(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
複数の単位電池(1〜4)が直列接続された蓄電モジュール(10)に接続されるとともに、前記単位電池(1〜4)にそれぞれ並列接続されて放電および放電停止が可能な均等化回路(31〜34)を有し、前記蓄電モジュール(10)を監視する電池監視ユニット(20)の検査方法であって、
前記均等化回路(31〜34)のうちで検査対象を検査対象均等化回路と、これに隣接する前記均等化回路を隣接均等化回路とそれぞれ呼ぶこととし、
前記蓄電モジュール(10)に含まれる単位電池(1〜4)と同数の直列接続された電源(P1〜P4)と、これらの各電源(P1〜P4)の間および前記各電源(P1〜P4)全体の両端にそれぞれ接続された配線(Ws0〜Ws4)と、前記各電源(P1〜P4)に接続された一対の前記配線(Ws0〜Ws4)の少なくとも一方にそれぞれ設けられた放電状態検出手段(Rs0〜Rs4,H0〜H4)とを備える検査装置(100,100A,200,200A,200B)と前記電池監視ユニット(20)とを接続する接続工程と、
前記隣接均等化回路による放電停止中で且つ前記検査対象均等化回路による放電中に、前記検査対象均等化回路の放電状態を、対応する前記放電状態検出手段を利用して計測する第1計測工程と、
前記隣接均等化回路による放電停止中で且つ前記検査対象均等化回路による放電停止中に、前記検査対象均等化回路の前記放電状態を、対応する前記放電状態検出手段を利用して計測する第2計測工程と、
前記第1計測工程および前記第2計測工程における各計測結果に基づいて、前記検査対象均等化回路の異常を判別する判別工程と
を含むことを特徴とする、電池監視ユニット(20)の検査方法。
複数の単位電池(1〜4)が直列接続された蓄電モジュール(10)に接続されるとともに、前記単位電池(1〜4)にそれぞれ並列接続されて放電および放電停止が可能な均等化回路(31〜34)を有し、前記蓄電モジュール(10)を監視する電池監視ユニット(20)の検査装置(200,200A,200B)であって、
前記均等化回路(31〜34)のうちで検査対象を検査対象均等化回路と、これに隣接する前記均等化回路を隣接均等化回路とそれぞれ呼ぶこととし、
前記蓄電モジュール(10)に含まれる単位電池(1〜4)と同数の直列接続された電源(P1〜P4)と、
これらの各電源(P1〜P4)の間および前記各電源(P1〜P4)全体の両端にそれぞれ接続された配線(Ws0〜Ws4)と、
前記各電源(P1〜P4)に接続された一対の前記配線(Ws0〜Ws4)の少なくとも一方にそれぞれ設けられた放電状態検出手段(Rs0〜Rs4,H0〜H4)と、
前記電池監視ユニット(20)との通信を介して前記均等化回路(31〜34)をそれぞれ制御するとともに、前記隣接均等化回路による放電停止中で且つ前記検査対象均等化回路による放電中に前記検査対象均等化回路の放電状態を、対応する前記放電状態検出手段を利用して計測した第1計測結果と、前記隣接均等化回路による放電停止中で且つ前記検査対象均等化回路による放電停止中に前記検査対象均等化回路の前記放電状態を、対応する前記放電状態検出手段を利用して計測した第2計測結果とに基づいて、前記検査対象均等化回路の異常を判別する制御部(202,202A,202B)と
を備えることを特徴とする、電池監視ユニット(20)の検査装置(200,200A,200B)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上述の従来技術では、蓄電モジュールを監視する電池監視ユニット内に、各バランサー回路の異常検出のために必要な抵抗(検出抵抗)を設ける必要があった。
【0010】
ところが、これらの検出抵抗は各バランサー回路の異常検出以外には特に機能を有していないだけでなく、通常使用時における蓄電モジュール内の各セルの電圧検出精度に多少の悪影響を与え得る。また、すべての電池監視ユニットに内蔵されるため、結果的に製品コストの増大を招く。
【0011】
従来技術のこのような課題に鑑み、本発明の目的は、電池監視ユニット内に異常検出用の抵抗などを設けることなく各バランサー回路の異常を検出可能な、電池監視ユニットの検査方法および検査装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するため、本発明の電池監視ユニットの検査方法は、複数の単位電池が直列接続された蓄電モジュールに接続されるとともに、前記単位電池にそれぞれ並列接続されて放電および放電停止が可能な均等化回路を有し、前記蓄電モジュールを監視する電池監視ユニットの検査方法であって、前記均等化回路のうちで検査対象を検査対象均等化回路と、これに隣接する前記均等化回路を隣接均等化回路とそれぞれ呼ぶこととし、前記蓄電モジュールに含まれる単位電池と同数の直列接続された電源と、これらの各電源の間および前記各電源全体の両端にそれぞれ接続された配線と、前記各電源に接続された一対の前記配線の少なくとも一方にそれぞれ設けられた放電状態検出手段とを備える検査装置と前記電池監視ユニットとを接続する接続工程と、前記隣接均等化回路による放電停止中で且つ前記検査対象均等化回路による放電中に、前記検査対象均等化回路の放電状態を、対応する前記放電状態検出手段を利用して計測する第1計測工程と、前記隣接均等化回路による放電停止中で且つ前記検査対象均等化回路による放電停止中に、前記検査対象均等化回路の前記放電状態を、対応する前記放電状態検出手段を利用して計測する第2計測工程と、前記第1計測工程および前記第2計測工程における各計測結果に基づいて、前記検査対象均等化回路の異常を判別する判別工程とを含むことを特徴とする。
【0013】
ここで、均等化回路は、例えば、単位電池(セル)の放電の開始および終了を制御するスイッチング素子とこれに直列接続された放電抵抗とを含み、単位電池の放電および放電停止が可能である。スイッチング素子としては、例えばFET(電界効果トランジスタ)や他の半導体スイッチング素子、コンタクタ(電磁接触器)、IC内部において電流を制御するスイッチング手段などが挙げられるが、これらに限らない。検査対象均等化回路が直列接続の両端のいずれかの場合は、隣接均等化回路は1つのみ存在するが、それ以外の場合は2つの隣接均等化回路が存在する。
【0014】
また、放電状態検出手段とは、均等化回路による放電および放電停止が正常に行われているか否かを検出するための手段であり、例えば、抵抗などの電圧降下素子やホール素子などの電流検出素子(電流検出回路)などが挙げられるが、これらに限らない。電流検出素子を利用する場合は、均等化回路を流れる放電電流を直接計測できる。電圧降下素子を利用する場合は、放電電流によって生じる電圧降下を電圧降下素子の両端電圧として計測するか、またはその電圧降下に連動して変化する均等化回路の両端電圧を計測することで、放電電流を間接的に計測できる。「各計測結果に基づいて」とは、例えば、各計測結果の値(状態)や変化(差分、比率)などに基づくという意味である。なお、第1計測工程と第2計測工程は、必ずしも第1計測工程を先に実行しなくてもよい。
【0015】
このような構成の電池監視ユニットの検査方法によれば、電池監視ユニットには異常検出のために必要な放電状態検出手段(例えば電圧降下素子や電流検出素子)が含まれない。これにより、通常使用時における蓄電モジュール内の各単位電池の電圧検出精度に悪影響を与えることはなく、製品コストを増大させることもないという効果を奏する。
【0016】
また、本発明の電池監視ユニットの検査方法において、前記放電状態検出手段は、電圧降下素子であり、前記第1計測工程では、前記検査対象均等化回路の両端電圧を計測し、前記第2計測工程では、前記検査対象均等化回路の前記両端電圧を計測してもよい。
【0017】
また、本発明の電池監視ユニットの検査方法において、前記放電状態検出手段は、電流検出素子であり、前記第1計測工程では、前記検査対象均等化回路に流れる電流を計測し、前記第2計測工程では、前記検査対象均等化回路に流れる前記電流を計測してもよい。
【0018】
あるいは、上記目的を達成するため、本発明の電池監視ユニットの検査装置は、複数の単位電池が直列接続された蓄電モジュールに接続されるとともに、前記単位電池にそれぞれ並列接続されて放電および放電停止が可能な均等化回路を有し、前記蓄電モジュールを監視する電池監視ユニットの検査装置であって、前記均等化回路のうちで検査対象を検査対象均等化回路と、これに隣接する前記均等化回路を隣接均等化回路とそれぞれ呼ぶこととし、前記蓄電モジュールに含まれる単位電池と同数の直列接続された電源と、これらの各電源の間および前記各電源全体の両端にそれぞれ接続された配線と、前記各電源に接続された一対の前記配線の少なくとも一方にそれぞれ設けられた放電状態検出手段と、前記電池監視ユニットとの通信を介して前記均等化回路をそれぞれ制御するとともに、前記隣接均等化回路による放電停止中で且つ前記検査対象均等化回路による放電中に前記検査対象均等化回路の放電状態を、対応する前記放電状態検出手段を利用して計測した第1計測結果と、前記隣接均等化回路による放電停止中で且つ前記検査対象均等化回路による放電停止中に前記検査対象均等化回路の前記放電状態を、対応する前記放電状態検出手段を利用して計測した第2計測結果とに基づいて、前記検査対象均等化回路の異常を判別する制御部とを備えることを特徴とする。
【0019】
ここで、放電状態検出手段とは、均等化回路による放電および放電停止が正常に行われているか否かを検出するための手段であり、例えば、抵抗などの電圧降下素子やホール素子などの電流検出素子(電流検出回路)などが挙げられるが、これらに限らない。電流検出素子を利用する場合は、各検出出力が制御部に入力されるようにすればよい。電圧降下素子を利用する場合は、例えば、電圧測定回路(機能)をさらに設けるとともに、この電圧測定回路と各電圧降下素子の両端とを接続し、電圧測定結果が制御部に入力されるようにするか、あるいは、制御部が電池監視ユニットとの通信を介して均等化回路の両端電圧を取得可能にしてもよい。
【0020】
このような構成の電池監視ユニットの検査装置によれば、電池監視ユニットには異常検出のために必要な放電状態検出手段(例えば電圧降下素子や電流検出素子)が含まれない。これにより、通常使用時における蓄電モジュール内の各単位電池の電圧検出精度に悪影響を与えることはなく、製品コストを増大させることもないという効果を奏する。
【発明の効果】
【0021】
本発明の電池監視ユニットの検査方法および検査装置によれば、電池監視ユニットには異常検出のために必要な放電状態検出手段(例えば電圧降下素子や電流検出素子)が含まれない。これにより、通常使用時における蓄電モジュール内の各単位電池の電圧検出精度に悪影響を与えることはなく、製品コストを増大させることもないという効果を奏する。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。
【0024】
<第1実施形態>
1.1 第1実施形態の構成
図1は、本発明の第1実施形態に係る検査機100を用いて検査を行うために電池監視ユニット20を接続した場合の全体構成を示す概略図である。
図2は、電池監視ユニット20が電池パック10に接続された状態を例示する概略図である。
【0025】
図1に示すように、検査機100を用いた電池監視ユニット20の検査は、検査機側コネクタ101と電池監視ユニット側コネクタ21とを連結することで検査機100および電池監視ユニット20を電気的に接続した状態で行われる。検査を終えて出荷された電池監視ユニット20は、実使用時(例えば、自動車に搭載されたバッテリーへ取り付けられたとき)には、
図2に示すように、電池監視ユニット側コネクタ21と電池パック側コネクタ11とを連結することで電池パック10に電気的に接続される。なお、電池パック側コネクタ11と検査機側コネクタ101とは同一形状である。
【0026】
まず、電池パック10について説明する。この電池パック10は電気自動車やハイブリッド自動車などに用いられる蓄電モジュールの一例であり、
図2に示すように、4つのセル1〜4が直列接続された組電池である。使用するセルの数は4つに限らず、2つまたは3つ、あるいは5つ以上でもよい。各セル1〜4は、例えばリチウムイオン電池などの二次電池である。ただし、各セル1〜4は、単電池に限らず、蓄電素子であればよく、キャパシタなどでもよい。なお、リチウムイオン二次電池を用いた場合、断線、過放電、過充電などの異常が発生していない正常時では、セル電圧は2.5〜4.2V程度である。ただし、このような電圧に限らない。
【0027】
電池パック10内では、直列接続されたセル1〜4の間およびこれらのセル1〜4全体の両端と電池パック側コネクタ11の各端子とが計5本の配線W0〜W4によってそれぞれ接続されている。実使用時に電池パック側コネクタ11と電池監視ユニット側コネクタ21とが連結されることで、電池監視ユニット20によるセル1〜4の各セル電圧の監視やバランサー機能が有効となる。
【0028】
また、検査機100は、
図1に示すように、電池パック10に含まれるセル1〜4と同数、すなわち4つの直列接続された定電圧電源P1〜P4を備えている。これらの電源P1〜P4は、必ずしも電圧可変式でなくてもよい。電源P1〜P4の間およびこれらの電源P1〜P4全体の両端と検査機側コネクタ101の各端子とは計5本の配線Ws0〜Ws4によってそれぞれ接続されている。さらに、これらの配線Ws0〜Ws4に、電池監視ユニット20による電圧検出に必要な電圧降下素子として検出抵抗Rs0〜Rs4がそれぞれ挿入されている。
【0029】
なお、この検査機100は制御部などを備えていないので、電池監視ユニット20を検査する際の検査治具とも言える。
【0030】
一方、電池監視ユニット20は、
図1および
図2に示すように、検査機100または電池パック10と接続されたときに、電源P1〜P4またはセル1〜4にそれぞれ並列接続されるバランサー回路31〜34と、電源P1〜P4またはセル1〜4の各電圧を監視する電池監視部22とを備えている。
【0031】
バランサー回路31〜34は、スイッチング素子S1〜S4と放電抵抗R1〜R4とがそれぞれ直列接続された直列回路である。スイッチング素子S1〜S4は、電池監視部22からの制御信号によってそれぞれオン/オフ制御される。例えば、バランサー回路31では、スイッチング素子S1と放電抵抗R1が直列に接続されており、スイッチング素子S1がオンすると、スイッチング素子S1と放電抵抗R1を通してセル1を放電させることができる。他のバランサー回路32〜34についても同様である。このように、電池監視部22からスイッチング素子S1〜S4をそれぞれオン/オフ制御することで、セル1〜4の各セル電圧を均一にすることが可能となる。
【0032】
スイッチング素子S1〜S4としては、例えばFET(電界効果トランジスタ)が挙げられるが、これに限らない。他の半導体スイッチング素子やコンタクタ(電磁接触器)などの他、IC内部において電流を制御するスイッチング手段でもよい。
【0033】
電池監視部22は、制御部の一例であり、CPU(中央処理装置)23、メモリ24および電圧計測回路25を有する。メモリ24には、電池監視部22の動作を制御するための各種のプログラム(スイッチ故障検出プログラムを含む)が記憶されており、CPU23は、メモリ24から読み出したプログラムに従って、電池監視部22の各部を制御する。メモリ24は、RAMやROMを有する。なお、上記各種のプログラムが記憶される媒体は、RAMなど以外に、CD−ROM、ハードディスク装置、フラッシュメモリなどの不揮発性メモリでもよい。
【0034】
電圧計測回路25は、電池監視ユニット20と電池パック10とが接続されている場合(
図2参照)は、配線W0〜W4を介して各セル1〜4に接続され、各配線W0〜W4間の電圧を個別に計測してその計測結果をCPU23に与える。一方、電池監視ユニット20と検査機100とが接続されている場合(
図1参照)には、配線Ws0〜Ws4を介して各電源P1〜P4に接続され、各配線Ws0〜Ws4間の電圧を個別に計測してその計測結果をCPU23に与える。
【0035】
以下では、電池監視ユニット20と検査機100とが接続されている場合(
図1参照)に、電圧計測回路25が計測した電圧を「計測電圧」という。具体的には、配線Ws0と配線Ws1との間の電圧を計測電圧Es1といい、スイッチング素子S1に対応する。配線Ws1と配線Ws2との間の電圧を計測電圧Es2といい、スイッチング素子S2に対応する。配線Ws2と配線Ws3との間の電圧を計測電圧Es3といい、スイッチング素子S3に対応する。また、配線Ws3と配線Ws4との間の電圧を計測電圧Es4といい、スイッチング素子S4に対応する。なお、電圧計測回路25の計測可能範囲は0〜5Vとすればよい。
【0036】
なお、電池監視ユニット20に外部との通信インターフェイスを備えさせ(例えば、後に説明する第2実施形態の通信部26)、これをパソコンなどと接続するとともに、そのパソコンから検査機100の電源P1〜P4の設定電圧も制御するようにして、電池監視ユニット20の検査を行うようにしてもよい。その場合、パソコンの画面上などに、電池監視ユニット20のバランサー回路31〜34の検査結果(正常、オン故障、オフ故障)などを表示するようにしてもよい。
【0037】
1.2 第1実施形態による電池監視ユニット20の検査方法
以下では、スイッチング素子S2(またはバランサー回路32)の異常有無および異常原因を検査・判別する基本的な検査方法を例として説明する。このようにスイッチング素子S1〜S4のうちでスイッチング素子S2(またはバランサー回路32)を検査対象(本願の「検査対象均等化回路」に対応)としたとき、これに隣接するスイッチング素子S1、S3(またはバランサー回路31、33)(本願の「隣接均等化回路」に対応)をオフさせる必要がある。なお、スイッチング素子S1〜S4のうちで両端のいずれか(S1またはS4)の場合は、隣接するスイッチング素子は1つのみとなる。例えば、スイッチング素子S1に隣接するのはスイッチング素子S2のみだからである。
【0038】
まず、電池監視部22は、検査対象となるスイッチング素子S2に隣接するスイッチング素子S1、S3をオフさせるとともに、スイッチング素子S2をオンさせる。その後、電源P2に対応する計測電圧Es2を電圧計測回路25によって計測して、この計測結果をメモリ24に保存する。
【0039】
一定時間後に電池監視部22は、スイッチング素子S1、S3はオフのままでスイッチング素子S2をオフさせた後、電源P2に対応する計測電圧Es2を再び電圧計測回路25によって計測して、この結果もメモリ24に保存する。
【0040】
このようにしてメモリ24に保存された2回の計測結果に基づき、例えば、それぞれの計測結果の値や変化(差分)が、予め想定している所定の閾値以上または所定範囲内にあるか否かなどによって、スイッチング素子S2の異常有無および異常原因を判別することができる。
【0041】
(1)スイッチング素子S2が正常な場合
電池監視部22からスイッチング素子S2をオンさせるための制御信号が出力されてスイッチング素子S2がオンすると、電源P2の正側→検出抵抗Rs2→バランサー回路32(放電抵抗R2およびスイッチング素子S2)→検出抵抗Rs1→電源P2の負側という経路で電源P2が放電する。すると、検出抵抗Rs2および検出抵抗Rs1において電流方向に沿って電圧降下が生じるので、これらの電圧降下相当分を電源P2の設定電圧から引いた電圧が計測電圧Es2となる。
【0042】
一方、電池監視部22からスイッチング素子S2をオフさせるための制御信号が出力されてスイッチング素子S2がオフすると、電源P2は放電しないので、検出抵抗Rs2および検出抵抗Rs1における電圧降下は生じない。そのため、計測電圧Es2は電源P2の設定電圧に等しくなる。
【0043】
したがって、スイッチング素子S1、S3をオフさせている状態でスイッチング素子S2をオンさせたときに、計測電圧Es2が電源P2の設定電圧より所定の閾値以上(検出抵抗Rs2および検出抵抗Rs1における電圧降下相当分)低くて、スイッチング素子S2をオフさせたときには、計測電圧Es2が電源P2の設定電圧に等しい場合は、検査対象であるスイッチング素子S2が正常であると判別できる。
【0044】
なお、例えば、設計上の放電電流が100mAで、検出抵抗Rs0〜Rs4がいずれも10Ωであれば、電圧降下は検出抵抗1つにつき1Vとなる。これらの値と検出誤差なども考慮して多少の余裕を持たせて閾値を定めることが好ましい。また、例えば、計測電圧Es2と電源P2の設定電圧を比較する場合でも、厳密に等しいかどうかではなく、検出誤差なども考慮して多少の幅を持たせた範囲内にあるかどうかで判別することが好ましい。このような判別のしかたは以下の説明でも同様であるが、それぞれの箇所での繰り返しは省略する。
【0045】
(2)スイッチング素子S2がオン故障している場合(短絡)
電池監視部22から出力されているスイッチング素子S2の制御信号に関わらず、スイッチング素子S2はオン状態である。そのため、計測電圧Es1が電源P2の設定電圧より所定の閾値以上(検出抵抗Rs2および検出抵抗Rs1における電圧降下相当分)低くなる。
【0046】
したがって、スイッチング素子S1、S3をオフさせている状態でスイッチング素子S2をオンさせたときも、オフさせたときも、計測電圧Es2が電源P2の設定電圧より所定の閾値以上低い場合は、検査対象であるスイッチング素子S2がオン故障している可能性が高いと判別できる。
【0047】
(3)スイッチング素子S2がオフ故障している場合(断線)
電池監視部22から出力されているスイッチング素子S2の制御信号に関わらず、スイッチング素子S2はオフ状態である。そのため、計測電圧Es1が電源P2の設定電圧に等しくなる。
【0048】
したがって、スイッチング素子S1、S3をオフさせている状態でスイッチング素子S2をオンさせたときも、オフさせたときも、計測電圧Es2が電源P2の設定電圧に等しい場合は、検査対象であるスイッチング素子S2がオフ故障している可能性が高いと判別できる。
【0049】
1.3 第1実施形態による電池監視ユニット20の別の検査方法
以下では、スイッチング素子S2(またはバランサー回路32)の異常有無および異常原因を検査・判別する別の検査方法を説明する。
【0050】
まず、電池監視部22は、検査対象となるスイッチング素子S2に隣接するスイッチング素子S1、S3をオフさせるとともに、スイッチング素子S2をオンさせる。その後、電源P1に対応する計測電圧Es1と電源P3に対応する計測電圧Es3とを電圧計測回路25によってそれぞれ計測して、これらの計測結果をメモリ24に保存する。
【0051】
一定時間後に電池監視部22は、スイッチング素子S1、S3はオフのままでスイッチング素子S2をオフさせた後、電源P1に対応する計測電圧Es1と電源P3に対応する計測電圧Es3とを再び電圧計測回路25によってそれぞれ計測して、これらの結果もメモリ24に保存する。
【0052】
このようにしてメモリ24に保存された2回の計測結果に基づき、例えば、それぞれの計測結果の値や変化(差分)が、予め想定している所定の閾値以上または所定範囲内にあるか否かなどによって、スイッチング素子S2の異常有無および異常原因を判別することができる。
【0053】
(1)スイッチング素子S2が正常な場合
電池監視部22からスイッチング素子S2をオンさせるための制御信号が出力されてスイッチング素子S2がオンすると、電源P2の正側→検出抵抗Rs2→バランサー回路32(放電抵抗R2およびスイッチング素子S2)→検出抵抗Rs1→電源P2の負側という経路で電源P2が放電する。すると、検出抵抗Rs2および検出抵抗Rs1において電流方向に沿って電圧降下が生じるので、検出抵抗Rs2では右側の電位が下降し、検出抵抗Rs1では右側の電位が上昇する。
【0054】
計測電圧Es1は、スイッチング素子S1がオフしているので、本来は電源P1の設定電圧に等しくなるはずである。ところが、上述のように検出抵抗Rs1の右側の電位が上昇しているため、その上昇分だけ計測電圧Es1が電源P1の設定電圧より高くなる。同様に、計測電圧Es3は、スイッチング素子S3がオフしているので、本来は電源P3の設定電圧に等しくなるはずであるが、上述のように検出抵抗Rs2の右側の電位が下降しているため、その下降分だけ計測電圧Es3が電源P3の設定電圧より高くなる。
【0055】
一方、電池監視部22からスイッチング素子S2をオフさせるための制御信号が出力されてスイッチング素子S2がオフすると、電源P2は放電しないので、検出抵抗Rs2および検出抵抗Rs1における電圧降下は生じない。そのため、計測電圧Es1は電源P1の設定電圧に等しくなり、計測電圧Es3も電源P3の設定電圧に等しくなる
【0056】
したがって、スイッチング素子S1、S3をオフさせている状態でスイッチング素子S2をオンさせたときに、計測電圧Es1が電源P1の設定電圧より高くて、計測電圧Es3も電源P3の設定電圧より高く、スイッチング素子S2をオフさせたときには、計測電圧Es1が電源P1の設定電圧に等しくて、計測電圧Es3も電源P3の設定電圧に等しい場合は、検査対象であるスイッチング素子S2が正常であると判別できる。
【0057】
(2)スイッチング素子S2がオン故障している場合(短絡)
電池監視部22からスイッチング素子S2をオンさせるための制御信号が出力されたとき、スイッチング素子S2は故障しているもののオン状態であることに変わりはない。そのため、(1)前半と同様に、計測電圧Es1が電源P1の設定電圧より高くなり、計測電圧Es3も電源P3の設定電圧より高くなる。
【0058】
一方、電池監視部22からスイッチング素子S2をオフさせるための制御信号が出力されたとき、スイッチング素子S2は故障のためオン状態のままである。そのため、(1)後半とは異なり、計測電圧Es1が電源P1の設定電圧より高くなり、計測電圧Es3も電源P3の設定電圧より高くなる。
【0059】
したがって、スイッチング素子S1、S3をオフさせている状態でスイッチング素子S2をオンさせたときに、計測電圧Es1が電源P1の設定電圧より高くて、計測電圧Es3も電源P3の設定電圧より高く、スイッチング素子S2をオフさせたときにも、計測電圧Es1が電源P1の設定電圧より高くて、計測電圧Es3も電源P3の設定電圧より高い場合は、検査対象であるスイッチング素子S2がオン故障している可能性が高いと判別できる。
【0060】
(3)スイッチング素子S2がオフ故障している場合(断線)
電池監視部22からスイッチング素子S2をオンさせるための制御信号が出力されたとき、スイッチング素子S2は故障のためオフ状態のままである。そのため、(1)前半とは異なり、計測電圧Es1が電源P1の設定電圧に等しく、計測電圧Es3も電源P3の設定電圧に等しくなる。
【0061】
一方、電池監視部22からスイッチング素子S2をオフさせるための制御信号が出力されたとき、スイッチング素子S2は故障しているもののオフ状態であることに変わりはない。そのため、(1)後半と同様に、計測電圧Es1が電源P1の設定電圧に等しく、計測電圧Es3も電源P3の設定電圧に等しくなる。
【0062】
したがって、スイッチング素子S1、S3をオフさせている状態でスイッチング素子S2をオンさせたときに、計測電圧Es1が電源P1の設定電圧に等しくて、計測電圧Es3も電源P3の設定電圧に等しく、スイッチング素子S2をオフさせたときにも、計測電圧Es1が電源P1の設定電圧に等しくて、計測電圧Es3も電源P3の設定電圧に等しい場合は、検査対象であるスイッチング素子S2がオフ故障している可能性が高いと判別できる。
【0063】
他のスイッチング素子S1、S3、S4(または他のバランサー回路31、33、34)についても同様に異常有無および異常原因を検査・判別できる。
【0064】
以上で説明した第1実施形態の構成によれば、電池監視ユニット20内のスイッチング素子S1〜S4(またはバランサー回路31〜34)の異常検出のために必要な電圧降下素子(検出抵抗Rs0〜Rs4)は、電池監視ユニット20ではなく検査機100に内蔵されている。そのため、検査を終えて出荷される電池監視ユニット20には本来不要な電圧降下素子(検出抵抗Rs0〜Rs4)が含まれない。これにより、通常使用時における電池パック10内の各セルの電圧検出精度に悪影響を与えることはなく、製品コストを増大させることもないという効果を奏する。
【0065】
なお、特許文献2に記載の技術を適用すれば、スイッチング素子S1〜S4の異常有無および異常原因をより効率的に検査・判別することが可能となる。
【0066】
<第1実施形態の変形例>
図3は、本発明の第1実施形態の変形例に係る検査機100Aを用いて検査を行うために電池監視ユニット20を接続した場合の全体構成を示す概略図である。
【0067】
上述した第1実施形態に係る検査機100では、配線W0〜W4のすべてに検出抵抗Rs0〜Rs4がそれぞれ挿入されていた。しかし、例えば、スイッチング素子S2の異常有無および異常原因を検査・判別するには、これに対応する電源P2に接続された一対の配線Ws1および配線Ws2に挿入されている検出抵抗Rs1および検出抵抗Rs2の少なくとも一方が存在すればよい。検出抵抗Rs2のみが存在すると仮定すれば、スイッチング素子S2がオンして電源P2が放電するとき、検出抵抗Rs2で電圧降下が生じるが、このことは計測電圧Es3が電源P3の設定電圧より高いか否かだけで確認可能だからである。他のスイッチング素子S1、S3、S4についても同様である。
【0068】
そこで、例えば
図3に示すように、検査機100から検出抵抗Rs1および検出抵抗Rs3を省いた検査機100Aを代わりに用いても、電池監視ユニット20のメモリ24に予め書き込んでおくスイッチ故障検出プログラムを多少修正するだけで、すべてのスイッチング素子S1〜S4の異常有無および異常原因を検査・判別できる。
【0069】
以上で説明した第1実施形態の変形例の構成によれば、第1実施形態による作用効果に加えて、検査機100を若干コストダウンできるという効果を奏する。
【0070】
<第2実施形態>
2.1 第2実施形態の構成
図4は、本発明の第2実施形態に係る検査機200を用いて検査を行うために電池監視ユニット20を接続した場合の全体構成を示す概略図である。なお、第1実施形態およびその変形例と同一の構成部材には同一の参照符号を付すこととし、以下では主として相違点について説明する。
【0071】
図4に示すように、検査機200を用いた電池監視ユニット20の検査は、検査機側コネクタ201と電池監視ユニット側コネクタ21とを連結することで検査機200および電池監視ユニット20を電気的に接続した状態で行われる。なお、検査を終えて出荷された電池監視ユニット20が、実使用時には、
図2に示すように、電池監視ユニット側コネクタ21と電池パック側コネクタ11とを連結することで電池パック10に電気的に接続されるのは、第1実施形態やその変形例の場合と同じである。
【0072】
電池監視ユニット20の電池監視部22は、外部との通信を行う通信部26をさらに備えている。
【0073】
一方、検査機200には、
図4に示すように、第1実施形態における検出抵抗Rs0〜Rs4の代わりに、配線Ws0〜Ws4の電流検出に必要な電流検出素子(電流検出回路)としてホール素子H0〜H4がそれぞれ挿入されている。これらのホール素子H0〜H4は電圧出力タイプとし、マイナス側出力は接地しておく(図示は省略)。なお、電流検出素子としては、ホール素子に限らない。例えば、磁気素子によって電流検出を行うようにしてもよい。
【0074】
さらに、ホール素子H0〜H4の電流検出信号が入力されるとともに、電池監視ユニット20の電池監視部22の通信部26との通信を行ったり各種データを記憶する通信・制御部202が備えられている。なお、通信・制御部202と通信部26とは、通信線Wによって相互通信可能に接続されている。ただし、この通信線Wは、
図2に示したように、少なくとも電池パック10には必要ないので、検査機側コネクタ201以外の経路を用いることが好ましい。
【0075】
2.2 第2実施形態による電池監視ユニット20の検査方法
次に、スイッチング素子S2(またはバランサー回路32)の異常有無および異常原因を検査・判別する最も基本的な方法を例として説明する。
【0076】
まず、通信・制御部202が通信部26を介して電池監視部22のCPU23に指令して、検査対象となるスイッチング素子S2に隣接するスイッチング素子S1、S3をオフさせるとともに、スイッチング素子S2をオンさせる。このとき、配線Ws1の電流の有無はホール素子H1の電流検出信号に現れ、配線Ws2の電流の有無はホール素子H2の電流検出信号に現れるので、これらの電流検出結果を記憶する。
【0077】
一定時間後に電池監視部22は、通信・制御部202が通信部26を介して電池監視部22のCPU23に指令して、スイッチング素子S1、S3はオフのままでスイッチング素子S2をオフさせた後、ホール素子H1およびホール素子H2による電流検出結果も記憶する。
【0078】
このように記憶された各電流検出結果に基づくと、スイッチング素子S2の異常有無および異常原因は、次のように判別することができる。
【0079】
すなわち、スイッチング素子S1、S3をオフさせている状態でスイッチング素子S2をオンさせたときに、ホール素子H1およびホール素子H2に所定の閾値以上の電流が流れており、スイッチング素子S2をオフさせたときにホール素子H1およびホール素子H2に電流が流れていなければ、検査対象であるスイッチング素子S2が正常であると判別できる。例えば、設計上の放電電流が100mAであれば、この値を考慮して閾値を定めればよい。
【0080】
また、スイッチング素子S1、S3をオフさせている状態でスイッチング素子S2のオン/オフいずれのときにもホール素子H1およびホール素子H2に所定の閾値以上の電流が流れていれば、検査対象であるスイッチング素子S2がオン故障している可能性が高いと判別できる。
【0081】
逆に、スイッチング素子S1、S3をオフさせている状態でスイッチング素子S2のオン/オフいずれのときにもホール素子H1およびホール素子H2に電流が流れていなければ、検査対象であるスイッチング素子S2がオフ故障している可能性が高いと判別できる。
【0082】
以上で説明した第2実施形態の構成によれば、電池監視ユニット20内のスイッチング素子S1〜S4(またはバランサー回路31〜34)の異常検出のために必要な電流検出素子(ホール素子H0〜H4)は、電池監視ユニット20ではなく検査機200に内蔵されている。そのため、検査を終えて出荷される電池監視ユニット20には電流検出素子(ホール素子H0〜H4)が含まれない。これにより、通常使用時における電池パック10内の各セルの電圧検出精度に悪影響を与えることはなく、製品コストを増大させることもないという効果を奏する。
【0083】
<第2実施形態の変形例1>
図5は、本発明の第2実施形態の変形例1に係る検査機200Aを用いて検査を行うために電池監視ユニット20を接続した場合の全体構成を示す概略図である。なお、第1実施形態およびその変形例、第2実施形態と同一の構成部材には同一の参照符号を付すこととし、以下では主として第2実施形態からの相違点について説明する。
【0084】
この変形例1は、第2実施形態の検査機200において、ホール素子H0〜H4を、検出抵抗Rs0〜Rs4(第1実施形態の検査機100参照)にそれぞれ置換するとともに、通信・制御部202を、電圧測定機能をさらに備える通信・制御部202A(スイッチ故障検出プログラムも一部修正)に置換し、検出抵抗Rs0〜Rs4の各両端と通信・制御部202Aとの間の配線も追加したものである。
【0085】
この変形例1の構成によれば、例えば、スイッチング素子S1、S3をオフさせている状態でスイッチング素子S2をオンさせたときの検出抵抗Rs2および検出抵抗Rs1の各両端の電圧の計測結果(所定の閾値以上の電圧降下が生じているか、電圧降下が生じていないか)と、スイッチング素子S1、S3をオフさせている状態でスイッチング素子S2をオフさせたときの検出抵抗Rs2および検出抵抗Rs1の各両端の電圧の計測結果(所定の閾値以上の電圧降下が生じているか、電圧降下が生じていないか)とに基づいて、スイッチング素子S2の異常有無および異常原因を判別することができる。
【0086】
<第2実施形態の変形例2>
図6は、本発明の第2実施形態の変形例2に係る検査機200Bを用いて検査を行うために電池監視ユニット20を接続した場合の全体構成を示す概略図である。なお、第1実施形態およびその変形例、第2実施形態およびその変形例1と同一の構成部材には同一の参照符号を付すこととし、以下では主として第2実施形態からの相違点について説明する。
【0087】
この変形例2は、第2実施形態の検査機200において、ホール素子H0〜H4を、検出抵抗Rs0〜Rs4(第1実施形態の検査機100参照)にそれぞれ置換するとともに、通信・制御部202のスイッチ故障検出プログラムも一部修正して、電池監視ユニット20の電池監視部22から通信部26を介して計測電圧Es1〜Es4を任意に取得可能にした通信・制御部202Bを用いるものである。
【0088】
この変形例2の構成によれば、例えば、スイッチング素子S1、S3をオフさせている状態でスイッチング素子S2をオンさせたときの計測電圧Es2と、スイッチング素子S1、S3をオフさせている状態でスイッチング素子S2をオフさせたときの計測電圧Es2とに基づいて、第1実施形態と同様にスイッチング素子S2の異常有無および異常原因を判別することができる。
【0089】
<その他の実施形態>
第2実施形態の検査機200において、第1実施形態の変形例と同様に、例えば、ホール素子H1およびホール素子H3を省いても、通信・制御部202用のスイッチ故障検出プログラムを多少修正すれば、すべてのスイッチング素子S1〜S4の異常有無および異常原因を検査・判別できる。
【0090】
また、第2実施形態の変形例1の検査機200A、変形例2の検査機200Bにおいても、第1実施形態の変形例と同様に、例えば、検出抵抗Rs1および検出抵抗Rs3を省いても、通信・制御部202A、202B用の各スイッチ故障検出プログラムを多少修正すれば、すべてのスイッチング素子S1〜S4の異常有無および異常原因を検査・判別できる。
【0091】
あるいは、第1実施形態やその変形例と同様に、電池監視ユニット20内のCPU23を検査の主体とし、電圧計測回路25による計測電圧を参照する代わりに、通信・制御部202との通信を介してホール素子H0〜H4の電流検出結果を得て、それに基づいてすべてのスイッチング素子S1〜S4の異常有無および異常原因を検査・判別することも可能である。
【0092】
なお、本発明は、その主旨または主要な特徴から逸脱することなく、他のいろいろな形で実施することができる。そのため、上述の実施形態はあらゆる点で単なる例示にすぎず、限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示すものであって、明細書本文にはなんら拘束されない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。