特許第6491866号(P6491866)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6491866走行クランプ供給先選択方法および走行クランプ供給先選択搬送設備
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6491866
(24)【登録日】2019年3月8日
(45)【発行日】2019年3月27日
(54)【発明の名称】走行クランプ供給先選択方法および走行クランプ供給先選択搬送設備
(51)【国際特許分類】
   B65G 43/08 20060101AFI20190318BHJP
   B65G 47/46 20060101ALI20190318BHJP
   B65G 47/68 20060101ALI20190318BHJP
【FI】
   B65G43/08 A
   B65G47/46 F
   B65G47/68 Z
【請求項の数】2
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2014-248179(P2014-248179)
(22)【出願日】2014年12月8日
(65)【公開番号】特開2016-108109(P2016-108109A)
(43)【公開日】2016年6月20日
【審査請求日】2017年8月2日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 第30条第2項適用、THE SUPPLIER 2014年9月号VOL.9(平成26年9月20日)にて発表、日本クリーニング新聞(平成26年9月5日)にて発表、2014年9月11日に全ドラ(新聞)(2014年9月11日)にて発表、平成26年9月25日、26日株式会社トーカイにおいて開催されたメディカルリネン工場の新製品見学会で発表、平成26年11月7日〜8日株式会社稲本製作所にて発表
(73)【特許権者】
【識別番号】502407130
【氏名又は名称】株式会社プレックス
(74)【代理人】
【識別番号】110001704
【氏名又は名称】特許業務法人山内特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】江浪 寧彦
【審査官】 中田 誠二郎
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第03977224(US,A)
【文献】 特開平05−262416(JP,A)
【文献】 特開2010−058188(JP,A)
【文献】 特開平07−017669(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 43/00−43/10
B65G 47/34−47/52,47/56−47/78
B65G 1/00−1/133,1/14−1/20
B65G 17/00−17/48
B23Q 37/00−41/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送対象物を走行クランプに吊持させる複数個所の作業台と、前記走行クランプで搬送対象物を作業機まで搬送する搬送往路と空の走行クランプを回収して前記作業台に供給する搬送復路と、該搬送復路から分岐して前記各作業台に空の走行クランプを供給する複数本の分岐路とを備えており、
前記搬送復路から前記複数本の分岐路が分岐する複数個所の分岐点において、
複数の作業台のうち走行クランプを供給すべき作業台を選択する選択方法が、
各分岐点到着時点から各作業台での作業に取りかかれるまでの着手前待ち時間の長短を比較して、着手前待ち時間の短い作業台を選択する方法であって、
前記選択方法が、
(1)複数の作業台のうち、先行して供給した先行走行クランプの有り無しを識別し、前記先行走行クランプの無い作業台を選択する1次選択と
(2)前記1次選択で選択された複数の作業台のうち、分岐点到着時点から作業までの待ち時間が短い方の作業台を選択する2次選択を、その順で行う
ことを特徴とする走行クランプ供給先選択方法。
【請求項2】
搬送対象物を走行クランプに吊持させる複数個所の作業台と、前記走行クランプで搬送対象物を作業機まで搬送する搬送往路と空の走行クランプを回収して前記作業台に供給する搬送復路と、該搬送復路から分岐して前記各作業台に空の走行クランプを供給する複数本の分岐路とを備えており、
前記搬送復路から前記複数本の分岐路が分岐する複数個所の分岐点において、
複数の作業台のうち走行クランプを供給すべき作業台を選択するための制御装置を備えており、
該制御装置が、各分岐点到着時点から各作業台での吊時作業に取りかかれるまでの着手前待ち時間の長短を比較して、該着手前待ち時間の短い作業台を選択する方法であって、
前記選択方法が、
(1)複数の作業台のうち、先行して供給した先行走行クランプの有り無しを識別し、前記先行走行クランプの無い作業台を選択する1次選択と
(2)前記1次選択で選択された複数の作業台のうち、分岐点到着時点から作業までの待ち時間が短い方の作業台を選択する2次選択を、その順で行う
ことを特徴とする走行クランプ供給先選択搬送設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、走行クランプ供給先選択方法および走行クランプ供給先選択搬送設備に関する。さらに詳しくは、布類や包布(2枚生地の布団カバー)、枕カバー、タオル、テーブルクロスなど種々の被搬送物を複数個所の作業台で走行クランプに吊り下げ目的地まで搬送する搬送設備において、走行クランプの供給先を複数の作業台のなかから選択する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
洗濯済みシーツをアイロン掛けしたり折り畳んだりする設備として、特許文献1〜3の従来技術がある。
これらの従来技術は、レール上を走行する複数の走行クランプにシーツ等の被搬送物を吊下げて、アイロナー等の仕上げ機まで次々と搬送するものである。この搬送物設備ではシーツ等を仕上げ機に送り込んだ後は空の走行クランプがレール上を走行して、シーツ等を走行クランプに吊下げるための作業台に帰ってくる。
【0003】
ところで、シーツを走行クランプに吊り下げる作業は完全自動化が出来ておらず、一部人手に頼る作業台が用いられている。こうした人力依存の作業台は高速化に限界があるので、作業台を複数個設け仕上げ機等の処理速度に追い付こうとしている。
【0004】
この場合、複数個の作業台における作業員の能力に依存して作業タイミングはランダムに進んでいくのが普通である。このため、手前の作業台から順に空の走行クランプを供給していくと、待ち時間が多くなったりして、必ずしも作業能率を向上させることができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平6−1319号公報
【特許文献2】特開平7−144092号公報
【特許文献3】特開平7−304514号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記事情に鑑み、複数の作業台に対し待ち時間を短くして作業能率を高めた走行クランプ供給先選択方法および走行クランプ供給先選択搬送設備を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1発明の走行クランプ供給先選択方法は、搬送対象物を走行クランプに吊持させる複数個所の作業台と、前記走行クランプで搬送対象物を作業機まで搬送する搬送往路と空の走行クランプを回収して前記作業台に供給する搬送復路と、該搬送復路から分岐して前記各作業台に空の走行クランプを供給する複数本の分岐路とを備えており、前記搬送復路から前記複数本の分岐路が分岐する複数個所の分岐点において、複数の作業台のうち走行クランプを供給すべき作業台を選択する選択方法が、各分岐点到着時点から各作業台での作業に取りかかれるまでの着手前待ち時間の長短を比較して、着手前待ち時間の短い作業台を選択する方法であって、前記選択方法が、(1)複数の作業台のうち、先行して供給した先行走行クランプの有り無しを識別し、前記先行走行クランプの無い作業台を選択する1次選択と(2)前記1次選択で選択された複数の作業台のうち、分岐点到着時点から作業までの待ち時間が短い方の作業台を選択する2次選択を、その順で行うことを特徴とする。
第2発明の走行クランプ供給先選択搬送設備は、搬送対象物を走行クランプに吊持させる複数個所の作業台と、前記走行クランプで搬送対象物を作業機まで搬送する搬送往路と空の走行クランプを回収して前記作業台に供給する搬送復路と、該搬送復路から分岐して前記各作業台に空の走行クランプを供給する複数本の分岐路とを備えており、前記搬送復路から前記複数本の分岐路が分岐する複数個所の分岐点において、複数の作業台のうち走行クランプを供給すべき作業台を選択するための制御装置を備えており、該制御装置が、各分岐点到着時点から各作業台での吊時作業に取りかかれるまでの着手前待ち時間の長短を比較して、該着手前待ち時間の短い作業台を選択する方法であって、前記選択方法が、(1)複数の作業台のうち、先行して供給した先行走行クランプの有り無しを識別し、前記先行走行クランプの無い作業台を選択する1次選択と(2)前記1次選択で選択された複数の作業台のうち、分岐点到着時点から作業までの待ち時間が短い方の作業台を選択する2次選択を、その順で行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
第1発明によれば、つぎの効果を奏する。
a)各分岐点到着時点から各作業台での作業に取りかかれるまでの着手前待ち時間の長短を比較して、該着手前待ち時間の短い作業台を選択するので、無駄な待ち時間が無くなり、搬送能率が高くなる。このため、作業機の作業速度を向上することが可能となる。
b)1次選別で待ち時間の遅いことが分かっている作業台を除外しておいて、残りの作業台の待ち時間を対比するので、2次選択の判断時間が短くなり、搬送能率がより高くなる。また、選択判断のための制御装置を簡易にできる。
発明によれば、つぎの効果を奏する。
a)各分岐点到着時点から各作業台での作業に取りかかれるまでの着手前待ち時間の長短を比較して、該着手前待ち時間の短い作業台を選択するので、無駄な待ち時間が無くなり、搬送能率が高くなる。このため、作業機の作業速度を向上することが可能となる。
b)1次選別で待ち時間の遅いことが分かっている作業台を除外しておいて、残りの作業台の待ち時間を対比するので、2次選択の判断時間が短くなり、搬送能率がより高くなる。また、選択判断のための制御装置を簡易にできる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明に係る走行クランプ供給先選択方法の説明図である。
図2】本発明における走行クランプ供給先選択方法のフローチャートである。
図3】本発明の走行クランプ供給先選択方法を適用した一例の状態説明図である。
図4】本発明が適用される搬送設備の全体平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
つぎに、本発明の実施形態を図面に基づき説明する。
まず、本発明が適用される搬送設備の全体を図4に基づき説明する。
本発明が適用される被搬送物には、シーツの外、包布(2枚生地の布団カバー)、枕カバー、タオル、テーブルクロスなど各種の被搬送物が含まれるが、以下では、洗濯済みのシーツを例にとって説明する。
【0011】
A1,A2は仕上げ機であり、洗濯済みのシーツを方形に広げて送り出す展開機1と、方形状布類にアイロン掛けをするアイロナー2と、アイロン掛けされた方形状布類を折り畳んで梱包する折り畳み機3とからなる。なお、仕上げ機には、これらに限ることなく、種々のタイプの機械装置が含まれる。
また、図示の仕上げ機A1,A2は2台であるが、1台のものも、3台以上のものも本発明に含まれる。
【0012】
符号B1,B2,B3,B4は作業台を示している。各作業台B1〜B4では、洗濯工程から送られてきた洗濯済みのシーツ(まだ濡れている状態のもの)を受け取り、作業員がそのシーツを天井に配設したレール上を走行する走行クランプに吊下げる作業を行う。
天井に配設されたレールは、仕上げ機A1,A2と作業台B1〜B4の間で走行クランプ10を走行させるように設けられている。つまり、作業台B1〜B4から仕上げ機A1、A2へ洗濯済みシーツを供給するための搬送往路R1と、仕上げ機A1,A2にシーツを受け渡して空になった走行クランプ10を作業台B1〜B4へ回収するための搬送復路R2から構成されている。
【0013】
走行クランプ10はレール(搬送往路R1,搬送復路R2)を走行でき、シーツ等の被搬送物を吊下げて搬送できるのであれば、どのような構造のものでもよい。
【0014】
つぎに、図3に基づき本発明の走行クランプ供給先選択方法(以下、選択方法という)を説明するための前提状況を説明する。
搬送復路R2からは4個所の分岐点J1,J2,J3,J4を起点にして4本の分岐路d1、d2、d3、d4が枝分かれしている。4本の分岐路d1、d2、d3、d4は4個所の作業台B1,B2,B3,B4に接続されている。また、4個所の作業台B1〜B4から更に分岐路d1〜d4が延びて、搬送往路R1につなげられている。
【0015】
つぎに、本発明の選択方法を説明する。
本発明の選択方法は、
(1)複数の作業台のうち、先行して供給した先行走行クランプ10の有り無しを識別し、先行走行クランプ10の無い作業台B1〜B4を選択する1次選択と、
(2)1次選択で選択された複数の作業台B1〜B4のうち、分岐点到着時点から作業までの待ち時間が短い方の作業台B1〜B4を選択する2次選択が、その順で行われる。
【0016】
また、上記1次選択と2次選択は、各分岐点J1,J2およびJ3で行われるので、分岐点毎に供給先の選択範囲が狭められる。図1を参照して説明する。
分岐点J1では、4カ所の作業台B1〜B4から最適作業台Bx(待ち時間が最短のもの、以下同じ)が選択される。
分岐点J2では、3カ所の作業台B2〜B4から最適作業台Bxが選択される。
分岐点J3では、2カ所の作業台B3,B4から最適作業台Bxが選択される。
【0017】
1次選択および2次選択は以下のように行われる。図2のフローチャートに基づき説明する。
・ステップ101で作業台B1〜B4において先行クランプ10eの有り無し状態を判断する。作業台B1〜B4において先行クランプ10eが入側手前に存するものと存しないものが混在するときはステップ102に進む。
・ステップ102では、先行クランプ10eの無い作業台を選択する。
・つぎに、ステップ103に進み、待ち時間の短い作業台を選択する。
・もし、ステップ101において全ての作業台B1〜B4に先行クランプ10eが無いと判断されたら(ステップ104)、直接ステップ103に進む。また、ステップ101において、全ての作業台B1〜B4に先行クランプが有りと判断されたら(ステップ105)、ステップ101の手前に帰る。
【0018】
つぎに、図3の状況による供給先選択を具体的に説明する。
(1)1次選択
作業台B1,B2の入側手前には空クランプ10eが有るが、作業台B3,B4の入側には空クランプが無い。この場合、作業台B3、B4を選択する(図2のステップ101、102)。作業台B1,B2を選択しないのは、これから作業を行う作業台B1,B2より、空クランプの無い作業台B3,B4の方が着手前待ち時間が短いはずだからである。
【0019】
(2)2次選択
作業台B3,B4のうちの一の作業台の選択は、待ち時間を計測して短い方を選択する(図2のステップ103)。この場合、a)作業台に先行走行クランプが引き込まれた時点からの経過時間か、b)作業台から先行走行クランプが送り出されてからの経過時間の、いずれかを用い、経過時間の長い方を選択する。経過時間が長いということは、次の作業までの待ち時間が短いことを意味するからである。
図3の例では作業台B4が先に先行走行クランプを送り出しているので、作業台B4を選択する。
【0020】
(3)以後は1次選択と2次選択を繰返す。分岐路d1、d2に空の走行クランプ10eが存在していれば作業台B3を選択する。
(4)そして、作業台B1と作業台B2は、前記(2)繰返す。
作業台B1,B2のいずれかが選択されれば、残る作業台B3,B4およびB1またはB2のなかで、改めて1次選択と2次選択が行われる。
【0021】
以上のようにして、空の走行クランプ10eの供給先が選択されるので、本実施形態によれば次の効果を奏する。
1次選別で待ち時間の遅いことが分かっている作業台を除外しておいて、残りの作業台の待ち時間を対比するので、2次選択の判断時間が短くなり、搬送能率がより高くなる。また、選択判断のための制御装置を簡易にできる。
以上のようにして、各分岐点到着時点から各作業台での作業に取りかかれるまでの着手前待ち時間の長短を比較して、該着手前待ち時間の短い作業台を選択するので、無駄な待ち時間が無くなり、搬送能率が高くなる。このため、作業機の作業速度を向上することが可能となる。
【符号の説明】
【0022】
A1,A2 仕上げ機
B1〜B4 作業台
d1〜d4 分岐路
R レール
R1 搬送往路
R2 搬送復路
10 走行クランプ
10e 空の走行クランプ
図1
図2
図3
図4