特許第6491889号(P6491889)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6491889
(24)【登録日】2019年3月8日
(45)【発行日】2019年3月27日
(54)【発明の名称】内燃機関の消音器に用いる水排出装置
(51)【国際特許分類】
   F01N 13/00 20100101AFI20190318BHJP
【FI】
   F01N13/00 B
【請求項の数】1
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2015-8768(P2015-8768)
(22)【出願日】2015年1月20日
(65)【公開番号】特開2016-133078(P2016-133078A)
(43)【公開日】2016年7月25日
【審査請求日】2017年8月24日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】390010227
【氏名又は名称】株式会社三五
(74)【代理人】
【識別番号】100101535
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 好道
(74)【代理人】
【識別番号】100161104
【弁理士】
【氏名又は名称】杉山 浩康
(72)【発明者】
【氏名】江崎 孝志
【審査官】 堀内 亮吾
(56)【参考文献】
【文献】 実開平01−071122(JP,U)
【文献】 実開昭57−180111(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01N 1/00− 1/24、
5/00− 5/04、
13/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
排気ガスが流通する流路を形成するアウトレットパイプ内に開口する筒状の連通管を設け、該連通管により前記アウトレットパイプの外部に溜まった水を排出する内燃機関の消音器に用いる水排出装置であって、
前記アウトレットパイプの車両搭載時における底部に、前記連通管を、そのアウトレットパイプ側端部の開口面が前記アウトレットパイプ内に位置するように、前記アウトレットパイプ内に突出するとともに、アウトレットパイプ内に突出した部分の軸芯が前記アウトレットパイプの軸芯に対して傾斜するように挿通して設け、
前記連通管のアウトレットパイプ内の開口部を、その開口面が前記アウトレットパイプの軸芯に対して傾斜し、かつ、アウトレットパイプの下流側に向かって開口するとともに、その開口の下流側端を、前記車両搭載時においてその開口の上流側端よりも下流側で、かつ、前記アウトレットパイプの軸芯から最も離間する位置に形成したことを特徴とする内燃機関の消音器に用いる水排出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関の消音器に用いる水排出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
内燃機関の排気ガス中に含まれる水蒸気が冷えて液化し、この水が排気系の消音器内に溜まることがある。このように、水が溜まると、この溜まった水により、消音器の腐食が促進される恐れがある。
【0003】
そのため、従来、消音器内に溜まった水を除去するために、図8に示すように、アウトレットパイプ101内と消音器のケース102内とを連通する連通管103を設け、排気流によりこの連通管103を通じてアウトレットパイプ101内に水を吸い上げて、排気ガスと共に外部へ排出するものがある。
【0004】
この図8に示す連通管103は、アウトレットパイプ101の軸芯に至るほど下流側に傾斜するように設け、その連通管103のアウトレットパイプ101内に突出させた開口部104を、アウトレットパイプ101の軸芯に対して直交するように切断して設けたものが知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実公昭47−2991号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記従来の連通管103においては、アウトレットパイプ101の軸芯に至るほど下流側に傾斜するように設けるとともに、その開口部104を、アウトレットパイプの軸芯に対して直交するように設けるため、この連通管103のアウトレットパイプ101内への出代H1が大きくなり、この連通管103により、アウトレットパイプ101内を流れる排気ガス流が乱されて、気流騒音が発生するという問題がある。
【0007】
そこで、本発明は、上記問題点を解決した内燃機関の消音器に用いる水排出装置を提案することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記の課題を解決するために、本発明は、排気ガスが流通する流路を形成するアウトレットパイプ内に開口する筒状の連通管を設け、該連通管により前記アウトレットパイプの外部に溜まった水を排出する内燃機関の消音器に用いる水排出装置であって、
前記アウトレットパイプの車両搭載時における底部に、前記連通管を、そのアウトレットパイプ側端部の開口面が前記アウトレットパイプ内に位置するように、前記アウトレットパイプ内に突出するとともに、アウトレットパイプ内に突出した部分の軸芯が前記アウトレットパイプの軸芯に対して傾斜するように挿通して設け、
前記連通管のアウトレットパイプ内の開口部を、その開口面が前記アウトレットパイプの軸芯に対して傾斜し、かつ、アウトレットパイプの下流側に向かって開口するとともに、その開口の下流側端を、前記車両搭載時においてその開口の上流側端よりも下流側で、かつ、前記アウトレットパイプの軸芯から最も離間する位置に形成したことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、連通管における流路内の開口部を、下流側に向かって開口するとともに、その下流側端は、その開口部の上流側端よりも下流側で、かつ、流路の軸芯から離間する位置に形成したことにより、上記従来技術と比較して、連通管の流路内への突出量を少なくすることができ、気流騒音の発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の水排出装置を消音器に適用した実施例1の平断面図。
図2図1のA−A線断面図。
図3】実施例1における水排出装置の要部縦断面図。
図4】本発明の実施例2における連通管の一例を示す要部断面図。
図5】本発明の実施例2における連通管の他例を示す要部断面図。
図6】本発明の実施例2における連通管の他例を示す要部断面図。
図7】本発明の実施例2における連通管の他例を示す要部断面図。
図8】従来の水排出装置を示す縦断面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明を実施するための形態を図に示す実施例に基づいて説明する。
【0013】
[実施例1]
図1乃至図3は、本発明の実施例1を示す。
【0014】
本実施例1は、本発明の水排出装置を消音器に適用した実施例である。
【0015】
消音器1は、図2に示すように断面が長円状で筒状に形成された外殻であるケース2を有し、そのケース2の軸芯方向X−Xの両端部にはアウタープレート3,4が固設されている。一方のアウタープレート3には、インレットパイプ挿入穴3aが形成され、他方のアウタープレート4には、アウトレットパイプ挿入穴4aが形成されている。
【0016】
また、ケース2内には、2枚のインナープレート5,6が略平行に設けられ、このインナープレート5,6により第1消音室7と第2消音室8と第3消音室9が区画形成されている。第1消音室7と第2消音室8と第3消音室9は、インナープレート5,6の底部に形成した連通穴12により連通している。インナープレート5,6には、インレットパイプ挿入穴5a,6a、及び、アウトレットパイプ挿入穴5b,6bが形成されている。
【0017】
気体である排気ガスが流通する流路を形成する流路管であるインレットパイプ10は、アウタープレート3とインナープレート5,6のインレットパイプ挿入穴3a,5a,6aに圧入して固設されている。
【0018】
また、気体である排気ガスが流通する流路を形成する流路管であるアウトレットパイプ11は、アウタープレート4とインナープレート5,6のアウトレットパイプ挿入穴4a,5b,6bに圧入して固設されている。なお、インレットパイプ10又はアウトレットパイプ11の、アウタープレート3,4とインナープレート5,6への組付は、圧入ではなく溶接により行ってもよい。インレットパイプ10の周壁には、複数の貫通孔14が形成されている。
【0019】
アウトレットパイプ11には、ケース2の略中央部に位置して設けられており、アウトレットパイプ11の車両搭載時における底部には、断面円形の円筒状の連通管15が、アウトレットパイプ11内の流路に開口して設けられている。連通管15は、図3に示すように、上流側Cから下流側Dに向かうほど、アウトレットパイプ11の軸芯X−Xに近づくように傾斜して、アウトレットパイプ11内に挿通されている。
【0020】
連通管15におけるアウトレットパイプ11内の開口部16は、図3に示すように、連通管15の軸芯Y−Yに対して直交するように形成され、下流側Dに向かって開口している。また、開口部16は、アウトレットパイプ11の軸芯X−Xよりも、連通管15の挿通側(車両搭載時における下側)に位置するとともに、上流側Cから下流側Dに向かうほど、アウトレットパイプ11の下側内周面11aに向かうように、アウトレットパイプ11の軸芯X−Xに対してその開口面が傾斜している。また、開口部16は、その下流側端16aが、その上流側端16bよりも、下流側で、かつ、アウトレットパイプ11の軸芯X−Xから離間する位置に形成されている。すなわち、開口部16の下流側端16aは、車両搭載時において、その上流側端16bよりも、下流側で、かつ、下側に位置するように形成されている。
【0021】
開口部16の軸芯X−Xに対する傾斜角度は任意に設定することができるが、アウトレットパイプ11内を流れる排気ガスにより、連通管15内の開口部16付近が負圧となる傾斜角度とすることが好ましい。
【0022】
なお、連通管15は、上記の円筒状以外にも、両端が開口するとともに、内部が中空状に形成されていれば、その断面形状は、楕円、三角形,四角形等の多角形形状など任意の形状とすることができる。
【0023】
連通管15の他方の開口部17は、ケース2の内底面近傍の水溜り部19に開口するように形成されている。他方の開口部17は、図2に示すように、連通管15の軸芯Y−Yに対して直交するように形成されている。連通管15は、水排出装置21を構成している。なお、他方の開口部17の軸芯Y−Yに対する傾斜角度は、任意に設定することができ、軸芯Y−Yに直交する以外にも、例えば、図8に示す従来技術のように、内周面11aと略平行に形成してもよい。
【0024】
連通管15とアウトレットパイプ11の製造及びこれらの組み付けなどは任意の方法をとることができる。
【0025】
例えば、連通管15とアウトレットパイプ11を、鋳造により一体に成形してもよい。
【0026】
また、アウトレットパイプ11に取付部を形成し、この取付部に連通管15を挿通するようにしてもよい。この取付部は、任意の方法で形成することができるが、例えば、ハイドロフォーミングによりアウトレットパイプ11と一体に成形してもよいし、成形したアウトレットパイプ11の一部を外側又は内側又は両側に切り起して形成してもよいし、アウトレットパイプ11の半割部と連通管15の半割部を一体に形成したプレス成形品を2個もなか状に重ね合わせて形成してもよい。
【0027】
また、アウトレットパイプ11と取付部は、その軸方向全体を一体に成形してもよいし、アウトレットパイプ11を、その軸方向において、取付部を有する部分と、その他の部分とに複数に分割して成形した後に、これらを繋ぎ合わせてもよい。
【0028】
また、連通管15は、一部品で形成してもよいし、アウトレットパイプ11の内部に突出する部分と、その他の部分との2部品で構成してもよい。
【0029】
また、連通管15を、鋳造、切削で形成してもよいし、もなか状に形成した2つの半割のプレス成型品で構成し、この2部品を重ね合わせて形成してもよい。
【0030】
連通管15の取付部に対する取付方法は、溶接で行ってもよいし、ねじ込み式で行ってもよいし、カシメ止めにより行ってもよいし、OリングやCリング等を用いて取付けるようにしてもよい。
【0031】
本発明の水排出装置21は、上記の構造を有することにより、ケース2内の水溜り部19に溜まった水は、アウトレットパイプ11内を流れる排気ガス流により、連通管15を通じてアウトレットパイプ11内に吸い出され、排気ガスと共に外部へ排出される。
【0032】
また、水排出装置21は、その連通管15におけるアウトレットパイプ11内の開口部16をアウトレットパイプ11の軸芯X−Xに対して傾斜させることで、上記従来技術のものと比較して、アウトレットパイプ11内における連通管15内への突出量H2を少なくすることができ、アウトレットパイプ11内を通る排気ガスの乱れを少なくし、気流騒音の発生を抑制することができる。
【0033】
また、アウトレットパイプ11内を流れる排気ガスにより、連通管15内の開口部16付近が負圧となるように、連通管15の開口部16を、アウトレットパイプ11の軸芯に対して傾斜させることで、ケース2内に溜まった水を、効率よくアウトレットパイプ11内に吸い出して排出することができる。
【0034】
[実施例2]
上記実施例1では、直線状の連通管15を、下流側Dに向かうほど、アウトレットパイプ11の軸芯に近づくように斜めに挿通して設けたが、連通管15を、図4に示すように、その本体部15aの軸芯Y−Yを、アウトレットパイプ11の軸芯X−Xに対して、直交するように設けるとともに、その開口部16付近を下流側D方向に曲げて形成してもよいし、図5に示すように、連通管15全体を湾曲するように形成してもよい。本実施例2においても、開口部16は、アウトレットパイプ11の軸芯X−Xよりも、連通管15の挿通側に位置するとともに、上流側Cから下流側Dに向かうほど、アウトレットパイプ11の軸芯X−Xから離間するように、アウトレットパイプ11の軸芯X−Xに対して傾斜するように形成されている。
【0035】
また、連通管15の開口部16は、上記実施例1のように、連通管15の軸芯Y−Yに対して直交するように形成してもよいし、図6図7に示すように、連通管15の軸芯に対して傾斜するように斜めに切断して形成してもよい。
【0036】
その他の構造は、上記実施例1と同様であるのでその説明を省略する。
【0037】
本実施例2においても、上記実施例1と同様の作用、効果を奏する。
【0038】
[実施例3]
上記実施例1,2においては、連通管15の開口部16を、一平面上に形成したが、開口部16は、アウトレットパイプ11の軸芯X−Xよりも、連通管15の挿通側に位置するとともに、その下流側端16aが、その上流側端16bよりも、下流側で、かつ、アウトレットパイプ11の軸芯X−Xから離間する位置に形成されていれば、円弧状等の任意の形状に形成してもよい。
【0039】
その他の構造は、上記実施例1,2と同様であるのでその説明を省略する。
【0040】
本実施例3においても、上記実施例1,2と同様の作用、効果を奏する。
【0041】
[その他の実施例]
上記実施例1〜3では、本発明の水排出装置21を、内燃機関の消音器1に適用した例を示したが、それ以外にも、本発明の水排出装置を、内燃機関の吸排気流路に設け、その外側に溜まった水を流路内に吸い出して、流路内を流れる流体と共に外部へ排出するものに適用することができる。
【符号の説明】
【0042】
11 流路
15 連通管
16 開口部
16a 下流側端
16b 上流側端
21 水排出装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8