(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記受け付け部は、第2の設定モードにおいて、前記配管の外径および厚み以外の前記配管または流体に関するパラメータを含む詳細情報を前記入力情報として受け付ける、請求項1または2記載の超音波流量スイッチ。
【発明を実施するための形態】
【0019】
[1]超音波流量スイッチの概略構成
以下、本発明の一実施の形態に係る超音波流量スイッチ(以下、流量スイッチと略記する。)について図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の一実施の形態に係る流量スイッチの外観斜視図である。
図2は、
図1の流量スイッチ1の内部構成を示す模式的縦断面図である。
図1に示すように、流量スイッチ1は、クランプ部100およびセンサ部400により構成される。
【0020】
クランプ部100は、上クランプ部材200および下クランプ部材300を含む。上クランプ部材200および下クランプ部材300が配管2を挟み込むように配置される。この状態で、クランプ部100が配管2の外周面に取り付けられる。
図1および
図2の例では、配管2の内径はdである。本実施の形態においては、センサ部400は、2個のセンサ固定ねじ410により上クランプ部材200に着脱可能に固定される。
【0021】
図2に示すように、センサ部400は、筐体部500、結合部600、超音波制御機構700および電子回路部800を含む。筐体部500は、上筐体部510、下筐体部520および経路部材530を含む。上筐体部510は、透明部材により形成された窓部511を上面に有する。下筐体部520の上部に上筐体部510が取り付けられるとともに、下筐体部520の下部に経路部材530が取り付けられる。これにより、筐体部500の内部に水および油等の液体が浸入不可能な空間が形成される。
【0022】
結合部600は、固体の音響カプラント610を含む。音響カプラント610は、筐体部500の経路部材530と配管2との間に位置するように、図示しない保持部材により下筐体部520に保持される。
【0023】
筐体部500の内部に超音波制御機構700が収容される。超音波制御機構700は、2個の超音波素子710,720、超音波遮蔽板730および2個の充填部材740,750を含む。超音波素子710は、配管2に対して所定の角度を成すように配置され、音響接合剤711を介して経路部材530に接合される。同様に、超音波素子720は、配管2に対して所定の角度を成すように配置され、音響接合剤721を介して経路部材530に接合される。
【0024】
経路部材530のうち超音波素子710,720の間の部分が分断されるように、超音波遮蔽板730が設けられる。充填部材740,750は互いに異なる部材により形成される。充填部材740は、超音波素子710,720の周囲を取り囲むように配置される。充填部材750は、充填部材740の上方に配置される。
【0025】
電子回路部800は、主基板810、副基板820、コネクタ830および表示灯840を含む。主基板810は、超音波素子710,720、副基板820、コネクタ830および表示灯840に電気的に接続される。主基板810には、主として制御部811および記憶部812が設けられる。
【0026】
制御部811は例えばCPU(中央演算処理装置)を含む。制御部811は、コネクタ830およびケーブル3を通して流量スイッチ1の外部装置に接続される。それにより、外部装置の電源から主基板810および副基板820に電力が供給される。外部装置は、例えばパーソナルコンピュータまたはプログラマブルロジックコントローラである。記憶部812は、不揮発性メモリまたはハードディスク等の記録媒体を含む。記憶部812には、流量スイッチ1を動作させるための種々のデータおよびプログラムが記憶される。
【0027】
副基板820には、主として表示部821および操作部822が設けられる。主基板810および副基板820は、筐体部500の内部に収容される。表示部821は、14セグメントLED(発光ダイオード)パネルを含む。なお、表示部821は、14セグメントLEDパネルに代えて、7セグメントLEDパネル、液晶表示器またはドットマトリクス表示器のいずれかを含んでもよい。操作部822は、複数のボタンを含み、筐体部500の上方から操作可能に構成される。複数のボタンの詳細は後述する。コネクタ830は、1または複数の入出力端子を含む。表示灯840は、1または複数のLEDを含む。コネクタ830および表示灯840は、筐体部500の上筐体部510の上面に設けられる。
【0028】
図3は、流量スイッチ1の制御系を示すブロック図である。
図3に示すように、主基板810には、上記の制御部811および記憶部812に加えて送受信切替回路813、送信部814および受信部815が設けられる。
【0029】
送信部814は、例えば信号発生回路および増幅回路を含む。また、受信部815は、例えばA/D(アナログデジタル)変換回路および増幅回路を含む。送信部814および受信部815は、それぞれ送受信切替回路813に接続される。
【0030】
送信部814においては、制御部811による制御に基づいて信号発生回路からアナログ信号が発生される。発生されたアナログ信号は、増幅回路により増幅されつつ送受信切替回路813に与えられる。送受信切替回路813は、送信部814から与えられるアナログ信号を超音波素子710,720に交互に与える。超音波素子710にアナログ信号が与えられることにより、超音波素子710から超音波が発生される。超音波素子720にアナログ信号が与えられることにより、超音波素子720から超音波が発生される。
【0031】
図2に示すように、超音波素子710から発生された超音波は、経路部材530および音響カプラント610を通して入射角θで配管2内の流体に入射される。流体内を伝播する超音波は、反射角θで配管2の内面で反射される。反射された超音波は、音響カプラント610および経路部材530を通して超音波素子720により受信される。超音波素子720は受信した超音波に基づくアナログ信号を出力する。超音波素子720から出力されたアナログ信号は、
図3の送受信切替回路813を通して受信部815に与えられる。
【0032】
受信部815においては、送受信切替回路813から与えられたアナログ信号が増幅回路により増幅されるとともにA/D変換回路によりデジタル信号に変換される。変換されたデジタル信号は、制御部811に与えられる。
【0033】
一方、超音波素子720から発生された超音波は、経路部材530および音響カプラント610を通して入射角θで配管2内の流体に入射される。流体内を伝播する超音波は、反射角θで配管2の内面で反射される。反射された超音波は、音響カプラント610および経路部材530を通して超音波素子710により受信される。超音波素子710は受信した超音波に基づくアナログ信号を出力する。超音波素子710から出力されたアナログ信号は、
図3の送受信切替回路813および受信部815を通して増幅されかつデジタル信号に変換されつつ制御部811に与えられる。
【0034】
制御部811が記憶部812に記憶されるプログラムを実行することにより、
図3に示すように、時間差測定部11、流量算出部12、情報設定部13、比較判定部14および信号出力部15の機能が実現される。
【0035】
時間差測定部11は、受信部815から与えられるデジタル信号に基づいて時間差Δtを測定する。時間差Δtは、超音波素子710により発生された超音波が超音波素子720により受信されるまでの時間と超音波素子720により発生された超音波が超音波素子710により受信されるまでの時間との差である。流量算出部12は、時間差測定部11により測定された時間差Δtに基づいて、配管2内を流れる流体の速度V
fを下記式(1)により算出するとともに、配管2内を流れる流体の流量Qを下記式(2)により算出する。
【0038】
ここで、dは配管2の内径であり、θは超音波の入射角であり、V
sは流体内を伝播する超音波の速度である。Kは、配管2の断面内で所定の分布を有する流体の速度を平均速度に換算するための流量補正係数である。後述のように、入射角θ、速度V
sおよび流量補正係数Kは、予め定められてもよく、適宜設定されてもよい。
【0039】
情報設定部13は、使用者による操作部822の操作に応答して配管2および流体の少なくとも一方に関する入力情報を設定する。入力情報は、記憶部812に記憶される。入力情報の設定については後述する。また、情報設定部13は、使用者による操作部822の操作に応答して流量のしきい値を記憶部812に記憶させる。
【0040】
比較判定部14は、算出された流量Qを記憶部812に予め記憶されたしきい値と比較し、流量Qがしきい値よりも大きいか否かを判定する。信号出力部15は、比較判定部14による判定結果に基づくオンオフ信号をコネクタ830およびケーブル3を通して外部装置890に出力する。
【0041】
オンオフ信号は、例えばデジタル信号であり、流量Qがしきい値よりも大きい場合に、ハイレベル(またはローレベル)のオンオフ信号が出力され、流量Qがしきい値以下である場合に、ローレベル(またはハイレベル)のオンオフ信号が出力される。また、許容される流量Qの範囲の上限値および下限値に相当するしきい値が設定されてもよい。この場合、流量Qが上限値以下でかつ下限値以上である場合、ハイレベル(またはローレベル)のオンオフ信号が出力し、流量Qが上限値より大きいまたは下限値より小さい場合、ローレベル(またはハイレベル)のオンオフ信号が出力される。
【0042】
表示部821には、上記式(1)により算出された流体の速度V
f、上記式(2)により算出された流量Qまたは記憶部812に記憶されたしきい値等の種々の情報が表示される。
【0043】
表示灯840は、比較判定部14による判定結果を識別可能に点灯する。例えば、表示灯840は、流量Qがしきい値よりも大きい場合に点灯(または消灯)し、流量Qがしきい値以下である場合に消灯(または点灯)する。それにより、使用者は、流量Qがしきい値よりも大きいか否かを容易に識別することができる。表示灯840は、緑色に発光するLEDおよび赤色に発光するLEDを含んでもよい。この場合、表示灯840は、流量Qがしきい値よりも大きい場合に緑色(または赤色)に点灯し、流量Qがしきい値以下である場合に赤色(または緑色)に点灯してもよい。
【0044】
[2]流量表示およびしきい値の設定
図4は、センサ部400の平面図である。
図4に示すように、使用者は、センサ部400の上面中央に設けられる窓部511を通して、
図2の表示部821に表示される情報を視認することができる。表示部821は、センサ部400の幅方向に並ぶ2段の表示領域を有する。各段の表示領域においては、4つのキャラクタが表示可能である。以下の説明では、2段の表示領域のうち一方の表示領域を上段表示領域821aと呼び、他方の表示領域を下段表示領域821bと呼ぶ。
【0045】
上段表示領域821aには、例えば
図3の流量算出部12により算出される現在の流量Qが示される。また、下段表示領域821bには、例えば予め設定されたしきい値が示される。
図4では、現在の流量Qが35.6(L/min)であり、しきい値が15.0(L/min)である例が示される。
【0046】
センサ部400の長手方向において、窓部511に隣り合うように操作部822が設けられている。操作部822は、上ボタン1S、下ボタン2Sおよびモードボタン3Sを含む。上ボタン1S、下ボタン2Sおよびモードボタン3Sの各々は、使用者により押下操作可能に構成される。使用者は、上ボタン1S、下ボタン2Sおよびモードボタン3Sを操作することにより種々の情報を設定することができる。
【0047】
例えば、使用者は、上段表示領域821aおよび下段表示領域821bにそれぞれ現在の流量Qおよびしきい値が表示された状態で、上ボタン1Sを押下操作する。この場合、
図3の記憶部812に記憶されたしきい値がより大きい値に更新され、更新されたしきい値が下段表示領域821bに表示される。一方、使用者が下ボタン2Sを押下操作する場合、記憶部812に記憶されたしきい値がより小さい値に更新され、更新されたしきい値が下段表示領域821bに表示される。
【0048】
[3]入力情報の設定
本実施の形態では、入力情報の設定モードとして簡易設定モードおよび詳細設定モードがあり、少なくとも簡易設定モードで入力情報が設定される。以下、簡易設定モードおよび詳細設定モードについて具体的に説明する。
【0049】
[3−1]簡易設定モード
簡易設定モードでは、配管2の寸法に関する情報(以下、配管情報と呼ぶ。)のみが設定される。配管情報は、配管2の外径のみ、配管2の厚みのみ、または配管2の外径および配管2の厚みのみである。
【0050】
配管2内の流体の流量を算出するためには、上式(1)および(2)に表されるように、配管2の内径が必要である。一方、一般的な配管2の寸法は、規格によって複数の種類に定められている。そのため、配管2の外径および厚みのうちの少なくとも一方が特定されると、規格に基づいて配管2の内径が特定される。
【0051】
また、上式(2)の入射角θ、速度V
sおよび流量補正係数Kは、配管2の材質、流体中の音速、ならびに流体の温度、密度および動粘性等の配管2および流体の特性に関する多種のパラメータによって変化する。配管2の特性は配管2の材料に依存し、流体の特性は流体の種類に依存する。
【0052】
流量スイッチ1の使用の対象となる配管2および流体はほぼ一定である。例えば、対象となる配管の材料は炭素鋼であり、対象となる流体は純水である。そこで、対象となる配管2のおよび流体の特性が予め特定される。その配管2および流体の特性に対応する入射角θ、速度V
sおよび流量補正係数Kが、初期情報として
図3の記憶部812に予め記憶される。
【0053】
簡易設定モードで配管情報が設定された場合、その配管情報および予め記憶される初期情報に基づいて、流体の流量を算出することができる。配管2の外径および厚みの両方が設定される場合には、配管2の外径のみまたは配管2の厚みのみが設定される場合に比べて、流体の流量の算出精度が高まる。
【0054】
図5は、配管情報の設定画面の例を示す図である。
図5(a)の例は、配管2の外径の設定画面であり、上段表示領域821aに配管2の呼び径が表示される。呼び径は、ミリ単位のA呼称またはインチ単位のB呼称で表され、配管2の外径を特定するために一般的に用いられる。
図5(a)の例では、呼び径がB呼称で表される。呼び径は、JIS規格等によって定められる。配管2の外径は、A呼称の呼び径で表示されてもよく、実際の寸法を表すミリ単位またはインチ単位の数値で表示されてもよい。なお、呼び径(A呼称またはB呼称)としてのミリ単位またはインチ単位の数値は、実際の寸法を表すミリ単位またはインチ単位の数値とは一致しない。
【0055】
図5(b)の例は、配管2の厚みの設定画面であり、下段表示領域821bに配管2の厚みを表すスケジュール番号が表示される。スケジュール番号は、JIS規格等によって定められる。配管2の厚みは、実際の寸法を表すミリ単位またはインチ単位の数値等で表示されてもよい。
【0056】
配管情報が配管2の外径のみである場合、例えば、
図5(a)の設定画面上で配管情報が設定される。また、配管情報が配管2の厚みのみである場合、例えば、
図5(b)の設定画面上で配管情報が設定される。また、配管情報が配管2の外径および厚みのみである場合、例えば、
図5(a)および
図5(b)の設定画面が順に表示され、それらの設定画面上で配管情報が設定される。
【0057】
配管2の外径、配管2の厚み、または配管2の外径および厚みとして、予め複数の条件が
図3の記憶部812に記憶され、その複数の条件のうち一の条件が選択されることにより配管情報が設定されてもよい。例えば、
図5(a)の例において、上ボタン1Sおよび下ボタン2Sが押下されることにより、予め記憶された複数の外径(呼び径)が順次表示され、モードボタン3Sが押下されることにより、その時点で表示されている外径が配管情報として設定される。また、
図5(b)の例において、上ボタン1Sおよび下ボタン2Sが押下されることにより、予め記憶された複数の厚み(スケジュール番号)が順次表示され、モードボタン3Sが押下されることにより、その時点で表示されている厚みが配管情報として設定される。また、配管2の外径または厚みに関する複数の条件に番号または名称がそれぞれ付され、一の番号または名称が選択されることによって配管情報が設定されてもよい。あるいは、配管2の外径または厚みを表す数値等が直接入力されることによって配管情報が設定されてもよい。
【0058】
[3−2]詳細設定モード
詳細設定モードでは、上記の配管情報以外の配管2および流体に関する情報が詳細情報として設定される。詳細情報は、例えば、配管2の材料または流体の種類を含む。また、詳細情報は、流体中の音速、ならびに流体の温度、密度および動粘性等を含んでもよい。この場合、実際の配管2の材料が初期情報に対応する配管2の材料と異なる場合、または実際の流体の種類が初期情報に対応する流体の種類と異なる場合でも、詳細情報に基づいて、流体の流量を精度良く算出することができる。したがって、多様な状況で流量スイッチ1を使用することが可能となる。
【0059】
また、詳細情報は、
図3の流量算出部12により算出される流量を調整するための調整情報を含んでもよい。以下、調整情報によって調整される前の流量を基本流量と呼び、調整情報によって調整された後の流量を補正流量と呼ぶ。
図6は、調整情報の設定画面の例を示す図である。
図6の例では、下段表示領域821bに、調整情報として調整比率が表示される。調整比率は、基本流量に対する補正流量の比率である。上段表示領域821aには、補正流量が表示される。
【0060】
図6(a)の例では、調整比率が1.0であり、補正流量が基本流量と等しい。例えば、上ボタン1Sまたは下ボタン2Sが押下されることにより、調整比率が変化される。
図6(b)の例では、調整比率が1.2である。それにより、表示される補正流量は、基本流量に1.2が乗算された値となる。また、
図6(c)の例では、調整比率が0.95である。それにより、表示される補正流量は、基本流量に0.95が乗算された値となる。このように、下段表示領域821bに表示される流量調整値が変更されると、上段表示領域821aに表示される補正流量が適宜更新される。それにより、使用者は、補正流量を確認しながら流量調整値の設定操作を容易にかつ適切に行うことができる。
【0061】
基本流量が実際の流量と異なる場合には、調整情報を設定することにより、算出される流量の調整を行うことができる。例えば、精度の高い他の計測装置による配管2内の流体の流量が計測され、その計測値が流量スイッチ1により算出される基本流量と異なる場合には、補正流量が計測値と一致するように、調整情報が設定される。
図3の比較判定部14は、補正流量をしきい値と比較する。
【0062】
基本流量が実際の流量と異なる原因として、流量の算出に用いられるいずれかのパラメータに誤りがあることが考えられる。しかしながら、誤ったパラメータを特定することは困難であり、仮に特定することができても、誤差を修正するために煩雑な計算および操作が必要となる。そこで、基本流量を調整するための調整情報が設定されることにより、簡単な操作で流量の誤差を適宜修正することができる。
【0063】
なお、上記の簡易設定モードおよび詳細設定モードの少なくとも一方において、入力情報として複数の設定項目に関する情報が設定される場合には、それらの設定項目にそれぞれ対応する複数の設定画面が順に表示され、各設定画面上で対応する情報が受け付けられることが好ましい。例えば、簡易設定モードにおいて配管2の外径および厚みが配管情報として設定され、かつ詳細設定モードにおいて流体の種類および調整情報が詳細情報として設定される。その場合、配管2の外径の設定画面(
図5(a)参照)および配管2の厚みの設定画面(
図5(b)参照)が順に表示され、配管2の外径および厚みが順に受け付けられる。続いて、流体の種類の設定画面および調整情報の設定画面(
図6参照)が順に表示され、流体の種類および調整情報が順に受け付けられる。このように、複数の情報が順に受け付けられることにより、使用者が設定項目の選択等を行う必要がない。したがって、使用者は、順に表示される設定画面を見ながら各設定のための操作を容易に行うことができる。
【0064】
[4]入力情報設定処理
図3の制御部811は、予め記憶部812に記憶された制御プログラムに基づいて、入力情報設定処理を行う。
図7は、入力情報設定処理の一例を示すフローチャートである。
図7の入力情報設定処理は、例えば、工場からの出荷後であって最初の電源投入時、または設定を初期化するための所定の操作の実行時に開始される。
【0065】
図7に示すように、まず、情報設定部13は、簡易設定モードとして、配管情報の設定画面(
図5参照)を表示部821に表示させる(ステップS1)。次に、情報設定部13は、使用者による操作部822の操作に基づいて、配管情報を受け付ける(ステップS2)。例えば、
図5の上ボタン1Sおよび下ボタン2Sが押下されることよって配管2の外径もしくは厚み、またはその両方について数値等が選択され、その状態でモードボタン3Sが押下されることによって配管情報が受け付けられる。
【0066】
次に、情報設定部13は、入力情報の設定の終了の指示があるか否かを判定する(ステップS3)。例えば、ステップS2における配管情報の受け付け時に、
図5のモードボタン3Sが短時間だけ押下された場合、入力情報の設定の終了が指示される。一方、ステップS2における配管情報の受け付け時に、
図5のモードボタン3Sが長押しされた場合、詳細設定モードへの切替が指示される。
【0067】
入力情報の設定の終了の指示がある場合、流量算出部12は、ステップS2で受け付けられた配管情報に基づいて、配管2内の流体の流量を算出する(ステップS4)。流量の算出には、配管情報によって特定される配管2の内径、および
図3の時間差測定部11により測定される時間差Δt等が用いられる。次に、情報設定部13は、算出された流量および予め記憶されたしきい値を表示部821に表示させる(ステップS5)。これにより、入力情報設定処理が終了する。
【0068】
一方、ステップS3において、入力情報の設定の終了の指示がなく、詳細設定モードへの切替の指示がある場合、情報設定部13は、詳細情報の設定画面(
図6参照)を表示部821に表示させる。次に、情報設定部13は、使用者による操作部822の操作に基づいて、詳細情報を受け付ける。これにより、詳細情報として、配管の材料、流体の種類、または調整情報等が設定される。
【0069】
その後、流量算出部12は、受け付けられた配管情報および詳細情報に基づいて、配管2内の流体の流量を算出する。この場合、少なくとも配管情報によって特定される配管2の内径、詳細情報によって特定される他のパラメータ、ならびに時間差測定部11により測定される時間差Δt等が用いられる。次に、情報設定部13は、算出された流量および予め記憶されたしきい値を表示部821に表示させる(ステップS5)。これにより、入力情報設定処理が終了する。
【0070】
[5]効果
本実施の形態に係る流量スイッチ1においては、簡易設定モードで入力情報が設定される場合に、配管2の外径のみ、配管2の厚みのみ、または配管2の外径および厚みのみが受け付けられる。受け付けられた入力情報に基づいて配管2内の流体の流量が算出され、表示部821に表示される。この場合、配管および流体に関する他の情報が使用者に要求されない。それにより、使用者は、専門の知識および煩雑な操作を必要とせず、簡単な設定操作で流量スイッチ1を使用することができる。
【0071】
[6]他の実施の形態
(1)上記実施の形態では、入力情報を設定するための設定モードとして簡易設定モードおよび詳細設定モードがあるが、本発明はこれに限らない。例えば、対象とする配管2および流体が一定である場合には、設定モードが簡易設定モードのみであってもよい。この場合、対象となる配管2および流体の特性に対応する初期情報が予め記憶され、その初期情報および簡易設定モードで設定された配管情報に基づいて、配管2内の流体の流量を適切に算出することができる。
【0072】
(2)上記実施の形態では、信号出力部15が1つのオンオフ信号のみを出力するが、本発明はこれに限らず、信号出力部15が複数のオンオフ信号を出力してもよい。例えば、算出された流量が、複数のしきい値の各々と比較され、その比較結果に基づいて、複数のしきい値に対応する複数のオンオフ信号が出力される。この場合、複数のオンオフ信号に基づいて、外部装置の多様な制御が可能となる。
【0073】
(3)上記実施の形態においては、センサ部400の制御部811は伝播時間差方式に基づいて式(2)により配管2内を流れる流体の流量を算出するが、本発明はこれに限定されない。制御部811はドップラー方式に基づいて配管2内を流れる流体の流量を算出してもよい。この場合、超音波素子710,720の一方が超音波送信素子により構成され、超音波素子710,720の他方が超音波受信素子により構成されてもよい。
【0074】
(4)上記実施の形態においては、超音波素子710,720が一体的に保持されるが、本発明はこれに限定されず、超音波素子710,720が個別に保持されてもよい。この場合、超音波素子710,720の各々に対応するように、筐体部および電子回路部等が設けられてもよい。
【0075】
(5)上記実施の形態においては、表示部821は筐体部500に収容されるが、本発明はこれに限定されない。表示部821は、筐体部500の外部に個別に設けられてもよい。例えば、表示部821は、配管2および超音波素子710,720から離間した位置に設けられてもよい。
【0076】
(6)上記実施の形態においては、制御部811および記憶部812は主基板810とともに筐体部500に収容されるが、本発明はこれに限定されない。制御部811および記憶部812は、筐体部500の外部に設けられてもよい。例えば、制御部811および記憶部812は、配管2および超音波素子710,720から離間した位置に設けられてもよい。
【0077】
(7)上記実施の形態では、
図3の時間差測定部11、流量算出部12、情報設定部13、比較判定部14および信号出力部15の各々が、ハードウェアとソフトウェアとにより実現されるが、本発明はこれに限定されない。時間差測定部11、流量算出部12、情報設定部13、比較判定部14および信号出力部15の各々は、電子回路等のハードウェアで実現されてもよく、これらの構成要素の一部がCPUおよびメモリ等のハードウェアとソフトウェアとにより実現されてもよい。
【0078】
(8)上記実施の形態においては、超音波素子710,720を配管2に固定するために、センサ部400を固定するクランプ部100が用いられるが、本発明はこれに限定されない。センサ部400を配管2に固定することができるのであれば、クランプ部100に代えて結束バンドが用いられてもよい。または、クランプ部100の一部が結束バンドにより構成されてもよい。
【0079】
[7]請求項の各構成要素と実施の形態の各要素との対応
以下、請求項の各構成要素と実施の形態の各要素との対応の例について説明するが、本発明は下記の例に限定されない。
【0080】
上記実施の形態では、流量スイッチ1が超音波流量スイッチの例であり、超音波素子710または超音波素子720が第1の超音波素子の例であり、超音波素子720または超音波素子710が第2の超音波素子の例であり、クランプ部100、筐体部500、結合部600、超音波遮蔽板730および2個の充填部材740,750が固定具の例である。また、情報設定部13が受け付け部の例であり、流量算出部12が算出部の例であり、信号出力部15が出力部、ならびに第1および第2の出力部の例である。
【0081】
請求項の各構成要素として、請求項に記載されている構成または機能を有する他の種々の要素を用いることもできる。