(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0015】
図1は、第1と第2の標準型の組立ユニット11,12と1つの中間型の組立ユニット13とがそれぞれ折り畳まれて段積みされた状態を示す。それぞれ組立家屋を構成する組立ユニット11〜13は、折り畳まれた状態で運搬され、保管される。それぞれの標準型の組立ユニット11,12は、折り畳まれた状態から
図6(B)に示されるように組立状態に展開される。また、中間型の組立ユニット13は、折り畳まれた状態から
図9(B)に示されるように組立状態に展開される。この明細書においては、組立ユニット11〜13を折り畳む操作および折り畳まれた状態を、折り畳み時と定義する。また、組立ユニット11〜13を展開する操作および展開された状態を組立時と定義する。
【0016】
両方の標準型の組立ユニット11,12は、同一の構造となっており、
図2および
図3に示されるように、床板つまり床壁体21と、天板つまり天壁体22とを有している。中間型の組立ユニット13も、同様に、床壁体21と天壁体22とを有している。
【0017】
図10は展開時つまり組立時における標準型の組立ユニット11の長手方向の一部省略拡大断面図であり、
図11は組立時における組立ユニット11の幅方向の一部省略拡大断面図である。
【0018】
図10および
図11に示されるように、床壁体21は金属製の床枠23を有し、床枠23には床パネル24がねじ部材により取り付けられている。床枠23と床パネル24により形成される床壁体21は、
図5に示されるように、長方形となっている。天壁体22は金属製の天井枠25を有し、天井枠25には天井パネル26がねじ部材により取り付けられている。天井枠25と天井パネル26により形成される天壁体22は、床壁体21と同様に長方形となっている。床パネル24と天井パネル26は、樹脂、木材、耐火板等のパネル材により形成されている。
【0019】
図10に示されるように、床壁体21の前側の端辺つまり第1の端辺には、第1の端壁体31が配置され、後側の端辺つまり第2の端辺には、第2の端壁体32が配置される。第1の端壁体31は、金属製の端壁枠33を有し、端壁枠33には端壁パネル34が取り付けられている。同様に、第2の端壁体32は、金属製の端壁枠35を有し、端壁枠35には端壁パネル36が取り付けられている。端壁枠33と端壁パネル34により形成される端壁体31と、端壁枠35と端壁パネル36により形成される端壁体32は、
図7に示されるように、それぞれ正方形に近い四辺形となっている。
【0020】
床壁体21の第1の端辺には金属製のチャンネル材37が固定され、第2の端辺には同様にチャンネル材38が固定されている。第1の端壁体31はヒンジ39aによりチャンネル材37に回動自在に装着され、第2の端壁体32はヒンジ39bによりチャンネル材38に回動自在に装着されている。それぞれのヒンジ39a,39bはねじ部材40によりチャンネル材37,38に着脱自在となっており、それぞれの端壁体31,32は床壁体21に対して取り外し自在となっている。ただし、ヒンジ39a,39bをチャンネル材37,38に溶接により取り付けるようにしても良い。両方のチャンネル材37,38の上下方向の高さ寸法は相互にほぼ同一となっている。
【0021】
図11に示されるように、床壁体21の左右一方側の側辺つまり第1の側辺には側壁体41が配置されており、反対側の側辺つまり第2の側辺には側壁体は配置されていない。第1の側壁体41は、金属製の側壁枠43を有し、側壁枠43には側壁パネル44が取り付けられている。側壁枠43と側壁パネル44により形成される側壁体41は、
図5に示されるように、長方形となっている。床壁体21の第1の側辺には金属製のチャンネル材47が固定されている。第1の側壁体41はヒンジ48aによりチャンネル材47に回動自在に装着されている。ヒンジ48aはねじ部材49によりチャンネル材47に着脱自在となっている。チャンネル材47の高さ寸法は、
図10に示されたチャンネル材37,38の高さ寸法よりも高くなっており、両方の端壁体31,32の回動中心は、側壁体41の回動中心よりも下側となっている。
【0022】
床壁体21には一方の側辺にのみ側壁体41が設けられており、
図2および
図3に示されるように、組立ユニット11,12の折り畳み時には、2枚の端壁体31,32と側壁体41が床壁体21に重ねられた状態となる。この状態となって、それぞれの組立ユニット11,12は、運搬され、保管される。
【0023】
床壁体21の他の側辺には、二点鎖線で示すように、間仕切り用の側壁体42が取り付けられるようになっている。この側壁体42は、組立ユニット11,12が展開された状態のもとで、床壁体21の床枠23に装着することができる。間仕切り用の側壁体42は、ヒンジ48bを介して床壁体21に装着される側壁パネル46と側壁枠45を有しており、ヒンジ48bはねじ部材49により床壁体21に取り外し自在に装着される。
【0024】
図10および
図11は、一方の標準型の組立ユニット11の構造を示すが、他の標準型の組立ユニット12も同様の構造となっている。
【0025】
これに対し、中間型の組立ユニット13は、
図2および
図3に示されるように、床壁体21の前後両端部には端壁体31,32が設けられているが、側壁体は設けられていない。つまり、組立ユニット13の端壁体31,32の構造は、
図10に示された組立ユニット11,12と同様である。これに対し、組立ユニット13には側壁体41が設けられてないので、
図11に示した側壁体41とチャンネル材47とを取り外した構造となっている。中間型の組立ユニット13においても、上述した標準型の組立ユニット11,12と同様に、間仕切り用の側壁体42を床壁体21の側辺に展開後に装着し得るようになっている。
【0026】
図2および
図3に示されるように、標準型の組立ユニット11,12の折り畳み時には、端壁体31,32が床壁体21の上側に積み重ねられ、その上側に側壁体41が重なった状態となる。これに対し、中間型の組立ユニット13の折り畳み時には、組立ユニット13には側壁体41が設けられていないので、前後の端壁体31,32が床壁体21の上に重なった状態となる。このように、端壁体31,32が重ねられた状態となって、中間型の組立ユニット13は運搬され、保管される。このように、組立ユニット11〜13を折り畳んだ状態で運搬することができるので、組立家屋を製造工場から工事現場までの運搬性に優れた組立家屋となる。
【0027】
それぞれの端壁体31,32と側壁体41の自由端の内面には、壁体相互間に隙間を形成するためのストッパ50が設けられている。折り畳まれた状態の端壁体31,32と側壁体41を床壁体21に締結するために、
図1および
図3に示されるように、ベルト部材27が床壁体21に設けられている。床壁体21には、
図1および
図3に示されるように、フォークリフトのリフト爪が入り込む孔28が設けられており、折り畳まれた組立ユニットをフォークリフトにより搬送するときには、リフト爪が孔28内に挿入される。
【0028】
間仕切り用の側壁体42が展開後に装着され、所定期間に渡って組立家屋が使用された後に、組立家屋を撤去する場合には、側壁体42を床壁体21から取り外すようにしても良く、取り外すことなく折り畳むようにしても良い。間仕切り用の側壁体42を折り畳むときには、側壁体42が最も下側になり、その上側に端壁体31,32が積み重ねられ、さらにその上に側壁体41が重ねられる。
【0029】
それぞれの組立ユニット11〜13の天壁体22を構成する天井枠25の四隅には、折り畳み支柱51が取り付けられており、それぞれの折り畳み支柱51の基端部は、天壁体22の内面に取り付けられている。
図2〜
図4に示されるように、両方の端壁体31,32と、側壁体41を床壁体21に沿う方向に折り畳んだ状態のもとで、4本の折り畳み支柱51により天壁体22は床壁体21に連結される。このように、折り畳み支柱51は、天壁体22と床壁体21とを接近させた折り畳み時に、床壁体21と天壁体22とをスペースを隔てた状態で連結する。組立ユニット11〜13は、折り畳まれた状態で保管されるとともに、折り畳まれた状態で組立家屋を構築する場所にまで搬送される。このように、折り畳まれた状態で組立ユニット11〜13を搬送することができるので、船舶、貨車およびトラック等の輸送手段により組立ユニット11〜13を搬送する際に、限られた容積の搬送スペースに多数の組立ユニット11〜13を積載することができる。また、保管時にも限られた保管スペースに多数の組立ユニット11〜13を保管することができる。
【0030】
2つの標準型の組立ユニット11,12と中間型の組立ユニット13は、これらの組立ユニット11〜13を積み重ねた状態で連結することにより、1つの運搬用グループを構成している。3つの組立ユニット11〜13を分離してそれぞれを組み立てるとともに、組み立てられた組立ユニット11〜13を連結することにより、1つの家屋躯体が構築される。
【0031】
それぞれの組立ユニット11〜13は、4本の組立支柱52を有している。それぞれの組立支柱52は、
図6および
図9に示されるように、床壁体21と天壁体22とを展開状態に離した組立時に、折り畳み支柱51の先端部に連結され、組立支柱52の下端部を床壁体21に取り付けることにより、床壁体21と天壁体22は、折り畳み支柱51を介して組立支柱52により連結される。折り畳み支柱51と組立支柱52とを連結すると、両方の支柱によって、組立家屋として内部に所定の居室スペースを形成するために必要な床壁体21と天壁体22との間の距離を設定するための支柱つまりコーナーポストが組み立てられる。組立時には、床壁体21と天壁体22とが四隅の支柱により連結されるので、組立家屋の組立強度を高めることができる。それぞれの組立支柱52は、組立ユニット11〜13の折り畳み時には、中間型の組立ユニット13における床壁体21と天壁体22の間のスペースに収容される。
【0032】
1つの運搬用グループを構成する3つの組立ユニット11〜13は、合計12本の組立支柱52を有している。中間型の組立ユニット13は側壁体が設けられていないので、中間型の組立ユニット13における床壁体21と天壁体22との間のスペースは、標準型の組立ユニット11,12における床壁体21と天壁体22との間のスペースよりも広いスペースとなっている。したがって、全ての組立支柱52は、
図2に示されるように、中間型の組立ユニット13における床壁体21と天壁体2との間のスペースに集中的に収容することができる。全ての組立支柱52は、ベルト部材27により床壁体21に固定される。ただし、それぞれの組立ユニット11〜13に組立支柱52を4つずつ収容するようにしても良い。
【0033】
このように、組立家屋として必要な支柱を、折り畳み支柱51と組立支柱52とにより形成することによって、支柱の一部を構成する折り畳み支柱51を利用して、折り畳み時には組立ユニット11,12を構成する部材を強固に締結した状態に維持することができ、容易に組立ユニット11,12を保管したり、搬送したりすることができる。
【0034】
図12(A)は折り畳み支柱51と組立支柱52とを連結した状態を示す一部省略側面図であり、
図12(B)は
図12(A)における矢印D方向から見た折り畳み支柱51の上端部を示す拡大平面図であり、
図12(C)は
図12(A)における矢印E方向から見た連結ブロックの拡大底面図である。
【0035】
折り畳み支柱51は、横断面が直角となった基部53aと基部53aの両側辺に一体となった補強部53bとを有している。折り畳み支柱51の基端部つまり
図12(A)における上端部には、直角となった帯状のフランジ54aが固定されており、フランジ54aは折り畳み支柱51の外方に突出している。折り畳み支柱51の先端部つまり下端部には、フランジ54aと同様の形状のフランジ54bが固定されている。一方、組立支柱52の両端部には、フランジ54a,54bと同様の形状のフランジ55a,55bが固定されている。それぞれのフランジ54a,54b,55a,55bには、複数の取付孔が設けられている。
【0036】
折り畳み支柱51の基端部はフランジ54aに設けられた取付孔に取り付けられる複数のねじ部材56により天壁体22に装着される。天壁体22にはねじ部材56が取り付けられる取付孔が設けられている。折り畳み支柱51に組立支柱52を連結するときには、フランジ54bとフランジ55aとをねじ部材56により締結し、フランジ55bをねじ部材56により床壁体21に締結する。床壁体21には、ねじ部材56が取り付けられる取付孔が設けられている。これにより、折り畳み支柱51と組立支柱52とを介して床壁体21と天壁体22とが展開状態となって連結される。一方、それぞれの組立ユニット11〜13の折り畳み時には、折り畳み支柱51のフランジ54bが床壁体21にねじ部材56により締結される。それぞれのフランジは外方に突出しており、組立ユニット11〜13の外面に露出されるので、ねじ部材56の取付操作と取り外し操作を組立ユニット11〜13の外部から容易に行うことができる。
【0037】
床壁体21の四隅には、床側の連結ブロック57が設けられている。それぞれの連結ブロック57の下面と端面と側面は、床壁体21の下面と端面と側面よりも突出している。天壁体22の四隅には、天井側の連結ブロック58が設けられている。それぞれの連結ブロック58の上面と端面と側面は、天壁体22の上面と端面と側面よりも突出している。それぞれの連結ブロック57,58の内部にはスペースが設けられている。
【0038】
天井側の連結ブロック58の上面には、
図12(B)に示されるように、貫通孔61が設けられており、貫通孔61は連結ブロック58の内部のスペースに連通している。貫通孔61は、組立ユニット11,12の長手方向に長径が延びた長孔となっている。なお、
図12(B)においては、連結ブロック58は二点鎖線で示されている。床側の連結ブロック57の下面にも、
図12(C)に示されるように、同様の貫通孔62が設けられている。
【0039】
図1〜
図3に示されるように、それぞれの連結ブロック57,58の端面には貫通孔63が設けられ、側面には貫通孔64が設けられており、それぞれの貫通孔63,64は連結ブロック57,58の内部のスペースに連通している。
【0040】
図13は段積み用の連結金具65を示す正面図である。連結金具65は、それぞれ折り畳まれた3つの組立ユニット11〜13を積み重ねて段積みするときに、下側の組立ユニット12の天壁体22に設けられた連結ブロック58と、上側の組立ユニット11の床壁体21に設けられた連結ブロック57とを連結するために使用される。連結金具65は、両方の連結ブロック57,58の間に組み込まれるスペーサ66が設けられた回転軸67を有し、回転軸67の両端にはそれぞれクランプ片68,69が設けられている。スペーサ66には、操作ハンドル70が取り付けられている。
【0041】
それぞれのクランプ片68,69は、幅寸法よりも長さ寸法が大きい長円形となっている。クランプ片68を貫通孔62から連結ブロック57内に挿入し、クランプ片69を貫通孔61から連結ブロック58内に挿入した状態のもとで、操作ハンドル70により連結金具65を約90度回転させると、それぞれのクランプ片68,69は連結ブロック57,58に係合し、両方の組立ユニット11,12は締結される。なお、
図13においては、連結ブロック57,58は二点鎖線で示されている。また、
図13は、組立ユニット11と組立ユニット12とを連結するための段積み用の連結金具65を示すが、組立ユニット12と組立ユニット13も同様の連結金具65により連結される。
【0042】
図1は1つの運搬用グループを構成する3台の組立ユニット11〜13が段積みされて締結された状態を示すが、段積みして締結される組立ユニットの数は3台に限られることなく、任意の数の組立ユニットを段積みすることができる。2つまたは3つの運搬用グループを構成する組立ユニットを段積みする場合にも、各運搬用グループ相互を同様の連結具65により締結される。また、2台の標準型の組立ユニット11,12と、2台の中間型の組立ユニット13とにより1つの運搬用グループを構成するようにしても良い。
【0043】
次に、
図1〜
図3に示されるように、折り畳まれた状態の組立ユニット11〜13を組立状態に展開する手順について説明する。
図5〜
図7は、標準型の組立ユニット11,12の展開手順を示し、
図8および
図9は、中間型の組立ユニット13の展開手順を示す。
【0044】
それぞれの折り畳み支柱51が床壁体21にねじ部材56により締結されて折り畳まれた状態の組立ユニット11,12を展開するには、連結金具65を取り外して組立ユニット11,12を分離した後に、まず、折り畳み支柱51を床壁体21から取り外す。
図5は、折り畳み支柱51を床壁体21から取り外して天壁体22を床壁体21から上昇させて分離した状態を示す。この上昇移動は、図示しないクレーンやフォークリフトを用いて天壁体22を持ち上げる。クレーンを使用するときには、天壁体22の四隅に設けられた連結ブロック58の取付孔にワイヤを取り付けてクレーンにより天壁体22を持ち上げる。一方、フォークリフトを使用するときには、
図3に示されるように、折り畳み支柱51により形成される天壁体22と側壁体41との間のスペースにフォークリフトの爪を挿入して天壁体22を持ち上げる。
【0045】
天壁体22には、端壁体31,32および側壁体41が設けられていないので、クレーン等による天壁体22の持ち上げ操作を容易に行うことができる。ただし、天壁体22に、端壁体31,32と側壁体41とを回動自在に装着するようにすることも可能である。
【0046】
床壁体21と天壁体22とを分離した状態のもとで、折り畳み支柱51の先端部に組立支柱52の一端部をねじ部材56により連結し、組立支柱52の他端部を床壁体21の床枠23にねじ部材56により連結する。
図6(A)はこのようにして、折り畳み支柱51と組立支柱52により天壁体22が床壁体21に連結された状態を示す。
【0047】
次いで、ベルト部材27を取り外した後に、床壁体21に最も上側に配置されて折り畳まれた状態の側壁体41が、
図6(B)に示されるように、立ち上げ位置にまで展開される。
図11に示されるように、展開された側壁体41の自由端つまり上端部は、天井枠25に設けられたストッパ71に突き当てられる。さらに、立ち上げられた側壁体41の内面に当接するクランプ部材72が天井枠25の内面に取り付けられる。このように、展開位置に立ち上げられた側壁体41の自由端は、ストッパ71とクランプ部材72により天壁体22に固定される。
【0048】
次いで、
図7に示されるように、折り畳まれた状態の前後の端壁体31,32が立ち上げ位置まで展開される。それぞれの端壁体31,32は、
図10に示されるように、側壁体41と同様に、ストッパ71とクランプ部材72とにより固定される。このようにして、それぞれの標準型の組立ユニット11,12は折り畳まれた状態から組み立てられた状態に展開される。
図7は標準型の組立ユニット11,12の組立が完了した状態を示し、床壁体21,天壁体22、前後の端壁体31,32および側壁体41の5つの壁体を有する組立ユニット11,12の組立が完了する。
【0049】
中間型の組立ユニット13は、
図8および
図9に示すようにして展開される。折り畳み支柱51が床壁体21にねじ部材56により締結されて折り畳まれた状態の組立ユニット13を展開するには、組立ユニット11,12と同様に、連結金具65を取り外して組立ユニット11,12を分離した後に、まず、折り畳み支柱51を床壁体21から取り外す。
図8は、折り畳み支柱51を床壁体21から取り外して天壁体22を床壁体21から上昇させて分離した状態を示す。この上昇移動は、組立ユニット11,12と同様に、図示しないクレーンやフォークリフトを用いて天壁体22を持ち上げる。
【0050】
床壁体21と天壁体22とを分離した状態のもとで、折り畳み支柱51の先端部に組立支柱52の一端部をねじ部材56により連結し、組立支柱52の他端部を床壁体21の床枠23にねじ部材56により連結する。
図9(A)はこのようにして、折り畳み支柱51と組立支柱52により天壁体22が床壁体21に連結された状態を示す。
【0051】
次いで、ベルト部材27を取り外した後に、折り畳まれた状態の前後の端壁体31,32が立ち上げ位置まで展開される。それぞれの端壁体31,32は、組立ユニット11,12と同様に、ストッパ71とクランプ部材72とにより固定される。このようにして、中間型の組立ユニット13は折り畳まれた状態から組み立てられた状態に展開される。
図9(B)は中間型の組立ユニット13の組立が完了した状態を示し、床壁体21,天壁体22、前後の端壁体31,32の4つの壁体を有する組立ユニット13の組立が完了する。
【0052】
仮設住宅として構築される家屋躯体は、2つの標準型の組立ユニット11,12と、少なくとも1つの中間型の組立ユニット13とを連結することにより組み立てられる。3つの組立ユニット11〜13を連結すると、1つの組立ユニットの3倍の広さの居室スペースが組立家屋内に形成される。2つの中間型の組立ユニット13を標準型の組立ユニット11,12の間に配置すると、1つの組立ユニットの4倍の広さの居室スペースを有する組立家屋が形成される。ただし、2つの標準型の組立ユニット11,12により組立家屋を構築するようにしても良い。その場合には、2つの組立ユニット11,12により1つの組立ユニットの2倍の広さの居室スペースを有する組立家屋が構築される。
【0053】
組立家屋が工事現場において仮設住宅として使用された後に、工事終了に伴って家屋躯体を工事現場から撤去する際には、上述した手順とは逆の手順により、組み立てられた状態から折り畳まれた状態に操作される。
【0054】
図14は、それぞれ組み立てられた2つの標準型の組立ユニット11,12と1つの中間型の組立ユニット13とを連結して構築された組立家屋を示す正面図である。
図15は
図14の平面図であり、一部が省略されている。
図16は
図15におけるF−F線に沿う方向の組立家屋の横断面図である。
図17(A)は
図16におけるG部の拡大断面図であり、
図17(B)は
図16におけるH部の拡大断面図である。
図18は
図14におけるI部の拡大正面図である。
【0055】
複数の組立ユニットを連結して1つの組立家屋を構築するには、隣り合った組立ユニットを、組立用の連結金具75により連結する。組立用の連結金具75は、
図18に示されるように、隣り合った連結ブロック57の内部に組み込まれるねじ部材76を有している。ねじ部材76は、それぞれの連結ブロック57の貫通孔64を貫通して連結ブロック57内に組み込まれる。ねじ部材76にねじ結合されるナット77により連結ブロック57は相互に締結される。
図18は、床壁体21に設けられた連結ブロック57を示すが、天壁体22に設けられた連結ブロック58も同様の組立用の連結金具75により締結される。3つの組立ユニット11〜13により組立家屋を構築すると、
図16に示されるように、1つの組立ユニットの3つ分の広さの居室スペースが形成される。
【0056】
連結された2つの組立ユニット11と組立ユニット13における天壁体22の間には、
図17(A)に示されるように、ルーフカバー73が装着される。これにより、隣り合った天壁体22の間から雨水が組立家屋の内部空間に浸入することが防止される。組立ユニット12と組立ユニット13における天壁体22の間にも同様のルーフカバー73が装着される。
【0057】
図17(B)に示されるように、組立ユニット11と組立ユニット12における床壁体21の間には、帯状の接続板74が装着される。同様に、組立ユニット12と組立ユニット13における床壁体21の間にも、接続板74が装着される。これにより、隣り合った床枠23の間には段差がなくなり、広げられた一体型の居室スペースの床面は全体的に平坦となる。
【0058】
図14に示すように、中間型の組立ユニット13の一方の端壁体31には、出入り口用の開閉扉14が設けられている。他方の端壁体32には、
図7に示すように、換気扇15が設けられている。さらに、標準型の側壁体41には窓16が設けられている。ただし、中間型の組立ユニット13に開閉扉14を設けることなく、標準型の組立ユニット11,12の端壁体に開閉扉14を設けるようにしても良い。
【0059】
標準型の組立ユニット11,12の第2の側辺には、
図11に示したように、間仕切り用の側壁体42が装着されるようになっており、中間型の組立ユニット13の少なくとも一辺には、同様に間仕切り用の側壁体42が装着されるようになっている。したがって、
図16に示されるように、3つの組立ユニット11〜13により1つの居室スペースが形成される組立家屋に間仕切り用の側壁体42を装着すると、居室スペースを複数に分割することができる。二点鎖線で示す側壁体42を装着する場所は、標準型の組立ユニットでも良く、中間型の組立ユニットでも良い。
【0060】
図14〜
図16は、標準型の組立ユニット11,12の間に1つの中間型の組立ユニット13を配置した形態の建物躯体を示すが、中間型の組立ユニット13を複数個連結し、連結された組立ユニット13の両側にそれぞれ標準型の組立ユニット11,12を配置するようにしても良い。
【0061】
上述した実施の形態においては、複数の組立ユニットを側辺で連結するようにしているが、端辺で連結するようにしても良い。端辺で連結する形式としては、出入り口用の開閉扉14が設けられた端壁体31を反対向きとして、端壁体32が設けられた状態のままで端辺を連結する形式と、端壁体32を取り外した状態で端辺を連結する形式とがある。2つの組立ユニットをそれぞれ端壁体32を取り外した状態で連結すると、2つの組立ユニットにより連なった状態の1つの居室スペースを形成することができる。例えば、
図15に示される3つの組立ユニットの少なくともいずれか1つの端辺に他の組立ユニットを連結すると、内部の居室スペースをより広くすることができる。
【0062】
本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。例えば、段積み用の連結金具65と、組立用の連結金具75の構造は、図示する形態に限られることなく、種々の形態のものを使用することができる。