特許第6491855号(P6491855)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6491855アンテナモジュール及びそれを備えた無線通信装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6491855
(24)【登録日】2019年3月8日
(45)【発行日】2019年3月27日
(54)【発明の名称】アンテナモジュール及びそれを備えた無線通信装置
(51)【国際特許分類】
   H01Q 7/00 20060101AFI20190318BHJP
   H01Q 1/38 20060101ALI20190318BHJP
   H01Q 1/24 20060101ALI20190318BHJP
【FI】
   H01Q7/00
   H01Q1/38
   H01Q1/24 C
【請求項の数】7
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2014-232464(P2014-232464)
(22)【出願日】2014年11月17日
(65)【公開番号】特開2015-130654(P2015-130654A)
(43)【公開日】2015年7月16日
【審査請求日】2017年11月7日
(31)【優先権主張番号】201310747898.4
(32)【優先日】2013年12月31日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】513235681
【氏名又は名称】群▲マイ▼通訊股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100089037
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】張 子軒
(72)【発明者】
【氏名】許 ▲タク▼綱
【審査官】 西村 純
(56)【参考文献】
【文献】 特表2013−545357(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2004/0113847(US,A1)
【文献】 特開2001−284935(JP,A)
【文献】 特開2004−260343(JP,A)
【文献】 特開2007−142799(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01Q 1/00−25/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基体と、放射体と、フィードイン部と、接地部と、を備えるアンテナモジュールであって、
前記基体は、複数の表面を備え、前記フィードイン部及び前記接地部は、前記基体の1つの表面に設けられ、前記放射体は、前記基体の1つ又は複数の表面に設けられ、前記放射体の両端は、それぞれ前記フィードイン部及び前記接地部に接続されてループアンテナを構成し、前記フィードイン部、前記接地部及び前記放射体により構成された前記ループアンテナの内部に電子部品が設けられ
前記基体は、第一表面、第二表面及び第三表面を備え、前記第一表面及び前記第二表面は、互いに対向して平行に設けられ、前記第三表面の両端は、それぞれ前記第一表面及び前記第二表面に垂直に連接され、前記フィードイン部及び前記接地部は、前記第三表面に設けられ、
前記放射体は、順に連接されている第一放射部、第二放射部、第三放射部、第四放射部、第五放射部及び第六放射部を含み、前記第一放射部は、前記フィードイン部に電気的に接続され、前記第六放射部は、前記接地部に電気的に接続されており、
前記第一放射部は、第一放射帯体及び第二放射帯体を含み、前記第一放射帯体は、前記第三表面に設けられ、且つ前記フィードイン部の一端に垂直に連接され、
前記第二放射帯体は、前記第一表面に設けられ、前記第二放射帯体の一端は、前記第一放射帯体の前記フィードイン部から離れた一端に前記第一放射帯体に対して垂直に連接され、前記第二放射帯体の他端は、前記第二放射部に垂直に連接される
ことを特徴とするアンテナモジュール。
【請求項2】
前記第三放射部は、第一延伸帯体、第二延伸帯体及び第三延伸帯体を含み、前記第一延伸帯体は、前記第二放射部の前記第二放射帯体から離れた一端に前記第二放射部に対して垂直に連接され、且つ前記第二放射帯体と互いに平行となるように延在し、
前記第二延伸帯体は、前記第一延伸帯体の前記第二放射部から離れた一端に前記第一延伸帯体に対して垂直に連接され、且つ前記第一放射帯体と互いに平行となるように延在し、
前記第三延伸帯体は、前記第二延伸帯体の前記第一延伸帯体から離れた一端に前記第二延伸帯体に対して垂直に連接されていることを特徴とする請求項に記載のアンテナモジュール。
【請求項3】
前記第四放射部は、細長い帯体であり、且つその一端は前記第三延伸帯体の前記第二延伸帯体から離れた一端に前記第三延伸帯体に対して垂直に連接されていることを特徴とする請求項に記載のアンテナモジュール。
【請求項4】
前記第五放射部は、第一連接帯体及び第二連接帯体を含み、前記第一連接帯体は、前記第四放射部の前記第三延伸帯体から離れた他端に前記第四放射部に対して垂直に連接され、前記第二連接帯体は、前記第一連接帯体に垂直に連接され、且つ前記第二延伸帯体と互いに平行となるように延在することを特徴とする請求項に記載のアンテナモジュール。
【請求項5】
前記第六放射部の全体は、順に連接されている第一結合帯体、第二結合帯体、第三結合帯体及び第四結合帯体を含み、前記第一結合帯体は、前記第二連接帯体の前記第一連接帯体から離れた一端に前記第二連接帯体に対して垂直に連接され、前記第二結合帯体の両端は、それぞれ前記第一結合帯体及び前記第三結合帯体に垂直に連接され、且つ前記第二延伸帯体に対して平行に延在し、前記第四結合帯体は、前記接地部及び前記第三結合帯体とそれぞれ垂直に連接され、且つ前記第二連接帯体と同一直線上に位置することを特徴とする請求項に記載のアンテナモジュール。
【請求項6】
接地面及び請求項1〜の何れか1項に記載のアンテナモジュールを備える無線通信装置であって、
前記アンテナモジュールは、前記接地面に設けられていることを特徴とする無線通信装置。
【請求項7】
前記無線通信装置は、整合回路をさらに備え、前記接地面には、フィードイン点が設けられ、前記フィードイン部は、前記フィードイン点と互いに電気的に接続され、
前記整合回路は、コンデンサ及びインダクタンスを含み、前記インダクタンスは、前記フィードイン点と前記アンテナモジュールとの間に直列接続され、前記コンデンサの一端は、前記インダクタンスと前記アンテナモジュールとの間に電気的に接続され、前記コンデンサの他端は、接地されていることを特徴とする請求項に記載の無線通信装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンテナモジュール及びこのアンテナモジュールを用いた無線通信装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
最近、無線通信装置は益々軽薄及び小型化し、消費者の無線通信装置の外観に対する要求もさらに高まっている。この中で、金属ハウジングは高級感があり、強固で且つ放熱効果に優れている等の利点を有するため、現在、多くの無線通信装置に使用されている。しかし、金属ハウジングは電磁波遮蔽性能を備えるため、この性能が、アンテナが無線信号を送受信する時の放射効率に影響を与える。これによって、無線通信装置の信号強度は弱くなる。
【0003】
現在、本業界では、主に2つの方法を採用して、金属ハウジングのアンテナの放射効率に対する阻害を改善している。1つは、無線通信装置の電気回路基板において、アンテナの放射効率を高めるためのキープ・アウト・ゾーンの面積を拡大するか又はキープ・アウト・ゾーンを増設することである。しかし、この方法は、無線通信装置の重量を増加し、無線通信装置の体積を増大させる欠点がある。もう1つは、金属ハウジングにスロットアンテナを設けることである。しかし、従来のスロットアンテナは面積を占有し、且つ形状が複雑であるため製造し難い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記の問題点を考慮してなされたものであり、体積が小さく、占有空間が小さいアンテナモジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を解決するために、本発明に係るアンテナモジュールは、基体と、放射体と、フィードイン部と、接地部と、を備え、基体は、複数の表面を備え、フィードイン部及び接地部は、基体の1つの表面に設けられ、放射体は、基体の1つ又は複数の表面に設けられ、放射体の両端は、それぞれフィードイン部及び接地部に接続されてループアンテナを構成し、フィードイン部、接地部及び放射体により構成されたループアンテナの内部に電子部品が設けられる。
【0006】
また、上記の課題を解決するために、本発明に係る無線通信装置は、接地面及びアンテナモジュールを備え、アンテナモジュールは、接地面に設けられている。
【発明の効果】
【0007】
従来の技術と異なり、本発明のアンテナモジュールの放射体が基体の表面に設けられているため、アンテナモジュールが占める空間は従来のループアンテナより小さい。よって、アンテナモジュールを用いた無線通信装置の小型化を促進することができる。また、本発明のアンテナモジュールにキープ・アウト・ゾーンを余分に設ける必要がないので、アンテナモジュールの構造はさらに簡易になり、無線通信装置の体積を縮小することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施形態に係る無線通信装置の一部の拡大図である。
図2図1に示した無線通信装置の整合回路の回路図である。
図3図1に示した無線通信装置のアンテナモジュールのリターンロスを示す曲線図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1に示すように、本発明の実施形態に係るアンテナモジュール100は、携帯電話機やタブレットパソコン等の無線通信装置200に装着されて、無線信号を送受信するために用いられる。
【0010】
無線通信装置200は、接地面201を備える。本実施形態において、接地面201は、無線通信装置200の金属バックケースであり、第一の縁20a、第二の縁20b及び第三の縁20cを備える。第一の縁20a及び第二の縁20bは、無線通信装置200の対向する両側に位置し、且つ互いに対向して平行である。第三の縁20cの両端は、それぞれ第一の縁20a及び第二の縁20bに垂直に連接されている。また、第三の縁20cには、信号のフィードイン点203及び接地点205が設けられている。
【0011】
アンテナモジュール100は、基体10、電子部品30、フィードイン部40、接地部50及び放射体70を備える。基体10は、接地面201に垂直に設けられている。フィードイン部40及び接地部50は、それぞれ放射体70の2つの末端に連接されて、ループアンテナを構成する。フィードイン部40、接地部50及び放射体70は、基体10の表面に設けられている。
【0012】
本実施形態において、基体10は、ほぼ「U」字状を呈し、且つ第一表面11、第二表面12及び第三表面13を備える。第一表面11及び第二表面12は、互いに対向して位置し且つ平行である。第三表面13は、第一表面11と第二表面12との間に位置し、且つその両端は、それぞれ第一表面11及び第二表面12に垂直に連接されている。
【0013】
電子部品30は、USBコネクタ又はスピーカー等であり、基体10の第三表面13に設けられている。また電子部品30は、基体10の第三表面13であって、フィードイン部40、接地部50及び放射体70により構成されたループアンテナの内部に設けられる。フィードイン部40及び接地部50は、基体10の第三表面13において互いに間隔をあけて平行に設けられ、且つそれぞれ第三の縁20cに対して垂直である。フィードイン部40は、フィードイン点203に電気的に接続されて、アンテナモジュール100に電流を供給する。接地部50は、接地点205に電気的に接続されて、アンテナモジュール100を接地させる。
【0014】
放射体70は、順に連接されている第一放射部71、第二放射部72、第三放射部73、第四放射部74、第五放射部75及び第六放射部76を備える。第一放射部71は、基体10の第一表面11及び第三表面13に設けられ、且つ第一放射帯体711及び第二放射帯体713を含む。第一放射帯体711は、第三の縁20cに対して平行となるように第三表面13に設けられ、且つフィードイン部40のフィードイン点203から離れた一端にフィードイン部40に対して垂直に連接されている。第二放射帯体713は、第一表面11に設けられており、且つその一端は、第一放射帯体711のフィードイン部40から遠く離れた一端に第一放射帯体711に対して垂直に連接されている。また、第二放射帯体713の他端は、第二放射部72に垂直に連接されている。
【0015】
第三放射部73は、第一表面11に設けられた第一延伸帯体731と、第三表面13に設けられた第二延伸帯体732と、第二表面12に設けられた第三延伸帯体733と、を含む。第一延伸帯体731は、第二放射部72の第二放射帯体713から離れた一端に第二放射部72に対して垂直に連接され、且つ第二放射帯体713と互いに平行となるように延在する。第二延伸帯体732は、第一延伸帯体731の第二放射部72から離れた一端に第二放射部72に対して垂直に連接され、且つ第一放射帯体711と互いに平行となるように延在する。第二延伸帯体732は、第三表面13の長手方向に沿って延在し、その長さは、第一放射帯体711の長さより遥かに長い。第三延伸帯体733は、第二延伸帯体732の第一延伸帯体731から遠く離れた一端に第二延伸帯体732に対して垂直に連接されている。
【0016】
第四放射部74は、第二表面12に設けられた細長い帯体であり、その延伸方向は、第二の縁20bに対して垂直である。第四放射部74の一端は、第三延伸帯体733の第二延伸帯体732から離れた一端に第三延伸帯体733に対して垂直に連接されている。
【0017】
第五放射部75は、第二表面12に設けられた第一連接帯体751と、第三表面13に設けられた第二連接帯体752と、を含む。第一連接帯体751は、第四放射部74の第三延伸帯体733から離れた他端に第四放射部74に対して垂直に連接されている。第二連接帯体752は、第一連接帯体751に垂直に連接され、且つ第二延伸帯体732と互いに平行となるように延在している。
【0018】
第六放射部76の全体は、第三表面13に設けられ、且つ順に連接されている第一結合帯体761、第二結合帯体762、第三結合帯体763及び第四結合帯体764を含む。第一結合帯体761は、第二連接帯体752の第一連接帯体751から遠く離れた一端に第二連接帯体752に対して垂直に連接され、且つ第三の縁20cに向かって延在している。第二結合帯体762の両端は、それぞれ第一結合帯体761及び第三結合帯体763に垂直に連接され、且つ第三の縁20cに沿って第二延伸帯体732に対して平行に延在している。第四結合帯体764は、接地部50及び第三結合帯体763とそれぞれ垂直に連接され、且つ第二連接帯体752と同一直線上に位置する。
【0019】
図2に示すように、本発明の無線通信装置200は、フィードイン点203とアンテナモジュール100との間に位置する整合回路207をさらに備える。整合回路207は、フィードイン点203及びアンテナモジュール100とそれぞれ電気的に接続され、且つコンデンサC及びインダクタンスLを含む。インダクタンスLは、フィードイン点203とアンテナモジュール100との間に直列接続されている。コンデンサCの一端は、インダクタンスLとアンテナモジュール100との間に電気的に接続され、コンデンサCの他端は、接地されている。従って、本発明は、コンデンサCの容量値又はインダクタンスLのインダクタンス値を変えることによって、アンテナモジュール100のインピーダンスマッチングを調節して、アンテナモジュール100の低周波モード又は高周波モードを調節することができる。
【0020】
図3は、本発明のアンテナモジュール100のリターンロスを示している。図3から分かるように、アンテナモジュール100は、800〜900MHz及び1710〜2170MHzの帯域幅の無線信号を送受信する時に、好ましい放射効果を備える。
【0021】
また、実際の設計過程において、第三放射部73を基体10の接地面201から遠く離れる端部に設けても良い。即ち、第三放射部73から接地面201までの距離をできるだけ長くする。これにより、アンテナモジュール100の放射効率及び周波数帯域をさらに好ましくすることができる。
【0022】
また、変形例として、アンテナモジュール100の基体10を「L」字状に成形、即ち、第一表面11又は第二表面12を省略して、放射体70を第三表面13及び第一表面11又は第三表面13及び第二表面12に設けても良い。
【0023】
また、変形例として、アンテナモジュール100の基体10を矩形に成形、即ち、第一表面11及び第二表面12を省略して、放射体70の全体を第三表面13のみに設けても良い。
【符号の説明】
【0024】
200 無線通信装置
201 接地面
203 フィードイン点
205 接地点
207 整合回路
100 アンテナモジュール
10 基体
11 第一表面
12 第二表面
13 第三表面
20a 第一の縁
20b 第二の縁
20c 第三の縁
30 電子部品
40 フィードイン部
50 接地部
70 放射体
71 第一放射部
711 第一放射帯体
713 第二放射帯体
72 第二放射部
73 第三放射部
731 第一延伸帯体
732 第二延伸帯体
733 第三延伸帯体
74 第四放射部
75 第五放射部
751 第一連接帯体
752 第二連接帯体
76 第六放射部
761 第一結合帯体
762 第二結合帯体
763 第三結合帯体
764 第四結合帯体
図1
図2
図3