の外周部への漏れを防ぐために、その外周部に吸収増強層26kが設けられる。
【0113】
吸収増強層26は、人体の尿などの液体の吐出口の部位などに粒状の液体吸収性樹脂を重点的に多く散粒し、これによって吸収量を増大し、吸収速度を高める。そのため液体が外方へ漏れ出す、いわば逆戻りを防止することができる。したがってたとえば液体吸収シート11が人体に接触して用いられる状態では、尿などの液体による肌のかぶれなどの悪影響を最小限に抑えることができるようになる。
【0114】
図62は、本発明の実施の他の形態の散粒体191cを示す図である。
図62(1)は散粒体191cの簡略化した周方向展開図であり、
図62(2)は散粒体191cによって得られる基層25aの簡略化した平面図である。
図62(2)では、理解の便宜のために、切断線145aなどが示される。
【0115】
図63は、本発明の実施の他の形態の散粒体191dを示すである。
図63(1)は散粒体191dの簡略化した周方向展開図であり、
図63(2)は散粒体191dによって得られる基層25bの簡略化した平面図である。
図63(2)では、理解の便宜のために、切断線145bなどが示される。
【0116】
図64は、本発明の実施の他の形態の散粒体191eを示すである。
図64(1)は散粒体191eの簡略化した周方向展開図であり、
図64(2)は散粒体191eによって得られる基層25cの簡略化した平面図である。
図64(2)では、理解の便宜のために、切断線145cなどが示される。
上述の
図53〜
図64の実施の各形態の関連する対照表を、示す。
【0118】
図65は、本発明の実施のさらに他の形態の散粒体191fを示すである。
図65(1)は散粒体191fの簡略化した周方向展開図であり、
図65(2)は散粒体191fによって得られる基層25dの簡略化した平面図である。
図65(2)では、理解の便宜のために、切断線145aなどが示される。
【0119】
図66は、本発明の実施のさらに他の形態の散粒体191gの簡略化した周方向展開図である。回収樋194hの相互間に散粒孔234gが形成される。
【0120】
図67は、本発明の実施の他の形態の吸収体12eの簡略化した平面図である。吸収増強層26m〜26qなどの形状に対応する散粒孔が散粒体に形成される。
【0121】
図68は、本発明の実施の他の形態の液体吸収シート11Lの簡略化した平面図である。吸収体12上には、その延在部34の頂角部35から斜辺33の切欠き部38,39に近づくにつれて、相互の間隔が広がるようにいわば扇状に傾斜されて延びる複数本(たとえば4本)の凹溝274が、刻設される。これによって延在部34付近からの尿などの液体は、斜辺33に向けて円滑に分散して流れ、吸収体12に速やかに吸収されることができるようになる。凹溝274は、加圧加工によって形成することができる。
【0122】
本発明の実施のさらに他の形態では、延在部34がなくてもよい全体の平面形状がほぼ直角2等辺3角形である吸収体12の頂角部35付近から斜辺33に近づくにつれて、相互の間隔が広がるようにいわば扇状に傾斜された複数本の凹溝274が刻設される。凹溝274は、表面シート13上から吸収体12に刻設されてもよく、または吸収体12のみに刻設されてもよい。頂角部35付近には、吸収増強層26が形成されなくてもよい。
【0123】
液体吸収シートは、要約すると、吸収体が、
吸収体よりも大きい平面形状を有する液体透過性の表面シートと、
吸収体よりも大きい平面形状を有する液体透過性または液体不透過性の裏面シートとによって、サンドイッチされ、
表面シートの周縁部と裏面シートの周縁部とが、吸収体の周縁外方の全周にわたって接着され、
吸収体は、
繊維状吸収材と液体吸収性樹脂とが、単位面積あたり均一な比率で分布される基層を含み、
吸収体の全体の平面形状が、ほぼ直角2等辺3角形であり、
頂角部付近から斜辺に近づくにつれて相互の間隔が広がるように傾斜されて延びる複数本の凹溝が刻設される。
【0124】
液体は、複数本の凹溝に沿って流れるので、吸収体の広い範囲にわたって吸収される。したがって、液体吸収量、液体吸収速度などを向上することができる。