(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記試験ポートの調芯を行う工程の後、前記光部品とは別の光部品を前記試験ポートと前記光検出素子との間の光路上に配置し、前記光検出素子において検出される前記試験光の強度を参照しながら前記別の光部品の調芯を行う工程と、
前記別の光部品を前記筐体に固定する工程と、
を更に含む、請求項2または3に記載の光モジュールの製造方法。
前記別の光部品を固定する工程の後、前記試験ポートを前記少なくとも一方の光ポートに置き換え、前記光検出素子において検出される光強度を参照しながら前記少なくとも一方の光ポートの調芯を行う工程と、
前記少なくとも一方の光ポートを前記筐体に固定する工程と、
を更に含む、請求項4に記載の光モジュールの製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の実施形態に係る光モジュールの製造方法の具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。以下の説明では、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0010】
図1は、本発明の一実施形態に係る光モジュール1Aの構成を示す平面図である。
図2は、光モジュール1Aを斜め上方から見た斜視図である。本実施形態の光モジュール1Aは、略直方体状のパッケージ(筐体)2と、パッケージ2の一端面2bに固定された信号光入力ポート11及び局発光入力ポート13とを備える。以下、パッケージ2の内部構造の説明において、一端面2b側を前方側と称することがある。
【0011】
信号光入力ポート11はシングルモードファイバ(Single Mode Fiber:SMF)10に接続されており、SMF10から受信信号光(SiGnal;以下、信号光という)を受ける。局発光入力ポート13は偏波保持ファイバ(Polarization Maintaining Fiber:PMF)12に接続されており、PMF12から局部発振光(Local;以下、局発光という)を受ける。これらの信号光及び局発光は、それぞれ信号光入力ポート11及び局発光入力ポート13を介してパッケージ2の内部に入力される。
【0012】
また、パッケージ2の4つの側面のうち、一端面2bを除く他の側面には、複数の端子3が設けられている。複数の端子3には、信号光から生成された電気的な受信信号を光モジュール1Aの外部に取り出すための端子、パッケージ2の内部の電子回路に電源電圧やバイアスを供給するための端子、接地端子等が含まれる。
【0013】
信号光入力ポート11は、SMF10の先端に付属するフェルールを受け入れる円筒状のスリーブと、集光レンズを収容したレンズホルダとが一体化されて成り、該レンズホルダがパッケージ2の一端面2bに接合されることによってパッケージ2に固定されている。SMF10内を伝搬した信号光は、集光レンズによって集光されパッケージ2内に入射する。
【0014】
局発光入力ポート13は、PMF12の先端に付属するフェルールを受け入れる円筒状のスリーブと、コリメートレンズを収容したレンズホルダとが一体化されて成り、該レンズホルダがパッケージ2の一端面2bに接合されることによってパッケージ2に固定されている。PMF12内を伝搬した局発光は、コリメートレンズによってコリメートされたのちにパッケージ2内に入射する。
【0015】
本実施形態の光モジュール1Aは、上記の構成に加えて、2つの光90°ハイブリッド素子32a,32b、並びに、入力ポート11,13と光90°ハイブリッド素子32a,32bとを光結合するための種々の光部品を備える。具体的には、光モジュール1Aは、2つの光90°ハイブリッド素子32a,32bの各信号光入力端と信号光入力ポート11とを光結合するための光部品として、偏光ビームスプリッタ(Polarization Beam Splitter:PBS)26、スキュー調整素子27、第1レンズ系28、波長板(λ/2板)29、第1ミラー30、及び第2レンズ系31を備える。更に、PBS26と信号光入力ポート11との間の光路上には、ビームスプリッタ(Beam Splitter:BS)22、可変光減衰器(VOA)23、及びコリメートレンズ25が配置されている。信号光入力ポート11と光90°ハイブリッド素子32a,32bとの間の光路上に配置されるこれらの光部品は、全てパッケージ2内に収容されている。
【0016】
BS22は、信号光入力ポート11から入力された信号光を分離する。分離された信号光の一部は、パッケージ2内に配置された光検出素子の一つであるパワーモニタ用フォトダイオード(モニタ用PD)24に入射する。モニタ用PD24は、信号光の強度に応じた電気信号を生成する。なお、BS22において分離された信号光の強度は、BS22に入射する前の信号光強度の10%未満である。
【0017】
VOA23は、BS22を通過した信号光を必要に応じて減衰する。減衰度は、光モジュール1Aの外部からの電気信号によって制御される。例えば、上述したモニタ用PD24からの電気信号に基づいて過入力状態が検知された場合には、VOA23の減衰度を大きくして、光90°ハイブリッド素子32a,32bに向かう信号光の強度を小さくする。
【0018】
コリメートレンズ25は、VOA23を通過した信号光を平行化する。なお、VOA23は、信号光入力ポート11の集光レンズとコリメートレンズ25との間に形成されるビームウェストに位置することが望ましい。これにより、VOA23の開口に対して十分に絞られたビーム径を確保できる。また、コリメートレンズ25によって信号光がコリメート光となることにより、光90°ハイブリッド素子32a,32bの信号光入力端までの光路について高い結合効率を確保できる。
【0019】
BS22、VOA23、及びモニタ用PD24は、パッケージ2の底面2aに搭載されたVOAキャリア20上に固定される。VOAキャリア20は、段差を形成する上下二つの面にこれらの光部品を搭載する。具体的には、一方の面にBS22及びモニタ用PD24を搭載し、他方の面にVOA23を搭載する。
【0020】
PBS26は、BS22及びVOA23を介して信号光入力ポート11と光結合する光入射面を有し、信号光の一部の偏波成分(例えばX偏波成分)と、残りの偏波成分(例えばY偏波成分)とを分岐する。このとき、分岐比は50%である。スキュー調整素子27及び第1レンズ系28は、PBS26の一方の光出力面と光90°ハイブリッド素子32bの信号光入力端との間の光路上に配置されている。PBS26を直進した信号光は、スキュー調整素子27を通過する。スキュー調整素子27は、PBS26により分岐された他方の信号光との間の遅れ時間を補償する。その後、当該信号光は、第1レンズ系28によって集光され、光90°ハイブリッド素子32bに到達する。なお、第1レンズ系28は、光軸方向に並ぶ2つの集光レンズ28a,28bによって構成される。
【0021】
また、λ/2板29、第1ミラー30、及び第2レンズ系31は、PBS26の他方の光出力面と光90°ハイブリッド素子32bの信号光入力端との間の光路上に配置されている。PBS26において曲げられた(分岐した)信号光は、λ/2板29を通過する。λ/2板29は、当該信号光の偏光方向を90°回転する。従って、λ/2板29を通過した信号光の偏光方向は、PBS26を直進した信号光の偏光方向と一致することとなる。その後、当該信号光は、第1ミラー30によってその進行方向が90°曲げられたのち、第2レンズ系31によって集光され、光90°ハイブリッド素子32aに到達する。なお、第2レンズ系31は、光軸方向に並ぶ2つの集光レンズ31a,31bによって構成される。また、第1ミラー30は、例えばキュービックミラー(直方体または立方体のミラーであり、対向する一対の面の対角方向に反射面が延びているもの)によって構成される。
【0022】
光モジュール1Aは、2つの光90°ハイブリッド素子32a,32bの各局発光入力端と局発光入力ポート13とを光結合するための光部品として、BS34、スキュー調整素子35、第3レンズ系36、第2ミラー37、及び第4レンズ系38を更に備える。更に、BS34と局発光入力ポート13との間の光路上には、偏光子33が配置されている。局発光入力ポート13と光90°ハイブリッド素子32a,32bとの間の光路上に配置されるこれらの光部品は、全てパッケージ2内に収容されている。
【0023】
偏光子33は、局発光入力ポート13から入力された局発光の偏光方向を確定する。これにより、PMF12において維持されていた偏光方向がパッケージ2の組み立て時にずれたとしても、偏光方向が0°若しくは90°の偏波成分のみを局発光として抽出できる。
【0024】
BS34は、偏光子33を介して局発光入力ポート13と光結合する光入射面を有し、偏光子33を通過した局発光を2つに分岐する。このとき、分岐比は50%である。スキュー調整素子35及び第3レンズ系36は、BS34の一方の光出力面と光90°ハイブリッド素子32aの局発光入力端との間の光路上に配置されている。BS34を直進した局発光は、スキュー調整素子35を通過する。スキュー調整素子35は、BS34により分岐された他方の局発光との間の遅れ時間を補償する。その後、当該局発光は、第3レンズ系36によって集光されつつ、光90°ハイブリッド素子32aに到達する。なお、第3レンズ系36は、光軸方向に並ぶ2つの集光レンズ36a,36bによって構成される。
【0025】
また、第2ミラー37及び第4レンズ系38は、BS34の他方の光出力面と光90°ハイブリッド素子32bの局発光入力端との間の光路上に配置されている。BS34において曲げられた(分岐した)局発光は、第2ミラー37によってその進行方向が90°曲げられたのち、第4レンズ系38によって集光され、光90°ハイブリッド素子32bに到達する。なお、第4レンズ系38は、光軸方向に並ぶ2つの集光レンズ38a,38bによって構成される。また、第2ミラー37は、例えばキュービックミラーによって構成される。
【0026】
上記のように、パッケージ2の内部に入力された信号光および局発光は、2個の光90°ハイブリッド素子32a,32bに振り分けられる。光90°ハイブリッド素子32a,32bは、例えばインジウムリン(InP)製の半導体基板を用いたフォトダイオード(PD)集積型マルチモードハイブリッドであり、この光90°ハイブリッド素子32a,32bに集積されたPDにおいて生成された光電流は、パッケージ2内に設けられたアンプ39a,39bによって電圧信号に変換され、複数の端子3の何れかから出力される。なお、光90°ハイブリッド素子32a,32bに集積されたPDは、本実施形態における光検出素子の一例である。
【0027】
以上の構成を備える本実施形態の光モジュール1Aの製造方法について説明する。
図3〜
図17は、光モジュール1Aの製造方法を説明するための図である。
【0028】
まず、
図3(斜視図)に示されるように、パッケージ2の外部において、キャリア40をベース21上に搭載し、互いに固着させる。ベース21は、例えば銅タングステン(CuW)からなる矩形の板状部材である。キャリア40は、例えばアルミナ(Al
2O
3)からなる矩形の板状部材である。キャリア40とベース21との固着には、例えばAuSn共晶半田を用いることができる。ベース21上にはキャリア40の搭載領域と光90°ハイブリッド素子32a,32bの搭載領域とを区画する溝21aが予め形成されている。この溝21aの前縁にキャリア40の後端を目視で合わせることにより、パッケージ2の前後方向におけるベース21とキャリア40との相対位置を決定する。なお、これに代えて、ベース21の前縁とキャリア40の前縁を合致させるアライメントを行ってもよい。
【0029】
なお、後の工程においてベース21をパッケージ2内に配置する際には、ベース21の幅がパッケージ2の内壁の間隔にほぼ合致しているため、ベース21の側面に形成された一対の括れ21bを把持するとよい。そして、パッケージ2の前後方向と直交する方向におけるキャリア40のアライメントは、ベース21に形成された一対の括れ21bを用いて行われてもよい。すなわち、括れ21bによりベース21の中央部分の間隔が狭くなっているので、その狭い部分の両端位置とキャリア40の両端位置とを一致させるとよい。
【0030】
次に、光90°ハイブリッド素子32aをMMIキャリア41上に搭載し、互いに固着(ダイボンド)する。同様に、光90°ハイブリッド素子32bを別のMMIキャリア41上に搭載し、互いに固着する。MMIキャリア41は、直方体状の部材であり、例えばAlN、あるいはアルミナ等のセラミックからなる。光90°ハイブリッド素子32a,32bとMMIキャリア41との固着には、例えばAuSn共晶半田が用いられる。この固着には、通常の半導体デバイスを絶縁基板上にマウントする公知の方法と同様の技術を用いることができる。その後、光90°ハイブリッド素子32a,32bをそれぞれ搭載した2つのMMIキャリア41を、ベース21におけるキャリア40の後端側に位置する領域に固定する。ベース21上には予めMMIキャリア41の固定領域を囲むように溝21cが形成されており、MMIキャリア41は当該溝21cを基準として目視アライメントにより配置される。
【0031】
なお、MMIキャリア41上には、MMIキャリア41の前方側と後方側とを分離する溝41aが形成されている。MMIキャリア41の前方側は、光90°ハイブリッド素子32a,32bに内蔵される光導波路部分に相当する。MMIキャリア41の後方側は、光90°ハイブリッド素子32a,32bに内蔵されるPD部分に相当する。光90°ハイブリッド素子32a,32bの裏面電極もまた前方側と後方側とに分離されており、その結果、内蔵PDのリーク電流の減少に寄与できる。
【0032】
上述したMMIキャリア41と光90°ハイブリッド素子32a,32bとの固着と並行して、
図4の斜視図に示される2つの配線基板43上に複数のダイキャパシタ(平行平板コンデンサ)を実装する。配線基板43は、例えば窒化アルミニウム(AlN)からなる。複数のダイキャパシタの実装には、例えばAuSnペレットを使用でき、また、公知のソルダリング工程を採用してもよい。その後、複数のダイキャパシタがそれぞれ実装された2つの配線基板43のうち一方を光90°ハイブリッド素子32aの周囲に配置してベース21に固定し、他方を光90°ハイブリッド素子32bの周囲に配置してベース21に固定する。
【0033】
続いて、
図5の側壁の一部を切り欠いた斜視図に示されるように、ベース21をパッケージ2の底面2a上に搭載する。このとき、例えば、パッケージ2の一端面2bを構成する側壁の内面にベース21の前端を突き当て、ベース21とパッケージ2とのアライメントを行った後、所定寸法だけベース21を当該側壁から離し、その状態でベース21をパッケージ2の底面2aに配置するとよい。ここで、パッケージ2の各側壁の内面は
図1に示されるように2段に構成されており、上段は金属製であり、下段は複数の端子3を互いに絶縁するためにセラミック製である。下段の内寸(壁間距離)はベース21の幅とほぼ一致しているが、上段の内寸はベース21の幅よりも広い。従って、上段の側壁の内面にベース21を突き当てることができ、これにより、パッケージ2とベース21(及び既にベース21上に搭載されている各部品)とのアライメントを±0.5°以内で実現することが可能である。底面2aへのベース21の固定は、例えば半田を用いて行われる。
【0034】
また、この工程では、ベース21とともにVOAキャリア20をパッケージ2の底面2a上に搭載する。このとき、例えば、パッケージ2の一端面2bを構成する側壁の内面にVOAキャリア20の前端を突き当て、VOAキャリア20とパッケージ2とのアライメントを行った後、所定寸法だけVOAキャリア20を当該側壁から離し、その状態でVOAキャリア20をパッケージ2の底面2aに配置するとよい。これにより、前述のキャリア40の前端と、VOAキャリア20の後端とが互いに平行になる。底面2aへのVOAキャリア20の固定は、例えば半田を用いて行われる。
【0035】
ベース21を底面2aに固定したのち、アンプ39a,39b(
図1、
図2を参照)を配線基板43上に実装する。アンプ39a,39bの実装は、例えば銀ペースト等の導電性樹脂を使用して公知のマウント方法により行われる。アンプ39a,39bの搭載後、パッケージ2全体を昇温(〜180℃)することにより、導電性樹脂に含まれる溶剤を気化する。その後、アンプ39a,39bの上面の電極パッドと、パッケージ2の後方側の端子3(
図1、
図2を参照)とを電気的に接続するためのワイヤリングを行う。なお、このワイヤリングにより、次工程以降における光部品のアクティブ調芯、すなわち光90°ハイブリッド素子32a,32bに試験光を入力し、光90°ハイブリッド素子32a,32bに内蔵されているPDの出力信号強度が最大となる位置に各光部品を配置することが可能となる。
【0036】
続いて、
図6(a)に示されるように、互いに垂直な光反射面104a及び底面104bを有する標準ミラー104を用意する。光反射面104aはパッケージ2の一端面2bを模擬し、底面104bはパッケージ2の裏面を模擬する。標準ミラー104は、例えば直方体状のガラスブロックによって構成される。そして、この標準ミラー104を、支持台101上に固定された調芯台(ステージ)103上に設置する。このとき、底面104bと調芯台103とを接触させる。
【0037】
続いて、標準ミラー104の光軸方向にオートコリメータ102の光軸方向を合わせる。具体的には、オートコリメータ102から可視レーザ光L1を出力し、該レーザ光L1を光反射面104aに当てる。そして、光反射面104aにおいて反射した可視レーザ光L1の光強度を、オートコリメータ102側で検出する。反射前の可視レーザ光L1と反射後の可視レーザ光L1とが互いに重なるとき、検出される光強度は最大となる。このことを利用して、光反射面104aの法線方向、すなわち標準ミラー104の光軸方向にオートコリメータ102の光軸方向を合わせる。この時、標準ミラー104を載せるステージ103の煽り角及び回転角を調整することにより、標準ミラー104の光軸方向をオートコリメータ102の光軸方向に合わせても良い。
【0038】
その後、標準ミラー104を調芯台103から取り外し、ベース21及びVOAキャリア20を搭載したパッケージ2に置き換える(
図6(b))。このとき、パッケージ2の底面を調芯台103に接触させる。オートコリメータ102の光軸はパッケージ2の上方空間を通過するので、可視レーザ光L1はパッケージ2の上方を通過し、パッケージ2内には導入されない。
【0039】
続いて、
図7に示されるように、モニタ用PD24をVOAキャリア20上に搭載する。また、PBS26、スキュー調整素子27、λ/2板29、偏光子33、BS34、及びスキュー調整素子35をキャリア40上の所定の搭載位置にそれぞれ搭載する。これらの光部品は、調芯作業を伴わない光部品であって、光軸方向のみ調整されたのちキャリア40若しくはVOAキャリア20に固定される。
【0040】
この工程では、オートコリメータ102(
図6(a)参照)の光軸を利用して光部品の角度(光軸方向)を調整する。すなわち、これらの光部品の一側面をオートコリメータ102の可視レーザ光L1に対する反射面とし、反射前の可視レーザ光L1と反射後の可視レーザ光L1とが互いに重なるように、これらの光部品の角度(光軸方向)を調整する。なお、この作業はオートコリメータ102の光軸上すなわちパッケージ2の上方空間において行われる。そして、その光学部品の向きを保持したまま(或いは必要に応じて所定角度だけ回転させ)、キャリア40上(若しくはVOAキャリア20上)の各搭載位置に設けられた接着樹脂上にこれらの光部品を移動させ、該接着樹脂を硬化させてこれらを固定する。
【0041】
PBS26、スキュー調整素子27、偏光子33、及びスキュー調整素子35については、パッケージ2に搭載された状態において光入射面が前方を向くので、該光入射面の法線方向とオートコリメータ102の光軸とが一致するようにこれらの光軸方向を調整し、その向きを維持しつつベース21上に搭載するとよい。また、λ/2板29およびモニタ用PD24については、パッケージ2に搭載された状態において光入射面が側方を向くので、該光入射面の法線方向とオートコリメータ102の光軸とが一致するようにそれらの光軸方向を調整したのち、ベース21上面の法線周りに90°回転させてからベース21上に搭載するとよい。なお、モニタ用PD24については、更に所定の端子3との間のワイヤボンディングを行うことにより、該所定の端子3との電気的接続を行う。BS34については、パッケージ2に搭載された状態において光入射面が側方を向くが、光出射面が後方を向くので、光出射面若しくは光出射面とは反対側の面の法線方向とオートコリメータ102の光軸とが一致するように光軸方向を調整したのち、その向きを維持しつつベース21上に搭載するとよい。
【0042】
続いて、上述の各光部品とは別の光部品、すなわち光90°ハイブリッド素子32a,32bに対する光結合トレランスが上記の光部品(モニタ用PD24、PBS26、スキュー調整素子27、λ/2板29、偏光子33、BS34、及びスキュー調整素子35)よりも小さい故に調芯を必要とするコリメートレンズ25、第1ミラー30、第1レンズ系28、第2レンズ系31、第3レンズ系36、第2ミラー37、及び第4レンズ系38をキャリア40上に搭載する。その準備として、
図8に示されるように、試験ポート(模擬コネクタ)50a及び50bをパッケージ2の一端面2bに配置する。試験ポート50a,50bは、信号光入力ポート11及び局発光入力ポート13をそれぞれ模擬し、試験ポート50a,50bからは、当該別の光部品の調芯に用いられる試験光が出射される。以下、試験光を準備する工程の詳細について説明する。
【0043】
図9(a)は、試験光を準備するための構成を示すブロック図である。この構成では、バイアス電源111からバイアス電圧を光源112(例えば半導体レーザ)に与えて、試験光を発生させる。この試験光は偏光制御素子113に導入され、その偏光面が制御される。その後、試験光は光カプラ114を通過してコネクタ116に達する。コネクタ116には、コネクタ117及び118のいずれか一方が選択的に接続される。コネクタ117には試験ポート50aが光結合されており、コネクタ118にはパワーメータ119が光結合されている。また、光カプラ114にはパワーメータ115が接続されている。なお、一つのパワーメータを、パワーメータ115及び119として併用してもよい。また、試験ポート50bに対しても、上記と同様の構成が用意される。
【0044】
まず、コネクタ116にコネクタ118を接続する。そして、光源112から出力される試験光の強度をパワーメータ119により検出し、バイアス電圧の大きさを調整することにより試験光の強度を所定強度に近づける。次に、パッケージ2を調芯台103から再び取り外し、標準ミラー104に置き換える。そして、コネクタ116にコネクタ117を接続するとともに、試験ポート50a,50bを、標準ミラー104の光反射面104aと対向するように配置する。この状態で光源112から試験光が出力されると、試験光は試験ポート50a,50bから出射されたのち光反射面104aにて反射し、再び試験ポート50a,50bに入射する。この試験光の強度は、光カプラ114を経由してパワーメータ115において検出される。その光検出強度が最大となるように試験ポート50a,50bの光軸方向を調整することにより、標準ミラー104の光軸方向に試験ポート50a(もしくは50b)の光軸方向を合わせることができる。
【0045】
上述のようにして試験ポート50a及び50bの光軸方向を調整したのち、
図9(b)に示されるように、標準ミラー104を調芯台103から再び取り外し、パッケージ2に置き換える。そして、試験ポート50aからパッケージ2内に入射する試験光の偏光面を調整するために、PBS及び2つのモニタ用PDを有する試験治具を、パッケージ2内部における試験ポート50aの後段に配置する。そして、PBSによって分岐した2つの試験光の強度を各モニタ用PDにおいて検知しつつ、これらの強度が互いに等しくなるように、偏光制御素子113により試験光の偏光面を調整する。
【0046】
なお、上述の偏光調整において、試験治具が有する2つのモニタ用PDからの出力信号を、パッケージ2のいずれかの端子3から取り出してもよい。また、2つのモニタ用PDからの出力信号を取り出すための端子を試験治具が備えている場合には、パッケージ2を調芯台103上に配置する前に、上述の偏光調整を行ってもよい。
【0047】
続いて、試験ポート50a,50bの調芯を行う。まず、試験ポート50aからパッケージ2内に入射した試験光の強度を、光90°ハイブリッド素子32aに内蔵されたPDにより検出する。そして、検出される試験光の強度を参照しながら、該強度が大きくなる方向に試験ポート50aを移動させることにより、試験ポート50aの光軸に垂直な面内での調芯を行う。これと同様に、試験ポート50bからパッケージ2内に入射した試験光の強度を、光90°ハイブリッド素子32bに内蔵されたPDにより検出する。そして、検出される試験光の強度を参照しながら、該強度が大きくなる方向に試験ポート50bを移動させることにより、試験ポート50bの光軸に垂直な面内での調芯を行う。なお、試験光のモードフィールド径は例えば300μmといった大きさであり、一方、光90°ハイブリッド素子32a,32bの光入力端は小さく、例えば幅数μm、厚さ1μm以下といった程度である。従って、光90°ハイブリッド素子32a,32bに入力される試験光の強度は微弱となるが、試験光の光軸を決定する程度の検出信号を得ることは可能である。
【0048】
試験ポート50a,50bの光軸方向の位置に関しては、試験ポート50a,50bの端面をパッケージ2の一端面2bに当接させることにより決定され得る。
【0049】
続いて、調芯を要する各光部品を試験ポート50a若しくは50bと光90°ハイブリッド素子32a,32bとの間の光路上に配置し、光90°ハイブリッド素子32a,32bに内蔵されるPD(若しくはモニタ用PD24)において検出される試験光の強度を参照しながら、これらの光部品の調芯を行う。更に、これらの光部品をパッケージ2のキャリア40上に固定する。なお、これらの光部品の調芯及び固定の順序は以下の説明に限られるものではなく、任意の順序で行うことができる。
【0050】
この工程では、
図9(b)に示されるように、VOAバイアス電源120、電圧モニタ121及び122をパッケージ2に接続する。VOAバイアス電源120は、後述するVOA23の設置の際に、VOA23にバイアス電圧を与える。電圧モニタ121及び122は、アンプ39a,39bからの電圧信号をそれぞれモニタする。
【0051】
まず、BS22(
図1,
図2を参照)の調芯及び固定を行う。すなわち、BS22の前面を反射面とし、パッケージ2の上方空間を通過しているオートコリメータ102の可視レーザ光を用いて、BS22の角度(光軸方向)を調整する。そして、BS22の向きを維持したまま、VOAキャリア20上にBS22を移動させる。そして、VOAキャリア20上においてBS22を前後方向に移動させながら、モニタ用PD24での受光強度が最大となる搭載位置を決定する。搭載位置の決定後、接着樹脂を用いてBS22をVOAキャリア20に固定する。
【0052】
次に、
図10に示されるように、第1ミラー30及び第2ミラー37の調芯及び固定を行う。まず、これらのミラー30,37の前面を反射面とし、パッケージ2の上方空間を通過しているオートコリメータ102の可視レーザ光を用いて、ミラー30,37の角度(光軸方向)を調整する。そして、ミラー30,37の向きを維持したまま、キャリア40上にミラー30,37を移動させる。これらのミラー30,37に各試験ポート50a,50bからの試験光を入射させ、ミラー30,37において反射した試験光を光90°ハイブリッド素子32a,32bの内蔵PDにより検出する。そして、ミラー30,37の角度を僅かに変化させながら、内蔵PDでの受光強度が最大となる角度を決定する。角度の決定後、接着樹脂を用いてミラー30,37をキャリア40に固定する。
【0053】
続いて、第1レンズ系28、第2レンズ系31、第3レンズ系36、及び第4レンズ系38の調芯及び固定を行う。まず、
図11に示されるように、集光レンズ28a,31a,36a,及び38a(すなわち光90°ハイブリッド素子32a,32b寄りの集光レンズ)の調芯及び固定を行う。まず、これらの集光レンズ28a,31a,36a,及び38aをキャリア40上に配置し、各試験ポート50a,50bからの試験光を入射させ、集光レンズ28a,31a,36a,及び38aを通過した試験光を光90°ハイブリッド素子32a,32bの内蔵PDにより検出する。そして、集光レンズ28a,31a,36a,及び38aの位置及び角度を僅かに変化させながら、内蔵PDでの受光強度が最大となる位置及び角度を決定する。位置及び角度の決定後、接着樹脂を用いて集光レンズ28a,31a,36a,及び38aをキャリア40に固定する。続いて、
図12に示されるように、集光レンズ28b,31b,36b,及び38bの調芯及び固定を行う。これらの調芯及び固定の方法は、上述した集光レンズ28a,31a,36a,及び38aの調芯及び固定の方法と同様である。
【0054】
ここで、各レンズ系28、31、36、及び38において2個の集光レンズを光軸方向に並べて配置する理由について説明する。
図13は、2個の集光レンズが光軸方向に並んで配置された場合における、レンズ位置のずれと、微小な結合対象(本実施形態では光90°ハイブリッド素子32a,32bの光入力端)に対する結合効率の変化との関係の一例を示すグラフである。
図13(a)及び
図13(b)は、結合対象側の集光レンズの位置ずれ((a)は光軸に直交する方向のずれ、(b)は光軸方向のずれ)による結合効率の変化を示す。また、
図13(c)及び
図13(d)は、結合対象とは反対側の集光レンズの位置ずれ((c)は光軸に直交する方向のずれ、(d)は光軸方向のずれ)による結合効率の変化を示す。なお、
図13(c)及び
図13(d)においては、結合対象側の集光レンズが予めその設計位置に配置されているものと仮定している。
【0055】
まず、光軸に直交する方向のずれについて検討する。
図13(a)に示されるように、結合対象側の集光レンズでは、わずか数μmの位置ずれであっても結合効率が劣化し、1μm程度の位置ずれによって結合効率が30%も劣化する。これに対し、
図13(c)に示されるように、結合対象とは反対側の集光レンズにおいては、数μmの位置ずれであれば結合効率はほとんど劣化せず、結合効率の劣化には数十μmの位置ずれを要する。また、光軸方向のずれについて検討すると、
図13(b)に示されるように、結合対象側の集光レンズでは数十μmの位置ずれであっても結合効率が劣化するが、
図13(d)に示されるように、結合対象とは反対側の集光レンズでは数十μmの位置ずれであれば結合効率はほとんど劣化しない。
【0056】
各レンズ系28、31、36、及び38の各集光レンズは、例えば紫外線硬化樹脂などの樹脂によってキャリア40に固定される。樹脂は固化時に数μmの収縮を生じるので、集光レンズの位置は、樹脂の固化に伴って数μmのずれを生じることがある。そして、上述したように、結合対象側の集光レンズでは数μmの位置ずれであっても結合効率が劣化してしまう。
【0057】
これに対し、結合対象とは反対側の集光レンズでは、数μmの位置ずれであれば結合効率はほとんど劣化しないので、結合対象側の集光レンズと比較して格段に大きな尤度を確保できる。特に、光軸方向においては数十μmの位置ずれであっても許容されるので、実質的に光軸方向のアライメントの精度は無視できる。従って、結合対象側の集光レンズ(本実施形態では集光レンズ28a,31a,36a,及び38a)の調芯及び固定を行った後に、結合対象とは反対側の集光レンズ(本実施形態では集光レンズ28b,31b,36b,及び38b)の調芯及び固定を行うことにより、結合対象側の集光レンズにおいて生じる結合効率の劣化を十分に補償することができる。
【0058】
なお、上記の方法では、光90°ハイブリッド素子32a,32b寄りの4つの集光レンズ28a,31a,36a,及び38aの調芯及び固定を行ったのち、別の4つの集光レンズ28b,31b,36b,及び38bの調芯及び固定を行っている。これに対し、例えば2つの試験ポート50a,50bに対して
図9(b)に示された一組の光源112〜コネクタ116を共通して使用する場合には、一方の試験ポートからの試験光を利用して調芯を行う各集光レンズの調芯及び固定を行ったのち、他方の試験ポートからの試験光を利用して調芯を行う各集光レンズの調芯及び固定を行ってもよい。例えば、まず集光レンズ28a,31aの調芯及び固定を行い、集光レンズ28b,31bの調芯及び固定を行ったのちに、集光レンズ36a,38aの調芯及び固定を行い、集光レンズ36b,38bの調芯及び固定を行ってもよい。これにより、光源112等の接続替えの回数を低減することができる。
【0059】
また、上記の方法では、結合対象側の集光レンズをその結合効率が最大となる位置で固定しているが、当該位置から所定距離だけ結合対象から遠ざかる(オフセットした)位置に結合対象側の集光レンズを固定し、結合対象とは反対側の集光レンズを、結合効率が最大となる位置で固定してもよい。結合対象側の集光レンズのみで結合効率が最大となる位置と、2つの集光レンズの組み合わせにより結合効率が最大となるときの結合対象側の集光レンズの位置とは異なり、後者の場合は前者と比較して結合対象から遠くなるからである。
【0060】
以上のようにして各レンズ系28,31,36,及び38の調芯及び固定を行ったのち、
図14に示されるように、コリメートレンズ25の調芯及び固定を行う。前述したように、
図1、
図2に示された信号光入力ポート11には集光レンズが搭載されており、この集光レンズの焦点とコリメートレンズ25の焦点とが一致するようにコリメートレンズ25の光軸方向位置が決定される。そして、集光レンズとコリメートレンズ25との間に形成されるビームウェストの位置にVOA23を配置することにより、VOA23の狭い開口部に信号光を通過させることができ、VOA23における消光比を大きくすることができる。
【0061】
このようなことから、コリメートレンズ25の調芯には、試験ポート50aに代えて、信号光入力ポート11に搭載されたものと同じ焦点距離を有する集光レンズを搭載する別の試験ポート50cを用いるとよい。従って、本工程では、試験ポート50aを試験ポート50cに置き換える。
【0062】
具体的には、パッケージ2に代えて標準ミラー104を調芯台103上に再び設置するとともに、
図9に示されたコネクタ116を試験ポート50aから試験ポート50cに付け替える。そして、試験ポート50cを、標準ミラー104の光反射面104aと対向するように配置する。この状態で試験ポート50cから試験光を出力し、パワーメータ115において検出される光強度が最大となるように試験ポート50cの光軸方向を調整することにより、標準ミラー104の光軸方向に試験ポート50cの光軸方向を合わせる。次に、試験ポート50cからパッケージ2内に入射した試験光の強度を光90°ハイブリッド素子32aに内蔵されたPDにより検出しながら、該強度が大きくなる方向に試験ポート50cを移動させることにより、試験ポート50cの光軸に垂直な面内での調芯を行う。なお、試験ポート50cの光軸方向の位置に関しては、試験ポート50cの端面をパッケージ2の一端面2bに当接させることにより決定され得る。
【0063】
次に、コリメートレンズ25をキャリア40上に移動し、コリメートレンズ25に試験ポート50cからの試験光を入射させ、通過した試験光の強度を光90°ハイブリッド素子32aの内蔵PDにより検出する。そして、コリメートレンズ25の位置を僅かに変化させながら、内蔵PDでの受光強度が最大となる位置(前後方向、左右方向、及び上下方向)を決定する。決定後、接着樹脂を用いてコリメートレンズ25をキャリア40に固定する。
【0064】
続いて、
図15に示されるように、VOA23をVOAキャリア20に導電性接着材を介して固定する。このとき、VOA23は、試験ポート50c内の集光レンズとコリメートレンズ25とを結ぶ光軸に対して所定角度(例えば7°以下)だけ傾けて搭載される。反射光を信号光入力ポート11に回帰させないためである。また、印加電圧に対して最大の消光比を得るために、
図9(b)に示されたVOAバイアス電源120からVOA23に制御電圧を印加しつつ、試験ポート50cから試験光を入力し、VOA23を通過した試験光の強度を光90°ハイブリッド素子32aの内蔵PDにより検知してもよい。
【0065】
続いて、
図16に示されるように、パッケージ2を塞ぐ蓋2cをシームシールにより取り付け、パッケージ2の内部を気密に封止する。そして、
図17に示されるように、試験ポートを本来の信号光入力ポート11及び局発光入力ポート13に置き換え、信号光入力ポート11及び局発光入力ポート13の調芯及び固定を行う。具体的には、信号光入力ポート11から模擬の信号光を導入し、該信号光の強度を光90°ハイブリッド素子32aの内蔵PDにより検出する。そして、検出される信号光の強度を参照しながら信号光入力ポート11の位置を僅かに変化させ、内蔵PDでの受光強度が最大となる位置を決定する。局発光入力ポート13についても同様に、実際に局発光を導入し、該局発光の強度を光90°ハイブリッド素子32bの内蔵PDにより検出する。そして、検出される局発光の強度を参照しながら局発光入力ポート13の位置を僅かに変化させ、内蔵PDでの受光強度が最大となる位置を決定する。決定後、信号光入力ポート11及び局発光入力ポート13をパッケージ2に固定する。
【0066】
以上に説明した、本実施形態による光モジュール1Aの製造方法によって得られる効果について説明する。本実施形態の製造方法は、信号光入力ポート11及び局発光入力ポート13が固定されるパッケージ2の一端面2bを模擬する標準ミラー104を用意し、標準ミラー104の光軸方向にオートコリメータ102の光軸方向を合わせる工程と、標準ミラー104をパッケージ2に置き換え、オートコリメータ102の光軸を利用して光部品の光軸方向を調整する工程と、光部品をパッケージ2に固定する工程とを含む。標準ミラー104及びパッケージ2の位置は、例えば調芯台103上において高い精度で一致させることができる。従って、このように予め標準ミラー104を用いてオートコリメータ102の光軸方向を調整することにより、パッケージ2に対する各光部品の角度(光軸方向)を精度良く調整することができる。また、オートコリメータ102の光軸を利用することにより、各光部品の光軸方向を容易に調整できる。
【0067】
また、本実施形態のように、光モジュール1AはPDをパッケージ2内(本実施形態では光90°ハイブリッド素子32a,32b内)に有しており、この製造方法は、試験光を出力する試験ポート50a,50bの光軸方向を標準ミラー104の光軸方向に合わせる工程と、標準ミラー104をパッケージ2に置き換え、PDにおいて検出される試験光の強度を参照しながら試験ポート50a,50bの調芯を行う工程とを含んでもよい。これにより、試験ポート50a,50bの位置及び角度の調整を精度良く行うことができるので、後の工程において、試験光を用いた光部品の位置及び角度の調整を精度良く行うことができる。
【0068】
また、本実施形態の製造方法は、試験ポート50a,50bの調芯を行った後、光部品を試験ポート50a,50bとPD(本実施形態では光90°ハイブリッド素子32a,32b)との間の光路上に配置し、PDにおいて検出される試験光の強度を参照しながら光部品の調芯を行う工程と、該光部品をパッケージ2に固定する工程とを含んでもよい。これにより、光結合トレランスが小さい光部品についても、位置及び角度の調整を精度良く行うことができる。
【0069】
また、本実施形態の製造方法は、試験ポート50a,50bを信号光入力ポート11及び局発光入力ポート13に置き換え、PDにおいて検出される光強度を参照しながら信号光入力ポート11及び局発光入力ポート13の調芯を行い、これらのポート11,13をパッケージ2に固定する工程を含んでもよい。これにより、ポート11,13の位置及び角度の調整を精度良く行うことができる。
【0070】
また、本実施形態のように、オートコリメータ102の光軸はパッケージ2の上方空間を通過してもよい。これにより、パッケージ2を調芯台103上に固定した後においても、オートコリメータ102を用いて光部品の角度(光軸方向)の調整を容易に行うことができる。
【0071】
本発明による光モジュールの製造方法は、上述した実施形態に限られるものではなく、他に様々な変形が可能である。例えば、上記実施形態では、試験ポート50a,50b双方の光軸方向の調整をBS22の搭載前に行っているが、試験ポート50aの光軸方向の調整をBS22の搭載前に行い、試験ポート50bの光軸方向の調整を第2ミラー37の搭載前に行ってもよい。また、試験ポート50a,50bの光軸方向の調整を複数回行ってもよい。例えば試験ポート50aの調整をBS22の搭載前、第1ミラー30の搭載前、並びに第1レンズ系28及び第2レンズ系31の搭載前に行い、試験ポート50bの調整を第2ミラー37の搭載前、並びに第3レンズ系36及び第4レンズ系38の搭載前に行うことにより、各光部品の調芯精度を向上させることが可能である。
【0072】
また、上記実施形態では、試験ポート50a,50bを用いた調芯工程においてもオートコリメータ102からの可視レーザ光L1がパッケージ2の上方空間に提供され、この可視レーザ光L1を用いて光部品(BS22、第1ミラー30、第2ミラー37など)の大凡の角度調整が行われている。その場合、これらの光部品の角度調整を行う前にパッケージ2を標準ミラー104に再び置き換え、オートコリメータ102の光軸調整を行ったのち、その状態でこれらの光部品の角度調整を行ってもよい。その場合、これらの光部品の角度を決定した後、これらの光部品を保持しつつ標準ミラー104をパッケージ2に再び置き換え、各試験ポート50a,50bの光軸方向および位置を調整した上で、これらの光部品をパッケージ2の所定位置に配置してもよい。このような方法により、工程数は増加するが、調芯精度は向上する。
【0073】
また、上記実施形態では光モジュール1Aが光入力ポート(信号光入力ポート11及び局発光入力ポート13)のみを備えているが、本発明に係る製造方法は、光出力ポートのみを備える(或いは、光入力ポート及び光出力ポートの双方を備える)光モジュールに光部品を搭載する際にも、上記実施形態と同様の効果を奏することができる。その場合、上記実施形態の試験ポート50a,50bを光出力ポートに代えて設置するとよい。